説明

金型内ラベルのためのポリオレフィンフィルム

キャストフィルムを含んでなる金型内ラベルならびにポリプロピレン樹脂及び核剤を含んでなるキャストフィルムの製造方法。ポリプロピレン樹脂は2dg/分〜10dg/分の溶融流量、1重量%より小さいキシレン可溶物含有率及び98%より高いメソペンタド分布を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明の態様は一般に、金型内ラベリング(in−mold labeling)用途における使用のためのポリオレフィンフィルムに関する。特定的に、本発明は金型内ラベリングにおける使用のためのポリプロピレンキャストフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
金型内ラベルは、ほとんど二軸延伸されたポリプロピレン(BOPP)又は機械方向延伸(MDO)フィルムから製造されてきた。金型内ラベリング用途において用いられるキャストフィルムは剛性及び透明度を必要とすることが観察された。さらにフィルムは、ラベル製造を容易にするために、容易に打ち抜かれねばならない。
【0003】
従って、金型内ラベリング用途における使用のために適した剛性及び透明度を有するキャストフィルムに転換され得るポリプロピレン樹脂を開発する必要性がある。そのようなフィルムは容易に打ち抜かれもしなければならない。
【発明の概要】
【0004】
概略
本発明の態様は、ポリプロピレン樹脂及び核剤を含んでなるキャストフィルムを含む金型内ラベルを含む。ポリプロピレン樹脂は2dg/分〜10dg/分の溶融流量、1重量%より小さいキシレン可溶物含有率及び98%より高いメソペンタド(meso pentad)分布を有する。ポリプロピレン樹脂はビスブレーキングされ得る。
【0005】
他の態様は、金型内ラベリングのためのキャストフィルムの製造方法を含み、その方法では少なくとも1つのキャスチングロールが205°Fの調整温度(set temperature)を有する。さらに別の態様は、射出成形包装、吹込み成形包装又は射出延伸吹込み成形包装の一部として導入され得る金型内ラベルのためのキャストフィルムの使用を含む。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な記述
導入及び定義
ここで詳細な記述を示す。添付の請求項のそれぞれは個別の発明を定義し、それは侵害目的で、請求項において定義される種々の要素又は制限への同等事項を含むと認識される。状況により(depending on the context)、下記の「本発明」へのすべての言及は、いくつかの場合にはある特定の態様のみを指すことができる。他の場合、「本発明」への言及は、1つもしくはそれより多くの、しかし必ずしもすべてではない請求項において挙げられる主題を指すことが分かるであろう。ここで本発明のそれぞれを、特定の態様、変形及び実施例を含む下記において、より詳細に記述するが、本発明はこれらの態様、変形又は実施例に制限されず、それらは当該技術分野における通常の熟練者が、本特許中の情報を利用可能な情報及び技術と組み合わせる時に、本発明を製造し且つ使用することを可能にするために含まれるものである。
【0007】
本明細書で用いられる種々の用語を下記に示す。請求項中で用いられる用語が下記に定義されていない場合(to the extent)、それは、印刷公開文献及び発行された特許中に反映される通りに関連技術分野における人間がその用語に与えてきた最も広
い定義を与えられるべきである。さらに、他にことわらなければ、本明細書に記載されるすべての化合物は置換されているか又は置換されていないことができ、化合物のリストはその誘導体を含む。
【0008】
触媒系
オレフィンモノマーの重合に有用な触媒系には、当該技術分野における熟練者に既知のいずれの触媒系も含まれる。例えば触媒系はメタロセン触媒系、シングルサイト触媒系、Ziegler−Natta触媒系又はそれらの組み合わせを含むことができる。当該技術分野において既知の通り、続く重合のために触媒を活性化することができ、且つ触媒は担持材料を伴うことができるか、又は伴わなくとも良い。下記にそのような触媒系の簡単な議論を含むが、本発明の範囲をそのような触媒に制限することは全く意図されていない。
【0009】
例えばZiegler−Natta触媒系は、一般に金属成分(例えば触媒)と1種もしくはそれより多い追加の成分、例えば触媒担体、助触媒及び/又は1種もしくはそれより多い電子供与体の組み合わせから形成される。
