説明

電子回路装置

【課題】電子回路装置において、コストを低減しつつ、放熱性に優れた構造を達成することを目的とする。
【解決手段】電子部品30がバスバー10とベース部品20との間に配置され、バスバー10の一部で形成された固定端子12がベース部品20に固定されることで固定部70が形成されている。また、固定部70はばね性を有している。そして、固定部70のばね性によってベース部品20とバスバー10との間隔が縮まるように固定部70の復元力が作用することにより、電子部品30がバスバー10とベース部品20とで挟み込まれている。これにより、熱伝導性の接着剤を用いなくても電子部品30を固定でき、さらに、バスバー10およびベース部品20に放熱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーとベース部品とで電子部品を挟み込んだ電子回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、電子部品の発熱対策として放熱専用の放熱部品が必要であり、そのためにコストが増加するという問題があった。そこで、上記問題を解決する目的で、本出願人は、電源用バスバーと電子部品の表面とを熱伝導性の接着剤にて接着することで、電子部品が発生する熱を電源用バスバーから放熱すると共に、コネクタ端子に接続された電力供給用のリード線からも放熱する構造を提案した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−329230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、電子部品からの熱をバスバーに確実に伝達するために熱伝導性の接着剤が必要になり、この接着剤の使用により電子回路装置のコストが増加するという問題があった。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、電子回路装置において、コストを低減しつつ、放熱性に優れた構造を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、外部コネクタ端子(11)を有し、当該外部コネクタ端子(11)を介して外部電源から電力が供給される板状のバスバー(10)と、金属材料により形成された放熱部(24)を含んでおり、バスバー(10)に対向配置された板状のベース部品(20)と、バスバー(10)と放熱部(24)とに挟み込まれた電子部品(30)と、を備えている。
【0007】
また、バスバー(10)は、当該バスバー(10)の一部がベース部品(20)側に折り曲げられた固定端子(12)を有している。
【0008】
そして、固定端子(12)がベース部品(20)に固定されて固定部(70)が形成されると共に固定部(70)はばね性を有し、当該ばね性によってベース部品(20)とバスバー(10)との間隔が縮まるように固定部(70)の復元力が作用することにより、電子部品(30)がバスバー(10)および放熱部(24)に接触して押し付けられていることを特徴とする。
【0009】
これによると、電子部品(30)がバスバー(10)とベース部品(20)とに挟まれて固定されるので、熱伝導性の接着剤を不要とすることができる。また、電子部品(30)はバスバー(10)とベース部品(20)とに接触して押し付けられているので、電子部品(30)の熱をベース部品(20)の放熱部(24)に放熱することができると共に、バスバー(10)の外部コネクタ端子(11)を経由して当該外部コネクタ端子(11)に接続された外部電源供給用の配線を介して外部に放熱することができる。
【0010】
したがって、熱伝導性の接着剤のコストを低減することができ、さらに、放熱性に優れた構造の電子回路装置を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、外部コネクタ端子(11)を有し、当該外部コネクタ端子(11)を介して外部電源から電力が供給される板状のバスバー(10)と、金属材料により形成された放熱部(24)を含んでおり、バスバー(10)に対向配置された板状のベース部品(20)と、バスバー(10)と放熱部(24)とに挟み込まれた電子部品(30)と、ベース部品(20)において電子部品(30)とは反対側に配置されたリレー(50)と、を備えている。
【0012】
また、バスバー(10)は、当該バスバー(10)の一部がベース部品(20)側に折り曲げられた固定端子(12)と、当該バスバー(10)の一部がベース部品(20)側に折り曲げられると共に先端(17a)がベース部品(20)において電子部品(30)とは反対側に位置する放熱端子(17)と、を有し、ベース部品(20)は、放熱端子(17)が挿入される貫通孔部(26)を有している。
【0013】
