説明

金属膜パターンの形成方法

【課題】電気めっきにより金属層を形成し、化学的機械研摩(CMP)法で研摩して金属膜パターンを形成する際に、金属膜パターンの組成分布、膜厚分布を小さくしてに電子デバイスの高性能化に対応し、かつ、めっき液、めっき装置への負荷を小さくして生産性を高める金属膜パターンの形成方法を提供する。
【解決手段】めっきする被めっき体10となる基板の表面に形成される金属膜パターン20Bを形成するために、基板表面をめっきするめっき工程と、そのめっき工程の後に、めっきにより形成された金属層20Aの膜厚を薄く平坦化するために研摩する研摩工程とを有する金属膜パターンの形成方法であって、めっき工程でめっきする部分に形成される金属層20Aが、被めっき体10表面全体に対してできるだけ小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスに代表される電子デバイスの配線、ビアホール、又は、磁気ヘッドの磁極部等を電気めっき法で形成する金属膜パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスに代表される電子デバイスの配線、ビアホール、又は、磁気ヘッドの磁極部等の金属膜パターンの形成方法の一つに、最近では、磁極や配線の微細化に伴い、ダマシンプロセスが広く利用されている。ダマシンプロセスは、具体的には、絶縁膜を先に製膜し、ここにパターニングで形成した金属膜をハードマスクに、絶縁膜をエッチングし、ここにめっき用のシード膜を全面に形成後、めっきし、次に化学的機械研摩法(CMP)を行うものである。図8は、従来の金属膜パターンの形成方法の工程を説明するための概略図である。図8(a)に示すように、ここでは、被めっき基板となるSi基板10の上に、熱酸化法によるSiO膜11と、CVD法で形成したハードマスク12と、金属膜パターンの形成するためのレジスト層13を形成する。次に、図8(b)及び(c)に示すように、レジスト層13をマスクとして、RIE法等のエッチング法でハードマスク12、SiO酸化膜11をエッチングして埋込部22を形成する。次に、図8(d)に示すように、レジスト層13を溶剤で除去し、ハードマスク12をイオンミル等で除去した後に、CVD法等でRu等によるシード膜14を形成する。図8(e)に示すように、このシード膜14を電極として、Si基板10表面全体をめっきして金属層20Aを形成する。次に、図8(f)に示すように、めっきしたSi基板10表面全体をCMP法で研摩して、埋込部22の金属膜パターン20Bを形成する(f)。
【0003】
しかし、各種電子デバイスの高密度化に伴い、配線や磁極においても更なる微細化が求められると共に、その他に電子デバイスの高性能化が求められ、具体的には配線における導電率の均一性、そのために膜厚の均一化が求まられ、または、磁気ヘッドにおける磁気特性の向上、そのための組成分布の低減等が求められている。
現在、これらの微細な配線等の金属膜パターンの形成を行う方法として上述したダマシンプロセスが用いられているが、この方法では、めっき工程において全面めっきとなるために、めっき工程における負荷が大きいという問題がある。具体的には、めっきする面積が広いことからめっき液の消費が早く、液劣化が早い、また、メッキ装置における被めっき体に対向して設けられる補助極への通電量が多いため補助極劣化が早く、メッキ装置への負荷が大きいという不具合がある。さらに、電子デバイスの高性能化に対応して、電子デバイスの全面をめっきしたときの各素子の膜厚分布や組成分布が大きく、電子デバイスの歩留まり低下や信頼性低下を招くという不具合がある。
【0004】
これらの不具合の解消のために、例えば、特許文献1では、ストッパー膜、層間膜を成膜した後、IR損低減膜及びその下地膜を成膜し、続いてトレンチパターン又はビアパターンを形成し、続いてバリア膜、シード膜を成膜してからCuダマシン配線を形成する半導体の製造方法が開示されている。また、特許文献2では、基板の表面の少なくとも一部に形成された導電体層とアノードとの間に電気的抵抗体を配置し、導電体層とアノードとの間の導電体層側に25〜75g/Lの銅イオンと0.4モル/L以上の有機酸または無機酸を含有するめっき液を、アノード側にめっき液と同じ組成、または0〜75g/Lの銅イオンと0.6モル/L以下の有機酸または無機酸を含有するアノード液をそれぞれ導入して、導電体層とアノードとの間をめっき液とアノード液で満たし、導電体層とアノードとの間に電圧を印加して該導電体層の表面にめっきを行うめっき方法が開示されている。しかし、特許文献1及び2に開示された技術では、Cu単独のめっきにしか対応していないために多元系のめっき処理に対応していないという問題がある。また、めっき液の劣化、メッキ装置の負荷を抑制することは困難であるという問題点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−023984号公報
