説明

電子部品の実装装置及び実装方法

【課題】この発明はキヤリアテープから電子部品を精度よく打ち抜いて基板に実装するための実装装置を提供することにある。
【解決手段】供給リール15から繰り出されたキヤリアテープ1を送る駆動スプロケット19と、金型装置28によって電子部品が打ち抜かれたキヤリアテープを巻き取る巻き取りリール26と、インデックステーブルの周方向に所定間隔で設けられ電子部品が受け渡されてインデックステーブルの回転により所定の位置に位置決めされたときに電子部品を基板に実装する複数の実装ヘッドと、電子部品が基板に実装される前に実装ヘッドに保持された電子部品のキヤリアテープの送り方向に位置する一端部の位置合わせマーク及び一端部の端面の切断線を撮像する第1の撮像カメラと、第1の撮像カメラの撮像信号によって位置合わせマークから切断線までの距離を算出し、その距離に応じて駆動スプロケットによるキヤリアテープの送り量を制御する制御装置を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はたとえば液晶表示装置に用いられるガラス製のパネルなどの基板に、TCP(Tape Carrier Package)などの電子部品を実装する電子部品の実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶表示装置を製造する場合、パネルなどの基板に、TCPなどの電子部品を実装するための実装装置が用いられる。上記電子部品は金型によってキヤリアテープから打ち抜かれた後、所定角度ずつ間欠的に回転駆動されインデックステーブルによって所定の位置、つまり受け渡し位置に位置決めされた実装ヘッドに受け渡される。上記インデックステーブルには1回当たりの回転角度に応じた間隔で周方向に複数の上記実装ヘッドが設けられている。
【0003】
電子部品が供給された実装ヘッドは、上記インデックステーブルによって実装装置に位置決めされると、その位置で待機する基板に実装される。この基板はXY方向に駆動される載置テーブルに載置されていて、この載置テーブルによってXY方向に駆動されて上記実装位置に位置決めされるようになっている。
【0004】
上記キヤリアテープは供給リールに巻装されている。供給リールから繰り出されたキヤリアテープは金型装置で電子部品が打ち抜かれた後巻き取りリールに巻き取られるようになっている。
【0005】
図7に示すようにキヤリアテープ1の幅方向両側には係合孔2が所定間隔で穿設されている。上記係合孔2にはサーボモータによって回転駆動される駆動用スプロケットの歯が係合するようになっていて、この駆動用スプロケットが回転駆動されることで、上記キヤリアテープ1が所定距離ずつ間欠的に搬送される。
【0006】
そして、キヤリアテープ1が所定距離搬送される毎に上記金型装置が作動し、上記キヤリアテープ1から半導体チップ3が実装された部分が同図にLで示す矩形状の切断線に沿って打ち抜かれて電子部品Pが形成されるようになっている。上記キヤリアテープ1から打ち抜かれた電子部品Pには、キヤリアテープ1の搬送方向に沿う一端部に一対の位置合わせマークmがプリントされている。
【0007】
上記位置合わせマークmは、電子部品Pを基板に実装するとき、撮像カメラによって撮像され、その撮像結果に基いて実装ヘッドに保持された電子部品Pの位置が算出される。そして、算出された電子部品Pの位置に応じて基板を位置決めするようになっている。
【0008】
なお、駆動用スプロケットに搬送されるキヤリアテープ1は、たるみが生じないようテンションが付与されるようになっている。
このようにしてキヤリアテープから電子部品を打ち抜く先行技術は特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開2006−66617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
キヤリアテープ1の幅方向両側に穿設された係合孔2に、駆動用スプロケットの歯を係合させ、その駆動用スプロケットをサーボモータによって回転駆動して上記キヤリアテープ1を搬送する場合、上記駆動用スプロケットの歯に対して上記キヤリアテープ1の係合孔2が容易かつ確実に係脱できるようにするため、上記歯の大きさに比べて上記係合孔2の方が大きく形成されている。つまり、歯と係合孔2の間にはガタがある。しかも、キヤリアテープ1の両側に形成される係合孔2のピッチ間隔にはある程度の誤差が生じる。さらに、合成樹脂製のキヤリアテープ1は温度やテンションの変化によって伸びが生じることがある。
