説明

電子装置及びその製造方法

【課題】信頼性の高い電子装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】電子部品14a〜14cを埋め込む樹脂層18の一方の面側に、電子部品に電気的に接続されたバンプ42が形成され、樹脂層の他方の面側に、樹脂層より弾性率の高い部材44が密着した構造物2を形成する工程と、基板46上に形成された電極48とバンプとを接触させた状態で、部材を介して超音波振動を印加することにより、バンプと電極とを接合する工程とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、ウェハレベルパッケージ(Wafer Level Package、WLP)が提案されている。
【0003】
ウェハレベルパッケージは、低コスト化、小型化に寄与し得るため、大きな注目を集めている。
【0004】
ウェハレベルパッケージは、電極が形成された回路基板上にフェースダウンで実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−110862号公報
【特許文献2】特開2007−311754号公報
【特許文献3】特開2007−109714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ウェハレベルパッケージを回路基板上に単に実装しようとした場合には、必ずしも信頼性の高い接合が得られないことが考えられる。
【0007】
本発明の目的は、信頼性の高い電子装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一観点によれば、電子部品を埋め込む樹脂層の一方の面側に、前記電子部品に電気的に接続されたバンプが形成され、前記樹脂層の他方の面側に、前記樹脂層より弾性率の高い部材が密着した構造物を形成する工程と、基板上に形成された電極と前記バンプとを接触させた状態で、前記部材を介して超音波振動を印加することにより、前記バンプと前記電極とを接合する工程とを有することを特徴とする電子装置の製造方法が提供される。
【0009】
実施形態の他の観点によれば、電子部品が埋め込まれた樹脂層と、前記樹脂層の一方の面側に形成され、前記電子部品に電気的に接続されたバンプと、前記樹脂層の他方の面に密着し、前記樹脂層より弾性率の高い部材と、前記バンプと固相拡散接合された電極を有する基板とを有することを特徴とする電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
開示の電子装置及びその製造方法によれば、樹脂層より弾性率の高い部材が樹脂層に密着しており、かかる部材を介して超音波振動を印加するため、超音波振動が伝搬しやすい。このため、半導体チップが存在する領域の外側に位置しているバンプに対しても、超音波振動を十分に伝搬し得る。このため、いずれのバンプに対しても超音波振動を十分に伝搬させることができ、信頼性の高い超音波接合を得ることができる。従って、信頼性の高い電子装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1実施形態による電子装置を示す断面図である。
【図2】図2は、第1実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図3】図3は、第1実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図4】図4は、第1実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図5】図5は、第1実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図6】図6は、第1実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図7】図7は、第1実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【図8】図8は、第1実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その7)である。
【図9】図9は、第1実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その8)である。
【図10】図10は、第1実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その9)である。
【図11】図11は、第1実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その10)である。
【図12】図12は、第1実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その11)である。
【図13】図13は、第2実施形態による電子装置を示す断面図である。
【図14】図14は、第2実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図15】図15は、第2実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図16】図16は、第2実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図17】図17は、第2実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図18】図18は、第2実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図19】図19は、第2実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
半導体チップの小型化、高集積化に伴い、半導体チップの外部接続用の電極(端子、バンプ)の数は多くなる傾向にあり、半導体チップの外部接続用の電極のピッチは小さくなる傾向にある。
【0013】
微細なピッチでバンプが形成された半導体チップを回路基板上に直接実装するのは必ずしも容易ではない。
【0014】
そこで、半導体チップの電極に接続された再配線層を設け、これにより、バンプのピッチを大きくすることが考えられる。このようなウェハレベルパッケージは、半導体チップのサイズに対してバンプの配置エリアのサイズが大きくなるため、Fan−out型のウェハレベルパッケージ(実装ピッチ拡張型ウェハレベルパッケージ)と称される。
【0015】
