説明

電池パックおよびそれを備える鞍乗型車両

【課題】放熱性および防水性に優れた電池パックならびにそれを備える鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】電池パック40は、ケース部材54,56および第1電池ユニット62を含む。第1電池ユニット62は、複数の電池98、電池保持部100および複数のリード部材120,122,124,126を有する。複数の電池98は、X方向に3行以上かつY方向に3行以上に配列される。ケース部材54は、本体部54aおよび放熱部材54bを含む。放熱部材54bは、本体部54aの側壁部66に接触しかつ側壁部66をZ方向に貫通しない。側壁部66は、複数位置で電池保持部100の端面110に固定される。複数の電池98から電池保持部100に伝達された熱は、電池保持部100の端面110から側壁部66を介して放熱部材54bに伝達され、放熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池パックおよびそれを備える鞍乗型車両に関し、より特定的には、複数の充電できる電池を有する電池パックおよびそれを備える鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の充電できる電池を備えた電池パックが提案されている。近年、このような電池パックにおいて電池容量の増加が望まれており、より多くの電池を有する電池パックの実用化が進められている。
【0003】
ところで、電池の数を増加させることによって電池パックの電池容量は増加するが、電池パックの発熱量も増加してしまう。そのため、大容量の電池パックにおいては、放熱性を向上させることが重要な課題となる。そこで、電池パックの放熱性を向上させるための技術が開発されている。
【0004】
たとえば、特許文献1に開示されている組電池ユニットは、複数の電池、複数の電池を接続する接続板、および複数の電池と接続板とを収容する一対の電池ケースを有する。一対の電池ケースは、金属に比べて放熱性が劣るプラスチックで成形されている。そこで、この組電池ユニットでは、プラスチック製の各電池ケースに開口部を設け、この開口部を閉塞するように放熱プレートを設けている。接続板と放熱プレートとは、熱伝導シートを介して熱結合されている。このような構成において、複数の電池の熱を接続板および熱伝導シートを介して放熱プレートに伝達し、放熱プレートから放熱できる。なお、特許文献1において放熱プレートの材質についての記載はないが、放熱プレートは、電池ケースよりも放熱性の良い材料(たとえば金属)で成形されていると考えられる。
【0005】
上述のような電池パックは、近年、小型の電動車両にも搭載されている。電池パックを小型の電動車両に搭載する場合には、大型の電動車両に搭載する場合に比べて、電池パックの防水性をより向上させることが好ましい。そこで、電池パックの防水性を向上させるための技術が開発されている。
【0006】
たとえば、特許文献2に開示されているバッテリパックは、複数の電池を含む電池ブロック、電池ブロックを収容する電池ケース、電池ケースの内部において電池ブロックの上に配置される絶縁プレート、絶縁プレートの上に設けられかつ電池ブロックに接続される回路基板、およびパッキンを介して電池ケースの上方開口部を密閉する蓋ケースを有する。このバッテリパックでは、蓋ケースおよびパッキンによって電池ケースの上方開口部が密閉されているので、電池ケースの防水性が向上し、電池ケース内への水の浸入を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−123371号公報
【特許文献2】特開2011−49014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、近年、電池パックの放熱性および防水性を向上させるための技術が開発されている。そこで、たとえば、放熱性に優れた特許文献1の組電池ユニットにおいて特許文献2の防水技術を採用して、組電池ユニットの放熱性および防水性を共に向上させることが考えられる。具体的には、一対の電池ケースの間にシール部材(パッキン)を設けるとともに、電池ケースと放熱プレートとの間にシール部材(パッキン)を設けることによって、組電池ユニットの防水性を向上させることが考えられる。しかしながら、上述したように、特許文献1の組電池ユニットにおいては、電池ケースと放熱プレートとは異なる材料で成形されていると考えられ、電池ケースの熱膨張率と放熱プレートの熱膨張率とが異なると考えられる。このため、電池ケースと放熱プレートとの間に単純にシール部材を設けても、組電池ユニットの防水性を向上させることは困難である。このように、特許文献1の組電池ユニットにおいて特許文献2の防水技術を採用しても、組電池ユニットの放熱性および防水性を共に向上させることは困難である。
【0009】
また、たとえば、防水性に優れた特許文献2のバッテリパックにおいて特許文献1の放熱技術を採用して、バッテリパックの放熱性および防水性を共に向上させることも考えられる。具体的には、電池ケースに開口部を設け、その開口部を閉塞するように放熱プレートを設けることによって、バッテリパックの放熱性を向上させることが考えられる。しかしながら、この場合、開口部を設けることによって防水性が低下してしまう。また、電池ケースの熱膨張率と放熱プレートの熱膨張率とが異なると考えられるので、電池ケースと放熱プレートとの間にシール部材を設けたとしても、バッテリパックの防水性を向上させることは困難である。このように、特許文献2のバッテリパックにおいて特許文献1の放熱技術を採用しても、バッテリパックの放熱性および防水性を共に向上させることは困難である。
【0010】
それゆえに、この発明の主たる目的は、放熱性および防水性に優れた電池パックならびにそれを備える鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の電池パックは、第1方向に複数行以上および第1方向に直交する第2方向に複数列以上に配列される複数の充電できる電池と、第1方向および第2方向の双方に直交する第3方向に離れて設けられる第1端面および第2端面を有しかつ複数の電池を保持する電池保持部と、複数の電池を電気的に接続する複数のリード部材と、複数の電池、電池保持部および複数のリード部材を収容するケースとを備え、複数の電池は、第1方向に3行以上かつ第2方向に3列以上に配列され、第1端面および第2端面はそれぞれ、第3方向に交差し、ケースは、電池保持部の第1端面に対向する第1側壁部と、第1側壁部の外面に接触しかつ第1側壁部を第3方向に貫通しない放熱部材とを有し、放熱部材の熱伝導率は第1側壁部の熱伝導率よりも高く、第1側壁部は、複数位置において第1端面に固定され、複数の電池で発生しかつ複数の電池から電池保持部に伝達された熱を、第1端面から受けて放熱部材に伝達することを特徴とする。
【0012】
なお、「第3方向に交差する第1端面」には、第3方向に垂直な第1端面のみならず、第3方向に対して傾斜する第1端面が含まれる。第2端面についても同様である。また、第1端面が凹凸を有していてもよく、第2端面が凹凸を有していてもよい。
【0013】
請求項2に記載の電池パックは、請求項1に記載の電池パックにおいて、ケースは、第3方向において複数のケース部材に分割され、複数のケース部材のうちの少なくとも一つのケース部材は、第1側壁部および放熱部材を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の電池パックは、請求項2に記載の電池パックにおいて、ケースの第1側壁部を電池保持部の第1端面に固定するための複数の固定部材をさらに備え、第1側壁部の外面は、放熱部材に覆われることなく露出する複数の露出部を有し、複数の固定部材はそれぞれ、露出部を貫通するように設けられることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の電池パックは、請求項1から3のいずれかに記載の電池パックにおいて、第1側壁部は、第1方向における複数位置および第2方向における複数位置で第1端面に固定されることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の電池パックは、請求項1から4のいずれかに記載の電池パックにおいて、複数のリード部材は、電池保持部の第1端面とケース部材の第1側壁部との間において第1方向または第2方向に間隔をおいて設けられ、第1側壁部は、複数のリード部材の間の複数位置において第1端面に固定されることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の電池パックは、請求項1から5のいずれかに記載の電池パックにおいて、第1側壁部は樹脂材料を含み、第1側壁部と放熱部材とはインサート成形によって一体的に成形されることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の電池パックは、請求項1から6のいずれかに記載の電池パックにおいて、第1側壁部の外面と放熱部材の内面とが互いに嵌り合いかつ接触するように、第1側壁部の外面および放熱部材の内面はそれぞれ第3方向に直交する断面において凹凸形状を有することを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の電池パックは、請求項1から7のいずれかに記載の電池パックにおいて、放熱部材は金属材料を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の電池パックは、請求項8に記載の電池パックにおいて、放熱部材は、アルミニウム、鉄、ステンレス、およびチタンのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の電池パックは、請求項1から7のいずれかに記載の電池パックにおいて、放熱部材は樹脂材料を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の電池パックは、請求項10に記載の電池パックにおいて、放熱部材は炭素繊維強化樹脂を含むことを特徴とする。
【0023】
請求項12に記載の電池パックは、請求項2に記載の電池パックにおいて、1または複数のシール部材をさらに備え、複数のケース部材は、シール部材を挟んで互いに組み合わされることを特徴とする。
【0024】
請求項13に記載の鞍乗型車両は、請求項1から12のいずれかに記載の電池パックを備えることを特徴とする。
【0025】
請求項1に記載の電池パックでは、複数の電池で発生した熱は、電池保持部に伝達された後、電池保持部の第1端面からケースの第1側壁部を介して放熱部材に伝達され、放熱される。ここで、この電池パックでは、ケースの第1側壁部は複数位置で第1端面に固定されるので、第1側壁部と第1端面との密着性を高めることができる。これにより、電池保持部からケースへ伝達される熱量を増加させることができる。特に、第1側壁部と第1端面との密着性が高まることによって、熱がこもり易い電池保持部の中央部の熱も、効率よくケースに伝達できる。
【0026】
また、電池保持部の第1端面および第2端面はそれぞれ、第3方向に交差する。言い換えると、第1端面および第2端面はそれぞれ、少なくとも第1方向と第2方向とに延びる。ここで、この電池パックでは、複数の電池は、第1方向に3行以上かつ第2方向に3列以上に配列される。この場合、複数の電池を保持する電池保持部の第1方向および第2方向の寸法が大きくなるので、第1方向と第2方向とに延びる第1端面および第2端面の面積も大きくなる。これにより、電池保持部から第1端面を介してケースの第1側壁部に伝達される熱量を十分に増やすことができる。また、第1端面の面積が大きくなることによって、第1端面に固定される第1側壁部の剛性を容易に向上させることができる。これにより、ケースの変形を十分に抑制できるので、電池パックの防水性が向上する。
