説明

電気光学装置、電子機器

【課題】データ線の配線構造に起因する寄生容量によって生ずるスジ状の系列的な表示ムラが改善された電気光学装置、この電気光学装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】電気光学装置としての液晶装置100は、画像信号が供給される画像信号線111と、データ線6aと、データ線6aと画像信号線111との間に電気的に接続され、画像信号をデータ線6aに供給する第1および第2トランジスターとしてのサンプリングトランジスター(S−TFT)71と、を備え、S−TFT71のゲート電極とデータ線6aとが絶縁膜を介して重なるオーバーラップ量が異なる少なくとも2種のS−TFT71を備えた。これにより、ゲート電極とデータ線6aとの間に寄生容量が生じ、オーバーラップ量を異ならせることで、それぞれのデータ線6aが構造的に有する寄生容量を調整することができ、スジ状の系列的な表示ムラを改善できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、電気光学装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記電気光学装置として、基板上において行列状に配置された画素の列ごとに配線された信号線の本数がn本のとき、n本の信号線のそれぞれに対してN(Nは2以上の整数)本を単位として、隣り合う2本ずつの信号線間に出力端が位置するように配置されたn/N本のビデオ線と、ビデオ線の出力端と2本ずつの信号線との間に接続されたスイッチ手段と、スイッチ手段のオンオフを切り替えるための複数のスイッチ制御線とを備えた表示装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1の表示装置では、スイッチ制御線のそれぞれは、それぞれに対応するスイッチ手段と接続配線とを介して接続され、かつ全ての接続配線がビデオ線にオーバーラップする状態またはオーバーラップしない状態で形成されている。これにより、配線のレイアウトの対称性を確保しようとした場合、スイッチ制御線につながる接続配線とビデオ線とのカップリング容量が均一化されるので、該カップリング容量が異なることに起因して画面上で発生する縦スジ状のノイズを防止できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−322959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の表示装置では、信号線側から見るとビデオ信号と上記スイッチ手段としてのトランジスターのゲート信号の立ち上がりのタイミングを均一化できるが、信号線の寄生容量に起因するスジ状の系列的な表示ムラを解決することはできないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例の電気光学装置は、画像信号が供給される画像信号線と、第1のデータ線と、第2のデータ線と、前記第1のデータ線と前記画像信号線との間に電気的に接続され、前記画像信号を前記第1のデータ線に供給する第1トランジスターと、前記第2のデータ線と前記画像信号線との間に電気的に接続され、前記画像信号を前記第2のデータ線に供給する第2トランジスターと、を備え、前記第1ランジスターのゲート電極と前記第1のデータ線とが絶縁膜を介して重なるオーバーラップ量と、前記第2トランジスターのゲート電極と前記第2のデータ線とが絶縁膜を介して重なるオーバーラップ量とが異なることを特徴とする。
【0008】
複数のデータ線は、配線としてのレイアウト(配置)によって、それぞれのデータ線に生ずる寄生容量が必ずしも一定とならないことがある。それぞれのデータ線に生ずる寄生容量に起因してそれぞれのデータ線に供給される画像信号の電位が変動すると、当該データ線に沿って配列した複数の画素電極に亘ってスジ状の系列的な表示ムラが生じることがある。
この構成によれば、第1および第2トランジスターの半導体層上においてゲート電極とそれぞれのトランジスターに対応するデータ線とを重ねることで付加的に生じさせた寄生容量により、第1および第2トランジスターのON−OFF時に半導体層を介してゲート電極と当該データ線との間に電荷の移動が生ずるフィードスルー現象が起る。これにより、当該データ線を介して画素電極に書き込まれる画像信号に応じた電位が低下することになる。したがって、例えば上記スジ状の系列的な表示ムラを生じさせている第1のデータ線と、第1のデータ線に隣り合う第2のデータ線とにそれぞれ対応する第1および第2トランジスターのゲート電極と当該データ線とのオーバーラップ量を異ならせることで、双方のデータ線から画素電極に供給される画像信号に応じた電位の差を緩和して、上記スジ状の表示ムラを目立ち難くすることができる。つまり、上記オーバーラップ量が異なる第1および第2トランジスターを少なくとも有することで、スジ状の系列的な表示ムラを改善できる。また、各トランジスターにおけるゲート電極とデータ線とのオーバーラップ量をそれぞれのデータ線に対応させて設定すれば、それぞれのデータ線が構造的に有する寄生容量の差を緩和することができるため、スジ状の系列的な表示ムラを低減して均一な表示品質を有する電気光学装置を提供できる。
【0009】
[適用例2]上記適用例の電気光学装置において、前記画像信号線は、前記第1トランジスターに電気的に接続された第1画像信号線と、前記第2トランジスターに電気的に接続された第2画像信号線と、を有し、前記第1トランジスターのゲート電極と前記第2トランジスターのゲート電極に、同相の選択信号を供給する選択信号供給手段を備えることを特徴とする。
この構成によれば、第1および第2トランジスターが同相の選択信号によりスイッチング制御され、第1のデータ線と第2のデータ線とにほぼ同時に画像信号が供給される相展開駆動が適用された電気光学装置において、画像信号線の系列内あるいは系列間における系列的な表示ムラを低減することができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例の電気光学装置において、前記第1トランジスターのゲート電極に電気的に接続され、且つ、第1選択信号が供給される第1選択信号供給線と、前記第2トランジスターのゲート電極に電気的に接続され、且つ、前記第1選択信号とは異なるタイミングで第2選択信号が供給される第2選択信号供給線と、前記第1選択信号及び前記第2選択信号を供給する選択信号供給手段と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、例えばハイビジョンなどの多数の画素を備えた電気光学装置において、同一タイミングで選択信号が供給されるデータ線の系列内あるいは異なるタイミングで第1選択信号と第2選択信号とが供給される異なる系列のデータ線の構造的な寄生容量に起因する系列的な表示ムラを低減することができる。
【0011】
[適用例4]上記適用例の電気光学装置において、走査線と、前記走査線と前記第1のデータ線との交差に応じて設けられた第1画素と、前記走査線と前記第2のデータ線との交差に応じて設けられた第2画素と、を備え、前記第1画素は、奇数行に位置し、前記第2画素は偶数行に位置することを特徴とする。
この構成によれば、奇数行の第1画素に対応する第1のデータ線と、偶数行の第2画素に対応する第2のデータ線とにおいて、それぞれの配線構造に起因する寄生容量を調整して、奇数行と偶数行とにおける系列的な表示ムラを低減することができる。
