説明

電界効果トランジスタおよびエピタキシャル基板

【課題】二次元正孔ガスの電気伝導を避けることができる構造を有しておりWruzite構造の窒化物系材料から成る電界効果トランジスタを提供する。
【解決手段】AlN支持基体13は、Wruzite構造を有する結晶からなり、導電性或いは絶縁性の支持体である。AlNエピタキシャル層15は、AlN支持基体13のN面エリア上に設けられている。GaNエピタキシャル層17は、AlNエピタキシャル層15上に設けられている。ゲート電極19は、GaNエピタキシャル層17上に設けられており、該GaNエピタキシャル層17にショットキ接合する。ゲート電極19は、二次元電子ガス23の伝導を制御する。ソース電極25およびドレイン電極27には、該ゲート電極19によって制御される電流が流れる。ヘテロ接合21の界面に二次元正孔ガスが形成されることなく、電界効果トランジスタ11の伝導が二次元電子ガス23を介して提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界効果トランジスタおよびエピタキシャル基板に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、ヘテロ構造を有する電界効果トランジスタが記載されている。この電界効果トランジスタは、AlGaN/GaN/AlN構造を有しており、またAlN基板のAl面上に順に設けられたAlN層、アンドープGaN層およびAlGaN層を含む。ゲート電極は、AlGaN層にショットキ接合を成す。この電界効果トランジスタでは、AlN層とAlGaN層との間にアンドープGaN層が位置しており、基板の材料のバンドギャップがAlGaNのバンドギャップより大きい。
【非特許文献1】Applied PhysicsLetters,82(2003) pp.1299-1301
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明者の知見によれば、非特許文献1に記載された電界効果トランジスタでは、AlGaN/GaN界面に二次元電子ガスが生成される。さらに、AlN/GaN界面には、二次元正孔ガスが生成される。この電界効果トランジスタでは、二次元電子ガスだけではなく、二次元正孔ガスも電気伝導に寄与する。この二次元正孔ガスは、上記二次元電子ガスに比べて、AlGaN層上に設けられたゲート電極によって制御されにくいので、トランジスタ特性が悪化する。
【0004】
本発明は、二次元正孔ガスの電気伝導を避けることができる構造を有しておりWruzite構造の窒化物系材料から成る電界効果トランジスタおよびこの電界効果トランジスタのためのエピタキシャル基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によれば、電界効果トランジスタは、(a)Wruzite構造のAlGa1−XN支持基体(0<X≦1)と、(b)前記AlGa1−XN支持基体のN面上に設けられたAlGa1−XNエピタキシャル層と、(c)前記AlGa1−XNエピタキシャル層上に設けられたAlGa1−YNエピタキシャル層(0≦Y<1、Y<X)と、(d)前記AlGa1−YNエピタキシャル層にショットキ接合を成すゲート電極と、(e)前記AlGa1−YNエピタキシャル層上に設けられたソース電極と、(f)前記AlGa1−YNエピタキシャル層上に設けられたドレイン電極とを備える。
【0006】
この電界効果トランジスタによれば、AlGa1−XN支持基体のN面上に設けられたAlGa1−XNエピタキシャル層とAlGa1−YNエピタキシャル層とのヘテロ接合を含むので、該電界効果トランジスタにおいて二次元正孔ガスが形成されることなく、該ヘテロ接合の界面の二次元電子ガスがトランジスタの伝導に寄与する。
【0007】
本発明に係る電界効果トランジスタでは、前記AlGa1−XNエピタキシャル層の厚みは50nm以上であることが好ましい。AlGa1−XNエピタキシャル層の厚みが50nm以上であれば、良好な結晶品質のAlGa1−XNを形成できる。
【0008】
本発明の一側面の電界効果トランジスタでは、前記AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みは1nm以上且つ100nm以下であることが好ましい。この電界効果トランジスタでは、AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みが1nm以上であるので、充分な密度の二次元電子ガスが蓄積される。また、AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みが100nm以下であれば、良好な結晶品質のAlGa1−YNをAlGa1−XN層上に形成できる。
【0009】
本発明の別の側面によれば、電界効果トランジスタは、(a)Wruzite構造のAlN支持基体と、(b)前記AlN支持基体のN面上に設けられたAlNエピタキシャル層と、(c)前記AlNエピタキシャル層上に設けられたAlGa1−YNエピタキシャル層(0<Y<1)と、(d)前記AlGa1−YNエピタキシャル層にショットキ接合を成す電極と、(e)前記AlGa1−YNエピタキシャル層上に設けられたソース電極と、(f)前記AlGa1−YNエピタキシャル層上に設けられたドレイン電極とを備える。
【0010】
この電界効果トランジスタでは、AlN支持基体のN面上に設けられたAlNエピタキシャル層とAlGa1−YNエピタキシャル層とのヘテロ接合を含むので、該電界効果トランジスタに二次元正孔ガスが形成されることなく、該ヘテロ接合の界面の二次元電子ガスがトランジスタの伝導に寄与する。
