説明

電流負荷駆動回路

【課題】電流負荷への電流供給を適切に制御でき、電流負荷を高速に停止できて電流制限抵抗が不要な電流負荷駆動回路を提供すること。
【解決手段】この電流負荷駆動回路の場合、カレントミラー回路1bの電圧経路上で入力回路5b、出力回路7cを分割し、カレントミラー回路2cを含む出力回路7cに備えられた電圧制御回路では、スイッチ回路Sa、Sbの働きでMOSトランジスタN1をオフにして電流負荷のLED4(調光可能)の消灯を行う。制御端子T1、T2に入力された低レベルの制御信号を入力したNOR回路12からは、高レベルの制御信号がゲートバイアス電圧として高耐圧P型MOSトランジスタP3に印加され、トランジスタP3のドレイン電圧は、ソース電圧(LED4の電源電圧)に一致した状態となってLED4が高速消灯される。各カレントミラー回路及び電圧制御回路によってLED4の駆動電流を制御するため、電流制限抵抗が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(以下、LEDという)で代表される電流負荷を駆動する電流負荷駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED駆動回路として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
このLED駆動回路は、昇圧回路を用いることなく、LEDへの電流を適正に制御するようにしたものである。さらに具体的には、可変電流源と、第1のカレントミラー回路と、第2のカレントミラー回路とを備えている。
可変電流源は、外付けのインピーダンス回路によって所定の電流を生成する。第1のカレントミラー回路は、その可変電流源によって生成される電流を増幅する。第2のカレントミラー回路は、第1のカレントミラー回路から供給される電流をさらに増幅し、LEDに供給する。複数のLEDは、第2のカレントミラー回路から供給される電流によって点灯される。
このような構成からなる従来のLED駆動回路によれば、可変電流源によって任意の電流を生成できるので、LEDに所望の駆動電流を流すことができる上、複数のLEDの駆動電流を容易に変更できる。
【特許文献1】特開2005−116616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来回路において、その複数の構成要素を半導体基板上に配置して集積回路化する場合には、その各構成要素を接近して配置することが、動作特性を保証するために好ましい。
一方、各構成要素を例えばゲートアレイ上のトランジスタを使用して形成する場合には、離れた位置のトランジスタを使用できれば、その構成要素の配置の自由度が大きくなるが、配線の長さが増大するので動作特性が低下する恐れがある。
このような背景の下において、ゲートアレイなどで構成する場合に、動作特性の低下をできるだけ抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度が大きなLED駆動回路の出現が望まれる。
【0004】
また、従来回路に限らず、LEDをトランジスタのオン動作により点灯させるときには俊敏な立ち上がりとなる反面、オン動作からオフ動作に移行して消灯させるときにはデバイスのリーク電流を抑制し切れずに過渡的に電流が流れてしまうことに起因して緩慢な立ち下がりとなってしまう。
このような結果として、LEDの場合、点灯は早く立ち上がり、消灯は遅く立ち下がる傾向にあるため、最近注目されている可視光での高速通信分野での適用には不向きであるという不具合があり、このような問題の解決も望まれる。
更に、従来回路の場合、LEDのような電流負荷に対して供給される電流を何等制御できないという問題もある。
【0005】
他方、例えばIC用デバイス側から観て、LEDを通して電流を引き込む形式(シンク電流型)によりLEDを直接駆動する場合、LED用電源に対して電流制限抵抗を介在させてLEDを接続した上、ドレイン電極側がオープンとされるN型MOSトランジスタのソース電極側をLEDに接続した構成の電流制限型出力セルを適用してLSI等に接続する場合を想定できる。
ここで電流制限抵抗が用いられる理由は、LEDが電流駆動にも拘らずその基本特性がダイオードであるためにN型MOSトランジスタが低(Low)レベル出力状態(即ちオン状態)になると、そのときのオン抵抗が低過ぎるためにグランドとショートし、これによって大電流が発生してデバイスを破壊してしまう事態を防止するためである。
【0006】
しかしながら、実際には、半導体チップへのマウント比の関係から素子数削減の要求があること、LED直接駆動回路を構成するときに印加される電源電圧に応じた適当な電流制限抵抗の抵抗値を設定するのが相当に困難なこと、所望の電気特性(電流量)に合致しなければ、別途に電気的規格を調整するための補償回路が必要となってしまうこと等の理由から、電流制限抵抗は不要にできれば望ましい。
そこで、本発明の技術的課題は、ゲートアレイなどで構成する場合に、動作特性の低下を極力抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくできる上、電流負荷への電流供給を適切に制御でき、しかも電流負荷を高速に停止できて電流制限抵抗が不要な電流負荷駆動回路を提供することにある。
また、本発明の他の技術的課題は、電流負荷への電流供給を適切に制御できると共に、電流負荷を高速に停止させることが可能な電流負荷駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決し本発明の技術的課題を達成するために、各発明は、以下のような構成からなる。
第1の発明は、電流負荷(例えば図1乃至図4のLED4)を駆動する電流負荷駆動回路であって、
第1カレントミラー回路(例えば図1又は図2の第1カレントミラー回路1a、図3又は図4の第1カレントミラー回路1b)と、
前記第1カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅した電流によって前記電流負荷を駆動する第2カレントミラー回路(例えば図1の第2カレントミラー回路2a、図2の第2カレントミラー回路2b、図3の第2カレントミラー回路2c、図4の第2カレントミラー回路2d)と、を備え、
前記第1カレントミラー回路及び前記第2カレントミラー回路の全体を前記第1カレントミラー回路又は前記第2カレントミラー回路の電圧経路上で分割した入力回路(例えば図1又は図2の入力回路5a、図3又は図4の入力回路5b)、出力回路(例えば図1の出力回路7a、図2の出力回路7b、図3の出力回路7c、図4の出力回路7d)を有し、
前記出力回路は、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷を流れる電流量を制御する電流制御回路(例えば図1の制御端子T1、クランプ回路20となるP型MOSトランジスタP3、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路21となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図2の制御端子T1、クランプ回路22となるP型MOSトランジスタP3、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路23となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図3の制御端子T1、クランプ回路24となるN型MOSトランジスタN3、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路25となるN型MOSトランジスタN5、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図4の制御端子T1、クランプ回路26となるP型MOSトランジスタP4、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路27となるN型MOSトランジスタN4、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成)と、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷における一端の電圧を他端の電圧と一致させる電圧制御回路(例えば図1の制御端子T1、T2、NOR回路12、及びN型MOSトランジスタN3の構成、図2の制御端子T1、T2、NOR回路12、及びN型MOSトランジスタN3の構成、図3の制御端子T1、T2、NAND回路14、及びP型MOSトランジスタP3の構成、図4の制御端子T1、T2、NAND回路14、及びP型MOSトランジスタP3の構成)と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
第2の発明は、電流負荷(例えば図1乃至図4のLED4)を駆動する電流負荷駆動回路であって、
第1カレントミラー回路(例えば図1又は図2の第1カレントミラー回路1a、図3又は図4の第1カレントミラー回路1b)と、
前記第1カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅した電流によって前記電流負荷を駆動する第2カレントミラー回路(例えば図1の第2カレントミラー回路2a、図2の第2カレントミラー回路2b、図3の第2カレントミラー回路2c、図4の第2カレントミラー回路2d)と、を備え、
前記第1カレントミラー回路及び前記第2カレントミラー回路は、全体が前記第1カレントミラー回路又は前記第2カレントミラー回路の電圧経路上で分割されて入力回路(例えば図1又は図2の入力回路5a、図3又は図4の入力回路5b)、出力回路(例えば図1の出力回路7a、図2の出力回路7b、図3の出力回路7c、図4の出力回路7d)を成すように半導体基板上に作成され、
前記出力回路は、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷を流れる電流量を制御する電流制御回路(例えば図1の制御端子T1、クランプ回路20となるP型MOSトランジスタP3、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路21となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図2の制御端子T1、クランプ回路22となるP型MOSトランジスタP3、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路23となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図3の制御端子T1、クランプ回路24となるN型MOSトランジスタN3、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路25となるN型MOSトランジスタN5、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図4の制御端子T1、クランプ回路26となるP型MOSトランジスタP4、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路27となるN型MOSトランジスタN4、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成)と、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷における一端の電圧を他端の電圧と一致させる電圧制御回路(例えば図1の制御端子T1、T2、NOR回路12、及びN型MOSトランジスタN3の構成、図2の制御端子T1、T2、NOR回路12、及びN型MOSトランジスタN3の構成、図3の制御端子T1、T2、NAND回路14、及びP型MOSトランジスタP3の構成、図4の制御端子T1、T2、NAND回路14、及びP型MOSトランジスタP3の構成)と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
このような構成によれば、ゲートアレイ等で構成する場合に、動作特性の低下をできるだけ抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくした上、電流制御回路で電流負荷への電流供給を適切に制御しながら電流負荷駆動回路で電流負荷を停止する際に、制御信号を与えて電流負荷両端の電圧を一致させることにより、電流負荷を高速に停止させることが可能となる。この結果、電流負荷がLEDである場合には高速消灯できるため、可視光による高速通信分野での利用が期待できる。
【0010】
第3の発明の電流負荷駆動回路は、
前記第1カレントミラー回路は、少なくとも一対の一導電型の電界効果トランジスタ(例えば図1又は図2のN型MOSトランジスタN1及びN型MOSトランジスタN2、或いは図3又は図4のP型MOSトランジスタP1及びP型MOSトランジスタP2)を有し、
前記第2カレントミラー回路は、少なくとも一対の前記一導電型とは逆極性の逆導電型の電界効果トランジスタ(例えば図1のP型MOSトランジスタP1に対するP型MOSトランジスタP2、P4、図2のP型MOSトランジスタP1及びP型MOSトランジスタP2、或いは図3のN型MOSトランジスタN1に対するP型MOSトランジスタN2、N4、図4のN型MOSトランジスタN1及びP型MOSトランジスタN2)を有し、
前記電圧制御回路は、前記一導電型の高耐圧電界効果トランジスタ(例えば図1又は図2のN型MOSトランジスタN3、或いは図3又は図4のP型MOSトランジスタP3)を有し、
前記高耐圧電界効果トランジスタと、前記第2カレントミラー回路における前記逆導電型の電界効果トランジスタのうちの出力増幅段側のもの(例えば図1のP型MOSトランジスタP2、P4、図2のP型MOSトランジスタP2、図3のN型MOSトランジスタN2、N4、図4のN型MOSトランジスタN2)とは、前記半導体基板上で前記第1カレントミラー回路における前記一導電型の電界効果トランジスタ、及び前記第2カレントミラー回路における前記逆導電型の電界効果トランジスタの入力増幅段側のもの(例えば図1又は図2のP型MOSトランジスタP1、図3又は図4のN型MOSトランジスタN1)よりも外側の周辺部分に配置されたことを特徴とするものである。
【0011】
このような構成によれば、半導体基板上で高耐圧、高耐電流の電界効果トランジスタを各カレントミラー回路に用いられる低耐圧、低耐電流の電界効果トランジスタの周囲に配置したチップ構成とできるため、高耐圧、高耐電流の電界効果トランジスタに対する駆動時に生じるリーク電流が回路内へ及ぼす影響や、外部から混入するノイズの影響を十分に回避できる。
【0012】
第4の発明の電流負荷駆動回路は、
前記電圧制御回路は、前記制御信号を与えるための制御端子(例えば図1乃至図4の制御端子T1、T2)と、前記高耐圧電界効果トランジスタとしてのN型MOSトランジスタ(例えば図1又は図2のMOSトランジスタN3、或いは図3又は図4のMOSトランジスタP3)のゲート電極側へ印加するゲートバイアス電圧を前記制御信号の排他的論理和信号出力として生成するNOR回路(例えば図1又は図2のNOR回路12、或いは図3又は図4のNOR回路12)と、を備え、
前記制御端子は、前記半導体基板上で周辺部分に配置されたことを特徴とするものである。
このような何れの構成においても、チップ構成上で高耐圧、高耐電流の部品を低耐圧、低耐電流の部品の外周囲に配備するようにして第3の発明の場合と同様な作用効果を持たせることができる。
【0013】
第5の発明は、電流負荷(例えば図5乃至図8のLED4)を駆動する電流負荷駆動回路であって、
第1カレントミラー回路(例えば図5又は図6の第1カレントミラー回路1a、図7又は図8の第1カレントミラー回路1b)と、
前記第1カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅して出力するする第2カレントミラー回路(例えば図5又は図6の第2カレントミラー回路2c、図7又は図8の第2カレントミラー回路2d)と、
前記第2カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅した電流によって前記電流負荷を駆動する第3カレントミラー回路(例えば図5の第3カレントミラー回路3a、図6の第2カレントミラー回路3b、図7の第3カレントミラー回路3c、図8の第2カレントミラー回路3d)と、を備え、
前記第1乃至第3乃至第3カレントミラー回路の全体を前記第1カレントミラー回路及び前記第2カレントミラー回路の電圧経路上で分割した入力回路(例えば図5又は図6の入力回路5a、図7又は図8の入力回路5b)、中間回路(例えば図5又は図6の中間回路6a、図7又は図8の中間回路6b)、出力回路(例えば図5の出力回路7e、図6の出力回路7f、図7の出力回路7g、図8の出力回路7h)を有し、
前記出力回路は、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷を流れる電流量を制御する電流制御回路(例えば図5の制御端子T1、クランプ回路28となるN型MOSトランジスタN5、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路29となるN型MOSトランジスタN7、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図6の制御端子T1、クランプ回路30となるP型MOSトランジスタP4、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路31となるN型MOSトランジスタN6、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図7の制御端子T1、クランプ回路32となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路33となるP型MOSトランジスタP7、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図8の制御端子T1、クランプ回路34となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路35となるP型MOSトランジスタP7、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成)と、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷における一端の電圧を他端の電圧と一致させる電圧制御回路(例えば図5の制御端子T1、T2、NAND回路14、及びP型MOSトランジスタP3の構成、図6の制御端子T1、T2、NAND回路14、及びP型MOSトランジスタP3の構成、図7の制御端子T1、T2、NOR回路12、及びN型MOSトランジスタN3の構成、図8の制御端子T1、T2、NOR回路12、及びN型MOSトランジスタN3の構成)と、を有することを特徴とするものである。
【0014】
第6の発明は、電流負荷(例えば図5乃至図8のLED4)を駆動する電流負荷駆動回路であって、
第1カレントミラー回路(例えば図5又は図6の第1カレントミラー回路1a、図7又は図8の第1カレントミラー回路1b)と、
前記第1カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅して出力するする第2カレントミラー回路(例えば図5又は図6の第2カレントミラー回路2c、図7又は図8の第2カレントミラー回路2d)と、
前記第2カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅した電流によって前記電流負荷を駆動する第3カレントミラー回路(例えば図5の第3カレントミラー回路3a、図6の第2カレントミラー回路3b、図7の第3カレントミラー回路3c、図8の第2カレントミラー回路3d)と、を備え、
前記第1乃至第3カレントミラー回路は、全体が前記第1カレントミラー回路及び前記第2カレントミラー回路の電圧経路上で分割されて入力回路(例えば図5又は図6の入力回路5a、図7又は図8の入力回路5b)、中間回路(例えば図5又は図6の中間回路6a、図7又は図8の中間回路6b)、出力回路(例えば図5の出力回路7e、図6の出力回路7f、図7の出力回路7g、図8の出力回路7h)を成すように半導体基板上に作成され、
前記出力回路は、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷を流れる電流量を制御する電流制御回路(例えば図5の制御端子T1、クランプ回路28となるN型MOSトランジスタN5、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路29となるN型MOSトランジスタN7、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図6の制御端子T1、クランプ回路30となるP型MOSトランジスタP4、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路31となるN型MOSトランジスタN6、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図7の制御端子T1、クランプ回路32となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路33となるP型MOSトランジスタP7、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成、図8の制御端子T1、クランプ回路34となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路35となるP型MOSトランジスタP7、及びスイッチ回路Sbとの組み合わせ構成)と、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷における一端の電圧を他端の電圧と一致させる電圧制御回路(例えば図5の制御端子T1、T2、NAND回路14、及びP型MOSトランジスタP3の構成、図6の制御端子T1、T2、NAND回路14、及びP型MOSトランジスタP3の構成、図7の制御端子T1、T2、NOR回路12、及びN型MOSトランジスタN3の構成、図8の制御端子T1、T2、NOR回路12、及びN型MOSトランジスタN3の構成)と、を有することを特徴とする。
【0015】
このような構成の場合も、第1の発明及び第2の発明の場合と同様に、ゲートアレイ等で構成する場合に、動作特性の低下をできるだけ抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくした上、電流制御回路で電流負荷への電流供給を適切に制御しながら電流負荷駆動回路で電流負荷を停止する際に、制御信号を与えて電流負荷両端の電圧を一致させることにより、電流負荷を高速に停止させることが可能となる。この結果、電流負荷がLEDである場合には高速消灯できるため、可視光による高速通信分野での利用が期待できる。
【0016】
第7の発明の電流負荷駆動回路は、
前記第1カレントミラー回路は、少なくとも一対の一導電型の電界効果トランジスタ(例えば図5又は図6のN型MOSトランジスタN1及びN型MOSトランジスタN2、或いは図7又は図8のP型MOSトランジスタP1及びP型MOSトランジスタP2)を有し、
前記第2カレントミラー回路は、少なくとも一対の前記一導電型とは逆極性の逆導電型の電界効果トランジスタ(例えば図5又は図6のP型MOSトランジスタP1及びP型MOSトランジスタP2、或いは図7又は図8のN型MOSトランジスタN1及びN型MOSトランジスタN2)を有し、
前記第3カレントミラー回路は、少なくとも一対の前記一導電型の電界効果トランジスタ(例えば図5のN型MOSトランジスタN3に対するN型MOSトランジスタN4、N6、図6のN型MOSトランジスタN3及びN型MOSトランジスタN4、或いは図7のP型MOSトランジスタP3に対するP型MOSトランジスタP4、P6、図8のP型MOSトランジスタP3及びP型MOSトランジスタP4)を有し、
前記電圧制御回路は、前記逆導電型の高耐圧電界効果トランジスタ(例えば図5又は図6のP型MOSトランジスタP3、或いは図7又は図8のN型MOSトランジスタN3)を有し、
前記高耐圧電界効果トランジスタと、前記第3カレントミラー回路における前記一導電型の電界効果トランジスタのうちの出力増幅段側のもの(例えば図5のN型MOSトランジスタN4、N6、図6のN型MOSトランジスタN4、或いは図7のP型MOSトランジスタP4、P6、図8のP型MOSトランジスタP4)とは、前記半導体基板上で前記第1カレントミラー回路における前記一導電型の電界効果トランジスタ、前記第2カレントミラー回路における前記逆導電型の電界効果トランジスタ、及び前記第3カレントミラー回路における前記一導電型の電界効果トランジスタの入力増幅段側のもの(例えば図5又は図6のN型MOSトランジスタN3、或いは図7又は図8のP型MOSトランジスタP3)よりも外側の周辺部分に配置されたことを特徴とするものである。
このような構成の場合も、半導体基板上で高耐圧、高耐電流の電界効果トランジスタを各カレントミラー回路に用いられる低耐圧、低耐電流の電界効果トランジスタの周囲に配置したチップ構成とできるため、第3の発明の場合と同等な作用効果を奏する。
【0017】
第8発明の電流負荷駆動回路は、
前記電圧制御回路は、前記制御信号を与えるための制御端子(例えば図5乃至図8の制御端子T1、T2)と、前記高耐圧電界効果トランジスタとしてのN型MOSトランジスタ(例えば図5又は図6のMOSトランジスタP3、或いは図7又は図8のMOSトランジスタN3)のゲート電極側へ印加するゲートバイアス電圧を前記制御信号の排他的論理和信号出力として生成するNOR回路(例えば図5又は図6のNOR回路12、或いは図7又は図8のNOR回路12)と、を備え、
前記制御端子は、前記半導体基板上で周辺部分に配置されたことを特徴とするものである。
このような何れの構成の場合も、チップ構成上で高耐圧、高耐電流の部品を低耐圧、低耐電流の部品の外周囲に配備するようにして第8の発明の場合と同様な作用効果を持たせることができる。
【0018】
第9発明の電流負荷駆動回路は、
電流負荷を駆動する電流負荷駆動回路であって、
第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅した電流によって前記電流負荷を駆動する第2カレントミラー回路と、
外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷を流れる電流量を制御する電流制御回路と、
前記電流負荷の駆動停止時に、該電流負荷の両端電位差を、設定した電圧値とする電位差設定手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0019】
ここで、第1カレントミラー回路は、1段あるいは2段以上のカレントミラー回路によって構成することが可能である。
このような構成によれば、ゲートアレイ等で構成する場合に、動作特性の低下をできるだけ抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくした上、電流制御回路で電流負荷への電流供給を適切に制御しながら電流負荷駆動回路で電流負荷を停止する際に、電流負荷両端の電位差を設定した電圧値とすることにより、電流負荷を高速に停止させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の電流負荷駆動回路の幾つかの実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る電流負荷駆動回路は、図1に示すように、ゲート電極同士が接続された一対のN型MOSトランジスタN1、N2を備えた第1カレントミラー回路1aと、インバータ(NOT回路)10a及び伝送ゲート9aから成る第1のスイッチ回路Sa、インバータ(NOT回路)10b及び伝送ゲート9bから成る第2のスイッチ回路Sb、並びにスイッチ回路Saに接続されたクランプ回路20として働くP型MOSトランジスタP3、スイッチ回路Sbに接続されたクランプ回路21として働くP型MOSトランジスタP5を備える他、ゲート電極同士がスイッチ回路Saの伝送ゲート9aを介在させて接続された一対のP型MOSトランジスタP1及びP型MOSトランジスタP2、P型MOSトランジスタP1のゲート電極に対してスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bを介在させてゲート電極が接続されたP型MOSトランジスタP4を備えた第2カレントミラー回路2aと、NOR回路12及び高耐圧N型MOSトランジスタN3を備えると共に、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号に応じて電流負荷(LED4)における固定電圧の入力端と逆側の端子に印加される電圧を制御する電圧制御回路と、を備えて構成され、IC用デバイス側から観てLED4に対して電流を押し込む形式のソース電流によりLED4を直接駆動する回路である。
このうち、第1カレントミラー回路1aにおいて、MOSトランジスタN1については、ドレイン電極が電流源(定電流源)8を介在して第1の電源電圧VDDに接続されると共に、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、且つドレイン電極及びゲート電極が結線されている。MOSトランジスタN2については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続されている。
【0021】
