説明

電子部品の三次元測定装置

【課題】電子部品の形状分析のための指標を、ライン光の走査位置に依存せず常に一定に維持することができ、カメラによる撮像光の分析をより正確且つ適正に行なう。
【解決手段】電子部品Pに対してライン光Lを照射すると共に該ライン光Lを当該ライン光の照射ライン方向と交差する方向(x方向)に走査し、この拡散光(反射光)Lrを撮像カメラ23にて取得することによって電子部品Pの走査面の形状または高さを測定する電子部品Pの三次元測定装置14において、ライン光Lの走査位置X(X1、Xc、X2)に依存して、該ライン光Lの前記電子部品Pの走査面への入射方向に対して前記カメラに向かう散乱光の出射方向のなす角度α(α1、αc、α2)が変化することに起因する前記カメラでの受光量の変化を補正する補正手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の三次元測定装置、特にプリント基板又は液晶やディスプレイ基板等の基板に自動的に電子部品を実装する電子部品実装装置に組み込まれる三次元測定装置に適用するのに好適な、電子部品の三次元測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の所定部分の形状や高さを、三次元測定した後に基板に実装する電子部品の実装装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
この実装装置が備えている三次元測定装置は、その概要を図14に示すように、LED照明光源131により吸着ノズル117に保持されている電子部品130を照明し、該電子部品130の下方に配したCCDカメラ126で撮像して位置決めのための二次元データを取得するようになっている。
【0004】
その後、この二次元データから電子部品130の吸着角度を補正した後、レーザダイオード121を点灯し、コリメートレンズ122及びフォーカスレンズ123を通過させたスポット光を投光ミラー124で反射させる。反射光は、ラインジェネレータレンズ125によってライン光125Aに調整され、該ライン光125Aが電子部品130の端子部130Aに下方斜め45°より投光される。
【0005】
更に、リニアモータ128により投光ユニット127を図中左右方向に移動させ、電子部品130の底面に対して、該ライン光125Aを、当該ライン光125Aの照射ライン方向と直交する方向(x方向)に走査する。このライン光125Aの投光像(拡散光)を、前記CCDカメラ126で撮像し、ライン光125Aによる光切断線の重心位置から各端子の高さデータを取得し、端子部130Aの平坦度(形状)を検査している。この平坦度が適正であれば、位置決めデータに基づいて電子部品130を基板上に搭載する。
【0006】
【特許文献1】特開2001−60800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に開示されている三次元測定装置では、電子部品の高さ計測(三次元測定)を、電子部品の斜め下方からライン光を照射し、その散乱光の一部(カメラに届く光)を用いて、端子の高さデータを取得しているため、特に、カメラの画角が広い場合(テレセントリックな光学系でない場合)においてライン光の走査位置によってカメラでの受光量が異なり、重心特定のための2値化等の分析が必ずしも良好に行えないことがあるという問題があった(後に本発明の作用と比較して詳述)。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであって、カメラによって取得された撮像光を分析するための指標を、ライン光の走査位置に依存せず、常に一定に維持し、該撮像光の分析をより適正に行なうことのできる電子部品の三次元測定装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電子部品に対してライン光を照射すると共に該ライン光を当該ライン光の照射ライン方向と交差する方向に走査し、この拡散光をカメラにて取得することによって電子部品の走査面の形状または高さを測定する電子部品の三次元測定装置において、前記ライン光の走査位置に依存して、該ライン光の前記電子部品の走査面への入射方向に対して前記カメラに向かう散乱光の出射方向のなす角度が変化することに起因する前記カメラでの受光量の変化を補正する補正手段を備えたことにより、前記課題を解決したものである。
【0010】
