説明

顔認証システム及び顔認証方法

【課題】動画像を用いた認証の利便性を殆ど損なうことなく、認証を確実に行うことができる顔認証システムを提供する。
【解決手段】
顔認証システムは、認証対象者を検出する検出部111、検出された認証対象者を撮像し動画像データを生成する撮像部112、動画像データに基づいて認証対象者の顔の特徴を抽出し特徴情報を生成する特徴抽出部122、特徴情報に基づき認証を行う認証部123を有し、さらに、特徴抽出手段によって認証対象者の顔の特徴が抽出できなかったときに、認証対象者に対して、顔を撮像手段の方向へ所定時間以上向かせるように誘導する誘導部113を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔認証システム及び顔認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動画像(映像)を用いる顔認証システムは、認証対象者の動きや顔の表情の変化をある程度許容するとともに、静止画像を用いる顔認証システムに比べてなりすましが困難であるという特徴がある。
【0003】
しかしながら、認証対象者がカメラに顔を向けない場合には認証を行うことができないのは、動画像を用いる場合も静止画像を用いる場合も同じである。
【0004】
従来の認証対象者に顔をカメラに向けさせる方法として、反射行動を誘発させる物理的作用を与える方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−94710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された方法は、認証対象者が物理的作用に対して反射的に取った行動の結果として、顔がカメラの方向を向くことを期待するものであって、顔認証を行える確率を上昇させる可能性を有するが、顔認証を確実に行えるようにするものではない。即ち、この方法では、認証に要する時間だけ、継続して顔をカメラに向けさせることは期待できない。
【0007】
その一方で、顔認証を確実に行うため、認証対象者に対して認証のたびに、カメラに対して所定の姿勢を取るように要求することは、動画像を用いた認証の利便性を損なうものである。
【0008】
そこで、本発明は、認証対象者の利便性を殆ど損なうことなく、顔認証を確実に行えるようにした顔認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一要旨に係る顔認証システムは、認証対象者を検出する検出手段と、該検出手段によって検出された前記認証対象者を撮像し動画像データを生成する撮像手段と、前記動画像データに基づいて前記認証対象者の顔の特徴を抽出し特徴情報を生成する特徴抽出手段と、前記特徴情報に基づき認証を行う認証手段と、前記特徴抽出手段によって前記認証対象者の顔の特徴が抽出できなかったときに、前記認証対象者に対して、顔を前記撮像手段の方向へ所定時間以上向かせるように誘導する誘導手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、認証対象者の顔の特徴を抽出することができなかったときに、顔を所定時間以上撮像手段の方へ向けるように誘導するようにし、特徴を抽出できた場合には、認証対象者に対して行動を要求しない。このため、認証対象者の利便性を殆ど損なうことなく、確実に顔認証を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る認証システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る認証システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2の認証システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る顔認証システムの概略構成を示すブロック図である。
【0014】
図示の顔認証システムは、認証装置11と、認証サーバ12と、記憶装置13とを有している。
【0015】
認証装置11は、検出部111、撮像部112及び誘導部113を有している。
【0016】
また、認証サーバ12は、制御部121、特徴抽出部122及び認証部123を有している。
【0017】
さらに、記憶部13は、認証データ記憶部131を有している。
【0018】
認証装置11は、施錠装置等の認証対象機器の近くに配置されるか、あるいはその一部又は全部が認証対象機器に組み込まれる。
【0019】