【0010】
そのため、これらのことにより、キヤリアテープ1を駆動用スプロケットで所定距離ずつ送りながら電子部品を打ち抜くということを繰り返して行なっていると、金型装置に対してキヤリアテープ1の送り方向に対する位置決め精度にずれが生じ、このキヤリアテープ1から電子部品Pを高精度で打ち抜くことができなくなるということが生じる。
【0011】
キヤリアテープ1の位置決め精度がその送り方向に対してずれが生じると、図7に示すキヤリアテープ1の送り方向の先端側に位置する切断線L1と位置合わせマークmとの距離δXが変化してくる。距離δXが小さくなると、基板に電子部品Pを実装したとき、基板に電子部品に設けられたリードが十分な長さで接続されないということがあり、逆に距離δXが大き過ぎると、電子部品Pの基板に接続された端部にめくれが生じるなどのことがあり、好ましくない。
【0012】
図7ではキヤリアテープ1から電子部品Pをそのキヤリアテープ1の長手方向に沿って長胃状態で打ち抜くようにしたが、図8に示すように電子部品Pはキヤリアテープ1の幅方向に沿って長く打ち抜くこともある。その場合、位置合わせマークmとキヤリアテープ1の送り方向一端部の端面の切断線L1との距離δXは図示のようになる。
【0013】
この発明は、駆動用スプロケットによって送られるキヤリアテープを金型装置に対して位置ずれが生じないよう位置決めできるようにすることで、キヤリアテープから電子部品を高精度に打ち抜いて基板に実装することができるようにした電子部品の実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、基板に電子部品を実装する電子部品の実装装置であって、
キヤリアテープが巻装された供給リールと、
この供給リールから繰り出されたキヤリアテープを送る駆動スプロケットと、
この駆動スプロケットによって送られた上記キヤリアテープから上記電子部品を打ち抜く金型装置と、
この金型装置によって上記電子部品が打ち抜かれた上記キヤリアテープを巻き取る巻き取りリールと、
回転駆動されるインデックステーブルと、
このインデックステーブルの周方向に所定間隔で設けられ上記金型装置によって打ち抜かれた上記電子部品が受け渡されて上記インデックステーブルの回転によって所定の位置に位置決めされたときにその電子部品を上記基板に実装する複数の実装ヘッドと、
実装ヘッドに受け渡された電子部品が上記基板に実装される前に上記実装ヘッドに保持された電子部品の上記キヤリアテープの送り方向に位置する一端部に設けられた位置合わせマーク及び上記一端部の端面の切断線を撮像する撮像手段と、
この撮像手段の撮像信号によって上記位置合わせマークから上記切断線までの距離を算出し、その距離に応じて上記駆動スプロケットによる上記キヤリアテープの送り量を制御する制御手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0015】
上記撮像手段は、上記実装ヘッドに受け渡されて保持された電子部品を斜め上方から照明する照明ライト及び上記実装ヘッドに保持された電子部品の下方に配置された撮像カメラを備えていることが好ましい。
【0016】
上記駆動スプロケットは、上記金型装置よりも上記キヤリアテープの送り方向上流側或いは下流側のどちらか一方に配置され、他方には上記駆動スプロケットに送られる上記キヤリアテープに張力を与える張力付与手段が配置されていることが好ましい。
【0017】
上記金型装置で上記キヤリアテープから打ち抜かれた電子部品を、上記インデックステーブルによって所定の回転位置に位置決めされた上記実装ヘッドに受け渡すための受け渡し手段を備えていることが好ましい。
【0018】
この発明は、基板に電子部品を実装する電子部品の実装方法であって、
供給リールから繰り出されたキヤリアテープを所定長さで送りながらそのキヤリアテープから上記電子部品を打ち抜くとともに、電子部品が打ち抜かれたキヤリアテープを巻き取りリールに巻き取る工程と、
打ち抜かれた電子部品をインデックステーブルの周方向に所定間隔で設けられた実装ヘッドに受け渡す工程と、
電子部品を受けた実装ヘッドを所定の位置に位置決めし、その実装ヘッドに保持された電子部品を上記基板に実装する工程と、
上記実装ヘッドに保持された電子部品を上記基板に実装する前にその電子部品の上記キヤリアテープの送り方向に位置する一端部に設けられた位置合わせマーク及び上記一端部の端面の切断線を撮像する工程と、