Fan−out型のウェハレベルパッケージでは、半導体チップが樹脂層により埋め込まれる。半導体チップを埋め込む樹脂層には、半導体チップの電極に接続された再配線層が設けられ、バンプが再配線層を介して半導体チップの電極に電気的に接続される。かかるバンプのピッチは、半導体チップの電極のピッチに対して大きく設定される。
【0016】
また、半導体チップのみならず、複数の電子部品を1つのパッケージ内に収めることも考えられる。このようなパッケージでは、複数の電子部品が樹脂層により埋め込まれる。複数の電子部品を埋め込む樹脂層には、電子部品の電極に接続された再配線層が設けられ、バンプが再配線層を介して電子部品の電極に電気的に接続される。
【0017】
この場合にも、半導体チップのサイズに対してバンプの配置エリアのサイズが大きくなるため、Fan−out型のウェハレベルパッケージといえる。
【0018】
このようなパッケージでは、電子部品の熱膨張率と樹脂層の熱膨張率とが異なるため、高い温度が加わると変形してしまう場合がある。このため、半田バンプを用いてパッケージを回路基板上に実装する場合には、十分に高い信頼性が得られないことが考えられる。
【0019】
ここで、超音波振動を用いた固相拡散接合により接合を行うことも考えられる。超音波振動を用いた固相拡散接合は、必ずしも高温で行わなくてもよいため、パッケージが変形するのを回避することが可能である。
【0020】
しかしながら、Fan−out型のパッケージでは、半導体チップの直下の領域のみならず、半導体チップが存在する領域の外側の領域にもバンプが存在する。樹脂層は、比較的柔らかく、弾性率が比較的低いため、超音波振動が伝搬しにくい。このため、単に超音波振動を用いて固相拡散接合を行おうとした場合には、半導体チップが存在する領域の外側の領域に存在するバンプに超音波振動が十分に伝搬されない虞があり、信頼性の高い接合が得られない虞がある。
【0021】
[第1実施形態]
第1実施形態による電子装置及びその製造方法について図1乃至図12を用いて説明する。
【0022】
(電子装置)
まず、本実施形態による電子装置について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態による電子装置を示す断面図である。
【0023】
図1に示すように、回路基板46上には、ウェハレベルパッケージ(構造体)2が実装されている。より具体的には、回路基板46上には、Fan−out型のウェハレベルパッケージ(実装ピッチ拡張型ウェハレベルパッケージ)2が実装されている。
【0024】
ウェハレベルパッケージ2の樹脂層(モールド樹脂層)18には、電子部品14a〜14cが埋め込まれている。樹脂層18の材料としては、例えばエポキシ系樹脂が用いられている。樹脂層18には、無機フィラーが含まれている。かかる無機フィラーとしては、例えばシリカフィラーを用いる。無機フィラーの最大粒径は、例えば75μm程度とする。電子部品14a〜14cとしては、例えば半導体素子14aや受動素子14b,14c等が挙げられる。半導体素子14aは、例えばベアチップの半導体素子(半導体チップ)である。半導体素子14aとしては、例えばLSI(Large Scale Integration)等が挙げられる。受動素子14b,14cとしては、抵抗14bやコンデンサ14c等が挙げられる。より具体的には、受動素子14b、14cは、チップ抵抗14bやチップコンデンサ14c等である。
【0025】
電子部品14a〜14cの電極(表面電極、外部接続電極)16a〜16cは、樹脂層18の一方の面(図1における紙面下側の面)に露出している。
【0026】
電子部品14a〜14cの厚さは、例えば0.1〜0.5mm程度とする。
【0027】
樹脂層18の厚さは、電子部品14a〜14cの厚さに対して、例えば0.1mm以上厚く設定されている。ここでは、樹脂層18の厚さを、例えば0.55mm程度とする。
【0028】
なお、樹脂層18の厚さが、電子部品14a〜14cの厚さと等しくてもよい。
【0029】
樹脂層18の一方の面(電子部品14a〜14cの電極16a〜16cが露出している面)には、樹脂層(絶縁層)22が形成されている。樹脂層22の材料としては、例えばエポキシ、ポリベンゾオキサゾール(PolyBenzOxazole、PBO)、ポリイミド等が用いられている。
【0030】
樹脂層22には、電子部品14a〜14cの電極16〜16cにそれぞれ達する開口部24が形成されている。
【0031】
開口部24内にはビア(導体プラグ)26が形成されている。
【0032】
樹脂層22の一方の面(図1における紙面下側の面)には、ビア26と一体形成された配線28が形成されている。
【0033】
ビア26及び配線28が形成された樹脂層22の一方の面(図1における紙面下側の面)には、樹脂層(絶縁層)30が形成されている。樹脂層30の材料としては、例えばエポキシ、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド等が用いられている。樹脂層30の厚さは、例えば10μm程度である。
【0034】
樹脂層30には、配線28にそれぞれ達する開口部32が形成されている。
【0035】
開口部32内には、ビア(導体プラグ)34が形成されている。
【0036】
樹脂層30の一方の面(図1における紙面下側の面)には、ビア34と一体形成された電極パッド36が形成されている。
【0037】
電極パッド36が形成された樹脂層30の一方の面(図1における紙面下側の面)には、樹脂層(絶縁層)38が形成されている。樹脂層38の材料としては、例えばエポキシ、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド等が用いられている。樹脂層38の厚さは、例えば10μm程度である。
【0038】
樹脂層38には、電極パッド36を露出する開口部40が形成されている。
【0039】
電極パッド36の一方の面(図1における紙面下側の面)には、金属のバンプ42が形成されている。バンプ42の径は、例えばφ40μm程度である。バンプ42の高さは、例えば25μm程度である。バンプ42の材料としては、例えば金(Au)が用いられている。バンプ42は、電極パッド36及び配線28等を介して電子部品14a〜14cの電極16a〜16cにそれぞれ電気的に接続されている。
【0040】