本発明は、ライン光の走査位置が変化すると、該ライン光の入射方向に対してカメラに向かう散乱光の出射方向のなす角度が変化し、この変化に依存してカメラでの受光量が変化することに着目し、これを適正に補正するようにしたため、画角の広い低コストな撮像カメラを用いた場合であっても、走査位置の如何に関わらず正確な画像分析を行なうことができる。
【0011】
なお、具体的な補正に当たっては、例えば、ライン光の走査位置に依存して、ライン光の発光量又は前記カメラでの受光量の少なくとも一方を補正するようにするとよい。すなわち、光源にて発生する光自体の強度を、カメラによって得られる光量に逆比例した強度に補正するという手法を採用しても良いし、発光量はそのままで、実際にカメラによって得られた受光量の方を補正するようにしてもよい。
【0012】
更には、ライン光の走査位置に依存して、前記カメラによって取得されたライン光を分析するときの閾値を補正するようにしても実質的に同等の補正が可能である。なお、これら補正は、併用してもよい。
【0013】
なお、後述するように、ライン光の照射ライン方向における位置に依存して発生する前記カメラでの受光量の変化を補正する第2の補正手段を備えるようにすると、カメラでの全視野における一層正確な光量補正を行なうことができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子部品の形状分析のための指標を、ライン光の走査位置に依存せず常に一定に維持することができ、カメラによる撮像光の分析をより正確且つ適正に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明する。
【0016】
図4は、本発明の一実施形態が適用される電子部品実装装置の概観を示す斜視図である。この電子部品実装装置には、基台1の中央部にx方向に沿って搬送路2が配設されている。この搬送路2は、基板保持部を兼ねており、基板3をx方向に搬送すると共に、搬送路2上の所定位置に基板3を保持し、位置決めする。
【0017】
搬送路2の両側には電子部品の供給部4が配設され、それぞれの供給部4には多数台のパーツフィーダ5が並設されている。各パーツフィーダ5は、電子部品を収納・保持しているテープをその長さ方向に送ることにより、該電子部品を順次供給するようになっている。
【0018】
又、X軸テーブル6には、電子部品の移載ヘッド7が装着される。このXテーブル6は、対向して並設されたY軸テーブル8A及び8Bにその両端部が支持されている。これらX軸テーブル6及びY軸テーブル8A、8Bを駆動することにより、移載ヘッド7を水平方向(x−y方向)に移動し、その下端部に装着されている(後述する図5に示す)吸着ノズル10によりパーツフィーダ5の電子吸着位置から電子部品をピックアップして基板3上に移載する。
【0019】
前記搬送路2と供給部4との間の移動経路の下方には、CCDカメラ等からなる部品認識カメラ9が配設されている。部品認識カメラ9は、移載ヘッド7や吸着ノズル10を下方から撮像し、この撮像結果に基づいて移載ヘッド7に保持されている電子部品の識別や位置ずれの検出が行なわれる。CCDカメラ9の近傍には、電子部品の端子部の形状(この実施形態では平坦度)を検査する三次元測定装置14が配設されている。この三次元測定装置14については後に詳述する。
【0020】
前記移載ヘッド7には、図5に拡大して示すように、複数のノズルシャフト11がそれぞれθ軸モータ12に取り付けられ、各ノズルシャフト11は、独立にθ方向に回転できるようになっている。又、移載ヘッド7には、各ノズルシャフト11に対応するZ軸モータ13が設置され、各ノズルシャフト11が独立に昇降可能である。各ノズルシャフト11の先端には、吸着ノズル10が着脱自在に装着されている。吸着ノズル10の先端にはエアを吸引して電子部品を保持するための吸着孔(図示略)が設けられている。
【0021】
前記三次元測定装置14は、図2にその概要を示すように、コントローラ15BによってON−OFFされるレーザダイオード15からのレーザ光Laが、コリメートレンズ16とフォーカスレンズ17を介して投光ミラー18に入力されると、その反射光がラインジェネレータレンズ19によりライン光Lとして吸着ノズル10に保持されている電子部品Pに照射(投光)されるようになっている。コントローラ15Bは、(後述するように)レーザダイオード15に供給する電流を増減することにより、該レーザダイオード15にて発生されるレーザ光Laの強度(発光量)を調整することが可能である。吸着ノズル10に保持されている電子部品Pの下方には、撮像ミラー21が配置され、該撮像ミラー21の反射方向には撮像カメラ23が配置されている。