【0011】
本発明の別の側面に係る電界効果トランジスタでは、前記AlNエピタキシャル層の厚みは、50nm以上であることが好ましい。この電界効果トランジスタによれば、AlNエピタキシャル層の厚みが50nm以上であれば、良好な結晶品質のAlNを形成できる。
【0012】
本発明の別の側面によれば、電界効果トランジスタは、前記AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みは1nm以上且つ100nm以下であることが好ましい。この電界効果トランジスタでは、AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みが1nm以上であるので、充分な密度の二次元電子ガスが蓄積される。また、AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みが100nm以下であれば、良好な結晶品質のAlGaNをAlN層上に形成できる。
【0013】
本発明の別の側面によれば、電界効果トランジスタは、(a)Wruzite構造のAlN支持基体と、(b)前記AlN支持基体のN面上に設けられたAlNエピタキシャル層と、(c)前記AlNエピタキシャル層上に設けられたGaNエピタキシャル層と、(d)前記GaNエピタキシャル層にショットキ接合を成すゲート電極と、(e)前記AlNエピタキシャル層上に設けられたソース電極と、(f)前記AlNエピタキシャル層上に設けられたドレイン電極とを備える。
【0014】
AlN支持基体のN面上に設けられたAlNエピタキシャル層とGaNエピタキシャル層とのヘテロ接合を含むので、該電界効果トランジスタに二次元正孔ガスが形成されることなく、該ヘテロ接合の界面の二次元電子ガスがトランジスタの伝導に寄与する。
【0015】
本発明の別の側面の電界効果トランジスタでは、前記AlNエピタキシャル層の厚みは50nm以上であることが好ましい。この電界効果トランジスタによれば、AlNエピタキシャル層の厚みが50nm以上であれば、良好な結晶品質のAlNを形成できる。
【0016】
本発明の別の側面に係る電界効果トランジスタでは、前記GaNエピタキシャル層の厚みは1nm以上且つ100nm以下であることが好ましい。この電界効果トランジスタによれば、GaNエピタキシャル層の厚みが1nm以上であるので、充分な密度の二次元電子ガスが蓄積される。また、GaNエピタキシャル層の厚みが100nm以下であれば、良好な結晶品質のGaNをAlN層上に形成できる。
【0017】
本発明の上記のいくつかの側面に係る電界効果トランジスタでは、前記ソース電極の材料は、Ti、Al、Au、Pt、Pd、Moの少なくともいずれかを含むことが好ましく、前記ドレイン電極の材料は、Ti、Al、Au、Pt、Pd、Moの少なくともいずれかを含むことが好ましい。該電界効果トランジスタによれば、好適なソース電極およびドレイン電極が提供される。
【0018】
本発明の上記のいくつかの側面に係る電界効果トランジスタでは、前記ゲート電極の材料は、Ni,Au,Pt,Pdの少なくともいずれかを含むことが好ましい。該電界効果トランジスタによれば、ゲート電極に好適なショットキ接合が提供される。
【0019】
本発明の更なる別の側面によれば、エピタキシャル基板は、(a)Wruzite構造のAlGa1−XN基板(0<X≦1)と、(b)前記AlGa1−XN基板のN面上に設けられたAlGa1−XNエピタキシャル膜と、(c)前記AlGa1−XNエピタキシャル膜上に設けられたAlGa1−YNエピタキシャル膜(0≦Y<1、Y<X)とを備える。
【0020】
このエピタキシャル基板では、AlGa1−XN基板のN面上に設けられたAlGa1−XNエピタキシャル膜とAlGa1−YNエピタキシャル膜とのヘテロ接合を含むので、該ヘテロ接合の界面に二次元正孔ガスが形成されることなく、二次元電子ガスが伝導に寄与する。故に、このエピタキシャル基板は、二次元正孔ガスではなく二次元電子ガスを利用して動作するトランジスタに好適である。
【0021】
本発明の更なる別の側面に係るエピタキシャル基板では、前記AlGa1−XNエピタキシャル層の厚みは50nm以上であることが好ましい。このエピタキシャル基板によれば、AlGa1−XNエピタキシャル層の厚みが50nm以上であれば、良好な結晶品質のAlGa1−XNを形成できる。
【0022】
本発明の更なる別の側面に係るエピタキシャル基板では、前記AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みは1nm以上且つ100nm以下であることが好ましい。このエピタキシャル基板によれば、AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みが1nm以上であるので、電界効果トランジスタのために充分な密度の二次元電子ガスが蓄積される。また、AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みが100nm以下であれば、電界効果トランジスタのために良好な結晶品質のAlGa1−YNをAlGa1−XN上に形成できる。
【0023】
本発明の更なる別の側面に係るエピタキシャル基板では、前記AlGa1−XN基板はAlN基板であり、前記AlGa1−XNエピタキシャル膜はAlNエピタキシャル膜であることができる。エピタキシャル基板は、主面にN面を有するAlN基板上に設けられたAlN膜とAlGa1−YN膜とのヘテロ接合を含むので、二次元電子ガスの伝導のみを利用して動作するトランジスタに好適なエピタキシャル基板が提供される。