検出部111は、認証対象機器を操作しようする者(認証対象者)が立ち入ると想定される領域に立ち入った者がいることを検出するセンサであってよい。あるいは、認証対象者が認証対象機器を操作する際に最初に触れる部分(スイッチ等)に組み込まれたセンサであってもよい。検出部111は、認証対象者の存在を検出すると、認証対象者を検出したことを認証サーバ12に通知する。
【0020】
撮像部112は、撮像手段として機能し、例えばCCDカメラであってよい。撮像部112は、認証対象機器に関して定められた所定の領域を撮像する。この所定の領域は、認証対象者の顔が認証対象機器を操作しようとする場合に存在すると想定される領域に定められる。撮像部112からの撮像データは、認証サーバ12へ送られる。
【0021】
誘導部113は、例えば、表示器及びスピーカを含んでよい。誘導部113は、認証サーバ12からの指示に従い、認証対象者の顔が撮像部112によって撮像されるように、表示や音声により認証対象者を誘導する。
【0022】
制御部121は、制御プログラムに従って動作し、認証システム全体の制御を司る。制御プログラムは、記憶装置13に格納されてよい。または、制御プログラムは認証サーバ12に内蔵される図示しない記憶装置13に格納されてよい。あるいは、磁気ディスクや光ディスク等の記録媒体に記録され、認証サーバ12の備える読取装置(図示せず)により読み出されるようにしてもよい。
【0023】
制御部121は、検出部111からの検出通知に応じて認証装置11の撮像部112からの撮像データが特徴抽出部122へ送られるようにする。また、制御部121は、特徴抽出部122からの特徴抽出不可の通知に応じて、認証装置11の誘導部113へ誘導指示を出す。
【0024】
特徴抽出部122は、認証装置11からの撮像データに基づき、認証対象者の顔の特徴を抽出し、特徴情報を認証部123へ送る。所定時間内に認証対象者の顔の特徴を抽出できなかったなら、制御部121へその旨通知する。
【0025】
認証部123は、特徴抽出部122からの特徴情報と、記憶装置13の認証データ記憶部131に記憶された認証データとに基づいて認証を行う。認証結果は、制御部121に通知され、制御部121より認証対象機器へ送られる。
【0026】
認証データ記憶部131は、一以上の登録者の顔の特徴を認証データとして予め記憶している。
【0027】
次に、図1の顔認証システムの動作について説明する。
【0028】
検出部111は、検出手段として機能し、認証対象者を検出すると、その旨を認証サーバ12へ通知する。
【0029】
認証サーバ12の制御部121は、認証装置11の検出部111からの認証対象者検出の通知を受けて、認証装置11の撮像部112からの撮像データを特徴抽出部122に取り込ませる。この場合において、撮像部112は、常時、所定の領域を撮像し続けていてもよいし、制御部121からの指示を受けて所定の領域を撮像するようにしてもよい。
【0030】
特徴抽出部122は、制御部121の制御の下で特徴抽出手段として機能する。即ち、特徴抽出部122は、認証装置11の撮像部112から逐次送られてくる撮像データに基づいて認証対象者の顔の特徴抽出を試みる。例えば、特徴抽出部122は、所定時間内に得られた画像フレーム(所定数の画像フレーム)を用いて認証対象者の顔の特徴抽出を試みる。特徴抽出に成功した場合、その旨、制御部121に通知するとともに、得られた特徴情報を認証部123に渡す。一方、特徴抽出ができなかった場合は、その旨制御部121に通知する。
【0031】
認証部123は、制御装置121の制御の下で認証手段として機能する。即ち、認証部123は、特徴抽出部122から特徴情報を受け取ると、記憶装置13の認証データ記憶部131に記憶されている認証データと照合する。認証データ記憶部131に記憶されている認証データの中に、特徴抽出部122からの特徴情報と一致する又は所定以上の確率で一致すると判定される認証データが存在する場合、認証部123は認証可と判断し、制御部121にその旨通知する。そのような認証データが存在しない場合、認証部123は認証不可と判断し、制御部121にその旨通知する。
【0032】
制御部121は、認証部123からの認証結果を認証対象機器へ送る。認証対象機器は、制御部121からの認証結果に基づいて、認証対象者の入力操作等を有効又は無効にする。
【0033】
特徴抽出部122が特徴抽出不可を制御部121に通知した場合、制御部121は、認証装置11の誘導部113に対して誘導指示を出す。
【0034】
