説明

電子ペーパーの製造方法、及び電子ペーパー形成工程用両面粘着テープ

【課題】薄い支持フィルムを使用しても、支持フィルムに皺が入ることなく薄膜トランジスタを形成し、表示層を貼り合わせて電子ペーパーを形成することができ、形成後は、特に洗浄工程を設ける必要がない電子ペーパーの製造方法を提供する。
【解決手段】電子ペーパーの製造方法は、電子ペーパー支持フィルム7を両面粘着テープ5で支持板6に仮固定した状態で、該電子ペーパー支持フィルム7上に薄膜トランジスタ8を形成してドライバ層を得、さらに、該ドライバ層上に画像表示機能を有する表示層9を貼り合わせる電子ペーパー形成工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次世代の表示デバイスとして期待される電子ペーパーの製造方法、及び該電子ペーパーの製造方法に使用する電子ペーパー形成工程用両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示デバイスとしてはもっぱら紙が使用されてきた。しかしながら、環境問題が深刻化している昨今、ペーパーレス化の必要性が叫ばれている。
【0003】
ペーパーレス化の手段としては、例えば、ディスプレイの使用が挙げられるが、ディスプレイは、持ち運びにくく、落とすと壊れる。また、表示中は電源が必要となり、立ち上げるのに時間がかかることが問題である。そこで、次世代表示デバイスとして、電子ペーパーが注目されている(特許文献1)。電子ペーパーは、入力後は電源不要で表示させることができ、立ち上げ時間もゼロである。その上、軽くて薄く、曲げることができ、落としても壊れにくい。さらに、表示が鮮明で、複数のページを自由に見ることが可能であり、文字通り、「紙のような」携帯性、視認性、自在性を持ちながら、書き換えもできるディスプレイである。
【0004】
電子ペーパーは、画像や文字を表示する機能を有する表示層(フロントパネル)と、それを制御するドライバ層とが貼り合わされた構造を有する。ドライバ層には内部で電界を発生させる薄膜トランジスタ(以下「TFT」(Thin Film transistor)と称する場合がある)の利用が一般的で、例えば、支持フィルム上にTFTを形成することにより得ることができる。従来、電子ペーパーの製造方法としては、支持フィルムをワックスや接着剤などで支持板に仮固定した後、該支持フィルム上にTFTを形成してドライバ層を製造し、さらに、該ドライバ層に表示層を貼り合わせる方法が多く用いられてきた。
【0005】
しかしながら、上記製造方法では、表示層とドライバ層との貼り合わせ終了後は、ワックスや接着剤を除去する洗浄工程が必要となるため、手間がかかり、生産性を向上させることが難しく、さらに、ワックスや接着剤の除去には有機溶剤を使用するため、作業性に問題があった。また、上記TFT形成の際や、表示層を貼り合わせる際に、支持フィルムを固定しない状態では、支持フィルムに皺が入ることが問題であり、支持フィルムに皺が入ることを防止するためには、ある程度支持フィルムの厚みを厚くする必要があった。
【0006】
しかし、支持フィルムの厚さは、電子ペーパーの軽さ、薄さ、柔軟さを追求する上で特に重要な点であり、より薄いことが好ましい。すなわち、薄い支持フィルムを使用しても、支持フィルムに皺が入ることなくTFTを形成し、表示層を貼り合わせて電子ペーパーを形成することができ、形成後は、特に洗浄工程を設ける必要がない電子ペーパーの製造方法が見出されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−46792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、薄い支持フィルムを使用しても、支持フィルムに皺が入ることなくTFTを形成し、表示層を貼り合わせて電子ペーパーを形成することができ、形成後は、特に洗浄工程を設ける必要がない電子ペーパーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、支持フィルムを両面粘着テープで仮固定した状態で、該支持フィルム上にTFTを形成してドライバ層を得、さらに、該ドライバ層上に画像表示機能を有する表示層を貼り合わせることにより、電子ペーパー支持フィルムを薄くしても、支持フィルムに皺が入ることなく、容易にTFTを形成してドライバ層を得ることができ、さらに皺が入ることがなくドライバ層と表示層とを貼り合わせることができること、及び、該両面粘着テープは、電子ペーパー形成後は糊残りすることなく剥離することができ、剥離後に電子ペーパー背面を洗浄する必要がないことを見出し本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、電子ペーパー支持フィルムを両面粘着テープで支持板に仮固定した状態で、該電子ペーパー支持フィルム上に薄膜トランジスタを形成してドライバ層を得、さらに、該ドライバ層上に画像表示機能を有する表示層を貼り合わせる電子ペーパー形成工程を有する電子ペーパーの製造方法を提供する。
【0011】
電子ペーパー形成工程後には、電子ペーパーを支持板から剥離する工程を有することが好ましい。
【0012】
両面粘着テープとしては、少なくとも片面が熱剥離型粘着剤層面であることが好ましく、特に、基材層の両面に熱膨張性微小球を含有する熱剥離型粘着剤層を有する熱剥離型両面粘着テープであることが好ましい。
【0013】
