説明

電子写真用導電ローラの製造方法及び電子写真用導電ローラ

【課題】本発明は電子写真用導電ローラの製造方法において、抵抗ムラが生じやすい導電フィラー及び無機充填フィラーを添加した材料を用いても軸芯体方向の抵抗ムラが小さい電子写真用導電ローラの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】温度25℃における粘度が50Pa・s以上600Pa・s以下である樹脂層材料を用い、注入駒の穴が2個以上あり、かつ、注入穴の一つあたりの面積が3.0mm2以上10.0mm2以下で注入穴の断面積の合計をA(mm2)、反対側駒に設けられた穴の断面積の合計をB(mm2)、金型内に注入する樹脂層材料の量をC(cm3)、軸芯体方向の金型内のキャビティの長さをL(mm)としたとき、Aが9.0mm2以上、0.325×C−5.5≦A≦0.325×C+5.5、1.2≦A/B≦2.5、かつ、130≦L/(A/B)≦200を満たす電子写真用導電ローラの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置に用いられる電子写真用導電ローラの製造方法及び該製造方法により製造された電子写真用導電ローラに関するものである。詳しくは、本発明は軸芯体の周りに樹脂層を有する電子写真用導電ローラの製造方法であり、軸芯体方向の電気抵抗値のムラが小さく、画像欠陥が生じにくい帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラの如き電子写真用導電ローラの製造方法に関する。また、該製造方法により形成された電子写真用導電ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置の概要図を、図1に示す。1は潜像担持体(以下感光ドラムと表す)であり、所定のプロセススピードで回転する。感光ドラム1は所定のプロセススピードで回転する工程の際に、所定の帯電バイアスを持つ帯電手段2によって、感光ドラム1表面は一定の電位になるよう帯電される。さらに、露光3により、画像露光(原稿像のアナログ露光、デジタル走査露光)を受けて感光ドラム1の表面に目的とする静電潜像が形成される。
【0003】
現像手段4によって感光ドラム1上の静電潜像を現像してトナー画像を形成する。感光ドラム1と転写手段5が当接している転写部には、給紙手段より、所定のタイミングで紙が搬送される。そして、転写手段5に対して転写バイアスが印加され、感光ドラム1表面のトナー画像が、紙に転写される。
【0004】
トナー画像が転写された紙は、感光ドラム1表面から分離されて定着手段へ移動し、定着手段によってトナー画像が紙に定着され、定着画像を有する紙は定着手段から排出される。また、一方で、トナー画像を転写した後の感光ドラム1には、転写されなかったトナーが残る場合がある。転写されずに残ったトナーはクリーニング手段6により感光ドラム1の表面から除去される。
【0005】
帯電手段、現像手段、転写手段としては、それぞれ帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラが用いられることが多い。これらのローラには半導電性弾性ローラが用いられる場合が多く、導電剤を添加することにより、中抵抗領域に調整された厚さ数mmのゴムで構成される。軸芯体上に樹脂層を設ける方法の一つとして、中空の円筒状金型に液状の材料を所定の方法で注入し、材料を加熱硬化し、脱型する方法が挙げられる。この場合、使用する導電剤に導電フィラー或いは補強材としてフィラーを用いると、導電ローラの軸方向において導電ローラの場所によって電気抵抗値が異なる、抵抗ムラが発生しやすいという課題がある。抵抗ムラが大きい導電ローラを用いると、左右で画像濃度の異なる画像が出力される現象が起きることがある。
【0006】
抵抗ムラ対策として、有極性ゴム、無極性ゴム及び抵抗調整のための導電剤を主原料として混合した発泡弾性体からなる第1被覆層と、さらにその外表面を被覆する可撓性の合成樹脂で形成された第2被覆層とを有するゴムローラが提案されている(特許文献1)。また、DBP(ジブチルフタレート)吸油量が120ml/100g以下のカーボンブラックを含有する比重1.1〜1.4の付加反応型シリコーンゴム組成物を用いて導電ローラを製造するという提案もなされている(特許文献2)。さらに、1官能イソシアネートで処理した酸性カーボンブラックを含有するコーティング層を、半導電性体層の表面に設け、導電ローラを製造するという提案もなされている(特許文献3)。このように材料を工夫するだけでは抵抗ムラが発生する場合あり、抵抗ムラを小さくする導電ローラの製造方法が待望されている。
【0007】
また、液状ゴムを加熱するときの型内の材料圧力が、ゴム材料の硬化が終了する時までの材料圧力の上昇曲線を常に一定に保ち、かつ、硬化が終了した時点で材料圧力を一定に保持することにより、安定した外径精度をもつローラを提供している。(特許文献4)ここで用いている注入駒、出口駒を用いると確かに外径精度をもつローラを作製することができるが、抵抗ムラが大きくなる場合があり、注入穴、出口穴について改善の余地があった。
