説明

電子機器

【課題】ヒートシンクのほこりの除去が容易な電子機器を提供する。
【解決手段】ポータブルコンピュータは、本体部筐体と、本体部筐体内に実装されるCPUと、CPUに熱的接続されたヒートパイプと、ヒートパイプに熱的接続された第1のヒートシンク60と、ファンユニット40と、第2のヒートシンク70とを有する。第1のヒートシンク60は、所定の間隔で整列した複数のフィン61と、このフィン61を支持して通風孔を備えた箱状の支持部材63とを有する。第2のヒートシンク70は、フィン61間に挿入されるフィン間挿入部74を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に係り、特にCPU等の発熱体を冷却する冷却ユニットを具備する電子
機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の電子機器内には、CPU等の発熱体が組み込まれている。
【0003】
発熱体が過度に発熱するとCPUの性能を十分に発揮することができないため、冷却が必要である。
【0004】
発熱体を冷却する手段としては、例えば発熱体の熱を受ける受熱部と、放熱フィンとをヒートパイプで熱的に接続して放熱フィン側に熱を伝え、放熱フィンを冷却ファンで強制空冷する方法が知られている。
【0005】
特許文献1(特開2005−321287号公報)には、複数枚の放熱フィンが並べて配置され、発熱部品の熱が電子部品材およびヒートパイプを介して伝導されるヒートシンクを備えた放熱手段と、ヒートシンクに送風を行う冷却ファンとを備え、冷却ファンによる空気の流れに対して流入部となるヒートシンクの端面に、各放熱フィンの端部を同じ方向に傾斜させて傾斜部を備えた冷却ユニットが開示されている。
【特許文献1】特開2005−321287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される冷却ユニットは、ヒートシンクにほこりが付着しにくくなる。
【0007】
しかし、完全にはほこりの付着を防止することはできない為、時間の経過と伴にほこりが付着することとなる。この場合、特許文献1の技術では、実際に付着したほこりの除去の手間を軽減できない。また、ヒートシンクの端面に傾斜部を形成しているため、ヒートシンク内の通風性が悪くなり、冷却性能が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ヒートシンクのほこりの除去が効率的に行える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、筐体と、前記筐体内に実装される発熱体と、前記発熱体に熱的接続されたヒートパイプと、前記ヒートパイプに熱的接続されたヒートシンクであって、所定の間隔で整列した複数の第1のフィンと、このフィンを支持して通風孔を備えた箱状の支持部材とを有した第1のヒートシンクと、前記第1のヒートシンクを冷却するファンユニットと、前記第1のヒートシンクと前記ファンユニットとの間に設けられ、前記第1のフィンの間に挿入されるフィン間挿入部を有した第2のヒートシンクとを備えたことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の他の電子機器は、筐体と、前記筐体内に実装される発熱体と、前記発熱体に熱的接続されたヒートパイプと、前記ヒートパイプに熱的接続されたヒートシンクであって、所定の間隔で整列した複数の第1のフィンと、このフィンを支持して通風孔を備えた箱状の支持部材とを有した第1のヒートシンクと、前記第1のヒートシンクを冷却するファンユニットと、前記第1のヒートシンクと前記ファンユニットとの間に設けられ、前記第1のフィンの間に挿入されるフィン間挿入部を有した第2のヒートシンクとを備え、前記筐体に、筐体外部から筐体内の前記第2のヒートシンクの取り出しが可能な開口部を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
ヒートシンクのほこりの除去を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明の電子機器の形態について、例えば、電子機器の1つであるポータブルコンピュータに適用した場合を例に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係るポータブルコンピュータの斜視図を示す。ポータブルコンピュータ1は、本体部2、表示部3と、ヒンジ機構4とから構成されている。
