説明

電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置

【課題】直線運動する出力部材に横向きのモーメントが作用しても、出力部材の直線運動をスムーズに案内できるようにすることと、遊星ローラの芯出しを不要とし、その加工工数を少なくすることである。
【解決手段】遊星ローラ7を支持するキャリヤ6の軸方向への移動を規制して、ハウジング1の円筒部1aの内径面に軸方向へスライド可能に内嵌された外輪部材5を、連結される被駆動物にキー21で回り止めし、外輪部材5を直線運動する出力部材とするとともに、キャリヤ6に各遊星ローラ7の間へ平行に延出する複数の支持軸6bを設け、これらの支持軸6bに回転自在に外嵌した円筒部材18を、各遊星ローラ7の外径面に両側から転接させて、各遊星ローラ7を回転自在に支持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータの回転運動を直線運動に変換して被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータと、電動式直動アクチュエータを用いてブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動式ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータの回転運動を直線運動に変換して被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータには、運動変換機構としてボールねじ機構やボールランプ機構を採用したものが多く、小容量の電動モータで大きな直線駆動力が得られるように、遊星歯車減速機構等の歯車減速機構を組み込んだものが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述した電動式直動アクチュエータに採用されているボールねじ機構やボールランプ機構は、リードを有するねじ筋や傾斜カム面に沿わせる運動変換機構によって、ある程度の増力機能を有するが、電動式ブレーキ装置等で必要とされるような大きな増力機能は確保できない。このため、これらの運動変換機構を採用した電動式直動アクチュエータでは、遊星歯車減速機構等の別途の減速機構を組み込んで駆動力を増力しているが、このように別途の減速機構を組み込むことは、電動式直動アクチュエータのコンパクトな設計を阻害する。
【0004】
このような問題に対して、本発明者らは、別途の減速機構を組み込むことなく大きな増力機能を確保でき、大推力を必要とする電動式ブレーキ装置にも好適な電動式直動アクチュエータとして、電動モータから回転を伝達される回転軸と、この回転軸の外径側でハウジングの内径面に固定された外輪部材との間に、キャリヤに回転自在に支持された複数の遊星ローラを介在させて、これらの遊星ローラが回転軸の回転に伴って回転軸の周りを自転しながら公転するようにし、外輪部材の内径面に螺旋凸条を設け、遊星ローラの外径面に、螺旋凸条と同一ピッチで螺旋凸条が嵌まり込む周方向溝、または螺旋凸条と同一ピッチでリード角が異なり螺旋凸条が嵌まり込む螺旋溝を設けて、回転軸の周りを自転しながら公転する遊星ローラを支持するキャリヤを軸方向へ相対移動させ、回転軸の回転運動をキャリヤの直線運動に変換して、キャリヤまたはキャリヤに連結される直線駆動部材を被駆動物を直線駆動する出力部材とした機構を先に提案している(特許文献2、3参照)。
【0005】
一方、車両用ブレーキ装置としては油圧式のものが多く採用されてきたが、近年、ABS(Antilock Brake System)等の高度なブレーキ制御の導入に伴い、これらの制御を複雑な油圧回路なしに行うことができる電動式ブレーキ装置が注目されている。電動式ブレーキ装置は、ブレーキペダルの踏み込み信号等で電動モータを作動させ、上述したような電動式直動アクチュエータをキャリパボディに組み込んでブレーキ部材を被制動部材に押圧するものである(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−327190号公報
【特許文献2】特開2007−32717号公報
【特許文献3】特開2007−37305号公報
【特許文献4】特開2003−343620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2、3に記載されたキャリヤまたはキャリヤに連結される直線駆動部材を直線運動する出力部材とした電動式直動アクチュエータは、別途の減速機構を組み込むことなく、コンパクトな設計で大きな増力機能を確保できるが、直線運動するキャリヤや直線駆動部材は軸方向の長さ寸法が比較的短いので、例えば、この電動式直動アクチュエータを用いた電動式ブレーキ装置では、被駆動物とされるブレーキ部材に被制動部材から接線力が作用するが、この接線力の一部がブレーキ部材に連結される出力部材としてのキャリヤや直線駆動部材に横向きのモーメントとして作用し、これらの直線運動のスムーズな案内が困難になる問題がある。外輪部材で案内される直線駆動部材をブレーキ部材に連結する場合は、ブレーキ部材が摩耗したときに、直線駆動部材の外輪部材からの軸方向突出量が大きくなって、その案内長さが短くなるので、直線駆動部材のスムーズな案内がより困難になる。