【0012】
[適用例5]上記適用例の電気光学装置において、前記第1のデータ線は、前記第2のデータ線の下層に位置し、前記第1トランジスターのゲート電極と前記第1のデータ線とが絶縁膜を介して重なるオーバーラップ量は、前記第2トランジスターのゲート電極と前記第2のデータ線とが絶縁膜を介して重なるオーバーラップ量よりも大きいことを特徴とする。
この構成によれば、例えば基板上において下層と上層とに重畳された第1のデータ線と第2のデータ線とにおいて、基板に近い方の第1のデータ線の構造的な寄生容量は、基板から遠い方の第2のデータ線の構造的な寄生容量に比べて小さくなる。それゆえに、基板に近い方の第1のデータ線に電気的に接続される第1トランジスターにおいてゲート電極と第1のデータ線とが絶縁膜を介して重なるオーバーラップ量を第2トランジスターのオーバーラップ量よりも大きくすることで、第1のデータ線の構造的な寄生容量を基板から遠い方の第2のデータ線に対して補正することができる。つまり、第1のデータ線と第2のデータ線のそれぞれに供給された画像信号に基づく電位を第2のデータ線を基準として第1のデータ線側を適正化できる。
【0013】
[適用例6]上記適用例の電気光学装置において、前記第2トランジスターのゲート電極は、前記第2のデータ線と絶縁膜を介して重ならないように形成されることを特徴とする。
この構成によれば、第2トランジスターにおけるゲート電極と第2のデータ線とのオーバーラップ量が0(ゼロ)となるため、より簡素な構成で第1のデータ線と第2のデータ線とにおける構造的な寄生容量の差を低減できる。
【0014】
[適用例7]本適用例の電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、スジ状の系列的な表示ムラが低減され、見栄えがよい表示が可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、(b)は、(a)に示す液晶装置のH−H’線に沿う概略断面図。
【図2】(a)は液晶装置の主要な回路構成を示す回路図、(b)は画素回路を示す等価回路図。
【図3】(a)はサンプリング回路におけるトランジスターの構成を示す概略平面図、(b)は(a)のA−A’線で切ったトランジスターの概略断面図。
【図4】サンプリング回路の等価回路図。
【図5】第2実施形態の液晶装置における主要な回路構成を示す回路図。
【図6】第3実施形態の液晶装置における主要な回路構成を示す回路図。
【図7】投射型表示装置の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0017】
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0018】
(第1実施形態)
本実施形態では、電気光学装置として薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
【0019】
<液晶装置>
まず、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置について、図1を参照して概略の構成を説明する。図1(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、同図(b)は、同図(a)に示す液晶装置のH−H’線に沿う概略断面図である。
【0020】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置100は、対向配置された素子基板10および対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10および対向基板20は、透明な例えば石英基板やガラス基板が用いられている。
【0021】
素子基板10は対向基板20よりも一回り大きく、両基板は、額縁状に配置されたシール材40を介して接合され、その隙間に正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50を構成している。シール材40は、例えば熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
【0022】
額縁状に配置されたシール材40の内側には、同じく額縁状に見切り部21が設けられている。見切り部21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、見切り部21の内側が複数の画素Pを有する画素領域Eとなっている。なお、画素領域Eは、表示に寄与する複数の画素Pに加えて、複数の画素Pを囲むように配置されたダミー画素を含むとしてもよい。また、図1では図示省略したが、画素領域Eにおいて複数の画素Pをそれぞれ平面的に区分する遮光部が設けられている。
【0023】
素子基板10の1辺部に沿ったシール材40と該1辺部との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材40の内側に検査回路103が設けられている。さらに、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材40の内側に走査線駆動回路102が設けられている。該1辺部と対向する他の1辺部のシール材40の内側には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。
【0024】
これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続用端子104に接続されている。以降、該1辺部に沿った方向をX方向とし、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。なお、検査回路103の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路101と画素領域Eとの間のシール材40の内側に沿った位置に設けてもよい。
【0025】
図1(b)に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた透光性の画素電極15およびスイッチング素子である薄膜トランジスター(Thin Film Transistor、以降、TFTと呼称する)30と、信号配線と、これらを覆う配向膜18とが形成されている。また、TFT30における半導体層に光が入射してスイッチング動作が不安定になることを防ぐ遮光構造が採用されている。
【0026】
対向基板20の液晶層50側の表面には、見切り部21と、これを覆うように成膜された層間膜層22と、層間膜層22を覆うように設けられた共通電極23と、共通電極23を覆う配向膜24とが設けられている。
【0027】
見切り部21は、図1(a)に示すように平面的に走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置において額縁状に設けられている。これにより対向基板20側から入射する光を遮蔽して、これらの駆動回路を含む周辺回路の光による誤動作を防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が画素領域Eに入射しないように遮蔽して、画素領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
【0028】
