説明

金属ナノ粒子の製造方法及びこれによって得られるナノ粒子及びその使用

【課題】 本願発明は、使用及び実施に関して汎用性のあり、経済的に実行可能な方法において実施され、且つ環境上の要求を考慮した金属ナノ粒子の製造方法を提供することである。
【解決手段】 本願発明は、金属ナノ粒子の製造方法に関するものであり、少なくとも1つの高分子安定剤の存在下において還元剤によって金属イオンを還元して金属ナノ粒子に変換するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ナノテクノロジーの技術的分野に関する。
【0002】
特に、本願発明は、金属ナノ粒子の製造方法に関し、またこの方法において取得可能な金属ナノ粒子に関し、さらにその使用に関する。さらにまた、本願発明は、本願発明の金属ナノ粒子を具備する分散に関する。また、本願発明は、本願発明の金属ナノ粒子及び本願発明の分散を具備するコーティング材料及びコーティングシステム、ガラス及び透明コーティング、印刷用インキを含むインキ、プラスチック、発泡材、化粧品、洗浄化合物及び触媒システムに関する。
【背景技術】
【0003】
科学文献及び特許文献の両方において金属ナノ粒子の製造するための合成について多くの記載が存在する。ほとんどの場合、製造は、適当な金属塩の製造を介して達成される。
【0004】
例えば、上述した金属ナノ粒子は、還元剤としての水素化ホウ素ナトリウムとの二相性反応における金属塩(例えば、銀塩化物)の還元によって製造される。これは、水相から有機相(例えば、トルエン若しくはクロロホルム)へのテトラオクチルアンモニウムブロミドを使用する金属塩の第1移行及びそれに続く水素かホウ素ナトリウムによるそれを還元することを含んでいる。例えばドデンカンチオールである安定剤の使用によって、単分散金属ナノ粒子の実質的に分散すること、及び、表面改質に基づいて、それらをいろいろな媒体に分散させることが可能となる。水における使用に関して、相間移動触媒、例えば4−ジメチルアミノピリジンが、ほとんどの場合に要求される。この反応形態の場合における不利益点は、工業規模の拡張性(規模拡大可能性)の欠如である。さらに、この方法において製造された金属ナノ粒子は、極性系について変更が不可能である。この方法におけるさらなる不利益点は、相対的に高価な開始化学材料の使用であり、変化する生産性であり、形成された多数の副産物であり、特に粒子の高粗度の構成要素である。
【0005】
別の方法は、還元が水媒体において実行される反応である。これらは、金属塩、特に金塩を、クエン酸ナトリウムによって還元することを含む(いわゆるツルケヴィッチによる「クエン酸法」を参照;例えばDiscuss. Faraday Soc. 11 (1951) 55)。この方法の不利益点は、合成の間及びその後のゾルにおいて達成される金属又は金濃度が大変低いことである。さらに、この方法において得られる金属ナノ粒子は、たとえあったとしてもせいぜい非常に複雑な方法においてのみ粉末して分離されることができるものである。同様に、相対的に高い温度が不利益点である。
【0006】
別の方法は、ポリオール法と呼ばれるもの(この主題において、例えば、US2006/0090599A1(特許文献1)を参照)であり、この方法は、100℃以上、特に150℃以上に上昇した温度のポリオールにおいて若しくはよって、金属イオン源の還元を実行することを含んでいる。このポリオールは、同時に安定剤及び溶剤として働くために、付加的な溶剤が要求されない。しかしながら、この方法における不利益点は、得られた金属ナノ粒子が、たとえあったとしても、せいぜい複雑な方法においてのみ分離されることができることである。さらに、得られた金属ナノ粒子は、たとえあったとしても、非常に難しいので非極性系にだけ変更することができる。さらに、非常の高価な開始化学物質を使用すること、加工温度が非常に高いことなどの不利益点がある。
【0007】
さらに、金属ナノ粒子、特に金ナノ粒子の製造は、原則的にソノリシス(登録商標)と呼ばれるものによって、実験規模においてのみ可能である。この方法は、超音波によるエネルギー入力に基づいている。これは、例えばHAuClの水溶液を、グルコースと反応させること、実際の還元剤が、ヒドロキシルラジカル及び砂糖熱分解ラジカルであること、それらがグルコースの崩壊する空洞と水の間の中間領域で形成されることを含むものである。これは、結果として、30〜50nmの幅と、数μmの長さを有するナノリボンと呼ばれるものを生じ、これらのリボンは、可撓性があり、90°以上の範囲で屈曲自在である。グルコースが、シクロデキストリン若しくはグリコースオリゴマーによって置き換えられる時、小球状金ナノ粒子が得られる。この方法は、相対的に複雑であり、工業的規模に適用することができない。さらに、比較的高価な開始化学材料が使用される。さらに、この方法は、大きな困難さをもってのみ実行することができる。
【0008】
特許文献2(特開2003−147418号公報)は、水媒体中のミセルにおける還元によって金属ナノ粒子(例えば、金又はパラジウム)の製造に関するもので、前記ミセルが、両親媒性のブロックコポリマーから製造されることを開示する。ミセル形成に必要とされるこのブロックコポリマーは、調製するために比較的複雑であると同時に、還元剤として機能する。
【0009】
特許文献3(US2006/0266156A1)は、それらの表面に、異なる温度上昇を有する2つの異なる湿潤剤若しくは分散剤を具備する金属粒子及びそれらの製造方法に関する。
【0010】
特許文献4(US2006/0266157A1)は、例えばセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)である湿潤剤の存在において、金属塩水溶液の還元によって金属ナノ粒子を製造することを記載している。この方法で取得される粒子は、湿潤剤若しくは分散剤の付加によって分散され、コーティングのためにバインダーと結合される。その製造は、純粋な水媒体においては達成されない。この反応は、クエン酸法と、二相反応の結合である。例えば、湿潤剤としてCTABで、粒子表面を覆うことは、非極性媒体において良好な分散性を有する粒子を与えるが、CTABが、相対的に高価であり、超過量を制限して使用しなければならない。さらに、分散剤のさらなる付加が、所定のコーティング融和性を達成するために要求される。
【0011】
特許文献5(WO2006/053225A2)は、金属ナノ粒子/プロテイン錯体の調合に関する。この調合は、BSA(牛血清アルブミン)のようなプロテインの存在において水媒体において、NaBHで還元することによって達成される。ポリビニルピロリドンでコートされた銀粒子も記載されている。この場合、この合成は、ポリオール法と呼ばれるものによってグリセロールにおいて効果を生じる。
【0012】
特許文献6(WO2006/072959A1)は、金属ナノ粒子の水性分散に関し、さらに金属コアを形成するために金属形成を可能にする水溶性ポリマーの存在でそれを製造する方法に関する。
【0013】
特許文献7(US2007/0034052A1)及び特許文献8(US2006/0159603A1)は、ポリオールによって金属イオンを還元することによる金属ナノ粒子、特に銀ナノ粒子の製造を記載する。
【0014】
特許文献9(US6,992,039B2)は、酸化物基板上での担持単分散貴金属ナノ粒子の調製に関する。特に、多孔質セラミックス上の貴金属ナノ粒子のそのままの製造が記載される。貴金属塩は、金属アルコキシド及び湿潤剤の存在で還元され、それに続いて焼成段階に送られる。
【0015】
特許文献10(US2003/0199653A1)は、NaBH4での還元による硫黄含有コポリマーの存在下での水媒体における金属ナノ粒子の製造に関する。硫黄含有安定剤の使用によって、この方法で得られる粒子は、触媒作用に使用することができない。その上、この合成は、相対的に複雑である。また、この方法において取得される粒子の再分散性もあまり大きくない。