【0022】
投光ユニット26は、前記フォーカスレンズ17、投光ミラー18、及びラインジェネレータ19を一体的に内蔵している。この投光ユニット26は、リニアアクチュエータ24に直結されており、水平方向に正常に保持された電子部品Pの下面(走査面)に平行(図中の矢印x方向)に、且つ、図3の要部上面図にイメージを示すように、照射されたライン光Lの先端の照射ラインに対して交差する方向(この実施形態では直交方向:x方向)に駆動可能とされている。
【0023】
なお、本実施形態に適用される三次元測定装置14の基本的な測定原理は、前記図14に示した従来例と同一である。
【0024】
次に、以上の構成による三次元測定装置14を用いた三次元測定の動作を、図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0025】
まず、前記図4に示した搬送路2上に基板3が搬入され、位置決めされると(ステップ1、2)、移載ヘッド7は電子部品Pをピックアップするために、ノズルシャフト11の先端に装着されている吸着ノズル10を供給部4へ移動させる(ステップ3)。
【0026】
移載ヘッド7が部品吸着位置へ整定後、Z軸モータ13の駆動によりノズルシャフト11を降下させると、その先端の吸着ノズル10が部品吸着高さまで下降する。この下降によって吸着ノズル10がパーツフィーダ5に収められている電子部品Pと当接する直前に、図示しない真空発生装置を作動させ、ノズルシャフト11の管路内を負圧とすることにより、該吸着ノズル10の先端に当接した電子部品Pを吸着する(ステップ4)。
【0027】
その後、吸着された電子部品Pの吸着位置及び角度の認識を行なうため、実装装置本体に設けられている部品認識カメラ9上へ移動し(ステップ5)、吸着した電子部品Pの位置認識を行なう(ステップ6)。位置認識した結果を元に、移載ヘッド7が該部品認識カメラ9の近傍に配置されている三次元測定装置14上へと移動を行ない(ステップ7)、吸着されている電子部品Pの端子部Paが三次元測定装置14の測定装置(ライン光Lの焦点位置)となるように位置決めされる。
【0028】
次に、ステップ8で行なう前記図2の三次元測定装置による三次元測定について説明する。
【0029】
コントローラ15Bにより光源であるレーザダイオード15から発せられたレーザ光Laは、コリメートレンズ16で集光されて平行光となる。フォーカスレンズ17はこの平行光をスポット光となるように絞り込む。フォーカスレンズ17からのスポット光は、投光ミラー18により所定の方向に曲げられる。この曲げられた光路の直後に置かれたラインジェネレータレンズ19は、入射光を幅(厚さ)30μm、長さ40mm(図2の紙面と垂直な方向、図3の寸法W)のライン光Lとして、所定の走査位置Xにおいて測定対象である電子部品Pの端子部Paに投光する。電子部品Pの端子部Paからの反射光(拡散光の一部)Lrは、撮像ミラー21で反射されて撮像カメラ23により撮像される。
【0030】
ここで、図2において投光ユニット26をリニアアクチュエータ24の駆動により図示される左右両矢印のx方向(ライン光Lの照射ライン方向に対して直交する方向)に一定速度(例えば700mm/s)で移動させる。この結果、ライン光Lが走査され、撮像カメラ23の視野内にライン光Lが入光可能となる所定の走査位置Xに来たとき、レーザダイオード15を所定時間だけ(例えば50μs)点灯する。すると、当該走査位置Xにある電子部品Pの端子部Paに反射した反射光Lrが撮像カメラ23に入光するため、これを撮像することで高さ測定を行なうことができる。なお、このように平行光線に向かって投光ユニット26の前後直線運動を行なっても、フォーカスレンズ17の結像作用には影響を及ぼさないので、測定対象である電子部品Pが水平方向に正常保持されている場合には、その端子には常に一定幅のライン光Lが照射されることになる。
【0031】
高さ測定の原理について以下に簡単に説明する。図7は、電子部品Pの端子部Paを三次元測定する様子を示した図である。
【0032】