層間膜層22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して見切り部21を覆うように設けられている。このような層間膜層22の形成方法としては、例えばプラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
【0029】
共通電極23は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなり、層間膜層22を覆うと共に、図1(a)に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
【0030】
画素電極15を覆う配向膜18および共通電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。例えば、ポリイミドなどの有機材料を成膜して、その表面をラビングすることにより、液晶分子に対して略水平配向処理が施されたものや、気相成長法を用いてSiOx(酸化シリコン)などの無機材料を成膜して、液晶分子に対して略垂直配向させたものが挙げられる。
【0031】
このような液晶装置100は透過型であって、画素Pが非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードや、非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
【0032】
次に、図2〜図4を参照して、液晶装置100の電気的な構成について説明する。図2(a)は液晶装置の主要な回路構成を示す回路図、同図(b)は画素回路を示す等価回路図、図3(a)はサンプリング回路におけるトランジスターの構成を示す概略平面図、同図(b)は同図(a)のA−A’線で切ったトランジスターの概略断面図、図4はサンプリング回路の等価回路図である。
【0033】
図2(a)に示すように、液晶装置100は、素子基板10上の画素領域Eの周辺に位置する周辺領域に形成された、データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、サンプリング回路7などの駆動回路と、外部接続用端子104及び静電保護回路410を有している。さらに、外部接続用端子104に接続された、データ線駆動回路101に電源(VDDX、VSSX)を供給するためのデータ線駆動回路用電源配線91、データ線駆動回路101に駆動用の信号を供給するためのデータ線駆動回路用信号配線92、走査線駆動回路102に電源(VDDY、VSSY)を供給するための走査線駆動回路用電源配線94、走査線駆動回路102に駆動用の信号を供給するための走査線駆動回路用信号配線95、画像信号(VID1〜VID6)を供給するための複数の画像信号線111などを含む複数の引回配線を有している。
【0034】
データ線駆動回路101には、外部回路から外部接続用端子104及びデータ線駆動回路用信号配線92を介してXクロック信号CLX(及び反転Xクロック信号CLXB)、及びXスタートパルスDXが供給される。データ線駆動回路101は、XスタートパルスDXが入力されると、Xクロック信号CLX(及び反転Xクロック信号XCLXB)に基づくタイミングで、選択信号S1,S2,…,Snを順次生成して複数の選択信号供給線121にそれぞれ出力する。
【0035】
走査線駆動回路102には、外部回路から外部接続用端子104及び走査線駆動回路用信号配線95を介してYクロック信号CLY(及び反転Yクロック信号CLYB)、Yスタートパルス信号DYが供給される。走査線駆動回路102は、これらの信号に基づいて走査信号G1,G2,…,Gmを順次生成して複数の走査線3aにそれぞれ出力する。
【0036】
サンプリング回路7は、Nチャネル型の片チャネル型TFT、もしくは相補型のTFTから構成された本発明における第1および第2トランジスターとしてのサンプリングトランジスター(以降、S−TFTと称する)71を複数備えている。互いに隣り合う6本のデータ線6aがそれぞれ接続された6個のS−TFT71のゲートは1つに纏められて1本の選択信号供給線121に接続されている。つまりデータ線駆動回路101から各選択信号S1,S2,…,Snが6個のS−TFT71を1つの単位(系列)として供給される。1つの単位(系列)を構成する6個のS−TFT71のソースには6本の画像信号線111のうちいずれかが接続されている。S−TFT71のドレインにはデータ線6aが接続されている。サンプリング回路7は、選択信号S1,S2,…,Snが入力されると、1つの単位(系列)を構成する6個のS−TFT71に対応するデータ線6aに選択信号S1,S2,…,Snに応じて画像信号(VID1〜VID6)を順次供給する。
【0037】
静電保護回路410は、データ線駆動回路用電源配線91、データ線駆動回路用信号配線92、走査線駆動回路用電源配線94、走査線駆動回路用信号配線95の各々の途中に形成されている。静電保護回路410の具体的構成としては、例えばダイオード接続されたTFTを介して、或いはダイオードを介してデータ線駆動回路用電源配線91、データ線駆動回路用信号配線92、走査線駆動回路用電源配線94、走査線駆動回路用信号配線95の各々が定電位の配線に接続された形式のものなど、既存の各種形式の静電保護回路を採用可能である。
【0038】
図2(a)および(b)に示すように、液晶装置100には、前述したように、素子基板10の中央部分を占める画素領域Eに、マトリックス状に配列された複数の画素Pを有している。
【0039】
複数の画素Pには、それぞれ、画素電極15と当該画素電極15をスイッチング制御するためのTFT30と、保持容量16とが形成されている。画像信号(VID1〜VID6)が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。走査信号G1,G2,…,Gmが供給される走査線3aが当該TFT30のゲートに接続されている。画素電極15と保持容量16の一方の電極がTFT30のドレインに接続されている。保持容量16の他方の電極は走査線3aと並行して配置された容量線3bに接続されている。容量線3bは、データ線6aと並行に配置される、もしくはマトリックス状に配置されてもよく、固定電位(例えばLCCOM)に接続されている。
【0040】
サンプリング回路7の6個を1つの単位(系列)としたS−TFT71に供給される選択信号S1,S2,…,Snは、この順に順次に供給してもよいし、隣り合う6本のデータ線6aに対応するS−TFT71に対して、系列ごとに供給するようにしてもよい。なお、図2(a)に示すように、本実施形態においては、選択信号S1,S2,・・・,Snは、6相にシリアル−パラレル展開された画像信号(VID1〜VID6)の夫々に対応して、6本のデータ線6aの組に対してグループ(系列)ごとに供給されるよう構成されている。画像信号(VID1〜VID6)の相展開数(即ち、シリアル−パラレル展開される画像信号の系列数)に関しては、6相に限られるものでなく、例えば、9相、12相、24相など、複数相に展開された画像信号が、その展開数に対応した数を一組としたデータ線6aの組に対して供給されるように構成してもよい。
【0041】
走査線3aには走査線駆動回路102から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1,G2,…,Gmが、この順に順次印加される構成となっている。前述したように、画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されており、走査信号G1,G2,…,GmによってTFT30が一定期間だけON状態となり、データ線6aから供給される画像信号(VID1〜VID6)が画素電極15に所定のタイミングで書き込まれる。
