顕微鏡対象物を検査するための装置用のコンピュータ制御可能なLED光源
顕微鏡対象物を検査するための装置。レンズの下には複数のLEDがアレイで配列される。LEDのいくつかは点灯され、LEDのいくつかは点灯されない。コンピュータは、LEDアレイを制御する。コンピュータは、アレイから選択されたLEDをオンにして点灯されたLEDを形成する。また、コンピュータは、アレイから選択されたLEDをオフにして点灯されないLEDを形成する。点灯されたLEDは、レンズの下に点灯されたLEDのパターンを形成する。好ましい実施態様においては、レンズはコンピュータ制御されるカメラに接続され、顕微鏡対象物は顕微鏡的結晶である。別の好ましい実施態様においては、UV LEDが利用されて結晶を上方から照射する。別の好ましい実施態様においては、UV LEDが利用されてハンプトン・ピンのループを照射し、X線結晶解析のためにハンプトン・ピンのループにおける結晶の位置を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動化された検査装置に関し、特に、コンピュータ制御可能な光源を有する自動化された検査装置に関する。
【0002】
2007年7月23日に出願された米国特許仮出願第60/961,722号、2007年10月5日に出願された米国特許仮出願第60/997,839号、2003年7月25日に出願された米国特許出願第10/627,386号(2008年7月29日に特許文献1として発行予定)、および2006年1月10日に発行された特許文献2の明細書は、参照によってここに援用される。
【背景技術】
【0003】
物質の3次元原子構造の決定は、基礎および応用研究のもっとも重要な分野の1つである。物質の3次元原子構造を決定できる方法の1つは、X線結晶解析を経るものである。X線結晶解析は、結晶内の原子の精密な配列を決定するために結晶からのX線の回折を利用する。その結果、合金、デオキシリボ核酸(DNA)、またはタンパク質の構造といった物質の原子構造を明らかにできる。
【0004】
タンパク質結晶の正確な分子構造を知ることには非常に重要な利点がある。たとえば分子構造がわかれば、新薬開発研究者は、有効な治療剤および薬をより効率的に開発することが可能である。しかしながら、その有望性にも関わらず、X線結晶解析は、好結果の結晶を成長させることが非常に困難であるという事実によって制限される。
【0005】
結晶成長の従来技術方法
タンパク質結晶成長は、通常、マイクロウェルプレートのウェル内で行われる。マイクロウェルプレートは、マイクロタイタープレートまたはマイクロプレートとしても知られる。マイクロウェルプレートは、通常、24、48、96、384、または1536個のウェルを有する。96ウェルのマイクロウェルプレートを図2に詳細に示す。タンパク質結晶を成長可能な方法は多様である。次に、5つの一般的な方法について手短に述べる。
【0006】
ハンギングドロップ法
結晶を成長させるために利用可能な主要技術の1つは、ハンギングドロップ法または蒸気拡散法として知られる方法である。ここでは、タンパク質を含む溶液の液滴をカバーガラス上に塗抹し、上下を返して蒸気拡散チャンバ等の装置内に置くと、装置内の状態によってタンパク質液滴内での過飽和とタンパク質結晶の沈殿の開始が導かれる。
【0007】
シッティングドロップ法
別の方法ではシッティングドロップ法がある。ここでは、液滴をウェルの上方に懸滴する代わりに成長溶液に近接させて小さいウェルの中に置く。この方法によって、より安定した液滴および配置がもたらされる。
【0008】
油中水性液滴法(Aqueous Drop in Oil Method)
別の方法では、油中水性液滴法がある。ここでは、液滴がマイクロウェル内に置かれ、オイルベースの溶液を用いて覆われる。液滴はウェルの底にとどまり、結晶が成長する。
【0009】
透析法
透析法と呼ばれる(マイクロバッチ結晶化とも呼ばれる)別の方法においては、タンパク質溶液が半透過性のサイズ排除膜内に入れられた後、一定のpHおよび沈殿剤濃度の溶液内に置かれる。沈殿剤が膜を通ってタンパク質の区画内に拡散すると、タンパク質の溶解度が低下して結晶を形成できる。
【0010】
ゲル結晶成長法
この方法は、小径のガラス毛管の端におけるゲル配置を伴う。溶液がゲル化した後にタンパク質溶液が毛管の一方の端(上端)の中に置かれ、他方の端が沈殿剤の溶液内に浸される。条件が適切に選択されていれば、溶液が拡散によってゆっくりと混合するときに、ゲル内のタンパク質と沈殿剤が適正濃度に到達するポイントにおいて結晶の成長が生じる。これが拡散制限プロセスであることから、長い時間期間の後になって初めて結晶の成長が生じる。しかしながら、この方法によって成長させた結晶は、しばしばより大きく、かつより高品質のものとなる。
【0011】
選択される方法によらず、タンパク質結晶成長は非常に繊細であり、しかも時間を要するプロセスである。充分なサイズおよび品質の結晶が成長し、X線結晶解析のための準備が整うまでには、数日から数ヶ月を要することがある。通常言われる現在の最小サイズは、少なくとも厚さ50ミクロン、長さ100ミクロンの結晶である。タンパク質結晶成長の環境条件は、化学物質から周囲空気の湿度および温度、汚染を防止する清浄度、さらには照明条件まで、厳格に維持される必要がある。未知のタンパク質ファミリを研究するタンパク質結晶解析研究者のうち、適正なサイズと品質の結晶の成長において成功するのは約5%のみかもしれない。この成功率を用いると、たとえば96ウェルのマイクロウェルプレートは、良好な結晶が成長するウェルを5つしか有することができない。
【0012】
従来技術の結晶成長検査
現在、研究室の技術者またはオペレータは、顕微鏡および研究室ノートによる補助を伴って、マイクロウェルプレート内の結晶成長を手動で検査している。マイクロウェルプレートを検査するために研究室の技術者は、クリーンルーム・ガウン・スーツを身に着け、結晶が成長している低温室に入る。技術者は続いてマイクロウェルプレートを顕微鏡の下に置き、マイクロウェルプレート内のすべてのウェルの検査が済むまでそのマイクロウェルプレート内の各ウェルを試験する。技術者は、その後、どのように結晶を分類するべきか(『スコア』としても知られる)について頭の中で判断を行う。たとえば技術者は、『粒状の沈殿』または『荒れた沈殿』を呈している画像を観察していると感じることがある。または技術者は、『まったく結晶の成長がない』ことを画像が示していると感じるかも知れない。その後、技術者は、分類を研究室ノートに記録する。
【0013】
上記のシステムは、人的エラーの機会に満ちている。オペレータは、96ウェルのマイクロウェルプレートを手動で検査するのに、オペレータの熟練度および、興味深い特徴、微結晶、または結晶を含むウェルの数に応じて、約5〜20分を要する。オペレータは身体的疲労を受けやすく、眼精疲労に悩み、一般に高湿度の温度制御された室内において不快に寒い可能性がある。オペレータは、疲労し、混乱するおそれがあり、かつノートに手動でデータを記録する際に容易に誤りを犯すおそれがある。たとえばオペレータは、ウェルH5(図2)に結晶が成長していることを観察したにもかかわらず、ウェルH6に結晶の成長があったとノートに誤って記録するかもしれない。データをコンピュータデータベースに移すときにはさらなる転写の誤りが生じ得る。
【0014】
タンパク質結晶成長を監視するためのカメラ
タンパク質結晶成長のための代表的な従来技術テクニックは、成長プロセスを監視するために使用されるロボット・システムの部分として、カメラを含む。ほとんどの場合、このカメラは顕微鏡を通じて成長を観察し、またほとんどの場合はカメラが可視光カメラであり、タンパク質が発達時のそれらの結晶形状によって識別される。これらの従来技術テクニックに伴う1つの問題は、ハンギングまたはシッティングドロップにおいて塩の結晶もまた形成されることがあり、可視光カメラを用いた場合には、それらの塩の結晶とタンパク質結晶が一般に区別不可能なことである。
【0015】
蛍光発光アミノ酸
タンパク質のビルディング・ブロックとして20のアミノ酸が識別されている。これら20のアミノ酸のうち3つは、特定波長の光を用いて照射したときに蛍光発光することがわかっている。それらは(1)約280nmの波長で照射されると約348nmの波長で蛍光発光するトリプトファン、(2)約274nmの波長で照射されると約303nmの波長で蛍光発光するチロシン、および、(3)約282nmの波長で照射されると約257nmの波長で蛍光発光するフェニルアラニンである。
【0016】
塩の結晶は257nm〜282nmの範囲の紫外線光を用いて照射した時には蛍光発光しない。この理由から、紫外線照明を有する顕微鏡を使用してタンパク質結晶成長を監視する試みがなされている。従来技術では、光源として、水銀ランプおよび重水素ランプを使用していた。周知の技術は、これらのランプからの光が光ファイバへと向けられ、続いて光ファイバが光を顕微鏡へと導き、そこで試験中の液滴に光が向けられる。これらの光源は、通常、どちらかというと広帯域である。したがって、非常に精密なフィルタ処理が必要になり、慎重なフィルタ処理を用いたとしても目標の液滴が紫外線光によって過加熱されるリスクが存在する。
【0017】
『アクター(ACTOR)』ロボット
アクター(ACTOR(商標))は、テキサス州ウッドランズにオフィスを構えるリガク・アメリカズ・コーポレーション(Rigaku Americas Corporation)によって所有されている商標である。アクターは、結晶標本の自動化された結晶移送、配向、および回収(Automated Crystal Transfer, Orientation and Retrieval)のためのロボット・システムを言う。このシステムは、技術革新についての2002年R&D 100アウォードを受賞し、自動化された結晶標本を取り扱うための世界初の商用ロボット・システムである。アクターは、型にはまった結晶スクリーニングおよびデータ収集の間に必要とされる結晶解析研究者によるタンパク質標本の物理的な取り扱いのほとんどを排除する。高スループットのアクター・システムは、シンクロトロン・ビーム・ラインおよびホーム・ラボラトリにおける自動標本移送、配向、および回収を提供する。データが収集されると直ちに標本を交換することにより、X線源の使用の最大化がもたらされる。アクターは、無人で1日24時間、週7日間データを収集することが可能である。アクター・システムは、市販のピン上のループに保持された最大で60の極低温凍結標本を貯蔵する。磁気マガジンがピンを、ロボット回収のためのマップされた位置に保持する。マガジンは、自動的に液体窒素が満たされる断熱されたアクター・ステージング・デュワー内に位置する。アクターは、世界中の多くの研究所およびビーム・ラインに設置されている。アクターは、関連するソフトウエアおよびツールとともに生産性の向上のために設計された完全なシステムであり、今日の高スループット結晶解析研究所のための無人標本解析を可能にする。これらのシステムは、合衆国内のいくつかの州に位置するいくつかの販売オフィスを伴うリガク・アメリカズ・コーポレーション(Rigaku Americas Corporation)から市販されている。
【0018】
上記段落で言及したピンは、通常、ハンプトン・ピンである。それらのピンの1つの図面が図59および60に示されている。ピンは、上で言及した磁気マガジンの1つの中に容易に位置決めされる枠内に据え付けられる18mmのピンからなる。図60に示される通り、ピンの端には、位置22のビーム位置に馬毛から作られるループ(horse hair loop)がある。従来技術テクニックにおいては技術者が、顕微鏡を通じて観察する間にタンパク質結晶を含む溶液内にループを浸す。一部の溶液が馬毛ループに付着する。技術者はピンの上にキャップを乗せ、キャップを付けたピンをアクターに移送し、それを磁気マガジンの1つの中に挿入する。ループ上に集められた結晶を含む溶液は、貯蔵のために凍結されてX線解析を待つ。上で示したとおり、アクターはピンを拾い上げ、解析のためにそれを配向するよう設計されている。タンパク質結晶は、相対的にはるかに大きいループ内の相対的に小さい領域だけを占有するか、またはそれに取り付けられる。従来技術のアクターは、ループの配向およびタンパク質結晶の識別のために可視光顕微鏡を含む。試験されるタンパク質結晶の位置は、X線ビームが解析のために直接ポイント可能となるように精密に配置されなければならない。可視光を用いて結晶を精密に配置することはしばしば困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第7,406,189号
【特許文献2】米国特許第6,985,616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
必要とされているものは、顕微鏡対象物を検査するためのより良好な装置である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、顕微鏡対象物を検査する装置を提供する。レンズの下には複数のLEDがアレイで配置される。LEDのいくつかは点灯され、LEDのいくつかは点灯されない。コンピュータがLEDアレイを制御する。コンピュータは、アレイから選択したLEDをオンにして、点灯されたLEDを形成する。またコンピュータは、アレイから選択したLEDをオフにして、点灯されないLEDを形成する。点灯されたLEDは、レンズの下に点灯されたLEDのパターンを形成する。好ましい実施態様においては、レンズはコンピュータ制御されるカメラに接続され、顕微鏡対象物は顕微鏡的結晶である。別の好ましい実施態様においては、UV LEDが利用されて結晶を上方から照射する。別の好ましい実施態様においては、UV LEDが利用されてハンプトン・ピンのループを照射し、X線結晶解析の目的のためにハンプトン・ピンのループ内の結晶の位置を求める。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図2】マイクロウェルプレートを示した説明図である。
【図3】取り付け治具プレートを示した上面図である。
【図4】取り付け治具プレート上のマイクロウェルプレートを示した上面図である。
【図5】取り付け治具プレート上のマイクロウェルプレートを示した上面図である。
【図6】本発明の好ましい実施態様を示したブロック図である。
【図7】好ましいモニタを示した説明図である。
【図8】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図9】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図10】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図11】マイクロウェルプレート内の液体の懸垂液滴を示した説明図である。
【図12】油中水性液滴タンパク質結晶化の例を示した説明図である。
【図13】取り付け治具プレート上のマイクロウェルプレートを示した上面図である。
【図14】マイクロウェルプレート上を上向きに照射する光源を示した側面図である。
【図15】各ウェルが液滴を有するマイクロウェルプレートの2つのウェルを示した拡大図である。
【図16】図15に示された液滴を示した詳細図である。
【図17】図15に示された液滴を示した詳細図である。
【図18】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図19】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図20】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図21】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図22】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図23】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図24】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図25】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図26】走行完了後の好ましいモニタ・スクリーンを示した説明図である。
【図27】別の好ましいモニタ・スクリーンの詳細を示した説明図である。
【図28】別の好ましいモニタ・スクリーンの詳細を示した説明図である。
【図29】結晶成長を伴う液滴のハンギングドロップを示した説明図である。
【図30】本発明の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図31】本発明の自動焦点サブルーチンを示したフローチャートである。
【図32】焦点値サブルーチンを示したフローチャートである。
【図33】自動スコアおよび分類サブルーチンを示したフローチャートである。
【図34a】分類サブルーチンを示したフローチャートである。
【図34b】分類サブルーチンを示したフローチャートである。
【図34c】分類サブルーチンを示したフローチャートである。
【図34d】分類サブルーチンを示したフローチャートである。
【図35a】結晶クラスの下位分類を示したフローチャートである。
【図35b】結晶クラスの下位分類を示したフローチャートである。
【図36】メインプログラムを示したフローチャートである。
【図37】光路内の二重フィルタを図解した側面図である。
【図38】回転可能な直線偏光フィルタのための駆動メカニズムを図解した上面図である。
【図39】第2のフィルタ・ホイールを図解した上面図である。
【図40】別の好ましい実施態様の接続を示した説明図である。
【図41】本発明の別の好ましい実施態様を示した分解図である。
【図42】図41に示した好ましい実施態様の斜視図である。
【図43】LEDアレイの上面図である。
【図44】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図45】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図46】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図47】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図48】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図49】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図50】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図51】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図52】図51に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図53】図51に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図54】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図55】好ましいパターンを示した説明図である。
【図56a】LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図56b】LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図57a】LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図57b】LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図58】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図59】ハンプトン・ピンを示した説明図である。
【図60】ハンプトン・ピンを示した説明図である。
【図61】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図62】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図63】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図64】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図65】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図66】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図67】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図68】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図69】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図70】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図71】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図72】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図73】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図74】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図75】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい実施態様の詳細な説明は、図面を参照することにより記載される
【0024】
図1は、本発明の好ましい実施態様を示す。マイクロウェルプレート125A〜125Fは、取り付け治具プレート129上に置かれている。好ましい実施態様においては、各マイクロウェルプレートが96個のウェルを有する。各ウェルは、顕微鏡的タンパク質結晶が成長できる液滴を有する。コンピュータ105は、線形アクチュエータ115、150、160を自動的に制御する。線形アクチュエータ115は、取り付け治具プレート129をx軸に沿って移動する。線形アクチュエータ150は移動ベース154をy軸に沿って移動し、線形アクチュエータ160は移動プレート162をz軸に沿って移動する。コンピュータは、これらの線形アクチュエータの移動を調和させて各マイクロウェルプレート125A〜125Fの各ウェルの上でカメラ155および135を逐次適正に位置決めする。カメラ155および135が高解像度2/3インチCCDカメラであり、水平1,300画素×垂直1,030画素を有すると好ましい。各画素は、6.7ミクロン四方であり、8.7mm×6.9mmの検知面積を有すると好ましい。カメラ155および135は、各ウェルの画像を取り込み、それらの画像をコンピュータ105に送信する。そこでそれらが各ピクセルの輝度を8ビットのグレイ・レベル(0〜255)によって表す約水平1,296ピクセル×垂直1,000ピクセルの画像データ・アレイにデジタル化される。これらのデジタル化された画像は、コンピュータ105のデータベース内に自動的に記録され、モニタ620を介してオペレータにより解析およびスコア付けされることが可能である。デジタル化後の画像は、プログラム・インストラクションを実行して画像データ・アレイに対する計算を行うコンピュータ105によってさらに処理、解析され、個別のウェルの内容がスコア付けされてもよい。好ましい実施態様においては、コンピュータ105が通信/制御ラインを介してコンピュータネットワークに接続される。この形において、本発明はリモートコンピュータから制御されることが可能になる。同様にして画像およびデータをリモートコンピュータに送信することができる。
【0025】
好ましい実施態様の動作シーケンス
システム上に装填されたマイクロウェルプレート
図1に示されているとおり、6枚の96ウェルのマイクロウェルプレート125A〜125Fが取り付け治具プレート129上に(オペレータによって、または外部の装填ロボットによって)置かれる。96ウェルのマイクロウェルプレート125Aを図2に示す。マイクロウェルプレート125Aは、A1〜H12がラベル付けされたウェルおよびバーコードラベル220を有する。マイクロウェルプレート125Aは、米国ニューヨーク州ロチェスタにオフィスを構えるナルジェヌンク・インターナショナル(Nalge‐Nunc International)から入手できる。取り付け治具プレート129は、マイクロウェルプレートの外側の幅および長さが完全に業界の標準であることから24、48、96、384、または1536ウェルのマイクロウェルプレートを保持する。本発明では96ウェルのマイクロウェルプレートを図解に使用する。
【0026】
図3は、マイクロウェルプレート125A〜125Fを装填する直前の取り付け治具プレート129の上面図を示す。取り付け治具プレート129は、マイクロウェルプレート125A〜125Fの長さおよび幅よりわずかに小さい切り抜き部分131を6つ有する。
【0027】
図4は、取り付け治具プレート129上にマイクロウェルプレート125A〜125Fが置かれた直後の上面図を示す。
【0028】
オペレータは、図4に示されるとおりにマイクロウェルプレート125A〜125Fを取り付け治具プレート129上に置いた後、移動止め510および520(図5)を伸張させるコマンドをコンピュータ105(図1および図6)に入力する。移動止め510および520の伸張は、マイクロウェルプレート125A〜125Fをプレート止め530に対して確実に固定する。
【0029】
マイクロウェルプレートについてのバーコード情報の記録
コンピュータ105(図1)は、オペレータからの入力を受け付けるようにプログラムされている。図7は、モニタ620のスクリーン上においてマイクロウェルプレート125A〜125Fを表す表示を示す。図7においては、オペレータがバー622A〜622F上でマウスをクリックすることによって、それらが緑に変わっている。バー622A〜622F上をクリックすることによって、オペレータは、『走行』させる対応のマイクロウェルプレート125A〜125Fを選択する。オペレータは、選択したマイクロウェルプレートを走行させるコマンドは、走行バー623上をクリックすることによって送信される。
【0030】
