説明

電子部品接続構造および電子部品接続方法

【課題】低コスト・高生産性で高い接続信頼性を確保することが可能な電子部品接続構造および電子部品接続方法を提供することを目的とする。
【解決手段】フレキシブル基板10に設けられた端子16をリジッド基板5の電極6に接続して成る電子部品接続構造を、端子形成面10aと接続面5aとの間に介在して両者を接着する樹脂部7*と、端子16の表面16aと電極6の表面6aとの突き合わせ面に介在して両者を半田接合する突合わせ半田接合部15a*と、端子16の平面寸法B2と電極6の平面寸法B1が異なることにより生じる電極6の表面6aと端子16の側面16bとの隅部Cに形成されたフィレット形状の隅肉半田接合部15b*とを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状のフレキシブル基板などの電子部品をリジッド基板などの他の電子部品に接続する電子部品接続構造およびこの電子部品接続構造を得るための電子部品接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話など小型・高機能が求められる電子機器には、CCDカメラや表示パネルのなど個々の機能モジュールを、フィルム状のフレキシブル基板を介してリジッド基板に設けられた主電子回路モジュールに接続する構成が一般に用いられる。このフレキシブル基板に設けられた端子をリジッド基板の回路電極に接続する方法として、ACF(異方性導電接着剤)を用いて端子と回路電極とを導通させる方法(例えば特許文献1,2参照)が従来より用いられている。
【0003】
ACFを用いる方法では、導電粒子を含有した熱硬化性樹脂を回路電極上に供給しておき、フレキシブル基板をリジッド基板に対して熱圧着することにより、導電粒子を回路電極と端子との間に挟み込んで接触させるとともに、熱硬化製樹脂を熱硬化させる。これにより、回路電極と端子とが導電粒子を介して電気的に導通し、フレキシブル基板とリジッド基板とは硬化した熱硬化性樹脂によって相互に接着される。
【特許文献1】特開平11−233912号公報
【特許文献2】特開平11−167971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献例に示す従来技術には、ACFを用いることに起因して、以下に述べるような難点があった。まずACFは材料費そのものが高価であることに加えて、接続のための熱圧着において長い圧着時間を必要とすることから生産性が低く、コスト削減が難しいという難点がある。またACFを用いる方法においては、導電粒子の含有比率を適正に設定することが難しいという課題がある。すなわち端子と回路電極とは接触状態の導電粒子を介して導通することから接続部の電気抵抗が高くなる傾向にあり、接触面に捕捉される導電粒子の数が少ない場合には接続信頼性を確保することが難しい。そして導通性を向上させるため導電粒子の含有比率を上げると、導電粒子によって隣接する回路電極間を短絡させる不具合を招きやすい。このように、フィルム状のフレキシブル基板などの電子部品を対象とした従来の電子部品接続構造には、低コスト・高生産性で高い接続信頼性を確保することが可能な電子部品接続構造を実現することが困難であるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、低コスト・高生産性で高い接続信頼性を確保することが可能な電子部品接続構造および電子部品接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品接続構造は、第1の電子部品の第1の面に設けられた第1の電極を第2の電子部品の第2の面に設けられ前記第1の電極とは平面寸法が異なる第2の電極に接続して成る電子部品接続構造であって、相対向した前記第1の面と前記第2の面との間に介在して両者を接着する樹脂部と、前記第1の電極の表面と前記第2の電極の表面との突き合わせ面に介在して両者を半田接合する突合わせ半田接合部と、前記第1の電子部品と前記第2の電子部品とを平面的に位置合わせして前記表面を相互に突き合わせた状態において前記平面寸法が異なることによって生じる前記第1の電極の表面と前記第2の電極の
側面との隅部または前記第2の電極の表面と前記第1の電極の側面との隅部に形成されたフィレット形状の隅肉半田接合部とを備えた。
【0007】
