説明

電子部品とその実装構造及び実装方法

【課題】接続電極との接続信頼性を向上させることができる電子部品を提供すること。
【解決手段】所定の機能を有する水晶片11と、水晶片11に形成されたバンプ電極14と、バンプ電極14と接続電極33、34との導電接触状態を保持する接着層15とを有し、バンプ電極14が、弾性を有する樹脂コア24と、樹脂コア24の表面に設けられた導電膜25、26とを有すると共に、樹脂コア24の弾性変形により導電膜25、26と接続電極33、34とが導電接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水晶振動子などの電子部品とその実装構造及び実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば水晶振動子などの電歪素子(電子部品)を含むパッケージでは、水晶振動子に設けられた励振電極と水晶振動子を駆動する駆動回路に接続するための接続電極とがハンダなどの導電ペーストにより導電接触した状態で固定される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−261360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の水晶振動子においても、以下の課題が残されている。すなわち、接続電極の表面に凹凸形状が付されている場合、励振電極と接続電極との接触面積が小さくなるという問題がある。そして、パッケージに落下衝撃などの衝撃が加わった際における水晶振動子と接続電極との接続信頼性の向上が望まれている。
【0004】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、接続電極との接続信頼性を向上させることができる電子部品とその実装構造及び実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明にかかる電子部品は、駆動回路と導通する接続電極に接続される電子部品であって、所定の機能を有する機能片と、該機能片に形成されたバンプ電極と、該バンプ電極と前記接続電極との導電接触状態を保持する保持部とを有し、前記バンプ電極が、弾性を有するコア部と、該コア部の表面に設けられた導電膜とを有すると共に、前記コア部の弾性変形により前記導電膜と前記接続電極とが導電接触することを特徴とする。
【0006】
この発明では、コア部が弾性変形することで、接続電極に凸形状が付されていても導電膜と接続電極とが十分な接触面積で良好に導電接触する。また、保持部により導電膜と接続電極との導電接触が保持される。したがって、導電膜と接続電極との間における高い接続信頼性が得られる。
すなわち、電子部品の実装時においてバンプ電極を接続電極に対して押し付けた際、コア部が接続電極の表面形状に倣って弾性変形する。これに伴い、コア部の表面に形成された導電膜も、接続電極の表面形状に倣って変形する。このため、導電膜と接続電極との接触面積が増大する。そして、導電膜と接続電極との接触状態は、保持部によって保持される。このため、導電膜と接続電極との接続信頼性が向上する。ここで、バンプ電極と接続電極との接触位置に衝撃が加わっても、バンプ電極は、弾性変形することでこの衝撃が吸収される。これにより、バンプ電極と接続電極との接触位置における高い耐衝撃性が得られる。
また、保持部とバンプ電極とを別部材で形成することにより、それぞれに対して最適材料を選択することができる。これにより、バンプ電極と接続電極との高い接続信頼性が得られる。
【0007】
また、本発明では、前記機能片が片持ちで支持される構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、拘束される箇所が片側のみなので、機能片の機械的な自由度が大きくなり、エネルギーロス(振動の逃げ、漏れ等)を最小限に抑えることが可能になる。
【0008】
さらに、前記機能片としては、前記導電膜と前接続電極との導電接触部近傍で片持ち支持される構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、片側のみの接続なので、面接続や両端接続構造と比較して、接続電極を有する基板等と機能片との間に熱膨張係数に差がある場合でも、熱応力が接続部や機能片に伝わらないので、接続寿命が長くなり電子部品としての安定性を向上させることができるとともに、基板等に対しても余計な熱応力を生じさせない。さらに、接続部を介して機能片に伝わる機械変形や熱変形による応力の影響も抑制することができる。
【0009】
また、上記の構成においては、前記機能片が、当該機能片の振動の節となる位置で片持ち支持される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、支持部において機能片の振動を減衰させず、電気・機械振動のQ値(変換効率)も向上させることが可能になる。