【0024】
本発明の更なる別の側面に係るエピタキシャル基板では、前記AlGa1−YNエピタキシャル膜はGaNエピタキシャル膜であることが好ましい。このエピタキシャル基板は、AlN基板のN面上に設けられたAlN膜とGaN膜とのヘテロ接合を含むので、二次元正孔ガスではなく二次元電子ガスを利用して動作するトランジスタに好適である。
【0025】
本発明の更なる別の側面に係るエピタキシャル基板では、前記AlNエピタキシャル膜の厚みは50nm以上であることが好ましい。このエピタキシャル基板によれば、AlNエピタキシャル層の厚みが50nm以上であれば、良好な結晶品質のAlNを形成できる。
【0026】
本発明の更なる別の側面に係るエピタキシャル基板では、前記GaNエピタキシャル膜の厚みは1nm以上且つ100nm以下であることが好ましい。このエピタキシャル基板によれば、GaNエピタキシャル層の厚みが1nm以上であるので、電界効果トランジスタのために充分な密度の二次元電子ガスが蓄積される。また、GaNエピタキシャル層の厚みが100nm以下であれば、電界効果トランジスタのために良好な結晶品質のGaNをAlN層上に形成できる。
【0027】
本発明の更なる別の側面に係るエピタキシャル基板では、該前記AlGa1−XN基板の主面は一または複数のエリアを有しており、該エリアの少なくとも一つには前記AlGa1−XN基板のN面が現れているようにしてもよい。
【0028】
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、二次元正孔ガスの電気伝導を避けることができる構造を有しておりWruzite構造の窒化物系材料から成る電界効果トランジスタおよびこの電界効果トランジスタのためのエピタキシャル基板が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の電界効果トランジスタおよびエピタキシャル基板に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る電界効果トランジスタを示す図面である。この電界効果トランジスタ11は、AlN支持基体13と、AlNエピタキシャル層15と、GaNエピタキシャル層17と、ゲート電極19とを備える。AlN支持基体13は、Wruzite構造を有する結晶からなり、導電性或いは絶縁性の支持体である。AlNエピタキシャル層15は、AlN支持基体13のN面エリア上に設けられている。GaNエピタキシャル層17は、AlNエピタキシャル層15上に設けられている。
【0032】
AlN支持基体13のN面上に設けられたAlNエピタキシャル層15とGaNエピタキシャル層17とのヘテロ接合21を含むので、該ヘテロ接合21の界面に二次元正孔ガスが形成されることなく、トランジスタ11の伝導が二次元電子ガス23を介して提供される。
【0033】
ゲート電極19は、GaNエピタキシャル層17上に設けられており、該GaNエピタキシャル層17にショットキ接合する。ゲート電極19は、二次元電子ガス23の伝導を制御する。ソース電極25およびドレイン電極27には、該ゲート電極19によって制御される電流が流れる。既に説明したように、AlNエピタキシャル層15はAlN支持基体13の主面13aのN面エリア上に設けられており、これ故に、AlNエピタキシャル層15の表面15aには、AlN支持基体13のN面エリアに対応してN面が現れる。また、GaNエピタキシャル層17はAlNエピタキシャル層15上に設けられており、これ故に、GaNエピタキシャル層17の表面17aには、AlNエピタキシャル層15のN面エリアに対応してN面が現れる。
【0034】
AlNは高い熱伝導率を有しているので、トランジスタ11は放熱性に優れる。GaNエピタキシャル層17は、例えばアンドープである。また、AlNエピタキシャル層15は、例えばアンドープであることが好ましく、しかしながらn型ドーパントを含んでいてもよい。GaNエピタキシャル層17の窒化ガリウムのバンドギャップはAlNエピタキシャル層15の窒化アルミニウムのバンドギャップより小さい。二次元電子ガス23は、GaNエピタキシャル層17とAlNエピタキシャル層15の界面のGaNエピタキシャル層側に蓄積され、GaNエピタキシャル層17内を走行する。窒化ガリウムのバンドギャップが窒化アルミニウムのバンドギャップより小さいので、ソース電極25およびドレイン電極27は、GaNエピタキシャル層17に接合することが好ましい。
【0035】
電界効果トランジスタ11では、AlNエピタキシャル層15の厚みD1が50nm以上であれば、良好な結晶品質のAlNを形成できる。また、AlNエピタキシャル層15の厚みD1が100μm以下であれば、実用的であり、また良好な結晶品質のAlNを形成できる。また、電界効果トランジスタ11では、AlGa1−YNエピタキシャル層17の厚みD2が1nm以上であれば、充分な密度の二次元電子ガスが蓄積される。また、AlGa1−YNエピタキシャル層17の厚みD2が100nm以下であれば、良好な結晶品質のGaNをAlN層上に形成できる。
【0036】
(実施例1)
次のような作製法により、図2(A)に示される構造の電界効果トランジスタを形成する。Wruzite構造のAlN基板31のN面上に、0.5μm厚のAlN膜33を堆積する。このAlN膜33上に、30nm厚のGaN膜35を堆積する。これらのエピタキシャル成長は、減圧MOCVD装置を用いて行われる。原料としては、例えばTMAl、TMG、NHを用いることができる。本実施例では、いずれの層もアンドープである。GaN膜上にTi/Al/Ti/Auから成るソース電極37a及びドレイン電極37bを形成する。次いで、Auから成るゲート電極37cを作製する。ゲート長は、例えば2μmである。