図7(A)は、電子部品Pが、xyθの各軸の駆動により、前記三次元測定装置14の上部に、xyの各軸に対して平行で、且つ該三次元測定装置14の視野の中心位置に一致するように位置決めされた状態を示す上面図であり、リニアアクチュエータ24によって走査されるライン光L(L1,L2)が電子部品Pの端子部Paに照射されている状態を示している。
【0033】
図7(B)は、その側面図であり、走査位置X(X1、X2)において端子部Paに照射されたライン光Lの一部が撮像カメラ23によって撮像され得る反射光Lr(Lr1、Lr2)として反射している状態を示しており、図7(C)は、同図(B)のライン光L1が照射される端子部Paの拡大図である。
【0034】
ここで、測定対象となる端子部Paのうち、変形等により他と比較して異なる高さの端子部Pbが存在し、これによりライン光L1が照射される高さが図7(C)に示すように正常端子部Paと比較してΔtだけ異なっていたとする。ライン光L1の照射により、端子部Paはその下方に設けた撮像カメラ23に図8に示すような光切断線画像として撮像されるが、高さの異なる端子部PbはΔxだけ離れた位置に撮像される。ライン光L1の投光角度は端子部Pbに対して45°をなしているため、ほぼΔx=Δtとなり、三次元(高さ)測定が可能となる。同様な測定が、走査位置X2についても行なわれる。ここで、走査位置X1と走査位置X2での反射光Lr1、Lr2の強度に基づく補正が行なわれた上で各位置での三次元測定が行なわれるが、これについては、後に詳述する。ステップ8による三次元測定の結果により、電子部品Pの異常が認められなかった場合には、移載ヘッド7は搬送路2に固定されている基板3上の所定位置に移動し(ステップ10)、θ軸モータ12とZ軸モータ13の駆動により、電子部品Pを基板3へ搭載する(ステップ11)。
【0035】
その後、基板3への電子部品Pの搭載が総て完了するまで生産動作を継続する(ステップ12)。
【0036】
ここで、走査位置Xの違いに基づく補正について詳細に説明する。
【0037】
図1(A)は、ライン光が電子部品Pに対して走査位置X1から同Xcを通過して走査位置X2にまで走査される様子を示している。なお、本実施形態では撮像カメラ23には撮像ミラー21の反射光が入力される構成となっているが、撮像ミラー21は、単に進行方向を変えているだけであるため(いわゆる鏡像の状態で撮像カメラ23に入るだけであるため)理解を容易にするために、ここでは省略している。
【0038】
電子部品Pに照射されたライン光Lは、図1(B)に示されるように、さまざまな方向に散乱するが、この内一番強い光が反射される方向は、いわゆる正反射の方向であり、この方向の反射光Ls以外の反射光(散乱光)は反射光Lsほど強くはない。図1(A)と(B)との比較から明らかなように、電子部品Pに対し、走査位置X1の位置に照射されたライン光L1は、該ライン光L1の電子部品Pの走査面への入射方向に対して撮像カメラ23に向かう反射光Lr1の出射方向のなす角度α1が比較的大きく、反射光Lr1に相当する強度を有するが、走査位置Xcにまで移動してくると、同角度αcがα1より小さくなり、同じ強さのライン光(L1=Lc)でありながら。ここで得られる(撮像カメラ23に向かう)反射光Lrcは、若干弱い光となってしまう(Lr1>Lrc)。さらに、走査位置がX2に至ると、ここで得られる(撮像カメラ23に向かう)反射光Lr2の強度は一層弱くなってしまう(Lr1>Lrc>Lr2)。この現象は、x方向の画角に対応する角度θxが大きいほど顕著になる(角度θxが零のいわゆるテレセントリックな光学系のときは、反射光Lrは、ライン光Lに対し減衰はするが、減衰度は走査位置X(X1、Xc、X2)に関わらず一定であって、このような強弱は発生しない。)しかし、角度θxを零又は零に近いほどに小さくし、且つ電子部品Pの全ての位置を撮像カメラの視野内に納めるには、大型の撮像素子を必要とし、コストが非常に高くなる。このため、画角はある程度は必要であるが、その結果として撮像カメラ23に到達する光量がライン光Lの走査位置Xに依存してしまい、得られた画像の適正な分析を阻害してしまうことになる。この実施形態では、この現象に着目し、この走査位置Xが異なることに起因する光量の変化を補正するようにしたため、ライン光Lの走査位置Xの如何に関わらず、常に適正な画像分析が可能となる。
【0039】