【0016】
特許文献11(WO02/087749A1)、CA2445877A1及びUS2004/0147618A1は、高分子安定剤の存在下で、γ放射線又は超音波を使用していろいろな媒体における銀ナノ粒子の製造を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】US 2006/0090599 A1
【特許文献2】特開2003−147418号公報
【特許文献3】US 2006/0266156 A1
【特許文献4】US 2006/0266157 A1
【特許文献5】WO 2006/053225 A2
【特許文献6】WO 2006/072959 A1
【特許文献7】US 2007/0034052 A1
【特許文献8】US 2006/0159603 A1
【特許文献9】US 6,992,039 B2
【特許文献10】US 2003/0199653 A1
【特許文献11】WO 02/087749 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本願発明の基礎を構成する課題は、従来の公報の上述した不利益点を実質的に防止するか、少なくとも減少させる金属ナノ粒子を製造する方法を提供することである。
【0019】
特に本願発明の目的は、使用及び実行に関して汎用性のあり、経済的に実行可能な方法において実行され、且つ環境上の要求を考慮した金属ナノ粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述された課題を解決するために、本願発明は、請求項1に記載された方法を提案するものである。また、さらなる利益的形態は、従属する方法請求項の主題である。
【0021】
さらに、本願発明は、請求項27及び28による本願発明の方法によって取得可能な金属ナノ粒子を提供するものである。本願発明のこの様相の利益的な形態は、該当する従属請求項の主題である。
【0022】
さらに、本願発明は、関連した請求項において定義されるように、本願発明の方法によって取得可能な金属ナノ粒子の使用に関するものである。
【0023】
同様に、本願発明は、請求項44に記載されるキャリア若しくは分散媒体における本願発明の金属ナノ粒子の分散を提供するものである。
【0024】
さらに、本願発明は、本願発明の金属ナノ粒子又は本願発明の分散を具備するコーティング及びコーティング系、特にコーティング材料、ペンキ等、ガラス及び透明コーティング、印刷用インキを含むインキ、プラスチック、発泡材、化粧品、マニュキュア液、洗浄合成物及び含浸材料、接着剤、シーリング合成物及び触媒系を提供するものである(請求項45)。
【0025】
本願発明の1つの様相に関連してのみ記載された形態及び具体例は、これが明確に記載されたことなしに、本願発明の別の様相に適用することも十分に理解される。
【0026】
また、以下の特定される値、範囲、量及びパラメータに関して、その技術分野における通常の知識を有する者が、本願発明の範囲を逸脱することなしに、応用若しくは個々の場合に基づいてそこから適当に外す場合も存在する。
【0027】
本願発明の第1の様相によれば、本願発明は、金属ナノ粒子を製造する方法を提供するもので、その方法において、金属イオンが、少なくとも1つの高分子安定剤の存在下で、少なくとも1つの還元剤によって還元されて、金属ナノ粒子に変換されることにある。その結果は、高分子安定剤で、表面改質又は表面コートされた金属ナノ粒子の分散である。
【0028】
本願発明に関して、還元剤は、0酸素状態において元素金属に還元をもたらすと同時に、高分子安定剤が、形成された金属粒子がナノ粒子と呼ばれるものとして取得されること、さらに不定形の沈殿物等として凝集し若しくは沈殿することがないことを確実にするものである。
【0029】
本願発明に係る方法の化学的過程は、下記する(部分)反応式によって示される。ここで、以下の「Men+」は、ホルマール酸化状態「n」における金属を有する金属イオン源を示し、「n」は一般的に1〜8、特に1〜5の整数を示し、「Me」は、対応する元素金属を示し、「Red」は、本願発明に係る方法の過程において対応する酸化剤(「Ox」)に変換される還元剤を示し、「Ps」は高分子安定剤を示し、「e-」は、電子を示し、最後「Me(Nano)-PS」は、それらの表面に高分子安定剤を具備するか改質された結果として生じる金属ナノ粒子(工程最終生成物)を示す:
(1) Men+ + n・e- + PS → Me(Nano)-PS
(2) Red → Ox + n・e-
Men+ + n・e- +PS + Red → Me(Nano)-PS+Ox
【0030】
本願発明の方法は、液体媒体、好ましくは水媒体において実行されることが望ましい。その反応を実行するために、金属イオンは、当該媒体に溶解されるか、塩の形で超微細に分散される。言い換えると、本願発明の方法は、液相法として、特に単相反応として実行される。これは、2つの液相を有する最初に記載された従来の反応を超える重大な利点であると考えられる。
【0031】
本願発明に関して、特に、還元剤として水素化物を使用する場合において、発泡体の想定される形成(水素ガスの形成)が生じるので、少なくとも1つの消泡剤の存在下で付加的に本願発明による方法を実行することが有利であるといえる。この目的のために、その技術分野における通常の知識を有する者にとって、それ自体が公知の消泡剤を使用することが可能である。消泡剤の量は、広い範囲で変化可能であり、前記消泡剤は、全反応混合物に基づいて、0.0001〜5重量%、好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0.01〜1重量%の量で使用されることが望ましい。
【0032】
また、反応混合物に少なくとも1つに添加剤を付加することも可能である。本願発明において最適な付加物は、例えば、pH調整剤、pH緩衝物質、乳化剤、レオロジー調整剤、防腐剤、界面活性剤等からなる群から選択されることが望ましい。
【0033】
さらに、少なくとも1つの共溶媒が、反応混合物に付加されることが望ましい。共溶媒の量は、広い範囲で変化可能であり、全反応混合物に基づいて、0.1〜7重量%、好ましくは0.5〜5重量%の共溶媒が使用される。共溶媒は、アルコール、グリコール(例えば、ブチルグリコール等)等のような有機極性溶媒、又は、酸若しくは塩基のような無機溶媒から選択されることが望ましい。例えば、使用される共溶媒は、開始材料として例えば[Ag(NH3)2]Clの形成を生じるAgClの水への溶解度を達成するためのNH3、又は、順次HAuCl4の形成を生じる開始材料としてのAuCl3のためのHClである無機酸若しくは塩基であることが望ましい。
【0034】
本願発明による方法は、広い温度範囲で実行される。この方法は、液相法として実行され、温度範囲の下限は反応媒体の熔融点から生じ、上限は沸点から生じる。特に水媒体を使用する場合、前記方法は、0℃以上及び100℃以下の温度範囲内で、特に5℃〜90℃の範囲内、好ましくは10℃〜80℃の範囲内、より好ましくは10℃〜40℃の範囲内、最も好ましくは10℃〜30℃の範囲内で実行される。低い温度は、より安定した分散が得られ、さらに、取得されたナノ粒子が、より良い再分散性を示すものである。
【0035】
本願発明に係る方法のさらなる利点は、相対的に短い処理時間であり、工業的規模で実行する場合、例えば工業的規模での実行において、特に高い利点があると考えられる。本願発明に係る方法は、10分以内、特に5分以内、好ましくは1分以内、より好ましくは0.5分以内の反応時間で実行される。本願発明による方法は、0.0001〜1分間、特に0.0001〜5分間、好ましくは0.0001〜1分間、より好ましくは0.0001〜0.5分間の反応時間で実行されることが望ましい。特に本願発明による方法に関する実際の反応時間は数秒間で完了する。
