説明

配線基板及びその製造方法

【課題】高い放熱効果が得られ、高密度実装が可能な配線基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】表面及び裏面の少なくとも一方の面が各種部品の実装面21aとされた高熱伝導層を有する高放熱基板21と、高放熱基板21から延出し、高放熱基板21の面に対して直交する方向へ屈曲された接続端子31と、接続端子31に一体的に設けられた放熱片部35とを備える配線基板11Aとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の電気・電子部品が実装される配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の電気・電子部品が実装される配線基板として、基板の実装面に立設されて延びる接続端子を有し、この接続端子を、例えば、他の配線基板に接続するものが知られている。例えば、基板のスルーホールにリード端子を挿通、固定して互いの基板を接続する構造や(例えば、特許文献1参照)、配線パターン状に打ち抜かれた金属板と高熱伝導性の複合絶縁材料により少なくとも電子部品の搭載部分を露出した状態で一体成形した回路基板で金属板の一部を他の回路基板との外部接続端子として利用し、外部接続端子に設けた凸部で回路基板を容易に位置規制するようにした構造(例えば、特許文献2参照)などがある。特許文献2の回路基板では、金属板によって実装部品の熱を拡散させ、複合絶縁材料によって放熱させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−275328号公報
【特許文献2】特開平10−303522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように配線基板を接続端子によって接続して並設させることにより、高密度実装が可能であるが、このように高密度実装化を図ると、金属板と高熱伝導性の複合絶縁材料とから基板を構成して放熱効果を高めただけでは、放熱が不十分となるおそれがあった。
【0005】
つまり、配線基板を並設させるなどにより電気・電子部品のさらなる高密度実装化を図る場合、より高い放熱効果が必要であった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い放熱効果が得られ、高密度実装が可能な配線基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る配線基板は、下記(1)〜(8)を特徴としている。
(1) 表面及び裏面の少なくとも一方の面が各種部品の実装面とされた高熱伝導層を有する高放熱基板と、前記高放熱基板から延出し、該高放熱基板の面に対して直交する方向へ屈曲された接続端子と、前記接続端子に一体的に設けられた放熱片部と、を備えること。
(2) 上記(1)の構成の配線基板において、前記高放熱基板は、前記高熱伝導層である金属コアの表裏に絶縁層が設けられた金属コア基板からなること。
(3) 上記(1)または(2)の構成の配線基板において、前記接続端子の屈曲部分が側面視で円弧状に湾曲した湾曲部とされていること。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかの構成の配線基板において、前記高熱伝導層と前記接続端子が同一層に形成されていること。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかの構成の配線基板において、前記接続端子は複数個設けられ、該複数の接続端子のうち、少なくとも2個の接続端子は高放熱基板内部で電気的に接続されていること。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかの構成の配線基板において、前記高放熱基板の少なくとも一側縁部に凹部が形成され、前記接続端子が前記凹部の側面部から延出されていること。
(7) 上記(1)〜(5)のいずれかの構成の配線基板において、前記高放熱基板に窓部が形成され、前記接続端子が前記窓部の内側面部から延出されていること。
(8) 上記(1)〜(7)のいずれかの構成の配線基板において、前記接続端子は、前記高放熱基板に対して間隔をあけて並設される他の配線基板に接続されること。
【0008】