【0010】
メタロセン触媒を一般に、π結合を介して遷移金属と配位した1個もしくはそれより多いシクロペンタジエニル(Cp)基(それは置換されていることができるか、あるいは置換されていないことができ、各置換は同一又は異なる)が導入された配位化合物として特徴付けることができる。Cp上の置換基は、例えば直鎖状、分枝鎖状又は環状ヒドロカルビル基であることができる。環状ヒドロカルビル基は、さらに例えばインデニル、アズレニル及びフルオレニル基を含む他の連続環構造を形成することができる。これらの連続環構造も、例えばC−C20ヒドロカルビル基のようなヒドロカルビル基により置換されていることができるか、あるいは置換されていなくても良い。
【0011】
重合法
本明細書の他の場所で示す通り、ポリオレフィン組成物の形成に触媒系が用いられる。上記の通り及び/又は当該技術分野における熟練者に既知の通り、触媒系が調製されたら、その組成物を用いて多様な方法を行うことができる。重合法において用いられる装置、プロセス条件、反応物、添加物及び他の材料は、製造されているポリマーの所望の組成及び性質に依存して、与えられる方法の中で変わるであろう。そのような方法には、例えば溶液相、気相、スラリ相、バルク相(bulk phase)、高圧法又はそれらの組み合わせが含まれ得る(引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる米国特許第5,525,678号明細書;米国特許第6,420,580号明細書;米国特許第6,380,328号明細書;米国特許第6,359,072号明細書;米国特許第6,346,586号明細書;米国特許第6,340,730号明細書;米国特許第6,339,134号明細書;米国特許第6,300,436号明細書;米国特許第6,274,684号明細書;米国特許第6,271,323号明細書;米国特許第6,248,845号明細書;米国特許第6,245,868号明細書;米国特許第6,245,705号明細書;米国特許第6,242,545号明細書;米国特許第6,211,105号明細書;米国特許第6,207,606号明細書;米国特許第6,180,735号明細書及び米国特許第6,147,173号明細書を参照されたい。)。
【0012】
ある態様において、上記の方法は一般に1種もしくはそれより多いオレフィンモノマーを重合させてポリマーを形成することを含む。オレフィンモノマーには例えばC−C30オレフィンモノマー又はC−C12オレフィンモノマー(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテン及びデセン)が含まれ得る。モノマーには例えばエチレン性不飽和モノマー、C−C18ジオレフィン、共役もしくは非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマー及び環状オレフィンが含まれ得る。他のモノマーの制限ではない例には、例えばノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、
イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン及びシクロペンテンが含まれ得る。生成するポリマーには、例えばホモポリマー、コポリマー又はターポリマーが含まれ得る。
【0013】
溶液法の例は米国特許第4,271,060号明細書;米国特許第5,001,205号明細書;米国特許第5,236,998号明細書及び米国特許第5,589,555号明細書に記載されており、それらは引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる。
【0014】
気相重合法の1つの例は、循環ガス流(他に再循環流又は流動化媒体としても既知)を反応器中で重合の熱により加熱する連続循環系を含む。熱は、循環の他の部分で反応器の外部の冷却系により循環ガス流から取り除かれる。1種もしくはそれより多いモノマーを含有する循環ガス流を、反応性条件下で触媒の存在下に、流動床を介して連続的に循環させることができる。循環ガス流は一般に流動床から回収され、反応器中に戻されて再循環される。同時にポリマー生成物を反応器から回収することができ、新しいモノマーを加えて重合したモノマーと置き換えることができる。