説明

電気システム並びに電動車両及びハイブリッド自動車

【課題】電気駆動車両に適用してモータの出力増大、加速性能の向上、運動エネルギーの回収率向上、走行エネルギーの低減を図るものである。
【解決手段】入力端子の一方と出力端子の一方とを共通端子とした出力電圧反転形電流双方向昇降圧チョッパ8の前記共通端子を直流電源1の一方の端子に、前記チョッパの他方の入力端子を前記直流電源の他方の端子に接続するとともに、前記直流電源の前記他方の端子と前記チョッパの出力端子の前記他方の端子との間に負荷を接続し、前記チョッパを制御して前記負荷の電圧を前記直流電源の電圧以上にできるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池等の直流電源からVVVFインバータを介して電動機を駆動する電気駆動車両の電気システムに係わる。特に本発明は電気自動車(以下、EV(Electric Vehicle)という)のパワートレインの電気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の加速性能即ち、加速時間はパワートレインの出力に比例する。即ち、ICE(Internal Combustion Engine)自動車ではエンジン出力、EVでは車輪駆動モータ出力によって加速性能が決まる。加速性能を高める、即ち加速時間を短くするには、パワートレインの出力を大きくすれば実現できるがパワートレイン機器が大きく、且つ機器コストが高くなると言う課題も伴う。
【0003】
一方、自動車の制動性能、即ち制動時間または制動距離は自動車のパワートレインの加速性能とは無関係に自動車の衝突・安全性の面から決められている。制動時間は制動パワーに比例する。一般的な自動車の例では、制動パワーは加速パワーの2〜3倍のパワーとなっている。現在のEVの場合、パワートレインの電機品の出力は加速性能から決められているため、この電機品のパワーでは充分な制動力は得られないのでICE自動車と同じ機械制動力を、回生制動力に加えている。
【0004】
次に自動車の走行エネルギーについて説明する。自動車の走行エネルギーのうち、その大部分は車両の加速に使用され、定速走行時のエネルギーは加速エネルギーの数分の1程度である。自動車では、加速時、パワートレインの動力は車体の加速に使われ、そのエネルギーの大部分は車体の運動エネルギーとして蓄えられる。この車体に蓄えられたエネルギーは制動時に制動エネルギーとして車体から放出される。ICE自動車では、このエネルギーは機械ブレーキで熱として消費される。現状のEVでは、制動時、車体の運動エネルギーの一部は回生電力としてバッテリーに回収されるが、大部分は機械ブレーキで熱として捨てられている。
【0005】
この制動時、車体の運動エネルギーをより多く回収できれば自動車の燃費向上が期待される。表1は、制動エネルギーの回収と燃費向上の関係の一例を示したものである。同表は代表的な走行パターンであるJC08モードで1.5t級の乗用車を走行させた場合の例である。同表から、制動を全て電気制動にして制動エネルギーを回収すると燃費性能は数倍に向上することを示している。
【0006】
【表1】

次に電池について説明する。電池の寿命はDOD(Depth Of Discharge:放電深度)とその繰り返し回数によって決まる。一般的な二次電池はDODが小さくなると、電池の許容繰り返しサイクル数が増大する。EVの場合、電池のDODを小さくすれば寿命を延
ばせるが、車載出来る電池容量の制約から電池のDODの下限にも限界がある。このため、場合によってはEVの使用の途中で電池を交換することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−810号公報
【特許文献2】特開2001―54210号公報
【特許文献3】特開2004−350478号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】平成20年電気学会産業応用部門大会論文 No.2-O4-3 [II-199]-[II-204]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
EVを例に、電気駆動車両の現状の問題点について説明する。EVのパワートレインは図26に示す電気システムである。直流電源1の直流電圧をインバータ(VVVFインバータ)2で交流電圧に変換してモータ3で車輪を駆動している。制動時は、モータ3を発電機にして、車体の運動エネルギーの一部を直流電源1に回収している。
【0010】
図27は図26のパワートレインの代表的な力行特性について示したものである。回転数N1 までは、牽引力一定運転(モータの全界磁運転および定トルク運転)、N1 から高速域は定出力運転(モータの弱め界磁運転)となっている。回転数0からN1 までは、インバータ2の出力電圧を速度上昇に応じて上昇させる。回転数N1 でインバータ2の出力電圧は最大になり、これ以上電圧は高められないためN1 より高速域では、モータ電圧は一定となり、電流も一定な定出力運転になる。定出力運転域では、加速力は速度に反比例する。即ち速度上昇に応じて牽引力が小さくなる特性である。例えば、N1 の2倍の速度では牽引力は半減する。
【0011】
図28は自動車の制動特性の一例を図27の加速特性に加えて示したものである。図27では、横軸はモータ3の回転数で示してあるが、図28では横軸は車両速度で示してある。自動車では、制動距離から高速から停止まで一定な制動力が求められるので、図示のような制動力、制動パワー特性となる。同図で実線は制動、破線は前述の力行の特性を示している。また同図で制動力と牽引力は同じとして示してある。同図で制動パワーと力行パワーとの差を斜線部で示してある。自動車の場合、高速域では力行パワーより制動パワーが大きく、通常最大制動パワーは最大力行パワーの2〜3倍程度になる。
【0012】
図26に示す電気システムでは、モータ3のパワーはモータ3の電圧と電流の積で決まる。モータ3の最大電圧は直流電源1の電圧によって決まる。モータ3の最大電圧はインバータ2の制御方式により異なるが表2のようになる。
【0013】
【表2】

図27で、N1 より高速では、インバータの最大電圧は表2で決まる電圧となるのでこ
れ以上の電圧をモータに印加できない。このため,N1 より高速域ではモータ出力を高めることはできないので図26示した電気システムでは、N1 より高速域で図28に示した制動力を発生させることはできない。

【0014】
EVの場合、制動パワーを全て電気制動で賄うとすると電機品容量が大きくなり車両搭載が困難なことから、力行パワーに相当するパワーで電気制動を分担し、制動力の不足分を機械制動でカバーしている。このため、制動時、車両の運動エルギーの一部を熱として廃棄することになり、エネルギー利用効率(自動車の燃費性能に相当)を下げている。今後の低炭素化社会実現のため、自動車分野においても、制動エネルギー回収率向上が望まれ、自動車技術の今後の大きな課題の一つとなっている。
【0015】
前述のように、モータパワーはほぼモータ電圧とモータ電流の積に比例するので、モータパワーを高めるには、電圧を高めることが有効である(電流を同じとすることができるので)。このことから、制動時モータ電圧を力行時の電圧より高められればモータ電流を増やすことなく制動パワーを増やすことができる。前述したように電気自動車の場合、モータの最大電圧は表2に示すように車載バッテリー電圧によって決まるので制動時にモータ電圧は高められない。このため、図29のように、全運転範囲をモータ全界磁運転の定トルク運転にして制動パワー最大時にモータ電圧が最大になるようにすることも可能であるが、電流が図27に比べ大きくなり(同図では制動電流は力行電流の2倍で示してある)、車載機器の大形化、価格増となり問題となる。
【0016】