上記(1)の構成の配線基板では、高熱伝導層を有する高放熱基板に、放熱片部が一体的に設けられて表面積が大きくされた接続端子が設けられているので、高放熱基板自体の放熱効果とともに、接続端子による放熱効果も得ることができる。これにより、例えば、接続端子に各種の発熱する部品や他の基板を接続して高密度実装化を図ったとしても、十分な放熱効果を得ることができる。つまり、放熱効果を大幅に向上させて高密度実装を可能とすることができる。
また、接続端子において良好な放熱効果が得られるので、この接続端子の部品や他の基板との半田付け等による接続箇所への熱の伝達を極力抑えることができる。これにより、接続端子の接続箇所が熱により劣化して接続不良が生じるような不具合を防止し、接続の信頼性を維持することができる。
上記(2)の構成の配線基板では、金属コアの表裏に絶縁層が設けられた金属コア基板からなる高放熱基板であるので、実装された部品等の熱を金属コアによって均熱化して良好に放熱することができる。
上記(3)の構成の配線基板では、高放熱基板の面に対して直交する方向へ屈曲された接続端子の屈曲部分が側面視で円弧状に湾曲した湾曲部とされているので、接続端子に作用する外力や応力を湾曲部によって良好に吸収させることができ、接続端子の基板との固定箇所や接続端子の他の部品や他の基板等との接続箇所へ無理な力が作用して損傷するような不具合をなくすことができる。
上記(4)の構成の配線基板では、高熱伝導層と接続端子を同一層として形成するので、これら高熱伝導層と接続端子を同一の工程で作製することができ、配線基板の作製工程を低減することができる。
上記(5)の構成の配線基板では、複数の接続端子のうち少なくとも2個の接続端子が互いに電気的に接続されるので、この2個の接続端子を基板の表面で接続するための回路パターンを配索する必要がなく、基板上の各種部品を搭載するスペースを小さくすることができ、配線基板を小型化することができる。
上記(6)の構成の配線基板では、接続端子が、基板の少なくとも一側縁部に形成された凹部の側面部から延出されているので、実装面に接続端子を設ける場合と比較して、接続端子による実装面の占有を極力抑えて小型化を図ることができる。また、接続端子を、例えば、コネクタ等の部品に収容させる場合においても、その部品を凹部に配置することができるので、実装面に部品を配置させる場合と比較して、高さ寸法を抑えることができる。
上記(7)の構成の配線基板では、高熱伝導層を有する高放熱基板に窓部が形成されて通気性が高められているので、高放熱基板自体の放熱効果、接続端子の放熱片部による放熱効果とともに、窓部を形成したことによる放熱効果も得ることができる。これにより、例えば、窓部の内側面部から延出させた接続端子に他の基板を接続して高密度実装化を図ったとしても、十分な放熱効果を得ることができる。
上記(8)の構成の配線基板では、高い放熱性を有する高放熱基板に、放熱片部が形成された接続端子が設けられて放熱効果が大幅に高められているので、他の配線基板が並設されて高密度実装された状態においても、十分な放熱効果を得ることができ、また、接続端子を介した他の配線基板への熱の伝達も極力抑えることができる。
【0009】
また、上述した目的を達成するために、本発明に係る配線基板の製造方法は、下記(9)を特徴としている。
(9) 表面及び裏面の少なくとも一方の面が各種部品の実装面とされた高熱伝導層を有する高放熱基板と、前記高放熱基板から延出し、該高放熱基板の面に対して直交する方向へ屈曲された接続端子と、前記接続端子に一体的に設けられた放熱片部とを備える配線基板の製造方法であって、前記接続端子となる導電性の金属板の表裏に絶縁層を積層させて前記高放熱基板を形成する基板形成工程と、前記高放熱基板の一部における前記絶縁層を除去して前記金属板を露出させる金属板露出工程と、露出させた前記金属板を加工して前記放熱片部が側方へ突出した前記接続端子を形成する接続端子形成工程と、を含むこと。
【0010】
上記(9)の構成の配線基板の製造方法では、高放熱基板に放熱片部を備えた接続端子を有した高密度実装が可能で放熱性に優れた配線基板を容易に製造することができる。また、放熱片部が側方へ突出した接続端子を形成するので、接続端子を形成する際に廃棄処分となる接続端子の周囲のブランク部分に放熱片部を形成することができる。これにより、接続端子を形成する際に金属板を有効に活用することができ、無駄を極力抑えて低コストで放熱効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高い放熱効果が得られ、高密度実装が可能な配線基板及びその製造方法を提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る配線基板の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る配線基板の一部の断面図である。
