説明

鉄道車両アタック角測定装置および方法

【課題】軌間外の建築限界を支障しない箇所に1つのセンサを設置するだけで車輪のレールに対するアタック角を測定することができ、複数のセンサを用いることや、高い精度でのゼロ点調整が不要な、鉄道車両アタック角測定装置および方法を提供する。
【解決手段】レールを走行する鉄道車両の車輪Wが通過する位置が測定範囲となるように設置され、測定点を通過する前記車輪Wまでの距離を連続的に測定するセンサ部12と、前記センサ部12による測定結果を受信して解析する処理部14と、を有し、前記処理部14は、前記センサ部12の測定結果から、前記車両の走行速度と、所定時間における車輪Wまでの距離の変化量を算出し、前記走行速度に前記所定時間を乗じた値と、前記所定時間における車輪Wまでの距離の変化量とから、その車輪の前記レールに対するアタック角を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の台車輪軸のアタック角を地上から測定する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両は、その車輪がレールに沿って走行しており、レールが湾曲した部分、特に急曲線では、車輪がレールに対して角度を持つため、車輪とレールとの間に接線方向以外の力が作用する。車輪のレールに対する角度(アタック角という。)は、走行の安定性、騒音、車輪およびレール並びに軌道構造が互いに受けるダメージの程度等に関係し、これらの要因を解析する上で重要なパラメータである。
【0003】
図10に、急曲線区間におけるレールと車輪の位置関係の例を概念的に示す。図10の外軌側(曲線中心に対して2本のレールの外方となる側)についてみると、車輪Woの進行方向doがレールRoの中心線coに対してなすヨー方向角度θがアタック角である。同様に、内軌側についてみると、車輪Wiの進行方向diがレールRiの中心線ciに対してなすヨー方向角度θがアタック角である。アタック角θは、車輪Wo,Wiが外軌側に向く方向(図10の場合には反時計回り方向)を正とする。
【0004】
一般に、アタック角θが大きいと、車輪、特に外軌側車輪Woが、レール、特に外軌側レールRoをレールに直角な水平方向に押す力(以下、「横圧」という。)が大きくなり、レール、レール締結装置等を傷める原因となる。また、図10に示すように、曲線区間でアタック角θが正の値であり、その値が大きくなると、脱線等が起こりやすくなり、鉄道の安全性を低下させる原因となりうる。このため、実際の鉄道車両の走行中のアタック角θを測定することが重要となってきている。
【0005】
鉄道車両の車輪のアタック角を計測する方法としては、レールから一定の距離離れた位置に、レール側面までの距離を測定する1つのセンサと、そのセンサを挟んで等間隔の左右位置に配置され、車輪の側面までの距離を測定する2つのセンサとを、レールに沿って軌道外に設置し、通過する車両の各車輪について、これら3つのセンサで、レール側面までの距離および車輪側面までの距離2点を測定し、その3つの測定値を予め入力されている基準値と比較演算して変位量を算出し、その車輪の輪軸のレールに対する位置と角度(アタック角)を求める方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、軌間内部とレール外部との間で検出用光束を送受信する一対の光電計測部を、左右のレールについてそれぞれ設置し、左側の光電計測部では左側車輪の通過を、右側光電計測部では右側車輪の通過をそれぞれ判別し、左側車輪と右側車輪の通過時間のズレ値から左右の車輪のレール長手方向のズレ長さを求めて、そのズレ長さに基づいてアタック角を演算する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−185550号公報
【特許文献2】特開2005−69707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のアタック角測定方法においては、レール外方でかつ車輪を水平かつレール直角方向に見通せる位置にセンサを配設する必要がある。また、車輪側面までの距離測定の精度を向上させるために、センサはレール外部で、かつレールに近接した箇所が望ましい。しかしながら、鉄道のレール付近及びその上方には、鉄道の安全を確保するための「建築限界」が設定されていることから、測定に好適な場所に測定装置を設置するのが困難な場合があった。なお、建築限界とは、鉄道車両が安全に走行するために軌道上に確保された空間の境界をいう。この建築限界は、いわば線路設備等が越えてはならない限界であり、その内部には、走行する鉄道車両との接触又は衝突する危険を避けるため、固定建築物はもちろん計測機器類の設置が禁止されている。