【特許文献2】特開2005−146398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、電気めっきにより金属層を形成し、化学的機械研摩(CMP)法で研摩して金属膜パターンを形成する際に、金属膜パターンの組成分布、膜厚分布を小さくしてに電子デバイスの高性能化に対応し、かつ、めっき液、めっき装置への負荷を小さくして生産性を高める金属膜パターンの形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。本発明は、めっきする被めっき体となる基板の表面に形成される金属膜パターンを形成するために、基板表面を金属膜パターンとなる金属膜をめっきするめっき工程と、そのめっき工程の後に、めっき面を平坦化するために研摩する研摩工程とを有する金属膜パターンの形成方法であって、めっき工程でめっきする部分に形成される金属層を、基板表面全体の半分以下で、めっきする部分の面積をできるだけ小さくする。このめっきする部分は、例えば、電子デバイスの配線、又は、磁気ヘッドの磁極部等の金属膜パターンを形成するために基板に設けられた埋込部、及びこの埋込部周辺をいう。このめっきする部分の基板全体にする割合(以下、「開口率」と記す。)を調整する方法として、シード膜の上で、埋込部及び埋込部周辺等の金属パターンを形成する部分以外にレジスト層を設けることで調整する。
【0008】
または、シード膜を埋込部及び埋込部周辺以外の部分を除去することで、電気めっきにおける対向電極がなくなるためにめっき液中の金属の析出を抑えることができ、パターンとして形成されたシード膜の部分にのみめっき液中の金属が析出させる。したがって、シード膜をパターン化して開口率を調整する。
この開口率を小さくして、めっきする部分の面積を小さくすることで、電気めっき法における電界を集中させて金属イオンの広がりを抑えて、開口されためっきする部分に金属イオンを均一に析出させることで金属層の膜厚を均一にすることができる。
さらに、特に、めっきする金属としては、Cu、Al単独の場合だけではなく、Fe−Ni系、Fe−Co−Ni系等の2元系以上の合金で金属パターンを形成するのに用いる。開口率を小さくして、めっきする部分の面積を小さくすることで、電気めっき法における電界を集中させて金属イオンの広がりを抑えることで、膜厚を均一にするだけではなく、移動度、析出効率の異なる金属イオンに電界を集中させることで、組成も均一にすることができる。
【発明の効果】
【0009】
上記解決する手段によって、本発明では、極微細配線や微細な磁極形成の金属膜パターンの形成方法では、めっき工程とCMP法の研摩工程とを有するダマシン法において、めっき面積の制御により、デバイス特性に大きな影響を及ぼすめっき膜厚制御やめっき組成制御を高精度に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの特許請求の範囲を限定するものではない。
【0011】
本発明は、シード膜14が形成された被めっき体10表面に金属層20Aを電気めっきするめっき工程と、めっき工程の後に、被めっき体10表面を研摩して金属膜パターン20Bを形成する研摩工程とを有する金属膜パターンの形成方法において、めっき工程は、シード膜14上にレジスト層21が形成されている被めっき体10表面に、電気めっきして金属層20Aを形成する。
図1は、本発明の金属膜パターンの形成方法の工程を説明するための概略図である。
まず、図1(a)に示すように、ここでは、酸化膜11が形成されたウェーハである被めっき体10に用いている。被めっき体10として用いる半導体基板又は磁気ヘッド基板等では、表面には予め半導体回路素子等が形成されている。この層間絶縁膜として機能する酸化膜11は、例えば、CVD法又は塗布法により形成され、周知の有機系Low−k(低誘電率)、SiO等からなる。次いで、プラズマCVD法等によりSiOからなるハードマスク12を形成する。ハードマスク材料として、他にSiN、SiONを用いることもできる。次いで、被めっき体10の上に所定の形状でレジスト層13を形成する。レジスト層13は、通常のレジスト材料として用いられる感光材により形成される。
