説明

電子回路モジュール部品及び電子回路モジュール部品の製造方法

【課題】絶縁樹脂の表面がシールド層で被覆された電子回路モジュール部品を電子機器に実装する際に、リフロー工程において前記電子回路モジュール部品に発生する不具合を低減すること。
【解決手段】電子回路モジュール部品1は、電子部品2と、電子部品2が実装された基板3と、空隙を有し、電子部品2の少なくとも一部と接する第1樹脂4と、第1樹脂4を覆い、かつ第1樹脂4よりも空隙率の低い第2樹脂9と、少なくとも第2樹脂9を被覆し、かつ基板3のグランド8と電気的に接続された金属層5と、金属層5に設けられ、かつ少なくとも第1樹脂4の一部を金属層5の外部に露出させる開口部5Hと、電子部品2の側面2Sと接する第1樹脂4と、電子部品2の側面2Sと対向する位置に設けられる金属層5との間に、第2樹脂9を介在させた封止部10と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を覆った絶縁樹脂の表面に金属層が形成された電子回路モジュール部品及び電子回路モジュール部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路モジュール部品は、複数の電子部品、例えば、受動素子や能動素子、あるいはIC(Integrated Circuit)等を基板に実装して、一つあるいは複数の機能を持ったひとまとまりの電子部品としたものである。例えば、特許文献1には、絶縁材からなる封止樹脂部で電子部品の全体を覆い、この電子部品を埋設した状態で、多層基板の上面全体に設けられるとともに、メッキ等によって形成された金属膜が、封止樹脂部の上面部の全面と、封止樹脂部の互いに対向する1対の側面部の全面と、多層基板の上面から積層間の接地用パターンまでの間に位置する多層基板の互いに対向する1対の側面の全面に設けられている電子回路ユニットが記載されている。また、特許文献2には、電子部品を配線基板の電極とはんだで接続しこれらを絶縁樹脂で覆い、絶縁樹脂の表面に金属めっき膜による電磁界シールド層を形成した電子部品内蔵モジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−332255号公報
【特許文献2】特開2005−39007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子回路モジュール部品は、絶縁樹脂で基板に実装された電子部品を覆うが、電子回路モジュール部品の製造工程や保管環境によっては、絶縁樹脂あるいは実装された基板及び電子モジュールの内部に水分等の液体が浸入することがある。この液体は、電子回路モジュール部品を電子機器に実装する際のリフロー工程で加熱されることによって蒸発し、膨張する。特許文献1に記載された技術は、絶縁樹脂の全面にシールド層として金属層が形成されているので、リフロー時の加熱によって発生する水蒸気等の気体が絶縁樹脂から抜けにくい。その結果、特許文献1に記載された技術は、絶縁樹脂あるいは実装された基板に割れが発生したり、電子回路モジュール部品の変形等が発生したり、はんだの短絡が発生したりするおそれがある。
【0005】
特許文献2に記載された技術は、はんだが再溶融した際に、溶融による体積膨張で発生した応力が、電子部品と配線基板間に存在する絶縁樹脂を電子部品側に押しつけるように作用することにより、電子部品と配線基板との間へのはんだの流出を防止している。しかし、リフロー時に電子回路モジュール部品内に発生する応力は、電子回路モジュール部品の形状によって異なる他、電子回路モジュール部品内の液体が蒸発することによる内圧の上昇等にも影響を受ける。このように、電子回路モジュール部品をリフローする際に発生する不具合は、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、絶縁樹脂の表面がシールド層で被覆された電子回路モジュール部品を電子機器に実装する際に、リフロー工程において前記電子回路モジュール部品に発生する不具合を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電子部品と、前記電子部品が実装された基板と、空隙を有し、前記電子部品の少なくとも一部と接する第1樹脂と、前記第1樹脂を覆い、かつ前記第1樹脂よりも空隙率の低い第2樹脂と、少なくとも前記第2樹脂を被覆し、かつ前記基板のグランドと電気的に接続された金属層と、前記金属層に設けられ、かつ少なくとも前記第1樹脂の一部を前記金属層の外部に露出させる開口部と、前記電子部品の側面と接する前記第1樹脂と、前記電子部品の側面と対向する位置に設けられる金属層との間に、前記第2樹脂を介在させた封止部と、を含むことを特徴とする電子回路モジュール部品である。
【0008】
この電子回路モジュール部品は、空隙を有する第1樹脂が電子部品の少なくとも一部に接するとともに、第1樹脂の一部を金属層の外部に対して露出させる開口部を有する。このような構造により、電子部品の少なくとも一部は、第1樹脂を介して開口部とつながるため、リフロー時の加熱によって電子回路モジュール部品の内部で発生した水蒸気等の気体は、第1樹脂の空隙を通って開口部から電子回路モジュール部品の外部へ速やかに放出される。このように、この電子回路モジュール部品は、絶縁樹脂の表面がシールド層で被覆された電子回路モジュール部品を電子機器に実装する際に、リフロー工程において前記電子回路モジュール部品の内部で発生した水蒸気等の気体は外部へ抜けやすくなる。また、第2樹脂の表面を金属層で被覆する際には、例えば、電解めっき等を用いる。この場合、第1樹脂及び第2樹脂で基板及び基板に実装された電子部品を覆ったモジュール素体をめっき液に浸漬する。この電子回路モジュール部品は、第1樹脂を第2樹脂で覆うとともに、第1樹脂の周囲に第2樹脂の封止部を設けるので、前記モジュール素体をめっき液に浸漬させても、第1樹脂よりも空隙率の低い第2樹脂の封止部が第1樹脂へのめっき液等の浸入を抑制する。このため、第1樹脂に含まれる揮発成分の量を抑制することができるので、実装時の加熱により電子回路モジュール部品の内部で発生する気体の量を低減できる。これらの作用により、この電子回路モジュール部品は、表面に金属層を有している場合でも、実装時の加熱による電子回路モジュール部品内部の圧力の上昇が抑制されるので、第1樹脂又は第2樹脂の割れ及び自身が変形するおそれ及びはんだショートを低減できる。その結果、この電子回路モジュール部品は、リフロー工程において発生する不具合が低減される。
【0009】
本発明において、前記封止部の前記第2樹脂は、前記基板と接することが好ましい。このように、第2樹脂と基板とを接触させることにより、第1樹脂を第2樹脂と基板とで封止できるので、第1樹脂への液体の浸入をより確実に抑制できる。また、第2樹脂と基板とが接触することにより、電子回路モジュール部品全体の強度も向上する。
【0010】
本発明において、前記封止部は、前記金属層と前記第1樹脂との距離が、0.01mm以上であることが好ましい。封止部の寸法がこの範囲であれば、第2樹脂と基板との密着強度を確保できるので、第2樹脂と基板との間を通過してめっき液等の液体が第1樹脂の内部へ浸入するおそれを確実に低減できる。また、封止部の寸法がこの範囲であれば、電子回路モジュール部品の製造誤差があったとしても、確実に封止部を設けることができる。このため、封止部の寸法がこの範囲であれば、第1樹脂への液体の浸入をより確実に抑制できる。
【0011】
本発明において、前記封止部は、前記金属層と前記第1樹脂との距離が、前記電子部品の側面と対向する金属層から前記側面へ向かう方向と平行な方向における前記電子回路モジュール部品の寸法の0.5%以上であることが好ましい。封止部は、上述したように、金属層と第1樹脂との距離が0.01mm以上であればよい。しかし、電子回路モジュール部品の寸法が大きくなった場合には、封止部の寸法をより大きくすることが好ましい。この場合、金属層と第1樹脂との距離で規定される封止部の寸法を、電子回路モジュール部品の寸法の0.5%以上とすることにより、第2樹脂と基板との密着強度を十分に確保することができる。その結果、第1樹脂への液体の浸入をより確実に抑制できる。
【0012】
本発明において、前記第1樹脂の空隙率は、1体積%以上50体積%以下であることが好ましい。このようにすることで、絶縁樹脂の内部で発生する気体をより抜けやすくすることができるとともに、第1樹脂の強度も確保できる。