図8においてオペレータは、選択したマイクロウェルプレートを走行させるコマンドを与えた。マイクロウェルプレート125Aはカメラ155および135の下の位置に移動されている。プレート・センサ送信機/受信機186および反射器188を利用することによって、マイクロウェルプレート125Aがカメラの下の位置にあることをレポートする情報がコンピュータ105に送信される。プレート・センサ送信機/受信機186は、支持体189に固定されており、送信機/受信機186によって放射され、反射器188によって反射される光ビームをマイクロウェルプレートが遮るときを検知するべく整列されている。反射器188は、線形アクチュエータ115の反対側の支持体191上に取付られている。プレート・センサ送信機/受信機186および反射器188は、好ましくはカリフォルニア州サンタアナのウエスタン・スイッチ・コントロールズ(Western Switch Controls)から入手可能なモデル#E3T‐SR13である。
【0031】
バーコードリーダ175もまた支持体189上に取り付けられており、マイクロウェルプレート125Aがカメラ155および135の下に位置決めされるとき、それに取り付けられたバーコード・アイデンティティ・ラベル220(図2)が見える位置に置かれている。バーコードリーダ175は、好ましくはニュージャージー州ニューアークのキーエンス・コーポレーション・オブ・アメリカ(Keyence Corporation of America)から入手可能なモデル#BL601である。バーコードリーダ175は、通信ラインを介してコンピュータ105と通信する。ラベル220内にエンコードされた情報は、好ましくは、プレートのシリアル番号、プレートの型(すなわち、24ウェル、48ウェル、96ウェル、384ウェル、または1536ウェルのマイクロウェルプレート)、およびウェルの形(すなわち、正方形または丸み付き、ハンギングドロップ、シッティングドロップ、制限付きシッティングドロップ)を含む。
【0032】
プレート・センサ送信機/受信機186およびバーコードリーダ175からの情報は、コンピュータ105に送信され、その後のカメラ検査および情報獲得段階の間に使用されるためストアされる。
【0033】
図9においては、マイクロウェルプレート125Bがカメラ155および135の下となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動した。マイクロウェルプレート125Aに関して上述した態様と同様に、プレート・センサ送信機/受信機186およびバーコードリーダ175からコンピュータ105に情報が送信され、その後のカメラ検査および情報獲得段階の間に使用されるためにストアされる。
【0034】
上記のシーケンスは、マイクロウェルプレート125A〜125Fがすべて検知され、プレート・センサ送信機/受信機186およびバーコードリーダ175によって記録されるまで続く。
【0035】
その後、図10に示されているとおり、マイクロウェルプレート125Aがカメラ155のレンズ165の下となるように、線形アクチュエータ115がそれを移動する。線形アクチュエータ160のモータ130は、ウェルA1の上方の懸垂液滴にレンズ165を適正に合焦させる必要に応じて、移動プレート162を上方および/または下方に移動する。レンズ165があらかじめ決定されたズームに設定されると好ましい。
【0036】
結晶の検査
各ウェル内の液滴の位置の決定
マイクロウェルプレート125Aが図10に示されている位置に移動された後に各ウェルを検査して各懸垂液滴の位置を決定する動作が行われる。
【0037】
図11は、マイクロウェルプレート125AのウェルA1〜E1の側面断面図を示す。好ましい実施態様では、マイクロウェルプレート125Aの各ウェル内の懸垂液滴中においてタンパク質結晶を成長させる試みがなされた。図11は、懸垂液滴α1、β1、χ1、δ1、およびε1を示す。
【0038】
タンパク質結晶成長のための好ましい方法は、ハンギングドロップ法である。ハンギングドロップ法(蒸気拡散としても知られる)は、おそらくはもっとも一般的なタンパク質結晶成長の方法である。背景技術の項において説明したとおり、タンパク質溶液の液滴を緩衝剤および沈殿剤を含むリザーバの上方に懸下させる。液滴から溶液に水が拡散し、最適結晶成長条件を伴う液滴を残す。
【0039】
図10においては、カメラ155のレンズ165がマイクロウェルプレート125AのウェルA1(図2、図11、および図13)の上方にある。図13は、取り付け治具プレート129上に位置決めされたマイクロウェルプレート125Aの上面図を示す。
【0040】
図14は、取り付け治具プレート129上に位置決めされたマイクロウェルプレート125Aの側面図を示す。埋め込み光源194を伴う支持体191が、取り付け治具プレート129の脇に位置決めされる。光ガイド195からの光が切り抜き131(図3にも示されている)を通って上方に指向される。光ガイド195は、取り付け治具プレート129とプレート127の間に、それら両方のプレートが干渉することなく光ガイド195の周囲で移動可能となるように位置決めされている。上で説明したとおり、取り付け治具プレート129は、マイクロウェルプレート125より小さい切り抜き131(図3)を有し、それが、ウェルプレートが検査のための位置に移動されるときにそれを通して光ガイド195からの光が投影可能となるように各ウェルプレートの下方に位置する。好ましい実施態様においては、光源194がカリフォルニア州カールスバッドのイージス・エレクトロニクス(Aegis Electronics)から入手可能なモデル#A08925の光ファイバ・バックライトである。
【0041】
カメラ155(図10)は、ウェルA1を検査し、デジタル化のためにコンピュータ105に画像を送信する。上述したとおり、カメラ155(図10)は好ましくはウェルA1を1×の倍率で検査し、その結果、各6.7ミクロン四方のピクセルが、レンズ165によって生じるいくらかの小さい幾何学的ひずみを算入して、測定される対象上の約6.7ミクロン四方を表す。コンピュータ105は、カメラ画像をデジタル化し、その後視覚ソフトウエアの利用によってウェルA1内のグリス・シール361から懸垂している液滴の位置を決定するようにプログラムされている。液滴の位置は、その後の使用のためにコンピュータ105のハードドライブおよびコンピュータのメモリロケーションに記録される。
【0042】
好ましい実施態様においては、液滴の位置の決定に使用される視覚ソフトウエアが、MVToolsと呼ばれる画像処理ツール集からmvt_blob_findと呼ばれるソフトウエア・ルーチン・アルゴリズムを使用する。MVToolsは、マサチューセッツ州ベッドフォードに合衆国オフィスがあるコレコ・イメージング(Coreco Imaging)から入手できる。
【0043】
ウェルA1内のグリス・シール361から懸垂している液滴の位置を記録した後、レンズ165がウェルB1(図13)の上方となるように、線形アクチュエータ115が取り付け治具プレートを左にわずかに移動する。ウェルA1について述べた態様と同様にしてウェルB1内のグリス・シール361から懸垂している液滴の位置がコンピュータ105のハードドライブおよびコンピュータのメモリロケーションに記録される。たとえば、図15に示されているとおり、コンピュータ105は、液滴α1がウェルA1の左上象限に向いていることを記録する。同様に液滴β1の位置は、ウェルB1の右下象限にあるとしてコンピュータ105のデータベース上に記録される。
【0044】
このようにしてセルA1〜H12について液滴の位置が記録される。図18においては、ウェルH1がレンズ165の下方となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動した。
【0045】
図19においては、レンズ165がマイクロウェルプレート125AのウェルA2(図13)の上方となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を左に移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154をわずかに後方に移動した。
【0046】
上で述べた態様と同様にしてセルA2〜H12(図2、図13)について液滴の位置が記録される。図20においては、ウェルH12がレンズ165の下方となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を左に移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154を後方に移動した。
【0047】
マイクロウェルプレート125AのセルA1〜H12について液滴の位置が記録された後、マイクロウェルプレート125BのセルA1がレンズ165の下となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154を移動する(図21)。
【0048】
上で述べた態様と同様にして各マイクロウェルプレート125A〜125FのセルA1〜H12について液滴の位置が記録される。図22においては、マイクロウェルプレート125FのウェルH12がレンズ165の下方となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154を移動した。
【0049】
各ウェル内の液滴の画像の記録
各懸垂液滴を検査する動作は、2.68ミクロン四方(2.5×)〜0.67ミクロン四方(10×)を表すデジタル化後のピクセルに概略で対応する2.5×〜10×の拡大能を有するズームレンズ145を伴うカメラ135を使用し、より高い倍率で行われる。この検査は、タンパク質結晶が成長したか否かを決定する目的で行われる。ズーム・モータ192が、ズームレンズ145についてのズーム倍率を制御する。ウェル検査シーケンスの間に獲得された各ウェル内の液滴の位置を表すデータを使用してコンピュータ105(図1)が、各ウェル内の液滴の直上にレンズ145を位置決めする信号を線形アクチュエータ115および150に自動送信する。たとえば、図23においてはレンズ145がマイクロウェルプレート125AのウェルA1のトップの上方に位置決めされる。以前に獲得した位置データを使用して、液滴α1(図13)にズーム・インできるようにレンズ145が精密に位置決めされる。図16は、液滴α1の拡大図を示す。図23においては線形アクチュエータ160のモータ130が、液滴α1上にレンズ165を適正に合焦させる必要に応じて移動プレート162を上方および/または下方に移動した。ズーム・モータ192が、望ましいズーム倍率を得るべくレンズ165を操作した。カメラ135がウェルA1を検査し、懸垂液滴の拡大画像を表す信号をコンピュータ105に送信する。画像はコンピュータ105の即座の解析のために一時的にメモリ内に、その後の解析のためにハードディスク上にストアされる。
【0050】
類似の態様において線形アクチュエータ115、150、および160、およびズーム・モータ192が、各懸垂液滴の上にズームレンズ145を適正に位置決めし、かつ拡大して画像データのストアのための望ましい焦点および拡大率を得る。たとえば図17は、懸垂液滴β1の拡大図を示す。
【0051】
ウェル検査シーケンスの間に上で述べた態様と同様にして、液滴の拡大された画像(図16および17に示されているものに類似)がマイクロウェルプレート125AのセルA1〜H12(図2、図13)について記録される。図24においては、マイクロウェルプレート125AのウェルH12がレンズ165の下方となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154を移動した。
【0052】
その後は、マイクロウェルプレート125B〜125Fの各セルA1〜H12について懸垂液滴の拡大された画像が記録されるようにこのシーケンスがマイクロウェルプレート125B〜125Fについて反復される。図25においては、マイクロウェルプレート125A〜125Fについてこのシーケンスが終了した。マイクロウェルプレート125FのウェルH12がレンズ145の下方となるように、線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154を移動した。
【0053】
各ウェル内の液滴の手動でのスコア付け
マイクロウェルプレート125A〜125Fの走行完了後は、モニタ620が図26に示されるように表示する。図26においては、マイクロウェルプレート125A〜125Fを表す6つの画像がスクリーン上に現れている。各画像の上には、懸垂液滴についての画像データがコンピュータ105に転送されたことを示すメッセージ『走行完了』がある。各画像の下には、『S』がマークされたボタン710〜715がある。いずれかのボタン710〜715の上でマウスをクリックすることによってオペレータは、結晶形成の成功について各懸垂液滴の各拡大画像を手動でスコア付けすることができる。
【0054】
たとえば図26においてオペレータは、ボタン710上でマウスをクリックしてマイクロウェルプレート125Aのスコア付けを行うことができる。
【0055】
図27においてはオペレータが、マイクロウェルプレート125AのウェルA1を表す円の上でマウスをクリックした。これがスクリーンの区画716内に液滴α1の拡大画像を表示させた。オペレータは、液滴α1中に結晶が存在しないと結論づけ、『結晶なし』のためのボタン717上でマウスをクリックした。これにより、表示スクリーン上においてマイクロウェルプレート125AのウェルA1を表す円を赤に変えた。
【0056】
図28においてはオペレータが、マイクロウェルプレート125AのウェルB1を表す円の上でマウスをクリックした。これにより、スクリーンの区画716内に液滴β1の拡大画像が表示された。オペレータは、液滴β1中に結晶が存在すると結論づけ、『結晶あり』のためのボタン718上でマウスをクリックした。これにより、表示スクリーン上においてマイクロウェルプレート125AのウェルB1を表す円を緑に変えた。
【0057】
類似の態様において上記のスコア付け手順が、マイクロウェルプレート125A〜125FのウェルA1〜H12すべてのスコア付けが、赤(結晶なし)または緑(結晶あり)のいずれかとして完了するまで反復される。
【0058】
データの利用
マイクロウェルプレート125A〜125Fすべてのスコア付けを完了した後、オペレータは、検査された各マイクロウェルプレートのアイデンティティをそのマイクロウェルプレート内の各ウェルについて結晶形成が生じているか否かを要約するスコアとともに含むデータベースを容易に使用することができる。オペレータが自分のものを得る自動化された効率的な態様は、顕微鏡を用いて各ウェルを苦労して検査し、結果をノートに手書きする従来技術の方法と対照的である。
【0059】
たとえば本発明を利用した6枚の96ウェルのマイクロウェルプレートのスコア付けに要する時間は、約10〜15分を超えない。
【0060】
これに対して顕微鏡を用いて6枚の96ウェルのマイクロウェルプレートを検査し、結果をノートに手書きする従来技術方法は、背景技術のセクションの中で考察した条件に応じて約30〜100分を要し、そのほかに結果をコンピュータデータベース内に転写する時間も要する。さらに、背景技術のセクションの中で説明したとおり、手動検査およびスコア付けは、人的エラーのリスクを比較的高く被りやすい。
【0061】
第2の好ましい実施態様
第2の好ましい実施態様においては、カメラ135の視野深度が約50〜100マイクロメートルになる。液滴中の結晶は、この視野深度より大きいか、または図29に示されるとおり、懸垂液滴中に多様なレベルの成長中の結晶が存在することがある。したがって第2の好ましい実施態様においては、全体の結晶を解析できるように、レンズ145が複数の異なるレベル721〜724に合焦され、異なるレベルにおいて画像のセットが記録される。
【0062】
試料自動焦点
本発明の第3の好ましい実施態様は、試料自動焦点サブルーチン300(図31)を利用する。サブルーチン300は、マイクロウェル内の試料が撮像レンズ145の所望のズーム(または拡大率)において合焦されることを保証する。自動焦点機能を利用し、本発明はカメラ135に、Number_of_Z_Slicesによって定義される数の画像を撮らせる。通常、Z軸内において互いにZ_Step_Sizeだけ離される5〜10のスライスが存在する。典型的なステップ・サイズは0.05mm〜0.25mmである。スライスは、通常はマイクロウェルプレートのカバーガラスの底面とするStart_Z値によって定義されるZ軸位置において開始することが好ましい。試料自動焦点の初期化302の間に、入力データ304が受信される。さらに画像内の関心窓の面積が、X_Window_CenterおよびY_Window_Center、X_WidthおよびY_Widthによって入力データ304内において定義される。ルーチン300のための初期設定306は、カウンタN、Best_Focus、Best_Z、およびFocus_Errorの開始値である。検査装置は、Z_Position(N)をStart_Z位置に等しく設定し、ステップ308においてカメラ135をそこへ移動する。ステップ310においては、手前で述べたとおりにカメラ135を用いて画像が獲得されてデジタル化され、Image(N)としてストアされる。第2のサブルーチン312がImage(N)のための焦点値F(N)を抽出し、図32についての考察のためのセクション内にさらに説明がある。ステップ316においてはF(N)とBest_Focusの間で吟味が行われ、F(N)がBest_Focusより大きい場合にはステップ320内に示されているとおりBest_FocusがF(N)に設定され、かつBest_ZがNに設定されてプログラム・フローがステップ322に進むが、ステップ316において吟味の条件が満たされない場合にはプログラム・フローがステップ320をスキップしてステップ322に進む。ステップ322においては、Number_of_Z_Slicesに対してNが吟味され、すべてのスライスが撮られたか否かを決定する吟味が行われる。NがNumber_of_Z_Slicesに等しいときには、プログラム・フローがステップ324に進む。スライスの画像がさらに必要であればフローがステップ318に進む。ステップ318においては、Z_Position(N+1)がZ_Position(N)+Z_Step_Sizeに設定されてZ軸がZ_Position(N+1)に移動され、プログラム・フローがステップ314に進み、そこでNが1インクリメントされる。プログラム・フローはステップ310に戻り、すべての画像スライスを撮り終わるまでステップ310〜ステップ322のループを完了し、その後ステップ324に移動する。ステップ324においては、Best_Zが初期値に対して吟味され、その初期値に等しければ(焦点値サブルーチン312において焦点が見つからなかったことを意味する)ステップ326においてそれが2で除したデフォルト値のNumber_of_Z_Slicesに設定され、Focus_Errorが1に設定されてプログラム・フローがステップ328に進む。ステップ324においてBest_Zが初期値以外の値を有していれば、プログラム・フローがステップ324からステップ328に進む。ステップ328においては、Best_ImageをImage(Best_Z)と等しく設定することによってBest_Imageの画像が最良焦点の画像スライスに設定される。またBest_Image_Z値がZ_Position(Best_Z)に等しく設定されて、フローがサブルーチンのリターン部分のステップ330に進み、プログラム・フローがメイン・ソフトウエアのフローに戻る。
【0063】
図32に示されているとおり、Image(N)の焦点F(N)サブルーチン312がさらに詳細に示されており、開始ステップ401から開始する。ステップ402においてpointer_to_image(N) 404が提供される。ステップ408においては、標準の3×3 Sobel_Horizontalフィルタ416を用いてimage(N)の畳み込みを行い、画像の水平エッジが強調されたImage(N)_Hを作る。ステップ410においては、標準の3×3 Sobel_Verticalフィルタ418を用いてimage(N)の畳み込みを行い、画像の垂直エッジが強調されたImage(N)_Vを作る。ステップ414においては、水平エッジが強調された画像Image(N)_Hおよび垂直エッジが強調された画像Image(N)_V両方をピクセルごとに合計し、合計プロセスの間は結果が負になるピクセル値をゼロに設定し、結果が255を超えるピクセル値を255に設定して画像Image(N)_Focusを作る。ステップ420においては、X‐Window_Center、Y_Window_Center、X_width、およびY_Heightによって422内に定義された関心窓内のピクセルについて単純分散F(N)が計算される。結果として得られた分散の値は、ステップ424においてF(N)として呼び出し側のプログラムに返される。ゾーベル処理および分散の計算は、MVTools内の画像処理ソフトウエア・ツール集を用いて実行される。MVToolsは、マサチューセッツ州ベッドフォードに合衆国オフィスがあるコレコ・イメージングから入手できる。
【0064】
第4の好ましい実施態様
第1の好ましい実施態様においては、オペレータが『結晶あり』または『結晶なし』のいずれかとして各液滴を手動でスコア付けできる方法を開示した。第4の好ましい実施態様においては、各液滴のスコア付け方法に関する決定時に、より多くの様々なオプションがオペレータに与えられる。表1は、オペレータのスコア付けオプションのリストを示しており、数値、説明、および対応する色コードを含む。マイクロウェルの液滴が9としてスコア付けされると、オペレータは、表2に示されているスコア付けでその結晶をさらに分類することができる。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
第5の好ましい実施態様
第4の好ましい実施態様においては、どのようにすればオペレータが対応する色コードを用いて手動で各液滴を10のカテゴリの1つにスコア付けできるか、およびどのようにすればオペレータがカテゴリ9をさらに9.0〜9.9の下位カテゴリにスコア付けできるかについて開示した。第5の好ましい実施態様においては、図36に示されたプログラム・フローの制御の下に図33、34a、34b、34c、34d、および35aおよび35bに示されるとおりのコンピュータ・ソフトウエア・サブルーチンを実行することによって検査装置が各液滴試料のスコア付けおよび分類を自動的に行う。自動分類は、3つの詳細レベル、すなわち清澄と清澄でない(不明な)液滴の間を単純に区別する第1レベルのType_of_Classification=1、上記の表1に記述されるところのクラス0〜9に液滴のスコア付けおよび分類を行う第2レベルのType_of_Classification=2、および第2レベルのスコア付けおよび分類に加えて、クラス9の結晶に対する上記の表2に詳細に示されるところの追加の10の下位カテゴリ分類を行う第3レベルのType_of_Classification=3において生ずることが可能である。
【0068】
自動スコア付けおよび分類
図36は、ステップ842において開始するメインプログラムフロー840を図解する。ソフトウエアは、ステップ486に詳細が示されたパラメータ、検査リスト、およびType_of_Classificationを用いて初期化される。フローはステップ844に続き、そこでシステムが選択したマイクロウェルプレート内の関心マイクロウェルを選択したカメラの下方に移動する。ステップ851においては、液滴の位置を求める必要がある場合にフローがステップ849に続き、そこでカメラによって画像が獲得され、ソフトウエアがその画像上に作用して液滴の位置を決定する。その後、吟味が行われて、プレート内の最後のマイクロウェルが撮像されたか否かが決定され、否であればフローがステップ844にループして継続される。ステップ853において最後のマイクロウェルプレートが撮像されていた場合には、フローがステップ856に続き、そこでシステムが、マイクロウェルプレート内のマイクロウェルの中の微小滴を高解像度カメラの下方に移動する。またステップ851において以前に液滴の位置が求められていた場合には、液滴の位置を再び求めることを必要とせずにステップ844から直接ステップ856にフローが続く。ステップ856からステップ857にフローが続き、そこで液滴の高解像度画像が得られる。その後フローはステップ850に進む。ステップ850においては、要求されているType_of_Classificationに応じて液滴のスコア付けおよび分類を自動的に行うサブルーチンの呼び出しが行われる。このサブルーチンは詳細が図33に示されており、図33のステップ440において開始する。液滴が分類された後、サブルーチンからステップ852に戻り、そこで結果のストアおよびレポートが行われる。プログラム・フローは、選択されたプレート内の最後の液滴が処理されたか否かを決定する吟味が行われるステップ858に続き、そのとおりであれば最後のプレートが処理されたか否かを決定する吟味が行われるステップ848にフローが進む。最後の液滴の処理でなければフローが856にループ・バックして継続する。最後のプレートが処理された場合には、フローがステップ854に進み、プログラムが終了する。
【0069】
図33は、マイクロウェル試料自動スコアおよび分類サブルーチン438を示しており、ステップ440において開始する。Pointer_to_Best_Image 442は、初期化ステップ444に、最良焦点であることが明らかにされた画像へのアクセスを可能にする情報を提供する。それに加えて、Type_of_Classificationがルーチンに渡される。代替としてポインタ442が、システムの焦点となることが既知のz高さ値において撮られた画像をポイントすることが可能である。初期化444の後にステップ448においてサブルーチン438が、多様なプレートの型から生じる変動を考慮に入れるべく、ステップ446内に示されるパラメータ(X_Background_Center、Y_Background_Center、X_Background_Width、およびY_Background Height)によって定義される第1の矩形窓を使用し、かつ窓446によって定義されるピクセルのすべてのグレイ・スケール値を合計し、その窓内のピクセル数により除することによって正規化されたaverage_gray_Background値を計算する。average_gray_backgroundは、計算された値に、これもステップ446内に見つけられが、概して検査される多様なマイクロウェルプレートの型を計測し、96ウェルの標準マイクロウェルプレートに正規化することによって決定されるマイクロウェルの正規化値を乗ずることによってウェルの型の差について正規化される。このaverage_gray_background 448は、液滴の外側のエリアであるが、概してウェル内、またはウェルの境界壁の内側となる画像の窓のエリア内で計算される。