【0009】
また、特許文献1の方法では、台車輪軸のアタック角を測定するのに、1つの車輪の1回の測定について3つのセンサを用いている。そのため,列車通過に伴う振動にさらされる各センサ間のゼロ点を正確に認識するため、センサのゼロ点調整を頻繁に行う必要があった。
【0010】
一方、特許文献2の方法では、特許文献1の方法に比べて計測機器類の配置位置の制限は少ないものの、左右両側の車輪について、それぞれ一対、計2組の光電計測部を用い、両側の車輪について測定を行う必要があった。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、軌間外の建築限界を支障しない箇所に1つのセンサを設置するだけでレール上を走行する車両のレールに対する車輪のアタック角を測定することができ、複数のセンサを用いることや、高い精度でのゼロ点調整が不要な、鉄道車両アタック角測定装置および方法を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、鉄道車両アタック角測定装置であって、レールを走行する鉄道車両の車輪が通過する位置が測定範囲となるように設置され、測定点を通過する前記車輪までの距離を連続的に測定するセンサ部と、前記センサ部による測定結果を受信して解析する処理部と、を有し、前記処理部は、前記センサ部の測定結果から、前記車両の走行速度と、所定時間における車輪までの距離の変化量を算出し、前記走行速度に前記所定時間を乗じた値と、前記所定時間における車輪までの距離の変化量とから、その車輪の前記レールに対するアタック角θを算出することを特徴とする。
【0013】
また、前記処理部が、前記鉄道車両の進行方向に対して同一の側の2つの車輪の検出時刻の差、および前記2つの車輪の車軸間隔から、前記車両の走行速度を算出することとしてもよい。また、前記2つの車輪は、連続する2つの車輪であってもよい。
【0014】
上記課題を解決するための本発明の方法は、鉄道車両アタック角測定方法であって、レールを走行する鉄道車両の車輪が通過する位置が測定範囲となるようにセンサ部を設置し、該センサ部によって、測定点を通過する前記車輪までの距離を連続的に測定し、前記センサ部の測定結果から、前記車両の走行速度と、所定時間における車輪までの距離の変化量を算出し、前記走行速度に前記所定時間を乗じた値と、前記所定時間における車輪までの距離の変化量とから、その車輪の前記レールに対するアタック角θを算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、軌間外の建築限界を支障しない箇所に1つのセンサを設置するだけでレール上を走行する車両のレールに対する車輪のアタック角を測定することができるので、複数のセンサを用いることや、高い精度でのゼロ点調整が不要である。したがって、従来技術と比べて,非常に簡単な装置の構成で、装置設置個所を通過する鉄道車両の台車輪軸のアタック角を地上から測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の概略構成を示す概念図である。
【図2】図1の装置の設置例を説明する模式図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す概念図である。
【図4】本発明の測定方法の一実施形態のフロー図である。
【図5】図1の装置による測定結果のグラフである。
【図6】図5のグラフの部分拡大図である。
【図7】図5のグラフの部分拡大図である。
【図8】アタック角の測定結果を示すグラフである。
【図9】本発明の他の実施形態を示す概念図である。
【図10】鉄道車両におけるアタック角を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の鉄道車両アタック角測定装置、および鉄道車両アタック角測定方法の一実施形態について図面を参照して具体的に説明する。図1に示すように、鉄道車両アタック角測定装置10(以下、測定装置10とする。)は、センサ部12と、処理部14と、センサ部12と処理部14とを接続する接続部16とを有している。なお、図1は、本発明の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