【0013】
本発明は、基板上に電子部品を実装する工程と、前記電子部品が実装された前記基板上に、前記電子部品の少なくとも一部と接するように第1樹脂を設ける工程と、一つの電子回路モジュール部品となる部分の周りに存在する前記第1樹脂の一部を、前記基板が露出するまで取り除く工程と、前記第1樹脂及び露出した前記基板を第2樹脂で覆う工程と、前記第1樹脂が取り除かれた部分を覆う前記第2樹脂から前記基板のグランドまで切断する工程と、少なくとも前記第1樹脂の表面に金属層を形成する工程と、前記一つの電子回路モジュール部品の周りをすべて前記基板まで切断する工程と、を含むことを特徴とする電子回路モジュール部品の製造方法である。
【0014】
この電子回路モジュール部品の製造方法は、第1樹脂を基板の表面に設けた後、一つの電子回路モジュール部品となる部分の周りに存在する第1樹脂の一部を、基板が露出するまで取り除く。この後に、第2樹脂で第1樹脂及び第1樹脂から露出した基板を覆うことにより、電子回路モジュール部品の側部を覆う金属層と第1樹脂との間に、第2樹脂の封止部を設けることができる。この封止部により、例えば、電解めっきにより金属層を形成する場合には、めっき液の第1樹脂への浸入を抑制できる。その結果、この電子回路モジュール部品の製造方法によって製造された電子回路モジュール部品は、表面に金属層を有している場合でも、実装時の加熱による部品内部の圧力の上昇が抑制されるので、第1樹脂又は第2樹脂の割れや自身が変形するおそれを低減できる。このように、この電子回路モジュール部品の製造方法によって製造された電子回路モジュール部品は、リフロー工程において発生する不具合が低減される。
【0015】
本発明において、前記第1樹脂及び露出した前記基板を第2樹脂で覆う工程の後、前記金属層が形成される前に、一つの電子回路モジュール部品となる部分の周りにおいて、前記第1樹脂の一部を取り除いた部分以外の部分の少なくとも一部を、前記第2樹脂の途中まで切断する工程を有することが好ましい。このようにすることで、金属層が形成される前においては、第1樹脂を第2樹脂で覆うことができるので、第1樹脂への液体の浸入を確実に抑制できる。また、電子回路モジュール部品の開口部の面積をより小さくして、金属層で第2樹脂の表面をより多く被覆することができるので、金属層による電磁のシールド性能を向上させることができる。
【0016】
本発明において、前記第1の樹脂の一部を取り除く工程においては、一つの電子回路モジュール部品となる部分の周りの一部を、前記基板の途中まで切断することが好ましい。このようにすることで、簡単かつ確実に第1樹脂を取り除くことができる。なお、第1の樹脂の一部を取り除く工程においては、基板の途中まで切断することがより好ましい。このようにすれば、より確実に第1樹脂を取り除くことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、絶縁樹脂の表面がシールド層で被覆された電子回路モジュール部品を電子機器に実装する際に、リフロー工程において前記電子回路モジュール部品に発生する不具合を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の断面図である。
【図2】図2は、図1の矢印A方向から本実施形態に係る電子回路モジュール部品を見た正面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品が有する第1樹脂の概念図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品を基板に取り付けた状態を示す側面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品を、基板と平行な面で切った状態を示す平面図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の斜視図である。
【図7】図7は、第1樹脂と電子部品との関係を示す図である。
【図8】図8は、本実施形態の変形例に係る電子回路モジュール部品が有する開口部の配置例を示す平面図である。
【図9】図9は、本実施形態の変形例に係る電子回路モジュール部品が有する開口部の配置例を示す平面図である。
【図10】図10は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法を示すフローチャートである。
【図11−1】図11−1は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の説明図である。
【図11−2】図11−2は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の説明図である。
【図11−3】図11−3は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の説明図である。
【図11−4】図11−4は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の説明図である。
【図11−5】図11−5は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の説明図である。
【図11−6】図11−6は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の説明図である。
【図11−7】図11−7は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の説明図である。
【図11−8】図11−8は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の説明図である。
【図11−9】図11−9は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の説明図である。
【図12−1】図12−1は、2つの側面にそれぞれ開口部を有する電子回路モジュール部品を製造する際の工程を説明するための図である。
【図12−2】図12−2は、2つの側面にそれぞれ開口部を有する電子回路モジュール部品を製造する際の工程を説明するための図である。
【図13−1】図13−1は、3つの側面にそれぞれ開口部を有する電子回路モジュール部品を製造する際の工程を説明するための図である。
【図13−2】図13−2は、3つの側面にそれぞれ開口部を有する電子回路モジュール部品を製造する際の工程を説明するための図である。
【図14】図14は、電子回路モジュール部品の1つの側面全面が開口する開口部を示す正面図である。
【図15】図15は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の変形例によって製造された電子回路モジュール部品の開口部に導電層を設けた例を示す一部断面図である。
【図16】図16は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の変形例によって製造された電子回路モジュール部品の開口部に導電層を設けた例を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態は、本発明を限定するものではない。また、下記の実施形態で記載された構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0020】
電子回路モジュール部品に発生するクラック又ははんだの短絡は、はんだ溶融時のはんだ及び樹脂の体積膨張に起因する応力と、急速に発生する揮発成分に起因する応力とが、電子回路モジュール部品の密着力又は強度の閾値を超えることが原因であると考えられる。揮発成分とは、例えば、水分、はんだに含まれるフラックス、溶剤等といった、リフロー時の温度で揮発する液体及び固体成分であり、電子回路モジュール部品の基板、樹脂、空間又はそれらの界面等に存在すると考えられている。このため、例えば、比較的大型の電子部品(例えば、1608、すなわち、寸法が1.6mm×0.8mm以上)を基板に実装した場合又は小型の電子部品(例えば、0603、すなわち、寸法が0.6mm×0.3mm以下)であっても複数の電子部品を基板に実装した場合は、はんだの量が多くなる。その結果、はんだが溶融したときの体積膨張を十分に緩和できないおそれがある。