【0036】
本願発明に係る方法のさらなる利点は、その実行可能性に関して高い汎用性であると考えられる。例えば、本願発明に係る方法は、バッチ毎若しくは連続して操作されることが望ましい。バッチ毎の作業の場合、本願発明に係る方法は、例えば、1つの攪拌層において実行されることが望ましい。これに対して、連続した作業の場合、連続した攪拌若しくは管状反応器、連続した攪拌タンクカスケード、若しくは回転盤反応器と呼ばれるものにおいて実行されることが望ましい。回転盤反応器と呼ばれるものにおける連続した実行は、大変早く強烈な混合によって極端に迅速な転換の利点を付加的に与える。回転盤反応器における方法の実行に関するさらなる詳細は、例えば、WO2006/018622A1, WO2006/040566A1及びWO2006/008500A1を参照することができ、ここで開示される全体的な内容は、参照することにより明細書の一部と見なすことができるものである。
【0037】
特別な例において、本願発明に係る方法は、温度及び/若しくは体積流量の調節が、核生成及び成長過程の時間及び/若しくは空間における分離を達成するように実行されることが望ましい。この例において、本願発明に係る方法は、特にミクロ反応技術系と呼ばれるものにおいて実行される。この作業の利点は、特に結果として生じる金属ナノ粒子の同一の形態及び/若しくは単分散が達成されることである。この例における対応する方法の実行に関するこの主題でのさらなる詳細は、WO2008/061632A1を参照することができ、ここで開示される全体的な内容は、参照することにより明細書の一部と見なすことができるものである。
【0038】
本願発明に係る方法のさらなる利点は、使用される還元剤の有用性に関して高い汎用性を有することが考慮されるものである。還元剤は、元素金属に還元されるように当該金属イオンを還元することができる(例えば、酸化状態:0)ように選択されることが望ましい。特に、電気化学電圧列における還元剤が、還元される金属イオンの金属よりも低い標準電位を所有する。
【0039】
さらに、前記還元剤は、反応媒体において可溶性又は分散性であるように選択されることが望ましい。
【0040】
本願発明によって最適である還元剤は、無機水素化物、特に水素化ホウ素ナトリウム若しくは水素化アルミニウムリチウム;無機チオ硫酸塩若しくはチオ硫酸;無機硫化物若しくは硫化水素;無機亜硫酸塩;ヒドラジン;ヒドロキシルアミン;水素(例えば気体水素若しくは自然のままで生じた水素、若しくは発生期水素);一酸化炭素;アセチレン;シュウ酸若しくはシュウ酸塩;クエン酸若しくはクエン酸塩;酒石酸若しくは酒石酸塩;単価若しくは多価アルコール、例えばグリコール、又はその他ヒドロキシ官能化ポリグリコールエーテル;砂糖;無機リン化物;且つ上述した還元剤の少なくとも2つの混合物又は結合物の群から選択されることが望ましい。特に無機水素化物、特に上述したタイプの無機水素化物が好ましい。
【0041】
使用される還元剤の量は、広い範囲で変化可能である。特に、還元剤は、1.05:1〜200:1の範囲内、特に1.1:1〜100:1の範囲内、好ましくは1.1:1〜50:1の範囲内の還元に要求される電子の量として演算される金属イオンに対する還元剤の比率において使用されることが望ましい。上記比率が大きくなると、結晶化種の形成が多くなり、形成されるナノ粒子がより小さくなるものである。
【0042】
還元される金属イオンの特別な金属に関して、これは原則的に本願発明の方法の状態下で所望の方法において変換される所望の金属であることが望ましい。特にこの金属は、元素の周期律表のIIIA群からVA群及びIBVIIIB群の少なくとも1つの金属元素から選択されるものである。この金属は、Cu, Ag, Ni, Pd, Pt, Co, Rh, Ir, Ru, Os, Se, Te, Cd, Bi, In, Ga, As, Ti, V, W, Mo, Si, Al及び/若しくはSn、及びこれらの元素の少なくとも2つの混合物、合金及び共結晶から選択されることが望ましい。特に好ましい方法において、前記金属は、Cu, Ag, Ni, Pd, Pt, Co, Rh, Ir, Ru, Os, Se及び/若しくはTe、及びこれらの元素の少なくとも2つの混合物、合金及び共結晶から選択されることが望ましい。特に、前記金属は、貴金属、特にCu, Ag, Au, Ni, Pd, Pt, Ru, Ir及び/若しくはRh、特に好ましくはAg, Au, Pd及び/若しくはPtから選択されることが望ましい。
【0043】
また、取得される金属ナノ粒子は、少なくとも2つの金属に基づくこと、特に、CdSe, CdTe, BiTe, GaAs, InAS, AgPd, CoPt及び/若しくはAgAuタイプであることが望ましいものである。ここで金属ナノ粒子は、少なくとも二成分金属ナノ粒子であることが望ましい。このようなシステムは、例えば半導体技術及び触媒技術について大変関心が持たれる。
【0044】
前記金属イオンは、原則として、所望の形態において使用されることが望ましい。本願発明に係る方法に関して互換性のあるすべての金属イオン源を使用することが可能であり、反応媒体において水溶解性及び/若しくは水分散性であることが望ましい。例えば、金属イオンが、特に金属塩(例えば、AgNO3, Na2PtCl4, NaAuCl4・2H2O等)、金属酸及びその水和物(例えば、HAuCl4・3H2O, H2PtCl4・6H2O, H2PtCl4等)、イオン若しくは共有結合金属化合物(例えば、AuCl3, PtCl2, AgCl等)、複合金属イオン及び/若しくは金属電極(例えば、電気分解の場合)の形で、好ましくは金属塩の形で使用されることが望ましい。
【0045】
同様に、使用される金属イオンの量は、広い範囲で変化可能である。特に、反応混合物全体に基づき、金属として演算される金属イオンは、0.0001〜20重量%、特に0.001〜15重量%、好ましくは0.005〜10重量%、より好ましくは0.01〜3重量%、最も好ましくは0.1〜2重量%の量で使用されることが望ましい。
【0046】
取得される金属ナノ粒子の大きさに関して、これも広い範囲にわたって変化可能である。特に、取得される金属ナノ粒子は、0.3〜1000nmの範囲内、特に0.5〜750nmの範囲内、好ましくは1〜500nmの範囲内、より好ましくは2〜100nmの範囲内、最も好ましくは3〜50nmの範囲内の絶対粒子サイズを有することが望ましい。さらに、取得される金属ナノ粒子は、1〜500nmの範囲内、特に2〜200nmの範囲内、好ましくは2〜100nmの範囲内、最も好ましくは5〜40nmの範囲内の中間粒子サイズ(D50値と呼ばれるものとして測定される)を有することが望ましい。
【0047】
取得される金属ナノ粒子のサイズ及び形状は、反応状態の適当な変化によって変えることができるものである。例えば、還元剤のタイプ及び/若しくは量、且つ/又は、高分子安定剤のタイプ及び/若しくは量、且つ/又は、反応温度、且つ/又は、付加(一回の付加、段階的付加等)等を変化させることによって、粒子サイズが、コントロールされた方法において、影響され若しくは調整されるものである。これは、その技術分野における通常の知識を有する者にとって公知であるといえる。
【0048】