本発明は、また、上記電子ペーパーの製造方法に使用する電子ペーパー形成工程用両面粘着テープを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電子ペーパーの製造方法によれば、電子ペーパー支持フィルムを両面粘着テープで仮固定するため、薄い電子ペーパー支持フィルムを使用しても、容易に、且つ電子ペーパー支持フィルムに皺が入ることなくTFTを形成することができる。さらに、表示層とドライブ層とを貼り合わせる工程においても、電子ペーパー支持フィルムに皺が入ることなく、且つ、簡易に貼り合わせることができる。そして、電子ペーパーの形成工程後は、仮固定に使用した両面粘着テープから電子ペーパーを容易に、且つ糊残りすることなくきれいに剥離することができ、形成工程、及び剥離工程を自動化することも可能である。その上、剥離工程後は、電子ペーパーの両面粘着テープと接合されていた面(電子ペーパー背面)を洗浄する必要がなく生産性を大幅に向上させることができる。そして、従来、洗浄工程において使用されていた有機溶剤等は使用する必要がないため、作業性に優れ、環境汚染の問題などを引き起こすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る電子ペーパーの製造方法において使用する両面粘着テープの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係る電子ペーパーの製造方法において使用する両面粘着テープの他の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係る電子ペーパーの製造方法の一例を示す概略図(断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明に係る電子ペーパーの製造方法において使用する両面粘着テープの一例を示す概略断面図であり、基材層1の両面に粘着剤層3A、3Bが設けられ、該粘着剤層上にセパレータ4が積層されている。
【0017】
図2は、本発明に係る電子ペーパーの製造方法において使用する両面粘着テープの他の一例を示す概略断面図であり、基材層1の両面にゴム状有機弾性層2A又は2Bを介して粘着剤層3A、3Bが設けられ、該粘着剤層上にセパレータ4が積層されている。
【0018】
図3は、本発明に係る電子ペーパーの製造方法の一例を示す概略図(断面図)である。図3に示される電子ペーパーの製造方法は、次のような各工程を有する。すなわち、
1.両面粘着テープ5の一方の面を支持板6に貼り合わせる。
2.両面粘着テープ5の、支持板6を貼り合わせた面とは反対の面に電子ペーパー支持フィルム7を貼り合わせる。
3.貼り合わされた電子ペーパー支持フィルム7上に、TFT8を形成する。
4.TFT8が形成された電子ペーパー支持フィルム7上に、表示層(フロントパネル)9を貼り合わせる。
5.加熱処理を施して、両面粘着テープ5の粘着剤層3A、3Bを膨張及び/又は発泡させて、得られた電子ペーパー10と支持板6とを剥離する。
【0019】
本発明に係る電子ペーパーの製造方法は、電子ペーパー支持フィルムを両面粘着テープで支持板に仮固定した状態で、該電子ペーパー支持フィルム上に薄膜トランジスタを形成してドライバ層を得、さらに、該ドライバ層上に画像表示機能を有する表示層を貼り合わせる電子ペーパー形成工程を有する。
【0020】
[両面粘着テープ]
本発明の両面粘着テープは電子ペーパー及び支持板から剥離可能なものであればよい。また、本発明の両面粘着テープは、ハンドリング性、加工性等の観点から、基材層付きの両面粘着テープであることが好ましい。更に、本発明の両面粘着テープは、上記の粘着剤層、基材層の他に、ゴム状有機弾性層を有していることが好ましい。また、本発明の両面粘着テープの粘着面は使用までの間、セパレータ(剥離ライナー)が貼着され、保護されていてもよい。
【0021】
[粘着剤層]
本発明の両面粘着テープは粘着テープ両面に粘着剤層を有する。該粘着剤層としては、例えば、熱膨張性微小球を含有しない感圧接着剤層、活性エネルギー線硬化型粘着剤層、熱剥離型粘着剤層等を挙げることができる。
【0022】
本発明の両面粘着テープの粘着剤層としては、一方の面(例えば、電子ペーパー支持フィルムに貼着する面)と、他の面(例えば、支持板に貼着する面)とで、異なる種類の粘着剤層を有していてもよく、同一種類の粘着剤層を有していてもよい。一方の面(例えば、電子ペーパー支持フィルムに貼着する面)の粘着剤層と、他の面(例えば、支持板に貼着する面)の粘着剤層との組み合わせとしては、例えば、熱剥離型粘着剤層/活性エネルギー線硬化型粘着剤層、熱剥離型粘着剤層/感圧接着剤層、熱剥離型粘着剤層/熱剥離型粘着剤層、活性エネルギー線硬化型粘着剤層/感圧接着剤層、活性エネルギー線硬化型粘着剤層/活性エネルギー線硬化型粘着剤層、感圧接着剤層/感圧接着剤層等を挙げることができる。
【0023】
本発明の両面粘着テープとしては、少なくとも一方の面(特に、電子ペーパー支持フィルムに貼着する面)の粘着剤層が熱剥離型粘着剤層である熱剥離型両面粘着テープが好ましく、特に、両面が熱剥離型粘着剤層である(熱剥離型粘着剤層/熱剥離型粘着剤層である)熱剥離型両面粘着テープが、粘着力の調整が容易であり、粘着力を必要とされる場面では、強固な粘着力を発揮させることができ、不要となった場合は、簡便な方法で粘着力を著しく減少させることができる点で好ましい。
【0024】