第2カレントミラー回路2aにおいて、MOSトランジスタP1については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN2のドレイン電極と接続されている。MOSトランジスタP2については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がLED4に接続されている。尚、LED4の残りの端子は第2の電源電圧VSSに接続される。クランプ回路20となるMOSトランジスタP3については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP2のゲート電極とスイッチ回路Saの伝送ゲート9aとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Saの互いに接続されたインバータ10a及び伝送ゲート9aに接続されると共に、制御端子T1に接続されている。MOSトランジスタP4については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がLED4に接続されている。クランプ回路21となるMOSトランジスタP5については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP4のゲート電極とスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Sbの互いに接続されたインバータ10b及び伝送ゲート9bに接続されると共に、制御端子T2に接続されている。
【0022】
電圧制御回路において、高耐圧N型MOSトランジスタN3については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP2、P4のドレイン電極及びLED4に接続され(LED4の一端は高耐圧N型MOSトランジスタN3のドレイン電極及びMOSトランジスタP2、P4のドレイン電極の接続線に接続される)、ゲート電極がNOR回路12の出力側に接続されている。NOR回路12の入力側には制御端子T1、T2が接続されている。NOR回路12は、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号の排他的論理和信号を出力して高耐圧N型MOSトランジスタN3へゲートバイアス電圧として印加する。
【0023】
次に、第1実施形態の具体的な説明をするのに先立って、本発明の構成の基本的な考え方について、第1実施形態を参照して説明する。
第1実施形態は、図1に示すように、MOSトランジスタN1のドレイン電極には電流源8が接続点ND1を介在させて直列接続されており、接続点ND1には接続点ND2を介してMOSトランジスタN1、N2のゲート電極に接続されており、接続点ND1には電流I1が流れる第1電流経路が存在する。
又、MOSトランジスタN2のドレイン電極とMOSトランジスタP1のドレイン電極が接続点ND3を介在させて直列接続されており、接続点ND3は結線部分を含んで伝送ゲート9a及び接続点ND4を介してMOSトランジスタP1、P2のゲート電極に接続されると共に、伝送ゲート9b及び接続点ND5を介してMOSトランジスタP4のゲート電極に接続されており、接続点ND3には電流I2が流れる第2電流経路が存在する。
【0024】
更に、MOSトランジスタP4のドレイン電極とLED4とが接続点ND6を介在させて直列接続されており、接続点ND6には電流I3が流れる第3電流経路が存在する。
加えて、第1実施形態は、MOSトランジスタN1、N2のゲート電極同士を電気的に接続した経路であって、上記第1電流経路に電流I1が流れた結果として生成される電圧のみが意味を持つ第1電圧経路と、MOSトランジスタP1、P2、或いはMOSトランジスタP1、P4のゲート電極同士を電気的に接続した経路であって、上記第2電流経路に電流I2が流れた結果として生成される電圧のみが意味を持つ第2電圧経路と、を含んでいる。
【0025】
このような電流経路と電圧経路とを含む回路を、半導体基板上等に作成する場合、電流経路と電圧経路ではMOSトランジスタ(能動素子)等の他に内部配線をそれぞれ含むことになる。
こうした場合、電流経路では、内部配線の長さが長くなると、内部配線に伴う配線抵抗や寄生容量によって動作特性が低下する恐れがある。一方、電圧経路では、その経路の終端は極めて高い抵抗値で終端されているとみなせるので、経路に寄生する抵抗の影響は無視でき、内部配線の長さが長くなっても動作特性が低下する恐れは殆どない。
【0026】
そこで、第1実施形態では、半導体基板上等に作成する際、動作特性の低下をできるだけ抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくするために、回路全体を分割又は分離するようにし、その分割又は分離のための境界を電圧経路上に設けるようにした。
このような基本的な考えに基づき、第1実施形態では、回路全体を入力回路と出力回路とに分割または分離するようにし、その分割位置または分離位置を第1カレントミラー回路1aの電圧経路である第1電圧経路上に設けるようにした。具体的には、ゲートアレイ等によって半導体基板上に作成される際、入力回路5aと出力回路7aとを分割した形態で半導体基板上にそれぞれ作成し、その入力回路5aと出力回路7aとの分割位置を内部配線によって電気的に接続するようにした。
【0027】
以下、第1実施形態の各部の動作について説明する。第1カレントミラー回路1aでは、第1の電源電圧VDDが電流源8を介在させてMOSトランジスタN1のドレイン電極に印加され、その電流源8の電流I1をそれぞれソース電極に第2の電源電圧VSSが印加されたMOSトランジスタN1、N2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I2として出力する。
第2カレントミラー回路2aは、第1カレントミラー回路1aの出力電流I2を、それぞれソース電極に第1の電源電圧VDDが印加されたMOSトランジスタP1、P2、P4の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I3として出力し、この電流I3によってLED4を点灯する。
【0028】
ここで、スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、MOSトランジスタP1のゲート電極と、MOSトランジスタP2,P4それぞれのゲート電極との間の接続をオンオフする。クランプ回路20として働くMOSトランジスタP3は、制御端子T1に入力された制御信号をインバータ10aで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタP1、P2の各ゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。同様に、クランプ回路21として働くMOSトランジスタP5は、制御端子T2に入力された制御信号をインバータ10bで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタP1、P4のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。伝送ゲート9a、9bには、導通状態においてもそれを構成するMOSトランジスタにオン抵抗が存在するが、接続点ND3からスイッチ回路Sa、Sb経由で接続点ND4、ND5を介在してMOSトランジスタP1及びMOSトランジスタP2のゲート電極、或いはMOSトランジスタP1及びMOSトランジスタP4のゲート電極に至る経路は電圧経路であるため、動作特性に影響は生じない。これらの制御端子T1、クランプ回路20となるP型MOSトランジスタP3、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路21となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Sbとは、外部から与えられる制御信号に応じて別個に制御できるものであり、機能面では協働してLED4を流れる電流量を制御する電流制御回路(調光制御回路)となる。
【0029】
又、電圧制御回路では、制御端子T1、T2に入力された制御信号をNOR回路12で排他的論理和演算した信号(制御信号の排他的論理和信号)をゲートバイアス電圧として入力した高耐圧N型MOSトランジスタN3が、LED4の接続点ND6側の端子へ印加される電圧を他端側の電圧VSSと一致させるように働く。即ち、高耐圧N型MOSトランジスタN3には、第2の電源電圧VSSがソース電極に印加されており、NOR回路12からの排他的論理和信号出力のゲートバイアス電圧で駆動されたとき、高耐圧N型MOSトランジスタN3のソース・ドレイン間が導通した状態となるため、高耐圧N型MOSトランジスタN3のドレイン側の電圧は、ほぼソース電圧(第2の電源電圧VSS)に一致した状態となる。そのため、LED4がオンからオフへと制御されたときに、LED4の両端電圧が瞬時に一致した状態とされ、リーク電流の発生が抑制されるため、LED4の高速遮断(高速消灯)が行われる。
【0030】
即ち、第1実施形態の電流負荷駆動回路では、LED4の両端電位差を設定した電圧値(ここでは0[V])に制御することができ、LED4をオンからオフにしたときに、LED4に発生するリーク電流を抑制して高速遮断(高速消灯)できるようにしたものである。
ところで、第1実施形態の電流負荷駆動回路に使用される各種デバイスについて、例えば第1カレントミラー回路1aにおけるMOSトランジスタN1、N2と、第2カレントミラー回路2aにおけるMOSトランジスタP1、P3、P5とは、電流負荷駆動回路における高耐圧N型MOSトランジスタN3や出力回路7aにおける出力増幅段となるMOSトランジスタP2、P4よりも低耐圧、低耐電流のタイプであるため、半導体基板上で作成する場合には制御端子T1、T2を含めた高耐圧、高耐電流のデバイスをその他のデバイスにおける外側の周辺部分に配置(高耐圧、高耐電流の部品を低耐圧、低耐電流の部品の外周囲に配備)すれば、MOSトランジスタP2、P4やMOSトランジスタN3に対する駆動時に生じるリーク電流が回路内へ及ぼす影響や、或いは外部から混入するノイズの影響を十分に回避できるために好ましい。
【0031】
次に、このような構成からなる第1実施形態の動作例について、図1を参照して詳細に説明する。ここで、電流源8の電流値がI1であるとすると、第1カレントミラー回路1aにおいては、キルヒホッフの法則より、接続点ND1では電流源8により流出する電流量と同じ電流が流入することになる。しかし、接続点ND1に接続されているのは接続点ND2を介在させたMOSトランジスタN1、N2のゲート電極でのみであり、その終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND2から接続点ND1への電流は発生しない。その結果、第1カレントミラー回路1aを構成するMOSトランジスタN1のドレイン電極−ソース電極間には、電流源8で決定された電流I1が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部から電流源8、接続点ND1を介在させてMOSトランジスタN1を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第1電流経路と見なすことが出来る。
【0032】
一方、接続点ND1から接続点ND2を介してMOSトランジスタN1、N2のゲート電極に至る経路では、電流が流れることは無い。電流I1がMOSトランジスタN1のドレイン電極−ソース電極間に流れると、MOSトランジスタN1のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND1に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧が接続点ND2を介してMOSトランジスタN1のゲート電極に印加される。このため、MOSトランジスタN1では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタN1の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND1から接続点ND2を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第1電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタN1の電圧降下分の電圧が、MOSトランジスタN2のゲート電極へ印加される。
【0033】
MOSトランジスタN1、N2において、MOSトランジスタN1の閾値電圧をVTN1、MOSトランジスタN1のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSN1、MOSトランジスタN1の増幅率をβN1とすると、電流I1はI1=(βN1/2)×(VGSN1−VTN1)2なる関係で表わされる。
また、MOSトランジスタN2の閾値電圧をVTN2、MOSトランジスタN2のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSN2、MOSトランジスタN2の増幅率をβN2とすると、電流I2はI2=(βN2/2)×(VGSN2−VTN2)2なる関係で表わされる。MOSトランジスタN1、N2が同一特性のMOSトランジスタであると、VTN1=VTN2であり、MOSトランジスタN1のドレイン電極とゲート電極と、MOSトランジスタN2のゲート電極の電位は同一であるので、VGSN1=VGSN2となるため、電流増幅率I2/I1はI2/I1=βN2/βN1なる関係で表わされる。
【0034】
これにより、第1カレントミラー回路1aにおける電流I2は、電流I1とMOSトランジスタN1、N2のβ比とにより決定されることになる。
第2カレントミラー回路2aにおいては、キルヒホッフの法則により、接続点ND3ではMOSトランジスタN2により流出する電流量I2と同じ電流が流入することになる。しかし接続点ND3に接続されているのはスイッチ回路Saを介在させた接続点ND4を含むMOSトランジスタP1、P2のゲート電極、或いはスイッチ回路Sbを介在させた接続点ND5を含むMOSトランジスタP4のゲート電極であり、それらの終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND4、ND5から接続点ND3への電流は発生しない。その結果、MOSトランジスタN2のドレイン電極−ソース電極間には、MOSトランジスタP1で決定された電流I2が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP1、接続点ND3、MOSトランジスタN2を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第2電流経路と見なすことが出来る。
【0035】
他方、接続点ND3からスイッチ回路Saを経由して接続点ND4を介してMOSトランジスタP1、P2のゲート電極に至る経路と、接続点ND3からスイッチ回路Sbを経由して接続点ND5を介してMOSトランジスタP1、P4のゲート電極に至る経路とでは、電流が流れることは無い。電流I2がMOSトランジスタP1のソース電極−ドレイン電極間に流れると、MOSトランジスタP1のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND3に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧がスイッチ回路Sa、Sbを経由してMOSトランジスタP1のゲート電極に印加される。MOSトランジスタP1では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタP1の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND3からスイッチ回路Sa、Sbを介在して接続点ND4、ND5を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第2電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタP1による電圧降下分の電圧がMOSトランジスタP2、P4のゲート電極へ印加される。
【0036】
尚、ここでは電圧経路を説明するため、接続点ND3、接続点ND4、及び接続点ND5の電圧の関係を上記の通り説明したが、本実施形態においては、MOSトランジスタP1、P2、P4のそれぞれのゲート電極の電圧がスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに伴い、MOSトランジスタP3、P5によってそれぞれクランプされる構成である。
スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、スイッチ回路SaについてはMOSトランジスタP1のゲート電極とMOSトランジスタP2のゲート電極との間の接続をオンオフし、スイッチ回路SbについてはMOSトランジスタP1のゲート電極とMOSトランジスタP4のゲート電極との間の接続をオンオフできる。
【0037】
スイッチ回路Saについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路20のMOSトランジスタP3(ソース電極に第1の電源電圧VDDが印加される)がMOSトランジスタP1、P2のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタP3がMOSトランジスタP1、P2のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタP2をオフにする。
同様に、スイッチ回路Sbについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路21のMOSトランジスタP5(ソース電極に第1の電源電圧VDDが印加される)がMOSトランジスタP1、P4のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタP5がMOSトランジスタP1、P4のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタP4をオフにする。
【0038】
そこで、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオンの場合、MOSトランジスタP1のゲート電圧がMOSトランジスタP2、P4のゲート電圧にそれぞれ印加されるため、MOSトランジスタP2、P4のソース電極−ドレイン電極間には、電流I2とMOSトランジスタP1の増幅率とMOSトランジスタP2、P4の各増幅率の和に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。
【0039】
また、スイッチ回路Saがオンで、スイッチ回路Sbがオフの場合、MOSトランジスタP2のソース電極−ドレイン電極間には電流I2とMOSトランジスタP1の増幅率とMOSトランジスタP2の増幅率の比に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I3は先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。更に、スイッチ回路Saがオフで、スイッチ回路Sbがオンの場合、MOSトランジスタP4のソース電極−ドレイン電極間には電流I2とMOSトランジスタP1の増幅率とMOSトランジスタP4の増幅率の比に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I3についても先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。
【0040】
このとき、電圧制御回路では、少なくとも1系統の高レベル(High)の制御信号がNOR回路12に入力されることになるため、NOR回路12からは低レベル(Low)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧N型MOSトランジスタN3に印加される。第2の電源電圧VSSがソース電極に印加されたMOSトランジスタN3は、ゲートバイアス電圧が低いために駆動されず、MOSトランジスタP2、P4で決まる電流I3が接続点ND6からLED4に流れる。接続点ND4、ND5と接続点ND6との間には電流が流れない。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP2、P4、接続点ND6、LED4を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第3電流経路と見なすことが出来る。
【0041】
更に、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオフの場合、MOSトランジスタP2、P4は何れもオフとなり、第2カレントミラー回路2aには電流I3が流れず、LED4を消灯した状態となる。
このとき、電圧制御回路では、2系統の低レベル(Low)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは高レベル(High)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧N型MOSトランジスタN3に印加される。これにより、MOSトランジスタN3は駆動してドレイン電極側の電圧が第2の電源電圧VSSとほぼ一致し、LED4の両端電位差がほぼゼロとなり、リーク電流が発生しないように働く。このため、LED4はオンからオフへと制御されたときに高速消灯される。
【0042】
MOSトランジスタP1、P2、P4において、MOSトランジスタP1の閾値電圧をVTP1、MOSトランジスタP1のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSP1、MOSトランジスタP1の増幅率をβP1とすると、電流I2はI2=(βP1/2)×(VGSP1−VTP1)2なる関係で表わされる。
また、MOSトランジスタP2の閾値電圧をVTP2、MOSトランジスタP2のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSP2、MOSトランジスタP2の増幅率をβP2とすると、MOSトランジスタP2によって流れる電流I3はI3=(βP2/2)×(VGSP2−VTP2)2なる関係で表わされる。
【0043】
同様に、MOSトランジスタP4の閾値電圧をVTP4、MOSトランジスタP4のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSP4、MOSトランジスタP4の増幅率をβP4とすると、MOSトランジスタP4によって流れる電流I3はI3=(βP4/2)×(VGSP4−VTP4)2なる関係で表わされる。
MOSトランジスタP1、P2、P4が同一特性のMOSトランジスタであると、VTP1=VTP2=VTP4であり、MOSトランジスタP1のドレイン電極とゲート電極と、MOSトランジスタP2、P4のゲート電極の電位は同一であるので、VGSP1=VGSP2=VGSP4となるため、電流増幅率I3/I2はI3/I2=βP2/βP1+βP4/βP4、βP2/βP1又はβP4/βP4なる関係で表わされる。
【0044】
これにより、第2カレントミラー回路2aにおける出力電流I3は、上述したスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに応じて、電流I2とMOSトランジスタP1の増幅率とMOSトランジスタP2、P4の各増幅率の和の比、或いは電流I2とMOSトランジスタP1、P2のβ比、或いは電流I2とMOSトランジスタP1、P4のβ比の何れか一つにより決定されることになる。この電流I3によりLED4を点灯する。
このように、第1実施形態では、電流源8の電流値I1を第1カレントミラー回路1a、第2カレントミラー回路2aによって電流増幅して電流I3を得て、これにより出力回路7aからLED4に可変値にできる電流を流して調光制御可能として点灯させることができ、しかも消灯時には同等に出力回路7aに設けられた電圧制御回路によりLED4のリーク電流を抑制することができ、LED4を高速消灯できる。
【0045】
また、第1実施形態の場合、第1カレントミラー回路1aおよび第2カレントミラー回路2aによってLED4の駆動電流が制御されると共に、LED4の駆動停止時には電圧制御回路によってLED4に大電流が発生することを防止できるため、従来、LED4と第1の電源電圧VDDとの間に介在されていた電流制限抵抗が不要となる。
更に、第1実施形態では、回路全体を入力回路5aと出力回路7aとに分割し、その分割位置を第1カレントミラー回路1aの電圧経路上である第1電圧経路に設けるようにしたことにより、入力回路5aと出力回路7aとを接続するための配線に寄生する抵抗成分の影響は受けなくなる。このため、ゲート電極アレイなどで構成する場合に、その入力回路5aと出力回路7aとを自由な位置に配置してその両者を電気的に配線しても、配線に寄生する抵抗成分の影響は受けることなく、動作特性の低下を抑制し、所望の動作特性の維持が可能となる。従って、第1実施形態によれば、半導体基板上に各構成要素を配置して形成する場合に、動作特性の低下を抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくできる。
【0046】
尚、第1実施形態では、回路全体を入力回路5aと出力回路7aとに分割し、その分割位置を第1カレントミラー回路1aの電圧経路上である第1電圧経路上に設けるようにした場合を説明したが、その分割位置を第2カレントミラー回路2aの電圧経路である第2電圧経路上に設けるようにしても良い。特にMOSトランジスタP2、P4、N3は、半導体装置外部に直接接続され、且つその他のMOSトランジスタN1、N2、P1、P3、P5と比べて大きな電流が流れるため、一般に専用の領域に配置されることが多い。このことからもMOSトランジスタP1に対してMOSトランジスタP2、P4の配置される領域は離れていることになるが、上記理由から動作特性への影響を排除できる。
【0047】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る電流負荷駆動回路は、図2に示すように、第1実施形態に係る電流負荷駆動回路の基本機能がそのまま得られるように、出力回路7aに代用される出力回路7bにおける第2カレントミラー回路2bの細部構成を変更したものである。
この第2カレントミラー回路2bは、インバータ(NOT回路)10a及び伝送ゲート9aから成る第1のスイッチ回路Sa、インバータ(NOT回路)10b及び伝送ゲート9bから成る第2のスイッチ回路Sb、並びにスイッチ回路Saに接続されたクランプ回路22として働くP型MOSトランジスタP3、スイッチ回路Sbに接続されたクランプ回路23として働くP型MOSトランジスタP5を備える他、ゲート電極同士がスイッチ回路Saの伝送ゲート9aを介在させて接続された一対のP型MOSトランジスタP1及びP型MOSトランジスタP2、P型MOSトランジスタP2のゲート電極に対してスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bを介在させてゲート電極が接続されたP型MOSトランジスタP4、電圧制御回路におけるNOR回路12の出力側に接続されたインバータ(NOT回路)13、インバータ13の出力側にゲート電極が接続されたP型MOSトランジスタP6を備えて構成される。
【0048】
このうち、MOSトランジスタP1については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN2のドレイン電極と接続されている。クランプ回路22となるMOSトランジスタP3については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP1のゲート電極とスイッチ回路Saの伝送ゲート9aとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Saの互いに接続されたインバータ10a及び伝送ゲート9aに接続されると共に、制御端子T1に接続されている。
クランプ回路23となるMOSトランジスタP5については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP4のゲート電極とスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Sbの互いに接続されたインバータ10b及び伝送ゲート9bに接続されると共に、制御端子T2に接続されている。
【0049】
MOSトランジスタP4については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP1のドレイン電極とMOSトランジスタN1のドレイン電極との結線、及び伝送ゲート9aに接続されると共に、MOSトランジスタP2のゲート電極と伝送ゲート9bとの結線に接続されている。MOSトランジスタN3のドレイン電極との結線(接続点ND6)に接続されている。
MOSトランジスタP2については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がLED4に接続され、ゲート電極が伝送ゲート9bとの結線に接続されている。尚、LED4の残りの端子は第2の電源電圧VSSに接続される。
MOSトランジスタP6については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP2のゲート電極と伝送ゲート9bとの結線に接続され、ゲート電極がインバータ13の出力側(インバータ13の入力側はNOR回路12の出力側と高耐圧N型MOSトランジスタN3のゲート電極との結線に接続される)に接続されている。
【0050】
電圧制御回路において、高耐圧N型MOSトランジスタN3については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP2のドレイン電極及びLED4に接続され(LED4の一端は高耐圧N型MOSトランジスタN3のドレイン電極及びMOSトランジスタP2のドレイン電極の接続線に接続される)、ゲート電極がNOR回路12の出力側に接続されている。NOR回路12の入力側には、制御端子T1、T2が接続されている。NOR回路12は、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号の排他的論理和信号を出力して高耐圧N型MOSトランジスタN3へゲートバイアス電圧として印加する。