【図3】配線基板を構成する基板の構造を示す断面図である。
【図4】配線基板の一部の平面図である。
【図5】配線基板の接続端子部分における斜視図である。
【図6】他の配線基板を並設させた第1実施形態の配線基板の一部の断面図である。
【図7】コネクタを装着した第1実施形態の配線基板の斜視図である。
【図8】配線基板の変形例を示す一部の平面図である。
【図9】配線基板の変形例を示す一部の平面図である。
【図10】本発明の配線基板の製造工程を説明する図であって、(a)〜(f)は、それぞれ製造途中の配線基板の平面図及び断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る配線基板の斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る配線基板の一部の断面図である。
【図13】配線基板の一部の平面図である。
【図14】他の配線基板を並設させた第2実施形態の配線基板の一部の断面図である。
【図15】配線基板の変形例を示す一部の平面図である。
【図16】配線基板の変形例を示す一部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態の例を、図面を参照して説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る配線基板の斜視図、図2は本発明の第1実施形態に係る配線基板の一部の断面図、図3は配線基板を構成する基板の構造を示す断面図、図4は配線基板の一部の平面図、図5は配線基板の接続端子部分における斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示したように、第1実施形態の配線基板11Aは、高放熱基板(以下、単に「基板」ともいう。)21と、この高放熱基板21に設けられた複数の接続端子31とを備えている。
【0017】
図3に示したように、基板21は、厚さ方向の中央に、銅または銅合金などから形成された板状の金属コア(高熱伝導層)22を有し、この金属コア22の表裏面に、熱硬化性及び絶縁性を有する合成樹脂などからなる絶縁層23が形成されている。そして、絶縁層23の表面に、回路パターン24が形成され、その表面がレジスト層25で覆われている。つまり、この基板21は、金属コア22が設けられて放熱性及び均熱性に優れた金属コア基板(高放熱基板)であり、図2に示したように、その表裏面が、回路パターン24を有する実装面21aとされ、この実装面21aに各種の電気・電子部品12が実装される。この金属コア基板である基板21において生じた電気・電子部品12等の熱は、金属コア22によって円滑に均熱されて外部に放熱される。
【0018】
図1および図4に示したように、基板21には、両側縁部にそれぞれ凹部26が形成されており、これらの凹部26の長手方向の側面部26aから複数の接続端子31が整列状態で延出されている。これらの接続端子31は、例えば、基板21に形成されたスルーホール(図示略)によって回路パターン24と導通されている。
【0019】
接続端子31は、金属コア22と同じ銅または銅合金などの導電性を有する金属材料から形成されたもので、絶縁層23によって挟持されて固定され、金属コア22と同一層に形成されている。
【0020】
これらの接続端子31は、図2、図4および図5に示したように、基板21に固定された固定部32と、凹部26の側面部26aから延出された端子部33とを有している。端子部33は、基板21の表面に対して直交する上方向へ屈曲されており、この接続端子31の端子部33の屈曲部分は、側面視で円弧状に湾曲した湾曲部34として構成されている。尚、接続端子31は、その端子部33が基板21の側面の内側に位置するように設けられている。
【0021】
また、接続端子31の端子部33には、放熱片部35が一体的に設けられている。この放熱片部35は、プレス加工によって接続端子31の端子部33に形成されたもので、端子部33の一側部から側方へ延出されている。
【0022】
接続端子31は、放熱片部35が形成されたことにより、外部に露出する部分の表面積が大きくされ、よって、放熱性が大幅に向上されている。
