説明

静電噴射装置および静電噴射方法

本発明は、静電噴射装置および静電噴射方法に関し、より具体的には、液体を噴射できる噴射領域(29)を有するエミッタ(2)および液体中に電荷を注入する手段を用いてパルス状の制御された容積を分配する静電噴射装置(1)および方法であって、使用中、液体(3)は静電力によって噴射領域に搬送され、電荷が注入されている間1つ以上のパルスの形態で静電噴射が発生する。電荷は、エレクトロスプレーが閾値より大きいとき発生するように、時間変動しても、またはゼロでない一定値の電界によって注入されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電噴射装置および静電噴射方法に関する。
【0002】
従来の静電噴霧またはエレクトロスプレー技術において、電解液(典型的には導電率が10−8S/mより大きい)の表面は、印加電界(典型的には約10V/m)によって帯電される。噴射は、流体表面の静電力が液体の表面張力を上回るときに発生する。最も安定した噴射型は、円錐形噴流モードであり、そこにおいて、静電力および表面張力の間の釣合いは、噴流が放射される頂点から伸びるテイラー円錐を生じる。この安定した円錐形噴流は、特定の範囲の液体流量および印加電圧でのみ発生する。電圧および/または流量が安定した円錐形噴流のための範囲を下回るとき、水滴、電子滴(electrodripping)および紡錘形モードを含む他の噴射型が発生する。
【0003】
エレクトロスプレー(電気噴射)イオン化質量分析において広く使用される特定のエレクトロスプレー方法は、Int.J.Mass Spectrom イオン・プロセス1994、136、167―180にて記載されているように、ナノエレクトロスプレーとして公知である。ナノエレクトロスプレーの特性は、印加される電圧およびチューブ構造、特に出口径によって流量が決定されることである。これは、液体を貯留部から出口まで押し出すためのポンプまたは弁を用いずにエレクトロスプレーを実現できる利点を有する。この方法を用いた小容量の流体を制御可能に噴出する、または堆積させる能力は、ある範囲の流体を用いた表面のパターニングに関する有望技術として、J.Aerosol Sci.2007、38、315―324において特定されている。
【0004】
導電率が10−8S/mより小さい絶縁性流体の静電噴射において、固有の導電率は、上述したような高い導電率の流体を用いた場合に観察される通常のエレクトロスプレー挙動のそれに同様の方法で印加された電圧の下で十分大きな表面帯電を生じるのに十分でない。しかしながら、特定の電極構造、例えば流体に浸漬される電極として鋭くされたニードルが用いられる場合、J.Appl.Phys.(1976、47、5、1964―1969)に記載されているように、液体を噴射および噴出させるように絶縁流体に電荷を注入することが可能であることが示されている。このようにして、従来のエレクトロスプレーにおいて観察されるのと類似のモードにて誘電性の液体を噴射するために充分な表面帯電を形成することが可能である。電荷注入の仕組みは、高電圧電源に限られるものでなく、摩擦電気的に生成された帯電および圧電装置を含むが、これに限定されるものではない。
【0005】
J.Appl.Phys.1998、64、4278―4284から、電圧が安定な円錐形噴流モードを生じるのに必要な電圧より低いとき、絶縁流体では、液体メニスカスが準安定性の円錐形噴流および変形液滴との間で振動できることも公知である。これは、液体表面からの液滴の断続的な放射によるパルス状の噴射をもたらす。パルスの生成は、ポンプまたは加圧流体によって提供される一定流量を必要としていた。
【0006】
他の公知の静電噴霧またはエレクトロスプレー技術において、エレクトロスプレーは、ある電圧または充電電流が噴射される液体に印加されている間、連続的に発生する。エレクトロスプレーに供されることのできる液体の容積の制御は、電圧または充電電流が印加される時間の変化が噴射される液体の容積に直接的に影響を及ぼすため、比較的限定的である。
【0007】
絶縁流体の静電噴射の公知の方法は、噴射を開始および終了するために、ポンプ手段を起動および停止することが必要であるという欠点を有する。ポンプの起動および停止を正確に制御することは、可能でない。このような装置において、電界または充電電流がスイッチ・オフされても、ポンプは液体をチューブ出口または噴射エリアに搬送し続け、その結果、液漏れを招く。これは、液体噴射の精密制御が可能でないことを意味する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の実施態様によれば、実質的に非導電性液体の制御された容積をパルス状に分配する静電噴射装置であって、液体を噴射できる噴射領域を有するエミッタを備えた装置が提供される。液体中に電荷を注入する手段、それによって、使用中に、液体は静電力によって噴射領域に搬送され、電荷が注入される間、静電噴射が一つ以上のパルス状に発生する。そして、装置は、好ましくは、機械式ポンプまたは液体を加圧する他のいかなる手段も含まない。
【0009】
これは、静電噴射装置は、正確に開始および終了された信頼性の高い噴射された非導電性液の液滴のパルスを提供する利点を有する。
【0010】
本発明の第2の実施態様によれば、実質的に非導電性液体を受容するエミッタを提供するステップを含む静電噴射方法を提供する。その領域から液体を噴射できる噴射領域を有するエミッタは、液体に電荷を注入し、それによって液体は、好ましくは機械式ポンプまたは液体を加圧するための手段を使用することなく静電力によって噴射領域に搬送される。ここで、電界強度または充電電流、および液体粘度、電極構造およびエミッタ構造は、電界または充電電流が印加される間、パルス状の静電噴射を発生させるように選択される。
【0011】
正、負いずれの電荷も、液体または流体の中に注入されることができる。
【0012】
液体または流体に電荷を注入する手段は、例えば、テーパー形状または尖らせた先端を有する金属針またはピンのような尖端の導体である。これは、特に非導電性の流体または液体のための電荷注入の助けとなる。
【0013】
先端は、液体内に完全に浸漬されていてよい。先端は、エミッタの中に配置されてもよい。先端は、従って、エミッタの開口を通って突出できない。エミッタは、開口または開口部を有する空洞または毛細管でよい。先端は、空洞の内部に配置されていて、空洞の開口を通って、すなわち開口の先に伸びていないものであってよい。これは、電荷注入を改善し、その結果、パルスまたは放射された液滴の基本的な性質および信頼性を改善し、更に、噴射または液滴の、より小さいより不規則な液滴への分割の発生を減らすことができる。これは、非導電性の流体または液体に関して特に重要である。
【0014】
本発明の第3の実施形態によれば、液体を受容するエミッタであって、その領域から液体を噴射できる噴射領域を有するエミッタと、時間変動する電界または充電電流を液体に印加する手段と、を備えたエレクトロスプレー装置であって、そこにおいて、時間変動する電界または充電電流の強度が閾値強度より大きいときに、電界または充電電流が印加される間、パルス状エレクトロスプレーが発生し、そこにおいて、エレクトロスプレーが発生する間、液体は静電力によって噴射領域に引かれ、そこにおいて、使用中には時間変動する電界または充電電流の強度はゼロでないエレクトロスプレー装置が提供される。
【0015】
これは、静電噴射装置は、噴射される液体の正確で制御可能な容積を形成する、噴射される液滴の信頼できるパルスを提供する利点を有する。
【0016】
好ましくは、時間変動する電界または充電電流の強度は、エレクトロスプレーの1つ以上のパルスが第1の期間に放射され、エレクトロスプレーの1つ以上のパルスが第2の期間に放射され、第1の期間におけるパルスの放射量が第2の期間におけるパルスの放射量と異なるように変化してよい。
【0017】
好ましくは、第1の期間の長さは、第2の期間の長さと実質的に等しい。
【0018】
好ましくは、電界または充電電流の強度が閾値強度より大きい期間を変化させる手段が提供される。
【0019】
好ましくは、電界または充電電流の強度は、閾値界強度より大きい間、実質的に一定である。
【0020】
本発明の第4の実施形態によれば、液体を受容するエミッタであって、その領域から液体を噴射できる噴射領域を有するエミッタを用意する工程と、エミッタに液体を加える工程と、液体に時間変動する電界または充電電流を印加する工程と、を含むエレクトロスプレー方法であって、そこにおいて、時間変動する電界または充電電流の強度は、電界または充電電流が閾値強度より大きい間、パルス状に発生するエレクトロスプレーを生成し、そこにおいて、エレクトロスプレーが発生する間液体は静電力によって噴射領域に引かれ、そこにおいて、使用中には時間変動する電界または充電電流の強度はゼロでない、エレクトロスプレー方法が提供される。
【0021】
この方法は、導電性経路の製造のために用いられてよい。
【0022】
有利なことに、時間変動する電界または充電電流の強度は、エレクトロスプレーの1つ以上のパルスが第1の期間に放射され、エレクトロスプレーの1つ以上のパルスが第2の期間に放射され、第1の期間におけるパルスの放射量が第2の期間におけるパルスの放射量と異なるように変化する。
【0023】
この方法は、電界または充電電流の強度を、一定期間において周期的に変化させる工程を含んでいて、強度が閾値強度より大きいデューティ・サイクルが可変であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施態様による装置の概要側面図である。
【図2A】本発明の第1の実施態様による液体の静電噴射の間において引かれるガラス・ノズルの側面図である。
【図2B】本発明の第1の実施態様による液体の静電噴射を受容した後の基板の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施態様による特定の注入電極およびノズル構造における印加電圧の液滴放射周波数に対する依存関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施態様による噴射における、異なるノズル寸法によって達成可能な液滴放射周波数範囲のグラフを示す。
【図5】本発明の第2の実施形態による装置の概要側面図である。
【図6】A、BおよびCは、本発明の第3の実施形態による装置の概要側面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態による装置を使用して生成される液体の静電噴射の画像である。
【図8】本発明の第4の実施態様による装置の概要側面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態による装置の概要側面図である。