【0021】
電子回路モジュール部品の基板に実装される電子部品の数が増加すると、電子部品と樹脂との界面も増加するため、揮発成分が蓄積されやすい。電子回路モジュール部品の基板に実装される電子部品の種類にもよるが、例えば、電子回路モジュール部品の基板に電子部品が実装される領域が50%を超える場合、電子部品と基板とを接続するために必要なはんだの体積及び飽和吸水率は増加する。例えば、外形が7mm×7mm×1.0mmの電子回路モジュール部品は、電子部品と基板とを接続するために必要なはんだの体積は0.4mmを超え、飽和吸水率は、0.2質量%以上となる。このような場合、リフロー時において電子回路モジュール部品が加熱されることにより、電子回路モジュール部品の内部に急速に発生する揮発成分を、電子回路モジュール部品の外へ十分に逃がすことができないことがある。その結果、はんだ溶融時のはんだ膨張に起因する応力及び揮発成分が急速に蒸発することによって発生する気体に起因する応力を十分に緩和することができず、クラックやはんだショートを発生するおそれがある。本実施形態に係る電子回路モジュール部品は、これらの点を考慮して、電子回路モジュール部品の内部に発生した揮発成分を電子回路モジュール部品の外部に逃がすことができるとともに、電子回路モジュール部品の内部へ揮発成分が浸入することを低減できる構造を有するものである。
【0022】
図1は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の断面図である。図2は、図1の矢印A方向から本実施形態に係る電子回路モジュール部品を見た正面図である。図3は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品が有する第1樹脂の概念図である。図1に示すように、電子回路モジュール部品1は、複数の電子部品2を基板3に実装して、一つあるいは複数の機能を持ったひとまとまりの機能を持つ電子部品としたものである。電子部品2は、基板3の表面に実装されたり、基板3の内部に実装されたりする。本実施形態において、電子回路モジュール部品1を構成する電子部品2としては、例えば、コイル又はコンデンサ又は抵抗等の受動素子及びダイオード又はトランジスタ等の能動素子がある。電子部品2は、これらに限定されるものではない。
【0023】
図1に示すように、電子回路モジュール部品1は、電子部品2と、基板3と、第1樹脂4と、第2樹脂9と、金属層5と、開口部5Hと、封止部10とを含む。基板3は、電子部品2が実装されたものである。電子部品2は、はんだによって基板3の実装面(電子部品2が実装される面)3PIに設けられた端子電極6に接合されて、基板3に実装される。隣接する端子電極6の間には、ソルダーレジスト11が設けられる。ソルダーレジスト11により、電子部品2を基板3へ実装する際におけるはんだの飛散を抑制することができる。ソルダーレジスト11は、必ずしも設ける必要はない。
【0024】
基板3は、第1基板3Aと第2基板3Bとの間にグランド8を有している。グランド8は、例えば、Cu等の電気の良導体である。グランド8は、基板3の実装面3PIに設けられた、電子部品2のグランド端子と接続される端子と、ビアホール等によって電気的に接続される。また、基板3が実装面3PIにグランド端子を有する場合、グランド8は、前記グランド端子とビアホール等によって電気的に接続される。基板3は、実装面3PIの反対側の面(反実装面)3PRに、端子電極(モジュール端子電極)7を有する。モジュール端子電極7は、電子回路モジュール部品1が備える電子部品2と電気的に接続される。また、反実装面3PRにグランド端子を有する場合、そのグランド端子とグランド8とは電気的に接続される。また、基板3は、少なくとも表面に回路パターンを有しており、必要に応じて基板3の内部(例えば、第1基板3Aと第2基板3Bとの間)にも回路パターンを有している。
【0025】
第1樹脂4は、電子部品2の少なくとも一部と接する。第1樹脂4は、電子部品2と基板3の実装面3PIとの間にも設けられていてもよい。このようにすることで、電子部品2と基板3との密着強度が向上するので、電子回路モジュール部品1の強度が向上する。図3に示すように、第1樹脂4は、樹脂4Mに空隙4Hを有する。第2樹脂9は、第1樹脂4の表面を覆い、かつ第1樹脂4よりも空隙率が低い。前記空隙率は、単位体積あたりに存在する空隙の体積の割合(体積%)である。第2樹脂9の空隙率を第1樹脂4よりも低くすることにより、第2樹脂9は第1樹脂4よりも強固になる。このような第2樹脂9によって、電子部品2を第1樹脂4とともに基板3へ封止して、電子回路モジュール部品1の十分な強度を確保する。第2樹脂9の空隙率は0体積%であってもよい。
【0026】
第1樹脂4及び第2樹脂9は、電気絶縁性を有する絶縁樹脂であり、電子部品2を基板3上に封止する機能を有する。第1樹脂4及び第2樹脂9は、例えば、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂であるが、これに限定されない)にフィラー(例えば、シリカやアルミナ)を添加して硬化させることにより、フィラー同士の隙間の一部に前記熱硬化性樹脂が配合されて空隙が形成される。
【0027】
金属層5は、少なくとも第2樹脂9を被覆し、かつ基板3のグランド8と電気的に接続される。グランド8は、基板3の側面(実装面3PI及び反実装面3PRと交差(直交)する面)の表面に現れる。金属層5は、基板3の側面を被覆することにより、グランド8と電気的に接続される。このように、本実施形態において、金属層5は、少なくとも第2樹脂9を被覆し、さらに、基板3の側面も被覆する。
【0028】
本実施形態において、金属層5は導電材料(導電性を有する材料であり、本実施形態では金属)の薄膜である。本実施形態では、金属層5は単数の導電材料で構成されてもよいし、複数の導電材料の層で構成されてもよい。金属層5は、例えば、めっき(電解めっき)、導電性ペーストの塗布又はスパッタリング等によって形成される。金属層5は、第1樹脂4及び第2樹脂9の表面を被覆することにより、第1樹脂4及び第2樹脂9に封入された電子部品2を、電子回路モジュール部品1の外部からの高周波ノイズや電磁波ノイズ等を遮蔽したり、電子部品2から放射される高周波ノイズや電磁波ノイズ等を遮蔽したりする。このように、金属層5は、電磁気シールドとして機能する。金属層5を電磁気シールドとして用いることにより、板金部材を電磁気シールドとした場合と比較して、電子回路モジュール部品1の外形をより小さくできる。
【0029】
開口部5Hは、金属層5に設けられ、かつ第1樹脂4の一部を少なくとも金属層5の外部、すなわち、電子回路モジュール部品1の外部に対して露出させる。図1、図2に示すように、本実施形態において、開口部5Hは、第1樹脂4の一部及び第2樹脂9の一部を金属層5の外部に対して露出させる。開口部5Hは、平面視が矩形の形状である。本実施形態において、開口部5Hは、平面視が長方形又は正方形等の四角形である電子回路モジュール部品1の一辺の全体にわたって開口している。電子回路モジュール部品1の平面視とは、電子回路モジュール部品1の基板3の板面と直交する方向から電子回路モジュール部品1を見た場合をいう。
【0030】
電子回路モジュール部品1の平面視の形状は四角形であればよく、長方形あるいは正方形に限定されるものではない。例えば、台形や菱形等であってもよい(以下同様)。また、開口部5Hの形状は矩形に限定されるものではない。金属層5の厚さをtとし、開口部5Hが設けられる電子回路モジュール部品1の一辺の長さをL1とし、開口部5Hの長辺側の長さをL2とすると、L1=L2+2×tとなる。開口部5Hの高さ(基板3と直交する方向における開口部5Hの寸法)はhであり、金属層5が電磁波を遮蔽する能力に応じて設定される。なお、開口部5Hの高さhは、第1樹脂4の厚みよりも大きく、第1樹脂4の厚みの1倍以上5倍以下が好ましい。より好ましくは、開口部5Hの高さhは、第1樹脂4の厚みの2倍以上3倍以下である。開口部5Hの高さhがこの範囲であれば、開口部5Hに第1樹脂4を確実に露出させることができるので、二次実装におけるリフロー時には電子回路モジュール部品1の内圧を確実に低下させることができる。また、開口部5Hの高さhが前記範囲であれば、金属層5は、電磁波の遮蔽機能を十分に発揮できる。