【0014】
本体部2は、偏平な略箱状の本体部筐体20を有する。本体部筐体20の上面201側にはキーボード21、ポインティングデバイス22、スイッチ類等の操作部が設けられている。
【0015】
本体部2には、上記キーボード21、ポインティングデバイス22等の操作部および表示デバイス31を制御するCPU51(図2参照)を組み込んだプリント回路板(マザーボード)5が設けられている。CPU51は、本発明の発熱体の一例である。また、本体部2には、CPU51を冷却するための冷却ユニット10(図2参照)が実装されている。
【0016】
表示部3は、偏平な略箱状の表示部筐体30を有する。表示部筐体30は、一方の面が開口部を有しており、この開口部からは表示部3内に設けられたLCD等の表示デバイス31の表示画面が露出している。
【0017】
ヒンジ機構4は、本体部2のキーボード21の奥に本体部2と表示部3とを接続するように設けられている。ヒンジ機構4は、表示部3が本体部2に設けられたキーボード21を覆う位置と開く位置とに回動自在になるように設けられている。
【0018】
次に、冷却ユニット10について説明する。図2は、ポータブルコンピュータ1を本体部2の下面202側から見た斜視図である。図2は、本体部2の一部を拡大したものであり、本体部2の下面202及び側面203の一部を非表示にして本体部2の内部を表示している。
【0019】
図2に示すように、本体部2は、プリント回路板5(図2では不図示)の他に、主としてCPU51の発熱を冷却するための冷却ユニット10を有する。冷却ユニット10はプリント回路板5あるいは本体部筐体20に支持されている。
【0020】
冷却ユニット10は、受熱部11と、ヒートパイプ12と、第1のヒートシンク60と、ファンユニット40と、第2のヒートシンク70とから構成されている。
【0021】
受熱部11は、例えば銅やアルミニウムなどの熱伝導率が高い扁平の部材である。受熱部11は例えばグリス等の熱伝導部材を介してCPU51と熱的に接続している。受熱部11は、CPU51が発した熱を受けてヒートパイプ12に伝える役割を担う。
【0022】
ヒートパイプ12は、端部12a,12bを有した棒状の形状を有しており、受熱部11が受けたCPU51の熱を端部12aから端部12bへ伝える役割を担う。ヒートパイプ12は水が封入された中空管になっていおり、端部12aで受けた熱により水が水蒸気となり、端部12bまでこの熱を運び、端部12b側が冷却されることで再び水となり12bまで循環することで熱を運ぶこととなる。
【0023】
第1のヒートシンク60は、後述するように複数のフィン61(図3参照)を有し、熱拡散の面積を確保することで、ヒートパイプ12から受けた熱を外部に放出する。第1のヒートシンク60にはヒートパイプ12が貫通している。第1のヒートシンク60は、例えば銅やアルミニウムなどの熱伝導率が高い部材が好ましい。第1のヒートシンク60の形状の詳細については後述する。
【0024】
ファンユニット40は、吸気孔42及び排気孔41(図3参照)を有するケーシング43と、このケーシングの中に実装されているファン(不図示)とを有する。ファンユニット40は、ファンが回転することで、吸気孔42から吸い込んだ空気を排気孔41から排気する。第1のヒートシンク60のフィンとファンユニット40の排気孔41とは対向する位置に設けられ、ファンユニット40から排気された空気(排気風)は、第1のヒートシンク60に向けて(図3中矢印X)吹き付けられて、第1のヒートシンク60の熱拡散を促すとともに、排気風は、本体部筐体20の側面204に設けられた排気孔204aから外部に放出される。
【0025】
第2のヒートシンク70は、後述するように複数のフィン間挿入部74を有する(図3参照)。このフィン間挿入部は、第2のヒートシンク70を下面202に対して鉛直方向に動かすことで、第1のヒートシンク60のフィンに付着したほこりを除去する役割を担う。第2のヒートシンク70は、第1のヒートシンク60とファンユニット40との間に近接して設けられる。従って、第2のヒートシンク70は、ファンユニット40からの排気風を第1のヒートシンク60に確実に送出するためのダクトとしての役割を担う。また、第2のヒートシンク70は、第1のヒートシンク60から受熱することにより、第1のヒートシンク60のヒートシンクとしての作用を補強する。第2のヒートシンク70は、例えば銅やアルミニウムなどの熱伝導率が高い部材が好ましい。但し、後述するように、第2のヒートシンク70がフィン71を有しない場合には、プラスチック等で構成しても良い。尚、第2のヒートシンク70の形状の詳細については後述する。