【0008】
【特許文献1】特開2001−175098号公報
【特許文献2】特開2001−227530号公報
【特許文献3】特開2002−147437号公報
【特許文献4】特開2003−39452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、抵抗ムラが生じやすい導電フィラー及び無機充填フィラーを添加した材料を用いても、軸芯体方向の抵抗ムラが小さい電子写真用導電ローラの製造方法及び該製造方法により製造された電子写真用導電ローラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、軸芯体の周りに樹脂層を形成する電子写真用導電ローラの製造方法であって、
円筒状のパイプと、該パイプの両端に配設された、軸芯体を保持するための第1の駒と第2の駒とを有する金型内に該軸芯体を設置し、該第1の駒に設けられた注入穴より樹脂層材料を注入し、該第2の駒に設けられた出口穴より前記樹脂層材料の一部を溢れさせ、開放状態で該金型を加熱する工程を有し、
該樹脂層材料は、樹脂と導電フィラーを少なくとも含有し、該樹脂層材料は温度25℃における粘度が50Pa・s以上600Pa・s以下であり、
該第1の駒に設けられた注入穴は2個以上であり、該注入穴一つあたりの断面積が3.0mm2以上10.0mm2以下であり、
該第1の駒に設けられた注入穴の断面積の合計をA(mm2)、該第2の駒に設けられた出口穴の断面積の合計をB(mm2)、該金型内に注入する樹脂層材料の体積をC(cm3)、該軸芯体に沿う方向の該金型内のキャビティの長さをL(mm)としたとき、以下の(1)から(4)の条件をすべて満足していることを特徴とする電子写真用導電ローラの製造方法に関する。
9.0mm2≦A (1)
0.325×C−5.5≦A≦0.325×C+5.5 (2)
1.2≦A/B≦2.5 (3)
130≦L/(A/B)≦200 (4)
【0011】
また本発明は、軸芯体と該軸芯体の周りに樹脂層を形成する電子写真用導電ローラであり、該樹脂層が上記の製造方法を用いて形成されたことを特徴とする電子写真用導電ローラに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明を用いて電子写真用導電ローラを製造すると、軸方向の抵抗ムラの小さい導電ローラが得られる。さらに、この電子写真用導電ローラを用いて画像を出力すると、濃度ムラが少ない画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る電子写真用導電ローラの製造方法は、
軸芯体の周りに樹脂層を形成する電子写真用導電ローラの製造方法であって、
円筒状のパイプと、該パイプの両端に配設された、軸芯体を保持するための第1の駒と第2の駒とを有する金型内に該軸芯体を設置し、該第1の駒に設けられた注入穴より樹脂層材料を注入し、該第2の駒に設けられた出口穴より前記樹脂層材料の一部を溢れさせ、開放状態で該金型を加熱する工程を有し、
該樹脂層材料は、樹脂と導電フィラーを少なくとも含有し、該樹脂層材料は温度25℃における粘度が50Pa・s以上600Pa・s以下であり、
該第1の駒に設けられた注入穴は2個以上であり、該注入穴一つあたりの断面積が3.0mm2以上10.0mm2以下であり、
該第1の駒に設けられた注入穴の断面積の合計をA(mm2)、該第2の駒に設けられた出口穴の断面積の合計をB(mm2)、該金型内に注入する樹脂層材料の体積をC(cm3)、該軸芯体に沿う方向の該金型内のキャビティの長さをL(mm)としたとき、以下の(1)から(4)の条件をすべて満足している。
9.0mm2≦A (1)
0.325×C−5.5≦A≦0.325×C+5.5 (2)
1.2≦A/B≦2.5 (3)
130≦L/(A/B)≦200 (4)
【0014】
本発明で製造される電子写真用導電ローラの構成として、図2に本発明の電子写真用導電ローラの断面の一例を示す概略図を示す。図中の導電ローラは、樹脂層4aを軸芯体4bの外周に有している。
【0015】
また、本発明に係る電子写真用導電ローラの製造に用いる金型の一例を図3に示す。前記金型は、円筒状のパイプと、該パイプの両端に配設された軸芯体を保持するための第1及び第2の駒とで構成される。一端の駒(注入駒、以降「第1の駒」ともいう)8aには、樹脂層材料を円筒状のパイプに供給できるよう、貫通穴(注入穴)9aが設けられている。他端の駒(出口駒、以降「第2の駒」ともいう)8bには、円筒状のパイプから樹脂層材料を溢れさせるための貫通穴(出口穴)9bが設けられている。
【0016】
本発明において、A(mm2)とは、第1の駒に設けた注入穴の断面積がすべて同じ場合に、注入穴の断面積に注入穴の個数を乗じたものである。また、B(mm2)とは、第2の駒に設けた出口穴の断面積がすべて同じ場合に、出口穴の断面積にその個数を乗じたものである。
【0017】