センサ部12は、軌間外であって、レールを走行する鉄道車両の車輪Wが通過する位置が測定範囲となるように設置されており、測定点を通過する車輪Wの側面までの距離を連続的に測定する。センサ部12は、車輪Wの側面までの距離を測定できれば、車輪Wの何れの位置を測定することとしてもよいが、測定精度の点を考慮すると、車輪Wのリム部側面までの距離を測定することが好ましい。以下、センサ部12が、車輪Wのリム部側面までの距離を測定する場合を中心に説明する。
【0019】
軌間外から車輪Wのリム部を測定するためのセンサ部12としては、非接触方式の変位センサを用いることができる。非接触方式の変位センサとしては、光学式の変位センサ、渦電流式の変位センサ、超音波式の変位センサ、静電容量式の変位センサ等の各種の変位センサが使用可能である。特に本発明においては、測定精度が高く、車輪Wのリム部側面までの距離を正確に測定可能な光学式の変位センサ、具体的には三角測距式のレーザー変位計が好適に使用可能である。以下、センサ部12としてレーザー変位計を用い、測定光を連続的に発して、車輪のリム部側面までの距離を連続的に測定する場合を中心に説明するが、本発明が、レーザー変位計に限定されるものではない。また、上記以外の変位センサであっても、非接触式で車輪のリム部までの距離を測定できるものであれば、測定方法によらず用いることができる。
【0020】
センサ部12(レーザー変位計)は、測定光を連続的に発して、車輪Wのリム部を検出するとともに、車輪Wのリム部側面で反射されて戻ってきた測定光を受光し、受光した測定光に基づいて、測定点を通過する車輪のリム部側面までの距離を連続的に測定する。
【0021】
処理部14は、センサ部12からの検出信号を受信して解析し、アタック角θを算出する。接続部16は、有線または無線の接続手段である。
【0022】
センサ部12は、レールを走行する鉄道車両の車輪が通過する位置が測定範囲となるように設置されている。図2に、センサ部12の設置例を示す。図2は、センサ12による測定位置近傍において、レール18に車輪Wが乗った状態を片側だけ示している。なお、車軸Aを示すために、車両は図示していない。
【0023】
図2の破線(Z)に示すように、鉄道のレール18の付近には、鉄道の安全を確保するための建築限界が設定されている。この建築限界の内部には、走行する鉄道車両との接触又は衝突する危険を避けるため、固定建築物はもちろん計測機器類の設置が禁止されている。したがって、センサ部12は、図示するように軌間外の建築限界を支障しない位置に設置することが好ましい。センサ部12は、列車走行による振動で移動しないように固定されており、図2に示す例では、センサ部12は、枕木20に固定された支持部材22に、測定光の送受信部12がレール18上を走行する車輪Wの通過位置に向くように取り付けられている。センサ部12を枕木20の上面に固定することで、センサ部12が列車走行による軌きょうの変形の影響を受けるのを極力抑えることができるのが好ましい。なお、センサ部12の取り付け位置は、本実施形態には限定されず、軌間外であって、かつ建築限界Zを支障しない位置であれば、他の位置であってもよい。
【0024】
センサ部12の鉛直方向の光軸は、図2に示すように軌道面(レール18の上面)と水平であってもよく、軌道面に対して斜角(図示しない)であってもよい。特に、センサ部12から車輪のリム部側面までの水平方向の距離が短い場合には、軌道面に対し光軸を斜角とすることで精度よい距離の測定が可能となる。
【0025】
センサ部12は、一方のレール18の外側に1つだけ設けてもよいし、図3に示す測定装置30のように、2つのセンサ部12a、12bを軌間の両側に設置し、車軸Aの両側の車輪Wa,Wbのアタック角を同時に測定するようにしてもよい。この場合は、1つのセンサ部12a、12bをそれぞれ接続部16a、16bで処理部14に接続し、処理部14で両センサ部12a、12bからの出力を解析する。あるいは、各センサ部12a、12bに対応する2つの処理部を設けてもよい。
【0026】
次に、処理部14によるアタック角θの算出方法について説明する。図4は、処理部14における解析処理のフロー図である。まず、処理部14は、センサ部12の出力を得て、センサ部12による測定部を通過する車輪のリム部を検出するとともに、その車輪のリム部の側面までの距離を連続的に測定する(ステップS1)。
【0027】