【0070】
ステップ450においては、average_gray_Classify_Window値が、ステップ452に示されたパラメータ(すなわち、X_Classify_Center、Y_Classify、Center、X_Classify_Width、およびY_Classify Height)によって定義される第2の矩形窓を使用し、上記と類似の態様(マイクロ‐ウェルの型について正規化されないことを除く)で計算される。average_gray_classify_window値450は、液滴エリアの内側であり、かつサブルーチンmvt_blob_findを利用し、小塊から、外側境界矩形ボックスの幅および高さの0.98と0.5の間の小数(0.8が好ましい)によって定義される画像の矩形窓エリア内において得られる。サブルーチンmvt_blob_findは、前述した『各ウェル内の液滴の位置の決定』の項内で論じたとおりに液滴の範囲を定義する。
【0071】
ステップ454においては、Classify_window内において(x,y)および(x+Diff_Sep,y+Diff_Sep)によって定義される2つのピクセル位置からのピクセル値の減算を行うことによって対角差画像が段階的に計算される。これらのピクセル値は、幅および高さにおいて値Diff_sepだけステップ452から離される。これが、X_Classify_Center、Y_Classify_Center、X_Classify_Width、およびY_Classify Heightを使用してステップ452によって定義されたClassify window内のすべてのピクセルにわたって反復される。計算された各値について、減算結果の絶対値がとられ、ステップ452内に定義されたスレッショルド値Flag_Threshと比較される。計算された値がFlag_Thresh 452より大きい場合には、x,y内の第1の位置におけるピクセルが、ステップ452内のSet1によって定義される値に等しく設定されるが、計算された値がFlag_Thresh 452に等しいかまたはそれより小さい場合にはピクセル値がゼロに設定される。これは、Diff_Image_1を計算するステップ454内に記述された数式およびフローに見ることができる。Diff_Sepの代表的な値は1〜20ピクセルの間であり、7が好ましい。Set1の代表的な値は1と511の間であり、128が好ましい。Flag_Threshの代表的な値は5と50の間であり、25が好ましい。
【0072】
ステップ456においては、ステップ454において行われた計算と類似の計算がClassify_Window上において行われるが、Diff_Image_2を生成する456内の数学的計算に示されるとおり、計算が行われる2つのピクセルの間の離隔が(x+Diff_Sep, y)および(x, y+Diff_Sep)によって定義される点が異なる。この計算は、ステップ452内に示された定義を使用する。Set2の代表的な値は1と511の間であり、200が好ましい。
【0073】
ステップ458においては、ステップ454および456において生成された画像の組み合わせであるClassify_Imageが、ステップ452に示されている定義を使用し、ステップ458内に示されている数式によって示されるとおりに計算される。Diff_Image_1またはDiff_Image_2(それぞれステップ454および456)いずれかのx,yピクセル値がSet1 452に等しい値を有していれば、Classify_Image内の(x,y)におけるピクセル値がSet2 452に等しく設定される。それ以外の場合には、ステップ458内の数式に示されるとおり、その値がゼロ(0)に等しくなる。この計算が、452内に定義された窓内のすべてのピクセルについて反復される。Classify_Imageは、基本的にclassify_image_windowの画像であり、その中においてオリジナルのBest_Image内に存在するエッジが検出される。
【0074】
ステップ460においては、number_Pixels_Set2の値が、ステップ458においてSet2 452に等しく設定されたピクセルの総数に等しく設定される。またTotal_Pixels_in_Windowの値が、ステップ458のClassify_window内のピクセルの総数に設定される。
【0075】
ステップ462においては、Score_Grayが、ステップ450において決定されたAverage_Gray_Classify_Windowをステップ448において求められたAverage_Gray_Backgroundにより除することによって計算される。Score_Flagもまた、Number_Pixels_Set2をステップ460からのTotal_Pixels_in_Windowにより除することによって計算される。このようにしてScore_GrayおよびScore_Flagが正規化される。
【0076】
ステップ464においては、Score_Gray、Score_Flag、およびType_of_Classificationの値が、窓内のタンパク質結晶を効率的に分類する分類サブルーチンに渡され、Classify_imageについての分類が返される。分類サブルーチン464の詳細は、図34a、34b、34c、および34d、さらには図35aおよび35bに提供されている。
【0077】
図34aは、分類サブルーチン464を示す。分類サブルーチンの開始がステップ468に示されており、それに初期化470が続き、それによって初期分類のCLASS値が『不明』を表す5に設定されてフローがステップ480に進む。
【0078】
ステップ480は、液滴が清澄であり、CLASS=0となるか否かを、ステップ482内に定義されたスレッショルド(Clear_Flag_LTおよびClear_Gray_GT)を次の式、すなわちscore_flagがClear_Flag_LTより小さく、かつScore_GrayがClear_Gray_GTより大きい場合にはCLASS=0に設定するという式を使用するステップ480内に詳細に示された吟味によって計算する。ステップ481においては、type_of_classificationが1に等しく、前述したとおり、液滴が清澄(0)または不明(5)として単純に分類される第1の分類型であるか否かを調べる吟味が行われる。type_of_classificationが1に等しければ、フローがステップ483に進み、その後その結果とともに図33のステップ466に戻る。type_of_classificationが1に等しくなければ、フローがその先の分類のためにステップ476に進む。
【0079】
ステップ476は、ステップ478に示されているスレッショルド値パラメータ(Lgt_Precip_Flag_LT、Lgt_Precip_Flag_GT、Lgt_Precip_Gray_GT)を利用して、Classify_Image内に軽い沈殿があることを示す1の値をCLASSに割り当てる。ステップ476は、Score_FlagがLgt_Precip_Flag_LTより小さく、かつScore_FlagがLgt_Precip_Flag_GTより大きく、かつScore_GrayがLgt_Precip_Gray_GTより大きければCLASSを値1に設定することを述べた数式を利用する。
【0080】
ステップ484は、ステップ486内に詳細に示されたスレッショルド(Heavy_Precip_Flag_LT、Heavy_Precip_Flag_GT、Heavy_Precip_Gray_LT)を次の式、すなわちscore_flagがHeavy_Precip_Flag_LTより小さく、かつscore_flagがHeavy_Precip_Flag_GTより大きく、かつscore_grayがHeavy_Precip_Gray_LTより小さければCLASS=2を設定するという式とともに使用することによって重い沈殿を算定する。
【0081】
ステップ488は、ステップ490内に詳細に示されたスレッショルドUgly_Precip_Flag_LT、Ugly_Precip_Flag_GT、Ugly_Precip_Gray_LTを次の式、すなわちscore_flagがUgly_Precip_Flag_LTより小さく、かつscore_flagがUgly_Precip_Flag_GTより大きく、かつscore_grayがUgly_Precip_Gray_LTより小さければCLASS=3を設定するという式とともに使用することによって荒れた沈殿を算定する。
【0082】
ステップ492は、図34bの分類プロセスに続く。
【0083】
図34bには、ステップ702に続く分類プロセスの続き700が示されている。ステップ704は、ステップ703内に詳細に示されたスレッショルド(Micro_Cry_Flag_GTおよびMicro_Cry_Gray_LT)を次の式、すなわちscore_flagがMicro_Cry_Flag_GTより大きく、かつscore_grayがMicro_Cry_Gray_LTより小さければCLASS=8を設定するという式とともに使用することによって微結晶を算定する。
【0084】
ステップ704は、ステップ705内に詳細に示されたスレッショルド(Crystal_Flag_LT、Crystal_Flag_GT、およびCrystal_Gray_GT)を次の式、すなわちscore_flagがCrystal_Flag_LTより小さく、かつscore_flagがCrystal_Flag_GTより大きく、かつscore_grayがCrystal_Gray_GTより大きければCLASS=9を設定するという式とともに使用することによって結晶を算定する。
【0085】
ステップ706は、ステップ707内に詳細に示されたスレッショルド(Grainy_Flag_GTおよびGrainy_Gray_GT)を次の式、すなわちCLASS=8であり、かつscore_flagがGrainy_Flag_GTより大きく、かつscore_grayがGrainy_Gray_GTより大きければCLASS=7を設定するという式とともに使用することによって粒状の沈殿を算定する。
【0086】
ステップ708は、図34cの分類プロセスの725に続く。
【0087】
ステップ726は、図34bのステップ708から続いている。
【0088】
図34cにおいてはステップ727が、分類におけるその先の使用のために、726(X_Classify_Center、Y_Classify_Center、X_Classify_Width、Y_Classify Height、Pointer_to_classify_image、およびmvt_blob_analysis_Params)を入力として取って第1のセットの追加の画像の特徴を計算し、生成する。ステップ727においては、ポインタをClassify_Image内の窓に設定してMVT_Tools_Blob_Analysisが呼び出される。ステップ727は小塊のnum_foundを得て、見つかった各小塊についてステップ727が、それのarea(m)、height(m)、width(m)、perimeter(m)、およびそれぞれの位置をlocation_X(m)およびlocation_Y(m)として得られる。これらの値は記録される。これらの計算は、ステップ458として図33内において形成された画像であるClassify_Imageと呼ばれる画像上で実行される。
【0089】
ステップ728において、num_foundがゼロ(0)より大きくなければこのサブルーチンがステップ738に進む。しかしながら小塊が見つかると、その先の解析がステップ729においてm=1、num_spherolite=0、およびspherolite(m)=0を設定することによって開始される。ステップ730においては、小塊の比、すなわちCircle_Like_HW(m)=height(m)/Width(m)およびCircle_Like_AHW(m)=area(m)/(height(m)×width(m))が計算される。円形の小塊については、Circle_Like_HWが1に近い値になる。小塊が細長くなった場合には、1以外の値になる。円形の小塊についてのCircle_Like_AHWは、0.785に近い値を有する。方形状の小塊については、値がより1に近づく。プログラム・フローがステップ732に進む。
【0090】
ステップ732は、液滴が球晶を有するとして分類されるか否かを、734内に見つかるパラメータ(Circle_Like_HW_lower、Circle_Like_HW_Upper、Circle_Like_AHW_Lower、およびCircle_Like_AHW_Upper)の利用によって決定する。次の式、すなわちCLASS=8または9であり、Circle_Like_HW(m)Circle_Like_HW_Upperより小さく、かつCircle_Like_HW(m)がCircle_Like_HW_lowerより大きく、かつCircle_Like_AHW(m)がCircle_Like_AHW_Upperより小さく、かつCircle_Like_AHW(m)がCircle_Like_AHW_Lowerより大きければnum_spherolite=num_sperolite+1とする式が使用される。m=m+1を計算し、spherolite(m)=1を設定することによってインクリメントが行われ、mにおいて1つ見つかったことを示す。
【0091】
ステップ736は、num_foundに対してmを吟味することによって、見つけられたすべての小塊が分類されたか否かを吟味し、それらが等しければサブルーチンがステップ738に進む。等しくなければ、プログラムがステップ730にループ・バックし、上記のとおりに流れる。
【0092】
ステップ738は、740とする図34dの分類サブルーチンに進む。
【0093】
図34dは742において図34cから続いており、744に進んで第2のセットの追加の特徴が計算される。これらの特徴は、ステップ328(図31)において最良焦点の画像として生成されたオリジナルのBest_Imageを用いて生成される。これらの追加の特徴について、図34c内でclassify_imageに対して実行された小塊の解析からの結果が使用される。その種の特徴は、パラメータ746内に示されるとおり、num_found、area(m)、height(m)、width(m)、perimeter(m)、location_X(m)、location_Y(m)、num_spherolite、およびspherolite(m)である。それらに加えて、図33のステップ448からのaverage_gray backgroundおよび図31のステップ328のpointer_to_Best_Iimageを使用する。ステップ744において『m』およびnum_phase_sepは、ゼロに等しく設定される。
【0094】
ステップ748において、手前で見つけられた球晶の数(num_spherolite)がゼロ(0)より大きくなければ、フローがステップ756に進み、図34d内に示されている残りのステップがバイパスされる。しかし、num_spheroliteがゼロ(0)より大きければ、フローがステップ749に進み、mが1インクリメントされる。その後フローがステップ751に進み、『m』とnum_foundの比較に応じてステップ756またはステップ753のいずれに進むかを吟味する。ステップ753においては、図34cのステップ732において見つけられたspherolite(m)の値が吟味されて、球晶として分類されたか否かが調べられる。分類されていなければフローがステップ749にループ・バックする。spherolite(m)が1に等しければステップ750が実行される。
【0095】
ステップ750においては、location_X(m)、location_Y(m)、height(m)の1/2、およびwidth(m)の1/2の情報が使用されて、各球晶の内側のこの縮小された画像内の平均のグレイ値が計算される。以前の小塊の解析から獲得されたBest_Imageピクセル・データが利用され、phase_sep_Gray(m)がこの値に等しく設定される。Phase_sep_Gray(m)は、その後Average_Gray_Backgroundによりそれを除することによって正規化される。プログラム・フローはステップ752に進み、そこでphase_sep_Gray(m)が吟味されて、それがパラメータ入力ステップ754からのパラメータphase_sep_Gray_GTより大きいか否かが調べられる。それが真であれば、CLASSが4に等しく設定され、プログラムがステップ749にループ・バックする。
【0096】
ステップ751においては自動プログラムが、微小滴を前述の表1に詳細を示した0から9までの10個の主要クラスのうちの1つに分類完了している。そこでtype_of_classificationが2に等しいか否かを調べる吟味が行われる。等しい場合にはフローがステップ755に進み、フローが図33に戻る。ステップ466において包括的な分類が完了する。さらに下位カテゴリへの分類が必要であれば、フローがステップ758に進む。
【0097】
ステップ758においてプログラム・フローが図35aのステップ760に進む。
【0098】
図35aにおいては、結晶分類サブルーチン762がクラス9の結晶画像をさらに、前述の表2の中で考察した追加の下位クラス9.2、9.4、9.6、9.8、または9.9に分類する。このサブルーチンは、ステップ760において開始し、ステップ764に進む。ステップ764においては、小塊カウンタmがゼロに設定される。CLASSが9に等しいか否かを調べる吟味が行われ、等しくなければフローがステップ778に進み、図33のステップ466に戻る。ステップ764は、前述したステップ766に示されるところの入力値(Average_Gray_Background、Pointer_To_Best_Image、num_found、area(m)、height(m)、width(m)、perimeter(m)、location_X(m)、location_Y(m)、num_spherolite、およびspherolite(m))を使用する。CLASSが9に等しければ、以前に1つまたは1つより多くの小塊が見つけられたか否かを調べる別の吟味が行われる。以前に見つけられた小塊が1つだけであれば、フローがステップ768に進む。1つより多く見つかっている場合にはフローが図35bのステップ769に進む。ステップ768においては、高さ対幅の比が計算され、ステップ770の針状の特性を表すスレッショルドと比較される。吟味の条件が満たされた場合には、CLASSが9.2に設定される。満たされなければフローがステップ771に進む。ステップ771においては、高さ対幅の比がステップ772の板状の特性を表すスレッショルドと比較される。吟味の条件が満たされた場合には、CLASSが9.4に変更され、フローがステップ773に進む。満たされなければそれ以上の分類は行われずに、フローがステップ778に進み、このサブルーチンが図33のステップ466に戻る。ステップ773においては、小塊内の正規化された平均グレイ値Chunk_Gray(m)が計算されて、フローがステップ774に進む。ステップ774において、Chunk_Gray(m)がスレッショルドChunck_Gray_LT(ステップ775から)より小さければ、CLASSが9.6に設定されてフローがステップ776に進む。ステップ776において、Chunk_gray(m)がスレッショルドChunk_50_GT(ステップ777から)より大きければ、CLASSが9.8に設定されてフローがステップ780に進む。ステップ780において、area(m)がスレッショルドgorgeous_GT(ステップ779から)より大きければCLASS=9.9としてフローがステップ778に進む。その後このサブルーチンが図33のステップ466に戻る。
【0099】
図35bは、画像内に複数の小塊を有するクラス9の画像をさらに、前述の表2の中で考察した追加の下位クラス9.1、9.3、9.5、または9.7に分類するフローチャート781を示している。このサブルーチンは、図35aのステップ769からステップ786において開始し、ステップ782に進む。ステップ782においては、mを0に等しいとしてそれぞれの小塊mについて、前述したステップ784からの入力値(Average_Gray_Background、Pointer_To_Best_Image、num_found、area(m)、height(m)、width(m)、perimeter(m)、location_X(m)、location_Y(m)、num_spherolite、およびspherolite(m))を使用してループが開始する。フローはステップ788に進み、そこでmがインクリメントされ、高さ対幅の比が計算されてステップ790の針状の特性を表すスレッショルドと比較される。吟味の条件が満たされた場合には、CLASSが9.1に設定される。満たされなければフローがステップ794に進む。ステップ794においては、高さ対幅の比がステップ796の板状の特性を表すスレッショルドと比較される。吟味の条件が満たされた場合には、CLASSが9.3に変更される。満たされなければそれ以上の分類は行われずに、フローがステップ812に進み、すべての小塊が吟味されたか否かが判定される。ステップ798においては、小塊内の正規化された平均グレイ値(前述したChunk_Gray(m))が計算されて、フローがステップ802に進む。ステップ802において、Chunk_Gray(m)がスレッショルドChunk_Gray_LT(ステップ804から)より小さければ、CLASSが9.5に設定されてフローがステップ806に進む。ステップ806において、Chunk_gray(m)がスレッショルドChunck_50_GT(ステップ808から)より大きければ、CLASSが9.7に設定されてフローがステップ812に進む。ステップ812においてすべての小塊の吟味が完了していれば、フローがステップ810に進み、このサブルーチンが図33のステップ466に戻る。すべての吟味が完了していなければ、次の小塊のためにフローがステップ788にループ・バックし、完了するまでプロセスがループする。
【0100】
図33、34a、34b、34c、34d、35aおよび35bの中の分類に使用するための代表的なパラメータおよびスレッショルド値を、好ましい値とともに次の表3に示す。これらの値は案内としてのみ働き、状況が許す場合にはこのほかの値が使用されてもよい。たとえば異なる照明条件、マイクロウェルプレートの透明度における変量、タンパク質が成長する媒体および液滴の処方における変量の値も同様に使用できる。当業者は、パラメータおよびスレッショルド値を調整して自分の構成に特有の分類結果に合わせることができる。
【0101】
【表3】
【0102】
プロトタイプ
出願人は、本発明の実用プロトタイプを設計、構築、試験した。
【0103】
図30は、出願人のプロトタイプの主要構成要素を示す。プロテオミクス結晶の検証および検査システム100は、線形運動の軸を3つ有する。線形アクチュエータ115は、好ましくはカリフォルニア州アービンのダイナミック・ソルーションズ(Dynamic Solutions)から入手できる、0.5mmピッチの封入型ボールねじによって駆動される600mmの行程を伴うモデル#802‐0763D線形アクチュエータである。線形アクチュエータ115は、カリフォルニア州サンタクララのアニマティクス・コープ(Animatics Corp.)から入手できる38オンス‐インチの可用トルクを伴うモデル#SM2320 SQのインテリジェント自蔵式サーボモータ110によって駆動される。サーボモータ110は、中央制御ユニット190を通じてルーティングされるシリアル接続を通じてウインドウズ(Windows)ベースのコンピュータ105と通信する。
【0104】
線形アクチュエータ115は、花崗岩の天板170に固定された静止部分116を有する。モータ110が、移動部分117をx軸に沿って移動する。花崗岩の天板170は、枠180によって支持されている。枠180は、脚輪および可調脚を有する。プレート127は、移動部分117に取り付けられる。プレート127の両端においては、スペーサ・ブロック128が取り付け治具プレート129とプレート127の間の空間を設定している。取り付け治具プレート129は、その両端においてスペーサ・ブロック128によって支持される。取り付け治具プレート129は、複数のマイクロウェルプレート125A〜125Fの据え付け、取り外し、および位置決めを提供する。マイクロウェルプレート125A〜125Fが96、384、1536ウェルの寒天プレート、マイクロタイタウェルプレートまたはそのほかの標本プレートであると好ましい。
【0105】
支持体191は、取り付け治具プレート129に隣接して位置決めされており、光源を含む。好ましい実施態様においては、光源がカリフォルニア州カールスバッドのイージス・エレクトロニクスから入手可能なモデル#A08925の光ファイバ・バックライトである。
【0106】
好ましい実施態様においては線形アクチュエータ150が、カリフォルニア州アービンのダイナミック・ソルーションズから入手できる、0.5mmピッチの封入型ボールねじによって駆動される350mmの行程を伴うモデル#802‐1384Aである。線形アクチュエータ150は、線形アクチュエータ115の上方を水平に跨ぎ、柱152によって支持される静止部分153を有する。移動ベース154は、線形アクチュエータ160の構成要素のための据え付けベースを提供する。好ましい実施態様においては、線形アクチュエータ150がモータ110と同じインテリジェント自蔵式サーボモータ120によって駆動される。サーボモータ120は、中央制御ユニット190を通じてルーティングされるシリアル接続を通じてウインドウズベースのコンピュータ105と通信する。
【0107】
好ましい実施態様においては線形アクチュエータ160が、カリフォルニア州アービンのダイナミック・ソルーションズから入手できる、0.5mmピッチの封入型ボールねじによって駆動される100mmの行程を伴うモデル#802‐0756Dである。線形アクチュエータ160は、垂直に線形アクチュエータ150の移動ベース154に取り付けられて固定される静止部分161を有する。線形アクチュエータ160は、インテリジェント自蔵式サーボモータ130によって駆動される。サーボモータ130はモータ110と同じであることが好ましい。サーボモータ130は、中央制御ユニット190を通じてルーティングされるシリアル接続を通じてウインドウズベースのコンピュータ105と通信する。
【0108】
