説明

電気光学装置および電子機器

【課題】シリケートガラスによって、シール材と基板との界面からの水分の侵入や、シール材で囲まれた領域内に侵入した水分の影響を低減することのできる電気光学装置、および当該電気光学装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】電気光学装置100では、素子基板10および基板本体10w(第1基板)側においてシール材107と接するのは、BSG膜からなるシリケートガラス層18(第1シリケートガラス層)であり、対向基板20および基板本体20w(第2基板)側においてシール材107と接するのは、BSG膜からなるシリケートガラス層28(第2シリケートガラス層)である。シール材107で囲まれた領域で、シリケートガラス層18は、画素電極9aおよびダミー画素電極9bの非形成領域9cで液晶層50に表面を向けており、シリケートガラス層28は、共通電極21の非形成領域21cで液晶層50に表面を向けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1基板と第2基板との間のシール材で囲まれた領域に電気光学物質層が設けられた電気光学装置、および当該電気光学装置を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の電気光学装置のうち、液晶装置等では、第1基板と第2基板との間のシール材で囲まれた領域に電気光学物質層が設けられており、電気光学物質層等の構成要素は、シール材によって、外部から侵入しようとする水分等から保護されている。但し、水分は、シール材によって第1基板と第2基板とを貼り合わせた後も、シール材と第1基板との間、シール材と第2基板との間、およびシール材を透過して内部に侵入する。
【0003】
このため、特許文献1では、画素電極が形成された基板においてシール材と重なる位置にボロンシリケートガラス層が存在する場合にはシール材とボロンシリケートガラス層との接着力が弱いとして、配向膜を形成する際、シール材と接する位置に無機膜を斜方蒸着により形成し、接着力を高めることが提案されている。
【0004】
一方、特許文献2では、共通電極が形成された基板側においてボロンシリケートガラス層を平坦化膜として形成した後、その上層に共通電極を形成した構造が提案されており、この場合、シール材と接するのは共通電極である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−248743号公報
【特許文献2】特開2006−154167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、リンやボロンを含有するシリケートガラスが水分を吸着、保持する能力に優れていることに着目し、シール材で囲まれた領域内に設けられた電気光学物質層等を水分から保護することを検討するものであるが、かかる技術的思想については、特許文献1、2には一切記載されていない。すなわち、特許文献1、2でも、ボロンシリケートガラス層を用いた構成が記載されているが、特許文献1では、画素電極が形成された基板においてボロンシリケートガラス層が一部露出しているだけであり、特許文献2では、共通電極によってボロンシリケートガラス層が完全に覆われている。
【0007】
そこで、本発明の課題は、シリケートガラスによって、シール材と基板との界面からの水分の侵入や、シール材で囲まれた領域内に侵入した水分の影響を低減することのできる電気光学装置、および当該電気光学装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置は、一方面側に複数の画素電極が形成された第1基板と、一方面側に共通電極が形成された第2基板と、前記第1基板の一方面側と前記第2基板の一方面側とを貼り合わせるシール材と、前記第1基板と前記第2基板との間のうち、前記シール材で囲まれた領域内に設けられた電気光学物質層と、を有し、リンおよびボロンのうちの少なくとも一方を含み、前記シール材に接して前記第1基板に設けられているとともに、前記シール材で囲まれた領域内において、前記画素電極の非形成領域において前記画素電極から前記電気光学物質層側に表面が露出する位置、および前記画素電極の前記電気光学物質層側の位置のうちの少なくとも一方に設けられた第1シリケートガラス層と、リンおよびボロンのうちの少なくとも一方を含み、前記シール材に接して前記第2基板に設けられているとともに、前記シール材で囲まれた領域内において、前記共通電極の非形成領域において前記共通電極から前記電気光学物質層側に表面が露出する位置、および前記共通電極の前記電気光学物質層側の位置のうちの少なくとも一方に設けられた第2シリケートガラス層と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明では、第1基板側においてシール材と接するのは、リンおよびボロンのうちの少なくとも一方を含む第1シリケートガラス層であり、第2基板側においてシール材と接するのは、リンおよびボロンのうちの少なくとも一方を含む第2シリケートガラス層であり、かかる第1シリケートガラス層および第2シリケートガラス層は、水分を吸着して保持する性質を有している。このため、第1基板とシール材との間、および第2基板とシール材との間から水分がシール材で囲まれた領域に侵入しにくい。また、第1シリケートガラス層は、画素電極の非形成領域、および画素電極に対して第1基板とは反対側のうちの少なくとも一方にも設けられているため、シール材で囲まれた領域に水分が侵入しても、水分は、画素電極に阻害されることなく、第1シリケートガラス層に吸着され保持される。また、第2シリケートガラス層は、共通電極の非形成領域、および共通電極に対して第2基板とは反対側のうちの少なくとも一方にも設けられているため、シール材で囲まれた領域に水分が侵入しても、水分は、共通電極に阻害されることなく、第2シリケートガラス層に吸着され保持される。このため、シール材で囲まれた領域内に設けられた電気光学物質層等の構成要素が水分によって劣化しにくい。
【0010】
本発明において、前記第1シリケートガラス層は、前記シール材と接する層と同一の層によって、前記画素電極の非形成領域において前記画素電極から前記電気光学物質層側に表面が露出する部分、および前記共通電極の前記電気光学物質層側の部分のうちの少なくとも一方が構成されており、前記第2シリケートガラス層は、前記シール材と接する層と同一の層によって、前記共通電極の非形成領域において前記共通電極から前記電気光学物質層側に表面が露出する部分、および前記共通電極の前記電気光学物質層側の部分のうちの少なくとも一方が構成されていることが好ましい。かかる構成によれば、第1基板側および第2基板側にリンおよびボロンのうちの少なくとも一方を含むシリケートガラス層を1層ずつ設ければよいという利点がある。
【0011】
本発明において、前記第1シリケートガラス層は、前記画素電極に対して前記第1基板側で接するように設けられて前記画素電極の非形成領域で前記電気光学物質層層側に表面が前記画素電極から露出し、前記第2シリケートガラス層は、前記共通電極に対して前記第2基板側で接するように設けられて前記共通電極の非形成領域で前記電気光学物質層層側に表面が前記共通電極から露出している構成を採用することができる。かかる構成によれば、第1シリケートガラス層が有する平坦化膜としての性質によって、画素電極を平坦面に形成することができるという利点がある。また、第2シリケートガラス層が有する平坦化膜としての性質によって、共通電極を平坦面に形成することができるという利点がある。
【0012】
この場合、前記共通電極には、前記画素電極と平面視で重ならない位置に開口部が形成されており、前記第2シリケートガラス層は、前記開口部を介して前記電気光学物質層層側に表面が前記共通電極から露出していることが好ましい。かかる構成によれば、第2シリケートガラス層が電気光学物質層側に向ける面積が広いので、シール材で囲まれた領域に侵入した水分を第2シリケートガラス層によって効率よく吸着し保持することができる。
【0013】
本発明において、前記第1シリケートガラス層は、前記画素電極と該画素電極に対して前記第1基板とは反対側に形成された無機配向膜からなる第1配向膜との間に設けられ、前記第2シリケートガラス層は、前記共通電極と該共通電極に対して前記第2基板とは反対側に形成された無機配向膜からなる第2配向膜との間に設けられている構成を採用してもよい。かかる構成によれば、第1シリケートガラス層が有する平坦化膜としての性質によって、第1配向膜を平坦面に形成することができるとともに、水分が第1配向膜を透過して下層側に形成された構成要素が水分によって劣化することを抑制することができる。また、第2シリケートガラス層が有する平坦化膜としての性質によって、第2配向膜を平坦面に形成することができるとともに、水分が第2配向膜を透過して下層側に形成された構成要素が水分によって劣化することを抑制することができる。
【0014】
本発明において、前記第1シリケートガラス層および前記第2シリケートガラス層は、例えば、ボロンシリケートガラスからなる。
【0015】
本発明を適用した電気光学装置を液晶装置として構成した場合、前記電気光学物質層層は、液晶層である。
【0016】