【0027】
また、放熱部材は第1側壁部の外面に接触するので、電池保持部から第1側壁部に伝達された熱を確実に放熱部材に伝達できる。さらに、放熱部材は第1側壁部を第3方向に貫通しないので、第1側壁部に放熱部材を設けても、電池パックの防水性は低下しない。
【0028】
以上の結果、電池パックの放熱性および防水性を向上させることができる。
【0029】
一般に、電池パックの製造を容易にするために、電池パックのケースは少なくとも2つ以上に分割される。請求項2に記載の電池パックでは、ケースは、第3方向において複数のケース部材に分割され、少なくとも一つのケース部材に第1側壁部および放熱部材が設けられる。この場合、第1側壁部を第1方向または第2方向に分割しなくてもよい。これにより、第1側壁部を分割して構成する場合に比べて、第1側壁部を第1端面に容易に固定できるとともに第1側壁部の熱伝導性を向上できる。また、第1側壁部を第1端面により安定して接触させることができる。さらに、この電池パックでは、第1側壁部と第1端面とが接触するので、ケース部材とケース部材との接続部を第1端面に接触させなくてもよい。この場合、ケース部材とケース部材との接続部の設計自由度が向上するので、ケース部材とケース部材との接続部の水密性を容易に向上できる。これらの結果、優れた放熱性を確保しつつ電池パックの防水性を十分に向上できる。
【0030】
請求項3に記載の電池パックでは、第1側壁部の外面は放熱部材から露出する複数の露出部を有し、複数の固定部材はそれぞれ、露出部を貫通するように設けられる。この場合、複数の固定部材を差し込むための複数の貫通孔を放熱部材に設けなくてよいので、複数の固定部材と放熱部材との間を封止する必要がない。したがって、複数の固定部材と放熱部材との間を封止するための複数のシール部材を設けなくてよい。これにより、電池パックの部品点数の増加を防止できる。
【0031】
請求項4に記載の電池パックでは、ケースの第1側壁部は第1方向における複数位置および第2方向における複数位置で第1端面に固定される。この場合、ケースの成形精度を高めることなく第1側壁部と第1端面とを容易に接触させることができるとともに、第1側壁部と第1端面との密着性を十分に高めることができる。これにより、電池保持部からケースへ伝達される熱量を十分に増加させることができる。
【0032】
請求項5に記載の電池パックでは、第1側壁部は、複数のリード部材の間の複数位置において第1端面に固定されるので、第1側壁部と第1端面との接触部が一か所に偏ってしまうことを防止できる。それにより、電池保持部からケースに効率よく熱を伝達できる。
【0033】
請求項6に記載の電池パックでは、第1側壁部と放熱部材とがインサート成形によって一体的に成形されるので、第1側壁部および放熱部材が複雑な形状を有している場合であっても、ケースを容易に成形できる。
【0034】
請求項7に記載の電池パックでは、第1側壁部の外面と放熱部材の内面とがそれぞれ凹凸形状を有しかつ互いに接触する。この場合、第1側壁部と放熱部材との接触面積を十分に大きくできるので、第1側壁部から放熱部材に効率よく熱を伝達できる。
【0035】
請求項8に記載の電池パックでは、簡単な構成で放熱部材の放熱量を増やすことができる。請求項10に記載の電池パックについても同様である。
【0036】
請求項9に記載の電池パックでは、放熱部材の放熱量を十分に増やすことができる。
【0037】
請求項11に記載の電池パックでは、放熱部材を軽くしつつ放熱部材の強度を向上できる。これにより、電池パックを軽く構成できるとともに、電池パックの強度を向上できる。
【0038】
請求項12に記載の電池パックでは、電池パックの防水性を確実に向上できる。
【0039】
電池パックを備えた鞍乗型車両においては、鞍乗型車両の信頼性を向上させるために、電池パックの放熱性および防水性を向上させることが好ましい。したがって、放熱性および防水性に優れた請求項1から12のいずれかに記載の電池パックは、請求項13に記載されるように、鞍乗型車両に好適に利用できる。
【発明の効果】
【0040】
この発明によれば、放熱性および防水性に優れた電池パックならびにそれを備える鞍乗型車両が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施の形態に係るスクータを示す側面図である。
【図2】車体カバーを取り外した状態のスクータを示す側面図である。
【図3】電池パックの外観を示す斜視図である。
【図4】電池パックの内部構造を示す斜視図である。
【図5】電池パックを示す分解斜視図である。
【図6】ケースと第1電池ユニットとの関係を示す断面図である。
【図7】第1電池ユニットを示す断面図解図である。
【図8】第1電池ユニットを側壁部側から見た図である。
【図9】第1電池ユニットの第1保持部を側壁部側から見た図である。
【図10】電池保持部の端面を示す図である。
【図11】第2電池ユニットを示す断面図解図である。
【図12】放熱部材、側壁部、第1保持部およびネジの関係を示す断面図である。
【図13】ケース部材を示す分解斜視図である。
【図14】複数の電池が千鳥状に配列された電池ユニットを示す図である。
【図15】電池保持部を示す図である。
【図16】電池パックの他の例を示す斜視図である。
【図17】ケース部材を示す分解斜視図である。
【図18】ケース部材と第1電池ユニットとの関係を示す断面図である。
【図19】放熱部材、側壁部および第1保持部の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。ここでは、この発明の実施の形態に係る電池パック40を、鞍乗型車両の一例であるスクータ10に搭載した場合について説明する。なお、スクータ10の説明において前後、左右、上下とは、スクータ10のシート38に運転者がハンドル32に向かって着座した状態を基準とした前後、左右、上下を意味する。
【0043】
図1は、スクータ10を示す側面図である。スクータ10は、車体フレーム12および車体カバー14を有する。なお、図面が煩雑になることを避けるために、図1においては車体フレーム12を簡略化して示している。
【0044】
図2は、車体カバー14を取り外した状態のスクータ10を示す側面図である。
【0045】
図2を参照して、車体フレーム12は、ヘッドパイプ16、ヘッドパイプ16から後方斜め下方に延びる前部フレーム18、および前部フレーム18の下端部から後方に延びる一対の後部フレーム20(図2においては、左側の後部フレーム20のみを図示)を含む。一対の後部フレーム20は、スクータ10の幅方向(左右方向)に並ぶように配置される。
【0046】
各後部フレーム20は、前部フレーム18の下端部から後方へ延びる第1フレーム部22、第1フレーム部22の後端部から斜め上方へ延びる第2フレーム部24、第2フレーム部24の上端部から後方へ延びる第3フレーム部26、および第2フレーム部24と第3フレーム部26とを連結する第4フレーム部28を含む。第4フレーム部28は、第2フレーム部24の上下方向における中央部と第3フレーム部26の前後方向における中央部とを連結するように、第2フレーム部24から後方斜め上方に延びる。
【0047】
ヘッドパイプ16には、ステアリング軸30が回動自在に挿通される。ステアリング軸30の上端部には、ハンドル32が取り付けられる。ステアリング軸30の下端部には、フロントフォーク34が取り付けられる。フロントフォーク34の下端部には、前輪36が回転自在に支持される。
【0048】
第2フレーム部24の上方にシート38が設けられる。シート38の下方において後部フレーム20に電池パック40が支持される。この実施形態では、電池パック40は、第2フレーム部24の下端部に設けられる支持部材42および第3フレーム部26の前端部に設けられる支持部材44を介して後部フレーム20に支持される。また、この実施形態では、電池パック40は、やや後方に傾くように配置される。
【0049】
第4フレーム部28にスイングユニット46が揺動可能に支持される。スイングユニット46は、電動モータ48および後輪50を含む。スクータ10では、電池パック40から供給される電力によって電動モータ48が駆動され、電動モータ48の出力によって後輪50が駆動される。
【0050】
図3は、電池パック40の外観を示す斜視図であり、図4は、電池パック40の内部構造を示す斜視図であり、図5は、電池パック40を示す分解斜視図である。なお、図4および図5においては、図面が煩雑になることを避けるために、電池パック40の各構成部材を簡略化して示している。また、図3以降の各図には、電池パックの各構成部材の位置関係を明確にするために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。この実施形態においては、X方向が第1方向に相当し、Y方向が第2方向に相当し、Z方向が第3方向に相当する。また、この実施形態では、X方向は、後述する端面110の長手方向(長さ方向)に対して平行な方向であり、Y方向は、端面110の短手方向(幅方向)に対して平行な方向である。
【0051】
図3および図4を参照して、電池パック40はケース52を含む。ケース52は、Z方向において複数のケース部材に分割された構成を有する。この実施形態では、ケース52は、Z方向において4つのケース部材54,56,58,60に分割された構成を有する。
【0052】
図4および図5を参照して、電池パック40はさらに、第1電池ユニット62および第2電池ユニット64を有する。第1電池ユニット62および第2電池ユニット64は、ケース52に収容される。より具体的には、第1電池ユニット62は、ケース部材54とケース部材56との間に配置され、第2電池ユニット64は、ケース部材58とケース部材60との間に配置される。
【0053】
ケース部材54は、本体部54aおよび放熱部材54bを含む。本体部54aは、板状かつ略長方形の側壁部66、および側壁部66の外周縁からケース部材56に向かって突出する枠状の周壁部68を有する。本体部54aは、たとえば絶縁材料からなる。この実施形態では、本体部54a(特に側壁部66)は、樹脂材料を含む。
【0054】
放熱部材54bは、長方形の板状に成形される。放熱部材54bの熱伝導率は、側壁部66(本体部54a)の熱伝導率よりも高い。放熱部材54bは、たとえば、金属材料および樹脂材料のうちの少なくとも一方を含む。放熱部材54bに用いられる金属材料には、たとえば、アルミニウム、鉄、ステンレス、およびチタンのうちの少なくとも一つが含まれる。放熱部材54bに用いられる樹脂材料には、たとえば、炭素繊維強化樹脂が含まれる。放熱部材54bは、側壁部66の外面66aに接触するように設けられる。本体部54aと放熱部材54bとは、たとえばインサート成形または溶着等によって一体的に構成される。側壁部66の四隅には、後述するボルト202を通すためのボス部70a,70b,70c,70dが設けられる。
【0055】
図6は、ケース部材54、ケース部材56および第1電池ユニット62の関係を示す断面図である。
【0056】
図4および図6を参照して、側壁部66の内面66bは、ケース部材60(図5参照)の後述する突出部92c(図5参照)と同様の形状を有する複数の突出部66c(図6参照)を有する。各突出部66cは、第1電池ユニット62側に向かって突出するように設けられ、ケース部材56側から見た場合に(Z方向視において)長方形状を有する。複数の突出部66cは、X方向に間隔をおいて並ぶように設けられる。