【0051】
以下、第2実施形態の各部の動作について説明する。第1カレントミラー回路1aの動作は第1実施例で説明した場合と同様であり、MOSトランジスタN1、N2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I2を出力する。
第2カレントミラー回路2bは、第1カレントミラー回路1aの出力電流I2を、それぞれソース電極に第1の電源電圧VDDが印加されたMOSトランジスタP1、P2、P4の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I3として出力し、この電流I3によってLED4を点灯する。
【0052】
ここでのスイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、MOSトランジスタP1、P4のゲート電極とドレイン電極との間の接続をオンオフする。クランプ回路22として働くMOSトランジスタP3は、制御端子T1に入力された制御信号をインバータ10aで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタP1、P2の各ゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。同様に、クランプ回路23として働くMOSトランジスタP5は、制御端子T2に入力された制御信号をインバータ10bで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタP4、P2のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。伝送ゲート9a、9bには、導通状態においてもそれを構成するMOSトランジスタにオン抵抗が存在するが、接続点ND3からスイッチ回路Sa、Sb経由で接続点ND4、ND5を介在してMOSトランジスタP1及びMOSトランジスタP2のゲート電極、或いはMOSトランジスタP4及びMOSトランジスタP2のゲート電極に至る経路は電圧経路であるため、動作特性に影響は生じない。これらの制御端子T1、クランプ回路22となるP型MOSトランジスタP3、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路23となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Sbとは、外部から与えられる制御信号に応じて別個に制御できるものであり、機能面では協働してLED4を流れる電流量を制御する電流制御回路(調光制御回路)となる。
【0053】
又、電圧制御回路は、第1実施例の場合と同様に機能し、NOR回路12からの排他的論理和信号出力のゲートバイアス電圧で駆動されたとき、高耐圧N型MOSトランジスタN3のソース・ドレイン間が導通した状態となるため、高耐圧N型MOSトランジスタN3のドレイン側の電圧は、ほぼソース電圧(第2の電源電圧VSS)に一致した状態となる。そのため、LED4がオンからオフへと制御されたときに、LED4の両端電圧が瞬時に一致した状態とされ、リーク電流の発生が抑制されるため、LED4の高速遮断(高速消灯)が行われる。
即ち、第2実施形態の電流負荷駆動回路においても、LED4の両端電位差を設定した電圧値(ここでは0[V])に制御することができ、LED4をオンからオフにしたときに、LED4に発生するリーク電流を抑制して高速遮断(高速消灯)できるようにしたものである。
【0054】
ところで、第2実施形態の電流負荷駆動回路に使用される各種デバイスについても、例えば第1カレントミラー回路1aにおけるMOSトランジスタN1、N2と、第2カレントミラー回路2bにおけるMOSトランジスタP1、P3、P4、P5、P6とは、電流負荷駆動回路における高耐圧N型MOSトランジスタN3や出力回路7bにおける出力増幅段となるMOSトランジスタP2よりも低耐圧、低耐電流のタイプであるため、半導体基板上で作成する場合には制御端子T1、T2を含めた高耐圧、高耐電流のデバイスをその他のデバイスにおける外側の周辺部分に配置(高耐圧、高耐電流の部品を低耐圧、低耐電流の部品の外周囲に配備)すれば、MOSトランジスタP2やMOSトランジスタN3に対する駆動時に生じるリーク電流が回路内へ及ぼす影響や、或いは外部から混入するノイズの影響を十分に回避できるために好ましい。
【0055】
次に、このような構成からなる第2実施形態の動作例について、図2を参照して詳細に説明する。尚、第2実施形態の場合、第1カレントミラー回路1aに流入する電流I2までの説明は、第1実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
第2カレントミラー回路2bにおいては、キルヒホッフの法則により、接続点ND3ではMOSトランジスタN2により流出する電流量I2と同じ電流が流入することになる。しかし接続点ND3に接続されているのはスイッチ回路Saを介在させた接続点ND4を含むMOSトランジスタP1のゲート電極、或いはスイッチ回路Sbを介在させた接続点ND5を含むMOSトランジスタP4、P2のゲート電極であり、それらの終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND4、ND5から接続点ND3への電流は発生しない。その結果、MOSトランジスタN2のドレイン電極−ソース電極間には、MOSトランジスタP1、P4で決定された電流I2が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP1、P4、接続点ND3、MOSトランジスタN2を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第2電流経路と見なすことが出来る。
【0056】
他方、接続点ND3からスイッチ回路Saを経由して接続点ND4を介してMOSトランジスタP1のゲート電極に至る経路と、接続点ND3からスイッチ回路Sbを経由して接続点ND5を介してMOSトランジスタP4、P2のゲート電極に至る経路とでは、電流が流れることは無い。電流I2がMOSトランジスタP1、P4のソース電極−ドレイン電極間に流れると、MOSトランジスタP1、P4のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND3に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧がスイッチ回路Sa、Sbを経由してMOSトランジスタP1、P4のゲート電極に印加される。MOSトランジスタP1、P4では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタP1、P4の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND3からスイッチ回路Sa、Sbを介在して接続点ND4、ND5を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第2電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタP1、P4による電圧降下分の電圧がMOSトランジスタP2のゲート電極へ印加される。
【0057】
尚、ここでは電圧経路を説明するため、接続点ND3、接続点ND4、及び接続点ND5の電圧の関係を上記の通り説明したが、本実施形態においては、MOSトランジスタP1、P2、P4のそれぞれのゲート電極の電圧がスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに伴い、MOSトランジスタP3、P5によってそれぞれクランプされる構成である。
スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、スイッチ回路SaについてはMOSトランジスタP1のゲート電極とMOSトランジスタP2のゲート電極との間の接続をオンオフし、スイッチ回路SbについてはMOSトランジスタP4のゲート電極とMOSトランジスタP2のゲート電極との間の接続をオンオフできる。
【0058】
スイッチ回路Saについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路22のMOSトランジスタP3(ソース電極に第1の電源電圧VDDが印加される)がMOSトランジスタP1、P2のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタP3がMOSトランジスタP1、P2のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタP2をオフにする。
同様に、スイッチ回路Sbについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路23のMOSトランジスタP5(ソース電極に第1の電源電圧VDDが印加される)がMOSトランジスタP4、P2のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタP5がMOSトランジスタP4、P2のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタP2をオフにする。
【0059】
そこで、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオンの場合、MOSトランジスタP1、P4のゲート電圧がMOSトランジスタP2のゲート電圧に印加されるため、MOSトランジスタP2のソース電極−ドレイン電極間には、電流I2とMOSトランジスタP1、P4の各増幅率とMOSトランジスタP2の増幅率の和に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。
【0060】
又、スイッチ回路Saがオンで、スイッチ回路Sbがオフの場合、MOSトランジスタP2のソース電極−ドレイン電極間には電流I2とMOSトランジスタP1の増幅率とMOSトランジスタP2の増幅率の比に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I3は先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。更に、スイッチ回路Saがオフで、スイッチ回路Sbがオンの場合、MOSトランジスタP2のソース電極−ドレイン電極間には電流I2とMOSトランジスタP4の増幅率とMOSトランジスタP2の増幅率の比に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I3についても先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。
【0061】
このとき、電圧制御回路では、少なくとも1系統の高レベル(High)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは低レベル(Low)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧N型MOSトランジスタN3に印加される。第2の電源電圧VSSがソース電極に印加されたMOSトランジスタN3は、ゲートバイアス電圧が低いために駆動されず、MOSトランジスタP2を流れる電流I3が接続点ND6からLED4に流れる。接続点ND4、ND5と接続点ND6との間には電流が流れない。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP2、接続点ND6、LED4を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第3電流経路と見なすことが出来る。因みに、同時に低レベル(Low)の制御信号の排他的論理和信号(ゲートバイアス電圧)はインバータ13に入力され、インバータ13はそれを反転した高レベル(High)の制御信号をゲートバイアス電圧としてMOSトランジスタP6のゲート電極に印加する。このとき、MOSトランジスタP6は駆動してMOSトランジスタP2のゲートバイアス電圧が所定値以上となるように昇圧する。即ち、インバータ13及びMOSトランジスタP6は、スイッチ回路Sa、Sbの何れかがオンである場合、出力増幅段のMOSトランジスタP2を安定動作させるための補間回路として働く。
【0062】
更に、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオフの場合、MOSトランジスタP2はオフとなり、第2カレントミラー回路2bには電流が流れず、LED4を消灯した状態となる。
このとき、電圧制御回路では、2系統の低レベル(Low)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは高レベル(High)の制御信号の排他的論理和信号がゲートバイアス電圧として高耐圧N型MOSトランジスタN3に印加される。これにより、MOSトランジスタN3は駆動してドレイン電極側の電圧が第2の電源電圧VSSとほぼ一致し、LED4の両端電位差がほぼゼロとなり、リーク電流が発生しないように働く。このため、LED4はオンからオフへと制御されたときに高速消灯される。因みに、補間回路では、同時に高レベル(High)の制御信号の排他的論理和信号(ゲートバイアス電圧)がインバータ13に入力され、インバータ13はそれを反転した低レベル(Low)の制御信号をゲートバイアス電圧としてMOSトランジスタP6のゲート電極に印加する。このため、MOSトランジスタP6が駆動せずにMOSトランジスタP2のゲートバイアス電圧は所定値未満となるように降圧される。
【0063】
即ち、第2カレントミラー回路2bにおける出力電流I3は、補間回路のMOSトランジスタP6による出力増幅段のMOSトランジスタP2の昇圧機能を合わせれば、第1実施例の場合と同様になり、上述したスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに応じて、電流I2とMOSトランジスタP1、P4の各増幅率とMOSトランジスタP2の増幅率の和の比、或いは電流I2とMOSトランジスタP1、P2のβ比、或いは電流I2とMOSトランジスタP4、P2のβ比の何れか一つにより決定されることになる。この電流I3によりLED4を点灯する。
【0064】
このように、第2実施形態の場合も、電流源8の電流値I1を第1カレントミラー回路1a、第2カレントミラー回路2bによって電流増幅して電流I3を得て、これにより出力回路7bからLED4に可変値にできる電流を流して調光制御可能として点灯させることができ、しかも消灯時には同等に出力回路7bに設けられた電圧制御回路によりLED4のリーク電流を抑制することができ、LED4を高速消灯できる。
又、第2実施形態の場合も、第1カレントミラー回路1aおよび第2カレントミラー回路2bによってLED4の駆動電流が制御されると共に、LED4の駆動停止時には電圧制御回路によってLED4に大電流が発生することを防止できるため、従来、LED4と第1の電源電圧VDDとの間に介在されていた電流制限抵抗が不要となる。
【0065】
更に、第2実施形態においても、回路全体を入力回路5aと出力回路7bとに分割し、その分割位置を第1カレントミラー回路1aの電圧経路上である第1電圧経路に設けるようにしたことにより、入力回路5aと出力回路7bとを接続するための配線に寄生する抵抗成分の影響は受けなくなる。このため、ゲート電極アレイなどで構成する場合に、その入力回路5aと出力回路7bとを自由な位置に配置してその両者を電気的に配線しても、配線に寄生する抵抗成分の影響は受けることなく、動作特性の低下を抑制し、所望の動作特性の維持が可能となる。従って、第2実施形態によっても、半導体基板上に各構成要素を配置して形成する場合に、動作特性の低下を抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくできる。
【0066】
尚、第2実施形態においても、回路全体を入力回路5aと出力回路7bとに分割し、その分割位置を第1カレントミラー回路1aの電圧経路上である第1電圧経路上に設けるようにした場合を説明したが、その分割位置を第2カレントミラー回路2bの電圧経路である第2電圧経路上に設けるようにしても良い。特にMOSトランジスタP2、N3は、半導体装置外部に直接接続され、且つその他のMOSトランジスタN1、N2、P1、P3、P4、P5、P6と比べて大きな電流が流れるため、一般に専用の領域に配置されることが多い。このことからもMOSトランジスタP1に対してMOSトランジスタP4、P2の配置される領域は離れていることになるが、上記理由から動作特性への影響を排除できる。
【0067】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る電流負荷駆動回路は、図3に示すように、ゲート電極同士が接続された一対のP型MOSトランジスタP1、P2を備えた第1カレントミラー回路1bと、インバータ(NOT回路)10a及び伝送ゲート9aから成る第1のスイッチ回路Sa、インバータ(NOT回路)10b及び伝送ゲート9bから成る第2のスイッチ回路Sb、並びにスイッチ回路Saに接続されたクランプ回路24として働くN型MOSトランジスタN3、スイッチ回路Sbに接続されたクランプ回路25として働くN型MOSトランジスタN5を備える他、ゲート電極同士がスイッチ回路Saの伝送ゲート9aを介在させて接続された一対のN型MOSトランジスタN1及びN型MOSトランジスタN2、N型MOSトランジスタN1のゲート電極に対してスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bを介在させてゲート電極が接続されたN型MOSトランジスタN4を備えた第2カレントミラー回路2cと、NAND回路14及び高耐圧P型MOSトランジスタP3を備えると共に、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号に応じて電流負荷(LED4)における固定電圧の入力端と逆側の端子に印加される電圧を制御する電圧制御回路と、を備えて構成され、IC用デバイス側から観てLED4に対して電流を引き込む形式のシンク電流によりLED4を直接駆動する回路である。
【0068】
このうち、第1カレントミラー回路1bにおいて、MOSトランジスタP1については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極が電流源(定電流源)8を介在して第2の電源電圧VSSに接続されると共に、ドレイン電極及びゲート電極が結線されている。MOSトランジスタP2については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ゲート電極がMOSトランジスタP1のゲート電極に接続されている。
【0069】
第2カレントミラー回路2cにおいて、MOSトランジスタN1については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP2のドレイン電極と接続されている。MOSトランジスタN2については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がLED4に接続されている。尚、LED4の残りの端子は第1の電源電圧VDDに接続される。クランプ回路24となるMOSトランジスタN3については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN2のゲート電極とスイッチ回路Saの伝送ゲート9aとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Saの互いに接続されたインバータ10a及び伝送ゲート9aに接続されると共に、制御端子T1に接続されている。MOSトランジスタN4については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がLED4に接続されている。クランプ回路25となるMOSトランジスタN5については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN4のゲート電極とスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Sbの互いに接続されたインバータ10b及び伝送ゲート9bに接続されると共に、制御端子T2に接続されている。
【0070】
電圧制御回路において、高耐圧P型MOSトランジスタP3については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN2、N4のドレイン電極及びLED4に接続され(LED4の一端は高耐圧P型MOSトランジスタP3のドレイン電極及びMOSトランジスタN2、N4のドレイン電極の接続線に接続される)、ゲート電極がNOR回路12の出力側に接続されている。NOR回路12の入力側には制御端子T1、T2が接続されている。NOR回路12は、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号の排他的論理和信号を出力して高耐圧P型MOSトランジスタP3へゲートバイアス電圧として印加する。
【0071】
次に、第3実施形態の具体的な説明をするのに先立って、本発明の構成の基本的な考え方について、第3実施形態を参照して説明する。
第3実施形態は、図3に示すように、MOSトランジスタP1のドレイン電極には電流源8が接続点ND1を介在させて直列接続されており、接続点ND1には接続点ND2を介してMOSトランジスタP1、P2のゲート電極に接続されており、接続点ND1には電流I1が流れる第1電流経路が存在する。
又、MOSトランジスタP2のドレイン電極とMOSトランジスタN1のドレイン電極とが接続点ND3を介在させて直列接続されており、接続点ND3は結線部分を含んで伝送ゲート9a及び接続点ND4を介してMOSトランジスタN1、N2のゲート電極に接続されると共に、伝送ゲート9b及び接続点ND5を介してMOSトランジスタN1、N4のゲート電極に接続されており、接続点ND3には電流I2が流れる第2電流経路が存在する。
【0072】
更に、MOSトランジスタN4のドレイン電極とLED4とが接続点ND6を介在させて直列接続されており、接続点ND6には電流I3が流れる第3電流経路が存在する。
加えて、第3実施形態は、MOSトランジスタP1、P2のゲート電極同士を電気的に接続した経路であって、上記第1電流経路に電流I1が流れた結果として生成される電圧のみが意味を持つ第1電圧経路と、MOSトランジスタN1、N2、或いはMOSトランジスタN1、N4のゲート電極同士を電気的に接続した経路であって、上記第2電流経路に電流I2が流れた結果として生成される電圧のみが意味を持つ第2電圧経路と、を含んでいる。
【0073】
このような電流経路と電圧経路とを含む回路を、半導体基板上等に作成する場合、電流経路と電圧経路ではMOSトランジスタ(能動素子)等の他に内部配線をそれぞれ含むことになる。
こうした場合、電流経路では、内部配線の長さが長くなると、内部配線に伴う配線抵抗や寄生容量によって動作特性が低下する恐れがある。一方、電圧経路では、その経路の終端は極めて高い抵抗値で終端されているとみなせるので、経路に寄生する抵抗の影響は無視でき、内部配線の長さが長くなっても動作特性が低下する恐れは殆どない。
【0074】
そこで、第3実施形態では、半導体基板上等に作成する際、動作特性の低下をできるだけ抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくするために、回路全体を分割又は分離するようにし、その分割又は分離のための境界を電圧経路上に設けるようにした。
このような基本的な考えに基づき、第3実施形態では、回路全体を入力回路と出力回路とに分割または分離するようにし、その分割位置または分離位置を第1カレントミラー回路1bの電圧経路である第1電圧経路上に設けるようにした。具体的には、ゲートアレイ等によって半導体基板上に作成される際、入力回路5bと出力回路7cとを分割した形態で半導体基板上にそれぞれ作成し、その入力回路5bと出力回路7cとの分割位置を内部配線によって電気的に接続するようにした。
【0075】
以下、第3実施形態の各部の動作について説明する。第1カレントミラー回路1bでは、第1の電源電圧VDDがMOSトランジスタP1、P2のソース電極にそれぞれ印加され、MOSトランジスタP1のドレイン電極に接続された電流源8の電流I1が接続点ND1を流れ、MOSトランジスタP1、P2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I2として出力する。
第2カレントミラー回路2cは、第1カレントミラー回路1bの出力電流I2をそれぞれソース電極に第2の電源電圧VSSが印加されたMOSトランジスタN1、N2、N4の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I3として出力し、この電流I3によってLED4を点灯する。
【0076】
ここで、スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、MOSトランジスタN1のゲート電極と、MOSトランジスタN2,N4それぞれのゲート電極との間の接続をオンオフする。クランプ回路24として働くMOSトランジスタN3は、制御端子T1に入力された制御信号をインバータ10aで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタN1、N2の各ゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。同様に、クランプ回路25として働くMOSトランジスタN5は、制御端子T2に入力された制御信号をインバータ10bで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタN1、N4のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。伝送ゲート9a、9bには、導通状態においてもそれを構成するMOSトランジスタにオン抵抗が存在するが、接続点ND3からスイッチ回路Sa、Sb経由で接続点ND4、ND5を介在してMOSトランジスタN1及びMOSトランジスタN2、或いはMOSトランジスタN1及びMOSトランジスタN4のゲート電極に至る経路は電圧経路であるため、動作特性に影響は生じない。これらの制御端子T1、クランプ回路24となるN型MOSトランジスタN3、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路25となるN型MOSトランジスタN5、及びスイッチ回路Sbとは、外部から与えられる制御信号に応じて別個に制御できるもので、機能面では協働してLED4を流れる電流量を制御する制御回路(調光制御回路)となる。
【0077】
又、電圧制御回路では、制御端子T1、T2に入力された制御信号をNOR回路12で排他的論理和演算した信号(制御信号の排他的論理和信号)をゲートバイアス電圧として入力した高耐圧P型MOSトランジスタP3が、LED4の接続点ND6側の端子へ印加される電圧を他端側の電圧VSSと一致させるように働く。即ち、高耐圧P型MOSトランジスタP3には、第1の電源電圧VDDがソース電極に印加されており、NOR回路12からの排他的論理和信号出力のゲートバイアス電圧で駆動されたとき、高耐圧P型MOSトランジスタP3のソース・ドレイン間が導通した状態となるため、高耐圧P型MOSトランジスタP3のドレイン側の電圧は、ほぼソース電圧(第1の電源電圧VDD)に一致した状態となる。そのため、LED4がオンからオフへと制御されたときに、LED4の両端電圧が瞬時に一致した状態とされ、リーク電流の発生が抑制されるため、LED4の高速遮断(高速消灯)が行われる。
【0078】
即ち、第3実施形態の電流負荷駆動回路においても、LED4の両端電位差を設定した電圧値(ここでは0[V])に制御することができ、LED4をオンからオフにしたときに、LED4に発生するリーク電流を抑制して高速遮断(高速消灯)できるようにしたものである。
ところで、第3実施形態の電流負荷駆動回路に使用される各種デバイスについて、例えば第1カレントミラー回路1bにおけるMOSトランジスタP1、P2と、第2カレントミラー回路2cにおけるMOSトランジスタN1、N3、N5とは、電流負荷駆動回路における高耐圧P型MOSトランジスタP3や出力回路7cにおける出力増幅段となるMOSトランジスタN2、N4よりも低耐圧、低耐電流のタイプであるため、半導体基板上で作成する場合には制御端子T1、T2を含めた高耐圧、高耐電流のデバイスをその他のデバイスにおける外側の周辺部分に配置(高耐圧、高耐電流の部品を低耐圧、低耐電流の部品の外周囲に配備)すれば、MOSトランジスタN2、N4やMOSトランジスタP3に対する駆動時に生じるリーク電流が回路内へ及ぼす影響や、或いは外部から混入するノイズの影響を十分に回避できるために好ましい。
【0079】
次に、このような構成からなる第3実施形態の動作例について、図3を参照して詳細に説明する。
ここで、電流源8の電流値がI1であるとすると、第1カレントミラー回路1bにおいては、キルヒホッフの法則より、接続点ND1では電流源8により流出する電流量と同じ電流が流入することになる。しかし、接続点ND1に接続されているのは接続点ND2を介在させたMOSトランジスタP1、P2のゲート電極でのみであり、その終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND2から接続点ND1への電流は発生しない。その結果、第1カレントミラー回路1bを構成するMOSトランジスタP1のソース電極−ドレイン電極間には、電流源8で決定された電流I1が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP1、接続点ND1、電流源8を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第1電流経路と見なすことが出来る。
【0080】