本発明の電子部品接続方法は、第1の電子部品の第1の面に設けられた第1の電極を第2の電子部品の第2の面に設けられ前記第1の電極とは平面寸法が異なる第2の電極に接続する電子部品接続方法であって、半田粒子を含んだ熱硬化性樹脂を前記第2の面に供給する樹脂供給工程と、前記第1の面が前記半田粒子の溶融温度よりも高い温度に加熱された前記第1の電子部品を前記第2の電子部品に搭載して前記第1の面を第2の面に相対向して接近させる部品搭載工程と、前記第1の電子部品を第2の電子部品に対して所定の押圧力で押圧するとともに前記半田粒子および熱硬化性樹脂を前記第1の電子部品を介して加熱する加熱押圧工程とを含み、前記部品搭載工程において、前記第1の電子部品と前記第2の電子部品とを平面的に位置合わせして前記第1の電極の表面と前記第2の電極の表面とを相互に突き合わせた状態において、前記平面寸法が異なることによって前記第1の電極の表面と前記第2の電極の側面との隅部または前記第2の電極の表面と前記第1の電極の側面との隅部を生じさせ、前記加熱押圧工程において、相対向した前記第1の面と前記第2の面との間で前記熱硬化性樹脂が熱硬化して両者を接着する樹脂部を形成すると共に、前記第1の電極および第2の電極を前記熱硬化性樹脂中の半田粒子に接触させてこの半田粒子を前記第1の電極との接触部から溶融させ、前記第1の電極の表面と前記第2の電極の表面との突き合わせ面に介在して両者を半田接合する突合わせ半田接合部を形成すると共に、前記隅部にフィレット形状の隅肉半田接合部を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1の電子部品の第1の面に設けられた第1の電極を第2の電子部品の第2の面に設けられた第2の電極に接続して成る電子部品接続構造を、相対向した第1の面と第2の面との間に介在して両者を接着する樹脂部と、第1の電極の表面と第2の電極の表面との突き合わせ面に介在して両者を半田接合する突合わせ半田接合部と、第1の電子部品と第2の電子部品とを平面的に位置合わせして第1の電極の表面と第2の電極の表面とを相互に突き合わせた状態において、平面寸法が異なることによって生じる第1の電極の表面と第2の電極の側面との隅部または第2の電極の表面と第1の電極の側面との隅部に形成されたフィレット形状の隅肉半田接合部とを備えた構成とすることにより、低コスト・高生産性で高い接続信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品接続方法に使用される電子部品実装装置の断面図、図2は本発明の一実施の形態の電子部品接続方法が適用される電子回路モジュールの斜視図、図3,図4、図5は本発明の一実施の形態の電子部品接続方法の工程説明図である。
【0010】
まず図1を参照して、本発明の電子部品接続方法に使用される電子部品実装装置1の構成を説明する。電子部品実装装置1は、電子部品が既に実装された状態のリジッド基板5にフィルム状のフレキシブル基板10を電気的に接続する機能を有しており、図2に示すように、制御基板モジュール4A、表示パネルモジュール4B、カメラモジュール4Cなどの電子回路モジュールをフレキシブル基板10を介して相互に接続するために用いられる。図2に示す例では、リジッド基板5に電子部品8aを実装して構成された制御基板モジュール4Aに、液晶パネルなどの表示パネルを主体とする表示パネルモジュール4Bをフレキシブル基板10Aを介して接続し、さらにCCDカメラが組み込まれたカメラモジュール4Cをフレキシブル基板10Bを介して接続している。
【0011】
図1に示すように、電子部品実装装置1は、基板保持部2、ディスペンサ9および圧着機構11を備えており、圧着機構11によって第1の電子部品であるフレキシブル基板1
0を保持し、基板保持部2に保持された第2の電子部品であるリジッド基板5に熱圧着する。フレキシブル基板10の端子形成面10a(第1の面)には、第1の電極である端子16(図3(c)参照)が設けられており、端子16をリジッド基板5の接続面5a(第2の面)の端部に設けられ端子16とは平面寸法が異なる第2の電極である外部接続用の電極6に接続することにより、フレキシブル基板10はリジッド基板5に接続される。本実施の形態においては、電極6の方が端子16よりも平面寸法が大きい例を示している(図4(a)参照)。なお電極6および端子16の厚みは8μm〜35μmの範囲であり、本実施の形態においては電極6の厚みと端子16の厚みとが同一である場合の例を示しているが、これらの厚みは異なっていてもよい。
【0012】