熱剥離型粘着剤層は、粘着性を付与するための粘着剤、及び熱膨張性を付与するための熱膨張性微小球(マイクロカプセル)を含有し、加熱することにより、含有する熱膨張性微小球が膨張及び/又は発泡し、被着体と粘着剤層との接着面積が著しく減少するため、粘着力を急激に低下させることができることを特徴とする。これにより、未加熱の状態では強接着性を有しながら、剥離を要する場合は加熱により容易に剥離することが可能となる。なお、マイクロカプセル化している発泡剤は、良好な剥離性を安定して発現させることができる。
【0025】
前記粘着剤としては、加熱時に熱膨張性微小球の膨張及び/又は発泡を可及的に拘束しないようなものが好ましく、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、これらの粘着剤に融点が約200℃以下の熱溶融性樹脂を配合したクリ−プ特性改良型粘着剤などの公知の粘着剤を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる(例えば、特開昭56−61468号公報、特開昭63−30205号公報、特開昭63−17981号公報等参照)。また、粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)のほかに、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート、アルキルエーテル化メラミン化合物など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。
【0026】
一般には、前記粘着剤として、天然ゴムや各種の合成ゴムをベースポリマーとしたゴム系粘着剤;(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、イソデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、ペンタデシルエステル、ヘキサデシルエステル、ヘプタデシルエステル、オクタデシルエステル、ノナデシルエステル、エイコシルエステルなどのC1-20アルキルエステルなど)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体(単独重合体又は共重合体)をベースポリマーとするアクリル系粘着剤などが用いられる。
【0027】
なお、前記アクリル系重合体は、凝集力、耐熱性、架橋性などの改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体成分に対応する単位を含んでいてもよい。このような単量体成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イコタン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクルロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどの複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子などを有するアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。これらの単量体成分は1種又は2種以上使用できる。
【0028】
上記粘着性成分(ベースポリマー)に架橋剤を添加する場合は、その添加量としては、ベースポリマー100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜8重量部である。なお、架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、チウラム系架橋剤、樹脂系架橋剤、金属キレートなどの架橋剤を用いることができる。
【0029】
なお、加熱処理前の適度な接着力と加熱処理後の接着力の低下性のバランスの点から、より好ましい粘着剤は、動的弾性率が常温から150℃において5000〜100万Paの範囲にあるポリマーをベースとした感圧接着剤である。
【0030】
前記熱膨張性微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球であればよい。前記殻は、熱溶融性物質や熱膨張により破壊する物質で形成される場合が多い。前記殻を形成する物質として、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。熱膨張性微小球は、慣用の方法、例えば、コアセルベーション法、界面重合法などにより製造できる。なお、本発明の熱膨張性微小球としては、例えば、松本油脂製薬(株)製、商品名「マツモトマイクロスフェアー F30D、F50D」などの市販品を使用することも可能である。
【0031】
また、加熱処理により粘着剤層の接着力を効率よく低下させるため、体積膨張率が5倍以上、なかでも7倍以上、特に10倍以上となるまで破裂しない適度な強度を有する熱膨張性微小球が好ましい。
【0032】
熱膨張性微小球の配合量は、熱剥離型粘着剤層の膨張倍率や粘着力(接着力)の低下性などに応じて適宜設定し得るが、一般には熱剥離型粘着剤層を形成するベースポリマー(例えば、アクリル系の粘着剤である場合にはアクリルポリマー)100重量部に対して、例えば1〜150重量部、好ましくは5〜100重量部である。上記熱膨張性微小球の配合量が1重量部未満では、十分な易剥離性を発揮することができない場合があり、一方、配合量が150重量部を超えると、熱剥離型粘着剤層表面が凸凹して接着性が低下する場合がある。特に本発明においては、電子ペーパーが破壊しない程度に容易に剥離できればよく、かつ、薄い熱剥離型粘着剤層を形成する場合は、熱膨張性微小球の配合量をある程度少なく抑えることが表面状態を安定的に形成する上で好ましい。この点から、完全剥離(粘着力がゼロとなる)のために必要な配合量の半分程度の配合量(30〜80重量部)が最適である。