【0057】
図4および図5を参照して、ケース部材56は、板状かつ略長方形の側壁部72、側壁部72の外周縁からケース部材54に向かって突出する枠状の周壁部74、および側壁部72からケース部材58に向かって突出する中空状の連結部76,78を有する。連結部76は、ケース部材58の後述する連結部86に対応する形状を有し、連結部78は、ケース部材58の後述する連結部88に対応する形状を有する。ケース部材56は、たとえば樹脂等の絶縁材料またはアルミニウム等からなる。
【0058】
図5を参照して、側壁部72は、貫通孔72a,72b,72cを有する。貫通孔72aは、側壁部72の一方の長辺に沿ってX方向に延びるように設けられる。貫通孔72bは長方形状を有し、側壁部72の一方の短辺の近傍に設けられる。貫通孔72cは長方形状を有し、側壁部72の他方の短辺の近傍に設けられる。貫通孔72a,72b,72cは、ケース部材58側から見た場合に(Z方向視において)連結部78の内側に位置する。側壁部72の四隅には、ボルト202を通すためのボス部80a,80b,80c,80dが設けられる。
【0059】
図5および図6を参照して、側壁部72の内面72dは、第1電池ユニット62側に向かって突出する複数の突出部72eを有する。突出部72eは、ケース部材54側から見た場合に(Z方向視において)長方形状を有する。複数の突出部72eは、X方向に間隔をおいて並ぶように設けられる。図4および図6を参照して、側壁部72の外面72fは、第1電池ユニット62側に向かって凹む複数の凹部72gを有する。複数の凹部72gは、複数の突出部72eにそれぞれ対応するように設けられる。凹部72gは、ケース部材58側から見た場合に(Z方向視において)長方形状を有する。複数の突出部72eは、X方向に間隔をおいて並ぶように設けられる。
【0060】
図4および図5を参照して、ケース部材58は、板状かつ略長方形状の側壁部82、側壁部82の外周縁からケース部材60に向かって突出する枠状の周壁部84、および側壁部82からケース部材56に向かって突出する中空状の連結部86,88を有する。ケース部材58は、たとえば樹脂等の絶縁材料またはアルミニウム等からなる。
【0061】
図5を参照して、側壁部82は、貫通孔82a,82b,82cを有する。貫通孔82aは、側壁部82の一方の長辺に沿ってX方向に延びるように設けられる。貫通孔82bは長方形状を有し、側壁部82の一方の短辺の近傍に設けられる。貫通孔82cは長方形状を有し、側壁部82の他方の短辺の近傍に設けられる。貫通孔82a,82b,82cは、ケース部材56側から見た場合に(Z方向視において)連結部88の内側に位置する。側壁部82の四隅には、ボルト202を通すためのボス部90a,90b,90c,90dが設けられる。
【0062】
図4および図5を参照して、側壁部82の内面82d(図4参照)は、側壁部72の突出部72eと同様の形状を有する複数の突出部(図示せず)を有する。内面82dの複数の突出部(図示せず)は、X方向に間隔をおいて並ぶように設けられる。側壁部82の外面82eは、側壁部72の凹部72g(図4および図6参照)と同様の形状を有する複数の凹部82fを有する。複数の凹部82fは、側壁部82の複数の突出部(図示せず)にそれぞれ対応するように設けられる。複数の凹部82fは、X方向に間隔をおいて並ぶように設けられる。
【0063】
図3および図4を参照して、ケース部材60は、本体部60aおよび放熱部材60bを含む。図3〜図5を参照して、本体部60aは、板状かつ略長方形状の側壁部92、および側壁部92の外周縁からケース部材58に向かって突出する枠状の周壁部94を有する。本体部60aは、たとえば絶縁材料からなる。この実施形態では、本体部60a(特に側壁部92)は、樹脂材料を含む。
【0064】
図3および図4を参照して、放熱部材60bは、長方形の板状に成形される。放熱部材60bの熱伝導率は、側壁部92(本体部60a)の熱伝導率よりも高い。放熱部材60bは、たとえば、金属材料および樹脂材料のうちの少なくとも一方を含む。放熱部材60bに用いられる金属材料には、たとえば、アルミニウム、鉄、ステンレス、およびチタンのうちの少なくとも一つが含まれる。放熱部材60bに用いられる樹脂材料には、たとえば、炭素繊維強化樹脂が含まれる。放熱部材60bは、側壁部92の外面92aに接触するように設けられる。本体部60aと放熱部材60bとは、たとえばインサート成形または溶着等によって一体的に構成される。図3および図5を参照して、側壁部92の四隅には、ボルト202を通すためのボス部96a,96b,96c,96dが設けられる。図4および図5を参照して、側壁部92の内面92bには、第2電池ユニット64側に向かって突出する複数の突出部92cが設けられる。突出部92cは、ケース部材58側から見た場合に(Z方向視において)長方形状を有する。複数の突出部92cは、X方向に間隔をおいて並ぶように設けられる。
【0065】
この実施形態では、側壁部66および側壁部92がそれぞれ第1側壁部に相当する。
【0066】
図7は、第1電池ユニット62を示す断面図解図であり、図8は、第1電池ユニット62を側壁部66側から見た図である。なお、図7においては、図面が煩雑になることを避けるために、第1電池ユニット62の一部の図示を省略している。
【0067】
図7および図8を参照して、第1電池ユニット62は、互いに平行に配置される複数の充電できる電池98および複数の電池98を保持する電池保持部100を有する。電池98は円柱形状を有し、Z方向に対して平行に配置される。電池保持部100は、略直方体状の第1保持部102と略直方体状の第2保持部104とを含む。電池保持部100および後述の電池保持部144は、たとえば樹脂等の絶縁材料によって形成される。
【0068】
図9は、第1保持部102を側壁部66側から見た図である。
【0069】
図9を参照して、第1保持部102は、複数の貫通孔106、およびボス部108a,108b,108c,108dを有する。複数の貫通孔106は、X方向に14行かつY方向に7列になるように格子状に配列される。図7を参照して、複数の貫通孔106は、第1保持部102の一方側(この実施形態では側壁部66(図5参照)側)の端面110と他方側(この実施形態では第2保持部104側)の端面112とを連通させるようにZ方向に延びる。図5、図8および図9を参照して、ボス部108a,108b,108c,108dは、ケース部材54のボス部70a,70b,70c,70dおよびケース部材56のボス部80a,80b,80c,80dに対応するように、第1保持部102の四隅に設けられる。
【0070】
図7を参照して、第2保持部104は複数の貫通孔114を有する。複数の貫通孔114は、複数の貫通孔106と同様に、X方向に14行かつY方向に7列になるように格子状に配列される。また、複数の貫通孔114は、第2保持部104の一方側(この実施形態では側壁部72(図5参照)側)の端面116と他方側(この実施形態では第1保持部102側)の端面118とを連通させるようにZ方向に延びる。端面110および端面116はそれぞれ、Z方向に交差する。言い換えると、端面110および端面116はそれぞれ、少なくともX方向とY方向とに延びる。端面110と端面116とは、Z方向に離れて形成される。
【0071】
第1電池ユニット62においては、端面110が第1端面に相当し、端面116が第2端面に相当する。この実施形態では、端面110は側壁部66(図5参照)に対向し、端面116は側壁部72(図5参照)に対向する。
【0072】
図7を参照して、複数の貫通孔106と複数の貫通孔114とがそれぞれ連通するようにかつ複数の電池98がそれぞれ一対の貫通孔106,114に収容されるように、第1保持部102と第2保持部104とが接続される。図8を参照して、複数の電池98は、X方向に3行以上かつY方向に3列以上に配列される。この実施形態では、複数の電池98は、X方向に14行かつY方向に7列になるように格子状に配列される。なお、以下の説明では、ボス部108a,108cに最も近い1行を1行目とし、ボス部108b,108dに最も近い1行を14行目とする。また、ボス部108a,108bに最も近い1列を1列目とし、ボス部108c,108dに最も近い1列を7列目とする。この実施形態では、複数の電池98は、奇数行に配置される電池98と偶数行に配置される電池98とが逆方向を向くように電池保持部100に保持される。具体的には、たとえば、1、3、5、7、9、11および13行目の複数の電池98は、マイナス極が側壁部66(図5参照)側を向くように配置され、2、4、6、8、10、12および14行目の複数の電池98は、プラス極が側壁部66(図5参照)側を向くように配置される。
【0073】
図7および図8を参照して、第1保持部102の端面110側において複数の電池98を電気的に接続するように、Y方向に延びる複数(この実施形態では7つ)の板状のリード部材120が設けられる。
【0074】
複数のリード部材120は、端面110と側壁部66(図5参照)との間においてX方向に間隔をおいて設けられる。より具体的には、1行目の複数の電池98の一端部(この実施形態では端面110側の端部)および2行目の複数の電池98の一端部(この実施形態では端面110側の端部)に1つのリード部材120が接続される。これにより、1行目の複数の電池98の一端部が電気的に並列に接続され、2行目の複数の電池98の一端部が電気的に並列に接続される。また、1行目の複数の電池98の一端部と2行目の複数の電池98の一端部とが電気的に直列に接続される。同様に、3行目から14行目の複数の電池98の一端部に、6つのリード部材120が接続される。具体的には、2つの行の複数の電池98毎に1つのリード部材120が接続される。
【0075】
図7を参照して、第2保持部104の端面116側において複数の電池98を電気的に接続するように、Y方向に延びる複数の板状のリード部材122,124,126が設けられる。この実施形態では、1つのリード部材122、6つのリード部材124および1つのリード部材126が設けられる。
【0076】
複数のリード部材122,124,126は、端面116と側壁部72(図5参照)との間においてX方向に間隔をおいて設けられる。より具体的には、1行目の複数の電池98の他端部(この実施形態では端面116側の端部)にリード部材122が接続される。これにより、1行目の複数の電池98の他端部が電気的に並列に接続される。2行目の複数の電池98の他端部および3行目の複数の電池98の他端部に1つのリード部材124が接続される。これにより、2行目の複数の電池98の他端部が電気的に並列に接続され、3行目の複数の電池98の他端部が電気的に並列に接続される。また、2行目の複数の電池98の他端部と3行目の複数の電池98の他端部とが電気的に直列に接続される。同様に、4行目から13行目の複数の電池98の他端部に、5つのリード部材124が接続される。具体的には、2つの行の複数の電池98毎に1つのリード部材124が接続される。リード部材126は、14行目の複数の電池98の他端部に接続される。これにより、14行目の複数の電池98の他端部が電気的に並列に接続される。
【0077】
リード部材120,122,124,126は、たとえば複数の電池98に溶着される。
【0078】
図7、図8および図9を参照して、第1保持部102は、Z方向における一端部(この実施形態では側壁部66(図5参照)側の端部)に、複数の電池98の側壁部66側への移動を規制する複数の規制部128,130,132を有する。複数の規制部128,130,132は、X方向に間隔をおいて設けられる。この実施形態では、1つの規制部128、6つの規制部130および1つの規制部132が設けられる。