【図10】本発明の第6の実施形態による装置の概要側面図である。
【図11】本発明の第7の実施形態による装置の概要側面図である。
【図12】本発明の第8の実施形態による装置の概要側面図である。
【図13】同じノズル・エミッタ構造から印加された電界または充電電流の変化によって達成可能な放射された液滴容積の変化を示す一連の噴射液滴を示す。
【図14】本発明の第9の実施形態による装置の概要側面図である。
【図1b】本発明の第10の実施形態の概要側面図である。
【図3a】第1のモードの時間に対する電流(エレクトロスプレーのパルスを示す)のグラフを示す。
【図3b】第1のモードの時間に対する電流(エレクトロスプレーのパルスを示す)のグラフを示す。
【図15】第1のモードの時間に対する電流(エレクトロスプレーのパルスを示す)のグラフを示す。
【図16】第1のモードの時間に対する電流(エレクトロスプレーのパルスを示す)のグラフを示す。
【図17】第2のモードの時間に対する電流(エレクトロスプレーのパルスを示す)のグラフを示す。
【図7a】第3のモードの時間に対する電流(エレクトロスプレーのパルスを示す)のグラフを示す。
【図7b】第3のモードの時間に対する電流(エレクトロスプレーのパルスを示す)のグラフを示す。
【図7c】第3のモードの時間に対する電流(エレクトロスプレーのパルスを示す)のグラフを示す。
【図18】一体化した電極を有する本発明の第11の実施形態を示す
【図19】紙基板上における液滴堆積の写真を示す。
【図20】アセテート基板上における液滴堆積の写真を示す。
【図21】シリコン基板上の液滴堆積の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、図を参照しつつ説明する。図1は、静電噴射装置1を示す。エミッタ・チューブ2は、エレクトロスプレーに供される液体3を保持することができる。チューブ2は、そこから液体3を噴射できる円形開口または開口部29を有する。チューブ2は、液体3のための液体貯蔵部として機能する。液体3は、低導電性、または実質的に非導電性の液体、すなわち実質的に絶縁性の液体である。または、液体3は、導電性の液体であってもよい。しかしながら、以下説明する実施形態は、実質的に非導電性の液体を使用する。
【0026】
エミッタ・チューブ2は、エレクトロスプレーに供される液体3を保持することができる。チューブ2は、そこから液体3を噴射できる開口または開口部29を有する。開口は、好ましくは円形である。チューブ2は、液体3のための液体貯蔵部として機能する。液体3は、低導電性、または実質的に非導電性の液体、すなわち実質的に絶縁性の液体である。
【0027】
実質的に非導電性の液体は、好ましくは10−8S/mより小さな導電率を有し、10−6S/mより小さな導電率であればよい。液体3は、誘電性の液体であってもよい。実質的に非導電性および絶縁性という用語は、10−6S/mより小さな低導電率、または選択として10−8S/mより小さな導電率を有する液体を意味する。
【0028】
ニードル4の形状の電極は、噴射される液体3と接触している。ニードル4は、先端に向かって細くなる尖端部4aを有する。尖端部4aは、チューブの開口部29に隣接している。ニードル4は、チューブ2の長さ方向の軸の位置に配置され、尖端部4aは開口部29の中心に位置する。ニードル4は、好ましくは金属にて形成される。尖端部4aは、電圧がニードル4に印加されるとき、液体3に陽電荷または陰電荷を放出することができる。電荷は、電子(陰電荷)または電子を捕獲する空孔(陽荷電)であってよい。電荷の液体3への注入は、充電電流であると看做されることができる。
【0029】
基板電極10は、エミッタ・チューブ2の開口部29から、典型的には1mm程度であり、適切な距離に配置される。基板電極10は、寸法2cm×2cmで0.5cmの厚みを有する中実の四角形ブロックであって、エミッタ・チューブ2の長さ方向の軸位置に配置される。基板電極10は、接地される。
【0030】
高電圧電源5(いずれの極性の電圧も供給できる)は、金属電極4に接続されている。高電圧電源5は、液体に一定電圧、すなわち直流を提供できる。提供される電圧は、選択された値に変化することができる。
【0031】
コレクタ基板9は、基板電極10の上に配置される。コレクタ基板9は、エミッタ・チューブ2からのパルス状のエレクトロスプレーの液滴を受ける。
【0032】
コンピュータ制御された高精度移動載物台11は、コレクタ基板9および基板電極10を支持し、電極10を噴射の方向に垂直に移動することができる。
【0033】
基板表面は、粒子または微粒子の予め組み立てられた単層を塗布されていてよく、および/または粒子または微粒子の予め組み立てられた下地単層を塗布されている。基板は、絶縁体、半導体または導体であってよい。基板は、特にシリコンであってよい。
【0034】
エミッタ・チューブ2、基板電極10およびコレクタ基板9は、環境ガスの圧力を変化できるように、特に減圧できるように、接地されたステンレス鋼真空容器に収納されていてよい。
【0035】
液体3は、開口部29でメニスカスを有し、メニスカスは、エレクトロスプレーの間、振動する。図1に示すように、メニスカスは、開口部29の下から突出する円錐形状であってよい。振動する液体メニスカスおよび静電的に生成された液滴は、冷光光源6によって照明され、高速度電荷結合素子(CCD)カメラ7によって観察される。
【0036】
流体に注入される電荷量は、液体を流れる電流を測定するためにエミッタ・チューブ2に接続された電流監視装置12によって測定される。
【0037】
静電噴射装置1は、自発的なシステムであり、それは、装置が使用中に開口29および液体貯蔵部との間に接続されているポンプまたは弁がないことを意味する。貯蔵部からの液流は、静電力のみによって誘導される。静電力は、流体中に注入された電荷によって生成され、電界は、自由電荷のため流体の表面および流体自体の中の両方に存在する。
【0038】
静電噴射装置1は、分離したパルスに液体3を噴射するように構成され、液体3の1つ以上のパルスが、電圧がニードル4に印加される間、噴射される。装置1が適切に構成されるとき、噴射パルスは自動的に発生し、印加電圧の開始および終了によって直接的に発生するのでない。
【0039】
パルス状の噴射を発生させるために、液体粘度、電極およびエミッタ構造は、最小安定噴射流量の近傍の流量で液体を静電的にポンプ輸送するために必要な力が大き過ぎないように選択される。電界強度または充電電流は、液体粘度、電極およびエミッタ構造に基づいて選択される。電界強度は、一定のコロナ放電の発生なく、パルス状の静電噴射が発生するように、選択される。特定のエミッタ開口径、または流体抵抗において、大きな液体粘度の場合、電界強度または注入電荷量は、より高くてもよい。より低い液体粘度の場合、より低い充電電流が用いられてよい。より小さいエミッタ開口径、またはより大きい流体抵抗の場合、電界強度または注入電荷量のいずれかは、特定の粘度において、より高くなければならず、または、特定の電界強度または注入電荷量においては、粘度がより低くなければならない。これらの関係は、記載されている実施形態の全てに適用される。
【0040】
多くの異なる液体を、静電噴射装置1において用いることができる。室温導電率は、無視小の導電率から10−6S/mまでの範囲であってよい。液体窒素、液体アンモニア、液体水素または液体酸素のような低導電性極低温液体を用いることもできる。粘度1x10−4乃至100Pa・sが用いられる。
【0041】
静電噴射装置1は、チップまたは基板上にインキを噴射する、または印刷するためのプリンタとして用いることができる。
【0042】
静電噴射装置1は、液体パルスの開始および終了を非常に正確に制御できるという格別の利点がある。これは、電荷が流体3に注入されるときのみ、液体が毛細管の出口から流出し、チューブ1から噴射されるためである。
【0043】
電荷は、高電圧の鋭い金属電極から、圧電式電荷注入装置または摩擦電気帯電装置からの注入を含むがこれらに限定されない、多くの方法で低導電率または絶縁性の流体に注入されることができる。電荷注入プロセスの開始および終了は、非常に正確に制御される。
【0044】
これらの異なる充電装置は、記載されている実施形態のいずれにも用いることができる。
【0045】
噴出される流体の分離したパルスは、一定の、すなわちパルス状でない充電電流または電界が印加される間、生成される。各噴射パルスにおける液体の量は、電界または充電電流が印加される時間に依存しない。一定の電界または充電電流は、何時分離したパルスを放射するかを制御するためにオンおよびオフに切替えされ、電界または充電電流がスイッチ・オンの間、装置1は一連の静電噴射パルスを放射する。電界または充電電流のスイッチ・オンおよびオフは、それ自身で直接パルスを引き起こすものではない。装置は、ある一定の電界または充電電流が印加されるとき、パルスを自動的に生成するモードになるように構成される。静電噴射のパルスは、いかなる力学的な制御手段または電界または充電電流制御手段から独立して形成される。これは、非常に一定した且つ均一の静電噴射された流体のパルス、すなわち液滴を提供する。
【0046】
静電噴射装置1は、加えて、各噴射パルスが分離した噴流として発生する利点があり、各噴流は液体の少量の且つ予測可能な容積を含む。チューブおよび噴射される表面の間に相対運動がある場合、表面は、一連の分離したドットを受容し、これらのドットは互いに間隔を置いて配置される。一連のドットの提供は、印刷または他の応用に有利である。これは、好ましくは、噴射される表面の移動によって達成されるが、エミッタの移動によっても達成される。
【0047】
静電噴射装置は、パルス状の電界または充電電流を生成できる。電界または充電電流の各パルスは、噴射される流体の1つ以上のパルスを含んでよい。静電噴射パルスは、通常、電界または充電電流パルスの開始時に開始せず、また通常、電界または充電電流パルスの終了時に終了しない。噴射パルスは、印加された電界または充電電流のパルス幅に依存しない。1つまたは複数の静電噴射パルスによって放射される容積は、従って、電界または充電電流パルスの中で発生する静電噴射パルスの数によって決定され、電界または充電電流パルスの長さに直接関連しない。これは、噴射パルスによって放射される液体の量に影響を及ぼすことなく、電界または充電電流パルスの長さに許容範囲を与える。
【0048】