誘導部113は、制御部121の指示に従って、誘導手段として機能する。即ち、誘導部113は、認証対象者が顔を撮像部112の方へ向けるように、表示及び/又は音声により誘導する。その際、認証を確実に行えるように、所定時間以上、認証対象者の顔が撮像部112に向けられるように誘導する。例えば、「“終了しました。”の合図があるまでカメラを見続けて下さい。」等のメッセージを流す。なお、所定時間は、少なくともと1回の特徴抽出を試みることができる時間(所定数の画像フレームを得て、特徴抽出動作を実行するのに要する時間)とする。所定時間は、できれば複数回の特徴抽出を試みることができる時間とする。
【0035】
特徴抽出部122は、制御部121へ特徴抽出不可の通知を行った後も、特徴抽出動作を繰り返す。これにより、認証対象者が誘導部113による誘導に応じてカメラに顔を向ける以前に、顔の特徴を抽出できる可能性がある。
【0036】
誘導部113による誘導の結果、あるいはそれ以前に特徴抽出部122が特徴抽出に成功すると、その旨が制御部121に通知され、特徴情報が認証部123へ送られる。認証部123は、上述したように特徴情報に基づいて認証処理を行う。
【0037】
制御部121は、特徴抽出部122からの特徴抽出成功の通知を受けて、誘導部113に対し、誘導終了の指示を出す。誘導終了の指示を受けて誘導部113は、完了通知手段として機能する。例えば、誘導部113は、「終了しました。」等のメッセージを流す。その後、認証結果に応じて、認証対象機器の操作等が可又は不可となる。
【0038】
以上のように、本実施の形態によれば、通常は認証対象者に対して特別な姿勢を取らせることなく認証を行うので、動画を用いた認証システムの利便性を殆ど損なうことがない。その一方で、所定時間内に顔の特徴抽出を行えなかった場合には、特徴抽出に必要な所定時間以上(たとえば、終了時点を明示して)撮像部112に顔を向けるように誘導するので、確実に認証を行うことができる。
【0039】
なお、上記実施の形態では、認証装置11において認証対象者を検出したことを認証サーバ12に通知するようにしたが、認証装置11は、認証対象者を検出したなら、撮像データを認証サーバ21へ送るようにしてもよい。
【0040】
また、上記実施の形態では、認証サーバ12が制御部121、特徴抽出部122及び認証部123を有すると説明したが、コンピュータが制御プログラムを実行することにより、これら制御部121、特徴抽出部122及び認証部123として動作するようにしてもよい。
【0041】
次に、図2を参照して本発明の第2の実施の形態に係る認証システムについて説明する。
【0042】
図2の認証システムは、プログラム制御により動作する認証サーバ21と、認証サーバ21の動作に必要なプログラムや情報を記憶する記憶装置22と、認証装置23と、操作を行う人物の認証情報を必要とする電子機器や入退場管理装置などの認証対象機器24とを含む。認証サーバ21、認証装置23及び認証対象機器24の間は、無線若しくは有線のネットワーク25を介して接続される。
【0043】
図2では、認証装置23及び認証対象機器24を一つずつ示したが、これらはそれぞれ複数存在し得る。通常、認証装置23と認証対象機器24とは一対一で対応するが、一つの認証対象機器24に対して複数の認証装置23(複数のカメラ234)を設けるようにしてもよい。いずれにしても、認証対象機器24の各々は、少なくとも一つの認証装置23に関連付けられ、各認証装置23は、関連付けられた認証対象機器24及びそれを操作する人物の顔がカメラに写るように配置される。
【0044】
認証サーバ21は、通信制御部211と、映像解析部212と、顔認識実行部213と、認証管理部214と、認証誘導制御部215とを備えている。
【0045】
通信制御部211は、認証装置23からの映像データ(撮像データ)の受信と、認証装置23への認証誘導指示及び認証完了通知の送信と、認証対象機器24からの認証要求の受信と、認証対象機器24への認証誘導指示及び認証完了通知の送信とを実現する。
【0046】
映像解析部212は、特徴抽出手段として機能する。即ち、映像解析部212は、認証装置23からの映像データを解析し、認証要求を出した認証対象機器24を一番操作しやすい場所に位置する人物を認証対象者として識別し、顔が見えていれば顔の特徴を抽出して特徴情報を認証管理部214に通知する。一方、送られてきた映像データでは識別対象者の顔が見えておらず、顔の特徴を抽出できない場合、映像解析部212は、認証不可能であることを認証管理部214に通知し、その後、映像データを監視して、認証対象者の顔が見えたら顔の特徴を抽出して特徴情報を認証管理部214に通知する。複数の認証装置23からの映像データが存在する場合、映像解析部212は、認証対象者の顔が最もよく映っている映像データを選択する。また、この場合は、選択した映像データの送信元である認証装置23を識別する情報(選択認証装置識別情報)も認証管理部214へ通知する。