基板保持部2は保持テーブル2a上に複数の下受けピン3を立設した構成となっており、下受けピン3によって制御基板モジュール4Aのリジッド基板5の下面を下受けして支持する。リジッド基板5の接続面5aには前工程にて複数種類の電子部品8aが実装されており、接続面5aの反対面にも同様に電子部品8bが既に実装されている。下受けピン3は、リジッド基板5の下面において電子部品8bが存在しない下受可能部位を選択して配置される。
【0013】
リジッド基板5の上面は、フレキシブル基板10と接続される電極6が設けられた接続面5aとなっており、電極6にはフレキシブル基板10との接続に先立って、ディスペンサ9によって半田入樹脂7が塗布により供給される。半田入樹脂7は熱硬化性樹脂中に所定粒径サイズの半田粒子15(図3参照)を混入した構成となっている。半田粒子15の材質には、電子回路組立で一般的に使用されるSnAg系、SnZn系、SnBi系等の半田が使用できるが、好ましくはSnBi系がよく、中でも42SnBi共晶半田(融点139℃)が最も適している。半田粒子15のサイズとしては、平均粒径で3μm〜40μmのものが使用できる。なお本実施の形態においては、接合対象となる電極6や端子16の厚みに応じて最も適切な粒径の半田粒子15を選定する。また、フィルム状の半田入樹脂を貼り付けることによって樹脂を供給してもよい。
【0014】
本実施の形態に示す電子部品接続方法においては、熱硬化性樹脂中に含有された半田粒子15が溶融した溶融半田を電極6や端子16に沿って濡れ広がらせることにより半田接合部を形成するようにしている。このため、熱硬化性樹脂としては、半田粒子15が加熱により溶融した溶融半田の流動を妨げないよう、半田粒子15の融点よりも高い温度で熱硬化を開始する熱硬化特性を有するエポキシ樹脂などが用いられる。またここでは熱硬化性樹脂として、有機酸など半田粒子15の表面や端子16,電極6の酸化膜を除去する活性作用を有する成分が添加されたものが用いられる。
【0015】
圧着機構11は、基板保持部2に対して水平方向および上下方向に相対移動可能な作業ヘッド12を備えており、作業ヘッド12には保持ヘッド13および熱圧着ツール14が装着されている。保持ヘッド13は、複数の吸着パッド13aによってフレキシブル基板10(フレキシブル基板10Aまたはフレキシブル基板10B)を、端子形成面10aの反対面側から吸着保持する。熱圧着ツール14はフレキシブル基板10において端子16が設けられた接続部位を、端子形成面10aの反対面側から吸着孔14aによって吸着保持する。
【0016】
熱圧着ツール14は、フレキシブル基板10をリジッド基板5に対して押圧する押圧手段およびフレキシブル基板10を接触熱伝達により加熱する加熱手段を備えている。作業ヘッド12を移動させてフレキシブル基板10をリジッド基板5に対して位置合わせし、フレキシブル基板10の端部をリジッド基板5の電極6上に半田入樹脂7を介して重ねた状態で、フレキシブル基板10を熱圧着ツール14によってリジッド基板5に対して加熱・押圧することにより、フレキシブル基板10がリジッド基板5に接続される。
【0017】
すなわち、電極6と端子16とを半田入樹脂7中の半田粒子15が溶融固化した半田接合部によって接合して電気的に導通させるとともに、リジッド基板5とフレキシブル基板10とを半田入樹脂7の熱硬化性樹脂7aが熱硬化した樹脂部によって接着する。これにより、フレキシブル基板10(第1の電子部品)の端子形成面10a(第1の面)に設けられた複数の端子16(第1の電極)を、リジッド基板5(第2の電子部品)の接続面5a(第2の面)に設けられた複数の電極6(第2の電極)に接続して成る電子部品接続構造が形成される。
【0018】
次に図3、図4を参照して、フレキシブル基板10をリジッド基板5に接続して成る電子部品接続構造を形成する電子部品接続方法について説明する。なおここでは、半田入樹脂7中に含有される半田成分として、端子16の厚みtよりも大きな粒径d1有する半田粒子15を用いた例を示している。
【0019】
図3(a)に示すように、基板保持部2に保持されたリジッド基板5の接続面5aには、複数の電極6が形成されている。接続面5aには、図3(b)に示すように、熱硬化性樹脂7a中に半田粒子15を含んだ半田入樹脂7が、電極6を覆ってディスペンサ9によって塗布される。すなわち、半田粒子15を含んだ熱硬化性樹脂7aを第2の面である接続面5aに塗布する(樹脂塗布工程)。ここで半田入樹脂7が接続面5aに塗布された状態において、それぞれの電極6の上方に必ず複数の半田粒子15が点在するように、半田入樹脂7における半田粒子15の含有割合が設定されている。ここでは、電極6の中央部近傍のみならず、電極6の縁部の近傍にも半田粒子15が高い確率で存在するような含有割合(例えば10〜50wt%)とする。