移動プレート162は、カメラ155のための取り付けベースを提供する。好ましい実施態様においては、カメラ155がカリフォルニア州ラグーナヒルズのJAIアメリカ・インク(JAI America INC.)のモデル#CVM1の高解像度モノクローム・メガピクセルCCDカメラである。カメラ155はレンズ165を有する。レンズ165が、ニュージャージー州バーリントンのエドモンド・インダストリアル・オプティカル(Edmund Industrial Optical)から入手可能なモデル#NT52‐571dえあ、0.75×〜3×のズーム能を有すると好ましい。移動プレート162は、カメラ135のための据え付けベースも提供する。カメラ135が、カリフォルニア州ラグーナヒルズのJAIアメリカ・インクのモデル#CVM1の高解像度モノクローム・メガピクセルCCDカメラであると好ましい。カメラ135はレンズ145を有する。レンズ145が、ニュージャージー州バーリントンのエドモンド・インダストリアル・オプティカルから入手可能なモデル#NT54‐396であり、2.5×〜10×のズーム能を有すると好ましい。
【0109】
移動プレート162はまた、カリフォルニア州サンタクララのアニマティクス・コープから入手可能な20オンス‐インチの可用トルクを伴うモデル#SM2315Dのインテリジェント自蔵式サーボモータとするズームレンズモータ192のための取り付けベースも提供する。このサーボモータは、移動制御ボックス190を通じてルーティングされるシリアル接続を通じてウインドウズベースのコンピュータ105と通信する。ズームレンズモータは、従来的なベルト駆動を通じてズームレンズ145を作動する。
【0110】
バーコードリーダ175は、線形アクチュエータ115に隣接して据え付けられ、花崗岩の天板170上に固定された支持体172に取り付けられる。バーコードリーダ175は、マイクロウェルプレートが線形アクチュエータ150の下方に位置決めされるとき、そのマイクロウェルプレートに取り付けられたバーコード・アイデンティティ・ラベルを調べるべく位置決めされる。バーコードリーダ175が、ニュージャージー州ニューアークのキーエンス・コーポレーション・オブ・アメリカから入手可能なモデル#BL601であると好ましい。
【0111】
プレート・センサ送信機/受信機186もまた、支持体172に固定されており、送信機/受信機186によって放射され、反射器188によって反射される光ビームをマイクロウェルプレート125が遮るときを検知するべく整列されている。反射器188は、線形アクチュエータ115の反対側の支持体191上に取り付けられている。プレート・センサ送信機/受信機186および反射器188は、カリフォルニア州サンタアナのウエスタン・スイッチ・コントロールズから入手可能なモデル#E3T‐SR13であると好ましい。
【0112】
プロトタイプの接続を示すブロック図
図6は、出願人のプロトタイプの接続を図解したブロック図を示す。線形アクチュエータのモータ110、120、および130、およびズーム・モータ192は、電気接続を通じて48ボルトのDC電源680からDC電力を受け取る。線形アクチュエータのモータ110、120、および130、およびズーム・モータ192は、共通シリアル・ライン633を通じてウインドウズベースのコンピュータ105と通信する。バーコードリーダ175は通信ラインを通じてコンピュータ105と通信し、プレート・センサ186は通信ラインを通じてコンピュータ105と通信する。モニタ620は、コンピュータ105から送信された情報をオペレータに表示する。カメラ135および155は、通信ラインを通じてフレーム・グラバ630と通信する。フレーム・グラバ630はコンピュータ105内にインストールされ、マサチューセッツ州ベッドフォードに合衆国オフィスがあるコレコ・イメージングのPCVisionであると好ましい。フレーム・グラバ630は、カメラからの画像をデジタル化し、コンピュータ105内においてデジタル化された画像データ配列を形成する。4ポート・イーサネット・ハブ640が、コンピュータ105、中央制御ユニット190、おおび外部イーサネット670の間の接続を提供する。イーサネットに対する接続を提供することによってコンピュータネットワーク通信が可能になる。中央制御ユニット190は、アナログコントロール・ラインを通じて光源194を制御する。中央制御ユニット190は、24ボルトのDC電源660から24ボルトのDC電力を受け取る。中央制御ユニット190には緊急停止ボタンおよびスイッチ(eストップ)650が接続されている。
【0113】
実験結果
システムから53個の試験画像が得られ、システムによる自動分類および4人の科学者による手動分類の両方が行われた。表4は、異なる科学者とシステムによって提供される自動分類の間の相関パーセンテージを示す。
【0114】
【表4】
【0115】
色の利用
別の好ましい実施態様において、本発明は、カラー画像を記録するべく構成される。タンパク質結晶化プロセスにおける特定の沈殿生成物が特有の色を有し、結晶解析研究者または自動化された画像解析アルゴリズムが結晶化の結果を区別する補助に色情報を使用できるため、カラー画像が解析可能であることが望ましい。
【0116】
トゥルー・カラー・ピクチャ
図37は、取り付け治具プレート129上に位置決めされたマイクロウェルプレート125Aの側面図を示す。埋め込み光源194を伴う支持体191が、取り付け治具プレート129の脇に位置決めされる。光ガイド195からの光が切り抜き131を通って上方に指向される。光ガイド195は、取り付け治具プレート129とプレート127の間に、それら両方のプレートが干渉することなく光ガイド195の周囲で移動可能となるように位置決めされている。
【0117】
光ガイド195からの光がマイクロウェルプレート125Aを通過する前にプログラム可能な角度においてそれの直線偏光が可能となるように直線偏光フィルタ352が光ガイド195の上に回転可能に据え付けられている。偏光器駆動ベルト356(図38に上面図を示す)が垂直軸周りに偏光フィルタ352を回転する。偏光駆動ベルト356は、モータ358によって駆動される。モータ358は、CCU 190(図40)によって制御される。第2のフィルタ354(図39に上面図を示す)がマイクロウェルプレート125Aの上方に位置決めされ、その結果、マイクロウェルプレート125Aを通過した光がカメラのズームレンズ145に入る前に第2のフィルタ354を通る。第2のフィルタ354は、フィルタ・ホイール装置355上に据え付けられている。フィルタ・ホイール装置355は、オペレータにより選択された第2のフィルタ354をズームレンズ145の下方の位置に回転させる。選択される第2のフィルタ354は、赤、緑、または青いずれかのダイクロイック・フィルタであると好ましい。赤、緑、および青の第2のフィルタを通じて撮られた個別の画像が合成されてトゥルー・カラー画像が形成されると好ましい。
【0118】
偽色画像
赤、緑および青のフィルタ354を使用して形成できるトゥルー・カラー画像に加えて偽色(擬似色とも呼ばれる)画像、第2のフィルタに関して3つの異なる偏光角で直線偏光フィルタ352を使用して3つの個別の画像を撮ることによって形成できる。この好ましい実施態様においては、直線偏光フィルタが前述のダイクロイックの第2のフィルタ354の代わりになる。たとえば、偏光軸を互いに対して90度にすること、および互いに対してプラスおよびマイナス45度にすることができる。これら3つの画像は、その場合に赤、緑、青と呼ばれ、偽色画像が作られる。結晶が、何らかの偏光回転効果を呈するときには、非常に色彩豊かな画像が結果として得られる。この擬似色画像は、非常に小さく細かい結晶を画像の背景の物質から検出する上で有用である。このほかの偏光角度も同様に選択できる。
【0119】
好ましい実施態様においては、光ガイド195がカリフォルニア州カールスバッドのイージス・エレクトロニクスから入手可能なモデル#A08925の光ファイバ・バックライトである。光源194は、ニュージャージー州バーリントンのエドモンド・インダストリアル・オプティクスから入手可能なドーラン‐ジェナー・モデルPL‐900である。第1の偏光フィルタ352、第2のフィルタ354(直線偏光フィルタ、およびダイクロイックの赤、緑、青フィルタを含む)は、ニュージャージー州バーリントンのエドモンド・インダストリアル・オプティクスから入手できる。フィルタ・ホイール装置355は、カリフォルニア州サンタバーバラのインテグレーテッド・サイエンティフィック・イメージング・システムズ・インク(Integrated Scientific Imaging Systems, Inc.)から入手できるモデルFW1である。
【0120】
LED(発光ダイオード)アレイ光源
別の好ましい実施態様においては、LEDのアレイが使用されて、マイクロウェルプレートがカメラ155のレンズ165の下に位置決めされるときにそれらを照明する。LEDアレイの利用はいくつかの利点を提供し、それには(1)150ワットのハロゲン封入白熱電球を使用するドーラン−ジェナー光源の数百時間台の寿命に比べて、寿命が10000時間台である点、(2)ある程度の大きさを超えて輝度が変化するとき、輝度とともに実質的に変化する放射スペクトルを有する白熱光源に比べて、放射スペクトルが比較的一定である点、(3)白熱電球のはるかに長いオン?オフ時間に比べて、オン?オフ切り換え時間がミリ秒またはそれ未満で測定される点、(4)全体的な輝度が、150ワットのハロゲン電球およびフラット・パネルの5倍を超える点、(5)消費電力が50ワットに満たないという600個のLEDアレイのより低い消費電力、および(6)白熱電球によって作用がもたらされる拡散フラット・パネルに比べて、アレイに対して垂直方向により多く指向される光、といった利点が含まれる。
【0121】
LEDは、最適光源を提供する。たとえば図56aは、マイクロウェルプレート125AのウェルE11およびF11の拡大画像を示す写真である。図56aにおいて撮られた写真はハロゲン封入白熱電球を光源として利用した。ウェルE11内の液滴は、差し渡し約1.2ミリメートルである。
【0122】
比較として図56bは、マイクロウェルプレート125Aの同じウェルE11およびF11を示す。図56bにおいて撮られた写真は、図43に示されているものに類似のLEDアレイを光源として利用した。図56aおよび図56bによって明確に立証されるとおり、LEDアレイは、はるかに強く、かつ方向性のある光源を提供する。結果は、画像内のより良好な鮮明度となる。
【0123】
画像の改善をさらに例証するために、図57aに、図56aに示されている写真よりさらに高い倍率で撮られた写真を示す。図57aは、マイクロウェルプレート125AのウェルE11内の微結晶を含む液滴の詳細を示す。図57aにおいて撮られた写真は、図56aで使用したハロゲン封入白熱電球を利用した。
【0124】
その対比として図57bは、図57aと同じウェルE11を示す。しかしながら図57bにおいては、図56bのLEDアレイが光源として使用された。LEDアレイ光源を使用することによって、液滴内のより微弱な微結晶の撮像を達成することが可能であった。
【0125】
好ましいLEDアレイ光源
図44に示されるとおり、LEDアレイ光源900が取り付け治具プレート129とプレート127の間に取り付けられ、LEDアレイ光源900がマイクロウェルプレート125Aに照明を提供している。LEDアレイ光源900は、側方の支持体901および902によって支持される。
【0126】
図41は好ましいLEDアレイ光源900の分解図を示し、図42はLEDアレイ光源900の斜視図を示す。PCB(プリント回路基板)902がねじ904を介して底部903に取り付けられる。LED 905は、図示のとおりにPCB 902に挿入される。LEDは多くの供給元から入手可能であるが、好ましいLED 905は、フロリダ州バルリコのブライトLEDオプトエレクトロニクス(Brite‐LED Optoelectronics)から入手可能な部品番号‐BL‐ LBUW5B20C‐NBの白色光LEDである。
【0127】
図41が、PCB 902に取り付けられるLED 905の総数のごくわずかな部分しか示していないことに注意されたい。図43は、PCB 902に取り付けられたLED 905の好ましいアレイ915の上面図を示す。好ましい実施態様においては、LEDアレイ915が624個のLED 905を含む。電力コネクタ906および制御コネクタ908は、ともに拡張部907に取り付けられる。
【0128】
図41においては、ファン910およびフィルタ911がともに上側部分909に取り付けられている。また上側部分909は、切り抜き部分912も有する。拡散パネル913Aおよび取り付けけ枠913Bが、図示のとおり切り抜き部分912の上に取り付けられる。好ましい実施態様においては、拡散パネル913Aが、120グリットのスプレーを用いて1つの面がサンドブラストされたガラス板であり、サンドブラストされた側がLEDアレイに面する。好ましい拡散パネルは、ニュージャージー州バーリントンのエドモンド・インダストリアル・オプティクスからモデルF02‐146として入手できる。拡散パネル913Aは、より一様に分布する光源が検査されているマイクロウェルプレートに与えられるようにLEDアレイ915からの光を拡散する。
【0129】
LEDアレイ光源の動作
LEDアレイ光源900がコンピュータ105(図44)によって制御されると好ましい。レンズ165の下のエリア内のLED 905が、コンピュータ105によって自動的に『オン』される。同様に、点灯しているLED 905のエリアからレンズ165が離れるとき、点灯しているLED 905をコンピュータ105が自動的に『オフ』にする。全体的な結果は、レンズ165の位置がマイクロウェルプレート125Aに関して変更されるに従って、レンズ165の下の点灯されるLED 905のパターンがレンズ165の位置に従う。
【0130】
特定のLEDを選択的に『オン』にし、ほかのLEDを選択的に『オフ』にすることによって、必要なエリア(すなわち、レンズ165の近傍のエリア)に対してだけ光が振り向けられる。この態様で光を制御することによって、ユーザは、検査されていないウェルに振り向けられる光および熱の量を最小化する。過剰な光および熱がマイクロウェルプレート内の微結晶の成長に有害な影響を与える可能性があるため、このことは重要である。
【0131】
多様なLED輝度
アレイ内のLEDに対する電流は、アレイの輝度がプログラム可能となるようにコンピュータ105によって制御される。輝度を変化させることによってカスタム化された照明の適用をプログラムできる。好ましい実施態様においては、点灯されるLEDの輝度が適切なプログラミング・コンピュータ105によって変更される。コンピュータ105は、その場合にプログラム可能なドライバ973(図44)を制御して、所望の輝度が発揮されるようにLEDを駆動する。LEDに対する電流が増加するに従って、LEDによって生成される光の輝度が増加する。照明レベルは、『オフ』から全電流の『オン』まで変化できる。
【0132】
好ましい実施態様の動作を描写するシーケンス
図45は、取り付け治具プレート129上に位置決めされたマイクロウェルプレート125を示す。LEDアレイ915が、マイクロウェルプレート125Aの下左側に位置決めされる。(図45においては、LEDアレイ光源900の動作をより良好に説明できるように、拡散パネル913A(図42)が示されていないことに注意されたい。また、図46〜50(B)においては、このほかのこの好ましい実施態様の取り付け治具プレート129等の要素もLEDアレイ光源900の動作をより良好に説明できるように示されていない。)
【0133】
図46(A)においては、コンピュータ105がレンズ165を、それがマイクロウェルプレート125Aの左下コーナのウェルの上方となるように位置決めした。またコンピュータ105は、レンズ165の下のLED 905のグループをオンにした。図46(B)は、オンにされたLEDのパターン916をより明確に示す。『オン』になっているLEDは、すべてが黒で図46(A)および(B)に示されている。好ましいパターン916は、概略で六角形の形状を有する。好ましくは、パターン916の中心が、マイクロウェルプレート125Aの左下コーナのウェルのところにあるレンズ165の中心の下に位置決めされる。
【0134】
図47(A)においては、コンピュータ105がレンズ165を上に向かって1つ分の位置だけ、それがマイクロウェルプレート125Aの左下コーナのウェルの上に続く次のウェルの上方となるように移動した。またコンピュータ105は、新しい位置のレンズ165の下のLED 905のグループをオンにした。図47(B)は、パターン916の新しい位置をより明確に示す。
【0135】
類似の態様でコンピュータ105は、ウェルからウェルへと上に向かってレンズ165およびパターン916の移動を続ける。それは、図48(A)に示されるとおり、コンピュータ105が上に向かってレンズ165を移動し、その結果それがマイクロウェルプレート125Aの左上コーナのウェルの上方となるまでである。図48(B)は、図48(A)に示されているところのパターン916のそれぞれの位置をより明確に示す。
【0136】
図49(A)においては、コンピュータ105がレンズを移動して図46(A)に示された位置に戻した。また取り付け治具プレート129(図44および45)がマイクロウェルプレート125Aの位置を1つ左に移動した。したがってこのときのレンズ165は、マイクロウェルプレート125Aの下左コーナのウェルのすぐ右のウェルの上方にある。またコンピュータ105は、新しい位置のレンズ165の下のLED 905のグループをオンにした。図49(B)は、パターン916の新しい位置をより明確に示す。
【0137】
類似の態様においてコンピュータ105は、レンズ165およびパターン916がウェルからウェルへと進むように、レンズ165、パターン916、および取り付け治具プレート129の移動を続ける。それは、図50(A)に示されるとおり、レンズ165が、マイクロウェルプレート125Aの右上コーナのウェルの上方となるまでである。図50(B)は、パターン916の新しい位置をより明確に示す。
【0138】
マイクロウェルプレートが静止しているLEDアレイの実施態様
図51(A)は、本発明の別の好ましい実施態様の上面図を示す。マイクロウェルプレート125Aは、プラットフォーム920上で静止している。レンズ165Bが、コンピュータ105を介してロボット工学的に制御され、垂直の動きおよびxおよびy方向における動きが可能である。
【0139】
図51(B)に示されているとおり、LEDアレイ光源900がマイクロウェルプレート125Aの下側に位置決めされており、それもまた静止している。図51(A)および(B)に示されている好ましい実施態様においては、コンピュータ105がレンズ165の移動を制御する。コンピュータ105はまた、前述と類似の態様でLED 905を『オン』および『オフ』することによってマイクロウェルプレート125Aの下側でパターン916を移動する。
【0140】
たとえば図52(A)においては、コンピュータ105がレンズ165を、マイクロウェルプレート125Aの右下コーナのウェルの上方に位置決めされるようにそれを移動した。LED 905のパターン916は、レンズ165の下に中心決めされる。図52(B)は、パターン916の新しい位置をより明確に示す。
【0141】
図53(A)においては、コンピュータ105がレンズ165を『x』および『y』方向に、それがよりマイクロウェルプレート125Aの中心に向かったウェルの上方に位置決めされるように移動した。コンピュータ105は、パターン916がレンズ165の下になる効果が得られるように、特定のLEDを『オン』に、そのほかのLEDを『オフ』にした。図53(B)は、パターン916の新しい位置をより明確に示す。
【0142】
このようにしてコンピュータ105は、レンズ165がマイクロウェルプレート125Aの任意のウェルの上方となるようにそれを移動することが可能である。さらにコンピュータ105は、パターン916が常にレンズ165の移動に従い、それがレンズ165の下側となる効果が得られるように特定のLEDを『オン』に、そのほかのLEDを『オフ』にすることが可能である。
【0143】
『X』および『Y』軸に関してレンズが静止しているLEDアレイの実施態様
図54(A)〜(E)は、本発明の別の好ましい実施態様を示している。ロボット・アーム930および931がプラットフォーム932を把持する。マイクロウェルプレート125Aは、プラットフォーム932上にある。レンズ165Cは、マイクロウェルプレート125Aの上方に位置決めされており、好ましくは上昇および下降ができる。しかしながらそれはxおよびy軸に関して静止したままとなる。ロボット・アーム930および931は、コンピュータ105によって制御され、xおよびy軸に沿ってプラットフォーム932を移動することができる。LEDアレイ光源940は静止しており、レンズ165Cの下側に位置決めされている。LEDアレイ光源940からの光は、上向きの照明をプラットフォーム932の切り抜き部分941を通じて提供する。LEDアレイ光源940は、図42および43に示されているLEDアレイ光源900に非常に類似しているが、図43に示されているアレイ915よりアレイ943がはるかに小さい点において異なる。アレイ943は、それの位置がレンズ165Cのx−y位置に関して固定されることから、より小さくすることができる。たとえば好ましいアレイ943は、図43に示された624個のLED 905に比べて約100個のLED 905を有する。
【0144】
図54(B)においては、レンズ165Cがマイクロウェルプレート125Aの中心に向かったウェルの上方にある。図54(C)〜(E)においては、ロボット・アーム930および931がプラットフォーム932を負の『y』方向および負の『x』方向に移動し、その結果レンズ165Cがマイクロウェルプレート125Aの右上コーナに向かったウェルの上にある。図54(C)は側面図を示し、図54(D)および(E)は上面図を示す。図54(E)は、アレイ943の上方のレンズ165Cの部分破断上面図を示す。
【0145】
上記の態様でコンピュータ105は、マイクロウェルプレート125A内の任意のウェルがアレイ943とレンズ165Cの間に位置決め可能となるようにプラットフォーム932のx−y位置を変更することが可能である。
【0146】
多様なLEDアレイのパターン形状
前述の好ましい実施態様においては、パターン916が六角形であるとして示された(図46(B))。しかしながらコンピュータ105は、多様なパターン形状を作成するべくプログラム可能である。たとえば図55(A)は、概略で円の形状のパターン960を示す。図55(B)は、概略でドーナツ形状のパターン961を示す。パターン961は、暗視野照明の提供のために使用される。暗視野照明は、側方からのウェルの照明に使用される。暗視野照明は、観察されている結晶のエッジを全体の画像との比較において明るく見せる。
【0147】
図55(A)および(B)に示された形状に加えて、そのほかの多様なパターン形状も可能である。たとえばコンピュータ105を、方形、矩形、八角形、五角形、三角形等の形状、または多様なそのほかの形状のパターンを作成するべくプログラムすることができる。
【0148】
パターン内の多様な輝度
図55(C)は、LEDアレイ943の上面図を示す。この好ましい実施態様においてはコンピュータ105が、アレイのほぼ中心に中心が置かれる4つの概略で円形のゾーン936A〜936Dに配置されたLEDの輝度を個別に制御するべくプログラムされる。これは、対称に配置された輝度レベルを有するパターンを提供する。たとえばゾーン936Aがもっとも低い輝度レベルを有し、ゾーン936Bがゾーン936Aより高い輝度レベルを有し、ゾーン936Cがゾーン936Bより高い輝度レベルを有し、ゾーン936Dがもっとも高い輝度レベルを有する。
【0149】
『X』および『Y』軸に関してレンズが静止している小型アレイ
別の好ましいアレイは、上で述べたところの100個または624個のLEDに代わり、概ね37個のLED 905を有する。レンズがXおよびY軸に関して静止したままであることから小さいアレイしか必要とならない。マイクロウェルプレートはXおよびY軸に沿って移動するが、LEDアレイおよびレンズは静止している。たとえば図75(A)は、図75(B)〜(A)を参照するオン/オフ/輝度の凡例を示す。この好ましい実施態様においては、アレイが小さく、レンズの中心が常に中心のLEDの直上にある。各LEDは、オフから最大輝度のオンに、またはオンとオフの間の任意の輝度に変更してレンズの下側にパターンを作成することが可能である。見本の好ましいパターンが図75(B)〜(F)に示されている。
【0150】
紫外線顕微鏡
別の好ましい実施態様は、タンパク質結晶成長を監視するためのタンパク質結晶監視システムを提供する。システムは、顕微鏡に照明を提供する少なくとも1つの紫外線発光ダイオードを伴う紫外線顕微鏡を含む。好ましい実施態様においては、顕微鏡のレンズの端部の周囲の円に8個の紫外線LEDが取り付けられ、それぞれのLEDは、顕微鏡の焦点領域に合焦される。LEDの波長は、ほとんどの場合はトリプトファンの280nmとなる蛍光発光アミノ酸の1つの吸収ピークと整合される。LEDの帯域幅は狭く、したがってLED光のフィルタ処理は必要ない。アミノ酸から蛍光発光される光は、主として反射された280nmの光を遮るためにフィルタ処理され、フィルタ処理後の蛍光が電荷結合装置(CCD)センサを伴ったカメラによって撮像される。画像は、デジタル的に記録され、また好ましくはその後に続く解析のためにストアされる。システムは、タンパク質結晶成長について多数のハンギングドロップまたはシッティングドロップを監視するべく適合されたロボット構成要素を含むと好ましい。ロボット装置が、より近い解析に向けて関心試料を絞り込むためにパターン認識アルゴリズムを用いてプログラムされたコンピュータ・プロセッサ構成要素を含むと好ましい。
【0151】
この好ましい実施態様においては、以下に述べるとおり、ズーム可視光カメラ135が紫外線カメラ535に置き換えられる。そのカメラの詳細が図61に示されている。カメラ535は、エドマンズ・サイエンティフィック(Edmunds Scientific)によって供給されるズームレンズユニット508(部品番号UV T58‐946)を含む。このユニットは、8個の紫外線LED 510も含む。これらのLEDは、約280nmにおいて狭帯域紫外線光を生成するべく設計されている。8個の紫外線LEDは、図61に示されているとおり、環状取り付け治具512の周囲に円形に配置されており、それらのそれぞれは、環状取り付け治具内に含められた小型レンズによってレンズユニット508の焦点深度を囲い込む領域に合焦される。ユニットは、帯域通過フィルタ(図示せず)をレンズユニットの内側に含み、それが、検査している液滴の領域から反射された280nmの光の実質的に全部を含めて約300nm未満の実質的にすべての光を遮断する。カメラユニットは、懸垂液滴のデジタル画像を生成するために、図示されていない紫外線CCDセンサユニットも含む。好ましい実施態様においては、センサユニットがソニー(Sony)によって提供される部品番号SONY XCD‐SX910UVである。
