説明

電気的に作動する関節運動固定機構を含む外科器具

【課題】シャフト内に作動要素を通すのに必要な直径が小さく、作動要素を通した後に選択した関節運動の角度を維持できる関節運動機構を含む関節運動外科器具を提供する。
【解決手段】エンドエフェクタの関節運動のために電気作動ポリマー(EAP)関節運動固定機構アクチュエータを含む関節運動機構を細長いシャフト16に設けた内視鏡用に特に適した外科器具。関節運動における他の選択肢が可能となり、特に、能動的に電力が供給される関節運動において従来熱や電力を放散していた位置を維持する必要がある場合に、熱や電力を放散しないようにすることが可能である。又、関節運動した後の逆方向の運動の防止にEAP関節運動固定機構が役立つため、機械作動式関節運動機構の強度を小さくし、大きさが小さいデザインが可能となる。例えば、EAP関節運動固定機構が、回動関節運動接合部を固定し、他の機構が可撓性ネック関節運動接合部32を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年7月28日出願のシェルトン4世(Shelton IV)による米国仮特許出願第60/591,694号(名称「電気的に作動する関節機構を含む外科器具(SURGICAL INSTRUMENT INCORPORATING AN ELECTRICALLY ACTUATED ARTICULATION MECHANISM)」)の恩典を請求するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、外科部位にエンドエフェクタ(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤー、アクセス装置、薬物/遺伝子治療送達装置、並びに超音波、無線周波、及びレーザーなどを用いるエネルギー装置)を内視鏡的に挿入するのに適した外科器具に関し、詳細には関節運動シャフトを備えたこのような器具に関する。
【0003】
内視鏡外科器具は、切開部が小さく術後の回復が早く合併症のリスクが低いため、従来の開放外科手術よりも好まれる傾向にある。従って、トロカールのカニューレを介して所望の外科部位に先端部のエンドエフェクタを正確に配置するのに適した一定の内視鏡器具が進歩した。このような先端部のエンドエフェクタは、様々な方法(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤー、アクセス装置、薬物/遺伝子治療送達装置、及び超音波、無線周波、及びレーザーなどを用いるエネルギー装置)で組織にアクセスして診断したり治療効果を得ることができる。
【0004】
エンドエフェクタの位置合わせはトロカールによって一定範囲に制限される。一般に、このような内視鏡外科器具は、医師が操作するハンドル部分とエンドエフェクタとの間に長いシャフトを有する。この長いシャフトにより、所望の深さに挿入して、その長軸を中心にエンドエフェクタを回動させ、ある程度の位置合わせが可能である。トロカールを慎重に配置して把持具を用いれば、例えば別のトロカールを介した位置合わせで十分な場合が多い。特許文献1に開示されているような外科用ステープル止め/切断器具が、挿入と回動によりエンドエフェクタを正確に配置できる内視鏡外科器具の一例である。
【0005】
言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする、2003年5月20日出願のシェルトン4世(Shelton IV)らによる最近の米国特許出願第10/443,617号(名称「Eビーム発射機構を含む外科用ステープラ器具(SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING AN E-BEAM FIRING MECHANISM)」)に、組織の切断及びステープル止め用の改良された「Eビーム」発射バーが開示されている。この器具に特有の利点は、たとえクランプした組織の量がステープル形成に最適な組織の量と多少異なっていたとしても、エンドエフェクタ、つまりステープル止め組立体のジョーとジョーの間の空間を確実に維持できることである。更に、Eビーム発射バーが、複数の有利なロックアウトを含むことができるようにエンドエフェクタ及びステープルカートリッジに係合する。
【0006】
操作方法によるが、内視鏡外科器具のエンドエフェクタの位置合わせを更に調節できるようにするのが望ましいであろう。特に、器具のシャフトの長軸の横断方向に対してエンドエフェクタを向き合わせできるのが望ましい場合が多い。器具のシャフトに対するエンドエフェクタの横断方向の移動は、従来より「関節運動」と呼ばれている。この関節運動は通常、ステープル止め組立体のすぐ基端側のシャフト延長部に設けられたピボット(または関節運動)接合部によって達成される。これにより、外科医が、より良くステープルラインを外科的に配置するため及び容易な組織の操作及び向き合わせのために、ステープル止め組立体を遠隔的に左右何れかの方向に関節運動させることができる。この関節運動位置合わせにより、外科医は、例えば臓器の後側などの位置の組織に容易に係合させることができる。加えて、関節運動位置合わせにより、内視鏡を器具のシャフトに妨害されずにエンドエフェクタの後側に有利に配置することができる。
【0007】
外科用ステープル止め/切断器具の関節運動の方法は、関節運動の制御と組織をクランプするためのエンドエフェクタの開閉及びエンドエフェクタの動作(すなわち、ステープル止めと切断)の全てを内視鏡器具の小さな直径の制限の中で行わなければならないため複雑である。一般に、3つの制御運動全てが、長手方向の運動としてシャフトを介して伝達される。例えば、特許文献2に、アコーディオンのような関節運動機構(フレックスネック)が開示されている。この関節運動機構は、実施シャフトを介して、2つの連結ロッドの一方を選択的に引き戻して関節運動させることができる。各連結ロッドは、シャフトの中心線に対して両側にそれぞれずれている。この連結ロッドは、ラチェット式に一連の個々の位置に移動できる。
【0008】
特許文献3に、関節運動機構の長手方向の制御の別の例が開示されている。この機構は、カム動作ピボットからずれた関節運動リンクを含み、この関節運動リンクを長手方向に押したり引いたりして所望の側に関節運動を行うことができる。同様に、特許文献4に、関節運動のためにシャフトを通過する同様のロッドが開示されている。
【0009】
言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする、同時係属中の自己のケネス・ウェールズ(Kenneth Wales)らによる米国特許出願第10/615,973号(名称「長軸を中心とした回動を利用する関節運動機構を含む外科器具(SURGICAL INSTRUMENT INCORPORATING AN ARCTICULATION MECHANISM HAVING ROTATION ABOUT THE LONGITUDINAL AXIS)」)では、長手方向の運動の代わりに回動運動を利用して関節運動を伝達する。
【0010】
このような機械的に伝達される関節運動により内視鏡外科用ステープル止め/切断器具の関節運動が可能となったが、市販するには様々な問題や障害がある。デザインの問題として、複数の運動(例えば、閉止、発射、関節運動、及び回動など)のために十分な強度を維持しながら、外科用開口の大きさを小さくするためにシャフトの直径を可能な限り小さくしなければならないことがある。しかしながら、これらの一般的な関節運動機構は、エンドエフェクタに対する荷重による後方への移動に耐えるように十分な強度を維持しなければならない。
【特許文献1】米国特許第5,465,895号明細書
【特許文献2】米国特許第5,673,840号明細書
【特許文献3】米国特許第5,865,361号明細書
【特許文献4】米国特許第5,797,537号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、関節運動外科器具のシャフト内に作動要素を通すのに必要な直径が小さく、作動要素を通した後に選択した関節運動の角度での維持が強化された関節運動機構を含む関節運動外科器具が強く要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、従来の上記したまたは他の欠点を解消するべく、ハンドルとエンドエフェクタとの間に取り付けられた関節運動するシャフトを有する外科器具を提供する。電気活性ポリマー(EAP)アクチュエータにより、関節運動のために関節運動ロックの固定解除及び再固定を行うことができる。従って、たとえ比較的弱い関節運動作動機構でも固定された後の関節運動接合部に用いることができ、関節運動した後に元に戻るのを防止するために強い関節運動作動機構を用いる必要がない。従って、遠隔的に制御可能な作動機能を維持したまま、有利な小径のシャフトを達成することができる。
【0013】
本発明の一態様では、外科器具は、エンドエフェクタと細長いシャフトの先端部との間に取り付けられた回動関節運動接合部を含む。回動関節運動接合部の一側に取り付けられた固定部材が、関節運動した時も、その接合部の他側に固定されるように弾性的に付勢されている。電気的な固定解除アクチュエータが固定解除するように固定部材の反対側に付勢できるため、関節運動の角度を変更することができる。次いで、固定部材が再び係合し、元に戻るのを防止することができる。
【0014】
本発明の別の態様では、外科器具は、列になった垂直方向の左右のリブを有する可撓性関節運動接合部を含み、これにより両側に横方向に曲がることができる。固定ストリップがリブの間の凹部内に位置し、この可撓性関節運動接合部が一側に関節運動した時に固定ストリップの長手方向の長さが変化して、リブの間にブロック構造が進入して、リブの間隔が維持される。
【0015】
本発明のこれら及び他の目的及び利点は、添付の図面及び以下の説明から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0016】
関節運動外科器具のシャフト内に作動要素を通すのに必要な直径が小さく、作動要素を通した後に選択した関節運動の角度での維持が強化された関節運動機構を含む関節運動外科器具が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書に含まれる本明細書の一部を成す添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、これを参照しながら本発明の概要及び実施形態の詳細な説明を読めば、本発明をより良く理解できるであろう。
【0018】
関節運動シャフトの概観
図1に、細長いシャフト16によってハンドル14から離間したステープル止め組立体12のエンドエフェクタを先端部に有する外科用切断/ステープル止め器具10として外科器具が示されている。ステープル止め組立体12は、交換可能なステープルカートリッジ20を受容するためのステープル溝18を有する。ステープル止め及び切断のためにステープルカートリッジ20に対して組織をクランプするアンビル22が、ステープル溝18に回動可能に取り付けられている。ステープル止め組立体12が閉じると、その断面積及び細長いシャフト16が、トロカール(不図示)のカニューレなどを介して小さな切開部から挿入するのに適した大きさとなる。