このため、図30に示すように、直流電源1とインバータ2との間に昇圧チョッパ4を挿入して、制動時にモータ3の電圧を高めることも可能である (特許文献1)。図30の電気システムでは、図31に示すように、モータ車両速度V1 より高速域の制動運転時は、インバータ2の直流電圧を昇圧チョッパ4によりバッテリーの直流電圧以上に高めている。この場合、チョッパ4の電力制御容量はインバータ2の電力制御容量とほぼ同じになる。チョッパ4の電力制御容量は最大出力電圧と最大出力電流の積であることから、図30の電気システムでは、図26に示す電気システムの場合に比べ車載機器が大形化、価格増となってしまう。例えば、チョッパ最大出力電流が同じでも、最大出力電圧が2倍となると電力制御容量は2倍となる。このような背景から、EVなど車載電池で駆動する電気駆動車両ではインバータの入力電圧を直流電源電圧以上に高められ、且つ小形・軽量、低価格の電気システムが求められていた。
【0017】
前述の図26および図30に示した電気システムをEVに適用した場合、自動車の走行距離は自動車に搭載したバッテリーの蓄電容量によって決まる。走行距離を伸ばせるEVとしてこのバッテリーに代えて燃料電池を電源とした燃料電池車が実用化されている。燃料電池のみを自動車の直流電源とした場合、現状の燃料電池の性能では、化学電池並みの出力過渡応答がえられない。またこの燃料電池には、制動時の回生電力が吸収できないなど自動車用電源としては不十分である。燃料電池自動車としては電気システムの改善が課題となっていた。
【0018】
チョッパの装置の大きさ、質量、価格は最大制御容量が大きくなればなるほど増大する。チョッパの最大制御容量はチョッパの最大出力電圧と最大出力電流の積であることから、チョッパの出力電圧をできるだけ低くすることが有効である。このようなことから、図31に示した直流電圧の斜線部で示した電圧分のみ、直流電源電圧に加算する事ができれば有効で、より実用的な電気システムが実現できる。これを実現するため、図32に示すように直流電源1とは別の蓄電装置51を降圧チョッパ5を介して直流電源1に直列接続してバッテリーの直流電圧以上の電圧をインバータ2に給電する電気システムが提案されている(特許文献2)。しかし、このシステムでは直流電源1とは別の蓄電装置51が必
要となり、1つの直流電源では実現することはできない。
【0019】
直流電源を入力とするチョッパによる電流双方向可変電圧電源としては図33の電流双方向昇降圧チョッパが知られている(特許文献3)。図33のチョッパについて説明する。図33で、昇降圧チョッパ6は半導体スイッチ61aとダイオード61bとで半導体スイッチ61を、半導体スイッチ62aとダイオード62bとで半導体スイッチ62を、半導体スイッチ63aとダイオード63bとで半導体スイッチ63を、半導体スイッチ64aとダイオード64bとで半導体スイッチ64をそれぞれ構成し、電流平滑用インダクタ65を図のように接続し、チョッパの入力および出力側には電圧平滑用キャパシタ66,67を接続して構成している。図33のチョッパは入力電圧と出力電圧の極性が同じ出力電圧非反転形電流双方向昇降圧チョッパである。図33の動作については公知であるので動作説明は省略する。
【0020】
一方、出力電圧反転形電流単方向昇降圧チョッパとして非特許文献1で紹介されている。図34はその回路構成を示す。図34のチョッパは電流が一方向動作のチョッパである。図34で、7は出力電圧反転形電流単方向昇降圧チョッパで、半導体スイッチ素子71aとダイオード71bとを逆並列接続して半導体スイッチ71を構成し、ダイオード72と図示のように直列接続する。半導体スイッチ71とダイオード72との接続点と一方の入力および出力の共通線76にインダクタ73を接続する。図34の出力電圧反転形電流単方向昇降圧チョッパの動作については、非特許文献1で紹介されているのでここでの説明は省略する。
【0021】
車載電池を動力源とする電気駆動車両では、車輪駆動電動機の電圧は電池電圧に対応した電圧以上には高められない。このため、高速域では牽引力又は制動力は速度に反比例する特性にしている。特に、高速からのブレーキでは、回生ブレーキ力が不充分で主ブレーキはメカブレーキとしている。この結果、電気自動車の省エネルギーから回生性動力性能向上が大きな課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記の課題を解決するものであって、電気駆動車両に適用してモータの出力増大、加速性能の向上、運動エネルギーの回収率向上、走行エネルギーの低減を図るものである。
【0023】
そのために本発明は、図34に示す出力電圧反転形電流単方向昇降圧チョッパを電流双方形にして図32の電気システムで、直流電源51を必要としない電気システムを等価的に実現するものであって、請求項1に記載の電気システムは、入力端子の一方と出力端子の一方とを共通端子とした出力電圧反転形電流双方向昇降圧チョッパの前記共通端子を直流電源の一方の端子に、前記チョッパの他方の入力端子を前記直流電源の他方の端子に接続するとともに、前記直流電源の前記他方の端子と前記チョッパの出力端子の前記他方の端子との間に負荷を接続し、前記チョッパを制御して前記負荷の電圧を前記直流電源の電圧以上にできるようにしたことを特徴とする。
【0024】
さらに、請求項2に記載の電気システムは、請求項1に記載の電気システムにおいて、前記出力電圧反転形電流双方向昇降圧チョッパは、入力端子の一方と出力端子の一方の端子とを接続して共通端子とし、第1のダイオードを逆並列接続した第1の半導体スイッチと第2のダイオードを逆並列接続した第2の半導体スイッチとを直列接続してスイッチアームを構成し、前記スイッチアームの一端を入力端子の一方の端子とし、前記スイッチアームの他端を出力端子の一方の端子となるようにし、前記スイッチアームの前記第1の半導体スイッチと第2の半導体スイッチとの接続点と前記共通端子間にインダクタを接続し、前記入力端子間および前記出力端子間にそれぞれキャパシタを接続したことを特徴とす
る。
【0025】
請求項3に記載の電気システムは、請求項2に記載の電気システムにおいて、前記出力端子間に接続した前記キャパシタに第3のダイードを前記キャパシタの印加電圧の正電位がカソードとなる向きに並列に接続したことを特徴とする。
【0026】
請求項4乃至7に記載の電気システムは、請求項1乃至3のいずれかに記載の電気システムにおいて、前記直流電源は、電池からチョッパを介して給電される電気二重層キャパシタとし、燃料電池からチョッパを介して給電される蓄電装置とし、エンッジン発電機および整流器を介して給電される蓄電装置としたことを特徴とする。
【0027】
請求項8又は9に記載の電気システムは、請求項1乃至7のいずれかに記載の電気システムにおいて、力行運転時で前記チョッパの出力電圧をほぼゼロにするときは、前記第1の半導体スイッチおよび第2の半導体スイッチをオフとしたことを特徴とし、回生運転時で前記チョッパの出力電圧をほぼゼロにするときは、前記第1の半導体スイッチはオフ動作、第2の半導体スイッチをオン動作としたことを特徴とする。
【0028】
請求項10又は11に記載の電気システムは、力行運転時で、前記チョッパの出力電圧をゼロ以上にするときは、前記第2の半導体スイッチはオフ動作とし、第1の半導体スイッチを前記チョッパの出力電圧値に対応した規定の通流率でオンーオフ制御するようにしたことを特徴とし、回生運転時で、前記チョッパの出力電圧をゼロ以上にするときは、前記第1の半導体スイッチはオフ動作とし、第2の半導体スイッチを前記チョッパの出力電圧値に対応した規定の通流率でオンーオフ制御するようにしたことを特徴とする。
【0029】
請求項12又は13に記載の電気システムは、請求項1乃至7のいずれかに記載の電気システムにおいて、力行運転時で前記チョッパの前記第1の半導体スイッチおよび第2の半導体スイッチをオフにして前記チョッパの出力電圧をほぼゼロの状態から規定電圧値の状態に立ち上げる場合、前記第1の半導体スイッチの通流率を零から規定の通流率にまで規定時間で増加させるようにしたことを特徴とし、制動運転時で前記チョッパの前記第1の半導体スイッチをオフ、第2の半導体スイッチをオンにして前記チョッパの出力電圧をほぼゼロの状態から規定電圧値の状態に立ち上げる場合、前記第2の半導体スイッチの通流率を1から規定の通流率にまで規定時間で低減させるようにしたことを特徴とする。