【0079】
規制部128は、第1保持部102のX方向における一端部(この実施形態ではボス部108a,108c(図8参照)側の端部)において側壁部66(図5参照)側に向かって突出しかつY方向に延びる。図8を参照して、側壁部66(図5参照)側から見た場合に(Z方向視において)、1行目の各電池98の一部は規制部128の一部に重なる。これにより、規制部128によって1行目の複数の電池98の移動が規制される。
【0080】
図8を参照して、各規制部130は、リード部材120とリード部材120との間に設けられる。図9を参照して、各規制部130は、Y方向に互いに離れてかつY方向に並んで設けられる複数の突出部134,136,138,140を含む。突出部134,136,138,140は、側壁部66(図5参照)側に向かって突出しかつY方向に延びるように設けられる。図8を参照して、側壁部66(図5参照)側から見た場合に、2行目〜13行目の各電池98の一部は、規制部130の一部に重なる。これにより、複数の規制部130によって2行目〜13行目の複数の電池98の移動が規制される。
【0081】
図7、図8および図9を参照して、規制部132は、第1保持部102のX方向における他端部(この実施形態ではボス部108b,108d(図8参照)側の端部)において側壁部66(図5参照)側に向かって突出しかつY方向に延びる。図8を参照して、側壁部66(図5参照)側から見た場合に、14行目の各電池98の一部は規制部132の一部に重なる。これにより、規制部132によって14行目の複数の電池98の移動が規制される。
【0082】
図10は、電池保持部100の端面110を示す図である。
【0083】
図10を参照して、端面110は、側壁部66(図5参照)側に突出する突出面110a、側壁部66側に突出する複数の突出面110b,110c,110d,110e、側壁部66側に突出する突出面110f、および主面110gを含む。なお、図10においては、主面110gを理解し易くするために、主面110gにハッチングを付している。
【0084】
図9および図10を参照して、この実施形態では、突出面110aは、規制部128の側壁部66(図5参照)側の端面であり、突出面110bは、突出部134の側壁部66側の端面であり、突出面110cは、突出部136の側壁部66側の端面であり、突出面110dは、突出部138の側壁部66側の端面であり、突出面110eは、突出部140の側壁部66側の端面であり、突出面110fは、規制部132の側壁部66側の端面である。また、図10を参照して、主面110gは、端面110のうち、側壁部66側から見た場合に複数の突出面110a〜110fを除く領域である。複数の突出面110a〜110fは平坦面として形成される。同様に、主面110gは平坦面として形成される。
【0085】
図8を参照して、各突出面110bは、リード部材120とリード部材120との間に形成される。したがって、複数の突出面110bは、X方向に間隔をおいて形成される。同様に、突出面110c,110d,110eはそれぞれ、リード部材120とリード部材120との間に形成される。したがって、複数の突出面110c、複数の突出面110dおよび複数の突出面110eはそれぞれ、X方向に間隔をおいて形成される。
【0086】
図7および図9を参照して、複数の突出面110a〜110fのZ方向における位置は互いに等しい。複数の突出面110a〜110fは、側壁部66(図5参照)に対して平行に設けられる。同様に、主面110gは、側壁部66に対して平行に設けられる。したがって、主面110gは、複数の突出面110a〜110fに対して平行に設けられる。複数の突出面110a〜110fおよび主面110gは、XY平面に対して平行に設けられる。言い換えると、複数の突出面110a〜110fおよび主面110gは、Z方向に直交する。複数の突出面110a〜110fは、Z方向において、主面110gおよび複数のリード部材120(図7参照)よりも側壁部66(図5参照)側に位置する。言い換えると、突出面110a〜110fは、Z方向において、主面110gおよび複数のリード部材120に対して側壁部66側に位置する。複数の突出面110b〜110eは、側壁部66側から見た場合に、複数のリード部材120の間に位置する。突出面110bのY方向の寸法(幅)は、突出面110bのX方向の寸法(幅)よりも大きい。同様に、突出面110c〜110eのY方向の寸法(幅)はそれぞれ、突出面110c〜110eのX方向の寸法(幅)よりも大きい。
【0087】
図7を参照して、第2保持部104は、Z方向における他端部(この実施形態では側壁部72(図5参照)側の端部)に、複数の電池98の側壁部72側への移動を規制する複数の規制部142を有する。この実施形態では、7つの規制部142が設けられる(図7では、7つの規制部142のうちの5つの規制部142を示している)。各規制部142は、側壁部72側に向かって突出しかつY方向に延びる。複数の規制部142は、X方向に間隔をおいて設けられる。この実施形態では、各規制部142は、複数のリード部材122,124,126の間に設けられる。
【0088】
図7を参照して、側壁部72(図5参照)側から見た場合に(Z方向視において)、各電池98の一部と規制部142の一部とが重なる。これにより、複数の規制部142によって複数の電池98の移動が規制される。なお、この実施形態では、第1保持部102の規制部130は4つの突出部134,136,138,140を含んで構成されているが、第2保持部104の規制部142はY方向に延びる1つの突出部として構成される。
【0089】
端面116は、側壁部72(図5参照)側に突出する複数の突出面116a、および主面116bを含む。この実施形態では、突出面116aは、規制部142の側壁部72側の端面である。複数の突出面116aは、X方向に間隔をおいて形成される。また、主面116bは、端面116のうち、側壁部72側から見た場合に複数の突出面116aを除く領域である。
【0090】
この実施形態では、複数の突出面116aのZ方向における位置は互いに等しい。複数の突出面116aは、側壁部72に対して平行に設けられる。同様に、主面116bは、側壁部72に対して平行に設けられる。したがって、主面116bは、複数の突出面116aに対して平行に設けられる。複数の突出面116aおよび主面116bは、XY平面に対して平行に設けられる。言い換えると、複数の突出面116aおよび主面116bは、Z方向に直交する。複数の突出面116aは、Z方向において、主面116bおよび複数のリード部材122,124,126よりも側壁部72側に位置する。言い換えると、複数の突出面116aは、Z方向において、主面116bおよび複数のリード部材122,124,126に対して側壁部72側に位置する。複数の突出面116aは、側壁部72側から見た場合に、複数のリード部材122,124,126の間に位置する。突出面116aのY方向の寸法(幅)は、突出面116aのX方向の寸法(幅)よりも大きい。
【0091】
図11は、第2電池ユニット64を示す断面図解図である。なお、図11においては、図面が煩雑になることを避けるために、第2電池ユニット64の一部の図示を省略している。
【0092】
図11を参照して、第2電池ユニット64は、互いに平行に配置される複数の電池98および複数の電池98を保持する電池保持部144を有する。電池保持部144は、略直方体状の第1保持部146と略直方体状の第2保持部148とを含む。
【0093】
第1保持部146は、第1電池ユニット62(図7参照)の第2保持部104(図7参照)と同様に、X方向に14行かつY方向に7列になるように格子状に配列される複数の貫通孔150を有する。複数の貫通孔150は、第1保持部146の一方側(この実施形態では側壁部92(図5参照)側)の端面152と他方側(この実施形態では第2保持部148側)の端面154とを連通させるようにZ方向に延びる。
【0094】
第2保持部148は、第1電池ユニット62(図7参照)の第1保持部102(図7参照)と同様に、X方向に14行かつY方向に7列になるように格子状に配列される複数の貫通孔156、およびボス部158a,158b,158c,158d(図5参照)を有する。複数の貫通孔156は、第2保持部148の一方側(この実施形態では側壁部82(図5参照)側)の端面160と他方側(この実施形態では第1保持部146側)の端面162とを連通させるようにZ方向に延びる。端面152および端面160はそれぞれ、Z方向に交差する。言い換えると、端面152および端面160はそれぞれ、少なくともX方向とY方向とに延びる。端面152と端面160とは、Z方向に離れて形成される。
【0095】
第2電池ユニット64においては、端面152が第1端面に相当し、端面160が第2端面に相当する。この実施形態では、端面152は側壁部92(図5参照)に対向し、端面160は側壁部82(図5参照)に対向する。
【0096】
図11を参照して、複数の貫通孔150と複数の貫通孔156とがそれぞれ連通するようにかつ複数の電池98がそれぞれ一対の貫通孔150,156に収容されるように、第1保持部146と第2保持部148とが接続される。複数の電池98は、X方向に3行以上かつY方向に3列以上に配列される。この実施形態では、複数の電池98は、X方向に14行かつY方向に7列になるように格子状に配列される。第2電池ユニット64の複数の電池98は、たとえば第1電池ユニット62の複数の電池98と同様に、奇数行に配置される電池98と偶数行に配置される電池98とが逆方向を向くように電池保持部144に保持される。
【0097】
第1保持部146の端面152側において複数の電池98を電気的に接続するように、Y方向に延びる複数の板状のリード部材164,166,168が設けられる。この実施形態では、1つのリード部材164、6つのリード部材166および1つのリード部材168が設けられる。複数のリード部材164,166,168は、第1電池ユニット62の複数のリード部材122,124,126と同様に、端面152と側壁部92(図5参照)との間においてX方向に間隔をおいて設けられる。具体的には、1行目の複数の電池98にリード部材164が接続される。2行目から13行目の複数の電池98に6つのリード部材166が接続される。より具体的には、2つの行の複数の電池98毎に1つのリード部材166が接続される。14行目の複数の電池98にリード部材168が接続される。
【0098】
第2保持部148の端面160側において複数の電池98を電気的に接続するように、Y方向に延びる複数(この実施形態では7つ)の板状のリード部材170が設けられる。複数のリード部材170は、第1電池ユニット62(図7参照)のリード部材120(図7参照)と同様に、端面160と側壁部82(図5参照)との間においてX方向に間隔をおいて設けられる。より具体的には、2つの行の複数の電池98毎に1つのリード部材170が設けられる。
【0099】
リード部材164,166,168,170は、たとえば複数の電池98に溶着される。
【0100】
図11を参照して、第1保持部146は、第1電池ユニット62(図7参照)の第2保持部104(図7参照)と同様に、複数(この実施形態では7つ)の規制部172を有する。各規制部172は、側壁部92(図5参照)側に向かって突出しかつY方向に延びる。複数の規制部172は、X方向に間隔をおいて設けられる。なお、第2保持部104(図7参照)の規制部142(図7参照)は1つの突出部として構成されているが、規制部172は、第1保持部102(図9参照)の規制部130(図9参照)と同様に、複数の突出部を含んで構成される。詳細な説明は省略するが、端面152は、主面および複数の突出面を含む。端面152の複数の突出面は、規制部172の複数の突出部の側壁部92側の端面である。端面152の主面は、端面152のうち、側壁部92側から見た場合に複数の突出面を除く領域である。