【0012】
次に、図1(b)及び(c)に示すように、このレジスト層13をパターンのマスクとして、ハードマスク12、酸化膜11をエッチングする。このエッチングで、埋込部22を形成する。このエッチングは、被めっき体10を平行平板型の反応性イオンエッチング(RIE)装置内へ搬入し、Fを含むエッチングガスを用いかつレジスト層13をエッチングマスクとしてハードマスク12、酸化膜11を順次エッチングする。
次に、図1(d)に示すように、めっきによる金属層20Aの成膜性を向上させるために、被めっき体10にシード膜14を形成する。シード膜14は、めっき工程でめっきされる金属が付着しやすい金属で形成されることが好ましく、例えば、めっきされる金属が、Cu金属又は合金、Ni−Fe系合金である場合には、Ru(ルテニウム)でシード膜14を形成することが好ましい。シード膜14は、無電解めっき法、スパッタリング法、蒸着法などの乾式法、又は置換めっき法などの湿式法を適用してもよい。
【0013】
次に、図1(e)に示すように、シード膜14を形成した後に、金属膜パターン20Bが必要な部分である埋込部22及び埋込部周辺22Bのめっきする部分を残し、レジスト層21を形成する。このレジスト層21は、めっきする部分を被めっき体10全体に対する開口率を調整するために設けられる。レジスト層21は、通常レジストの材料として用いられる感光材により形成される。レジスト層21を形成した後は、被めっき体10をめっき装置30に設置し、対向する電極に電流を流して電気めっきすることで、所望の金属、合金の金属膜20Aを形成する。
【0014】
また、本発明では、電気めっき法によって金属層20Aを形成する。電気めっき法とは、めっきしようとする金属イオンを含むめっき液中に被めっき体10を入れて、対向して設けられる金属板を陽極34、被めっき体10を陰極35として、めっき液中の金属イオンを放電析出させて金属層20Aを形成させる方法である。電気めっき法は、析出する金属層20Aの密着性が良く、また、膜厚等の析出条件の制御が容易である。
図2は、めっき装置の一例であり、その構成を示す概略図である。めっき槽31と、めっき槽31内部に充填されているめっき液と、めっき槽31内部に搭載されている陽極34と、陽極に対向配置された陰極35と、陰極35及び陽極34との間に電流を流すように接続された電源32とから構成されている。また、電気めっき装置30を使用する時は、被めっき体10を陽極34に対向するように陰極35に搭載する。めっき液は、めっき槽31の一部から流入し、他の部分から流出するように構成されており、電気めっき中は、このような流動状態で使用される。
これによって、埋込部22A及び埋込部周辺22Bのみにめっきによる金属層20Aを形成する。めっきする金属としては、金属膜パターン20Bとして得たい所望の金属、合金を適宜選択することができ、それに応じためっき液を調整してめっきを行う。
【0015】
次に、図1(f)に示すように、レジスト層21をアセトン等の溶剤により除去し、被めっき体表10面全体に絶縁膜23を形成する。絶縁膜23としては、SiO膜をスパッタ法によって形成した。
その後、図1(g)に示すように、本発明では、レジスト層21を除去し、次に、絶縁膜23を形成した後に、金属層20Aを研摩して金属膜パターン20Bを形成する。これは、CMP法で研摩することで、平坦な酸化膜11内に埋め込まれた金属膜パターン20Bが得られた。
絶縁膜23は、埋込部22A及び埋込部周辺22Bの上に形成することで、CMP法による研摩時のめっきシード膜14の過剰な研摩を防止している。これによって、研摩の精度を高める効果を奏する。
【0016】
めっき用のシード層14の上にレジスト層21を形成することで、形成される金属層20Aを少なく抑えることができる。金属層20Aが形成されるめっきされる部分が、被めっき体10表面全体に対して、好ましくは、めっきされる部分が、被めっき体10表面全体に対する割合である開口率を、半分以下にする。開口率を小さくして、めっきする部分の面積を小さくすることで、電気めっき法における電界を集中させて金属イオンの広がりを抑えて、開口されためっきする部分に金属イオンを均一に析出させることで金属層20Aの膜厚を均一にすることができる。ただし、開口率が5%未満では、めっきする面積が小さすぎて電流値の変動が大きくなり、電流が不安定になる。開口率が半分を越えると、膜厚を均一にする効果が小さくなる。