一方、接続点ND1から接続点ND2を介してMOSトランジスタP1、P2のゲート電極に至る経路では、電流が流れることは無い。電流I1がMOSトランジスタP1のソース電極−ドレイン電極間に流れると、MOSトランジスタP1のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND1に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧が接続点ND2を介してMOSトランジスタP1のゲート電極に印加される。このため、MOSトランジスタP1では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタP1の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND1から接続点ND2を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第1電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタP1の電圧降下分の電圧が、MOSトランジスタP2のゲート電極へ印加される。
【0081】
MOSトランジスタP1、P2において、MOSトランジスタP1の閾値電圧をVTP1、MOSトランジスタP1のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSP1、MOSトランジスタP1の増幅率をβP1とすると、電流I1はI1=(βP1/2)×(VGSP1−VTP1)2なる関係で表わされる。
又、MOSトランジスタP2の閾値電圧をVTP2、MOSトランジスタP2のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSP2、MOSトランジスタP2の増幅率をβP2とすると、電流I2はI2=(βP2/2)×(VGSP2−VTP2)2なる関係で表わされる。MOSトランジスタP1、P2が同一特性のMOSトランジスタであると、VTP1=VTP2であり、MOSトランジスタP1のドレイン電極とゲート電極と、MOSトランジスタP2のゲート電極の電位は同一であるので、VGSP1=VGSP2となるため、電流増幅率I2/I1はI2/I1=βP2/βP1なる関係で表わされる。
【0082】
これにより、第1カレントミラー回路1bにおける電流I2は、電流I1とMOSトランジスタP1、P2のβ比とにより決定されることになる。
第2カレントミラー回路2cにおいては、キルヒホッフの法則により、接続点ND3ではMOSトランジスタP2により流入する電流量I2と同じ電流が流出することになる。しかし接続点ND3に接続されているのはスイッチ回路Saを介在させた接続点ND4を含むMOSトランジスタN1、N2のゲート電極、或いはスイッチ回路Sbを介在させた接続点ND5を含むMOSトランジスタN4のゲート電極であり、その終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND4、ND5から接続点ND3への電流は発生しない。その結果、MOSトランジスタN1のドレイン電極−ソース電極間には、MOSトランジスタP2で決定された電流I2が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP2、接続点ND3、MOSトランジスタN1を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第2電流経路と見なすことが出来る。
【0083】
他方、接続点ND3からスイッチ回路Saを経由して接続点ND4を介してMOSトランジスタN1、N2のゲート電極に至る経路と、接続点ND3からスイッチ回路Sbを経由して接続点ND5を介してMOSトランジスタN1、N4のゲート電極に至る経路とでは、電流が流れることは無い。電流I2がMOSトランジスタN1のドレイン電極−ソース電極間に流れると、MOSトランジスタN1のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND3に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧がスイッチ回路Sa、Sbを経由してMOSトランジスタN1のゲート電極に印加される。MOSトランジスタN1では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタN1の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND3からスイッチ回路Sa、Sbを介在して接続点ND4、ND5を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第2電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタN1による電圧降下分の電圧がMOSトランジスタN2、N4のゲート電極へ印加される。
【0084】
尚、ここでは電圧経路を説明するため、接続点ND3、接続点ND4、及び接続点ND5の電圧の関係を上記の通り説明したが、本実施形態においては、MOSトランジスタN1、N2、N4のそれぞれのゲート電極の電圧がスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに伴い、MOSトランジスタN3、N5によってそれぞれクランプされる構成である。
スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、スイッチ回路SaについてはMOSトランジスタN1のゲート電極とMOSトランジスタN2のゲート電極との間の接続をオンオフし、スイッチ回路SbについてはMOSトランジスタN1のゲート電極とMOSトランジスタN4のゲート電極との間の接続をオンオフできる。
【0085】
スイッチ回路Saについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路24のMOSトランジスタN3(ソース電極に第2の電源電圧VSSが印加される)がMOSトランジスタN1、N2のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタN3がMOSトランジスタN1、N2のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタN2をオフにする。
同様に、スイッチ回路Sbについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路25のMOSトランジスタN5(ソース電極に第2の電源電圧VSSが印加される)がMOSトランジスタN1、N4のゲート電極を第2の電源電圧VSSに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタN5がMOSトランジスタN1、N4のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタN4をオフにする。
【0086】
そこで、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオンの場合、MOSトランジスタN1のゲート電圧がMOSトランジスタN2、N4のゲート電圧にそれぞれ印加されるため、MOSトランジスタN2、N4のドレイン電極−ソース電極間には、電流I2とMOSトランジスタN1の増幅率とMOSトランジスタN2、N4の各増幅率の和に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。
【0087】
また、スイッチ回路Saがオンで、スイッチ回路Sbがオフの場合、MOSトランジスタN2のドレイン電極−ソース電極間には電流I2とMOSトランジスタN1の増幅率とMOSトランジスタN2の増幅率の比に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I3は先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。更に、スイッチ回路Saがオフで、スイッチ回路Sbがオンの場合、MOSトランジスタN4のドレイン電極−ソース電極間には電流I2とMOSトランジスタN1の増幅率とMOSトランジスタN4の増幅率の比に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I3についても先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。
【0088】
このとき、電圧制御回路では、少なくとも1系統の高レベル(High)の制御信号がNOR回路12に入力されることになるため、NOR回路12からは低レベル(Low)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧P型MOSトランジスタP3に印加される。第1の電源電圧VDDがソース電極に印加されたMOSトランジスタP3は、ゲートバイアス電圧が低いために駆動されず、MOSトランジスタN2、N4で決まる電流I3がLED4から接続点ND6を介してMOSトランジスタN4に流れる。接続点ND4、ND5と接続点ND6との間には電流が流れない。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP3、接続点ND6、MOSトランジスタN2、N4を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第3電流経路と見なすことが出来る。
【0089】
更に、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオフの場合、MOSトランジスタN2、N4は何れもオフとなり、第2カレントミラー回路2cには電流I3が流れず、LED4を消灯した状態となる。
このとき、電圧制御回路では、2系統の低レベル(Low)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは高レベル(High)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧P型MOSトランジスタP3に印加される。これにより、MOSトランジスタP3は駆動してドレイン電極側の電圧が第1の電源電圧VDDとほぼ一致し、LED4の両端電位差がほぼゼロとなり、リーク電流が発生しないように働く。このため、LED4はオンからオフへと制御されたときに高速消灯される。
【0090】
MOSトランジスタN1、N2、N4において、MOSトランジスタN1の閾値電圧をVTN1、MOSトランジスタN1のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSN1、MOSトランジスタN1の増幅率をβN1とすると、電流I2はI2=(βN1/2)×(VGSN1−VTN1)2なる関係で表わされる。
また、MOSトランジスタN2の閾値電圧をVTN2、MOSトランジスタN2のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSN2、MOSトランジスタN2の増幅率をβN2とすると、MOSトランジスタN2によって流れる電流I3はI3=(βN2/2)×(VGSN2−VTN2)2なる関係で表わされる。
【0091】
同様に、MOSトランジスタN4の閾値電圧をVTN4、MOSトランジスタN4のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSN4、MOSトランジスタN4の増幅率をβN4とすると、MOSトランジスタN4によって流れる電流I3はI3=(βN4/2)×(VGSN4−VTN4)2なる関係で表わされる。
MOSトランジスタN1、N2、N4が同一特性のMOSトランジスタであると、VTN1=VTN2=VTN4であり、MOSトランジスタN1のドレイン電極とゲート電極と、MOSトランジスタN2、N4のゲート電極の電位は同一であるので、VGSN1=VGSN2=VGSN4となるため、電流増幅率I3/I2はI3/I2=βN2/βN1+βN4/βN4、βN2/βN1又はβN4/βN4なる関係で表わされる。
【0092】
これにより、第2カレントミラー回路2cにおける出力電流I3は、上述したスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに応じて、電流I2とMOSトランジスタN1の増幅率とMOSトランジスタN2、N4の各増幅率の和の比、或いは電流I2とMOSトランジスタN1、N2のβ比、或いは電流I2とMOSトランジスタN1、N4のβ比の何れか一つにより決定されることになる。この電流I3によりLED4を点灯する。
例えば電流源8の電流I1が1mAで、MOSトランジスタP1、P2の増幅率が同じであり、MOSトランジスタN2、N4の増幅率がMOSトランジスタN1の増幅率の10倍とした条件下では、MOSトランジスタN2、N4に流れる電流I3は何れも10mAとなり、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオンのときには20mAとなり、この電流によってLED4が点灯される。
【0093】
このように、第3実施形態では、電流源8の電流値I1を第1カレントミラー回路1b、第2カレントミラー回路2cによって電流増幅して電流I3を得て、これにより出力回路7cからLED4に可変値にできる電流を流して調光制御可能として点灯させることができ、しかも消灯時には同等に出力回路7cに設けられた電圧制御回路によりLED4のリーク電流を抑制することができ、LED4を高速消灯できる。
又、第3実施形態の場合、第1カレントミラー回路1aおよび第2カレントミラー回路2cによってLED4の駆動電流が制御されると共に、LED4の駆動停止時には電圧制御回路によってLED4に大電流が発生することを防止できるため、従来、LED4と第1の電源電圧VDDとの間に介在されていた電流制限抵抗が不要となる。
【0094】
更に、第3実施形態では、回路全体を入力回路5bと出力回路7cとに分割し、その分割位置を第1カレントミラー回路1bの電圧経路上である第1電圧経路に設けるようにしたことにより、入力回路5bと出力回路7cとを接続するための配線に寄生する抵抗成分の影響は受けなくなる。このため、ゲート電極アレイなどで構成する場合に、その入力回路5aと出力回路7aとを自由な位置に配置してその両者を電気的に配線しても、配線に寄生する抵抗成分の影響は受けることなく、動作特性の低下を抑制し、所望の動作特性の維持が可能となる。従って、第1実施形態によれば、半導体基板上に各構成要素を配置して形成する場合に、動作特性の低下を抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくできる。
【0095】
尚、第3実施形態では、回路全体を入力回路5bと出力回路7cとに分割し、その分割位置を第1カレントミラー回路1bの電圧経路上である第1電圧経路上に設けるようにした場合を説明したが、その分割位置を第2カレントミラー回路2cの電圧経路である第2電圧経路上に設けるようにしても良い。特にMOSトランジスタN2、N4、P3は、半導体装置外部に直接接続され、且つその他のMOSトランジスタP1、P2、N1、N3、N5と比べて大きな電流が流れるため、一般に専用の領域に配置されることが多い。このことからもMOSトランジスタN1に対してMOSトランジスタN2、N4の配置される領域は離れていることになるが、上記理由から動作特性への影響を排除できる。
【0096】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る電流負荷駆動回路は、図4に示すように、第3実施形態に係る電流負荷駆動回路の基本機能がそのまま得られるように、出力回路7cに代用される出力回路7dにおける第2カレントミラー回路2dの細部構成を変更したものである。
この第2カレントミラー回路2dは、インバータ(NOT回路)10a及び伝送ゲート9aから成る第1のスイッチ回路Sa、インバータ(NOT回路)10b及び伝送ゲート9bから成る第2のスイッチ回路Sb、並びにスイッチ回路Saに接続されたクランプ回路26として働くP型MOSトランジスタP4、スイッチ回路Sbに接続されたクランプ回路27として働くN型MOSトランジスタN4を備える他、ゲート電極同士がスイッチ回路Saの伝送ゲート9aを介在させて接続された一対のN型MOSトランジスタN1及びN型MOSトランジスタN2、N型MOSトランジスタN2のゲート電極に対してスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bを介在させてゲート電極が接続されたN型MOSトランジスタN3、電圧制御回路におけるNOR回路12の出力側に接続されたインバータ(NOT回路)13、インバータ13の出力側にゲート電極が接続されたN型MOSトランジスタN5を備えて構成される。
【0097】
このうち、MOSトランジスタN1については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP2のドレイン電極と接続されている。クランプ回路26となるMOSトランジスタP4については、ドレイン電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ソース電極がMOSトランジスタN1のゲート電極とスイッチ回路Saの伝送ゲート9aとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Saの互いに接続されたインバータ10a及び伝送ゲート9aに接続されると共に、制御端子T1に接続されている。
【0098】
クランプ回路27となるMOSトランジスタN4については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN3のゲート電極とスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Sbの互いに接続されたインバータ10b及び伝送ゲート9bに接続されると共に、制御端子T2に接続されている。
MOSトランジスタN3については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN1のドレイン電極とMOSトランジスタN5のドレイン電極との結線、及び伝送ゲート9aに接続されると共に、MOSトランジスタN2のゲート電極と伝送ゲート9bとの結線に接続されている。
【0099】
MOSトランジスタN2については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がLED4に接続され、ゲート電極が伝送ゲート9bとの結線に接続されている。尚、LED4の残りの端子は第1の電源電圧VDDに接続される。
MOSトランジスタN5については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN2のゲート電極と伝送ゲート9bとの結線に接続され、ゲート電極がインバータ13の出力側(インバータ13の入力側はNOR回路12の出力側と高耐圧P型MOSトランジスタP3のゲート電極との結線に接続される)に接続されている。
【0100】
電圧制御回路において、高耐圧P型MOSトランジスタP3については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN2のドレイン電極及びLED4に接続され(LED4の一端は高耐圧P型MOSトランジスタP3のドレイン電極及びMOSトランジスタN2のドレイン電極の接続線に接続される)、ゲート電極がNOR回路12の出力側に接続されている。NOR回路12の入力側には、制御端子T1、T2が接続されている。NOR回路12は、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号の排他的論理和信号を出力して高耐圧P型MOSトランジスタP3へゲートバイアス電圧として印加する。
【0101】
以下、第4実施形態の各部の動作について説明する。第1カレントミラー回路1bの動作は第3実施例で説明した場合と同様であり、MOSトランジスタP1、P2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I2を出力する。
第2カレントミラー回路2dは、第1カレントミラー回路1bの出力電流I2をそれぞれソース電極に第2の電源電圧VSSが印加されたMOSトランジスタN1、N2、N3の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I3として出力し、この電流I3によってLED4を点灯する。
【0102】
ここでのスイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、MOSトランジスタN1、N3のゲート電極とドレイン電極との間の接続をオンオフする。クランプ回路26として働くMOSトランジスタP4は、制御端子T1に入力された制御信号をインバータ10aで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタN1、N2の各ゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。同様に、クランプ回路27として働くMOSトランジスタN4は、制御端子T2に入力された制御信号をインバータ10bで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタN3、N2のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。伝送ゲート9a、9bには、導通状態においてもそれを構成するMOSトランジスタにオン抵抗が存在するが、接続点ND3からスイッチ回路Sa、Sb経由で接続点ND4、ND5を介在してMOSトランジスタN1及びMOSトランジスタN2のゲート電極、或いはMOSトランジスタN3及びMOSトランジスタN2のゲート電極に至る経路は電圧経路であるため、動作特性に影響は生じない。これらの制御端子T1、クランプ回路26となるP型MOSトランジスタP4、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路27となるN型MOSトランジスタN4、及びスイッチ回路Sbとは、外部から与えられる制御信号に応じて別個に制御できるもので、機能面では協働してLED4を流れる電流量を制御する制御回路(調光制御回路)となる。
【0103】
又、電圧制御回路は、第3実施形態例の場合と同様に機能し、NOR回路12からの排他的論理和信号出力のゲートバイアス電圧で駆動されたとき、高耐圧P型MOSトランジスタP3のソース・ドレイン間が導通した状態となるため、高耐圧P型MOSトランジスタP3のドレイン側の電圧は、ほぼソース電圧(第1の電源電圧VDD)に一致した状態となる。そのため、LED4がオンからオフへと制御されたときに、LED4の両端電圧が瞬時に一致した状態とされ、リーク電流の発生が抑制されるため、LED4の高速遮断(高速消灯)が行われる。
即ち、第4実施形態の電流負荷駆動回路においても、LED4の両端電位差を設定した電圧値(ここでは0[V])に制御することができ、LED4をオンからオフにしたときに、LED4に発生するリーク電流を抑制して高速遮断(高速消灯)できるようにしたものである。
【0104】
ところで、第4実施形態の電流負荷駆動回路に使用される各種デバイスについても、例えば第1カレントミラー回路1bにおけるMOSトランジスタP1、P2と、第2カレントミラー回路2dにおけるMOSトランジスタN1、N3、N4、N5、P4とは、電流負荷駆動回路における高耐圧P型MOSトランジスタP3や出力回路7dにおける出力増幅段となるMOSトランジスタN2よりも低耐圧、低耐電流のタイプであるため、半導体基板上で作成する場合には制御端子T1、T2を含めた高耐圧、高耐電流のデバイスをその他のデバイスにおける外側の周辺部分に配置(高耐圧、高耐電流の部品を低耐圧、低耐電流の部品の外周囲に配備)すれば、MOSトランジスタN2やMOSトランジスタP3に対する駆動時に生じるリーク電流が回路内へ及ぼす影響や、或いは外部から混入するノイズの影響を十分に回避できるために好ましい。
【0105】
次に、このような構成からなる第4実施形態の動作例について、図4を参照して詳細に説明する。尚、第4実施形態の場合、第1カレントミラー回路1bが流出する電流I2までの説明は、第3実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
第2カレントミラー回路2dにおいては、キルヒホッフの法則により、接続点ND3ではMOSトランジスタP2により流出する電流量I2と同じ電流が流入することになる。しかし接続点ND3に接続されているのはスイッチ回路Saを介在させた接続点ND4を含むMOSトランジスタN1、N2のゲート電極、或いはスイッチ回路Sbを介在させた接続点ND5を含むMOSトランジスタN3、N2のゲート電極であり、それらの終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND4、ND5から接続点ND3への電流は発生しない。その結果、MOSトランジスタN1、N3のドレイン電極−ソース電極間には、MOSトランジスタP2で決定された電流I2が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP2、接続点ND3、MOSトランジスタN1、N3を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第2電流経路と見なすことが出来る。
【0106】
他方、接続点ND3からスイッチ回路Saを経由して接続点ND4を介してMOSトランジスタN1のゲート電極に至る経路と、接続点ND3からスイッチ回路Sbを経由して接続点ND5を介してMOSトランジスタN3、N2のゲート電極に至る経路とでは、電流が流れることは無い。電流I2がMOSトランジスタN1、N3のドレイン電極−ソース電極間に流れると、MOSトランジスタN1、N3のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND3に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧がスイッチ回路Sa、Sbを経由してMOSトランジスタN1、N3のゲート電極に印加される。MOSトランジスタN1、N3では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタN1、N3の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND3からスイッチ回路Sa、Sbを介在して接続点ND4、ND5を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第2電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタN1、N3による電圧降下分の電圧がMOSトランジスタN2のゲート電極へ印加される。
【0107】
尚、ここでは電圧経路を説明するため、接続点ND3、接続点ND4、及び接続点ND5の電圧の関係を上記の通り説明したが、本実施形態においては、MOSトランジスタN1、N2、N3のそれぞれのゲート電極の電圧がスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに伴い、MOSトランジスタP4、N4によってそれぞれクランプされる構成である。
スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、スイッチ回路SaについてはMOSトランジスタN1のゲート電極とMOSトランジスタN2のゲート電極との間の接続をオンオフし、スイッチ回路SbについてはMOSトランジスタN3のゲート電極とMOSトランジスタN2のゲート電極との間の接続をオンオフできる。
【0108】
スイッチ回路Saについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路26のMOSトランジスタP4(ドレイン電極に第2の電源電圧VSSが印加される)がMOSトランジスタN1、N2のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタP4がMOSトランジスタN1、N2のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタN2をオフにする。
同様に、スイッチ回路Sbについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路27のMOSトランジスタN4(ソース電極に第2の電源電圧VSSが印加される)がMOSトランジスタN3、N2のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタN4がMOSトランジスタN3、N2のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタN2をオフにする。
【0109】
そこで、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオンの場合、MOSトランジスタN1、N3のゲート電圧がMOSトランジスタN2のゲート電圧に印加されるため、MOSトランジスタN2のソース電極−ドレイン電極間には、電流I2とMOSトランジスタN1、N3の各増幅率とMOSトランジスタN2の増幅率の和に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。
【0110】
又、スイッチ回路Saがオンで、スイッチ回路Sbがオフの場合、MOSトランジスタN2のドレイン電極−ソース電極間には電流I2とMOSトランジスタN1の増幅率とMOSトランジスタN2の増幅率の比に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I3は先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。更に、スイッチ回路Saがオンで、スイッチ回路Sbがオフの場合、MOSトランジスタN2のドレイン電極−ソース電極間には電流I2とMOSトランジスタN3の増幅率とMOSトランジスタN2の増幅率の比に比例した電流I3が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I3についても先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。