【0019】
ステープル止め組立体12の正確な配置及び方向合わせは、ハンドル14での調節によって容易に行うことができる。具体的には、回動ノブ30により、シャフト16をその長軸を中心に回動させてステープル止め組立体12を回動させる。弧状にステープル組立体12を回動させることができるシャフト16の関節運動接合部32で更なる位置合わせが可能である。具体的には、ステープル止め組立体12がシャフト16の長軸から弧状に曲がり、これにより臓器の後側に配置したり、ステープル止め組立体12の後側に内視鏡(不図示)などの他の器具を配置することができる。このような関節運動は、ハンドル14の関節運動制御スイッチ34によって有利に行うことができる。この関節運動制御スイッチ34は、電気信号を関節運動接合部32からEAPアクチュエータ36に送る。EAPアクチュエータ36には、ハンドル14内の電源38及び電気活性ポリマー(EAP)制御装置によってエネルギーが供給される。具体的には、電気信号により関節運動中にEAP固定アクチュエータ(図1には不図示)を作動させて関節運動の固定を解除する。
【0020】
組織がステープル止め組立体12の中に配置されたら、外科医は、ピストルグリップ42に向かって閉止トリガー40を基端側に引いてアンビル22を閉じることができる。このようにして組織をクランプしたら、外科医は、先端側の発射トリガー44を握って、これを基端側に引いてステープル止め組立体12を作動させることができる。ある適用例では、この動作が1回の発射ストロークで行われ、別の適用例では、この動作が複数の発射ストロークで行われる。発射動作は、少なくとも2列のステープルをステープル止めすると同時にその間の組織を切断する。
【0021】
発射構成要素の引き戻しは、全距離を移動した後に自動的に開始することができる。別法では、引き戻しレバー46を後ろ側に引いて引き戻しを行うことができる。発射構成要素が引き戻されたら、外科医が閉止トリガー40をピストルグリップ42に向かって後ろ側に少し引き、閉止解除ボタン48を押し、次いで閉止トリガー40を解放し、切断された組織の2つのステープル止めされた端部をステープル止め組立体12から解放して、ステープル止め組立体12のクランプを解除して開くことができる。
【0022】
外科器具10の長手方向の軸が、ハンドル14の上部に垂直方向に整合したステープル止め組立体12のアンビル22に平行に位置し、トリガー40及び44がハンドル14の底部に垂直方向に整合すると表現できるように、図面に対して垂直方向及び水平方向などの空間を示す用語を用いることを理解されたい。しかしながら、実際には、外科器具10は、様々な角度に配置することができ、このような空間を示す用語が外科器具10に対して用いられる。更に、ハンドル14の後側にいる外科医が自分から離れた先端側にエンドエフェクタ12を配置するなどのように外科医の遠近を説明するために「基端側」を用いる。
【0023】
ハンドル
図1に示されているステープル止め組立体12では、2つの異なった運動をシャフト16を介してシャフトフレーム(図1には示されていないが図7に詳細に示されている)に長手方向に伝達し、組織をクランプし、ステープル止めし、組織を切断することができる。このシャフトフレーム組立体は、基端側がハンドル14に取り付けられ、回動ノブ30と共に回動できるよう結合されている。図1の外科用ステープル止め/切断器具10に用いられるマルチストロークハンドル14の例が、スウェイズ(Swayze)及びシェルトン(Shelton)による同時係属中の自己の米国特許出願第10/674,026号(名称「マルチストローク発射位置表示器及び引き戻し機構を含む外科用ステープル止め器具(SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING A MULTISTROKE FIRING POSITION INDICATOR AND RETRACTION MECHANISM)」、及びケビン・ドール(Kevin Doll)、ジェフリー S.スウェイズ(Jeffrey S. Swayze)、フレデリック E.シェルトン4世(Frederick E. Shelton IV)、ダグラス・ホフマン(Douglas Hoffman)、及びマイケル・セッツァー(Michael Setser)による2005年2月7日出願の米国特許出願第11/052,632号(名称「発射運動の引き戻しが自動で終了するマルチストローク発射機構を含む外科用ステープル止め器具(SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING A MULTI-STROKE FIRING MECHANISM WITH AUTOMATIC END OF FIRING TRAVEL RETRACTION)」に開示されている。これらの特許文献には、様々な別の特徴や形態が示されており、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする。
【0024】
マルチストロークハンドル14は長い距離に亘って発射の力が大きく、本発明に従った適用例に有用であるが、このような適用例は、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とするフレデリック E.シェルトン4世(Frederick E. Shelton IV)、マイケル E.セッツァー(Michael E. Setser)、及びブライアンJ.ヘムメルガン(Brian J. Hemmelgarn)による同時係属中の自己の米国特許出願第10/441,632号(名称「閉止システム及と発射システムを別々に有する外科用ステープル止め器具(SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS)」に開示されているような発射シングルストロークを含むこともできる。
【0025】
電気活性ポリマー
電気活性ポリマー(EAPs)は、電圧が加えられると形状が変化する導電物質がドープされた一連のポリマーである。要するに、この導電ポリマーを、一定の形態のイオン流体またはゲル及び電極と組み合わせることができる。電圧を加えると、この流体/ゲルからのイオンが導電ポリマーに対して流入または流出し、このイオンの流れによりポリマーの形状が変化する。加える電圧は、使用するポリマー及びイオン流体によって1V〜4kVの範囲である。電圧が加えられると、ある種のEAPsは収縮し、別のEAPsは膨張する。EAPsをばねや可撓性プレートなどの機械手段に組み合わせて、電圧を加えた際のこれらの効果を変更することができる。
【0026】
電気活性ポリマーには、2つの基本タイプがあり、それぞれのタイプに複数の構造がある。この2つのタイプは、ファイバーバンドル型とラミネート型である。ファイバーバンドルは、約30μm〜50μmのファイバーからなる。これらのファイバーは、織物と全く同様にバンドルに織ることができ、このためEAPヤーンと呼ばれることが多い。このタイプのEAPは電圧が加えられると収縮する。電極は通常、中心のワイヤコア及び導電性の外側シースであり、この外側シースは、ファイバーバンドルを取り囲むイオン流体を受容することができる。市販されているファイバーEAP材料は、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする米国特許出願第6,667,825号に開示されており、サンタフェ・サイエンス・アンド・テクノロジー(Santa Fe Science and Technology)によって製造され、PANION(商標)ファイバーとして販売されている。
【0027】
他方のタイプのラミネート構造は、一層のEAPポリマーと、一層のイオンゲルと、このラミネートの何れかの側に取り付けられる2つの可撓性プレートからなる。電圧が加えられると、正方形のラミネートプレートが一方向に膨張し、その方向と垂直の方向に収縮する。ラミネート(プレート)EAP材料は、例えば、SRIラボラトリーズ(SRI Laboratories)の別会社であるアーティフィシャル・マッスル社(Artificial Muscle Inc)が販売している。プレートEAP材料はまた、日本のEAMEXが販売しており、薄膜EAPと呼ばれている。
【0028】
EAPsはエネルギーが加えられると、単に一方向に膨張し、その逆方向に収縮するだけで、容積は変化しないことを理解されたい。ラミネート型は、一側が補強構造に用いられ、他側がピストンのように用いられる基本形態に形成することができる。ラミネート型は可撓性プレートの何れかの側に接着することもできる。可撓性プレートEAPの一側にエネルギーが加えられると、この一側が膨張してプレートが反対方向に曲がる。これにより、エネルギーを加えられる側を選択してプレートを所望の方向に曲げることができる。
【0029】
EAPアクチュエータは通常、互いに協働する複数の層、またはファイバーバンドルからなる。EAPの機械的構造により、EAPアクチュエータ及びその運動性が決まる。EAPは、1つの中心電極を覆う細長いストランドに形成することができる。可撓性外側スリーブが、アクチュエータ用の別の電極を形成し、装置の動作に必要なイオン流体を含むことができる。この構造では、電極に電界が加えられると、EAPのストランドが収縮する。このようなEAPアクチュエータの構造はファイバーEAPアクチュエータと呼ばれる。同様に、ラミネート構造は、単に積層したり、また可撓性プレートの一側の複数の層に配置して性能を上げることができる。一般的なファイバー構造は、有効伸び率が2%〜4%であり、一般的なラミネート構造は、相当高い電圧の使用により20%〜30%の伸び率を有する。
【0030】
図2に示されているように、ラミネートEAP複合材100は、プレート陽極層102、この陽極層102に取り付けられたEAP層104、このEAP層104に取り付けられたイオンセル層106、及びこのイオンセル層106に取り付けられたプレート陰極層108からなる。図3に示されているように、5つのラミネートEAP複合材100が、間の接着層110によって積層構造に接着され、EAPプレートアクチュエータ120が形成されている。所望の方向に選択的に曲げることができる対向したEAPアクチュエータ120を形成できることを理解されたい。
【0031】
図4‐図5に示されているように、収縮EAPファイバーアクチュエータ140が、細長い円柱キャビティ146を経て絶縁ポリマー基端エンドキャップ144を通る長手方向のプラチナ陰極ワイヤ142を含む。円柱キャビティ146は、陽極として機能するように導電物質がドープされたプラスチック円柱壁148内に形成されている。プラチナ陰極ワイヤ142の先端部は、絶縁ポリマー先端キャップ150内に埋め込まれている。複数の収縮ポリマーファイバー152が、陰極ワイヤ142を囲むように平行に配置され、これらの端部がそれぞれのエンドキャップ144及び150内に埋め込まれている。プラスチック円柱壁148の両端は、収縮ポリマーファイバー152と陰極ワイヤ142の間の空間を満たすイオン流体またはゲル154を密閉して円柱キャビティ146を取り囲むようにそれぞれのエンドキャップ144及び150に取り付けられている。プラスチック円柱壁(陽極)148及び陰極ワイヤ142に電圧が加えられると、イオン流体が収縮ポリマーファイバー152内に進入し、これによりそれらの外径が膨張すると共に長さが収縮し、エンドキャップ144と150が互いに近づく。