【0026】
次に、第1のヒートシンク60及び第2のヒートシンク70の構造について説明する。
【0027】
図3は、冷却ユニット10を展開した斜視図である。図3では、簡単のために受熱部11、ヒートパイプ12、ファンユニット40内のファンを不図示としている。
【0028】
図3に示すように、第1のヒートシンク60は、複数の板状のフィン61から構成される第1のフィン群62と、この第1のフィン群62を支持する枠体である支持部材63から構成されている。支持部材63は、支持板63a,63b,63c,63dによって囲まれた枠体である。即ち、支持部材63は一対の面が開口して通風可能な略箱状の形状を有している。
【0029】
また、支持板63b及び支持板63dは、支持板63aと接合している側の角部の第2のヒートシンク70側にそれぞれ、切り欠き63b1,63d1を有する。この切り欠き63b1,63d1の大きさは、後述する第2のヒートシンク70の板71aの端部が挿入できるような大きさに切り欠かれている。
【0030】
各フィン61は、支持板63b(あるいは63d)と平行に支持板63a(あるいは63c)の長手方向に整列している。フィン61は、所定のピッチ(符号P)で離間して配置されている。この整列により各フィン61間に矩形の通風路が形成され、ファンユニット40からの風が矢印X方向に通風可能になっている。また、フィン61は支持部材63と同形状の切り欠きを有する。
【0031】
尚、第1のヒートシンク60は、第1のフィン群62と支持部材63とが、別部材でなく、一体に成型されたものであってもよい。また、第1のヒートシンク60は、箱状の支持部材63と第1のフィン群62とで構成することに代えて、板状のフィン61とこのフィン61の両端部に設けられた図示しない支持板とを備えた断面がコの字状のコの字状フィンエレメントを長手方向に積層して、各フィン61間に矩形の通風路が形成されるように構成したものであってもよい。
【0032】
一方、第2のヒートシンク70は、板73a,73b,73c,73dによって囲まれた枠体である。即ち、第2のヒートシンク70は一対の面が開口することで通風可能な略箱状の形状を有している。
【0033】
板73aの長手方向の長さ73aLは支持板63aの長手方向の長さ63aLと同一である。板73aの端部73a1は、支持板63bや支持板63dの切り欠き63b1,63d1、及びフィン61の切り欠きに挿入される。板73bは、その長手方向の長さ73bLは支持板63b(63d)の長手方向の長さ63bLと同じに構成されている。但し、板73bの短手方向の長さ73bWは、板73aの短手方向の長さ73aWよりも狭くなっている。板73dについては、板73bと同じ形状に設けられている。
【0034】
板73cの長手方向の長さは板73aの長手方向の長さ73aLと同じである。板73cの短手方向の長さは、板73bの短手方向の長さ73bWと同じである。但し、板73cの端部73c1には複数のフィン間挿入部74が設けられており、この部分の長さを含めると73bWより広くなる。
【0035】
上述した長さの大小関係はあくまでも一例であり、各部材の板厚や部品間のクリアランスの大きさ等により適宜調整しても良い。
【0036】
図4は、第1のヒートシンク60、第2のヒートシンク70、ファンユニット40を支持部材63b側から見た図である。図4においても、図3と同様に、受熱部11、ヒートパイプ12は不図示としている。図4に示すように、ファンユニット40のケーシングの高さ40Hは、板73bの長手方向の長さ73bLよりも若干短く設けられている。これにより、第2のヒートシンク70の端部である端部73a2がファンユニット40のケーシングの上面の一部を覆う。同様に、第1のヒートシンク60の支持板63cから切り欠き63b1までの長さは、73bLより若干短く設けられている。これにより端部73a1が切り欠き63b1,63d1及びフィン61の切り欠きに挿入される。
【0037】
以上のような構成にすることで、ファンユニット40、第2のヒートシンク70、第1のヒートシンク60は、殆んど隙間のない状態で通風路を形成することができる。即ち、第2のヒートシンク70がダクトとしての役割を担い、ファンユニット40による排出風は第1のヒートシンク60へと導びかれる。