【0101】
第2保持部148は、第1電池ユニット62の第1保持部102(図9参照)と同様に、複数の規制部174,176,178を有する。この実施形態では、1つの規制部174、6つの規制部176および1つの規制部178が設けられる。複数の規制部174,176,178は、側壁部82(図5参照)側に向かって突出しかつY方向に延びる。複数の規制部174,176,178は、X方向に間隔をおいて設けられる。なお、第1保持部102(図9参照)の規制部130(図9参照)は複数の突出部134,136,138,140(図9参照)を含んで構成されているが、規制部176は1つの突出部として構成される。規制部174は規制部128(図9参照)と同様の構成を有し、規制部178は規制部132(図9参照)と同様の構成を有する。詳細な説明は省略するが、端面160は、主面および複数の突出面を含む。端面160の複数の突出面は、複数の規制部174,176,178の側壁部82側の端面である。端面160の主面は、端面160のうち、側壁部82側から見た場合に複数の突出面を除く領域である。
【0102】
図5を参照して、第1電池ユニット62と第2電池ユニット64とを連結するように、接続ユニット180、リード部材182、およびリード部材184が設けられる。接続ユニット180は、基板186および基板186に固定される複数のリード部材188を含む。接続ユニット180は、ケース部材56の貫通孔72aおよびケース部材58の貫通孔82aに挿通され、リード部材182は、ケース部材56の貫通孔72bおよびケース部材58の貫通孔82bに挿通され、リード部材184は、ケース部材56の貫通孔72cおよびケース部材58の貫通孔82cに挿通される。第1電池ユニット62の複数の電池98(図7参照)と第2電池ユニット64の複数の電池98(図11参照)とは、リード部材182、リード部材184および複数のリード部材188を介して電気的に接続される。この実施形態では、ケース52に設けられるプラスの電源端子(図示せず)およびマイナスの電源端子(図示せず)を介して第1電池ユニット62および第2電池ユニット64の複数の電池98に対して電力の入出力が行われる。
【0103】
図5を参照して、第1電池ユニット62は、ケース部材54とケース部材56とによって収容され、第2電池ユニット64は、ケース部材58とケース部材60とによって収容される。ケース部材54の周壁部68とケース部材56の周壁部74とは、環状のシール部材190を挟んで互いに組み合わされる。ケース部材58の周壁部84とケース部材60の周壁部94とは、環状のシール部材192を挟んで互いに組み合わされる。
【0104】
シール部材190およびシール部材192としては、種々のガスケットを用いることができる。この実施形態では、シール部材190,192として、たとえば、樹脂(ゴムまたはプラスチック等)、金属または液体によって構成されたガスケットを用いることができる。後述のシール部材196a,196b,198,200,204,208についても同様である。
【0105】
ケース部材56とケース部材58とに挟まれるように、ナット194a,194b,194c,194dが設けられる。
【0106】
ナット194aは、ケース部材56のボス部80aとケース部材58のボス部90aとによって収容され、ナット194bは、ケース部材56のボス部80bとケース部材58のボス部90bとによって収容される。ボス部80aとボス部90aとは、環状のシール部材196aを挟んで互いに組み合わされ、ボス部80bとボス部90bは、環状のシール部材196bを挟んで互いに組み合わされる。
【0107】
ナット194c,194dは、ケース部材56の連結部78とケース部材58の連結部88とによって収容される。ナット194cは、ボス部80cとボス部90cとに挟まれるように設けられ、ナット194dは、ボス部80dとボス部90dとに挟まれるように設けられる。連結部78と連結部88とは、環状のシール部材198を挟んで互いに組み合わされる。ケース部材56の連結部76とケース部材58の連結部86とは、環状のシール部材200を挟んで互いに組み合わされる。
【0108】
上記のようにして組み合わされたケース52は、複数のボルト202によって第1電池ユニット62および第2電池ユニット64に連結される。
【0109】
この実施形態では、4本のボルト202が、ケース部材54のボス部70a,70b,70c,70d、第1電池ユニット62のボス部108a,108b,108c,108d、およびケース部材56のボス部80a,80b,80c,80dに差し込まれる。同様に、4本のボルト202(図5においては3本のボルト202のみ図示)が、ケース部材60のボス部96a,96b,96c,96d、第2電池ユニット64のボス部158a,158b,158c,158d、およびケース部材58のボス部90a,90b,90c,90dに差し込まれる。複数のボルト202の先端部は、ナット194a,194b,194c,194dに固定される。これにより、ケース52、第1電池ユニット62および第2電池ユニット64が連結される。なお、ボス部70a,70b,70c,70d,96a,96b,96c,96dにはそれぞれ、環状のシール部材204が嵌め込まれる。
【0110】
図6を参照して、ケース52と第1電池ユニット62とを連結する際には、第1保持部102の規制部128と規制部130との間、規制部130と規制部130との間、および規制部130と規制部132との間にそれぞれ側壁部66の突出部66cが配置される。これにより、複数の突出部66cと複数のリード部材120とを近接または接触させることができる。すなわち、側壁部66と複数のリード部材120とを近接または接触させることができる。同様に、第2保持部104の規制部142と規制部142との間に側壁部72の突出部72eが配置される。これにより、複数の突出部72eと複数のリード部材124とを近接または接触させることができる。すなわち、側壁部72と複数のリード部材124とを近接または接触させることができる。
【0111】
同様に、図5および図11を参照して、ケース52と第2電池ユニット64とを連結する際には、第1保持部146の規制部172と規制部172との間に側壁部92の突出部92cが配置される。また、第2保持部148の規制部174と規制部176との間、規制部176と規制部176との間、および規制部176と規制部178との間にそれぞれ側壁部82の突出部(図示せず)が配置される。
【0112】
図8を参照して、ケース52と第1電池ユニット62とが連結された状態では、Z方向視において放熱部材54bと第1保持部102の端面110とが重なる。同様に、ケース52と第2電池ユニット64とが連結された状態では、Z方向視において放熱部材60b(図3参照)と第1保持部146(図11参照)の端面152(図11参照)とが重なる。この実施形態では、Z方向視において、放熱部材54bは端面110の全体を覆うように設けられ、放熱部材60bは端面152の全体を覆うように設けられる。したがって、Z方向視において、放熱部材54bの面積は端面110の面積よりも大きく、放熱部材60bの面積は端面152の面積よりも大きい。
【0113】
図4および図5を参照して、放熱部材54bおよび側壁部66は、複数(この実施形態では18本)のネジ206によって第1電池ユニット62の第1保持部102の端面110(図7参照)に固定される。この実施形態では、放熱部材54bおよび側壁部66は、X方向における複数位置およびY方向における複数位置において端面110に固定される。より具体的には、放熱部材54bおよび側壁部66は、X方向において6つの位置およびY方向において3つの位置において端面110に固定される。なお、放熱部材54bおよび側壁部66を端面110に固定するための固定部材としてのネジ206は、通常のネジ(ボルト)であってもよく、タッピングスクリュー等の特殊なネジであってもよい。
【0114】
図12は、放熱部材54b、側壁部66、第1保持部102およびネジ206の関係を示す断面図であり、図13は、ケース部材54を示す分解斜視図である。
【0115】
図4、図9および図12を参照して、第1保持部102は、Z方向に延びかつ端面110の主面110gにおいて開口する複数(この実施形態では18個)のネジ穴102aを有する。ネジ穴102aは、X方向における複数位置およびY方向における複数位置に形成される。この実施形態では、ネジ穴102aは、X方向において6つの位置およびY方向において3つの位置に形成される。
【0116】
図9を参照して、この実施形態では、側壁部66(図5参照)側から見た場合に、突出面110b(突出部134)と突出面110c(突出部136)との間、突出面110c(突出部136)と突出面110d(突出部138)との間、および突出面110d(突出部138)と突出面110e(突出部140)との間にそれぞれネジ穴102aが形成される。
【0117】
図13を参照して、放熱部材54bは、複数の貫通孔54cを有する。複数の貫通孔54cは、複数のネジ穴102a(図9参照)に対応するように形成される。したがって、この実施形態では、貫通孔54cは、X方向において6つの位置およびY方向において3つの位置に形成される。
【0118】
本体部54aの側壁部66は、外面66a側に円筒状の複数の凸部66dを有する。複数の凸部66dは、放熱部材54bの複数の貫通孔54cに対応するように設けられる。また、側壁部66の外面66aは、放熱部材54bを配置するための凹部66eを有する。凹部66eは、第1電池ユニット62(図5参照)側に向かって凹むように設けられる。
【0119】
図4および図12を参照して、側壁部66は、内面66b側に円筒状の複数の凸部66fを有する。複数の凸部66fは、複数の凸部66dに対応するように設けられる。図12および図13を参照して、側壁部66はさらに、複数の貫通孔66gを有する。図12を参照して、貫通孔66gは断面円形状(XY平面に対して平行な断面において)を有し、凸部66dおよび凸部66fを通って側壁部66をZ方向に貫通するように設けられる。貫通孔66gは、側壁部66の内面66bにおいて開口する小径部66hおよび側壁部66の外面66aにおいて開口しかつ小径部66hよりも大きい直径を有する大径部66iを含む。Z方向視において、小径部66hおよび大径部66iは同心状に設けられる。
【0120】
この実施形態では、複数の凸部66d、複数の凸部66f、および複数の貫通孔66gは、複数のネジ穴102aに対応するようにX方向における複数位置およびY方向における複数位置に形成される。したがって、この実施の形態では、凸部66d、凸部66fおよび貫通孔66gは、X方向において6つの位置およびY方向において3つの位置に形成される。
【0121】
図4および図12を参照して、突出部134と突出部136との間、突出部136と突出部138との間、および突出部138と突出部140との間にそれぞれ側壁部66の凸部66fが配置される。
【0122】
図12および図13を参照して、複数の凸部66dが複数の貫通孔54c内にそれぞれ位置するように、凹部66eに放熱部材54bが配置される。上述したように、本体部54a(側壁部66)と放熱部材54bとは、たとえばインサート成形または溶着等によって一体的に構成される。この実施形態では、放熱部材54bは、側壁部66をZ方向に貫通しないように側壁部66の外面66aに設けられる。側壁部66の外面66aは、凹部66eにおいて放熱部材54bに接触する。
【0123】