【0033】
本発明の熱剥離型粘着剤層の熱膨張開始温度は、電子ペーパーの耐熱性などに応じて適宜決定され、特に限定するものではないが、一般的には、70〜160℃、好ましくは75〜110℃である。熱膨張開始温度が70℃未満では、例えば、仮固定された電子ペーパー支持フィルム上にTFTを形成する際に高温環境に曝された場合、熱剥離型粘着剤層に熱膨張が生じて接着力が低下し、高温環境における接着信頼性が低下する場合がある。一方、熱膨張開始温度が160℃を超えると、剥離工程において易剥離性を発現させるために高い温度をかける必要が生じるため、電子ペーパーが熱により変形するなどして、破損する場合がある。なお、本発明における「熱膨張開始温度」とは、熱膨張性微小球を熱分析装置(SII・ナノテクノロジー(株)製、商品名「TMA/SS6100」)を使用し、膨張法(荷重:19.6N、プローブ:3mmφ)にて測定した際の、熱膨張性微小球の膨張が開始した温度である。
【0034】
上記熱膨張開始温度は、熱膨張性微小球の種類や粒径分布などによって適宜制御することができる。特に、熱膨張性微小球を分級し、使用する熱膨張性微小球の粒径分布をシャープにすることにより容易に制御することができる。分級方法としては、公知の方法を用いることができ、乾式・湿式のいずれの方法を用いてもよく、分級装置としては、例えば、重力分級機、慣性分級機、遠心分級機など公知の分級装置を用いることが可能である。
【0035】
熱剥離型粘着剤層は両面粘着テープの表層(最表層)に位置することが好ましいが、表層以外の内層に位置していてもよい。その場合には、シートの最表層に熱剥離性を与える役割を有する層であれば、本発明の熱剥離型粘着剤層とする。
【0036】
また、両面粘着テープの一方の面(例えば、電子ペーパー支持フィルムに貼着する面)と、他の面(例えば、支持板に貼着する面)の熱剥離型粘着剤層は、それぞれ、同一の温度で膨張及び/又は発泡する熱膨張性微小球を含有していてもよく、また、異なった温度で膨張及び/又は発泡する熱膨張性微小球を含有していてもよい。本発明においては、なかでも、同一の温度で膨張及び/又は発泡する熱膨張性微小球を含有することが好ましい。電子ペーパーを支持板から剥離する工程において、加熱処理を1回施すことにより電子ペーパーと支持板とを同時に両面粘着テープから剥離することができ、エネルギーコストを削減することができるからである。
【0037】
粘着剤層は、例えば、必要に応じて溶媒を用いて粘着剤、熱膨張性微小球を含むコーティング液を調製し、これを基材層またはゴム状有機弾性層上に塗布する方法(ドライコーティング法)、適当なセパレータ(剥離紙など)上に前記コーティング剤を塗布して粘着剤層を形成し、これを基材層またはゴム状有機弾性層上に転写(移着)する方法(ドライラミネート法)、基材層の構成材料を含む樹脂組成物と前記粘着剤層形成材を含む樹脂組成物とを共押出しする方法(共押出法)などの適宜な方法で行うことができる。なお、粘着剤層は単層、複層の何れであってもよい。
【0038】
粘着剤層の厚さとしては、例えば、5〜300μm、好ましくは10〜100μm程度である。熱膨張性微小球を含有する熱剥離型粘着剤層の場合は、含有する熱膨張性微小球の最大粒径より厚ければよい。厚さが過大であると、加熱処理後の剥離時に凝集破壊が生じて、電子ペーパーに糊残りが発生する場合があり、剥離性が低下する場合がある。一方、厚さが過小では、粘着力が不足し、仮固定時に被着体を保持することが困難となる場合がある。特に、熱膨張性微小球を含有する熱剥離型粘着剤層の場合、熱膨張性微小球の凹凸により表面平滑性が損なわれて接着性が低下するため、仮固定時に脱落する恐れがある。また、加熱処理による熱剥離型粘着剤層の変形度が小さく、接着力が円滑に低下しにくくなったり、さらに、仮固定時の接着性を維持するために、添加する熱膨張性微小球の粒径を過度に小さくする必要が生じる場合がある。
【0039】
両面粘着テープの支持板と粘着剤層との間の粘着力、及び支持フィルムと粘着剤層との間の粘着力は、いずれも0.5〜7.0N/20mm程度が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5.0N/20mmである。上記粘着力が低すぎる場合、支持フィルムの保持が困難となり、支持フィルム上にTFTを形成する際に、支持板と粘着剤層、支持フィルムと粘着剤層とが剥がれてしまう可能性がある。また、上記粘着力が高すぎる場合、支持フィルム及び支持板から粘着剤層が加熱により発泡剥離する際に、粘着力が下がりきらず、支持板と粘着剤層との接着性、及び支持フィルムと粘着剤層との接着性が残っているため、形成したTFTを破損する可能性がある。なお、上記粘着力はJIS Z 0237に基づいて測定される。
【0040】
両面粘着テープの粘着剤層のゲル分率(溶剤不溶分の割合)は、50%(重量%)以上であることが好ましく、さらに好ましくは70%(重量%)以上である。ゲル分率が50%未満の場合、支持フィルム上にTFTを形成する際に、形成工程中の熱によるフィルムの収縮を抑制することが困難となり、フィルムがフラット(平滑)な状態を保てなくなってしまう。なお、上記ゲル分率とは、粘着剤を一定量採取し、トルエン溶液中に25℃で7日間浸漬させた場合に、トルエンに溶解しないものの割合である。試験方法については、評価試験において後述する。
【0041】
[基材層]
