説明

電子キー

【課題】電池の電池電圧を報知することによって電池交換時期や、電池切れをユーザに的確に伝えることが可能な電子キーを提供する。
【解決手段】電子キー1は、車両にIDコードを無線送信して該車両の制御部にID照合を実行させ、該ID照合が成立したことを条件として、該制御部に設置されたドアロック機構を駆動制御する。電子キー1は、ロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bをオン操作される毎に、該電子キー1に内蔵される電池4の電池電圧Vnを検出し、その電池電圧Vnに応じて、電子キー1に備えられるインジケータランプ5の発光色を緑色から黄色に変化させ、電池切れになった時は消灯させる。また、電池4を交換した時、電子キー1は、交換した電池4の電池電圧Vnを検出し、その電池電圧Vnに応じてインジケータランプ5の発光色を緑色から黄色に変化させ、電池切れになった時は消灯させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両や住宅等に設けられた装置と電子キーとの間の無線通信を通じて該装置の各種制御を行う電子キーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御対象である、例えば車両に実装された装置にIDコードを無線送信し、車両にID照合を実行させ、該ID照合が成立したことを条件として、該装置の操作を可能にする電子キーが知られている。このような電子キーは、車両との無線通信を通じてドアの施解錠をはじめとする各種制御に利用される。例えば、特許文献1に開示されている電子キーには、ドアの施錠及び解錠を行うスイッチが設けられ、ユーザは車両から離れた位置においても、電子キーのスイッチを操作することでドアの施錠及び解錠を行う制御がされている。
【0003】
また、上記の電子キーは、自身に内蔵される電池(一次電池)から電源を賄って施解錠操作信号の送信等を行っているため、電池電圧が低下して電池切れの状態になると、電子キーを用いてドアの施解錠ができなくなる。このため、電子キーに設けられたスイッチの使用回数が、予め設定された使用可能回数を超えると、電子キーに備えられた発光ダイオード(LED)が点灯し、電池切れが近づいていることをユーザに知らせるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−292267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の電子キーでは、LEDの点灯に気付かなかったり、あるいはLEDの点灯に気付いたとしてもさほど重要視することなく無視をしてしばらく電池交換を行わなかったりすると、やがて電池切れとなってドアの施解錠ができなくなる。このとき、電池が切れてLEDが消灯した状態となるため、ユーザにとってはドアの施解錠ができないのは、電池切れでなく電子キーの故障か、又は電池切れによるものなのかの判断ができず、ユーザが電子キーに対して不信感を抱く虞があった。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池の電池電圧を報知することによって電池交換時期や、電池切れをユーザに的確に伝えることが可能な電子キーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、制御対象の装置を制御するためのIDコードを前記装置に無線送信する電子キーであって、前記電子キーは、該電子キーに内蔵される電池の電池電圧に応じて表示態様が変わる表示ランプを備えたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、電子キーは、該電子キーに内蔵される電池の電池電圧に応じて表示態様が変わる表示ランプを備える。このため、電池の電池電圧が表示ランプにてユーザに対してわかりやすく報知され、電池の交換時期や、電池切れを的確に知ることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子キーにおいて、前記電子キーに前記電池を交換したとき、該電池の電池電圧を検出し、その検出した電池電圧に応じた前記表示態様を表示ランプに表示させる制御部を備えたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、電子キーの電池を交換したとき、制御部は電池の電池電圧を検出し、その検出した電池電圧に応じた表示態様に表示ランプを点灯制御する。