さらに、各画素Pに保持された画像信号(VID1〜VID6)がリークするのを防ぐために、画素電極15と共通電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が付加されている。
【0042】
画素電極15を介して液晶層50(図1(b)参照)に書き込まれた所定レベルの画像信号(VID1〜VID6)は、対向基板20に形成された共通電極23との間で一定期間保持される。液晶層50は、印加される電圧レベルにより液晶分子の配向や秩序が変化することにより、液晶層50を透過する光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素Pの単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少して暗表示となり、ノーマリーブラックモードであれば、各画素Pの単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加して明表示となり、全体として液晶装置100からは画像信号(VID1〜VID6)に応じたコントラストをもつ表示光が射出され、表示が行われる。なお、画像信号(VID1〜VID6)は、液晶層50を交流駆動するために基準電位に対して正の極性を有する電位パルスと負の極性を有する電位パルスとが組み合わされて構成される。
【0043】
上記のような液晶装置100の駆動方式は相展開駆動方式と呼ばれている。画素領域Eにおいて、複数の走査線3aや複数の容量線3bと交差するように配置された複数のデータ線6aは、これらの走査線3aや容量線3bとの相対的な配置関係によって構造的に必ずしも一定の寄生容量を有するとは限らない。また、複数のデータ線6aを形成したときのそれぞれのレイアウトによっても寄生容量がばらつくおそれがある。相展開駆動方式では、特に、特許第4044961号公報の図15のように、サンプリング回路、選択信号S1,S2,…,Snを供給する配線や画像信号線は、展開数に対応した数を一組としたデータ線6aの組に応じて配線や回路がレイアウトされ、この組を単位に駆動する。したがって、この組の中で寄生容量がばらつくおそれがある。例えば、特定のデータ線6aにおける構造的な寄生容量が隣り合うデータ線6aに比べて電気的に著しく大きいまたは小さいと、隣り合うデータ線6a間で画像信号に応じて供給される電位に差が生じ、結果的に特定のデータ線6aに沿って配列した複数の画素電極15の列に亘って書き込まれる電位が変化するので、スジ状の系列的な表示ムラが生ずることがあった。発明者は、サンプリング回路7におけるS−TFT71の構成を工夫することで、このようなスジ状の系列的な表示ムラを改善できることを見出した。
【0044】
以降、図3〜図4を参照して、サンプリング回路7のサンプリングトランジスター(S−TFT)71の構成について説明する。
図3(a)に示すように、S−TFT71は、平面視で略矩形状の半導体層71aを有している。半導体層71aの上面に第2絶縁膜12b(ゲート絶縁膜)を介して選択信号供給線121が重なり合って配置されており、半導体層71aと選択信号供給線121とが重なり合った部分がS−TFT71のゲート電極71gとして機能している。データ線6aと画像信号線111とは、S−TFT71のチャネル幅方向に沿って半導体層71aと重なり合うと共に、S−TFT71のチャネル長方向においてゲート電極71gを挟むように並列に配置されている。データ線6aは半導体層71aと重なる部分において線幅が本線に比して拡張されており、その一部がゲート電極71gと重なり合っている。図3(a)および(b)に示した寸法Lは、ゲート電極71gとデータ線6aの拡張部分とのオーバーラップ量を示している。
画像信号線111は、半導体層71aのS−TFT71のチャネル幅方向に沿って配置された複数のコンタクトホールCNT1を介して半導体層71aの第1ソース・ドレイン領域に接続され、半導体層71aと重なった部分がソース電極72として機能している。
データ線6aは、半導体層71aの同じくS−TFT71のチャネル幅方向に沿って配置された複数のコンタクトホールCNT2を介して半導体層71aの第2ソース・ドレイン領域に接続され、半導体層71aと重なった部分がドレイン電極73として機能している。
【0045】
図3(b)に示すように、S−TFT71の半導体層71aは、素子基板10上において、遮光部11を覆う第1絶縁膜12a上に形成されている。遮光部11は、例えばTi、Cr、W、Ta、Mo、Pdなどの高融点金属の単体、これらの高融点金属から選ばれる合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したものなどを採用することができる。第1絶縁膜12aは、例えばCVD法を用いて形成された酸化シリコンなどからなる無機絶縁膜である。
半導体層71aは、例えばポリシリコンからなり、不純物イオンを選択的に注入することで形成されたLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用することができる。具体的には、チャネル領域71cと、チャネル領域71cを挟む第1ソース・ドレイン領域71sおよび第2ソース・ドレイン領域71dと、第1ソース・ドレイン領域71sとチャネル領域71cとの間に形成された接続領域71eと、チャネル領域71cと第2ソース・ドレイン領域71dとの間に形成された接続領域71fとを有している。
【0046】
半導体層71aを覆って例えば酸化シリコンなどからなる第2絶縁膜12b(ゲート絶縁膜)が形成される。第2絶縁膜12bのチャネル領域71cと重なるように選択信号供給線121が形成され、ゲート電極71gとして機能している。選択信号供給線121は、例えばポリシリコンやAl、Ag、Au、Cuなどの低融点金属、W、Tiなどの高融点金属の単体、これらの高融点金属から選ばれる合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したものなどを採用することができる。ゲート電極71gを覆って例えば酸化シリコンなどからなる本発明における絶縁膜としての第3絶縁膜12cが形成される。
【0047】
第2絶縁膜12bおよび第3絶縁膜12cの第1ソース・ドレイン領域71sと重なる部分にコンタクトホールCNT1が形成され、同じく第2ソース・ドレイン領域71dと重なる部分にコンタクトホールCNT2が形成される。これらのコンタクトホールCNT1,CNT2を埋めるようにして、例えばAlなどの低抵抗導電膜を成膜し、これをパターニングすることにより、コンタクトホールCNT1を介して第1ソース・ドレイン領域71sに電気的に接続された画像信号線111が形成される。同様にして、コンタクトホールCNT2を介して第2ソース・ドレイン領域71dに電気的に接続されたデータ線6aが形成される。このとき、データ線6aは、ゲート電極71gに対してオーバーラップ量Lを有して重なり合うようにパターニング形成される。
【0048】