【0010】
また、本発明の電子部品としては、前記機能片が前記導電膜への通電により変位を生じる電歪素子を構成してもよい。
また、本発明の電子部品は、前記機能片が、水晶片であることとしてもよい。
この発明では、機能片として水晶片を用いることで、水晶振動子を構成する。
【0011】
また、本発明の電子部品は、前記接着層が、接着層であることとしてもよい。
この発明では、接着層により導電膜と接続電極とを接着させることにより、導電膜と接続電極との間の導電接触を保持する。
【0012】
また、本発明の電子部品は、前記接着層が、前記導電膜を被覆していることとしてもよい。
この発明では、電子部品の実装時においてバンプ電極を接続電極に対して押し付けた際、接着層が押し出されることによって導電膜と接続電極とが導電接触する。
【0013】
また、本発明の電子部品は、前記導電膜の一部が、前記接着層から露出していることが好ましい。
この発明では、電子部品の実装時においてバンプ電極を接続電極に対して押し付けた際、導電膜が接着層から露出しているため、接着層を押し出すことなく導電膜と接続電極とを容易に導電接触させることができる。したがって、導電膜と接続電極との接続信頼性がさらに向上する。
【0014】
また、本発明の電子部品は、前記接着層が、前記導電膜から離間して設けられていることが好ましい。
この発明では、電子部品の実装時においてバンプ電極を接続電極に対して押し付けた際、接着層が導電膜から離間して設けられているため、上述と同様に、導電膜と接続電極とを容易に導電接触させることができる。したがって、導電膜と接続電極との接続信頼性がさらに向上する。
【0015】
また、本発明の電子部品の実装構造は、先に記載の電子部品が、前記接続電極を有する基板に実装されることを特徴とするものである。
また、本発明の電子部品の実装方法は、先に記載の電子部品を、前記接続電極を有する基板に実装する工程を有することを特徴とするものである。
これにより、本発明では、バンプ電極と接続電極との接触位置における高い耐衝撃性が得られるとともに、保持部とバンプ電極とを別部材で形成することにより、それぞれに対して最適材料を選択することができ、バンプ電極と接続電極との高い接続信頼性が得られる。さらに、本発明では、機能片を片持ち支持することにより、機能片の機械的な自由度が大きくなり、エネルギーロス(振動の逃げ、漏れ等)を最小限に抑えることが可能になり、また、接続寿命が長くなり電子部品としての安定性を向上させることができるとともに、基板等に対しても余計な熱応力を生じさせず、接続部を介して機能片に伝わる機械変形や熱変形による応力の影響も抑制することができる。
【0016】
なお、本発明における電子部品とは、電磁気作用により所定の機能を発現するものであり、電力が作用することにより振動等の変位が生じる電歪素子や磁力が作用することにより振動等の変位が生じる磁歪素子を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明における電子部品の第1の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。ここで、図1は水晶振動子を備える水晶振動子パッケージを示す断面図、図2は図1の平面図、図3は水晶振動子を示す斜視図である。
【0018】
まず、本発明における電子部品としての水晶振動子(電歪素子)1を備える水晶振動子パッケージ2について説明する。水晶振動子パッケージ2は、図1及び図2に示すように、水晶振動子1と、水晶振動子1を封止する容器3とを備えている。
水晶振動子1は、図1から図3に示すように、水晶片(機能片)11と、水晶片11を励振する一対の励振電極12、13と、バンプ電極14と、接着層(保持部)15とを備えている。
【0019】
水晶片11は、平面視でほぼU字状であって、基部21から2つの腕部22、23が同一方向に並列して延びる音叉型の平面形状を有する板状部材である。
一対の励振電極12、13それぞれは、例えばAl(アルミニウム)などの導電材料で形成されており、水晶片11の一面に形成されている。そして、励振電極12は、水晶片11の一面(図1中、下面)において基部21から腕部22にわたって形成されている。また、励振電極13は、水晶片11の一面において基部21から腕部23にわたって形成されている。
【0020】
バンプ電極14は、基部21の一面に形成されている。そして、バンプ電極14は、図1及び図3に示すように、樹脂コア(コア部)24と、樹脂コア24の表面に形成された一対の導電膜25、26とを備えている。
【0021】
樹脂コア24は、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの感光性絶縁樹脂や熱硬化性絶縁樹脂で形成されている。