【0037】
一方、図2(B)に示される構造の電界効果トランジスタを形成する。Wruzite構造のAlN基板41のAl面上に、0.5μm厚のAlN膜43を堆積する。このAlN膜43上に、100nm厚のGaN膜45を堆積する。このGaN膜45上に、30nm厚のAl0.2Ga0.8N膜47を堆積する。これらのエピタキシャル成長は、減圧MOCVD装置を用いて行われる。原料としては、例えばTMAl、TMG、NHを用いることができる。本実施例では、いずれの層もアンドープである。AlGaN膜上にTi/Al/Ti/Auから成るソース電極49a及びドレイン電極49bを形成する。次いで、Auから成るゲート電極49cを作製する。ゲート長は、例えば2μmである。
【0038】
図3(A)は、図2(A)に示される構造の電界効果トランジスタの電流特性Aを示す図面である。図3(B)は、図2(B)に示される構造の電界効果トランジスタの電流特性Bを示す図面である。横軸はソース−ドレイン電圧を示し、縦軸はドレイン電流を示している。図3(A)および図3(B)の各々には、ゲート電圧に応じて、いくつかのI−V特性が描かれている。電流特性Aを電流特性Bとを比較すると、特性Bではゲート電圧が深く(マイナス側に大きく)ソース−ドレイン電圧が大きいとき、特性Aに比べて、ゲートバイアスによってはトランジスタが充分にオフさせることができていない。故に、電界効果トランジスタの電流特性Aは、ピンチオフ特性に優れていることが理解される。
【0039】
本構造のトランジスタは、Wruzite構造のAlN基板のN面上に成長された複数のエピタキシャル層を含む構造(AlN/GaN構造)を有しているので、AlN基板上に良質な結晶が成長される。また、AlN/GaN構造のうちのAlNは、AlN基板のN面上にホモ接合をするので、AlNホモエピタキシャル層は結晶欠陥の少ない良好な品質の結晶から成る。この結果、AlNホモエピタキシャル層上に成長されるGaN層も、また結晶欠陥の少ない良好な品質の結晶から成る。この結果、優れた品質のAlN/GaNヘテロ接合が形成される。また、このヘテロ接合がAlN基板のN面上に形成されるので、伝導に有効に寄与する二次元電子ガスがAlN/GaN界面に形成されると共に二次元正孔ガスが形成されないので、高性能なトランジスタ動作が可能になる。つまり、サファイア基板等を用いたのでは、本実施の形態のような優れた構造は実現できない。さらに、本実施の形態ではヘテロ接合がAlN/GaN構造であるので、ヘテロ界面における伝導帯エネルギー差△Eが大きくなり、リーク電流が少なくピンチオフ特性の優れたトランジスタ動作が可能になる。
【0040】
(第2の実施の形態)
図4は、本実施の形態に係る電界効果トランジスタを示す図面である。この電界効果トランジスタ51は、AlN支持基体53と、AlNエピタキシャル層55と、AlGa1−YNエピタキシャル層(0<Y<1)57と、ゲート電極59とを備える。AlN支持基体53は、Wruzite構造を有する結晶からなり、導電性或いは絶縁性の支持体である。AlNエピタキシャル層55は、AlN支持基体53のN面エリア上に設けられている。AlGa1−YNエピタキシャル層57は、AlNエピタキシャル層55上に設けられている。
【0041】
AlN支持基体53のN面上に設けられたAlNエピタキシャル層55とAlGa1−YNエピタキシャル層57とのヘテロ接合61を含むので、二次元正孔ガスが形成されることなく、トランジスタ51の伝導が該ヘテロ接合61の界面の二次元電子ガス63を介して提供される。
【0042】
ゲート電極59は、AlGa1−YNエピタキシャル層57上に設けられており、該AlGa1−YNエピタキシャル層57にショットキ接合する。ゲート電極59は、二次元電子ガス63の伝導を制御する。ソース電極65およびドレイン電極67には、該ゲート電極59によって制御される電流が流れる。既に説明したように、AlNエピタキシャル層55はAlN支持基体53の主面53aのN面エリア上に設けられており、これ故に、AlNエピタキシャル層55の表面55aには、AlN支持基体53のN面エリアに対応してN面が現れる。また、AlGa1−YNエピタキシャル層57はAlNエピタキシャル層55上に設けられており、これ故に、AlGa1−YNエピタキシャル層57の表面57aには、AlNエピタキシャル層55のN面エリアに対応してN面が現れる。
【0043】
AlGa1−YNエピタキシャル層57は、例えばアンドープである。また、AlNエピタキシャル層55は、例えばアンドープであることが好ましく、しかしながらn型ドーパントを含んでいてもよい。AlGa1−YNエピタキシャル層57のバンドギャップはAlNエピタキシャル層55のバンドギャップより小さい。二次元電子ガス63は、AlGa1−YNエピタキシャル層57とAlNエピタキシャル層55の界面のAlGa1−YNエピタキシャル層側に蓄積され、AlGa1−YNエピタキシャル層57内を走行する。AlGa1−YNのバンドギャップがAlNのバンドギャップより小さいので、ソース電極65およびドレイン電極67は、AlGa1−YNエピタキシャル層57に接合することが好ましい。好ましくは、AlGa1−YNのアルミニウム組成の範囲は、0以上0.9以下である。AlNエピタキシャル層55との組成差を0.1程度以上とることにより、十分な2次元電子ガス濃度と伝導帯エネルギー差△Eを得ることができ、リーク電流が減少すると共にピンチオフ特性が向上する。