【0008】
また、特許文献2、3に記載された電動式直動アクチュエータは、遊星ローラを中空構造とし、この中空構造とした遊星ローラの中心に嵌挿されたキャリヤの支持軸に、針状ころ軸受を介して遊星ローラを回転自在に支持しているので、遊星ローラの外径面に転造等の加工方法で形成される円周溝や螺旋溝を、キャリヤの支持軸に対して芯出しする必要がある。このため、遊星ローラを中空構造に加工することと相俟って、遊星ローラの加工工数が増加し、製造コストが高くなる問題もある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、直線運動する出力部材に横向きのモーメントが作用しても、出力部材の直線運動をスムーズに案内できるようにすることと、遊星ローラの芯出しを不要とし、その加工工数を少なくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、電動モータから回転を伝達される回転軸と、この回転軸の外径側でハウジングの内径面に内嵌した外輪部材との間に、キャリヤに回転自在に支持された複数の遊星ローラを介在させて、これらの遊星ローラが前記回転軸の回転に伴って回転軸の周りを自転しながら公転するようにし、前記外輪部材の内径面に螺旋凸条を設け、前記遊星ローラの外径面に、前記螺旋凸条と同一ピッチで螺旋凸条が嵌まり込む周方向溝、または螺旋凸条と同一ピッチでリード角が異なり螺旋凸条が嵌まり込む螺旋溝を設けて、前記外輪部材と前記キャリヤとを軸方向へ相対移動させ、前記回転軸の回転運動を出力部材の軸方向への直線運動に変換して、直線運動する出力部材に連結される被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータにおいて、前記キャリヤの軸方向への移動を規制し、前記外輪部材を回り止めして、前記ハウジングの内径面に軸方向へスライド可能に内嵌し、前記外輪部材を直線運動する出力部材として、前記キャリヤに前記複数の各遊星ローラの間へ遊星ローラと平行に延出する複数の支持軸を設け、これらの支持軸に回転自在に外嵌した円筒部材を、前記各遊星ローラの外径面に両側から転接させて、前記各遊星ローラを回転自在に支持した構成を採用した。
【0011】
すなわち、キャリヤの軸方向への移動を規制し、外輪部材を回り止めして、ハウジングの内径面に軸方向へスライド可能に内嵌し、外輪部材を直線運動する出力部材とすることにより、出力部材としての外輪部材をハウジングの内径面で軸方向に長い寸法で案内可能とし、直線運動する出力部材に横向きのモーメントが作用しても、出力部材の直線運動をスムーズに案内できるようにするとともに、キャリヤに複数の各遊星ローラの間へ遊星ローラと平行に延出する複数の支持軸を設け、これらの支持軸に回転自在に外嵌した円筒部材を、各遊星ローラの外径面に両側から転接させて、各遊星ローラを回転自在に支持することにより、遊星ローラの芯出しを不要とし、その加工工数を少なくできるようにした。
【0012】
前記遊星ローラを中実構造とすることにより、加工工数をさらに低減することができる。
【0013】
前記支持軸を別体部材で形成し、この別体部材で形成した支持軸を、前記キャリヤに嵌合または螺合によって固定することにより、キャリヤの加工歩留まりを高くすることができる。
【0014】
前記円筒部材は樹脂材料で形成することができる。
【0015】
前記円筒部材は金属材料で形成することもできる。
【0016】
前記円筒部材は焼結材料で形成することもできる。
【0017】
前記円筒部材を前記支持軸に転がり軸受で支持することにより、円筒部材をよりスムーズに遊星ローラの外径面に転接させることができる。
【0018】
前記外輪部材の内径面に設けた螺旋凸条を、外輪部材の内径面に設けた螺旋溝に周着した条部材で形成することにより、螺旋凸条を容易に精度よく形成することができる。
【0019】
前記条部材を金属の引き抜き加工で形成することにより、合金成分の少ない安価な金属素材を用いて加工硬化によって強度を高め、かつ、高い歩留りで条部材を安価に形成することができる。また、引き抜き加工時に条部材を螺旋状に巻き取れば、螺旋溝への周着も容易にすることができる。
【0020】