本発明を適用した電気光学装置は、直視型表示装置や投射型表示装置等の各種電子機器に用いることができる。電子機器が投射型表示装置である場合、投射型表示装置は、前記電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、前記電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の液晶パネルの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の画素の具体的構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の端部の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の断面構成を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る電気光学装置の断面構成を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る電気光学装置の断面構成を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態5に係る電気光学装置の端部の断面図である。
【図9】本発明を適用した電気光学装置を用いた投射型表示装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。なお、電界効果型トランジスターを流れる電流の方向が反転する場合、ソースとドレインとが入れ替わるが、以下の説明では、便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとし、データ線が接続されている側をソースとして説明する。また、素子基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは素子基板の基板本体が位置する側とは反対側(対向基板が位置する側)を意味し、下層側とは素子基板の基板本体が位置する側を意味する。また、対向基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは対向基板の基板本体が位置する側とは反対側(素子基板が位置する側)を意味し、下層側とは対向基板の基板本体が位置する側を意味する。
【0019】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。図1において、電気光学装置100は、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードの液晶パネル100pを備えた液晶装置であり、液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画像表示領域10a(画素配列領域/有効画素領域)を備えている。液晶パネル100pにおいて、図2等を参照して後述する素子基板10では、画像表示領域10aの内側で複数本のデータ線6a(画像信号線)および複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交差部分に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、画素トランジスターを構成するスイッチング素子としての電界効果型トランジスター30、および画素電極9aが形成されている。電界効果型トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、電界効果型トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、電界効果型トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。
【0020】
素子基板10において、画像表示領域10aより外周側(素子基板10の端部と画像表示領域10aとの間の外周領域10c)には、走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101が設けられている。データ線駆動回路101は各データ線6aに電気的に接続しており、画像処理回路から供給される画像信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
【0021】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する対向基板20(図2等を参照)に形成された共通電極と液晶層を介して対向し、液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に蓄積容量55が付加されている。本形態では、蓄積容量55を構成するために、素子基板10には、複数の画素100aに跨って延在する容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、共通電位Vcomが印加された定電位配線6sに導通している。
【0022】
(液晶パネル100pおよび素子基板10の具体的構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の液晶パネル100pの説明図であり、図2(a)、(b)は各々、液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【0023】
図2に示すように、液晶パネル100pでは、素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の外縁に沿うように枠状に設けられている。シール材107は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材107aが配合されている。液晶パネル100pにおいて、素子基板10と対向基板20との間のうち、シール材107によって囲まれた領域内には、電気光学物質層としての液晶層50が設けられている。本形態において、シール材107には、液晶注入口として利用される途切れ部分107cが形成されており、かかる途切れ部分107cは、液晶材料の注入後、封止材108によって塞がれている。
【0024】
かかる構成の液晶パネル100pにおいて、素子基板10および対向基板20はいずれも四角形であり、液晶パネル100pの略中央には、図1を参照して説明した画像表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、画像表示領域10aの外側は、四角枠状の外周領域10cになっている。
【0025】
素子基板10において、外周領域10c(画像表示領域10aより外周側の四角枠状領域)のうち、素子基板10が対向基板20から張り出している側では、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。なお、端子102は、シール材107より外周側に設けられている。かかる端子102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。本形態において、データ線駆動回路101および走査線駆動回路104は一部がシール材107と平面視で重なっている。
【0026】
詳しくは後述するが、素子基板10の一方面10sおよび他方面10tのうち、対向基板20と対向する一方面10sの側において、画像表示領域10aには、図1を参照して説明した電界効果型トランジスター30、および電界効果型トランジスター30に電気的に接続する画素電極9aがマトリクス状に形成されており、かかる画素電極9aの上層側には第1配向膜16が形成されている。
【0027】
また、素子基板10の一方面10sの側において、画像表示領域10aより外側の外周領域10cのうち、画像表示領域10aとシール材107とに挟まれた四角枠状の周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。
【0028】
対向基板20の一方面20sおよび他方面20tのうち、素子基板10と対向する一方面20sの側には共通電極21が形成されている。共通電極21は、対向基板20の略全面あるいは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って包含した領域として形成されている。本形態において、共通電極21は、対向基板20の略全面に形成されている。
【0029】
また、対向基板20の一方面20sの側には、共通電極21の下層側に遮光層29が形成され、共通電極21の液晶層50(電気光学物質層)側の表面には第2配向膜26が積層されている。本形態において、遮光層29は、画像表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁部分29aとして形成されている。また、本形態において、遮光層29は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに重なるブラックマトリクス部29bとしても形成されている。ここで、額縁部分29aはダミー画素電極9bと平面的に重なる位置に形成されており、額縁部分29aの外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にある。従って、額縁部分29aとシール材107とは重なっていない。
【0030】
