説明

音声案内装置

【課題】ユーザに煩わしさを与えることのない音声案内を行うことが可能な音声案内装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る音声案内装置は、ユーザに対して所定の地点を対象とする音声案内を行うべきタイミングを検出するタイミング検出手段と、タイミング検出手段においてタイミングが検出されたとき、光、振動、または、音声案内に用いる音声とは異なる音のうち少なくとも1つを用いて音声案内を行うべきタイミングであることをユーザに通知する通知手段と、音声案内を行う指示を検出する指示検出手段と、指示検出手段において指示が検出されたとき、音声案内に用いる音声を出力する音声案内出力手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声案内装置に関し、より特定的には、カーナビゲーションシステム等に適用され、ユーザに対して音声案内を行う音声案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステムが搭載された車両が増加してきている。一般的にカーナビゲーションシステムは、CD−ROMやDVD−ROM等の光ディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、あるいはハードディスク等の記録媒体に記録されたデジタル地図データを必要に応じて読み出し、出発地から目的地までの経路案内を行うものである。経路の案内方法としては、ディスプレイに様々なグラフィック情報を表示することによってユーザに経路案内を行う方法や、音声を用いた音声案内によってユーザに経路案内を行う方法がある。
【0003】
このうち、音声案内を行う従来のカーナビゲーションシステムでは、案内のタイミングと案内の内容とが予め対応付けされている。カーナビゲーションシステムは、この対応付けに基づいて、案内のタイミングにおいて当該タイミングに対応する案内の内容を表した音声を出力し、ユーザに対して経路の音声案内を行っている。このように従来では、主にカーナビゲーションシステム側からユーザに対して一方的に行われる音声案内が一般的であった。ここで音声案内においては、ユーザが案内の内容を聞き逃したり、その内容を忘れたりするケースがある。そこで、ユーザがカーナビゲーションシステムに対して何らかの指示を行い、聞き逃したりした内容の音声を再出力する方法が提案されている。
【0004】
音声を再出力する方法として具体的には、リモコンやステアリングに配置したスイッチをユーザが操作することにより、前回出力された音声を再出力する方法が提案されている。また音声認識機能を備えたカーナビゲーションシステムにおいては、予め決められた音声コマンドをユーザが発話し、カーナビゲーションシステムが当該発話に対応する音声コマンドを認識することにより、前回出力された音声を再出力する方法も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−254437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の音声案内では、上述したように案内のタイミング毎に音声が出力される。そしてユーザは、その音声を聞いた後にその音声を再出力するか否かを判断する。つまり、音声を再出力するか否かをユーザが判断するためには、当然ながら、案内の内容を聞き逃したとしても当該案内の音声を聞く必要がある。また音声案内では、一般的に単時間当たりに得られる情報量が視覚情報に比べて少ないと言われている。したがって、音声案内において視覚情報と同等の情報量を確保しようとすると、出力される音声のフレーズが長くなる傾向にある。
【0006】
これらにより、上記従来の方法では、ユーザが所望の音声を要求する上で、フレーズが長い音声を案内のタイミング毎に聞く必要がある。その結果、ユーザに煩わしさを与えてしまうという問題があった。また、その煩わしさは各案内のタイミング間が短い経路においてさらに顕著となる。つまり、案内のタイミング間が短い経路では、頻繁に音声が出力されることとなるので、ユーザが感じる煩わしさが増してしまう。以上のように上記従来の方法では、ユーザは所望の音声を要求するか否かを音声案内に用いられる音声で判断する必要があったため、ユーザに煩わしさを与えてしまうという問題があった。
【0007】
それ故、本発明の目的は、ユーザに煩わしさを与えることのない音声案内を行うことが可能な音声案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、音声案内装置であって、ユーザに対して所定の地点を対象とする音声案内を行うべきタイミングを検出するタイミング検出手段と、タイミング検出手段においてタイミングが検出されたとき、光、振動、または、音声案内に用いる音声とは異なる音のうち少なくとも1つを用いて音声案内を行うべきタイミングであることをユーザに通知する通知手段と、音声案内を行う指示を検出する指示検出手段と、指示検出手段において指示が検出されたとき、音声案内に用いる音声を出力する音声案内出力手段とを備える。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、通知手段は、音声案内の種類に基づいて、用いるべき光の種類、振動の種類、または、音の種類を変更することを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、上記第1の発明において、通知手段は、音声案内の種類に基づいて、用いるべき光、振動、または、音のうちのいずれか1つを選択することを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、上記第2または第3の発明において、音声案内の種類は、所定の地点を対象とする音声案内を行うための目印に関する音声案内と当該音声案内以外とに少なくとも分類されることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、上記第2または第3の発明において、音声案内の種類は、ユーザの現在位置から所定の地点までの距離に関する音声案内と当該音声案内以外とに少なくとも分類されることを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、上記第1の発明において、通知手段は、ユーザの現在位置から所定の地点までの距離に基づいて、用いるべき光の種類、振動の種類、または、音の種類を変更することを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、上記第1の発明において、ユーザの現在位置を検出する位置検出手段をさらに備え、音声案内の種類は、光の種類、振動の種類、または、音の種類と対応付けされており、通知手段は、位置検出手段において検出された現在位置に基づいて対応付けを変更することを特徴とする。
【0015】
第8の発明は、上記第1の発明において、指示検出手段において指示を行うユーザを識別するユーザ識別手段をさらに備え、音声案内の種類は、光の種類、振動の種類、または、音の種類と対応付けされており、通知手段は、ユーザ識別手段において識別されたユーザに基づいて対応付けを変更することを特徴とする。
【0016】