【0032】
EAP作動関節運動接合部
図6‐図13に示されているように、外科用切断/ステープル止め器具200が、細長いシャフト204に形成されたEAP作動関節運動接合部202をエンドエフェクタの基端側に有する。このエンドエフェクタは、細長いシャフト204によって長手方向に伝達される別々の閉止運動及び発射運動に有利に応答する外科用ステープル止め/切断組立体12として例示されている。EAP作動関節運動接合部202は、ステープル止め組立体12に関節運動に所望の臨床的柔軟性を有利に付与する。
【0033】
図6‐図13に例示されている形態では、EAP作動関節運動接合部202、具体的には可撓性の閉止/回動フレーム関節運動接合部210が、図6に示されているように、可撓性閉止チューブ218によって連結された先端閉止リング216と基端閉止チューブ214を有する可撓性閉止スリーブ組立体212を含む。可撓性閉止チューブ218に形成された長手方向に列を成す左右の垂直スリット220及び222により、曲げる程度にかかわらず上部の長手方向のバンド224の長手方向の閉止運動の伝達を妨げずに、左右に曲がって関節運動することができる。この長手方向の運動を上部の長手方向のバンド224と協働するように、この長手方向のバンド224と対向して可撓性閉止チューブ218(不図示)の底部に沿って同一の長手方向の底部バンドが設けられていることを理解されたい。具体的には、先端閉止リング216の上部が、アンビル22のアンビル閉止構造228に係合する馬蹄開口226を含む。図7に示されているように、アンビル22は、その基端部に横方向に延出した回動ピン230を含む。この回動ピン230は、細長い溝18の基端部近傍に形成された回動開口232(図7及び図8)に回動可能に係合する。従って、これよりもやや先端側のアンビル閉止構造228により、可撓性閉止スリーブ組立体212が先端側に移動するとアンビルが閉止し、基端側に移動するとアンビルが開く。可撓性閉止チューブ218は、長手方向に列を成す左右の垂直スリット220及び222の長さに沿って曲がることができるため、関節運動する可撓性の閉止/回動フレーム関節接合部210のシングルピボットフレーム組立体234を覆って受容することができる。
【0034】
特に図7‐図9を参照すると、シングルピボットフレーム組立体234は、先端側に延出した上部及び下部回動タブ238及び240を備えた基端フレームグランド236を含む。上部及び下部回動タブ238及び240はそれぞれ、上部及び下部回動ピンホール242及び244を有する。上部及び下部回動タング246及び248がそれぞれ、先端フレームグランド250から基端側に延出した上部及び下部回動ピンホール252及び254を有し、基端フレームグランド236に回動可能に係合する。具体的には、垂直方向に整合した上部回動ピンホール242及び252と下部回動ピンホール244及び254がそれぞれ、上部及び下部フレーム回動ピン256及び258(図10)によって係合する。
【0035】
図8に示されているように、細長いシャフト16及びステープル止め組立体12によって形成された外科器具200の実施部分260が、基端フレームグランド218、可撓性閉止/回動フレーム関節運動接合部210、及び先端フレームグランド250の発射スロット272内を長手方向に移動してステープル止め組立体12内に至る発射バー270を含む。先端フレームグランド250の上部に形成された先端及び基端矩形開口274及び276がそれらの間に、クリップばね282の上部アーム280を受容するクリップバー278を画定している。クリップばね282の下部先端側に延びたアーム284により、発射運動の際に空または欠落したカートリッジロックアウト部分に対応して発射バー270の上部に沿って隆起した部分286が確実に押し下げらされる。
【0036】
特に図8を参照すると、発射バー270の先端側に延出した端部が、ステープルカートリッジ20からアンビル22を離間させ、組織を切断し、そしてステープルカートリッジ20を作動させるためのEビーム288に取り付けられている。このステープルカートリッジ20は、上方に開口したステープル開口294内のステープルドライバ292に位置する複数のステープルを保持する成形カートリッジ本体290を含む。ウェッジスレッド296が、交換可能なステープルカートリッジ20の様々な構成要素を保持するカートリッジトレイ298の上をスライドする時にEビーム288によって先端側に移動する。ウェッジスレッド296は、ステープルドライバ292を上方にカム動作させてステープルを押し出し、これによりステープルがアンビル22に接触して変形する。この時、Eビーム288の切断面300がクランプされた組織を切断する。発射動作の際にEビーム288の上部ピン302がアンビル22に係合し、中間ピン304及び下部脚306により、細長い溝18に形成された長手方向のスロット308の上面及び下面がそれぞれ、カートリッジトレイ298の対応する長手方向の開口310及びカートリッジ本体290の後部が開口した垂直スロット312に係合することを理解されたい。次いで、発射バー270が基端側に引き戻され、これによりEビーム288も引き戻され、アンビル22が開いて2つのステープルで止められた切断組織部分(不図示)が解放される。
【0037】
ステープル止め組立体12は、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする2004年9月30日出願のフレデリックE.シェルトン4世(Frederick E. Shelton IV)らによる同時係属中の自己の米国特許出願第10/955,042号(名称「ツーピースのEビーム発射機構を含む関節運動外科用ステープル止め器具(ARTICULATING SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING A TWO-PIECE E-BEAM FIRING MECHANISM)」)に詳細に開示されている。
【0038】
特に図9‐図13を参照すると、EAPアクチュエータシステム400が、ハンドル14から受け取る電気的な関節運動信号(不図示)に応答してシングルピボットフレーム組立体234を有利に作動させる。図7‐図13に例示されている形態では、左右の上部EAPファイバーアクチュエータ402及び404が、上部回動タブ238に取り付けられた先端側に延出した上部モーメントアーム406の両側に水平に取り付けられている。左右の上部EAPファイバーアクチュエータ402及び404の外側端部が、先端フレームグランド250の内径410の左右上部の横取付け点406及び408に取り付けられている。同様に、左右の下部EAPファイバーアクチュエータ412及び414が、下部回動タブ240に取り付けられた先端側に延出した下部モーメントアーム416の両側に水平方向に取り付けられている。左右の下部EAPファイバーアクチュエータ412及び414の外側端部が、先端フレームグランド250の内径410の左右下部の横取付け点418及び420にそれぞれ取り付けられている。取付け点406、408、418、及び420は、図示されているように、図12の先端フレームグランド250を貫通している。左取付け点406及び418は、図9の先端フレームグランド250の外部に示されている。図13、特に上下の右EAPファイバーアクチュエータ404及び414を参照されたい。一対のEAPアクチュエータが作動すると、上下の右EAPファイバーアクチュエータ404及び414が収縮し、上下のモーメントアーム406及び416が先端フレームグランド250の右側に近づき、これにより上下のEAPファイバーアクチュエータ402及び412が伸長し、長手方向に列を成した左側の垂直スリット220がつぶれ、長手方向に列を成した右側の垂直スリット222が拡張する。
【0039】
図14‐図18に示されているように、外科用切断/ステープル止め器具500が、ダブルピボット閉止スリーブ組立体504(図14及び図15)及びシングルピボットフレーム組立体506(図15‐図18)を含む代替のEAP作動関節運動接合部502を含む。図14では、ステープル止め組立体12は、アンビル22が開いて交換可能なステープルカートリッジ20が取り除かれた状態で示されている。従って、ダブルピボット閉止スリーブ組立体504は基端位置にあり、先端回動軸がフレーム組立体506の回動軸に整合している。閉止スリーブ組立体504が先端側に移動してアンビル22を閉じると、関節運動フレーム組立体506に対して移動するように閉止スリーブ組立体504の基端回動軸も回動することを理解されたい。
【0040】
特に図15に示されているように、ダブルピボット閉止スリーブ組立体504は、先端側に延出した上下のタング514及び516を有する基端閉止リング512に先端部がキー結合する基端閉止チューブ510を含む。先端閉止チューブ518は、アンビル22のアンビル閉止構造228に係合する馬蹄開口520を含む。先端閉止チューブ518の基端部は、基端側に延出した上下のタング524及び526を有する先端閉止リング522にピンで止められる。上部ダブルピボットリンク528が、上方に延出した先端及び基端回動ピン530及び532を含む。これらの回動ピンがそれぞれ、上部基端側に延出したタング524に形成された上部先端ピンホール534及び上部先端側に延出したタング514の上部基端ピンホール536に係合する。下部ダブルピボットリンク538は、下方に延出した先端及び基端回動ピン540及び542を含み、これらの回動ピンがそれぞれ、基端側に延出した下部タング526の下部先端ピンホール544及び先端側に延出した下部タング516の下部基端ピンホール546に係合する。
【0041】
特に図15‐図18に示されているように、シングルピボットフレーム組立体506は、左右のモーメントアーム556及び558の間に画定された先端側が開口した回動凹部554の基端側の中心に回動ピンホール552を含む。ドッグボーン型リンク560が、基端フレームグランド550の回動ピンホール552に上部が係合する基端ピン562、及び左右のモーメントアーム556と558との間で回動する中心バー564を含む。ドッグボーン型リンク560の先端ピン566が、細長い溝18の基端ガイド574に係合する先端横ガイド572を有する先端フレームグランド570の下部基端孔568内に固着される。
【0042】
EAP作動システム580が、選択的に膨張してドッグボーン型リンク560の中心バー564を関節運動させる左右のEAPスタックアクチュエータ582及び584を含む。ドックボーン型リンク560は、他方のEAPスタックアクチュエータを受動的に圧迫する。図18では、右EAPスタックアクチュエータ584が膨張してドッグボーン型リンク560が回動し、これによりステープル止め組立体12が左側に回動し、左EAPスタックアクチュエータ582が受動的に圧迫される。
【0043】