上記のように、オーバーラップ量Lを有してデータ線6aとゲート電極71gとを第3絶縁膜12cを介して重ねることにより、図4に示すように、サンプリング回路7のS−TFT71において、データ線6a(ドレイン電極73)とゲート電極71gとの間に寄生容量C1を生じさせることができる。この寄生容量C1により、S−TFT71のON−OFF時に半導体層71aを介してゲート電極71gとデータ線6aとの間に電荷の移動が生ずるフィードスルー現象が起る。これにより、データ線6aと画素Pのスイッチング素子であるTFT30とを介して画素電極15に書き込まれる画像信号(VID1〜VID6)に応じた電位が低下することになる。
【0049】
したがって、例えばスジ状の系列的な表示ムラを生じさせているデータ線6a(第1のデータ線)と、該データ線6aに隣り合うデータ線6a(第2のデータ線)とにそれぞれ対応する2つのS−TFT71のゲート電極71gとデータ線6aとのオーバーラップ量Lを異ならせることで、双方のデータ線6aから画素電極15に供給される画像信号(VID1〜VID6)に応じた電位の差を緩和して、スジ状の系列的な表示ムラを目立ち難くすることができる。また、S−TFT71におけるゲート電極71gとデータ線6aとのオーバーラップ量L、つまり寄生容量C1の電気容量をそれぞれのデータ線6aに対応させて設定すれば、それぞれのデータ線6aが構造的に有する寄生容量の差を補って緩和することができるため、スジ状の系列的な表示ムラが低減され均一な表示品質を実現することができる。
【0050】
例えば、ゲート電極71gとして機能する選択信号供給線121の線幅を5μmとしたときに、上記オーバーラップ量Lを0.5μm以上、5.0μm以下の寸法で設定することで、第3絶縁膜12cを介して寄生容量C1が構成される。構成される寄生容量C1の値は、第3絶縁膜12cの誘電率と膜厚、およびオーバーラップした面積に依存し、第3絶縁膜12cは、例えば熱CVDやプラズマCVDを用いて形成されたシリコン酸化膜であり、その膜厚は200nmから1μmである。上記のような構成において、オーバーラップ量Lを設定することで、オーバーラップさせない場合に比べて、ゲート電極71gとデータ線6aとの間の寄生容量C1を増大させることができ、それぞれのデータ線6aが構造的に有する寄生容量の差を補って緩和することができる。即ち、ゲート電極71g以外の配線、例えば容量線3bとの間の寄生容量が、他のデータ線6aよりも小さいデータ線6aに接続されたドレイン電極73に、所望のオーバーラップ量Lを設定することで、フィードスルー現象を助長し、書込み後の電位を他のデータ線6aと同等に揃える事が可能になる。また例えば、レイアウト上でゲート電極71gの配線との寄生容量が、他のデータ線6aよりも小さいデータ線6aに接続されたドレイン電極73に、所望のオーバーラップ量Lを設定することでも、書込み後の電位を他のデータ線6aと同等に揃える事が可能になる。
【0051】
なお、このようなS−TFT71における寄生容量C1の設定方法は、前述した相展開駆動における画像信号の系列(VID1〜VID6)のそれぞれにおいて同相で駆動されるデータ線6aに電気的に接続されるS−TFT71のうち、少なくとも1つのS−TFT71のオーバーラップ量Lが他のS−TFT71に対して異なるように設定すれば、その効果を引き出すことができる。言い換えれば、液晶装置100は、ゲート電極71gとデータ線6aとが第3絶縁膜12cを介して重なるオーバーラップ量Lが異なる少なくとも2種以上のS−TFT71を有する。
オーバーラップ量Lが異なるとは、一方のS−TFT71においてオーバーラップ量Lが「0」つまり、ゲート電極71gとデータ線6aとが重なり合っていないものも含んでいてもよい。例えば、S−TFT71の上記オーバーラップ量Lが「0」の特定のデータ線6aにおける構造的な寄生容量を基準として、他のデータ線6aにおける構造的な寄生容量との間に差が生じないように、他のデータ線6aに接続されるS−TFT71の寄生容量C1の大きさを調整してもよい。
【0052】
このようにデータ線6aごとの構造的な寄生容量を調整する方法として、データ線6aごとに付加容量を接続させる方法も考えられる。しかしながら、付加容量を形成するには、付加容量を形成するスペースを素子基板10上に確保する必要がある。また、付加容量を構成する一対の電極と、該一対の電極に挟まれた誘電体層とを形成する必要があり、液晶装置100の設計や製造が複雑になる。さらには、画素領域Eに延在するデータ線6aの末端側に付加容量を形成すると、製造工程中に発生した静電気等の影響を受け易く、最悪の場合には付加容量が静電気によって破壊され、例えば電気的に短絡状態となってしまうことがある。本実施形態におけるS−TFT71に寄生容量C1を形成する構成は、上記のような付加容量の問題を回避して、データ線6aごとの構造的な寄生容量を調整することが可能である。
【0053】
以上に述べた前記実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)液晶装置100は、6本を1つの単位(系列)としたデータ線6aがサンプリング回路7の6個のS−TFT71にそれぞれ接続され、データ線6aごとに画像信号線111から供給される画像信号(VID1〜VID6)が選択的に供給される。S−TFT71におけるゲート電極71gとデータ線6aとのオーバーラップ量Lを異ならせてデータ線6aが構造的に有する寄生容量の値を調整することが可能であるため、データ線6aの構造的な寄生容量に起因するスジ状の系列的な表示ムラを目立たなくすることができる。つまり、スジ状の系列的な表示ムラが低減され、見栄えのよい表示品質を有する相展開駆動方式の液晶装置100を提供することができる。
(2)S−TFT71のゲート電極71gとデータ線6aとの間に付加的に寄生容量C1を形成して、データ線6aが構造的に有する寄生容量を調整可能であるため、データ線6aごとに付加容量を接続させて構造的な寄生容量を調整する場合に比べて、簡単な構成で且つ静電気などに対して耐性を有し、効率的に且つ歩留まりよく液晶装置100を製造することができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の液晶装置について、図5を参照して説明する。図5は第2実施形態の液晶装置における主要な回路構成を示す回路図である。第2実施形態における液晶装置は、第1実施形態の液晶装置100に対して、複数のデータ線6aの駆動方式を異ならせたものである。したがって、液晶装置100と同じ構成には同じ符号を付して詳細の説明は省略するものとする。
【0055】
図5に示すように、本実施形態の液晶装置200は、素子基板10側の画素領域Eにおいて、複数の走査線3aと複数のデータ線6aとにより区分され、マトリックス状に配置された複数の画素Pを有している。また、画素Pを駆動する駆動回路としての半導体集積回路(IC)201と、走査線駆動回路202と、マルチプレクサー回路207とを備えている。また、外部接続用端子104に接続された選択信号供給手段としての半導体集積回路201から選択信号(SEL1〜SEL8)が供給される複数(8本)の選択信号供給線208を有している。なお、図5では半導体集積回路201と選択信号供給線208とを繋ぐ配線を図示省略している。
【0056】
マルチプレクサー回路207は、複数のデータ線6aのそれぞれに対応する複数のサンプリングトランジスター(S−TFT)71を有している。複数のデータ線6aは、選択信号供給線208の本数を単位としてブロック化(系列化)されている。以降、ブロック化(系列化)された複数(8本)のデータ線6aをデータ線群6agと呼ぶこととする。
【0057】