【0044】
電界効果トランジスタ51では、AlNエピタキシャル層55の厚みD3が50nm以上であれば、良好な結晶品質のAlNを形成できる。また、AlNエピタキシャル層55の厚みD3が100μm以下であれば、実用的であり、また良好な結晶品質のAlNを形成できる。また、電界効果トランジスタ51では、AlGa1−YNエピタキシャル層57の厚みD4が1nm以上であるので、充分な密度の二次元電子ガスが蓄積される。また、AlGa1−YNエピタキシャル層57の厚みD4が50nm以下であれば、良好な結晶品質のAlGa1−YNをAlN層上に形成できる。
【0045】
(実施例2)
次のような作製法により、図2(A)に示される構造の電界効果トランジスタを形成する。Wruzite構造のAlN基板のN面上に、0.5μm厚のAlN膜を堆積する。このAlN膜上に、30nm厚のAl0.25Ga0.75N膜を堆積する。これらのエピタキシャル成長は、減圧MOCVD装置を用いて行われる。原料としては、例えばTMAl、TMG、NHを用いることができる。本実施例では、いずれの層もアンドープである。Al0.25Ga0.75N上にTi/Al/Ti/Auから成るソース電極及びドレイン電極を形成する。次いで、Auから成るゲート電極を作製する。ゲート長は、例えば2μmである。
【0046】
以上説明したように、本構造のトランジスタは、Wruzite構造のAlN基板のN面上に成長された複数のエピタキシャル層を含む構造(AlN/AlGa1−YN構造)を有しているので、AlN基板上に良質な結晶が成長される。また、AlN/AlGa1−YN構造のうちのAlNは、AlN基板のN面上にホモ接合をするので、このAlNホモエピタキシャル層は結晶欠陥の少ない良好な品質の結晶から成る。この結果、AlNホモエピタキシャル層にヘテロ接合を成すAlGa1−YN層も、また結晶欠陥の少ない良好な品質の結晶から成る。この結果、優れた品質のAlN/AlGa1−YNヘテロ接合が形成される。また、このヘテロ接合がAlN基板のN面上に形成されるので、伝導に有効に寄与する二次元電子ガスがAlN/AlGa1−YN界面に形成されると共に二次元正孔ガスが形成されないので、高性能なトランジスタ動作が可能になる。第1の実施の形態と同様に、サファイア基板等を用いたのでは、本実施の形態のような優れた構造は実現できない。
【0047】
(第3の実施の形態)
図5は、本実施の形態に係る電界効果トランジスタを示す図面である。この電界効果トランジスタ71は、AlGa1−XN支持基体(0<X<1)73と、AlGa1−XNエピタキシャル層75と、AlGa1−YNエピタキシャル層(0≦Y<1、Y<X)77と、ゲート電極79とを備える。AlGa1−XN支持基体73は、Wruzite構造を有する結晶からなり、導電性或いは絶縁性の支持体である。AlGa1−XNエピタキシャル層75は、AlGa1−XN支持基体73のN面エリア上に設けられている。AlGa1−YNエピタキシャル層77は、AlGa1−XNエピタキシャル層75上に設けられている。
【0048】
AlGa1−XN支持基体73のN面上に設けられたAlGa1−XNエピタキシャル層75とAlGa1−YNエピタキシャル層77とのヘテロ接合81を含むので、該電界効果トランジスタに二次元正孔ガスが形成されることなく、トランジスタ71の伝導が該ヘテロ接合81の界面の二次元電子ガス83を介して提供される。
【0049】
ゲート電極79は、AlGa1−YNエピタキシャル層77上に設けられており、該AlGa1−YNエピタキシャル層77にショットキ接合する。ゲート電極79は、二次元電子ガス83の伝導を制御する。ソース電極85およびドレイン電極87には、該ゲート電極79によって制御される電流が流れる。既に説明したように、AlGa1−XNエピタキシャル層75はAlGa1−XN支持基体73の主面73aのN面エリア上に設けられており、これ故に、AlGa1−XNエピタキシャル層75の表面75aには、AlGa1−XN支持基体73のN面エリアに対応してN面が現れる。また、AlGa1−YNエピタキシャル層77はAlGa1−XNエピタキシャル層75上に設けられており、これ故に、GaNエピタキシャル層77の表面77aには、AlGa1−XNエピタキシャル層75のN面エリアに対応してN面が現れる。
【0050】
AlGa1−YNエピタキシャル層77は、例えばアンドープである。また、AlGa1−XNエピタキシャル層75は、例えばアンドープであることが好ましく、しかしながらn型ドーパントを含んでいてもよい。AlGa1−YN(AlGa1−YNエピタキシャル層77)のバンドギャップはAlGa1−XN(AlGa1−XNエピタキシャル層75)のバンドギャップより小さい。二次元電子ガス83は、AlGa1−YNエピタキシャル層77とAlGa1−XNエピタキシャル層75の界面のAlGa1−YNエピタキシャル層側に蓄積され、AlGa1−YNエピタキシャル層77内を走行する。AlGa1−YNのバンドギャップがAlGa1−XNのバンドギャップより小さいので、ソース電極85およびドレイン電極87は、AlGa1−YNエピタキシャル層77に接合することが好ましい。
【0051】
電界効果トランジスタ71では、AlGa1−XNエピタキシャル層75の厚みD5が50nm以上であれば、良好な結晶品質のAlGaNを形成できる。また、AlGa1−XNエピタキシャル層75の厚みD5が100μm以下であれば、実用的であり、また良好な結晶品質のAlGaNを形成できる。また、電界効果トランジスタ71では、AlGa1−YNエピタキシャル層77の厚みD6が1nm以上であるので、充分な密度の二次元電子ガスが蓄積される。また、AlGa1−YNエピタキシャル層77の厚みD6が100nm以下であれば、良好な結晶品質のAlGa1−YNをAlGa1−XN層上に形成できる。