第9の発明は、上記第1の発明において、現在時刻を検出する時刻検出手段をさらに備え、音声案内の種類は、光の種類、振動の種類、または、音の種類と対応付けされており、通知手段は、時刻検出手段において検出された現在時刻に基づいて対応付けを変更することを特徴とする。
【0017】
第10の発明は、音声案内方法であって、ユーザに対して所定の地点を対象とする音声案内を行うべきタイミングを検出するタイミング検出ステップと、タイミング検出ステップにおいてタイミングが検出されたとき、光、振動、または、音声案内に用いる音声とは異なる音のうち少なくとも1つを用いて音声案内を行うべきタイミングであることをユーザに通知する通知ステップと、音声案内を行う指示を検出する指示検出ステップと、指示検出ステップにおいて指示が検出されたとき、音声案内に用いる音声を出力する音声案内出力ステップとを含む。
【0018】
第11の発明は、ユーザに対して所定の地点を対象とする音声案内を行うべきタイミングを検出するタイミング検出ステップと、タイミング検出ステップにおいてタイミングが検出されたとき、光、振動、または、音声案内に用いる音声とは異なる音のうち少なくとも1つを用いて音声案内を行うべきタイミングであることをユーザに通知する通知ステップと、音声案内を行う指示を検出する指示検出ステップと、指示検出ステップにおいて指示が検出されたとき、音声案内に用いる音声を出力する音声案内出力ステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
上記第1の発明によれば、タイミングに光、振動、または、音声案内に用いる音声とは異なる音が出力されることにより、ユーザは、当該音声を出力するか否かを判断することができる。つまり、ユーザは、光、振動、または、音声案内に用いる音声とは異なる音を事前に聞くことができるので、音声案内に用いる音声を聞くことなく、当該音声を出力するか否かを判断することができる。その結果、ユーザに煩わしさを与えることのない音声案内を行うことが可能な音声案内装置を提供することができる。
【0020】
上記第2および第3の発明によれば、ユーザに対して音声案内の種類を通知することができる。これにより、ユーザは、音声案内の種類を事前に知ることができ、当該種類に基づいて当該音声案内に用いる音声を出力するか否かを判断することができる。
【0021】
上記第4の発明によれば、ユーザに対して音声案内が目印に関する音声案内であることを通知することができる。
【0022】
上記第5の発明によれば、ユーザに対して音声案内が距離に関する音声案内であることを通知することができる。
【0023】
上記第6の発明によれば、ユーザに対して所定の地点までの距離について通知することができる。これにより、ユーザは、所定の地点までの距離に基づいて音声案内に用いる音声を出力するか否かを判断することができる。
【0024】
上記第7の発明によれば、ユーザの現在位置に基づいて対応付けが変更されることで、ユーザの所望する音声案内が現在位置に応じて異なるものとなっても、当該現在位置に対応した光の種類、振動の種類、または、音の種類を用いて通知することができる。
【0025】
上記第8の発明によれば、指示を行うユーザに基づいて対応付けが変更されることで、所望される音声案内がユーザに応じて異なるものとなっても、当該ユーザに対応した光の種類、振動の種類、または、音の種類を用いて通知することができる。
【0026】
上記第9の発明によれば、現在時刻に基づいて対応付けが変更されることで、所望される音声案内が現在時刻に応じて異なるものとなっても、当該現在時刻に対応した光の種類、振動の種類、または、音の種類を用いて通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る音声案内装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお本実施形態では、一例として本発明に係る音声案内装置がカーナビゲーションシステムに適用された場合を想定して説明する。また、従来のカーナビゲーションシステムと同様の構成および処理を行なう部分については概略のみを説明し、本発明における特徴的な部分について詳細に説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る音声案内装置の構成を大略的に示したシステム構成図である。音声案内装置は、入力操作部1、データ記憶部2、位置検出部3、演算処理部4、および案内出力部5によって構成される。
【0029】
入力操作部1は、装置本体に対するユーザの操作入力を受け付ける。入力操作部1は、例えば、ユーザが手操作でシステム本体に入力を行うことが可能なスイッチで構成される。スイッチは、ユーザが運転中に安全かつ敏速に操作出来るように車両のステアリングに設置される。またスイッチはリモコン上に配置されてもよい。なお、入力操作部1は、音声認識可能な機器やタッチパネル等の他の機器で構成されてもよい。
【0030】
データ記憶部2は、ハードディスクドライブで構成される。データ記憶部2には、デジタル地図データや音声データなどが記憶されている。これらのデータをデータ記憶部2に記憶させる媒体としては、CD−ROMやDVD−ROM等の光ディスクとそれらを駆動するための駆動装置とからなるものが挙げられる。また例えば、媒体としては、メモリカードや内蔵フラッシュメモリ等の半導体記録デバイスが挙げられる。なお、データ記憶部2に記憶された各種データは、後述する演算処理部4の演算内容に応じて適宜読み出される。
【0031】
位置検出部3は、例えばGPS(Global Positioning System)等のアンテナおよび受信機により構成される。なお、位置検出部3は、速度センサやジャイロセンサにより構成されてもよい。また位置検出部3は、アンテナおよび受信機の組、速度センサ、またはジャイロセンサのうち、いずれか2つ以上を組み合わることにより構成されてもよい。位置検出部3は、速度センサにより音声案内装置が搭載される車両の移動速度を検出して、検出結果を基に走行距離を算出する。また位置検出部3は、ジャイロセンサにより車両の進行方位を検出する。また位置検出部3は、GPSアンテナおよび受信機により人工衛星からの電波を受信して、地球上における自己車両の絶対的な位置(以下、自車位置と称す)を検出する。
【0032】
演算処理部4は、演算プロセッサ、メモリ、およびそれらのハードウェア上で動作するソフトウェアにより構成される。演算処理部4は、データ記憶部2に記憶されている各種データを用いて各種の処理を行う。
【0033】
案内出力部5は、液晶ディスプレイ、D/Aコンバータ、増幅回路、およびスピーカーにより構成される。液晶ディスプレイは、グラフィック情報などの視覚情報を表示するためのものである。D/Aコンバータ、増幅回路、およびスピーカーは、音声を出力するためのものである。なおここでは、案内出力部5が音声案内に用いられる音声(以下、案内音声と称す)を出力する場合について説明する。案内音声とは、音声案内に用いられる音声であって当該音声案内の内容を示す情報(以下、案内情報と称す)を言葉で説明した音声である。
【0034】
次に、図2を参照して、図1に示したシステム構成を詳細に説明する。図2は、図1に示したシステム構成の各部を機能単位に分割した機能ブロック図である。