そして、固定端子(12)がベース部品(20)に固定されて固定部(70)が形成されると共に固定部(70)はばね性を有し、当該ばね性によってベース部品(20)とバスバー(10)との間隔が縮まるように固定部(70)の復元力が作用することにより、電子部品(30)がバスバー(10)および放熱部(24)に接触して押し付けられており、放熱端子(17)が貫通孔部(26)に差し込まれると共に当該放熱端子(17)の先端(17a)側が絶縁性放熱シート(51)を介してリレー(50)に熱的に接続されていることを特徴とする。
【0014】
これによると、請求項1に記載の効果に加え、バスバー(10)が電子部品(30)から受けた熱を放熱端子(17)および絶縁性放熱シート(51)を介してリレー(50)に放熱できるので、放熱性をさらに向上させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、固定端子(12)は、三角形の各頂点に位置するように、前記バスバー(10)に3箇所設けられていることを特徴とする。
【0016】
これにより、電子部品(30)に対してバスバー(10)やベース部品(20)が浮かないように、すなわちバスバー(10)の平面度を保ちつつ電子部品(30)を挟み込むことができる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、ベース部品(20)は、固定端子(12)が差し込まれる固定孔部(25)を有し、固定端子(12)は、固定孔部(25)に挿入された状態で、固定端子(12)の先端(12a)側が固定端子(12)の長手方向周りにねじり変形させられていることにより、ベース部品(20)に固定されていることを特徴とする。
【0018】
これによると、固定端子(12)の先端(12a)のねじり変形の度合いに応じて固定端子(12)のかしめ力を調節できるので、バスバー(10)およびベース部品(20)の放熱部(24)に対して電子部品(30)を確実に密着させることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、バスバー(10)は、電子部品(30)が接触する部分がベース部品(20)側に凹んだばね部(16)を有していることを特徴とする。
【0020】
これによると、電子部品(30)がばね部(16)のばね性によって押し付けられるので、バスバー(10)およびベース部品(20)の放熱部(24)に電子部品(30)を確実に密着させることができる。
【0021】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子回路装置の断面図である。
【図2】電源用のバスバーの模式図である。
【図3】電源用のバスバーと電子部品とベース部品との分解斜視図である。
【図4】(a)はバスバーとベース部品とで電子部品を挟み込んだときにベース部品側を見た斜視図であり、(b)は(a)のA部拡大図である。
【図5】図4(a)に示される構造の一部断面図である。
【図6】電子部品から発せられる熱の放熱経路を示した電子回路装置の断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電子回路装置の断面図である。
【図8】第2実施形態における放熱経路を示した電子回路装置の断面図である。
【図9】第3実施形態において、バスバーとベース部品とで電子部品を挟み込んだ構造の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態で示される電子回路装置は、集積回路や電磁リレーを内蔵し、例えば図示しない車両のヘッドランプやワイパモータ等の車両用電気機器の通電制御用として用いられるものである。
【0025】
図1は、本実施形態に係る電子回路装置の断面図である。この図に示されるように、電子回路装置は、電源用のバスバー10と、ベース部品20と、電子部品30と、リレー用のバスバー40と、リレー50と、樹脂製のケース60と、を備えて構成されている。
【0026】
電源用のバスバー10およびリレー用のバスバー40は、例えば銅系金属板等の導電性金属板がプレスにて打ち抜かれて形成された板状の配線である。
【0027】
図2は電源用のバスバー10の模式図であり、図2(a)はバスバー10の正面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は下面図である。
【0028】
図2(a)〜図2(c)に示されるように、電源用のバスバー10は、外部コネクタ端子11と、3つの固定端子12と、供給端子13とを有している。外部コネクタ端子11は、当該外部コネクタ端子11を介して外部電源からバスバー10に電力を供給するための端子である。3つの固定端子12は、バスバー10をベース部品20に固定するための端子である。図2(a)に示されるように、各固定端子12は、三角形の各頂点に位置するように、バスバー10に3箇所設けられている。また、供給端子13は、バスバー10に供給された電源をベース部品20に供給するための端子である。
【0029】