例えば、図3では注入穴は4つあり、A(mm2)は注入穴の断面積に4を乗じた値となる。また、B(mm2)については出口穴が4つあり、Bは出口穴の断面積に4を乗じた値となる。また、L(mm)は図3に示したように軸芯体方向の金型内のキャビティの長さを表し、パイプ、注入駒、出口駒を配置した際に金型内にできる中空部において、中空部の軸芯体方向の長さを示す。また、C(cm3)とは図3におけるパイプ、注入駒、出口駒を配置した際に金型内にできる中空部を満たす樹脂層材料の体積と出口駒から溢れ出た約1〜2cm3の樹脂層材料の総和を表す。
【0018】
本発明に用いる樹脂層材料は少なくとも樹脂と導電フィラーを含有し、温度25℃における粘度が50Pa・s以上600Pa・s以下である材料を用いる。好ましい粘度は、60Pa・s以上500Pa・s以下である。粘度が50Pa・sより小さいと、金型に注入後、加熱している際に金型より材料が溢れ易くなり、成型後、導電ローラ上に欠損が生じやすくなるので好ましくない。また、粘度が600Pa・sを超えると、樹脂層材料を注入穴に浸入させる際に高い圧力が必要となり、導電フィラーが凝集し、軸芯体方向の抵抗ムラが生じやすくなるので好ましくない。なお、樹脂層材料の粘度は、温度25℃の恒温層に5時間静置した後に、BH型回転粘度計(東京計器社製)でロータNo.7を用いて10rpm条件で測定した。
【0019】
本発明に用いられる導電フィラーの例は以下のものを含む。
カーボンブラック;グラファイト;アルミニウム、銅、錫、ステンレス鋼などの各種導電性金属又は合金;酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン固溶体などの各種金属酸化物。
【0020】
なかでも比較的容易に入手でき良好な帯電性が得られる観点から、カーボンブラックが好ましい。
【0021】
また、上記した材料の2種類以上を混合して用いることができる。
【0022】
また、必要に応じて、無機充填フィラーを添加することができる。無機充填フィラーの例は以下のものを含む。
乾式シリカ、湿式シリカ、炭酸カルシウム、タルク(含水けい酸マグネシウム)、酸化クロム、ベンガラ(酸化鉄)、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リトポン、二硫化モリブデン、マイカ、メタけい酸カルシウム、石英粉、けいそう土、けい酸ジルコニウム、クレー、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、グラファイト等。
【0023】
補強性の観点から乾式シリカ、湿式シリカが好ましい。
【0024】
本発明においては、一端の駒(第1の駒)に設けられる注入穴は2個以上必要である。注入穴の数が1個であると、注入時に樹脂層材料にかかる圧力が大きくなり、導電フィラーが凝集し、軸方向の抵抗ムラが生じやすくなる。なお、好ましい注入穴の個数は2〜16個であり、より好ましい注入穴の数は4〜14個である。注入穴が17個より多いと、注入穴の断面積が小さくなり、脱型時に注入穴に硬化した樹脂層材料が残留しやすいので好ましくない。
【0025】
注入穴、出口穴の断面形状は特に制限されず、適宜な形のものを使用することができる。例えば円形、正方形、長方形、菱形、又は楕円形等が挙げられる。
【0026】
注入穴一つあたりの断面積は3.0mm2以上10.0mm2以下であることが必要であり、好ましくは3.5mm2以上8.0mm2以下である。3.0mm2より小さいと樹脂層材料の注入圧力が高くなるため樹脂層材料に含有される導電フィラーが凝集しやすく、抵抗ムラが生じやすいため好ましくない。また、10.0mm2を超えると、材料注入後に材料が垂れてしまい、ローラに欠損が生じるので好ましくない。なお、注入穴の一つあたりの断面積とは軸芯体方向の断面積が一番小さい部分をさす。
【0027】
本発明において一端の駒(第1の駒)に設けられる注入穴の断面積の合計をA(mm2)とすると、Aは9.0mm2以上である必要がある。Aが9.0mm2より小さいと、樹脂層材料の注入圧力が高くなり、樹脂層材料に含有される導電フィラーが凝集しやすく、抵抗ムラが生じやすいので好ましくない。なお、Aの好ましい範囲としては10.0mm2以上25.0mm2以下である。
【0028】
また、本発明において、金型内に注入する樹脂層材料の体積をC(cm3)とすると、Aは、0.325×C−5.5≦A≦0.325×C+5.5を満たす必要がある。
【0029】
Aが0.325×C−5.5より小さいと、樹脂層材料を注入する際に高い圧力が必要となり、樹脂層材料に含有される導電フィラーが凝集しやすく、抵抗ムラが生じやすい。
【0030】
また、Aが0.325×C+5.5より大きいと、樹脂層材料を注入後、硬化時に注入側と出口側で内圧差が生じやすく、抵抗ムラが生じやすい。なお、Cは用いる金型内の体積により適宜変えることが出来る。
【0031】
注入穴の断面積は樹脂層材料の流動方向において一定である必要はない。例えば、樹脂層材料が入る側から出る側に向かって少しずつ断面積を小さくしたり、出る側だけ断面積を小さくしたりすることができる。
【0032】