【0038】
図5は、第2のヒートシンクの応用例である。図3で示した第2のヒートシンク70は、第1のヒートシンク60と同様に、フィンを有していても良い。即ち、図5に示すように、第2のヒートシンクは、複数の板状のフィン71から構成される第2のフィン群72と、この第2のフィン群72を支持する枠体である支持部材73から構成された第2のヒートシンク70’であっても良い。ここでフィン72はフィン61とは通風方向が同一になるように対向することが好ましい。またフィン間挿入部74は、端部73c1上であって、かつフィン72の間の位置になるように設けられることが好ましい。つまり、通風方向及び、フィン間ピッチは同一にすることが好ましい。
【0039】
これは、第1のヒートシンク60と第2のヒートシンク70とが、通風方向が略一致することで、通気抵抗を少なくするためである。また、第2のヒートシンク70の第2のフィン71のピッチQが、第1のヒートシンク60のフィン61のピッチPと略同じ大きさであると、ファンユニット40から第1のヒートシンク60への通気抵抗を小さくできるためである。
【0040】
以上のように構成することで、ファンユニット40からの排気風がX方向(図3参照)に通風することへの抵抗とならず、かつフィン間挿入部74はフィン61間のほこりを効率よく除去できる。
【0041】
図6は、第2のヒートシンクの着脱の様子を示した斜視図である。図6も図2と同様に、本体部2の一部を拡大したものであり、本体部2の下面202及び側面203の一部を非表示にして本体部2の内部を表示したものである。また、図6では、第2のヒートシンクはフィン71を有した第2のヒートシンク70’を示している。但し、着脱方法は、第2のヒートシンク70についても共通であるため、以下、第2のヒートシンク70及び第2のヒートシンク70’ともに、「第2のヒートシンク70」と表示して説明する。
【0042】
また、第2のヒートシンク70の枠体は、簡単のために夫々の板の短手方向の長さを統一して示しており、フィン間挿入部74は省略している。また、第1のヒートシンク60についても簡単のために切り欠き63b1,63d1は省略している。
【0043】
図6に示すように、第2のヒートシンク70は、ファンユニット40の排気孔41と第1のヒートシンク60との間に符号Zの方向に挿脱自在に配置される。第2のヒートシンク70は、挿脱自在になっているため、第2のフィン群72の表面が、ファンユニット40の排気孔41や第1のヒートシンク60の第1のフィン群62の表面から、例えば0.1mm〜3mm程度離間した長さに設けられている。
【0044】
第2のヒートシンク70は、ファンユニット40の排気孔41と第1のヒートシンク60の第1のフィン群62との間に配置され、固定される。第2のヒートシンク70を固定する方法としては、図示しない両面テープを用いて筐体2の一部に貼り付けることが考えられる。また、本体部筐体20の一部に設けた図示しない挟持部材で挟持したり、筐体2に設けた第2のヒートシンク70交換用の図示しない蓋体を閉めて蓋体と本体部筐体20とで挟持したりするように構成しても良い。
【0045】
次に、ポータブルコンピュータ1の作用を説明する。図7は、ポータブルコンピュータ1の作用を示した図である。図7では、図6において、本体部筐体20の排気孔204a側から見た図であり、第1のヒートシンク60と第2のヒートシンク70を示している。
【0046】
図7は、第1のヒートシンク60を実線、第2のヒートシンク70を破線で示している。
【0047】
尚、フィン間挿入部74の作用効果の理解を容易にするために、第2のヒートシンクはフィン71は不図示としている。
【0048】
図7において、図7(a)は、第2のヒートシンク70が本体部筐体20に固定されている場合を示している。図7(b)は、第2のヒートシンク70を第1のヒートシンク60からZ方向に外している途中の様子を示している。図7(c)は、第2のヒートシンク70から第1のヒートシンク60から完全に外れた様子を示している。
【0049】
ポータブルコンピュータ1の動作時には、図7(a)に示すように、第2のヒートシンク70を、ファンユニット40の排気孔41と第1のヒートシンク60の第1のフィン群62との間に配置している。
【0050】