液晶パネル100pにおいて、シール材107より外側には、対向基板20の一方面20sの側の4つの角部分に基板間導通用電極部24tが形成されており、素子基板10の一方面10sの側には、対向基板20の4つの角部分(基板間導通用電極部24t)と対向する位置に基板間導通用電極部6tが形成されている。基板間導通用電極部6tは、共通電位Vcomが印加された定電位配線6sに導通しており、定電位配線6sは、端子102のうち、共通電位印加用の端子102aに導通している。基板間導通用電極部6tと基板間導通用電極部24tとの間には、導電粒子を含んだ基板間導通材109が配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通用電極部6t、基板間導通材109および基板間導通用電極部24tを介して、素子基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、素子基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。シール材107は、略同一の幅寸法をもって対向基板20の外周縁に沿って設けられている。このため、シール材107は、略四角形である。但し、シール材107は、対向基板20の角部分と重なる領域では基板間導通用電極部6t、24tを避けて内側を通るように設けられており、シール材107の角部分は略円弧状である。
【0031】
かかる構成の電気光学装置100において、本形態では、画素電極9aおよび共通電極21がITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成されており、電気光学装置100は透過型の液晶装置である。かかる透過型の電気光学装置100では、対向基板20の側から入射した光が素子基板10を透過して出射される間に変調されて画像を表示する。なお、画素電極9aおよび共通電極21のうち、例えば、共通電極21を透光性導電膜により形成し、画素電極9aをアルミニウム膜等の反射性導電膜により形成する場合もあり、かかる構成によれば、反射型の電気光学装置100を構成することができる。かかる反射型の電気光学装置100では、素子基板10および対向基板20のうち、対向基板20の側から入射した光が素子基板10で反射して出射される間に変調されて画像を表示する。
【0032】
電気光学装置100は、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、対向基板20あるいは素子基板10には、カラーフィルター(図示せず)が形成される。また、電気光学装置100では、使用する液晶層50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が液晶パネル100pに対して所定の向きに配置される。さらに、電気光学装置100は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)において、RGB用のライトバルブとして用いることができる。この場合、RGB用の各電気光学装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになるので、カラーフィルターは形成されない。
【0033】
本形態において、電気光学装置100が、後述する投射型表示装置においてRGB用のライトバルブとして用いられる透過型の液晶装置であって、対向基板20から入射した光が素子基板10を透過して出射される場合を中心に説明する。また、本形態において、電気光学装置100は、液晶層50として、誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を用いたVAモードの液晶パネル100pを備えている場合を中心に説明する。
【0034】
(画素100aの具体的構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の画素100aの具体的構成を示す説明図であり、図3(a)、(b)は、画素100aの平面図、および電気光学装置100のF−F′断面図である。なお、図3(a)では、各層を以下の線
下層側の遮光層8a=細くて長い破線
半導体層1a=細くて短い点線
走査線3a=太い実線
ドレイン電極4a=細い実線
データ線6aおよび中継電極6b=細い一点鎖線
容量線5b=太い一点鎖線
上層側の遮光層7aおよび中継電極7b=細い二点鎖線
画素電極9a=太い破線
で示してある。また、図3(a)では、互いの端部が重なり合う層については、層の形状等が分かりやすいように、端部の位置をずらしてある。
【0035】
図3(a)に示すように、素子基板10において対向基板20と対向する一方面10sには、複数の画素100aの各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。本形態において、画素間領域10fは縦横に延在しており、走査線3aは画素間領域10fのうち、X方向(第1方向)に延在する第1画素間領域10gに沿って直線的に延在し、データ線6aは、Y方向(第2方向)に延在する第2画素間領域10hに沿って直線的に延在している。また、データ線6aと走査線3aとの交差に対応して電界効果型トランジスター30が形成されており、本形態において、電界効果型トランジスター30は、データ線6aと走査線3aとの交差領域およびその付近を利用して形成されている。素子基板10には容量線5bが形成されており、かかる容量線5bには共通電位Vcomが印加されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aおよびデータ線6aに重なるように延在して格子状に形成されている。電界効果型トランジスター30の上層側には遮光層7aが形成されており、かかる遮光層7aは、データ線6aに重なるように延在している。電界効果型トランジスター30の下層側には遮光層8aが形成されており、かかる遮光層8aは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。
【0036】
図3(b)に示すように、素子基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体10w(第1基板)の液晶層50側の基板面(対向基板20と対向する一方面10s側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の電界効果型トランジスター30、および第1配向膜16を主体として構成されている。対向基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w(第2基板)、その液晶層50側の表面(素子基板10と対向する一方面20s)に形成された遮光層29、共通電極21、および第2配向膜26を主体として構成されている。
【0037】
素子基板10において、基板本体10wの一方面10s側には、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる下層側の遮光層8aが形成されている。本形態において、遮光層8aは、タングステンシリサイド(WSi)等の遮光膜からなり、電気光学装置100を透過した後の光が他の部材で反射した際、かかる反射光が半導体層1aに入射して電界効果型トランジスター30で光電流に起因する誤動作が発生することを防止する。なお、遮光層8aを走査線として構成する場合もあり、この場合、後述するゲート電極3cと遮光層8aを導通させた構成とする。
【0038】
基板本体10wの一方面10s側において、遮光層8aの上層側には、透光性の絶縁膜12が形成されており、かかる絶縁膜12の表面側に、半導体層1aを備えた電界効果型トランジスター30が形成されている。本形態において、絶縁膜12はシリコン酸化膜等からなる。
【0039】
電界効果型トランジスター30は、データ線6aの延在方向に長辺方向を向けた半導体層1aと、半導体層1aの長さ方向と直交する方向に延在して半導体層1aの長さ方向の中央部分に重なるゲート電極3cとを備えており、本形態において、ゲート電極3cは走査線3aの一部からなる。電界効果型トランジスター30は、半導体層1aとゲート電極3cとの間に透光性のゲート絶縁層2を有している。半導体層1aは、ゲート電極3cに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1gを備えているとともに、チャネル領域1gの両側にソース領域1bおよびドレイン領域1cを備えている。本形態において、電界効果型トランジスター30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有している。従って、ソース領域1bおよびドレイン領域1cは各々、チャネル領域1gの両側に低濃度領域を備え、低濃度領域に対してチャネル領域1gとは反対側で隣接する領域に高濃度領域を備えている。
【0040】
半導体層1aは、ポリシリコン膜(多結晶シリコン膜)等によって構成されている。ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁層2aと、温度が700〜900℃の高温条件での減圧CVD法により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁層2bとの2層構造からなる。ゲート電極3cおよび走査線3aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ゲート電極3cは、導電性のポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との2層構造を有している。
【0041】
ゲート電極3cの上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜41が形成され、層間絶縁膜41の上層には、ドレイン電極4aが形成されている。ドレイン電極4aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなり、本形態において、ドレイン電極4aはチタン窒化膜からなる。ドレイン電極4aは、半導体層1aのドレイン領域1c(画素電極側ソースドレイン領域)と一部が重なるように形成されており、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール41aを介してドレイン領域1cに導通している。