このため、電子キーの電池を交換したとき、表示ランプに表示される表示態様を見て、交換した電池の電池電圧の状態を視覚的にわかりやすく認識することができ、電池の交換時期や、電池切れを的確に知ることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子キーにおいて、前記IDコード及び制御指令を前記装置に無線送信するために操作される操作スイッチと、前記操作スイッチが操作されるとき、前記電池の電池電圧を検出し、その検出した電池電圧に応じた前記表示態様を表示ランプに表示させる制御部を備えたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、操作スイッチが操作されるとき、制御部は電池の電池電圧を検出し、その検出した電池電圧に応じた表示態様に表示ランプを点灯制御する。このため、表示ランプに表示される表示態様を見て、電池の電池電圧の状態を、その時々で視覚的にわかりやすく認識することができ、電池の交換時期や、電池切れを的確に知ることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電池の電池電圧を報知することによって電池交換時期や、電池切れをユーザに的確に伝えることが可能な電子キーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる電子キーの斜視図。
【図2】第1実施形態における電子キーについてそのシステム構成を示すブロック図。
【図3】第1実施形態における車両についてそのシステム構成を示す説明図。
【図4】電池電圧とLED点灯との関係を示す説明図。
【図5】第2実施形態における電子キーについてそのシステム構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明をスマートエントリー機能及びリモートコントロール機能を有する車両用のスマートキーシステムの電子キーに具体化した第1の実施形態について図1を参照して説明する。
【0016】
図1は、電子キー1の斜視図である。電子キー1は車両20(図3参照)のドア20aの施解錠を遠隔操作するキーであって、外形が四角板状をなし、硬質の合成樹脂材料にて形成されている。
【0017】
電子キー1の表面1aには、ユーザによって押圧操作される操作スイッチとしてのロックボタンスイッチ2a及びアンロックボタンスイッチ2bの2つのボタンスイッチが設けられている。ロックボタンスイッチ2a及びアンロックボタンスイッチ2bは、ドア20aのロック及びアンロックを遠隔操作するときに押圧(オン)操作される。
【0018】
電子キー1の内部には、電池収納部4aが設けられ、その電池収納部4aに電池4が収納されている。電池4は、ボタン型の一次電池であって、電子キー1に内蔵された後述するリクエスト信号S1や応答信号S2を送受信する無線装置を構成する電子回路の駆動電源となる。なお、電池4の電圧が低下して電池切れの状態になったとき、電子キー1の裏面に設けた電池蓋(図示略)を開閉して、新たな電池4と交換できるようになっている。
【0019】
また、電子キー1の表面1aには、応答信号S2等の信号を送信する毎に点灯するインジケータランプ5が設けられている。このインジケータランプ5は応答信号S2等が送信される毎に点灯し、応答信号S2等が送信されたことをユーザに報知するようになっている。加えて、インジケータランプ5は、電池4のその時々の電圧状態を指標する表示ランプとしての機能も有している。インジケータランプ5はロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bが押圧操作される毎に、その時の電池4の電圧状態に応じた表示態様で点灯し、その時の電子キー1の作動と電池4の電圧状態をユーザに視認させるようになっている。また、インジケータランプ5は、電子キー1の裏面に設けた電池蓋を開閉して、新たな電池4が交換される毎に、交換した電池4の電池電圧Vnに応じた表示態様で点灯し、交換した電池4の電圧状態をユーザに視認させるようになっている。
【0020】
次に、電子キー1に内蔵された電子回路の電気的構成を図2に従って説明する。
図2に示すように、電子キー1は、受信回路11、送信回路12、制御部13を有している。受信回路11、送信回路12及び制御部13は、それぞれ電池4に電気的に接続され、同電池4から駆動電圧が印加されている。
【0021】
受信回路11は、車両20から送信されたリクエスト信号S1を受信する。受信回路11は、受信したリクエスト信号S1を制御部13に出力する。制御部13は、リクエスト信号S1に応答して、識別コード(IDコード)を含む応答信号S2を生成し、送信回路12に出力する。送信回路12は、制御部13からの応答信号S2を車両20に向かって送信する。
【0022】
制御部13は、緑色発光ダイオード(緑色LED)14と黄色発光ダイオード(黄色LED)15と接続されていて、応答信号S2が送信回路12から車両20に向かって送信されるときに、緑色LED14を点灯制御し、応答信号S2が送信されたことをユーザに報知するようになっている。
【0023】