【0020】
次いで作業ヘッド12によってフレキシブル基板10の搭載が行われる。まず保持ヘッド13にフレキシブル基板10を吸着保持させ、端子16の表面16aが半田粒子15の溶融温度以上の温度まで昇温するように、熱圧着ツール14によってフレキシブル基板10を予め加熱する。この後、作業ヘッド12を移動させて、図3(c)に示すように、端子形成面10aと接続面5aとを相対向させて、端子16を電極6に対して位置合わせする。
【0021】
このとき、電極6の平面寸法B1は端子16の平面寸法B2よりも大きいことから、図4(a)に示すように、端子16の側面16bと電極6の側面6bの平面位置は、寸法差の1/2に等しい食い違い量Dだけ位置ずれ状態となる。このように、予め端子16の側面16bと電極6の側面6bとを位置ずれ状態にするのは、後述するように端子16と電極6とを半田接合するに際して、フィレット形状の隅肉半田接合部15b*(図4(d)参照)を形成するためである。ここで食い違い量Dは、溶融半田が表面張力によって濡れ広がって良好な形状のフィレット形状の隅肉半田接合部15b*を形成するのに必要十分な寸法であればよく、電極6の平面寸法B1に対して5%〜20%程度の範囲内で設定される。
【0022】
次いで図3(c)に示すように、熱圧着ツール14を下降させて(矢印a)、端子形成面10aと接続面5aとを接近させ、端子16をこれに対応する電極6に半田入樹脂7を介して着地させる。すなわち端子形成面10aが半田粒子15の溶融温度よりも高い温度に加熱されたフレキシブル基板10を、リジッド基板5に搭載して端子形成面10aを接続面5aに相対向して接近させる(部品搭載工程)。
【0023】
この部品搭載工程においては、電極6の平面寸法B1は端子16の平面寸法B2よりも大きいことから、端子16の側面16bと電極6の側面6bの位置は、上述の食い違い量Dだけ位置ずれ状態となる。このため、熱圧着ツール14を下降させて端子16の表面1
6aと電極6の表面6aとを相互に突き合わせることにより、電極6の表面6aと端子16の側面16bとによって隅部Cが端子16の両側に生じる。
【0024】
次いで、図3(d)に示すように、熱圧着ツール14によってフレキシブル基板10をリジッド基板5に対して所定の押圧力で押圧するとともに、熱硬化性樹脂7aおよび半田粒子15を熱圧着ツール14によってフレキシブル基板10を介して加熱する(加熱押圧工程)。この加熱押圧工程においては、図4(b)に示すように、まず半田入樹脂7中に含まれる半田粒子15のうち、電極6と端子16とに挟まれる位置にある半田粒子15は、フレキシブル基板10を介して加熱された端子16に接触し、接触部位から溶融を開始する。
【0025】
そしてフレキシブル基板10がさらに押し込まれることにより、図4(c)に示すように、端子16と電極6によって挟み込まれた半田粒子15が加熱されて溶融する。そして溶融半田が端子16の表面16aと電極6の表面6aとの突き合わせ面で濡れ広がり、この突き合わせ面に介在して両者を半田接合する突合わせ半田接合部15a*を形成する。このとき、半田粒子15の粒径は電極6や端子16の厚みtよりも大きいことから、隅部Cにおいて電極6の縁部の表面6a側に位置する未溶融の半田粒子15は、電極6と端子形成面10aとによって挟み込まれる。そしてこれらの半田粒子15がフレキシブル基板10を介してさらに加熱されて溶融した溶融半田は、それぞれ隅部Cにて濡れ広がり、フィレット形状の隅肉半田接合部15b*を形成する。
【0026】
この半田接合部の形成において、半田入樹脂7の熱硬化性樹脂7aの熱硬化温度は半田粒子15の融点よりも高いことから、半田粒子15が溶融した時点において熱硬化性樹脂7aはまだ流動性を失っておらず、したがって突合わせ半田接合部15a*、隅肉半田接合部15b*を形成するための溶融半田の流動が妨げられることがない。また熱硬化性樹脂7aは半田粒子15の表面や端子16,電極6の酸化膜を除去する活性作用を有することから、良好な半田接合性が確保されている。そして、フレキシブル基板10がさらに加熱されることにより、相対向した接続面5aと端子形成面10aとの間で熱硬化性樹脂7aが熱硬化して、端子16や電極6および隅肉半田接合部15b*の周囲を覆う樹脂部7*が形成される。これにより、図3(e)に示すように、フレキシブル基板10を樹脂部7*を介してリジッド基板5に接続する電子部品接続構造が完成する。