本願発明の特別な具体例において、取得される金属ナノ粒子は、二峰性分子サイズ分布を有することが望ましい。この具体例において、金属ナノ粒子の2つの区分の中間粒子直径(D50)は、少なくとも10nm、特に少なくとも25nm、好ましくは少なくとも50nm、より好ましくは少なくとも75nm、最も好ましくは100nmで異なっていることが望ましい。この方法において、添加剤として当該金属ナノ粒子を使用する場合(例えば、コーティング、塗装、若しくは他のコーティング系)、特に、力学的安定性、摩耗抵抗、表面特性、光沢等のような力学的特性に関して所定の効果、特に表面効果を達成することができる。二峰性粒子サイズ分布は、反応条件の制御された変更若しくは調整によって、例えば、還元される金属イオンに対する還元剤の割合を選択することによって、高分子安定剤の量(例えば、高分子安定剤の低い若しくは準化学量論的な量)によって、それぞれの試薬の段階的及び/若しくは繰り返し付加によって、達成することができるものである。これは、その技術分野における通常の知識を有する者にとって身近なものである。
【0049】
高分子安定剤に関して、広い範囲の量で使用されることが可能である。特に、高分子安定剤は、結果として生じる金属ナノ粒子に基づいて、1〜1000重量%、特に5〜500重量%、好ましくは10〜200重量%、より好ましくは20〜100重量%の量で使用されることが望ましい。
【0050】
前記高分子安定剤の化学的性質に関して、それは、分散剤及び/若しくは湿潤剤及び/若しくは界面活性剤であることが望ましい。
【0051】
使用される高分子安定剤のモル質量は、広い範囲で変化可能である。また、使用される高分子安定剤は、少なくとも1000g/mol、特に少なくとも1500g/mol、好ましくは少なくとも1500g/molの中間、特に平均分子量を有することが望ましい。特に、前記高分子安定剤は、1000〜1000000g/molの範囲内、特に1250〜100000g/molの範囲内、好ましくは1500〜75000g/molの範囲内、より好ましくは2000〜50000g/molの範囲内の中間、特に平均分子量を有することが望ましい。
【0052】
前記高分子安定剤は、官能化ポリマー、特に酸及び/若しくは塩基官能化ポリマー、特に極性官能基を有するポリマーに基づくものであることが望ましい。例えば、前記高分子安定剤は、官能化ポリアミン、官能化ポリウレタン、官能化ポリ(メタ)アクリレート、官能化ビニルコポリマー、官能化ポリエーテル/ポリエステルコポリマー、官能化ポリエーテル、官能化ポリエステル、官能化脂肪酸コポリマー、官能化ブロックコポリマー及び/若しくは官能化ポリアルコキシレート、及びこれら化合物の少なくとも2つの混合物若しくは結合の群から選択されることが望ましい。
【0053】
また、前記高分子安定剤は、特に酸及び/若しくは塩基官能化ポリマーに基づくものであり、該ポリマーが、特に水酸基(−OH)、チオール(−SH)、アミン、アンモニウム、カルボキシル基、カルボニル、エステル、エーテル、スルホニル、リン酸、及び/若しくはリン酸エステル官能基から選択された少なくとも1つの官能基を有するものであり、好ましくは水酸基(−OH)、チオール(−SH)及び/若しくはアミン官能基から選択された少なくとも1つの官能基を有するものであることが望ましい。
【0054】
塩基官能化の場合、ポリマーの最適な基数は、少なくとも10mgKOH/gであり、特に少なくとも20mgKOH/gであり、好ましくは少なくとも25mgKOH/gであることが望ましく、且つ酸性官能化の場合、ポリマーの最適な基数は、少なくとも10mgKOH/gであり、特に少なくとも25mgKOH/gであり、好ましくは少なくとも50mgKOH/gであることが望ましい。酸性及び塩基官能化を有するポリマーの場合、上述した両方の値が適用される。
【0055】
本願発明に係る好ましい方法において、前記高分子安定剤は、下記する分散剤及び/若しくは下記に引用された公報に記載されたような湿潤剤から選択されることが望ましく、これによってそれぞれの開示内容は、参照することによって援用することができるものである。
・ EP0154678A及びEP0318999Aによるポリウレタン;
・ EP0270126Aによるポリウレタン;
・ EP1593700Aによる改良されたポリウレタン及びポリアミド;
・ EP0893155Aによるポリアミンの塩;
・ EP0417490Aによるリン酸エステル;
・ EP1081169Aによるイミダゾール基を有する分岐ポリマー;
・ EP1650246Aによるエトキシレート、特にアルコキシル化エポキシド/アミン付加物及びEP1486524Aによるエポキシド付加物;
・ EP1640389Aによる脂肪酸を有するコポリマー;
・ EP0879860Aによるエステル反応化ポリアクリレート;
・ WO2005/097872Aによる酸官能化ポリエステル;
・ EP1416019Aによるブロックコポリマー(勾配コポリマー)。
【0056】
金属ナノ粒子の実際の製造は、付加的に精製段階が実行される。この精製段階は、その技術分野における通常の知識を有する者にとってそれ自体公知の方法において達成されるものであるから、その詳細については、これに関して要求されない。
【0057】
製造の後、取得された金属ナノ粒子は、再分散(例えば別の媒体に)のための処理段階が付加的に実行されるそれ自体公知の方法によって排除される。しかしながら、例えば製造の後で直接的に得られるように、当該金属ナノ粒子が安定した分散に存在し、特に長時間安定性を有することから、取得された金属ナノ粒子分散を使用することも可能である。
【0058】
金属ナノ粒子を製造するための本願発明に係る方法は、多くの利点を達成し、そのいくつかは、限定されない方法において下記に特定されるものである。本願発明の方法は、高価ではなく経済的に実現可能に実行でき、工業的規模で直的的に実行可能であるものである。
【0059】
本願発明のよる方法は、その方法形態に関して極端な汎用性を達成することができるものである。本願発明の方法は、1回分ごと若しくは連続的に実行可能である。1回分ごとに作業する場合、例えば攪拌タンクにおいて実行することが可能である。連続的に作業する場合、例えば、連続攪拌反応器若しくは管状反応器、連続攪拌タンクカスケード若しくは回転盤反応器において実行可能である。
【0060】
同様に、相対的に低い加工温度が、加工効率及び加工コストに貢献し、現在のエコロジーに関する要求に合致する。
【0061】
さらに、本願発明による方法は、純粋な水媒体において実行され、これによって付加的に柔軟に改良できるので、「環境に優しい方法」と呼ばれるものとなるものである。この方法は、このように、単純で、高価でなく、環境に優しく、互換性があり、且つ、実質的に有機溶剤に分散することができる。
【0062】
本願発明の方法において取得された金属ナノ粒子は、分散から直接的に分離可能である。しかしながら、分散の安定性により、該分散は、金属ナノ粒子の先立つ分離を実行する必要なしに、使用することが可能である。
【0063】
安定剤としての適当な分散剤若しくは湿潤剤の使用は、広い種類の異なる媒体(例えば、水、有機溶剤、ポリマー、ワックス、オイル、グリコール等)において、取得された金属ナノ粒子の広い適合性及び分散性を許容するものである。
【0064】
使用される分散剤若しくは湿潤剤は、所望により、直接的に−部分的に若しくは完全に(例えば、強く結合したリガンドによる置き換えによって、又は、熱的、光誘起された物理的及び/若しくは化学的分解によって、等)排除される。これは、活性化及び選択性の制御された調節によって、例えば導電性インキ、ペースト等のための新しい表面可能性、例えば、触媒作用を生じるものである。
【0065】
汎用性のある表面改質は、達成されるべき生物学的利用可能性を許容する。また、これによって、金属イオンの放出を制御することが可能となるものである。さらに、適当な分散剤若しくは湿潤剤で覆うことは、全体的寿命におけるナノ粒子の持続を達成する(例えば、排水内において凝集し易くすること、無害な塩若しくは錯体へ分解しやすくすること、等)。
【0066】