本発明においては、他端の駒(第2の駒)に設けられる出口穴の断面積の合計をB(mm2)としたとき、Bは、1.2≦A/B≦2.5を満たす必要がある。また、A/B=1.5〜2.4が好ましい。A/Bが1.2より小さいと、金型内で樹脂層材料を硬化する際、注入側と出口側の内圧差が生じやすく、抵抗ムラが大きくなりやすい。また、A/Bが2.5より大きくても、注入側と出口側の内圧差が生じやすく、抵抗ムラが大きくなりやすい。なお、Bの好ましい範囲としては7.0mm2以上20.0mm2以下である。
【0033】
本発明においては、軸芯体方向の金型内のキャビティの長さをL(mm)とすると、Lは、L/(A/B)が130≦L/(A/B)≦200を満たす必要がある。また、140≦L/(A/B)≦180が好ましい。L/(A/B)が130より小さいと、注入側と出口側付近の内圧差が大きくなるため、抵抗ムラが大きくなりやすい。また、L/(A/B)が200より大きいと同様にして、注入側と出口側付近の内圧差が生じやすく、抵抗ムラが大きくなりやすいので好ましくない。なお、Lの好ましい範囲としては210mm以上500mm以下である。
【0034】
特に、Lが300mm以上のときには、注入穴の断面積の合計Aが15.0mm2以上であることが好ましく、より好ましくは16.0mm2以上30.0mm2以下である。Aが15.0mm2より小さいと、樹脂層材料の注入圧力が高くなり、樹脂層材料に含有される導電フィラーが凝集しやすく、抵抗ムラが生じやすいので好ましくない。なお、Lが300mm以上の場合、樹脂層材料の注入量が多くなるため、さらに樹脂層材料の注入圧力が高くなり、樹脂層材料に含有される導電フィラーが凝集しやすく、より、抵抗ムラが生じやすいため、注入穴の断面積を大きくする必要がある。
【0035】
また、Lが300mm以上のときには、A/Bは2.1以上であることが好ましく、2.2≦A/B≦2.4がより好ましい。A/Bが2.1より小さいと金型内で樹脂層材料を硬化する際、注入側と出口側の内圧差が生じやすく、抵抗ムラが大きくなりやすい。以上のように、Lが300mm以上の場合には、材料を多く注入しなければならず、樹脂層材料の注入圧力が高くなり、樹脂層材料に含有される導電フィラーが凝集しやすく、抵抗ムラが生じやすいのでA/Bを大きく設定する必要がある。
【0036】
更に、Lが300mm以上のときには、L/(A/B)は160以下であることが好ましく、より好ましい範囲は135≦L/(A/B)≦150である。L/(A/B)を上記の数値範囲とすることにより、注入側と出口側の内圧差の増大に起因する抵抗ムラの発生を有効に抑えることができる。
【0037】
本発明の電子写真用導電ローラの樹脂層に含まれる樹脂としては、特に制限されることはなく適宜使用することができる。具体的な樹脂としては、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、エピクロロヒドリンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、NBRの水素化物、クロロプレンゴム(CR)、フッ素ゴム、他硫化ゴムの如きゴム。これら単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。なかでも圧縮永久歪み特性に優れている観点からシリコーンゴム、ウレタンゴム、又はNBRを用いるのが好ましく、シリコーンゴムがより好ましい。
【0038】
前記樹脂層材料に含まれるシリコーンゴム100質量部に対する導電フィラー及び無機充填フィラーの充填量D(質量部)は、10〜80質量部とすることが好ましく、より好ましい範囲は15〜70質量部である。上記の数値範囲では、樹脂層材料硬化時の液だれによる導電ローラへの凹みの発生を抑えられる。樹脂層材料の粘度の増加による樹脂層材料の注入圧力が上昇、及びそれに伴う樹脂層材料に含有される導電フィラーの凝集や抵抗ムラの発生を抑えられる。
【0039】
また、A/Bは、2.86×10-3×D+1.07≦A/B≦1.43×10-2×D+2.36を満たすことが好ましい。A/Bを上記の範囲とすることにより、注入側と出口側の内圧差の上昇に起因する抵抗ムラの発生を有効に抑えられる。
【0040】
本発明においては、金型をあらかじめ予熱し、金型を成型機に配置後、金型内に樹脂層材料を注入し、3〜10分加熱硬化することが好ましい。該成型機は金型の軸方向に平行に分割される加熱用熱盤で挟み込み、金型、及び加熱用熱盤の下からあらかじめスタティックミキサーにより、二液が1:1で混合された材料が注入穴より、注入される。加熱することにより、材料を円筒状に前記軸芯体と一体的に成形し、導電ローラが製造される。加熱用熱盤は、金型接触面もその強度及び熱伝導性の良さから、金属材料で作製されている。
【0041】
金型をあらかじめ予熱することで、樹脂層材料の硬化時間を短縮できる。また、連続して成型を行う際に樹脂層材料が受ける熱履歴にばらつきが生じること、及びそれに起因する抵抗ムラの発生を有効に抑えられる。
【0042】
また、硬化時間は3〜10分とすることが好ましい。この範囲内では、一般に樹脂層材料の硬化が不十分となり難く、また導電ローラの硬度や圧縮永久ひずみ特性が低下し難い。また、導電ローラの抵抗値が必要以上に高くなることを避け得る。