例えば、左側のデータ線群6agでは、ブロック化(系列化)された8本のデータ線6aはそれぞれS−TFT71のドレインに接続されている。8個のS−TFT71のソースに接続された配線は1つに纏められて、半導体集積回路(以降、単にICと称することもある)201から供給される画像信号(VID1〜VIDn)のうち画像信号VID1が供給される画像信号線211に接続されている。8個のS−TFT71のゲートのそれぞれには、選択信号供給線208が供給される選択信号(SEL1〜SEL8)の順に左側から接続されている。つまり、選択信号供給線208の本数を単位として、複数のデータ線6aがブロック化(系列化)され、データ線群6agごとに1の画像信号線211が接続されて、選択信号(SEL1〜SEL8)に基づいて時分割で駆動される構成となっている。なお、右側のデータ線群6agにおいても同様な構成となっている。このような駆動方式は、走査線駆動回路202は素子基板10に形成されているが、半導体集積回路201は外付けのICで構成されていることから、ハイブリッド駆動方式と呼ばれている。
【0058】
例えば、640×480の画素Pの構成では、640本のデータ線6aと480本の走査線3aとを有し、640本のデータ線6aが8本ずつブロック化(系列化)されるので、画像信号線211の数は80本となり、IC201からは画像信号(VID1〜VID80)が供給される。走査線駆動回路202は、ある1フレーム(第nフレーム)の期間にわたって走査信号G1,…,G480を1水平期間毎に順次排他的にHレベル(即ち、選択電圧)とする。
【0059】
ここで、1水平期間では、半導体集積回路201から供給される選択信号SEL1〜SEL8は、この順番で排他的にHレベルとなり、この供給に合わせてIC201は、画像信号線211に画像信号VID1〜VID80を供給する。画像信号VID1〜VID80は、1、2、3、…、80番目のデータ線群6agのそれぞれにおける、8系列のデータ線6aに対応して8系列に時系列化されたデータ電圧を有する。マルチプレクサー回路207においては、8系列の選択信号SEL1〜SEL8に応じて、S−TFT71により画像信号VID1〜VID80のそれぞれの時系列化されたデータ電圧はそれぞれ時分割され、各データ線群6agにおける8系列のデータ線6aに振り分けられる。
【0060】
詳細には、IC201は、j行目の走査信号Gj(j=1、…、480)がHレベルとなる期間において、選択信号SEL1がHレベルとなったとき、j行目走査線3aと第1系列のデータ線6aとの交差に対応する画素Pの階調に応じた電圧だけ対向基板20の共通電極23の電位(LCCOM)に対して高位または低位の画像信号VID1〜VID80)を、1、2、3、…、80番目のデータ線群6agに対応させて一斉に出力する。この際、選択信号SEL1だけがHレベルであるので、第1系列のデータ線6aが選択され(即ち、第1系列のデータ線6aに対応するS−TFT71だけがONとなり)、画像信号VID1〜VID80は、それぞれ第1系列(1、9、…、633列目)のデータ線6aに供給される。一方、走査信号GjがHレベルであると、j行目に位置する画素Pのすべてにおいて、画素Pのスイッチング用のTFT30がON状態となるので、第1系列のデータ線6aに供給された画像信号VID1〜VID80は、それぞれj行1列、j行9列、…、j行633列の画素電極15に印加されることになる。
【0061】
次に、IC201は、選択信号SEL2がHレベルとなったとき、今度はj行目の走査線3aと第2系列のデータ線6aとの交差に対応する画素Pの階調に応じた電圧の画像信号VID1〜VID80を、1、2、3、…、80番目のデータ線群6agに対応させて一斉に出力する。この際、選択信号SEL2だけがHレベルであるため、第2系列のデータ線6aが選択され、画像信号VID1〜VID80は、それぞれ第2系列(2、10、…、634列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれj行2列、j行10列、…、j行634列の画素電極15に印加されることになる。
【0062】
同様にして、j行目の走査信号GjがHレベルとなる期間において、選択信号SEL3〜SEL8の選択状態に応じて、j行目の走査線3aと第3〜第8系列のデータ線6aとの交差に対応してそれぞれの画素Pの階調に応じた電圧の画像信号VID1〜VID80を、それぞれ1、2、3、…、80番目のデータ線群6agに対応させて一斉に出力する。これにより、第3系列〜第8系列のデータ線6aに順次画像信号に基づく電位が供給されて、j行の対応する列の画素電極15に印加される。
【0063】
これにより、j行目の画素Pに対して、階調に応じた画像信号の電圧を書き込む動作が完了する。尚、画素電極15に印加された電圧は、走査信号GjがLレベル(非選択電圧)になっても、液晶容量によって次の第(n+1)フレームの書き込みまで保持されることになる。
【0064】
このようなハイブリッド駆動が適用された液晶装置200において、例えばデータ線群6agの各S−TFT71のゲート電極71gとデータ線6aとを第3絶縁膜12cを介して重ね合わせて寄生容量C1(図4参照)を形成し、系列内でオーバーラップ量Lを異ならせる。これにより、データ線群6agが本来構造的に有する寄生容量に起因して生ずるスジ状の系列的な表示ムラを低減することができる。また例えば、走査線3aの延在方向において隣り合うデータ線群6agにおいて、ブロックの境界に位置して系列が異なるデータ線6aに接続されるS−TFT71の上記オーバーラップ量Lを異ならせることにより、ブロックの境界において発生するスジ状の系列的な表示ムラを低減することができる。さらには、データ線群6agを単位として上記オーバーラップ量Lを異ならせれば、データ線群6agを単位として発生するスジ状の系列的な表示ムラに対しても改善が可能である。
【0065】
このような液晶装置200によれば、スジ状の系列的な表示ムラが低減され、見栄えのよい表示品質を有するハイブリッド駆動方式の液晶装置200を提供することができる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の液晶装置について、図6を参照して説明する。図6は第3実施形態の液晶装置における主要な回路構成を示す回路図である。第3実施形態の液晶装置は、第2実施形態のハイブリッド駆動方式をハイビジョン(画素数;1920×1080)の略4倍の画素数を有する4k2k、所謂スーパーハイビジョンに適用した例である。ただし、図6では、主要部分の回路構成を示し、すべての画素Pに亘る回路構成は示されていない。第2実施形態の液晶装置200と同じ構成には同じ符号を付して詳細の説明は省略する。
【0067】
図6に示すように、液晶装置300は、素子基板10側の画素領域において、複数の走査線と複数のデータ線とが交差して区分され、マトリックス状に配置された複数(4096×2160)の画素Pを有する。複数(2160本)の走査線は、データ線が延在する方向において奇数番の走査線3a1と、偶数番の走査線3a2とからなる。また、複数のデータ線は、奇数番の走査線3a1に対応して設けられた第1のデータ線6a1と、偶数番の走査線3a2に対応して設けられた第2のデータ線6a2とからなる。行方向(図6では走査線の延在方向)において隣り合う画素Pの間に、第1のデータ線6a1と第2のデータ線6a2とが延在している。列方向(図6ではデータ線の延在方向)において隣り合う画素Pの間に奇数番あるいは偶数番の走査線と容量線3bとが延在している。容量線3bは固定電位(例えばLCCOM)に接続されている。
【0068】