【0035】
図2において、入力操作部1は、地点入力部11および指示入力部12から構成される。地点入力部11は、地点情報の入力を受け付ける入力手段である。地点情報とは、目的地を特定するための情報であって例えば電話番号、住所、施設名称などの情報である。
【0036】
指示入力部12は、音声案内を行う指示の入力を受け付ける入力手段である。ユーザは、経路に関する詳細な案内音声を聞きたい場合、指示入力部12において案内音声を出力する指示を入力する。
【0037】
図1で示したデータ記憶部2は、地図データ記憶部21と音データ記憶部22により構成される。地図データ記憶部21は、地図データを記憶する。地図データは、経路探索や位置検出に用いる道路網データ、誘導案内に用いる誘導案内データ、および情報検索に用いる検索データ等で構成されたデジタルデータである。
【0038】
音データ記憶部22は、音データを記憶する。音データ記憶部22に記憶されている音データとしては、案内情報を言葉で説明するために用いる音声データと、音声案内に用いられる音声と異なる音のデータであって当該音声案内を行うべきタイミングであることをユーザに通知するために用いる促し音データとがある。ここで促し音とは、音声案内に用いられる案内音声とは異なる音であり、ユーザが指示入力部12を用いて案内音声の出力指示を入力することを促すものである。促し音としては、例えば単一周波数の音や単一周波数音を複数組み合わせたものなどが挙げられる。また促し音には、音色、音の高低、音量、音の回数、音のリズムなどによって異なる様々な種類の音がある。例えば促し音には、異なる音色によって複数の種類の音が存在する。また音声案内に用いられる案内音声と異なるものであれば、人の声であってもよい。なお、音声データおよび促し音データは、サンプリング周波数が22kHz、量子化ビットが8ビットであるPCMデータと同等以上の音質をもつデータであることが望ましい。
【0039】
図1で示した演算処理部4は、地点検索部41、経路探索部42、案内タイミング検出部43、案内情報生成部44、案内情報判定部45、促し音選択部46、案内音声読み出し部47、およびバッファ48により構成される。
【0040】
地点検索部41は、地点入力部11において入力された電話番号等の地点情報に基づいて、地図データ記憶部21に記憶されている地図データの中から目的地である地点を検索するものである。地点検索部41は、当該検索を行うことにより目的地である地点の座標情報を取得する。
【0041】
経路探索部42は、位置検出部3において検出された自車位置を出発地とし、地点検索部41において検索した地点を目的地として、これら2地点間の経路を探索するものである。なお、経路探索部42は、地図データ記憶部21に記憶されている地図データを用いてダイクストラ法などの公知のアルゴリズムにより最適経路を探索する。
【0042】
案内タイミング検出部43は、位置検出部3において検出された自車位置に基づいて、ユーザに対して音声案内を行うべき案内タイミングを検出するものである。
【0043】
案内情報生成部44は、案内タイミング検出部43において検出された案内タイミングに基づいて、当該案内タイミングに対応した案内情報を生成するものである。
【0044】
案内情報判定部45は、案内情報生成部44で生成された案内情報の種類を判定するものである。ここで、案内情報は、その内容によって分類される。例えば案内情報は、その内容によって「案内交差点までしばらく道なり」、「案内交差点接近中」、「目印情報あり」、「車線変更タイミング」、および「案内交差点直前」の5種類に分類される。なお、案内情報は音声案内の内容を示す情報であるから、案内情報の種類を判定するということは音声案内の種類を判定することを意味する。
【0045】
促し音選択部46は、案内情報判定部45で判定された案内情報の種類に基づいて、音データ記憶部22に記憶されている促し音データの中から、当該案内情報の種類に対応する種類の促し音データを選択するものである。具体的には、案内情報の種類と促し音データの種類とは予め対応付けされている。促し音選択部46は、この対応付けに従って案内情報判定部45で判定された種類に対応する種類の促し音データを選択する。このように促し音選択部46は、案内情報判定部45で判定された案内情報の種類に基づいて、促し音データの種類を変更するものである。促し音選択部46において選択された促し音データは、案内出力部5からユーザに対して促し音として出力される。
【0046】
案内音声読み出し部47は、案内情報生成部44において案内情報が生成されたとき、当該案内情報に基づく音声データを音データ記憶部22から読み出し、バッファ48に記憶する。また案内音声読み出し部47は、指示入力部12においてユーザからの指示が入力されたとき、バッファ48に記憶していた音声データを案内出力部5に出力する。音声データは、案内出力部5からユーザに対して案内音声として出力される。
【0047】
以上、本実施形態に係る音声案内装置のシステム構成および機能ブロック構成について説明した。次に、このような音声案内装置の処理の流れについて、図3のフローチャートを用いて詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る音声案内装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
まず本システムが起動した直後、システムの初期化処理が行われる(ステップS101)。初期化処理としては、演算プロセッサやメモリ等に関するハードウェアに対する処理、位置検出用のセンサ等に関するデバイスに対する処理、および、変数やメモリ領域に関するソフトウェアに対する処理がある。その中の一つには、システム起動時の自車位置を検出する処理が含まれる。ステップS101で初期化処理が行なわれた後は、電源オフ等によってシステムが終了するまでの間、後述するステップS102からステップS110までの処理が繰り返し行われる。
【0049】
ステップS101の次に、地点入力部11は、目的地の地点情報が入力されたか否かを判断する(ステップS102)。地点入力部11において目的地の地点情報が入力された場合、地点検索部41は、当該地点情報に基づいて地図データ記憶部21に記憶されている地図データの中から目的地である地点を検索する(ステップS103)。ここで、目的地の検索方法としては複数の方法が考えられる。その中の一つの方法としては、地点入力部11において入力された目的地となる施設の電話番号を用いた検索方法がある。この場合、地点検索部41は、地図データ記憶部21から読み出した地図データを用いて、入力された電話番号に該当する施設を検索し、当該施設データに付与されている座標情報を目的地の座標情報として抽出する。同様にして、目的地となる施設の名称やジャンルによる検索も、地図データ記憶部21に記憶されている地図データを用いて行うことが可能である。なお、ステップS103の処理については、一般的なカーナビゲーションシステムにおける処理と同様であり、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0050】