気相法における反応器圧は、例えば約100psig〜約500psig又は約200psig〜約400psig又は約250psig〜約350psigで変わることができる。気相法における反応器温度は、例えば約30℃〜約120℃又は約60℃〜約115℃又は約70℃〜約110℃又は約70℃〜約95℃で変わることができる(例えば引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる米国特許第4,543,399号明細書;米国特許第4,588,790号明細書;米国特許第5,028,670号明細書;米国特許第5,317,036号明細書;米国特許第5,352,749号明細書;米国特許第5,405,922号明細書;米国特許第5,436,304号明細書;米国特許第5,456,471号明細書;米国特許第5,462,999号明細書;米国特許第5,616,661号明細書;米国特許第5,627,242号明細書;米国特許第5,665,818号明細書;米国特許第5,677,375号明細書及び米国特許第5,668,228号明細書を参照されたい。)。
【0015】
スラリ相法は一般に、液体重合媒体中の固体の粒子状ポリマーの懸濁液を形成し、それにモノマー及び場合により水素を触媒と一緒に加えることを含む。懸濁液(希釈剤を含むことができる)を断続的又は連続的に反応器から取り出すことができ、ここで揮発性成分をポリマーから分離して、場合により蒸留後に反応器に再循環させることができる。重合媒体中で用いられる液化希釈剤は、例えばC−Cアルカン(例えばヘキサン又はイソブタン)を含むことができる。用いられる媒体は一般に重合の条件下で液体であり、比較的不活性である。バルク相法は、液体媒体がバルク相法では反応物(例えばモノマー)でもあることを除いて、スラリ法のそれと類似である。しかしながら、方法は例えばバルク法、スラリ法又はバルクスラリ法であることができる。
【0016】
特別な態様において、スラリ法又はバルク法を1つもしくはそれより多いループ反応器において連続的に行うことができる。スラリ又は乾燥流動性粉末としての触媒を反応器ループに規則的に注入することができ、反応器ループ自身は例えば希釈剤中で成長するポリマー粒子の循環スラリで満たされていることができる。場合により、得られるポリマーの分子量制御のためのような水素をプロセスに加えることができる。ループ反応器を、例えば約27バール〜約50バール又は約35バール〜約45バールの圧力ならびに約38℃〜約121℃の温度に保持することができる。当該技術分野における熟練者に既知のいずれかの方法を介して、例えば二重−ジャケット管(double−jacketed pipe)又は熱交換器を介して、ループ壁を通って反応熱を除去することができる。あるいはまた、例えば直列、並列もしくはそれらの組み合わせにおける撹拌反応器のような他の型の重合法を用いることができる。
【0017】
ポリマー生成物
反応器から取り出されたら、ポリマーを、例えば添加物の添加及び/又は押出しのようなさらなる加工のためにポリマー回収系に通過させることができる。
【0018】
本明細書に記載される方法を介して形成されるポリマー(及びそのブレンド)は、例えば線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマーを含むことができるが、これらに限られない。
【0019】
本明細書中で他に指定されなければ、すべての試験法は出願の時点における最新の方法である。
【0020】
1つもしくはそれより多い態様において、ポリマーはプロピレンに基づくポリマーを含む。本明細書で用いられる場合、「プロピレンに基づく」という用語は「プロピレンポリマー」又は「ポリプロピレン」という用語と互換的に用いられ、例えばポリマーの合計重量に対して少なくとも約50重量%又は少なくとも約70重量%又は少なくとも約75重量%又は少なくとも約80重量%又は少なくとも約85重量%又は少なくとも約90重量%のポリプロピレンを有するポリマーを指す。
【0021】
プロピレンに基づくポリマーは、例えば約1.0〜約20又は約1.5〜約15又は約2〜約12の分子量分布(M/M)を有することができる。
【0022】
1つの態様において、プロピレンポリマーは、例えば約89%〜約99%のミクロタクチシティー(microtacticity)を有する。
【0023】
1つの態様において、プロピレンに基づくポリマーは、110℃の再結晶温度(T)を有することができる。
【0024】