【0027】
図4(d)は、このようにして得られた電子部品接続構造を示している。すなわちこの電子部品接続構造は、フレキシブル基板10の端子形成面10aとリジッド基板5の接続面5aとの間で半田入樹脂7の熱硬化性樹脂7aが熱硬化した硬化物である樹脂部7*と、半田粒子15が溶融固化して形成され電極6と端子16とを半田接合により接続する半田接合部を備えた構成となっている。そして半田接合部は、端子16の表面16aと電極6の表面6aとの突き合わせ面に介在して両者を半田接合する突合わせ半田接合部15a*と、前述の隅部Cに形成されたフィレット形状の隅肉半田接合部15b*より構成される。
【0028】
図4に示す例では、端子16の厚みtよりも大きい粒径d1有する半田粒子15を用いた例を示したが、図5に示すように、半田入樹脂7中に含有される半田成分として、端子16の厚みtよりも小さい粒径d2有する半田粒子25を用いてもよい。この場合においても、図5(a)に示すように、端子16の側面16bと電極6の側面6bの平面位置は、寸法差の1/2に等しい食い違い量Dだけ位置ずれ状態となる。なお具体的に最適な粒径は、電極6や端子16の厚みtや半田入樹脂7中に含有される半田含有量との関連において決定されるものであり、実際の試行結果に基づいて最終的に決定される。
【0029】
次いで図5(b)に示すように、熱圧着ツール14を下降させて(矢印b)、端子形成
面10aと接続面5aとを接近させ、端子16をこれに対応する電極6に半田入樹脂7を介して着地させる。すなわち端子形成面10aが半田粒子25の溶融温度よりも高い温度に加熱されたフレキシブル基板10を、リジッド基板5に搭載して端子形成面10aを接続面5aに相対向して接近させる(部品搭載工程)。この場合においても図4に示す例と同様に、隅部Cが生じる。
【0030】
このとき、端子16が半田入樹脂7に接触して電極6に対して接近する過程において、端子16が半田入樹脂7中を沈下する際には、半田入樹脂7が電極6と端子16との間の隙間から外部へ排除される方向の流動が生じる(矢印c)。そしてこの流動により電極6と端子16との間の隙間から外へ移動した半田粒子25は、電極6や端子16の厚みtよりも小さい粒径d2であることから、端子16の表面16aと接続面5a、電極6の表面6aと端子形成面10aとの間に挟まれることなく、自由に流動が可能となっている。次いで、同様に熱圧着ツール14によってフレキシブル基板10をリジッド基板5に対して所定の押圧力で押圧するとともに、熱硬化性樹脂7aおよび半田粒子15を熱圧着ツール14によってフレキシブル基板10を介して加熱する(加熱押圧工程)。
【0031】
この加熱押圧工程においては、図5(c)に示すように、まず半田入樹脂7中に含まれる半田粒子25のうち、電極6と端子16とに挟まれる位置にある半田粒子25は、フレキシブル基板10を介して加熱されて下降する端子16に接触し、接触部位から溶融を開始する。そしてフレキシブル基板10がさらに加圧されて押し込まれることにより、端子16と電極6によって挟み込まれた半田粒子25が溶融して端子16の表面16aと電極6の表面6aとの突き合わせ面で濡れ広がり、この突き合わせ面に介在して両者を半田接合する突合わせ半田接合部25a*を形成する。
【0032】
また隅部Cにおいては、電極6と端子16との間の隙間から外へ移動した半田粒子25がフレキシブル基板10を介して加熱されて溶融する。これらの溶融半田は、それぞれ隅部Cにて濡れ広がり、フィレット形状の隅肉半田接合部25b*を形成する。この半田接合部の形成において、半田入り樹脂7の熱硬化性樹脂7aの熱硬化温度は半田粒子25の融点よりも高いことから、半田粒子25が溶融した時点において熱硬化性樹脂7aはまだ流動性を失っておらず、したがって突合わせ半田接合部25a*、隅肉半田接合部25b*を形成するための溶融半田の流動が妨げられることがない。そして、フレキシブル基板10がさらに加熱されることにより、相対向した接続面5aと端子形成面10aとの間で熱硬化性樹脂7aが熱硬化して、端子16や電極6および隅肉半田接合部25b*の周囲を覆う樹脂部7*が形成される。これにより、フレキシブル基板10を樹脂部7*を介してリジッド基板5に接続する電子部品接続構造が完成する。