ステップS103の次に、経路探索部42は、ステップS101の初期化処理、または後述するステップS106で更新された自車位置から、ステップS103で検索した目的地までの経路を探索する(ステップS104)。このとき、経路探索部42は、地図データ記憶部21に記憶されている地図データを用いてダイクストラ法などの公知のアルゴリズムにより最適経路を探索する。なお、経路探索処理は、上記処理方法に限らず、その他の処理方法であってもよい。
【0051】
ステップS104の次に、位置検出部3は自車位置を検出する検出タイミングであるか否かを判断する(ステップS105)。自車位置を検出する検出タイミングは、例えば1秒毎とする。そして位置検出部3は、アンテナおよび受信機の組、速度センサ、またはジャイロセンサ等を用いて自車位置の座標情報を検出する。ステップS105の次に、位置検出部3は、検出した座標周辺の地図データを地図データ記憶部21から読み出し、検出した座標情報が示す位置を地図の経路上において補正して新たな自車位置として更新する(ステップS106)。なお、このようなマップマッチングの処理は、上記処理方法に限らず、その他の処理方法であってもよい。
【0052】
ステップS106の次に、ステップS107では、音声案内を行うべき案内タイミングが検出されたときに促し音を出力して、当該音声案内を行うべき案内タイミングであることをユーザに通知する処理が行われる。ここで、図4〜図7を参照して、ステップS107の処理について詳細に説明する。図4および図5は、ステップS107における促し音出力処理の流れを示すフローチャートである。図4中のAはフロー上、図5中のAと接続される。図4中のBはフロー上、図5中のBと接続される。図6は、促し音、案内情報の種類、案内情報、および案内タイミングの対応関係を示した図である。図7は、案内交差点700に対して、図6に示した案内タイミング毎にどのような案内音声が出力されるかを示した概念図である。
【0053】
図4および図5に示される促し音出力処理の流れを説明する前に、図6および図7に示す内容について概略を説明する。まず図6を参照して、促し音、案内情報の種類、案内情報、および案内タイミングの対応関係について説明する。案内タイミングは、ユーザに音声案内を行うべき案内タイミングであり、その条件は案内タイミング検出部43に予め設定されている。図6では、一例として、主に分岐交差点までの距離を条件としている。具体的には、分岐交差点までの距離が2km*N(Nは自然数)、700m、600m、500m、300m、200m、100m、および40mとなる各地点に車両が到達したときが案内タイミングとなる。また図6では、各案内タイミングに対応した案内情報が示されている。例えば、案内タイミングの「分岐交差点までの距離が2km*N(Nは自然数)の地点」に対しては、「しばらく道なりです」という内容の案内情報が生成される。また、案内情報の種類は、案内情報判定部45において判定された種類を示している。また案内情報は、案内情報の種類の欄に示すように、「案内交差点までしばらく道なり」、「案内交差点接近中」、「目印情報あり」、「車線変更タイミング」、および「案内交差点直前」の5種類に分類されている。なお、「案内交差点までしばらく道なり」、「案内交差点接近中」、および「案内交差点直前」は案内交差点までの距離に応じて分類される種類である。「目印情報あり」とは、案内交差点の目印となる情報であって当該案内交差点の周辺に存在する地点に関する情報である。なお、案内情報判定部45が判定する種類としては、図6に示した種類に限定されない。例えば、案内交差点の名称、車両の曲がる方向、車両が向かう方面、道路の名称、およびランドマークの名称などで分類された種類が判定されてもよい。また図6では、促し音に付される番号1〜5は、異なる音であることを示す番号であり、計5種類の促し音が示されている。また図6からもわかるように、例えば促し音3は「目印情報あり」という案内情報の種類と対応付けされている。なおこの対応付けは、案内情報の内容に応じて適宜設定されてもよいし、案内情報の内容の重要度に応じて設定されてもよい。なお図6では、5種類ある案内情報に対して、異なる音色となる促し音1〜5が対応付けされているとする。
【0054】
次に、図7を参照して、ステップS107の処理を概念的に説明する。車両位置701〜708は、各案内タイミングにおける車両位置を示している。また、図7に示す三角マーク内に記載された番号は、図6に示す促し音の種類を示す番号である。また案内交差点700は、分岐交差点であり、音声案内の対象となる交差点である。また図7において、車両位置701は案内交差点の手前2km*Nの地点を示す。同様に、車両位置702は案内交差点の手前700mの地点、車両位置703は案内交差点の手前600mの地点、車両位置704は案内交差点の手前500mの地点、車両位置705は案内交差点の手前300mの地点、車両位置706は案内交差点の手前200mの地点、車両位置707は案内交差点の手前100mの地点、車両位置708は案内交差点の手前40mの地点をそれぞれ示す。また、各車両位置の上方には、図6で示した案内情報が示されている。そして図7では、車両が車両位置701から車両位置708の順に移動するに際し、自車位置が各車両位置に到達する度に、当該車両位置における案内情報の存在を示す促し音が出力される様子を示している。上述したように、促し音は、案内情報の種類に応じて異なる音色とした。このため、ユーザは促し音を聞くことで、案内音声を聞くことなく案内情報の種類、つまり音声案内の種類を事前に知ることができる。また、促し音は、音声案内に用いられる案内音声とは異なる音である。したがって、ユーザは、案内音声を出力する指示をするか否かを判断するに際し、フレーズの長い案内音声を聞く必要がない。つまり、ユーザは、どのような案内情報を得ることができるか、促し音により即座に知ることができ、必要な情報のみを聞くことができる。これらにより、情報不足に伴うユーザの不安やミスコースを回避すること、および情報過剰に伴うユーザの煩わしさや聞き逃しを回避することができる。
【0055】
次に、図4および図5を参照して、ステップS107の処理について詳細に説明する。案内タイミングは、ここでは分岐交差点までの距離を条件として決定される。以下では、分岐交差点として図7に示した案内交差点700が設定されているとする。また以下では、ステップS107の処理として、図7に示したように、車両が車両位置701から708へと順に移動したときの処理を一例として説明する。
【0056】
図4において、案内タイミング検出部43は、ステップS106において更新された自車位置が案内交差点700の2km*N手前の車両位置701に到達したとき、音声案内を行うべき案内タイミングであることを検出する(ステップS201)。ステップS201において案内タイミングであることが検出された場合、案内情報生成部44は、検出された案内タイミングに対応する案内情報を生成する(ステップS202)。ここでは、図6および図7に示したように、案内交差点700の2km*N手前の車両位置701では、「しばらく道なりです」という内容を示す案内情報が生成される。その後、案内情報判定部45は、ステップS202で生成された案内情報の種類を判定する(ステップS203)。ここで、図6に示したように、「しばらく道なりです」という内容は、「案内交差点までしばらく道なり」の種類に属する。ステップS203の次に、促し音選択部46は、判定された案内情報の種類に対応する促し音データを選択する(ステップS204)。ここで、図6に示したように、「案内交差点までしばらく道なり」の種類に対しては、促し音1が対応付けされている。したがって、ステップS204では促し音1が選択される。促し音1は、案内交差点までの距離がまだ離れており、しばらく道なりに進むことをユーザに通知する音である。ステップS204の次に、案内音声読み出し部47は、促し音1の出力に先立って、「しばらく道なりです」という案内情報に基づく音声データを音データ記憶部22から読み出して、バッファ48に記憶しておく(ステップS205)。その後、ステップS204で選択された促し音1が案内出力部5より出力される(ステップS206)。