【0111】
このとき、電圧制御回路では、少なくとも1系統の高レベル(High)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは低レベル(Low)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧P型MOSトランジスタP3に印加される。第1の電源電圧VSSがソース電極に印加されたMOSトランジスタP3は、ゲートバイアス電圧が低いために駆動されず、MOSトランジスタN2に流れる電流I3がLED4から接続点ND6を介してMOSトランジスタN2に流れる。接続点ND4、ND5と接続点ND6との間には電流が流れない。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からLED4、接続点ND6、MOSトランジスタN2を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第3電流経路と見なすことが出来る。因みに、同時に低レベル(Low)の制御信号の排他的論理和信号(ゲートバイアス電圧)はインバータ13に入力され、インバータ13はそれを反転した高レベル(High)の制御信号をゲートバイアス電圧としてMOSトランジスタN5のゲート電極に印加する。このとき、MOSトランジスタN5は駆動してMOSトランジスタN2のゲートバイアス電圧が所定値以上となるように昇圧する。即ち、インバータ13及びMOSトランジスタN5は、スイッチ回路Sa、Sbの何れかがオンである場合、出力増幅段のMOSトランジスタN2を安定動作させるための補間回路として働く。
【0112】
更に、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオフの場合、MOSトランジスタN2はオフとなり、この状態では第1カレントミラー回路2dには電流が流れず、LED4を消灯した状態となる。
このとき、電圧制御回路では、2系統の低レベル(Low)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは高レベル(High)の制御信号の排他的論理和信号がゲートバイアス電圧として高耐圧P型MOSトランジスタP3に印加される。これにより、MOSトランジスタP3は駆動してドレイン電極側の電圧が第1の電源電圧VDDとほぼ一致し、LED4の両端電位差がほぼゼロとなり、リーク電流が発生しないように働く。このため、LED4はオンからオフへと制御されたときに高速消灯される。因みに、補間回路では、同時に高レベル(High)の制御信号の排他的論理和信号(ゲートバイアス電圧)がインバータ13に入力され、インバータ13はそれを反転した低レベル(Low)の制御信号をゲートバイアス電圧としてMOSトランジスタN5のゲート電極に印加する。このため、MOSトランジスタN5が駆動せずにMOSトランジスタN2のゲートバイアス電圧は所定値未満となるように降圧される。
【0113】
即ち、第2カレントミラー回路2dにおける出力電流I3は、補間回路のMOSトランジスタN5による出力増幅段のMOSトランジスタN2の昇圧機能を合わせれば、第3実施形態の場合と同様になり、上述したスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに応じて、電流I2とMOSトランジスタN1、N3の各増幅率とMOSトランジスタN2の増幅率の和の比、或いは電流I2とMOSトランジスタN1、N2のβ比、或いは電流I2とMOSトランジスタN3、N2のβ比の何れか一つにより決定されることになる。この電流I3によりLED4を点灯する。
【0114】
このように、第4実施形態の場合も、電流源8の電流値I1を第1カレントミラー回路1b、第2カレントミラー回路2dによって電流増幅して電流I3を得て、これにより出力回路7dからLED4に可変値にできる電流を流して調光制御可能として点灯させることができ、しかも消灯時には同等に出力回路7dに設けられた電圧制御回路によりLED4のリーク電流を抑制することができ、LED4を高速消灯できる。
又、第4実施形態の場合も、第1カレントミラー回路1bおよび第2カレントミラー回路2dによってLED4の駆動電流が制御されると共に、LED4の駆動停止時には電圧制御回路によってLED4に大電流が発生することを防止できるため、従来、LED4と第1の電源電圧VDDとの間に介在されていた電流制限抵抗が不要となる。
【0115】
更に、第4実施形態においても、回路全体を入力回路5bと出力回路7dとに分割し、その分割位置を第1カレントミラー回路1bの電圧経路上である第1電圧経路に設けるようにしたことにより、入力回路5bと出力回路7dとを接続するための配線に寄生する抵抗成分の影響は受けなくなる。このため、ゲート電極アレイなどで構成する場合に、その入力回路5bと出力回路7dとを自由な位置に配置してその両者を電気的に配線しても、配線に寄生する抵抗成分の影響は受けることなく、動作特性の低下を抑制し、所望の動作特性の維持が可能となる。従って、第4実施形態によっても、半導体基板上に各構成要素を配置して形成する場合に、動作特性の低下を抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくできる。
【0116】
尚、第4実施形態においても、回路全体を入力回路5bと出力回路7dとに分割し、その分割位置を第1カレントミラー回路1bの電圧経路上である第1電圧経路上に設けるようにした場合を説明したが、その分割位置を第2カレントミラー回路2dの電圧経路である第2電圧経路上に設けるようにしても良い。特にMOSトランジスタN2、P3は、半導体装置外部に直接接続され、且つその他のMOSトランジスタP1、P2、N1、N3、N4、N5、P4と比べて大きな電流が流れるため、一般に専用の領域に配置されることが多い。このことからもMOSトランジスタN1に対してMOSトランジスタN2、N3の配置される領域は離れていることになるが、上記理由から動作特性への影響を排除できる。
【0117】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係る電流負荷駆動回路は、図5に示すように、ゲート電極同士が接続された一対のN型MOSトランジスタN1、N2を備えた第1カレントミラー回路1aと、ゲート電極同士が接続された一対のP型MOSトランジスタP1、P2を備えた第2カレントミラー回路2cと、インバータ(NOT回路)10a及び伝送ゲート9aから成る第1のスイッチ回路Sa、インバータ(NOT回路)10b及び伝送ゲート9bから成る第2のスイッチ回路Sb、並びにスイッチ回路Saに接続されたクランプ回路28として働くN型MOSトランジスタN5、スイッチ回路Sbに接続されたクランプ回路29として働くN型MOSトランジスタN7を備える他、ゲート電極同士がスイッチ回路Saの伝送ゲート9aを介在させて接続された一対のN型MOSトランジスタN3及びN型MOSトランジスタN4、N型MOSトランジスタN3のゲート電極に対してスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bを介在させてゲート電極が接続されたN型MOSトランジスタN6を備えた第3カレントミラー回路3aと、NOR回路12及び高耐圧P型MOSトランジスタP3を備えると共に、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号に応じて電流負荷(LED4)における固定電圧の入力端と逆側の端子に印加される電圧を制御する電圧制御回路と、を備えて構成され、IC用デバイス側から観てLED4に対して電流を引き込む形式のシンク電流によりLED4を直接駆動する回路である。
【0118】
このうち、第1カレントミラー回路1aにおいて、MOSトランジスタN1については、ドレイン電極が電流源(定電流源)8を介在して第1の電源電圧VDDに接続されると共に、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、且つドレイン電極及びゲート電極が結線されている。MOSトランジスタN2については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続されている。
第2カレントミラー回路2cにおいて、MOSトランジスタP1については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN2のドレイン電極と接続されている。MOSトランジスタP2については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続されている。
【0119】
第3カレントミラー回路3aにおいて、MOSトランジスタN3については、ドレイン電極がMOSトランジスタP2のドレイン電極と接続され、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続されている。MOSトランジスタN4については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がLED4に接続されている。尚、LED4の残りの端子は第1の電源電圧VDDに接続される。クランプ回路28となるMOSトランジスタN5については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN4のゲート電極とスイッチ回路Saの伝送ゲート9aとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Saの互いに接続されたインバータ10a及び伝送ゲート9aに接続されると共に、制御端子T1に接続されている。MOSトランジスタN6については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がLED4に接続されている。クランプ回路29となるMOSトランジスタN7については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN6のゲート電極とスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Sbの互いに接続されたインバータ10b及び伝送ゲート9bに接続されると共に、制御端子T2に接続されている。
【0120】
電圧制御回路において、高耐圧P型MOSトランジスタP3については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN4、N6のドレイン電極及びLED4に接続され(LED4の一端は高耐圧P型MOSトランジスタP3のドレイン電極及びMOSトランジスタN4、N6のドレイン電極の接続線に接続される)、ゲート電極がNOR回路12の出力側に接続されている。NOR回路12の入力側には制御端子T1、T2が接続されている。NOR回路12は、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号の排他的論理和信号を出力して高耐圧P型MOSトランジスタP3へゲートバイアス電圧として印加する。
【0121】
次に、第5実施形態の具体的な説明をするのに先立って、本発明の構成の基本的な考え方について、第5実施形態を参照して説明する。
第5実施形態の電流負荷駆動回路は、電流I1〜I4がそれぞれ流れる4つの第1乃至第4電流経路と、電流が流れることがなく、電圧のみが意味を持つ第1乃至第3電圧経路とを含んでいる。
第1電流経路は、MOSトランジスタN1のドレイン電極と第1の電源電圧VDDが印加される電流源8とが接続点ND1を介在して直列接続されており、電流I1が流れる経路である。接続点ND1は接続点ND2を介在してMOSトランジスタN1、N2のゲート電極同士の結線に接続されている。
【0122】
第2電流経路は、MOSトランジスタP1のドレイン電極とMOSトランジスタN2のドレイン電極とが接続点ND3を介在して直列接続されており、電流I2が流れる経路である。接続点ND3は接続点ND4を介在してMOSトランジスタP1、P2のゲート電極同士の結線に接続されている。
第3電流経路は、MOSトランジスタP2のドレイン電極とMOSトランジスタN3のドレイン電極とが接続点ND5を介在して直列接続されており、電流I3が流れる経路である。接続点ND5はスイッチ回路Saを経由した接続点ND6を介在してMOSトランジスタN3、N4のゲート電極同士の結線と、スイッチ回路Sbを経由した接続点ND7を介在してMOSトランジスタN3、N6のゲート電極同士の結線と接続されている。
【0123】
第4電流経路は、MOSトランジスタP3のドレイン電極とMOSトランジスタN6のドレイン電極とが接続点ND8を介在して直列接続されており、電流I4が流れる経路である。接続点ND8にはLED4が接続され、LED4の残りの端子には第1の電源電圧VDDが印加される。
第1電圧経路は、MOSトランジスタN1のゲート電極とMOSトランジスタN2のゲート電極とを電気的に接続した経路であり、上記第1電流経路に電流I1が流れた結果生成される電圧のみが意味を持つ。
【0124】
第2電圧経路は、MOSトランジスタP1のゲート電極とMOSトランジスタP2のゲート電極とを電気的に接続した経路であり、上記第2電流経路に電流I2が流れた結果生成される電圧のみが意味を持つ。
第3電圧経路は、MOSトランジスタN3のゲート電極とMOSトランジスタN4のゲート電極とをスイッチ回路Saを介在させて電気的に接続した経路、並びにMOSトランジスタN3のゲート電極とMOSトランジスタN6のゲート電極とをスイッチ回路Sbを介在させて電気的に接続した経路であり、上記第3電流経路に電流I3が流れた結果生成される電圧のみが意味を持つ。
【0125】
このような電流経路と電圧経路とを含む回路を、半導体基板上等に作成する場合、電流経路と電圧経路とではMOSトランジスタ(能動素子)等の他に内部配線をそれぞれ含むことになる。
こうした場合、電流経路では、内部配線の長さが長くなると、内部配線に伴う配線抵抗や寄生容量によって動作特性が低下する恐れがある。一方、電圧経路では、その経路の終端は極めて高い抵抗値で終端されているとみなせるので、経路に寄生する抵抗の影響は無視でき、内部配線の長さが長くなっても動作特性が低下する恐れは殆どない。
【0126】
そこで、第5実施形態においても、半導体基板上等に作成する際、動作特性の低下をできるだけ抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくするために、回路全体を分割又は分離するようにし、その分割又は分離のための境界を電圧経路上に設けるようにする。
このような基本的な考えに基づき、第5実施形態では、回路全体を入力回路、中間回路、出力回路に分割又は分離するようにし、その分割位置又は分離位置を第1カレントミラー回路1aの電圧経路である第1電圧経路上と第2カレントミラー回路2cの電圧経路である第2電圧経路上とにそれぞれ設けるようにした。具体的には、ゲートアレイ等によって半導体基板上に作成される際、入力回路5a、中間回路6a、出力回路7eに分割した形態で半導体基板上にそれぞれ作成し、その各分割位置を内部配線によって電気的に接続するようにした。
【0127】
以下、第5実施形態の各部の動作について説明する。
第1カレントミラー回路1aでは、第1の電源電圧VDDが電流源8を介在させてMOSトランジスタN1のドレイン電極に印加され、その電流源8の電流I1をそれぞれソース電極に第2の電源電圧VSSが印加されたMOSトランジスタN1、N2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I2として出力する。
第2カレントミラー回路2cは、第1カレントミラー回路1aの出力電流I2をそれぞれソース電極に第1の電源電圧VDDが印加されたMOSトランジスタP1、P2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I3として出力する。
第3カレントミラー回路3aは、第2カレントミラー回路2cの出力電流I3をそれぞれソース電極に第2の電源電圧VSSが印加されたMOSトランジスタN3、N4、N6の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I4として出力し、この電流I4によってLED4を点灯する。
【0128】
ここで、スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、MOSトランジスタN3のゲート電極と、MOSトランジスタN4,N6それぞれのゲート電極との間の接続をオンオフする。クランプ回路28として働くMOSトランジスタN5は、制御端子T1に入力された制御信号をインバータ10aで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタN3、N4の各ゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。同様に、クランプ回路29として働くMOSトランジスタN7は、制御端子T2に入力された制御信号をインバータ10bで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタN6のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。伝送ゲート9a、9bには、導通状態においてもそれを構成するMOSトランジスタにオン抵抗が存在するが、接続点ND5からスイッチ回路Sa、Sb経由で接続点ND6、ND7を介在してMOSトランジスタN3及びMOSトランジスタN4、或いはMOSトランジスタN3及びMOSトランジスタN6のゲート電極に至る経路は電圧経路であるため、動作特性に影響は生じない。これらの制御端子T1、クランプ回路28となるN型MOSトランジスタN5、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路29となるN型MOSトランジスタN7、及びスイッチ回路Sbとは、外部から与えられる制御信号に応じて別個に制御できるもので、機能面では協働してLED4を流れる電流量を制御する制御回路(調光制御回路)となる。
【0129】
又、電圧制御回路では、制御端子T1、T2に入力された制御信号をNOR回路12で排他的論理和演算した信号(制御信号の排他的論理和信号)をゲートバイアス電圧として入力した高耐圧P型MOSトランジスタP3が、LED4の接続点ND8側の端子へ印加される電圧を他端側の電圧VDDと一致させるように働く。即ち、高耐圧P型MOSトランジスタP3には、第1の電源電圧VDDがソース電極に印加されており、NOR回路12からの排他的論理和信号出力のゲートバイアス電圧で駆動されたとき、高耐圧P型MOSトランジスタP3のソース・ドレイン間が導通した状態となるため、高耐圧P型MOSトランジスタP3のドレイン側の電圧は、ほぼソース電圧(第1の電源電圧VDD)に一致した状態となる。そのため、LED4がオンからオフへと制御されたときに、LED4の両端電圧が瞬時に一致した状態とされ、リーク電流の発生が抑制されるため、LED4の高速遮断(高速消灯)が行われる。
【0130】
即ち、第5実施形態の電流負荷駆動回路においても、LED4の両端電位差を設定した電圧値(ここでは0[V])に制御することができ、LED4をオンからオフにしたときに、LED4に発生するリーク電流を抑制して高速遮断(高速消灯)できるようにしたものである。
ところで、第5実施形態の電流負荷駆動回路に使用される各種デバイスについて、例えば第1カレントミラー回路1aにおけるMOSトランジスタN1、N2と、第2カレントミラー回路2cにおけるMOSトランジスタP1、P2と、第3カレントミラー回路3bにおけるMOSトランジスタN3、N5、N7は、電流負荷駆動回路における高耐圧P型MOSトランジスタP3や出力回路7eにおける出力増幅段となるMOSトランジスタN4、N6よりも低耐圧、低耐電流のタイプであるため、半導体基板上で作成する場合には制御端子T1、T2を含めた高耐圧、高耐電流のデバイスをその他のデバイスにおける外側の周辺部分に配置(高耐圧、高耐電流の部品を低耐圧、低耐電流の部品の外周囲に配備)すれば、MOSトランジスタN4、N6やMOSトランジスタP3に対する駆動時に生じるリーク電流が回路内へ及ぼす影響や、或いは外部から混入するノイズの影響を十分に回避できるために好ましい。
【0131】
次に、このような構成からなる第5実施形態の動作例について、図5を参照して詳細に説明する。
但し、第1カレントミラー回路1aについては、図1に示した第1実施形態の場合と同じであり、その出力電流I2は、電流I1とMOSトランジスタN1、N2のβ比とにより決定されることになる。尚、ここでも第1の電源電圧VDDの印加部から電流源8、接続点ND1を介在させてMOSトランジスタN1を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第1電流経路とみなせる。
【0132】
第2カレントミラー回路2cにおいては、キルヒホッフの法則により、接続点ND3ではMOSトランジスタN2により流出する電流量I2と同じ電流が流入することになる。しかし接続点ND3に接続されているのは接続点ND4を介在させたMOSトランジスタP1、P2のゲート電極であり、その終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND4から接続点ND3への電流は発生しない。その結果、MOSトランジスタN2のドレイン電極−ソース電極間には、MOSトランジスタP1で決定された電流I2が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP1、接続線ND3、MOSトランジスタN2を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第2電流経路と見なすことが出来る。
【0133】
一方、接続点ND3から接続点ND4を介してMOSトランジスタP1、P2のゲート電極に至る経路では、電流が流れることは無い。電流I2がMOSトランジスタP1のソース電極−ドレイン電極間に流れると、MOSトランジスタP1のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND3に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧が接続点ND4を介してMOSトランジスタP1のゲート電極に印加される。MOSトランジスタP1では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタP1の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND3から接続点ND4を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第2電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタP1による電圧降下分の電圧がMOSトランジスタP2のゲート電極へ印加される。
【0134】
MOSトランジスタP1、P2において、MOSトランジスタP1の閾値電圧をVTP1、MOSトランジスタP1のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSP1、MOSトランジスタP1の増幅率をβP1とすると、電流I2は I2=(βP1/2)×(VGSP1−VTP1)2なる関係で表わされる。
又、MOSトランジスタP2の閾値電圧をVTP2、MOSトランジスタP2のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSP2、MOSトランジスタP2の増幅率をβP2とすると、電流I3は I3=(βP2/2)×(VGSP2−VTP2)2なる関係で表わされる。
【0135】
MOSトランジスタP1、P2が同一特性のMOSトランジスタであると、VTP1=VTP2であり、MOSトランジスタP1のドレイン電極とゲート電極と、MOSトランジスタP2のゲート電極の電位は同一であるので、VGSP1=VGSP2となるため、電流増幅率I3/I2はI3/I2=βP2/βP1なる関係で表わされる。
これにより、第2カレントミラー回路2cにおける出力電流I3は、電流I2とMOSトランジスタP1、P2のβ比とにより決定されることになる。
【0136】
第3カレントミラー回路3aにおいては、キルヒホッフの法則により、接続点ND5ではMOSトランジスタN3により流出する電流量I3と同じ電流が流入することになる。しかし接続点ND5に接続されているのはスイッチ回路Saを介在させた接続点ND6を含むMOSトランジスタN3、N4のゲート電極、或いはスイッチ回路Sbを介在させた接続点ND7を含むMOSトランジスタN6のゲート電極であり、それらの終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND6、ND7から接続点ND5への電流は発生しない。その結果、MOSトランジスタN3のドレイン電極−ソース電極間には、MOSトランジスタP2で決定された電流I3が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP2、接続点ND5、MOSトランジスタN3を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第3電流経路と見なすことが出来る。
【0137】
他方、接続点ND5からスイッチ回路Saを経由して接続点ND6を介してMOSトランジスタN3、N4のゲート電極に至る経路と、接続点ND5からスイッチ回路Sbを経由して接続点ND7を介してMOSトランジスタN3、N6のゲート電極に至る経路とでは、電流が流れることは無い。電流I3がMOSトランジスタN3のドレイン電極−ソース電極間に流れると、MOSトランジスタN3のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND5に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧がスイッチ回路Sa、Sbを経由してN3のゲート電極に印加される。MOSトランジスタN3では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタN3の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND5からスイッチ回路Sa、Sbを介在して接続点ND6、ND7を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第3電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタN3による電圧降下分の電圧がMOSトランジスタN4、N6のゲート電極へ印加される。
【0138】
尚、ここでは電圧経路を説明するため、接続点ND5、接続点ND6、及び接続点ND7の電圧の関係を上記の通り述べたが、本実施形態においては、MOSトランジスタN3、N4、N6のそれぞれのゲート電極の電圧がスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに伴い、MOSトランジスタN5、N7によってそれぞれクランプされる構成である。
スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、スイッチ回路SaについてはMOSトランジスタN3のゲート電極とMOSトランジスタN4のゲート電極との間の接続をオンオフし、スイッチ回路SbについてはMOSトランジスタN3のゲート電極とMOSトランジスタN6のゲート電極との間の接続をオンオフできる。
【0139】
スイッチ回路Saについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路28のMOSトランジスタN5(ソース電極に第2の電源電圧VSSが印加される)がMOSトランジスタN3、N4のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタN5がMOSトランジスタN3、N4のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタN4をオフにする。
同様に、スイッチ回路Sbについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路29のMOSトランジスタN7(ソース電極に第2の電源電圧VSSが印加される)がMOSトランジスタN3、N6のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタN7がMOSトランジスタN3、N6のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタN6をオフにする。
【0140】
そこで、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオンの場合、MOSトランジスタN3のゲート電圧がMOSトランジスタN4、N6のゲート電圧にそれぞれ印加されるため、MOSトランジスタN4、N6のドレイン電極−ソース電極間には、電流I2とMOSトランジスタN3の増幅率とMOSトランジスタN4、N6の各増幅率の和に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。
【0141】
又、スイッチ回路Saがオンで、スイッチ回路Sbがオフの場合、MOSトランジスタN4のドレイン電極−ソース電極間には電流I2とMOSトランジスタN3の増幅率とMOSトランジスタN4の増幅率の比に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I4は先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。更に、スイッチ回路Saがオフで、スイッチ回路Sbがオンの場合、MOSトランジスタN6のドレイン電極−ソース電極間には電流I2とMOSトランジスタN3の増幅率とMOSトランジスタN6の増幅率の比に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I4についても先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。