【0052】
(実施例3)
次のような作製法により、本実施の形態に係る電界効果トランジスタを形成する。Wruzite構造のAl0.5Ga0.5N基板のN面上に、0.5μm厚のAl0.5Ga0.5N膜を堆積する。このAl0.5Ga0.5N膜上に、30nm厚のAl0.2Ga0.8N膜を堆積する。これらのエピタキシャル成長は、減圧MOCVD装置を用いて行われる。原料としては、例えばTMAl、TMG、NH)を用いることができる。本実施例では、いずれの層もアンドープである。Al0.2Ga0.8N膜上にTi/Al/Ti/Auから成るソース電極及びドレイン電極を形成する。次いで、Auから成るゲート電極を作製する。ゲート長は、例えば2μmである。
【0053】
(実施例4)
次のような作製法により、電界効果トランジスタを形成する。Wruzite構造のAl0.5Ga0.5N基板のN面上に、0.5μm厚のAl0.5Ga0.5N膜を堆積する。このAl0.5Ga0.5N膜上に、30nm厚のGaN膜を堆積する。これらのエピタキシャル成長は、減圧MOCVD装置を用いて行われる。原料としては、例えばTMAl、TMG、NHを用いることができる。本実施例では、いずれの層もアンドープである。GaN膜上にTi/Al/Ti/Auから成るソース電極及びドレイン電極を形成する。次いで、Auから成るゲート電極を作製する。ゲート長は、例えば2μmである。
【0054】
以上説明したように、本構造のトランジスタは、Wruzite構造のAlGa1−XN基板のN面上に成長された複数のエピタキシャル層を含む構造(AlGa1−XN/AlGa1−YN構造、0≦X<Y<1)を有しているので、AlGaN基板上に良質な結晶が成長される。また、AlGa1−XN/AlGa1−YN構造のうちのAlGa1−XNは、AlGa1−XN基板のN面上にホモ接合をするので、このAlGa1−XNホモエピタキシャル層は結晶欠陥の少ない良好な品質の結晶から成る。この結果、AlGa1−XNホモエピタキシャル層にヘテロ接合を成すAlGa1−YN層も、また結晶欠陥の少ない良好な品質の結晶から成る。この結果、優れた品質のAlGa1−XN/AlGa1−YNヘテロ接合が形成される。また、このヘテロ接合がAlGa1−XN基板のN面上に形成されるので、伝導に有効に寄与する二次元電子ガスがAlGa1−XN/AlGa1−YN界面に形成されると共に二次元正孔ガスが形成されないので、高性能なトランジスタ動作が可能になる。第1の実施の形態と同様に、サファイア基板等を用いたのでは、本実施の形態のような優れた構造は実現できない。
【0055】
本実施の形態ではヘテロ接合がAlGa1−XN/AlGa1−YN構造(0<Y<1)であるので、好ましくは、AlGa1−YNとAlGa1−XNとのアルミニウム組成の差(Y−X)は、0.1程度である。AlGa1−YNエピタキシャル層とAlGa1−XNエピタキシャル層との組成差を0.1程度以上とることにより、十分な2次元電子ガス濃度と伝導帯エネルギー差△Eを得ることができ、リーク電流が減少し、またピンチオフ特性が向上する。よって、AlGa1−XNのアルミニウム組成の範囲は0.1以上であることが好ましい。また、AlGa1−XNのアルミニウム組成の範囲は1以下程度が好ましい。さらに、AlGa1−YNのアルミニウム組成の範囲は、0以上であることが好ましい。さらにまた、AlGa1−YNのアルミニウム組成の範囲は、0.9以下程度が好ましい。
【0056】
好ましくは、AlGa1−XNのアルミニウム組成の範囲は、0.1程度以下である。
【0057】
第1〜第3の実施の形態において、電界効果トランジスタ11、51、71では、ソース電極の材料は、Ti、Al、Au、Pt、Pd、Moの少なくともいずれかを含むことが好ましい。また、ドレイン電極の材料は、Ti、Al、Au、Pt、Pd、Moの少なくともいずれかを含むことが好ましい。該ソース電極およびドレイン電極の材料によれば、窒化ガリウム系材料に対して低抵抗な接合が提供される。また、電界効果トランジスタ11、51、71では、ゲート電極の材料は、Ni,Au,Pt,Pdの少なくともいずれかを含むことが好ましい。これらのゲート電極の材料を用いると、窒化ガリウム系材料に対して良好なショットキ接合が提供される。
【0058】
以上説明したように、第1〜第3の実施の形態に係る電界効果トランジスタは、AlGa1−XN支持基体(0<X≦1)と、AlGa1−XNエピタキシャル層と、AlGa1−YNエピタキシャル層(0≦Y<1、Y<X)と、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極とを備える。AlGa1−XN支持基体はWruzite構造を有する。AlGa1−XN支持基体の主面の一部または全てはN面である。AlGa1−XNエピタキシャル層は、AlGa1−XN支持基体のN面エリア上に設けられている。AlGa1−YNエピタキシャル層は、AlGa1−XNエピタキシャル層上に設けられている。AlGa1−XN支持基体のN面上に設けられたAlGa1−XNエピタキシャル層とAlGa1−YNエピタキシャル層とのヘテロ接合を含むので、電界効果トランジスタに二次元正孔ガスが形成されることなく、トランジスタの伝導が該ヘテロ接合の界面の二次元電子ガスを介して行われる。また、第1〜第3の実施の形態に係る電界効果トランジスタのソース電極およびドレイン電極の直下にn型ドーパントを含む領域を設けることが好ましい。