上記電子部品の撮像に基いて上記位置合わせマークから上記切断線までの距離を算出し、その距離に応じて上記送り用スプロケットによる上記キヤリアテープの送り量を制御する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法にある。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、基板に電子部品を実装する前に、実装ヘッドに保持された電子部品に設けられた位置合わせマークを撮像するとき、電子部品の位置合わせマークが設けられた一端部の端面の切断線を同時に撮像し、その切断線から位置合わせマークまでの距離を算出する。そして、その距離が一定になるよう駆動スプロケットによるキヤリアテープの送り量を制御するため、電子部品の打ち抜き精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
この発明の実装装置は図1に示すキヤリアテープ1から電子部品P(図2と図5に示す)を打ち抜く打ち抜き部11と、この打ち抜き部11で打ち抜かれた電子部品Pを基板Wに実装するための図2に示す実装部12と、上記打ち抜き部11で打ち抜かれた電子部品Pを上記実装部12に受け渡す受け渡し部13を備えている。
【0021】
上記打ち抜き部11は、キヤリアテープ1が巻装された供給リール15を備えている。キヤリアテープ1には図7を参照して説明したように、幅方向両側に係合孔2が形成され、中央部には長手方向に所定間隔で半導体チップ3が実装されている。そして、キヤリアテープ1から切断線Lに沿って半導体チップ3を含む部分を打ち抜くことで、電子部品Pが形成される。
【0022】
上記キヤリアテープ1は、半導体チップ3を保護するスペーサテープ16(図1に示す)とともに上記供給リール15に巻装されている。供給リール15から繰り出された上記キヤリアテープ1は、第1のガイドローラ17及び張力付与手段としての第1のダンサローラ18にガイドされて駆動スプロケット19に導かれる。この駆動スプロケット19はサーボモータ21によって回転駆動される。それによって、係合孔2を駆動スプロケット19の歯19aに係合させた上記キヤリアテープ1は上記駆動スプロケット19の回転によって上記供給リール15から所定長さずつ間欠的に送られる。
【0023】
上記第1のダンサローラ18は上記キヤリアテープ1の上記駆動スプロケット19よりも上流側の部分にテンションを付与している。それによって、駆動スプロケット19の歯19aにはキヤリアテープ1がたるみのない状態で係合するようになっている。
なお、上記スペーサテープ16は上記キヤリアテープ1とともに供給リール15から繰り出されてスペーサテープ巻き取りリール22に巻き取られる。
【0024】
上記キヤリアテープ1は上記駆動スプロケット19から第2のガイドローラ23によって上方に向かってガイドされた後、第3のガイドローラ24によって下方に向かってガイドされてたるませられる。キヤリアテープ1のたるまされた部分には張力付与手段としての第2のダンサローラ25が設けられ、この第2のダンサローラ25を経て上記キヤリアテープ1は巻き取りリール26に巻き取られるようになっている。
【0025】
上記第2のダンサローラ25は上記キヤリアテープ1の上記駆動スプロケット19よりも下流側の部分に所定にテンションを与えている。それによって、キヤリアテープ1の上記駆動スプロケット19よりも下流側の部分にたるみが生じるのを防止している。
【0026】
上記第1、第2のダンサローラ18,25が設けられた部分のキヤリアテープ1のたるみ量は図示しないセンサによって検出される。キヤリアテープ1の第1のダンサローラ18が設けられた部分の弛みが所定以下になってそのことがセンサによって検出されると、供給リール15が回転駆動されてキヤリアテープ1が繰り出される。そして、たるみが所定量となると、供給リール15が停止してキヤリアテープ1の繰り出しが停止するようになっている。
【0027】
キヤリアテープ1の第2のダンサローラ25が設けられた部分のたるみが所定量以上になったことがセンサによって検出されると、巻き取りリール26が回転駆動されてキヤリアテープ1を巻き取る。そして、たるみが所定量となると、巻き取りリール26によるキヤリアテープ1の巻き取りが停止するようになっている。
つまり、キヤリアテープ1の第1のダンサローラ18と第2のダンサローラ25が設けられた部分のたるみ量は常に一定となるよう制御される。
【0028】