1つの態様において、プロピレンに基づくポリマーは、160,000の分子量(M)(ゲル透過クロマトグラフィーにより測定される)を有することができる。
【0025】
プロピレンに基づくポリマーは、例えば少なくとも約110℃又は約115℃〜約175℃の融点(T)(DSCにより測定される)を有することができる。
【0026】
プロピレンに基づくポリマーは、例えば約15重量%又はそれより少量あるいは約12重量%又はそれより少量あるいは約10重量%又はそれより少量あるいは約6重量%又はそれより少量あるいは約5重量%又はそれより少量あるいは約4重量%又はそれより少量あるいは約1重量%又はそれより少量のキシレン可溶性材料(XS)を含むことができる(ASTM D5492−06により測定される)。
【0027】
プロピレンに基づくポリマーは、例えば約0.01dg/分〜約100dg/分又は約0.01dg/分〜約50dg/分又は約2dg/分〜約10dg/分又は約5dg/分〜約8dg/分の溶融流量(MFR)(ASTM D−1238により測定される)を有することができる。
【0028】
ポリプロピレンに基づくポリマーは、ポリマーのC13 NMRにより測定される95%より高い、又は98%より高い、又は99%より高いメソペンタドのミクロタクチシティーに基づく結晶度を有することができる。プロピレンに基づくポリマーは、DSCにより測定される50又は40〜60又は45〜55の結晶度を有することができる。
【0029】
1つもしくはそれより多い態様において、ポリマーはポリプロピレンホモポリマーを含む。他にことわらなければ、「ポリプロピレンホモポリマー」という用語は、プロピレンホモポリマー又は主にプロピレン及びある量の他のコモノマーから構成されるポリマーを指し、ここでコモノマーの量はプロピレンポリマーの結晶性を有意に変化させるのに不十分である。
【0030】
1つもしくはそれより多い態様において、ポリマーはプロピレンに基づくランダムコポリマーを含む。他にことわらなければ、「プロピレンに基づくランダムコポリマー」という用語は、主にプロピレン及びある量の少なくとも1種のコモノマーから構成されるコポリマーを指し、ここでポリマーは、例えばポリマーの合計重量に対して少なくとも約0.5重量%又は少なくとも約0.8重量%又は少なくとも約2重量%あるいは約0.5重量%〜約5.0重量%又は約0.6重量%〜約1.0重量%のコモノマーを含む。コモノマーはC−C10アルケンから選ばれることができる。例えばコモノマーはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン及びそれらの組み合わせから選ばれることができる。1つの特別な態様において、コモノマーはエチレンを含む。さらに、「ランダムコポリマー」という用語は、鎖中のいずれかの与えられる部位において与えられるモノマー単位を見出す可能性が、隣接する単位の性質に無関係である巨大分子から作られるコポリマーを指す。
【0031】
プロピレンに基づくランダムコポリマーは、例えば少なくとも約2dg/10分又は約5dg/10分〜約30dg/10分又は約10dg/10分〜約20dg/10分の溶融流量を示すことができる。
【0032】
1つもしくはそれより多い態様において、プロピレンに基づくポリマーは立体特異的ポリマーを含む。本明細書で用いられる場合、「立体特異的ポリマー」という用語は、規定される分子の空間配置を有するポリマー、例えばアイソタクチック及びシンジオタクチックポリプロピレンを指す。「タクチシティー」という用語は、ポリマー中の側鎖基の配置を指す。例えばポリマーの側鎖基がポリマーの鎖の両側上にランダムなやり方で配置されている時、それは「アタクチック」である。対照的に、ポリマーの側鎖基のすべてが鎖の同じ側上に配置されている時、それは「アイソタクチック」であり、ポリマーの側鎖基が鎖の反対側上に互い違いになっている時、それは「シンジオタクチック」である。
【0033】
1つもしくはそれより多い態様において、ポリマーはシンジオタクチックポリプロピレンを含む。
【0034】
1つもしくはそれより多い態様において、ポリマーはアイソタクチックポリプロピレンを含む。本明細書で用いられる場合、「アイソタクチックポリプロピレン」という用語は、メソペンタドを用いて13C NMR分光分析により測定される(例えば%mmmm)、例えば少なくとも約60%又は少なくとも約70%又は少なくとも約80%又は少なくとも約85%又は少なくとも約90%より高い結晶度を有するポリプロピレンを指す。
【0035】