図19に示されているように、外科器具602の更に別の代替のEAP作動関節運動接合部600が、シングルピボットフレーム組立体604を含む。基端フレームグランド606が、先端フレームグランド610から先端側に延出したタング608に回動ピン612で係合している。先端側に延出したタング608は、右側面に凹部を有し、回動ピン612の右側に半涙型プーリー614を画定している。収縮EAPファイバーアクチュエータ616の先端部が半涙型プーリー614の先端部に取り付けられている。収縮EAPファイバーアクチュエータ616は、プーリー614の形状に一致し、基端フレームグランド606内に伸びている。収縮EAPファイバーアクチュエータ616は、たとえ長さ方向の収縮率が低くても、大きく回動するのに十分な長さを有することができる。EAP関節運動接合部600に形成された機構と同様であるが、逆に回動する機構をタング608の左側面に形成することもできることを理解されたい。
【0044】
回動関節運動機構に用いる長手方向の関節運動固定機構
図20‐図27に示されているように、長手方向のEAP作動関節運動ロック700が、外科器具704の回動関節運動接合部702に設けられている。分かり易くするために、シングルピボットフレーム機構706が、先端側に延出した上下の回動タブ710及び712を有する基端フレームグランド708で示されている。これらの回動タブはそれぞれ、エンドエフェクタ720に取り付けられる先端フレームグランド718の基端側に延出した上下のタング714及び716のそれぞれに回動可能に係合する。上部回動タブ710の上部内側孔722が、上部タング714の上部外側孔724の下側に整合し、上部回動ピン726によって互いに回動可能にピンで止められる。下部回動タブ712の下部内側孔728が、下部タング716の下部外側孔730の上に整合し、下部回動ピン732によって互いに回動可能にピンで止められる。上下のモーメントアーム734及び736がそれぞれ、上下の回動タブ710及び712から先端側に延出している。上部モーメントアーム734は、概ね水平な左上部EAPファイバーアクチュエータ740によって先端フレームグランド718に形成された左上部取付け点738に向かって近づくことができる。上部モーメントアーム734はまた、概ね水平な右上部EAPファイバーアクチュエータ744によって先端フレームグランド718に形成された右上部取付け点742に向かって近づくことができる。下部モーメントアーム736は、概ね水平な左下部EAPファイバーアクチュエータ748によって先端フレームグランド718に形成された左下部取付け点746に向かって近づくことができる。下部モーメントアーム736はまた、概ね水平な右下部EAPファイバーアクチュエータ752によって先端フレームグランド718に形成された右下部取付け点750に向かって近づくことができる。
【0045】
アンビルピボットに作用するEAPアクチュエータなどの閉止機構(不図示)の動作によってアンビル22を閉止することができる。別法では、発射の運動によりステープル止め及び切断が行われる前にまずアンビルを閉じることができる。更なる別法では、閉止スリーブ組立体または他の長手方向に結合された機構(不図示)によってアンビル22を閉止することができる。
【0046】
上部EAP作動関節運動固定機構800が、回動関節運動接合部702の固定を解除して関節運動させることができる。次いで、EAP作動関節運動固定機構800は、リラックスした固定された状態にされ、関節運動の程度が変化する間に電力の放散を必要としない、すなわち構成要素の加熱を必要としない安定した固定状態を提供する。上部固定ボルト組立体802が、長手方向の中心線から垂直方向に離間して上部回動タブ710の基端側の基端フレームグランド708に形成された矩形の上部固定凹部804内に示されている。固定ボルト806の固定チップ808が、上部固定凹部804に形成された先端スロット810から延出して、先端フレームグランド718の上部回動タング714の基端面に形成された歯車部分814の最も近い歯車の谷812に係合している。固定ボルト806の基端側はクロスプレート816で終わっている。クロスプレート816は、基端側に位置する圧縮ばね818の付勢と、左右の上部EAPスタックアクチュエータ820及び822の付勢により矩形の上部固定凹部804内を長手方向にスライドする。左右のEAPスタックアクチュエータ820及び822は、作動して長手方向に膨張し、圧縮ばね818を圧縮して固定ボルト806を基端側に移動させ、これにより固定チップ808を歯車部分814から係合解除して、関節運動接合部702を回動可能にして再び位置合わせが可能になる。上部固定カバー824により上部固定凹部804を閉止することができる。
【0047】
図23に示されているように、更に固定を確実にするために、上部固定機構800と同一の下部EAP作動関節運動固定機構830が下部回動タング716に対して反対側で作用する。同様の固定機構を細長いシャフトの基端部ではなく先端部に設けることができることを理解されたい。更に、ダブルピボット結合が、それぞれのピボットで固定機構を含むことができる。
【0048】
使用する場合、関節運動していないエンドエフェクタ720と回動関節運動接合部702(図20‐図24)を外科部位に挿入する。通常はEAP固定機構800及び830に対するエネルギーの供給を止めると、基端フレームグランド708に取り付けられた固定チップ808が先端フレームグランド718の歯車部分814に係合し、シングルピボットフレーム組立体706が固定される。所望に応じて、EAPスタックアクチュエータ820及び822にエネルギーを供給して長手方向に伸長させ、EAP関節運動固定機構800及び830の固定を解除することができる。固定が解除されている間に、上下の右EAPファイバーアクチュエータ744及び752を収縮させるなどして関節運動接合部702を関節運動させてエンドエフェクタ720を左側に回動させ(図25)、固定チップ808を別の歯車の谷812に合わせ、エネルギー供給の停止でEAP関節運動固定機構800により外科器具704の関節運動の状態が固定される。
【0049】
図28‐図29に示されているように、シングルピボット関節運動接合部901に用いる代替のEAP関節運動システム900が、上記したEAP関節運動固定機構800と共に用いられる。基端フレームグランド918の上下の回動タブ914及び916のそれぞれの先端側に丸い上部及び下部モーメントアーム910及び912が形成されており、上下の対になった左右EAPファイバーアクチュエータ902、904、906、及び908が長くなっている。先端フレームグランド922の左上部取付け点920が右上部取付け点924よりもわずかに高い位置にある。左下部取付け点926もまた、右下部取付け点928よりもやや高い位置にある。これは、上下の丸いモーメントアーム910及び912をそれぞれ取り囲む上下の左EAPファイバーアクチュエータ902及び906が、上下の右EAPファイバーアクチュエータ904及び908よりも高いためである(図29)。従って、所望の性能を得るために、モーメントアーム910及び912の長さ及び形状と共に長寸EAPファイバーアクチュエータ902‐908を選択することができる。
【0050】
図30‐図33に示されているように、シングルピボット関節運動接合部1001に用いる別の代替のEAP関節運動システム1000が、上記したEAP関節運動固定機構800と共に用いられる。関節運動を行うEAPファイバーアクチュエータの代わりに、上下の対になった左右EAPスタックアクチュエータ1002、1004、1006、及び1008がそれぞれ対向し、上下の長手方向のトラック1010及び1012を横方向に移動させる。先端側に延出した上部モーメントアーム1014が、基端フレームグランド1018の上部回動タブ1016に取り付けられている。上部モーメントアーム1014の先端部における上部の内側に向いたチップピン1020が、上部の長手方向トラック1010に長手方向にスライド可能に係合し、これにより先端フレームグランド1022によって横方向に拘束された上部の左右EAPスタックアクチュエータ1002及び1004の異なる収縮及び膨張に応答する。先端側に延出した下部モーメントアーム1024が、基端フレームグランド1018の下部回動タブ1026に取り付けられている。上部モーメントアーム1024の先端部における下部の内側に向いたチップピン1030が、下部の長手方向トラック1012に長手方向にスライド可能に係合し、これにより先端フレームグランド1022によって横方向に拘束された下部の左右EAPスタックアクチュエータ1006及び1008の異なった収縮及び膨張に応答する。
【0051】
図30及び図31に示されているように、EAP関節運動固定機構800が作動して、関節運動のために固定チップ808が歯車部分814から係合解除される。図32及び図33に示されているように、上下の左EAPスタックアクチュエータ1002及び1006にエネルギーが供給されて膨張し、これにより上下の長手方向トラック1010及び1012が横方向右側に移動し、上下の右EAPスタックアクチュエータ1004及び1008が圧縮され、上下の内側を向いたチップピン1020及び1030による力に応答して先端フレームグランド1022が移動する(例示されている関節運動では左側に曲がる)。
【0052】
EAP作動フレックスネック関節運動接合部を備えた外科器具
図34に示されているように、外科器具1200が、EAP作動関節運動接合部1202を有利に含む。このEAP作動関節運動接合部1202は、ハンドル1208からエンドエフェクタ1210に閉止運動と発射運動を別々に伝達する細長いシャフト1206の関節運動フレーム組立体1204と一体である。エンドエフェクタ1210は、ステープル止め組立体1212として示され、交換可能なステープルカートリッジ1218を保持する細長い溝1216に対して回動可能に取り付けられた閉止可能なアンビル1214を有する。ハンドル1208は、ピストルグリップ1222に向かって基端側に引いてアンビル1214を閉止することができる閉止トリガー1220を含む。閉止スリーブ組立体1223または他の閉止手段(例えば、EAP作動アンビル及び長手方向に内部を移動する部材など)(不図示)がアンビル閉止構造1224に作用して、アンビル1214を開閉できることを理解されたい。アンビルが閉じて組織をクランプしたら、より先端側の発射トリガー1226をピストルグリップ1222に向かって引いて発射部材1228を発射し、発射部材1228を細長いシャフト1206を長手方向先端側に移動させ、組織の切断及び切断した端部のステープル止めを行うことができる。発射トリガー1226を解放したら、閉止トリガー1220を僅かに押すと同時に閉止解除ボタン1230を押して、クランプ構成要素を解放し、閉止トリガー1220を解放してアンビル1214を開け、ステープル止めされた切断組織を解放することができる。回動ノブ1232により、細長いシャフト1206の長軸を中心に選択的に回動させることができる。
【0053】
関節運動フレーム組立体1204は、基端側がハンドル1208に回動可能に取り付けられ、そして先端側が関節運動フレームグランド1242に取り付けられた基端フレームグランド1240を含む。関節運動フレームグランド1242は、エンドエフェクタ1210を支持する先端フレームグランド1244に取り付けられている。ハンドル1208の関節運動制御部1246により、関節運動フレームグランド1242の関節運動の選択を有利に行うことができる。具体的には、図35に示されているように関節運動制御部1246によって左側への関節運動が選択されると、関節運動フレームグランド1242に対して適切な電気信号が送信される。関節運動制御部1246が、関節運動フレームグランド1242のための関節運動固定の手動及び/または自動の係合解除を有利に含むことができることを理解されたい。