上記駆動スプロケット19と上記第2のガイドローラ23との間には、上記キヤリアテープ1から電子部品Pを打ち抜く金型装置28が配置されている。この金型装置28は図2に示すようにメス型である下型29と、オス型である上型30を有する。上型30は図示しないシリンダなどによって上下方向に駆動されるようになっている。
【0029】
上記キヤリアテープ1は上記駆動スプロケット19がサーボモータ21によって駆動されることで所定長さずつ送られてこのキヤリアテープ1から打ち抜かれる部分、つまり図7に矩形の切断線Lで示す半導体チップ3を含む部分が上記金型装置28の下型29の図2に示す貫通孔31に対して位置決めされる。
【0030】
ついで、上型30が下降方向に駆動され、図示しないテープ押えによって上記キヤリアテープ1が下型29の上面に押圧保持された後、上型30がさらに下降方向に駆動されることで、上記上型30に設けられたポンチ32によって上記キヤリアテープ1から切断線Lに沿う部分が打ち抜かれて電子部品Pとなる。
【0031】
上記金型装置28によって打ち抜かれた電子部品Pは上記受け渡し部13によって上記実装部12に搬送される。上記受け渡し部13は上記金型装置28から上記実装部12に向かう、図2に矢印Xで示す方向に沿って設けられたベース36を有する。このベース36の上面にはガイドレール35が水平に設けられている。
【0032】
上記ガイドレール35にはXテーブル37が移動可能に設けられている。このXテーブル37は上記ベース36の一端に設けられた受け渡し用X駆動源38によって上記ガイドレール35に沿って往復駆動されるようになっている。
【0033】
上記Xテーブル37の上面にはYテーブル39が上記X方向と水平面上で直交するY方向に沿って移動可能に設けられている。このYテーブル39は上記Xテーブル37の側面に設けられた受け渡し用Y駆動源40によってY方向に沿って往復駆動されるようになっている。
【0034】
上記Yテーブル39は一端部をXテーブル37よりもX方向に突出させていて、その突出部分には受け渡し用Zθ駆動源41がその駆動軸42の軸線を垂直にして設けられている。この駆動軸42の上端には皿状の受け具43が設けられている。
【0035】
上記受け具43は上記金型装置28がキヤリアテープ1から電子部品Pを打ち抜くときに、上記受け渡し用Zθ駆動源41によって上昇方向に駆動されて下型29に形成された貫通孔31の下方で待機している。金型装置28がキヤリアテープ1から電子部品Pを打ち抜くと、その電子部品Pは上記受け具43に受けられる。
【0036】
上記受け具43が電子部品Pを受けると、Xテーブル37が受け渡し用X駆動源38によって図2に鎖線で示す位置までX方向に駆動される。つまり、上記受け具43は上記実装部12に電子部品Pを受け渡す受け渡し位置に位置決めされる。そして、位置決めされた電子部品Pは後述するように上記実装部12に受け渡される。
【0037】
上記実装部12は図2と図3に示すように、盤面を水平にして配置された円盤状のインデックステーブル48を有する。インデックステーブル48の下面中央にはθ駆動源49によって回転駆動される回転軸51の上端が連結されている。θ駆動源49は図6に示す制御装置46によって駆動が制御される。つまり、θ駆動源49は上記インデックステーブル48を周方向に60度ずつ間欠的に回転駆動するようになっている。
【0038】
上記インデックステーブル48の上面には周方向に60度間隔で複数、この実施の形態では6つの実装ヘッド52が設けられている。各実装ヘッド52は側面形状がL字状で、下端面を上記インデックステーブル48の上面に固定した支持体53を有する。各支持体53の垂直な側面には上下方向に沿って一対のリニアガイド54が設けられている。
【0039】
上記リニアガイド54には可動体55がZ方向である、上下方向に移動可能に設けられ、図示しないばねによって弾性的に保持されている。上記可動体55の下端面には実装ツール56が設けられている。この実装ツール56には吸引孔(図示せず)が下端面に開口して形成されている。
【0040】
図3にAで示す受け渡し位置に、インデックステーブル48によって6つの実装ヘッド52のうちの1つが位置決めされると、上記受け具43が受け渡し用Zθ駆動源41によって上昇方向に駆動されて受け具43に保持された電子部品Pが上記実装ヘッド52の実装ツール56の下端面に近接し、その下端面に開口した吸引孔に吸引力が発生する。それによって、上記受け具43に保持された電子部品Pの位置合わせマークmが設けられた一端部が実装ツール56に吸着保持される。
【0041】