複数の第1のデータ線6a1は、選択信号供給線の本数を単位としてブロック化(系列化)され、ブロックごとに設けられたマルチプレクサー回路307a,307cのサンプリングトランジスター(S−TFT)71にそれぞれ接続されている。例えば、マルチプレクサー回路307aでは、各S−TFT71のドレインに第1のデータ線6a1がそれぞれ接続され、各S−TFT71のゲートに選択信号(SEL1−1〜SEL1−8)が供給される選択信号供給線が順に接続されている。各S−TFT71のソースに接続された接続配線は1つに纏められて画像信号VIDn−1が供給される画像信号線に接続されている。
同じく、例えば、マルチプレクサー回路307cでは、各S−TFT71のドレインに第1のデータ線6a1がそれぞれ接続され、各S−TFT71のゲートに選択信号(SEL3−1〜SEL3−8)が供給される選択信号供給線が順に接続されている。各S−TFT71のソースに接続された接続配線は1つに纏められて画像信号VID1が供給される画像信号線に接続されている。つまり、マルチプレクサー回路307aとマルチプレクサー回路307cとの間には、ブロック化(系列化)された第1データ線群の数に応じたマルチプレクサー回路が設けられている。
【0069】
第1のデータ線6a1と平行して延在する第2のデータ線6a2は、同じく選択信号供給線の本数を単位としてブロック化(系列化)され、ブロックごとに設けられたマルチプレクサー回路307b,307dのサンプリングトランジスター(S−TFT)71にそれぞれ接続されている。例えば、マルチプレクサー回路307bでは、各S−TFT71のドレインに第2のデータ線6a2がそれぞれ接続され、各S−TFT71のゲートに選択信号(SEL2−1〜SEL2−8)が供給される選択信号供給線が順に接続されている。各S−TFT71のソースに接続された接続配線は1つに纏められて画像信号VIDnが供給される画像信号線に接続されている。
同じく、例えば、マルチプレクサー回路307dでは、各S−TFT71のドレインに第2のデータ線6a2がそれぞれ接続され、各S−TFT71のゲートに選択信号(SEL4−1〜SEL4−8)が供給される選択信号供給線が順に接続されている。各S−TFT71のソースに接続された接続配線は1つに纏められて画像信号VID2が供給される画像信号線に接続されている。つまり、マルチプレクサー回路307bとマルチプレクサー回路307dとの間には、ブロック化(系列化)された第2データ線群の数に応じたマルチプレクサー回路が設けられている。
【0070】
液晶装置300は、上記回路構成を有し、奇数番の走査線3a1に対応する第1のデータ線6a1がブロック化(系列化)された第1データ線群を第1系列とし、偶数番の走査線3a2に対応する第2のデータ線6a2がブロック化(系列化)された第2データ線群を第2系列としてそれぞれ時系列的に駆動される。
【0071】
液晶装置300のマルチプレクサー回路307a,307b,307c,307dにおいて、図3に示したように、各サンプリングトランジスター(S−TFT)71のゲート電極71gと第1のデータ線6a1とを第3絶縁膜12cを介して平面視で重ねてオーバーラップ量Lを有する寄生容量C1(図4参照)を形成する。同じく、ゲート電極71gと第2のデータ線6a2とを第3絶縁膜12cを介して平面視で重ねてオーバーラップ量Lを有する寄生容量C1(図4参照)を形成する。
【0072】
第1のデータ線6a1や第2のデータ線6a2がそれぞれ構造的に有する寄生容量の差を、上記オーバーラップ量Lを異ならせてそれぞれ調整することにより、緩和することができる。つまり、該寄生容量に起因するスジ状の系列的な表示ムラを改善できる。
【0073】
このような第1のデータ線6a1や第2のデータ線6a2がそれぞれ構造的に有する寄生容量の差の緩和は、第2実施形態で延べたように1つのデータ線群内で上記オーバーラップ量Lが異なるように実施されてもよいし、隣り合うデータ線群の境に位置するデータ線において上記オーバーラップ量Lが異なるように実施されてもよい。また、データ線群を単位としてデータ線群間において上記オーバーラップ量Lが異なるように実施されてもよい。
【0074】
さらには、液晶装置300の場合、同一の表示列(図6ではデータ線の延在方向の列)を構成する複数の画素Pに対して、第1系列の第1のデータ線6a1と第2系列の第2のデータ線6a2とが対応しているため、第1系列と第2系列との間で上記オーバーラップ量Lが異なるように実施して、系列間におけるデータ線群の寄生容量の差を緩和することもできる。
【0075】
また例えば、第1系列と第2系列のうちの一方の系列において上記オーバーラップ量Lを確保し、他方の系列では上記オーバーラップ量Lを「0」すなわち、ゲート電極71gと当該データ線とを重ね合わせないようにして寄生容量の差を緩和してもよい。このようにすれば、第1系列と第2系列との間のデータ線群における寄生容量の差を簡便に緩和することができる。
【0076】
また、液晶装置300における画素領域つまり画面の大きさを一定とすると、スーパーハイビジョンの表示を行わせるにあたり画素Pの配置ピッチは、ハイビジョンに比べて小さくなる。配置ピッチが小さくなった隣り合う画素Pの隙間に、第1のデータ線6a1と第2のデータ線6a2とを配置する方法として、素子基板10上において、例えば、先に第1のデータ線6a1を画素P間に配置した後に、層間絶縁膜を介して第2のデータ線6a2を第1のデータ線6a1に対して重畳(スタック)して配置する方法が挙げられる。このような第1のデータ線6a1と第2のデータ線6a2の配置によれば、第1系列と第2系列との間のデータ線群における寄生容量の差が生じ易くなる。すると、奇数番の走査線3a1に係る複数の画素P(第1画素)と偶数番の走査線3a2に係る複数の画素P(第2画素)とにおいて、それぞれのデータ線群の寄生容量の差に起因して印加される画像信号に基づく電位に差が生じ、走査線の延在方向にスジ状の系列的な表示ムラが発生する。このような場合には、素子基板10に近い側つまり下層に位置する第1のデータ線6a1に接続されるS−TFT71のゲート電極71gと第1のデータ線6a1とを重ね合わせて寄生容量C1を形成し、素子基板10から遠い側つまり上層に位置する第2のデータ線6a2に接続されるS−TFT71のゲート電極71gと第2のデータ線6a2とを重ね合わせないようにして、第1のデータ線6a1と第2のデータ線6a2との構造的な寄生容量の差を緩和することが好ましい。言い換えれば、上層に位置する第2のデータ線6a2に印加される画像信号に応じた電位を基準として、下層に位置する第1のデータ線6a1に印加される画像信号に基づいた電位を適正化することができる。これは、上層に位置する第2のデータ線6a2の構造に起因する寄生容量よりも、下層に位置する第1のデータ線6a1の構造に起因する寄生容量の方が小さいので、第1のデータ線6a1に接続されるS−TFT71のゲート電極71gと第1のデータ線6a1とを重ね合わせて寄生容量C1を形成して、上記構造に起因する寄生容量を補正することが好ましいからである。
【0077】
上記第3実施形態によれば、第1系列と第2系列のデータ線群における寄生容量に起因するスジ状の系列的な表示ムラが改善され、画素領域において均一な表示品質が得られるスーパーハイビジョンの表示が可能な液晶装置300を提供できる。
【0078】
(第4実施形態)
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置について、図7を参照して説明する。図7は投射型表示装置の構成を示す概略図である。