【0030】
請求項14に記載の電動車両は、車輪に連結した電動機を車載の直流電源からインバータを介して駆動する車輪駆動システムを少なくとも1組以上備えた電動車両として、前記直流電源に前記請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の電気システムを適用したことを特徴とする。
【0031】
請求項14に記載のハイブリッド自動車は、 車載の直流電源を動力源としてインバータと電動機を介して又は/および車載のエンジンを動力源として車輪を駆動するハイブリッド自動車として、前記直流電源に前記請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の電気システムを適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、直流電源を入力とする出力電圧反転形電流双方向昇降圧チョッパを直流電源に等価的に直列接続して直流電源電圧にこのチョッパの出力電圧を重畳してインバータの入力に給電し、このインバータを介してモータを駆動する電気システムであるので、モータの全界磁運転が全運転域で可能となり、次の効果が期待できる。
【0033】
その1 EV、ハイブリッド自動車、建機、電動バイクを始めとする車載電源で車輪を
駆動する電気駆動車両の電気システムに適用した場合、高速域でモータ電圧を車載直流電源の電圧から決まる電圧以上に高められるのでモータの出力増大が図れ、自動車の加速性能向上が図れる。さらに、高速からフル電気ブレーキが実現できるので、制動時の車体の運動エネルギー回収が大幅に増加し、回収エネルギーを走行エネルギーとして再利用することによって走行エネルギーが大幅に低減する。
【0034】
その2 電気鉄道車両を始めとする車両外の直流電源から電気駆動車両の電気システムに適用した場合、高速域でモータ電圧を電車線電圧で決まる電圧以上に高められるのでモータの出力増大が図れ、車両の加速性能向上が図れる。さらに、最高速からフル電気ブレーキが実現できるので、制動時の車体の運動エネルギー回収が大幅に増加し、回収エネルギーを走行エネルギーとして再利用することによって走行エネルギーが大幅に低減する。

【0035】
その3 直流電源電圧が大きく変動しても、インバータの入力電圧を一定またはそれ以上に保つことができるので直流電源として電気二重層キャパシタの使用が可能になり、化学電池と電気二重層キャパシタの併用によって化学電池の寿命を大幅に伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】直流電源からチョッパとVVVFインバータを介して電動機を駆動する基本電気システムとその動作を説明する図である。(実施例1)
【図2】図1のチョッパの詳細回路構成を説明する図である。(実施例2)
【図3】図2のチョッパの出力電圧零動作を説明する図である。(実施例3)
【図4】図2のチョッパの力行運転時に出力電圧を零以上にする動作を説明する図である。(実施例4)
【図5】図4の制御特性を説明する図である。
【図6】図2のチョッパ制動運転時の出力電圧を零以上にする動作を説明する図である。(実施例5)
【図7】図6の制御特性を説明する図である。
【図8】図1の制御特性を説明する図である。
【図9】図2のチョッパの力行運転時に出力電圧を零から立ち上げる制御動作を説明する図である。(実施例6)
【図10】図2のチョッパの制動運転時に出力電圧を零から立ち上げる制御動作を説明する図である。(実施例7)
【図11】図9の制御動作を説明する図である。
【図12】図10の制御動作を説明する図である。
【図13】図1と別の基本電気システムその動作を説明する図である。(実施例8)
【図14】図13のチョッパの詳細回路構成を説明する図である。(実施例9)
【図15】図13のチョッパの出力電圧零動作を説明する図である。
【図16】図13のチョッパの力行運転時に出力電圧を零以上にする動作を説明する図である。
【図17】図13のチョッパ制動運転時の出力電圧を零以上にする動作を説明する図である。
【図18】図13の制御特性を説明する図である。
【図19】図1の電気システムで直流電源を直流電源とEDLCとした電気システムを説明する図である。(実施例10)
【図20】EDLCの特性を説明する図である。
【図21】図19の電気システムの動作を説明する図である。
【図22】図1で直流電源を燃料電池とする電気システムを説明する図である。(実施例11)
【図23】図1で直流電源をエンジン発電機と蓄電装置とする電気システムを説明する図である。(実施例12)
【図24】図1の電気システムをEVに適用した電気システムを説明する図である。(実施例13)
【図25】図1の電気システムをハイブリッド自動車に適用した電気システムを説明する図である。(実施例14)
【図26】直流電源からVVVFインバータを介して電動機を駆動する公知の電気システムを説明する図である。
【図27】図26の電気システムの特性を説明する図である。
【図28】図27の特性を説明する図である。
【図29】図27の特性で望ましい特性を説明する図である。
【図30】図26に電気システムで直流電源とVVVFインバータ間にチョッパを挿入した公知の電気システムを説明する図である。
【図31】図30の特性を説明する図である。
【図32】図26の電気システムで直流電源にチョッパを直列に接続した公知の電気システムを説明する図である。
【図33】出力電圧非反転形電流双方向昇降圧チョッパの公知の回路構成を説明する図である。
【図34】出力電圧反転形電流単方向昇降圧チョッパの公知の回路構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態は、図34に示す出力電圧反転形電流単方向昇降圧チョッパを電流双方向にして図32の電気システムで、直流電源51を必要としない電気システムを等価的に実現し、車載電池を電源として、VVVFインバータでモータを駆動して走行する電動車両で、電池とインバータ間にチョッパを挿入してインバータの入力電圧を電池電圧以上にして、高速域からの回生制動力を高めてフル電気ブレーキを実現するものである。以下、実施例を説明する。
【実施例1】
【0038】
図1において、図26と同一の構成要素は同一記号で示し、8は出力電圧反転形電流双方向昇降圧チョッパ、Aはチョッパの入力部、Bはチョッパの出力部で、その電圧極性は図示のようになる。インバータ2の入力には同図の破線で示した向きに電圧が印加されるので、インバータ2の入力電圧は直流電源1の直流電圧とチョッパ8の出力Bの電圧の和となり、直流電源1の電圧以上の電圧となる。すなわち、チョッパ8の出力電圧をゼロにすれば、インバータ2の入力電圧は直流電源1の電圧となり、チョッパ8の出力電圧をゼロ以上に高めれば、インバータ2の入力電圧は直流電源1の電圧以上の電圧になる。
【実施例2】
【0039】
図2は実施例1のチョッパ8の回路構成であり、図1の回路構成の詳細を説明する図である。図2で、81は半導体スイッチで半導体スイッチ素子81aにダイオード81bを逆並列接続する。82は半導体スイッチで半導体スイッチ素子82aにダイオード82bを逆並列接続する。半導体スイッチ81および82は図示の極性に直列接続する。半導体スイッチ81および82の接続点から入出力共通端子線84に電流平滑用インダクタ83を接続する。85は入力電圧平滑用キャパシタ、86は出力電圧平滑用キャパシタである。87は出力電圧平滑用キャパシタ86に逆電圧が印加されるのを防止するためのダイオードで、図示の極性で出力電圧平滑用キャパシタ86に並列に接続する。
【実施例3】
【0040】