樹脂層18の他方の面(図1における紙面上側の面)及び樹脂層18の側面には、樹脂層18より弾性率の高い部材44が形成されている。より具体的には、樹脂層18の他方の面(図1における紙面上側の面)及び樹脂層18の側面には、例えばめっき膜により形成された金属膜44が形成されている。金属膜44は、樹脂層18の他方の面(図1における紙面上側の面)及び樹脂層18の側面に密着している。金属膜44は、後述するように、超音波振動を用いた固相拡散接合を行う際に、超音波振動をバンプ42に確実に伝搬させるためのものである。金属膜44の膜厚は、少なくとも50μm以上であることが好ましい。更には、金属膜44の膜厚は、100μm以上であることがより好ましい。金属膜44の膜厚を厚く設定することが好ましいのは、金属膜44の膜厚を厚く設定するほど、金属膜44の剛性が高くなり、金属膜44の変形が抑制され、減衰を招くことなく超音波を樹脂層18に伝搬し得るためである。
【0041】
ウェハレベルパッケージ2は、回路基板46上に実装されている。回路基板46の表面には、電極48が形成されている。電極48は、回路基板46に形成された配線等に接続されている。電極48の材料としては、バンプ42との間で固相拡散接合が可能な材料が用いられている。ここでは、電極48の材料として、例えばAuが用いられている。回路基板46の材料としては、例えば樹脂基板やセラミックス基板等が用いられている。
【0042】
ウェハレベルパッケージ2のバンプ42と回路基板46の電極48とは、後述するように、超音波振動を用いた固相拡散接合(超音波接合)により接合されている。
【0043】
こうして、本実施形態による電子装置が形成されている。
【0044】
(電子装置の製造方法)
次に、本実施形態による電子装置の製造方法を図2乃至図12を用いて説明する。図2乃至図12は本実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0045】
本実施形態では、支持基板10上に複数のウェハレベルパッケージ2を一括して形成し、この後、ウェハレベルパッケージ2を個片化する場合を例に説明する。
【0046】
なお、支持基板10上に複数のウェハレベルパッケージ2を一括して形成することに限定されるものではない。例えば、支持基板10上に1つのウェハレベルパッケージを形成してもよい。
【0047】
まず、図2(a)に示すように、支持基板10上に、例えば厚さ50〜100μm程度の粘着層12を形成する。支持基板10としては、例えばシリコン基板、金属基板、ガラス基板等を用いる。支持基板10の厚さは、例えば1〜2mm程度とする。支持基板10の寸法は、例えばφ100mm程度とする。粘着層12としては、例えばダイシングテープを用いる。
【0048】
次に、図2(b)に示すように、粘着層12上に電子部品14a〜14cを配置する。電子部品14a〜14cとしては、例えば半導体チップ14a、チップ抵抗14b、チップコンデンサ14c等を配置する。半導体チップ14aの寸法は、例えば5mm×5mm×0.45mm程度とする。チップ抵抗14bの寸法は、例えば0.6mm×0.3mm×0.3mm程度とする。チップコンデンサ14cの寸法は、例えば1.0mm×0.5mm×0.3mm程度とする。粘着層12上に電子部品14a〜14cを配置する際には、電子部品14a〜14cの電極16a〜16cが粘着層12に接するように、電子部品14a〜14cを配置する。こうして、複数のウェハレベルパッケージ2の分の電子部品14a〜14cが、粘着層12上に配置される。
【0049】
次に、図3(a)に示すように、電子部品14a〜14cが配された粘着層12上の全面に、樹脂層18を形成する。樹脂層18の材料としては、例えばエポキシ系樹脂を用いる。樹脂層18には、例えば無機フィラーが含まれている。かかる無機フィラーとしては、例えばシリカフィラーが用いられている。無機フィラーの最大粒径は、例えば75μm程度とする。樹脂層18の厚さは、電子部品14a〜14cの厚さに対して、例えば0.1mm以上厚く設定する。こうして、電子部品14a〜14cが樹脂層18により埋め込まれる。
【0050】
次に、熱処理を行うことにより、樹脂層18を硬化させる(キュア)。熱処理温度は、例えば100〜150℃程度とする。
【0051】
なお、電子部品14a〜14cを樹脂層18により埋め込んだ後、樹脂層18の一方の面(図3(a)における紙面上側の面)を研磨又は研削することにより、樹脂層18の厚さを薄くしてもよい。樹脂層18の一方の面(図3(a)における紙面上側の面)を研磨又は研削すれば、樹脂層18の厚さを電子部品14a〜14cの厚さと等しく設定することも可能である。
【0052】
次に、図3(b)に示すように、支持基板10及び粘着層12を、樹脂層18及び電子部品14a〜14cから剥離する。即ち、電子部品14a〜14cが埋め込まれた樹脂層18から、支持基板10及び粘着層12を除去する。電子部品14a〜14cが埋め込まれた樹脂層18から支持基板10及び粘着層12を剥離する際には、例えば紫外線照射や熱処理等を行うことにより、粘着層12の粘着力を低下させる。こうして、電子部品14a〜14cが樹脂層18中に埋め込まれた構造体(樹脂基板)20が得られる。構造体20の一方の面(粘着層12と接していた面)には、電子部品14a〜14cの電極16a〜16cが露出した状態となる。
【0053】
なお、必要に応じて、樹脂層18を完全に硬化させるための熱処理を行ってもよい。熱処理温度は、例えば150〜200℃程度とする。
【0054】
次に、図4(a)に示すように、構造体20の上下を反転させる。
【0055】
次に、構造体20の一方の面(電子部品14a〜14cの電極16a〜16cが露出している面)上に、例えばスピンコート法により、例えば感光性の樹脂のワニスを塗布する。かかる樹脂としては、例えばエポキシ、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド等を用いる。こうして、樹脂層22が形成される。
【0056】
次に、樹脂層22に対してプリベークを行う。プリベークの温度は、例えば100℃程度とする。プリベークの時間は、例えば20分程度とする。
【0057】
次に、開口部24のパターンを樹脂層22に露光する。開口部24は、後述するビア(導体プラグ)26を埋め込むためのものである。開口部24のパターンの径は、例えば30〜40μm程度とする。
【0058】
次に、樹脂層22に対して、現像を行う。現像液としては、例えばTMAH(Tetra-Methyl Ammonium Hydroxide)水溶液を用いる。
【0059】
次に、樹脂層22に対して、キュアを行う。キュアの温度は、例えば200℃程度とする。キュアの時間は、例えば1時間程度とする。
【0060】
次に、樹脂層22に対して、酸素プラズマ処理を行う。酸素プラズマ処理の条件は、例えば、開口部24の底面において現像残渣等の汚れが電極16a〜16cの表面から除去される程度とする。
【0061】
こうして、電極16〜16cに達する開口部24が形成された樹脂層22が得られる(図4(b)参照)。樹脂層22の厚さは、例えば8μm程度となる。
【0062】