基材層を構成する基材としては、特に限定されず、各種基材を用いることが可能であり、例えば、布、不織布、フェルト、ネットなどの繊維系基材;各種の紙などの紙系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;各種樹脂によるフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体等の適宜な薄葉体を用いることができる。上記プラスチック系基材の材質又は素材としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートなど)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、セルロース類、フッ素系樹脂、ポリエーテル、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。なお、基材層は単層の形態を有していてもよく、また、複層の形態を有していてもよい。
【0042】
基材層の厚さとしては、特に限定されないが、500μm以下が好ましく、より好ましくは5〜250μm程度である。
【0043】
また、基材層の表面には、必要に応じて、粘着剤層等との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよい。
【0044】
[ゴム状有機弾性層]
本発明の両面粘着テープには、基材層と粘着剤層との間に、ゴム状有機弾性層を有することが好ましい。ゴム状有機弾性層は、両面粘着テープを電子ペーパー支持フィルムに接着する際に、両面粘着テープの表面を電子ペーパー支持フィルムの表面形状に良好に追従させて、接着面積を大きくするという機能を有する。また、両面粘着テープの粘着剤層が熱剥離型粘着剤層である場合、該両面粘着テープを電子ペーパー及び支持板から加熱剥離する際に、熱剥離型粘着剤層が三次元的構造変化することによるうねり構造の形成を助長する機能を有する。
【0045】
ゴム状有機弾性層は、上記機能を具備させるため、例えば、ASTM D−2240に基づくD型シュアーD型硬度が、50以下、特に40以下の天然ゴム、合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂により形成することが好ましい。
【0046】
前記合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂としては、例えば、ニトリル系、ジエン系、アクリル系などの合成ゴム;ポリオレフィン系、ポリエステル系などの熱可塑性エラストマー;エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリブタジエン、軟質ポリ塩化ビニルなどのゴム弾性を有する合成樹脂などが挙げられる。なお、ポリ塩化ビニルなどのように本質的には硬質系のポリマーは、可塑剤や柔軟剤等の配合剤との組み合わせによりゴム弾性が発現し得るため、このような組成物も、前記ゴム状有機弾性層の構成材料として使用できる。また、前述の粘着剤層を構成する粘着剤もゴム状有機弾性層の構成材料として好ましく用いることができる。
【0047】
ゴム状有機弾性層の厚さは、一般的には5〜300μm程度、好ましくは5〜100μm程度である。厚さが過大であると、剥離工程において粘着剤層が三次元的構造変化することを阻害して、剥離性が低下する傾向がある。
【0048】
ゴム状有機弾性層の形成は、例えば、前記天然ゴム、合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂などのゴム状有機弾性層形成材を含むコーティング液を基材層上に塗布する方法(コーティング法)、前記ゴム状有機弾性層形成材からなるフィルム、又は予め1層以上の粘着剤層上に前記ゴム状有機弾性層形成材からなる層を形成した積層フィルムを基材層と接着する方法(ドライラミネート法)、基材層の構成材料を含む樹脂組成物と前記ゴム状有機弾性層形成材を含む樹脂組成物とを共押出しする方法(共押出法)などの適宜な方法で行うことができる。
【0049】
なお、上記ゴム状有機弾性層形成材には、必要に応じて、例えば、充填剤、難燃剤、老化防止剤、帯電防止剤、軟化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等の公知の添加剤などが含まれていてもよい。
【0050】
上記ゴム状有機弾性層形成材に架橋剤を添加する場合は、その添加量としては、ゴム状有機弾性層形成材100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜8重量部である。なお、架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、チウラム系架橋剤、樹脂系架橋剤、金属キレートなどの公知慣用の架橋剤を用いることができる。
【0051】
[セパレータ]
本発明の両面粘着テープには、粘着剤層表面の保護、ブロッキング防止の観点などから、粘着剤層表面にセパレータ(剥離ライナー)が設けられていてもよい。セパレータは両面粘着テープを被着体に貼着する際に剥がされるものであり、必ずしも設けなくてもよい。用いられるセパレータとしては、特に限定されず、公知慣用の剥離紙などを使用できる。例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン系等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。
【0052】