本願発明による方法によって取得された金属ナノ粒子は、コーティング及び/若しくはプラスチック添加剤として、顔料として、触媒として、等、いろいろな使用を行うことができるものである、これは、下記する詳細において概略される。
【0067】
このように、本願発明による方法は、適当な高分子湿潤剤若しくは分散剤を使用した金属ナノ粒子、好ましくは貴金属ナノ粒子の純水合成を提供するものである。この合成は、異なる金属(例えば、銀、金、等)に汎用的に適用することができるものである。最適な湿潤剤若しくは分散剤は、制御されるべき広い範囲の異なる媒体においてそれに続く分散性を許容するものである。還元剤の酸化電位を調整し且つ適当な安定剤を選択することによって、(酸化−)高感度金属のナノ粒子を製造することも可能である。
【0068】
本願発明に係る方法は、さらに、多数の金属に汎用的に適用可能である。本願発明による方法に関して、従来技術と比較してナノ粒子の分散におけるより高い濃度を達成することができるものである。さらに、本願発明に係る方法は、高価でない開始化学物質若しくは反応物質を排他的に使用するものである。さらにまた、本願発明に係る方法は、工業規模で実行可能であり、これによって高収益を得ることができるものである。使用される湿潤剤若しくは分散剤の移動可能性によって、結果として生じる金属ナノ粒子に「デッド」表面が無くなるものである。
【0069】
本願発明の第2の様相によれば、本願発明は、さらに、本願発明に係る方法によって得られた金属ナノ粒子を提供する。
【0070】
言い換えると、本願発明のこの様相によれば、本願発明は、それらの表面に少なくとも1つの高分子安定剤、特に高分子湿潤剤及び分散剤を具備するか、表面改質され、及び/若しくは、少なくとも1つの高分子安定剤、特に高分子湿潤剤若しくは分散剤を具備する金属ナノ粒子に関する。
【0071】
本願発明の金属ナノ粒子は、優れた分散性能を有し、反応混合物から分離された後、簡単に再分散されることも可能である。特に、本願発明の金属ナノ粒子は、水及び有機媒体の両方に分散可能である。さらに、本願発明の金属ナノ粒子は、極性及び非極性溶剤に分散可能である。
【0072】
本願発明の金属ナノ粒子の分散特性は、制御された方法において調整可能であるか、高分子安定剤で表面改質によって効果的に調整することができるものである。
【0073】
本願発明の金属ナノ粒子のさらなる詳細について、本願発明による方法に関して上述された記述を参照し、本願発明の金属ナノ粒子に関して対応して適用することができるものである。
【0074】
本願発明の第3の様相によれば、本願発明は、本願発明による金属ナノ粒子の使用を提供するものである。
【0075】
例えば、本願発明の金属ナノ粒子は、特に、コーティング材料、ペンキ及び樹脂のための添加剤、顔料若しくはフィラーとして使用することが可能である。
【0076】
さらに、本願発明の金属ナノ粒子は、触媒若しくは触媒系として、又は触媒若しくは触媒系において使用されるものである。
【0077】
さらにまた、本願発明の金属ナノ粒子は、コーティング材料及びコーティング系、特にコーティング材料、ペンキ等に、ガラス及び透明コーティングに、塗装用インキを含むインキに、すべての種類の分散に、樹脂に、発泡材に、化粧品、特にマニキュア液に、洗浄混合物及び含浸剤に、接着剤に、シーリング合成物に、且つ、触媒若しくは触媒系に、特に添加剤、顔料若しくはフィラーとして使用されることもできるものである。
【0078】
また、本願発明のナノ粒子は、光学及び光電子工学に、且つ、電子工学、電気工学及び半導体技術に、使用することもできるものである。例えば、本願発明の金属ナノ粒子は、特に樹脂の導電性の増加に、又は、プリント基板の製造に使用することができるものである。
【0079】
さらに、本願発明の金属ナノ粒子は、分光学に、特にラマン分光学に、例えば信号増幅を目的として使用することもできるものである。
【0080】
本願発明の金属ナノ粒子を、ガラス、セラミック及びエナメル製品、例えば窓(例えば教会の窓)の製造において、特に顔料又は染料として使用することもできるものである。
【0081】
さらに、例えば顔料及び/若しくは染料として、織物製品に、本願発明の金属ナノ粒子を使用することもできる。
【0082】
本願発明のこの様相に関するさらなる詳細について、本願発明の他の様相に関する上述した詳細を参照し、これを本願発明のこの様相に関して対応して適用することができるものである。
【0083】
さらに、本願発明の第4の様相によれば、本願発明は、キャリア若しくは分散媒体において本願発明の金属ナノ粒子を具備する分散を提供するものである。
【0084】
この発明のこの様相に関するこの主題でのさらなる詳細に関して、本願発明の他の様相に関する上述した記述を参照し、対応して適用することができるものである。
【0085】
さらにまた、本願発明の第5の様相によれば、本願発明は、本願発明の金属ナノ粒子若しくはそれらを具備する分散を具備するコーティング材料及びコーティング系、特にコーティング材料、ペンキ等、ガラス及び透明コーティング材料、印刷用インキを含むインキ、樹脂、発泡材、化粧品、特にマニュキュア液、線上化合物及び含浸材料、接着剤、シーリング混合物及び触媒系を提供するものである。
【0086】
本願発明のこの様相に関するさらなる詳細について、本願発明の他の様相に関する上述した記述を参照し、本願発明のこの様相に関して対応して適用することができるものである。
【0087】
本願発明のさらなる形態、改良及び変形並びに利点は、本願発明の範囲を逸脱することなしに、明細書を読むことによって、その技術分野において通常の知識を有する者によって即座に実現可能であり、達成可能である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
下記する実施例は、それによって本願発明が限定されることなしに、本願発明を説明するものである。
【実施例】
【0089】
例1:クエン酸合成によって金ナノ粒子の製造(比較、従来技術)
【0090】
金ナノ粒子は、下記するようにクエン酸塩合成によって、Turkevichらによって発展された方法によって製造される。2.5・10-4mol/lのHAuCl4・3H2Oの10mlの水溶液が、95℃まで加熱される。それに続いて、417μlの20mmol/lのクエン酸三ナトリウム溶液が付加されると共に、勢いよく攪拌し、それによって、その溶液の色が徐々に赤に変わっていく。金/クエン酸塩比率は、0.3である。この溶液は、15分間沸点近くまでその状態が保持され、その後そのすべてが冷却される。
【0091】
前記例は、312μlの20mmol/lクエン酸三ナトリウム溶液が付加されることを除いて、繰り返され、それは、0.4の金/クエン酸塩比率に対応する。
【0092】
上述した金/クエン酸塩比率は、取得される金ナノ粒子の結果として生じるサイズに影響を与える。
【0093】
例2:還元剤としてNaBH4の存在において二相合成によって銀ナノ粒子の製造(比較、従来技術)
【0094】
9mmol(1.53g)の硝酸銀が、1リットルの三ツ口フラスコの300mlの水に溶解される。ビーカ内で、40mmol(21.86g)のテトラ−n−オクチルアンモニウムブロミドが、204mlのCHCl3に溶解される。
【0095】
窒素流の元で、CHCl3溶液が、前記硝酸銀溶液に付加される。約1分後、窒素流が遮断される。CHCl3相の色は緑色に変化し濁るようになる。水相は、白濁するが、目標生成物は含まれていない。
【0096】
1時間の攪拌の後、前記相は、相分離器において分離される。CHCl3相は、1リットルフラスコに戻され、水相は廃棄される。窒素流下で、7.86mmol(1.89ml)のドデカンチオールが付加され、その混合物は15分間攪拌される。1分後に、窒素流が遮断される。
【0097】