また、樹脂コア24は、図3に示すように、水晶振動子1を容器本体31に実装する前において、ほぼ蒲鉾状に形成されており、基部21の一面において一対の腕部22、23それぞれの延在方向とほぼ直交する方向に沿って延在している。ここで、ほぼ蒲鉾状とは、水晶片11に接する内面(底面)が平面であると共に、非接触である外面側が湾曲面となっている柱状形状をいう。具体的に、ほぼ蒲鉾状とは、横断面がほぼ半円状やほぼ半楕円状、ほぼ台形状であるものが挙げられる。
【0022】
そして、樹脂コア24は、図1に示すように、水晶振動子1を容器本体31に実装した後において、水晶振動子1が容器本体31に対して相対的に押圧されることで、後述する接続電極33、34それぞれの表面形状に倣って弾性変形している。
なお、樹脂コア24は、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術によって形成されている。なお、樹脂コア24の材質(硬度)や形状については、接続電極33、34それぞれの形状などによって適宜選択、設計される。
【0023】
一対の導電膜25、26それぞれは、図3に示すように、樹脂コア24の表面に間隔をあけて形成されている。また、一対の導電膜25、26それぞれは、例えばAu(金)、TiW(チタン/タングステン)、Cu(銅)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Ti、W、NiV(ニッケル/バナジウム)、Al、Pd(パラジウム)、鉛フリーハンダなどの金属や合金で形成されており、これらの単層であっても、複数種を積層したものであってもよい。
【0024】
導電膜25は、励振電極12と連続して形成されており、励振電極12と導通している。また、導電膜25は、図1に示すように、水晶振動子1を容器本体31に実装した後において、樹脂コア24が弾性変形することで接続電極33の表面形状に倣って変形しており、接続電極33と導電接触している。
そして、導電膜26は、励振電極13と連続して形成されており、励振電極13と導通している。また、導電膜26は、水晶振動子1を容器本体31に実装した後において、樹脂コア24が弾性変形することで接続電極34の表面形状に倣って変形しており、接続電極34と導電接触している。
【0025】
ここで、導電膜25、26それぞれは、例えばスパッタ法などによる成膜後にパターニングすることによって形成されている。また、導電膜25、26それぞれは、スパッタ法や無電解メッキによって下地膜を形成した後に電解メッキにより上層膜を積層することによって形成されてもよい。なお、導電膜25、26それぞれは、樹脂コア24と同様に、接続電極33、34それぞれの形状などによって適宜選択、設計される。ただし、後述するように、樹脂コア24が接続電極33、34の形状に倣って弾性変形することから、導電膜25、26それぞれは、特に展延性に優れたAuで形成されていることが望ましい。
ここで、導電膜25、26が積層構造を有する場合には、その最外層がAuで形成されていることが望ましい。
【0026】
接着層15は、図1から図3に示すように、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの接着剤で形成されている。そして、接着層15は導電膜25及び接続電極33の接触部分と導電膜26及び接続電極34の接触部分とをそれぞれ囲んでいる。また、接着層15は、図3に示すように、水晶振動子1を容器本体31に実装する前において、導電膜25、26の表面を覆うように塗布されている。
【0027】
そして、このような構成の水晶振動子1(水晶片11)は、図1及び図2に示すように、導電膜25、26と接続電極33、34との導電接触部近傍(図1及び図2中、左側端部)において、基部21のみが容器3に支持された片持ち支持構造となっている。
より詳細には、水晶振動子1は、水晶片11の振動特性に基づき、当該水晶片11が振動した際の振幅が最小となる振動の節となる位置に、上記導電接触部が片持ち支持部として設けられた構成となっている。
【0028】
容器3は、容器本体31と、容器本体31を覆う蓋体32とを備えている。
容器本体31は、ほぼ箱状に形成されており、例えばセラミックスなどの絶縁材料で形成されている。そして、容器本体31の底部の上面には、接続電極33、34が形成されている。また、容器本体31の底部の下面には、回路基板(図示略)などに実装する際の端子電極35、36が形成されている。
接続電極33、34それぞれは、例えばW膜上に形成されたNiめっき層上にAu膜を積層した構成ように金属などの導電材料で形成されており、容器本体31に形成された配線(図示略)を介して端子電極35、36それぞれに接続されている。
蓋体32は、容器本体31と同様に、例えばセラミックスなどの絶縁材料で形成されている。そして、蓋体32は、容器本体31の開口部にロウ付けなどにより接合されており、容器本体31との間に形成される空間内に水晶振動子1を封止する。