実施例3は、実施例2に示したチョッパ8の出力電圧を零に動作させる実施例である。
まず、チョッパ8の出力電圧がほぼゼロとなる動作(チョッパ8の出力電圧がほぼゼロであるので、電気システムとしては図26と等価的には同じになる動作)について説明する。図3はこの場合の説明図で、図3(a)は力行運転動作の場合を、図3(b)は制動運転動作の場合を示している。
【0041】
図3(a)の力行運転では、半導体スイッチ素子81aおよび82aはともにオフ状態にしておく。インバータ2の電流IP はダイオード82b、インダクタ83を通って流れ、チョッパ8の出力電圧はほぼゼロとなる。
【0042】
図3(b)の制動運転では、半導体スイッチ素子82aはオン、半導体スイッチ素子81aはオフ状態にしておく。インバータ2の電流IB はインダクタ83、半導体スイッチ素子82aを通って流れ、チョッパ8の出力電圧はほぼゼロとなる。
【実施例4】
【0043】
実施例4は、実施例2のチョッパ8の出力電圧を力行運転時に零以上に動作させる実施例である。まず力行動作について説明する。図4は力行運転時の定常動作状態を示す図である。図4を用いて力行運転時の定常動作について説明する。図4(a)はモード1のチョッパ動作と各部の電流の流れを示す図、図4(b)はモード2のチョッパ動作と各部の電流の流れを示す図、図4(c)はモード1とモード2の各部の電流波形を示す図である。各部の電圧の極性は図のようになっている。図4でIP はインバータ2の入力電流で、インバータ2に流れ込む方向の電流をIPP、インバータ2から流れ出る方向の電流をIPNとして示してある。
【0044】
モード1は半導体スイッチ素子82aをオフ状態にして半導体スイッチ素子81aをオンにし直流電源1をインダクタ83を介して短絡するモードである。モード1では、インダクタ83には直流電源電圧が印加されるので、インダクタ83の電流I83は増加する(一般的にはこの電流増加は小さいので図示例では一定としている)。また直流電源1の(+)端子からインバータ2の端子へ電流IPPが給電され、インバータ2の反対の端子から流れ出た電流IPNはチョッパ8の出力電圧平滑用キャパシタ86を図示の端子に流れ、出力電圧平滑用キャパシタ86は放電する。
【0045】
半導体スイッチ素子81aをオンにしてから時間T1 後に半導体スイッチ素子81aをオフにしてモード1から図4(b)のモード2に移る。モード2では、半導体スイッチ素子81aおよび82aともオフであるので、インダクタ83に流れていた電流I83は出力電圧平滑用キャパシタ86、半導体スイッチ82のダイオード82bを通って還流する。このモードでは、モード1でインダクタ83に蓄えたエネルギーを出力電圧平滑用キャパシタ86に移す。インバータ2からの電流IPNはモード1と同じく出力電圧平滑用キャパシタ86に流れ込む。
【0046】
通常、インダクタ83の電流I83はインバータ2の電流IP より大きくなるよう制御される。出力電圧平滑用キャパシタ86に流れるインダクタ83の電流I83とインバータ2の電流IPNの向きは逆であり、出力電圧平滑用キャパシタ86の電流はインダクタ83の電流I83とインバータ2の電流IPNとの差の電流となるので、出力電圧平滑用キャパシタ86を充電する方向に流れる。図4(c)でE1 は直流電源1の電圧、E86は出力電圧平滑用キャパシタ86の電圧、EB はE1 の平均値電圧、EC はE86の平均値電圧を表している。
【0047】
次にチョッパ8の力行制御特性について説明する。チョッパ8の出力電圧EC (電圧平滑用キャパシタ86の電圧の平均値電圧)と直流電源1の電圧EB (直流電源1の電圧平均値)との関係は数式1となる。
(数1)
【0048】
C =EB (α/(1−α))(V)
ここで、αはチョッパの通流率で数式2となる。
(数2)
【0049】
α=T1 /T
ここで、T1 は半導体スイッチ素子81aのオン時間で単位は(s)、Tは半導体スイッチ素子81aのスイッチング周期で単位は(s)である。インダクタ83の電流I83の平均値IL は数式3となる。
(数3)
【0050】
L =IP /(1−α) (A)
ここで、IP はインバータ2の電流(平均値)で単位は(A)である。EC 、EB 、IP 、IL およびαの関係を図示すると図5のようになる。図5(a)は電圧の制御特性、図5(b)は電流の制御特性について示している。
【実施例5】
【0051】
実施例5は、実施例2のチョッパ8の出力電圧を制動運転時に零以上に動作させる実施例である。次に制動動作について説明する。図6は制動運転時の定常動作状態を示す図である。図6を用いて制動運転時の定常動作について説明する。図6(a)はモード1のチョッパ動作と各部の電流の流れを示す図、図6(b)はモード2のチョッパ動作と各部の電流の流れを示す図、図6(c)はモード1、モード2の各部の電流波形を示す図である。各部の電圧の極性は図のようになっている。
【0052】
モード1は半導体スイッチ素子81aをオフ状態にして半導体スイッチ素子82aをオンにして出力電圧平滑用キャパシタ86にインダクタ83を接続してインダクタ83で出力電圧平滑用キャパシタ86を短絡するモードである。モード1では、インダクタ83には出力電圧平滑用キャパシタ86の電圧が印加されるので、インダクタ83の電流I83は増加する(一般的にはこの電流増加は小さいので図示例では一定としている)。またインバータ2から電流IBPが直流電源1の(+)端子に回生され、インバータ2の反対の端子へ流れ込む電流IBNはチョッパ8の出力電圧平滑用キャパシタ86を図示の端子に流れ、出力電圧平滑用キャパシタ86を充電する。
【0053】
半導体スイッチ素子82aをオンにしてから時間T1 後に半導体スイッチ素子82aをオフにしてモード1から図6(b)のモード2に移る。モード2では、半導体スイッチ素子81aおよび82aともオフであるので、インダクタ83に流れていた電流I83は半導体スイッチ81のダイオード81bを通って直流電源1に還流する。モード1で出力電圧平滑用キャパシタ86のエネルギーをインダクタ83に移し、このモードでインダクタ83に蓄えたエネルギーを直流電源1に移す。インバータ2への電流IBNはモード1と同じく出力電圧平滑用キャパシタ86に流れ込み、同キャパシタ86を充電する。
【0054】
通常、インダクタ83の電流I83はインバータ2の電流IB より大きくなるよう制御される。インダクタ83の直流電源1への還流電流の向きはインバータ2の電流IBPと同一向きに流れる。モード2の期間ではインバータ2の電流IBNは出力電圧平滑用キャパシタ86を充電する。図6(c)でE1 は直流電源1の電圧、E86は出力電圧平滑用キャパシタ86の電圧、EB はE1 の平均値電圧、EC はE86の平均値電圧を表している。
【0055】
次にチョッパ8の制動制御特性について説明する。チョッパ8の出力電圧EC (電圧平滑用キャパシタ86の電圧の平均値電圧)と直流電源1の電圧EB との関係は数式4とな
る。
(数4)
【0056】
C =EB ((1−α)/α) (V)
ここでαはチョッパ8の通流率で数式5となる。
(数5)
【0057】
α=T1 /T
ここで、T1 は半導体スイッチ素子82aのオン時間で単位は(s)、Tは半導体スイッチ素子82aのスイッチング周期で単位(s)である。インダクタ83の電流I83の平均値IL は数式6となる。
(数6)
【0058】
L =IB /α (A)
ここで、IB はインバータ2の電流(平均値)で単位は(A)である。EC 、EB 、IB 、IL およびαの関係を図示すると図7のようになる。図7(a)は電圧の制御特性、図7(b)は電流の制御特性について示している。
【0059】