【0031】
封止部10は、電子部品2の側面2Sと接する第1樹脂4と、電子部品2の側面2Sと対向する位置に設けられる金属層5との間に、第2樹脂9を介在させた部分である。すなわち、封止部10は、電子部品2の側面2Sと接する第1樹脂4と、電子回路モジュール部品1の側面1Sの金属層5との間に介在する第2樹脂9である。上述したように、金属層5を電解めっきで形成する場合には、第1樹脂4及び第2樹脂9で基板3及び基板3に実装された電子部品2を覆ったモジュール素体をめっき液に浸漬させる。電子回路モジュール部品1は、封止部10を有するので、前記モジュール素体をめっき液に浸漬させても、第1樹脂4よりも空隙率の低い第2樹脂9の封止部10が、第1樹脂4へのめっき液等の浸入を抑制する。このため、電子回路モジュール部品1は、第1樹脂4に含まれる液体の量が抑制されるので、実装時の加熱により電子回路モジュール部品1の内部で発生する気体の量を低減できる。その結果、電子回路モジュール部品1は、表面に金属層5を有していても、実装時の加熱による電子回路モジュール部品1内部の圧力の上昇が抑制されるので、第1樹脂4又は第2樹脂9の割れ及び電子回路モジュール部品1自身が変形するおそれを低減できる。
【0032】
封止部10は、金属層5と第1樹脂4との距離B(図1参照)が、0.01mm以上であることが好ましい。封止部10の寸法が0.01mm以上あれば、第2樹脂9と基板3との密着強度を確保できるので、第2樹脂9と基板3との間を通過してめっき液等の液体が第1樹脂4の内部へ浸入するおそれを確実に低減できる。また、封止部10の距離Bが0.05mm以上あれば、電子回路モジュール部品1の製造誤差があったとしても、確実に封止部10を設けることができる。このため、封止部10の距離Bが0.05mm以上あれば、第1樹脂4への液体の浸入をより確実に抑制できる。
【0033】
また、封止部10は、金属層5と第1樹脂4との距離Bが、電子部品2の側面2Sと対向する金属層5から側面2Sへ向かう方向と平行な方向における電子回路モジュール部品1の寸法L1の0.5%以上であることが好ましい。寸法L1は、電子回路モジュール部品1の上面1Tにおける外形で規定する。上述したように、封止部10は、距離Bが少なくとも0.01mm以上であればよい。しかし、電子回路モジュール部品1の寸法が大きくなった場合には、封止部10の寸法をより大きくすることが好ましい。この場合、距離Bで規定される封止部10の寸法を、電子回路モジュール部品1の寸法L1の0.5%以上とすることにより、第2樹脂9と基板3との密着強度を十分に確保することができる。その結果、第1樹脂4への液体の浸入をより確実に抑制できる。
【0034】
距離Bは、大きい程液体の浸入を抑制できるので好ましい。しかし、距離Bを大きくすると、電子回路モジュール部品1の平面視における寸法が大きくなる結果、電子回路モジュール部品1が取り付けられる基板の占有面積が増加する。このため、距離Bは、液体の浸入の抑制に効果がある範囲で適宜設定される。
【0035】
図4は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品を基板に取り付けた状態を示す側面図である。電子回路モジュール部品1は、電子回路モジュール部品1が取り付けられる基板(電子機器が備える基板であり、以下、機器基板という)13の端子電極(機器基板端子電極)14とはんだ12によって接合される。なお、電子回路モジュール部品1と機器基板端子電極14とを接合する材料ははんだ12に限定されるものではない。例えば、導電性ペーストや導電性接着剤等を用いて電子回路モジュール部品1と機器基板端子電極14とを接合してもよい。このような構造で、電子回路モジュール部品1は、機器基板13に取り付けられる。そして、電子部品2と機器基板13との間で電気信号や電力をやり取りする。
【0036】
図4に示す機器基板13は、電子回路モジュール部品1が実装される基板であり、例えば、電子機器(車載電子機器、携帯電子機器等)に搭載される。電子回路モジュール部品1は、電子機器の機器基板に実装されて(二次実装)、電子機器の機能を発揮させる部品の一つとなる。機器基板13に電子回路モジュール部品1を実装する場合、例えば、機器基板端子電極14にはんだ12を含むはんだペーストを印刷等により塗布し、実装装置を用いて電子回路モジュール部品1を機器基板13に搭載する。そして、電子回路モジュール部品1が搭載された機器基板13をリフロー炉に通炉して、モジュール端子電極7と機器基板端子電極14とが接合される。これによって、電子回路モジュール部品1が機器基板13に実装される。
【0037】
電子回路モジュール部品1は、電子部品2を基板3に実装するときや電子回路モジュール部品1が保管されている期間や環境によって、第1樹脂4及び第2樹脂9(以下、必要に応じて絶縁樹脂という)の内部に液体が浸入することがある。例えば、基板3が樹脂基板の場合は、絶縁樹脂及び基板3の表面、及び絶縁樹脂と基板3との接触界面から液体が浸入するが、セラミックス等の無機材料を基板3に用いた場合は、主に絶縁樹脂、及び絶縁樹脂と基板3との接触界面から液体が浸入する。このため、電子回路モジュール部品1を機器基板13に実装する際のリフローにより、電子回路モジュール部品1内部に浸入した液体が蒸発して水蒸気(気体)が発生することがある。
【0038】
電子回路モジュール部品1は、金属層5が絶縁樹脂の表面を被覆しているために、蒸発した液体が絶縁樹脂から抜けにくくなる。このため、電子回路モジュール部品1は、電子回路モジュール部品1の内部の圧力(以下、部品内圧という)が上昇する。その結果、絶縁樹脂に割れ等が発生したり、電子回路モジュール部品1に変形が生じたりするおそれがある。絶縁樹脂の割れや電子回路モジュール部品1が変形するおそれを抑制するために、本実施形態及びその変形例では、金属層5に開口部5Hを設けて、リフロー時の加熱によって蒸発し、膨張した気体を、電子回路モジュール部品1から抜けやすくして、電子回路モジュール部品1の内圧の上昇を抑制する。
【0039】
図5は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品を、基板と平行な面で切った状態を示す平面図である。図6は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の斜視図である。電子回路モジュール部品1は、複数の電子部品2を有している。第1樹脂4は、複数の電子部品2の少なくとも一部と接している。本実施形態及びその変形例では、図1に示すように、第1樹脂4がすべての電子部品2を覆っており、すべての電子部品2の頂部の全体に第1樹脂4が接している。さらに、図1、図5に示すように、第1樹脂4は、すべての電子部品2の側部全体に接している。このような構成のため、電子回路モジュール部品1は、第1樹脂4が電子部品2の基板対向面を除いた表面と接し、かつ、第1樹脂4がすべての電子部品2と接している。第1樹脂4は、少なくとも一部が開口部5Hの位置で金属層5の外部に露出している。このため、すべての電子部品2の少なくとも一部は、第1樹脂4を介して開口部5Hとつながっている。
【0040】
第1樹脂4は、空隙を有しているため、気体が通過しやすい。このため、上述した構造を採用することにより、リフロー時の加熱によって電子回路モジュール部品1の内部で発生した水蒸気等の気体Vは、図3に示す第1樹脂4の空隙4Hを通って開口部5Hから電子回路モジュール部品1の外部へ速やかに放出される。その結果、電子回路モジュール部品1が金属層5を有している場合でも、リフロー時における部品内圧の上昇が抑制されるので、絶縁樹脂の割れや電子回路モジュール部品1が変形するおそれを効果的に抑制できる。このように、本実施形態及びその変形例によれば、電子回路モジュール部品1の不良の発生を抑制できる。また、本実施形態及びその変形例によれば、電子回路モジュール部品1の不具合の発生を効果的に抑制して品質を維持できるので、電子回路モジュール部品1の機能を十分に発揮させることができる。
【0041】