例えば、1つの静電噴射パルス容積に等しい容積を繰り返し噴射することが望まれる場合、電界または充電電流は、パルス状にニードル4に印加されてよい。電界または充電電流が印加される間、静電噴射は、所定の周波数のパルス状に発生できるが、通常、即座には開始しない。すなわち、装置は、電界または充電電流がオンに切り換えられると直ちに自動的に噴射するものではない。電界または充電電流のそれぞれのパルスのオン時間は、1つの噴射パルスが放射されるのに十分長くなければならず、2つ(または要求される数)の静電噴射パルスの放射を防止するのに十分短くなければならない。電界または充電電流が印加されないとき、基板上の異なる位置に連続的な噴射パルスを適用するために、電極および/または基板は移動されてよい。電界または充電電流が更なるパルスを阻害するために縮小される前に、いかなる数の液体パルスも噴射されることができる。充電電流を増加させることは、パルスの周波数を増加させ、液体の堆積の更なる制御を許容する。
【0049】
装置の使用は、図1を参照しつつ説明する。同様の方法は、図1b及び18の装置にも適用する。ある電界強度が液体に印加されると、液体はパルス状の噴射8としてチューブ1から吐出される。噴射8は、基板に衝突する。移動載物台11は、コレクタ基板9および基板電極10を噴射8の方向へ垂直に移動させる。載物台は、噴射8の1つまたは複数のパルスが基板9に同じ位置で衝突するように、静止していてもよい。
【0050】
このシステム1は、エミッタ・チューブとは別の貯蔵部を有しない。チューブ2自体が、噴射される液体3を収容する。この実施形態は、電源5によって電界を適切に印加することによって、基板9上に液体3を堆積させる。
【0051】
他の選択として、液体は、エミッタ・チューブと流体接続している貯蔵部に収容されてもよい。
【0052】
基板9およびエミッタ2の間の距離は、堆積領域を大きくするか小さくするかによって変動されてもよい。噴射された液滴の帯電レベルに応じて、噴射された液滴8は、エミッタ2から離れると共に散開する。従って、基板9およびエミッタ1の間の距離が大きくなるほど、より大きな堆積領域となる。電極10および/またはコレクタ基板9は、好ましくは、コンピュータ制御の移動載物台11の上に配置される。移動載物台11は、噴射された液滴8が基板9の選択された領域に堆積されるように、電極10および/または基板9および噴射された液滴8との間の相対運動を提供する。
【0053】
図1に関する実施形態において、エミッタ・チューブ2は、直径42μmの開口部29に向かって細くなっている外径2mmおよび内径0.86mmを有するコーティングされてないホウケイ酸ガラスの毛細管で形成される。エレクトロスプレー装置1は、噴射される液体3として、導電率が約10−12S/m、粘度が10mPa・sのカーボン充填油性インキである流体を用いている。
【0054】
ニードル4の端およびチューブ2の開口部29の間の適切な距離が選択され、この場合では4mmの距離が用いられた。また、チューブ開口部29および基板材料9の間の距離は、典型的には1mm程度である。使用されるコレクタ基板9は、接地電位の鋼製の基板電極10に配置された高品質印画紙であった。
【0055】
金属ニードル4に対する印加電圧または電荷注入の他の手段がない場合、毛細管からの液体インキの流出は発生しなかった。ニードル4(または他の手段)に印加される電圧がゼロから900Vの電圧にまで増大されると、インキの液滴が低い方の数百ヘルツの範囲の安定した周波数で毛細管から放射された。電圧が900Vを上回るように増加すると、液滴放射の周波数および毛細管の出口からの液体流量が増加した。装置の他の全てのパラメータが一定のときに、噴射される液滴の周波数は、一定電圧、すなわち一定の電荷注入量において一定である。
【0056】
パルス噴射8の下で、コンピュータ制御の移動載物台11を用いて既知の一定速度でコレクタ基板9を移動することによって、液滴放射の周波数は、基板の堆積後画像によって決定される。
【0057】
図2Aは、毛細管の出口から放射するパルス状のインク噴射の実例画像を示す。図2Bは、異なる放射周波数によるインキの堆積されたドットの線系列を示しているコレクタ基板9の実例顕微鏡写真を示す。基板の移動速度は、コンピュータ制御の移動載物台11を使用して、50mm/sに選択された。放射された液体パルスの周波数は、金属製注入電極4に印加される電圧を変化することによって変化した。
【0058】
図3のグラフに示すように、液滴放射周波数は、900Vにおける約300Hzから4.0kVの印加電圧における約80kHzまで増加することが分かった。900Vから4000Vに向かう範囲で、噴射パルスおよび放射される液滴の周波数は、増加し続け、安定した円錐体噴射型は観察されなかった。4.0kVを上回る電圧で、放電が、周期的なスパークと共に発生し始めた。
【0059】
印画紙基板に生じた残留ドット・サイズと堆積した元のパルス容積の間の既知の関係を使用して、それぞれの静電噴射パルスにおいて放射される液体容積は、1乃至3ピコリットル程度であると算出された。
【0060】
図4は、印加された電界の変化により達成可能な液滴放射周波数の範囲に対するエミッタ/ノズルの口径を変化させることの効果を示す。図から、最小および最大液滴放射周波数は、より大きいエミッタ/ノズル口径が用いられるとき、概してより低いことが分かる。液体は、前述のカーボン充填油性インキであり、前述の42ミクロン径のものより大きいノズル径を用いた噴射のデータを含む。
【0061】
図5は、図1に示された本発明の静電噴射装置の実施形態の変更を示す。図5に示すエレクトロスプレー装置21は、2つのエミッタ・チューブ13a、13bを備え、各チューブ13a、13bは、前述のチューブ2と実質的に同じものである。選択的に、いかなる数のエミッタを用いてもよい。第1のチューブ13aは、噴射される第1の液体15aを収容する。第2のチューブ13bは、噴射される第2の液体15bを収容する。第1の尖端電極4bは、第1のエミッタ・チューブ13aの中に配置され、チューブ13aの長さ方向の軸の位置に配置される。第2の尖端電極4cは、第2のエミッタ・チューブ13bの中に配置され、チューブ13bの長さ方向の軸の位置に配置される。電源装置は、第1の電極4bに接続されている。同じ電源装置14または異なる電源装置が、第2の電極4cに接続されている。
【0062】
エレクトロスプレー装置21は、それに対して液体15a、15bを噴射できる基板9aを更に備える。基板9aは、接地電位である電極10aに載置される。電極10aは、電源装置またはそれぞれの電源装置に接続される。基板9aおよび接地した電極10aは、エミッタ・チューブ13a、13bから一定の距離を保ちながら基板9aを移動するために、移動載物台11aに搭載されていてよい。エミッタ・チューブ13a、13bのそれぞれは、そこを通って液体15a、15bが噴射される開口部を有する。第2の電源装置14は、電極10および浸漬された金属電極4bとの間に接続される。図5の残りの特徴は、図1に関して記載された通りである。電位がそれぞれのエミッタ・チューブ13a,13bの流体と接触する第1および/または第2の金属電極に印加されるとき、パルス状の静電噴射が、それぞれのチューブ13a、13bから生成される。
【0063】
図5は、2つのエミッタ・チューブを示すが、2を超える数のチューブを同時に用いてよい。チューブは、二次元配列に配置されてもよい。
【0064】
図6A、6B、6Cは、本発明の静電噴射装置の更なる実施形態を示す。エミッタ・チューブ18は、噴射される液体を収納する絶縁流体貯蔵部16に接続されている毛細管の形態である。摩擦電気的電荷17は、流体の噴射を開始するために、毛細管18に伝達される。流体噴射の継続時間および噴射パルスの特性は、注入された電荷量に左右される。
【0065】
噴射される液体は、ダウ・コーニングFS1265シリコーン油であった。開口部は、そこからエレクトロスプレーが発生することができる細管18に設けられる。図1の実施形態とは対照的に、尖端電極は、毛細管18に配置されていない。この全体システムは、絶縁性支持体39によって保持され、その下には、選択的な絶縁基板22が配置される。図6Bに示すように、ゴム17の断面は、それから電荷をシリカ毛細管18に摩擦電気によって伝達するために使われる。一旦電荷がシリカ毛細管に伝達されると、円錐体19および噴射20が、図6Cに示すように毛細管から発散される。噴射の特性および継続時間は、毛細管に伝達された電荷量に左右され、5乃至30秒の間のいずれかの時間持続して、パルス発生および連続的な円錐体噴流モードの噴射の両方を呈した。図7に示す実施例には、シリカ毛細管の先端部におけるシリコーン油の円錐体噴流噴射の画像が見られる。
【0066】
帯電が消散するのに従って、摩擦電気的電荷の印加の間またはその後に噴射される液滴の周波数は、変化する。
【0067】
図8は、エミッタ・チューブ30は、噴射される液体を収容する流体貯蔵部24に接続された毛細管の形態である本発明の静電噴霧装置の更なる実施形態を示す。充電電流は、圧電式充電装置26によって圧電的に、噴射される流体に少なくとも部分的に浸漬された金属製注入電極28に伝達される。圧電的に生成された電荷によってニードル先端32に生成された電界は、流体を流動させ、流体のパルス状噴射の形態で流体を毛細管30から排出させる。対向電極34は、流体を受容する基板であってよく、または流体を周囲のガス環境または真空に噴出させるように毛細管から排出するための開放性開口を有してもよい。
【0068】
図8に関して、噴射される液体は、ダウ・コーニングFS1265シリコーン油である。液体は、絶縁された貯蔵部24に収容され、それは好ましくは非加圧である。シリカ毛細管30の形態である絶縁されたエミッタ・チューブは、貯蔵部24に接続されている。毛細管は、絶縁性支持体によって保持される。
【0069】
鋭い尖端の構造部分32を有する電極28は、毛細管30の中に突出し、噴射される流体中に少なくとも部分的に浸漬される。圧電式充電装置(PCD)26は、電極28に電気的に接続される。圧電装置26の起動によって、電荷は、電極28を介して流体に伝達され、噴射35のパルスを生成する。
【0070】
この実施形態は、開口34を有する電極を備えてよく、噴射35は開口34を通って射出される。PCD26によって流体に伝達される充電電流が十分に高いとき、流体の安定的な円錐体噴流の噴射が毛細管30から放射される。
【0071】
選択的に、図8に示された構成は、エミッタ・チューブ30に対して開口の反対側に置かれた基板(図8に示されない)に分配するために用いることができる。例えば、この構成は、紙または他の印刷可能な材料の上に、その下側に電極を必要とすることなくインキを堆積するために用いてもよい。すなわち、印刷可能な材料をエミッタ・チューブ30および電極34の間に配置することは必要でない。
【0072】
図9は、実質的に図1に関して説明したように、本発明の更なる実施例を示す。PCD26は、図8にて説明した通り、電荷を供給するために用いられる。
【0073】