【0033】
すなわち図5に示すような半田粒子25を用いても、図5(d)に示す電子部品接続構造が形成される。この電子部品実装構造は、フレキシブル基板10とリジッド基板5との間で半田入樹脂7の熱硬化性樹脂7aが熱硬化した硬化物である樹脂部7*と、半田粒子25が溶融固化して形成され電極6と端子16とを接続する半田接合部を備えた構成となっている。半田接合部は、端子16の表面16aと電極6の表面6aとの突き合わせ面に介在して両者を半田接合する突合わせ半田接合部25a*と、隅部Cに形成されたフィレット形状の隅肉半田接合部25b*より構成される。
【0034】
上記説明したように本実施の形態に示す電子部品接続構造は、フレキシブル基板10の端子16をリジッド基板5の電極6に接続して成る電子部品接続構造を、これらの電子部品相互を接着する樹脂部7*と、端子16の表面16aと電極6の表面6aとの突き合わせ面に介在して両者を半田接合する突合わせ半田接合部15a*、25a*と、電極6の表面6aと端子16の側面16bとの隅部Cに形成されたフィレット形状の隅肉半田接合部15b*、25b*とを備えた構成としたものである。なおここでは、電極6の平面寸
法B1を端子16の平面寸法B2よりも大きくすることにより、隅部Cを生じさせるようにしているが、電極6の平面寸法B1を端子16の平面寸法B2よりも小さくすることによって隅部Cを生じさせるようにしてもよい。
【0035】
これにより、同様の電子部品を対象とした従来の電子部品接続方法と比較して、次のような優れた効果を得ることができる。まず、半田プリコート法においては、予め回路電極に半田部を形成する工程が付加されることによる生産工程面でのコストアップが避けられないが、本実施の形態においては、半田入樹脂7の塗布後直ちに熱圧着を行うようにしており、工程が極めて簡略化されている。また突合わせ半田接合部15a*、25a*と併せてフィレット形状の隅肉半田接合部15b*、25b*を形成させることにより、半田入樹脂7中に含有された半田成分を有効に利用して、少ない半田量で接合強度、導通性に優れた半田接合部を形成することが可能となっている。したがって、半田入樹脂7中の半田含有量を低く設定することが可能となり、挟ピッチ電極を対象とする場合にあっても電極間でのブリッジ発生を防止することができる。
【0036】
またACFを用いる方法と比較して、高価なACFに替えて半田粒子を熱硬化性樹脂に混入した安価な接合材料を用いることから、低いランニングコストが実現されている。またACFによる熱圧着と比較して、短い圧着時間で接続を完了させて高生産性を実現することが可能となっており、低ランニングコストと相俟ってコスト削減を促進することが可能となっている。さらに、ACFによる方法のように低接続抵抗を得るために高い押圧荷重で圧着を行う必要がないことから、内部配線を有する多層基板や両面実装基板で接続面の裏面に突起が存在して高荷重の下受けができない種類の基板を対象とする場合においても、低押圧荷重によって低接続抵抗を実現することが可能となっている。このように、本実施の形態に示す電子部品接続構造および電子部品接続方法によれば、多様な種類の電子部品を対象として、低コスト・高生産性で高い接続信頼性を確保することができる。
【0037】
なお上述実施の形態においては、第1の電子部品としてフィルム状のフレキシブル基板10をリジッド基板5に接続する例を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば第1の電子部品として、接続面に金属バンプや接続用端子などの突起電極を有する半導体部品をリジッド基板5に直接接続する場合においても、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の電子部品接続構造および電子部品接続方法は、低コスト・高生産性で高い接続信頼性を確保することができるという効果を有し、小型の携帯用電子機器などにおいてリジッド基板に設けられた電極にフィルム状のフレキシブル基板を接合する分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品接続方法に使用される電子部品実装装置の断面図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品接続方法が適用される電子回路モジュールの斜視図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品接続方法の工程説明図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品接続方法の工程説明図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品接続方法の工程説明図