電子回路モジュール部品1の開口部5Hは、平面視が長方形又は正方形である電子回路モジュール部品1の一辺の全体にわたって開口している。このため、電子回路モジュール部品1の内部の気体Vは、電子回路モジュール部品1の一辺全域から電子回路モジュール部品1の外部へ放出される。その結果、開口部5Hは、電子回路モジュール部品1で発生した気体を効率的に外部へ放出させることができるので、絶縁樹脂の割れや電子回路モジュール部品1の変形のおそれを確実に回避できる。
【0042】
開口部5Hの高さhが小さくなると、金属層5による電磁波ノイズの遮蔽機能の低下は大きくなる。電子回路モジュール部品1の一辺の全体にわたって開口部5Hを設けることにより、開口部5Hの高さhの増加を抑制しつつ、開口部5Hの面積を確保することができる。したがって、開口部5Hを電子回路モジュール部品1の一辺の全体にわたって設けるようにすれば、開口部5Hの高さhを抑制できるので、電磁波の遮蔽機能を確保しつつ、開口部5Hは効率的に気体を放出することができる。
【0043】
第1樹脂4が有する空隙4Hは、例えば、第1樹脂4の基材となる樹脂にフィラーを添加して硬化させることにより、フィラー同士の隙間に樹脂が配合されて形成される。空隙率が1体積%を下回ると、電子回路モジュール部品1内で発生した気体が第1樹脂4内を移動する速度が低下するため、部品内圧の上昇を効率よく抑制できなくなるおそれがある。また、第1樹脂4の空隙率が50体積%を上回ると、第1樹脂4の強度が低下し、割れ等を生じやすくなるおそれがある。したがって、第1樹脂4の空隙率は1体積%以上50体積%以下が好ましい。このようにすれば、第1樹脂4の強度を確保しつつ、二次実装における部品内圧の上昇を確実に抑制できる。なお、空隙率が30体積%以下であれば、第1樹脂4の強度をさらに高くすることができるとともに、電子回路モジュール部品1内で発生した気体の移動速度も確保できる。したがって、空隙率は、1体積%以上30体積%以下がさらに好ましい。
【0044】
第1樹脂4が有する空隙4Hの平均直径(D50)が0.1μmよりも小さくなると、電子回路モジュール部品1内で発生した気体が開口部5Hまで移動する速度が低下し、部品内圧の上昇を効率よく抑制できなくなるおそれがある。第1樹脂4が有する空隙4Hの平均直径(D50)が10μmを超えると、第1樹脂4の強度が低下し、割れ等を生じやすくなるおそれがある。このため、電子回路モジュール部品1内で発生した気体を外部へ効果的に放出し、かつ第1樹脂4の強度を維持する観点から、空隙4Hの平均直径(D50)は0.1μm以上10μm以下が好ましい。また、空隙4Hの分布は、D50/(D90−D10)を0.1以上0.8以下とすることが好ましい。このようにすれば、第1樹脂4内でのフィラーの分散や空隙4Hの分散が改善される。
【0045】
平均直径(D50)は複数の空隙4Hの直径を測定した場合において、積算値50%の直径であり(メジアン径)、D90は積算値90%の直径であり、D10は積算値10%の直径である。完成した電子回路モジュール部品1を適切な位置で切断して、切断面をイオンミリングすることで樹脂ダレのない切断面を作製した。そして、前記切断面の任意の3箇所を走査型電子顕微鏡(SEM、倍率は3000倍)で写真撮影して得られた画像から、空隙4Hの平均直径が求められた。このとき、前記写真撮影によって得られた画像は、空隙のみが黒くなるように二値化処理された。空隙4Hの分布は、前記画像から求めたD50と累積度数直径の10%に該当するD10と90%に該当するD90とから規定した。また、前記切断面の任意の3箇所を走査型電子顕微鏡で写真撮影して得られた画像から、空隙の体積比として空隙率が算出された。本実施形態及びその変形例においては、前記写真撮影によって得られた画像の全面積に占める空隙の面積の割合を空隙の体積比とみなした。
【0046】
図7は、第1樹脂と電子部品との関係を示す図である。図1に示すように、上述した電子回路モジュール部品1は、第1樹脂4が電子部品2の頂部を覆っていたが、図7に示すように、第1樹脂4が電子部品2の頂部2Tを覆わないようにしてもよい。この場合、第1樹脂4が電子部品2の側部2Sの少なくとも一部に接するようにして、電子部品2の近傍から発生する気体の通路を確保する。このようにすると、電子部品2の頂部2Tには第2樹脂9が接することになり、頂部2Tと第2樹脂9との間に第1樹脂4は介在しない。その結果、電子部品2の頂部2Tの表面に第1樹脂4が存在しなくなる分、電子回路モジュール部品1の高さを低減できるので、電子回路モジュール部品1の低背化に有利である。第1樹脂4が電子部品2の頂部2Tを覆わないようにするためには、第1樹脂4で電子部品2を覆った後、吸収ローラー等を頂部2Tの上で転動させることによって、第1樹脂4を吸収ローラー等で除去する。
【0047】
図8、図9は、本実施形態の変形例に係る電子回路モジュール部品が有する開口部の配置例を示す平面図である。図5において、平面視が長方形あるいは正方形等の四角形の電子回路モジュール部品1は、四辺のうちの一辺に開口部5Hを有していた。図8に示すように、電子回路モジュール部品1aは、四辺のうち二辺それぞれに開口部5H1、5H2を有し、残りの二辺に金属層5を有していてもよい。開口部5H1、5H2はそれぞれ対向して配置される。また、図9に示す電子回路モジュール部品1bのように、四辺のうち三辺に開口部5H1、5H2、5H3を有し、残りの一辺に金属層5を有していてもよい。開口部5H1、5H2はそれぞれ対向して配置され、開口部5H3は金属層5と対向して配置される。開口部5H1、5H2、5H3は、図2に示すように、第1樹脂4の一部と第2樹脂9の一部との両方を金属層5の外部に露出させている。なお、後述するように、開口部5H1、5H2、5H3に露出している第2樹脂9及び第1樹脂4の一部を導電材料で覆うことにより、第1樹脂4の一部のみを金属層5aの外部に露出させることもできる。
【0048】
このように、本実施形態において、電子回路モジュール部品1が有する開口部の数は1個に限定されるものではない。開口部の数が多くなれば、電子回路モジュール部品1に内蔵された複数の電子部品2と開口部との距離差を小さくできるので、より効率的に電子回路モジュール部品1で発生した気体を外部へ放出させることができる。その結果、絶縁樹脂の割れや電子回路モジュール部品1の変形のおそれをさらに確実に回避できる。なお、開口部を増加させると、金属層5の電磁波の遮蔽機能に影響を与えることもあるので、気体の抜けと前記遮蔽機能とのバランスで開口部の数や面積を設定することが好ましい。
【0049】
なお、電子回路モジュール部品1は、一辺のみに開口部5Hを有することが最も好ましい。このようにすれば、二次実装におけるリフロー時には部品内圧を確実に低下させて絶縁樹脂の割れや電子回路モジュール部品1の膨れを確実に抑制でき、さらに、金属層5に電磁波の遮蔽機能を確実に発揮させることができる。しかし、電子回路モジュール部品1が、二辺又は三辺に開口部5Hを有することを排除するものではない。例えば、湿度の高い場所で電子回路モジュール部品1を二次実装する場合、電子回路モジュール部品1は内部に多くの液体が浸入していると考えられる。このような場合、電子回路モジュール部品1は、二辺又は三辺に開口部5Hを有するようにすることで、開口部5Hは、二次実装におけるリフロー時には気体を効率的に放出できる。その結果、電子回路モジュール部品1の内部に多くの液体が浸入しているような場合でも、絶縁樹脂の割れや電子回路モジュール部品1の膨れを確実に抑制できる。次に、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法を説明する。
【0050】
図10は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法を示すフローチャートである。図11−1〜図11−9は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の説明図である。まず、図1、図2、図5に示す電子回路モジュール部品1を製造する例を説明する。電子回路モジュール部品1は、図5に示すように、平面視が長方形であり、4つの側面のうち1つに開口部5Hを有している。ステップS1において、図11−1に示す基板3に電子部品2を実装する(実装工程)。基板3の内部には、グランド8が設けられる。基板3に電子部品2が実装された状態の個体を、第1のモジュール素体1Aという。
【0051】
第1のモジュール素体1Aは、例えば、次のような手順で作製される。