また、制御部13は、ロックボタンスイッチ2a及びアンロックボタンスイッチ2bと接続されている。制御部13は、ロックボタンスイッチ2aのオン操作に応答して、IDコード及びドア20aを施錠させるためのロック指令を含むロック信号S3を生成し、送信回路12に出力する。一方、制御部13は、アンロックボタンスイッチ2bのオン操作に応答して、IDコード及びドア20aを解錠させるためのアンロック指令を含むアンロック信号S4を生成し、送信回路12に出力する。送信回路12は、制御部13からのロック信号S3、アンロック信号S4を入力し、これら信号S3,S4を車両20に向かって送信する。
【0024】
さらに、制御部13は、ロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bのオン操作に応答して、電池4のその時の電池電圧Vnを検出する。そして、制御部13は、ロック信号S3又はアンロック信号S4を車両20に向かって送信するとき、その時の電池電圧Vnに基づいて、緑色LED14と黄色LED15を点灯制御するようになっている。このため、ロック信号S3又はアンロック信号S4が車両20に向かって送信されたことをユーザに報知するとともに、電池4のその時の電池電圧Vnを報知することができる。
【0025】
詳述すると、緑色LED14と黄色LED15は、インジケータランプ5の光源であって、緑色LED14が発光すると、インジケータランプ5から緑色の光が発せられ、黄色LED15が発光すると、インジケータランプ5から黄色の光が発せられる。
【0026】
制御部13は、検出した電池電圧Vnが、図4に示すように、電圧V1以上の正常範囲Z1、電圧V1未満・電圧V2以上の交換推奨範囲Z2、又は、電圧V2未満の動作停止範囲Z3のいずれに属するか判断するようになっている。そして、制御部13は、電池電圧Vnが電圧V1以上の正常範囲Z1にあると判断した時、緑色LED14を予め定めた時間(例えば、3秒間)駆動させ、インジケータランプ5から緑色の光を出射させる。また、制御部13は、電池電圧Vnが交換推奨範囲Z2にあると判断したとき、黄色LED15を予め定めた時間(例えば、3秒間)駆動させ、インジケータランプ5から黄色の光を出射させる。さらに、制御部13は、電池電圧Vnが電圧V2未満の動作停止範囲Z3にあると判断した時、緑色及び黄色LED14,15を駆動させずに、インジケータランプ5を消灯させるようになっている。
【0027】
従って、ロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bをオン操作して、インジケータランプ5が緑色の光を発した表示態様の時、ユーザは電池4の電池電圧Vnは充分にあると認識することができる。また、インジケータランプ5が黄色の光を発した表示態様の時、ユーザは電池4の電池電圧Vnが下がり、電池4を新しい電池4と交換する時期にきたと認識することができる。さらに、ロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bをオン操作しても、インジケータランプ5が点灯しない表示態様の時、ユーザは電池4が切れていることを認識することができる。
【0028】
また、制御部13は、電子キー1の裏面に設けた電池蓋を開閉して新たな電池4が交換されたとき、その電池交換されたことを検知し、新たな電池4の電池電圧Vnを検出するようになっている。本実施形態では、制御部13は、一旦、印加されていた電圧が0Vになり再び電圧が印加されると、電池交換が行われたと判断し、その新たな電池4の電池電圧Vnを検出する。
【0029】
制御部13は、検知した新たな電池4の電池電圧Vnが、正常範囲Z1、交換推奨範囲Z2、又は、動作停止範囲Z3のどの範囲にあるか判断し、その属する範囲に応じて、上記と同様に、各LED14,15を予め定めた時間(例えば、3秒間)駆動させる。これによって、交換した電池4が、正常範囲Z1、交換推奨範囲Z2、又は、動作停止範囲Z3のどの範囲にあるか認識することができる。
【0030】
次に、上記電子キー1を使って遠隔操作される車両20のドア20aに設けられたドアロック装置を簡単に説明する。
図3に示すように、車両20に実装した装置としてのドアロック装置は、送信回路21、受信回路22、制御部23を有し、送信回路21はドア20a近辺のエリア(通信可能エリア)Aにリクエスト信号S1を発信する。受信回路22は、電子キー1から送信された応答信号S2、ロック信号S3又はアンロック信号S4を受信し、これら受信した各信号S2,S3,S4を制御部23に出力する。
【0031】
制御部23は、これら各信号S2,S3,S4に含まれるIDコードと制御部23が内蔵するメモリに予め記憶されているIDコードとの照合を行い、この照合を通じて互いのIDコードが一致しているかどうか判断する。そして、制御部23は、一致していると判断すると、各ドア20aに設けられているドアロック機構24のアクチュエータ24aを駆動させる。
【0032】
即ち、応答信号S2又はアンロック信号S4を受信した時には、ドア20aをアンロックさせるようにドアロック機構24のアクチュエータ24aを駆動させる。反対に、ロック信号S3を受信した時には、ドア20aをロックさせるようにドアロック機構24のアクチュエータ24aを駆動させる。