この補正は、具体的には、例えば、図9に示されるように、レーザダイオード15に流す電流値Iが、走査位置Xに依存して入射光と反射光とで形成される角度α(α1、αc、α2)が小さくなるほど大きくなるように、(この実施形態では)プラス−マイナス10%程度の範囲で該電流値Iが増減させる。増減の範囲は、前記角度θxに依存する(定性的には角度θxが大きいほど、補正範囲は大きくなる)。なお、認識対象となる電子部品がSOP、QFP、BGAのように、走査方向に複数の端子を持つ電子部品である場合には、1回の走査移動中に、レーザダイオード15を複数回点灯させる。この場合も、同様に、各点灯ごとにレーザダイオード15のコントローラ15Bは、走査位置Xによって該レーザダイオード15での電流値Iを制御し、その発光量を適切な値に調整する。図9のグラフは、この調整(走査位置/電流テーブル)の例示であり、撮像カメラ23の視野内のx方向における何れの位置においても受光量が一定となるように設定される。このテーブルは、初期組付け時に、各走査位置Xにおけるライン光Lの明るさを測定し、その結果に応じて予め作成される。この結果、走査位置Xによらず、常に同じ強さの反射光Lrが撮像カメラ23に入力されることになり、精密な反射光位置の2値化分析(正確な重心位置の特定)ができるようになる。
【0040】
補正の他の例としては、例えば、図10に示されるように、(レーザダイオード15での発光量は一定とし)得られた受光量(輝度)の方を補正する方法がある。即ち、走査位置Xに依存して、例えば均一な平面を有する金属板の当該均一面を電子部品Pの代わりに高さを測定し得るように配置して一定のピッチにてライン光を照射して、撮像画像上の座標に依存する受光量の違いに対応する補正係数を予め求めておき、反射光の当たっている画素に対して任意の輝度以上(例えば判別分析法を用いて算出した輝度以上)の画素に対して、該補正係数を乗じる補正をする。これにより実際に得られた明るさが不均一であっても、(補正後の)見かけ上の画像の明るさを均一にすることができ、同様の補正効果を得ることができる。
【0041】
更に、他の補正例として、例えば、図11に示されるように、撮像カメラ23によって取得された反射光Lrを分析するときの閾値を補正するようにしても実質的に同一の補正効果が得られる。例えば、この実施形態では、反射光Lrの輝度を255段階のピクセル値に対応させているが、走査位置X1では、(得られる像が明るいので)反射光Lr1の位置の分析(重心位置の特定)のための閾値を115程度に設定し、一方、走査位置X2では、(得られる像が暗いので)該閾値を52程度に設定する。これにより、各走査位置Xにおいて、撮像カメラ23に実際に入力されてくる光量の絶対値が異なっても、「実質的に同一の明るさ」を境として2値化処理を行なうことができ、同様の補正効果が得られるようになる。
【0042】
なお、これらの補正は、組み合わせて用いてもよい。例えば、レーザダイオード15での発光量を大きく2段階または3段階程度に変更できるように構成し、微調整をソフト的な輝度補正、あるいは閾値補正によって行なうような構成としても良い。これにより、コストの上昇を最小限に抑えた上で精密且つ再現性の高い補正を行なうことが可能となる。
【0043】
ところで、この実施形態では、レーザダイオード15からのレーザ光Laを、コリメートレンズ16、フォーカスレンズ17、投光ミラー18を介してラインジェネレータレンズ19に入力させることによってライン光Lを生成していた。そのため、厳密には、ライン光Lの照射ライン方向(図12、図13のy方向)の明るさは、均一ではない。更に、図1(C)に示されるように、y方向の画角に対応する角度θyが存在すると、たとえライン光Lがその照射ライン方向yに完全に均一であったとしても、撮像カメラ23で受光される光量は、図12、図13の上部に示されるように、その中央部が最も明るく、周辺に行くに従って暗くなる傾向となる。
【0044】
そこで、これらの特性を総合し、照射ライン方向(y方向)の位置に依存して、図10または図11と同様の補正を行なうようにすると、y方向の画像位置にも依存しない極めて再現性の高い2値化処理ができるようになる。図12は、特定の走査位置Xの反射光Lrに対して、図10の手法と同様な「輝度の補正」によって(走査位置Xに関する補正に加え)このy方向の補正を更に行っている例を示している。また、図13は、同じく特定の走査位置Xの反射光Lrに対して、図11の手法と同様な「閾値の補正」によってこのy方向の補正を更に行っている例を示している。このように、ライン光Lの照射ライン方向yにおける位置に依存して、該ライン光Lを形成するための光学系の特性や、撮像カメラ23の受光角度に起因する該撮像カメラ23での受光量の変化を補正する第2の補正手段を備えるようにすると、結果としてx方向及びy方向のいずれの方向に対しても均一な画像処理を行なうことができるようになるという効果が得られる。