次に具体的な図1の電気システムの制御特性について説明する。図8は、図1の電気システムでインバータ2の入力電圧E2 について示したものであり、モータ3の回転数N1 まではチョッパ8の出力電圧はゼロとし、N1 から高速域で、出力している場合を示している。図示では回転数Nのとき、チョッパ8の出力電圧はEC 、インバータ2の入力電圧E2 はE1 +EC となるよう制御していることを示している。NMAX はモータ3の最高回転数を示す。上述した制御は、力行運転ではチョッパ8の半導体スイッチ素子81aの通流率制御、制動運転ではチョッパ8の半導体スイッチ素子82aの通流率制御によって行われるが、半導体スイッチ素子81a、82aの制御は一般的なチョッパ制御と同じであるので、ここでの詳述は省略する。
【実施例6】
【0060】
実施例6は、実施例2のチョッパ8の出力電圧を力行運転時に零の状態から目標の電圧に立ち上げる動作の実施例である。図3(a)のチョッパ8の出力電圧が零の制御状態から零以上の状態に立ち上げるチョッパ8の制御について説明する。
【0061】
図9は力行運転の場合の動作説明図である。図9(a)は動作モードと各部の波形について示している。図9(b)のモード0において半導体スイッチ素子81aおよび半導体スイッチ素子82aはともにオフでチョッパ8の出力電圧がゼロで図3(a)と同じである。インダクタ83にはインバータ2の電流IP が流れている。
【0062】
図9(a)に示した時間t0 で半導体スイッチ素子81aをオンにする。半導体スイッチ素子81aをオンにすると直流電源1にインダクタ83が並列接続され、インダクタ83の電流I83がインバータ2の電流IP の電流値から増加してゆく。半導体スイッチ素子81aをオンにすると、インダクタ83には図示の極性の電圧が発生するのでダイオード82bには逆電圧が印加されてオフしてインバータ2の電流IP はダイオード82bから出力電圧平滑用キャパシタ86に移る。この電流は出力電圧平滑用キャパシタ86を図示の極性とは逆の極性に充電しようとするがダイオード87が並列に接続されているので、電流はダイオード87に流れる。
【0063】
インダクタ83の電流I83が規定値迄増加した時間t1 で半導体スイッチ素子81aをオフにしてモード2に移る。半導体スイッチ素子81aをオフにすると、インダクタ83に流れていたインダクタ83の電流I83は出力電圧平滑用キャパシタ86、ダイオード8
2bの回路を通って還流する。出力電圧平滑用キャパシタ86には、インダクタ83の電流I83とインバータ2の電流IPNとの差電流が出力電圧平滑用キャパシタ86に流れる。インバータ2の電流IPNよりインダクタ83の電流I83が大きいので、出力電圧平滑用キャパシタ86には図示の極性に充電する向きに流れる。
【0064】
時間t2 で再び81aをオンにしてモード3に移る。モード3はモード1と同じモードで、時間t3 で半導体スイッチ素子81aをオフにする。図9(a)で時間t1 から時間t3 迄がチョッパ8のスイッチング1周期で、半導体スイッチ素子81aは時間t1 〜t2 がオフ、時間t2 〜t3 がオンである。
【実施例7】
【0065】
実施例7は、実施例2のチョッパ8の出力電圧を制動運転時に零の状態から目標の電圧に立ち上げる動作の実施例である。図3(b)のチョッパ8の出力電圧が零の状態から零以上の状態に立ち上げるチョッパ8の制御について説明する。図10は制動運転の場合の動作説明図である。図10(a)は動作モードと各部の波形について示している。図10(b)のモード0は半導体スイッチ素子81aはオフ、半導体スイッチ素子82aをオンしてチョッパ8の出力電圧がゼロの運転で図3(b)と同じである。インダクタ83にはインバータ2の電流IB が流れている。
【0066】
図10(a)に示した時間t0 で半導体スイッチ素子82aをオフにする。半導体スイッチ素子82aをオフにすると半導体スイッチ素子82aに流れていたインダクタ83の電流I83は直流電源1に移り、直流電源1を充電する。インバータ2の電流IBNは出力電圧平滑用キャパシタ86を図示の電圧極性に充電する方向に流れる。出力電圧平滑用キャパシタ86の電圧が規定値迄増加した時間t1 で半導体スイッチ素子82aをオンにしてモード2に移る。
【0067】
出力電圧平滑用キャパシタ86は図示の極性に充電されているので、半導体スイッチ素子82aをオンにすると出力電圧平滑用キャパシタ86にインダクタ83が並列接続されインダクタ83の電流I83は増加してゆく。出力電圧平滑用キャパシタ86にはインダクタ83の電流I83とインバータ2の電流IBNとの差電流が流れる。インダクタ83の電流I83の方が大きいので出力電圧平滑用キャパシタ86の電流は出力電圧平滑用キャパシタ86から図示の極性の電圧を放電する方向となる。時間t2 で再び半導体スイッチ素子82aをオフにしてモード3に移る。モード3はモード1と同じモードで、時間t3 で半導体スイッチ素子82aをオンにする。図10(a)で時間t1 から時間t3 迄はチョッパ8のスイッチング1周期で時間t1 〜t2 がオン、時間t2 〜t3 がオフである。
【0068】
次にチョッパ8の出力電圧の立ち上がり動作について説明する。まず、力行運転について、図9の時間t3 以降の動作を図11に示す。図11で、時間t0 迄はチョッパ8の出力電圧の指令値はゼロであるので半導体スイッチ素子81aはオフ(α=0)で、力行電流IP は図3(a)のように流れる。時間t0 でチョッパ8の出力電圧EC が指令されると図示のように電圧指令値が立ち上がってゆく。この出力電圧指令値の立ち上がりに対応して数式1の通流率αで半導体スイッチ素子81aのスイッチングが立ち上がってゆく。インダクタ83の電流I83は通流率αに対応した数式3で示した電流で立ち上がってゆく。時間t0 からのチョッパ8の制御は一般的なチョッパの電圧、電流制御と同じであるので、ここでのチョッパ制御の詳述は省略する。
【0069】
次に制動運転の場合で、図10の時間t3 以降の動作を図12に示す。図12はその動作説明図である。時間t0 はチョッパ8の出力電圧の指令値はゼロであるので半導体スイッチ素子82aはオン(α=1)で、制動電流IB は図3(b)のように流れる。時間t1 で、チョッパ8の出力電圧VC が指令されると、図示のように電圧指令値が立ち上がっ
てゆく。この出力電圧指令値の立ち上がりに対応して数式4の通流率αで半導体スイッチ素子82aのスイッチング制御が立ち上がってゆく。インダクタ83の電流I83は通流率αに対応した数式6で示した電流で立ち上がってゆく。時間t0 からのチョッパ8の制御は一般的なチョッパの電圧、電流制御と同じであるので、ここでのチョッパ制御の詳述は省略する。
【実施例8】
【0070】
図13は実施例1で示した電気システムとは他の電気システムの実施例である。図13の基本システムは図1の出力電圧反転形電流双方向昇降圧チョッパ8の入出力共用端子の極性を反転させたものであり、図1と同一のものは同一記号で示し、9は出力電圧反転形電流双方向昇降圧チョッパ、Aはチョッパの入力部、Bはチョッパの出力部でその電圧極性は図示のようになる。
【0071】
インバータ2の入力には図13の破線で示した向きの電圧が印加されるので、インバータ2の入力電圧は直流電源1の電圧とチョッパ9の出力Bの電圧の和となり、直流電源1の電圧以上の電圧となる。すなわち、チョッパ9の出力電圧をゼロにすれば、インバータ2の入力電圧は直流電源1の電圧となり、チョッパ9出力電圧をゼロ以上に高めれば、インバータ2の入力電圧を直流電源1の電圧以上の電圧になる。
【実施例9】
【0072】
図14は実施例8の電気システムのチョッパ9の回路構成の実施例である。図14で、構成要素の2桁数字記号で2桁目が9の構成要素の数字を8に読み替えた構成要素の記号が図2と同じ記号の構成要素は図2と同一の構成要素となるので、ここでの詳述は省略する。但し、半導体の通流極性は図示の通りである。その他の構成要素で図2と同一記号は同一のものである。
【0073】
次に、図14の動作について説明する。まず、チョッパ9の出力電圧がほぼゼロとなる動作(チョッパ9の出力電圧がほぼゼロであるので、電気システムとしては図26と等価的には同じになる動作)について説明する。図15はこの場合の説明図で、図15(a)は力行運転動作の場合を、図15(b)は制動運転動作の場合を示している。