【0023】
上記構成の配線基板11Aでは、例えば、接続端子31を他の配線基板へ接続したり、あるいは、接続端子31に、コネクタ等の部品が装着される。
【0024】
この配線基板11Aによれば、高熱伝導層である金属コア22の表裏に絶縁層23が設けられた金属コア基板からなる基板21に、放熱片部35が一体的に設けられて表面積が大きくされた接続端子31が設けられているので、基板21自体の放熱効果とともに、接続端子31による放熱効果も得ることができる。つまり、金属コア基板からなる基板21と接続端子31とがそれぞれ離間している場合でも、放熱片部35により接続端子31の放熱効果が得られる。これにより、例えば、接続端子31に各種の発熱する部品や他の基板を接続して高密度実装化を図ったとしても、十分な放熱効果を得ることができる。つまり、放熱効果を大幅に向上させて高密度実装を可能とすることができる。
【0025】
また、接続端子31において良好な放熱効果が得られるので、この接続端子31の部品や他の基板との半田付け等による接続箇所への熱の伝達を極力抑えることができる。これにより、接続端子31の接続箇所が熱により劣化して接続不良が生じるような不具合を防止し、接続の信頼性を維持することができる。
【0026】
図6は、第1実施形態の配線基板11Aに他の配線基板41を並設させて接続した状態を示す図である。図6に示したように、配線基板11Aの接続端子31の端子部33が、基板21に対して間隔をあけて並設される他の配線基板41に半田付け等によって接続される。
【0027】
そして、このように、配線基板11Aに他の配線基板41を並設して高密度実装しても、配線基板11Aが高い放熱性を有する金属コア基板からなる基板21に高い放熱性を有する接続端子31を設けているので、十分な放熱効果を得ることができる。
【0028】
例えば、大電流が流されることにより発熱量が多いトランジスター等を実装した電源用の配線基板と、熱に弱い集積回路を実装した制御用の配線基板とを並設するような場合、上記の配線基板11Aを電源用とし、制御用の配線基板を他の配線基板41として並設するのが好ましい。このようにすると、電源用とした配線基板11Aにおいて、十分に放熱させることができ、また、接続端子31を介した熱の伝達も極力抑えることができ、よって、制御用とした他の配線基板41への熱の影響を極力抑えることができる。
【0029】
また、接続端子31は、基板21の凹部26の側面部26aから延出されて凹部26に配置されているので、接続端子31の他の配線基板41との接続位置を、配線基板11Aの側部よりも内側にすることができ、よって、配線基板11Aに並設させる他の配線基板41として、配線基板11Aと同等の大きさの配線基板41、または配線基板11Aよりも小さい配線基板41を並設させることができ、小型化を図ることができる。
【0030】
また、この配線基板11Aによれば、接続端子31が、凹部26の側面部26aから基板21の面に対して直交する方向へ屈曲され、その屈曲部分が側面視で円弧状に湾曲した湾曲部34とされているので、接続端子31に作用する外力や応力を湾曲部34によって良好に吸収させることができる。例えば、配線基板11Aを収容した機器を自動車等の車両へ搭載したとしても、走行時等における振動が湾曲部34によって円滑に吸収され、また、接続端子31を他の部品等に接続する際に寸法ずれがあったとしても、寸法ずれによって生じる応力が湾曲部34によって円滑に吸収される。
【0031】
このように、接続端子31に湾曲部34が形成されているので、接続端子31の基板21との固定箇所や接続端子31の端子部33の半田付け等による接続箇所へ無理な力が作用して損傷するような不具合をなくすことができる。
【0032】
図7は、上記の配線基板11Aにコネクタ45を設けた例であり、コネクタ45は、各電子機器や電源等に設けられた相手側のコネクタに接続される。図7に示したように、この配線基板11Aでは、周囲の四辺の側縁部に凹部26が形成されており、これらの凹部26に、コネクタ45を構成するハウジング46が配置されている。そして、これらのハウジング46に、凹部26の側面部26aから延出された接続端子31が収容されている。このように、凹部26にコネクタ45のハウジング46が配置された配線基板11Aによれば、高密度に実装しても良好な放熱効果を得ることができるとともに、高さ寸法を抑えて薄型化を図ることができる。例えば、実装面21aにハウジング46を配置させる場合では、基板21及びハウジング46の厚み以上の高さ寸法となるが、本実施形態の配線基板11Aでは、高さ寸法をハウジング46の厚みだけに抑えることができる。