【0033】
次に、上記のように構成した電子キー1の作用を説明する。
今、図3に示すように、電子キー1を所持したユーザが、車両20のドア20aの周辺に設定された、送信回路21から送信されたリクエスト信号S1の通信可能エリアAに進入すると、電子キー1はリクエスト信号S1を受信する。リクエスト信号S1を受信した電子キー1は、リクエスト信号S1に応答して、応答信号S2を車両20の受信回路22に送信するとともに、制御部13はインジケータランプ5を緑色に点灯制御する。
【0034】
車両20の受信回路22は、電子キー1から送信された応答信号S2を受信し、制御部23に出力する。制御部23は、応答信号S2に含まれるIDコードと制御部23が持つIDコードとの照合を行い、この照合に通じて互いのIDコードが一致しているかどうか判断する。そして、制御部23は、一致していると判断すると、ドア20aに設けられているドアロック機構24のアクチュエータ24aを駆動させてドア20aをアンロックさせる。
【0035】
即ち、電子キー1を所持したユーザが通信可能エリアAに進入すると、ドア20aがアンロックすることのできるスマートエントリー機能を有した電子キー1である。
また、電子キー1を所持したユーザがドア20aをロックしようとしてロックボタンスイッチ2aをオン操作すると、電子キー1はロック信号S3を車両20に送信する。車両20の受信回路22は受信したロック信号S3を制御部23に出力し、制御部23はこのロック信号S3に含まれるIDコードが一致しているかどうか判断する。制御部23は、一致していると判断すると、ロック信号S3に含まれるロック指令に基づいて、両ドア20aに設けられているドアロック機構24のアクチュエータ24aを駆動させてドア20aをロックさせる。
【0036】
一方、ユーザがアンロックボタンスイッチ2bをオン操作した時には、電子キー1はアンロック信号S4を車両20に送信する。そして、車両20は、受信したアンロック信号S4に基づき、両ドア20aに設けられているドアロック機構24のアクチュエータ24aを駆動させて車両ドア20aをアンロックさせる。
【0037】
即ち、ユーザがロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bをオン操作した時、ドア20aをロック及びアンロックを遠隔操作できる、いわゆる、リモートコントロール機能を有した電子キー1である。
【0038】
そして、ユーザがロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bをオン操作した時、制御部13は、ロック信号S3又はアンロック信号S4の送信に合わせてその時の電池4の電池電圧Vnに応じてインジケータランプ5の表示態様を、緑色、黄色、又は消灯のいずれか1つに表示制御する。従って、インジケータランプ5の表示態様を見て、電池4の電池電圧Vnの状態を、その時々で認識することができる。
【0039】
さらに、ユーザが電池4を交換した時、制御部13は、その交換した電池4の電池電圧Vnに応じてインジケータランプ5の表示態様を、緑色、黄色、又は消灯のいずれか1つに表示制御する。従って、インジケータランプ5の表示態様を見て、交換した電池4の電池電圧Vnの状態を認識することができる。
【0040】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、電子キー1は、該電子キー1に内蔵される電池4の電池電圧Vnに応じてインジケータランプ5の発光色を緑色から黄色に変化させ、電池切れになった時は、インジケータランプ5を消灯させるようにした。このため、電池4の電池電圧Vnがユーザに対してわかりやすく報知され、電池4の交換時期や、電池切れを的確に知ることができる。
【0041】
(2)本実施形態では、インジケータランプ5は、電池4を交換する際に、電池4の電池電圧Vnの電圧状態を数秒間表示する。このため、電池4を交換する際に電池4の電池電圧Vnを確認することができ、視覚的にわかりやすく電池4の電池電圧Vnを報知することが可能となり、電池4の交換時期を的確に知ることができる。また、インジケータランプ5の点灯を数秒間に限って行うため、緑色及び黄色LED14,15の消費電力を最小限に抑えることが可能となる。
【0042】
(3)本実施形態では、電子キー1から応答信号S2、ロック信号S3又はアンロック信号S4が車両20に向かって送信されるときに、各信号S2,S3,S4が送信されたことを確認できるインジケータランプ5の点灯と、電池4の電池電圧Vnを報知するインジケータランプ5の点灯とを、緑色及び黄色LED14,15を駆動させることによって行う。このため、ロック信号S3又はアンロック信号S4が送信されるときには、ユーザは各信号S3,S4が送信されたことを確認するとともに、電池4の電池電圧Vnがインジケータランプ5の発光色の変化によってわかりやすく報知され、電池4の交換時期や、電池切れを的確に知ることができる。更に、各信号S2,S3,S4の送信を報知するインジケータランプ5と、電池4の電池電圧Vnを報知するインジケータランプ5とを同一としたため、部品の点数を削減可能となり、また電子キー1を簡易な構成とすることが可能となる。