次に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚0.1μm程度のチタン(Ti)膜又はクロム(Cr)膜の密着層(図示せず)を形成する。
【0063】
次に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚0.3μm程度の銅(Cu)のシード層(図示せず)を形成する。
【0064】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0065】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、ビア26及び配線28を形成するためのものである。
【0066】
次に、例えば電気めっき法により、例えばCuのビア26及び配線28を形成する。ビア26及び配線28は、一体的に形成される。
【0067】
次に、例えばアッシング又はレジスト剥離液により、フォトレジスト膜を剥離する。
【0068】
次に、配線28の周囲に露出している部分のシード層及び密着層を、例えばウェットエッチング及びドライエッチングにより除去する。
【0069】
こうして、電子部品14a〜14cの電極16a〜16cにビア26を介して電気的に接続された配線(再配線層)28が形成される(図5(a)参照)。
【0070】
次に、構造体20の一方の面(ビア26及び配線28が形成された側の面)上に、例えばスピンコート法により、例えば感光性の樹脂のワニスを塗布する。かかる樹脂としては、例えばエポキシ、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド等を用いる。こうして、樹脂層30が形成される。
【0071】
次に、樹脂層30に対してプリベークを行う。プリベークの温度は、例えば100℃程度とする。プリベークの時間は、例えば20分程度とする。
【0072】
次に、開口部32のパターンを樹脂層30に露光する。開口部32は、後述するビア(導体プラグ)34を埋め込むためのものである。開口部32のパターンの径は、例えば40μm程度とする。
【0073】
次に、樹脂層30に対して、現像を行う。現像液としては、例えばTMAH水溶液を用いる。
【0074】
次に、樹脂層30に対して、キュアを行う。キュアの温度は、例えば200℃程度とする。キュアの時間は、例えば1時間程度とする。
【0075】
次に、樹脂層30に対して、酸素プラズマ処理を行う。酸素プラズマ処理の条件は、例えば、開口部32の底面において現像残渣等の汚れが配線28の表面から除去される程度とする。
【0076】
こうして、配線28に達する開口部32が形成された樹脂層30が得られる(図5(b)参照)。樹脂層30の厚さは、例えば8μm程度となる。
【0077】
次に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚0.1μm程度のTi又はCr等の密着層(図示せず)を形成する。
【0078】
次に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚0.3μm程度のCuのシード層(図示せず)を形成する。
【0079】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0080】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、ビア34及び電極パッド36を形成するためのものである。
【0081】
次に、例えば電気めっき法により、例えばCuのビア34及び電極パッド36を形成する。ビア34及び電極パッド36は、一体的に形成される。
【0082】
次に、例えばアッシング又はレジスト剥離液により、フォトレジスト膜を剥離する。
【0083】
次に、電極パッド36の周囲に露出している部分のシード層及び密着層を、例えばウェットエッチング及びドライエッチングにより除去する。
【0084】
こうして、ビア34を介して配線28にそれぞれ電気的に接続された電極パッド36が形成される(図6(a)参照)。
【0085】
次に、構造体20の一方の面(電極パッド36が形成された側の面)上に、例えばスピンコート法により、例えば感光性の樹脂のワニスを塗布する。かかる樹脂としては、例えばエポキシ、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド等を用いる。こうして、樹脂層38が形成される。
【0086】
次に、樹脂層38に対してプリベークを行う。プリベークの温度は、例えば100℃程度とする。プリベークの時間は、例えば20分程度とする。
【0087】
次に、開口部40のパターンを樹脂層38に露光する。開口部40は、後述するバンプ42を形成するためのものである。開口部40のパターンの径は、例えば50μm程度とする。
【0088】
次に、樹脂層38に対して、現像を行う。現像液としては、例えばTMAH水溶液を用いる。
【0089】
次に、樹脂層38に対して、キュアを行う。キュアの温度は、例えば200℃程度とする。キュアの時間は、例えば1時間程度とする。
【0090】
次に、樹脂層38に対して、酸素プラズマ処理を行う。酸素プラズマ処理の条件は、例えば、開口部40の底面において現像残渣等の汚れが電極パッド36の表面から除去される程度とする。
【0091】
こうして、電極パッド36に達する開口部40が形成された樹脂層38が得られる(図6(b)参照)。樹脂層38の厚さは、例えば10μm程度とする。
【0092】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚100nm程度のシード層(図示せず)を形成する。シード層の材料としては、例えばAuを用いる。
【0093】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、膜厚30μm程度のフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0094】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、バンプ42を形成するためのものである。開口部の径は、例えば40μm程度とする。
【0095】
次に、例えば電気めっき法により、バンプ42を形成する。バンプ42の材料としては、例えばAuを用いる。バンプ42の径は、例えばφ40μm程度とする。バンプ42の高さは、例えば25μm程度とする。
【0096】
次に、例えばアッシング又はレジスト剥離液により、フォトレジスト膜を剥離する。
【0097】