図5に、2両編成の車両B1、B2が通過したときの検出結果を示す。図5において、横軸は測定時刻(sec)、縦軸は変位(mm)である。図5の上部には、検出データに対応する位置に、検出された車輪W1〜W8を図示している。車両B1は、2つの輪軸Aが固定された2つの台車D1、D2が前方および後方に取り付けられており、計4本の輪軸A1〜A4を有している。したがって車両B1は、片側に4つの車輪W1〜W4を有している。同様に、車両B2は、2つの台車D3,D4にそれぞれ2本ずつ、計4本の輪軸A5〜A8が配されており、片側に4つの車輪W5〜W8を有している。
【0028】
なお、図5は、検出データと車輪W1〜W8との対応を分かりやすくするために模式的に示したものであって、検出データの値と図示した車輪W1〜W8の検出部分の寸法とは必ずしも一致しない。
【0029】
次に、処理部14は、図6に示すように、2つの車輪の検出時刻の差Δt1とその車軸間隔ΔLとから、車両の走行速度Vを下記式(1)によって算出する(ステップS2)。
V=ΔL/Δt1 ・・・(1)
【0030】
図6は、図5の1台目の車両B1の2つの車輪W1、W2の検出データの先端部分を拡大した図である。台車D1に固定された2つの輪軸A1、A2の間隔(固定軸距)ΔLは、車種によって定められており既知であるので、各輪軸A1、A2の通過時刻の差、すなわち検出時刻の差Δtを求めれば、上記式(1)によって台車D1の走行速度Vが求められる。各輪軸A1、A2の通過時刻は、両軸について同じように定めればよく、例えばセンサ部12によって検出されたピークの中央値の時刻を取ればよい。あるいは、Δt1として、車輪W1、W2の検出開始時刻から検出終了時刻までの中間の時刻の差を取ってもよいし、検出開始時刻の差を取ってもよい。
【0031】
本実施形態においては、台車D1に配された連続する2つの輪軸A1、A2に基づいて、台車D1走行速度Vを算出しているが、本発明は、連続する2つの輪軸に基づいて走行速度を算出することに限定されるものではない。例えば、連続しない2つの輪軸、A1、A5の間隔と、A1、A5の検出時間の差に基づいて車両の走行速度Vを算出することとしてもよい。
【0032】
次に、処理部14は、図7に示すように、1つの車輪W(図7に示されるW1)の検出開始から検出終了までの時間内における任意の時間Δt2(以下、任意の時間Δt2を所定時間という場合がある。)と、上記で算出した車両の走行速度Vとから、所定時間における車輪の検出範囲の長さΔxを下記式(2)によって算出する(ステップS3)。
Δx=V×Δt2 ・・・(2)
【0033】
なお、図7の横軸は、図5および図6と同じく測定時刻(sec)であるが、車輪W1の検出時間中、車両の走行速度は実質的に一定と見ることができるので、横軸は、車輪W1の検出範囲の長さ(mm)と読み替えることもできる。
【0034】
図7は、図5および図6の車輪W1の検出データの先端部分をさらに拡大した図である。また、図7の上部には、検出データに対応させて、検出された車輪W1を模式的に図示している。図7の横軸は、図5および図6と同じく測定時刻(sec)、縦軸は変位(mm)である。図7に示すように、センサ部12によって検出された車輪W1のセンサ部12からの距離は、時間とともにわずかに変化している。これは、車輪W1がセンサ部12の測定位置を通過するときに、センサ部12の光軸に対して角度を持って通過したことを示している。したがって、車輪W1は、センサ部12による測定位置において、レール18に対して角度θを持って走行していたことがわかる。この角度がアタック角θに相当する。
【0035】
図7におけるP1およびP2は、1つの車輪の検出開始から検出終了までの時間内において、任意に選択された2点であり、この2点の検出時間の差によって、所定時間が求められる。具体的には、P2−P1により、所定時間Δt2が算出される。このΔt2と、上記ステップS2で求めた走行速度Vとから、上記式(2)によって、所定時間における車輪の検出範囲の長さΔxが求められる。なお、所定時間は1つの車輪の検出開始から検出終了までの時間内において任意に選択される時間であり、任意に選択される2点(P1、P2)は、1つの車輪Wの検出範囲の先端および後端であってもよい。
【0036】
次に、処理部14は、図7に示すように、所定時間における車輪Wの距離の変化量Δy、すなわち、測定点P1におけるセンサ部から車輪のリム部側面までの距離および測定点P2におけるセンサ部から車輪のリム部側面までの距離の変位の差分Δyを求め、この変位の差分Δyと、上記ステップS3で求めた所定時間における車両の検出範囲の長さΔxとから、下記式(3)によってアタック角θを算出する(ステップS4)。
θ=tan-1(Δy/Δx)[rad] ・・・(3)
【0037】