これら外部コネクタ端子11、各固定端子12、および供給端子13は、バスバー10の一部がバスバー10の一面14に対して垂直な方向に折り曲げられて形成されている。具体的には、図1に示されるように、各固定端子12はベース部品20側に折り曲げられている。外部コネクタ端子11および供給端子13についても同様にベース部品20側に折り曲げられている。
【0030】
そして、本実施形態では、各固定端子12の長手方向に沿ってバスバー10にスリット15が設けられている。これにより、各固定端子12はばね性を有している。このため、各固定端子12はバスバー10の一面14に対して垂直な方向(つまりベース部品20側)に可動できるようになっている。また、図2(c)に示されるように、固定端子12の先端12a側には段付き部12bが形成されて先端12aの幅が固定端子12の根元側よりも細くなっている。
【0031】
さらに、図2(a)〜図2(c)に示されるように、バスバー10は、当該バスバー10の一面14の一部が凹んだばね部16を有している。このばね部16は、図1に示されるように、電子部品30が接触する部分であり、この部分がベース部品20側に凹んだ形状をなしている。
【0032】
ベース部品20は、電子部品30の配線としての役割を果たすものであり、リードフレーム21に樹脂22がモールドされた板状の部品である。リードフレーム21は上記の電源用のバスバー10と同様に銅系金属板等の金属材料が所望のレイアウトにプレス加工されたものである。
【0033】
図3は、電源用のバスバー10と電子部品30とベース部品20との分解斜視図である。この図に示されるように、リードフレーム21のうちの端子23となる部分や、電子部品30と対向する部分、バスバー10の各固定端子12と対向する部分、およびバスバー10の供給端子13と対向する部分がそれぞれ露出するように樹脂22にモールドされている。
【0034】
リードフレーム21のうち電子部品30と対向する部分は電子部品30と接触する部分であり、電子部品30の熱を放熱するための放熱部24となっている。この放熱部24は電子部品30が接触する部分である。
【0035】
また、リードフレーム21のうち各固定端子12と対向する部分には、固定端子12が差し込まれる固定孔部25が設けられている。このような構成のベース部品20は、バスバー10に対向配置されている。
【0036】
電子部品30は、複数のMOSFETとその制御回路とが一体となったハイブリッドICである。図3に示されるように、電子部品30は板状をなしており、バスバー10と対向する面にヒートシンク31を備えている。そして、このヒートシンク31が露出するように樹脂でモールド成型されている。
【0037】
また、電子部品30は、図1および図3に示されるように、電子部品30はバスバー10と放熱部24(つまりベース部品20)とに挟み込まれている。このことについて、図4および図5を参照して説明する。
【0038】
図4(a)は、バスバー10とベース部品20とで電子部品30を挟み込んだときにベース部品20側を見た斜視図であり、図4(b)は図4(a)のA部拡大図である。図5は、図4(a)に示される構造の一部断面図であり、外部コネクタ端子11が突出するベース部品20の側面側に位置する2つの固定端子12を横切る断面図である。
【0039】
まず、図3の分解図に示されたバスバー10の固定端子12の先端12aがベース部品20の固定孔部25に挿入されると、固定端子12の先端12a側に設けられた段付き部12bがリードフレーム21に引っ掛かると共に、固定端子12の先端12aがリードフレーム21から突出する。また、電子部品30のヒートシンク31がバスバー10のばね部16に直接接触すると共にベース部品20の放熱部24に直接接触し、さらに電子部品30の各端子がリードフレーム21の各端子に直接接触する。そして、固定端子12の先端12aが図4(a)に示されるようにベース部品20に固定されている。
【0040】
具体的には、リードフレーム21から突出した先端12aは、図4(b)に示されるように、固定孔部25に挿入された状態で、固定端子12の先端12a側が固定端子12の長手方向周りにねじり変形させられていることにより、ベース部品20に固定されている。このように、固定端子12がベース部品20に固定されることで、図5に示されるように固定部70が形成される。この固定部70は、上述のスリット15によりばね性を有している。
【0041】
このため、固定端子12の先端12aがベース部品20の固定孔部25にねじってかしめられると、当該ばね性によってベース部品20とバスバー10との間隔が縮まるように固定部70の復元力が作用することにより、電子部品30がバスバー10および放熱部24に直接接触して押し付けられる。これにより、電子部品30がバスバー10とベース部品20とに挟み込まれて、バスバー10、ベース部品20、および電子部品30が一体化されている。
【0042】