ポータブルコンピュータ1を動作させると、プリント回路板5のCPU51が発熱する。CPU51の熱は、受熱部11が受熱する。受熱部11が受けた熱は、ヒートパイプ12を介して、第1のヒートシンク60の第1のフィン群62に伝熱される。第1のフィン群62の各フィン61は、ヒートパイプ12から受けた熱を拡散する。第1のヒートシンク60は、本体部筐体20の排気孔204aに対向して設けられているため、この排気孔204aを介して外部に熱が放出される。
【0051】
一方、ポータブルコンピュータ1の動作中は適宜ファンユニット40内のファンが回転する制御が行われる。第1のフィン群62の冷却のため、ファンユニット40を回転させ、図3の矢印Xの向きに送風する。即ち、ファンユニット40内のファンが回転すると、排気孔41から風が送出される。ファンユニット40から送風された風は、ファンユニット40と第1のヒートシンク60との間に配置された第2のヒートシンク70を介して第1のヒートシンク60の第1のフィン群62に送られる。これにより、フィン61の熱の拡散はこのファンユニット40からの送風により更にその熱の拡散が効率化される。即ち、フィン61はより冷却されることとなる。
【0052】
ここで、ファンユニット40から送風される風は、ほこりを含むため、第1のヒートシンク60にほこりが付着する。
【0053】
この場合、図7(b)に示すように、第2のヒートシンク70を鉛直上(Z1方向)に移動させ、図7(c)の状態になるように第1のヒートシンク60とファンユニット40との間から完全に外す。この際、フィン61間に挿入されていたフィン間挿入部74がフィン61の下部から上部にかけて移動することとなる。このフィン間挿入部74の移動により、フィン61に付着していたほこりが除去されフィン間挿入部74で取り除くことが出来る。一般にフィン61上のほこりは排気孔204a側よりもファンユニット40側に多く付着する。従ってフィン間挿入部74により第1のヒートシンク60の殆どのほこりが効率よく除去できることとなる。
【0054】
ここで、第1のヒートシンク60ではなく、第2のヒートシンク70に対してフィン間挿入部74を設けて第2のヒートシンク70を着脱できるように構成した理由は以下の通りである。即ち、取り外した第2のヒートシンク70は、第1のヒートシンク60と違い、ヒートパイプ12が接続されていない単純なフィン構造であるため、水洗やエアーブローにより、付着したほこりを簡単に除去することができるからである。
【0055】
即ち、第2のヒートシンク70にフィン71が設けられていない場合は、Z1方向への移動により、フィン間挿入部74が第1のヒートシンク60に付着したほこりを除去できる。更に、第2のヒートシンク70にフィン71が設けられている場合には、フィン間挿入部74が第1のヒートシンク60に付着したほこりを除去できるばかりでなく、取り外した第2のヒートシンク70を水洗やエアーブローにより第2のヒートシンク70自身に付着したほこりをも簡単に除去できる。
【0056】
尚、第2のヒートシンク70にもフィン71が設けられている場合には、一般にファンユニット40の排気孔41に近い第2のヒートシンク70により多くのほこりが付着する。第2のヒートシンク70は、第2のヒートシンク70の挿脱のスペースの確保のため、第2のフィン群72のファンユニット40側の導風面がファンユニット40の排気孔41と若干離間している。このため、第2のヒートシンク70の第2のフィン群72のファンユニット40側の導風面にはほこりが付着しやすい。
【0057】
図8は、第2のヒートシンク70の着脱を効率的に行うための応用例である。上述した第2のヒートシンク70の着脱を容易にするために、図8のように本体部筐体20に第2のヒートシンク70の取り出し可能な開口部202Aを設けてもよい。
【0058】
開口部202Aは、矩形の穴部202Dと、穴部202Dを取り囲むとともに下面202の表面から凹設された蓋体支持部202Bを備える。蓋体支持部202Bはねじの挿通が可能な挿通孔202Cを有する。開口部202Aの蓋体支持部202Bには蓋体202Eが嵌め込み可能になっている。蓋体202Eには、ねじの挿通が可能な挿通孔202Fが設けられる。蓋体202Eと開口部202Aの蓋体支持部202Bとは、図示せぬねじを挿通孔202Fおよび挿通孔202Cに挿通することにより固定可能になっている。
【0059】
本体部2に第2のヒートシンク70の取り出しが可能な開口部202Aを設けると、第2のヒートシンク70の取り出しが容易であるとともに、本体部2の強度の低下につながる開口部202Aの大きさを最小限にすることができるため好ましい。
【0060】