一方で、103mmol(3.97g)の水素化ホウ素ナトリウムが、240mlの水に溶解される。それに続いて、窒素流下で、NaBH4溶液が、活発に発泡するので、徐々に(2〜3分間内で)付加される。反応混合物は、室温で3時間攪拌され、所定時間後にダークブラウン/銀色に変色する。
【0098】
3時間の反応時間後、相は分離され、水相は、排除される。それに続いて、CHCl3が、30℃で、膜ポンプを有する回転蒸発器によって排除され、フラスコ内の残余物は、デシケータの油真空ポンプにおいて一晩中乾燥される。
【0099】
これによって得られた粉末は、まだエタノールで不純物を排除するために洗浄される必要があり、それから非極性溶剤に0.2%まで分散される。この粒子サイズは、10nmであるが、100nm以上の粗い成分(10%)を有する。この反応は、大変高感度であり、常に再生可能ではない。
【0100】
例3A:本願発明に係る方法による銀ナノ粒子の製造(本願発明)
【0101】
最初に、AgNO3の3.5重量部の溶液、100重量部の水、7.2重量部の高分子湿潤剤若しくは分散剤(例えば、ドイツ、ヴェセル、ビック−ケミーゲーエムベーハーからのDisperbyk(登録商標)2001)及び付加的に0.6重量部の消泡剤(例えば、ドイツ、ヴェセル、ビック−ケミーゲーエムベーハーからのBYK028)(「溶液A」)が調合され、室温で攪拌される。その結果として濁った混合物が得られる。
【0102】
さらに、さらなる溶液(「溶液B」)が、3重量部のNaBH4及び50重量部の水によって調合される。
【0103】
溶液Bは、室温で溶液Aに徐々に付加される。これは結果として活発な発泡及び黒色塗料を生じる。この結果として生じるものは、水に銀ナノ粒子の分散である。
【0104】
最終使用によれば、結果として生じたナノ粒子は、例えばPMA(メトキシプロピルアセテート)で抽出されて、例えば触媒として使用される高純度のナノ粒子を生じるか、遠心分離されて乾燥され、再分散(例えばPMAに)されるかのいずれかである。
【0105】
第2のバッチにおいて、上述した実験が、溶液Bを溶液Aに急激に付加するという相違点を除いて繰り返される。溶液Aへの溶液Bの急激な付加は、結果としてより小さいナノ粒子を生じる。このように、付加速度は、結果として生じるナノ粒子の粒子サイズを所望のように制御するために使用することが可能である。
【0106】
例3B:本願発明に係る方法による銀ナノ粒子の製造(本願発明)
【0107】
例3Aが、異なる湿潤剤(特に:ドイツ、ヴェセル、ビック−ケミーゲーエムベーハーからのDisperbyk(登録商標)194)を使用することを除いて繰り返される。これにより取得される銀ナノ粒子は、水及びPMAの両方に再拡散可能である。銀ナノ粒子のこの拡散は、適当な加工及び/若しくは濃縮段階の後、添加剤として使用することができるものである。
【0108】
例3C:本願発明に係る方法による金ナノ粒子の製造(本願発明)
【0109】
例3Aと類似して、HaAuCl4が、AgNO3の位置で使用される。この結果として対応する金ナノ粒子が生じる。
【0110】
例3D:湿潤剤若しくは分散剤の存在無しでの水におけるAgNO3の還元(比較)
【0111】
例3Aが、安定剤として湿潤剤若しくは分散剤を使用しないという相違点を除いて繰り返される。銀ナノ粒子が形成されず、銀スラッジを与える代わりに反応が継続する。
【0112】
例4:本願発明の方法の温度依存の研究(本願発明)
【0113】
本願発明に係る方法の温度依存が、異なるバッチにおいて研究される。その結果が下記する表に再生される。
【0114】
【表1】

【0115】
40℃までの温度で製造される銀粒子は、水及び1,3−プロパンジオールのような極性溶媒においてより良い再分散性を有する。エチルアセテートにおける分散性能は、すべての実験において良好であるが、60℃からのナノ粒子の分散が、エチルアセテートにおいて、ガラス壁上の銀鏡の形成によって説明される低い安定性を有する。PMAにおける再分散性は、すべての温度で等しく良好である。
【0116】
反応温度を変化させることによって、粒子表面の極性及び異なる溶媒における分散性に影響を与えることが可能である。さらに、これは、反応混合物から銀粒子を取り除くための選択肢を与える。
【0117】
銀鏡の形成は、ミラーコーティング若しくは導電性層の形成に利益的に使用されることも可能である。この不安定性は、粒子がお互いに接近すると言う効果、プラズモン移動の効果を有するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ナノ粒子を製造する方法において、
金属イオンが、少なくとも1つの高分子安定剤の存在下で、少なくとも1つの還元剤によって還元され、金属ナノ粒子に変換されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記方法が、特に金属イオンが分散若しくは溶解した液体において、好ましくは水媒体において実行されること、且つ/又は、前記方法が、液相加工として、特に単相反応として実行されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、反応混合物に基づいて、0.0001〜5重量%、好ましくは0.001〜2重量%、より好ましくは0.01〜1重量%の量で、少なくとも1つの消泡剤の存在下で、付加的に実行されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの添加剤が、反応混合物に付加され、該添加剤が、pH調整剤、pH緩衝物質、乳化剤、レオロジー調整剤、防腐剤、界面活性剤等からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの共溶媒が、反応混合物に付加され、該共溶媒が、全反応混合物に基づいて、0.1〜7重量%、好ましくは0.5〜5重量%の量であり、該共溶媒は、アルコール、グリコール(例えば、ブチルグリコール等)等のような有機極性溶媒、又は、酸若しくは塩基のような無機溶媒から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、0℃以上及び100℃以下の温度範囲内で、特に5℃〜90℃の範囲内、好ましくは10℃〜80℃の範囲内、より好ましくは10℃〜40℃の範囲内、最も好ましくは10℃〜30℃の範囲内で実行されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
該方法が、10分以内、特に5分以内、好ましくは1分以内、より好ましくは0.5分以内の反応時間で実行されること、且つ/又は、該方法が、0.0001〜1分間、特に0.0001〜5分間、好ましくは0.0001〜1分間、より好ましくは0.0001〜0.5分間の反応時間で実行されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、特に攪拌タンク内においてバッチ毎に実行されること、又は、前記方法が、連続的に攪拌される管状反応器、連続攪拌タンクカスケード若しくは回転盤反応器において実行されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、温度及び/若しくは体積流量の調節が、核生成及び成長過程の時間及び/若しくは空間における分離を達成するように実行されること、特に前記方法が、ミクロ反応技術系において実行されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記還元剤が、元素金属に還元されるように当該金属イオンを還元することができる(酸化状態:0)ように選択されること、且つ/又は、電気化学電圧列における還元剤が、還元される金属イオンの金属よりも低い標準電位を所有