また、開口される1個の埋込部22A及び埋込部周辺22Bの面積は、0.1〜10μmの範囲にする。これによって、さらに、電気めっき法における電界を集中させて金属イオンの広がりを抑えて、開口されためっきする部分に金属イオンを均一に析出させることで金属層20Aの膜厚を均一にすることができる。開口される1個の面積が0.1μm未満では、レジスト層21の周囲と中央部とで膜厚が不均一になり、10μmを越えると開口されている埋込部22A及び埋込部周辺22B間における膜厚が不均一になる。
【0017】
また、本発明の金属膜パターンの形成方法は、前記めっき工程は、被めっき体10表面のシード膜14の一部をエッチングして一部を除去した後に、電気めっきして金属層20Aを形成するものである。
図3は、本発明の他の金属膜パターンの形成方法の工程を説明するための概略図である。
開口率を調整するのにレジスト層13でめっき面積を制御するのではなく、めっき装置30における陽極34に対向する電極となる被めっき体10のシード膜14を、一定のパターンを形成するためにマスクを用いイオンエッチング等で除去することで、めっきする部分である開口率を調整する。図3(a)から(d)までは、図1(a)から(d)までの上述までの内容と同じであり説明を省略する。図3(e)の矢印で示すように、シード膜14の一部を除去する。除去する手段は、イオンミリング、エッチング等の既存の手段を用いる。これによって、埋込部22Aと埋込部周辺22Bとを形成することができる。
また、シード膜14の一部を除去した被めっき体10をめっき装置30に装着して電気めっきを行うことで、図3(e)に示すように、金属膜20Aが形成される。
このときに、電気めっきをする場合に、被めっき体10のシード層14に電流を流すことで、めっきされる。しかし、シード膜14の一部を除去していることから、陽極34との電界がないために、シード膜14がない部分には、金属膜20Aが形成されない。したがって、被めっき体10表面全体にシード膜14を形成し、その後に一部を除去して所定のパターンを形成することで、めっきする部分を調整し、開口率を調整することができる。
【0018】
図4は、本発明の他の金属膜パターンの形成方法の工程を説明するための概略図である。金属膜パターン20Bは、薄膜磁気ヘッドにおける記録ヘッドの主磁極を例としている。ここにおける金属膜パターン20Bの形成方法では、主磁極となる磁性層を形成する埋込部22Aの底部(リーディング側)に導電層を設け、さらに、レジスト層13の表面にシード層14を設け、埋込部22A内に、電気めっき法によって主磁極となる金属パターン20Bを形成する。
図4(a)に示すように、絶縁性の酸化膜11上に金属膜パターン20Bを形成する部分に、例えば、蒸着法又はスパッタリング法によって導電層15を形成し、その上に、スパッタ法によってアルミナ層16を形成する。
次に、図4(b)に示すように、エッチング法によってアルミナ層16に、断面V字型又は下底が上底よりも短い台形形状の埋込部22Aを形成する。埋込部22Aにおけるテーパーの角度、上底と下底との長さの比率等は、例えばエッチング時に被めっき体10を傾ける角度、エッチング時間等を調整することによって制御できる。
【0019】
次に、図4(c)に示すように、被めっき体10表面全体にシード層14を形成する。シード膜14は、めっき工程でめっきされる金属が付着しやすい金属で形成されることが好ましく、例えば、めっきされる金属が、Ni−Fe系、Co−Fe系、Co−Ni−Fe系合金の場合には、Ru(ルテニウム)でシード膜14を形成することが好ましい。シード膜14は、形成手段は特に限定しない。
次に、図4(d)に示すように、シード膜14を形成した後に、金属膜パターン20Bが必要な部分である埋込部22及び埋込部周辺22Bのめっきする部分を残し、レジスト層21を形成する。このレジスト層21は、めっきする部分を被めっき体10全体に対する開口率を調整するために設けられる。レジスト層21は、通常レジストの材料として用いられる感光材により形成される。レジスト層21を形成した後は、被めっき体10をめっき装置30に設置し、対向する電極に電流を流して電気めっきすることで、所望の金属の金属膜20Aを形成する。