(1)基板3の実装面に設けられた端子にはんだを含むはんだペーストを印刷する。
(2)実装装置(マウンタ)を用いて電子部品2を基板3に搭載する。
(3)電子部品2が搭載された基板3をリフロー炉に入れて前記はんだペーストを加熱することにより、前記はんだペーストに含まれるはんだが溶融し、その後硬化することにより電子部品2の端子と基板3の端子電極とが接合される。
(4)電子部品2や基板3の表面に付着したフラックスを洗浄する。
【0052】
第1のモジュール素体1Aが完成したら、ステップS2へ進み、図11−2に示すように、電子部品2が実装された基板3上、すなわち、図11−1に示す第1のモジュール素体1Aの電子部品2の少なくとも一部と接するように、基板3に第1樹脂4が設けられる(第1樹脂設置工程)。この例では、第1樹脂4で電子部品2及び基板3を覆う。第1樹脂4は、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂であるが、これに限定されない)にフィラー(例えば、シリカやアルミナであるが、これに限定されない)を添加し、これを硬化させたものである。第1樹脂4は、例えば、熱硬化性樹脂の溶液にフィラーを添加して作製した第1樹脂4の溶液を、ディップ法、ノズルコート法、カーテンコート法やスピンコート法等によってモジュール素体1Aの表面に塗布し(塗布工程)、熱硬化させる。このようにすることで、フィラー同士の隙間の一部に樹脂が配合されて空隙4Hが形成された第1樹脂4で電子部品2及び基板3が被覆される。
【0053】
第1樹脂4に含まれるフィラーは、球形状に近いものが好ましい。このようなフィラーを用いれば、第1樹脂4に含まれる空隙4Hの寸法、形状及び分布を制御しやすいからである。しかし、フィラーの形状は、このようなものに限定されるものではない。第1樹脂4に含まれるフィラーは、平均直径(D50)を1μm以上10μm以下とすることが好ましく、2μm以上7μm以下とすることがより好ましい。また、フィラーの粒度分布は、D50/(D90−D10)を0.1〜0.8の範囲とすることが好ましい。このようにすれば、第1樹脂4内におけるフィラーや空隙4Hが均等に分散しやすくなる。なお、平均直径(D50)は複数のフィラーの直径を測定した場合において、積算値50%の直径であり(メジアン径)、D90は積算値90%の直径でありD10は積算値10%の直径である。フィラーの粒度分布は、粒度分布計で測定した数平均値(メジアン径)D50と累積度数粒径の10%に該当するD10と90%に該当するD90とから規定した。
【0054】
フィラーの種類は、電子回路モジュール部品1が有する電子部品2や回路の電気的特性に影響を及ばさないものであれば特に限定されるものではないが、第1樹脂4となる熱硬化性樹脂に対して分散性がよいものであることが好ましい。例えば、平均直径が1μmより小さいフィラーを使用すると、空隙の大きさが減少したり空隙へのフィラーの充填率が上昇したりすることにより、空隙率が小さくなる結果、部品内圧を抑制する作用が低減する。また平均直径が10μmより大きいフィラーを使用すると、モジュール素体1Aの表面に塗布する際の膜厚が厚くなり、モジュール1の外形高さを大きくしなければならないおそれがある。さらに、平均直径が10μmより大きいフィラーを使用すると、形成された第1樹脂4の強度が低下し、クラックが発生しやすくなるおそれがある。
【0055】
フィラーは、小さい平均直径(D50)と大きい平均直径(D50)とを組み合わせてもよい。また、フィラーの平均直径(D50)は、10μm以上50μm以下であることが好ましい。大きい平均直径(D50)のフィラーの添加量は、フィラーの全添加量に対して5体積%以上30体積%以下であることが好ましい。このように、平均直径の異なるフィラーを混合することによって、フィラー同士のパッキング状態の調整が可能になる。そして、適切な樹脂配合により、所望の空隙直径、空隙分布を実現しやすくなる。平均直径の異なるフィラーを用いる場合、すべて同じ種類のフィラーを用いてもよく、異なる種類(組成)のフィラーを用いてもよく、特に限定されるものではない。
【0056】
第1のモジュール素体1Aの表面に第1樹脂4の溶液が塗布されたら、所定の時間加熱して熱硬化性樹脂を硬化させる(第1硬化工程)。このようにすることで、第1のモジュール素体1Aの表面に第1樹脂4が設けられ、電子部品2の少なくとも一部と第1樹脂4とが接する。第1樹脂4で電子部品2及び基板3が被覆された状態の個体を、第2のモジュール素体1Bという。次に、ステップS3に進み、図11−3、図11−4に示すように、第2のモジュール素体1Bは、一つの電子回路モジュール部品1となる部分(以下、モジュール部品単位という)Uの周りに存在する第1樹脂4の一部が、基板3が露出するまで取り除かれる(第1樹脂除去工程)。モジュール部品単位とUの周りに存在する第1樹脂4の一部が取り除かれた状態の個体を、第3のモジュール素体1Cという。
【0057】
上述したように、本実施形態において、電子回路モジュール部品1は長方形(正方形を含む)形状である。この製造例では、図11−4に示すように、モジュール部品単位Uの3辺と対向する部分に存在する第1樹脂4が取り除かれる。すなわち、互いに直交する複数の除去ラインC1a及び複数の除去ラインC1bの部分に存在する第1樹脂4が取り除かれる。この例において、一方の複数の除去ラインC1aは、互いに平行に設けられ、かつ複数のモジュール部品単位Uが二列配列された群毎に設けられる。他方の複数の除去ラインC1bは、互いに平行に設けられ、かつそれぞれ複数の除去ラインC1aと直交するとともに、複数のモジュール部品単位Uが一列配列された群毎に設けられる。
【0058】
第1樹脂除去工程においては、モジュール部品単位Uの周りの一部を、基板3の途中まで切断することにより、第1樹脂4の一部を、3基板が露出するまで取り除く。このようにすることで、簡易かつ確実に第1樹脂4を取り除いて基板3の一部を第1樹脂4から露出させることができる。なお、第1樹脂除去工程は、上述した手法に限定されるものではない。例えば、第1樹脂設置工程(ステップS2)において、基板3の表面において第1樹脂4を取り除く部分をレジスト等でマスキングした後に、第1樹脂4を基板3の表面に設ける。その後、第1樹脂除去工程(ステップS3)でマスキングを取り除くことにより、マスキングの部分を覆っていた第1樹脂4を取り除く。このような手法により、第1樹脂除去工程を実現してもよい。第1樹脂除去工程が終了したら、ステップS4に進む。
【0059】
ステップS4において、図11−5に示すように、第1樹脂4及び露出した基板3を第2樹脂9で覆う(第2樹脂設置工程)。第2樹脂9は、例えば、エポキシ樹脂である。本実施形態では、エポキシ樹脂のシート状材料を第1樹脂4の表面に載置して(被覆工程)、これを熱プレスすることにより、第2樹脂9を硬化させる(第2硬化工程)。このような方法で、第2樹脂9で第1樹脂4の表面を被覆する。その結果、電子部品2は、第1樹脂4を介して第2樹脂9によって封止される。第2樹脂9で覆われた状態の個体を、第4のモジュール素体1Dという。
【0060】
第2樹脂設置工程により、第1樹脂4から露出した基板3の表面に第2樹脂9が設けられ、かつ第1樹脂4が取り除かれた部分(図11−5に示す例では、除去C1aの部分)が第2樹脂9で埋められる。その結果、電子部品2の側面2Sの外側に設けられた第1樹脂4は、第2樹脂9で覆われる。また、電子部品2の上面2T(基板3の実装面3PIと対向する面とは反対面)に設けられた第1樹脂4も、第2樹脂9で覆われる。本実施形態では、除去ラインC1aの部分の基板3は一部が除去されている。このため、電子部品2の側面2Sの外側に設けられた第1樹脂4と基板3との境界も、第2樹脂9で覆われる。
【0061】
次に、ステップS5に進み、図11−5に示す第4のモジュール素体1Dの基板3は、第1樹脂4が取り除かれた部分を覆う第2樹脂9から基板3のグランド8まで切断される(ハーフカット工程)。すなわち、第4のモジュール素体1Dの基板3は、前記第1樹脂が取り除かれた部分を覆う前記第2樹脂の位置で、モジュール部品単位Uで途中まで、より具体的には基板3のグランド8まで切断される。この場合、図11−4に示す除去ラインC1a、C1bの位置(第1樹脂4が部分的に取り除かれた位置)は、基板3のグランド8まで切断される。その結果、図11−6に示すような第5のモジュール素体1Eが得られる。第5のモジュール素体1Eは、第1ハーフカット工程が終了した後における個体を、第5のモジュール素体1Eという。図11−6には、切断ラインC3aにおける第2樹脂9及び基板3の切断の状態が示されている。