【0043】
なお、金型の予熱温度、成型材料硬化の際の加熱温度は材料によって異なるが、100℃〜150℃で行うことが好ましい。
【0044】
本発明において、円筒状のパイプや注入駒、出口駒には、電子写真用導電ローラを成型するという目的が果たすことができる材質を用いることができる。例えば、鉄、ステンレス鋼、銅、又はアルミニウムを用いることができる。
【0045】
本発明において、電子写真用導電ローラの抵抗ムラは以下のように定義した。すなわち、電子写真用導電ローラを軸方向に8分割して各々の抵抗値を測定し8ヶ所の抵抗値の最大値と最小値の比(Max/Min)を電子写真用導電ローラの抵抗ムラとした。本発明においては抵抗ムラ(Max/Min)が1.5より大きい場合に抵抗ムラが大きいと判断した。8ヶ所の抵抗ムラを測定する分割抵抗測定装置の概略図を図4に示す。測定方法と抵抗の算出方法は以下のとおりである。長手方向に8等分した長さより7mm短い長さのアルミ製ドラム10と、該アルミ製ドラムの間に、外径25mm、長さ6mmの絶縁樹脂製ドラム11を同軸状に交互に並べて一体的に組み合わせる。このアルミ製ドラムと絶縁樹脂製ドラムが一体となったドラム15に、電子写真用導電ローラ14を圧接する。電子写真用導電ローラ14の両端に4.9N(500gf)の荷重をかけ、アルミ製ドラムと絶縁樹脂製ドラムが一体となったドラム15を電子写真用導電ローラ14の回転数が60rpmになるように回転させる。電子写真用導電ローラ14の軸芯体に100V印加する。各アルミ製ドラムはR(Ω)の抵抗値を有する基準抵抗を通じて接地されている。基準抵抗の両端の電位差を毎秒135回の速度でサンプリングする。電子写真用導電ローラ14を5回転させたところで測定をやめ、5周分のデータの総和平均値を求める。求めた値をX(V)とする。
電流値I(A)=X(V)/R(Ω)
よって、各アルミ製ドラムに対応する位置における電子写真用導電ローラ14の抵抗値Z(Ω)は以下のように計算される。
Z(Ω)=100(V)/I(A)=100(V)/X(V)×R(Ω)
【0046】
電子写真用導電ローラの軸芯体は、導電性部材の電極及び支持する部材として機能するものであれば本発明に適用できる。その材質として、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属又は合金、クロムやニッケルでめっき処理を施した鉄、導電性合成樹脂の如き導電性の材質で構成される。なお、軸芯体とその周面に形成される樹脂層を接着するために、プライマーを軸芯体に塗布することができる。プライマーとしては、例えばシランカップリング系プライマーが挙げられる。
【0047】
樹脂層の厚さは1.0〜6.0mmの範囲にあることが好ましく、1.5〜5.0mmの範囲にあることがより好ましい。厚さが1.0mmより薄くなると、均一なニップを確保することが困難になる。一方、厚さを6.0mmより厚くしても、帯電性能の向上に繋がらないだけでなく、樹脂層材料の成型コストが上昇しコスト的に不利である。
【0048】
樹脂層からの低分子成分の染み出し防止の目的で、樹脂層の上にさらに表面層を設けることができる。表面層に用いる樹脂としては、特に制限されることなく適宜用いることができる。具体的には以下のものが挙げられる。水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、不飽和基、メチロール基、アルコキシメチル基、アルデヒド基、メルカプト基の如き反応基を持つ、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリルウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂等及びこれらの混合物。酸無水物基としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、ポリアジピン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸が挙げられる。不飽和基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられる。アルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基等が挙げられる。
【0049】
表面層には前記樹脂にカーボンブラックを添加したものを用いることができる。該カーボンブラックの配合量は前記樹脂成分を100質量部としたときに15〜30質量部となるよう配合することが好ましい。前記カーボンブラックとしては、特に制限されることなく適宜使用することができる。ケッチェンブラックの様な高い導電性をもつカーボンブラックだけではなく、中程度の導電性をもつゴム用カーボンブラック或いは塗料用のカーボンブラックが挙げられるが、分散性と導電性の制御の観点から塗料用カーボンブラックが好ましい。
【0050】