【0057】
また案内タイミング検出部43は、ステップS106において更新された自車位置が案内交差点700の700m手前の車両位置702、300m手前の車両位置705、および100m手前の車両位置707に到達したとき、音声案内を行うべき案内タイミングであることを検出する(ステップS207)。ステップS207において案内タイミングであることが検出された場合、案内情報生成部44は、検出された案内タイミングに対応する案内情報を生成する(ステップS208)。ここでは、図6および図7に示したように、700m手前の地点では「およそ700m先、左方向(右方向)です」、300m手前の地点では「およそ300m先、左方向(右方向)です」、100m手前の地点では「この先、左(右)です」という内容を示す案内情報が生成される。その後、案内情報判定部45は、ステップS208で生成された案内情報の種類を判定する(ステップS209)。ここで、図6に示したように、ステップS208で生成された案内情報は、「案内交差点接近中」の種類に属する。ステップS209の次に、促し音選択部46は、判定された案内情報の種類に対応する促し音データを選択する(ステップS210)。ここで、図6に示したように、「案内交差点接近中」の種類に対しては、促し音2が対応付けされているので、ステップS210では促し音2が選択される。促し音2は、案内交差点が徐々に近づいて来ていることを表し、ユーザ対して案内交差点700までの距離と分岐方向とを出力する案内タイミングであることを通知する音である。ステップS210の次に、案内音声読み出し部47は、促し音2の出力に先立って、図6に示した案内情報に基づく音声データを音データ記憶部22から読み出して、バッファ48に記憶しておく(ステップS205)。その後、ステップS210で選択された促し音2が案内出力部5より出力される(ステップS206)。
【0058】
また案内タイミング検出部43は、ステップS106において更新された自車位置が案内交差点700の600m手前の車両位置703に到達したか否かを判断する(ステップS211)。ステップS211において車両位置703に到達したと判断された場合、案内タイミング検出部43は、その車両位置の周囲にランドマークが存在するか否かを判断する(ステップS212)。このように車両位置703においては、案内タイミング検出部43は、ステップS211およびS212の処理を行って、音声案内を行うべき案内タイミングを検出する。ステップS211およびS212において案内タイミングが検出された場合、案内情報生成部44は、検出された案内タイミングに対応した案内情報を生成する(ステップS213)。ここでは、図6および図7に示したように、600m手前の地点では「コンビニ(ガソリンスタンド、ファミリーレストラン等のランドマークの情報)が目印です」という内容を示す案内情報が生成される。その後、案内情報判定部45は、ステップS213で生成された案内情報の種類を判定する(ステップS214)。ここで、図6に示したように、ステップS213で生成された案内情報は、「目印情報あり」の種類に属する。ステップS214の次に、促し音選択部46は、判定された案内情報の種類に対応する促し音データを選択する(ステップS215)。ここで、図6に示したように、「目印情報あり」の種類に対しては、促し音3が対応付けされているので、ステップS215では促し音3が選択される。促し音3は、案内交差点を特定するための目印となる情報が存在することをユーザに通知する音である。ステップS215の次に、案内音声読み出し部47は、促し音3の出力に先立って、図6に示した案内情報に基づく音声データを音データ記憶部22から読み出して、バッファ48に記憶しておく(ステップS205)。その後、ステップS215で選択された促し音3が案内出力部5より出力される(ステップS206)。
【0059】
また案内タイミング検出部43は、ステップS106において更新された自車位置が案内交差点700の200m手前の車両位置706に到達したか否かを判断する(ステップS216)。ステップS216において車両位置706に到達したと判断された場合、案内タイミング検出部43は、案内交差点700に交差点名称が付与されている否かを判断する(ステップS217)。このように車両位置703においては、案内タイミング検出部43は、ステップS216およびS217の処理を行って、音声案内を行うべき案内タイミングを検出する。ステップS216およびS217において案内タイミングであることが検出された場合、案内情報生成部44は、検出された案内タイミングに対応した案内情報を生成する(ステップS213)。ここでは、図6および図7に示したように、200m手前の地点では「交差点名は“XXX”です」という内容を示す案内情報が生成される(ステップS213)。その後、案内情報判定部45は、ステップS213で生成された案内情報の種類を判定する(ステップS214)。ここで、図6に示したように、ステップS213で生成された案内情報は、「目印情報あり」の種類に属する。ステップS214の次に、促し音選択部46は、判定された案内情報の種類に対応する促し音データを選択する(ステップS215)。ここで、図6に示したように、「目印情報あり」の種類に対しては、促し音3が対応付けされているので、ステップS215では促し音3が選択される。ステップS215の次に、案内音声読み出し部47は、促し音3の出力に先立って、図6に示した案内情報に基づく音声データを音データ記憶部22から読み出して、バッファ48に記憶しておく(ステップS205)。その後、ステップS215で選択された促し音3が案内出力部5より出力される(ステップS206)。
【0060】
また案内タイミング検出部43は、ステップS106において更新された自車位置が案内交差点700の500m手前の車両位置704に到達したとき、音声案内を行うべき案内タイミングであることを検出する(ステップS218)。ステップS218において案内タイミングであることが検出された場合、案内情報生成部44は、検出された案内タイミングに対応した案内情報を生成する(ステップS219)。ここでは、図6および図7に示したように、500m手前の地点では「左車線(または右車線)に寄って下さい」という内容を示す案内情報が生成される。その後、案内情報判定部45は、ステップS219で生成された案内情報の種類を判定する(ステップS220)。ここで、図6に示したように、ステップS219で生成された案内情報は、「車線変更タイミング」の種類に属する。ステップS220の次に、促し音選択部46は、判定された案内情報の種類に対応する促し音データを選択する(ステップS221)。ここで、図6に示したように、「車線変更タイミング」の種類に対しては、促し音4が対応付けされているので、ステップS221では促し音4が選択される。促し音4は、車線変更を行うべき案内タイミングであることをユーザに通知する音である。ステップS221の次に、案内音声読み出し部47は、促し音4の出力に先立って、図6に示した案内情報に基づく音声データを音データ記憶部22から読み出して、バッファ48に記憶しておく(ステップS205)。その後、ステップS221で選択された促し音4が案内出力部5より出力される(ステップS206)。