【0059】
(第4の実施の形態)
図6(A)は、III族窒化物電界効果トランジスタのためのエピタキシャル基板を示す図面である。エピタキシャル基板91は、Wruzite構造のAlGa1−XN基板(0<X≦1)93と、AlGa1−XNエピタキシャル膜95と、AlGa1−YNエピタキシャル膜(0≦Y<1、Y<X)97とを備える。
AlGa1−XNエピタキシャル膜95は、AlGa1−XN基板93のN面上に設けられている。AlGa1−YNエピタキシャル膜97は、AlGa1−XNエピタキシャル膜95上に設けられている。
【0060】
このエピタキシャル基板では、AlGa1−XN基板のN面上に設けられたAlGa1−XNエピタキシャル膜とAlGa1−YNエピタキシャル膜とのヘテロ接合を含むので、二次元正孔ガスが形成されることなく、該ヘテロ接合の界面の二次元電子ガスが形成される。好適な半導体の組み合わせは、
AlGa1−XN基板93、AlGa1−XN膜95、AlGa1−YN膜97
AlN、 AlN、 GaN
AlN、 AlN、 AlGaN
AlGaN、 AlGaN、 GaN
AlGa1−XN、 AlGa1−XN、 AlGa1−YN(X>Y)
である。
【0061】
AlGa1−XNエピタキシャル層95の厚みおよびAlGa1−YNエピタキシャル層97の厚みとして、既に第1〜第3の実施の形態におけるトランジスタに用いられた範囲が好適である。
【0062】
図6(B)および図6(C)は、III族窒化物電界効果トランジスタのためのエピタキシャル基板を作製する方法を説明する図面である。図6(B)に示されるように、Wruzite構造のAlGa1−XN基板(0<X≦1)93を準備する。AlGa1−XN基板93の主面93aの一部または全部には、N面が現れている。図6(C)に示されるように、AlGa1−XN基板93の主面93a上に、AlGa1−XN膜95をエピタキシャル成長する。AlGa1−XNエピタキシャル層95の厚みは、例えば50nm〜100μmである。AlGa1−XN膜95はAlGa1−XN基板93にホモ接合を成すので、AlGa1−XN膜95の結晶品質は優れている。AlGa1−XN膜95の主面95aには、AlGa1−XN基板93の主面93aのN面エリアに対応して、N面が現れる。図6(D)に示されるように、AlGa1−XN膜95の主面95a上に、AlGa1−YN膜97をエピタキシャル成長する。AlGa1−YN膜97の厚みは、例えば1nm以上であり、大きくても100nm程度である。AlGa1−YN膜97はAlGa1−XN膜95にヘテロ接合を成している。優れた結晶品質のAlGa1−XN膜95上に成長されるので、AlGa1−YN膜97の結晶品質は優れている。AlGa1−YN膜97の主面97aには、AlGa1−XN基板93の主面93aのN面エリアに対応して、N面が現れる。エピタキシャル成長は、例えば減圧MOCVD法で行われることができる。
【0063】
以上説明したように、本発明の例示として説明された本実施の形態によれば、分極が強いWruzite構造の窒化物系材料を用いても、高電子移動度トランジスタにおいて二次元正孔ガスの電気伝導を避けることができる。
【0064】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は第1実施の形態の電界効果トランジスタを示す図面である。
【図2】図2(A)は、AlN基板のN面上に設けられたエピタキシャル層を含む電界効果トランジスタを示す図面である。図2(B)は、AlN基板のAl面上に設けられたエピタキシャル層を含む電界効果トランジスタを示す図面である。
【図3】図3(A)は、図2(A)に示される構造の電界効果トランジスタの電流特性Aを示す図面である。図3(B)は、図2(B)に示される構造の電界効果トランジスタの電流特性Bを示す図面である。
【図4】図4は第2実施の形態の電界効果トランジスタを示す図面である。
【図5】図5は第3実施の形態の電界効果トランジスタを示す図面である。
【図6】図6(A)は、III族窒化物電界効果トランジスタのためのエピタキシャル基板を示す図面である。図6(B)、図6(C)および図6(D)は、III族窒化物電界効果トランジスタのためのエピタキシャル基板を作製する方法を説明する図面である。
【符号の説明】
【0066】
11…電界効果トランジスタ、13…AlN支持基体、15…AlNエピタキシャル層、17…GaNエピタキシャル層、19…ゲート電極、21…ヘテロ接合、23…二次元電子ガス、25…ソース電極、27…ドレイン電極、51…電界効果トランジスタ、53…AlN支持基体、55…AlNエピタキシャル層、57…AlGa1−YNエピタキシャル層、59…ゲート電極、61…ヘテロ接合、63…二次元電子ガス、65…ソース電極、67…ドレイン電極、71…電界効果トランジスタ、73…AlGa1−XN支持基体、75…AlGa1−XNエピタキシャル層、77…AlGa1−YNエピタキシャル層、79…ゲート電極、91…エピタキシャル基板、93…AlGa1−XN基板、95…AlGa1−XNエピタキシャル膜、97…AlGa1−YNエピタキシャル膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Wruzite構造のAlGa1−XN支持基体(0<X≦1)と、
前記AlGa1−XN支持基体のN面上に設けられたAlGa1−XNエピタキシャル層と、
前記AlGa1−XNエピタキシャル層上に設けられたAlGa1−YNエピタキシャル層(0≦Y<1、Y<X)と、
前記AlGa1−YNエピタキシャル層にショットキ接合を成すゲート電極と、