次に、バンプ42の周囲に露出している部分のシード層を、例えばウェットエッチング及びドライエッチングにより除去する。
【0098】
こうして、電極パッド36上にバンプ42が形成される。バンプ42は、電極パッド36及び配線28等を介して電子部品14a〜14cの電極16a〜16cにそれぞれ電気的に接続される。
【0099】
こうして、複数のウェハレベルパッケージ2が一括して形成される(図7(a)参照)。
【0100】
次に、例えばダイシングソーを用い、複数のウェハレベルパッケージ2を個片化する(図7(b)参照)。
【0101】
次に、樹脂層18の一方の面(バンプ42が形成された面)に対して、マスキング(図示せず)を行う。
【0102】
次に、樹脂層18の他方の面(バンプ42が形成された面と反対側の面)及び樹脂層18の側面に、例えば無電解めっき法、スパッタリング法又は蒸着法により、例えば厚さ100nm程度のシード層(図示せず)を形成する。シード層の材料としては、例えばCuを用いる。
【0103】
次に、樹脂層18の他方の面(バンプ42が形成された面と反対側の面)及び樹脂層18の側面に、例えば電気めっき法により、例えば膜厚100μm程度のめっき膜を形成する。めっき膜の材料としては、例えばCu等を用いる。
【0104】
こうして、樹脂層18の他方の面(バンプ42が形成された面と反対側の面)及び樹脂層18の側面に、例えばめっき膜により形成された金属膜44が形成される(図8参照)。即ち、樹脂層18より弾性率の高い部材44が、樹脂層18の他方の面(バンプ42が形成された面と反対側の面)及び樹脂層18の側面に形成される。金属膜44は、樹脂層18の他方の面(バンプ42が形成された面と反対側の面)及び側面に成膜されるため、樹脂層18の他方の面(バンプ42が形成された面と反対側の面)及び側面に密着している。金属膜44の膜厚は、少なくとも50μm以上であることが好ましい。更には、金属膜44の膜厚は、100μm以上であることがより好ましい。金属膜44の材料としては、例えばCuを用いる。
【0105】
次に、回路基板46上に、ウェハレベルパッケージ2を配置する(図9参照)。回路基板46としては、例えば樹脂基板やセラミックス基板等が用いられている。回路基板46の表面には、ウェハレベルパッケージ2のバンプ42と接続するための電極48が形成されている。電極48は、回路基板46に形成された配線等に接続されている。ウェハレベルパッケージ2を回路基板46上に配置する際には、ウェハレベルパッケージ2のバンプ42と回路基板46の電極48とが互いに接するように、ウェハレベルパッケージ2を回路基板46上に配置する。電極48は、後述するように、超音波振動を用いた固相拡散接合によりバンプ42と接合されるものである。従って、電極48の材料としては、バンプ42と固相拡散接合が可能な材料が用いられる。ウェハレベルパッケージ2のバンプ42の材料としてAuが用いられている場合には、電極48の材料もAuとすることが好ましい。
【0106】
こうして、回路基板46上にウェハレベルパッケージ2が配置される(図10参照)。
【0107】
次に、ウェハレベルパッケージ2が配置された回路基板46を、超音波接合装置(超音波金属接合装置)のステージ(載置台)49上に載置する(図11参照)。超音波接合装置としては、例えば澁谷工業株式会社製の超音波接合装置(型番:DB200)等を用いる。回路基板46をステージ49上に載置する際には、回路基板46の一方の面がステージ49に接し、ウェハレベルパッケージ2の金属膜44が超音波接合装置の超音波印加部50に対向するように、回路基板46をステージ49上に載置する。
【0108】
次に、超音波接合装置の超音波印加部50をウェハレベルパッケージ2の金属膜44に押し付けた状態で、超音波振動を印加することにより、ウェハレベルパッケージ2側のバンプ42と回路基板46側の電極48とを固相拡散接合(超音波接合)する(図11参照)。超音波接合を行う際における回路基板46の温度は、例えば25〜150℃程度とする。ここでは、超音波接合を行う際における回路基板46の温度を、例えば100℃程度とする。超音波印加部50を押し付けることによりウェハレベルパッケージ2に加える加重は、例えば20N〜50N程度とする。ここでは、ウェハレベルパッケージ2に加える加重を、例えば40N程度とする。印加する超音波の周波数は、例えば40〜100kHz程度とする。ここでは、印加する超音波の周波数を、例えば60kHz程度とする。超音波振動を印加する時間は、例えば0.5〜3秒間程度とする。ここでは、超音波振動を印加する時間を、例えば2秒間程度とする。
【0109】
超音波印加部50のうちの金属膜44に接する部分は、金属により形成されている。このため、超音波印加部50と金属膜44との間では超音波振動が良好に伝搬される。また、金属膜44は樹脂層18の表面に成膜されたものであるため、金属膜44と樹脂層18との密着性は良好である。従って、金属膜44と樹脂層18との間においても、超音波振動が良好に伝搬される。本実施形態では、樹脂層18の表面に成膜された金属膜44を介してバンプ42に超音波振動を印加するため、超音波印加部50を樹脂層18に直接接触させる場合と比較して、超音波振動をバンプ42に伝搬しやすくすることができる。
【0110】
なお、樹脂層18に密着する金属膜44を設けることなく、超音波印加部50を樹脂層18に直接接触させた場合には、超音波印加部50と樹脂層18との密着性は必ずしも良好ではない。このため、超音波印加部50を樹脂層18に直接接触させた場合には、樹脂層18に密着する金属膜44を介して超音波を印加する場合と比較して、超音波振動は伝搬しにくい。
【0111】
半導体チップ14aは、比較的硬く、弾性率が比較的高い材料により形成されているため、超音波振動を伝搬しやすい。半導体チップ14a上に存在する樹脂層18は、比較的柔らかく、弾性率が比較的低い材料により形成されているが、厚さが比較的薄い。このため、半導体チップ14aの直下に位置するバンプ42には、超音波振動が伝搬されやすい。従って、金属膜44の有無にかかわらず、半導体チップ14aの直下に位置するバンプ42と電極48との接合部は、確実に超音波接合し得る。
【0112】
一方、半導体チップ14aが配されている領域以外の領域には、樹脂層18が比較的厚く存在している箇所がある。樹脂層18は、比較的柔らかく、弾性率が比較的低い材料により形成されているため、半導体チップ14aと比較して超音波振動を伝搬しにくい。
【0113】
しかし、本実施形態では、樹脂層18の表面に成膜された金属膜44により、超音波振動が伝搬されやすくなっているため、比較的厚い樹脂層18が存在している領域であっても、超音波振動をバンプ42に十分に伝搬し得る。
【0114】