【0152】
図62(A)および(B)は、可視光カメラおよび出願人によって構築された本発明のプロトタイプ版を用いて獲得された懸垂液滴の画像を比較している。紫外線画像(図62(B))と可視光画像(図62(A))の比較によって、可視光ユニットだけを伴う従来技術システムでは一般に不可能だった塩の結晶をタンパク質結晶から区別することが本発明に可能であることが立証される。
【0153】
ハンプトン・ピン内の結晶を見つけるための利用
別の好ましい実施態様においては、結晶が、図59および60に示されたハンプトン・ピンの馬毛ループ上またはその中に位置するタンパク質結晶であり、かつロボット・システムがX線結晶解析のために使用されるアクター(ACTOR)システムである。これら両方は、ともに背景技術の項において論じられている。
【0154】
この好ましい実施態様は、ハンプトン・ピンの馬毛ループ上またはそれの中の1つまたは複数の結晶の位置を精密に突きとめ、アクターX線結晶解析システム内においてX線ビームを用いた結晶の照明が可能となるようにするために、8個の紫外線ダイオード・レーザを有する紫外線顕微鏡を利用する。利用される顕微鏡は、好ましくは『紫外線顕微鏡』の見出しの下に前述されると共に、図61にも示されている顕微鏡/ズームレンズ508である。図63(A)および(B)は、出願人によって本発明の立証に使用された試験構成を示す。図63(A)および(B)は、ハンプトン・ピンの『ループ』530に指向された顕微鏡508およびUV LEDアレイ510を示す。図64は、ループ上の結晶のUV画像を、同一のループの可視光画像との比較として示す。図65〜69は、いかに明確かつ精密に本発明の紫外線画像内においてタンパク質結晶の位置が突きとめられるかを立証している追加の画像である。
【0155】
この好ましい実施態様においては、顕微鏡508およびUV LEDアレイ510が利用されてループ530内のタンパク質結晶がより正確に見つけられた後に、アクター・システムが結晶を認識し、それにX線ビームを自動的に指向するようにプログラムされる。
【0156】
そのほかの好ましい実施態様
図70は本発明の別の好ましい実施態様の分解図を示し、図71はそれの簡略図を示し、図72はそれの斜視図を示す。この好ましい実施態様においては、紫外線LED 551(図71)がマイクロウェルプレート552のウェルの照明に利用される。
【0157】
図70は、この好ましい実施態様の構成要素のうちのいくつかの分解図を示す。これらの構成要素は、ディスク・ロングパス・フィルタ581、ロングパス・フィルタ582、顕微鏡レンズユニット508、立方体ミラー取付台583、3mmのドウェル584、ミラー据え付け台585、およびビームスプリッタ553を含むと好ましい。
【0158】
UV LED 551は、LED据え付け台590に取り付けられる(図71)。LED 551からのUV光は、ビームスプリッタ553によって反射され、その結果、マイクロウェルプレート552内の成長中の結晶を照明する。ビームスプリッタ553は、UV光を反射するが蛍光発光している光を通過させるように構成される。図71に明確に示されているとおり、UV光は、横向きにビームスプリッタ553に指向され、その後、下向きに反射されてマイクロウェルプレート552のウェル上に至る。マイクロウェルプレート内の結晶は、上向きに光を蛍光発光する。蛍光発光している光は、ビームスプリッタ553を通過し、レンズユニット508を通ってカメラ535に至る。
【0159】
図73は、図70〜72に示されている実施態様に類似の本発明の別の好ましい実施態様を示す。図73においては、UV LED 551が、UV LEDアレイ571に置き換えられている。UV LEDアレイ571は、前述と類似の態様でマイクロウェルプレート552上にUVを指向する。しかしながらUV LEDのアレイが利用されることから、UV光の輝度が増加され、それがより多くの蛍光発光および結晶のより精密な撮像を可能にする。
【0160】
UV LEDの置換
注意される必要があるが、上述したUV LEDは、多様なタンパク質結晶への適応に望ましい場合には置換えが可能である。たとえば、特定のタンパク質結晶は、特定波長のUV光によって励起されたときにそれ独自の波長で蛍光発光する。蛍光発光を達成するためにUV LEDの波長が、蛍光発光する顕微鏡的結晶の吸収のピークに整合される。たとえば、背景技術のセクションの中で説明したとおり、トリプトファンは約280nmの波長で照射されると約348nmの波長で蛍光発光し、チロシンは約274nmの波長で照射されると約303nmの波長で蛍光発光し、フェニルアラニンは約282nmの波長で照射されると約257nmの波長で蛍光発光する。加えて、特定の波長において蛍光発光するそのほかのタンパク質結晶が存在する。これらのタンパク質結晶を撮像するために、適切な波長を伴う適切なUV LEDが利用される必要がある。
【0161】
以上の好ましい実施態様は特定的に記述されてきたが、当業者は、本発明の精神から逸脱することなしに、上に開示されている特定の実施態様に対する多くの変更が可能であることを認識するだろう。たとえば、上で述べた白色光LEDに加えて、赤、緑、または青のLED等の特定の色出力を伴うLEDのアレイを好適に使用できる。また、赤、緑、および青の発光器を含む個別のLEDを利用して、制御コンピュータによる制御時に希望に応じて任意の色出力を提供することも可能である。それに加えて、光と撮像装置の間の同期が得られるようにLEDをストローブすることができる。また、図41〜57bに示されている実施態様において、レンズ165がいずれかのカメラに取り付けられること(図1に示されているカメラ135または155等)、または顕微鏡に取り付けられること(図58に示されている顕微鏡974等)が可能である。上記の好ましい実施態様が、線形アクチュエータ115、150、および160が協働して動作し、タンパク質結晶を逐次的にカメラ155および135の下方に位置決めする位置合わせ装置を特定的に述べているが、同じ目的のために利用可能な多様なほかのタイプのロボット位置合わせ装置が存在する。たとえば、複数のマイクロウェルプレートが静止位置に保持される位置合わせ装置を構成できる。カメラレンズが、水平面内において拘束されることなく好適に移動できる位置合わせ装置に取り付けられることになる。カメラレンズは、水平面内においてマイクロウェルからマイクロウェルへと逐次的に移動する。あるマイクロウェルの上方の位置となった後は、垂直方向においてレンズを上昇または下降させて適正なズームおよび焦点を達成することができる。別の実施態様においては、カメラ155および135が水平の移動に関して静止したままとなる位置合わせ装置を構成できる。この実施態様においては、複数のマイクロウェルプレートが、水平面内において拘束されることなく好適に移動できる位置決めプラットフォーム上に好ましく配置されることになる。この態様においては、各マイクロウェルが適切なカメラの下に逐次的に位置決めされるように位置決めプラットフォームが移動できる。手前の実施態様と同様に、あるマイクロウェルの上方に位置した後は、垂直方向においてレンズを上昇または下降させて適正なズームおよび焦点を達成することができる。また、第1の好ましい実施態様はハンギングドロップ法によって成長させる結晶の検査を考察したが、それに等しい効果を伴ってほかの方法を利用するほかの結晶成長を検査することが可能である。たとえば、図12は、油中水性液滴タンパク質結晶化の結果として得られたタンパク質結晶成長を示す。カメラ135および155は、液滴362内の結晶に合焦する。また上記の好ましい実施態様は、液滴中のタンパク質結晶の検査に本発明が利用される方法を詳細に考察したが、本発明は、ほかのタイプの顕微鏡観察試料の検査に利用することも可能である。たとえば、蛍光検出について一般的であるように、適切な光源、フィルタ、および高感度カメラを用いてシステムを構成することによって、試料から放射される蛍光の量および波長によって反応の質を判定することができる典型的なマイクロウェルマイクロタイタプレート反応の検査に本発明を利用することが可能である。また上記の好ましい実施態様は、2つのカメラ135および155の利用を開示したが、全体のウェルに合焦可能となるようにズーム・アウト能力を有し、かつ結晶を含む液滴上に合焦可能となるようにズーム・イン能力を有するカメラを1つだけを有することは可能である。加えて、エリアCCDカメラが示されているが、マイクロウェルプレートの移動と組み合わせた線形CCDカメラもまた本発明において有効である。また別の好ましい実施態様においては、移動止め510および520をコンピュータ105によって制御されない単純なばね荷重式とすることができる。マイクロウェルプレートを1つの軸内だけで移動し、カメラをほかの2軸で移動するシステムが示されているが、マイクロウェルが直交2軸(XおよびY等)移動し、カメラがZ軸内だけで移動すること、または3軸すべての移動がカメラ・システムを用いてなされ、マイクロウェルプレートを静止させてそれらの上方でシステムを移動させることのいずれにおいても本発明を同様に実施できる。これらのシステムの設計の変形が、光源または複数の光源の再配置を必要とすることもある。また、第2のフィルタ354をほかのフィルタ・タイプに置き換えてもよい。たとえば、直線偏光フィルタは非常に効果的である。また、上記の好ましい実施態様が特定タイプのカメラ135および155を開示しているが、そのほかの、より低い解像度を伴うか、またはより高い解像度を伴うCCDカメラを本発明の中で使用し、しかも本発明を実施することが可能である。たとえば2,000×2,000ピクセル、さらには4,000×4,000ピクセルのカメラがいくつかのベンダから商的に入手可能である。これらの代替カメラのデジタル化時には、デジタル化された画像が対応するカメラの解像度を有することになる。また、たとえば画像ノイズを低減するべくカメラが冷却され、カメラがより深いビット深度をサポートする場合に、本発明を実施して8ビットを超えるグレイ・スケール精度までデジタル化し、それをしのぐことができる。したがって、付随する請求項およびそれらの適法な等価が本発明の範囲を決定するものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動化された検査装置に関し、特に、コンピュータ制御可能な光源を有する自動化された検査装置に関する。
【0002】
2007年7月23日に出願された米国特許仮出願第60/961,722号、2007年10月5日に出願された米国特許仮出願第60/997,839号、2003年7月25日に出願された米国特許出願第10/627,386号(2008年7月29日に特許文献1として発行予定)、および2006年1月10日に発行された特許文献2の明細書は、参照によってここに援用される。
【背景技術】
【0003】
物質の3次元原子構造の決定は、基礎および応用研究のもっとも重要な分野の1つである。物質の3次元原子構造を決定できる方法の1つは、X線結晶解析を経るものである。X線結晶解析は、結晶内の原子の精密な配列を決定するために結晶からのX線の回折を利用する。その結果、合金、デオキシリボ核酸(DNA)、またはタンパク質の構造といった物質の原子構造を明らかにできる。
【0004】
タンパク質結晶の正確な分子構造を知ることには非常に重要な利点がある。たとえば分子構造がわかれば、新薬開発研究者は、有効な治療剤および薬をより効率的に開発することが可能である。しかしながら、その有望性にも関わらず、X線結晶解析は、好結果の結晶を成長させることが非常に困難であるという事実によって制限される。
【0005】
結晶成長の従来技術方法
タンパク質結晶成長は、通常、マイクロウェルプレートのウェル内で行われる。マイクロウェルプレートは、マイクロタイタープレートまたはマイクロプレートとしても知られる。マイクロウェルプレートは、通常、24、48、96、384、または1536個のウェルを有する。96ウェルのマイクロウェルプレートを図2に詳細に示す。タンパク質結晶を成長可能な方法は多様である。次に、5つの一般的な方法について手短に述べる。
【0006】
ハンギングドロップ法
結晶を成長させるために利用可能な主要技術の1つは、ハンギングドロップ法または蒸気拡散法として知られる方法である。ここでは、タンパク質を含む溶液の液滴をカバーガラス上に塗抹し、上下を返して蒸気拡散チャンバ等の装置内に置くと、装置内の状態によってタンパク質液滴内での過飽和とタンパク質結晶の沈殿の開始が導かれる。
【0007】
シッティングドロップ法
別の方法ではシッティングドロップ法がある。ここでは、液滴をウェルの上方に懸滴する代わりに成長溶液に近接させて小さいウェルの中に置く。この方法によって、より安定した液滴および配置がもたらされる。
【0008】
油中水性液滴法(Aqueous Drop in Oil Method)
別の方法では、油中水性液滴法がある。ここでは、液滴がマイクロウェル内に置かれ、オイルベースの溶液を用いて覆われる。液滴はウェルの底にとどまり、結晶が成長する。
【0009】
透析法
透析法と呼ばれる(マイクロバッチ結晶化とも呼ばれる)別の方法においては、タンパク質溶液が半透過性のサイズ排除膜内に入れられた後、一定のpHおよび沈殿剤濃度の溶液内に置かれる。沈殿剤が膜を通ってタンパク質の区画内に拡散すると、タンパク質の溶解度が低下して結晶を形成できる。
【0010】
ゲル結晶成長法
この方法は、小径のガラス毛管の端におけるゲル配置を伴う。溶液がゲル化した後にタンパク質溶液が毛管の一方の端(上端)の中に置かれ、他方の端が沈殿剤の溶液内に浸される。条件が適切に選択されていれば、溶液が拡散によってゆっくりと混合するときに、ゲル内のタンパク質と沈殿剤が適正濃度に到達するポイントにおいて結晶の成長が生じる。これが拡散制限プロセスであることから、長い時間期間の後になって初めて結晶の成長が生じる。しかしながら、この方法によって成長させた結晶は、しばしばより大きく、かつより高品質のものとなる。
【0011】
選択される方法によらず、タンパク質結晶成長は非常に繊細であり、しかも時間を要するプロセスである。充分なサイズおよび品質の結晶が成長し、X線結晶解析のための準備が整うまでには、数日から数ヶ月を要することがある。通常言われる現在の最小サイズは、少なくとも厚さ50ミクロン、長さ100ミクロンの結晶である。タンパク質結晶成長の環境条件は、化学物質から周囲空気の湿度および温度、汚染を防止する清浄度、さらには照明条件まで、厳格に維持される必要がある。未知のタンパク質ファミリを研究するタンパク質結晶解析研究者のうち、適正なサイズと品質の結晶の成長において成功するのは約5%のみかもしれない。この成功率を用いると、たとえば96ウェルのマイクロウェルプレートは、良好な結晶が成長するウェルを5つしか有することができない。
【0012】
従来技術の結晶成長検査
現在、研究室の技術者またはオペレータは、顕微鏡および研究室ノートによる補助を伴って、マイクロウェルプレート内の結晶成長を手動で検査している。マイクロウェルプレートを検査するために研究室の技術者は、クリーンルーム・ガウン・スーツを身に着け、結晶が成長している低温室に入る。技術者は続いてマイクロウェルプレートを顕微鏡の下に置き、マイクロウェルプレート内のすべてのウェルの検査が済むまでそのマイクロウェルプレート内の各ウェルを試験する。技術者は、その後、どのように結晶を分類するべきか(『スコア』としても知られる)について頭の中で判断を行う。たとえば技術者は、『粒状の沈殿』または『荒れた沈殿』を呈している画像を観察していると感じることがある。または技術者は、『まったく結晶の成長がない』ことを画像が示していると感じるかも知れない。その後、技術者は、分類を研究室ノートに記録する。
【0013】
上記のシステムは、人的エラーの機会に満ちている。オペレータは、96ウェルのマイクロウェルプレートを手動で検査するのに、オペレータの熟練度および、興味深い特徴、微結晶、または結晶を含むウェルの数に応じて、約5〜20分を要する。オペレータは身体的疲労を受けやすく、眼精疲労に悩み、一般に高湿度の温度制御された室内において不快に寒い可能性がある。オペレータは、疲労し、混乱するおそれがあり、かつノートに手動でデータを記録する際に容易に誤りを犯すおそれがある。たとえばオペレータは、ウェルH5(図2)に結晶が成長していることを観察したにもかかわらず、ウェルH6に結晶の成長があったとノートに誤って記録するかもしれない。データをコンピュータデータベースに移すときにはさらなる転写の誤りが生じ得る。
【0014】
タンパク質結晶成長を監視するためのカメラ
タンパク質結晶成長のための代表的な従来技術テクニックは、成長プロセスを監視するために使用されるロボット・システムの部分として、カメラを含む。ほとんどの場合、このカメラは顕微鏡を通じて成長を観察し、またほとんどの場合はカメラが可視光カメラであり、タンパク質が発達時のそれらの結晶形状によって識別される。これらの従来技術テクニックに伴う1つの問題は、ハンギングまたはシッティングドロップにおいて塩の結晶もまた形成されることがあり、可視光カメラを用いた場合には、それらの塩の結晶とタンパク質結晶が一般に区別不可能なことである。
【0015】
蛍光発光アミノ酸
タンパク質のビルディング・ブロックとして20のアミノ酸が識別されている。これら20のアミノ酸のうち3つは、特定波長の光を用いて照射したときに蛍光発光することがわかっている。それらは(1)約280nmの波長で照射されると約348nmの波長で蛍光発光するトリプトファン、(2)約274nmの波長で照射されると約303nmの波長で蛍光発光するチロシン、および、(3)約282nmの波長で照射されると約257nmの波長で蛍光発光するフェニルアラニンである。
【0016】
塩の結晶は257nm〜282nmの範囲の紫外線光を用いて照射した時には蛍光発光しない。この理由から、紫外線照明を有する顕微鏡を使用してタンパク質結晶成長を監視する試みがなされている。従来技術では、光源として、水銀ランプおよび重水素ランプを使用していた。周知の技術は、これらのランプからの光が光ファイバへと向けられ、続いて光ファイバが光を顕微鏡へと導き、そこで試験中の液滴に光が向けられる。これらの光源は、通常、どちらかというと広帯域である。したがって、非常に精密なフィルタ処理が必要になり、慎重なフィルタ処理を用いたとしても目標の液滴が紫外線光によって過加熱されるリスクが存在する。
【0017】
『アクター(ACTOR)』ロボット
アクター(ACTOR(商標))は、テキサス州ウッドランズにオフィスを構えるリガク・アメリカズ・コーポレーション(Rigaku Americas Corporation)によって所有されている商標である。アクターは、結晶標本の自動化された結晶移送、配向、および回収(Automated Crystal Transfer, Orientation and Retrieval)のためのロボット・システムを言う。このシステムは、技術革新についての2002年R&D 100アウォードを受賞し、自動化された結晶標本を取り扱うための世界初の商用ロボット・システムである。アクターは、型にはまった結晶スクリーニングおよびデータ収集の間に必要とされる結晶解析研究者によるタンパク質標本の物理的な取り扱いのほとんどを排除する。高スループットのアクター・システムは、シンクロトロン・ビーム・ラインおよびホーム・ラボラトリにおける自動標本移送、配向、および回収を提供する。データが収集されると直ちに標本を交換することにより、X線源の使用の最大化がもたらされる。アクターは、無人で1日24時間、週7日間データを収集することが可能である。アクター・システムは、市販のピン上のループに保持された最大で60の極低温凍結標本を貯蔵する。磁気マガジンがピンを、ロボット回収のためのマップされた位置に保持する。マガジンは、自動的に液体窒素が満たされる断熱されたアクター・ステージング・デュワー内に位置する。アクターは、世界中の多くの研究所およびビーム・ラインに設置されている。アクターは、関連するソフトウエアおよびツールとともに生産性の向上のために設計された完全なシステムであり、今日の高スループット結晶解析研究所のための無人標本解析を可能にする。これらのシステムは、合衆国内のいくつかの州に位置するいくつかの販売オフィスを伴うリガク・アメリカズ・コーポレーション(Rigaku Americas Corporation)から市販されている。
【0018】
上記段落で言及したピンは、通常、ハンプトン・ピンである。それらのピンの1つの図面が図59および60に示されている。ピンは、上で言及した磁気マガジンの1つの中に容易に位置決めされる枠内に据え付けられる18mmのピンからなる。図60に示される通り、ピンの端には、位置22のビーム位置に馬毛から作られるループ(horse hair loop)がある。従来技術テクニックにおいては技術者が、顕微鏡を通じて観察する間にタンパク質結晶を含む溶液内にループを浸す。一部の溶液が馬毛ループに付着する。技術者はピンの上にキャップを乗せ、キャップを付けたピンをアクターに移送し、それを磁気マガジンの1つの中に挿入する。ループ上に集められた結晶を含む溶液は、貯蔵のために凍結されてX線解析を待つ。上で示したとおり、アクターはピンを拾い上げ、解析のためにそれを配向するよう設計されている。タンパク質結晶は、相対的にはるかに大きいループ内の相対的に小さい領域だけを占有するか、またはそれに取り付けられる。従来技術のアクターは、ループの配向およびタンパク質結晶の識別のために可視光顕微鏡を含む。試験されるタンパク質結晶の位置は、X線ビームが解析のために直接ポイント可能となるように精密に配置されなければならない。可視光を用いて結晶を精密に配置することはしばしば困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第7,406,189号
【特許文献2】米国特許第6,985,616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
必要とされているものは、顕微鏡対象物を検査するためのより良好な装置である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、顕微鏡対象物を検査する装置を提供する。レンズの下には複数のLEDがアレイで配置される。LEDのいくつかは点灯され、LEDのいくつかは点灯されない。コンピュータがLEDアレイを制御する。コンピュータは、アレイから選択したLEDをオンにして、点灯されたLEDを形成する。またコンピュータは、アレイから選択したLEDをオフにして、点灯されないLEDを形成する。点灯されたLEDは、レンズの下に点灯されたLEDのパターンを形成する。好ましい実施態様においては、レンズはコンピュータ制御されるカメラに接続され、顕微鏡対象物は顕微鏡的結晶である。別の好ましい実施態様においては、UV LEDが利用されて結晶を上方から照射する。別の好ましい実施態様においては、UV LEDが利用されてハンプトン・ピンのループを照射し、X線結晶解析の目的のためにハンプトン・ピンのループ内の結晶の位置を求める。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図2】マイクロウェルプレートを示した説明図である。
【図3】取り付け治具プレートを示した上面図である。
【図4】取り付け治具プレート上のマイクロウェルプレートを示した上面図である。
【図5】取り付け治具プレート上のマイクロウェルプレートを示した上面図である。
【図6】本発明の好ましい実施態様を示したブロック図である。
【図7】好ましいモニタを示した説明図である。
【図8】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図9】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図10】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図11】マイクロウェルプレート内の液体の懸垂液滴を示した説明図である。
【図12】油中水性液滴タンパク質結晶化の例を示した説明図である。
【図13】取り付け治具プレート上のマイクロウェルプレートを示した上面図である。
【図14】マイクロウェルプレート上を上向きに照射する光源を示した側面図である。
【図15】各ウェルが液滴を有するマイクロウェルプレートの2つのウェルを示した拡大図である。
【図16】図15に示された液滴を示した詳細図である。
【図17】図15に示された液滴を示した詳細図である。
【図18】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図19】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図20】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図21】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図22】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図23】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図24】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図25】本発明の好ましい実施態様の一連の動作における各段階を示した説明図である。
【図26】走行完了後の好ましいモニタ・スクリーンを示した説明図である。
【図27】別の好ましいモニタ・スクリーンの詳細を示した説明図である。
【図28】別の好ましいモニタ・スクリーンの詳細を示した説明図である。
【図29】結晶成長を伴う液滴のハンギングドロップを示した説明図である。
【図30】本発明の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図31】本発明の自動焦点サブルーチンを示したフローチャートである。
【図32】焦点値サブルーチンを示したフローチャートである。
【図33】自動スコアおよび分類サブルーチンを示したフローチャートである。
【図34a】分類サブルーチンを示したフローチャートである。
【図34b】分類サブルーチンを示したフローチャートである。
【図34c】分類サブルーチンを示したフローチャートである。
【図34d】分類サブルーチンを示したフローチャートである。
【図35a】結晶クラスの下位分類を示したフローチャートである。
【図35b】結晶クラスの下位分類を示したフローチャートである。
【図36】メインプログラムを示したフローチャートである。
【図37】光路内の二重フィルタを図解した側面図である。
【図38】回転可能な直線偏光フィルタのための駆動メカニズムを図解した上面図である。