前記AlGa1−YNエピタキシャル層上に設けられたソース電極と、
前記AlGa1−YNエピタキシャル層上に設けられたドレイン電極と
を備えることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項2】
前記AlGa1−XNエピタキシャル層の厚みは50nm以上である、ことを特徴とする請求項1に記載された電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みは1nm以上且つ100nm以下である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された電界効果トランジスタ。
【請求項4】
Wruzite構造のAlN支持基体と、
前記AlN支持基体のN面上に設けられたAlNエピタキシャル層と、
前記AlNエピタキシャル層上に設けられたAlGa1−YNエピタキシャル層(0≦Y<1)と、
前記AlGa1−YNエピタキシャル層にショットキ接合を成すゲート電極と、
前記AlGa1−YNエピタキシャル層上に設けられたソース電極と、
前記AlGa1−YNエピタキシャル層上に設けられたドレイン電極と
を備えることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記AlNエピタキシャル層の厚みは、50nm以上である、ことを特徴とする請求項4に記載された電界効果トランジスタ。
【請求項6】
前記AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みは1nm以上且つ50nm以下である、ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載された電界効果トランジスタ。
【請求項7】
Wruzite構造のAlN支持基体と、
前記AlN支持基体のN面上に設けられたAlNエピタキシャル層と、
前記AlNエピタキシャル層上に設けられたGaNエピタキシャル層と、
前記GaNエピタキシャル層にショットキ接合を成すゲート電極と、
前記GaNエピタキシャル層上に設けられたソース電極と、
前記GaNエピタキシャル層上に設けられたドレイン電極と
を備えることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項8】
前記AlNエピタキシャル層の厚みは50nm以上である、ことを特徴とする請求項7に記載された電界効果トランジスタ。
【請求項9】
前記GaNエピタキシャル層の厚みは1nm以上且つ50nm以下である、ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載された電界効果トランジスタ。
【請求項10】
前記ソース電極の材料は、Ti、Al、Au、Pt、Pd、Moの少なくともいずれかを含んでおり、
前記ドレイン電極の材料は、Ti、Al、Au、Pt、Pd、Moの少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載された電界効果トランジスタ。
【請求項11】
前記ゲート電極の材料は、Ni,Au,Pt,Pdの少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載された電界効果トランジスタ。
【請求項12】
Wruzite構造のAlGa1−XN基板(0<X≦1)と、
前記AlGa1−XN基板のN面上に設けられたAlGa1−XNエピタキシャル膜と、
前記AlGa1−XNエピタキシャル膜上に設けられたAlGa1−YNエピタキシャル膜(0≦Y<1、Y<X)と
を備えることを特徴とするエピタキシャル基板。
【請求項13】
前記AlGa1−XNエピタキシャル層(0<X≦1)の厚みは50nm以上且つ100μm以下である、ことを特徴とする請求項12に記載されたエピタキシャル基板。
【請求項14】
前記AlGa1−YNエピタキシャル層の厚みは1nm以上且つ100nm以下である、ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載されたエピタキシャル基板。
【請求項15】
前記AlGa1−XN基板はAlN基板であり、
前記AlGa1−XNエピタキシャル膜はAlNエピタキシャル膜である、ことを特徴とする請求項14に記載されたエピタキシャル基板。
【請求項16】
前記AlNエピタキシャル膜の厚みは50nm以上である、ことを特徴とする請求項15に記載されたエピタキシャル基板。
【請求項17】
前記AlGa1−YNエピタキシャル膜はGaNエピタキシャル膜である、ことを特徴とする請求項15または請求項16に記載されたエピタキシャル基板。
【請求項18】
前記GaNエピタキシャル膜の厚みは1nm以上且つ50nm以下である、ことを特徴とする請求項17に記載されたエピタキシャル基板。
【請求項19】
該前記AlGa1−XN基板の主面は一または複数のエリアを有しており、該エリアの少なくとも一つには前記AlGa1−XN基板のN面が現れている、ことを特徴とする請求項12〜請求項18のいずれか一項に記載されたエピタキシャル基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−310644(P2006−310644A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132949(P2005−132949)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】