表面層は前記樹脂とカーボンブラックと溶剤を混合、分散した塗工液を樹脂層に塗工することによって得られる。
【0051】
前記塗工液に用いる溶剤としては、表面層として用いる樹脂が溶解するという条件内で適宜使用することができる。具体的には溶剤として以下のものが挙げられる。メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンに代表されるケトン類、ヘキサン、トルエン等に代表される炭化水素類、メタノール、イソプロパノールに代表されるアルコール類、他エステル類、水。樹脂の溶解性、沸点からメチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンが好ましい。
【0052】
表面層の厚みは、5〜100μmが好ましく、10〜90μmがより好ましい。厚みが5μmより薄いと、弾性層中の低分子量成分が染み出してきて感光ドラムを汚染しやすく、表面層が剥れる場合がある。また、100μmより厚いと、導電ローラの表面硬度が高くなり、感光ドラム表面を削る場合がある。
【実施例】
【0053】
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0054】
〔実施例1〕
軸芯体としてSUM304製の直径8mmの軸芯体にシランカップリング系プライマー(「DY35−110」(商品名)、東レ・ダウコーニング社製))を厚さ1μmで塗布後、温度160℃で、45分間焼付けしたものを用いた。
【0055】
注入駒(第1の駒)として内径2.2mm、内径一定の円形の穴を4つ備えた駒(A 15.2mm2)と、出口駒(第2の駒)として内径1.8mm、内径一定の円形の穴を4つ備えた駒(B 10.2mm2)を用意した。これらを、内径16mmの円筒状のパイプ(L 240mm)の両端に設置して金型を構成した。この金型に、前記軸心体を図3に示したように配置した。これを温度120℃で、10分間予熱した。次いで、該金型を成型機に配置後、下記樹脂層材料の混合物(C 45cm3)を注入穴から注入した。
・下記式(i)(重量平均分子量120000)で示される化合物 50質量部
・下記式(ii)(重量平均分子量120000)で示される化合物 50質量部
・シリカ(「LP」(商品名)、東ソー・シリカ社製) 45質量部(D 45質量部)
・カーボンブラック(ケッチェンブラック「ECP−600JD」(商品名)、ライオン社製) 10質量部
【0056】
【化1】

【0057】
【化2】

【0058】
なお、前記樹脂層材料の粘度をBH型回転粘度計(東京計器社製)でロータNo.7を用いて10rpm条件下測定したところ、300Pa・sであった。注入終了後、温度120℃で7分間加熱することにより、シリコーンゴムを硬化した。金型を室温まで冷却した後に軸芯体と一帯となった樹脂層を脱型し、温度200℃で、8時間オーブンで加熱することにより樹脂層の長さが240mm、外径16.0mm、芯金径8.0mmの電子写真用導電ローラを得た。得られた電子写真用導電ローラの抵抗ムラを前記方法に従って測定した。結果を表1に示す。また、得られた電子写真用導電ローラの外観を目視にて確認し、欠損が無い場合は○、欠損がある場合は×と表した。
【0059】
〔実施例2〕
シリカを10質量部としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0060】
〔実施例3〕
シリカを80質量部としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0061】
〔実施例4〕
注入穴の形状を1.0mm×3.0mmの長方形、出口穴の内径を1.6mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0062】
〔実施例5〕
樹脂層材料の注入量を59cm3、軸芯体の直径を6mm、注入穴の内径を2.1mm、出口穴の内径を1.6mm、導電ローラの長さを270mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果は表1に示す。
【0063】
〔実施例6〕
注入穴の形状を2.0mm×2.5mmの長方形、出口穴の個数を5個としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0064】
〔実施例7〕
樹脂層材料の注入量を42cm3、出口穴の内径を2.0mm、導電ローラの長さを230mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0065】
〔実施例8〕
樹脂層材料の注入量を59cm3、軸芯体の直径を9mm、出口穴の内径を1.4mm、導電ローラの長さを360mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0066】
〔実施例9〕
樹脂層材料の注入量を50cm3、軸芯体の直径を7mm、注入穴の内径を2.4mm、導電ローラの長さを235mmとしたこと以外については、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0067】