【0029】
次に、水晶振動子1の実装方法について、図4を参照しながら説明する。ここで、図4は、水晶振動子の容器本体への実装時におけるバンプ電極を示す断面図である。
まず、水晶振動子1に設けられたバンプ電極14を容器本体31に形成された接続電極33、34に対して接触、押圧させる(図4(a)、図4(b))。
【0030】
このとき、樹脂コア24は、弾性変形して接続電極33、34それぞれの形状に倣う。
そして、導電膜25が樹脂コア24の弾性変形に伴って接続電極33の表面形状に倣うと共に、導電膜26が接続電極34の表面形状に倣う。また、導電膜25、26を被覆する接着層15が樹脂コア24の外周面に沿って押し出されていく。このため、接着層15により被覆されている導電膜25、26それぞれの少なくとも一部は、接着層15から露出して接続電極33、34それぞれと接触する。これにより、導電膜25及び接続電極33と導電膜26及び接続電極34とが、それぞれ十分な接触面積で導電接触する。
そして、接着層15は、バンプ電極14と接続電極33、34とを接着し、導電膜25及び接続電極33と導電膜26及び接続電極34とのそれぞれの接触状態を保持する。
【0031】
以上のようにして、水晶振動子1を容器本体31内に実装する。その後、容器本体31と蓋体32とを接合して水晶振動子1を封止する。このようにして、水晶振動子パッケージ2が形成される。
ここで、水晶振動子1と容器本体31との接続部分に例えば落下衝撃などの衝撃が加わった際、樹脂コア24が弾性変形してこの衝撃を吸収する。
【0032】
また、上記の水晶振動子1は、水晶片11が導電膜25、26と接続電極33、34との導電接触部近傍の一箇所で片持ち支持されているため、水晶片11の先端側の機械的な自由度が大きくなり、エネルギーロス(振動の逃げ、漏れ等)を最小限に抑えることが可能になる。また、水晶振動子1が片側のみで容器本体31と接続されているので、面接続や両端接続構造と比較して、接続電極33、34を有する部材等と水晶振動子1(水晶片11)との間に熱膨張係数に差がある場合でも、熱応力が接続部や水晶片11に伝わらないので、接続寿命が長くなり電子部品としての安定性を向上させることができるとともに、基板等の部材に対しても余計な熱応力を生じさせない。さらに、接続部を介して水晶片11に伝わる機械変形や熱変形による応力の影響も抑制することができる。
【0033】
さらに、上記の水晶振動子1は、水晶片11の振動の節とる位置で片持ち支持されることから、支持部において水晶片11の振動の減衰を抑制して、電気・機械振動のQ値(変換効率)も向上させることが可能になる。
【0034】
〔電子機器〕
そして、上述した水晶振動子1は、例えば図5に示すような携帯電話機100に用いられる。ここで、図5は、携帯電話機を示す斜視図である。
この携帯電話機100は、表示部101、複数の操作ボタン102、受話口103、送話口104及び上記表示部101を有する本体部を備えている。
【0035】
以上のように、本実施形態における水晶振動子1によれば、樹脂コア24が弾性変形することで、導電膜25、26それぞれと接続電極33、34とが十分な接触面積で良好に導電接触する。そして、接着層15により導電膜25、26と接続電極33、34との導電接触が保持される。したがって、導電膜25、26と接続電極33、34との高い接続信頼性が得られる。
【0036】
また、本実施形態における水晶振動子1によれば、水晶片11の先端側の機械的な自由度が大きくなり、エネルギーロス(振動の逃げ、漏れ等)を最小限に抑えることが可能になるとともに、接続電極33、34を有する部材等と水晶振動子1(水晶片11)との間に熱膨張係数に差がある場合でも、熱応力が接続部や水晶片11に伝わらないので、接続寿命が長くなり電子部品としての安定性を向上させることができる。さらに、本実施形態では、基板等の部材に対しても余計な熱応力を生じさせず、接続部を介して水晶片11に伝わる機械変形や熱変形による応力の影響も抑制することができる。
【0037】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明における水晶振動子の第2の実施形態を、図面に基づいて説明する。ここで、図6は容器本体への実装前の水晶振動子を示す斜視図、図7は水晶振動子の容器本体への実装時におけるバンプ電極を示す断面図である。なお、本実施形態では、上述した第1の実施形態と接着層の形状が異なるため、この点を中心に説明すると共に、上記実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
本実施形態における水晶振動子110では、図6に示すように、水晶振動子110を容器本体31に実装する前において、導電膜25、26それぞれの頂部が接着層111から露出している。