次に、図4(e)に示すように、レジスト層21をアセトン等により除去し、被めっき体表10面全体に絶縁膜23を形成する。絶縁膜23としては、SiO膜をCVD法によって形成した。
【0020】
その後、図4(f)及び(g)に示すように、本発明では、レジスト層21を除去し、次に、絶縁膜23を形成した後に、金属層20Aを研摩して金属膜パターン20Bを形成する。これは、CMP法で研摩することで、平坦な酸化膜11内に埋め込まれた金属膜パターン20Bが得られた。
また、隣接する埋込部22A及び埋込部周辺22Bの間は、80nm以上離すようにする。隣接する距離が80nm未満では、膜厚が均一にする効果が小さい。ただし、生産性を考慮すれば、近くすることが好ましい。特に、2元系以上の合金で形成する場合は、隣接する埋込部22A等が近いと、膜厚、組成が不均一になることがある。従って、隣接する埋込部22A等を80nm以上離すことで、膜厚、組成を均一化することができる。
上述した実施形態は、垂直磁気記録ヘッドの主磁極を形成する際に、本発明に係る金属膜パターン20Bの形成方法を適用した例であるが、薄膜磁気ヘッドの他の構成部分を形成する際にも利用することができる。たとえば、主磁極に対向して配置したトレーディングシールドをめっきによって形成する方法として適用することもできる。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
電気めっき法により、銅の金属膜パターンを形成した。めっき液は、基本浴に所定の添加剤を添加したものである。基本浴は、硫酸銅(CuSO)、硫酸(HSO)及び塩酸(HCl)を主成分とする。添加剤は、銅の膜成長を促進する光沢剤(ブライトナー)、銅の膜成長を抑制する抑止剤(ポリマー)、膜を平滑化する平滑剤(レベラー)等を添加している。めっき液の温度を室温にし、電圧は直流15〜20Vで、電流密度は80〜300A/mでめっきした。その後に、化学機械研磨(CMP)法により、金属層を平坦化し、金属膜パターンを得た。このときに、めっきする面積をパラメータとして、開口率を変化させたときの膜厚分布を測定した。その結果を、以下の図に示す。
【0022】
図5は、めっきする面積をパラメータとして、開口率を変えた時に、得られた膜厚分布との関係を示すグラフである。得られためっき層の膜厚を、公知の膜厚測定法により測定し、めっき層の面内の膜厚分布及び膜厚のヒストグラムとして示した。また、該めっき層の膜厚を、3σ/平均値(3σ/x)をそれぞれ算出した。めっきする面積(素子面積と記す。)を2×10μmと20×10μmとの開口率(%)と膜厚分布(3σ/x)を示している。図5からわかるように、めっきする面積が20×10μmでは、膜厚分布が開口率に対して単調に減少しており、従来は、この傾向から、開口率を大きくすることが膜厚分布を小さくすることと捉えられていた。しかし、めっきする面積を小さくすると、従来とは逆の傾向を示している。すなわち、めっきする面積を小さくして、例えば、2×10μmで同様にめっきすると、膜厚分布が開口率に対して単調に増加している。したがって、開口率が小さいときには、めっきする面積を小さくすると膜厚分布が小さくなることがわかる。
【0023】
図6は、開口率をパラメータとして、めっきする面積を変えたときに、得られた膜厚分布との関係を示すグラフである。開口率が60%のときは、めっきする面積に対して膜厚分布は、単調に減少している。開口率が10%のときは、めっきする面積に対して膜厚分布は、単調に増加している。図5及び図6とを併せると、開口率が小さく、めっきする面積が小さいときは、めっきする面積を小さくする方向が膜厚分布を小さくすることである。逆に、開口率が大きく、めっきする面積が大きいときは、めっきする面積を大きくする方向が膜厚分布を小さくすることである。
【0024】
(実施例2)
電気めっき法により、Fe−Ni系の金属膜パターンを形成した。めっき液は、基本浴に所定の添加剤を添加したものである。基本浴は、硫酸ニッケル(NiSO)、硫酸鉄(FeSO)及び硼酸、塩化アンモニウムを主成分とする。添加剤は、Fe、Niの膜成長を促進する光沢剤(ブライトナー)、銅の膜成長を抑制する抑止剤(ポリマー)、膜を平滑化する平滑剤(レベラー)等を添加している。めっき液の温度を室温にし、電圧は直流15〜20Vで、電流密度は80〜300A/mでめっきした。その後に、化学機械研磨(CMP)法により、金属層を平坦化し、金属膜パターンを得た。このときに、膜厚と蘇生の分布の関係を測定した。その結果を、以下の図に示す。