【図39】第2のフィルタ・ホイールを図解した上面図である。
【図40】別の好ましい実施態様の接続を示した説明図である。
【図41】本発明の別の好ましい実施態様を示した分解図である。
【図42】図41に示した好ましい実施態様の斜視図である。
【図43】LEDアレイの上面図である。
【図44】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図45】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図46】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図47】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図48】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図49】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図50】図44に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図51】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図52】図51に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図53】図51に示した好ましい実施態様の動作を図解した説明図である。
【図54】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図55】好ましいパターンを示した説明図である。
【図56a】LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図56b】LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図57a】LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図57b】LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図58】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図59】ハンプトン・ピンを示した説明図である。
【図60】ハンプトン・ピンを示した説明図である。
【図61】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図62】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図63】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図64】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図65】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図66】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図67】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図68】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図69】UV LED照明の鮮明度を立証する写真を示した説明図である。
【図70】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図71】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図72】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図73】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図74】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【図75】本発明の別の好ましい実施態様を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい実施態様の詳細な説明は、図面を参照することにより記載される
【0024】
図1は、本発明の好ましい実施態様を示す。マイクロウェルプレート125A〜125Fは、取り付け治具プレート129上に置かれている。好ましい実施態様においては、各マイクロウェルプレートが96個のウェルを有する。各ウェルは、顕微鏡的タンパク質結晶が成長できる液滴を有する。コンピュータ105は、線形アクチュエータ115、150、160を自動的に制御する。線形アクチュエータ115は、取り付け治具プレート129をx軸に沿って移動する。線形アクチュエータ150は移動ベース154をy軸に沿って移動し、線形アクチュエータ160は移動プレート162をz軸に沿って移動する。コンピュータは、これらの線形アクチュエータの移動を調和させて各マイクロウェルプレート125A〜125Fの各ウェルの上でカメラ155および135を逐次適正に位置決めする。カメラ155および135が高解像度2/3インチCCDカメラであり、水平1,300画素×垂直1,030画素を有すると好ましい。各画素は、6.7ミクロン四方であり、8.7mm×6.9mmの検知面積を有すると好ましい。カメラ155および135は、各ウェルの画像を取り込み、それらの画像をコンピュータ105に送信する。そこでそれらが各ピクセルの輝度を8ビットのグレイ・レベル(0〜255)によって表す約水平1,296ピクセル×垂直1,000ピクセルの画像データ・アレイにデジタル化される。これらのデジタル化された画像は、コンピュータ105のデータベース内に自動的に記録され、モニタ620を介してオペレータにより解析およびスコア付けされることが可能である。デジタル化後の画像は、プログラム・インストラクションを実行して画像データ・アレイに対する計算を行うコンピュータ105によってさらに処理、解析され、個別のウェルの内容がスコア付けされてもよい。好ましい実施態様においては、コンピュータ105が通信/制御ラインを介してコンピュータネットワークに接続される。この形において、本発明はリモートコンピュータから制御されることが可能になる。同様にして画像およびデータをリモートコンピュータに送信することができる。
【0025】
好ましい実施態様の動作シーケンス
システム上に装填されたマイクロウェルプレート
図1に示されているとおり、6枚の96ウェルのマイクロウェルプレート125A〜125Fが取り付け治具プレート129上に(オペレータによって、または外部の装填ロボットによって)置かれる。96ウェルのマイクロウェルプレート125Aを図2に示す。マイクロウェルプレート125Aは、A1〜H12がラベル付けされたウェルおよびバーコードラベル220を有する。マイクロウェルプレート125Aは、米国ニューヨーク州ロチェスタにオフィスを構えるナルジェヌンク・インターナショナル(Nalge‐Nunc International)から入手できる。取り付け治具プレート129は、マイクロウェルプレートの外側の幅および長さが完全に業界の標準であることから24、48、96、384、または1536ウェルのマイクロウェルプレートを保持する。本発明では96ウェルのマイクロウェルプレートを図解に使用する。
【0026】
図3は、マイクロウェルプレート125A〜125Fを装填する直前の取り付け治具プレート129の上面図を示す。取り付け治具プレート129は、マイクロウェルプレート125A〜125Fの長さおよび幅よりわずかに小さい切り抜き部分131を6つ有する。
【0027】
図4は、取り付け治具プレート129上にマイクロウェルプレート125A〜125Fが置かれた直後の上面図を示す。
【0028】
オペレータは、図4に示されるとおりにマイクロウェルプレート125A〜125Fを取り付け治具プレート129上に置いた後、移動止め510および520(図5)を伸張させるコマンドをコンピュータ105(図1および図6)に入力する。移動止め510および520の伸張は、マイクロウェルプレート125A〜125Fをプレート止め530に対して確実に固定する。
【0029】
マイクロウェルプレートについてのバーコード情報の記録
コンピュータ105(図1)は、オペレータからの入力を受け付けるようにプログラムされている。図7は、モニタ620のスクリーン上においてマイクロウェルプレート125A〜125Fを表す表示を示す。図7においては、オペレータがバー622A〜622F上でマウスをクリックすることによって、それらが緑に変わっている。バー622A〜622F上をクリックすることによって、オペレータは、『走行』させる対応のマイクロウェルプレート125A〜125Fを選択する。オペレータは、選択したマイクロウェルプレートを走行させるコマンドは、走行バー623上をクリックすることによって送信される。
【0030】
図8においてオペレータは、選択したマイクロウェルプレートを走行させるコマンドを与えた。マイクロウェルプレート125Aはカメラ155および135の下の位置に移動されている。プレート・センサ送信機/受信機186および反射器188を利用することによって、マイクロウェルプレート125Aがカメラの下の位置にあることをレポートする情報がコンピュータ105に送信される。プレート・センサ送信機/受信機186は、支持体189に固定されており、送信機/受信機186によって放射され、反射器188によって反射される光ビームをマイクロウェルプレートが遮るときを検知するべく整列されている。反射器188は、線形アクチュエータ115の反対側の支持体191上に取付られている。プレート・センサ送信機/受信機186および反射器188は、好ましくはカリフォルニア州サンタアナのウエスタン・スイッチ・コントロールズ(Western Switch Controls)から入手可能なモデル#E3T‐SR13である。
【0031】
バーコードリーダ175もまた支持体189上に取り付けられており、マイクロウェルプレート125Aがカメラ155および135の下に位置決めされるとき、それに取り付けられたバーコード・アイデンティティ・ラベル220(図2)が見える位置に置かれている。バーコードリーダ175は、好ましくはニュージャージー州ニューアークのキーエンス・コーポレーション・オブ・アメリカ(Keyence Corporation of America)から入手可能なモデル#BL601である。バーコードリーダ175は、通信ラインを介してコンピュータ105と通信する。ラベル220内にエンコードされた情報は、好ましくは、プレートのシリアル番号、プレートの型(すなわち、24ウェル、48ウェル、96ウェル、384ウェル、または1536ウェルのマイクロウェルプレート)、およびウェルの形(すなわち、正方形または丸み付き、ハンギングドロップ、シッティングドロップ、制限付きシッティングドロップ)を含む。
【0032】
プレート・センサ送信機/受信機186およびバーコードリーダ175からの情報は、コンピュータ105に送信され、その後のカメラ検査および情報獲得段階の間に使用されるためストアされる。
【0033】
図9においては、マイクロウェルプレート125Bがカメラ155および135の下となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動した。マイクロウェルプレート125Aに関して上述した態様と同様に、プレート・センサ送信機/受信機186およびバーコードリーダ175からコンピュータ105に情報が送信され、その後のカメラ検査および情報獲得段階の間に使用されるためにストアされる。
【0034】
上記のシーケンスは、マイクロウェルプレート125A〜125Fがすべて検知され、プレート・センサ送信機/受信機186およびバーコードリーダ175によって記録されるまで続く。
【0035】
その後、図10に示されているとおり、マイクロウェルプレート125Aがカメラ155のレンズ165の下となるように、線形アクチュエータ115がそれを移動する。線形アクチュエータ160のモータ130は、ウェルA1の上方の懸垂液滴にレンズ165を適正に合焦させる必要に応じて、移動プレート162を上方および/または下方に移動する。レンズ165があらかじめ決定されたズームに設定されると好ましい。
【0036】
結晶の検査
各ウェル内の液滴の位置の決定
マイクロウェルプレート125Aが図10に示されている位置に移動された後に各ウェルを検査して各懸垂液滴の位置を決定する動作が行われる。
【0037】
図11は、マイクロウェルプレート125AのウェルA1〜E1の側面断面図を示す。好ましい実施態様では、マイクロウェルプレート125Aの各ウェル内の懸垂液滴中においてタンパク質結晶を成長させる試みがなされた。図11は、懸垂液滴α1、β1、χ1、δ1、およびε1を示す。
【0038】
タンパク質結晶成長のための好ましい方法は、ハンギングドロップ法である。ハンギングドロップ法(蒸気拡散としても知られる)は、おそらくはもっとも一般的なタンパク質結晶成長の方法である。背景技術の項において説明したとおり、タンパク質溶液の液滴を緩衝剤および沈殿剤を含むリザーバの上方に懸下させる。液滴から溶液に水が拡散し、最適結晶成長条件を伴う液滴を残す。
【0039】
図10においては、カメラ155のレンズ165がマイクロウェルプレート125AのウェルA1(図2、図11、および図13)の上方にある。図13は、取り付け治具プレート129上に位置決めされたマイクロウェルプレート125Aの上面図を示す。
【0040】
図14は、取り付け治具プレート129上に位置決めされたマイクロウェルプレート125Aの側面図を示す。埋め込み光源194を伴う支持体191が、取り付け治具プレート129の脇に位置決めされる。光ガイド195からの光が切り抜き131(図3にも示されている)を通って上方に指向される。光ガイド195は、取り付け治具プレート129とプレート127の間に、それら両方のプレートが干渉することなく光ガイド195の周囲で移動可能となるように位置決めされている。上で説明したとおり、取り付け治具プレート129は、マイクロウェルプレート125より小さい切り抜き131(図3)を有し、それが、ウェルプレートが検査のための位置に移動されるときにそれを通して光ガイド195からの光が投影可能となるように各ウェルプレートの下方に位置する。好ましい実施態様においては、光源194がカリフォルニア州カールスバッドのイージス・エレクトロニクス(Aegis Electronics)から入手可能なモデル#A08925の光ファイバ・バックライトである。
【0041】
カメラ155(図10)は、ウェルA1を検査し、デジタル化のためにコンピュータ105に画像を送信する。上述したとおり、カメラ155(図10)は好ましくはウェルA1を1×の倍率で検査し、その結果、各6.7ミクロン四方のピクセルが、レンズ165によって生じるいくらかの小さい幾何学的ひずみを算入して、測定される対象上の約6.7ミクロン四方を表す。コンピュータ105は、カメラ画像をデジタル化し、その後視覚ソフトウエアの利用によってウェルA1内のグリス・シール361から懸垂している液滴の位置を決定するようにプログラムされている。液滴の位置は、その後の使用のためにコンピュータ105のハードドライブおよびコンピュータのメモリロケーションに記録される。
【0042】
好ましい実施態様においては、液滴の位置の決定に使用される視覚ソフトウエアが、MVToolsと呼ばれる画像処理ツール集からmvt_blob_findと呼ばれるソフトウエア・ルーチン・アルゴリズムを使用する。MVToolsは、マサチューセッツ州ベッドフォードに合衆国オフィスがあるコレコ・イメージング(Coreco Imaging)から入手できる。
【0043】
ウェルA1内のグリス・シール361から懸垂している液滴の位置を記録した後、レンズ165がウェルB1(図13)の上方となるように、線形アクチュエータ115が取り付け治具プレートを左にわずかに移動する。ウェルA1について述べた態様と同様にしてウェルB1内のグリス・シール361から懸垂している液滴の位置がコンピュータ105のハードドライブおよびコンピュータのメモリロケーションに記録される。たとえば、図15に示されているとおり、コンピュータ105は、液滴α1がウェルA1の左上象限に向いていることを記録する。同様に液滴β1の位置は、ウェルB1の右下象限にあるとしてコンピュータ105のデータベース上に記録される。
【0044】
このようにしてセルA1〜H12について液滴の位置が記録される。図18においては、ウェルH1がレンズ165の下方となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動した。
【0045】
図19においては、レンズ165がマイクロウェルプレート125AのウェルA2(図13)の上方となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を左に移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154をわずかに後方に移動した。
【0046】
上で述べた態様と同様にしてセルA2〜H12(図2、図13)について液滴の位置が記録される。図20においては、ウェルH12がレンズ165の下方となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を左に移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154を後方に移動した。
【0047】
マイクロウェルプレート125AのセルA1〜H12について液滴の位置が記録された後、マイクロウェルプレート125BのセルA1がレンズ165の下となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154を移動する(図21)。
【0048】
上で述べた態様と同様にして各マイクロウェルプレート125A〜125FのセルA1〜H12について液滴の位置が記録される。図22においては、マイクロウェルプレート125FのウェルH12がレンズ165の下方となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154を移動した。
【0049】
各ウェル内の液滴の画像の記録
各懸垂液滴を検査する動作は、2.68ミクロン四方(2.5×)〜0.67ミクロン四方(10×)を表すデジタル化後のピクセルに概略で対応する2.5×〜10×の拡大能を有するズームレンズ145を伴うカメラ135を使用し、より高い倍率で行われる。この検査は、タンパク質結晶が成長したか否かを決定する目的で行われる。ズーム・モータ192が、ズームレンズ145についてのズーム倍率を制御する。ウェル検査シーケンスの間に獲得された各ウェル内の液滴の位置を表すデータを使用してコンピュータ105(図1)が、各ウェル内の液滴の直上にレンズ145を位置決めする信号を線形アクチュエータ115および150に自動送信する。たとえば、図23においてはレンズ145がマイクロウェルプレート125AのウェルA1のトップの上方に位置決めされる。以前に獲得した位置データを使用して、液滴α1(図13)にズーム・インできるようにレンズ145が精密に位置決めされる。図16は、液滴α1の拡大図を示す。図23においては線形アクチュエータ160のモータ130が、液滴α1上にレンズ165を適正に合焦させる必要に応じて移動プレート162を上方および/または下方に移動した。ズーム・モータ192が、望ましいズーム倍率を得るべくレンズ165を操作した。カメラ135がウェルA1を検査し、懸垂液滴の拡大画像を表す信号をコンピュータ105に送信する。画像はコンピュータ105の即座の解析のために一時的にメモリ内に、その後の解析のためにハードディスク上にストアされる。
【0050】
類似の態様において線形アクチュエータ115、150、および160、およびズーム・モータ192が、各懸垂液滴の上にズームレンズ145を適正に位置決めし、かつ拡大して画像データのストアのための望ましい焦点および拡大率を得る。たとえば図17は、懸垂液滴β1の拡大図を示す。
【0051】
ウェル検査シーケンスの間に上で述べた態様と同様にして、液滴の拡大された画像(図16および17に示されているものに類似)がマイクロウェルプレート125AのセルA1〜H12(図2、図13)について記録される。図24においては、マイクロウェルプレート125AのウェルH12がレンズ165の下方となるように線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154を移動した。
【0052】
その後は、マイクロウェルプレート125B〜125Fの各セルA1〜H12について懸垂液滴の拡大された画像が記録されるようにこのシーケンスがマイクロウェルプレート125B〜125Fについて反復される。図25においては、マイクロウェルプレート125A〜125Fについてこのシーケンスが終了した。マイクロウェルプレート125FのウェルH12がレンズ145の下方となるように、線形アクチュエータ115が取り付け治具プレート129を移動し、線形アクチュエータ150が移動ベース154を移動した。
【0053】
各ウェル内の液滴の手動でのスコア付け
マイクロウェルプレート125A〜125Fの走行完了後は、モニタ620が図26に示されるように表示する。図26においては、マイクロウェルプレート125A〜125Fを表す6つの画像がスクリーン上に現れている。各画像の上には、懸垂液滴についての画像データがコンピュータ105に転送されたことを示すメッセージ『走行完了』がある。各画像の下には、『S』がマークされたボタン710〜715がある。いずれかのボタン710〜715の上でマウスをクリックすることによってオペレータは、結晶形成の成功について各懸垂液滴の各拡大画像を手動でスコア付けすることができる。
【0054】
たとえば図26においてオペレータは、ボタン710上でマウスをクリックしてマイクロウェルプレート125Aのスコア付けを行うことができる。
【0055】
図27においてはオペレータが、マイクロウェルプレート125AのウェルA1を表す円の上でマウスをクリックした。これがスクリーンの区画716内に液滴α1の拡大画像を表示させた。オペレータは、液滴α1中に結晶が存在しないと結論づけ、『結晶なし』のためのボタン717上でマウスをクリックした。これにより、表示スクリーン上においてマイクロウェルプレート125AのウェルA1を表す円を赤に変えた。
【0056】
図28においてはオペレータが、マイクロウェルプレート125AのウェルB1を表す円の上でマウスをクリックした。これにより、スクリーンの区画716内に液滴β1の拡大画像が表示された。オペレータは、液滴β1中に結晶が存在すると結論づけ、『結晶あり』のためのボタン718上でマウスをクリックした。これにより、表示スクリーン上においてマイクロウェルプレート125AのウェルB1を表す円を緑に変えた。
【0057】
類似の態様において上記のスコア付け手順が、マイクロウェルプレート125A〜125FのウェルA1〜H12すべてのスコア付けが、赤(結晶なし)または緑(結晶あり)のいずれかとして完了するまで反復される。
【0058】
データの利用
マイクロウェルプレート125A〜125Fすべてのスコア付けを完了した後、オペレータは、検査された各マイクロウェルプレートのアイデンティティをそのマイクロウェルプレート内の各ウェルについて結晶形成が生じているか否かを要約するスコアとともに含むデータベースを容易に使用することができる。オペレータが自分のものを得る自動化された効率的な態様は、顕微鏡を用いて各ウェルを苦労して検査し、結果をノートに手書きする従来技術の方法と対照的である。
【0059】
たとえば本発明を利用した6枚の96ウェルのマイクロウェルプレートのスコア付けに要する時間は、約10〜15分を超えない。
【0060】
これに対して顕微鏡を用いて6枚の96ウェルのマイクロウェルプレートを検査し、結果をノートに手書きする従来技術方法は、背景技術のセクションの中で考察した条件に応じて約30〜100分を要し、そのほかに結果をコンピュータデータベース内に転写する時間も要する。さらに、背景技術のセクションの中で説明したとおり、手動検査およびスコア付けは、人的エラーのリスクを比較的高く被りやすい。
【0061】
第2の好ましい実施態様
第2の好ましい実施態様においては、カメラ135の視野深度が約50〜100マイクロメートルになる。液滴中の結晶は、この視野深度より大きいか、または図29に示されるとおり、懸垂液滴中に多様なレベルの成長中の結晶が存在することがある。したがって第2の好ましい実施態様においては、全体の結晶を解析できるように、レンズ145が複数の異なるレベル721〜724に合焦され、異なるレベルにおいて画像のセットが記録される。
【0062】
試料自動焦点