前記螺旋溝に周着した条部材で形成した螺旋凸条の上面を案内する案内面を設けることにより、螺旋溝に周着した条部材の脱落を防止することができる。螺旋凸条の上面を案内する案内面は、遊星ローラを支持するキャリヤや、キャリヤに固定した別体の案内部材に設けることができる。
【0021】
また、本発明は、電動モータの回転運動を直線運動に変換してブレーキ部材を直線駆動する電動式直動アクチュエータを備え、前記直線駆動されるブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動式ブレーキ装置において、前記電動式直動アクチュエータに上述したいずれかの電動式直動アクチュエータを用いた構成を採用することにより、ブレーキ部材に被制動部材から作用する接線力が、直線運動する出力部材に横向きのモーメントとして作用しても、出力部材の直線運動をスムーズに案内でき、かつ、遊星ローラの芯出しを不要とし、その加工工数を少なくできるようにした。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電動式直動アクチュエータは、遊星ローラを支持するキャリヤの軸方向への移動を規制し、外輪部材を回り止めして、ハウジングの内径面に軸方向へスライド可能に内嵌し、外輪部材を直線運動する出力部材とするとともに、キャリヤに複数の各遊星ローラの間へ遊星ローラと平行に延出する複数の支持軸を設け、これらの支持軸に回転自在に外嵌した円筒部材を、各遊星ローラの外径面に両側から転接させて、各遊星ローラを回転自在に支持したので、直線運動する出力部材に横向きのモーメントが作用しても、出力部材の直線運動をスムーズに案内することができ、かつ、遊星ローラの芯出しを不要とし、その加工工数を少なくすることができる。
【0023】
また、本発明の電動式ブレーキ装置は、被制動部材に押圧するブレーキ部材を、上述した電動式直動アクチュエータを用いて直線駆動するようにしたので、ブレーキ部材に被制動部材から作用する接線力が、直線運動する出力部材に横向きのモーメントとして作用しても、出力部材の直線運動をスムーズに案内することができ、かつ、遊星ローラの芯出しを不要とし、その加工工数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】電動式直動アクチュエータの実施形態を示す縦断面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図
【図4】(a)は図1の支持軸と円筒部材を拡大して示す断面図、(b)は(a)の変形例を示す断面図
【図5】(a)、(b)は、それぞれ図1の外輪部材の螺旋凸条と遊星ローラの螺旋溝を示す正面図
【図6】図1の電動式直動アクチュエータを採用した電動式ブレーキ装置を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この電動式直動アクチュエータは、図1乃至図3に示すように、ハウジング1の円筒部1aの一端側に片側へ張り出すフランジ1bが設けられ、このフランジ1bに電動モータ2が円筒部1aと平行に取り付けられて、電動モータ2のロータ軸2aの回転が歯車3a、3b、3cによって円筒部1aの中心に配設された回転軸4に伝達されるようになっており、回転軸4と円筒部1aの内径面に軸方向へスライド可能に内嵌された外輪部材5との間に、キャリヤ6に回転自在に支持された4個の遊星ローラ7が介在し、各遊星ローラ7が回転軸4の回転に伴って、その周りを自転しながら公転するようになっている。
【0026】
前記ハウジング1のフランジ1bを設けた側には蓋1cが取り付けられ、歯車3a、3b、3cは蓋1cで覆われた空間の軸方向同一断面内で噛み合うように配設されている。歯車3a、3b、3cは平歯車またははすば歯車とすることができ、その素材は、鋼材等の金属のほかに、軽量化のできる樹脂や、成形が容易な焼結材とすることもできる。各歯車3a、3b、3cを互いに異なる素材で形成してもよい。また、円筒部1aの蓋1c側には軸支持部材8が内嵌され、歯車3cを取り付けられた回転軸4の基端側が軸支持部材8に玉軸受9で支持されている。軸支持部材8は両側を止め輪10でハウジング1に固定されており、回転軸4やキャリヤ6の軸方向への移動を規制する役割もする。なお、ロータ軸2aに取り付けられた歯車3aと歯車3cに噛み合う中間歯車3bは、フランジ1bと蓋1cに差し渡された軸ピン11に玉軸受12で支持されている。
【0027】
前記遊星ローラ7と一緒に公転するキャリヤ6は、キャリヤ本体6aと、キャリヤ本体6aに嵌合で固定され、4個の遊星ローラ7の間へ遊星ローラ7と平行に延出して、後述する円筒部材18を回転自在に支持する4本の支持軸6bと、これらの支持軸6bの先端側に取り付けられ、遊星ローラ7を抜け止めする押さえ板6cとからなり、押さえ板6cには、各支持軸6bの外径側で遊星ローラ7側へ延びる部分円筒部6dが一体に形成されている。この部分円筒部6dの外径面は、後述する外輪部材5の条部材5bで形成された螺旋凸条の上面を案内する案内面ともなる。