このように、固定端子12の先端12aをベース部品20にねじりかしめる場合、固定端子12の先端12aのねじり変形の度合い(ねじる角度)に応じて固定端子12のかしめ力を調節することができる。また、電子部品30に接触したばね部16のばね性によってバスバー10側に電子部品30を押し付けることができる。したがって、バスバー10およびベース部品20の放熱部24に対して電子部品30を確実に密着させることができる。
【0043】
さらに、上述のように、固定端子12を三角形の各頂点に位置するように配置しているので、固定端子12の先端12aをねじってかしめたときに、電子部品30に対してバスバー10やベース部品20が浮かないようにすることができる。すなわち、バスバー10の平面度を保ちつつ電子部品30を挟み込むことができるので、バスバー10や放熱部24に対して電子部品30を確実に接触させることができる。この場合、バスバー10の平面を出しやすくするために、三角形は正三角形であることが好ましい。
【0044】
リレー用のバスバー40は、リレー50を実装するための配線である。また、リレー50は、ベース部品20において電子部品30とは反対側に配置されている。すなわち、リレー50はバスバー40に実装されているが、ベース部品20とバスバー40との間に位置している。
【0045】
ケース60は、電子回路装置の外観をなすものであり、上記の電源用のバスバー10、ベース部品20、電子部品30、リレー用のバスバー40、およびリレー50を収納するものである。ケース60は、図示しない配線コネクタが接続されるコネクタ部61を有し、このコネクタ部61の内部にバスバー40の外部コネクタ端子11やベース部品20のリードフレーム21等が位置している。以上が、本実施形態に係る電子回路装置の全体構成である。
【0046】
次に、上記の電子回路装置において、ハイブリッドICである電子部品30から発せられる熱の放熱経路について、図6を参照して説明する。図6では、熱の経路を黒塗りの矢印で示してある。
【0047】
電子部品30にて発生した熱は、まず、ヒートシンク31に直接接触している電源用のバスバー10に伝熱される(矢印80)。バスバー10の熱は、バスバー10内を移動すると共に(矢印81)、バスバー40に一体となった外部コネクタ端子11を経由し(矢印82)、この外部コネクタ端子11に接続された図示しない電力供給用の配線を介して電子回路装置の外部に放熱される。
【0048】
また、電子部品30はバスバー10だけではなく、ベース部品20の放熱部24とも直接接触しているので、電子部品30にて発生した熱は放熱部24にも伝熱される(矢印83)。
【0049】
このように、電子部品30をバスバー10とベース部品20の放熱部24とで挟み込んでいるので、電子部品30で発生した熱をバスバー10側だけでなくベース部品20側にも放熱することが可能となる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では、電子部品30をバスバー10とベース部品20との間に配置し、バスバー10の一部で形成された固定端子12をベース部品20に固定した固定部70を形成すると共に固定部70にばね性を持たせることで、バスバー10とベース部品20とで電子部品30を挟み込んだことが特徴となっている。
【0051】
これによると、電子部品30がバスバー10とベース部品20とに直接接触した状態でこれらに挟まれて固定されるため、電子部品30とバスバー10とを接着するための熱伝導性の接着剤を不要とすることができる。本実施形態では、固定端子12の先端12aをねじってリードフレーム21にかしめることで、バスバー10およびベース部品20と電子部品30とを機械的に密着させることができる。したがって、熱伝導性の接着剤のコストを低減することができる。さらに、バスバー10の一部を用いた固定端子12をベース部品20に固定するので、固定のための部品点数の増加もない。
【0052】
また、電子部品30はバスバー10とベース部品20とに押し付けられて接触が安定している。このため、電子部品30の熱をバスバー10の外部コネクタ端子11を経由して当該外部コネクタ端子11に接続された図示しない電力供給用の配線に放熱することができると共に、ベース部品20にも放熱することができる。したがって、放熱性に優れた構造の電子回路装置を提供することができる。
【0053】
(第2実施形態)
本実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。図7は、本実施形態に係る電子回路装置の断面図である。この図に示されるように、本実施形態では、バスバー10は、上述の固定端子12の他に、当該バスバー10の一部がベース部品20側に折り曲げられると共に先端17aがベース部品20において電子部品30とは反対側に位置する放熱端子17を有している。
【0054】
一方、ベース部品20は、バスバー10の放熱端子17が挿入される貫通孔部26を有している。具体的には、リードフレーム21のうち放熱端子17と対向する部分が樹脂22から露出していると共に、当該部分に貫通した孔が設けられることで貫通孔部26が構成されている。
【0055】