【0061】
また案内タイミング検出部43は、ステップS106において更新された自車位置が案内交差点700の40m手前の車両位置708に到達したとき、音声案内を行うべき案内タイミングであることを検出する(ステップS222)。ステップS222において案内タイミングであることが検出された場合、案内情報生成部44は、検出された案内タイミングに対応した案内情報を生成する(ステップS223)。ここでは、図6および図7に示したように、40m手前の地点では「左です(または右です)」という内容を示す案内情報が生成される。その後、案内情報判定部45は、ステップS223で生成された案内情報の種類を判定する(ステップS224)。ここで、図6に示したように、ステップS223で生成された案内情報は、「案内交差点直前」の種類に属する。ステップS224の次に、促し音選択部46は、判定された案内情報の種類に対応する促し音データを選択する(ステップS225)。ここで、図6に示したように、「案内交差点直前」の種類に対しては、促し音5が対応付けされているので、ステップS225では促し音5が選択される。促し音5は、案内交差点が直前に迫っていることをユーザに通知する音である。ステップS225の次に、案内音声読み出し部47は、促し音5の出力に先立って、図6に示した案内情報に基づく音声データを音データ記憶部22から読み出して、バッファ48に記憶しておく(ステップS205)。その後、ステップS221で選択された促し音5が案内出力部5より出力される(ステップS206)。なお、上記バッファ48に記憶される音声データは、次の音声データで上書きされるまでは記憶されたままである。
【0062】
以上、図3のステップS107、図4〜図6において説明したように、対応付けされた案内情報の種類と促し音の種類とに基づいて選択された促し音がユーザに対して出力される。つまり、ステップS107の処理は、音声案内の種類に基づいて促し音の種類を変更している処理である。ユーザは、このような促し音を聞いた後、案内情報を案内音声で聞きたいと判断した場合、指示入力部12を用いて案内音声を出力する指示を入力する。そして、案内音声は、案内出力部5より出力される。この図3のステップS108における案内音声再生処理を、図8のフローチャートを用いて詳細に説明する。図8は、図3のステップS108における案内音声再生処理の流れを示したフローチャートである。
【0063】
図8において、指示入力部12は、ユーザからの指示が入力されたか否かを判断する(ステップS301)。指示がなかった場合には何も処理を行わず、メインループへと戻る。指示があった場合には、案内音声読み出し部47は、バッファ48に音声データが記憶されているかどうかを判断する(ステップS302)。音声データが記憶されていなかった場合には何も処理を行わず、メインループへと戻る。バッファ48に音声データがある場合には、案内音声読み出し部47は、バッファ48内の音声データを読み出す(ステップS303)。ステップS303において読み出された音声データは、案内音声として案内出力部5において出力される(ステップS304)。このようなステップS301からステップS304までの処理によって、ユーザが案内出力部5から出力される様々な種類の促し音を聞いた後、具体的な情報を案内音声で聞きたいと判断して出力指示をすれば、案内出力部5を通じて案内音声が出力される。
【0064】
具体的には、例えば案内出力部5から出力された促し音が促し音1の音色に該当する場合には、ユーザは案内交差点700までしばらく距離があると予測することが出来る。もし、この促し音1を聞いた直後に、ユーザが具体的な案内情報を音声で出力したいと判断した際には、指示入力部12から指示を行えば、「しばらく道なりです」というような案内音声を聞くことが出来る。逆に、ユーザが具体的な案内情報を音声で出力する必要はないと判断して、指示入力部12からの指示を行わなければ、案内音声は出力されない。なお、「しばらく道なりです」という音声データは、次の音声データで上書きされるまではバッファ48内に記憶されたままであるので、指示があれば繰り返し再生することが出来る。つまり、促し音1が出力された後、次の促し音が出力されるまでの間は、促し音1に対応する案内音声を繰り返し出力することができる。
【0065】
また、ユーザに出力された促し音が促し音2の音色に該当する場合には、ユーザは案内交差点700が徐々に近づいていると予測することが出来る。もし、この促し音2を聞いた直後に、ユーザが具体的な案内情報を音声で出力したいと判断した際には、指示入力部12から指示を行えば、「およそ700m先、左方向です」、「およそ300m先、左方向です」、「この先、左方向です」というような案内音声を聞くことが出来る。逆に、ユーザが具体的な案内情報を音声で出力する必要はないと判断して、指示入力部12からの指示を行わなければ、案内音声は出力されない。なお、これらの案内情報の音声データは、次の音声データで上書きされるまではバッファ48内に記憶されたままであるので、指示があれば繰り返し再生することが出来る。
【0066】
また、ユーザに出力された促し音が促し音3の音色に該当する場合には、ユーザは案内交差点700の目印となる情報があると予測することが出来る。もし、この促し音3を聞いた直後に、ユーザが具体的な案内情報を音声で出力したいと判断した際には、指示入力部12から指示を行えば、「コンビニが目印です」、「交差点名は“XXX”です」というような案内音声を聞くことが出来る。逆に、ユーザが具体的な案内情報を音声で出力する必要はないと判断して、指示入力部12からの指示を行わなければ、案内音声は出力されない。なお、これらの案内情報の音声データは、次の音声データで上書きされるまではバッファ48内にされたままであるので、指示があれば繰り返し再生することが出来る。
【0067】
また、ユーザに出力された促し音が促し音4の音色に該当する場合には、ユーザは車線変更を行うタイミングであると予測することが出来る。もし、この促し音4を聞いた直後に、ユーザが具体的な案内情報を音声で出力したいと判断した際には、指示入力部12から指示を行えば、「左車線に寄って下さい」というような案内音声を聞くことが出来る。逆に、ユーザが具体的な案内情報を音声で出力する必要はないと判断して、指示入力部12からの指示を行わなければ、案内音声は出力されない。なお、これらの案内情報の音声データは、次の音声データで上書きされるまではバッファ48内に記憶されたままであるので、指示があれば繰り返し再生することが出来る。以上、ステップS108における案内音声出力処理の説明を終了する。
【0068】