【0042】
ドレイン電極4aの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性の絶縁膜49、および透光性の誘電体層40が形成されており、かかる誘電体層40の上層側には容量線5bが形成されている。誘電体層40としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等のシリコン化合物を用いることができる他、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜、ニオブ酸化膜、ハフニウム酸化膜、ランタン酸化膜、ジルコニウム酸化膜等の高誘電率の誘電体層を用いることができる。容量線5bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、容量線5bは、チタン窒化膜、アルミニウム膜、およびチタン窒化膜との3層構造を有している。ここで、容量線5bは、誘電体層40を介してドレイン電極4aと重なっており、蓄積容量55を構成している。
【0043】
容量線5bの上層側にはシリコン酸化膜等からなる層間絶縁膜42が形成されており、かかる層間絶縁膜42の上層側には、データ線6aと中継電極6bとが同一の導電膜により形成されている。データ線6aおよび中継電極6bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなり、本形態において、データ線6aおよび中継電極6bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。データ線6aは、層間絶縁膜42、絶縁膜49、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール42aを介してソース領域1b(データ線側ソースドレイン領域)に導通している。中継電極6bは、層間絶縁膜42および絶縁膜49を貫通するコンタクトホール42bを介してドレイン電極4aに導通している。
【0044】
データ線6aおよび中継電極6bの上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜44が形成されており、かかる層間絶縁膜44の上層側には、遮光層7aおよび中継電極7bが同一の導電膜によって形成されている。層間絶縁膜44は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなり、その表面は平坦化されている。遮光層7aおよび中継電極7bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなり、本形態において、遮光層7aおよび中継電極7bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。中継電極7bは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44aを介して中継電極6bに導通している。遮光層7aは、データ線6aと重なるように延在しており、遮光層として機能している。なお、遮光層7aを容量線5bと導通させて、シールド層として利用してもよい。
【0045】
遮光層7aおよび中継電極7bの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜45が形成されており、かかる層間絶縁膜45の上層側(液晶層50の側)には、リンおよびボロンのうちの少なくとも一方を含むシリケートガラス層18が形成されている。本形態において、層間絶縁膜45は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなる。シリケートガラス層18は、例えば、常圧CVD法等によって成膜することができ、その際の成膜温度は、例えば、350〜450℃である。なお、シリケートガラス層18として、リンシリケートガラス(PSG)を形成する場合、使用する原料ガスは、SiH4、PH3、O3等であり、ボロンシリケートガラス(BSG)を形成する場合、使用する原料ガスは、SiH4、B26、O3等であり、ボロン・リンシリケートガラス(BPSG)を形成する場合、使用する原料ガスは、SiH4、B26、PH3、O3等である。本形態において、シリケートガラス層18はボロンシリケートガラスからなり、表面は平坦化されている。
【0046】
シリケートガラス層18の上層側(液晶層50の側)には、ITO膜等の透光性導電膜からなる画素電極9aが形成されている。このため、シリケートガラス層18の液晶層50側の面(表面)と、画素電極9aの基板本体10w側の面とが接している。本形態において、画素電極9aは、ITO膜からなる。画素電極9aは、中継電極7bと部分的に重なっており、シリケートガラス層18および層間絶縁膜45を貫通するコンタクトホール45aを介して中継電極7bに導通している。その結果、画素電極9aは、中継電極7b、中継電極6bおよびドレイン電極4aを介してドレイン領域1cに電気的に接続している。
【0047】
画素電極9aの表面には、ポリイミド膜や無機配向膜等の第1配向膜16が形成されている。本形態において、第1配向膜16は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜)からなる。
【0048】
(対向基板20の構成)
対向基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w(透光性基板)の液晶層50側の表面(素子基板10に対向する一方面20s)には、遮光層29、およびITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されており、かかる共通電極21を覆うように、ポリイミド膜や無機配向膜等の第2配向膜26が形成されている。本形態において、共通電極21はITO膜からなる。また、第2配向膜26は、第1配向膜16と同様、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜)である。かかる第1配向膜16および第2配向膜26は、液晶層50に用いた誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を傾斜垂直配向させ、液晶パネル100pは、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。
【0049】
また、遮光層29と共通電極21との間には、リンおよびボロンのうちの少なくとも一方を含むシリケートガラス層28が形成されており、シリケートガラス層28は、シール材107と表面が接する領域にわたって形成されている。本形態において、シリケートガラス層18はボロンシリケートガラスからなり、シリケートガラス層28の液晶層50側の面(表面)は、共通電極21の基板本体20w側の面と接している。
【0050】
なお、図1および図2を参照して説明したデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104には、nチャネル型の駆動用トランジスターとpチャネル型の駆動用トランジスターとを備えた相補型トランジスター回路等が構成されている。ここで、駆動用トランジスターは、電界効果型トランジスター30の製造工程の一部を利用して形成されたものである。このため、素子基板10においてデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104が形成されている領域も、図3(b)に示す断面構成と略同様な断面構成を有している。
【0051】
(第1シリケートガラス層の構成)
図4は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の端部の断面図である。図4に示すように、素子基板10では、画素電極9aに対して基板本体10w側にシリケートガラス層18が形成されており、シリケートガラス層18の液晶層50側の表面は、画素電極9aの基板本体10w側の面と直接、接している。ここで、シリケートガラス層18は、素子基板10の略全面に形成されている。これに対して、画素電極9aおよびダミー画素電極9bは、シール材107で囲まれた領域のみに形成されている。また、第1配向膜16は、画像表示領域10aからダミー画素電極9bの形成領域に至る領域(画像表示領域10aを構成する画素電極9a上、隣り合う画素電極9a間、画像表示領域10aの最外部に配置された画素電極9aとダミー画素電極9bとの間、ダミー画素電極9b上、隣り合うダミー画素電極9b同士の間のそれぞれを含む領域)に選択的に形成され、第1配向膜16とシール材107との間には隙間が介在している。このため、第1配向膜16は、シール材107と重なる領域には形成されていない。従って、シリケートガラス層18は、第1配向膜16の端部とシール材107との間で液晶層50に表面が露出しているとともに、さらにその外側では、表面がシール材107と接する第1シリケートガラス層として形成されている。
【0052】