【0047】
顔認識実行部213は、認証手段として機能する。即ち、顔認識実行部213は、認証管理部214を介して受け取った映像解析部212からの特徴情報と、記憶部22に記憶されている顔認識データとを用いて、顔認識を行い、認証対象者が登録された人物であるか否か判定する。
【0048】
認証管理部214は、認証対象機器24からの認証要求を、通信制御部211を介して受け付ける。認証管理部214は、認証要求を受けると、映像解析部212に認証要求を出した認証対象機器24を識別する情報を通知し、その認証対象機器24に対応する一又は二以上の認証装置23からの映像データを解析させる。その後、映像解析部212から認証不可能の通知があったならば、認証管理部214は、認証誘導制御部215に認証誘導の実行を指示する。映像解析部212から選択認証装置識別情報が送られてきている場合、認証管理部214は、その情報も認証誘導制御部215へ送る。また、映像解析部212から特徴情報が送られてくると、認証管理部214は、特徴情報を顔認識実行部213へ送り、顔認識の実行を指示する。
【0049】
認証誘導制御部215は、認証装置23及び認証対象機器24にそれぞれ対応する認証誘導指示及び認証完了通知を作成し、認証管理部214及び通信制御部211を介して送信する。認証誘導指示及び認証完了通知は、記憶装置22に記憶されている認証誘導データに基づいて作成される。認証要求を出した認証対象機器24に対応する認証装置23が複数存在する場合には、これら複数の認証装置23に対して認証誘導指示及び認証完了通知を送信する。
【0050】
記憶装置22は、顔認識データ記憶部221と認証誘導データ記憶部222とを備えている。
【0051】
顔認識データ記憶部221は、認証する必要のある人物の顔の特徴情報を予め記憶している。
【0052】
認証誘導データ記憶部222は、認証装置23のスピーカ235や表示器236で実行する認証誘導のための音声情報や表示情報、認証対象機器24のユーザインターフェース部243の機能などに応じた認証誘導方法のための情報を予め記憶している。
【0053】
認証装置23は、通信制御部231と、映像送信制御部232と、誘導実行部233と、カメラ234と、スピーカ235と、表示器236とを備えている。
【0054】
通信制御部231は、認証サーバ21に映像データを送信し、認証サーバ21からの認証誘導指示と認証完了通知を受信する。
【0055】
映像送信制御部232は、カメラ234を制御して認証対象機器24と認証対象者を撮像し、その映像データを通信制御部231を介して認証サーバ21に送る。
【0056】
誘導実行部233は、スピーカ235及び表示器236とともに誘導手段及び完了通知手段として機能する。誘導実行部233は、認証サーバ21からの認証誘導指示と認証完了通知に従って、スピーカ235から音声を出力させ、表示器236にメッセージ等を表示させる。
【0057】
カメラ234は、撮像手段として機能する。即ち、カメラ234は、認証対象機器24と認証対象者を撮像し、映像データを出力する。
【0058】
スピーカ235は、誘導実行部233の制御の下、認証誘導指示と認証完了通知に応じた音声を出力する。
【0059】
表示器236は、誘導実行部233の制御の下、認証誘導指示と認証完了通知に応じた表示を行う。
【0060】
認証対象機器24は、通信制御部241と、認証情報制御部242と、ユーザインターフェース部243と、機器制御部244とを備えている。
【0061】
通信制御部241は、認証サーバ21に認証要求を送信し、認証サーバ21からの認証誘導指示と認証完了通知を受信する。
【0062】
認証情報制御部242は、単独で、あるいはユーザインターフェース部243とともに、検出手段として機能する。認証情報制御部242は、ユーザインターフェース部243が操作されたか、操作可能領域に人が侵入したことを検出し、認証要求を作成して通信制御部241を介して認証サーバ21に送る。また、認証情報制御部242は、認証サーバ21からの認証完了通知を通信制御部241を介して受け取り、これにより操作者あるいは操作可能領域侵入者の認証情報を受け取る。さらに、認証情報制御部242は、通信制御部241を介して、認証サーバ21からの認証誘導指示を受ける。この場合、認証情報制御部242は、ユーザインターフェース部243に対して認証誘導指示に応じた指示を行う。