上記実装ツール56が電子部品Pを吸着保持すると、インデックステーブル48が60度回転駆動されて電子部品Pを保持した実装ヘッド52が図3にBで示す位置に位置決めされる。この位置では、図示しないブラシによって電子部品Pに設けられた端子がブラッシングされる。
【0042】
ついで、インデックステーブル48が60度回転駆動されて上記実装ヘッド52が図3にCで示す位置に位置決めされると、図4に示すように斜め上方から上記実装ヘッド52の実装ツール56に保持された電子部品Pの一端部が上部照明光源57によって照明される。電子部品Pの上部照明光源57によって照明された部分は下方から撮像手段としての第1の撮像カメラ58によって撮像される。
【0043】
なお、上記電子部品Pの一端部の下方には、その部分を下方から照明する下部照明光源59が上記第1の撮像カメラ58と一体的に設けられている。
【0044】
上記第1の撮像カメラ58の撮像信号は上記制御装置46に出力され、この制御装置46に設けられた図示しない画像処理部でデジタル信号に変換されて処理される。この画像処理部は変換処理されたデジタル信号から上記電子部品Pの一端部の上面に設けられた一対の位置合わせマークmのX、Y座標と、上記電子部品Pの一端部の端面の上記金型装置28によって打ち抜かれた切断線L1のX、Y座標を求める。マークmのX座標を(X1)、切断線L1のX座標を(X2)とすると、図5に示すこれらのX座標の差(X1−X2)、つまり距離δXを求める。つまり、上記切断線L1から上記位置合わせマークmまでの上記距離δXを算出する。
【0045】
上記金型装置28が電子部品Pを打ち抜く位置は一定であるから、キヤリアテープ1が常に同じ送り量で送られていれば、上記距離δXは一定となる。しかしながら、駆動スプロケット19によって送られるキヤリアテープ1の送り量が、上記駆動スプロケット19の歯19aとキヤリアテープ1の係合孔2とのガタによって誤差が生じ、その誤差が積算されたり、キヤリアテープ1が温度変化やテンションの変化によって伸びたりすると、上記距離δXが次第に変化する。
【0046】
そして、その距離δXは、実装ヘッド52がインデックステーブル48の回転によって図3に示す位置Dに位置決めされたときに、その実装ヘッド52に保持された電子部品Pを撮像する第1の撮像カメラ58の撮像信号によって算出できるから、その距離δXの変化を検出することで、駆動スプロケット19によるキヤリアテープ1の送りが正常であるか否かを判定することができる。
【0047】
上記距離δXが予め設定された許容値の上限値或いは下限値よりも変化した場合、制御装置46から上記キヤリアテープ1を送る駆動スプロケット19を駆動するサーボモータ21に補正信号が出力され、上記駆動スプロケット19によってキヤリアテープ1を送る送り量が補正される。
【0048】
たとえば、距離δXが上限値以上となったときにはその値に応じて駆動スプロケット19の回転角度が減少させられる。それによって、キヤリアテープ1の送り量が減少させられるから、距離δXが設定値に近付くことになる。同様に、距離δXが下限値よりも小さくなったときには、駆動スプロケット19によるキヤリアテープ1の送り量が増大させられる。
【0049】
このようにして上記距離δXが一定となるよう制御される。つまり、金型装置28によってキヤリアテープ1から打ち抜かれる電子部品Pの位置合わせマークmから切断線L1までの距離δXが一定となるよう制御される。
【0050】
実装ヘッド52がCの位置から60度回転駆動されてDの位置に位置決めされると、このDの位置で上記電子部品Pは基板Wの一側部に実装される。この基板Wは載置テーブル61に載置されている。載置テーブル61は基板Wよりも平面形状が小さく設定されている。それによって、基板Wの周辺部は載置テーブル61の周縁から外方に突出している。
【0051】
上記載置テーブル61はY可動体62の上面にX方向に沿って移動可能に設けられている。上記Y可動体62はベース63の上面に上記X方向と直交するY方向に沿って移動可能に設けられている。
【0052】
上記Y可動体62の一側面には載置テーブル用X駆動源64が設けられ、このX駆動源64によって上記載置テーブル61はX方向に駆動されるようになっている。上記ベース63の一側面に載置テーブル用Y駆動源65が設けられている。このY駆動源65は上記Y可動体62をY方向に沿って駆動するようになっている。それによって、上記載置テーブル61はX、Y方向に駆動されることになる。
【0053】