また、シール材107で囲まれた領域において、画素電極9aおよびダミー画素電極9bは島状に形成されており、隣接する画素電極9aの間、および隣接するダミー画素電極9bの間は、画素電極9aおよびダミー画素電極9bの非形成領域9cになっている。また、ダミー画素電極9bとシール材107との間も、画素電極9aやダミー画素電極9bの非形成領域9cになっている。このため、画素電極9aおよびダミー画素電極9bの下地として形成されたシリケートガラス層18は、シール材107で囲まれた領域において、画素電極9aやダミー画素電極9bの非形成領域9cにおいて画素電極9aおよびダミー画素電極9bから液晶層50(電気光学物質層)側に表面が露出された第1シリケートガラス層として形成されている。ここで、シリケートガラス層18は、画素電極9aやダミー画素電極9bの非形成領域9cのうち、シール材107の近傍では、液晶層50に直接、接している。これに対して、画素電極9aやダミー画素電極9bによって挟まれた領域において、シリケートガラス層18は、画素電極9aおよびダミー画素電極9bから液晶層50(電気光学物質層)側に露出した表面は第1配向膜16によって覆われている。但し、第1配向膜16は、斜方蒸着により形成した無機配向膜であり、複数の凸部を有するカラム構造を有しているため、凸部(カラム)の間では、底部でシリケートガラス層18が液晶層50に露出している。
【0053】
(第2シリケートガラス層の構成)
対向基板20では、共通電極21に対して基板本体20w側にシリケートガラス層28が形成されており、シリケートガラス層28は、共通電極21に対して基板本体20w側で接している。ここで、シリケートガラス層28は、対向基板20の略全面に形成されている。これに対して、共通電極21は、シール材107で囲まれた領域のみに形成され、かつ、共通電極21とシール材107との間には隙間が介在している。このため、共通電極21は、シール材107と重なる領域には形成されていない。また、第2配向膜26は概ね、共通電極21が形成されている領域のみに形成され、かつ、第2配向膜26とシール材107との間には隙間が介在している。このため、第2配向膜26は、シール材107と重なる領域には形成されていない。従って、シリケートガラス層18は、対向基板20および基板本体20w(第2基板)においてシール材107と接する第2シリケートガラス層として形成されている。
【0054】
また、シール材107で囲まれた領域において、シール材107の近傍は、共通電極21の非形成領域21cになっている。このため、共通電極21の下地とされたシリケートガラス層28は、シール材107で囲まれた領域において、共通電極21の非形成領域21cでは、共通電極21から液晶層50(電気光学物質層)側に表面が露出した第2シリケートガラス層として形成されている。ここで、シリケートガラス層28は、共通電極21の非形成領域21cのうち、シール材107の近傍では、液晶層50に直接、接している。但し、第2配向膜26は、斜方蒸着により形成した無機配向膜であり、複数の凸部を有するカラム構造を有している。このため、共通電極21の表面に第2配向膜26が形成されている構成を採用した場合でも、第2配向膜26の凸部(カラム)の間では、底部でシリケートガラス層28が液晶層50に露出している構造となる。
【0055】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電気光学装置100では、素子基板10および基板本体10w(第1基板)側においてシール材107と接するのは、BSG膜からなるシリケートガラス層18(第1シリケートガラス層)であり、対向基板20および基板本体20w(第2基板)側においてシール材107と接するのは、BSG膜からなるシリケートガラス層28(第2シリケートガラス層)である。ここで、BSG膜は、水分を吸着して保持する性質を有している。このため、素子基板10とシール材107との間、および対向基板20とシール材107との間から水分がシール材107で囲まれた領域に侵入しにくい。また、シリケートガラス層18(第1シリケートガラス層)は、画素電極9aおよびダミー画素電極9bの非形成領域9cにおいて表面が画素電極9aおよびダミー画素電極9bから液晶層50側に露出されているため、シール材107で囲まれた領域に水分が侵入しても、液晶層50の水分は、画素電極9aやダミー画素電極9bに阻害されることなく、シリケートガラス層18に吸着され保持される。また、共通電極21の下地とされたシリケートガラス層28(第2シリケートガラス層)は、共通電極21の非形成領域21cにおいて表面が共通電極21から液晶層50側に露出しているため、シール材107で囲まれた領域に水分が侵入しても、液晶層50の水分は、共通電極21に阻害されることなく、シリケートガラス層28に吸着され保持される。このため、シール材107で囲まれた領域内に設けられた液晶層50や電界効果型トランジスター30等の構成要素が水分によって劣化しにくい。
【0056】
また、本形態において、シール材107と面接触する第1シリケートガラス層は、画素電極9aの下地に形成されており、画素電極9aの非形成領域9cにおいて画素電極9aから液晶層50側に表面が露出されるシリケートガラス層18と同一の層とされている。また、シール材107と面接触する第2シリケートガラス層は、共通電極21の下地に形成されており、共通電極21の非形成領域9cにおいて共通電極21から液晶層50側に表面が露出されるシリケートガラス層28と同一の層とされている。このため、素子基板10側および対向基板20側にBSG膜を1層ずつ設ければよいという利点がある。
【0057】
また、第1シリケートガラス層(シリケートガラス層18)は画素電極9aの下層側に設けられているため、シリケートガラス層18が有する平坦化膜としての性質によって、画素電極9aを平坦面に形成することができるという利点がある。また、第2シリケートガラス層(シリケートガラス層28)は共通電極21の下層側に設けられているため、シリケートガラス層28が有する平坦化膜としての性質によって、共通電極21を平坦面に形成することができるという利点がある。
【0058】
さらに、素子基板10側および対向基板20側が略同一の構成を有しているため、シリケートガラス層18、28が水分を吸着して誘電率が変化した場合でも、かかる誘電率の変化に起因する画素電極9aに寄生する容量の変化の割合と共通電極21に寄生する容量の変化の割合が同等である。このため、フレーム反転駆動方式を採用した際、共通電極21の電位(Vcom)がシフトしにくいという利点がある。
【0059】
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置100の断面構成を示す説明図であり、図5(a)、(b)は、画素100aの断面図、および電気光学装置端部の断面図である。なお、本形態および後述する実施の形態3、4、5の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0060】
図5に示すように、本形態でも、実施の形態1と同様、素子基板10では、画素電極9aに対して基板本体10w側にシリケートガラス層18が形成されており、シリケートガラス層18は、シール材107と接する第1シリケートガラス層として形成されている。また、シール材107で囲まれた領域において、シリケートガラス層18は、画素電極9aやダミー画素電極9bの非形成領域9cにおいて、その表面が画素電極9aおよびダミー画素電極9bから液晶層50(電気光学物質)側に向けて露出されている。また、対向基板20では、共通電極21に対して基板本体20w側にシリケートガラス層28が形成されており、シリケートガラス層28は、シール材107と接する第2シリケートガラス層として形成されている。また、シール材107で囲まれた領域において、シリケートガラス層28は、共通電極21の非形成領域21cにおいて、その表面が共通電極21から液晶層50(電気光学物質)側に向けて露出されている。
【0061】
従って、本形態でも、実施の形態1と同様、素子基板10とシール材107との間、および対向基板20とシール材107との間から水分がシール材107で囲まれた領域に侵入しにくい。また、液晶層50の水分は、画素電極9a、ダミー画素電極9b、共通電極21に阻害されることなく、シリケートガラス層18、28に吸着され保持される。このため、シール材107で囲まれた領域内に設けられた液晶層50や電界効果型トランジスター30等の構成要素が水分によって劣化しにくい等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0062】
ここで、共通電極21には、画素電極9aと平面視で重ならない位置に開口部21aが形成されている。開口部21aは複数個所に独立して形成されているため、共通電極21は全体が繋がっている。このように構成した開口部21aは、共通電極21の非形成領域21cの一部を構成しており、開口部21aでは、シリケートガラス層28の表面が、共通電極21の開口部21aを通じて液晶層50(電気光学物質)側に向けて露出している。このため、シリケートガラス層28(第2シリケートガラス層)は、共通電極21の開口部21aを通じて共通電極21から液晶層50側に露出する表面の面積が広いので、シール材107で囲まれた領域に侵入した水分をシリケートガラス層28によって効率よく吸着し保持することができる。
【0063】
また、開口部21aは、画素電極9aと平面視で重ならない位置に形成されているため、表示の品位を低下させることがない。
【0064】
[実施の形態3]
図6は、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置100の断面構成を示す説明図であり、図6(a)、(b)は、画素100aの断面図、および電気光学装置端部の断面図である。図6に示すように、本形態でも、実施の形態1と同様、素子基板10では、画素電極9aに対して基板本体10w側にシリケートガラス層18が形成されており、シリケートガラス層18は、シール材107と接する第1シリケートガラス層として形成されている。また、対向基板20では、共通電極21に対して基板本体20w側にシリケートガラス層28が形成されており、シリケートガラス層28は、シール材107と接する第2シリケートガラス層として形成されている。従って、本形態でも、実施の形態1と同様、素子基板10とシール材107との間、および対向基板20とシール材107との間から水分がシール材107で囲まれた領域に侵入しにくい。