【0045】
この実施形態では、このように、撮像カメラ23の視野のどの位置においても実質的に等価な2値化処理ができるように補正処理する構成としたため、画角の大きな(低コストな)撮像カメラを用いても反射光の重心位置分析を正確に行なうことができ、高精度な高さ測定(平坦度測定)を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、電子部品の三次元測定装置、特にプリント基板又は液晶やディスプレイ基板等の基板に自動的に電子部品を実装する電子部品実装装置に組み込まれる三次元測定装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の原理を説明するための、ライン光と撮像カメラの画角との関係を示す模式図
【図2】本発明の一実施形態が適用される三次元測定装置の概要を示す概略側面図
【図3】上記三次元測定装置の要部を上面から見た状態を示す平面図
【図4】上記三次元測定装置が組み込まれる電子部品実装装置の概観を示す斜視図
【図5】上記電子部品実装装置に搭載されている移載ヘッドを示す斜視図
【図6】上記電子部品実装装置における三次元測定の適用工程を示すフローチャート
【図7】三次元測定の原理を示す模式図
【図8】三次元測定の原理を示す他の模式図
【図9】ライン光の発光量を補正するための走査位置/電流値補正係数の関係を示すグラフ
【図10】輝度値を補正するための走査位置/輝度補正係数の関係を示すグラフ
【図11】2値化処理の閾値を補正するための走査位置/閾値の関係を示すグラフ
【図12】ライン光の照射ライン方向の明るさを輝度補正によって補正するためのy方向位置/輝度補正係数の関係を示すグラフ
【図13】ライン光の照射ライン方向の明るさを閾値補正によって補正するためのy方向位置/閾値の関係を示すグラフ
【図14】従来の三次元測定装置の概要を示す概略側面図
【符号の説明】
【0048】
10…吸着ノズル
14…三次元測定装置
15…レーザダイオード
16…コリメートレンズ
17…フォーカスレンズ
18…投光ミラー
20…撮像ミラー
23…撮像カメラ
22…リニアアクチュエータ
26…投光ユニット
P…電子部品
L…ライン光
Lr…反射光
X…走査位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品に対してライン光を照射すると共に該ライン光を当該ライン光の照射ライン方向と交差する方向に走査し、この拡散光をカメラにて取得することによって電子部品の走査面の形状または高さを測定する電子部品の三次元測定装置において、
前記ライン光の走査位置に依存して、該ライン光の前記電子部品の走査面への入射方向に対して前記カメラに向かう散乱光の出射方向のなす角度が変化することに起因する前記カメラでの受光量の変化を補正する補正手段を備えた
ことを特徴とする電子部品の三次元測定装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記補正が、前記ライン光の走査位置に依存して、前記ライン光の発光量又は前記カメラでの受光量の少なくとも一方を補正するものである
ことを特徴とする電子部品の三次元測定装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記補正が、前記ライン光の走査位置に依存して、前記カメラによって取得されたライン光を分析するときの閾値を補正するものである
ことを特徴とする電子部品の三次元測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、更に、
前記ライン光の照射ライン方向における位置に依存して発生する前記カメラでの受光量の変化を補正する第2の補正手段を備えた
ことを特徴とする電子部品の三次元測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−116274(P2008−116274A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298664(P2006−298664)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】