図10は、図8に示された本発明の静電噴射装置に対する変更を示し、そこにおいて、電荷注入電極は噴射される液体を収容する毛細管38の外表面上の金属被覆40の形態である。充電電流は、圧電式充電装置26によって圧電的に、噴霧される液体と少なくとも部分的に流体接続された金属注入電極40に伝達される。圧電的に注入された電荷によって発生した電界は、流体を流動させ、帯電した液体の噴射の形態で流体を毛細管38から排出させる。コレクタ基板9および基板電極10は、コレクタ面および液体噴射との間の相対運動を許容するために、コンピュータ制御の移動載物台11に載置されてよい。
【0074】
図11は、図1または5に示された本発明のための静電噴射装置の実施形態の変更を示す。図11において、エミッタは、毛細管の形態でなく、液体46を収容する貯蔵部を定めることができるいかなる材料42からも形成される。オリフィスが貯蔵部において形成され、そこから、液体が噴射される。この実施形態は、微細加工されてよい。高圧電源48は、材料42、または流体46の中に電荷を注入するために貯蔵部に配置された尖端の金属電極44に接続されていてよい。図11の実施形態は、図1および5と同様に機能する。
【0075】
前述の実施形態のいずれも、少なくとも、空気が実質的に排除された真空チャンバに配置されたエミッタおよび基板を備えてよい。
【0076】
図12は、本発明のエレクトロスプレー装置の更なる実施例を示す。エミッタ・チューブ2、液体3、尖端電極4および電源装置5は、実質的に図1または図5または図11に示す通りである。基板9、接地電極10および移動載物台11も、前述の通りである。
【0077】
チューブ50は、エミッタ・チューブ2周辺で同軸に配置され、エミッタ・チューブ50の開口部がエミッタ・チューブ2の開口部を包囲する。チューブ50は、第2の流体54を収容し、それによってエレクトロスプレーがエミッタ・チューブ2から発生するチューブ2の開口部は、第2の流体54の中に配置される。
【0078】
第2の流体54は、静電噴射された液体と異なる。第2の流体54は、液体であってもガスであってもよく、容器52の中に収容される。容器52は、封止されていても、または流体の貯蔵部に接続されていてもよい。
【0079】
第2の流体54は、好ましくは静電噴射される流体と非混合性であるが、噴射される流体と部分的に混合するものであってもよい。第2の流体54は、静止していても、流動していてもよい。
【0080】
第2の流体52は、好ましくは静電噴射される流体3と非混合性であるが、噴射される流体と部分的に混合するものであってもよい。第2の流体52は、静止していても、流動していてもよい。
【0081】
第2の流体を通した噴射によって、第1の流体の液滴を第2の流体56の被覆またはフィルムの内で生成することが可能になる。これは、カプセル化された流体をガス、液体、または真空環境中に噴霧すること、またはカプセル化された流体の液滴を受容する基板材料9に堆積させることを可能にする。
【0082】
図13は、図1に示されたものと類似の構成における「注入電極に印加された電界の変化」に応じた「カーボン充填油性インキの放射された液滴容積の変化」を示す。金属ニードルに対する印加電圧を増大させると、放射した液滴の周波数および各液滴の容積の両方が示された電圧範囲において増加した。
【0083】
図14は、本発明の更なる実施形態を示す。エミッタ・チューブ60は、エレクトロスプレーに供される第1の液体61を収容する。チューブ60は、実質的に図1に関して説明した通り、電源装置68に接続た尖端電極を備える。エミッタ・チューブ60は、液体61のエレクトロスプレーのパルスが放射される開口部65を有する。開口部65は、容器62の中に配置される。容器62は、静電噴射される液体と異なる第2の流体64を収容する。第2の流体64は、液体であってもガスであってもよい。容器64は、封止されていても、流体の貯蔵部に接続されていてもよい。
【0084】
第2の流体64は、好ましくは静電噴射される流体と非混合性であるが、噴射される流体61と部分的に混合するものであってもよい。第2の流体64は、静止していても、流動していてもよい。
【0085】
基板および接地電極、および/または、移動載物台は、前述の通り、容器62の中に配置されてよい。
【0086】
第2の流体を通した噴射によって、静電噴射された液体の液滴は、第2の流体の中で制御可能に分散される。これは、エマルジョン、例えば油/水エマルジョンまたはナノエマルジョンの形成を可能にする。それは、第2の液体の固化した殻の内部に収容された静電噴射された液体を有する粒子の形成を可能にする。加えて、揮発性液体は、不揮発性の第2の液体の中で噴射されてよい。
【0087】
説明した実施形態の全ては、エレクトロスプレーに供される実質的に非導電性または伝導性の液体または流体に電荷が注入される間、エレクトロスプレーパルスを生成するように構成されている。パルスは、電荷注入の開始および終了によって直接的に引き起こされるものでなく、構成されたシステムに固有である。
【0088】
図1Bは、本発明のエレクトロスプレー装置の更なる実施形態を示す。この装置は、導電性液体を噴射するように構成される。
【0089】
毛細管のエミッタ・チューブ70は、噴射される液体74を収容する。高電圧供給装置79は、抽出装置電極78およびエミッタ・チューブ70との間に接続される。電位は、導電性接続部材72を介してエミッタ70の導電性表面に印加される。高電圧供給装置79は、電極78およびエミッタ70との間に電位差を提供する。
【0090】
抽出装置電極78は、エミッタ先端部から適切な距離に保持される。エミッタ・チューブ70に対向している電極78の側表面上に、目標基板77が配置されてよい。
【0091】
基板は、粒子または微粒子の予め組み立てられた単層を塗布されていてよく、および/または粒子または微粒子の予め組み立てられた下地単層を塗布されている。基板は、絶縁体、半導体または導体であってよい。
【0092】
使用中、電位は供給装置79によって生成され、液体はパルス状の噴出または噴射としてチューブ70から射出される。噴射76は、基板77に衝突する。コンピュータ化された高精度移動載物台80は、基板77および電極78を支持し、電極78を噴射76の方向に垂直方向に移動できる。
【0093】
図18は、本発明のエレクトロスプレー装置の、図1および1bに示されたものとは異なる実施形態を示す。図18において、エミッタは、毛細管の形態でなく、液体86を収容する貯蔵部を画定できるいかなる材料85からも形成される。オリフィスが貯蔵部において形成され、そこから、液体がエレクトロスプレーに供される。この実施形態は、微細加工されてよい。
【0094】
材料87の層は、材料85および層89の間に挟まれている。材料87、89の層は、オリフィス周辺で凹部を形成する。材料85、89は、好ましくは導電性であるか、または導電性要素を埋め込まれている。材料87は、好ましくは非導電性である。
【0095】
高電圧供給装置79は、材料85に接続されていて、好ましくは材料89にも接続されている。高電圧供給装置79は、電界が液体86において生成され、前述の通りにエレクトロスプレーパルスを引き起こすように構成されている。これは、一体化した電極の実施形態を示す。
【0096】
図1、1bまたは18の装置のいずれかを用いてパルス状の噴射を発生させるために、最小安定噴射流量の近傍の流量で液体を静電的にポンプ輸送するために必要な力が大き過ぎないように、液体粘度、電極およびエミッタの構造は選択される。電界強度または充電電流は、液体粘度、電極およびエミッタの構造に基づいて選択される。電界強度は、一定のコロナ放電の発生なくパルス状の静電噴射装が生成されるように、選択される。特定のエミッタ開口径または流体抵抗において、大きい液体粘度の場合、電界強度または注入される電荷量は、より高くてもよい。より低い液体粘度の場合、より低い充電電流が用いられてよい。より小さいエミッタ開口径、またはより大きい流体抵抗の場合、電界強度または注入される電荷量のいずれかは、特定の粘性において、より高くなければならず、または、特定の電界強度または注入電荷量においては、粘度がより低くなければならない。
これらの関係は、特に導電性および非導電性液体の両方のエレクトロスプレーに対して、記載されている実施形態の全てに適用できる。
【0097】
それぞれの液滴の液体容積は、エレクトロスプレーパルスが発生する電圧の範囲において、充電電流または電界が増加するのに従って増加することが分かった。例えば、電圧の増加と共に液滴容積が増加することが、印加電圧900Vおよび3000Vの間で見られた。このように充電電流または電界を増加させることは、放射される液滴の周波数およびそれぞれの液滴の液体容積の両方を増加させる。
【0098】
前述の説明は、図1、1bまたは18のいずれかに基づく装置を用いた、導電性および非導電性液体のエレクトロスプレーの両方に対して適用する。図1、1bまたは18に基づく装置は、複数のエミッタを有してよく、それらは二次元配列に配置されてよい。エミッタに流体接続された、分離された貯蔵部を設けてもよい。
【0099】
エミッタは、毛細管の形態でなくてもよく、液体を収納する貯蔵部を画定できるいかなる材料からも形成できる。オリフィスは、貯蔵部において形成され、そこから液体が噴射される。この実施形態は、微細加工されてよい。電荷注入のための高電圧供給装置または他の手段は、流体に電荷を注入するために貯蔵部に配置された材料または尖端金属電極に接続されていてよい。
【0100】
放射された液体の液滴容積は、注入電極に印加された電界の変化により変動する。電荷注入のための金属ニードルまたは他の手段に対する印加電圧または充電電流を増加させると、エレクトロスプレーが発生する範囲において、液滴放射の周波数およびそれぞれの液滴の容積の両方が増加した。それぞれの液滴の容積は、最大値に達したのち減少してもよい。印加電圧に対する液滴容積の関係は、液体およびエミッタ構造の特性に左右される。
【0101】
エレクトロスプレーパルスは、図1、1bまたは18の装置を用いて正確に制御される。基板の同じ位置に1つの液滴または所定の数の液滴を堆積することが要求されてもよい。従って、移動載物台の移動を行うためにエレクトロスプレーを停止する前にエレクトロスプレーに供される液体の容積を制御することが必要である。選択的に、移動中または静止中の移動載物台の上で発生するエレクトロスプレーの量を制御することが要求されてもよい。
【0102】
エレクトロスプレーの制御に関して、他の形態を用いることも可能であるが、主要な形態は以下の2つである。
1)ある所定の時間において放射される液滴の数を制御するために使用される電圧または充電電流を変化させること。これらは、以下第1および第2のモードとして説明され、図3a、3b、14、15、16および17に示される。