従って、本実施形態によれば、半導体チップ14aの直下に存在しているバンプ42と電極48との接合部のみならず、半導体チップ14aの直下以外の箇所に存在しているバンプ42と電極48との接合部をも、確実に超音波接合し得る。従って、本実施形態によれば、信頼性の高い電子装置を製造することができる。
【0115】
こうして、本実施形態による電子装置が製造される(図12参照)。
【0116】
[第2実施形態]
第2実施形態による電子装置及びその製造方法について図13乃至図18を用いて説明する。図1乃至図12に示す第1実施形態による電子装置の製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0117】
(電子装置)
まず、本実施形態による電子装置について図13を用いて説明する。図13は、本実施形態による電子装置を示す断面図である。
【0118】
本実施形態による電子装置は、樹脂層18より弾性率の高い部材44aとして、板状体が用いられているものである。
【0119】
図13に示すように、樹脂層18の一方の面(バンプ42が形成されている側とは反対側の面)には、樹脂層18より弾性率の高い部材44aが配されている。かかる部材44aとしては、板状体44aが用いられている。板状体44aの材料としては、樹脂層18より硬度の高い材料が用いられている。具体的には、板状体44aの材料として、金属やセラミック等が用いられている。ここでは、板状体44aの材料として、アルミナセラミックスが用いられている。板状体44aは、接着剤(図示せず)により樹脂層18の上面に固着されている。板状体44aは接着剤により樹脂層18に固着されているため、板状体44aは樹脂層18の一方の面(バンプ42が形成されている側とは反対側の面)に密着している。板状体44aの厚さは、少なくとも50μm以上であることが好ましい。更には、板状体44aの膜厚は、100μm以上であることがより好ましい。板状体44aの厚さを厚く設定することが好ましいのは、板状体44aの膜厚を厚く設定するほど、板状体44aの剛性が高くなり、板状体44aの変形が抑制され、減衰を招くことなく超音波を樹脂層18に伝搬し得るためである。
【0120】
樹脂層18の一方の面(バンプ42が形成されている側とは反対側の面)に樹脂層18より弾性率の高い部材44aが設けられたウェハレベルパッケージ(構造体)2aは、回路基板46に実装されている。
【0121】
こうして、本実施形態による電子装置が形成されている。
【0122】
(電子装置の製造方法)
次に、本実施形態による電子装置の製造方法について図14乃至図19を用いて説明する。図14乃至図19は、本実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0123】
まず、支持基板10上に粘着層12を形成する工程からバンプ42を形成する工程までは、図2(a)乃至図7(a)を用いて上述した第1実施形態による電子装置の製造方法と同様であるため、説明を省略する。
【0124】
次に、樹脂層18の一方の面(バンプ42を形成した側とは反対側の面)に、樹脂層18より弾性率の高い部材44aを、例えば接着剤により固着する(図14(a)参照)。かかる部材44aとしては、板状体44aを用いる。板状体44aの材料としては、樹脂層18より硬度の高い材料を用いる。具体的には、板状体44aの材料として、金属やセラミック等を用いる。ここでは、板状体44aの材料として、アルミナセラミックスを用いる。板状体44aの厚さは、例えば0.1mm程度とする。板状体44aのサイズは、例えばφ100mm程度とする。接着剤としては、例えばエポキシ系接着剤を用いる。板状体44aを樹脂層18に接着剤により固着するため、板状体44aは樹脂層18の一方の面(バンプ42が形成されている側とは反対側の面)に密着した状態となる。
【0125】
こうして、樹脂層18の一方の面(バンプ42が形成されている側とは反対側の面)に、板状体44aが固着された複数のウェハレベルパッケージ2aが得られる(図14(b)参照)。
【0126】
次に、例えばダイシングにより、ウェハレベルパッケージ2aを個片化する(図15参照)。
【0127】
次に、回路基板46上に、ウェハレベルパッケージ(構造体)2aを配置する(図16参照)。ウェハレベルパッケージ2aを回路基板46上に配置する際には、ウェハレベルパッケージ2aのバンプ42と回路基板46の電極48とが互いに接するように、ウェハレベルパッケージ2aを回路基板46上に配置する。
【0128】
こうして、回路基板46上にウェハレベルパッケージ2aが配置される(図17参照)。
【0129】
次に、ウェハレベルパッケージ2aが配置された回路基板46を、超音波接合装置のステージ(載置台)49上に載置する(図18参照)。回路基板46をステージ49上に載置する際には、回路基板46の一方の面がステージ49に接し、ウェハレベルパッケージ2aの板状体44aが超音波接合装置の超音波印加部50に対向するように、回路基板46をステージ49上に載置する。
【0130】
次に、超音波接合装置の超音波印加部50をウェハレベルパッケージ2aの板状体44aに押し付けた状態で、超音波振動を印加することにより、ウェハレベルパッケージ2a側のバンプ42と回路基板46側の電極48とを固相拡散接合する。超音波接合を行う際における回路基板46の温度は、例えば25〜150℃程度とする。ここでは、超音波接合を行う際における回路基板46の温度を、例えば120℃程度とする。超音波印加部50を押し付けることによりウェハレベルパッケージ2aに加える加重は、例えば20〜50N程度とする。ここでは、ウェハレベルパッケージ2aに加える加重を、例えば30N程度とする。印加する超音波の周波数は、例えば40〜100kHz程度とする。ここでは、印加する超音波の周波数を、例えば60kHz程度とする。超音波振動を印加する時間は、例えば0.5〜3秒間程度とする。ここでは、超音波振動を印加する時間を、例えば3秒間程度とする。
【0131】
超音波印加部50のうちの板状体44aに接する部分は、金属により形成されている。板状体44aは、比較的硬く、弾性率が比較的高い材料により形成されている。このため、超音波印加部50と板状体44aとの間では超音波振動が良好に伝搬される。また、板状体44aは樹脂層18の表面に密着しているため、板状体44aと樹脂層18との密着性は良好である。従って、板状体44aと樹脂層18との間においても、超音波振動が良好に伝搬される。本実施形態では、樹脂層18の表面に密着した板状体44aを介して超音波振動を印加するため、超音波印加部50を樹脂層18に直接接触させる場合と比較して、超音波振動をバンプ42に伝搬しやすくすることができる。
【0132】