アイソタクチックポリプロピレンは、例えば約130℃〜約175℃又は約140℃〜約170℃又は約150℃〜約165℃の融点(T)(DSCにより測定される)を有することができる。アイソタクチックポリプロピレンは、例えば約2,000〜約1,000,000又は約100,000〜約800,000の分子量(M)(ゲル透過クロマトグラフィーにより測定される)を有することができる。1つの態様において、ポリプロピレンに基づくポリマーは一般に、4g/10分〜20g/10分又は6g/10分〜15g/10分又は8g/10分〜13g/10分又は9g/10分〜11g/10分の
溶融流量を有する。
【0036】
1つの態様において、最終的な組成物中に添加物も含まれることができる。核剤には当該技術分野における熟練者に既知のいずれの核剤も含まれ得る。例えば、核剤の制限ではない例には、安息香酸ナトリウムを含むカルボン酸塩、タルク、ホスフェート、金属性−ケイ酸塩水和物、ノルボルナンカルボン酸塩、ジベンジリデンソルビトールの有機誘導体、ソルビトールアセタール、有機ホスフェート塩及びそれらの組み合わせが含まれ得る。1つの態様において、核剤は、Amfine Chemicalから商業的に入手可能なAmfine Na−11及びNa−21、Milliken Chemicalから商業的に入手可能なMilliken HPN−68及びMillad 3988から選ばれる。
【0037】
1つの態様において、例えば重量によりポリマーの約0〜約3000ppm又は約5ppm〜約1000ppm又は約10ppm〜約500ppmの濃度で核剤を用いることができる。
【0038】
当該技術分野における熟練者に既知のいずれかの方法により、添加物をポリマーに接触させることができる。例えば押出しの前に(重合プロセス内に)、あるいは押出し機内で添加物をポリマーに接触させることができる。1つの態様において、添加物を独立してポリマーに接触させる。他の態様において、ポリマーに接触させる前に添加物を互いと接触させる。1つの態様において、接触は、例えば機械的配合のような配合を含む。
【0039】
1つの態様において、プロピレンに基づくポリマーはビスブレーキングされている(visbroken)ことができる。ポリマーは、押出しの間に過酸化物のような化学品をポリマー粉末に加えるとビスブレーキングされ、それはコポリマー鎖を破断させ、従って分子量分布を狭くし、且つ溶融流量を増加させる。
【0040】
生成物用途
ポリマー及びそのブレンドは、成形作業(例えばフィルム、シート、パイプ及び繊維押出し及び同時−押出しならびに吹込成形、射出成形及び回転式成形)のような当該技術分野における熟練者に既知の用途において有用である。フィルムには、例えば食品と接触する及び食品と接触しない収縮フィルム、クリングフィルム(cling film)、延伸フィルム、封止フィルム(sealing film)、延伸フィルム(oriented film)、スナック包装、重包装袋、食料品袋、焼かれた食品及び冷凍食品の包装、医療用包装、工業用ライナー(industrial liner)及び膜として有用な共押出し(co−extrusion)又は積層により成形される吹込フィルム又はキャストフィルムが含まれる。繊維には、例えばフィルター、おむつ布帛、医療用被服(medical garments)及びジオテキスタイルの製造のために織られた形態で、又は不織形態で用いるための溶融紡糸、溶液紡糸(solution spinning)及び溶融吹込(melt blown)繊維作業が含まれる。押出し製品には、例えば医療用チューブ、ワイア及びケーブルコーティング、ジオメンブレン及びポンドライナー(pond liner)が含まれる。成形品には、例えばビン、タンク、大中空製品、硬質食品容器及びおもちゃの形態における単層及び多層構造が含まれる。
【0041】
特に、ポリマーはキャストフィルム用途に有用である。本明細書で用いられる場合、キャストフィルムは、BOPP又はMDOを用いる場合のようにこれらのフィルムがさらに延伸されないという意味で、非延伸フィルムである。キャストフィルム法の1つの例において、ポリマーはフラットダイ面から押出され、急速に冷却され(典型的にはチルロール上で)、0.4ミル〜15ミルの範囲であることができる厚さを有するフィルムを形成する。
【0042】
さらにポリマーは、金型内ラベリング用途において用いることができるキャストフィルムにおいて有用である。
【0043】