【0043】
(第2の実施形態)
本実施形態の電子キー1は、受信回路11を備えていない点が、図1に示す第1の実施形態の電子キー1と相違する。即ち、第1の実施形態の電子キー1がスマートエントリー機能及びリモートコントロール機能を有しているのに対して、本実施形態の電子キー1はリモートコントロール機能のみを有した電子キー1である。そのため、説明の便宜上、その相違する点について説明する。
【0044】
尚、本実施形態の電子キー1を使って遠隔操作される車両20のドア20aに設けられたドアロック装置は、第1の実施形態の送信回路21が省略され、電子キー1からの応答信号S2に対する制御部23の処理動作が省略される点が相違する。従って、説明の便宜上、車両20に設けられたドアロック装置の説明は省略する。
【0045】
図5に示すように、電子キー1は、送信回路12と制御部13を有し、送信回路12及び制御部13は、それぞれ電池4に電気的に接続され、同電池4から駆動電圧が印加されている。
【0046】
制御部13は、ロックボタンスイッチ2a及びアンロックボタンスイッチ2bと接続されているとともに、緑色LED14と黄色LED15と接続されている。そして、制御部13は、ロックボタンスイッチ2aのオン操作に応答して、IDコード及びドア20aを施錠させるためのロック指令を含むロック信号S3を生成し、送信回路12に出力する。一方、制御部13は、アンロックボタンスイッチ2bのオン操作に応答して、IDコード及びドア20aを解錠させるためのアンロック指令を含むアンロック信号S4を生成し、送信回路12に出力する。送信回路12は、制御部13からのロック信号S3、アンロック信号S4を入力し、これら信号S3,S4を車両20に向かって送信する。
【0047】
また、制御部13は、ロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bのオン操作に応答して、電池4のその時の電池電圧Vnを検出する。また、第1の実施形態と同様に、制御部13は、電子キー1の裏面に設けた電池蓋を開閉して新たな電池4が交換されたとき、その電池交換されたことを検知し、新たな電池4の電池電圧Vnを検出するようになっている。
【0048】
そして、制御部13は、検出した電池電圧Vnが、図4に示すように、電圧V1以上の正常範囲Z1、電圧V1未満・電圧V2以上の交換推奨範囲Z2、又は、電圧V2未満の動作停止範囲Z3のいずれに属するか判断するようになっている。そして、制御部13は、電池電圧Vnが電圧V1以上の正常範囲Z1にあると判断した時、緑色LED14を予め定めた時間(例えば、3秒間)駆動させ、インジケータランプ5から緑色の光を出射させる。また、制御部13は、電池電圧Vnが交換推奨範囲Z2にあると判断したとき、黄色LED15を予め定めた時間(例えば、3秒間)駆動させ、インジケータランプ5から黄色の光を出射させる。さらに、制御部13は、電池電圧Vnが電圧V2未満の動作停止範囲Z3にあると判断した時、緑色及び黄色LED14,15を駆動させずに、インジケータランプ5を消灯させるようになっている。
【0049】
従って、ロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bをオン操作して、インジケータランプ5が緑色の光を発した時、ユーザは電池4の電池電圧Vnは充分にあると認識することができる。また、インジケータランプ5が黄色の光を発した時、ユーザは電池4の電池電圧Vnが下がり、電池4を新しい電池4と交換する時期にきたと認識することができる。さらに、ロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bをオン操作しても、インジケータランプ5が点灯しない時、ユーザは電池4が切れていることを認識することができる。
【0050】
また、電池4を交換した時、制御部13は、交換した電池4の電池電圧Vnを検出し、交換した電池4が、正常範囲Z1、交換推奨範囲Z2、又は、動作停止範囲Z3のどの範囲にあるかを認識する。そして、制御部13は、検知した新たな電池4の電池電圧Vnが、正常範囲Z1、交換推奨範囲Z2、又は、動作停止範囲Z3のどの範囲にあるか認識すると、その属する範囲に応じて、上記と同様に、各LED14,15を予め定めた時間(例えば、3秒間)駆動させる。これによって、交換した電池4が、正常範囲Z1、交換推奨範囲Z2、又は、動作停止範囲Z3のどの範囲にあるか認識することができる。
【0051】
次に、このような構成からなる電子キー1の動作について説明する。