上記セパレータは、本発明の両面粘着テープの両側の表面に設けられてもよいし、片方の粘着面に背面剥離層を有するセパレータを設け、シートを巻回することによって、反対側の粘着面にセパレータの背面剥離層が接するようにしてもよい。
【0053】
本発明の両面粘着テープを電子ペーパー形成工程用両面粘着テープとして使用すると、電子ペーパー形成工程中は、電子ペーパー支持フィルムにしっかりと貼着して仮固定することができ、電子ペーパー形成工程後は、容易に、且つ、糊残りすることなく剥離することができる。
【0054】
特に、両面粘着テープとして熱膨張性微小球を含有する熱剥離型両面粘着テープを使用すると、加熱処理を施す前は、優れた接着力を有し、電子ペーパー支持フィルムを強固に仮固定することができ、電子ペーパーの形成を円滑に行うことができる。そして、両面粘着テープが不要となった場合は、加熱処理を施すことにより、含有する熱膨張性微小球が膨張及び/又は発泡して粘着剤層が三次元的構造変化することによるうねり構造を形成するため、電子ペーパーとの接着面積が急激に低下し、電子ペーパーに対する接着力を著しく低下させることができる。それにより電子ペーパーを容易に、且つ、糊残りなどにより汚染することなく剥離することができる。
【0055】
「電子ペーパーの製造方法」
本発明に係る電子ペーパーの製造方法は、電子ペーパー支持フィルムを両面粘着テープで支持板に仮固定した状態で、該電子ペーパー支持フィルム上にTFTを形成してドライバ層を得、さらに、該ドライバ層上に画像表示機能を有する表示層を貼り合わせる電子ペーパー形成工程を有する。
【0056】
[電子ペーパー形成工程]
ドライバ層は、まず、電子ペーパー支持フィルムを支持板に両面粘着テープを介して仮固定し、仮固定された電子ペーパー支持フィルム上にTFTを形成することにより得られる。前記支持板を構成する材料としては、貼り合わされる電子ペーパー支持フィルムを保持することができればよく、特に限定されないが、電子ペーパー支持フィルムより硬質材料のものが好ましく用いられ、例えば、シリコン、ガラス、SUS板、銅板、アクリル板などが挙げられる。支持板の厚さとしては、例えば0.4mm以上(例えば、0.4〜5.0mm)が好ましい。
【0057】
支持板に両面粘着テープを介して電子ペーパー支持フィルムを貼り合わせる方法としては、支持板と電子ペーパー支持フィルムとを密着させることができればよく、例えば、ローラーやヘラ、プレス機などを使用して貼り合わせることができる。
【0058】
電子ペーパー支持フィルムを構成する材料としては、表示層と貼り合わせた後にも柔軟性を発揮することができる材料であれば特に限定されることはなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルからなるフィルムを使用することができる。また、電子ペーパー支持フィルムは、透明フィルムであってもよく、不透明フィルムであってもよい。さらに、色印刷フィルムや、色練り込みフィルム、必要に応じて金や銀、アルミニウムで蒸着した蒸着フィルムであってもよい。
【0059】
電子ペーパー支持フィルムの厚さとしては、例えば400μm以下程度、好ましくは25〜350μm程度、特に好ましくは38〜300μm程度である。
【0060】
電子ペーパー支持フィルム上に形成するTFTの型としては、特に限定されることがなく、例えば、スタガード(staggered)型、インバーテッド・スタガード(inverted staggered)型、コープレーナー(coplanar)型、インバーテッド・コープレーナー(inverted coplanar)型などを形成することができる。そして、トランジスタを構成する半導体層やゲート絶縁膜、電極、保護絶縁膜などは通常のTFT形成と同様に真空蒸着やスパッタリング、プラズマCVD、フォトレジストなどの方法により、電子ペーパー支持フィルム上に薄膜状に形成することができる。
【0061】
表示層は、画像表示機能を有する層である。表示層の画像表示形式としては、電気、磁気による表示機能を有するものであれば特に限定されることなく、例えば、ツイストボール方式や、電気泳動方式、帯電トナー表示方式などを使用することができる。
【0062】
表示層と、TFTが形成された電子ペーパー支持フィルムとを貼り合わせる方法としては、表示層と、TFTが形成された電子ペーパー支持フィルムとを密着させることができればよく、例えば、ローラーやヘラ、プレス機などを使用して貼り合わせることができる。また、表示層背面に、TFTが形成された電子ペーパー支持フィルムと接着するために粘着剤層が設けられている場合は、特に必要としないが、表示層背面に粘着剤層が設けられていない場合は、一般的な接着剤を使用して、TFTが形成された電子ペーパー支持フィルムとを接着することができる。
【0063】
[電子ペーパー剥離工程]
本発明に係る電子ペーパーの製造方法においては、電子ペーパー形成工程後に、さらに、電子ペーパーを支持板から剥離する工程を設けることが好ましい。剥離された電子ペーパーは、周知慣用の方法で回収される。
【0064】
また、電子ペーパー剥離工程においては、両面粘着テープを構成する粘着剤層の粘着力を低下させ、電子ペーパー形成工程を経て得られた電子ペーパーを支持板から剥離させることが好ましい。
【0065】
粘着剤層として活性エネルギー線硬化型粘着剤層を有する両面粘着テープを使用して仮固定した場合、活性エネルギー線(例えば、紫外線)を照射することにより粘着力を低下させることができる。活性エネルギー線照射の照射強度、照射時間等の照射条件は、特に限定されるものではなく、適宜必要に応じて設定することができる。
【0066】