本発明の第3の好ましい実施態様は、試料自動焦点サブルーチン300(図31)を利用する。サブルーチン300は、マイクロウェル内の試料が撮像レンズ145の所望のズーム(または拡大率)において合焦されることを保証する。自動焦点機能を利用し、本発明はカメラ135に、Number_of_Z_Slicesによって定義される数の画像を撮らせる。通常、Z軸内において互いにZ_Step_Sizeだけ離される5〜10のスライスが存在する。典型的なステップ・サイズは0.05mm〜0.25mmである。スライスは、通常はマイクロウェルプレートのカバーガラスの底面とするStart_Z値によって定義されるZ軸位置において開始することが好ましい。試料自動焦点の初期化302の間に、入力データ304が受信される。さらに画像内の関心窓の面積が、X_Window_CenterおよびY_Window_Center、X_WidthおよびY_Widthによって入力データ304内において定義される。ルーチン300のための初期設定306は、カウンタN、Best_Focus、Best_Z、およびFocus_Errorの開始値である。検査装置は、Z_Position(N)をStart_Z位置に等しく設定し、ステップ308においてカメラ135をそこへ移動する。ステップ310においては、手前で述べたとおりにカメラ135を用いて画像が獲得されてデジタル化され、Image(N)としてストアされる。第2のサブルーチン312がImage(N)のための焦点値F(N)を抽出し、図32についての考察のためのセクション内にさらに説明がある。ステップ316においてはF(N)とBest_Focusの間で吟味が行われ、F(N)がBest_Focusより大きい場合にはステップ320内に示されているとおりBest_FocusがF(N)に設定され、かつBest_ZがNに設定されてプログラム・フローがステップ322に進むが、ステップ316において吟味の条件が満たされない場合にはプログラム・フローがステップ320をスキップしてステップ322に進む。ステップ322においては、Number_of_Z_Slicesに対してNが吟味され、すべてのスライスが撮られたか否かを決定する吟味が行われる。NがNumber_of_Z_Slicesに等しいときには、プログラム・フローがステップ324に進む。スライスの画像がさらに必要であればフローがステップ318に進む。ステップ318においては、Z_Position(N+1)がZ_Position(N)+Z_Step_Sizeに設定されてZ軸がZ_Position(N+1)に移動され、プログラム・フローがステップ314に進み、そこでNが1インクリメントされる。プログラム・フローはステップ310に戻り、すべての画像スライスを撮り終わるまでステップ310〜ステップ322のループを完了し、その後ステップ324に移動する。ステップ324においては、Best_Zが初期値に対して吟味され、その初期値に等しければ(焦点値サブルーチン312において焦点が見つからなかったことを意味する)ステップ326においてそれが2で除したデフォルト値のNumber_of_Z_Slicesに設定され、Focus_Errorが1に設定されてプログラム・フローがステップ328に進む。ステップ324においてBest_Zが初期値以外の値を有していれば、プログラム・フローがステップ324からステップ328に進む。ステップ328においては、Best_ImageをImage(Best_Z)と等しく設定することによってBest_Imageの画像が最良焦点の画像スライスに設定される。またBest_Image_Z値がZ_Position(Best_Z)に等しく設定されて、フローがサブルーチンのリターン部分のステップ330に進み、プログラム・フローがメイン・ソフトウエアのフローに戻る。
【0063】
図32に示されているとおり、Image(N)の焦点F(N)サブルーチン312がさらに詳細に示されており、開始ステップ401から開始する。ステップ402においてpointer_to_image(N) 404が提供される。ステップ408においては、標準の3×3 Sobel_Horizontalフィルタ416を用いてimage(N)の畳み込みを行い、画像の水平エッジが強調されたImage(N)_Hを作る。ステップ410においては、標準の3×3 Sobel_Verticalフィルタ418を用いてimage(N)の畳み込みを行い、画像の垂直エッジが強調されたImage(N)_Vを作る。ステップ414においては、水平エッジが強調された画像Image(N)_Hおよび垂直エッジが強調された画像Image(N)_V両方をピクセルごとに合計し、合計プロセスの間は結果が負になるピクセル値をゼロに設定し、結果が255を超えるピクセル値を255に設定して画像Image(N)_Focusを作る。ステップ420においては、X‐Window_Center、Y_Window_Center、X_width、およびY_Heightによって422内に定義された関心窓内のピクセルについて単純分散F(N)が計算される。結果として得られた分散の値は、ステップ424においてF(N)として呼び出し側のプログラムに返される。ゾーベル処理および分散の計算は、MVTools内の画像処理ソフトウエア・ツール集を用いて実行される。MVToolsは、マサチューセッツ州ベッドフォードに合衆国オフィスがあるコレコ・イメージングから入手できる。
【0064】
第4の好ましい実施態様
第1の好ましい実施態様においては、オペレータが『結晶あり』または『結晶なし』のいずれかとして各液滴を手動でスコア付けできる方法を開示した。第4の好ましい実施態様においては、各液滴のスコア付け方法に関する決定時に、より多くの様々なオプションがオペレータに与えられる。表1は、オペレータのスコア付けオプションのリストを示しており、数値、説明、および対応する色コードを含む。マイクロウェルの液滴が9としてスコア付けされると、オペレータは、表2に示されているスコア付けでその結晶をさらに分類することができる。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
第5の好ましい実施態様
第4の好ましい実施態様においては、どのようにすればオペレータが対応する色コードを用いて手動で各液滴を10のカテゴリの1つにスコア付けできるか、およびどのようにすればオペレータがカテゴリ9をさらに9.0〜9.9の下位カテゴリにスコア付けできるかについて開示した。第5の好ましい実施態様においては、図36に示されたプログラム・フローの制御の下に図33、34a、34b、34c、34d、および35aおよび35bに示されるとおりのコンピュータ・ソフトウエア・サブルーチンを実行することによって検査装置が各液滴試料のスコア付けおよび分類を自動的に行う。自動分類は、3つの詳細レベル、すなわち清澄と清澄でない(不明な)液滴の間を単純に区別する第1レベルのType_of_Classification=1、上記の表1に記述されるところのクラス0〜9に液滴のスコア付けおよび分類を行う第2レベルのType_of_Classification=2、および第2レベルのスコア付けおよび分類に加えて、クラス9の結晶に対する上記の表2に詳細に示されるところの追加の10の下位カテゴリ分類を行う第3レベルのType_of_Classification=3において生ずることが可能である。
【0068】
自動スコア付けおよび分類
図36は、ステップ842において開始するメインプログラムフロー840を図解する。ソフトウエアは、ステップ486に詳細が示されたパラメータ、検査リスト、およびType_of_Classificationを用いて初期化される。フローはステップ844に続き、そこでシステムが選択したマイクロウェルプレート内の関心マイクロウェルを選択したカメラの下方に移動する。ステップ851においては、液滴の位置を求める必要がある場合にフローがステップ849に続き、そこでカメラによって画像が獲得され、ソフトウエアがその画像上に作用して液滴の位置を決定する。その後、吟味が行われて、プレート内の最後のマイクロウェルが撮像されたか否かが決定され、否であればフローがステップ844にループして継続される。ステップ853において最後のマイクロウェルプレートが撮像されていた場合には、フローがステップ856に続き、そこでシステムが、マイクロウェルプレート内のマイクロウェルの中の微小滴を高解像度カメラの下方に移動する。またステップ851において以前に液滴の位置が求められていた場合には、液滴の位置を再び求めることを必要とせずにステップ844から直接ステップ856にフローが続く。ステップ856からステップ857にフローが続き、そこで液滴の高解像度画像が得られる。その後フローはステップ850に進む。ステップ850においては、要求されているType_of_Classificationに応じて液滴のスコア付けおよび分類を自動的に行うサブルーチンの呼び出しが行われる。このサブルーチンは詳細が図33に示されており、図33のステップ440において開始する。液滴が分類された後、サブルーチンからステップ852に戻り、そこで結果のストアおよびレポートが行われる。プログラム・フローは、選択されたプレート内の最後の液滴が処理されたか否かを決定する吟味が行われるステップ858に続き、そのとおりであれば最後のプレートが処理されたか否かを決定する吟味が行われるステップ848にフローが進む。最後の液滴の処理でなければフローが856にループ・バックして継続する。最後のプレートが処理された場合には、フローがステップ854に進み、プログラムが終了する。
【0069】
図33は、マイクロウェル試料自動スコアおよび分類サブルーチン438を示しており、ステップ440において開始する。Pointer_to_Best_Image 442は、初期化ステップ444に、最良焦点であることが明らかにされた画像へのアクセスを可能にする情報を提供する。それに加えて、Type_of_Classificationがルーチンに渡される。代替としてポインタ442が、システムの焦点となることが既知のz高さ値において撮られた画像をポイントすることが可能である。初期化444の後にステップ448においてサブルーチン438が、多様なプレートの型から生じる変動を考慮に入れるべく、ステップ446内に示されるパラメータ(X_Background_Center、Y_Background_Center、X_Background_Width、およびY_Background Height)によって定義される第1の矩形窓を使用し、かつ窓446によって定義されるピクセルのすべてのグレイ・スケール値を合計し、その窓内のピクセル数により除することによって正規化されたaverage_gray_Background値を計算する。average_gray_backgroundは、計算された値に、これもステップ446内に見つけられが、概して検査される多様なマイクロウェルプレートの型を計測し、96ウェルの標準マイクロウェルプレートに正規化することによって決定されるマイクロウェルの正規化値を乗ずることによってウェルの型の差について正規化される。このaverage_gray_background 448は、液滴の外側のエリアであるが、概してウェル内、またはウェルの境界壁の内側となる画像の窓のエリア内で計算される。
【0070】
ステップ450においては、average_gray_Classify_Window値が、ステップ452に示されたパラメータ(すなわち、X_Classify_Center、Y_Classify、Center、X_Classify_Width、およびY_Classify Height)によって定義される第2の矩形窓を使用し、上記と類似の態様(マイクロ‐ウェルの型について正規化されないことを除く)で計算される。average_gray_classify_window値450は、液滴エリアの内側であり、かつサブルーチンmvt_blob_findを利用し、小塊から、外側境界矩形ボックスの幅および高さの0.98と0.5の間の小数(0.8が好ましい)によって定義される画像の矩形窓エリア内において得られる。サブルーチンmvt_blob_findは、前述した『各ウェル内の液滴の位置の決定』の項内で論じたとおりに液滴の範囲を定義する。
【0071】
ステップ454においては、Classify_window内において(x,y)および(x+Diff_Sep,y+Diff_Sep)によって定義される2つのピクセル位置からのピクセル値の減算を行うことによって対角差画像が段階的に計算される。これらのピクセル値は、幅および高さにおいて値Diff_sepだけステップ452から離される。これが、X_Classify_Center、Y_Classify_Center、X_Classify_Width、およびY_Classify Heightを使用してステップ452によって定義されたClassify window内のすべてのピクセルにわたって反復される。計算された各値について、減算結果の絶対値がとられ、ステップ452内に定義されたスレッショルド値Flag_Threshと比較される。計算された値がFlag_Thresh 452より大きい場合には、x,y内の第1の位置におけるピクセルが、ステップ452内のSet1によって定義される値に等しく設定されるが、計算された値がFlag_Thresh 452に等しいかまたはそれより小さい場合にはピクセル値がゼロに設定される。これは、Diff_Image_1を計算するステップ454内に記述された数式およびフローに見ることができる。Diff_Sepの代表的な値は1〜20ピクセルの間であり、7が好ましい。Set1の代表的な値は1と511の間であり、128が好ましい。Flag_Threshの代表的な値は5と50の間であり、25が好ましい。
【0072】
ステップ456においては、ステップ454において行われた計算と類似の計算がClassify_Window上において行われるが、Diff_Image_2を生成する456内の数学的計算に示されるとおり、計算が行われる2つのピクセルの間の離隔が(x+Diff_Sep, y)および(x, y+Diff_Sep)によって定義される点が異なる。この計算は、ステップ452内に示された定義を使用する。Set2の代表的な値は1と511の間であり、200が好ましい。
【0073】
ステップ458においては、ステップ454および456において生成された画像の組み合わせであるClassify_Imageが、ステップ452に示されている定義を使用し、ステップ458内に示されている数式によって示されるとおりに計算される。Diff_Image_1またはDiff_Image_2(それぞれステップ454および456)いずれかのx,yピクセル値がSet1 452に等しい値を有していれば、Classify_Image内の(x,y)におけるピクセル値がSet2 452に等しく設定される。それ以外の場合には、ステップ458内の数式に示されるとおり、その値がゼロ(0)に等しくなる。この計算が、452内に定義された窓内のすべてのピクセルについて反復される。Classify_Imageは、基本的にclassify_image_windowの画像であり、その中においてオリジナルのBest_Image内に存在するエッジが検出される。
【0074】
ステップ460においては、number_Pixels_Set2の値が、ステップ458においてSet2 452に等しく設定されたピクセルの総数に等しく設定される。またTotal_Pixels_in_Windowの値が、ステップ458のClassify_window内のピクセルの総数に設定される。
【0075】
ステップ462においては、Score_Grayが、ステップ450において決定されたAverage_Gray_Classify_Windowをステップ448において求められたAverage_Gray_Backgroundにより除することによって計算される。Score_Flagもまた、Number_Pixels_Set2をステップ460からのTotal_Pixels_in_Windowにより除することによって計算される。このようにしてScore_GrayおよびScore_Flagが正規化される。
【0076】
ステップ464においては、Score_Gray、Score_Flag、およびType_of_Classificationの値が、窓内のタンパク質結晶を効率的に分類する分類サブルーチンに渡され、Classify_imageについての分類が返される。分類サブルーチン464の詳細は、図34a、34b、34c、および34d、さらには図35aおよび35bに提供されている。
【0077】
図34aは、分類サブルーチン464を示す。分類サブルーチンの開始がステップ468に示されており、それに初期化470が続き、それによって初期分類のCLASS値が『不明』を表す5に設定されてフローがステップ480に進む。
【0078】
ステップ480は、液滴が清澄であり、CLASS=0となるか否かを、ステップ482内に定義されたスレッショルド(Clear_Flag_LTおよびClear_Gray_GT)を次の式、すなわちscore_flagがClear_Flag_LTより小さく、かつScore_GrayがClear_Gray_GTより大きい場合にはCLASS=0に設定するという式を使用するステップ480内に詳細に示された吟味によって計算する。ステップ481においては、type_of_classificationが1に等しく、前述したとおり、液滴が清澄(0)または不明(5)として単純に分類される第1の分類型であるか否かを調べる吟味が行われる。type_of_classificationが1に等しければ、フローがステップ483に進み、その後その結果とともに図33のステップ466に戻る。type_of_classificationが1に等しくなければ、フローがその先の分類のためにステップ476に進む。
【0079】
ステップ476は、ステップ478に示されているスレッショルド値パラメータ(Lgt_Precip_Flag_LT、Lgt_Precip_Flag_GT、Lgt_Precip_Gray_GT)を利用して、Classify_Image内に軽い沈殿があることを示す1の値をCLASSに割り当てる。ステップ476は、Score_FlagがLgt_Precip_Flag_LTより小さく、かつScore_FlagがLgt_Precip_Flag_GTより大きく、かつScore_GrayがLgt_Precip_Gray_GTより大きければCLASSを値1に設定することを述べた数式を利用する。
【0080】
ステップ484は、ステップ486内に詳細に示されたスレッショルド(Heavy_Precip_Flag_LT、Heavy_Precip_Flag_GT、Heavy_Precip_Gray_LT)を次の式、すなわちscore_flagがHeavy_Precip_Flag_LTより小さく、かつscore_flagがHeavy_Precip_Flag_GTより大きく、かつscore_grayがHeavy_Precip_Gray_LTより小さければCLASS=2を設定するという式とともに使用することによって重い沈殿を算定する。
【0081】
ステップ488は、ステップ490内に詳細に示されたスレッショルドUgly_Precip_Flag_LT、Ugly_Precip_Flag_GT、Ugly_Precip_Gray_LTを次の式、すなわちscore_flagがUgly_Precip_Flag_LTより小さく、かつscore_flagがUgly_Precip_Flag_GTより大きく、かつscore_grayがUgly_Precip_Gray_LTより小さければCLASS=3を設定するという式とともに使用することによって荒れた沈殿を算定する。
【0082】
ステップ492は、図34bの分類プロセスに続く。
【0083】
図34bには、ステップ702に続く分類プロセスの続き700が示されている。ステップ704は、ステップ703内に詳細に示されたスレッショルド(Micro_Cry_Flag_GTおよびMicro_Cry_Gray_LT)を次の式、すなわちscore_flagがMicro_Cry_Flag_GTより大きく、かつscore_grayがMicro_Cry_Gray_LTより小さければCLASS=8を設定するという式とともに使用することによって微結晶を算定する。
【0084】
ステップ704は、ステップ705内に詳細に示されたスレッショルド(Crystal_Flag_LT、Crystal_Flag_GT、およびCrystal_Gray_GT)を次の式、すなわちscore_flagがCrystal_Flag_LTより小さく、かつscore_flagがCrystal_Flag_GTより大きく、かつscore_grayがCrystal_Gray_GTより大きければCLASS=9を設定するという式とともに使用することによって結晶を算定する。
【0085】
ステップ706は、ステップ707内に詳細に示されたスレッショルド(Grainy_Flag_GTおよびGrainy_Gray_GT)を次の式、すなわちCLASS=8であり、かつscore_flagがGrainy_Flag_GTより大きく、かつscore_grayがGrainy_Gray_GTより大きければCLASS=7を設定するという式とともに使用することによって粒状の沈殿を算定する。
【0086】
ステップ708は、図34cの分類プロセスの725に続く。
【0087】
ステップ726は、図34bのステップ708から続いている。
【0088】
図34cにおいてはステップ727が、分類におけるその先の使用のために、726(X_Classify_Center、Y_Classify_Center、X_Classify_Width、Y_Classify Height、Pointer_to_classify_image、およびmvt_blob_analysis_Params)を入力として取って第1のセットの追加の画像の特徴を計算し、生成する。ステップ727においては、ポインタをClassify_Image内の窓に設定してMVT_Tools_Blob_Analysisが呼び出される。ステップ727は小塊のnum_foundを得て、見つかった各小塊についてステップ727が、それのarea(m)、height(m)、width(m)、perimeter(m)、およびそれぞれの位置をlocation_X(m)およびlocation_Y(m)として得られる。これらの値は記録される。これらの計算は、ステップ458として図33内において形成された画像であるClassify_Imageと呼ばれる画像上で実行される。
【0089】
ステップ728において、num_foundがゼロ(0)より大きくなければこのサブルーチンがステップ738に進む。しかしながら小塊が見つかると、その先の解析がステップ729においてm=1、num_spherolite=0、およびspherolite(m)=0を設定することによって開始される。ステップ730においては、小塊の比、すなわちCircle_Like_HW(m)=height(m)/Width(m)およびCircle_Like_AHW(m)=area(m)/(height(m)×width(m))が計算される。円形の小塊については、Circle_Like_HWが1に近い値になる。小塊が細長くなった場合には、1以外の値になる。円形の小塊についてのCircle_Like_AHWは、0.785に近い値を有する。方形状の小塊については、値がより1に近づく。プログラム・フローがステップ732に進む。
【0090】
ステップ732は、液滴が球晶を有するとして分類されるか否かを、734内に見つかるパラメータ(Circle_Like_HW_lower、Circle_Like_HW_Upper、Circle_Like_AHW_Lower、およびCircle_Like_AHW_Upper)の利用によって決定する。次の式、すなわちCLASS=8または9であり、Circle_Like_HW(m)Circle_Like_HW_Upperより小さく、かつCircle_Like_HW(m)がCircle_Like_HW_lowerより大きく、かつCircle_Like_AHW(m)がCircle_Like_AHW_Upperより小さく、かつCircle_Like_AHW(m)がCircle_Like_AHW_Lowerより大きければnum_spherolite=num_sperolite+1とする式が使用される。m=m+1を計算し、spherolite(m)=1を設定することによってインクリメントが行われ、mにおいて1つ見つかったことを示す。
【0091】
ステップ736は、num_foundに対してmを吟味することによって、見つけられたすべての小塊が分類されたか否かを吟味し、それらが等しければサブルーチンがステップ738に進む。等しくなければ、プログラムがステップ730にループ・バックし、上記のとおりに流れる。
【0092】
ステップ738は、740とする図34dの分類サブルーチンに進む。
【0093】
図34dは742において図34cから続いており、744に進んで第2のセットの追加の特徴が計算される。これらの特徴は、ステップ328(図31)において最良焦点の画像として生成されたオリジナルのBest_Imageを用いて生成される。これらの追加の特徴について、図34c内でclassify_imageに対して実行された小塊の解析からの結果が使用される。その種の特徴は、パラメータ746内に示されるとおり、num_found、area(m)、height(m)、width(m)、perimeter(m)、location_X(m)、location_Y(m)、num_spherolite、およびspherolite(m)である。それらに加えて、図33のステップ448からのaverage_gray backgroundおよび図31のステップ328のpointer_to_Best_Iimageを使用する。ステップ744において『m』およびnum_phase_sepは、ゼロに等しく設定される。
【0094】
ステップ748において、手前で見つけられた球晶の数(num_spherolite)がゼロ(0)より大きくなければ、フローがステップ756に進み、図34d内に示されている残りのステップがバイパスされる。しかし、num_spheroliteがゼロ(0)より大きければ、フローがステップ749に進み、mが1インクリメントされる。その後フローがステップ751に進み、『m』とnum_foundの比較に応じてステップ756またはステップ753のいずれに進むかを吟味する。ステップ753においては、図34cのステップ732において見つけられたspherolite(m)の値が吟味されて、球晶として分類されたか否かが調べられる。分類されていなければフローがステップ749にループ・バックする。spherolite(m)が1に等しければステップ750が実行される。
【0095】
ステップ750においては、location_X(m)、location_Y(m)、height(m)の1/2、およびwidth(m)の1/2の情報が使用されて、各球晶の内側のこの縮小された画像内の平均のグレイ値が計算される。以前の小塊の解析から獲得されたBest_Imageピクセル・データが利用され、phase_sep_Gray(m)がこの値に等しく設定される。Phase_sep_Gray(m)は、その後Average_Gray_Backgroundによりそれを除することによって正規化される。プログラム・フローはステップ752に進み、そこでphase_sep_Gray(m)が吟味されて、それがパラメータ入力ステップ754からのパラメータphase_sep_Gray_GTより大きいか否かが調べられる。それが真であれば、CLASSが4に等しく設定され、プログラムがステップ749にループ・バックする。
【0096】
ステップ751においては自動プログラムが、微小滴を前述の表1に詳細を示した0から9までの10個の主要クラスのうちの1つに分類完了している。そこでtype_of_classificationが2に等しいか否かを調べる吟味が行われる。等しい場合にはフローがステップ755に進み、フローが図33に戻る。ステップ466において包括的な分類が完了する。さらに下位カテゴリへの分類が必要であれば、フローがステップ758に進む。
【0097】
ステップ758においてプログラム・フローが図35aのステップ760に進む。
【0098】