【0062】
図11−7に示す切断ラインC3a、C3bの位置、すなわち、図11−4に示す除去ラインC1a、C1bの位置(第1樹脂4が部分的に取り除かれた位置)は、ハーフカット工程により、図11−6に示すように、電子部品2の側面2Sの外側に設けられた第1樹脂4を覆う、第2樹脂9の封止部10が形成される。この封止部10は、例えば、電解めっき又は金属ペーストの塗布等により金属層5を形成する際に、めっき液又は金属ペーストが第1樹脂4の空隙に浸入することを抑制する。その結果、製造された電子回路モジュール部品1は、第1樹脂4に含まれる液体が少ないため、リフロー時に電子回路モジュール部品1を加熱しても、前記液体が内部で蒸発して発生する気体の量は少ない。その結果、リフロー時における電子回路モジュール部品1の内圧の上昇が抑制されて、第1樹脂4又は第2樹脂9の割れ及び電子回路モジュール部品1自身が変形するおそれを低減できる。
【0063】
本実施形態では、図11−7に示す除去ラインC2の位置、すなわち、隣接する切断ラインC3a、C3aの間において、図11−6に示すように、隣接するモジュール部品単位Uの間(切断ラインC2の位置)が、第2樹脂9の途中まで切断される。すなわち、図11−5に示す第4のモジュール素体1Dの基板3は、モジュール部品単位Uの周りにおいて、第1樹脂4の一部を取り除いた部分以外の部分の少なくとも一部が、第2樹脂9の途中まで切断される。図11−6、図11−7に示す例では、切断ラインC2の位置が、第2樹脂9の途中まで切断される。このようにすることで、図2に示すように、開口部5Hの高さhを小さくすることができる。このため、開口部5Hの開口面積が小さくなるので、金属層5が電子回路モジュール部品1の表面を被覆する面積を大きくすることができる。その結果、金属層5の電磁波の遮蔽機能を高くすることができる。なお、ハーフカット工程において、第1樹脂4の一部を取り除いた部分以外の部分の少なくとも一部を、第2樹脂9の途中まで切断しなくともよい。この場合、得られる電子回路モジュール部品1の開口部5Hは、電子回路モジュール部品1の1つの側面全面が開口する。
【0064】
ステップS5が終了したら、ステップS6に進む。ステップS6において、図11−8に示すように、第5のモジュール素体1E(図11−6参照)の表面に金属層5を形成する。金属層5が形成された個体を、第6のモジュール素体1Fという。金属層5は、例えば、無電解めっきでCuの第1層を形成した後、電解めっきでCuの第2層を形成し、さらに防錆層としてNiの層を電解めっきで形成することにより得られる。図11−6に示すように、金属層5が形成される前は、基板3の切断ラインC3aの位置に形成された溝の内壁面にグランド8が露出している。したがって、ステップS6で図11−6に示す第5のモジュール素体1Eの表面に金属層5が形成されると、図11−8に示すように、金属層5とグランド8とが電気的に接続される。この状態の個体を、第6のモジュール素体1Fという。
【0065】
金属層5が形成されたら、ステップS7へ進み、第6のモジュール集合体1Fは、モジュール部品単位Uで基板3まで完全に切断される(フルカット工程)。すなわち、第6のモジュール集合体1Fは、図11−7に示す切断ラインC3a、C3b、C2の位置で基板3まで完全に切断される。その結果、図11−9に示す電子回路モジュール部品1が得られる。電子回路モジュール部品1は、ステップS8で検査されて、検査に合格したものが製品となる。上述した手順が、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法の手順である。これらの手順によって、図11−9に示すような、電子部品2の少なくとも一部が第1樹脂4に接し、かつ少なくとも第2樹脂9が金属層5で被覆され、さらに電子部品2の側面と接する第1樹脂4と、電子部品2の側面と対向する位置に設けられる金属層5との間に、第2樹脂9を介在させた封止部10を有する電子回路モジュール部品1を製造できる。
【0066】
図12−1、図12−2は、2つの側面にそれぞれ開口部を有する電子回路モジュール部品を製造する際の工程を説明するための図である。図8に示す電子回路モジュール部品1aは、平面視が長方形であり、4つの側面を有する。そして、そのうち2つの側面にそれぞれ開口部5H1、5H2を有する。電子回路モジュール部品1aを製造する場合、第1樹脂除去工程(ステップS3)において、図12−1に示す第3のモジュール素体1Cのように、複数の除去ラインC1の部分に存在する第1樹脂4が取り除かれる。複数の除去ラインC1は、互いに平行に設けられ、かつ複数のモジュール部品単位Uが一列配列された群毎に設けられる。
【0067】
また、ハーフカット工程(ステップS5)において、図12−2に示す第5のモジュール素体1Eのように、複数の切断ラインC3の位置(第1樹脂4が部分的に取り除かれた位置であり、第3のモジュール素体1Cでは複数の除去ラインC1の位置)が、基板3のグランド8まで切断される。このとき、必要に応じて、複数の除去ラインC2の位置が、第2樹脂9の途中まで切断されてもよい。除去ラインC2は、複数の切断ラインC3と直交し、かつ切断ラインC3と平行な方向に向かって複数のモジュール部品単位Uが一列配列された群毎に設けられる。なお、ハーフカット工程において除去ラインC2の位置を第2樹脂9の途中まで切断しなくてもよい。この場合、第6のモジュール集合体1Fの複数の除去ラインC2の位置は、フルカット工程(ステップS7)において、金属層5から基板3まで完全に切断される。そして、図8に示す開口部5H1、5H2は、電子回路モジュール部品1aの1つの側面全面が開口する。
【0068】
フルカット工程(ステップS7)において、第6のモジュール集合体1Fは、複数の切断ラインC3及び複数の除去ラインC2の位置で、基板3まで完全に切断される。このようにすることで、除去ラインC2の位置がそれぞれ開口部となる。その結果、図8に示すような、2つの側面にそれぞれ開口部5H1、5H2を有する電子回路モジュール部品1aを製造することができる。
【0069】
図13−1、図13−2は、3つの側面にそれぞれ開口部を有する電子回路モジュール部品を製造する際の工程を説明するための図である。図9に示す電子回路モジュール部品1bは、平面視が長方形であり、4つの側面を有する。そして、そのうち3つの側面にそれぞれ開口部5H1、5H2、5H3を有する。電子回路モジュール部品1bを製造する場合、第1樹脂除去工程(ステップS3)において、図13−1に示す第3のモジュール素体1Cのように、複数の除去ラインC1の部分に存在する第1樹脂4が取り除かれる。複数の除去ラインC1は、互いに平行に設けられ、かつ複数のモジュール部品単位Uが二列配列された群毎に設けられる。
【0070】
また、ハーフカット工程(ステップS5)において、図13−2に示す第5のモジュール素体1Eのように、複数の切断ラインC3の位置(第1樹脂4が部分的に取り除かれた位置であり、第3のモジュール素体1Cでは複数の除去ラインC1の位置)が、基板3のグランド8まで切断される。このとき、必要に応じて、複数の除去ラインC2a、C2bの位置が、第2樹脂9の途中まで切断されてもよい。除去ラインC2aは、隣接する切断ラインC3、C3の間において、隣接するモジュール部品単位Uの間に設けられる。また、除去ラインC2bは、複数の切断ラインC3と直交し、かつ切断ラインC3と平行な方向に向かって複数のモジュール部品単位Uが一列配列された群毎に設けられる。なお、ハーフカット工程において除去ラインC2a、C2bの位置を第2樹脂9の途中まで切断しなくてもよい。この場合、第6のモジュール集合体1Fの複数の除去ラインC2a、C2bの位置は、フルカット工程(ステップS7)において、金属層5から基板3まで完全に切断される。そして、図9に示す開口部5H1、5H2、5H3は、電子回路モジュール部品1bの1つの側面全面が開口する。
【0071】