電子キー1を所持したユーザがドア20aをロックしようとしてロックボタンスイッチ2aをオン操作すると、電子キー1はロック信号S3を車両20に送信する。車両20の受信回路22は受信したロック信号S3を制御部23に出力し、制御部23はこのロック信号S3に含まれるIDコードと制御部23が持つIDコードが一致しているかどうか判断する。制御部23は、一致していると判断すると、ロック信号S3に含まれるロック指令に基づいて、ドア20aに設けられているドアロック機構24のアクチュエータ24aを駆動させてドア20aをロックさせる。
【0052】
一方、ユーザがアンロックボタンスイッチ2bをオン操作した時には、電子キー1はアンロック信号S4を車両20に送信する。そして、車両20は、受信したアンロック信号S4に基づき、ドア20aに設けられているドアロック機構24のアクチュエータ24aを駆動させて車両ドア20aをアンロックさせる。
【0053】
そして、ユーザがロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bをオン操作した時、制御部13は、ロック信号S3又はアンロック信号S4の送信に合わせてその時の電池4の電池電圧Vnに応じてインジケータランプ5の表示態様を、緑色、黄色、又は消灯のいずれか1つに表示制御する。従って、インジケータランプ5の表示態様を見て、電池4の電池電圧Vnの状態を、ユーザはその時々で認識することができる。
【0054】
さらに、ユーザが電池4を交換した時、制御部13は、その交換した電池4の電池電圧Vnに応じてインジケータランプ5の表示態様を、緑色、黄色、又は消灯のいずれか1つに表示制御する。従って、インジケータランプ5の表示態様を見て、交換した電池4の電池電圧Vnの状態を認識することができる。
【0055】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、電子キー1は、該電子キー1に内蔵される電池4の電池電圧Vnに応じてインジケータランプ5の発光色を緑色から黄色に変化させ、電池切れになった時は、インジケータランプ5を消灯させるようにした。このため、電池4の電池電圧Vnがユーザに対してわかりやすく報知され、電池4の交換時期や、電池切れを的確に知ることができる。
【0056】
(2)本実施形態では、インジケータランプ5は、電池4を交換する際に、電池4の電池電圧Vnの電圧状態を数秒間表示する。このため、電池4を交換する際に電池4の電池電圧Vnを確認することができ、視覚的にわかりやすく電池4の電池電圧Vnを報知することが可能となり、電池4の交換時期を的確に知ることができる。また、インジケータランプ5の点灯を数秒間に限って行うため、緑色及び黄色LED14,15の消費電力を最小限に抑えることが可能となる。
【0057】
(3)本実施形態では、電子キー1からロック信号S3又はアンロック信号S4が車両20に向かって送信されるときに、各信号S3,S4が送信されたことを確認できるインジケータランプ5の点灯と、電池4の電池電圧Vnを報知するインジケータランプ5の点灯とを、緑色及び黄色LED14,15を駆動させることによって行う。このため、ユーザは各信号S3,S4が送信されたことを確認するとともに、電池4の電池電圧Vnがインジケータランプ5の発光色の変化によってわかりやすく報知され、電池4の交換時期や、電池切れを的確に知ることができる。更に、各信号S3,S4の送信を報知するインジケータランプ5と、電池4の電池電圧Vnを報知するインジケータランプ5とを同一としたため、部品の点数を削減可能となり、また電子キー1を簡易な構成とすることが可能となる。
【0058】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態では、ロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bのオン操作に応答して、電池4のその時の電池電圧Vnを検出し、また、新たな電池4が交換されたときに、新たな電池4の電池電圧Vnを検出するようにした。
【0059】
これを、ロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bのオン操作の場合のみに、電池4の電池電圧Vnを検出し、その時の電池電圧Vnに応じて緑色LED14と黄色LED15を駆動制御したり、反対に、新たに電池4が交換された場合のみに、電池4の電池電圧Vnを検出し、その時の電池電圧Vnに応じて緑色LED14と黄色LED15を駆動制御して実施してもよい。
【0060】
・上記実施形態では、ロックボタンスイッチ2a又はアンロックボタンスイッチ2bを用いて車両20のドア20aのロックの施解錠を行ったが、これに限らず電子キー1に新たな操作ボタンスイッチを設けて、この新たに設けた操作ボタンスイッチに応用するようにしてもよい。また、ロックボタンスイッチ2aやアンロックボタンスイッチ2b以外の用途で既に存在するスイッチを用いて実施してもよい。