〔実施例10〕
出口穴の内径を2.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0068】
〔実施例11〕
樹脂層材料の注入量を35cm3、軸芯体の直径を10mm、注入穴の形状を1.5mm×3.0mmの長方形、注入穴の個数を2つ、出口穴の内径を1.4mm、導電ローラの長さを235mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0069】
〔実施例12〕
樹脂層材料の注入量を44cm3、注入穴の形状を1.5mm×3.0mmの長方形、注入穴の個数を2つ、出口穴の内径を1.4mm、導電ローラの長さを238mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0070】
〔実施例13〕
樹脂層材料の注入量を11cm3、軸芯体の直径を14mm、注入穴の形状を1.5mm×3.0mmの長方形、注入穴の個数を2つ、出口穴の内径を1.4mmとしたこと以外については、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0071】
〔実施例14〕
樹脂層材料の注入量を52cm3、注入穴の内径を2.3mm、導電ローラの長さを300mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0072】
〔比較例1〕
シリカを9質量部としたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0073】
〔比較例2〕
シリカを81質量部としたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0074】
〔比較例3〕
注入穴の内径を1.9mm、出口穴の内径を1.6mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0075】
〔比較例4〕
樹脂層材料の注入量を42cm3、注入穴の形状を2.0mm×2.2mmの長方形、注入穴の個数を2つ、出口穴の内径を1.4mm、導電ローラの長さを230mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0076】
〔比較例5〕
樹脂層材料の注入量を60cm3、軸芯体の直径を6mm、注入穴の内径を2.1mm、出口穴の内径を1.6mm、導電ローラの長さを272mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0077】
〔比較例6〕
樹脂層材料の注入量を44cm3、注入穴の形状を2.0mm×2.5mmの長方形とした。また、導電ローラの長さを238mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0078】
〔比較例7〕
軸芯体の直径を7mm、出口穴の内径を2.1mm、導電ローラの長さを210mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0079】
〔比較例8〕
樹脂層材料の注入量を59cm3、軸芯体の直径を9mm、出口穴の内径を1.2mm、注入穴の個数を5個とし、導電ローラの長さを360mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0080】
〔比較例9〕
樹脂層材料の注入量を42cm3、注入穴の内径を2.4mm、導電ローラの長さを230mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0081】
〔比較例10〕
樹脂層材料の注入量を47cm3、出口穴の内径を2.0mm、導電ローラの長さを245mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0082】
〔比較例11〕
軸芯体の直径を7mm、注入穴の内径を2.4mm、注入穴の個数を1個、出口穴の内径を1.6mm、導電ローラの長さを210mmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
実施例では以下の7つの条件を満たすため、電子写真用導電ローラの抵抗ムラ(Max/Min)を1.5以内とすることができた。また、外観も良好であった。
1.温度25℃における樹脂層材料の粘度が50Pa・s以上600Pa・s以下
2.注入駒の注入穴の個数が2個以上
3.注入穴の一つあたりの面積が3.0mm2以上10.0mm2以下
4.注入穴の断面積の合計をA(mm2)、出口穴の断面積の合計をB(mm2)、金型内に注入する樹脂層材料の量をC(cm3)、軸芯体方向の金型内のキャビティの長さをL(mm)としたとき、Aが9.0mm2以上
5.0.325×C−5.5≦A≦0.325×C+5.5
6.1.2≦A/B≦2.5
7.130≦L/(A/B)≦200
【0086】