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記還元剤が、反応媒体に可溶性若しくは分散性であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記還元剤が、無機水素化物、特に水素化ホウ素ナトリウム若しくは水素化アルミニウムリチウム;無機チオ硫酸塩若しくはチオ硫酸;無機硫化物若しくは硫化水素;無機亜硫酸塩;ヒドラジン;ヒドロキシルアミン;水素;一酸化炭素;アセチレン;シュウ酸若しくはシュウ酸塩;クエン酸若しくはクエン酸塩;酒石酸若しくは酒石酸塩;単価若しくは多価アルコール;ヒドロキシ官能化ポリグリコールエーテル、特にポルグリコールエーテル;砂糖;無機リン化物;且つ上述した還元剤の少なくとも2つの混合物又は結合物の群から選択されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記還元剤が、1.05:1〜200:1の範囲内、特に1.1:1〜100:1の範囲内、好ましくは1.1:1〜50:1の範囲内の還元に要求される電子の量として演算される金属イオンに対する還元剤の比率において使用されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記金属が、元素の周期律表のIIIA群からVA群及びIBVIIIB群の少なくとも1つの金属元素から選択されること、好ましくは前記金属が、Cu, Ag, Ni, Pd, Pt, Co, Rh, Ir, Ru, Os, Se, Te, Cd, Bi, In, Ga, As, Ti, V, W, Mo, Si, Al及び/若しくはSn、及びこれらの元素の少なくとも2つの混合物、合金及び共結晶から選択されること、より好ましくは、前記金属が、Cu, Ag, Ni, Pd, Pt, Co, Rh, Ir, Ru, Os, Se及び/若しくはTe、及びこれらの元素の少なくとも2つの混合物、合金及び共結晶から選択されること、最も好ましくは前記金属が、貴金属、特にCu, Ag, Au, Ni, Pd, Pt, Ru, Ir及び/若しくはRh、特に好ましくはAg, Au, Pd及び/若しくはPtから選択されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
取得される金属ナノ粒子が、少なくとも2つの金属に基づくものであること、特に、CdSe, CdTe, BiTe, GaAs, InAS, AgPd, CoPt及び/若しくはAgAuタイプであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
金属イオンが、特にその金属塩、金属酸及び水和物、イオン金属化合物、複合金属イオン及び/若しくは金属電極の形で使用されること、好ましくは金属エンの形で使用されること、特に前記化合物が水溶解性及び/若しくは水分散性を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
反応混合物全体に基づき、金属として演算される金属イオンが、0.0001〜20重量%、特に0.001〜15重量%、好ましくは0.005〜10重量%、より好ましくは0.01〜3重量%、最も好ましくは0.1〜2重量%の量で使用されることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
取得される金属ナノ粒子が、0.3〜1000nmの範囲内、特に0.5〜750nmの範囲内、好ましくは1〜500nmの範囲内、より好ましくは2〜100nmの範囲内、最も好ましくは3〜50nmの範囲内の絶対粒子サイズを有する、且つ/又は、取得される金属ナノ粒子が、1〜500nmの範囲内、特に2〜200nmの範囲内、好ましくは2〜100nmの範囲内、最も好ましくは5〜40nmの範囲内の中間粒子サイズ(D50)を有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
取得される金属ナノ粒子が、二峰性分子サイズ分布を有すること、特に金属ナノ粒子の2つの区分の中間粒子直径(D50)が、少なくとも10nm、特に少なくとも25nm、好ましくは少なくとも50nm、より好ましくは少なくとも75nm、最も好ましくは100nmで異なっていることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記高分子安定剤は、結果として生じる金属ナノ粒子に基づいて、1〜1000重量%、特に5〜500重量%、好ましくは10〜200重量%、より好ましくは20〜100重量%の量で使用されることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
前記高分子安定剤が、分散剤及び/若しくは湿潤剤であることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
前記高分子安定剤が、少なくとも1000g/mol、特に少なくとも1500g/mol、好ましくは少なくとも1500g/molの中間、特に平均分子量を有すること、特に前記高分子安定剤が、1000〜1000000g/molの範囲内、特に1250〜100000g/molの範囲内、好ましくは1500〜75000g/molの範囲内、より好ましくは2000〜50000g/molの範囲内の中間、特に平均分子量を有することを特徴とする請求項1〜21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
前記高分子安定剤が、官能化ポリマー、特に酸及び/若しくは塩基官能化ポリマー、特に極性官能基を有するポリマーに基づくものであること、特に官能化ポリアミン、官能化ポリウレタン、官能化ポリ(メタ)アクリレート、官能化ビニルコポリマー、官能化ポリエーテル/ポリエステルコポリマー、官能化ポリエーテル、官能化ポリエステル、官能化脂肪酸コポリマー、官能化ブロックコポリマー及び/若しくは官能化ポリアルコキシレート、及びこれら化合物の少なくとも2つの混合物若しくは結合の群から選択されることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
前記高分子安定剤が、特に酸及び/若しくは塩基官能化ポリマーに基づくものであり、該ポリマーが、特に水酸基(−OH)、チオール(−SH)、アミン、アンモニウム、カルボキシル基、カルボニル、エステル、エーテル、スルホニル、リン酸、及び/若しくはリン酸エステル官能基から選択された少なくとも1つの官能基を有するものであり、好ましくは水酸基(−OH)、チオール(−SH)及び/若しくはアミン官能基から選択された少なくとも1つの官能基を有するものであることを特徴とする請求項1〜23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
前記金属ナノ粒子の製造は、付加的に精製段階が実行されることを特徴とする請求項1〜24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
取得された金属ナノ粒子が排除され、再分散段階が実行されることを特徴とする請求項1〜25の何れか1つに記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか1つの方法によって取得されることを特徴とする金属ナノ粒子。
【請求項28】
それらの表面に、少なくとも1つの高分子安定剤、特に高分子湿潤剤若しくは分散剤を具備すること、且つ/又は、少なくとも1つの高分子安定剤、特に高分子湿潤剤若しくは分散剤で表面改質及び/若しくはコーティングされることを特徴とする金属ナノ粒子。
【請求項29】