図12を参照して、貫通孔66gの大径部66i内に、環状のシール部材208が嵌め込まれる。シール部材208を介してネジ206が貫通孔66gに差し込まれ、ネジ206がネジ穴102aに螺合される。この実施形態では、側壁部66の内面66bが複数の突出面110a〜110f(図9参照)および主面110gに接触するように、複数のネジ206が締め付けられる。
【0124】
図3を参照して、放熱部材60bは、貫通孔54c(図13参照)と同様の構成を有する複数の貫通孔60cを有する。図3〜図5を参照して、ケース部材60の側壁部92は、凸部66d(図13参照)と同様の構成を有する複数の凸部92d(図3参照)、凹部66e(図13参照)と同様の構成を有する凹部92e(図4参照)、凸部66f(図12参照)と同様の構成を有する複数の凸部92f(図5参照)、および貫通孔66g(図12参照)と同様の構成を有する複数の貫通孔(図示せず)を有する。図3を参照して、複数の凸部92dが複数の貫通孔60c内にそれぞれ位置するように、凹部92e(図4参照)に放熱部材60bが配置される。側壁部92は、側壁部66と同様に、複数のネジ206によって第2電池ユニット64の第1保持部146の端面152(図11参照)に固定される。各ネジ206は、シール部材208を介して側壁部92の貫通孔(図示せず)に差し込まれる。この実施形態では、凸部66dのうち放熱部材54bから露出する円環状の領域66j(図4参照)、および凸部92dのうち放熱部材60bから露出する円環状の領域92g(図5参照)がそれぞれ露出部に相当する。
【0125】
以下、電池パック40の作用効果を説明する。
電池パック40では、第1電池ユニット62の複数の電池98で発生した熱は、電池保持部100に伝達される。ケース52の側壁部66は、複数の電池98から電池保持部100に伝達された熱を電池保持部100の端面110から受けて放熱部材54bに伝達する。したがって、電池パック40では、第1電池ユニット62の複数の電池98で発生した熱は、電池保持部100に伝達された後、電池保持部100の端面110からケース52の側壁部66を介して放熱部材54bに伝達され、放熱される。ここで、電池パック40では、ケース52の側壁部66は複数位置で端面110に固定されるので、側壁部66と端面110との密着性を高めることができる。これにより、電池保持部100からケース52へ伝達される熱量を増加させることができる。特に、側壁部66と端面110との密着性が高まることによって、熱がこもり易い電池保持部100の中央部の熱も、効率よくケース52に伝達できる。
【0126】
また、電池保持部100の端面110および端面116はそれぞれ、Z方向に交差する。言い換えると、端面110および端面116はそれぞれ、少なくともX方向とY方向とに延びる。ここで、電池パック40では、複数の電池98は、X方向に3行以上かつY方向に3列以上に配列される。この場合、複数の電池98を保持する電池保持部100のX方向およびY方向の寸法が大きくなるので、X方向とY方向とに延びる端面110および端面116の面積も大きくなる。これにより、電池保持部100から端面110を介してケース52の側壁部66に伝達される熱量を十分に増やすことができる。また、端面110の面積が大きくなることによって、端面110に固定される側壁部66の剛性を容易に向上させることができる。これにより、ケース52の変形を十分に抑制できるので、電池パック40の防水性が向上する。
【0127】
側壁部92と第2電池ユニット64の電池保持部144との関係も、側壁部66と第1電池ユニット62の電池保持部100との上述の関係と同様である。
【0128】
また、放熱部材54bは側壁部66の外面66aに接触するので、電池保持部100から側壁部66に伝達された熱を確実に放熱部材54bに伝達できる。さらに、放熱部材54bは側壁部66をZ方向に貫通しないので、側壁部66に放熱部材54bを設けても、電池パック40の防水性は低下しない。放熱部材60bと側壁部92との関係についても同様である。
【0129】
以上の結果、電池パック40の放熱性および防水性を向上させることができる。
【0130】
ケース52は、Z方向において複数のケース部材54,56,58,60に分割されるので、ケース52をX方向またはY方向に分割しなくてもよい。したがって、側壁部66をX方向またはY方向に分割しなくてもよい。この場合、側壁部66を分割して構成する場合に比べて、側壁部66を端面110に容易に固定できるとともに側壁部66の熱伝導性を向上できる。また、側壁部66を端面110により安定して接触させることができる。側壁部92についても同様である。さらに、電池パック40では、側壁部66と端面110とが接触するので、ケース部材54とケース部材56との接続部を端面110に接触させなくてもよい。この場合、ケース部材54とケース部材56との接続部の設計自由度が向上するので、ケース部材54とケース部材56との接続部の水密性を容易に向上できる。同様に、側壁部92と端面152とが接触するので、ケース部材58とケース部材60との接続部を端面152に接触させなくてもよい。これにより、ケース部材58とケース部材60との接続部の設計自由度が向上するので、ケース部材58とケース部材60との接続部の水密性を向上できる。これらの結果、優れた放熱性を確保しつつ電池パック40の防水性を十分に向上できる。
【0131】
電池パック40では、側壁部66を端面110に固定するための複数のネジ206はそれぞれ、側壁部66の外面66aのうち放熱部材54bから露出する領域66jを貫通するように設けられる。この場合、複数のネジ206を差し込むための複数の貫通孔を放熱部材54bに設けなくてよいので、複数のネジ206と放熱部材54bとの間を封止する必要がない。したがって、複数のネジ206と放熱部材54bとの間を封止するための複数のシール部材を設けなくてよい。同様に、側壁部92を端面152に固定するための複数のネジ206は、側壁部92の外面92aのうち放熱部材60bから露出する領域92gを貫通するように設けられる。この場合、複数のネジ206を差し込むための複数の貫通孔を放熱部材60bに設けなくてよいので、複数のネジ206と放熱部材60bとの間を封止する必要がない。したがって、複数のネジ206と放熱部材60bとの間を封止するための複数のシール部材を設けなくてよい。これらの結果、電池パック40の部品点数の増加を防止できる。
【0132】
側壁部66は、X方向における複数位置およびY方向における複数位置で電池保持部100の端面110に固定される。この場合、ケース52(ケース部材54)の成形精度を高めることなく側壁部66と端面110とを容易に接触させることができるとともに、側壁部66と端面110との密着性を十分に高めることができる。これにより、電池保持部100からケース52へ伝達される熱量を十分に増加させることができる。同様に、側壁部92は、X方向における複数位置およびY方向における複数位置で電池保持部144の端面152に固定される。この場合、ケース52(ケース部材60)の成形精度を高めることなく側壁部92と端面152とを容易に接触させることができるとともに、側壁部92と端面152との密着性を十分に高めることができる。これにより、電池保持部144からケース52へ伝達される熱量を十分に増加させることができる。
【0133】
側壁部66は、複数のリード部材120の間の複数位置において電池保持部100の端面110に固定されるので、側壁部66と端面110との接触部が一か所に偏ってしまうことを防止できる。それにより、電池保持部100からケース52に効率よく熱を伝達できる。同様に、側壁部92は、複数のリード部材164,166,168の間の複数位置において電池保持部144の端面152に固定されるので、側壁部92と端面152との接触部が一か所に偏ってしまうことを防止できる。それにより、電池保持部144からケース52に効率よく熱を伝達できる。
【0134】
側壁部66(本体部54a)と放熱部材54bとをインサート成形によって一体的に成形する場合には、凸部66dおよび凹部66eを容易に形成できる。同様に、側壁部92(本体部60a)と放熱部材60bとをインサート成形によって一体的に成形する場合には、凸部92dおよび凹部92eを容易に形成できる。これらの結果、ケース52の成形が容易になる。
【0135】
電池パック40では、放熱部材54b,60bは金属材料および樹脂材料のうちの少なくとも一方を含む。この場合、簡単な構成で放熱部材54b,60bの放熱量を増やすことができる。特に、放熱部材54b,60bがアルミニウム、鉄、ステンレス、およびチタンのうちの少なくとも一つを含む場合には、放熱部材54b,60bの放熱量を十分に増やすことができる。また、放熱部材54b,60bが、炭素繊維強化樹脂を含む場合には、放熱部材54b,60bを軽くしつつ放熱部材54b,60bの強度を向上できる。これにより、電池パック40を軽く構成できるとともに、電池パック40の強度を向上できる。
【0136】
複数のケース部材54,56,58,60はシール部材190,192,196a,196b,198,200を挟んで互いに組み合わされる。これにより、電池パック40の防水性を確実に向上できる。
【0137】
電池パック40では、Z方向視において、放熱部材54bは第1保持部102の端面110と重なる。より具体的には、Z方向視において、放熱部材54bは端面110の全体を覆うように設けられる。これにより、端面110から側壁部66を介して放熱部材54bに効率よく熱を伝達できる。また、Z方向視において放熱部材54bの面積が十分に大きくなるので、放熱部材54bにおいて効率よく放熱できる。同様に、Z方向視において、放熱部材60bは第1保持部146の端面152と重なる。より具体的には、Z方向視において、放熱部材60bは端面152の全体を覆うように設けられる。これにより、端面152から側壁部92を介して放熱部材60bに効率よく熱を伝達できるとともに、放熱部材60bにおいて効率よく放熱できる。
【0138】
側壁部66は、凸部66fおいて電池保持部100の端面110(主面110g)に固定される。この場合、凸部66fにおいて側壁部66の剛性が向上するので、ネジ206(固定部材)の締め付け力等によって側壁部66に変形が生じることを防止できる。これにより、側壁部66と端面110とをより確実に接触させることができる。側壁部92についても同様である。
【0139】
上述の実施形態では、第1電池ユニット62および第2電池ユニット64において、複数の電池98が格子状に配列されているが、電池ユニットにおける複数の電池の配列例は上述の例に限定されない。たとえば、複数の電池が電池ユニットにおいて千鳥状に配列されてもよい。
【0140】
図14は、複数の電池98が千鳥状に配列された電池ユニット210を示す図である。
図14を参照して、電池ユニット210は、互いに平行に配置される複数の電池98および複数の電池98を保持する電池保持部212を有する。複数の電池98は、X方向に14行およびY方向に8列になるように千鳥状に配置される。
【0141】
複数の電池98の一端部を電気的に接続するように複数のリード部材214,216,218が設けられる。この実施形態では、1つのリード部材214、6つのリード部材216および1つのリード部材218が設けられる。詳細な説明は省略するが、電池98の他端部を電気的に接続するように複数(この実施形態では7つ)のリード部材(図示せず)が設けられる。
【0142】
図15は、電池保持部212を示す図である。
【0143】