一方、比較例1では上記1の樹脂層材料の粘度が50Pa・sより小さいため、抵抗ムラは小さいが硬化時に垂れが発生し外観不良が発生した。比較例2では上記1の樹脂層材料の粘度が600Pa・sより大きかったため、抵抗ムラが大きくなった。比較例3では上記3の注入穴の一つあたりの面積が3.0mm2より小さいため抵抗ムラが大きくなった。比較例4では上記4のAが9.0mm2より小さいため抵抗ムラが大きくなった。比較例5では上記5のAが0.325×C−5.5より小さいため、抵抗ムラが大きくなった。比較例6では上記5のAが0.325×C+5.5より大きいため抵抗ムラが発生した。比較例7では上記6のA/Bが1.2より小さいため抵抗ムラが大きくなった。比較例8では上記6のA/Bが2.5より大きいため抵抗ムラが発生した。比較例9では上記7のL/(A/B)が130より小さいため抵抗ムラが大きくなった。比較例10では上記7のL/(A/B)が200より大きいため抵抗ムラが大きくなった。比較例11では上記2の注入穴の個数が1個のため、抵抗ムラが大きくなり、注入穴の周方向に180°の位置に外観不良が見られた。以上から、本発明における製造方法で電子写真用導電ローラを製造すると、抵抗ムラを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態を示す画像形成装置の概略図。
【図2】本発明の実施の形態を示す導電性ローラの側面、断面図。
【図3】本発明の実施の形態を表す金型の断面図。
【図4】本発明の実施の形態を表す分割抵抗測定装置の概略図。
【符号の説明】
【0088】
1 潜像担持体(感光ドラム)
2 帯電手段
3 露光系
4 現像手段
4a 樹脂層
4b 軸芯体
5 転写手段
6 クリーニング手段
7 円筒状パイプ
8a 注入駒(第1の駒)
8b 出口駒(第2の駒)
9a 材料が通る貫通穴(注入穴)
9b 材料が通る貫通穴(出口穴)
10 アルミ製ドラム
11 絶縁樹脂製ドラム
12 基準抵抗
13 電圧計
14 電子写真用導電ローラ
15 アルミ製ドラムと絶縁樹脂製ドラムが一体となったドラム
E1、E2、E3 バイアス印加用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯体の周りに樹脂層を形成する電子写真用導電ローラの製造方法であって、
円筒状のパイプと、該パイプの両端に配設された、軸芯体を保持するための第1の駒と第2の駒とを有する金型内に該軸芯体を設置し、該第1の駒に設けられた注入穴より樹脂層材料を注入し、該第2の駒に設けられた出口穴より前記樹脂層材料の一部を溢れさせ、開放状態で該金型を加熱する工程を有し、
該樹脂層材料は、樹脂と導電フィラーを少なくとも含有し、該樹脂層材料は温度25℃における粘度が50Pa・s以上600Pa・s以下であり、
該第1の駒に設けられた注入穴は2個以上であり、該注入穴一つあたりの断面積が3.0mm2以上10.0mm2以下であり、
該第1の駒に設けられた注入穴の断面積の合計をA(mm2)、該第2の駒に設けられた出口穴の断面積の合計をB(mm2)、該金型内に注入する樹脂層材料の体積をC(cm3)、該軸芯体に沿う方向の該金型内のキャビティの長さをL(mm)としたとき、以下の(1)から(4)の条件をすべて満足していることを特徴とする電子写真用導電ローラの製造方法。
9.0mm2≦A (1)
0.325×C−5.5≦A≦0.325×C+5.5 (2)
1.2≦A/B≦2.5 (3)
130≦L/(A/B)≦200 (4)
【請求項2】
Lが300mm以上のとき、Aが15.0mm2以上、A/Bは2.1以上、かつ、L/(A/B)が160以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用導電ローラの製造方法。
【請求項3】
前記樹脂層材料に含まれる樹脂がシリコーンゴムであり、該シリコーンゴム100質量部に対する導電フィラーと無機充填フィラーの合計の充填量D(質量部)が、10〜80質量部であり、かつ、下記(5)の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用導電ローラの製造方法。
2.86×10-3×D+1.07≦A/B≦1.43×10-2×D+2.36 (5)
【請求項4】
金型をあらかじめ予熱し、該金型を成型機に配置後、該金型内に樹脂層材料を注入し、3〜10分加熱して樹脂層材料を硬化させることを特徴とする請求項1及至3のいずれかに記載の電子写真用導電ローラの製造方法。
【請求項5】
軸芯体と該軸芯体の周りに樹脂層を形成する電子写真用導電ローラであって、該樹脂層が請求項1及至4のいずれかに記載の製造方法を用いて形成されたことを特徴とする電子写真用導電ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−61594(P2009−61594A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228856(P2007−228856)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】