【0061】
・上記実施形態では、緑色及び黄色LED14,15を用いたが、他の色でもよく、例えば、複数色のLEDを混色することによってインジケータランプ5を様々な色に点灯させてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、緑色及び黄色LED14,15を用いたが、緑色LED14のみを用いて、電池4の電池電圧Vnに応じて、インジケータランプ5の表示態様が変化するようにしてもよい。例えば、電池4の電池電圧Vnに応じて、インジケータランプ5を点灯から点滅、そして消灯するように緑色LED14を駆動させてもよく、また、電池電圧Vnに応じて、インジケータランプ5を点灯から長い間隔の点滅、そして短い間隔の点滅へと変化するように緑色LED14を駆動させてもよい。
【0063】
・第1の実施形態では、スマートエントリー機能及びリモートコントロール機能を有した電子キー1について、第2の実施形態では、リモートコントロール機能のみを有した電子キー1について説明した。これを、スマートエントリー機能のみ有した電子キー1に応用してもよい。
【0064】
この場合、電子キー1は、ロックボタンスイッチ2a及びアンロックボタンスイッチ2bを有さないので、電池4が交換されたとき、制御部13はその新たな電池4の電池電圧Vnを検出し、その時の電池電圧Vnに応じて緑色LED14と黄色LED15を駆動制御することになる。
【0065】
・第1及び第2の実施形態の電子キー1は、車両20との間で相互無線通信を自動で行い、車両20のドア20aのロックの施解錠を行うシステムに具体化した。これを、制御対象をエンジンとし、車両20のエンジンの始動及び停止を無線通信で行うエンジン始動停止システムに応用してもよい。また、制御対象を住宅のドア、戸とし、その施解錠を行うシステムに応用したり、ガレージの開閉等に応用してもよい。
【0066】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項2又は3に記載の電子キーにおいて、前記制御部は、検出した電池電圧に応じた前記表示態様を表示ランプに予め定めた時間表示することを特徴とする電子キー。
【0067】
この発明では、制御部は、検出した電池電圧に応じた表示態様に表示ランプを予め定めた時間点灯制御する。このため、表示ランプが消費する電力を最小限に抑えることが可能となる。
【0068】
(ロ)請求項2又は3及び上記(イ)のいずれか一項に記載の電子キーにおいて、
前記表示ランプは、複数の異なる色の光を出射する発光ダイオードを光源とし、各発光ダイオードが前記制御部にて駆動制御されることを特徴とする電子キー。
【0069】
この発明では、表示ランプは、複数の異なる色の光を出射する発光ダイオードを光源とし、各発光ダイオードが制御部にて駆動制御される。表示ランプの光源となる発光ダイオードは、消費電力が少ないため、表示ランプが消費する電力をより効率的に抑えることが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1…電子キー、2a…ロックボタンスイッチ(操作スイッチ)、2b…アンロックボタンスイッチ(操作スイッチ)、4…電池、5…インジケータランプ(表示ランプ)、13…制御部、14…緑色LED(発光ダイオード)、15…黄色LED(発光ダイオード)、20a…ドア(制御対象)S3…ロック信号(制御指令)、S4…アンロック信号(制御指令)、Vn,V1,V2…電池電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の装置を制御するためのIDコードを前記装置に無線送信する電子キーであって、
前記電子キーは、該電子キーに内蔵される電池の電池電圧に応じて表示態様が変わる表示ランプを備えたことを特徴とする電子キー。
【請求項2】
請求項1に記載の電子キーにおいて、
前記電子キーに前記電池を交換したとき、該電池の電池電圧を検出し、その検出した電池電圧に応じた前記表示態様を表示ランプに表示させる制御部を備えたことを特徴とする電子キー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子キーにおいて、
前記IDコード及び制御指令を前記装置に無線送信するために操作される操作スイッチと、
前記操作スイッチが操作されるとき、前記電池の電池電圧を検出し、その検出した電池電圧に応じた前記表示態様を表示ランプに表示させる制御部を備えたことを特徴とする電子キー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−132770(P2011−132770A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294641(P2009−294641)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】