【0142】
このとき、電圧制御回路では、少なくとも1系統の高レベル(High)の制御信号がNOR回路12に入力されることになるため、NOR回路12からは低レベル(Low)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧P型MOSトランジスタP3に印加される。第1の電源電圧VDDがソース電極に印加されたMOSトランジスタP3は、ゲートバイアス電圧が低いために駆動されず、MOSトランジスタN4、N6で決まる電流I4がLED4から接続点ND8を介してMOSトランジスタN6に流れる。接続点ND6、ND7と接続点ND8との間には電流が流れない。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からLED4、接続点ND8、MOSトランジスタN4、N6を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第4電流経路と見なすことが出来る。
【0143】
更に、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオフの場合、MOSトランジスタN4、N6は何れもオフとなり、この状態では第3カレントミラー回路3aに電流I4が流れず、LED4を消灯した状態となる。
このとき、電圧制御回路では、2系統の低レベル(Low)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは高レベル(High)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧P型MOSトランジスタP3に印加される。これにより、MOSトランジスタP3は駆動してドレイン電極側の電圧が第1の電源電圧VDDとほぼ一致し、LED4の両端電位差がほぼゼロとなり、リーク電流が発生しないように働く。このため、LED4はオンからオフへと制御されたときに高速消灯される。
【0144】
MOSトランジスタN3、N4、N6において、MOSトランジスタN3の閾値電圧をVTN3、MOSトランジスタN3のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSN3、MOSトランジスタN3の増幅率をβN3とすると、電流I3はI3=(βN3/2)×(VGSN3−VTN3)2なる関係で表わされる。
また、MOSトランジスタN4の閾値電圧をVTN4、MOSトランジスタN4のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSN4、MOSトランジスタN4の増幅率をβN4とすると、MOSトランジスタN4によって流れる電流I4はI4=(βN4/2)×(VGSN4−VTN4)2なる関係で表わされる。
【0145】
同様に、MOSトランジスタN6の閾値電圧をVTN6、MOSトランジスタN6のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSN6、MOSトランジスタN6の増幅率をβN6とすると、MOSトランジスタN6によって流れる電流I4はI4=(βN6/2)×(VGSN6−VTN6)2なる関係で表わされる。
MOSトランジスタN3、N4、N6が同一特性のMOSトランジスタであると、VTN3=VTN4=VTN6であり、MOSトランジスタN3のドレイン電極とゲート電極と、MOSトランジスタN4、N6のゲート電極の電位は同一であるので、VGSN3=VGSN4=VGSN6となるため、電流増幅率I4/I3はI4/I3=βN4/βN3+βN6/βN3、βN4/βN3又はβN6/βN3なる関係で表わされる。
【0146】
これにより、第3カレントミラー回路3aにおける出力電流I4は、上述したスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに応じて、電流I2とMOSトランジスタN3の増幅率とMOSトランジスタN4、N6の各増幅率の和の比、或いは電流I2とMOSトランジスタN3、N4のβ比、或いは電流I2とMOSトランジスタN3、N6のβ比の何れか一つにより決定されることになる。この電流I4によりLED4を点灯する。
このように、第5実施形態では、電流源8の電流値I1を第1カレントミラー回路1a、第2カレントミラー回路2c、第3カレントミラー回路3aによって電流増幅して電流I4を得て、これにより出力回路7eからLED4に可変値にできる電流を流して調光制御可能として点灯させることができ、しかも消灯時には同等に出力回路7eに設けられた電圧制御回路によりLED4のリーク電流を抑制することができ、LED4を高速消灯できる。
【0147】
又、第5実施形態の場合、第1カレントミラー回路1a、第2カレントミラー回路2c、及び第3カレントミラー回路3aによってLED4の駆動電流が制御されると共に、LED4の駆動停止時には電圧制御回路によってLED4に大電流が発生することを防止できるため、従来、LED4と第1の電源電圧VDDとの間に介在されていた電流制限抵抗が不要となる。
【0148】
更に、第5実施形態では、回路全体を入力回路5a、中間回路6a、出力回路7eに分割し、それらの分割位置を第1カレントミラー回路1aの電圧経路上である第1電圧経路、及び第2カレントミラー回路2cの電圧経路上である第2電圧経路に設けるようにしたことにより、入力回路5a及び中間回路6aと中間回路6a及び出力回路7eとを接続するための配線に寄生する抵抗成分の影響は受けなくなる。このため、ゲート電極アレイ等で構成する場合に、その入力回路5a、中間回路6a、出力回路7eを自由な位置に配置してその両者を電気的に配線しても、配線に寄生する抵抗成分の影響は受けることなく、動作特性の低下を抑制し、所望の動作特性の維持が可能となる。従って、第5実施形態によっても、半導体基板上に各構成要素を配置して形成する場合に、動作特性の低下を抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくできる。
【0149】
尚、第5実施形態では、回路全体を入力回路5a、中間回路6a、出力回路7eに分割し、それらの分割位置を第1カレントミラー回路1aの電圧経路上である第1電圧経路、及び第2カレントミラー回路2cの電圧経路上である第2電圧経路に設けるようにした場合を説明したが、それらの分割位置は上記電圧経路上であればどこでも良く、説明した構成のものに限定されない。MOSトランジスタN4、N6、P3は、半導体装置外部に直接接続され、且つその他のMOSトランジスタN1、N2、N3、N5、N7、P1、P2と比べて大きな電流が流れるため、一般に専用の領域に配置されることが多い。特に第3カレントミラー回路3aの電圧経路上に分割位置を設けることが好ましい。このことからもMOSトランジスタN3に対してMOSトランジスタN4、N6の配置される領域は離れていることになるが、上記理由から動作特性への影響を排除できる。
【0150】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態に係る電流負荷駆動回路は、図6に示すように、第5実施形態に係る電流負荷駆動回路の基本機能がそのまま得られるように、出力回路7eに代用される出力回路7fにおける第3カレントミラー回路3bの細部構成を変更したものである。
この第3カレントミラー回路3bは、インバータ(NOT回路)10a及び伝送ゲート9aから成る第1のスイッチ回路Sa、インバータ(NOT回路)10b及び伝送ゲート9bから成る第2のスイッチ回路Sb、並びにスイッチ回路Saに接続されたクランプ回路30として働くP型MOSトランジスタP4、スイッチ回路Sbに接続されたクランプ回路31として働くN型MOSトランジスタN6を備える他、ゲート電極同士がスイッチ回路Saの伝送ゲート9aを介在させて接続された一対のN型MOSトランジスタN3及びN型MOSトランジスタN4、N型MOSトランジスタN4のゲート電極に対してスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bを介在させてゲート電極が接続されたN型MOSトランジスタN5、電圧制御回路におけるNOR回路12の出力側に接続されたインバータ(NOT回路)13、インバータ13の出力側にゲート電極が接続されたN型MOSトランジスタN7を備えて構成される。
【0151】
このうち、MOSトランジスタN3については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP2のドレイン電極と接続されている。クランプ回路30となるMOSトランジスタP4については、ドレイン電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ソース電極がMOSトランジスタN3のゲート電極とスイッチ回路Saの伝送ゲート9aとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Saの互いに接続されたインバータ10a及び伝送ゲート9aに接続されると共に、制御端子T1に接続されている。
クランプ回路31となるMOSトランジスタN6については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN5のゲート電極とスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Sbの互いに接続されたインバータ10b及び伝送ゲート9bに接続されると共に、制御端子T2に接続されている。
【0152】
MOSトランジスタN5については、ソース電極が第2の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN3のドレイン電極とMOSトランジスタP2のドレイン電極との結線、及び伝送ゲート9aに接続されていると共に、MOSトランジスタN4のゲート電極と伝送ゲート9bとの結線に接続されている。
MOSトランジスタN4については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がLED4に接続され、ゲート電極が伝送ゲート9bとの結線に接続されている。尚、LED4の残りの端子は第1の電源電圧VDDに接続される。
MOSトランジスタN7については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN4のゲート電極と伝送ゲート9bとの結線に接続され、ゲート電極がインバータ13の出力側(インバータ13の入力側はNOR回路12の出力側と高耐圧P型MOSトランジスタP3のゲート電極との結線に接続される)に接続されている。
【0153】
電圧制御回路において、高耐圧P型MOSトランジスタP3については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN4のドレイン電極及びLED4に接続され(LED4の一端は高耐圧P型MOSトランジスタP3のドレイン電極及びMOSトランジスタN4のドレイン電極の接続線に接続される)、ゲート電極がNOR回路12の出力側に接続されている。NOR回路12の入力側には、制御端子T1、T2が接続されている。NOR回路12は、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号の排他的論理和信号を出力して高耐圧P型MOSトランジスタP3へゲートバイアス電圧として印加する。
【0154】
以下、第6実施形態の各部の動作について説明する。第1カレントミラー回路1aの動作は第5実施例で説明した場合と同様であり、MOSトランジスタN1、N2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I2を出力する。
第2カレントミラー回路2cは、第1カレントミラー回路1aの出力電流I2をそれぞれソース電極に第1の電源電圧VDDが印加されたMOSトランジスタP1、P2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I3として出力する。
第3カレントミラー回路3bは、第2カレントミラー回路2cの出力電流I3をそれぞれソース電極に第2の電源電圧VSSが印加されたMOSトランジスタN3、N5、N4の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I4として出力し、この電流I4によってLED4を点灯する。
【0155】
ここで、スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、MOSトランジスタN3、N5のゲート電極とドレイン電極との間の接続をオンオフする。クランプ回路30として働くMOSトランジスタP4は、制御端子T1に入力された制御信号をインバータ10aで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタN3、N4の各ゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。同様に、クランプ回路31として働くMOSトランジスタN6は、制御端子T2に入力された制御信号をインバータ10bで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタN5、N4のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。伝送ゲート9a、9bには、導通状態においてもそれを構成するMOSトランジスタにオン抵抗が存在するが、接続点ND5からスイッチ回路Sa、Sb経由で接続点ND6、ND7を介在してMOSトランジスタN3及びMOSトランジスタN4、或いはMOSトランジスタN5及びMOSトランジスタN4のゲート電極に至る経路は電圧経路であるため、動作特性に影響は生じない。これらの制御端子T1、クランプ回路30となるP型MOSトランジスタP4、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路31となるN型MOSトランジスタN6、及びスイッチ回路Sbとは、外部から与えられる制御信号に応じて別個に制御できるもので、機能面では協働してLED4を流れる電流量を制御する制御回路(調光制御回路)となる。
【0156】
又、電圧制御回路では、制御端子T1、T2に入力された制御信号をNOR回路12で排他的論理和演算した信号(制御信号の排他的論理和信号)をゲートバイアス電圧として入力した場合に、高耐圧P型MOSトランジスタP3のソース・ドレイン間が導通した状態となるため、高耐圧P型MOSトランジスタP3のドレイン側の電圧は、ほぼソース電圧(第1の電源電圧VDD)に一致した状態となる。そのため、LED4がオンからオフへと制御されたときに、LED4の両端電圧が瞬時に一致した状態とされ、リーク電流の発生が抑制されるため、LED4の高速遮断(高速消灯)が行われる。
即ち、第6実施形態の電流負荷駆動回路においても、LED4の両端電位差を設定した電圧値(ここでは0[V])に制御することができ、LED4をオンからオフにしたときに、LED4に発生するリーク電流を抑制して高速遮断(高速消灯)できるようにしたものである。
【0157】
ところで、第6実施形態の電流負荷駆動回路に使用される各種デバイスについて、例えば第1カレントミラー回路1aにおけるMOSトランジスタN1、N2と、第2カレントミラー回路2cにおけるMOSトランジスタP1、P2と、第3カレントミラー回路3bにおけるMOSトランジスタN3、N5、N6、N7、P4は、電流負荷駆動回路における高耐圧P型MOSトランジスタP3や出力回路7fにおける出力増幅段となるMOSトランジスタN4よりも低耐圧、低耐電流のタイプであるため、半導体基板上で作成する場合には制御端子T1、T2を含めた高耐圧、高耐電流のデバイスをその他のデバイスにおける外側の周辺部分に配置(高耐圧、高耐電流の部品を低耐圧、低耐電流の部品の外周囲に配備)すれば、MOSトランジスタN4やMOSトランジスタP3に対する駆動時に生じるリーク電流が回路内へ及ぼす影響や、或いは外部から混入するノイズの影響を十分に回避できるために好ましい。
【0158】
次に、このような構成からなる第6実施形態の動作例について、図6を参照して詳細に説明する。尚、第6実施形態の場合、第2カレントミラー回路2cで流出する電流I3までの説明は、第5実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
第3カレントミラー回路3bにおいては、キルヒホッフの法則により、接続点ND5ではMOSトランジスタN3により流出する電流量I3と同じ電流が流入することになる。しかし接続点ND5に接続されているのはスイッチ回路Saを介在させた接続点ND6を含むMOSトランジスタN3、N4のゲート電極、或いはスイッチ回路Sbを介在させた接続点ND7を含むMOSトランジスタN5、N4のゲート電極であり、それらの終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND6、ND7から接続点ND5への電流は発生しない。その結果、MOSトランジスタN3、N5のドレイン電極−ソース電極間には、MOSトランジスタP2で決定された電流I3が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP2、接続点ND5、MOSトランジスタN3、N5を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第3電流経路と見なすことが出来る。
【0159】
他方、接続点ND5からスイッチ回路Saを経由して接続点ND6を介してMOSトランジスタN3のゲート電極に至る経路と、接続点ND5からスイッチ回路Sbを経由して接続点ND7を介してMOSトランジスタN5、N4のゲート電極に至る経路とでは、電流が流れることは無い。電流I3がMOSトランジスタN3、N5のソース電極−ドレイン電極間に流れると、MOSトランジスタN3、N5のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND5に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧がスイッチ回路Sa、Sbを経由してMOSトランジスタN3、N5のゲート電極に印加される。MOSトランジスタN3、N5では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタN3、N5の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND5からスイッチ回路Sa、Sbを介在して接続点ND6、ND7を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第3電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタN3、N5による電圧降下分の電圧がMOSトランジスタN4のゲート電極へ印加される。
【0160】
尚、ここでは電圧経路を説明するため、接続点ND5、接続点ND6、及び接続点ND7の電圧の関係を上記の通り説明したが、本実施形態においては、MOSトランジスタN3、N5、N4のそれぞれのゲート電極の電圧がスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに伴い、MOSトランジスタP4、N6によってそれぞれクランプされる構成である。
スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、スイッチ回路SaについてはMOSトランジスタN3のゲート電極とMOSトランジスタN4のゲート電極との間の接続をオンオフし、スイッチ回路SbについてはMOSトランジスタN5のゲート電極とMOSトランジスタN4のゲート電極との間の接続をオンオフできる。
【0161】
スイッチ回路Saについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路30のMOSトランジスタP4(ドレイン電極に第2の電源電圧VSSが印加される)がMOSトランジスタN3、N4のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタP4がMOSトランジスタN1、N2のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタN4をオフにする。
【0162】
同様に、スイッチ回路Sbについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路31のMOSトランジスタN6(ソース電極に第2の電源電圧VSSが印加される)がMOSトランジスタN5、N4のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタN6がMOSトランジスタN5、N4のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタN4をオフにする。
そこで、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオンの場合、MOSトランジスタN3、N5のゲート電圧がMOSトランジスタN4のゲート電圧に印加されるため、MOSトランジスタN4のソース電極−ドレイン電極間には、電流I3とMOSトランジスタN3、N5の各増幅率とMOSトランジスタN4の増幅率の和に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。
【0163】
又、スイッチ回路Saがオンで、スイッチ回路Sbがオフの場合、MOSトランジスタN4のドレイン電極−ソース電極間には電流I3とMOSトランジスタN3の増幅率とMOSトランジスタN4の増幅率の比に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I4は先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。更に、スイッチ回路Saがオフで、スイッチ回路Sbがオンの場合、MOSトランジスタN4のドレイン電極−ソース電極間には電流I3とMOSトランジスタN5の増幅率とMOSトランジスタN4の増幅率の比に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I4についても先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。
【0164】
このとき、電圧制御回路では、少なくとも1系統の高レベル(High)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは低レベル(Low)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧P型MOSトランジスタP3に印加される。第1の電源電圧VDDがソース電極に印加されたMOSトランジスタP3は、ゲートバイアス電圧が低いために駆動されず、MOSトランジスタN4を流れる電流I4がLED4から接続点ND8を介してMOSトランジスタN4に流れる。接続点ND6、ND7と接続点ND8との間には電流が流れない。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からLED4、接続点ND8、MOSトランジスタN4を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第4電流経路と見なすことが出来る。因みに、同時に低レベル(Low)の制御信号の排他的論理和信号(ゲートバイアス電圧)はインバータ13に入力され、インバータ13はそれを反転した高レベル(High)の制御信号をゲートバイアス電圧としてMOSトランジスタN7のゲート電極に印加する。このとき、MOSトランジスタN7は駆動してMOSトランジスタN4のゲートバイアス電圧が所定値以上となるように昇圧する。即ち、インバータ13及びMOSトランジスタN7は、スイッチ回路Sa、Sbの何れかがオンである場合、出力増幅段のMOSトランジスタN4を安定動作させるための補間回路として働く。
【0165】
更に、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオフの場合、MOSトランジスタN4はオフとなり、この状態では第3カレントミラー回路3bには電流が流れず、LED4を消灯した状態となる。
このとき、電圧制御回路では、2系統の低レベル(Low)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは高レベル(High)の制御信号の排他的論理和信号がゲートバイアス電圧として高耐圧P型MOSトランジスタP3に印加される。これにより、MOSトランジスタP3は駆動してドレイン電極側の電圧が第1の電源電圧VDDとほぼ一致し、LED4の両端電位差がほぼゼロとなり、リーク電流が発生しないように働く。このため、LED4はオンからオフへと制御されたときに高速消灯される。因みに、補間回路では、同時に高レベル(High)の制御信号の排他的論理和信号(ゲートバイアス電圧)がインバータ13に入力され、インバータ13はそれを反転した低レベル(Low)の制御信号をゲートバイアス電圧としてMOSトランジスタN7のゲート電極に印加する。このため、MOSトランジスタN7が駆動せずにMOSトランジスタN4のゲートバイアス電圧は所定値未満となるように降圧される。
【0166】
即ち、第3カレントミラー回路3bにおける出力電流I4は、補間回路のMOSトランジスタN7による出力増幅段のMOSトランジスタN4の昇圧機能を合わせれば、第5実施例の場合と同様になり、上述したスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに応じて、電流I3とMOSトランジスタN3、N5の各増幅率とMOSトランジスタN4の増幅率の和の比、或いは電流I3とMOSトランジスタN3、N4のβ比、或いは電流I3とMOSトランジスタN5、N4のβ比の何れか一つにより決定されることになる。この電流I4によりLED4を点灯する。
【0167】
このように、第6実施形態の場合も、電流源8の電流値I1を第1カレントミラー回路1a、第2カレントミラー回路2c、第3カレントミラー回路3bによって電流増幅して電流I4を得て、これにより出力回路7fからLED4に可変値にできる電流を流して調光制御可能として点灯させることができ、しかも消灯時には同等に出力回路7fに設けられた電圧制御回路によりLED4のリーク電流を抑制することができ、LED4を高速消灯できる。
又、第6実施形態の場合も、第1カレントミラー回路1a、第2カレントミラー回路2cおよび第3カレントミラー回路3bによってLED4の駆動電流が制御されると共に、LED4の駆動停止時には電圧制御回路によってLED4に大電流が発生することを防止できるため、従来、LED4と第1の電源電圧VDDとの間に介在されていた電流制限抵抗が不要となる。
【0168】
更に、第6実施形態においても、回路全体を入力回路5a、中間回路6a、出力回路7fに分割し、それらの分割位置を第1カレントミラー回路1aの電圧経路上である第1電圧経路、及び第2カレントミラー回路2cの電圧経路上である第2電圧経路に設けるようにしたことにより、入力回路5a及び中間回路6aと中間回路6a及び出力回路7fとを接続するための配線に寄生する抵抗成分の影響は受けなくなる。このため、ゲート電極アレイ等で構成する場合に、その入力回路5a、中間回路6a、出力回路7fを自由な位置に配置してその両者を電気的に配線しても、配線に寄生する抵抗成分の影響は受けることなく、動作特性の低下を抑制し、所望の動作特性の維持が可能となる。従って、第6実施形態によっても、半導体基板上に各構成要素を配置して形成する場合に、動作特性の低下を抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくできる。
【0169】
尚、第6実施形態では、回路全体を入力回路5a、中間回路6a、出力回路7fに分割し、それらの分割位置を第1カレントミラー回路1aの電圧経路上である第1電圧経路、及び第2カレントミラー回路2cの電圧経路上である第2電圧経路に設けるようにした場合を説明したが、それらの分割位置は上記電圧経路上であればどこでも良く、説明した構成のものに限定されない。MOSトランジスタN4、P3は、半導体装置外部に直接接続され、且つその他のMOSトランジスタN1、N2、N3、N5、N7、P1、P2、P4と比べて大きな電流が流れるため、一般に専用の領域に配置されることが多い。特に第3カレントミラー回路3bの電圧経路上に分割位置を設けることが好ましい。このことからもMOSトランジスタN3に対してMOSトランジスタN4、N5の配置される領域は離れていることになるが、上記理由から動作特性への影響を排除できる。
【0170】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態に係る電流負荷駆動回路は、図7に示すように、ゲート電極同士が接続された一対のP型MOSトランジスタP1、P2を備えた第1カレントミラー回路1bと、ゲート電極同士が接続された一対のN型MOSトランジスタN1、N2を備えた第2カレントミラー回路2dと、インバータ(NOT回路)10a及び伝送ゲート9aから成る第1のスイッチ回路Sa、インバータ(NOT回路)10b及び伝送ゲート9bから成る第2のスイッチ回路Sb、並びにスイッチ回路Saに接続されたクランプ回路32として働くP型MOSトランジスタP5、スイッチ回路Sbに接続されたクランプ回路33として働くP型MOSトランジスタP7を備える他、ゲート電極同士がスイッチ回路Saの伝送ゲート9aを介在させて接続された一対のP型MOSトランジスタP3及びP型MOSトランジスタP4、P型MOSトランジスタP3のゲート電極に対してスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bを介在させてゲート電極が接続されたP型MOSトランジスタP6を備えた第3カレントミラー回路3cと、NOR回路12及び高耐圧N型MOSトランジスタN3を備えると共に、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号に応じて電流負荷(LED4)における固定電圧の入力端と逆側の端子に印加される電圧を制御する電圧制御回路と、を備えて構成され、IC用デバイス側から観てLED4に対して電流を押し込む形式のソース電流によりLED4を直接駆動する回路である。