フルカット工程(ステップS7)において、第6のモジュール集合体1Fは、複数の切断ラインC3及び複数の除去ラインC2a、C2bの位置で、基板3まで完全に切断される。このようにすることで、1つのモジュール部品単位Uの周りの除去ラインC2a、C2bの位置がそれぞれ開口部となる。その結果、図9に示すような、3つの側面にそれぞれ開口部5H1、5H2、5H3を有する電子回路モジュール部品1bを製造することができる。
【0072】
図14は、電子回路モジュール部品の1つの側面全面が開口する開口部を示す正面図である。ハーフカット工程(ステップS5)において、図11−7、図12−2、図13−2に示す除去ラインC2、C2a、C2bの位置を、第2樹脂9の途中まで切断しない場合、フルカット工程(ステップS7)において、第6のモジュール集合体1Fは、除去ラインC2、C2a、C2bの位置で金属層5から基板3まで完全に切断される。このときに得られる開口部5Hは、図14に示すように、電子回路モジュール部品1cの1つの側面全面に開口する。すなわち、開口部5Hは、基板3の表面から金属層5の第2樹脂9と接する部分まで開口する。
【0073】
図15、図16は、本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法によって製造された電子回路モジュール部品の開口部に金属層を設けた例を示す一部断面図である。本実施形態に係る電子回路モジュール部品の製造方法において、電子回路モジュール部品の切断面は、電子回路モジュール部品1cの1つの側面全面が開口して、第1樹脂4及び第2樹脂9が露出する。この場合、図14に示す電子回路モジュール部品1cが有する開口部5Hのように、1つの側面全面が開口する。このような場合、電子回路モジュール部品1cの切断面(すなわち開口部5H)に現れた第1樹脂の少なくとも一部を残して、切断面を導電層で覆ってもよい。このようにすると、電子回路モジュール部品1cの電磁気シールドの性能が向上する。
【0074】
例えば、図15に示す電子回路モジュール部品1dは、切断面3S2に現れた第1樹脂4の少なくとも一部を残して、切断面3S2を導電層22が覆っている。より具体的には、導電層22は、切断面3S2において、第1樹脂4の一部と第2樹脂9の全部とを覆い、かつ金属層5と電気的に接続されている。電子回路モジュール部品1dは、第1樹脂4の一部が露出している部分が開口部5Hdとなる。また、図16に示す電子回路モジュール部品1eは、切断面3S2において、第1樹脂4の一部と第2樹脂9の全部と基板3の全部とが導電層22で覆われるとともに、導電層22と金属層5とが電気的に接続されている。電子回路モジュール部品1eは、第1樹脂4の一部が露出している部分が、開口部5Heとなる。なお、電子回路モジュール部品1d、1eは、切断面3S2において、第1樹脂4の全部が露出し、残りの部分はすべて導電層22で覆われていてもよい。
【0075】
本実施形態において、導電層22は、金属又は金属ペースト等を用いることができる。金属としては、例えば、銅、銀等を導電層22に用いることができ、金属ペーストとしては、例えば、銀ペーストを導電層22に用いることができる。なお、導電層22に用いることができる金属又は金属ペーストは、これらに限定されるものではない
【0076】
金属を導電層22として用いる場合、例えば、スパッタ、蒸着等によって電子回路モジュール部品1d、1eの切断面3S2に導電層22を形成することができる。これらの手法を用いる場合、導電層22で切断面3S2を覆う部分を除き、例えば、レジスト等で切断面3S2を覆い、スパッタ又は蒸着を施す。その後、前記レジストを除去することで、切断面3S2に現れた第1樹脂4の少なくとも一部を残して、第2切断面3S2が導電層22に覆われる。
【0077】
金属ペーストを導電層22として用いる場合、例えば、転写、ローラーによる塗布、印刷等により、電子回路モジュール部品1d、1eの切断面3S2に導電層22を形成することができる。これらの手法を用いる場合、導電層22が切断面3S2を覆う形状で、金属ペーストを第2切断面3S2に印刷したり転写したりする。
【符号の説明】
【0078】
1、1b、1c、1d、1e 電子回路モジュール部品
1A 第1モジュール素体
1B 第2モジュール素体
1C 第3モジュール素体
1D 第4モジュール素体
1E 第5モジュール素体
1F 第6モジュール素体
2 電子部品
2S 側部
2T 頂部
3 基板
3S 側面
4 第1樹脂
4H 空隙
4M 樹脂
5、5b 金属層
5H、5H1、5H2、5H3、5Hd、5He 開口部
8 グランド
9 第2樹脂
10 封止部
20 補強部材
21 接着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と、
前記電子部品が実装された基板と、
空隙を有し、前記電子部品の少なくとも一部と接する第1樹脂と、
前記第1樹脂を覆い、かつ前記第1樹脂よりも空隙率の低い第2樹脂と、
少なくとも前記第2樹脂を被覆し、かつ前記基板のグランドと電気的に接続された金属層と、
前記金属層に設けられ、かつ少なくとも前記第1樹脂の一部を前記金属層の外部に露出させる開口部と、
前記電子部品の側面と接する前記第1樹脂と、前記電子部品の側面と対向する位置に設けられる金属層との間に、前記第2樹脂を介在させた封止部と、
を含むことを特徴とする電子回路モジュール部品。
【請求項2】
前記封止部の前記第2樹脂は、前記基板と接する請求項1に記載の電子回路モジュール部品。
【請求項3】
前記封止部は、前記金属層と前記第1樹脂との距離が、0.01mm以上である請求項1又は2に記載の電子回路モジュール部品。
【請求項4】
前記封止部は、前記金属層と前記第1樹脂との距離が、前記電子部品の側面と対向する金属層から前記側面へ向かう方向と平行な方向における前記電子回路モジュール部品の寸法の5%以上である請求項1又は2に記載の電子回路モジュール部品。
【請求項5】
前記第1樹脂の空隙率は、1体積%以上50体積%以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の電子回路モジュール部品。
【請求項6】
基板上に電子部品を実装する工程と、
前記電子部品が実装された前記基板上に、前記電子部品の少なくとも一部と接するように第1樹脂を設ける工程と、
一つの電子回路モジュール部品となる部分の周りに存在する前記第1樹脂の一部を、前記基板が露出するまで取り除く工程と、
前記第1樹脂及び露出した前記基板を第2樹脂で覆う工程と、
前記第1樹脂が取り除かれた部分を覆う前記第2樹脂から前記基板のグランドまで切断する工程と、
少なくとも前記第1樹脂の表面に金属層を形成する工程と、
前記一つの電子回路モジュール部品の周りをすべて前記基板まで切断する工程と、
を含むことを特徴とする電子回路モジュール部品の製造方法。
【請求項7】
前記第1樹脂及び露出した前記基板を第2樹脂で覆う工程の後、前記金属層が形成される前に、
一つの電子回路モジュール部品となる部分の周りにおいて、前記第1樹脂の一部を取り除いた部分以外の部分の少なくとも一部を、前記第2樹脂の途中まで切断する工程を有する請求項6に記載の電子回路モジュール部品の製造方法。
【請求項8】
前記第1樹脂の一部を取り除く工程においては、
一つの電子回路モジュール部品となる部分の周りの一部を、前記基板の途中まで切断する請求項6又は7に記載の電子回路モジュール部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図11−5】
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【図11−6】
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【図11−7】
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【図11−8】
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【図11−9】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−160572(P2012−160572A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19190(P2011−19190)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】