【0025】
図7は、膜厚分布と組成分布との関係を示すグラフである。めっき層の組成は、EPMA、EDX等の公知の組成分析装置の組成測定方法により測定することができる。組成分布は、めっき層の面内の組成分布及び組成のヒストグラムとして示し、そこから、めっき層の組成を、3σ/平均値(3σ/x)をそれぞれ算出した。
図7に示すように、膜厚分布と組成分布とは、1次回帰しており、直線関係を示している。従って、膜厚分布が大きくなれば組成分布も大きくなり、膜厚分布が小さくなれば組成分布も小さくなる。したがって、配線における幅、膜厚、導電率の均一性、磁気ヘッドにおける磁気特性の向上、磁気特性のバラツキの低減等の電子デバイスの高性能化には、めっき層の膜厚分布を小さくすることで、組成分布を小さくすることが必要になる。
さらに、めっき層の膜厚分布は、該めっき層の面内で略均一であることで、その後の工程、例えばCMP法等における負荷が低減され、めっき工程における歩留りが向上され、コストが大幅に低減される。このため、めっき層は、磁気ヘッドなど、均一な膜厚のめっき層を必要とする製品等に特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の金属膜パターンの形成方法の工程を説明するための概略図である。
【図2】めっき装置の一例であり、その構成を示す概略図である。
【図3】本発明の他の金属膜パターンの形成方法の工程を説明するための概略図である。
【図4】本発明の他の金属膜パターンの形成方法の工程を説明するための概略図である。
【図5】めっきする面積をパラメータとして、開口率と得られた膜厚分布との関係を示すグラフである。
【図6】開口率をパラメータとして、開口率と得られた膜厚分布との関係を示すグラフである。
【図7】膜厚分布と組成分布との関係を示すグラフである。
【図8】従来の金属膜パターンの形成方法の工程を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0027】
10 被めっき体(基板)
11、23 絶縁層
12 ハードマスク
13、21 レジスト層
14 シード膜
15 導電層
16 絶縁アルミナ層
20A 金属層
20B 金属膜パターン
22 埋込部
30 めっき装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シード膜が形成された基板に金属層を電気めっきするめっき工程と、
めっき工程の後に、基板を研摩して金属パターンを形成する研摩工程と を有する金属膜パターンの形成方法において、
前記めっき工程は、シード膜上にレジスト層が形成されている基板表面に、電気めっきして金属層を形成する
ことを特徴とする金属膜パターンの形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の金属膜パターンの形成方法において、
前記研摩工程は、レジスト層を除去し、次に、絶縁膜を形成した後に、金属層を研摩して金属膜パターンを形成する
ことを特徴とする金属膜パターンの形成方法。
【請求項3】
シード膜が形成された基板に金属層を電気めっきするめっき工程と、
めっき工程の後に、基板を研摩する研摩工程と を有する金属膜パターンの形成方法において、
前記めっき工程は、基板のシード膜の一部を除去した後に、電気めっきして金属層を形成する
ことを特徴とする金属膜パターンの形成方法。
【請求項4】
請求項1ないし4のいずれかに記載の金属膜パターンの形成方法において、
前記めっき工程は、基板表面全体の半分以下であって、埋込部及び埋込部周辺に金属層を形成する
ことを特徴とする金属膜パターンの形成方法。
【請求項5】
請求項1ないし5のいずれかに記載の金属膜パターンの形成方法において、
前記基板表面に形成される前記金属層は、2元系以上の合金で形成される
ことを特徴とする金属膜パターンの形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−205157(P2008−205157A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39026(P2007−39026)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】