なお、樹脂層18に密着する板状体44aを設けることなく、超音波印加部50を樹脂層18に直接接触させた場合には、超音波印加部50と樹脂層18との密着性は必ずしも良好ではない。このため、超音波印加部50を樹脂層18に直接接触させた場合には、樹脂層18に密着する板状体44aを介して超音波を印加する場合と比較して、超音波振動は伝搬しにくい。
【0133】
上述したように、半導体チップ14aは、比較的硬く、弾性率が比較的高い材料により形成されているため、超音波振動を伝搬しやすい。半導体チップ14a上に存在する樹脂層18は、比較的柔らかく、弾性率が比較的低い材料により形成されているが、厚さが比較的薄い。このため、半導体チップ14aの直下に位置するバンプ42には、超音波振動が伝搬されやすい。従って、板状体44aの有無にかかわらず、半導体チップ14aの直下に位置するバンプ42と電極48との接合部は、確実に超音波接合し得る。
【0134】
一方、半導体チップ14aが配されている領域以外の領域には、樹脂層18が比較的厚く存在している箇所がある。樹脂層18は、比較的柔らかく、弾性率が比較的低い材料により形成されているため、半導体チップ14aと比較して超音波振動を伝搬しにくい。
【0135】
しかし、本実施形態によれば、樹脂層18の表面に密着した板状体44aにより超音波振動が伝搬されやすくなっているため、比較的厚い樹脂層18が存在している領域であっても、超音波振動をバンプ42に十分に伝搬し得る。
【0136】
従って、本実施形態によれば、半導体チップ14aの直下に存在しているバンプ42と電極48との接合部のみならず、半導体チップ14aの直下以外の箇所に存在しているバンプ42と電極48との接合部をも、確実に超音波接合し得る。従って、本実施形態によれば、信頼性の高い電子装置を製造することができる。
【0137】
こうして、本実施形態による電子装置が製造される(図19参照)。
【0138】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0139】
例えば、第1実施形態では、金属膜44の材料としてCuを用いる場合を例に説明したが、金属膜44の材料はCuに限定されるものではない。例えば、金属膜44の材料として、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデン、コバルト、タングステン又はタングステンカーバイト等を用いてもよい。
【0140】
また、第1実施形態では、樹脂層18の一方の面及び側面を覆うように金属膜44を形成する場合を例に説明したが、金属膜44に限定されるものではない。
【0141】
また、第1実施形態では、複数形成したウェハレベルパッケージ2を個片化した後に金属膜44を形成する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ウェハレベルパッケージ2を個片化する前の段階で、樹脂層18の一方の面(バンプ42が形成される側とは反対側の面)に金属膜44を形成し、この後、ウェハレベルパッケージ2を個片化してもよい。
【0142】
また、第2実施形態では、板状体44aの材料として、アルミナセラミックスを用いたが、板状体44aの材料はアルミナセラミックスに限定されるものではない。板状体44aの材料として、セラミックスを用いる場合には、例えば窒化アルミニウム等を用いることができる。板状体44aの材料として、金属を用いる場合には、例えば銅板等を用いることができる。
【0143】
また、上記実施形態では、バンプ42がめっき法により形成されたバンプである場合を例に説明したが、バンプ42はめっき法により形成されたバンプに限定されるものではない。例えば、バンプ42として、スタッドバンプを形成してもよい。スタッドバンプは、ワイヤボンディング技術に用いられるボールボンディング方式を用いて電極パッド上に形成されるバンプ電極のことである。スタッドバンプは、Au等より成るワイヤの先端に放電によってボールを形成後、ワイヤボンディング用のキャピラリを用いてボールを電極パッド上に熱圧着し、ワイヤを固定したままの状態でキャピラリを上部に引き上げ、ワイヤをボール上端部で切断することにより、形成される。
【0144】
また、上記実施形態では、バンプ42及び電極48の材料としてAuを用いる場合を例に説明したが、バンプ42及び電極48の材料はAuに限定されるものではない。超音波振動を用いて固相拡散接合し得る材料をバンプ42及び電極48の材料として適宜用いることができる。例えば、バンプ42及び電極48の材料としてCuを用いてもよい。
【0145】
また、上記実施形態では、電子部品14a〜14cが半導体素子、抵抗、又は、コンデンサである場合を例に説明したが、電子部品14a〜14cはこれらに限定されるものではない。例えば、電子部品14a〜14cが、MEMS素子、センサ素子等であってもよい。また、電子部品14a〜14cが、抵抗やコンデンサ以外の受動部品であってもよい。また、電子部品14a〜14cが、無機材料上に薄膜の受動部品を形成した素子であってもよい。
【0146】
また、上記実施形態では、膜44や板状体44aの材料として金属又はセラミックスを用いる場合を例に説明したが、膜44や板状体44aの材料は金属又はセラミックスに限定されるものではない。樹脂層18より弾性率の高い材料を、膜44や板状体44aの材料として適宜用いることができる。
【0147】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0148】
(付記1)
電子部品を埋め込む樹脂層の一方の面側に、前記電子部品に電気的に接続されたバンプが形成され、前記樹脂層の他方の面側に、前記樹脂層より弾性率の高い部材が密着した構造物を形成する工程と、
基板上に形成された電極と前記バンプとを接触させた状態で、前記部材を介して超音波振動を印加することにより、前記バンプと前記電極とを接合する工程と
を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
【0149】
(付記2)
付記1記載の電子装置の製造方法において、
前記部材の材料は、金属又はセラミックスである
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【0150】
(付記3)
付記1又は2記載の電子装置の製造方法において、
前記部材は、膜又は板状体である
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【0151】
(付記4)
付記1又は2記載の電子装置の製造方法において、
前記部材は、膜であり、
前記膜は、前記樹脂層の側面にも形成されている