【0063】
ユーザインターフェース部243は、認証対象機器24を操作するための操作パネル、操作可能領域への侵入を検知するセンサなどの入力機能と、機器状態やメッセージを通知するディスプレイやランプ、スピーカなどの出力機能を持つ。認証対象機器24の種別に応じて、備える機能は異なる。
【0064】
機器制御部244は、認証情報制御部242が得た認証情報に基づいて、ユーザインターフェース部243の操作により実現される機能の範囲を制御する。
【0065】
次に、図1に加えて図2をも参照して、図1の認証システムの動作について詳細に説明する。
【0066】
認証対象機器24のユーザインターフェース部243は、入力操作があると(ステップS301)、それを検出し、認証要求を行う(ステップS302)。認証要求は、通信制御部241を介して認証サーバ21に対して行われる。
【0067】
ユーザインターフェース部243は、入力操作を検出する代わりに、所定領域内に人が進入したことを検出するようにしてもよい。この場合、所定領域は、認証対象機器24を操作しようとする人物が存在する確率の高い領域を含むように定めておく。
【0068】
ユーザインターフェース部243は、認証要求を行った後、認証が完了するまで入力操作の実行を保留する。
【0069】
認証サーバ21では、認証管理部214が、通信制御部211を介して認証対象機器24からの認証要求を受け付け、映像解析部212に対して、認証要求を出した認証対象機器24を識別する情報を与える。
【0070】
映像解析部212は、認証管理部214から与えられた認証対象機器24を識別する情報に基づいて、認証要求を送信した認証対象機器24に関連付けられた一又は二以上の認証装置23に対し、通信制御部211を介して映像データを送信するよう要求する(ステップS303)。
【0071】
認証装置23では、映像送信制御部232が通信制御部231介して、認証サーバ21からの映像データ要求を受け取ると、カメラ234を制御して認証対象機器24及びその周辺を撮像し映像データを作成する。そして、映像送信制御部232は、作成した映像データを通信制御部231を介して認証サーバ21へ送る(ステップS304)。映像データはリアルタイムで送られる。
【0072】
なお、認証装置23からの映像データは、上述の様に、認証サーバ21からの要求に応じて必要なときだけ送るのではなく、常時認証サーバ21へ送る用にしてもよい。この場合、認証サーバ21側で認証要求を出した認証対象機器24に関連付けされた認証装置23からの映像データを選択する。
【0073】
映像解析部212は、認証装置23から送られてきた映像データを通信制御部211を介して受け取ると、映像解析を行う。そして、認証要求を出した認証対象機器24を一番操作しやすい場所に位置している人物を認証対象者として検出する(ステップS305)。さらに、映像解析部212は、検出した認証対象者の顔の特徴抽出を試みる(ステップS306)。このとき、二以上の認証装置23からの映像データを利用する場合には、認証対象者の顔が最もよく映っていると思われる映像を選択する。
【0074】
認証対象者が認証対象機器24の前に屈みこむなどして顔をカメラ234で撮像できない場合など、顔の特徴が抽出できない場合(ステップS306でNO)には、映像解析部212は、認証不可能であることを、その映像データの送信元である認証装置23を識別する情報とともに認証管理部214に通知する。その後、映像解析部212は、映像データを監視する(顔の特徴抽出を繰り返し試みる)。
【0075】
認証管理部214は、映像解析部212からの認証不可能通知を受けて、認証誘導制御部215に認証誘導の実行を指示する。
【0076】
認証誘導制御部215は、認証管理部214からの認証誘導実行指示を受けて、認証要求を出した認証対象機器24及び選択された映像データの送信元である認証装置23に対して、認証誘導指示を作成する。認証誘導指示の作成は、その指示の対象である認証対象機器24及び認証装置23にそれぞれ適合するように、記憶装置22に記憶されている認証誘導データに基づいて行われる。作成された認証誘導指示は、認証管理部214及び通信制御部211を介して、認証対象機器24及び認証装置23へそれぞれ送信される(ステップS307)。
【0077】