2)ある所定の電圧または充電電流において電圧または充電電流が印加される時間を変化させること。これは、以下第3のモードとして説明され、図7a、7b、7cに示される。
【0103】
以下の作動モードおよび使用法は、ここに記載された、または図示された装置のいずれかにおいて用いられる。これらの作動モードおよび使用法は、これらのエレクトロスプレーパルスを放射することが可能であるいかなる装置に用いてもよい。
【0104】
図3aおよび3bは、本発明の第1のモードを示す。エレクトロスプレーに供される液体は、導電性、非導電性のいずれの液体であってもよく、このことは、説明される全てのモードにおいて適用される。使用される装置は、図1または1bのいずれかに基づくものである。エレクトロスプレー装置は、液体に電圧または充電電流を印加する。印加される電圧は、2つの電圧または充電電流の間で、好ましくは5kHzの速度で繰り返しながら切り替わる。2つの電圧のそれぞれは、等しい時間、この場合0.0001秒づつ印加されてよく、または、2つの電圧のうちの1つが他より長い時間印加されてもよい。
【0105】
第1の電圧は、期間110の間に印加される。第1の電圧は、エレクトロスプレーパルスが放射されるための最小閾値より小さい値に選択される。従って、パルスは、第1の期間110には放射されない。例えば、電圧は350Vである。
【0106】
第2の期間112において、印加電圧は、より高い電圧に切り替えられる。第2のより高い電圧は、第2の期間112の全体にわたって一定で、一定の周波数で装置から放射されるエレクトロスプレーの6つの液滴を引き起こす。例えば、第2の電圧は400Vである。電圧はそれから第1の電圧に切り替わり、周期的に繰り返す。第1および第2の期間の電圧または充電電流は、好ましくは、矩形波を形成するように印加される間それぞれ実質的に一定である。また選択的に、鋸歯または三角形または正弦波の形態であってもよい。
【0107】
図3bは、第1の期間110および第2の期間112の拡大図を示す。エレクトロスプレーのパルスは、ピーク114によって示される。ここで示される飽和した矩形の正および負の電流は、放射されたエレクトロスプレーパルスを意味せず、単に印加電圧の変化を示す。期間110、112の長さは異なり、特に、「オン・パルス発信」の期間112は「オフ」の期間110より長い。選択的に、期間110、112の長さは、同じであってもよい。
【0108】
図15は、本発明の第1の実施形態の変化を示す。印加電圧は、第1の電圧および第2の電圧の間を5kHzの周波数で循環する。第1の電圧は、期間120の間に印加される。第1の電圧は、エレクトロスプレーパルスが放射されないように選択される。第2の電圧は、第2の期間122において印加される。図3は、電圧の選択がどのように放射される液滴の周波数に影響するかを示す。第2の電圧は、この期間122に1つのエレクトロスプレーパルス124が放射されるように選択される。この循環は、それから繰り返され、第1および第2の電圧を交互に入れ替える。
【0109】
図16は、前述の通り、2つの電圧の間の切り替えを示す。第1の期間130において、それによってエレクトロスプレー液滴が放射されない第1の電圧が印加される。第2の期間132において、第2の電圧が印加される。第2の電圧は、期間132の間に3つのエレクトロスプレー液滴134が放射される周波数でエレクトロスプレーを引き起こすように選択される。
【0110】
電界または充電電流は、エレクトロスプレーが放射されない、ゼロでない強度に減少される。エレクトロスプレーが放射される期間からエレクトロスプレーが放射されない期間に移行するとき、電圧は100V未満、好ましくは20乃至50Vの間に減少されてよい。または、エレクトロスプレーが放射されないときに、電界または充電電流は実質的にゼロでもよい。
【0111】
時間変動する電界または充電電流は、すべての実施形態において、直流の(または一定の)電界または充電電流成分によって生成されてよい。通常の小さな時間変動する成分も生成され、一定成分に重畳される。
【0112】
時間変動する電界または充電電流は、矩形波であり、そこにおいて、電界または充電電流の強度は2つの値の間を交互する。それらのうちの1つの値においてエレクトロスプレーが放射されない場合であっても、交互する値は両方とも、好ましくはゼロでない。あらゆる実施形態の波形は、選択的に、不規則形であってよく、また波形の平らな部分に対して一定でなくてよい。特に、波形は、正弦波、鋸歯または三角形波の形でよい。
【0113】
図17は、本発明の第2の実施態様を示す。第1の期間140の間、一定の第1の電圧が液体に印加される。第1の電圧は、第1の期間140において2つの液滴が放射されるような周波数で液滴を放射するように、選択される。装置は、第2の期間142の間に印加される第2の電圧に切り替える。第2の電圧は、第2の期間142の間に6つのエレクトロスプレーパルスが放射されるように、より高く選択される。装置は、5KHzの速度で、第1および第2の電圧の間を循環する。第1および第2の期間は、長さにおいて等しく、それぞれ0.0001秒である。この循環は、第3の期間148の間第1の電圧を繰り返すことによって継続し、それの間、2つのエレクトロスプレーパルスが放射される。印加される電圧または充電電流に依存する。パルスの放射量は、第1および第2の期間において異なる。
【0114】
第1および第2の期間は、上記の通り等しい時間である。または、第1および第2の期間は、異なる長さの時間であってもよい。それぞれの期間の電圧およびそれが印加される期間は、要求される量の液体を要求される速度で供給し、または所定の期間エレクトロスプレーを行わないように、自由に変えられる。
【0115】
装置は、それぞれの期間で異なる電圧が印加される2つ、3つ、またはその以上の期間を循環してもよい。
【0116】
図7a、7bおよび7cは、第1および第2の実施形態とは別の制御手段を提供する、本発明の第3の実施形態を示す。第3の実施形態において、液体に印加される電圧のオン時間が変えられる。一定電圧が、エレクトロスプレーパルスを放射するために印加される。電圧または充電電流は、必要な数のパルスが放射されるように選択された長さの時間の間、印加される。電圧は、それから、更なるエレクトロスプレーが放射されないように減少される。電圧は、それから再びスイッチ・オンにされ、その循環が繰り返される。
【0117】
電圧は、エレクトロスプレーが放射されないような最小閾値よりわずかに小さい値に減少されてもよく、またはゼロに減少されてもよい。好ましくは、電界または充電電流は、エレクトロスプレーが放射されないときゼロでない強度に減少される。電圧は、100V未満、好ましくは20乃至50Vの間に減少されてよい。
【0118】
図7aは、期間150の間スイッチ・オンにされた電圧を示す。期間150は、1つのパルス151が放射される時間のみであるように選択される。電圧は、更なるパルスが放射されないように、残りの周期において減少される。
【0119】
図7bは、期間152の間スイッチ・オンにされる電圧を示す。期間152は、3つのパルス153が放射されるのに十分である。
【0120】
図7cは、14個の液滴が放射されるのに十分な期間154の間スイッチ・オンにされる電圧を示す。
【0121】
この実施形態において、電圧は、エレクトロスプレーの用途に応じて、その適用のために正確に制御された適切な噴射量を提供するように、選択される。
【0122】
装置は、周期的な第3のモードで作動してよい。周期は、その間にエレクトロスプレーが放射することが求められる期間の予想最長期間より長く選択された一定の期間を有してよい。電界または充電電流強度が閾値を超える間、エレクトロスプレーパルスが発生する。電界または充電電流の強度が閾値より大きい期間の長さは、変えられてよい。波形のデューティ・サイクルは、波形が「高い」または「オン」であるサイクルの割合として考えてよく、その結果、波形のデューティ・サイクルは、エレクトロスプレーパルスが放射されない時間と比較したエレクトロスプレーが放射される時間の長さに基づいて変えられる。
【0123】
一定期間の1周期において電界または充電電流の強度を変化させる手段は、可変デューティ・サイクルを提供する。
【0124】
装置は、電圧およびその電圧が印加される時間の長さの両方が、エレクトロスプレー液滴の放射を制御するために変化可能なモードで作動してよい。
【0125】
記載されている特徴のいずれも、他の記載されたいずれの特徴とも結合可能である。上記の実施形態のいずれかによるエレクトロスプレーは、多くの用途を有する。次に、可能な用途、およびどのようにエレクトロスプレーがそれらのために最適化されるに関して、いくつか説明する。これらの用途および使用方法は、全ての実施形態に適用される。
【0126】
「導電性経路」
電子回路は、要素を電気的に接続する導電性経路の製造に依存している。本発明は、例えば、直接書込工程のプリンタとして用いることができる。噴射される液体は、金のナノ微粒子の懸濁液であってよく、または、硝酸銀に基づく導電性インキであってもよい。あるいは、例えば、トルエンに溶解された銀ネオ・デカン酸塩を含む有機金属分解インキが用いられてもよい。基板は、シリコン、アセテート、ガラス、樹脂、紙または他の材料であってよい。この種の導電性インクは、約10cPの粘度を有していてよい。この装置は、好ましくは10乃至50μmのノズル径を使用する。他のスクリーン印刷可能なインキは、100cPより大きな粘度を有し、これらは、100μmより大きなノズル径を用いてこの方法を用いることができる。
【0127】
「樹脂製電子機器」
電子機器のための樹脂基板の使用は、柔軟な樹脂基板上に電子回路を形成することを可能にする。樹脂基板は、粗い表面および低い融点温度を有するという問題を示す。これらの問題は、材料を溶液の形態で適度な温度で樹脂上に印刷する、溶解処理によって解決される。この技術は、この用途のために望ましい材料を印刷することが可能である。導電性経路は、樹脂基板上に前述の通りに印刷されてもよい。
【0128】
「発光ポリマー(例えば、PEDOT ― Poly(3、4―エチレンジオキシ・チオフェン))および導電性ポリマー」
これらの材料は、水または誘電性の液体に混合できる。前述の適切な装置は、エレクトロスプレーに供されるものの導電性、すなわち、導電性か非導電性のどちらと考えられるかに応じて用いられることができる。ノズル径は、必要な特性サイズおよび溶液粘度に合うように選択される。ノズル径は、小さな特性物および水に類似の粘度のため、5または10μmでよい。
【0129】
「表示スクリーン」
装置は、薄膜トランジスタ(TFT)スクリーンを印刷するために用いることができる。使用する基板は、ガラスでよく、導電性の液体がエレクトロスプレーに供されてよい。図18に示すように、一体化された電極が用いられてよい。