そして、上述のように、バスバー10とベース部品20とで電子部品30が挟み込まれると、放熱端子17が貫通孔部26に差し込まれると共に当該放熱端子17の先端17a側がベース部品20とリレー用のバスバー40との間に位置する。
【0056】
また、リレー50のうち放熱端子17と対向する側面には、例えば樹脂を材料として構成された絶縁性放熱シート51が設けられている。そして、図7に示されるように、放熱端子17の先端17a側が絶縁性放熱シート51に直接接触している。これにより、放熱端子17とリレー50とは電気的に絶縁されているが、放熱端子17の先端17a側は絶縁性放熱シート51を介してリレー50に熱的に接続されている。
【0057】
次に、上記の構成における放熱経路について、図8を参照して説明する。第1実施形態で示されたように、電子部品30にて発生した熱は、バスバー10に伝熱すると、外部コネクタ端子11を介して電力供給用の配線に放熱されると共に、ベース部品20の放熱部24に放熱される。
【0058】
さらに、本実施形態では、電子部品30から受けた熱がバスバー10を介して放熱端子17側に伝熱し(矢印84)、放熱端子17の先端17a側から絶縁性放熱シート51を介してリレー50に放熱される(矢印85)。これによると、電子部品30からバスバー10およびベース部品20への放熱に加えて、リレー50への放熱が可能となるので、放熱性をさらに向上させることができる。
【0059】
(第3実施形態)
本実施形態では、主に第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。上記第1、第2実施形態では、電源用のバスバー10にスリットを設けることにより、固定端子12がバスバー10の一面14に対して垂直な方向に可動できるようにしていた。すなわち、固定端子12にばね性を持たせることで、固定部70にばね性を持たせていた。これに対し、本実施形態では、ベース部品20にばね性を持たせることで、固定部70にばね性を持たせることが特徴となっている。
【0060】
図9は、バスバー10とベース部品20とで電子部品30を挟み込んだ構造の一部断面図である。この図に示されるように、ベース部品20は、ばね部27を有している。このばね部27は、ベース部品20のリードフレーム21のうち、固定孔部25が設けられた部分がバスバー10側に凹んだことにより形成されたものである。これにより、リードフレーム21のばね部27がリードフレーム21の平面に対して垂直な方向(つまりバスバー10とベース部品20との積層方向)に可動できるようになっている。
【0061】
すなわち、バスバー10の固定端子12の先端12a側の段付き部12bがばね部27を押さえ付け、固定端子12の先端12aがリードフレーム21にねじられてかしめられることで、ばね部27がバスバー10側に変形する。このため、ベース部品20とバスバー10との間隔が縮まるようにばね部27の復元力が作用することにより、電子部品30がバスバー10および放熱部24に接触して押し付けられる。
【0062】
以上のように、ベース部品20のリードフレーム21にばね部27を設けることで、固定部70にばね性を持たせることもできる。なお、この場合、バスバー10の固定端子12にもスリット15によるばね性を持たせても良い。
【0063】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、バスバー10にばね部16を設けてバスバー10と電子部品30との密着性を向上させていたが、このばね部16はバスバー10に設けられていなくても良い。ばね部16がバスバー10に設けられていれば、バスバー10とベース部品20との経年劣化によって固定部70の復元力が低下しても、ばね部16のばね性によりバスバー10と電子部品30との密着性の低下を防止することができる。
【0064】
上記各実施形態では、バスバー10の固定端子12とベース部品20のリードフレーム21とを、固定端子12の先端12a側を固定端子12の長手方向周りにねじり変形させることにより固定し、これにより固定部70を形成していた。しかしながら、この固定の方法は一例であり、他の方法により固定部70を形成しても良い。例えば、ねじり変形ではなく、固定端子12の先端12aをリードフレーム21側に折り曲げてかしめても良い。また、固定端子12をリードフレーム21にねじ止めしたり、固定端子12の先端12aをリードフレーム21に熱かしめしたり、固定端子12の先端12aをリードフレーム21に嵌め込むようにしても良い。
【0065】
上記各実施形態では、バスバー10とベース部品20とを固定するために、固定部70を3箇所設けたが、固定部70は少なくとも2箇所設けられていればバスバー10とベース部品20との固定は可能である。もちろん、固定部70は4箇所以上設けられていても良い。
【0066】
上記各実施形態では、ベース部品20はリードフレーム21に樹脂22がモールド成型されて構成されているが、これはベース部品20の構成の一例であり、他の構成でも良い。例えば、リードフレーム21のみでベース部品20が構成されていても良い。