即ち、第2のヒートシンク70を持たない電子部品とヒートパイプと冷却ファンと第1のヒートシンクとからなる従来の冷却ユニットが内蔵された電子機器では、筐体に第1のヒートシンクのほこり除去用の開口部を設けると、開口部が大きくて筐体の強度が大きく低下するおそれがあった。これに対し、ポータブルコンピュータ1の本体部2の開口部202Aは、第2のヒートシンク70の取り出しが可能な小さな開口部でよいため、本体部2の強度の低下を最小限にすることができる。
【0061】
尚、第2のヒートシンク70の本体部2への挿脱が容易にするため、例えば板73aに挿脱用の図示しない取手を付けるような構成にしても良い。また、本体部筐体20の上面201側から冷却ユニット10を取り出せるような構成にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】ポータブルコンピュータ1を本体部2の下面202側から見た斜視図。
【図3】冷却ユニット10の展開した斜視図。
【図4】第1のヒートシンク60を支持部材63b側から見た図。
【図5】第2のヒートシンク70の応用例。
【図6】第2のヒートシンクの着脱の様子を示した斜視図。
【図7】ポータブルコンピュータ1の作用を示した図。
【図8】第2のヒートシンク70の着脱を効率的に行うための応用例。
【符号の説明】
【0063】
1 ポータブルコンピュータ
10 冷却ユニット
11 受熱部
12 ヒートパイプ
2 本体部
20 本体部筐体
201 上面
202 下面
203 側面
204 側面
204a 排気孔
21 キーボード
22 ポインティングデバイス
3 表示部
30 表示部筐体
31 表示デバイス
4 ヒンジ機構
40 ファンユニット
41 排気孔
42 吸気孔
43 ケーシング
5 プリント回路板
51 CPU
60 第1のヒートシンク
61 フィン
62 第1のフィン群
63 支持部材
63a 支持板63a
63b1,63d1 切り欠き
70,70’ 第2のヒートシンク
73a 板73a
74 フィン間挿入部
202A 開口部
202B 蓋体支持部
202C 挿通孔
202D 穴部
202E 蓋体
202F 蓋体の挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に実装される発熱体と、
前記発熱体に熱的接続されたヒートパイプと、
前記ヒートパイプに熱的接続されたヒートシンクであって、所定の間隔で整列した複数の第1のフィンと、このフィンを支持して通風孔を備えた箱状の支持部材とを有した第1のヒートシンクと、
前記第1のヒートシンクを冷却するファンユニットと、
前記第1のヒートシンクと前記ファンユニットとの間に設けられ、前記第1のフィンの間に挿入されるフィン間挿入部を有した第2のヒートシンクとを
備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記フィン間挿入部74は複数整列して設けられ、この整列の間隔は、前記第1のヒートシンクの第1のフィンの整列の間隔と同一であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2のヒートシンクは、前記第1のヒートシンクと通風方向が略一致するように配列された複数の第2のフィンを有することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
筐体と、
前記筐体内に実装される発熱体と、
前記発熱体に熱的接続されたヒートパイプと、
前記ヒートパイプに熱的接続されたヒートシンクであって、所定の間隔で整列した複数の第1のフィンと、このフィンを支持して通風孔を備えた箱状の支持部材とを有した第1のヒートシンクと、
前記第1のヒートシンクを冷却するファンユニットと、
前記第1のヒートシンクと前記ファンユニットとの間に設けられ、前記第1のフィンの間に挿入されるフィン間挿入部を有した第2のヒートシンクとを備え、
前記筐体に、筐体外部から筐体内の前記第2のヒートシンクの取り出しが可能な開口部
を設けたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−234346(P2008−234346A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73445(P2007−73445)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】