【0054】
図36‐図39に示されているように、関節運動フレームグランド1242は、左右のEAPプレートアクチュエータ1302及び1304を用いたEAP作動システム1300を含む。EAPプレートアクチュエータ1302及び1304は、概ね円柱状の弾性フレーム本体1310のそれぞれの横側の左右の矩形アクチュエータ凹部1306及び1308(図38及び図39)を通過している。矩形ナイフスロット1312が、発射部材1228の先端部分である発射バー1314を案内するために、左右の矩形アクチュエータ凹部1306と1308との間に整合して弾性フレーム本体1310に形成されている。
【0055】
弾性フレーム本体1310の連続した上部及び下部長手方向バンド1320(図36及び図37)が、関節運動フレームグランド1242が真直または曲がっている時の発射バー1314の長手方向の移動距離を維持する。弾性フレーム本体1310は、その長軸方向に沿って著しく圧縮されない均一な材料から有利に形成されている。長手方向に整合した左右の複数の垂直凹部1322及び1324がそれぞれ、左右のEAPアクチュエータ凹部1306及び1308に交差している。それぞれの垂直凹部1322及び1324は、弾性フレーム本体1310の上部から底部まで貫通している矩形貫通孔1326を含む。この矩形貫通孔1326は、矩形ナイフスロット1312と左右の矩形アクチュエータ凹部1306及び1308の対応する一方との両方に対して横方向にずれて平行に位置する。矩形貫通孔1326はそれぞれ、細い横ギャップ1328に横方向に連通している。近接する垂直凹部1322及び1324は、それらの間に細い内部壁1332及び厚い湾曲した外側スライス1334を有するリブ1330を画定している。細い内部壁1332により、連続した上部及び下部長手方向バンド1320を横方向に曲げることができる。外側スライス1334はそれぞれ、EAPプレートアクチュエータ1302及び1304の対応する一方を支持し、EAPプレートアクチュエータ1302及び1304の一方または両方が作動して選択した方向に曲がって細い横ギャップ1328が完全につぶれる前に、その方向で達成できる関節運動の程度を制限する。例えば、図37では、左EAPプレートアクチュエータ1302が作動して左側に曲がり、右EAPプレートアクチュエータ1304がこれに対応して伸長している。左右のEAPプレートアクチュエータ1302及び1304を電気的に作動させて交互に収縮及び膨張させ、左右の矩形アクチュエータ凹部1306及び1308内でそれぞれを引張るまたは押すことができることを理解されたい。
【0056】
図38及び図39に示されているように、関節運動フレームグランド1242は、左側または右側に関節運動した状態の弾性フレーム本体1310を選択的に保持するEAP関節運動固定機構1350を有利に含む。そのため、左固定通路1352が、矩形貫通孔1326の最も左側の外側部分に近接して、その左側の複数の矩形貫通孔1326を貫通するように形成されており、これにより左側のリッジ付きEAP固定ストリップ1354をその通路内に配置することができる。同様に、右固定通路1356が、右側の複数の矩形貫通孔1326の最も右側の外側部分に近接してそれらの貫通孔1326を貫通するように形成されており、これにより右側のリッジ付きEAP固定ストリップ1358をその通路内に配置することができる。複数の垂直固定リッジ1362が、左右両方のリッジ付きEAP固定ストリップ1354及び1358のそれぞれの最も外側の面1360に沿って形成されており、リブ1330の形状と協働して所望の関節運動の程度で固定するように長手方向に離間し、それに適した大きさを有する。具体的には、可撓性フレームグランド1242が、リッジ付きEAP固定ストリップ1354及び1358のそれぞれの反対側に向かって関節運動すると、図38に示されているように左側に関節運動した場合は、右側のリブ1330が互いに離れる方向に弧状になる。リブ1330が固定に十分な距離離間すると、(すなわち、垂直固定リッジ1362の長手方向の幅よりも広く離間すると)、右リッジ付きEAP固定ストリップ1358が外側に向かって付勢され、そのリッジ1362が、近接するリブ1330の厚い湾曲した外側スライス1334間に進入する。右リッジ付きEAP固定ストリップ1358が作動して収縮すると、右リッジ付きEAP固定ストリップ1358の固定が解除される。図39に示されているように、矩形ナイフスロット1312の上方及び下方をそれぞれ横方向に通る上下のガイドピン1370及び1372が横方向の整合を維持する。
【0057】
図40では、関節運動フレームグランド1242は、左右の複数のEAPリブスプレッダープレートアクチュエータ1402を用いるEAP動作システム1400を含む。EAPリブスプレッダープレートアクチュエータ1402はそれぞれ、弾性フレーム本体1408の対になって対向した先端側及び基端側が開口した矩形凹部の間に位置する。対になって対向した先端側及び基端側が開口した矩形アクチュエータ凹部1404及び1406はそれぞれ、横方向に画定されたリブ1410の近接した対(基端側/先端側)に形成されている。それぞれのリブ1410は、その高さに沿って横方向外側に開口した垂直スロット1412を含み、それよりも内側に形成された広い矩形貫通孔1414が外側に細くなって外側垂直スロット1416を成している。従って、それぞれのリブ1410は、上部と下部の長手方向連続バンド1420を連結する薄い内壁1418を含む。矩形ナイフスロット1422が、長手方向の中心線に沿って横方向に形成されている。上記したように、左右のリッジ付きEAP固定ストリップ1354及び1358が、関節運動フレームグランド1242の膨張した側で拡張した湾曲形状に有利に広がって固定し、横方向ガイドピン1370によって長手方向の整合が維持される。
【0058】
図41及び図42では、関節運動フレームグランド1242は、弾性フレーム本体1502の中に別の代替のEAP作動システム1500を含む。EAP作動システム1500は、対応する左右の複数の横方向のリブ1510を通過する左右の垂直スタック1506及び1508に配置され長手方向に整合したEAPファイバーアクチュエータ1504を含む。リブ1510はそれぞれ、上下の連続した長手方向バンド1514を横方向に曲げ易いようにこれらのバンド1514を連結する薄い内側垂直壁1512を有する。それぞれのリブ1510は、厚い外側スライス1516まで横方向に延びている。この厚い外側スライス1516は、その方向の関節運動を制限する寸法を有している。それぞれの厚い外側スライス1516は、EAPファイバーアクチュエータ1504を通すことができるように垂直方向に整合した長手方向貫通孔1518を含む。先端及び基端横カバー1520及び1522が、EAPファイバーアクチュエータ1504のそれぞれの端部を覆うべくリブ1510に長手方向に隣接して位置されている。横方向の中心に位置するナイフスロット1524が、発射バー1314のために弾性フレーム本体1502に形成されている。EAPファイバーアクチュエータ1504の選択した垂直スタック1506または1508を収縮させると、その方向に関節運動し、作動していない垂直スタック1506または1508はその収縮に応答して受動的に伸長する。
【0059】
回動関節運動機構用の横方向関節運動固定機構
図43‐図45に示されているように、横方向EAP作動関節運動ロック1700が、外科器具1704の回動関節運動接合部1702に設けられている。分かり易くするために、シングルピボットフレーム組立体1706が、先端側に延出した上部回動タブ1710及び下部回動タブ1712を有する基端フレームグランド1708を備えるとして示されている。上部回動タブ1710及び下部回動タブ1712はそれぞれ、エンドエフェクタ(図43‐図45には不図示)に取り付けられた先端フレームグランド1718の基端側に延出した上部タング1714及び下部タング1716に回動可能に係合している。上部回動タブ1710の上部内側孔1722が、上部タング1714の上部外側孔1724の下に整合し、これらの孔は上部回動ピン1726によって互いに回動可能にピン止めされている。下部回動タブ1712の下部内側孔1728が、下部タング1716の下部外側孔1730の上に整合し、これらの孔1728及び1712は下部回動ピン1732によって互いに回動可能にピン止めされている。上部及び下部モーメントアーム1734及び1736がそれぞれ、上部及び下部回動タブ1710及び1712から先端側に延出し、図20‐図27を用いて説明したようにEAPファイバーアクチュエータ(不図示)によって横方向に付勢される。
【0060】
上部EAP作動関節運動固定機構1800が、回動関節運動接合部1702を有利に固定解除して関節運動を可能にする。次いで、EAP作動関節運動固定機構1800は、リラックスした固定された状態にされ、関節運動の程度が変化する間に電力の放散を必要としない、すなわち構成要素の加熱を必要としない安定した固定状態が得られる。基端フレームグランド1708に形成された矩形上部固定凹部1804内に示されている上部固定フック組立体1802が、長手方向の中心線から垂直方向に離間し、上部回動タブ1710よりも基端側に位置する。EAP固定フックラッチ1806が、矩形上部固定凹部1804の基端部に連通した、基端フレームグランド1708に形成された上部水平スロット1807内の基端部から延出している。上部垂直ピンが、基端フレームグランド1708を通過して、上部水平スロット1807内に上部EAP固定フックラッチ1806の基端部が保持されている。上部EAP固定フックラッチ1806は、図44に破線で1806aとして示されているように先端部が上方外側に曲がって、内側を向いた固定チップ1808が丸い固定プレート1814の最も近い外周部の貫通孔1812から引き上げられるように構成されたEAPプレートアクチュエータから成る。丸い固定プレート1814は、上部固定凹部1804の先端部分の下側で回動する先端フレームグランド1718の上部回動タング1714の基端面に形成されている。上部固定カバー1824で上部固定凹部1804を閉止する。
【0061】
更に固定を確実にするために、図43及び図44に示されているように、上部固定機構1800と同一の下部EAP作動関節運動固定機構1830が反対側で下部回動タング1716に作用する。同様の固定機構を基端部ではなくシャフトの先端部分に設けることもできることを理解されたい。更に、ダブルピボット結合も、各ピボットの固定に用いることができる。
【0062】
使用する場合、先端フレーム部分718及び回動関節運動接合部1702(図43及び図44)をカニューレを介して外科部位まで挿入する。EAP固定機構1800及び1830へのエネルギーの供給が停止した状態では通常、基端フレームグランド1708に取り付けられた固定チップ1808が、先端フレームグランド1718の中心貫通孔1812に係合し、シングルピボットフレーム組立体1706が固定されている。所望に応じて、EAP固定フックラッチ1806にエネルギーを供給して、EAP固定フックラッチ1806を固定凹部1804内で外側に曲げ、EAP関節運動固定機構1800及び1830を固定解除することができる。固定解除された状態で、機械的リンク機構またはEAPアクチュエータを作動させるなどして関節運動接合部1702を関節運動させることができる。所望の角度に関節運動したら、EAP関節運動固定機構1800及び1830へのエネルギー供給を停止して固定することができる。