【符号の説明】
【0040】
1 電子部品実装装置
2 基板保持部
5 リジッド基板(第2の電子部品)
5a 接続面(第2の面)
6 電極(第2の電極)
6a 表面
6b 側面
7 半田入樹脂
7a 熱硬化性樹脂
7* 樹脂部
9 ディスペンサ
10、10A、10B フレキシブル基板(第1の電子部品)
10a 端子形成面(第1の面)
11 圧着機構
14 熱圧着ツール
15、25 半田粒子
15a*、25a* 突合わせ半田接合部
15b*、25b* 隅肉半田接合部
16 端子(第1の電極)
16a 表面
16b 側面
C 隅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子部品の第1の面に設けられた第1の電極を第2の電子部品の第2の面に設けられ前記第1の電極とは平面寸法が異なる第2の電極に接続して成る電子部品接続構造であって、
相対向した前記第1の面と前記第2の面との間に介在して両者を接着する樹脂部と、
前記第1の電極の表面と前記第2の電極の表面との突き合わせ面に介在して両者を半田接合する突合わせ半田接合部と、
前記第1の電子部品と前記第2の電子部品とを平面的に位置合わせして前記表面を相互に突き合わせた状態において前記平面寸法が異なることによって生じる前記第1の電極の表面と前記第2の電極の側面との隅部または前記第2の電極の表面と前記第1の電極の側面との隅部に形成されたフィレット形状の隅肉半田接合部とを備えたことを特徴とする電子部品接続構造。
【請求項2】
前記樹脂部は、熱硬化性樹脂の硬化物であることを特徴とする請求項1に記載の記載の電子部品接続構造。
【請求項3】
前記第1の電子部品が、フィルム状のフレキシブル基板であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品接続構造。
【請求項4】
第1の電子部品の第1の面に設けられた第1の電極を第2の電子部品の第2の面に設けられ前記第1の電極とは平面寸法が異なる第2の電極に接続する電子部品接続方法であって、
半田粒子を含んだ熱硬化性樹脂を前記第2の面に供給する樹脂供給工程と、
前記第1の面が前記半田粒子の溶融温度よりも高い温度に加熱された前記第1の電子部品を前記第2の電子部品に搭載して前記第1の面を第2の面に相対向して接近させる部品搭載工程と、
前記第1の電子部品を第2の電子部品に対して所定の押圧力で押圧するとともに前記半田粒子および熱硬化性樹脂を前記第1の電子部品を介して加熱する加熱押圧工程とを含み、
前記部品搭載工程において、前記第1の電子部品と前記第2の電子部品とを平面的に位置合わせして前記第1の電極の表面と前記第2の電極の表面とを相互に突き合わせた状態において、前記平面寸法が異なることによって前記第1の電極の表面と前記第2の電極の側面との隅部または前記第2の電極の表面と前記第1の電極の側面との隅部を生じさせ、
前記加熱押圧工程において、相対向した前記第1の面と前記第2の面との間で前記熱硬化性樹脂が熱硬化して両者を接着する樹脂部を形成すると共に、前記第1の電極および第2の電極を前記熱硬化性樹脂中の半田粒子に接触させてこの半田粒子を前記第1の電極との接触部から溶融させ、前記第1の電極の表面と前記第2の電極の表面との突き合わせ面に介在して両者を半田接合する突合わせ半田接合部を形成すると共に、前記隅部にフィレット形状の隅肉半田接合部を形成することを特徴とする電子部品接続方法。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂として、前記電極の酸化膜を除去する作用を有する活性成分を含むものを用いることを特徴とする請求項4記載の電子部品接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−103139(P2010−103139A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270570(P2008−270570)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】