【0065】
また、シール材107で囲まれた領域において、シリケートガラス層18は、画素電極9aやダミー画素電極9bの非形成領域9cで表面が画素電極9aおよびダミー画素電極9bから液晶層50(電気光学物質層)に向けて露出する第1シリケートガラス層として形成されている。また、シール材107で囲まれた領域において、シリケートガラス層28は、共通電極21の非形成領域21cで表面が共通電極21から液晶層50(電気光学物質層)に向けて露出する第2シリケートガラス層として形成されている。
【0066】
ここで、素子基板10では、画素電極9aと第1配向膜16との間にノンドープのシリケートガラス層等の下地膜15が形成されており、かかる下地膜15は、シール材107で囲まれた領域の全体に形成されている。このため、シール材107で囲まれた領域において、シリケートガラス層18は、画素電極9aやダミー画素電極9bの非形成領域9cでは下地膜15を介して液晶層50に接している。この場合でも、液晶層50の水分は、下地膜15に吸着された後、シリケートガラス層18に移動し保持される。
【0067】
また、対向基板20では、共通電極21と第2配向膜26との間にノンドープのシリケートガラス層等の下地膜25が形成されており、かかる下地膜25は、シール材107で囲まれた領域の全体に形成されている。このため、シール材107で囲まれた領域において、シリケートガラス層28は、共通電極21の非形成領域21cで下地膜25を介して液晶層50に接している。この場合でも、液晶層50の水分は、下地膜25に吸着された後、シリケートガラス層18に移動し保持される。
【0068】
それ故、本形態でも、実施の形態1と同様、液晶層50の水分は、画素電極9a、ダミー画素電極9b、共通電極21に阻害されることなく、シリケートガラス層18、28に吸着され保持される。このため、シール材107で囲まれた領域内に設けられた液晶層50や電界効果型トランジスター30等の構成要素が水分によって劣化しにくい等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0069】
[実施の形態4]
図7は、本発明の実施の形態4に係る電気光学装置100の断面構成を示す説明図であり、図7(a)、(b)は、画素100aの断面図、および電気光学装置端部の断面図である。図7に示すように、本形態でも、実施の形態1と同様、素子基板10では、画素電極9aに対して基板本体10w側にシリケートガラス層18が形成されている。また、対向基板20では、共通電極21に対して基板本体20w側にシリケートガラス層28が形成されている。
【0070】
ここで、素子基板10では、画素電極9aと第1配向膜16との間(画素電極9aに対して基板本体10w側とは反対側)に、BSG膜、PSG膜あるいはBPSG膜からなるシリケートガラス層17が下地膜として形成されており、かかるシリケートガラス層17は、素子基板10の略全面に形成されている。従って、本形態では、シリケートガラス層17が、シール材107と接する第1シリケートガラス層として形成されている。また、シール材107で囲まれた領域において、シリケートガラス層17は、表面を液晶層50(電気光学物質層)に向ける第1シリケートガラス層として形成されている。
【0071】
また、対向基板20では、共通電極21と第2配向膜26との間(共通電極21に対して基板本体20w側とは反対側)に、BSG膜、PSG膜あるいはBPSG膜からなるシリケートガラス層27が下地膜として形成されており、かかるシリケートガラス層27は、対向基板20の略全面に形成されている。従って、本形態では、シリケートガラス層27が、シール材107と接する第2シリケートガラス層として形成されている。また、シール材107で囲まれた領域において、シリケートガラス層27は、表面を液晶層50(電気光学物質層)に向ける第2シリケートガラス層として形成されている。
【0072】
このように構成した電気光学装置100でも、実施の形態1と同様、素子基板10および基板本体10w(第1基板)側においてシール材107と接するのは、BSG膜等のシリケートガラス層17(第1シリケートガラス層)であり、対向基板20および基板本体20w(第2基板)側においてシール材107と接するのは、BSG膜等シリケートガラス層27(第2シリケートガラス層)である。このため、素子基板10とシール材107との間、および対向基板20とシール材107との間から水分がシール材107で囲まれた領域に侵入しにくい。また、シリケートガラス層27(第1シリケートガラス層)は、画素電極9aおよびダミー画素電極9bの表面で液晶層50に表面を向けているため、シール材107で囲まれた領域に水分が侵入しても、液晶層50の水分は、画素電極9aやダミー画素電極9bに阻害されることなく、シリケートガラス層17に吸着され保持される。また、シリケートガラス層27(第2シリケートガラス層)は、共通電極21の表面で液晶層50に表面を向けているため、シール材107で囲まれた領域に水分が侵入しても、液晶層50の水分は、共通電極21に阻害されることなく、シリケートガラス層27に吸着され保持される。このため、シール材107で囲まれた領域内に設けられた液晶層50や電界効果型トランジスター30等の構成要素が水分によって劣化しにくい。
【0073】
また、第1シリケートガラス層(シリケートガラス層17)は画素電極9aと第1配向膜16との間に設けられているため、シリケートガラス層17が有する平坦化膜としての性質によって、第1配向膜16を平坦面に形成することができるという利点がある。また、第2シリケートガラス層(シリケートガラス層27)は共通電極21と第2配向膜26との間に設けられているため、シリケートガラス層28が有する平坦化膜としての性質によって、第2配向膜26を平坦面に形成することができるという利点がある。
【0074】
さらに、素子基板10側および対向基板20側が略同一の構成を有しているため、シリケートガラス層17、27が水分を吸着して誘電率が変化した場合でも、かかる誘電率の変化に起因する画素電極9aに寄生する容量の変化の割合と共通電極21に寄生する容量の変化の割合が同等である。このため、フレーム反転駆動方式を採用した際、共通電極21の電位(Vcom)がシフトしにくいという利点がある。
【0075】
[実施の形態5]
図8は、本発明の実施の形態5に係る電気光学装置100の端部の断面図である。図8に示すように、本形態でも、実施の形態1と同様、素子基板10では、画素電極9aに対して基板本体10w側にシリケートガラス層18が形成されている。また、対向基板20では、共通電極21に対して基板本体20w側にシリケートガラス層28が形成されている。
【0076】
ここで、素子基板10では、画素電極9aと第1配向膜16との間(画素電極9aに対して基板本体10w側とは反対側)に、BSG膜、PSG膜あるいはBPSG膜からなるシリケートガラス層17が下地膜として形成されている。本形態において、シリケートガラス層17は、シール材107で囲まれた領域内のみに形成されている。
【0077】
従って、本形態では、シリケートガラス層18が、シール材107と接する第1シリケートガラス層として形成されている。また、シール材107で囲まれた領域においては、シリケートガラス層17が、表面を液晶層50(電気光学物質層)に向ける第1シリケートガラス層として形成されている。
【0078】
また、対向基板20では、共通電極21と第2配向膜26との間(共通電極21に対して基板本体20w側とは反対側)に、BSG膜、PSG膜あるいはBPSG膜からなるシリケートガラス層27が下地膜として形成されている。本形態において、シリケートガラス層27は、シール材107で囲まれた領域内のみに形成されている。
【0079】
従って、本形態では、シリケートガラス層28が、シール材107と接する第2シリケートガラス層として形成されている。また、シール材107で囲まれた領域においては、シリケートガラス層27が、表面を液晶層50(電気光学物質層)に向ける第1シリケートガラス層として形成されている。
【0080】
このように構成した電気光学装置100でも、実施の形態1と同様、素子基板10および基板本体10w(第1基板)側においてシール材107と接するのは、BSG膜等のシリケートガラス層18(第1シリケートガラス層)であり、対向基板20および基板本体20w(第2基板)側においてシール材107と接するのは、BSG膜等シリケートガラス層28(第2シリケートガラス層)である。このため、素子基板10とシール材107との間、および対向基板20とシール材107との間から水分がシール材107で囲まれた領域に侵入しにくい。また、シリケートガラス層17(第1シリケートガラス層)は、画素電極9aおよびダミー画素電極9bの表面で液晶層50に表面を向けているため、シール材107で囲まれた領域に水分が侵入しても、液晶層50の水分は、画素電極9aやダミー画素電極9bに阻害されることなく、シリケートガラス層17に吸着され保持される。また、シリケートガラス層27(第2シリケートガラス層)は、共通電極21の表面で液晶層50に表面を向けているため、シール材107で囲まれた領域に水分が侵入しても、液晶層50の水分は、共通電極21に阻害されることなく、シリケートガラス層27に吸着され保持される。このため、シール材107で囲まれた領域内に設けられた液晶層50や電界効果型トランジスター30等の構成要素が水分によって劣化しにくい。