【0063】
複数の実施形態を用いて本発明を例示し、例示的な実施形態をかなり詳細に説明したが、出願者は、このような詳細に添付の特許請求の範囲が限定されることを意図するものではない。当業者であれば、別の利点及び改良に容易に想到するであろう。
【0064】
本発明の実施態様は以下の通りである。
(1)外科器具であって、
エンドエフェクタと、
関節運動制御部、及び関節運動固定信号を生成するように機能的に構成された関節運動固定制御回路を含むハンドル部分と、
細長いシャフトと、
関節運動機構と、を含み、前記関節運動機構が、
前記細長いシャフトに取り付けられ、その細長いシャフトを介して前記関節運動固定信号に電気的に接続された基端フレーム部分と、
前記エンドエフェクタに取り付けられ、前記基端フレーム部分に回動可能に結合された先端フレーム部分と、
前記ハンドル部分の前記関節運動制御部に応答し、前記基端フレーム部分と前記先端フレーム部分の間に結合され、これらの間で関節運動するように機能的に構成された関節運動アクチュエータと、
前記基端フレーム部分と前記先端フレーム部分との間に係合して前記エンドエフェクタの関節運動の状態を維持する電気式関節運動固定機構と、を含む、外科器具。
(2)前記関節運動制御部が、関節運動電気信号を生成するように機能的に構成された回路を含み、
前記関節運動アクチュエータが、前記関節運動電気信号に応答する電気アクチュエータを含む、実施態様(1)に記載の外科器具。
(3)前記電気式関節運動固定機構が電気活性ポリマーアクチュエータを含む、実施態様(1)に記載の外科器具。
(4)前記関節運動機構の前記基端フレーム部分及び前記先端フレーム部分が回動可能に取り付けられて回動関節運動接合部が形成されている、実施態様(1)に記載の外科器具。
(5)前記電気式関節運動固定機構が、
前記先端フレーム部分及び前記基端フレーム部分の選択された一方に取り付けられ、エネルギーの供給が停止されると前記先端フレーム部分及び前記基端フレーム部分の他方に向かって延出して係合するように付勢される固定部材と、
作動されると前記固定部材に対する付勢に打ち勝って前記関節運動接合部の固定を解除するように機能的に構成及び配置された電気活性ポリマーアクチュエータとを含む、実施態様(4)に記載の外科器具。
【0065】
(6)前記電気式関節運動固定機構が、長手方向に移動する固定ボルトをさらに含み、この固定ボルトが、弾性部材によって長手方向に付勢されており、前記電気活性ポリマーアクチュエータが作動すると反対側の長手方向に付勢される、実施態様(5)に記載の外科器具。
(7)前記電気式関節運動機構が、エネルギーが供給されると固定解除の位置に曲がるように機能的に構成及び配置された横方向に移動する電気活性ポリマーラッチをさらに含む、実施態様(5)に記載の外科器具。
(8)前記細長いシャフトが、フレーム組立体及び閉止スリーブ組立体を含み、
前記関節運動接合部により、前記エンドエフェクタの下側ジョーが前記フレーム組立体の先端部に回動可能に取り付けられており、
前記ハンドル部分が、閉止運動を長手方向に前記閉止スリーブ組立体に対して結合させるように機能的に構成されており、
前記閉止スリーブ組立体のマルチピボット接合部が前記関節運動接合部を覆い、そのマルチピボット接合部の先端側が上側ジョーを回動させるためにその上側ジョーに係合している、実施態様(4)に記載の外科器具。
(9)前記関節運動制御部が、関節運動電気信号を生成するように機能的に構成された回路を含み、
前記関節運動アクチュエータが、前記関節運動電気信号に応答する電気アクチュエータを含む、実施態様(4)に記載の外科器具。
(10)前記基端フレーム部分及び前記先端フレーム部分の選択された一方が、前記基端フレーム部分及び前記先端フレーム部分の他方にピンで止められたモーメントアームを有しており、
前記電気アクチュエータが、関節運動を行うために、前記モーメントアームと前記他方のフレーム部分との間に互いに反対側を向いて結合された一対の電気活性ポリマーアクチュエータを含む、実施態様(9)に記載の外科器具。
【0066】
(11)前記関節運動機構が、前記先端フレーム部分と前記基端フレーム部分を連結する上部バンド及び下部バンド、並びに、複数の左垂直リブ及び複数の右垂直リブを有する可撓性関節運動接合部をさらに含み、
前記各リブが、前記上部バンドと前記下部バンドとの間のそれぞれの側面に連結されており、
前記複数の左垂直リブ及び前記複数の右垂直リブのそれぞれが固定凹部を含み、
前記電気式関節運動固定機構が、前記左固定凹部及び前記右固定凹部に配置された左固定バンド及び右固定バンドを含み、
前記各固定バンドが、対応する前記左右の固定凹部に配置され、近接するリブ及び前記固定バンドの両方が長手方向に膨張してリブの間隔が広がった状態に維持されている時に、長手方向の長さが変化して複数の固定突出部を長手方向に整合させて前記近接するリブの間に挿入するように機能的に構成されている、実施態様(1)に記載の外科器具。
(12)前記関節運動制御部が、関節運動電気信号を生成するように機能的に構成された回路を含み、
前記関節運動アクチュエータが、前記関節運動電気信号に応答して前記近接するリブの間隔を変更するように前記近接するリブの間に連結された電気活性ポリマーアクチュエータを含む、実施態様(11)に記載の外科器具。
(13)前記左右の電気活性ポリマーアクチュエータのそれぞれが、エネルギーが供給された時に少なくとも1つの横方向に曲がるように機能的に構成されたプレートアクチュエータを含む、実施態様(12)に記載の外科器具。
(14)前記左右の電気活性ポリマーアクチュエータのそれぞれが、作動した時に長手方向に収縮するように機能的に構成された少なくとも1つの電気活性ポリマーファイバーアクチュエータを含み、
前記左右の電気活性ポリマーファイバーアクチュエータの先端部及び基端部がそれぞれ、前記関節運動接合部の先端部及び基端部に取り付けられている、実施態様(12)に記載の外科器具。
(15)複数の左電気活性ポリマースタックアクチュエータ及び複数の右電気活性ポリマースタックアクチュエータをさらに含み、前記左スタックアクチュエータのそれぞれが、前記複数の左垂直リブの近接したリブの間に位置し、前記右スタックアクチュエータのそれぞれが、前記複数の右垂直リブの近接したリブの間に位置する、実施態様(12)に記載の外科器具。
【0067】
(16)外科器具であって、
フレーム組立体を含む細長いシャフトと、
エンドエフェクタと、
前記フレーム組立体に形成された回動関節運動接合部であって、前記フレーム組立体が、前記エンドエフェクタに取り付けられた先端フレーム部分及びその先端フレーム部分に回動可能に取り付けられた基端フレーム部分を含む、前記回動関節運動接合部と、
前記細長いシャフトの基端部に取り付けられ、作動電気信号及び固定解除電気信号を選択的に前記細長いシャフトに伝達するように機能的に構成されたハンドル部分と、
前記回動関節運動接合部内に配置され、前記作動電気信号に応答して前記基端フレーム部分に対して前記先端フレーム部分を関節運動させる電気活性ポリマー関節運動アクチュエータと、
前記回動関節運動接合部に連結され、前記固定解除電気信号に応答して関節運動の間に前記関節運動接合部の固定を解除する電気活性ポリマー固定解除アクチュエータと、を含む、外科器具。
(17)前記エンドエフェクタが、細長い溝、その細長い溝に係合したステープルカートリッジ、及び、そのステープルカートリッジにステープル形成面を提供する前記細長い溝に回動可能に取り付けられたアンビルを有するステープル止め組立体を含み、
前記細長いシャフトが、前記ステープル止め組立体と共に移動して前記アンビルと前記ステープルカートリッジとの間にクランプされた組織を切断すると共に前記ステープルカートリッジによるステープル止めを作動させる発射バーをさらに含む、実施態様(16)に記載の外科器具。
(18)関節運動固定機構をさらに含み、この関節運動固定機構が、
前記基端フレーム部分及び前記先端フレーム部分の選択された一方に取り付けられ、前記基端フレーム部分及び前記先端フレーム部分の他方に向かって延出して係合するように付勢された長手方向に移動する固定部材と、
作動されると前記長手方向に移動する固定部材に対する付勢に打ち勝って前記関節運動接合部を固定解除するように機能的に構成及び配置された電気活性ポリマー固定解除アクチュエータとを有する、実施態様(16)に記載の外科器具。
(19)前記関節運動固定機構が、前記基端フレーム部分及び前記先端フレーム部分の他方に歯車部分をさらに含み、
前記長手方向に移動する固定部材が、
前記基端フレーム部分及び前記先端フレーム部分の選択された一方の凹部内に拘束された基端クロスバー部分を有する固定ボルトと、
前記固定バーが前記歯車部分に係合するように前記クロスバー部分を付勢する前記凹部内に配置されたばねと、
前記固定解除電気信号によって作動された場合に前記ばね付勢に対して前記クロスバーを引張るように配置された収縮EAPアクチュエータ、及び、前記固定解除電気信号によって作動された場合に前記ばねの付勢に対して前記クロスバーを押すように配置された膨張EAPアクチュエータの選択された一方を含む、前記凹部内に配置された前記電気活性ポリマー固定解除アクチュエータと、を含む、実施態様(18)に記載の外科器具。
(20)外科器具であって、
フレーム組立体を含む細長いシャフトと、
エンドエフェクタと、
前記フレーム組立体に形成された可撓性関節運動接合部であって、前記フレーム組立体は、前記エンドエフェクタに取り付けられた先端フレーム部分、その先端フレーム部分に回動可能に取り付けられた基端フレーム部分、前記先端フレーム部分と前記基端フレーム部分とを連結する上部バンド及び下部バンドを備える可撓性関節運動接合部、並びに、複数の左垂直リブ及び複数の右垂直リブを含み、前記各リブが前記上部バンドと前記下部バンドの間のそれぞれの側面に連結され、前記複数の左垂直リブ及び前記複数の右垂直リブのそれぞれが固定凹部を含む、前記可撓性関節運動接合部と、
前記細長いシャフトの基端部に取り付けられ、固定解除電気信号を選択的に前記細長いシャフトに伝達するように機能的に構成されたハンドル部分と、
左固定バンド及び右固定バンドを含む電気活性ポリマー関節運動固定機構であって、前記各固定バンドが、対応する前記左右の固定凹部に配置され、近接するリブ及び前記固定バンドの両方が長手方向に膨張してリブの間隔が広がった状態に維持されている時に、長手方向の長さが変化して複数の固定突出部を長手方向に整合させて前記近接するリブの間に挿入するように機能的に構成されている、前記電気活性ポリマー関節運動固定機構と、を含む、外科器具。
【0068】
(21)前記ハンドル部分が、前記細長いシャフトに対する関節運動電気信号を生成するようにさらに機能的に構成されており、
前記可撓性関節運動接合部が、前記関節運動電気信号に応答して前記基端フレーム部分に対して前記先端フレーム部分を関節運動させる、前記可撓性関節運動接合部内に配置された電気活性ポリマー関節運動アクチュエータをさらに含む、実施態様(20)に記載の外科器具。
(22)前記電気活性ポリマー関節運動アクチュエータが、