粘着剤層として熱剥離型粘着剤層を有する両面粘着テープを使用して仮固定した場合、加熱することにより粘着力を低下させることができる。加熱手段としては、両面粘着テープを加熱して、含有する熱膨張性微小球を速やかに膨張及び/又は発泡させることができればよく、例えば、電熱ヒーター;誘電加熱;磁気加熱;近赤外線、中赤外線、遠赤外線などの電磁波による加熱;オーブン、ホットプレートなどを特に制限なく使用することができる。加熱温度としては、両面粘着テープが含有する熱膨張性微小球が膨張及び/又は発泡する温度であればよく、例えば70〜200℃、好ましくは100〜160℃程度である。
【実施例】
【0067】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0068】
実施例1
アクリル酸−2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル(30重量部/70重量部/5重量部)共重合体系感圧接着剤100重量部(イソシアネート系架橋剤を1重量部配合)を含むトルエン溶液を乾燥後の厚さが20μmとなるように基材としてのポリエステルフィルム(厚さ:100μm)の両面に塗布、乾燥し、ゴム状有機弾性層A、Bを得た。
次に、アクリル酸−2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル(30重量部/70重量部/5重量部)共重合体系感圧接着剤100重量部(イソシアネート系架橋剤を2重量部配合)に、熱膨張性微小球(松本油脂製薬(株)製、商品名「マツモトマイクロスフェアー F30D」、発泡開始温度:約80℃)30重量部を含むトルエン溶液を乾燥後の厚さが30μmとなるようにセパレータ上に塗布、乾燥し、粘着剤層A、Bを得、得られた粘着剤層A、Bを上記ゴム状有機弾性層A、B上にそれぞれ貼り合わせて、両面粘着テープ1を得た。
【0069】
得られた両面粘着テープ1を介して、ガラス板(厚さ:2.0mm、サイズ:10cm×10cm)と、PENフィルム(厚さ:50μm)とを気泡なく貼り合わせた。
【0070】
次に、PENフィルム上に下記手順でTFTを形成した。
1.PENフィルム上にフォトリソグラフィー方式を使用してゲート電極(N+Si、20μm、1mmピッチ)を形成した。
2.ゲート電極上に窒化膜(厚さ:5μm)を形成した。
3.窒化膜上にチャネル層(水素化アモルファスSi、厚さ:20μm)を形成した。
4.蒸着方式によりアルミニウム電極を形成し、電極間に導体有機材料(5員環式炭化水素のペンタセン系高分子材料)を印刷方式で形成した。
【0071】
続いて、TFTを形成したPENフィルム上に表示層の代用としてのPETフィルム(厚さ:250μm)を感圧型両面粘着テープ(日東電工(株)製、商品名「No.5000N」)を介して貼り合わせてサンプル1を作製した。
【0072】
実施例2
ガラス板(厚さ:2.0mm、サイズ:10cm×10cm)と、PENフィルム(厚さ:50μm)とを貼り合わせる際に、両面粘着テープ1を使用する代わりに、感圧型両面粘着テープ(日東電工(株)製、商品名「No.5000N」)を使用した以外は実施例1と同様にして、サンプル2を作製した。
【0073】
実施例3
実施例1と同様の操作で、厚さ100μmのポリエステルフィルムの片面にゴム状有機弾性層を設け、セパレータ上の熱膨張性微小球を含む粘着剤層と貼り合わせた。次に、ポリエステルフィルムのもう一方の面に、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル(30重量部/70重量部/5重量部)共重合体系感圧接着剤(イソシアネート系架橋剤3重量部配合)を含むトルエン溶液を乾燥後の厚さが10μmとなるように塗布した。このようにして、片面に熱剥離型粘着剤層が設けられた両面粘着テープ3を得た。次に、ガラス板とPENフィルムを貼り合わせる両面粘着テープとして、上記両面粘着テープ3を使用すること以外は実施例1と同様の操作を行い、サンプル3を作製した(感圧型粘着剤層側にガラス板を、熱剥離型粘着剤層側にPENフィルムを貼り合わせた)。
【0074】
比較例1
ガラス板(厚さ:2.0mm、サイズ:10cm×10cm)と、PENフィルム(厚さ:50μm)とを貼り合わせる際に、両面粘着テープ1を使用する代わりに、ワックス(九重電気(株)製、商品名「SLOT WAX」)を使用した以外は実施例1と同様にして、サンプル4を作製した。
【0075】
評価試験(剥離時間、洗浄時間、溶剤使用量)
実施例及び比較例で得られた、疑似電子ペーパーがガラス板に貼り合わされたサンプル1〜4において、疑似電子ペーパーをガラス板から剥離するのに要する時間(秒)、剥離後、疑似電子ペーパー背面を洗浄する必要がある場合は、その洗浄に要する時間(秒)、及び洗浄に使用した溶剤(トルエン)の量(g)を測定した。なお、剥離する際には、100℃に設定したホットプレートを使用して加熱処理を施した。
【0076】
粘着力測定
実施例1で得られた粘着テープ、実施例2で用いた感圧型両面粘着テープ(日東電工(株)製、商品名「No.5000N」)、及び実施例3で得られた粘着テープから、130mm(長手方向)×20mm(幅方向)の粘着力測定用サンプルを作製した。次いで、サンプルの粘着面を、試験板に2kgのゴムローラー(幅:約40mm)を一往復させることにより貼り合わせた後、23℃、50%RHの雰囲気中で30分放置し、引張試験機を用いて、JIS Z 0237に準拠して180°剥離試験を行い、粘着力を測定した。なお、粘着力の測定は以下の条件で行った。