図14および図15を参照して、電池保持部212は、それぞれZ方向に交差する第1端面220および第2端面(図示せず)を有する。第1端面220および第2端面は、Z方向に離れて形成される。電池保持部212の第1端面220側には、複数の規制部222,224が設けられる。複数の規制部222,224は、X方向において間隔をおいて設けられる。この実施形態では、6つの規制部222および1つの規制部224が設けられる。詳細な説明は省略するが、電池保持部212の第2端面(図示せず)側にも複数(たとえば8つ)の規制部が設けられる。
【0144】
図14を参照して、複数の規制部222,224は、複数のリード部材214,216,218の間にそれぞれ設けられる。図14および図15を参照して、各規制部222は、Y方向に互いに離れてかつY方向に並んで設けられる複数の突出部226,228,230,232を含む。
【0145】
図15を参照して、第1端面220は、Z方向に突出する複数の突出面220a,220b,220c,220d、Z方向に突出する突出面220e、および主面220fを含む。図14を参照して、突出面220aは、突出部226のZ方向における端面であり、突出面220bは、突出部228のZ方向における端面であり、突出面220cは、突出部230のZ方向における端面であり、突出面220dは、突出部232のZ方向における端面であり、突出面220eは、規制部224のZ方向における端面である。主面220fは、第1端面220のうち、Z方向視において複数の突出面220a〜220eを除く領域である。
【0146】
この実施形態では、突出面220a〜220eおよび主面220fは平坦面として形成される。複数の突出面220a〜220eのZ方向における位置は互いに等しい。突出面220aのY方向の寸法(幅)は、突出面220bのX方向の寸法(幅)よりも大きい。同様に、突出面220b〜220eのY方向の寸法(幅)はそれぞれ、突出面220b〜220eのX方向の寸法(幅)よりも大きい。なお、突出面220a〜220eと主面220fとのZ方向における位置関係は、上述の突出面110a〜110fと主面110gとのZ方向における位置関係と同様である。
【0147】
詳細な説明は省略するが、電池保持部212の第2端面(図示せず)も主面および複数の突出面を含む。
【0148】
図14および図15を参照して、電池保持部212は、第1端面220の主面220fにおいて開口する複数のネジ穴212aを有する。ネジ穴212aは、X方向における複数位置およびY方向における複数位置に形成される。この実施形態では、ネジ穴212aは、X方向において6つの位置およびY方向において3つの位置に形成される。
【0149】
電池ユニット210を収容するケース(図示せず)には、上述のケース52と同様に、複数の凸部(図示せず)および複数の貫通孔(図示せず)が設けられる。具体的には、ケースの側壁部において複数のネジ穴212aに対応する位置に、複数の凸部(図示せず)および複数の貫通孔(図示せず)が形成される。そして、各貫通孔にネジが差し込まれ、そのネジがネジ穴212aに螺合される。これにより、ケース(図示せず)の側壁部(図示せず)がX方向における複数位置およびY方向における複数位置において第1端面220に固定される。
【0150】
電池ユニット210を備えた電池パックにおいても、上述の電池パック40と同様の作用効果が得られる。したがって、電池パックの放熱性および防水性を向上できる。また、複数の電池98を千鳥状に配置することによって、電池保持部212(第1端面220)のX方向の寸法を小さくできる。
【0151】
図16は、電池パックの他の例を示す斜視図である。
【0152】
図16に示す電池パック40aが上述の電池パック40と異なるのは、ケース52の代わりにケース52aが設けられている点である。ケース52aがケース52と異なるのは、ケース部材54の代わりにケース部材234が設けられている点、ケース部材60の代わりにケース部材236が設けられている点である。ケース部材234およびケース部材236以外の電池パック40aの構成は電池パック40の構成と等しいので、ケース部材234,236以外の電池パック40aの構成については説明を省略する。
【0153】
また、ケース部材234が上述のケース部材54と異なるのは、本体部54aの代わりに本体部234aが設けられている点および放熱部材54bの代わりに放熱部材234bが設けられている点である。ケース部材236がケース部材60と異なるのは、本体部60aの代わりに本体部236aが設けられている点および放熱部材60bの代わりに放熱部材236bが設けられている点である。
【0154】
本体部234aが本体部54aと異なるのは、側壁部66の代わりに側壁部238が設けられている点である。側壁部238以外の本体部234aの構成は本体部54aの構成と等しいので、側壁部238以外の本体部234aの構成については説明を省略する。本体部236aが本体部60aと異なるのは、側壁部92の代わりに側壁部240が設けられている点である。側壁部240以外の本体部236aの構成は本体部60aの構成と等しいので、側壁部240以外の本体部236aの構成については説明を省略する。なお、側壁部238は、側壁部66と同様に、複数の突出部66c(図6参照)を含む内面66b、複数の凸部66f、および複数の貫通孔66g(図13参照)を有する。また、側壁部240は、側壁部92と同様に、複数の突出部92cを含む内面92b、複数の凸部92f(図5参照)、および複数の貫通孔(図示せず)を有する。
【0155】
図17は、ケース部材234を示す分解斜視図である。
【0156】
図17を参照して、本体部234aの側壁部238が本体部54a(図13参照)の側壁部66(図13参照)と異なるのは、複数の凸部66d(図13参照)が設けられていない点、および外面238aが凹部66e(図13参照)の代わりに複数の凹部238bを有する点である。凹部238bは、Z方向視において長方形状を有し、第1電池ユニット62側に向かって凹むように設けられる。
【0157】
図18は、ケース部材234、ケース部材56および第1電池ユニット62の関係を示す断面図である。
【0158】
図17および図18を参照して、複数の凹部238bは、内面66bの複数の突出部66cにそれぞれ対応するように設けられる。複数の凹部238bは、X方向に間隔をおいて並ぶように設けられる。このため、外面238aはY方向に直交する断面において凹凸形状を有する。また、内面66bは複数の突出部66cを有するので、Y方向に直交する断面において凹凸形状を有する。この実施形態では、Y方向に直交する断面において側壁部238が凹凸形状を有するように、複数の凹部238bおよび複数の突出部66cが設けられる。
【0159】
図19は、放熱部材234b、側壁部238および第1保持部102の関係を示す図である。
【0160】
図17および図19を参照して、放熱部材234bは、断面円形状を有する複数の貫通孔242を有する。図19を参照して、貫通孔242は、放熱部材234bの内面244において開口する小径部242aおよび放熱部材234bの外面246において開口しかつ小径部242aよりも大きい直径を有する大径部242bを含む。Z方向視において、小径部242aおよび大径部242bは同心状に設けられる。
【0161】
図18を参照して、放熱部材234bの内面244は、第1電池ユニット62側に向かって突出する複数の突出部244aを有する。突出部244aは、側壁部238の凹部238bに嵌合しかつ接触するように設けられる。具体的には、突出部244aは、凹部238bと同様に、Z方向視において長方形状を有する。複数の突出部244aは、X方向に間隔をおいて並ぶように設けられる。このため、内面244はY方向に直交する断面において凹凸形状を有する。この実施形態では、側壁部238の外面238aおよび放熱部材234bの内面244は、外面238aと内面244とが互いに嵌り合いかつ接触するように、それぞれY方向に直交する断面において凹凸形状を有する。
【0162】
図17および図18を参照して、放熱部材234bの外面246は、第1電池ユニット62側に向かって凹む複数の凹部246aを有する。図18を参照して、複数の凹部246aは、内面244の複数の突出部244aにそれぞれ対応するように設けられる。複数の凹部246aは、X方向に間隔をおいて並ぶように設けられる。このため、外面246はY方向に直交する断面において凹凸形状を有する。この実施形態では、Y方向に直交する断面において放熱部材234bが凹凸形状を有するように、複数の突出部244aおよび複数の凹部246aが設けられる。
【0163】
図17および図18を参照して、この実施形態では、Z方向視において、凹部246aの面積(長さおよび幅)は凹部238bの面積(長さおよび幅)よりも小さく、突出部244a(図18参照)の面積(長さおよび幅)よりも小さい。また、図18を参照して、Z方向視において、凹部238bの面積(長さおよび幅)は突出部66cの面積(長さおよび幅)よりも小さく、突出部244aの面積(長さおよび幅)は突出部66cの面積(長さおよび幅)よりも小さい。
【0164】
図16を参照して、放熱部材234bは、複数のネジ206によって側壁部238に固定される。より具体的には、図19を参照して、貫通孔242の大径部242bおよび貫通孔66gの大径部66iにそれぞれシール部材208が設けられた状態で、ネジ206が貫通孔242および貫通孔66gに差し込まれ、ネジ206がネジ穴102aに螺合される。これにより、放熱部材234bが側壁部238に固定されるとともに、側壁部238が第1保持部102の端面110に固定される。
【0165】
図16を参照して、本体部236aの側壁部240が本体部60a(図4参照)の側壁部92(図4参照)と異なるのは、複数の凸部92d(図3参照)が設けられていない点、および外面240aが凹部92e(図4参照)の代わりに複数の凹部240b(図16においては1つの凹部240bのみ図示)を有する点である。凹部240bは、本体部234a(図17参照)の凹部238b(図17参照)と同様の形状を有する。複数の凹部240bは、内面92bの複数の突出部92cにそれぞれ対応するように設けられる。複数の凹部240bは、複数の凹部238b(図17参照)と同様に、X方向に間隔をおいて並ぶように設けられる。このため、外面240aは、外面238a(図17参照)と同様に、Y方向に直交する断面において凹凸形状を有する。この実施形態では、Y方向に直交する断面において側壁部240が凹凸形状を有するように、複数の凹部240bおよび複数の突出部92cが設けられる。
【0166】
詳細な説明は省略するが、放熱部材236bは、貫通孔242(図17参照)と同様の構成を有する複数の貫通孔(図示せず)を有する。また、放熱部材236bの内面248は、突出部244a(図18参照)と同様の形状を有する複数の突出部248a(図16においては1つの突出部248aのみ図示)を有し、放熱部材236bの外面250は、凹部246a(図17および図18参照)と同様の形状を有する複数の凹部250a(図16においては1つの凹部250aのみ図示)を有する。これにより、放熱部材236bは、放熱部材234bと同様に、Y方向に直交する断面において凹凸形状を有する。より具体的には、放熱部材236bは、側壁部240の外面240aの凹凸形状に対応する凹凸形状を有する。放熱部材236bは、放熱部材234bと同様に、複数のネジ206によって側壁部240に固定される。
【0167】
この実施形態では、Z方向視において、凹部250aの面積(長さおよび幅)は凹部240bの面積(長さおよび幅)よりも小さく、突出部248aの面積(長さおよび幅)よりも小さい。また、Z方向視において、凹部240bの面積(長さおよび幅)は突出部92cの面積(長さおよび幅)よりも小さく、突出部248aの面積(長さおよび幅)は突出部92cの面積(長さおよび幅)よりも小さい。
【0168】