【0028】
キャリヤ本体6aは、焼結材料で形成されたすべり軸受13を介して回転軸4に相対回転可能に外嵌され、スラストころ軸受14を介して軸支持部材8の端面に当接されており、キャリヤ6の回転軸4の基端側への移動が規制されている。すべり軸受13は、樹脂、セラミックス、もしくはアルミニウム合金、銅合金等の金属、またはこれらの複合材で形成してもよい。また、押さえ板6cは、焼結材料で形成されたすべり軸受15を介して、回転軸4の先端に装着された止め輪16に当接され、キャリヤ6の回転軸4の先端側への移動が規制されている。すべり軸受15も、樹脂、セラミックス、もしくはアルミニウム合金、銅合金等の金属、またはこれらの複合材で形成してもよい。
【0029】
前記遊星ローラ7は中実構造とされ、その自転をスラストころ軸受17でキャリヤ本体6aに支持されるとともに、前記各遊星ローラ7の間に延出する各支持軸6bに外嵌された円筒部材18が、各遊星ローラ7の外径面に両側から転接されて、各遊星ローラ7がキャリヤ6に回転自在に支持されている。
【0030】
図4(a)に示すように、前記支持軸6bに外嵌された円筒部材18は金属材料で形成され、支持軸6bに転がり軸受としての一対の針状ころ軸受19で回転自在に支持されている。図4(b)は、円筒部材18の変形例を示す。この円筒部材18は樹脂材料または焼結材料で形成され、その自己潤滑性によって支持軸6bに直接回転自在に外嵌されている。
【0031】
図1に示すように、前記外輪部材5の端部内径面には、遊星ローラ7や円筒部材18が配置された内径部を外部と遮断するように、円筒周縁部を有するシール部材20が内嵌されている。シール部材20は薄鋼板のプレス加工で形成されている。シール部材20は、樹脂やゴムで形成することもできる。
【0032】
前記外輪部材5の先端側には被駆動物が連結され、その先端面には被駆動物に回り止めされるキー21が設けられている。したがって、ハウジング1の円筒部1aの内径面に軸方向へスライド可能に内嵌された外輪部材5は、両方向への軸方向移動を規制されたキャリヤ6に対して相対移動して直線運動する出力部材となる。外輪部材5に被駆動物が連結される側の円筒部1aは開口しており、外輪部材5は円筒部1aの内径面で軸方向に長い長さ寸法で案内されて、円筒部1aから突出するように長いストロークでスムーズに直線運動する。
【0033】
図5(a)に示すように、前記各遊星ローラ7が転接する外輪部材5の内径面には2条の螺旋溝5aが設けられ、各螺旋溝5aに周着された別体の条部材5bで、外輪部材5の内径面に2条の螺旋凸条が形成されている。条部材5bは低炭素鋼の引き抜き加工で形成され、加工硬化によって強度を高められている。
【0034】
また、図5(b)に示すように、前記遊星ローラ7の外径面には、条部材5bで形成された螺旋凸条が嵌まり込み、螺旋凸条と同一ピッチでリード角の異なる1条の螺旋溝7aが設けられている。これらの螺旋凸条と螺旋溝7aの係合によって、回転軸4の周りを自転しながら公転する遊星ローラ7が、螺旋凸条と螺旋溝7aとのリード角の差によって、外輪部材5と軸方向へ相対移動する。なお、外輪部材5の螺旋凸条を2条の多条螺旋としたのは、遊星ローラ7の螺旋溝7aとのリード角の差の設定自由度を大きくするためであり、螺旋凸条は1条のものとしてもよい。遊星ローラ7の螺旋溝7aは、螺旋凸条と同一ピッチの周方向溝とすることもできる。
【0035】
図6は、上述した電動式直動アクチュエータを採用した電動式ブレーキ装置を示す。この電動式ブレーキ装置は、キャリパボディ31の内部で被制動部材としてのディスクロータ32の両側に、ブレーキ部材としてのブレーキパッド33を対向配置したディスクブレーキであり、キャリパボディ31に電動式直動アクチュエータのハウジング1が固定され、直線運動する出力部材としての外輪部材5がキー21で被駆動物としてのブレーキパッド33に回り止めされ、ブレーキパッド33をディスクロータ32に押圧するようになっている。なお、この図では、電動式直動アクチュエータが図1で示した断面と直交する断面で示されている。
【0036】
上述した実施形態では、遊星ローラを4個としたが、遊星ローラの個数は4個に限定されることはない。また、各支持軸に支持した円筒部材は、実施形態のもののように隣接する両側の遊星ローラに共通で転接させてもよいし、個別に遊星ローラに転接させるようにしてもよい。
【0037】
また、上述した実施形態では、外輪部材の内径面の螺旋凸条を、螺旋溝に嵌め込まれた別体の条部材で形成したが、螺旋凸条は外輪部材と一体に形成することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 ハウジング
1a 円筒部
1b フランジ
1c 蓋
2 電動モータ
2a ロータ軸