【0074】
図15(a)の力行運転では、半導体スイッチ素子91aおよび92aはともにオフ状態にしておく。インバータ2の電流IP はインダクタ93、ダイオード92bを通って流れ、チョッパ9の出力電圧はほぼゼロとなる。図15(b)の制動運転では、半導体スイッチ素子92aはオン,91aはオフ状態にしておく。インバータ2の電流IB は半導体スイッチ素子92a、インダクタ93を通って流れ、チョッパ9の出力電圧はほぼゼロとなる。
【0075】
続いて、図14のチョッパ9の出力電圧を零以上にする動作について説明する。まず力行動作について説明する。図16は力行運転時の定常動作状態を示す図である。図16を用いて力行運転時の定常動作について説明する。図16(a)はモード1のチョッパ動作と各部の電流の流れを示す図、図16(b)はモード2のチョッパ動作と各部の電流の流れを示す図、図16(c)はモード1、モード2の各部の電流波形を示す図である。各部の電圧の極性は図のようになっている。図16では、IP はインバータ2の電流で、インバータ2に流れ込む方向の電流をIPP、インバータから流れ出る方向の電流をIPNとして示してある。
【0076】
モード1は半導体スイッチ素子92aをオフ状態にして半導体スイッチ素子91aをオンにして直流電源1をインダクタ93を介して短絡するモードである。モード1では、インダクタ93には直流電源1の電圧が印加されるので、インダクタ93の電流I93は増加
する(一般的にはこの電流増加は小さいので図示例では一定としている)。また直流電源1の(+)端子からインバータ2へ電流IPPが出力電圧平滑用キャパシタ96を介して給電され、出力電圧平滑用キャパシタ96を放電する。インバータ2の反対の端子から流れ出た電流IPNは直流電源1の(−)端子に戻る。
【0077】
半導体スイッチ素子91aをオンにしてから時間T1 後に半導体スイッチ素子91aをオフにしてモード1から図16(b)のモード2に移る。モード2では、半導体スイッチ素子91aおよび92aともオフであるので、インダクタ93に流れていた電流I93は半導体スイッチ92のダイオード92b、出力電圧平滑用キャパシタ96を通って還流する。このモードでは、モード1でインダクタ93に蓄えたエネルギーを出力電圧平滑用キャパシタ96に移す。インバータ2への電流IPPはモード1と同じく出力電圧平滑用キャパシタ96に流れ続ける。
【0078】
通常、インダクタ93の電流I93はインバータ2の電流IP より大きくなるよう制御される。出力電圧平滑用キャパシタ96に流れるインダクタ93の電流I93とインバータ2の電流IPPの向きは逆であるので、出力電圧平滑用キャパシタ96の電流はインダクタ93の電流I93とインバータ2の電流IPPとの差電流が充電する方向に流れ、出力電圧平滑用キャパシタ96を充電する。図16(c)でE1 は直流電源1の電圧、E96は出力電圧平滑用キャパシタ96の電圧、EB はE1 の平均値電圧、EC はE96の平均値電圧を表している。
【0079】
次にチョッパの力行制御特性について説明する。チョッパの出力電圧EC (電圧平滑用キャパシタ96の電圧の平均値電圧)と直流電源1の電圧EB との関係は前述の数式1〜数式3となる。EC 、EB 、IP 、IL およびαの関係は前述の図5と同じとなる。
【0080】
次に制動動作について説明する。図17は制動運転時の定常動作状態を示す図である。図17を用いて制動運転時の定常動作について説明する。図17(a)はモード1のチョッパ動作と各部の電流の流れを示す図、図17(b)はモード2のチョッパ動作と各部の電流の流れを示す図、図17(c)は各部の電流波形を示す図である。各部の電圧の極性は図のようになっている。
【0081】
モード1は半導体スイッチ素子91aをオフ状態にして半導体スイッチ素子92aをオンにしてチョッパ出力電圧平滑用キャパシタ96にインダクタ93を接続して、インダクタ93で出力電圧平滑用キャパシタ96を短絡するモードである。モード1では、インダクタ93に出力電圧平滑用キャパシタ96の電圧が印加されるので、インダクタ93の電流I93は増加する(一般的にはこの電流増加は小さいので図示例では一定としている)。またインバータ2から流れ出た電流IBPは出力電圧平滑用キャパシタ96を充電する方向に流れて直流電源1の(+)端子に流れ込む。インバータ2の反対の端子に流れ込む電流IBNは直流電源1の(−)端子からの電流が流れ込む。
【0082】
半導体スイッチ素子92aをオンにしてから時間T1 後に半導体スイッチ素子92aをオフにしてモード1から図17(b)のモード2に移る。モード2では、半導体スイッチ素子91aおよび92aともオフであるので、インダクタ93に流れていた電流I93は半導体スイッチ91のダイオード91bを通って直流電源1に還流する。モード1で出力電圧平滑用キャパシタ96のエネルギーをインダクタ93に移し、このモードでインダクタ93に蓄えたエネルギーを直流電源1に移す。インバータ2から流れ出た電流IBPはモード1と同じく出力電圧平滑用キャパシタ96を通って直流電源1に流れ続ける。
【0083】
通常、インダクタ93の電流I93はインバータ2の電流IPPより大きくなるよう制御される。インダクタ93の直流電源1への還流電流の向きはインバータ2の電流IBPと同一
向きに流れる。モード2の期間、インバータ2の電流IBPは出力電圧平滑用キャパシタ96を充電する。図17(c)でE1 は直流電源1の電圧、E96は出力電圧平滑用キャパシタ96の電圧、EB はE1 の平均値電圧、EC はE96の平均値電圧を表している。
【0084】
次にチョッパの制動制御特性について説明する。チョッパの出力電圧EC (電圧平滑用キャパシタ96の電圧の平均値電圧)と直流電源1の電圧E1 との関係は前述の数式4〜数式6となる。EC 、EB 、IB 、IL およびαの関係は前述の図8と同じとなる。
【0085】
次に具体的なチョッパの制御について説明する。図18はインバータ2の入力電圧E2 について図8を再掲したものである。図18では、モータ3の回転数N1 まではチョッパ9の出力電圧はゼロとし、N1 から高速域で、出力している場合を示している。図示ではモータ3の回転数Nでチョッパ9の出力電圧はEC 、インバータ2の入力電圧E2 はE1 +EC となるよう制御していることを示している。NMAX はモータ3の最高回転数を示している。上述した制御は、力行運転ではチョッパ9の半導体スイッチ素子91aおよび制動運転ではチョッパ9の半導体スイッチ素子92aの通流率制御によって行われるが、半導体スイッチ素子91a、92aの制御は一般的なチョッパ制御と同じであるので、ここでの詳述は省略する。
【実施例10】
【0086】
図19の基本システムは図1の示した基本電気システムの直流電源1を電気二重層キャパシタ10とし(以下電気二重層キャパシタをEDLC(Electrical Double Layer Capacitor )と表わす)、このEDLC10には直流電源1からチョッパ11を介して給電するようにした電気システムである。
【0087】
図1および図13に示した電気システムの直流電源がバッテリー(化学電池)の場合、その電圧はほぼ一定となる。しかし、モータ3が高頻度で力行、制動運転が繰り返えされると、直流電源1の放電、充電動作のくり返し頻度が高くなり、バッテリーのサイクル寿命(許容サイクル数)が問題となる。この場合、バッテリーの交換が必要な場合がある。一方、EDLCはバッテリーに比べ、寿命が長く(許容サイクル数が高く)、充放電サイクル数が実用的に問題とならない蓄電デバイスであるが、充放電によって、その電圧は大きく変動する蓄電デバイスである。
【0088】
図20はEDLCを蓄電量と端子電圧の特性を示したものである。図20からEDLCは放電が進むほど電圧が低下する特性であることを示している。図26に示した電気システムの直流電源としてEDLCとした場合、放電が進むほど電圧が下がるので前述したように、図27の高速域では電池とした場合に比べて出力特性が更に悪化するので、直流電源としてサイクル耐量から望ましい電源であるが、出力特性が不十分な電気システムになってしまう。