このような構成の水晶振動子110においても、水晶振動子110に設けられたバンプ電極14を容器本体31に設けられた接続電極33、34に対して接触、押圧する(図7(a)、図7(b))。
【0039】
このとき、樹脂コア24は、弾性変形して接続電極33、34それぞれの形状に倣う。
そして、導電膜25が樹脂コア24の弾性変形に伴って接続電極33の形状に倣うと共に、導電膜26が接続電極34の形状に倣う。ここで、導電膜25、26それぞれの一部が接着層111から露出しているため、バンプ電極14を接続電極33、34に接触させたときに導電膜25、26それぞれと接続電極33、34それぞれとが接触する。
そして、接着層111は、バンプ電極14と接続電極33、34とを接着し、導電膜25及び接続電極33と導電膜26及び接続電極34とのそれぞれの接触状態を保持する。
以上のようにして、水晶振動子110を容器本体31内に実装する。
【0040】
以上のように、本実施形態における水晶振動子110においても、上述した第1の実施形態と同様の作用、効果を奏するが、あらかじめ導電膜25、26それぞれの一部が接着層111から露出しているため、実装時において導電膜25及び接続電極33と導電膜26及び接続電極34とのそれぞれにおける接続信頼性をさらに向上させることができる。
【0041】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明における水晶振動子の第3の実施形態を、図面に基づいて説明する。ここで、図8は容器本体への実装前の水晶振動子を示す斜視図、図9は水晶振動子の容器本体への実装時におけるバンプ電極を示す断面図である。なお、本実施形態では、上述した第1の実施形態と接着層の形状が異なるため、この点を中心に説明すると共に、上記実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
本実施形態における水晶振動子120では、図8に示すように、水晶振動子120を容器本体31に実装する前において、導電膜25、26それぞれから離間して接着層121が設けられている。
接着層121は、樹脂コア24の延在方向に対して直交する方向において樹脂コア24を介して腕部22、23に近接する側と離間する側とに一対形成されている。そして、接着層121は、四角柱状に形成されており、導電膜25、26それぞれの外周から離間した位置において樹脂コア24に沿って延在している。
【0043】
このような構成の水晶振動子120においても、水晶振動子120に設けられたバンプ電極14を容器本体31に設けられた接続電極33、34に対して接触、押圧する(図9(a)、図9(b))。
このとき、樹脂コア24は、弾性変形して接続電極33、34それぞれの形状に倣う。
そして、導電膜25が樹脂コア24の弾性変形に伴って接続電極33の形状に倣うと共に、導電膜26が接続電極34の形状に倣う。ここで、接着層121が導電膜25、26それぞれから離間して形成されているため、バンプ電極14を接続電極33、34に接触させたときに導電膜25、26それぞれと接続電極33、34それぞれとが接触する。
そして、接着層121は、バンプ電極14と接続電極33、34とを接着し、導電膜25及び接続電極33と導電膜26及び接続電極34とのそれぞれの接触状態を保持する。
以上のようにして、水晶振動子120を容器本体31内に実装する。
【0044】
以上のように、本実施形態における水晶振動子120においても、上述した第2の実施形態と同様の作用、効果を奏する。
なお、本実施形態において、接着層121それぞれは、導電膜25、26から離間した位置に設けられていればよく、例えば環状など他の形状であってもよい。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、樹脂コアの形状は、蒲鉾状に限らず、台形状であってもよい。また、1つの樹脂コアに2つの導電膜が形成されているが、2つの導電膜それぞれに対応して2つの樹脂コアを形成してもよい。このとき、樹脂コアは、半球状など、他の形状であってもよい。
また、コア部は、弾性を有していれば、樹脂材料以外の他の材料で形成されてもよい。
そして、本実施例では、水晶振動子としては音さ型のものを使用して説明してきたがこれに限ることはなく、ATカット振動子やSAW振動子等どの水晶振動子を使用しても構わない。また、水晶片を機能片として用いることで水晶振動子を構成しているが、他の圧電材料を用いて水晶振動子以外の他の電歪素子を構成してもよい。
また、上記実施形態では、電子部品として電力が供給されたときに機能片に変位が生じる電歪素子を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば磁力により機能片に変位が生じる磁歪素子も適用可能である。
さらに、水晶振動子や電歪素子は、本実施例で説明してきたような、片持ち型の構造に限らず、面接続型、両持ち構造など他の構造であってもよい。