図3に示すように、載置テーブル61に載置された基板Wの上記電子部品Pが実装される一側部には図示しない位置合わせマークが設けられていて、その位置合わせマークは第2の撮像カメラ67によって撮像される。第2の撮像カメラ67の撮像信号は制御装置46に出力され、ここでデジタル信号に変換されて上記基板Wの位置合わせマークの座標を算出する。
【0054】
一方、Dの位置にある実装ヘッド52に保持された電子部品Pの位置合わせマークの座標は、その実装ヘッド52がCの位置にあるときに第1の撮像カメラ58で撮像されて算出されている。
【0055】
したがって、Dの位置では、電子部品Pの位置合わせマークmの座標に対して基板Wの位置合わせマークの座標が一致するよう、上記基板Wが載置テーブル61によって位置決めされる。
【0056】
位置決め後、実装ヘッド52の上方に配設された実装用シリンダ68が作動して実装ヘッド52の可動体55を押圧し、この可動体55を図示しないばねの付勢力に抗して下降方向へ駆動する。それによって、可動体55の下端に設けられた実装ツール56に保持された電子部品Pが上記基板Wの側辺部に設けられた図示しない粘着性のテープに圧着されることになる。つまり、電子部品Pが基板Wに実装される。このとき、上記基板Wの上記電子部品Pが実装される部分の下面は図2に示すバックアップ部材69によって支持される。
【0057】
このような構成の実装装置によれば、キヤリアテープ1から金型装置28によって電子部品Pを打ち抜き、その電子部品Pをインデックステーブル48の実装ヘッド52に受け渡して基板Wに実装する際、駆動スプロケット19によって間欠的に所定長さずつ搬送されるキヤリアテープ1の搬送長さに誤差が生じることがある。
【0058】
駆動スプロケット19によって搬送されるキヤリアテープ1の一回当たりの搬送誤差は、このキヤリアテープ1から打ち抜かれた電子部品Pの一端部に設けられた位置合わせマークmと、その一端部の端面の切断線L1との間の距離δXによって判断することができる。
【0059】
一方、インデックステーブル48の実装ヘッド52に受け渡された電子部品Pは、基板Wに実装される前に位置合わせマークmを第1の撮像カメラ58の撮像し、その撮像信号から上記位置合わせマークmの座標を求め、その座標と基板Wの位置合わせマークの座標とが一致するよう、これら両者を位置合わせして実装するようにしている。
【0060】
そこで、電子部品Pの位置合わせマークmを第1の撮像カメラ58によって撮像するとき、位置合わせマークmだけでなく、その位置合わせマークmが設けられた電子部品Pの一端部の端面の切断線L1を同時に撮像することで、位置合わせマークmの座標と同時に、上記距離δXを算出するようにした。
【0061】
そして、第1の撮像カメラ58の撮像信号から算出された上記距離δXによって上記駆動スプロケット19によるキヤリアテープ1の一回当たりの搬送誤差を求め、その搬送誤差を制御装置46によって駆動スプロケット19を駆動するサーボモータ21にフィードバックするため、上記駆動スプロケット19によるキヤリアテープ1の間欠搬送を、1回当たりの搬送長さに誤差が生じることがないよう制御することができる。
【0062】
第1の撮像カメラ58によって実装ヘッド52に設けられた電子部品Pを下方から第1の撮像カメラ58によって撮像する際、その電子部品Pを斜め上方から上部照明光源57によって照明するようにした。そのため、電子部品Pの端部上面に設けられた位置合わせマークmと、その端部の端面の切断線L1とを同時に、しかも確実に撮像することが可能となる。
【0063】
駆動スプロケット19によって間欠搬送されるキヤリアテープ1には、上記駆動スプロケット19の上流側と下流側の部分にそれぞれ第1のダンサローラ18と第2のダンサローラ25によってテンションを与えるようにした。
【0064】
そのため、上記駆動スプロケット19によって間欠搬送されるキヤリアテープ1にたるみが生じ難くなるから、たるみにより搬送誤差が生じるのを大幅に低減することが可能となる。
【0065】
上記一実施の形態ではキヤリアテープに張力を付与するダンサローラを、駆動スプロケットの上流側と下流側の両方に設けたが、どちらか一方だけであってもキヤリアテープに所定のテンションを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の一実施の形態を示すキヤリアテープから金型装置によって電子部品を打ち抜く打ち抜き部の概略的構成図。
【図2】上記打ち抜き部によって打ち抜かれた電子部品を受け渡す受け渡し部と実装部の概略的構成図。
【図3】上記実装部のインデックステーブルの平面図。
【図4】インデックステーブルの所定の回転位置で電子部品を第1の撮像カメラによって撮像する構成を示す説明図。