図8に、上述のようにして図5の2両編成の車両B1,B2の片側の各車輪W1〜W8、すなわち各車軸A1〜A8について求めたアタック角θの算定結果を示す。図8は、曲線半径185mの急曲線のレールの例である。台車前軸(奇数軸)A1,A3,A5,A7は、10mrad前後と大きなアタック角を有しているのに対し、台車後軸(偶数軸)A2,A4,A6,A8は,−1〜+1mrad程度とほとんどアタック角を有していなかった。これは、急曲線通過時の一般的な台車の挙動と一致しており、本測定方法によって、適切な測定が行われていることが裏付けられた。
【0038】
なお、本手法では,アタック角のみを把握する場合には,センサ部(レーザー変位計)のゼロ点を求める必要は無く、センサ部(レーザー変位計)のこう正係数が既知であれば良い。その際、上述のΔyは,相対空間における座標の差分として求めることができる。また、センサ部(レーザー変位計)のゼロ点を、レール頭部フィールドコーナーをゼロとして求めておけば、そこからの変位も求めることができる。
【0039】
上記実施形態では、片側の車輪について1台のセンサ部12を用いてその位置を測定しているが、図9に示す測定装置40のように、車輪の側面の位置を測定するセンサ部12aに加え、さらにもう1台、レール側面の位置を測定するセンサ部(レーザー変位計)12cを用いれば、輪軸とレールの位置関係を把握することもできる。この場合も、センサ部12cは、建築限界Zを支障しない位置に固定すればよい。
【0040】
以上、本発明のアタック角測定装置、及びアタック角測定方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、各種の変更を加えてもよい。また、本発明のアタック角測定装置、アタック角測定方法は、レールの直線部を走行する車両であっても、レールの曲線部を走行する車両であっても適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10、30、40 アタック角測定装置
12、12a、12b センサ部
14 処理部
16、16a、16b 接続部
18 レール
20 枕木
22 支持部材
A、A1〜A8 車軸
1、B2 車両
1、D2 台車
W、W1〜W8 車輪
Z 建築限界
θ アタック角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールを走行する鉄道車両の車輪が通過する位置が測定範囲となるように設置され、測定点を通過する前記車輪までの距離を連続的に測定するセンサ部と、
前記センサ部による測定結果を受信して解析する処理部と、
を有し、
前記処理部は、前記センサ部の測定結果から、前記車両の走行速度と、所定時間における車輪までの距離の変化量を算出し、
前記走行速度に前記所定時間を乗じた値と、前記所定時間における車輪までの距離の変化量とから、その車輪の前記レールに対するアタック角θを算出することを特徴とする鉄道車両アタック角測定装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記鉄道車両の進行方向に対して同一の側の2つの車輪の検出時刻の差、および前記2つの車輪の車軸間隔から、前記車両の走行速度を算出することを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両アタック角測定装置。
【請求項3】
前記2つの車輪は、連続する2つの車輪であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両アタック角測定装置。
【請求項4】
レールを走行する鉄道車両の車輪が通過する位置が測定範囲となるようにセンサ部を設置し、該センサ部によって、測定点を通過する前記車輪までの距離を連続的に測定し、
前記センサ部の測定結果から、前記車両の走行速度と、所定時間における車輪までの距離の変化量を算出し、
前記走行速度に前記所定時間を乗じた値と、前記所定時間における車輪までの距離の変化量とから、その車輪の前記レールに対するアタック角θを算出することを特徴とする鉄道車両アタック角測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−145350(P2012−145350A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1798(P2011−1798)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】