【0067】
上記各実施形態では、電子部品30から発せられた熱をバスバー10に伝熱すると共に外部コネクタ端子11を介して図示しない電力供給用の配線に放熱していたが、バスバー10の一面14をケース60の内壁に接触させることにより、ケース60にも放熱するようにしても良い。この場合、バスバー10をケースの内壁に密着させることが好ましい。これにより、さらに放熱性を高めることができる。
【符号の説明】
【0068】
10 バスバー
11 外部コネクタ端子
12 固定端子
12a 固定端子の先端
16 バスバーのばね部
17 放熱端子
17a 放熱端子の先端
20 ベース部品
24 放熱部
25 固定孔部
26 貫通孔部
30 電子部品
50 リレー
51 絶縁性放熱シート
70 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部コネクタ端子(11)を有し、当該外部コネクタ端子(11)を介して外部電源から電力が供給される板状のバスバー(10)と、
金属材料により形成された放熱部(24)を含んでおり、前記バスバー(10)に対向配置された板状のベース部品(20)と、
前記バスバー(10)と前記放熱部(24)とに挟み込まれた電子部品(30)と、を備え、
前記バスバー(10)は、当該バスバー(10)の一部が前記ベース部品(20)側に折り曲げられた固定端子(12)を有し、
前記固定端子(12)が前記ベース部品(20)に固定されて固定部(70)が形成されると共に前記固定部(70)はばね性を有し、当該ばね性によって前記ベース部品(20)と前記バスバー(10)との間隔が縮まるように前記固定部(70)の復元力が作用することにより、前記電子部品(30)が前記バスバー(10)および前記放熱部(24)に接触して押し付けられていることを特徴とする電子回路装置。
【請求項2】
外部コネクタ端子(11)を有し、当該外部コネクタ端子(11)を介して外部電源から電力が供給される板状のバスバー(10)と、
金属材料により形成された放熱部(24)を含んでおり、前記バスバー(10)に対向配置された板状のベース部品(20)と、
前記バスバー(10)と前記放熱部(24)とに挟み込まれた電子部品(30)と、
前記ベース部品(20)において前記電子部品(30)とは反対側に配置されたリレー(50)と、を備え、
前記バスバー(10)は、当該バスバー(10)の一部が前記ベース部品(20)側に折り曲げられた固定端子(12)と、当該バスバー(10)の一部が前記ベース部品(20)側に折り曲げられると共に先端(17a)が前記ベース部品(20)において前記電子部品(30)とは反対側に位置する放熱端子(17)と、を有し、
前記ベース部品(20)は、前記放熱端子(17)が挿入される貫通孔部(26)を有しており、
前記固定端子(12)が前記ベース部品(20)に固定されて固定部(70)が形成されると共に前記固定部(70)はばね性を有し、当該ばね性によって前記ベース部品(20)と前記バスバー(10)との間隔が縮まるように前記固定部(70)の復元力が作用することにより、前記電子部品(30)が前記バスバー(10)および前記放熱部(24)に接触して押し付けられており、
前記放熱端子(17)が前記貫通孔部(26)に差し込まれると共に当該放熱端子(17)の先端(17a)側が絶縁性放熱シート(51)を介して前記リレー(50)に熱的に接続されていることを特徴とする電子回路装置。
【請求項3】
前記固定端子(12)は、三角形の各頂点に位置するように、前記バスバー(10)に3箇所設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子回路装置。
【請求項4】
前記ベース部品(20)は、前記固定端子(12)が差し込まれる固定孔部(25)を有し、
前記固定端子(12)は、前記固定孔部(25)に挿入された状態で、前記固定端子(12)の先端(12a)側が前記固定端子(12)の長手方向周りにねじり変形させられていることにより、前記ベース部品(20)に固定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子回路装置。
【請求項5】
前記バスバー(10)は、前記電子部品(30)が接触する部分が前記ベース部品(20)側に凹んだばね部(16)を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電子回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−124488(P2011−124488A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282869(P2009−282869)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(390001812)アンデン株式会社 (97)
【Fターム(参考)】