認証装置23では、認証サーバ21から認証誘導指示が送られてくると、通信制御部231が受信した認証誘導指示を誘導実行部233に引き渡す。誘導実行部233は、受け取った認証誘導指示に従い、スピーカ235から音声を発し、表示器236にメッセージ等を表示する(ステップS308A)。
【0078】
認証対象機器24では、認証サーバ21から認証誘導指示が送られてくると、通信制御部241が受信した認証誘導指示を認証情報制御部242に引き渡す。認証情報制御部242は、受け取った認証誘導指示に従い、ユーザインターフェース部243からの音声出力やメッセージ表示を行う(ステップS308B)。
【0079】
認証誘導は、例えば、時計の上に認証装置23を設置しておき「時計の上に出てくる絵は何でしょう?」という表示や、「チャイムが鳴るまでこっちを見ていて!」という音声などである。いずれにしても、認証対象者に顔をカメラ234の方へ向けさせ、次に合図があるまで顔の向きがある程度維持されるようにする。認証対象者が次に何か出力されるのを待ちながら時計や音の方向を見ているとカメラ234に顔が映る(ステップS309)。
【0080】
認証装置23は、ステップS304から映像データの送信を継続しており、認証誘導動作により、認証対象者の顔が撮像された映像データが認証サーバ21に送られる(ステップS310)。
【0081】
認証サーバ21では、映像解析部212が、監視していた映像データに認証対象者の顔の情報が含まれることになるので、認証対象者の顔の特徴抽出に成功する(ステップS306でYES)。映像解析部212は、顔の特徴情報を認証管理部214へ通知する。
【0082】
認証管理部214は、顔の特徴情報を得ると、顔認識実行部213に顔認識の実行を指示する。顔認識実行部213は、認証管理部214から渡された顔の特徴情報と、記憶装置22の顔認証データ記憶部221に記憶された顔認識データとに基づいて顔認識を実行し、認証対象者が登録された人物に該当するか否かの判定(認証)を行う(ステップS311)。
【0083】
認証管理部214は、認証結果を認証誘導制御部215に渡す。この際、顔認証データに含まれる登録された人物に関する所定の情報を付加するようにしてもよい。そうすることにより、登録者ごとに認証対象機器24の操作制限(機能制限)を行うことができる。
【0084】
認証誘導制御部215は、認証結果に基づいて認証完了通知を作成する。認証誘導制御部215は、認証誘導データ記憶部222に記憶されている認証誘導データに基づいて、認証要求を出した認証対象機器24及び選択された映像データを送信した認証装置23とにそれぞれ適合する認証完了通知を作成する。作成された認証完了通知は、認証管理部214及び通信制御部211を介して、認証対象機器24及び認証装置23にそれぞれ送信される(ステップS312)。
【0085】
認証装置23の誘導実行部233は、認証サーバ21からの認証完了通知を通信制御部231を介して受け取ると、受け取った認証完了通知に従い、スピーカ235や表示器236に認証完了を報知する音声や表示を出力させる(ステップS313)。認証完了通知は、例えば、時計の上にある認証装置23の表示器236に、認証対象者別に決められたマークや認証対象者の顔の映像を表示したり、完了のチャイムを鳴らす、などして行われる。認証誘導が行われていた場合は、その認証誘導に対応する音声や表示とする。これにより、ステップS309から、何か出てくるのを待っていた認証対象者は、表示や音声を聞いて自分の認証が完了したことを知ることができる。認証対象者が、認証の意図を理解していなくても、ただ認証誘導の表示や音声に従って、何かが出力されるのを待つことで、認証を完了できる(ステップS314)。
【0086】
認証対象機器24の認証情報制御部242は、認証サーバ21からの認証完了通知を受けて、機器制御部244に対して、認証対象機器24の入力操作を有効又は無効にするように指示する。認証情報制御部242は、認証完了通知に登録人物に関する所定の情報が含まれる場合、それに応じて認証対象機器24の機能制限を行うよう機器制御部244に指示する。
【0087】
機器制御部244は、認証情報制御部242からの指示に応じて、ステップS301及びS302で保留していた操作を有効にし、あるいは無効にする。認証対象者は、認証サーバ21により、登録者であると認証された場合、許可された機能範囲内で認証対象機器24の利用が認められる(ステップS316)。
【0088】
以上、本発明についていくつかの実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲と逸脱することなく種々の変更、変形が可能である。例えば、第2の実施の形態では、認証装置23と認証対象機器24とが別体であるが、認証装置23を認証対象機器24に組み込むように構成してもよい。