【0130】
スクリーンの製作は、マスクを使用しないリソグラフィー、導電性経路、または樹脂製電子機器に関して説明した特徴のいずれも利用できる。
【0131】
「再生医療」
装置および方法は、再生医療のために、例えばタンパク質の水溶液を噴射することに用いられる。タンパク質は、単純なアミノ酸から大きい非共有結合の高分子、例えばプロテオゾームまで含んでよい。タンパク質の質量は、最大約1Mdaまで大きくてよく、これによっていくつかの種類のウイルスをエレクトロスプレーに供することができる。水は、適度の粘性を有しているため、溶剤として用いられる。広範囲のノズル径が用いられてよいが、好ましくは、ノズル径10乃至30μmが用いられる。
【0132】
基板は、約10μmスケールの生分解性ポリマー(例えば、PLGA)から製作させた足場でよい。装置は、一体化された電極を用いることができる。噴射されるタンパク質は、機能蛋白質、例えばフィブロネクチン、アルブミンまたはコラーゲンであってよい。これによって、細胞成長および移動を足場の微小目盛りによって制御することができる。
【0133】
この装置は、脂質二重層、またはタンパク質のための足場を生成するために用いられてよい。この装置は、例えば、創薬目的のための液体の正確な分配に用いられることができる。
【0134】
「噴霧器」
この装置は、例えば、液剤または生理活性物質を含む液体を霧化して0.4乃至6ミクロンの望ましい範囲の液滴を生成するための噴霧器として用いられることができる。ミストの形態で霧化された液体は、ユーザによって吸息される。
【0135】
「経皮的な注入」
この装置は、液剤または生理活性物質を含む液体を霧化するために用いることができる。
この蒸気は、ユーザに局所的または経皮的に施用される。
【0136】
「分配」
この装置は、質量分析計と結合して用いられることができる。装置は、非常に少ない量の分子を、例えば質量分析計の中に分配することに適している。基板は、ガラスまたは樹脂でよい。装置は、フェムト・リットル容積を高いピコ・リットル容積の水溶液に分配するように構成されてよい。水溶液は、試験される分子を含有してよい。
【0137】
この装置および方法は、チップ上の検査部に検体を噴射するために用いられてよい。この装置は、ラピッドプロトタイピングのために、または生物学的マイクロアレイの製作のために用いられることができる。この方法は、溶液のマイクロピペット操作、またはマイクロアレイの製作にも用いられる。
【0138】
本発明の装置は、バイオセンサ上にタンパク質または他の検体をエレクトロスプレーに供するために用いられてよい。
【0139】
「マスクを使用しないリソグラフィー」
本発明の装置は、表面上へパターンを転写するために用いることができる。フォトリソグラフィーは、しばしばフォトレジストと呼ばれるポリマーから製造されるエッチマスクを使用し、そこにおいて、パターンは露光量によって生成される。
【0140】
本発明は、表面の上に所望のパターンでエッチング・レジスト材を直接印刷する、または、必要とされない部分からエッチング・レジストまたは不必要な有効フィルムを除去するために表面の上にエッチング剤またはレジスト現像剤を印刷することによって、エッチマスクを生成することができる。
【0141】
エッチング・レジスト材の印刷は、エレクトロスプレーに供される液体として、ポリマーまたはワックスを使用することができる。このような液体は、誘電性(すなわち、非導電性)のものが多く、従って、図1に基づく装置が用いられてよい。100μmを超えるノズル径が、用いられてもよい。基板は、好ましくはシリコンであり、または他の材料であってもよい。エッチング剤または現像剤は、低い粘度を有する有機溶剤であることが多い。
【0142】
「メタマテリアル」
メタマテリアルは、しばしば「超格子」または「光結晶」と呼ばれる周期的または細胞状の構造を有する人工的に生成された材料である。細胞状小区画の周期は、それが相互に作用する光の波長と同等でなければならない。可視光のために、1ミクロン未満の波長が必要である。本発明の技術は、このスケールでの印刷を達成することが可能である。
【0143】
「光学装置」
光学装置は、ミクロン・スケール上の特徴を有するポリマーから製造されることができる。導波管およびミラー組立体の微細加工は、前述のように、リソグラフィー材料堆積およびエッチング・プロセスを使用して達成することができる。シリコンまたはガラス基板上に、エレクトロスプレーに供される液体は、好ましくはポリマーである。
【0144】
本発明の装置は、光学装置、例えば回折格子またはホログラムを製造するために用いることができる。本発明のための装置は、有機発光ダイオード(OLED)を備えるスクリーン、またはLiquavista(RTM)スクリーンを製造するために用いることができる。
【0145】
装置は、センサの製造において用いられることもでき、または噴射される液体として、インキまたは他の液体を用いて画像を印刷することにも用いられる。本発明は、接着剤の位置決め、パターン化、または電子部品の製作によって製造において用いられることができる。エレクトロスプレー装置は、チップまたは基板上にインキクを噴霧する、または印刷するために、プリンタとして用いられることができる。
【0146】
記載されている用途および適用は、本質的にパルス化されたエレクトロスプレーを利用したいかなる装置または方法にも適用でき、記載された実施形態の装置または作動方法に限定されるものではない。例えば、用途および適用は、電界または充電電流の強度が、エレクトロスプレーを停止するためにゼロ、またはゼロでない値に減少するときに、適用できる。
【0147】
本発明の装置および方法は、基板上の1点に複数の液滴を噴射するために用いることができ、その結果、基板上の異なる位置に噴射を続けるために、基板およびエミッタとの間に相対運動を提供することができる。相対運動は、エレクトロスプレーが電界強度を閾値より小さい値に減少することによって停止される間に、発生することができる。装置および方法は、基板のいかなる位置でも1つの液滴のみを噴霧するように用いることもできる。それは基板の連続的な相対運動または一度に1つの液滴のみの放射によって達成されることができ、エレクトロスプレーが電界強度を閾値より小さい値に減少することによって停止された間に基板は移動する。
【0148】
当業者に理解されるように、上記実施形態の詳細は、請求の範囲に規定されたように、本発明の範囲内において変化することができる。
【0149】
例えば、基板は、紙、シリコン、半導体、絶縁体、導体、カード、食品、包装、樹脂および皮膚であってよい。図19乃至21は、各種実施形態の基板上における液滴堆積の結果を写真として示す。これらの図は、液滴容積および周波数を含む各種の結果を得るために用いるパラメータ(電圧、毛細管内径)を表示する。
【0150】
図8に示す実施形態において、エミッタの圧力を正味ゼロにすることが必要なとき、例えば、流体貯蔵部24の中の液体自由表面が毛細管の出口平面と同じ高さであってよい。
【0151】
ここで説明した実施形態は、移動移動載物台によって移動される基板を示すが、逆に、印字ヘッドを移動させ、基板を固定してもよい。
【0152】
少なくとも、非導電性液体が用いられるとき、電圧は、ノズルまたはエミッタ出口径から実質的に独立している。
【0153】
放射周波数および特に最大放射周波数は、ノズルまたはエミッタ出口径に依存していてよい。従って、この直径を変化させることは、このパラメータを変化させるために用いてよい。図19乃至21は、この依存関係の実施形態を提供する。
【0154】
以上説明した実施形態の特徴に対する多くの組合せ、修正または変更は、当業者にとって明らかであって、これらは本発明の一部を構成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス状の実質的に非導電性の液体の制御された容積を分配する静電噴射装置であって、
前記装置は、
その領域から前記液体を噴霧できる噴射領域を有するエミッタと、
前記液体に電荷を注入する手段と、を備え、それによって、使用中に、前記液体は静電力によって前記噴射領域に搬送され、前記電荷が注入される間、1つ以上のパルス状の静電噴射が発生する装置。
【請求項2】
前記エミッタは、液体を収容するキャビティを備え、そこにおいて、前記噴射領域は前記キャビティと流体接続した開口である請求項1に記載の静電噴射装置。
【請求項3】
前記エミッタはチューブである請求項2に記載の静電噴射装置。
【請求項4】
前記エミッタは隆起した位置を有する表面であり、前記噴射領域は1つ以上の前記隆起した位置に配置された請求項1に記載の静電噴射装置。
【請求項5】
前記電荷を注入する手段は、噴射される前記液体と係合可能な尖端部分を有する電極と、前記電極に接続された電圧電源装置と、を備えた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項6】
前記電極の前記尖端部分は、使用中に前記液体中に実質的に浸漬される請求項5に記載の静電噴射装置。
【請求項7】
前記電極の前記尖端部分は、前記エミッタの中に配置された請求項5または6に記載の静電噴射装置。
【請求項8】
前記電極は前記開口に向かって突出した請求項2または3に従属した請求項7に記載の静電噴射装置。
【請求項9】
前記電圧電源装置は、圧電性電荷注入装置である請求項5に記載の静電噴射装置。
【請求項10】
前記装置は、電荷の注入量が一定のとき、前記エレクトロスプレーのパルスが一定の周波数で発生するように構成された請求項5乃至9のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項11】
前記電極は、前記噴射領域に対して距離をおいて配列された請求項5乃至9のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項12】
前記電子を注入する手段は、摩擦帯電することができて、前記エミッタに接触できる材料である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項13】
液体を収容できて、通路によって前記キャビティに接続された貯蔵部を更に備えた請求項2または3に記載の静電噴射装置。
【請求項14】
前記貯蔵部から前記エミッタへの液体の流れは流量測定装置によって測定され、好ましくは、前記流量測定装置は一対の距離をおいて配置された別々の圧力センサの間の圧力低下を測定する請求項13に記載の静電噴射装置。
【請求項15】
前記開口は、0.1乃至1000μmの直径を有する請求項2または3に記載の静電噴射装置。
【請求項16】
前記開口は、0.1乃至50μmの直径を有する請求項2または3に記載の静電噴射装置。
【請求項17】