【0171】
このうち、第1カレントミラー回路1bにおいて、MOSトランジスタP1については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極が電流源(定電流源)8を介在して第2の電源電圧VSSに接続されると共に、ドレイン電極及びゲート電極が結線されている。MOSトランジスタP2については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ゲート電極がMOSトランジスタP1のゲート電極に接続されている。
第2カレントミラー回路2dにおいて、MOSトランジスタN1については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP2のドレイン電極と接続されている。MOSトランジスタN2については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ゲート電極がMOSトランジスタN1のゲート電極に接続されている。
【0172】
第3カレントミラー回路3cにおいて、MOSトランジスタP3については、ドレイン電極がMOSトランジスタN2のドレイン電極と接続され、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続されている。MOSトランジスタP4については、ドレイン電極がLED4に接続され、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続されている。尚、LED4の残りの端子は第2の電源電圧VSSに接続される。クランプ回路32となるMOSトランジスタP5については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP4のゲート電極とスイッチ回路Saの伝送ゲート9aとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Saの互いに接続されたインバータ10a及び伝送ゲート9aに接続されると共に、制御端子T1に接続されている。MOSトランジスタP6については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がLED4に接続されている。クランプ回路33となるMOSトランジスタP7については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP6のゲート電極とスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Sbの互いに接続されたインバータ10b及び伝送ゲート9bに接続されると共に、制御端子T2に接続されている。
【0173】
電圧制御回路において、高耐圧N型MOSトランジスタN3については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP4、P6のドレイン電極及びLED4に接続され(LED4の一端は高耐圧N型MOSトランジスタN3のドレイン電極及びMOSトランジスタP4、P6のドレイン電極の接続線に接続される)、ゲート電極がNOR回路12の出力側に接続されている。NOR回路12の入力側には制御端子T1、T2が接続されている。NOR回路12は、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号の排他的論理和信号を出力して高耐圧N型MOSトランジスタN3へゲートバイアス電圧として印加する。
【0174】
次に、第7実施形態の具体的な説明をするのに先立って、本発明の構成の基本的な考え方について、第7実施形態を参照して説明する。
第7実施形態の電流負荷駆動回路は、電流I1〜I4がそれぞれ流れる4つの第1乃至第4電流経路と、電流が流れることがなく、電圧のみが意味を持つ第1乃至第3電圧経路とを含んでいる。
第1電流経路は、MOSトランジスタP1のドレイン電極と電流源8とが接続点ND1を介在して直列接続されており、電流I1が流れる経路である。接続点ND1は接続点ND2を介在してMOSトランジスタP1、P2のゲート電極同士の結線に接続されている。
【0175】
第2電流経路は、MOSトランジスタP2のドレイン電極とMOSトランジスタN1のドレイン電極とが接続点ND3を介在して直列接続されており、電流I2が流れる経路である。接続点ND3は接続点ND4を介在してMOSトランジスタN1、N2のゲート電極同士の結線に接続されている。
第3電流経路は、MOSトランジスタP3のドレイン電極とMOSトランジスタN2のドレイン電極とが接続点ND5を介在して直列接続されており、電流I3が流れる経路である。接続点ND5はスイッチ回路Saを経由した接続点ND6を介在してMOSトランジスタP3、P4のゲート電極同士の結線とスイッチ回路Sbを経由した接続点ND7を介在してMOSトランジスタP3、P6のゲート電極同士の結線とに接続されている。
【0176】
第4電流経路は、MOSトランジスタP6のドレイン電極とMOSトランジスタN3のドレイン電極とが接続点ND8を介在して直列接続されており、電流I4が流れる経路である。接続点ND8にはLED4が接続され、LED4の残りの端子には第2の電源電圧VSSが印加される。
第1電圧経路は、MOSトランジスタP1のゲート電極とMOSトランジスタP2のゲート電極とを電気的に接続した経路であり、上記第1電流経路に電流I1が流れた結果生成される電圧のみが意味を持つ。
【0177】
第2電圧経路は、MOSトランジスタN1のゲート電極とMOSトランジスタN2のゲート電極とを電気的に接続した経路であり、上記第2電流経路に電流I2が流れた結果生成される電圧のみが意味を持つ。
第3電圧経路は、MOSトランジスタP3のゲート電極とMOSトランジスタP4のゲート電極とをスイッチ回路Saを介在して電気的に接続した経路、或いはMOSトランジスタP3のゲート電極とMOSトランジスタP4のゲート電極とをスイッチ回路Sbを介在して電気的に接続した経路であり、上記第3電流経路に電流I3が流れた結果生成される電圧のみが意味を持つ。
【0178】
このような電流経路と電圧経路とを含む回路を、半導体基板上等に作成する場合、電流経路と電圧経路とではMOSトランジスタ(能動素子)等の他に内部配線をそれぞれ含むことになる。
こうした場合、電流経路では、内部配線の長さが長くなると、内部配線に伴う配線抵抗や寄生容量によって動作特性が低下する恐れがある。一方、電圧経路では、その経路の終端は極めて高い抵抗値で終端されているとみなせるので、経路に寄生する抵抗の影響は無視でき、内部配線の長さが長くなっても動作特性が低下する恐れは殆どない。
【0179】
そこで、第7実施形態においても、半導体基板上等に作成する際、動作特性の低下をできるだけ抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくするために、回路全体を分割又は分離するようにし、その分割又は分離のための境界を電圧経路上に設けるようにする。
このような基本的な考えに基づき、第7実施形態では、回路全体を入力回路、中間回路、出力回路に分割又は分離するようにし、その分割位置又は分離位置を第1カレントミラー回路1bの電圧経路である第1電圧経路上と第2カレントミラー回路2dの電圧経路である第2電圧経路上とにそれぞれ設けるようにした。具体的には、ゲートアレイ等によって半導体基板上に作成される際、入力回路5b、中間回路6b、出力回路7gに分割した形態で半導体基板上にそれぞれ作成し、その各分割位置を内部配線によって電気的に接続するようにした。
【0180】
以下、第7実施形態の各部の動作について説明する。
第1カレントミラー回路1bでは、第1の電源電圧VDDがMOSトランジスタP1、P2のソース電極にそれぞれ印加され、MOSトランジスタP1のドレイン電極に接続された電流源8の電流I1が接続点ND1を流れ、MOSトランジスタP1、P2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I2として出力する。
【0181】
第2カレントミラー回路2dは、第1カレントミラー回路1bの出力電流I2をそれぞれソース電極に第2の電源電圧VSSが印加されたMOSトランジスタN1、N2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I3として出力する。
第3カレントミラー回路3cは、第2カレントミラー回路2dの出力電流I3をそれぞれソース電極に第1の電源電圧VDDが印加されたMOSトランジスタP3、P4、P6の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I4として出力し、この電流I4によってLED4を点灯する。
【0182】
ここで、スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、MOSトランジスタP3のゲート電極と、MOSトランジスタP4,P6それぞれのゲート電極との間の接続をオンオフする。クランプ回路32として働くMOSトランジスタP5は、制御端子T1に入力された制御信号をインバータ10aで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタP3、P4の各ゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。同様に、クランプ回路33として働くMOSトランジスタP7は、制御端子T2に入力された制御信号をインバータ10bで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタP3、P6の各ゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。伝送ゲート9a、9bには、導通状態においてもそれを構成するMOSトランジスタにオン抵抗が存在するが、接続点ND5からスイッチ回路Sa、Sb経由で接続点ND6、ND7を介在してMOSトランジスタP3及びMOSトランジスタP4、或いはMOSトランジスタP3及びMOSトランジスタP6のゲート電極に至る経路は電圧経路であるため、動作特性に影響は生じない。これらの制御端子T1、クランプ回路32となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路33となるP型MOSトランジスタP7、及びスイッチ回路Sbとは、外部から与えられる制御信号に応じて別個に制御できるもので、機能面では協働してLED4を流れる電流量を制御する制御回路(調光制御回路)となる。
【0183】
又、電圧制御回路では、制御端子T1、T2に入力された制御信号をNOR回路12で排他的論理和演算した信号(制御信号の排他的論理和信号)をゲートバイアス電圧として入力した高耐圧N型MOSトランジスタN3が、LED4の接続点ND8側の端子へ印加される電圧を他端側の電圧VSSと一致させるように働く。即ち、高耐圧N型MOSトランジスタN3には、第2の電源電圧VSSがソース電極に印加されており、NOR回路12からの排他的論理和信号出力のゲートバイアス電圧で駆動されたとき、高耐圧N型MOSトランジスタN3のソース・ドレイン間が導通した状態となるため、高耐圧N型MOSトランジスタN3のドレイン側の電圧は、ほぼソース電圧(第1の電源電圧VDD)に一致した状態となる。そのため、LED4がオンからオフへと制御されたときに、LED4の両端電圧が瞬時に一致した状態とされ、リーク電流の発生が抑制されるため、LED4の高速遮断(高速消灯)が行われる。
【0184】
即ち、第7実施形態の電流負荷駆動回路においても、LED4の両端電位差を設定した電圧値(ここでは0[V])に制御することができ、LED4をオンからオフにしたときに、LED4に発生するリーク電流を抑制して高速遮断(高速消灯)できるようにしたものである。
ところで、第7実施形態の電流負荷駆動回路に使用される各種デバイスについて、例えば第1カレントミラー回路1bにおけるMOSトランジスタP1、P2と、第2カレントミラー回路2dにおけるMOSトランジスタN1、N2と、第3カレントミラー回路3cにおけるMOSトランジスタP3、P5、P7は、電流負荷駆動回路における高耐圧N型MOSトランジスタN3や出力回路7gにおける出力増幅段となるMOSトランジスタP4、P6よりも低耐圧、低耐電流のタイプであるため、半導体基板上で作成する場合には制御端子T1、T2を含めた高耐圧、高耐電流のデバイスをその他のデバイスにおける外側の周辺部分に配置(高耐圧、高耐電流の部品を低耐圧、低耐電流の部品の外周囲に配備)すれば、MOSトランジスタP4、P6やMOSトランジスタN3に対する駆動時に生じるリーク電流が回路内へ及ぼす影響や、或いは外部から混入するノイズの影響を十分に回避できるために好ましい。
【0185】
次に、このような構成からなる第7実施形態の動作例について、図7を参照して詳細に説明する。
但し、第1カレントミラー回路1bについては、図3に示した第3実施形態の場合と同じであり、その出力電流I2は、電流I1とMOSトランジスタP1、P2のβ比とにより決定されることになる。尚、ここでも第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP1、接続点ND1を介在させて電流源8を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第1電流経路とみなせる。
【0186】
第2カレントミラー回路2dにおいては、キルヒホッフの法則により、接続点ND3ではMOSトランジスタP2により流入する電流量I2と同じ電流が流出することになる。しかし接続点ND3に接続されているのは接続点ND4を介在させたMOSトランジスタN1、N2のゲート電極であり、その終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND4から接続点ND3への電流は発生しない。その結果、MOSトランジスタN1のドレイン電極−ソース電極間には、MOSトランジスタP2で決定された電流I2が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP2、接続線ND3、MOSトランジスタN1を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第2電流経路と見なすことが出来る。
【0187】
一方、接続点ND3から接続点ND4を介してMOSトランジスタN1、N2のゲート電極に至る経路では、電流が流れることは無い。電流I2がMOSトランジスタN1のドレイン電極−ソース電極間に流れると、MOSトランジスタN1のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND3に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧が接続点ND4を介してMOSトランジスタN1のゲート電極に印加される。MOSトランジスタN1では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタN1の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND3から接続点ND4を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第2電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタN1による電圧降下分の電圧がMOSトランジスタN2のゲート電極へ印加される。
【0188】
MOSトランジスタN1、N2において、MOSトランジスタN1の閾値電圧をVTN1、MOSトランジスタN1のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSN1、MOSトランジスタN1の増幅率をβN1とすると、電流I2はI2=(βN1/2)×(VGSN1−VTN1)2なる関係で表わされる。
又、MOSトランジスタN2の閾値電圧をVTN2、MOSトランジスタN2のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSN2、MOSトランジスタN2の増幅率をβN2とすると、電流I3はI3=(βN2/2)×(VGSN2−VTN2)2なる関係で表わされる。
【0189】
MOSトランジスタN1、N2が同一特性のMOSトランジスタであると、VTN1=VTN2であり、MOSトランジスタN1のドレイン電極とゲート電極と、MOSトランジスタN2のゲート電極の電位は同一であるので、VGSN1=VGSN2となるため、電流増幅率I3/I2はI3/I2=βN2/βN1なる関係で表わされる。
これにより、第2カレントミラー回路2dにおける出力電流I3は、電流I2とMOSトランジスタN1、N2のβ比とにより決定されることになる。
【0190】
第3カレントミラー回路3cにおいては、キルヒホッフの法則により、接続点ND5ではMOSトランジスタN2により流出する電流量I3と同じ電流が流入することになる。しかし接続点ND5に接続されているのはスイッチ回路Saを介在させた接続点ND6を含むMOSトランジスタP3、P4のゲート電極、或いはスイッチ回路Sbを介在させた接続点ND7を含むMOSトランジスタP3、P6のゲート電極であり、それらの終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND6、ND7から接続点ND5への電流は発生しない。その結果、MOSトランジスタP3のソース電極−ドレイン電極間には、MOSトランジスタN2で決定された電流I3が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP2、接続点ND5、MOSトランジスタN2を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第3電流経路と見なすことが出来る。
【0191】
他方、接続点ND5からスイッチ回路Saを経由して接続点ND6を介してMOSトランジスタP3、P4のゲート電極に至る経路と、接続点ND5からスイッチ回路Sbを経由して接続点ND7を介してMOSトランジスタP3、P6のゲート電極に至る経路とでは、電流が流れることは無い。電流I3がMOSトランジスタP3のソース電極−ドレイン電極間に流れると、MOSトランジスタP3のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND5に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧がスイッチ回路Sa、Sbを経由してMOSトランジスタP3のゲート電極に印加される。MOSトランジスタP3では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタP3の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND5からスイッチ回路Sa、Sbを介在して接続点ND6、ND7を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第3電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタP3による電圧降下分の電圧がMOSトランジスタP4、P6のゲート電極へ印加される。
【0192】
尚、ここでは電圧経路を説明するため、接続点ND5、接続点ND6、及び接続点ND7の電圧の関係を上記の通り述べたが、本実施形態においては、MOSトランジスタN3、N4、N6のそれぞれのゲート電極の電圧がスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに伴い、MOSトランジスタP5、P7によってそれぞれクランプされる構成である。
スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、スイッチ回路SaについてはMOSトランジスタP3のゲート電極とMOSトランジスタP4のゲート電極との間の接続をオンオフし、スイッチ回路SbについてはMOSトランジスタP3のゲート電極とMOSトランジスタP6のゲート電極との間の接続をオンオフできる。
【0193】
スイッチ回路Saについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路32のMOSトランジスタP5(ソース電極に第1の電源電圧VDDが印加される)がMOSトランジスタP3、P4のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタP5がMOSトランジスタP3、P4のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタP4をオフにする。
【0194】
同様に、スイッチ回路Sbについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路33のMOSトランジスタP7(ソース電極に第1の電源電圧VDDが印加される)がMOSトランジスタP3、P6のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタP7がMOSトランジスタP3、P6のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタP6をオフにする。
そこで、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオンの場合、MOSトランジスタP3のゲート電圧がMOSトランジスタP4、P6のゲート電圧にそれぞれ印加されるため、MOSトランジスタP4、P6のソース電極−ドレイン電極間には、電流I3とMOSトランジスタP3の増幅率とMOSトランジスタP4、P6の各増幅率の和に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。
【0195】
又、スイッチ回路Saがオンで、スイッチ回路Sbがオフの場合、MOSトランジスタP4のソース電極−ドレイン電極間には電流I3とMOSトランジスタP3の増幅率とMOSトランジスタP4の増幅率の比に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I4は先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。更に、スイッチ回路Saがオフで、スイッチ回路Sbがオンの場合、MOSトランジスタP6のソース電極−ドレイン電極間には電流I3とMOSトランジスタP3の増幅率とMOSトランジスタP6の増幅率の比に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I4についても先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。
【0196】
このとき、電圧制御回路では、少なくとも1系統の高レベル(High)の制御信号がNOR回路12に入力されることになるため、NOR回路12からは低レベル(Low)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧N型MOSトランジスタN3に印加される。第2の電源電圧VSSがソース電極に印加されたMOSトランジスタN3は、ゲートバイアス電圧が低いために駆動されず、MOSトランジスタP4、P6で決まる電流I4が接続点ND8からLED4に流れる。接続点ND6、ND7と接続点ND8との間には電流が流れない。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP4、P6、接続点ND8、LED4を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第4電流経路と見なすことが出来る。
【0197】
更に、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオフの場合、MOSトランジスタP4、P6は何れもオフとなり、この状態では第3カレントミラー回路3cに電流I4が流れず、LED4を消灯した状態となる。
このとき、電圧制御回路では、2系統の低レベル(Low)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは高レベル(High)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧N型MOSトランジスタN3に印加される。これにより、MOSトランジスタN3は駆動してドレイン電極側の電圧が第2の電源電圧VSSとほぼ一致し、LED4の両端電位差がほぼゼロとなり、リーク電流が発生しないように働く。このため、LED4はオンからオフへと制御されたときに高速消灯される。
【0198】
MOSトランジスタP3、P4、P6において、MOSトランジスタP3の閾値電圧をVTP3、MOSトランジスタP3のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSP3、MOSトランジスタP3の増幅率をβP3とすると、電流I3はI3=(βP3/2)×(VGSP3−VTP3)2なる関係で表わされる。
また、MOSトランジスタP4の閾値電圧をVTP4、MOSトランジスタP4のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSP4、MOSトランジスタP4の増幅率をβP4とすると、MOSトランジスタP4によって流れる電流I4はI4=(βP4/2)×(VGSP4−VTP4)2なる関係で表わされる。
【0199】
同様に、MOSトランジスタP6の閾値電圧をVTP6、MOSトランジスタP6のゲート電極−ソース電極間の電圧をVGSP6、MOSトランジスタP6の増幅率をβP6とすると、MOSトランジスタP4によって流れる電流I4はI4=(βP6/2)×(VGSP6−VTP6)2なる関係で表わされる。
MOSトランジスタP3、P4、P6が同一特性のMOSトランジスタであると、VTP3=VTP4=VTP6であり、MOSトランジスタP3のドレイン電極とゲート電極と、MOSトランジスタP4、P6のゲート電極の電位は同一であるので、VGSP3=VGSP4=VGSP6となるため、電流増幅率I4/I3はI4/I3=βP4/βP3+βP6/βP3、βP4/βP3又はβP6/βP3なる関係で表わされる。
【0200】
これにより、第3カレントミラー回路3cにおける出力電流I4は、上述したスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに応じて、電流I3とMOSトランジスタP3の増幅率とMOSトランジスタP4、P6の各増幅率の和の比、或いは電流I3とMOSトランジスタP3、P4のβ比、或いは電流I3とMOSトランジスタP3、P6のβ比の何れか一つにより決定されることになる。この電流I4によりLED4を点灯する。
このように、第7実施形態では、電流源8の電流値I1を第1カレントミラー回路1b、第2カレントミラー回路2d、第3カレントミラー回路3cによって電流増幅して電流I4を得て、これにより出力回路7gからLED4に可変値にできる電流を流して調光制御可能として点灯させることができ、しかも消灯時には同等に出力回路7gに設けられた電圧制御回路によりLED4のリーク電流を抑制することができ、LED4を高速消灯できる。
【0201】
又、第7実施形態の場合、第1カレントミラー回路5b、第2カレントミラー回路6b、及び第3カレントミラー回路3cによってLED4の駆動電流が制御されると共に、LED4の駆動停止時には電圧制御回路によってLED4に大電流が発生することを防止できるため、従来、LED4と第2の電源電圧VSSとの間に介在されていた電流制限抵抗が不要となる。
【0202】
更に、第7実施形態では、回路全体を入力回路5b、中間回路6b、出力回路7gに分割し、それらの分割位置を第1カレントミラー回路1bの電圧経路上である第1電圧経路、及び第2カレントミラー回路2dの電圧経路上である第2電圧経路に設けるようにしたことにより、入力回路5b及び中間回路6bと中間回路6b及び出力回路7gとを接続するための配線に寄生する抵抗成分の影響は受けなくなる。このため、ゲート電極アレイ等で構成する場合に、その入力回路5b、中間回路6b、出力回路7gを自由な位置に配置してその両者を電気的に配線しても、配線に寄生する抵抗成分の影響は受けることなく、動作特性の低下を抑制し、所望の動作特性の維持が可能となる。従って、第7実施形態によっても、半導体基板上に各構成要素を配置して形成する場合に、動作特性の低下を抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくできる。
【0203】
尚、第7実施形態では、回路全体を入力回路5b、中間回路6b、出力回路7gに分割し、それらの分割位置を第1カレントミラー回路1bの電圧経路上である第1電圧経路、及び第2カレントミラー回路2dの電圧経路上である第2電圧経路に設けるようにした場合を説明したが、それらの分割位置は上記電圧経路上であればどこでも良く、説明した構成のものに限定されない。MOSトランジスタP4、P6、N3は、半導体装置外部に直接接続され、且つその他のMOSトランジスタP1、P2、P3、P5、P7、N1、N2と比べて大きな電流が流れるため、一般に専用の領域に配置されることが多い。特に第3カレントミラー回路3cの電圧経路上に分割位置を設けることが好ましい。このことからもMOSトランジスタP3に対してMOSトランジスタP4、P6の配置される領域は離れていることになるが、上記理由から動作特性への影響を排除できる。
【0204】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態に係る電流負荷駆動回路は、図8に示すように、第7実施形態に係る電流負荷駆動回路の基本機能がそのまま得られるように、出力回路7gに代用される出力回路7hにおける第3カレントミラー回路3dの細部構成を変更したものである。