【0081】
[他の電気光学装置への適用例]
上記実施の形態では、電気光学装置100として液晶装置を例示したが、電気光学装置100が有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマ表示装置等である場合に本発明を適用してもよい。
【0082】
[電子機器への搭載例]
上述した実施形態に係る電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図9は、本発明を適用した電気光学装置100を用いた投射型表示装置の概略構成図であり、図9(a)、(b)は各々、透過型の電気光学装置100を用いた投射型表示装置の説明図、および反射型の電気光学装置100を用いた投射型表示装置の説明図である。
【0083】
(投射型表示装置の第1例)
図9(a)に示す投射型表示装置110は、観察者側に設けられたスクリーン111に光を照射し、このスクリーン111で反射した光を観察する、いわゆる投影型の投射型表示装置である。投射型表示装置110は、光源112を備えた光源部130と、ダイクロイックミラー113、114と、液晶ライトバルブ115〜117(電気光学装置100)と、投射光学系118と、クロスダイクロイックプリズム119と、リレー系120とを備えている。
【0084】
光源112は、赤色光、緑色光及び青色光を含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー113は、光源112からの赤色光を透過させると共に緑色光及び青色光を反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー114は、ダイクロイックミラー113で反射された緑色光及び青色光のうち青色光を透過させると共に緑色光を反射する構成となっている。このように、ダイクロイックミラー113、114は、光源112から出射した光を赤色光と緑色光と青色光とに分離する色分離光学系を構成する。
【0085】
ここで、ダイクロイックミラー113と光源112との間には、インテグレーター121及び偏光変換素子122が光源112から順に配置されている。インテグレーター121は、光源112から照射された光の照度分布を均一化する構成となっている。また、偏光変換素子122は、光源112からの光を例えばs偏光のような特定の振動方向を有する偏光にする構成となっている。
【0086】
液晶ライトバルブ115は、ダイクロイックミラー113を透過して反射ミラー123で反射した赤色光を画像信号に応じて変調する透過型の電気光学装置100である。液晶ライトバルブ115は、λ/2位相差板115a、第1偏光板115b、液晶パネル115c及び第2偏光板115dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ115に入射する赤色光は、ダイクロイックミラー113を透過しても光の偏光は変化しないことから、s偏光のままである。
【0087】
λ/2位相差板115aは、液晶ライトバルブ115に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板115bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶パネル115cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板115dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ115は、画像信号に応じて赤色光を変調し、変調した赤色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。
【0088】
なお、λ/2位相差板115a及び第1偏光板115bは、偏光を変換させない透光性のガラス板115eに接した状態で配置されており、λ/2位相差板115a及び第1偏光板115bが発熱によって歪むのを回避することができる。
【0089】
液晶ライトバルブ116は、ダイクロイックミラー113で反射した後にダイクロイックミラー114で反射した緑色光を画像信号に応じて変調する透過型の電気光学装置100である。そして、液晶ライトバルブ116は、液晶ライトバルブ115と同様に、第1偏光板116b、液晶パネル116c及び第2偏光板116dを備えている。液晶ライトバルブ116に入射する緑色光は、ダイクロイックミラー113、114で反射されて入射するs偏光である。第1偏光板116bは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。また、液晶パネル116cは、s偏光を画像信号に応じた変調によってp偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。そして、第2偏光板116dは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ116は、画像信号に応じて緑色光を変調し、変調した緑色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。
【0090】
液晶ライトバルブ117は、ダイクロイックミラー113で反射し、ダイクロイックミラー114を透過した後でリレー系120を経た青色光を画像信号に応じて変調する透過型の電気光学装置100である。そして、液晶ライトバルブ117は、液晶ライトバルブ115、116と同様に、λ/2位相差板117a、第1偏光板117b、液晶パネル117c及び第2偏光板117dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ117に入射する青色光は、ダイクロイックミラー113で反射してダイクロイックミラー114を透過した後にリレー系120の後述する2つの反射ミラー125a、125bで反射することから、s偏光となっている。
【0091】
λ/2位相差板117aは、液晶ライトバルブ117に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板117bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶パネル117cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板117dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ117は、画像信号に応じて青色光を変調し、変調した青色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。なお、λ/2位相差板117a及び第1偏光板117bは、ガラス板117eに接した状態で配置されている。
【0092】
リレー系120は、リレーレンズ124a、124bと反射ミラー125a、125bとを備えている。リレーレンズ124a、124bは、青色光の光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。ここで、リレーレンズ124aは、ダイクロイックミラー114と反射ミラー125aとの間に配置されている。また、リレーレンズ124bは、反射ミラー125a、125bの間に配置されている。反射ミラー125aは、ダイクロイックミラー114を透過してリレーレンズ124aから出射した青色光をリレーレンズ124bに向けて反射するように配置されている。また、反射ミラー125bは、リレーレンズ124bから出射した青色光を液晶ライトバルブ117に向けて反射するように配置されている。
【0093】
クロスダイクロイックプリズム119は、2つのダイクロイック膜119a、119bをX字型に直交配置した色合成光学系である。ダイクロイック膜119aは青色光を反射して緑色光を透過する膜であり、ダイクロイック膜119bは赤色光を反射して緑色光を透過する膜である。したがって、クロスダイクロイックプリズム119は、液晶ライトバルブ115〜117のそれぞれで変調された赤色光と緑色光と青色光とを合成し、投射光学系118に向けて出射するように構成されている。
【0094】
なお、液晶ライトバルブ115、117からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はs偏光であり、液晶ライトバルブ116からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はp偏光である。このようにクロスダイクロイックプリズム119に入射する光を異なる種類の偏光としていることで、クロスダイクロイックプリズム119において各液晶ライトバルブ115〜117から入射する光を合成できる。ここで、一般に、ダイクロイック膜119a、119bはs偏光の反射トランジスター特性に優れている。このため、ダイクロイック膜119a、119bで反射される赤色光及び青色光をs偏光とし、ダイクロイック膜119a、119bを透過する緑色光をp偏光としている。投射光学系118は、投影レンズ(図示略)を有しており、クロスダイクロイックプリズム119で合成された光をスクリーン111に投射するように構成されている。
【0095】
(投射型表示装置の第2例)