【0033】
なお、上記の配線基板11Aでは、金属コア22と分離した接続端子31を設けた場合を例にとって説明したが、図8に示すように、接続端子31を金属コア22と一体に形成してもよい。金属コア22と一体に形成された接続端子31を有する配線基板11Aでは、金属コア22の一部に接続端子31を形成し、これらの接続端子31を、凹部26の側面部26aから側方へ延出させる。このように金属コア22と一体に形成した接続端子31では、例えば、金属コア22をグランドとして用い、接続端子31をグランド端子として容易に用いることができる。
【0034】
また、図9に示すように、配線基板11Aとしては、複数の接続端子31のうち少なくとも2個の接続端子31aを、基板21の内部で電気的に接続するように一体に形成してもよい。このように接続端子31のうちの少なくとも2個の接続端子31aを電気的に接続するように構成すれば、この2個の接続端子を基板の表面で接続するための回路パターンを配索する必要がなく、基板上の各種部品を搭載するスペースを小さくすることができ、配線基板を小型化することができる。
【0035】
次に、第1実施形態の配線基板11Aを製造する場合について、金属コア22と分離した接続端子31を有する構造のものを例にとって説明する。
【0036】
図10は配線基板の製造工程を説明する図であって、(a)〜(f)は、それぞれ製造途中の配線基板の平面図及び断面図である。
【0037】
<金属コア加工工程>
まず、図10(a)に示したように、平板状の金属コア22にプレス加工を施すことによって、接続端子31の固定部32を有する開口部51を形成する。
【0038】
<マスキング工程>
次に、図10(b)に示したように、凹部26を形成する予定の箇所における金属コア22の表裏に、耐熱性のマスキングテープ52を貼り付ける。
【0039】
<基板形成工程>
次に、金属コア22の表裏面を、例えば、サンドブラストによって粗面化し、その後、図10(c)に示したように、金属コア22の表裏面に絶縁層23を積層させて基板21を形成する。これにより、開口部51が絶縁層23によって塞がれる。このとき、凹部26を形成する箇所は、マスキングテープ52によって保護されているため、サンドブラストによる粗面化が防がれ、また、絶縁層23が付着されることがない。
【0040】
<金属板(高熱伝導層)露出工程>
図10(d)に示したように、マスキングテープ52が貼り付けられた凹部26の形成箇所における絶縁層23を、ざぐり加工等によって除去し、マスキングテープ52を剥がして金属コア22を露出させる。
【0041】
<接続端子形成工程>
そして、図10(e)に示したように、露出させた金属コア22を、プレス加工またはルータを用いた切削加工等によって凹部26及び放熱片部35が側方へ突出した接続端子31の端子部33を形成する。その後、形成した接続端子31の端子部33には、メッキ処理を施す。
【0042】
<接続端子加工工程>
最後に、図10(f)に示したように、プレス加工等によって接続端子31の端子部33を所定の形状に成形する。具体的には、基板21の一方の面側へ屈曲させるとともに、屈曲箇所を湾曲させて湾曲部34を形成し、また、放熱片部35を折り曲げる。
【0043】
上記の工程によって、金属コア基板である基板21に放熱片部35を備えた接続端子31を有した高密度実装が可能で放熱性に優れた配線基板11Aを容易に製造することができる。また、放熱片部35が側方へ突出した接続端子31を形成するので、接続端子31を形成する際に廃棄処分となる接続端子31の周囲のブランク部分に放熱片部35を形成することができる。これにより、接続端子31を形成する際に金属コア22を有効に活用することができ、無駄を極力抑えて低コストで放熱効果を高めることができる。
【0044】
なお、金属コア22に接続端子31が一体に設けられた配線基板11A(図8参照)を製造する場合、上記の金属コア加工工程は省略となる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る配線基板について説明する。
なお、上記の第1実施形態に係る配線基板11Aと同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
図11は本発明の第2実施形態に係る配線基板の斜視図、図12は本発明の第2実施形態に係る配線基板の一部の断面図、図13は配線基板の一部の平面図である。