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【0152】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の電子装置の製造方法において、
前記構造物を形成する工程は、前記電子部品を前記樹脂層により埋め込む工程と、前記樹脂層の前記一方の面側に、前記電子部品に電気的に接続された配線を形成する工程と、前記配線を介して前記電子部品に電気的に接続された前記バンプを形成する工程と、前記樹脂層の前記他方の面側に前記部材を密着させる工程とを有する
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【0153】
(付記6)
付記5記載の電子装置の製造方法において、
前記電子部品を前記樹脂層により埋め込む工程の前に、支持基板上に形成された粘着層上に前記電子部品を配する工程を更に有し、
前記電子部品を前記樹脂層により埋め込む工程の後、前記配線を形成する工程の前に、前記電子部品を埋め込む前記樹脂層から前記粘着層及び前記支持基板を除去する工程を更に有する
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【0154】
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の電子装置の製造方法において、
前記バンプは、金、又は、銅を含む
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【0155】
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載の電子装置の製造方法において、
前記金属は、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデン、コバルト、タングステン又はタングステンカーバイトを含む
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【0156】
(付記9)
電子部品が埋め込まれた樹脂層と、
前記樹脂層の一方の面側に形成され、前記電子部品に電気的に接続されたバンプと、
前記樹脂層の他方の面に密着し、前記樹脂層より弾性率の高い部材と、
前記バンプと固相拡散接合された電極を有する基板と
を有することを特徴とする電子装置。
【0157】
(付記10)
付記9記載の電子装置において、
前記部材の材料は、金属又はセラミックスである
ことを特徴とする電子装置。
【0158】
(付記11)
付記9又は10記載の電子装置において、
前記部材は、膜又は板状体である
ことを特徴とする電子装置。
【0159】
(付記12)
付記9又は10記載の電子装置において、
前記部材は、膜であり、
前記膜は、前記樹脂層の側面にも形成されている
ことを特徴とする電子装置。
【0160】
(付記13)
付記9乃至12のいずれかに記載の電子装置において、
前記樹脂層の前記一方の面側に形成され、前記電子部品に電気的に接続された配線を更に有し、
前記バンプは、前記配線を介して前記電子部品に電気的に接続されている
ことを特徴とする電子装置。
【0161】
(付記14)
付記9乃至13のいずれかに記載の電子装置において、
前記バンプは、金、又は、銅を含む
ことを特徴とする電子装置。
【0162】
(付記15)
付記9乃至14のいずれかに記載の電子装置において、
前記金属は、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデン、コバルト、タングステン又はタングステンカーバイトを含む
ことを特徴とする電子装置。
【符号の説明】
【0163】
2、2a…ウェハレベルパッケージ、構造体
10…支持基板
12…粘着層
14a〜14c…電子部品
16a〜16c…電極
18…樹脂層
20…構造体、樹脂基板
22…樹脂層、絶縁層
24…開口部
26…ビア
28…配線
30…樹脂層、絶縁層
32…開口部
34…ビア
36…配線
38…樹脂層、絶縁層
40…開口部
42…バンプ
44…部材、金属膜、膜
44a…部材、板状体
46…回路基板
48…電極
49…ステージ
50…超音波印加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を埋め込む樹脂層の一方の面側に、前記電子部品に電気的に接続されたバンプが形成され、前記樹脂層の他方の面側に、前記樹脂層より弾性率の高い部材が密着した構造物を形成する工程と、
基板上に形成された電極と前記バンプとを接触させた状態で、前記部材を介して超音波振動を印加することにより、前記バンプと前記電極とを接合する工程と
を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の電子装置の製造方法において、
前記部材の材料は、金属又はセラミックスである
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電子装置の製造方法において、
前記構造物を形成する工程は、前記電子部品を前記樹脂層により埋め込む工程と、前記樹脂層の前記一方の面側に、前記電子部品に電気的に接続された配線を形成する工程と、前記配線を介して前記電子部品に電気的に接続された前記バンプを形成する工程と、前記樹脂層の前記他方の面側に前記部材を密着させる工程とを有する
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の電子装置の製造方法において、
前記電子部品を前記樹脂層により埋め込む工程の前に、支持基板上に形成された粘着層上に前記電子部品を配する工程を更に有し、
前記電子部品を前記樹脂層により埋め込む工程の後、前記配線を形成する工程の前に、前記電子部品を埋め込む前記樹脂層から前記粘着層及び前記支持基板を除去する工程を更に有する
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項5】
電子部品が埋め込まれた樹脂層と、
前記樹脂層の一方の面側に形成され、前記電子部品に電気的に接続されたバンプと、
前記樹脂層の他方の面に密着し、前記樹脂層より弾性率の高い部材と、
前記バンプと固相拡散接合された電極を有する基板と
を有することを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−38270(P2013−38270A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174031(P2011−174031)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】