エネルギーが供給されると少なくとも1つの横方向に曲がるように機能的に構成された電気活性ポリマープレートアクチュエータと、
作動されると長手方向に収縮するように機能的に構成された電気活性ポリマーファイバーアクチュエータであって、その左右の電気活性ポリマーファイバーアクチュエータの先端部及び基端部のそれぞれが、前記関節運動接合部の前記先端フレーム部分及び前記基端フレーム部分に取り付けられた、前記電気活性ポリマーファイバーアクチュエータと、
それぞれが前記複数の左垂直リブの近接したリブの間に配置された複数の左電気活性ポリマースタックアクチュエータ及びそれぞれが前記複数の右垂直リブの近接したリブの間に配置された複数の右電気活性ポリマースタックアクチュエータと、から成る群から選択される1つをさらに含む、実施態様(21)に記載の外科器具。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】開いて関節運動していない状態の外科用ステープル止め及び切断用の内視鏡外科用ステープル器具の後方からの斜視図である。
【図2】ラミネート電気活性ポリマー(EAP)複合材の斜視図である。
【図3】図2の接着された複数のラミネートEAP複合材からなるスタックから形成されたEAPプレートアクチュエータの斜視図である。
【図4】収縮するEAPファイバーアクチュエータの長手方向の軸に沿って破断した斜視図である。
【図5】図4の収縮するEAPファイバーアクチュエータの線5‐5に沿って見た断面の正面図である。
【図6】可撓性閉止スリーブ組立体、回動フレーム組立体、及び閉じたステープル止め組立体を備えた図1の外科器具に用いるEAP作動関節運動接合部の右前方からの斜視図である。
【図7】可撓性閉止スリーブ組立体が取り除かれ、シングルピボットフレーム組立体が部分的に分解された図6の閉止したステープル止め組立体及びEAP作動関節運動接合部の右前方からの斜視図である。
【図8】図6のステープル止め組立体及びEAP作動関節運動接合部の右前方からの分解斜視図である。
【図9】図7のEAPファイバーアクチュエータを含む分解されたシングルピボットフレーム組立体の詳細図である。
【図10】一対のEAPファイバーアクチュエータを示す、EAP作動関節運動接合部の回動軸を縦断する図6の線10‐10に沿って見た右側断面図である。
【図11】下部モーメントアーム及び下部EAPファイバーアクチュエータを示すEAP作動関節運動接合部の長手方向の軸を縦断する図6の線11‐11に沿って見た断面の平面図である。
【図12】横方向EAPファイバーアクチュエータに沿った図10の線12‐12に沿って見た断面の正面図である。
【図13】上下の右EAPファイバーアクチュエータが収縮してステープル止め組立体が左側に関節運動した状態を示す図11のEAP作動関節運動接合部の平面図である。
【図14】エンドエフェクタのアンビルを開いた状態の、基端位置にダブルピボット閉止スリーブを含む別の代替のEAP作動関節運動接合部の右前方からの斜視図である。
【図15】ダブルピボット閉止スリーブ組立体及びシングルピボットフレーム組立体を含む図14の別の代替のEAP作動関節運動接合部の右前方からの組立分解図である。
【図16】発射構成要素が配置された状態の図14の線16‐16に沿って見た代替のEAP作動関節運動接合部の右側断面図である。
【図17】図14の線17‐17に沿って見た関節運動していない状態の別のEAP作動関節運動接合部の平面図である。
【図18】図14の線17‐17に沿って見た左側に関節運動した状態の別のEAP作動関節運動接合部の平面図である。
【図19】収縮EAPファイバーアクチュエータが別の代替のEAP作動関節運動接合部を真直にする位置にあるやや関節運動した状態の別の代替のEAP作動関節運動接合部を示す図である。
【図20】通常は固定されるように付勢されているEAP関節運動固定機構を有利に含むシングルピボット関節運動接合部の右前方からの部分組立分解斜視図である。
【図21】シングルピボット関節運動接合部の基端フレームグランドにおけるEAP関節運動固定機構の基端部分の右前方からの詳細な斜視図である。
【図22】図20のシングルピボット関節運動接合部の平面図である。
【図23】図22の長手方向の中心線23‐23に沿って見たシングルピボット関節運動接合部の右側断面図である。
【図24】関節運動していない状態のEAP関節運動固定機構によって固定された上部回動タングの歯車部分を示す図23の線24‐24に沿って見たシングルピボット関節運動接合部の断面の平面図である。
【図25】EAP関節運動固定機構が作動して固定されていない状態のエンドエフェクタが左側に部分的に関節運動した基端フレームグランドの下部回動タブを示す図23の中心線25‐25に沿って見たシングルピボット関節運動接合部の断面の平面図である。
【図26】接合部を関節運動させるEAPファイバーアクチュエータの取付け部を示す図24の線26‐26に沿って見たシングルピボット関節運動機構の先端フレームグランドの断面の正面図である。
【図27】EAP作動固定機構の固定ピン及びEAPスタックアクチュエータを示す図24の線27‐27に沿って見たシングルピボット関節運動接合部の基端フレームグランドの断面の正面図である。
【図28】EAP関節運動固定機構と組み合わせた丸いモーメントアームに作動する長寸EAPファイバーアクチュエータを有利に備えたシングルピボット関節運動接合部の基端フレームグランドの上部回動タブと先端フレームグランドの上部回動タングとの接触面に沿って見た断面の平面図である。
【図29】先端側からのモーメントアーム及びそこに連結された長寸EAPファイバーアクチュエータを詳細に示すEAP関節運動固定機構及び基端フレームグランドを全体的に横断する断面の正面図である。
【図30】関節運動の準備として作動した通常は固定されているEAP関節運動固定機構と共に用いる関節運動させるための上部回動タブの先端側に取り付けられたモーメントアームに用いられる膨張EAPスタックアクチュエータを例示する基端フレームグランドの上部回動タブの上面に沿って見たシングルピボット関節運動接合部の断面の平面図である。
【図31】モーメントアームから上部及び下部の先端ピンを通り、EAPスタックアクチュエータを横断する図30のシングルピボット関節運動接合部の断面の正面図である。
【図32】先端フレームグランドが左側に関節運動した後であって、関節運動の固定を行うためにEAP関節運動固定機構へのエネルギー供給を停止する前の基端フレームグランドの上部回動タブの上面に沿って見た図30のシングルピボット関節運動接合部の断面の平面図である。
【図33】モーメントアームから上部及び下部の先端ピンを通り左側が膨張し右側が圧縮されたEAPスタックアクチュエータを横断する図31のシングルピボット関節運動接合部の断面の正面図である。
【図34】可撓性関節運動フレームグランドを関節運動させるEAP作動関節運動機構を示す閉止スリーブ組立体が破断した外科器具の右側面図である。
【図35】左側に関節運動した図34の外科器具の平面図である。
【図36】EAPプレートアクチュエータ及び固定ストリップを含む図34の関節運動フレームグランドの右前方からの斜視図である。
【図37】破線で示されている固定されていない作動した状態及び固定されてリラックスした状態の左EAP固定ストリップを示す、左側に関節運動した状態の図34の関節運動フレームグランドの平面図である。
【図38】EAPプレートアクチュエータ及びEAP固定ストリップを縦断する左側に関節運動した状態の図34の関節運動フレームグランドの断面の平面図である。
【図39】図37の線39‐39に沿って見た横ガイドピンを横断する関節運動フレームグランドの断面の正面図である。
【図40】複数のEAPリブスプレッダーアクチュエータを縦断する代替の関節運動フレームグランドの断面の平面図である。
【図41】複数のEAPファイバーアクチュエータを有する更に別の代替の関節運動フレームグランドの右方向からの部分組立分解斜視図である。
【図42】図41の線42‐42に沿って見た別の代替の関節運動フレームグランドの断面の正面図である。
【図43】図1の外科器具に用いる横方向のEAP関節運動固定機構を備えた代替のシングルピボット関節運動接合部の平面図である。
【図44】図43の長手方向の中心線44‐44に沿って見た代替のピボット関節運動接合部の側断面図である。
【図45】図44の横断線45‐45に沿って見た代替のピボット関節運動接合部の断面の正面図である。
【符号の説明】
【0070】
10 外科用切断/ステープル止め器具
12 ステープル止め組立体
14 ハンドル
16 シャフト
18 ステープル溝
20 ステープルカートリッジ
22 アンビル
30 回動ノブ
32 関節運動接合部
34 関節運動制御スイッチ
36 EAPアクチュエータ
38 電源
40 閉止トリガー
42 ピストルグリップ
44 発射トリガー
46 引き戻しレバー
48 閉止解除ボタン
100 ラミネートEAP複合材
102 プレート陽極層
104 EAP層
106 イオンセル層
108 プレート陰極層
110 接着層
120 EAPプレートアクチュエータ
140 収縮EAPファイバーアクチュエータ
142 プラチナ陰極ワイヤ
144、150 エンドキャップ
146 円柱キャビティ
148 プラスチック円柱壁
152 収縮ポリマーファイバー
200 外科用切断/ステープル止め器具
202 EAP作動関節運動接合部
204 シャフト
210 関節運動接合部
214 基端閉止チューブ
216 先端閉止リング
218 可撓性閉止チューブ
220、222 垂直スリット
224 長手方向バンド
226 馬蹄開口
228 アンビル閉止構造
230 回動ピン
234 シングルピボットフレーム組立体
238 上部回動タブ
240 下部回動タブ
242、252 上部回動ピンホール
244、254 下部回動ピンホール
246 上部回動タング
248 下部回動タング
250 先端フレームグランド
256 上部フレーム回動ピン
258 下部フレーム回動ピン
270 発射バー
272 発射スロット
274 矩形開口
278 クリップバー
280 上部アーム
282 クリップばね
284 アーム
286 隆起部分
288 Eビーム
292 ステープルドライバ
296 ウェッジスレッド
298 カートリッジトレイ
300 切断面
302 上部ピン
304 中間ピン
306 上部脚
308 長手方向スロット
310 長手方向開口
312 垂直スロット
400 EAPアクチュエータシステム
402、404 EAPファイバーアクチュエータ
406 上部モーメントアーム
416 下部モーメントアーム
504 ダブルピボット閉止スリーブ組立体
506 シングルピボットフレーム組立体
514 上部タング
516 下部タング
518 先端閉止チューブ
522 先端閉止リング
528 上部ダブルピボットリンク
530 先端回動ピン
532 基端回動ピン
534 上部先端ピンホール
536 上部基端ピンホール
538 下部ダブルピボットリンク
540 先端回動ピン
542 基端回動ピン
544 下部先端ピンホール
550 基端フレームグランド
552 回動ピンホール
554 回動凹部
556、558 モーメントアーム
560 ドッグボーン型リンク
562 基端ピン
566 先端ピン
570 先端フレームグランド
572 先端横ガイド
574 基端ガイド