【0047】
図11〜図13に示したように、第2実施形態に係る配線基板11Bも、金属コア22の表裏面に絶縁層23が形成された高放熱基板21と、この高放熱基板21に設けられた複数の接続端子31とを備えている。
【0048】
基板21には、金属コア22部分に窓部27が形成されており、この窓部27を構成する一つの内側面部、すなわち長手方向の内側面部27aから複数の接続端子31が整列状態で延出されている。接続端子31は、金属コア22と同じ銅または銅合金などの導電性を有する金属材料から形成されたもので、絶縁層23によって挟持されて固定され、金属コア22と同一層に形成されている。
【0049】
これらの接続端子31も、基板21に固定された固定部32と、窓部26の内側面部26aから延出された端子部33とを有しており、端子部33は、基板21の表面に対して直交する上方向へ屈曲されている。また、この接続端子31の端子部33の屈曲部分は、側面視で円弧状に湾曲した湾曲部34として構成されており、また、一側部から側方へ延出する放熱片部35が形成されて表面積が大きくされている。
【0050】
上記構成の配線基板11Bでも、例えば、接続端子31を他の配線基板へ接続したり、あるいは、接続端子31に、コネクタ等の部品が装着される。
【0051】
この配線基板11Bの場合も、高熱伝導層である金属コア22の表裏に絶縁層23が設けられた金属コア基板からなる基板21に、放熱片部35が一体的に設けられて表面積が大きくされた接続端子31が設けられているので、基板21自体の放熱効果とともに、接続端子31による放熱効果も得ることができる。つまり、金属コア基板からなる基板21と接続端子31とがそれぞれ離間している場合でも、放熱片部35により接続端子31の放熱効果が得られる。これにより、例えば、接続端子31に各種の発熱する部品や他の基板を接続して高密度実装化を図ったとしても、十分な放熱効果を得ることができる。つまり、放熱効果を大幅に向上させて高密度実装を可能とすることができる。
【0052】
特に、基板21に窓部27が形成されて通気性が高められているので、基板21自体の放熱効果、接続端子31の放熱片部35による放熱効果とともに、窓部27を形成したことによる放熱効果も得ることができる。
【0053】
ここで、図14に第2実施形態の配線基板11Bに他の配線基板41を並設させた例を示す。図14に示したように、配線基板11Bの接続端子31の端子部33が、基板21に対して間隔をあけて並設される他の配線基板41に半田付け等によって接続される。
【0054】
そして、このように、配線基板11Bに他の配線基板41を並設して高密度実装しても、配線基板11Bが高い放熱性を有する金属コア基板からなる基板21に高い放熱性を有する接続端子31を設けて放熱効果が大幅に向上されているので、十分な放熱効果を得ることができる。
【0055】
また、接続端子31は、基板21の窓部27を構成する内側面部27aから延出されて窓部27に配置されているので、接続端子31の他の配線基板41との接続位置を、配線基板11Bの側部よりも内側にすることができ、よって、第2実施形態の配線基板11Bに並設させる他の配線基板41として、配線基板11Bと同等の大きさの配線基板41、または配線基板11Bよりも小さい配線基板41を並設させることができ、小型化を図ることができる。
【0056】
また、この配線基板11Bの場合も、接続端子31が、内側面部27aから基板21の面に対して直交する方向へ屈曲され、その屈曲部分が側面視で円弧状に湾曲した湾曲部34とされているので、接続端子31に作用する外力や応力を湾曲部34によって良好に吸収させることができる。例えば、配線基板11Bを収容した機器を自動車等の車両へ搭載したとしても、走行時等における振動が湾曲部34によって円滑に吸収され、また、接続端子31を他の部品等に接続する際に寸法ずれがあったとしても、寸法ずれによって生じる応力が湾曲部34によって円滑に吸収される。
【0057】
また、接続端子31に湾曲部34が形成されていることで、接続端子31の基板21との固定箇所や接続端子31の端子部33の半田付け等による接続箇所へ無理な力が作用して損傷するような不具合をなくすことができる。
【0058】