【0079】
図7に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
【0080】
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
【0081】
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
【0082】
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
【0083】
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0084】
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
【0085】
このような投射型表示装置1000によれば、液晶ライトバルブ1210,1220,1230として、スジ状の系列的な表示ムラが低減され高い表示品質を有する液晶装置100を用いているので、見栄えのよい表示品質が実現されている。なお、液晶ライトバルブ1210,1220,1230として、上記第2実施形態の液晶装置200や上記第3実施形態の液晶装置300を用いることもできる。
【0086】
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置および該電気光学装置を適用する電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0087】
(変形例1)半導体層71a上においてゲート電極71gとデータ線の一部とが重なったオーバーラップ量Lが異なる少なくとも2種のサンプリングトランジスター(S−TFT)71を有する相展開駆動方式の液晶装置100、同じくハイブリッド駆動方式の液晶装置200、ハイブリッド駆動方式のスーパーハイビションに対応した液晶装置300の各主要回路構成は、これに限定されない。例えば、画像信号が供給される画像信号線の本数、選択信号が供給される選択信号供給線の本数などは、画素数と駆動方式とに対応して適宜選択することができる。
また、走査線の延在方向において隣り合う画素Pの隙間に第1のデータ線6a1と第2のデータ線6a2とを重畳(スタック)して配置する配線構造は、液晶装置300に限定されず、液晶装置100や液晶装置200においても適用することができる。
【0088】
(変形例2)半導体層71a上においてゲート電極71gとデータ線6aとが重なったオーバーラップ量Lが異なる少なくとも2種のサンプリングトランジスター(S−TFT)71を備える液晶装置100の構成は、透過型に限定されない。例えば、画素電極15が光反射性を有する例えばAl(アルミニウム)などから構成された反射型の液晶装置に対しても本発明を適用することができる。
【0089】
(変形例3)半導体層71a上においてゲート電極71gとデータ線6aとが重なったオーバーラップ量Lが異なる少なくとも2種のサンプリングトランジスター(S−TFT)71を備える電気光学装置の構成は、受光型の液晶装置100,200,300に限定されない。例えばマトリックス状に配置された複数の画素Pに有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子などの発光素子を備えた自発光型の表示装置にも本発明を適用することができる。
【0090】
(変形例4)液晶装置100,200,300を適用可能な電子機器は、上記実施形態の投射型表示装置1000に限定されない。例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0091】
3a…走査線、3a1…奇数番の走査線、3a2…偶数番の走査線、6a…データ線、6a1…第1のデータ線、6a2…第2のデータ線、10…基板としての素子基板、12c…絶縁膜としての第3絶縁膜、15…画素電極、30…薄膜トランジスター(TFT)、71…第1および第2トランジスターとしてのサンプリングトランジスター(S−TFT)、71a…半導体層、71g…ゲート電極、100…電気光学装置としての液晶装置、101…選択信号供給手段としてのデータ線駆動回路、111…画像信号線、121…選択信号供給線、200…液晶装置、201…半導体集積回路、208…選択信号供給線、1000…電子機器としての投射型表示装置、L…オーバーラップ量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号が供給される画像信号線と、
第1のデータ線と、
第2のデータ線と、
前記第1のデータ線と前記画像信号線との間に電気的に接続され、前記画像信号を前記第1のデータ線に供給する第1トランジスターと、
前記第2のデータ線と前記画像信号線との間に電気的に接続され、前記画像信号を前記第2のデータ線に供給する第2トランジスターと、
を備え、
前記第1トランジスターのゲート電極と前記第1のデータ線とが絶縁膜を介して重なるオーバーラップ量と、前記第2トランジスターのゲート電極と前記第2のデータ線とが絶縁膜を介して重なるオーバーラップ量とが異なることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記画像信号線は、前記第1トランジスターに電気的に接続された第1画像信号線と、前記第2トランジスターに電気的に接続された第2画像信号線と、を有し、
前記第1トランジスターのゲート電極と前記第2トランジスターのゲート電極に、同相の選択信号を供給する選択信号供給手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1トランジスターのゲート電極に電気的に接続され、且つ、第1選択信号が供給される第1選択信号供給線と、
前記第2トランジスターのゲート電極に電気的に接続され、且つ、前記第1選択信号とは異なるタイミングで第2選択信号が供給される第2選択信号供給線と、
前記第1選択信号及び前記第2選択信号を供給する選択信号供給手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
走査線と、前記走査線と前記第1のデータ線との交差に応じて設けられた第1画素と、前記走査線と前記第2のデータ線との交差に応じて設けられた第2画素と、を備え、
前記第1画素は、奇数行に位置し、前記第2画素は偶数行に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1のデータ線は、前記第2のデータ線の下層に位置し、
前記第1トランジスターのゲート電極と前記第1のデータ線とが絶縁膜を介して重なるオーバーラップ量は、前記第2トランジスターのゲート電極と前記第2のデータ線とが絶縁膜を介して重なるオーバーラップ量よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第2トランジスターのゲート電極は、前記第2のデータ線と絶縁膜を介して重ならないように形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−80037(P2013−80037A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218975(P2011−218975)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】