金型内ラベリング(IML)は、成形プラスチック物体に、物体が金型内で成形されている間にラベリングするための方法である。用途は自動車のダッシュボードから液体洗剤ビンからアイスクリームカートンに及ぶ。IMLは通常、吹込み成形された、射出成形された、又は熱成形された包装を指す。
【0044】
IML法において、ラベル又は装飾用アップリケ(decorative applique)を開放金型中に置き、真空孔(vacuum ports)、静電引力又は他の手段により所望の位置に保持する。金型を閉じ、溶融プラスチック樹脂を金型中に押出すか又は射出し、そこでそれはそれが冷却される時に物体の形通りになる。熱いプラスチックはラベルを包み、それを成形される物体の一体部分とする。
【0045】
1つの態様において、製造されるフィルムは2%〜20%又は4%〜15%又は5%〜10%の曇り度(haze properties)を有することができる。1つの態様において、製造されるフィルムは50%〜90%又は70%〜85%又は75%〜80%の45°における光沢度を有することができる。
【0046】
1つの態様において、製造されるフィルムは100kpsi〜300kpsi又は150kpsi〜250kpsi又は175kpsi〜200kpsiの2%割線モジュラスを有することができる。1つの態様において、製造されるフィルムは3000psi〜7500psi又は4000psi〜6500psi又は5000psi〜6000psiの降伏点引張強さを有することができる。1つの態様において、製造されるフィルムは1%〜15%又は2%〜10%又は4%〜8%の降伏点伸びを有することができる。
【0047】
1つの態様において、製造されるフィルムは1psi〜50psi又は5psi〜25psi又は10psi〜15psiの破断点引張強さを有することができる。1つの態様において、製造されるフィルムは25%〜75%又は40%〜65%又は50%〜60%の破断点伸びを有することができる。
【0048】
1つの態様において、製造されるフィルムは1ミル〜10ミル又は3ミル〜8ミル又は5ミルの厚さを有することができる。
【実施例】
【0049】
ポリマー及び得られる末端用途製品の評価において、以下の試験法を用いた。曇り度:ASTM D1003;光沢度:ASTM D−2457−70;引張強さ:ASTM D882;伸び:ASTM D882;割線モジュラス:ASTM D882。
【0050】
Davis Standardミニ−キャストフィルムライン上で1系列のキャストフィルム試験を行った。フィルムの物理的データのまとめを表1に示す。
【0051】
用いられた樹脂は、TOTAL Petrochemicals USA,Incから入手可能なTOTAL Petrochemicals 3270であった。さらに、標準はビスブレーキング又は核剤なしの3270を意味し、CR’dはビスブレーキングされた3270を意味し、CR’d and Nucleatedはビスブレーキングされ且つ核剤が加えられた3270を意味する。
【0052】
【表1】

【0053】
表1においてわかる通り、金型内ラベル用途に必要な剛性及び透明度を有するキャストフィルムが製造された。さらに、ラベル素材の打ち抜きを助長するための最小の伸びを有する生成物が得られた。核化され、流動学が制御された(ビスブレーキングされた)高い結晶度のポリプロピレンから形成されるフィルムは、向上した剛性(モジュラス)及び低い伸びを示した。曇り度の低下及び光沢度の向上により立証される通り、光学的性質は向上した。3270樹脂は8dg/分の溶融流量までビスブレーキングされた。ビスブレーキングの必要なく類似の溶融流量を有する高結晶度の樹脂も、金型内ラベリングのための所望の末端用途物理的性質を与えることができる。
【0054】
キャストフィルムのための加工条件も調整した。205°Fのキャスチングロール温度を用いてCR’d and Nucleatedフィルムを製造した。
【0055】