前記金属が、元素の周期律表のIIIA群からVA群及びIBVIIIB群の少なくとも1つの金属元素から選択されること、好ましくはCu, Ag, Ni, Pd, Pt, Co, Rh, Ir, Ru, Os, Se, Te, Cd, Bi, In, Ga, As, Ti, V, W, Mo, Si, Al及び/若しくはSn、及びこれらの元素の少なくとも2つの混合物、合金及び共結晶の群から選択されること、より好ましくは、Cu, Ag, Ni, Pd, Pt, Co, Rh, Ir, Ru, Os, Se及び/若しくはTe、及びこれらの元素の少なくとも2つの混合物、合金及び共結晶の群から選択されること、より好ましくは貴金属、特にCu, Ag, Au, Ni, Pd, Pt, Ru, Ir及び/若しくはRh、特に好ましくはAg, Au, Pd及び/若しくはPtから選択されることを特徴とする請求項27又は28に記載の金属ナノ粒子。
【請求項30】
少なくとも2つの金属に基づく金属ナノ粒子が取得され、特にCdSe, CdTe, BiTe, GaAs, InAS, AgPd, CoPt及び/若しくはAgAuタイプであることを特徴とする請求項27〜29のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子。
【請求項31】
前記金属ナノ粒子が、0.3〜1000nmの範囲内、特に0.5〜750nmの範囲内、好ましくは1〜500nmの範囲内、より好ましくは2〜100nmの範囲内、最も好ましくは3〜50nmの範囲内の絶対粒子サイズを有すること、且つ/又は、前記金属ナノ粒子が、1〜500nmの範囲内、特に2〜200nmの範囲内、好ましくは2〜100nmの範囲内、最も好ましくは5〜40nmの範囲内の中間粒子サイズ(D50)を有することを特徴とする請求項27〜30のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子。
【請求項32】
前記金属ナノ粒子が、二峰性分子サイズ分布を有すること、特に金属ナノ粒子の2つの区分の中間粒子直径(D50)が、少なくとも10nm、特に少なくとも25nm、好ましくは少なくとも50nm、より好ましくは少なくとも75nm、最も好ましくは100nmで異なっていることを特徴とする請求項27〜31のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子。
【請求項33】
前記高分子安定剤が、少なくとも1000g/mol、特に少なくとも1500g/mol、好ましくは少なくとも1500g/molの中間、特に平均分子量を有することを特徴とする請求項27〜32のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子。
【請求項34】
前記高分子安定剤が、1000〜1000000g/molの範囲内、特に1250〜100000g/molの範囲内、好ましくは1500〜75000g/molの範囲内、より好ましくは2000〜50000g/molの範囲内の中間、特に平均分子量を有することを特徴とする請求項27〜33のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子。
【請求項35】
前記高分子安定剤が、官能化ポリマー、特に酸及び/若しくは塩基官能化ポリマー、特に極性官能基を有するポリマーに基づくものであること、特に官能化ポリアミン、官能化ポリウレタン、官能化ポリ(メタ)アクリレート、官能化ビニルコポリマー、官能化ポリエーテル/ポリエステルコポリマー、官能化ポリエーテル、官能化ポリエステル、官能化脂肪酸コポリマー、官能化ブロックコポリマー及び/若しくは官能化ポリアルコキシレート、及びこれら化合物の少なくとも2つの混合物若しくは結合の群から選択されることを特徴とする請求項27〜34のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子。
【請求項36】
前記高分子安定剤が、特に酸及び/若しくは塩基官能化ポリマーに基づくものであり、該ポリマーが、特に水酸基(−OH)、チオール(−SH)、アミン、アンモニウム、カルボキシル基、カルボニル、エステル、エーテル、スルホニル、リン酸、及び/若しくはリン酸エステル官能基から選択された少なくとも1つの官能基を有するものであり、好ましくは水酸基(−OH)、チオール(−SH)及び/若しくはアミン官能基から選択された少なくとも1つの官能基を有するものであることを特徴とする請求項27〜35のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子。
【請求項37】
特にコーティング材、ペンキ、及び樹脂のための添加剤、顔料若しくはフィラーとしての請求項27〜35のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子を使用すること。
【請求項38】
触媒及び/若しくは触媒系として、又は触媒及び/若しくは触媒系に請求項27〜35のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子を使用すること。
【請求項39】
コーティング材料及びコーティング系、特にコーティング材料、ペンキ等に、ガラス及び透明コーティングに、塗装用インキを含むインキに、すべての種類の分散に、樹脂に、発泡材に、化粧品、特にマニキュア液に、洗浄混合物及び含浸剤に、接着剤に、シーリング合成物に、且つ、触媒若しくは触媒系に、特に添加剤、顔料若しくはフィラーとして請求項27〜35のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子を使用すること。
【請求項40】
光学及び光電子工学に、且つ、電子工学、電気工学及び半導体技術に、特に導電性の増加に、特に樹脂の導電性の増加に、又は、プリント基板の製造に請求項27〜35のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子を使用すること。
【請求項41】
特に信号増幅を目的として、分光学に、特にラマン分光学に請求項27〜35のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子を使用すること。
【請求項42】
ガラス、セラミック及びエナメル製品に、請求項27〜35のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子を使用すること。
【請求項43】
織物製品に、請求項27〜35のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子を使用すること。
【請求項44】
キャリア若しくは分散媒体に、請求項27〜35のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子を具備することを特徴とする分散。
【請求項45】
請求項27〜35のいずれか1つに記載の金属ナノ粒子若しくは請求項43の分散を具備するコーティング材料及びコーティング系、特にコーティング材料、ペンキ等、ガラス及び透明コーティング材料、印刷用インキを含むインキ、樹脂、発泡材、化粧品、特にマニュキュア液、洗浄化合物及び含浸材料、接着剤、シーリング混合物及び触媒系。

【公表番号】特表2012−511627(P2012−511627A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539917(P2011−539917)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008289
【国際公開番号】WO2010/066335
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】