この第3カレントミラー回路3dは、インバータ(NOT回路)10a及び伝送ゲート9aから成る第1のスイッチ回路Sa、インバータ(NOT回路)10b及び伝送ゲート9bから成る第2のスイッチ回路Sb、並びにスイッチ回路Saに接続されたクランプ回路34として働くP型MOSトランジスタP5、スイッチ回路Sbに接続されたクランプ回路35として働くP型MOSトランジスタP7を備える他、ゲート電極同士がスイッチ回路Saの伝送ゲート9aを介在させて接続された一対のP型MOSトランジスタP3及びP型MOSトランジスタP4、P型MOSトランジスタP3のゲート電極に対してスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bを介在させてゲート電極が接続されたP型MOSトランジスタP6、電圧制御回路におけるNOR回路12の出力側に接続されたインバータ(NOT回路)13、インバータ13の出力側にゲート電極が接続されたP型MOSトランジスタP8を備えて構成される。
【0205】
このうち、MOSトランジスタP3については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタN2のドレイン電極と接続されている。クランプ回路34となるMOSトランジスタP5については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP3のゲート電極とスイッチ回路Saの伝送ゲート9aとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Saの互いに接続されたインバータ10a及び伝送ゲート9aに接続されると共に、制御端子T1に接続されている。
クランプ回路35となるMOSトランジスタP7については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP6のゲート電極とスイッチ回路Sbの伝送ゲート9bとの接続線に接続され、ゲート電極がスイッチ回路Sbの互いに接続されたインバータ10b及び伝送ゲート9bに接続されると共に、制御端子T2に接続されている。
【0206】
MOSトランジスタP6については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP3のドレイン電極とMOSトランジスタN2のドレイン電極との結線、及び伝送ゲート9aに接続されると共に、MOSトランジスタP4のゲート電極と伝送ゲート9bとの結線に接続されている。
MOSトランジスタP4については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がLED4に接続され、ゲート電極が伝送ゲート9bとの結線に接続されている。尚、LED4の残りの端子は第2の電源電圧VSSに接続される。
MOSトランジスタP8については、ソース電極が第1の電源電圧VDDに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP4のゲート電極と伝送ゲート9bとの結線に接続され、ゲート電極がインバータ13の出力側(インバータ13の入力側はNOR回路12の出力側と高耐圧N型MOSトランジスタN3のゲート電極との結線に接続される)に接続されている。
【0207】
電圧制御回路において、高耐圧N型MOSトランジスタN3については、ソース電極が第2の電源電圧VSSに接続され、ドレイン電極がMOSトランジスタP4のドレイン電極及びLED4に接続され(LED4の一端は高耐圧N型MOSトランジスタN3のドレイン電極及びMOSトランジスタP4のドレイン電極の接続線に接続される)、ゲート電極がNOR回路12の出力側に接続されている。NOR回路12の入力側には、制御端子T1、T2が接続されている。NOR回路12は、制御端子T1、T2を介して外部から与えられる制御信号の排他的論理和信号を出力して高耐圧N型MOSトランジスタN3へゲートバイアス電圧として印加する。
【0208】
以下、第8実施形態の各部の動作について説明する。第1カレントミラー回路1bの動作は第7実施例で説明した場合と同様であり、MOSトランジスタP1、P2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I2を出力する。
第2カレントミラー回路2dの動作についても、第7実施例で説明した場合と同様であり、第1カレントミラー回路1bの出力電流I2をそれぞれソース電極に第2の電源電圧VSSが印加されたMOSトランジスタN1、N2の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I3として出力する。
第3カレントミラー回路3dは、第2カレントミラー回路2dの出力電流I3をそれぞれソース電極に第1の電源電圧VDDが印加されたMOSトランジスタP3、P6、P4の増幅率により決定される乗数倍に増幅して電流I4として出力し、この電流I4によってLED4を点灯する。
【0209】
ここで、スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、MOSトランジスタP3、P6のゲート電極とドレイン電極との間の接続をオンオフする。クランプ回路34として働くMOSトランジスタP5は、制御端子T1に入力された制御信号をインバータ10aで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタP3、P4の各ゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。同様に、クランプ回路35として働くMOSトランジスタP7は、制御端子T2に入力された制御信号をインバータ10bで反転した信号により駆動され、MOSトランジスタP6、P4のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定する。伝送ゲート9a、9bには、導通状態においてもそれを構成するMOSトランジスタにオン抵抗が存在するが、接続点ND5からスイッチ回路Sa、Sb経由で接続点ND6、ND7を介在してMOSトランジスタP3及びMOSトランジスタP4、或いはMOSトランジスタP6及びMOSトランジスタP4のゲート電極に至る経路は電圧経路であるため、動作特性に影響は生じない。これらの制御端子T1、クランプ回路34となるP型MOSトランジスタP5、及びスイッチ回路Saと、制御端子T2、クランプ回路35となるP型MOSトランジスタP7、及びスイッチ回路Sbとは、外部から与えられる制御信号に応じて別個に制御できるもので、機能面では協働してLED4を流れる電流量を制御する制御回路(調光制御回路)となる。
【0210】
又、電圧制御回路では、制御端子T1、T2に入力された制御信号をNOR回路12で排他的論理和演算した信号(制御信号の排他的論理和信号)をゲートバイアス電圧として入力した場合に、高耐圧N型MOSトランジスタN3のソース・ドレイン間が導通した状態となるため、高耐圧N型MOSトランジスタN3のドレイン側の電圧は、ほぼソース電圧(第2の電源電圧VSS)に一致した状態となる。そのため、LED4がオンからオフへと制御されたときに、LED4の両端電圧が瞬時に一致した状態とされ、リーク電流の発生が抑制されるため、LED4の高速遮断(高速消灯)が行われる。
即ち、第8実施形態の電流負荷駆動回路においても、LED4の両端電位差を設定した電圧値(ここでは0[V])に制御することができ、LED4をオンからオフにしたときに、LED4に発生するリーク電流を抑制して高速遮断(高速消灯)できるようにしたものである。
【0211】
ところで、第8実施形態の電流負荷駆動回路に使用される各種デバイスについて、例えば第1カレントミラー回路1bにおけるMOSトランジスタP1、P2と、第2カレントミラー回路2dにおけるMOSトランジスタN1、N2と、第3カレントミラー回路3dにおけるMOSトランジスタP3、P5、P6、P7、P8は、電流負荷駆動回路における高耐圧N型MOSトランジスタN3や出力回路7hにおける出力増幅段となるMOSトランジスタP4よりも低耐圧、低耐電流のタイプであるため、半導体基板上で作成する場合には制御端子T1、T2を含めた高耐圧、高耐電流のデバイスをその他のデバイスにおける外側の周辺部分に配置(高耐圧、高耐電流の部品を低耐圧、低耐電流の部品の外周囲に配備)すれば、MOSトランジスタP4やMOSトランジスタN3に対する駆動時に生じるリーク電流が回路内へ及ぼす影響や、或いは外部から混入するノイズの影響を十分に回避できるために好ましい。
【0212】
次に、このような構成からなる第8実施形態の動作例について、図8を参照して詳細に説明する。
尚、第8実施形態の場合、第2カレントミラー回路2dで流出する電流I3までの説明は、第7実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
第3カレントミラー回路3dにおいては、キルヒホッフの法則により、接続点ND5ではMOSトランジスタN2により流出する電流量I3と同じ電流が流入することになる。
しかし接続点ND5に接続されているのはスイッチ回路Saを介在させた接続点ND6を含むMOSトランジスタP3、P4のゲート電極、或いはスイッチ回路Sbを介在させた接続点ND7を含むMOSトランジスタP6、P4のゲート電極であり、それらの終端抵抗値が極めて大きいため、接続点ND6、ND7から接続点ND5への電流は発生しない。その結果、MOSトランジスタP3、P6のソース電極−ドレイン電極間には、MOSトランジスタN2で決定された電流I3が流れることになる。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP3、P6、接続点ND5、MOSトランジスタN2を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第3電流経路と見なすことが出来る。
【0213】
他方、接続点ND5からスイッチ回路Saを経由して接続点ND6を介してMOSトランジスタP3のゲート電極に至る経路と、接続点ND5からスイッチ回路Sbを経由して接続点ND7を介してMOSトランジスタP6、P4のゲート電極に至る経路とでは、電流が流れることは無い。電流I3がMOSトランジスタP3、P6のソース電極−ドレイン電極間に流れると、MOSトランジスタP3、P6のオン抵抗により電圧降下が発生するため、接続点ND5に電圧が発生する。この電圧降下により発生した電圧がスイッチ回路Sa、Sbを経由してMOSトランジスタP3、P6のゲート電極に印加される。MOSトランジスタP3、P6では、ゲート電極の電圧と、これによるオン抵抗とにより、MOSトランジスタP3、P6の任意の動作点で安定する。このため、接続点ND5からスイッチ回路Sa、Sbを介在して接続点ND6、ND7を経由する経路は、その経路の電圧のみが動作に影響を与えるため、第3電圧経路と見なすことが出来、MOSトランジスタP3、P6による電圧降下分の電圧がMOSトランジスタP4のゲート電極へ印加される。
【0214】
尚、ここでは電圧経路を説明するため、接続点ND5、接続点ND6、及び接続点ND7の電圧の関係を上記の通り述べたが、本実施形態においては、MOSトランジスタP3、P6、P4のそれぞれのゲート電極の電圧がスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに伴い、MOSトランジスタP5、P7によってそれぞれクランプされる構成である。
スイッチ回路Sa、Sbは、それぞれ制御端子T1、T2に入力された制御信号によって、スイッチ回路SaについてはMOSトランジスタP3のゲート電極とMOSトランジスタP4のゲート電極との間の接続をオンオフし、スイッチ回路SbについてはMOSトランジスタP6のゲート電極とMOSトランジスタP4のゲート電極との間の接続をオンオフできる。
【0215】
スイッチ回路Saについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路34のMOSトランジスタP5(ソース電極に第1の電源電圧VDDが印加される)がMOSトランジスタP3、P4のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタP5がMOSトランジスタP3、P4のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタP4をオフにする。
【0216】
同様に、スイッチ回路Sbについては、制御信号により高レベル(High)を入力してオンとするときは、クランプ回路35のMOSトランジスタP7(ソース電極に第1の電源電圧VDDが印加される)がMOSトランジスタP6、P4のゲート電極を第1の電源電圧VDDに固定し、低レベル(Low)を入力してオフとするときは、MOSトランジスタP7が制御端子T2に入力された制御信号をインバータ10bで反転した信号によってMOSトランジスタP6、P4のゲート電極を第1の電源電圧VDDから切り離し、MOSトランジスタP4をオフにする。
【0217】
そこで、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオンの場合、MOSトランジスタP3、P6のゲート電圧がMOSトランジスタP4のゲート電圧に印加されるため、MOSトランジスタP4のソース電極−ドレイン電極間には、電流I3とMOSトランジスタP3、P6の各増幅率とMOSトランジスタP4の増幅率の和に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。
【0218】
又、スイッチ回路Saがオンで、スイッチ回路Sbがオフの場合、MOSトランジスタP4のソース電極−ドレイン電極間には電流I3とMOSトランジスタP3の増幅率とMOSトランジスタP4の増幅率の比に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I4は先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。更に、スイッチ回路Saがオフで、スイッチ回路Sbがオンの場合、MOSトランジスタP6のソース電極−ドレイン電極間には電流I3とMOSトランジスタP3の増幅率とMOSトランジスタP6の増幅率の比に比例した電流I4が流れ、これによりLED4が点灯される。但し、この場合の電流I4についても先の両方がオンの場合よりも少なく、LED4は減光する。
【0219】
このとき、電圧制御回路では、少なくとも1系統の高レベル(High)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは低レベル(Low)の信号(制御信号の排他的論理和信号)がゲートバイアス電圧として高耐圧N型MOSトランジスタN3に印加される。第2の電源電圧VSSがソース電極に印加されたMOSトランジスタN3は、ゲートバイアス電圧が低いために駆動されず、MOSトランジスタP4を流れる電流I4が接続点ND8からLED4に流れる。接続点ND6、ND7と接続点ND8との間には電流が流れない。このことから、第1の電源電圧VDDの印加部からMOSトランジスタP4、接続点ND8、LED4を経由して第2の電源電圧VSSの印加部に至る経路は、第4電流経路と見なすことが出来る。因みに、同時に低レベル(Low)の制御信号の排他的論理和信号(ゲートバイアス電圧)はインバータ13に入力され、インバータ13はそれを反転した高レベル(High)の制御信号をゲートバイアス電圧としてMOSトランジスタP8のゲート電極に印加する。このとき、MOSトランジスタP8は駆動してMOSトランジスタP4のゲートバイアス電圧が所定値以上となるように昇圧する。即ち、インバータ13及びMOSトランジスタP8は、スイッチ回路Sa、Sbの何れかがオンである場合、出力増幅段のMOSトランジスタP4を安定動作させるための補間回路として働く。
【0220】
更に、スイッチ回路Sa、Sbが何れもオフの場合、MOSトランジスタP4はオフとなり、この状態では第3カレントミラー回路3dには電流が流れず、LED4を消灯した状態となる。
このとき、電圧制御回路では、2系統の低レベル(Low)の制御信号がNOR回路12に入力されるため、NOR回路12からは高レベル(High)の制御信号の排他的論理和信号がゲートバイアス電圧として高耐圧N型MOSトランジスタN3に印加される。これにより、MOSトランジスタN3は駆動してドレイン電極側の電圧が第2の電源電圧VSSとほぼ一致し、LED4の両端電位差がほぼゼロとなり、リーク電流が発生しないように働く。このため、LED4はオンからオフへと制御されたときに高速消灯される。因みに、補間回路では、同時に高レベル(High)の制御信号の排他的論理和信号(ゲートバイアス電圧)がインバータ13に入力され、インバータ13はそれを反転した低レベル(Low)の制御信号をゲートバイアス電圧としてMOSトランジスタP8のゲート電極に印加する。このため、MOSトランジスタP8が駆動せずにMOSトランジスタP4のゲートバイアス電圧は所定値未満となるように降圧される。
【0221】
即ち、第3カレントミラー回路3dにおける出力電流I4は、補間回路のMOSトランジスタP8による出力増幅段のMOSトランジスタP4の昇圧機能を合わせれば、第7実施例の場合と同様になり、上述したスイッチ回路Sa、Sbのオンオフに応じて、電流I3とMOSトランジスタP3、P6の各増幅率とMOSトランジスタP4の増幅率の和の比、或いは電流I3とMOSトランジスタP3、P4のβ比、或いは電流I3とMOSトランジスタP6、P4のβ比の何れか一つにより決定されることになる。この電流I4によりLED4を点灯する。
【0222】
このように、第8実施形態の場合も、電流源8の電流値I1を第1カレントミラー回路1b、第2カレントミラー回路2d、第3カレントミラー回路3dによって電流増幅して電流I4を得て、これにより出力回路7hからLED4に可変値にできる電流を流して調光制御可能として点灯させることができ、しかも消灯時には同等に出力回路7hに設けられた電圧制御回路によりLED4のリーク電流を抑制することでき、LED4を高速消灯できる。
又、第8実施形態の場合も、第1カレントミラー回路1b、第2カレントミラー回路2d、及び第3カレントミラー回路3dによってLED4の駆動電流が制御されると共に、LED4の駆動停止時には電圧制御回路によってLED4に大電流が発生することを防止できるため、従来、LED4と第1の電源電圧VDDとの間に介在されていた電流制限抵抗が不要となる。
【0223】
更に、第8実施形態においても、回路全体を入力回路5b、中間回路6b、出力回路7hに分割し、それらの分割位置を第1カレントミラー回路1bの電圧経路上である第1電圧経路、及び第2カレントミラー回路2dの電圧経路上である第2電圧経路に設けるようにしたことにより、入力回路5b及び中間回路6bと中間回路6b及び出力回路7hとを接続するための配線に寄生する抵抗成分の影響は受けなくなる。このため、ゲート電極アレイ等で構成する場合に、その入力回路5b、中間回路6b、出力回路7hを自由な位置に配置してその両者を電気的に配線しても、配線に寄生する抵抗成分の影響は受けることなく、動作特性の低下を抑制し、所望の動作特性の維持が可能となる。従って、第8実施形態によっても、半導体基板上に各構成要素を配置して形成する場合に、動作特性の低下を抑制しつつ、各構成要素の配置の自由度を大きくできる。
【0224】
尚、第8実施形態では、回路全体を入力回路5b、中間回路6b、出力回路7hに分割し、それらの分割位置を第1カレントミラー回路1bの電圧経路上である第1電圧経路、及び第2カレントミラー回路2dの電圧経路上である第2電圧経路に設けるようにした場合を説明したが、それらの分割位置は上記電圧経路上であればどこでも良く、説明した構成のものに限定されない。MOSトランジスタP4、N3は、半導体装置外部に直接接続され、且つその他のMOSトランジスタP1、P2、P3、P5、P6、P7、P8、N1、N2と比べて大きな電流が流れるため、一般に専用の領域に配置されることが多い。特に第3カレントミラー回路3dの電圧経路上に分割位置を設けることが好ましい。このことからもMOSトランジスタP3に対してMOSトランジスタP4、P6の配置される領域は離れていることになるが、上記理由から動作特性への影響を排除できる。
上述した第1乃至第8実施形態の電流負荷駆動回路の場合、何れもLED4に接続された第2カレントミラー回路2a〜2dや第3カレントミラー回路3a〜3dが一つで構成された場合を説明したが、これらの回路を複数の多段構成にして各LED4に流れる電流を個別又は一括してオンオフ制御するように応用した構成に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電流負荷駆動回路の概略構成を示した回路図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る電流負荷駆動回路の概略構成を示した回路図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る電流負荷駆動回路の概略構成を示した回路図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る電流負荷駆動回路の概略構成を示した回路図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る電流負荷駆動回路の概略構成を示した回路図である。
【図6】本発明の第6実施形態に係る電流負荷駆動回路の概略構成を示した回路図である。
【図7】本発明の第7実施形態に係る電流負荷駆動回路の概略構成を示した回路図である。
【図8】本発明の第8実施形態に係る電流負荷駆動回路の概略構成を示した回路図である。
【符号の説明】
【0226】
1a、1b 第1カレントミラー回路、2a、2b、2c、2d 第2カレントミラー回路、3a、3b、3c、3d 第3カレントミラー回路、4 LED、5a、5b 入力回路、6a、6b 中間回路、7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g、7h 出力回路、8 電流源、9a、9b 伝送ゲート、10a、10b、13 インバータ(NOT回路)、12 NOR回路、20〜35 クランプ回路、N1〜N7 N型MOSトランジスタ、P1〜P8 P型MOSトランジスタ、Sa、Sb スイッチ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流負荷を駆動する電流負荷駆動回路であって、
第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅した電流によって前記電流負荷を駆動する第2カレントミラー回路と、を備え、
前記第1カレントミラー回路及び前記第2カレントミラー回路の全体を前記第1カレントミラー回路又は前記第2カレントミラー回路の電圧経路上で分割した入力回路、出力回路を有し、
前記出力回路は、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷を流れる電流量を制御する電流制御回路と、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷における一端の電圧を他端の電圧と一致させる電圧制御回路と、を有することを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項2】
電流負荷を駆動する電流負荷駆動回路であって、
第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅した電流によって前記電流負荷を駆動する第2カレントミラー回路と、を備え、
前記第1カレントミラー回路及び前記第2カレントミラー回路は、全体が前記第1カレントミラー回路又は前記第2カレントミラー回路の電圧経路上で分割されて入力回路、出力回路を成すように半導体基板上に作成され、
前記出力回路は、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷を流れる電流量を制御する電流制御回路と、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷における一端の電圧を他端の電圧と一致させる電圧制御回路と、を有することを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項3】
前記第1カレントミラー回路は、少なくとも一対の一導電型の電界効果トランジスタを有し、
前記第2カレントミラー回路は、少なくとも一対の前記一導電型とは逆極性の逆導電型の電界効果トランジスタを有し、
前記電圧制御回路は、前記一導電型の高耐圧電界効果トランジスタを有し、
前記高耐圧電界効果トランジスタと、前記第2カレントミラー回路における前記逆導電型の電界効果トランジスタのうちの出力増幅段側のものとは、前記半導体基板上で前記第1カレントミラー回路における前記一導電型の電界効果トランジスタ、及び前記第2カレントミラー回路における前記逆導電型の電界効果トランジスタの入力増幅段側のものよりも外側の周辺部分に配置されたことを特徴とする請求項2記載の電流負荷駆動回路。
【請求項4】
前記電圧制御回路は、前記制御信号を与えるための制御端子と、前記高耐圧電界効果トランジスタとしてのN型MOSトランジスタのゲート電極側へ印加するゲートバイアス電圧を前記制御信号の排他的論理和信号出力として生成するNOR回路と、を備え、
前記制御端子は、前記半導体基板上で周辺部分に配置されたことを特徴とする請求項3記載の電流負荷駆動回路。
【請求項5】
電流負荷を駆動する電流負荷駆動回路であって、
第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅して出力するする第2カレントミラー回路と、
前記第2カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅した電流によって前記電流負荷を駆動する第3カレントミラー回路と、を備え、
前記第1乃至第3乃至第3カレントミラー回路の全体を前記第1カレントミラー回路及び前記第2カレントミラー回路の電圧経路上で分割した入力回路、中間回路、出力回路を有し、
前記出力回路は、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷を流れる電流量を制御する電流制御回路と、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷における一端の電圧を他端の電圧と一致させる電圧制御回路と、を有することを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項6】
電流負荷を駆動する電流負荷駆動回路であって、
第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅して出力するする第2カレントミラー回路と、
前記第2カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅した電流によって前記電流負荷を駆動する第3カレントミラー回路と、を備え、
前記第1乃至第3カレントミラー回路は、全体が前記第1カレントミラー回路及び前記第2カレントミラー回路の電圧経路上で分割されて入力回路、中間回路、出力回路を成すように半導体基板上に作成され、
前記出力回路は、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷を流れる電流量を制御する電流制御回路と、外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷における一端の電圧を他端の電圧と一致させる電圧制御回路と、を有することを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項7】
前記第1カレントミラー回路は、少なくとも一対の一導電型の電界効果トランジスタを有し、
前記第2カレントミラー回路は、少なくとも一対の前記一導電型とは逆極性の逆導電型の電界効果トランジスタを有し、
前記第3カレントミラー回路は、少なくとも一対の前記一導電型の電界効果トランジスタを有し、
前記電圧制御回路は、前記逆導電型の高耐圧電界効果トランジスタを有し、
前記高耐圧電界効果トランジスタと、前記第3カレントミラー回路における前記一導電型の電界効果トランジスタのうちの出力増幅段側のものとは、前記半導体基板上で前記第1カレントミラー回路における前記一導電型の電界効果トランジスタ、前記第2カレントミラー回路における前記逆導電型の電界効果トランジスタ、及び前記第3カレントミラー回路における前記一導電型の電界効果トランジスタの入力増幅段側のものよりも外側の周辺部分に配置されたことを特徴とする請求項6記載の電流負荷駆動回路。
【請求項8】
前記電圧制御回路は、前記制御信号を与えるための制御端子と、前記高耐圧電界効果トランジスタとしてのN型MOSトランジスタのゲート電極側へ印加するゲートバイアス電圧を前記制御信号の排他的論理和信号出力として生成するNOR回路と、を備え、
前記制御端子は、前記半導体基板上で周辺部分に配置されたことを特徴とする請求項7記載の電流負荷駆動回路。
【請求項9】
電流負荷を駆動する電流負荷駆動回路であって、
第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路の出力電流を入力電流とし、この入力電流を増幅した電流によって前記電流負荷を駆動する第2カレントミラー回路と、
外部から与えられる制御信号に応じて前記電流負荷を流れる電流量を制御する電流制御回路と、
前記電流負荷の駆動停止時に、該電流負荷の両端電位差を、設定した電圧値とする電位差設定手段と、を備えることを特徴とする電流負荷駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−302844(P2009−302844A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154338(P2008−154338)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】