図9(b)に示す投射型表示装置1000は、光源光を発生する光源部1021と、光源部1021から出射された光源光を赤、緑、青の3色に分離する色分離導光光学系1023と、色分離導光光学系1023から出射された各色の光源光によって照明される光変調部1025とを有している。また、投射型表示装置1000は、光変調部1025から出射された各色の像光を合成するクロスダイクロイックプリズム1027(合成光学系)と、クロスダイクロイックプリズム1027を経た像光をスクリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射光学系1029とを備えている。
【0096】
かかる投射型表示装置1000において、光源部1021は、光源1021aと、一対のフライアイ光学系1021d、1021eと、偏光変換部材1021gと、重畳レンズ1021iとを備えている。本形態においては、光源部1021は、放物面からなるリフレクタ1021fを備えており、平行光を出射する。フライアイ光学系1021d、1021eは、システム光軸と直交する面内にマトリクス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材1021gは、フライアイ光学系1021eから出射した光源光を、例えば図面に平行なp偏光成分のみに変換して光路下流側光学系に供給する。重畳レンズ1021iは、偏光変換部材1021gを経た光源光を全体として適宜収束させることにより、光変調部1025に設けた複数の電気光学装置100を各々均一に重畳照明可能とする。
【0097】
色分離導光光学系1023は、クロスダイクロイックミラー1023aと、ダイクロイックミラー1023bと、反射ミラー1023j、1023kとを備える。色分離導光光学系1023において、光源部1021からの略白色の光源光は、クロスダイクロイックミラー1023aに入射する。クロスダイクロイックミラー1023aを構成する一方の第1ダイクロイックミラー1031aで反射された赤色(R)の光は、反射ミラー1023jで反射されダイクロイックミラー1023bを透過して、入射側偏光板1037r、p偏光を透過させ、s偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032r、および光学補償板1039rを介して、p偏光のまま、赤色(R)用の電気光学装置100に入射する。
【0098】
また、第1ダイクロイックミラー1031aで反射された緑色(G)の光は、反射ミラー1023jで反射され、その後、ダイクロイックミラー1023bでも反射されて、入射側偏光板1037g、p偏光を透過させ、s偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032g、および光学補償板1039gを介して、p偏光のまま、緑色(G)用の電気光学装置100に入射する。
【0099】
これに対して、クロスダイクロイックミラー1023aを構成する他方の第2ダイクロイックミラー1031bで反射された青色(B)の光は、反射ミラー1023kで反射されて、入射側偏光板1037b、p偏光を透過する一方でs偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032b、および光学補償板1039bを介して、p偏光のまま、青色(B)用の電気光学装置100に入射する。なお、光学補償板1039r、1039g、1039bは、電気光学装置100への入射光および出射光の偏光状態を調整することで、液晶層の特性を光学的に補償している。
【0100】
このように構成した投射型表示装置1000では、光学補償板1039r、1039g、1039bを経て入射した3色の光は各々、各電気光学装置100において変調される。その際、電気光学装置100から出射された変調光のうち、s偏光の成分光は、ワイヤーグリッド偏光板1032r、1032g、1032bで反射し、出射側偏光板1038r、1038g、1038bを介してクロスダイクロイックプリズム1027に入射する。クロスダイクロイックプリズム1027には、X字状に交差する第1誘電体多層膜1027aおよび第2誘電体多層膜1027bが形成されており、一方の第1誘電体多層膜1027aはR光を反射し、他方の第2誘電体多層膜1027bはB光を反射する。従って、3色の光は、クロスダイクロイックプリズム1027において合成され、投射光学系1029に出射される。そして、投射光学系1029は、クロスダイクロイックプリズム1027で合成されたカラーの像光を、所望の倍率でスクリーン(図示せず。)に投射する。
【0101】
(他の投射型表示装置)
なお、投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0102】
(他の電子機器)
本発明を適用した電気光学装置100については、上記の電子機器の他にも、携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の電子機器において直視型表示装置として用いてもよい。
【符号の説明】
【0103】
9a・・画素電極、9b・・ダミー画素電極、9c・・画素電極の非形成領域、10・・素子基板、10a・・画像表示領域、10c・・外周領域、10w・・素子基板の基板本体(第1基板)、16・・第1配向膜、17、18・・シリケートガラス層(第1シリケートガラス層)、20・・対向基板、20w・・対向基板の基板本体(第2基板)、21・・対向電極、21c・・共通電極の非形成領域、26・・第2配向膜、27、28・・シリケートガラス層(第2シリケートガラス層)、100・・電気光学装置、100a・・画素、100b・・ダミー画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方面側に複数の画素電極が形成された第1基板と、
一方面側に共通電極が形成された第2基板と、
前記第1基板の一方面側と前記第2基板の一方面側とを貼り合わせるシール材と、
前記第1基板と前記第2基板との間のうち、前記シール材で囲まれた領域内に設けられた電気光学物質層と、
を有し、
リンおよびボロンのうちの少なくとも一方を含み、前記シール材に接して前記第1基板に設けられているとともに、前記シール材で囲まれた領域内において、前記画素電極の非形成領域において前記画素電極から前記電気光学物質層側に表面が露出する位置、および前記画素電極の前記電気光学物質層側の位置のうちの少なくとも一方に設けられた第1シリケートガラス層と、
リンおよびボロンのうちの少なくとも一方を含み、前記シール材に接して前記第2基板に設けられているとともに、前記シール材で囲まれた領域内において、前記共通電極の非形成領域において前記共通電極から前記電気光学物質層側に表面が露出する位置、および前記共通電極の前記電気光学物質層側の位置のうちの少なくとも一方に設けられた第2シリケートガラス層と、
を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1シリケートガラス層は、前記シール材と接する層と同一の層によって、前記画素電極の非形成領域において前記画素電極から前記電気光学物質層側に表面が露出する部分、および前記共通電極の前記電気光学物質層側の部分のうちの少なくとも一方が構成されており、
電極の非形成領域において前記共通電極から前記電気光学物質層側に表面が露出する部分、および前記共通電極の前記電気光学物質層側の部分のうちの少なくとも一方が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1シリケートガラス層は、前記画素電極に対して前記第1基板側で接するように設けられて前記画素電極の非形成領域で前記電気光学物質層層側に表面が前記画素電極から露出し、
前記第2シリケートガラス層は、前記共通電極に対して前記第2基板側で接するように設けられて前記共通電極の非形成領域で前記電気光学物質層層側に表面が前記共通電極から露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記共通電極には、前記画素電極と平面視で重ならない位置に開口部が形成されており、
前記第2シリケートガラス層は、前記開口部を介して前記電気光学物質層層側に表面が前記共通電極から露出していることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1シリケートガラス層は、前記画素電極と該画素電極に対して前記第1基板とは反対側に形成された無機配向膜からなる第1配向膜との間に設けられ、
前記第2シリケートガラス層は、前記共通電極と該共通電極に対して前記第2基板とは反対側に形成された無機配向膜からなる第2配向膜との間に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1シリケートガラス層および前記第2シリケートガラス層は、ボロンシリケートガラスからなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記電気光学物質層層は、液晶層であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
前記電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、
前記電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、
を有していることを特徴とする請求項8に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−109258(P2013−109258A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255857(P2011−255857)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】