【符号の説明】
【0089】
11 認証装置
12 認証サーバ
13 記憶装置
21 認証サーバ
22 記憶装置
23 認証装置
24 認証対象機器
25 ネットワーク
111 検出部
112 撮像部
113 誘導部
121 制御部
122 特徴抽出部
123 認証部
131 認証データ記憶部
211 通信制御部
212 映像解析部
213 顔認識実行部
214 認証管理部
215 認証誘導制御部
221 顔認識データ記憶部
222 認証誘導データ記憶部
231 通信制御部
232 映像送信制御部
233 誘導実行部
234 カメラ
235 スピーカ
236 表示器
241 通信制御部
242 認証情報制御部
243 ユーザインターフェース部
244 機器制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象者を検出する検出手段と、
該検出手段によって検出された前記認証対象者を撮像し動画像データを生成する撮像手段と、
前記動画像データに基づいて前記認証対象者の顔の特徴を抽出し特徴情報を生成する特徴抽出手段と、
前記特徴情報に基づき認証を行う認証手段と、
前記特徴抽出手段によって前記認証対象者の顔の特徴が抽出できなかったときに、前記認証対象者に対して、顔を前記撮像手段の方向へ所定時間以上向かせるように誘導する誘導手段と、
を備えていることを特徴とする顔認証システム。
【請求項2】
前記誘導手段は、前記特徴抽出手段による前記認証対象者の顔の特徴抽出完了又は前記認証手段による認証完了を通知する完了通知手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の顔認証システム。
【請求項3】
前記認証手段による認証結果に基づいて動作する認証対象機器と、
前記撮像手段及び前記誘導手段を含む認証装置と、
前記特徴抽出手段、前記認証手段及び前記制御手段を含む認証サーバと、
がネットワークを介して相互接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の顔認証システム。
【請求項4】
前記認証手段による認証に用いられる認証データを記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の顔認証システム。
【請求項5】
認証対象者を検出するステップと、
検出された前記認証対象者を撮像し動画像データを生成するステップと、
前記動画像データに基づいて前記認証対象者の顔の特徴を抽出し特徴情報を生成するステップと、
前記特徴情報に基づき認証を行うステップと、
前記特徴抽出手段による前記認証対象者の顔の特徴が抽出できなかったときに、前記認証対象者に対して、顔を前記撮像手段の方向へ所定時間以上向かせるように誘導するステップと、
を含むことを特徴とする顔認証方法。
【請求項6】
前記認証対象者に対して、顔を前記撮像手段の方向へ所定時間以上向かせるように誘導した後、前記認証対象者の顔の特徴抽出完了又は認証完了を通知するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の顔認証方法。
【請求項7】
認証対象者を検出したとの通知を受け、前記認証対象者を撮像した動画像データを取得するステップと、
前記動画像データに基づいて前記認証対象者の顔の特徴を抽出し特徴情報を生成するステップと、
前記特徴情報に基づき認証を行うステップと、
前記特徴抽出手段による前記認証対象者の顔の特徴が抽出できなかったときに、前記認証対象者に対して、顔を前記撮像手段の方向へ所定時間以上向かせるよう、誘導部に指示するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記認証対象者に対して、顔を前記撮像手段の方向へ所定時間以上向かせるように誘導した後、前記認証対象者の顔の特徴抽出完了又は認証完了を通知するよう前記誘導部に指示するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−218039(P2010−218039A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61694(P2009−61694)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】