【0089】
本発明の電気システムは、直流電源電圧以上の電圧をインバータに給電することができるので、EDLCをインバータの電源とする電気システムにはこの特性を発揮するシステムとなり、図19はその一実施例である。図19で、11は直流電源1からEDLC10への充電またはEDLC10から直流電源1への回生(EDLCの放電)を行うチョッパであり、このチョッパ11の制御は公知のEDLCの充放電制御であるので、ここでの説明は省略する。
【0090】
図21は、図19の電気システムを電気自動車に適用した場合の代表的な運転パターンの電力波形について示したものである。時間t1 から時間t2 が加速運転で車両は加速し、時間t2 で目標速度に入り、定速運転に入る。時間t3 で惰行運転に入り、時間t4 でブレーキ動作に入り、時間t5 で車両は停止する。時間t6 で再度車両は加速運転に入り
、時間t1 からの加速運転と同じ運転パターンに入る。図21で、力行運転の最大電力はPPMAXで、定速運転ではPSSで、一般的にはPPMAXの数分の1程度である。最大制動電力はPBMAXで、PPMAXより大きい。
【0091】
図21で、破線は時間t1 から時間t6 までのインバータの入力の平均電力を示したものである。すなわち、時間t1 から時間t4 までの電力はEDLC10から放電し(図中、右下がり斜線で表示した電力)、時間t4 から時間t5 ではEDLCに制動電力が吸収される(図中、左下がり斜線で表示した電力)。時間t1 から時間t6 までのEDLCの放電・充電電力の平均値がPAVE となるので、図19の電気システムでは、PAVE はチョッパ11の出力となる。
【0092】
図1、図13に示した実施例で、直流電源をバッテリーとした場合、図21に示したインバータ2の入力がそのまま、バッテリーの電力となるが、図19の実施例ではチョッパ11の出力は前述の平均電力になるので、バッテリーの電力は平均化され、且つ最大電力が大幅に低減される。上述のように、バッテリーのDODは大幅に小さくなるのでバッテリーの寿命が大幅に伸びる。
【実施例11】
【0093】
実施例11は、前述した燃料電池搭載車の課題解決のための実施例である。実施例11の基本電気システムを図22に示す。図22の基本システムは図19の基本電気システムの直流電源1を燃料電池12とし、燃料電池12からチョッパ13を介してEDLC14に給電するようにした電気システムである。電気システムとしての基本動作および基本性能は図19と同じであるので詳述は省略する。但し、図19のシステムでは直流電源1は回生電力の一部または全部を吸収するが、図22の直流電源は燃料電池12であるので電力は吸収出来ない。
【0094】
力行時、走行電力(インバータ電力)の平均電力を燃料電池12からチョッパ13を介して給電する。走行電力(インバータ電力)が燃料電池12の出力より大きい時は、この差電力はEDLC14から給電する。小さい時はその余剰電力はEDLC14に充電する。制動時、回生電力は全てEDLC14に回生する。図22の実施例では、14がEDLCの場合で説明したが、当然14をバッテリーに替えても適用できることは勿論である。
【実施例12】
【0095】
実施例12は、エンジン発電機により電池に給電して電池搭載車の課題解決のための実施例である。実施例12の基本電気システムを図23に示す。図23の基本システムは図1の基本電気システムの直流電源1を発電用エンジン15で駆動される発電機16から整流器17で直流電源18に給電するようにした電気システムである。電気システムとしての基本動作および基本性能は図1と同じであるので詳述は省略する。エンジン15から直流電源18を充電する技術につては公知であるのでここでの詳述は省略する。
【実施例13】
【0096】
実施例13は、本発明を電気自動車への適用した実施例である。図24は図1に示した本発明の電気システムを電気自動車に適用した電気システムの一例を示した図である。図24はインホイールモータ式の電気自動車で、4輪を個々のモータで駆動する4輪駆動電気自動車の例である。図24で図1と同じ構成要素は同じ番号で示してある。図24で100から103は車輪駆動部である。車両駆動部100はモータ3aを組み込んだインホイールモータ駆動車輪100aとインバータ2aで構成される。
【0097】
同様に車輪駆動部101は、車輪駆動部100と同じ構成で、モータ3bを組み込んだインホイールモータ駆動車輪100bとインバータ2bで構成され、車輪駆動部102は
モータ3cを組み込んだインホイールモータ駆動車輪100cとインバータ2cで構成され、車両駆動部103はモータ3dを組み込んだインホイールモータ駆動車輪100dとインバータ2dで構成される。2a、2b、2cおよび2dは図1に示したインバータ2に対応したインバータで直流電源1とチョッパ8と図示のように接続して直流電源1とチョッパ8の出力電圧とを加算した電圧を夫々のインバータ2a、2b、2c、2dに給電する。
【0098】
図24に示した電気自動車で、個々の車輪の駆動または制動とその制御については一般的な電気自動車の場合と同じであり、この説明は本発明の主旨ではないので詳述は省略する。また、図24は図1の電気システムを適用した実施例であるが、当然図13、図19、図22および図23に示した電気システムが適用できることは勿論である。図24で、駆動車輪数を2にすれば、電動バイクの場合となる。電動バイクについてもここでの詳述は省略する。
【実施例14】
【0099】
実施例14は、本発明をハイブリッド自動車への適用した実施例である。図25は図1に示した本発明の電気システムをハイブリッド自動車に適用した電気システムの一例を示した図である。図25は4輪のうち2輪をインホイールモータ式電気駆動とし、他の2輪はモータおよびエンジン駆動のパラレル方式のハイブリッド自動車の場合で示してある。図25でインホイールモータ式電気駆動部は図24と同じとして示し、同じ構成要素は同じ番号で示してある。図25で110はトランスミッションを組み込んだエンジンで、111はエンジン出力とモータ112の出力を結合する動力結合部である。動力結合部の出力は差動ギアー113で左右車輪114aと114bを駆動する。モータ112はインバータ115で駆動される。
【0100】
図25に示したハイブリッド自動車で、インホイールモータ式電気駆動の2輪およびモータ/エンジンパラレル駆動の他の2輪の駆動または制動とその制御については一般的な電気自動車およびハイブリッド自動車の場合と同じであるので、この説明は本発明の主旨ではないので詳述は省略する。また、図25は図1の電気システムを適用した実施例であるが、当然図12、図19、図22および図23の電気システムが適用できることは勿論である。
【0101】
電気駆動車両の回生制動力不足は、高速域での電動機電圧が電池電圧で決まった電圧以上に高められないことにある。本発明は、電池とインバータとの間にチョッパを接続してインバータの入力電圧が電池電圧とチョッパの出力電圧の和になるようにして電池電圧以上の電圧がインバータに印加できるようにする。このため、チョッパは入力端子の一方と出力端子の一方を共通にした出力電圧反転形電流双方向チョッパとして、電池の一方の端子からインバータの一方の端子に、チョッパの非共通端子からインバータの他方の端子に給電するようにする。本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明では、直流電源からインバータでモータを駆動し、モータ駆動時はインバータを介して電源に回生する電気システムであって、直流電源とインバータとの間にチョッパを等価的に直列に挿入して、チョッパの出力電圧を直流電源に重畳してその和の電圧をインバータに印加してインバータ入力電圧を直流電源の電圧以上にしてモータの中・高速域での電動機電圧を高めて高出力を得るようにした電気システムであるので次の産業分野の機器、システムに大いに利用可能である。