図3において、ステップS108の次に、自車位置が目的地に到着したか否かが判断される(ステップS109)。目的地に到達していない場合には、処理はステップS105に戻る。そして経路上において、案内交差点700の次に存在する分岐交差点が次の案内交差点となる。このように、図3において、ステップS105からステップS108までの処理が、目的地に到着するまで繰り返し行われる。ステップS109において、車両が目的地に到着したと判断された場合、案内処理を終了するか否か判断される(ステップS110)。案内処理を終了しない場合には、処理はステップ102に戻る。このように、図3において、ステップS102からステップS109までの処理が、本装置の電源がオフ等されるまでの間、繰り返し実行される。ステップS110において、システムが終了すると判断された場合には、システムの終了処理を行う(ステップS111)。
【0069】
以上のように、本発明に係る音声案内装置によれば、案内タイミングが検出されたとき、促し音のみ出力される。そしてユーザは、その促し音を聞くことで、案内音声を出力するか否かを判断することができる。つまりユーザは、案内音声を聞くことなく、当該案内音声を出力するか否かを判断することができる。これにより、ユーザは、経路通りに走行する上で注意すべき案内音声について煩わしさを感じることなく聞くことができる。さらにユーザは、案内音声を出力するか否かを判断して出力を指示するので、出力される案内音声に対しては聴覚を集中させることができる。その結果、聞き逃しが発生しにくくなり、再度聞き直さなければならないという煩わしさを軽減することができる。またユーザは、案内音声を出力するか否かを判断して出力を指示するので、不必要と判断した案内音声については聞かなくて済む。また案内音声を出力する指示は、聞くか聞かないかを選択するだけの指示となり、ユーザに対してより簡易な操作を提供することができる。さらに、促し音が出力された後、次の促し音が出力されるまでの間は、案内音声を繰り返し出力することができる。これにより、例えば自車両と前方車両との車間距離が十分に空いているときや、信号待ちで停車中のときなどの運転に余裕のあるときに案内音声を聞くことが可能となる。その結果、運転に対する安全性が向上する。さらに促し音の種類は、案内情報の種類によって変更される。これにより、ユーザは、案内音声を聞かなくても、どのような種類の案内音声が提供されるのかを推察することができる。その結果、ユーザに対してより利便性の高い音声案内を提供することができる。このように、本発明に係る音声案内装置によれば、ユーザに対して煩わしさを与えることなく、適切な案内タイミングで適切な案内音声を出力することが可能になる。
【0070】
なお、上述では、案内情報の種類、案内情報、および案内タイミングの条件を図6に示したが。これに限定されない。その他、経路案内を行う上でユーザに有効な情報をさらに加えてもよい。また、渋滞情報や周辺施設の案内情報等のような位置情報に連動した情報を加えてもよい。
【0071】
また、上述では、促し音の種類が案内情報の種類に基づいて変更されるとしたが、案内情報の種類にかかわらず、同じ種類の促し音を出力するようにしてもよい。この場合であっても、ユーザは促し音を聞くことで、案内情報の存在を知ることができ、案内音声を出力するか否かを判断することができる。これにより、ユーザは、案内音声の出力を指示する上で、フレーズが長い案内音声を案内タイミング毎に聞かなくて済む。
【0072】
なお、上述では、促し音の種類は、案内情報の種類との対応付けがなされていたが、これに限定されない。位置検出部3において検出された現在位置から案内交差点までの距離に応じて、促し音の種類を変更してもよい。つまり、促し音の種類は、現在位置から案内交差点までの距離と対応付けがなされる。ここで例えば、上記距離が短いときの案内情報の内容は、ユーザにとって重要度が高い内容である可能性が高い。したがって、そのような重要度の高い案内情報に対応する促し音には、ユーザの注意を引きやすい音を用いるとよい。
【0073】
また例えば、案内情報の種類と促し音の種類との対応付けは、本音声案内装置が用いられる場所(地域など)に応じて変更されるようにしてもよい。この場合、促し音選択部46に対して、場所毎に異なる対応付けを設定しておく。そして、促し音選択部46は、位置検出部3において検出された現在位置が属する地域を検索し、検索した地域に設定された対応付けに基づいて促し音を選択する。ここで、地域によっては、道路案内を示す標識の大きさなどが異なる場合がある。したがって、標識などが小さい地域において音声案内を行う場合には、標識に関する案内情報の重要度が高くなる。これに対し、場所に応じて対応付けを変更することで、場所毎に異なる重要度となる案内情報をユーザに対して適切な促し音で適切に知らせることができる。
【0074】
また例えば、案内情報の種類と促し音の種類との対応付けは、本音声案内装置に対して指示を入力するユーザに応じて変更されるようにしてもよい。この場合、促し音選択部46に対して、ユーザ毎に異なる対応付けを設定しておく。また本音声案内装置は、指示入力部12において指示を行うユーザを識別するユーザ識別部(図示なし)をさらに備えるとする。そして、促し音選択部46は、ユーザ識別部において識別されたユーザに設定された対応付けに基づいて促し音を選択する。ここで、案内音声を聞くユーザの中には、運転に慣れていないユーザも当然存在する。運転に慣れていないユーザにとっては、車線変更などに関する情報の重要度が高くなる傾向にある。一方、運転に慣れたユーザにとっては、車線変更などに関する重要度は必ずしも高くなるとは言えない。これに対し、ユーザに応じて対応付けを変更することで、ユーザ毎に異なる重要度となる案内情報をユーザに対して適切な促し音で適切に知らせることができる。なお、ユーザ識別部は、ユーザを識別するとしたが、例えば入力操作部1において、ユーザを特定する指示を受け付けるようにしてもよい。その他、装置を操作するユーザを特定する方法または機器であれば、いかなる方法または機器を用いてもよい。
【0075】
また例えば、案内情報の種類と促し音の種類との対応付けは、本音声案内装置が用いられる時刻に応じて変更されるようにしてもよい。この場合、促し音選択部46に対して、所定の時間帯毎に異なる対応付けを設定しておく。また本音声案内装置は、現在時刻を検出する時刻検出部(図示なし)をさらに備えるとする。そして、促し音選択部46は、時刻検出部において検出された時刻が属する時間帯に設定された対応付けに基づいて、促し音を選択する。ここで例えば、夜は、交差点名称などが見えづらい状況にある。したがって、交差点名称に関する案内情報がユーザにとって重要度が高い情報となる場合がある。これに対し、現在時刻に応じて対応付けを変更することで、時刻毎に異なる重要度となる案内情報をユーザに対して適切な促し音で適切に知らせることができる。なお、時刻検出部は、例えば入力操作部1において指示があった時刻を検出するようにしてもよい。その他、時刻を検出する方法または機器であれば、いかなる方法または機器を用いてもよい。
【0076】