図16を参照して、放熱部材234bは、放熱部材54b(図8参照)と同様に、Z方向視において第1保持部102の端面110(図8参照)と重なる。また、放熱部材236bは、放熱部材60b(図4参照)と同様に、Z方向視において第1保持部146の端面152(図11参照)と重なる。この実施形態では、Z方向視において、放熱部材234bは端面110の全体を覆うように設けられ、放熱部材236bは端面152の全体を覆うように設けられる。したがって、Z方向視において、放熱部材234bの面積は端面110の面積よりも大きく、放熱部材236bの面積は端面152の面積よりも大きい。なお、放熱部材234b,236bにはそれぞれ、放熱部材54b,60bの上述の材料を用いることができる。放熱部材234bの熱伝導率は、側壁部238(本体部234aの熱伝導率よりも高い。放熱部材236bの熱伝導率は、側壁部240(本体部236a)の熱伝導率よりも高い。
【0169】
電池パック40aにおいても、上述の電池パック40と同様の作用効果が得られる(但し、凸部66d、凸部92d、貫通孔54cおよび貫通孔60cについての作用効果を除く)。したがって、電池パック40aの放熱性および防水性を向上できる。
【0170】
また、電池パック40aでは、側壁部238の外面246と放熱部材234bの内面244とがそれぞれ凹凸形状を有しかつ互いに接触する。この場合、側壁部238と放熱部材234bとの接触面積を十分に大きくできるので、側壁部238から放熱部材234bに効率よく熱を伝達できる。側壁部240と放熱部材236bとの関係についても同様である。
【0171】
電池パック40aのようにそれぞれ断面凹凸形状を有する側壁部および放熱部材を有する電池パックにおいても、側壁部と放熱部材とがインサート成形または溶接等によって一体的に構成されてもよい。たとえば、側壁部と放熱部材とがインサート成形によって一体的に構成される場合には、側壁部と放熱部材との間に水等が入り込むことを防止できるので、大径部66i(図19参照)にシール部材208を設けなくてもよい。また、大径部66i自体も設けなくてもよい。
【0172】
それぞれ断面凹凸形状を有する側壁部および放熱部材を有する電池パックにおいても、凸部66dと同様の構成を有する複数の凸部を側壁部に設け、貫通孔54cと同様の構成を有する複数の貫通孔を放熱部材に設けてもよい。
【0173】
それぞれ断面凹凸形状を有する側壁部および放熱部材を有する電池パックにおいても、複数の電池98を千鳥状に配置してもよい。
【0174】
上述の電池パック40,40aにおいて、ヒートシンクをさらに設けてもよい。たとえば、図4を参照して、周壁部68の外面、側壁部72の外面72f、周壁部74の外面、側壁部82の外面82e、周壁部84の外面、および周壁部94の外面のいずれかにヒートシンクを設けてもよい。
【0175】
ヒートシンクは、たとえば、ネジ206によって、ケース部材および電池保持部に固定されてもよい。この場合、電池保持部、ケース部材およびヒートシンクの密着性を向上できるので、電池パックの放熱性を向上できる。
【0176】
ケース部材の周壁部の各面にそれぞれヒートシンクを設ける場合には、各面に設けられたヒートシンクを互いに連結してもよい。この場合、複数のヒートシンクの温度勾配を緩やかにすることができ、電池パックの放熱性を向上できる。
【0177】
ヒートシンクの代わりに放熱板を設けてもよい。
【0178】
上述の実施形態では、第1側壁部としての側壁部66,238を端面110に固定する場合について説明したが、側壁部72(図5参照)も同様に電池保持部100の端面116(図7参照)に固定してもよい。同様に、側壁部82を電池保持部144の端面160(図11参照)に固定してもよい。
【0179】
上述の実施形態では、側壁部66,92,238,240を電池保持部100,144の端面110,152に固定するための固定部材としてネジ206を用いているが、ピン等の他の部材を固定部材として用いてもよい。また、たとえば、溶着(熱溶着または超音波溶着等)によって側壁部66,92,242,244を電池保持部100,144の端面110,152に固定してもよい。
【0180】
上述の実施形態では、電池ユニットにおいて複数のリード部材がX方向に間隔をおいて設けられているが、複数のリード部材がY方向に間隔をおいて設けられてもよい。また、各電池保持部の端面において、複数の突出面がY方向に間隔をおいて形成されてもよい。この場合、突出面のX方向の寸法(幅)がY方向の寸法(幅)よりも大きくなるように突出面が形成されてもよい。
【0181】
電池保持部において、Z方向に2つ以上の電池98が並ぶように複数の電池98が配列されてもよい。
【0182】
ケースと電池保持部との間に熱伝導シートまたは充填剤(伝熱性接着剤)を設けてもよい。
【0183】
ケースの側壁部を電池ユニットの複数のリード部材に固定してもよい。たとえば、固定部材を用いて側壁部(突出部)を複数のリード部材に固定してもよく、溶着によって側壁部(突出部)を複数のリード部材に固定してもよい。
【0184】
上述の実施形態では、電池保持部の第1端面の長手方向がX方向に対して平行でかつ電池保持部の第1端面の短手方向がY方向に対して平行であるが、電池保持部の第1端面の短手方向がX方向に対して平行でかつ電池保持部の第1端面の長手方向がY方向に対して平行になるように、電池パックを構成してもよい。
【0185】
上述の実施形態では、側壁部の外周縁からZ方向に突出するように周壁部が設けられる場合について説明したが、周壁部の位置は上述の例に限定されない。たとえば、側壁部の外周縁よりもやや内側の部分からZ方向に突出するように周壁部が設けられてもよい。すなわち、周壁部は、側壁部の外周縁部からZ方向に突出するように設けることができる。なお、側壁部の外周縁部には、側壁部の外周縁が含まれるものとする。
【0186】
上述の実施形態では、シール部材を挟んでケース部材とケース部材とが組み合わされる場合について説明したが、ケース部材とケース部材との組み合わせ方法は上述の例に限定されない。たとえば、シール部材の代わりに、接着剤または両面テープ等を用いてケース部材とケース部材とを組み合わせてもよい。たとえば、ケース部材とケース部材とを溶着してもよい。
【0187】
この発明が適用される鞍乗型車両はスクータ10に限定されない。具体的には、この発明は、モペット等の他のタイプの自動二輪車、不整地走行用車両(ALL−TERRAIN VEHICLE)、およびスノーモービル等の他の鞍乗型車両にも適用できる。
【符号の説明】
【0188】
10 スクータ
40,40a 電池パック
52,52a ケース
54,56,58,60,234,236 ケース部材
54a,60a,234a,236a 本体部
54b,60b,234b,236b 放熱部材
62 第1電池ユニット
64 第2電池ユニット
66,72,82,92,238,240 側壁部
66a,92a,238a,240a 外面
66d,66f,92d、92f 凸部
66g 貫通孔
66j,92g 領域
98 電池
100,144,212 電池保持部
102,146 第1保持部
104,148 第2保持部
110,116,152,160, 端面
110a,110b,110c,110d,110e,110f,116a 突出面
120,122,124,126,164,166,168,170,182,184,188,214,216,218 リード部材
190,192,196a,196b,198,200,204,208 シール部材
206 ネジ
220 第1端面
244 内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に複数行以上および前記第1方向に直交する第2方向に複数列以上に配列される複数の充電できる電池と、
前記第1方向および前記第2方向の双方に直交する第3方向に離れて設けられる第1端面および第2端面を有しかつ前記複数の電池を保持する電池保持部と、
前記複数の電池を電気的に接続する複数のリード部材と、
前記複数の電池、前記電池保持部および前記複数のリード部材を収容するケースとを備え、
前記複数の電池は、前記第1方向に3行以上かつ前記第2方向に3列以上に配列され、
前記第1端面および前記第2端面はそれぞれ、前記第3方向に交差し、
前記ケースは、前記電池保持部の前記第1端面に対向する第1側壁部と、前記第1側壁部の外面に接触しかつ前記第1側壁部を前記第3方向に貫通しない放熱部材とを有し、
前記放熱部材の熱伝導率は前記第1側壁部の熱伝導率よりも高く、
前記第1側壁部は、複数位置において前記第1端面に固定され、前記複数の電池で発生しかつ前記複数の電池から前記電池保持部に伝達された熱を、前記第1端面から受けて前記放熱部材に伝達する、電池パック。
【請求項2】
前記ケースは、前記第3方向において複数のケース部材に分割され、
前記複数のケース部材のうちの少なくとも一つのケース部材は、前記第1側壁部および前記放熱部材を含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記ケースの前記第1側壁部を前記電池保持部の前記第1端面に固定するための複数の固定部材をさらに備え、
前記第1側壁部の前記外面は、前記放熱部材に覆われることなく露出する複数の露出部を有し、
前記複数の固定部材はそれぞれ、前記露出部を貫通するように設けられる、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第1側壁部は、前記第1方向における複数位置および前記第2方向における複数位置で前記第1端面に固定される、請求項1から3のいずれかに記載の電池パック。
【請求項5】
前記複数のリード部材は、前記電池保持部の前記第1端面と前記ケース部材の前記第1側壁部との間において前記第1方向または前記第2方向に間隔をおいて設けられ、
前記第1側壁部は、前記複数のリード部材の間の複数位置において前記第1端面に固定される、請求項1から4のいずれかに記載の電池パック。
【請求項6】
前記第1側壁部は樹脂材料を含み、前記第1側壁部と前記放熱部材とはインサート成形によって一体的に成形される、請求項1から5のいずれかに記載の電池パック。
【請求項7】
前記第1側壁部の前記外面と前記放熱部材の内面とが互いに嵌り合いかつ接触するように、前記第1側壁部の前記外面および前記放熱部材の前記内面はそれぞれ前記第3方向に直交する断面において凹凸形状を有する、請求項1から6のいずれかに記載の電池パック。
【請求項8】
前記放熱部材は金属材料を含む、請求項1から7のいずれかに記載の電池パック。
【請求項9】
前記放熱部材は、アルミニウム、鉄、ステンレス、およびチタンのうちの少なくとも一つを含む、請求項8に記載の電池パック。
【請求項10】
前記放熱部材は樹脂材料を含む、請求項1から7のいずれかに記載の電池パック。
【請求項11】
前記放熱部材は炭素繊維強化樹脂を含む、請求項10に記載の電池パック。
【請求項12】
1または複数のシール部材をさらに備え、
前記複数のケース部材は、前記シール部材を挟んで互いに組み合わされる、請求項2に記載の電池パック。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の電池パックを備える、鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−109975(P2013−109975A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254425(P2011−254425)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】