種々の態様を示し、且つ記載してきたが、開示の精神及び記載内容(teaching)から逸脱することなく、当該技術分野における熟練者はその修正を成し得る。本明細書に記載される態様は単に例であり、制限であることを意図していない。本明細書に開示される態様の多くの変形及び修正が可能であり、開示の範囲内である。数の範囲又は限界が明白に述べられている場合、そのような明白な範囲又は限界は、明白に述べられている範囲又は限界内に含まれる類似の大きさの繰り返される範囲又は限界を含むと理解されるべきである(例えば約1〜約10は2、3、4などを含み;0.10より大きいは0.11、0.12、0.13などを含む)。請求項のいずれかの要素に関する「場合により」という用語の使用は、かかる要素(subject element)が必要であるか、あるいはまた必要でないことを意味することが意図されている。選択されるべき2つの両方が請求項の範囲内であることが意図されている。含んでなる、含む、有するなどのような比較的広範囲の用語の使用は、より成る、本質的により成る、実質的により構成されるなどのような比較的狭い範囲の用語に関する支持(support)を与えると理解されるべきである。
【0056】
従って、保護の範囲は上記に示された記述により制限されず、続く請求項によってのみ制限され、その範囲は請求項の主題のすべての同等事項を含む。それぞれの、及びすべての請求項は、本開示の態様として明細書の内容となる。かくして請求項はさらなる説明であり、本明細書で開示される態様への追加である。本明細書中の引用文献、特に本出願の優先日後の公告日を有し得る引用文献の議論は、それが本開示に対する先行技術であるこ
との承認ではない。本明細書で引用されるすべての特許、特許出願及び公開文献の開示は、それらが本明細書に示される詳細への補足となる例としての、方法的な、又は他の詳細を与える程度まで、引用することによりそれらの記載事項が本明細書の内容となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン樹脂及び核剤を含んでなるキャストフィルムを含んでなる金型内ラベルであって、ここで該ポリプロピレン樹脂は2dg/分〜10dg/分の溶融流量、1重量%より小さいキシレン可溶物含有率及び98%より高いメソペンタド分布を有する金型内ラベル。
【請求項2】
核剤がカルボン酸塩、タルク、ホスフェート、金属性−ケイ酸塩水和物、ノルボルナンカルボン酸塩、ジベンジリデンソルビトールの有機誘導体、ソルビトールアセタール、有機ホスフェート塩及びそれらの組み合わせより成る群から選ばれる請求項1のフィルム。
【請求項3】
核剤がノルボルナンカルボン酸塩である請求項2のフィルム。
【請求項4】
核剤がポリプロピレン樹脂及び核剤の組成物全体の5〜1000ppmを構成する請求項3のフィルム。
【請求項5】
該ポリプロピレン樹脂がビスブレーキングされる請求項1のフィルム。
【請求項6】
フィルムが2%〜8%の曇り度を有する請求項1のフィルム。
【請求項7】
フィルムが60%〜90%の45°における光沢度を有する請求項1のフィルム。
【請求項8】
フィルムが2ミル〜8ミルの厚さを有する請求項1のフィルム。
【請求項9】
フィルムが150〜250kpsiの2%割線モジュラスを有する請求項1のフィルム。
【請求項10】
フィルムが2%〜8%の降伏点伸びを有する請求項1のフィルム。
【請求項11】
フィルムが4500〜6500psiの降伏点引張強さを有する請求項1のフィルム。
【請求項12】
ラベルを射出成形包装中に導入する請求項1の金型内ラベル。
【請求項13】
ラベルを吹込み成形包装中に導入する請求項1の金型内ラベル。
【請求項14】
ラベルを射出延伸吹込み成形包装中に導入する請求項1の金型内ラベル。
【請求項15】
少なくとも1つのキャスチングロールが205°Fの調整温度を有するキャストフィルムの製造方法。
【請求項16】
フィルムがポリプロピレン樹脂及び核剤を含み、ここで該ポリプロピレン樹脂は2dg/分〜10dg/分の溶融流量、1重量%より小さいキシレン可溶物含有率及び98%より高いメソペンタド分布を有する請求項15の方法。
【請求項17】
フィルムが2ミル〜8ミルの厚さを有する請求項15の方法。
【請求項18】
核剤がノルボルナンカルボン酸塩である請求項16の方法。
【請求項19】
核剤がポリプロピレン樹脂及び核剤の組成物全体の5〜1000ppmを構成する請求項18の方法。

【公表番号】特表2012−522267(P2012−522267A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502189(P2012−502189)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/028412
【国際公開番号】WO2010/111332
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】