基板が前記噴射領域から距離をおいて配置され、それによって、前記噴射された液体は前記基板の表面に堆積され、その上に図柄を形成する請求項1乃至16のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項18】
前記基板はシリコンである請求項17に記載の静電噴射装置。
【請求項19】
前記基板と前記噴射領域との間に相対運動を提供する手段を備えた請求項17または18に記載の静電噴射装置。
【請求項20】
前記基板および前記噴射領域の間の距離は、前記基板上に形成される前記図柄の大きさを変動できるように、変動されることができる請求項19に記載の静電噴射装置。
【請求項21】
前記基板および前記噴射領域の間の前記相対運動は、前記基板の平面と並行な平面上で行われる請求項19または20に記載の静電噴射装置。
【請求項22】
前記基板は粒子または微粒子の予め組み立てられた単層を塗布されていて、および/または前記基板は粒子または微粒子の予め組み立てられた下地単層を塗布されている請求項17に記載の静電噴射装置。
【請求項23】
前記基板は、絶縁体、または半導体または導体である請求項15に記載の静電噴射装置。
【請求項24】
前記液体は、前記基板の濡れ特性を変化できる表面修正剤を含む請求項16乃至22のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項25】
前記基板表面は多孔質または非多孔質である請求項17に記載の静電噴射装置。
【請求項26】
1つのパルスによって放射される前記液体容積は、0.1フェムトリットル乃至1フェムトリットルの間、または1フェムトリットル乃至1ピコリットルの間、または1ピコリットル乃至100ピコリットルの間、または100ピコリットル乃至10ナノリットルの間、または10ナノリットル乃至1マイクロリットルの間である請求項1乃至25のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項27】
複数パルスの連続した射出によって堆積される液体の合計容積は、0.1フェムトリットル乃至0.1ピコリットルの間、または0.1ピコリットル乃至1ナノリットルの間、または1ナノリットル乃至1マイクロリットルの間である請求項1乃至26のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項28】
前記噴射は、1kHz乃至10kHzの間、または1Hz乃至100Hzの間、または10kHz乃至100kHzの間、または100Hz乃至1000Hzの間、または100kHz乃至1MHzの間の周波数で発生する請求項1乃至27のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項29】
前記装置は印刷を実行するように構成された請求項1乃至28のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項30】
前記装置は前記噴射される液体としてインキを用いるように構成された請求項1乃至29のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項31】
前記装置は、10−6S/mより小さな導電率、好ましくは10−8S/mより小さな導電率を有する液体を用いるように構成された請求項1乃至30のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項32】
前記噴射領域は、前記静電噴射される液体と非混合性である、または部分的に混合可能である第2の流体の中に配置された請求項1乃至31のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項33】
前記第2の流体は、静止状態、または流動状態である請求項32に記載の静電噴射装置。
【請求項34】
前記噴射領域は、空気、高圧ガス、真空、二酸化炭素、アルゴンまたは窒素を含むがこれに限定されない任意のガス環境を含むハウジングの中に配置された請求項1乃至33のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項35】
複数のエミッタであって、それぞれのエミッタは電界または充電電流を前記噴射領域の近傍で液体に印加する手段を有する複数のエミッタを備えた請求項1乃至34のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項36】
前記エミッタは配列に配置される請求項35に記載の静電噴射装置。
【請求項37】
電界または充電電流を印加する前記手段は、それぞれの噴射領域の前記電界または充電電流を独立して制御するように動作可能である請求項35または36に記載の静電噴射装置。
【請求項38】
電界または充電電流を印加する前記手段に接続された高速スイッチであって、前記静電噴射装置が液体を射出する時間を正確に制御するために電圧または充電電流をオン・オフする高速スイッチを更に備えた請求項1乃至37のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項39】
使用中に前記液体は加圧されない請求項1乃至38のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項40】
前記装置は、機械式ポンプまたは前記液体を加圧するための他の任意の手段を含まない請求項1乃至39のいずれか1項に記載の静電噴射装置。
【請求項41】
実質的に非導電性の液体を受容し、その領域から液体を噴射できる噴射領域を有するエミッタを用意する工程と、
前記液体に電荷を注入する工程と、を有し、
それによって、前記実質的に非導電性の液体は、静電力によって前記噴射領域に搬送され、
そこにおいて、電界強度または充電電流、液体粘度、および電極構造およびエミッタ構造は、前記電界または充電電流が印加されている間静電噴射がパルス状に発生するように選択された静電噴射方法。
【請求項42】
前記エミッタは液体を受容するキャビティを備え、前記噴射領域は前記キャビティと流体接続した開口である請求項41に記載の静電噴射方法。
【請求項43】
前記エミッタはチューブである請求項42に記載の静電噴射方法。
【請求項44】
前記エミッタは隆起した位置を有する表面であり、前記噴射領域は1つ以上の前記隆起した位置に配置された請求項41に記載の静電噴射方法。
【請求項45】
複数のエミッタが用意され、それぞれのエミッタに印加される前記電界または充電電流は独立して制御される請求項41乃至44のいずれか1項に記載の静電噴射方法。
【請求項46】
基板が前記噴射領域から距離をおいて配置され、前記基板は、前記基板の上に図柄が形成されるように前記噴射された液体を受容する請求項41乃至45のいずれか1項に記載の静電噴射方法。
【請求項47】
前記液体は、前記基板の濡れ特性を変化できる表面修正剤を含む請求項46に記載の静電噴射方法。
【請求項48】
前記図柄が前記基板に上に形成された後、流体は、前記表面修正剤が前記図柄の位置で前記基板の前記濡れ特性を変化させるように前記図柄から蒸発する請求項46に記載の静電噴射方法。
【請求項49】
前記基板および前記噴射領域の間に、前記基板の平面と平行な平面内における相対運動が存在する請求項46乃至48のいずれか1項に記載の静電噴射方法。
【請求項50】
前記基板および前記噴射領域の間に、前記基板と前記噴射領域の間の距離が変化するように相対運動が存在する請求項41乃至49のいずれか1項に記載の静電噴射方法。
【請求項51】
前記方法は、インキを噴射することによって印刷する工程を含む請求項41乃至50のいずれか1項に記載の静電噴射方法。
【請求項52】
前記電荷は、電圧電源、圧電式充電装置または摩擦式充電装置によって注入される請求項41乃至51のいずれか1項に記載の静電噴射方法。
【請求項53】
前記液体は、好ましくは10−8S/mより小さな、10−6S/mより小さな導電率を有する請求項41乃至52のいずれか1項に記載の静電噴射方法。
【請求項54】
エレクトロスプレーの前記パルスは、一定の周波数で放射される請求項41乃至53のいずれか1項に記載の静電噴射方法。
【請求項55】
前記液体は加圧されない請求項41乃至53のいずれか1項に記載の静電噴射方法。
【請求項56】
液体を受容し、その領域から液体を噴射できる噴射領域を有するエミッタと、
液体に時間変動する電界または充電電流を印加する手段と、を備え、
そこにおいて、前記時間変動する電界または充電電流の強度が閾値強度より大きいとき、前記電界または充電電流が印加されている間エレクトロスプレーがパルス状に発生し、
そこにおいて、エレクトロスプレーが発生する間、液体は静電力によって前記噴射領域に引かれ、
そこにおいて、使用中に、前記時間変動する電界または充電電流の強度はゼロでないエレクトロスプレー装置。
【請求項57】
前記時間変動する電界または充電電流の前記強度は、第1の期間に1つ以上のエレクトロスプレーのパルスが放射され、第2の期間にエレクトロスプレーのパルスが放射されないように変化されることができる請求項56に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項58】
前記時間変動する電界または充電電流の前記強度は、第1の期間に1つ以上のエレクトロスプレーのパルスが放射され、第2の期間に1つ以上のエレクトロスプレーのパルスが放射されるように変化されることができ、
そこにおいて、前記第1の期間のパルスの放射量は、前記第2の期間のパルスの放射量と異なる請求項56に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項59】
前記第1の期間の長さは前記第2の期間の長さと実質的に等しい請求項57または58に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項60】
前記時間変動する電界または充電電流は、矩形波、正弦波、鋸歯または三角形波の形態の波形を有する請求項56乃至59のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項61】
前記印加される電界または充電電流は、周期的に作動する請求項56乃至60のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項62】
前記液体に時間変動する電界または充電電流を印加する前記手段は、
電界または充電電流に関する一定のオフセット成分を生成する手段と、
時間変動する成分を生成する手段と、
一定の成分および時間変動する成分を合成する手段と、を備えた請求項56乃至61のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項63】