なお、上述では、促し音、つまり音声案内に用いる案内音声とは異なる音を出力するようにしたが、光で通知するようにしてもよい。この場合、案内情報の種類と光の種類とが対応付けされ、上述した促し音選択部46が案内情報の種類に対応する種類の光を選択する。ここで光には、色、明るさ、点滅する回数、点滅するリズムなどによって異なる様々な種類の光がある。また案内出力部5は、LED等の機器を含むものとし、促し音選択部46において選択された光を出力する。なお、LEDなどの光を出力する機器は、ユーザがドライバーである場合には、運転する視線を動かす必要のない位置に配置されることが望ましい。また、上述した入力操作部1のスイッチ自体を光を出力する機器とし、当該スイッチ自体が点灯するようにしてもよい。
【0077】
また、光に限らず、振動で通知するようにしてもよい。この場合、案内情報の種類と振動の種類とが対応付けされ、上述した促し音選択部46が、案内情報の種類に対応する種類の振動を選択する。ここで振動には、振動の回数、振動のリズム、または振動の大きさなどによって異なる様々な種類の振動がある。また案内出力部5は、振動をする振動機器を含むとし、促し音選択部46において選択された振動を出力する。なお、振動機器は、例えばステアリングなどに配置される。
【0078】
なお、ユーザに通知するものとして、促し音、光、および振動について説明したが、これら少なくとも1つを用いてユーザに対して通知するようにすればよい。つまり、全てを用いて通知してもよいし、いずれか2つを用いて通知するようにしてもよい。また、案内情報の種類に応じて、音、光、および振動のうち、少なくとも1つを選択するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係る音声案内装置は、ユーザに煩わしさを与えることのない音声案内を行うことが可能となり、経路の音声案内を行うカーナビゲーションシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施形態に係る音声案内装置の構成を大略的に示したシステム構成図
【図2】図1に示したシステム構成の各部を機能単位に分割した機能ブロック図
【図3】本実施形態に係る音声案内装置の処理の流れを示すフローチャート
【図4】ステップS107における促し音出力処理の流れを示すフローチャート
【図5】ステップS107における促し音出力処理の流れを示すフローチャート
【図6】促し音、案内情報の種類、案内情報、および案内タイミングの対応関係を示した図
【図7】案内交差点700に対して、図6に示した案内タイミング毎にどのような案内音声が出力されるかを示した概念図
【図8】図3のステップS108における案内音声再生処理の流れを示したフローチャート
【符号の説明】
【0081】
1 入力操作部
2 データ記憶部
3 位置検出部
4 演算処理部
5 案内出力部
11 地点入力部
12 指示入力部
21 地図データ記憶部
22 音データ記憶部
41 地点検索部
42 経路探索部
43 案内タイミング検出部
44 案内情報生成部
45 案内情報判定部
46 促し音選択部
47 案内音声読み出し部
48 バッファ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対して所定の地点を対象とする音声案内を行うべきタイミングを検出するタイミング検出手段と、
前記タイミング検出手段において前記タイミングが検出されたとき、光、振動、または、前記音声案内に用いる音声とは異なる音のうち少なくとも1つを用いて前記音声案内を行うべきタイミングであることを前記ユーザに通知する通知手段と、
前記音声案内を行う指示を検出する指示検出手段と、
前記指示検出手段において前記指示が検出されたとき、前記音声案内に用いる音声を出力する音声案内出力手段とを備える、音声案内装置。
【請求項2】
前記通知手段は、前記音声案内の種類に基づいて、用いるべき前記光の種類、前記振動の種類、または、前記音の種類を変更することを特徴とする、請求項1に記載の音声案内装置。
【請求項3】
前記通知手段は、前記音声案内の種類に基づいて、用いるべき前記光、前記振動、または、前記音のうちのいずれか1つを選択することを特徴とする、請求項1に記載の音声案内装置。
【請求項4】
前記音声案内の種類は、前記所定の地点を対象とする音声案内を行うための目印に関する音声案内と当該音声案内以外とに少なくとも分類されることを特徴とする、請求項2または3に記載の音声案内装置。
【請求項5】
前記音声案内の種類は、前記ユーザの現在位置から前記所定の地点までの距離に関する音声案内と当該音声案内以外とに少なくとも分類されることを特徴とする、請求項2または3に記載の音声案内装置。
【請求項6】
前記通知手段は、前記ユーザの現在位置から前記所定の地点までの距離に基づいて、用いるべき前記光の種類、前記振動の種類、または、前記音の種類を変更することを特徴とする、請求項1に記載の音声案内装置。
【請求項7】
前記ユーザの現在位置を検出する位置検出手段をさらに備え、
前記音声案内の種類は、前記光の種類、前記振動の種類、または、前記音の種類と対応付けされており、
前記通知手段は、前記位置検出手段において検出された現在位置に基づいて前記対応付けを変更することを特徴とする、請求項1に記載の音声案内装置。
【請求項8】
前記指示検出手段において指示を行うユーザを識別するユーザ識別手段をさらに備え、
前記音声案内の種類は、前記光の種類、前記振動の種類、または、前記音の種類と対応付けされており、
前記通知手段は、前記ユーザ識別手段において識別されたユーザに基づいて前記対応付けを変更することを特徴とする、請求項1に記載の音声案内装置。
【請求項9】
現在時刻を検出する時刻検出手段をさらに備え、
前記音声案内の種類は、前記光の種類、前記振動の種類、または、前記音の種類と対応付けされており、
前記通知手段は、前記時刻検出手段において検出された現在時刻に基づいて前記対応付けを変更することを特徴とする、請求項1に記載の音声案内装置。
【請求項10】
ユーザに対して所定の地点を対象とする音声案内を行うべきタイミングを検出するタイミング検出ステップと、
前記タイミング検出ステップにおいて前記タイミングが検出されたとき、光、振動、または、前記音声案内に用いる音声とは異なる音のうち少なくとも1つを用いて前記音声案内を行うべきタイミングであることを前記ユーザに通知する通知ステップと、
前記音声案内を行う指示を検出する指示検出ステップと、
前記指示検出ステップにおいて前記指示が検出されたとき、前記音声案内に用いる音声を出力する音声案内出力ステップとを含む、音声案内方法。
【請求項11】
ユーザに対して所定の地点を対象とする音声案内を行うべきタイミングを検出するタイミング検出ステップと、
前記タイミング検出ステップにおいて前記タイミングが検出されたとき、光、振動、または、前記音声案内に用いる音声とは異なる音のうち少なくとも1つを用いて前記音声案内を行うべきタイミングであることを前記ユーザに通知する通知ステップと、
前記音声案内を行う指示を検出する指示検出ステップと、
前記指示検出ステップにおいて前記指示が検出されたとき、前記音声案内に用いる音声を出力する音声案内出力ステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−315797(P2007−315797A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143008(P2006−143008)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】