【図5】キヤリアテープから打ち抜かれた電子部品の説明図。
【図6】実装装置の制御系統を示すブロック図。
【図7】キヤリアテープの一部を示す説明図。
【図8】図8とは電子部品の打ち抜き方向が異なる場合のキヤリアテープの一部を示す説明図。
【符号の説明】
【0067】
1…キヤリアテープ、2…係合孔、11…打ち抜き部、12…実装部、13…受け渡し部、15…供給リール、18…第1のダンサローラ、19…駆動スプロケット、21…サーボモータ、25…第2のダンサローラ、26…巻き取りリール、28…金型装置、29…下型、30…上型、46…制御装置、48…インデックステーブル、52…実装ヘッド、57…上部照明光源、58…第1の撮像カメラ(撮像手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電子部品を実装する電子部品の実装装置であって、
キヤリアテープが巻装された供給リールと、
この供給リールから繰り出されたキヤリアテープを送る駆動スプロケットと、
この駆動スプロケットによって送られた上記キヤリアテープから上記電子部品を打ち抜く金型装置と、
この金型装置によって上記電子部品が打ち抜かれた上記キヤリアテープを巻き取る巻き取りリールと、
回転駆動されるインデックステーブルと、
このインデックステーブルの周方向に所定間隔で設けられ上記金型装置によって打ち抜かれた上記電子部品が受け渡されて上記インデックステーブルの回転によって所定の位置に位置決めされたときにその電子部品を上記基板に実装する複数の実装ヘッドと、
実装ヘッドに受け渡された電子部品が上記基板に実装される前に上記実装ヘッドに保持された電子部品の上記キヤリアテープの送り方向に位置する一端部に設けられた位置合わせマーク及び上記一端部の端面の切断線を撮像する撮像手段と、
この撮像手段の撮像信号によって上記位置合わせマークから上記切断線までの距離を算出し、その距離に応じて上記駆動スプロケットによる上記キヤリアテープの送り量を制御する制御手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項2】
上記撮像手段は、上記実装ヘッドに受け渡されて保持された電子部品を斜め上方から照明する照明ライト及び上記実装ヘッドに保持された電子部品の下方に配置された撮像カメラを備えていることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
上記駆動スプロケットは、上記金型装置よりも上記キヤリアテープの送り方向上流側或いは下流側のどちらか一方に配置され、他方には上記駆動スプロケットに送られる上記キヤリアテープに張力を与える張力付与手段が配置されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
上記金型装置で上記キヤリアテープから打ち抜かれた電子部品を、上記インデックステーブルによって所定の回転位置に位置決めされた上記実装ヘッドに受け渡すための受け渡し手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項5】
基板に電子部品を実装する電子部品の実装方法であって、
供給リールから繰り出されたキヤリアテープを所定長さで送りながらそのキヤリアテープから上記電子部品を打ち抜くとともに、電子部品が打ち抜かれたキヤリアテープを巻き取りリールに巻き取る工程と、
打ち抜かれた電子部品をインデックステーブルの周方向に所定間隔で設けられた実装ヘッドに受け渡す工程と、
電子部品を受けた実装ヘッドを所定の位置に位置決めし、その実装ヘッドに保持された電子部品を上記基板に実装する工程と、
上記実装ヘッドに保持された電子部品を上記基板に実装する前にその電子部品の上記キヤリアテープの送り方向に位置する一端部に設けられた位置合わせマーク及び上記一端部の端面の切断線を撮像する工程と、
上記電子部品の撮像に基いて上記位置合わせマークから上記切断線までの距離を算出し、その距離に応じて上記送り用スプロケットによる上記キヤリアテープの送り量を制御する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−4652(P2009−4652A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165534(P2007−165534)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】