前記時間変動する電界または充電電流の前記強度が前記閾値強度より大きい時間の長さを変化させる手段を備えた請求項56乃至62のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項64】
前記電界または充電電流の前記強度は、前記閾値強度より大きい間、実質的に一定である請求項63に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項65】
前記電界または充電電流の前記強度を一定期間において周期的に変化させる手段を備え、そのデューティ・サイクルは可変である請求項63または64に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項66】
10−6S/mより大きな導電率を有する導電性の液体をエレクトロスプレーに供するため前記液体に電界を印加する手段、または10−6S/mより小さな導電率を有する実質的に非導電性の液体をエレクトロスプレーに供するため前記液体に充電電流を印加する手段を備えた請求項56乃至65のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項67】
前記噴射領域から距離をおいて配置された基板であって、前記噴射された液体が前記基板の表面に堆積され、その上に図柄を形成するように配置された基板を備えた請求項56乃至66のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項68】
前記基板および前記噴射領域の間の相対運動を提供する手段を備えた請求項67に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項69】
導電性経路の製造のために構成された請求項56乃至68のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項70】
表示スクリーンの製造のために構成された請求項56乃至69のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項71】
エレクトロスプレーのパルスを質量分析計の中に、または基板上に放射するように構成された請求項56乃至69のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項72】
画像を印刷するように構成された請求項56乃至69のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項73】
1つ以上のタンパク質を含む液体をエレクトロスプレーに供するように構成された請求項56乃至69のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項74】
樹脂基板、好ましくは、柔軟な樹脂基板の上にエレクトロスプレーに供するように構成された請求項56乃至69のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項75】
1つ以上の発光ポリマーまたは1つ以上の導電性ポリマーを含む液体をエレクトロスプレーに供するように構成された請求項56乃至69のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項76】
再生医療のためにエレクトロスプレーを行うように構成された請求項56乃至69のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項77】
噴霧器として、または経皮的な噴射器としての用途のために構成された請求項56乃至69のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項78】
チップまたはバイオセンサ上の検査体に液体を分配する分配器として構成された請求項56乃至69のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項79】
マスクを使用しないリソグラフィーのために構成された請求項56乃至69のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項80】
メタマテリアル、または光学装置、好ましくは、回折格子またはホログラムの製造のために構成された請求項56乃至69のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー装置。
【請求項81】
液体を受容し、その領域から液体を噴射できる噴射領域を有するエミッタを用意する工程と、
前記エミッタに液体を提供する工程と、
前記液体に時間変動する電界または充電電流を印加する工程と、を含み、
そこにおいて、前記時間変動する電界または充電電流の強度は、前記時間変動する電界または充電電流が閾値強度より大きい間、パルス状のエレクトロスプレーを発生させ、
そこにおいて、エレクトロスプレーが発生する間、液体は静電力によって前記噴射領域に引かれ、
そこにおいて、使用中に、前記時間変動する電界または充電電流の強度は、ゼロでないエレクトロスプレー方法。
【請求項82】
前記時間変動する電界または充電電流の前記強度は、第1の期間に1つ以上のエレクトロスプレーのパルスが放射され、第2の期間にエレクトロスプレーのパルスが放射されないように変化する請求項81に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項83】
前記時間変動する電界または充電電流の前記強度は、第1の期間に1つ以上のエレクトロスプレーのパルスが放射され、第2の期間に1つ以上のエレクトロスプレーのパルスが放射されるように変化し、
そこにおいて、前記第1の期間のパルスの放射量は、前記第2の期間のパルスの放射量と異なる請求項81に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項84】
前記第1の期間の長さは、前記第2の期間の長さと実質的に等しい請求項82または83に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項85】
前記時間変動する電界または充電電流の前記強度が前記閾値強度より大きい時間の長さを変化させる工程を備えた請求項81乃至84のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項86】
前記電界または充電電流の前記強度は、前記閾値強度より大きい間、実質的に一定である請求項81乃至85のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項87】
前記電界または充電電流の前記強度を一定期間において周期的に変化させる工程を含み、前記強度が前記閾値より大きいデューティ・サイクルは可変である請求項81乃至86のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項88】
導電性経路の製造のために使用される請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項89】
表示スクリーンの製造のために使用される請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項90】
エレクトロスプレーのパルスを質量分析計の中に放射するように使用される請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項91】
画像を印刷するように使用される請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項92】
エレクトロスプレーに供される前記液体が1つ以上のタンパク質を含む請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項93】
樹脂基板、好ましくは、柔軟な樹脂基板の上にエレクトロスプレーが行われるように使用される請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項94】
1つ以上の発光ポリマーまたは1つ以上の導電性ポリマーを含む液体をエレクトロスプレーに供するように使用する請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項95】
再生医療のためにエレクトロスプレーを行うように使用される請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項96】
噴霧器として、または経皮的な噴射器としての用途のために使用される請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項97】
チップまたはバイオセンサ上の検査体に液体を分配するように使用される請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項98】
マスクを使用しないリソグラフィーのために使用される請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。
【請求項99】
メタマテリアル、または光学装置、好ましくは、回折格子またはホログラムの製造のために使用される請求項81乃至87のいずれか1項に記載のエレクトロスプレー方法。

【図1】
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【図1b】
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【図2a)】
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【図2b)】
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【図3】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2010−530795(P2010−530795A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507984(P2010−507984)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001708
【国際公開番号】WO2008/142393
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(507078256)クイーン マリー アンド ウエストフィールド カレッジ (5)
【Fターム(参考)】