【0046】
また、本実施例では容器に水晶振動子が実装される例で説明してきたが。容器ではなく、配線パターンが形成された基板に実装されていても良い。また、水晶振動子の実装方法は、水晶振動子に接着層を設けた状態で水晶振動子を容器本体に実装しているが、水晶振動子には本実施例で説明してきたバンプ電極を形成し接着層を設けずに、容器本体や基板に接着層を設けた状態で水晶振動子を容器本体に実装してもよい。
【0047】
また、上記実施形態で説明した電子部品とその実装構造及び実装方法は、機械要素部品、センサー、アクチュエータ、電子回路を一つのシリコン基板上に集積化したデバイス(インクジェットプリンタのヘッド、圧力センサ、加速度センサー、ジャイロスコープ)等のMEMS (Micro Electro Mechanical Systems) に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施形態における水晶振動子パッケージを示す断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】水晶振動子を示す斜視図である。
【図4】水晶振動子の実装方法を示す工程図である。
【図5】水晶振動子を備える携帯電話機を示す斜視図である。
【図6】第2の実施形態における水晶振動子を示す斜視図である。
【図7】水晶振動子の実装方法を示す工程図である。
【図8】第3の実施形態における水晶振動子を示す斜視図である。
【図9】水晶振動子の実装方法を示す工程図である。
【符号の説明】
【0049】
1,110,120 水晶振動子(電歪素子、電子部品)、11 水晶片(機能片)、14 バンプ電極、15,111,121 接着層(保持部)、24 樹脂コア(コア部)、25,26 導電膜、33,34 接続電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路と導通する接続電極に接続される電子部品であって、
所定の機能を有する機能片と、
該機能片に形成されたバンプ電極と、
該バンプ電極と前記接続電極との導電接触状態を保持する保持部とを有し、
前記バンプ電極が、弾性を有するコア部と、該コア部の表面に設けられた導電膜とを有すると共に、前記コア部の弾性変形により前記導電膜と前記接続電極とが導電接触することを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記機能片は、片持ちで支持されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記機能片は、前記導電膜と前接続電極との導電接触部近傍で片持ち支持されることを特徴とする請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記機能片は、当該機能片の振動の節となる位置で片持ち支持されることを特徴とする請求項2または3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記機能片は、前記導電膜への通電により変位を生じる電歪素子を構成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項6】
前記機能片が、水晶片であることを特徴とする請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記保持部が、接着層であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項8】
前記接着層が、前記導電膜を被覆していることを特徴とする請求項7に記載の電子部品。
【請求項9】
前記導電膜の一部が、前記接着層から露出していることを特徴とする請求項8に記載の電子部品。
【請求項10】
前記接着層が、前記導電膜から離間して設けられていることを特徴とする請求項7に記載の電子部品。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の電子部品が、前記接続電極を有する基板に実装されることを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項12】
駆動回路と導通する接続電極に接続される電子部品の実装方法であって、
請求項1から10のいずれか一項に記載の電子部品を、前記接続電極を有する基板に実装する工程を有することを特徴とする電子部品の実装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−118450(P2009−118450A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36715(P2008−36715)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】