580 EAP作動システム
582、584 EAPスタックアクチュエータ
600 EAP作動関節運動接合部
602 外科器具
604 シングルピボットフレーム組立体
606 基端フレームグランド
608 タング
610 先端フレームグランド
612 回動ピン
614 半涙型プーリー
616 収縮EAPファイバーアクチュエータ
700 EAP作動関節運動ロック
702 回動関節運動接合部
704 外科器具
706 シングルピボットフレーム機構
708 基端フレームグランド
710 上部回動タブ
712 下部回動タブ
714 上部タング
716 下部タング
720 エンドエフェクタ
722 上部内側孔
724 上部外側孔
726 上部回動ピン
728 下部内側孔
730 下部外側孔
732 下部回動ピン
734 上部モーメントアーム
736 下部モーメントアーム
740744 上部EAPファイバーアクチュエータ
748、752 下部EAPファイバーアクチュエータ
800 上部EAP作動関節運動固定機構
802 上部固定ボルト組立体
804 上部固定凹部
808 固定先端
810 先端スロット
812 歯車の谷
814 歯車部分
816 クロスプレート
818 圧縮ばね
820、822 EAPスタックアクチュエータ
824 上部固定カバー
830 下部EAP作動関節運動固定機構
900 EAP関節運動システム
901 シングルピボット関節運動接合部
902、904 上部EAPファイバーアクチュエータ
906、908 下部EAPファイバーアクチュエータ
910 上部モーメントアーム
912 下部モーメントアーム
914 上部回動タブ
916 下部回動タブ
918 基端フレームグランド
920 左上部取付け点
924 右上部取付け点
926 左下部取付け点
928 右下部取付け点
1000 EAP関節運動システム
1001 シングルピボット関節運動接合部
1002、1004 上部EAPスタックアクチュエータ
1006、1008 下部EAPスタックアクチュエータ
1014 上部モーメントアーム
1016 上部回動タブ
1020、1030 チップピン
1022 先端フレームグランド
1024 下部モーメントアーム
1026 下部回動タブ
1200 外科器具
1202 EAP作動関節運動接合部
1204 関節運動フレーム組立体
1206 シャフト
1208 ハンドル
1210 エンドエフェクタ
1212 ステープル止め組立体
1214 アンビル
1220 閉止トリガー
1222 ピストルグリップ
1226 発射トリガー
1228 発射部材
1230 閉止解除ボタン
1232 回動ノブ
1240 基端フレームグランド
1242 関節運動フレームグランド
1244 先端フレームグランド
1300 EAP作動システム
1302、1304 EAPプレートアクチュエータ
1306、1308 矩形アクチュエータ凹部
1310 弾性フレーム本体
1312 矩形ナイフスロット
1314 発射バー
1320 長手方向バンド
1322、1324 垂直凹部
1326 矩形貫通孔
1328 横ギャップ
1330 リブ
1332 内部壁
1334 外側スライス
1350 EAP関節運動固定機構
1354、1358 EAP固定ストリップ
1362 垂直固定リッジ
1370 上部ガイドピン
1372 下部ガイドピン
1400 EAP動作システム
1402 EAPリブスプレッダープレートアクチュエータ
1404 先端側に開口した矩形アクチュエータ凹部
1406 基端側に開口した矩形アクチュエータ凹部
1410 リブ
1412 垂直スロット
1414 矩形貫通孔
1416 外側垂直スロット
1500 EAP動作システム
1502 弾性フレーム本体
1504 EAPファイバーアクチュエータ
1506、1508 垂直スタック
1510 リブ
1512 内側垂直壁
1514 長手方向バンド
1516 外側スライス
1518 長手方向貫通孔
1520 先端横カバー
1522 基端横カバー
1524 ナイフスロット
1700 横方向EAP作動関節運動ロック
1702 回動関節運動接合部
1704 外科器具
1706 シングルピボットフレーム組立体
1708 基端フレームグランド
1710 上部回動タブ
1712 下部回動タブ
1714 上部タング
1716 下部タング
1722 上部内側孔
1724 上部外側孔
1726 上部回動ピン
1728 下部内側孔
1730 下部外側孔
1732 下部回動ピン
1734 上部モーメントアーム
1736 下部モーメントアーム
1800、1830 上部EAP作動関節運動固定機構
1802 上部固定フック組立体
1804 矩形上部固定凹部
1806 上部EAP固定フックラッチ
1808 固定チップ
1814 固定プレート
1824 上部固定カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科器具であって、
エンドエフェクタと、
関節運動制御部、及び関節運動固定信号を生成するように機能的に構成された関節運動固定制御回路を含むハンドル部分と、
細長いシャフトと、
関節運動機構と、を含み、前記関節運動機構が、
前記細長いシャフトに取り付けられ、その細長いシャフトを介して前記関節運動固定信号に電気的に接続された基端フレーム部分と、
前記エンドエフェクタに取り付けられ、前記基端フレーム部分に回動可能に結合された先端フレーム部分と、
前記ハンドル部分の前記関節運動制御部に応答し、前記基端フレーム部分と前記先端フレーム部分の間に結合され、これらの間で関節運動するように機能的に構成された関節運動アクチュエータと、
前記基端フレーム部分と前記先端フレーム部分との間に係合して前記エンドエフェクタの関節運動の状態を維持する電気式関節運動固定機構と、を含む、外科器具。
【請求項2】
前記関節運動制御部が、関節運動電気信号を生成するように機能的に構成された回路を含み、
前記関節運動アクチュエータが、前記関節運動電気信号に応答する電気アクチュエータを含む、請求項1に記載の外科器具。
【請求項3】
前記電気式関節運動固定機構が電気活性ポリマーアクチュエータを含む、請求項1に記載の外科器具。
【請求項4】
前記関節運動機構の前記基端フレーム部分及び前記先端フレーム部分が回動可能に取り付けられて回動関節運動接合部が形成されている、請求項1に記載の外科器具。
【請求項5】
前記電気式関節運動固定機構が、
前記先端フレーム部分及び前記基端フレーム部分の選択された一方に取り付けられ、エネルギーの供給が停止されると前記先端フレーム部分及び前記基端フレーム部分の他方に向かって延出して係合するように付勢される固定部材と、
作動されると前記固定部材に対する付勢に打ち勝って前記関節運動接合部の固定を解除するように機能的に構成及び配置された電気活性ポリマーアクチュエータとを含む、請求項4に記載の外科器具。
【請求項6】
前記電気式関節運動固定機構が、長手方向に移動する固定ボルトをさらに含み、この固定ボルトが、弾性部材によって長手方向に付勢されており、前記電気活性ポリマーアクチュエータが作動すると反対側の長手方向に付勢される、請求項5に記載の外科器具。
【請求項7】
前記電気式関節運動機構が、エネルギーが供給されると固定解除の位置に曲がるように機能的に構成及び配置された横方向に移動する電気活性ポリマーラッチをさらに含む、請求項5に記載の外科器具。
【請求項8】
前記細長いシャフトが、フレーム組立体及び閉止スリーブ組立体を含み、
前記関節運動接合部により、前記エンドエフェクタの下側ジョーが前記フレーム組立体の先端部に回動可能に取り付けられており、
前記ハンドル部分が、閉止運動を長手方向に前記閉止スリーブ組立体に対して結合させるように機能的に構成されており、
前記閉止スリーブ組立体のマルチピボット接合部が前記関節運動接合部を覆い、そのマルチピボット接合部の先端側が上側ジョーを回動させるためにその上側ジョーに係合している、請求項4に記載の外科器具。
【請求項9】
前記関節運動制御部が、関節運動電気信号を生成するように機能的に構成された回路を含み、
前記関節運動アクチュエータが、前記関節運動電気信号に応答する電気アクチュエータを含む、請求項4に記載の外科器具。
【請求項10】
前記基端フレーム部分及び前記先端フレーム部分の選択された一方が、前記基端フレーム部分及び前記先端フレーム部分の他方にピンで止められたモーメントアームを有しており、
前記電気アクチュエータが、関節運動を行うために、前記モーメントアームと前記他方のフレーム部分との間に互いに反対側を向いて結合された一対の電気活性ポリマーアクチュエータを含む、請求項9に記載の外科器具。
【請求項11】
外科器具であって、
フレーム組立体を含む細長いシャフトと、
エンドエフェクタと、
前記フレーム組立体に形成された回動関節運動接合部であって、前記フレーム組立体が、前記エンドエフェクタに取り付けられた先端フレーム部分及びその先端フレーム部分に回動可能に取り付けられた基端フレーム部分を含む、前記回動関節運動接合部と、
前記細長いシャフトの基端部に取り付けられ、作動電気信号及び固定解除電気信号を選択的に前記細長いシャフトに伝達するように機能的に構成されたハンドル部分と、
前記回動関節運動接合部内に配置され、前記作動電気信号に応答して前記基端フレーム部分に対して前記先端フレーム部分を関節運動させる電気活性ポリマー関節運動アクチュエータと、
前記回動関節運動接合部に連結され、前記固定解除電気信号に応答して関節運動の間に前記関節運動接合部の固定を解除する電気活性ポリマー固定解除アクチュエータと、を含む、外科器具。
【請求項12】
外科器具であって、
フレーム組立体を含む細長いシャフトと、
エンドエフェクタと、
前記フレーム組立体に形成された可撓性関節運動接合部であって、前記フレーム組立体は、前記エンドエフェクタに取り付けられた先端フレーム部分、その先端フレーム部分に回動可能に取り付けられた基端フレーム部分、前記先端フレーム部分と前記基端フレーム部分とを連結する上部バンド及び下部バンドを備える可撓性関節運動接合部、並びに、複数の左垂直リブ及び複数の右垂直リブを含み、前記各リブが前記上部バンドと前記下部バンドの間のそれぞれの側面に連結され、前記複数の左垂直リブ及び前記複数の右垂直リブのそれぞれが固定凹部を含む、前記可撓性関節運動接合部と、
前記細長いシャフトの基端部に取り付けられ、固定解除電気信号を選択的に前記細長いシャフトに伝達するように機能的に構成されたハンドル部分と、
左固定バンド及び右固定バンドを含む電気活性ポリマー関節運動固定機構であって、前記各固定バンドが、対応する前記左右の固定凹部に配置され、近接するリブ及び前記固定バンドの両方が長手方向に膨張してリブの間隔が広がった状態に維持されている時に、長手方向の長さが変化して複数の固定突出部を長手方向に整合させて前記近接するリブの間に挿入するように機能的に構成されている、前記電気活性ポリマー関節運動固定機構と、を含む、外科器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2006−51347(P2006−51347A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−216963(P2005−216963)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】