その1 車載電池を電源として走行する車両、例えば電気自動車、内燃機関・電池併用ハイブリッド自動車、電動バイクの電気システム。
その2 車載の燃料電池を電源として走行する燃料電池電気自動車の電気システム。
その3 車外の直流電源で駆動される電気鉄道車両の車両駆動電気システム
その4 建機の車両駆動および電気駆動の電気システム
【符号の説明】
【0103】
1、18 直流電源
2、2a〜2d インバータ
3、3a〜3d、112 モータ
4、5、11、13 出力電圧非反転形電流双方向昇圧(又は降圧)チョッパ
6 出力電圧非反転形電流双方向昇降圧チョッパ
7 出力電圧反転形電流単方向昇降圧チョッパ
8、9 出力電圧反転形電流双単方向昇降圧チョッパ
10、14 電気二重層キャパシタ
12 燃料電池
15 発電用エンジン
16 発電機
17 整流器
51 蓄電装置
61、62、63、64、71、81,82、91,92 半導体スイッチ
61a、62a、63a、64a、71a、81a、82a、91a、92a 半導体スイッチ素子
61b、62b、63b、64b、71b、72、81b、82b、91b、92b、87、97 ダイオード
65、73、83、93 インダクタ
76、84,94 共通端子線
66、74、85,95 チョッパ入力電圧平滑用キャパシタ
67、75、86、96 チョッパ出力電圧平滑用キャパシタ
100、101,102,103 車輪駆動部
100a、101a、102a、103a インホイールモータ駆動車輪
110 エンジン
111 動力結合部
113 デフギアー
114a、114b 車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子の一方と出力端子の一方とを共通端子とした出力電圧反転形電流双方向昇降圧チョッパの前記共通端子を直流電源の一方の端子に、前記チョッパの他方の入力端子を前記直流電源の他方の端子に接続するとともに、前記直流電源の前記他方の端子と前記チョッパの出力端子の前記他方の端子との間に負荷を接続し、前記チョッパを制御して前記負荷の電圧を前記直流電源の電圧以上にできるようにしたことを特徴とする電気システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電気システムにおいて、前記出力電圧反転形電流双方向昇降圧チョッパは、入力端子の一方と出力端子の一方の端子とを接続して共通端子とし、第1のダイオードを逆並列接続した第1の半導体スイッチと第2のダイオードを逆並列接続した第2の半導体スイッチとを直列接続してスイッチアームを構成し、前記スイッチアームの一端を入力端子の一方の端子とし、前記スイッチアームの他端を出力端子の一方の端子となるようにし、前記スイッチアームの前記第1の半導体スイッチと第2の半導体スイッチとの接続点と前記共通端子間にインダクタを接続し、前記入力端子間および前記出力端子間にそれぞれキャパシタを接続したことを特徴とする電気システム
【請求項3】
請求項2に記載の電気システムにおいて、前記出力端子間に接続した前記キャパシタに第3のダイードを前記キャパシタの印加電圧の正電位がカソードとなる向きに並列に接続したことを特徴とする電気システム
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電気システムにおいて、前記直流電源は、電池としたことを特徴とする電気システム。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電気システムにおいて、前記直流電源は、電池からチョッパを介して給電される電気二重層キャパシタとしたことを特徴とする電気システム
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電気システムにおいて、前記直流電源は、燃料電池からチョッパを介して給電される蓄電装置としたことを特徴とする電気システム
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電気システムにおいて、前記直流電源は、エンッジン発電機および整流器を介して給電される蓄電装置としたことを特徴とする電気システム
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電気システムにおいて、力行運転時で前記チョッパの出力電圧をほぼゼロにするときは、前記第1の半導体スイッチおよび第2の半導体スイッチをオフとしたことを特徴とする電気システム
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電気システムにおいて、回生運転時で前記チョッパの出力電圧をほぼゼロにするときは、前記第1の半導体スイッチはオフ動作、第2の半導体スイッチをオン動作としたことを特徴とする電気システム
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電気システムにおいて、力行運転時で、前記チョッパの出力電圧をゼロ以上にするときは、前記第2の半導体スイッチはオフ動作とし、第1の半導体スイッチを前記チョッパの出力電圧値に対応した規定の通流率でオンーオフ制御するようにしたことを特徴とする電気システム
【請求項11】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電気システムにおいて、回生運転時で、前記チョッパの出力電圧をゼロ以上にするときは、前記第1の半導体スイッチはオフ動作とし、第2の半導体スイッチを前記チョッパの出力電圧値に対応した規定の通流率でオンーオフ制御するようにしたことを特徴とする電気システム
【請求項12】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電気システムにおいて、力行運転時で前記チョッパの前記第1の半導体スイッチおよび第2の半導体スイッチをオフにして前記チョッパの出力電圧をほぼゼロの状態から規定電圧値の状態に立ち上げる場合、前記第1の半導体スイッチの通流率を零から規定の通流率にまで規定時間で増加させるようにしたことを特徴とする電気システム
【請求項13】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電気システムにおいて、制動運転時で前記チョッパの前記第1の半導体スイッチをオフ、第2の半導体スイッチをオンにして前記チョッパの出力電圧をほぼゼロの状態から規定電圧値の状態に立ち上げる場合、前記第2の半導体スイッチの通流率を1から規定の通流率にまで規定時間で低減させるようにしたことを特徴とする電気システム
【請求項14】
車輪に連結した電動機を車載の直流電源からインバータを介して駆動する車輪駆動システムを少なくとも1組以上備えた電動車両として、前記直流電源に前記請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の電気システムを適用したことを特徴とする電動車両。
【請求項15】
車載の直流電源を動力源としてインバータと電動機を介して又は/および車載のエンジンを動力源として車輪を駆動するハイブリッド自動車として、前記直流電源に前記請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の電気システムを適用したことを特徴とするハイブリッド自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2012−157152(P2012−157152A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13689(P2011−13689)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(511023060)
【Fターム(参考)】