装置 :SHIMAZU社製、商品名「オートグラフ」
サンプル幅 :20mm
引張速度 :300mm/分
剥離角度 :180°
温湿度環境 :23℃、50%RH
繰り返し数 :n=3回
試験板として、ステンレス板(SUS304)を用いた。
なお、比較例1においては、粘着力は測定できない。
【0077】
ゲル分率測定
実施例1で調製した感圧接着剤を含むトルエン溶液を乾燥後の厚みが30μmとなるようにPETセパレータ(厚さ:38μm)のシリコーン処理表面上に塗布・乾燥させて粘着剤層を形成した。
次に、実施例1で調製した感圧接着剤と熱膨張性微小球を含むトルエン溶液を乾燥後の厚みが20μmとなるようにPETセパレータ(厚さ:38μm)のシリコーン処理表面上に塗布・乾燥させてゴム状有機弾性層を形成した。
上記粘着剤層とゴム状有機弾性層を貼り合わせた後、130mm(長手方向)×20mm(幅方向)のサイズに切断して、ゲル分率測定用サンプルを作製した。
上記サンプルの粘着剤層側のPETセパレータを剥離し、粘着剤層から、粘着剤を5g採取し、テフロン(登録商標)シート(商品名「ニトフロン」、日東電工(株)製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。なお、該浸漬前重量は、粘着剤(上記で採取したもの)と、テフロン(登録商標)シートと、凧糸との総重量である。また、テフロン(登録商標)シートと凧糸との合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とする。
次に、上記の粘着剤をテフロン(登録商標)シートで包み凧糸で縛ったもの(「試料」と称する)を、トルエンで満たした50ml容器に入れ、25℃にて7日間静置する。その後、容器から試料(トルエン処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥してトルエンを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。
そして、下記の式からゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)=(a−b)/(c−b)×100 (1)
(式(1)において、aは浸漬後重量であり、bは包袋重量であり、cは浸漬前重量である。)
実施例2については未測定である。実施例3については、熱剥離型粘着剤層、感圧型粘着剤層の両方について、実施例1の場合の測定法に準じてゲル分率を測定した。
比較例1においては、粘着剤に換えてワックスを5g用いた以外は、実施例1と同様にしてゲル分率を測定した。
【0078】
評価結果(剥離時間、洗浄時間、溶剤使用量)を下記表1にまとめて示す。
【表1】

【0079】
測定結果(粘着力測定、ゲル分率測定)を下記表2に示す。
【表2】

【0080】
上記表1より、両面粘着テープで仮固定した場合、電子ペーパーの形成工程においては電子ペーパー支持フィルムを強固に保持することができ、電子ペーパーの形成工程後は、容易に且つ糊残りすることなく剥離することができた。その上、電子ペーパーの背面を洗浄する必要がなかった。そのため、洗浄に時間を要することがなく、効率的に製造することができた。また、洗浄するための溶剤を必要としないため、作業性を向上することができ、環境にも優しい。
ワックスを使用して仮固定した場合(比較例1)は、剥離後に電子ペーパーの背面に付着したワックスを洗浄することが必要であった。洗浄には長時間を要し、且つ洗浄用溶剤を多量に使用した。
【符号の説明】
【0081】
1:基材層
2A、2B:ゴム状有機弾性層
3A、3B:粘着剤層
4:セパレータ
5:両面粘着テープ
6:支持板
7:電子ペーパー支持フィルム
8:薄膜トランジスタ(TFT)
9:表示層(フロントパネル)
10:電子ペーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ペーパー支持フィルムを両面粘着テープで支持板に仮固定した状態で、該電子ペーパー支持フィルム上に薄膜トランジスタを形成してドライバ層を得、さらに、該ドライバ層上に画像表示機能を有する表示層を貼り合わせる電子ペーパー形成工程を有する電子ペーパーの製造方法。
【請求項2】
電子ペーパー形成工程後に、電子ペーパーを支持板から剥離する工程を有する請求項1に記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項3】
両面粘着テープの少なくとも片面が熱剥離型粘着剤層面である請求項1又は2に記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項4】
熱剥離型両面粘着テープが、基材層の両面に熱膨張性微小球を含有する熱剥離型粘着剤層を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかの項に記載の電子ペーパーの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかの項に記載の電子ペーパーの製造方法に使用する電子ペーパー形成工程用両面粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−39472(P2010−39472A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113204(P2009−113204)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】