3a、3b、3c 歯車
4 回転軸
5 外輪部材
5a 螺旋溝
5b 条部材
6 キャリヤ
6a キャリヤ本体
6b 支持軸
6c 押さえ板
6d 部分円筒部
7 遊星ローラ
7a 螺旋溝
8 軸支持部材
9 玉軸受
10 止め輪
11 軸ピン
12 玉軸受
13 すべり軸受
14 スラストころ軸受
15 すべり軸受
16 止め輪
17 スラストころ軸受
18 円筒部材
19 針状ころ軸受
20 シール部材
21 キー
31 キャリパボディ
32 ディスクロータ
33 ブレーキパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータから回転を伝達される回転軸と、この回転軸の外径側でハウジングの内径面に内嵌した外輪部材との間に、キャリヤに回転自在に支持された複数の遊星ローラを介在させて、これらの遊星ローラが前記回転軸の回転に伴って回転軸の周りを自転しながら公転するようにし、前記外輪部材の内径面に螺旋凸条を設け、前記遊星ローラの外径面に、前記螺旋凸条と同一ピッチで螺旋凸条が嵌まり込む周方向溝、または螺旋凸条と同一ピッチでリード角が異なり螺旋凸条が嵌まり込む螺旋溝を設けて、前記外輪部材と前記キャリヤとを軸方向へ相対移動させ、前記回転軸の回転運動を出力部材の軸方向への直線運動に変換して、直線運動する出力部材に連結される被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータにおいて、前記キャリヤの軸方向への移動を規制し、前記外輪部材を回り止めして、前記ハウジングの内径面に軸方向へスライド可能に内嵌し、前記外輪部材を直線運動する出力部材として、前記キャリヤに前記複数の各遊星ローラの間へ遊星ローラと平行に延出する複数の支持軸を設け、これらの支持軸に回転自在に外嵌した円筒部材を、前記各遊星ローラの外径面に両側から転接させて、前記各遊星ローラを回転自在に支持したことを特徴とする電動式直動アクチュエータ。
【請求項2】
前記遊星ローラを中実構造とした請求項1に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項3】
前記支持軸を別体部材で形成し、この別体部材で形成した支持軸を、前記キャリヤに嵌合または螺合によって固定した請求項1または2に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項4】
前記円筒部材を樹脂材料で形成した請求項1乃至3のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項5】
前記円筒部材を金属材料で形成した請求項1乃至3のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項6】
前記円筒部材を焼結材料で形成した請求項1乃至3のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項7】
前記円筒部材を前記支持軸に転がり軸受で支持した請求項1乃至6のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項8】
前記外輪部材の内径面に設けた螺旋凸条を、外輪部材の内径面に設けた螺旋溝に周着した条部材で形成した請求項1乃至7のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項9】
前記条部材を金属の引き抜き加工で形成した請求項8に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項10】
前記螺旋溝に周着した条部材で形成した螺旋凸条の上面を案内する案内面を設けた請求項8または9に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項11】
電動モータの回転運動を直線運動に変換してブレーキ部材を直線駆動する電動式直動アクチュエータを備え、前記直線駆動されるブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動式ブレーキ装置において、前記電動式直動アクチュエータに請求項1乃至10のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータを用いたことを特徴とする電動式ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−179542(P2011−179542A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42249(P2010−42249)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】