なお、上記の配線基板11Bでは、金属コア22と分離した接続端子31を設けた場合を例にとって説明したが、図15に示すように、接続端子31を金属コア22と一体に形成してもよい。金属コア22と一体に形成された接続端子31を有する配線基板11Bでは、金属コア22の一部に接続端子31を形成し、これらの接続端子31を、窓部27の内側面部27aから側方へ延出させる。このように、金属コア22と接続端子31とを一体に形成することでより放熱効果が高くなる。また、このように金属コア22と一体に形成した接続端子31では、例えば、金属コア22をグランドとして用い、接続端子31をグランド端子として容易に用いることができる。
【0059】
また、図16に示すように、配線基板11Bとしては、複数の接続端子31のうち少なくとも2個の接続端子31aを、基板21の内部で電気的に接続するように一体に形成してもよい。このように接続端子31のうちの少なくとも2個の接続端子31aを電気的に接続するように構成すれば、この2個の接続端子を基板の表面で接続するための回路パターンを配索する必要がなく、基板上の各種部品を搭載するスペースを小さくすることができ、配線基板を小型化することができる。
【0060】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0061】
11A,11B 配線基板
12 電気・電子部品(部品)
21 基板(高放熱基板)
21a 実装面
22 金属コア(高熱伝導層)
23 絶縁層
26 凹部
26a 側面部
27 窓部
27a 内側面部
31 接続端子
34 湾曲部
35 放熱片部
41 他の配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及び裏面の少なくとも一方の面が各種部品の実装面とされた高熱伝導層を有する高放熱基板と、
前記高放熱基板から延出し、該高放熱基板の面に対して直交する方向へ屈曲された接続端子と、
前記接続端子に一体的に設けられた放熱片部と、
を備えることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記高放熱基板は、前記高熱伝導層である金属コアの表裏に絶縁層が設けられた金属コア基板からなることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記接続端子の屈曲部分が側面視で円弧状に湾曲した湾曲部とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記高熱伝導層と前記接続端子が同一層に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記接続端子は複数個設けられ、該複数の接続端子のうち、少なくとも2個の接続端子は高放熱基板内部で電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記高放熱基板の少なくとも一側縁部に凹部が形成され、前記接続端子が前記凹部の側面部から延出されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記高放熱基板に窓部が形成され、前記接続端子が前記窓部の内側面部から延出されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項8】
前記接続端子は、前記高放熱基板に対して間隔をあけて並設される他の配線基板に接続されることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項9】
表面及び裏面の少なくとも一方の面が各種部品の実装面とされた高熱伝導層を有する高放熱基板と、前記高放熱基板から延出し、該高放熱基板の面に対して直交する方向へ屈曲された接続端子と、前記接続端子に一体的に設けられた放熱片部とを備える配線基板の製造方法であって、
前記接続端子となる導電性の金属板の表裏に絶縁層を積層させて前記高放熱基板を形成する基板形成工程と、
前記高放熱基板の一部における前記絶縁層を除去して前記金属板を露出させる金属板露出工程と、
露出させた前記金属板を加工して前記放熱片部が側方へ突出した前記接続端子を形成する接続端子形成工程と、
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−254020(P2011−254020A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128185(P2010−128185)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】