図35aにおいては、結晶分類サブルーチン762がクラス9の結晶画像をさらに、前述の表2の中で考察した追加の下位クラス9.2、9.4、9.6、9.8、または9.9に分類する。このサブルーチンは、ステップ760において開始し、ステップ764に進む。ステップ764においては、小塊カウンタmがゼロに設定される。CLASSが9に等しいか否かを調べる吟味が行われ、等しくなければフローがステップ778に進み、図33のステップ466に戻る。ステップ764は、前述したステップ766に示されるところの入力値(Average_Gray_Background、Pointer_To_Best_Image、num_found、area(m)、height(m)、width(m)、perimeter(m)、location_X(m)、location_Y(m)、num_spherolite、およびspherolite(m))を使用する。CLASSが9に等しければ、以前に1つまたは1つより多くの小塊が見つけられたか否かを調べる別の吟味が行われる。以前に見つけられた小塊が1つだけであれば、フローがステップ768に進む。1つより多く見つかっている場合にはフローが図35bのステップ769に進む。ステップ768においては、高さ対幅の比が計算され、ステップ770の針状の特性を表すスレッショルドと比較される。吟味の条件が満たされた場合には、CLASSが9.2に設定される。満たされなければフローがステップ771に進む。ステップ771においては、高さ対幅の比がステップ772の板状の特性を表すスレッショルドと比較される。吟味の条件が満たされた場合には、CLASSが9.4に変更され、フローがステップ773に進む。満たされなければそれ以上の分類は行われずに、フローがステップ778に進み、このサブルーチンが図33のステップ466に戻る。ステップ773においては、小塊内の正規化された平均グレイ値Chunk_Gray(m)が計算されて、フローがステップ774に進む。ステップ774において、Chunk_Gray(m)がスレッショルドChunck_Gray_LT(ステップ775から)より小さければ、CLASSが9.6に設定されてフローがステップ776に進む。ステップ776において、Chunk_gray(m)がスレッショルドChunk_50_GT(ステップ777から)より大きければ、CLASSが9.8に設定されてフローがステップ780に進む。ステップ780において、area(m)がスレッショルドgorgeous_GT(ステップ779から)より大きければCLASS=9.9としてフローがステップ778に進む。その後このサブルーチンが図33のステップ466に戻る。
【0099】
図35bは、画像内に複数の小塊を有するクラス9の画像をさらに、前述の表2の中で考察した追加の下位クラス9.1、9.3、9.5、または9.7に分類するフローチャート781を示している。このサブルーチンは、図35aのステップ769からステップ786において開始し、ステップ782に進む。ステップ782においては、mを0に等しいとしてそれぞれの小塊mについて、前述したステップ784からの入力値(Average_Gray_Background、Pointer_To_Best_Image、num_found、area(m)、height(m)、width(m)、perimeter(m)、location_X(m)、location_Y(m)、num_spherolite、およびspherolite(m))を使用してループが開始する。フローはステップ788に進み、そこでmがインクリメントされ、高さ対幅の比が計算されてステップ790の針状の特性を表すスレッショルドと比較される。吟味の条件が満たされた場合には、CLASSが9.1に設定される。満たされなければフローがステップ794に進む。ステップ794においては、高さ対幅の比がステップ796の板状の特性を表すスレッショルドと比較される。吟味の条件が満たされた場合には、CLASSが9.3に変更される。満たされなければそれ以上の分類は行われずに、フローがステップ812に進み、すべての小塊が吟味されたか否かが判定される。ステップ798においては、小塊内の正規化された平均グレイ値(前述したChunk_Gray(m))が計算されて、フローがステップ802に進む。ステップ802において、Chunk_Gray(m)がスレッショルドChunk_Gray_LT(ステップ804から)より小さければ、CLASSが9.5に設定されてフローがステップ806に進む。ステップ806において、Chunk_gray(m)がスレッショルドChunck_50_GT(ステップ808から)より大きければ、CLASSが9.7に設定されてフローがステップ812に進む。ステップ812においてすべての小塊の吟味が完了していれば、フローがステップ810に進み、このサブルーチンが図33のステップ466に戻る。すべての吟味が完了していなければ、次の小塊のためにフローがステップ788にループ・バックし、完了するまでプロセスがループする。
【0100】
図33、34a、34b、34c、34d、35aおよび35bの中の分類に使用するための代表的なパラメータおよびスレッショルド値を、好ましい値とともに次の表3に示す。これらの値は案内としてのみ働き、状況が許す場合にはこのほかの値が使用されてもよい。たとえば異なる照明条件、マイクロウェルプレートの透明度における変量、タンパク質が成長する媒体および液滴の処方における変量の値も同様に使用できる。当業者は、パラメータおよびスレッショルド値を調整して自分の構成に特有の分類結果に合わせることができる。
【0101】
【表3】
【0102】
プロトタイプ
出願人は、本発明の実用プロトタイプを設計、構築、試験した。
【0103】
図30は、出願人のプロトタイプの主要構成要素を示す。プロテオミクス結晶の検証および検査システム100は、線形運動の軸を3つ有する。線形アクチュエータ115は、好ましくはカリフォルニア州アービンのダイナミック・ソルーションズ(Dynamic Solutions)から入手できる、0.5mmピッチの封入型ボールねじによって駆動される600mmの行程を伴うモデル#802‐0763D線形アクチュエータである。線形アクチュエータ115は、カリフォルニア州サンタクララのアニマティクス・コープ(Animatics Corp.)から入手できる38オンス‐インチの可用トルクを伴うモデル#SM2320 SQのインテリジェント自蔵式サーボモータ110によって駆動される。サーボモータ110は、中央制御ユニット190を通じてルーティングされるシリアル接続を通じてウインドウズ(Windows)ベースのコンピュータ105と通信する。
【0104】
線形アクチュエータ115は、花崗岩の天板170に固定された静止部分116を有する。モータ110が、移動部分117をx軸に沿って移動する。花崗岩の天板170は、枠180によって支持されている。枠180は、脚輪および可調脚を有する。プレート127は、移動部分117に取り付けられる。プレート127の両端においては、スペーサ・ブロック128が取り付け治具プレート129とプレート127の間の空間を設定している。取り付け治具プレート129は、その両端においてスペーサ・ブロック128によって支持される。取り付け治具プレート129は、複数のマイクロウェルプレート125A〜125Fの据え付け、取り外し、および位置決めを提供する。マイクロウェルプレート125A〜125Fが96、384、1536ウェルの寒天プレート、マイクロタイタウェルプレートまたはそのほかの標本プレートであると好ましい。
【0105】
支持体191は、取り付け治具プレート129に隣接して位置決めされており、光源を含む。好ましい実施態様においては、光源がカリフォルニア州カールスバッドのイージス・エレクトロニクスから入手可能なモデル#A08925の光ファイバ・バックライトである。
【0106】
好ましい実施態様においては線形アクチュエータ150が、カリフォルニア州アービンのダイナミック・ソルーションズから入手できる、0.5mmピッチの封入型ボールねじによって駆動される350mmの行程を伴うモデル#802‐1384Aである。線形アクチュエータ150は、線形アクチュエータ115の上方を水平に跨ぎ、柱152によって支持される静止部分153を有する。移動ベース154は、線形アクチュエータ160の構成要素のための据え付けベースを提供する。好ましい実施態様においては、線形アクチュエータ150がモータ110と同じインテリジェント自蔵式サーボモータ120によって駆動される。サーボモータ120は、中央制御ユニット190を通じてルーティングされるシリアル接続を通じてウインドウズベースのコンピュータ105と通信する。
【0107】
好ましい実施態様においては線形アクチュエータ160が、カリフォルニア州アービンのダイナミック・ソルーションズから入手できる、0.5mmピッチの封入型ボールねじによって駆動される100mmの行程を伴うモデル#802‐0756Dである。線形アクチュエータ160は、垂直に線形アクチュエータ150の移動ベース154に取り付けられて固定される静止部分161を有する。線形アクチュエータ160は、インテリジェント自蔵式サーボモータ130によって駆動される。サーボモータ130はモータ110と同じであることが好ましい。サーボモータ130は、中央制御ユニット190を通じてルーティングされるシリアル接続を通じてウインドウズベースのコンピュータ105と通信する。
【0108】
移動プレート162は、カメラ155のための取り付けベースを提供する。好ましい実施態様においては、カメラ155がカリフォルニア州ラグーナヒルズのJAIアメリカ・インク(JAI America INC.)のモデル#CVM1の高解像度モノクローム・メガピクセルCCDカメラである。カメラ155はレンズ165を有する。レンズ165が、ニュージャージー州バーリントンのエドモンド・インダストリアル・オプティカル(Edmund Industrial Optical)から入手可能なモデル#NT52‐571dえあ、0.75×〜3×のズーム能を有すると好ましい。移動プレート162は、カメラ135のための据え付けベースも提供する。カメラ135が、カリフォルニア州ラグーナヒルズのJAIアメリカ・インクのモデル#CVM1の高解像度モノクローム・メガピクセルCCDカメラであると好ましい。カメラ135はレンズ145を有する。レンズ145が、ニュージャージー州バーリントンのエドモンド・インダストリアル・オプティカルから入手可能なモデル#NT54‐396であり、2.5×〜10×のズーム能を有すると好ましい。
【0109】
移動プレート162はまた、カリフォルニア州サンタクララのアニマティクス・コープから入手可能な20オンス‐インチの可用トルクを伴うモデル#SM2315Dのインテリジェント自蔵式サーボモータとするズームレンズモータ192のための取り付けベースも提供する。このサーボモータは、移動制御ボックス190を通じてルーティングされるシリアル接続を通じてウインドウズベースのコンピュータ105と通信する。ズームレンズモータは、従来的なベルト駆動を通じてズームレンズ145を作動する。
【0110】
バーコードリーダ175は、線形アクチュエータ115に隣接して据え付けられ、花崗岩の天板170上に固定された支持体172に取り付けられる。バーコードリーダ175は、マイクロウェルプレートが線形アクチュエータ150の下方に位置決めされるとき、そのマイクロウェルプレートに取り付けられたバーコード・アイデンティティ・ラベルを調べるべく位置決めされる。バーコードリーダ175が、ニュージャージー州ニューアークのキーエンス・コーポレーション・オブ・アメリカから入手可能なモデル#BL601であると好ましい。
【0111】
プレート・センサ送信機/受信機186もまた、支持体172に固定されており、送信機/受信機186によって放射され、反射器188によって反射される光ビームをマイクロウェルプレート125が遮るときを検知するべく整列されている。反射器188は、線形アクチュエータ115の反対側の支持体191上に取り付けられている。プレート・センサ送信機/受信機186および反射器188は、カリフォルニア州サンタアナのウエスタン・スイッチ・コントロールズから入手可能なモデル#E3T‐SR13であると好ましい。
【0112】
プロトタイプの接続を示すブロック図
図6は、出願人のプロトタイプの接続を図解したブロック図を示す。線形アクチュエータのモータ110、120、および130、およびズーム・モータ192は、電気接続を通じて48ボルトのDC電源680からDC電力を受け取る。線形アクチュエータのモータ110、120、および130、およびズーム・モータ192は、共通シリアル・ライン633を通じてウインドウズベースのコンピュータ105と通信する。バーコードリーダ175は通信ラインを通じてコンピュータ105と通信し、プレート・センサ186は通信ラインを通じてコンピュータ105と通信する。モニタ620は、コンピュータ105から送信された情報をオペレータに表示する。カメラ135および155は、通信ラインを通じてフレーム・グラバ630と通信する。フレーム・グラバ630はコンピュータ105内にインストールされ、マサチューセッツ州ベッドフォードに合衆国オフィスがあるコレコ・イメージングのPCVisionであると好ましい。フレーム・グラバ630は、カメラからの画像をデジタル化し、コンピュータ105内においてデジタル化された画像データ配列を形成する。4ポート・イーサネット・ハブ640が、コンピュータ105、中央制御ユニット190、おおび外部イーサネット670の間の接続を提供する。イーサネットに対する接続を提供することによってコンピュータネットワーク通信が可能になる。中央制御ユニット190は、アナログコントロール・ラインを通じて光源194を制御する。中央制御ユニット190は、24ボルトのDC電源660から24ボルトのDC電力を受け取る。中央制御ユニット190には緊急停止ボタンおよびスイッチ(eストップ)650が接続されている。
【0113】
実験結果
システムから53個の試験画像が得られ、システムによる自動分類および4人の科学者による手動分類の両方が行われた。表4は、異なる科学者とシステムによって提供される自動分類の間の相関パーセンテージを示す。
【0114】
【表4】
【0115】
色の利用
別の好ましい実施態様において、本発明は、カラー画像を記録するべく構成される。タンパク質結晶化プロセスにおける特定の沈殿生成物が特有の色を有し、結晶解析研究者または自動化された画像解析アルゴリズムが結晶化の結果を区別する補助に色情報を使用できるため、カラー画像が解析可能であることが望ましい。
【0116】
トゥルー・カラー・ピクチャ
図37は、取り付け治具プレート129上に位置決めされたマイクロウェルプレート125Aの側面図を示す。埋め込み光源194を伴う支持体191が、取り付け治具プレート129の脇に位置決めされる。光ガイド195からの光が切り抜き131を通って上方に指向される。光ガイド195は、取り付け治具プレート129とプレート127の間に、それら両方のプレートが干渉することなく光ガイド195の周囲で移動可能となるように位置決めされている。
【0117】
光ガイド195からの光がマイクロウェルプレート125Aを通過する前にプログラム可能な角度においてそれの直線偏光が可能となるように直線偏光フィルタ352が光ガイド195の上に回転可能に据え付けられている。偏光器駆動ベルト356(図38に上面図を示す)が垂直軸周りに偏光フィルタ352を回転する。偏光駆動ベルト356は、モータ358によって駆動される。モータ358は、CCU 190(図40)によって制御される。第2のフィルタ354(図39に上面図を示す)がマイクロウェルプレート125Aの上方に位置決めされ、その結果、マイクロウェルプレート125Aを通過した光がカメラのズームレンズ145に入る前に第2のフィルタ354を通る。第2のフィルタ354は、フィルタ・ホイール装置355上に据え付けられている。フィルタ・ホイール装置355は、オペレータにより選択された第2のフィルタ354をズームレンズ145の下方の位置に回転させる。選択される第2のフィルタ354は、赤、緑、または青いずれかのダイクロイック・フィルタであると好ましい。赤、緑、および青の第2のフィルタを通じて撮られた個別の画像が合成されてトゥルー・カラー画像が形成されると好ましい。
【0118】
偽色画像
赤、緑および青のフィルタ354を使用して形成できるトゥルー・カラー画像に加えて偽色(擬似色とも呼ばれる)画像、第2のフィルタに関して3つの異なる偏光角で直線偏光フィルタ352を使用して3つの個別の画像を撮ることによって形成できる。この好ましい実施態様においては、直線偏光フィルタが前述のダイクロイックの第2のフィルタ354の代わりになる。たとえば、偏光軸を互いに対して90度にすること、および互いに対してプラスおよびマイナス45度にすることができる。これら3つの画像は、その場合に赤、緑、青と呼ばれ、偽色画像が作られる。結晶が、何らかの偏光回転効果を呈するときには、非常に色彩豊かな画像が結果として得られる。この擬似色画像は、非常に小さく細かい結晶を画像の背景の物質から検出する上で有用である。このほかの偏光角度も同様に選択できる。
【0119】
好ましい実施態様においては、光ガイド195がカリフォルニア州カールスバッドのイージス・エレクトロニクスから入手可能なモデル#A08925の光ファイバ・バックライトである。光源194は、ニュージャージー州バーリントンのエドモンド・インダストリアル・オプティクスから入手可能なドーラン‐ジェナー・モデルPL‐900である。第1の偏光フィルタ352、第2のフィルタ354(直線偏光フィルタ、およびダイクロイックの赤、緑、青フィルタを含む)は、ニュージャージー州バーリントンのエドモンド・インダストリアル・オプティクスから入手できる。フィルタ・ホイール装置355は、カリフォルニア州サンタバーバラのインテグレーテッド・サイエンティフィック・イメージング・システムズ・インク(Integrated Scientific Imaging Systems, Inc.)から入手できるモデルFW1である。
【0120】
LED(発光ダイオード)アレイ光源
別の好ましい実施態様においては、LEDのアレイが使用されて、マイクロウェルプレートがカメラ155のレンズ165の下に位置決めされるときにそれらを照明する。LEDアレイの利用はいくつかの利点を提供し、それには(1)150ワットのハロゲン封入白熱電球を使用するドーラン−ジェナー光源の数百時間台の寿命に比べて、寿命が10000時間台である点、(2)ある程度の大きさを超えて輝度が変化するとき、輝度とともに実質的に変化する放射スペクトルを有する白熱光源に比べて、放射スペクトルが比較的一定である点、(3)白熱電球のはるかに長いオン?オフ時間に比べて、オン?オフ切り換え時間がミリ秒またはそれ未満で測定される点、(4)全体的な輝度が、150ワットのハロゲン電球およびフラット・パネルの5倍を超える点、(5)消費電力が50ワットに満たないという600個のLEDアレイのより低い消費電力、および(6)白熱電球によって作用がもたらされる拡散フラット・パネルに比べて、アレイに対して垂直方向により多く指向される光、といった利点が含まれる。
【0121】
LEDは、最適光源を提供する。たとえば図56aは、マイクロウェルプレート125AのウェルE11およびF11の拡大画像を示す写真である。図56aにおいて撮られた写真はハロゲン封入白熱電球を光源として利用した。ウェルE11内の液滴は、差し渡し約1.2ミリメートルである。
【0122】
比較として図56bは、マイクロウェルプレート125Aの同じウェルE11およびF11を示す。図56bにおいて撮られた写真は、図43に示されているものに類似のLEDアレイを光源として利用した。図56aおよび図56bによって明確に立証されるとおり、LEDアレイは、はるかに強く、かつ方向性のある光源を提供する。結果は、画像内のより良好な鮮明度となる。
【0123】
画像の改善をさらに例証するために、図57aに、図56aに示されている写真よりさらに高い倍率で撮られた写真を示す。図57aは、マイクロウェルプレート125AのウェルE11内の微結晶を含む液滴の詳細を示す。図57aにおいて撮られた写真は、図56aで使用したハロゲン封入白熱電球を利用した。
【0124】
その対比として図57bは、図57aと同じウェルE11を示す。しかしながら図57bにおいては、図56bのLEDアレイが光源として使用された。LEDアレイ光源を使用することによって、液滴内のより微弱な微結晶の撮像を達成することが可能であった。
【0125】
好ましいLEDアレイ光源
図44に示されるとおり、LEDアレイ光源900が取り付け治具プレート129とプレート127の間に取り付けられ、LEDアレイ光源900がマイクロウェルプレート125Aに照明を提供している。LEDアレイ光源900は、側方の支持体901および902によって支持される。
【0126】
図41は好ましいLEDアレイ光源900の分解図を示し、図42はLEDアレイ光源900の斜視図を示す。PCB(プリント回路基板)902がねじ904を介して底部903に取り付けられる。LED 905は、図示のとおりにPCB 902に挿入される。LEDは多くの供給元から入手可能であるが、好ましいLED 905は、フロリダ州バルリコのブライトLEDオプトエレクトロニクス(Brite‐LED Optoelectronics)から入手可能な部品番号‐BL‐ LBUW5B20C‐NBの白色光LEDである。
【0127】
図41が、PCB 902に取り付けられるLED 905の総数のごくわずかな部分しか示していないことに注意されたい。図43は、PCB 902に取り付けられたLED 905の好ましいアレイ915の上面図を示す。好ましい実施態様においては、LEDアレイ915が624個のLED 905を含む。電力コネクタ906および制御コネクタ908は、ともに拡張部907に取り付けられる。
【0128】
図41においては、ファン910およびフィルタ911がともに上側部分909に取り付けられている。また上側部分909は、切り抜き部分912も有する。拡散パネル913Aおよび取り付けけ枠913Bが、図示のとおり切り抜き部分912の上に取り付けられる。好ましい実施態様においては、拡散パネル913Aが、120グリットのスプレーを用いて1つの面がサンドブラストされたガラス板であり、サンドブラストされた側がLEDアレイに面する。好ましい拡散パネルは、ニュージャージー州バーリントンのエドモンド・インダストリアル・オプティクスからモデルF02‐146として入手できる。拡散パネル913Aは、より一様に分布する光源が検査されているマイクロウェルプレートに与えられるようにLEDアレイ915からの光を拡散する。
【0129】
LEDアレイ光源の動作
LEDアレイ光源900がコンピュータ105(図44)によって制御されると好ましい。レンズ165の下のエリア内のLED 905が、コンピュータ105によって自動的に『オン』される。同様に、点灯しているLED 905のエリアからレンズ165が離れるとき、点灯しているLED 905をコンピュータ105が自動的に『オフ』にする。全体的な結果は、レンズ165の位置がマイクロウェルプレート125Aに関して変更されるに従って、レンズ165の下の点灯されるLED 905のパターンがレンズ165の位置に従う。
【0130】
特定のLEDを選択的に『オン』にし、ほかのLEDを選択的に『オフ』にすることによって、必要なエリア(すなわち、レンズ165の近傍のエリア)に対してだけ光が振り向けられる。この態様で光を制御することによって、ユーザは、検査されていないウェルに振り向けられる光および熱の量を最小化する。過剰な光および熱がマイクロウェルプレート内の微結晶の成長に有害な影響を与える可能性があるため、このことは重要である。
【0131】
多様なLED輝度
アレイ内のLEDに対する電流は、アレイの輝度がプログラム可能となるようにコンピュータ105によって制御される。輝度を変化させることによってカスタム化された照明の適用をプログラムできる。好ましい実施態様においては、点灯されるLEDの輝度が適切なプログラミング・コンピュータ105によって変更される。コンピュータ105は、その場合にプログラム可能なドライバ973(図44)を制御して、所望の輝度が発揮されるようにLEDを駆動する。LEDに対する電流が増加するに従って、LEDによって生成される光の輝度が増加する。照明レベルは、『オフ』から全電流の『オン』まで変化できる。
【0132】
好ましい実施態様の動作を描写するシーケンス
図45は、取り付け治具プレート129上に位置決めされたマイクロウェルプレート125を示す。LEDアレイ915が、マイクロウェルプレート125Aの下左側に位置決めされる。(図45においては、LEDアレイ光源900の動作をより良好に説明できるように、拡散パネル913A(図42)が示されていないことに注意されたい。また、図46〜50(B)においては、このほかのこの好ましい実施態様の取り付け治具プレート129等の要素もLEDアレイ光源900の動作をより良好に説明できるように示されていない。)
【0133】
図46(A)においては、コンピュータ105がレンズ165を、それがマイクロウェルプレート125Aの左下コーナのウェルの上方となるように位置決めした。またコンピュータ105は、レンズ165の下のLED 905のグループをオンにした。図46(B)は、オンにされたLEDのパターン916をより明確に示す。『オン』になっているLEDは、すべてが黒で図46(A)および(B)に示されている。好ましいパターン916は、概略で六角形の形状を有する。好ましくは、パターン916の中心が、マイクロウェルプレート125Aの左下コーナのウェルのところにあるレンズ165の中心の下に位置決めされる。
【0134】
図47(A)においては、コンピュータ105がレンズ165を上に向かって1つ分の位置だけ、それがマイクロウェルプレート125Aの左下コーナのウェルの上に続く次のウェルの上方となるように移動した。またコンピュータ105は、新しい位置のレンズ165の下のLED 905のグループをオンにした。図47(B)は、パターン916の新しい位置をより明確に示す。
【0135】
類似の態様でコンピュータ105は、ウェルからウェルへと上に向かってレンズ165およびパターン916の移動を続ける。それは、図48(A)に示されるとおり、コンピュータ105が上に向かってレンズ165を移動し、その結果それがマイクロウェルプレート125Aの左上コーナのウェルの上方となるまでである。図48(B)は、図48(A)に示されているところのパターン916のそれぞれの位置をより明確に示す。
【0136】
図49(A)においては、コンピュータ105がレンズを移動して図46(A)に示された位置に戻した。また取り付け治具プレート129(図44および45)がマイクロウェルプレート125Aの位置を1つ左に移動した。したがってこのときのレンズ165は、マイクロウェルプレート125Aの下左コーナのウェルのすぐ右のウェルの上方にある。またコンピュータ105は、新しい位置のレンズ165の下のLED 905のグループをオンにした。図49(B)は、パターン916の新しい位置をより明確に示す。
【0137】
類似の態様においてコンピュータ105は、レンズ165およびパターン916がウェルからウェルへと進むように、レンズ165、パターン916、および取り付け治具プレート129の移動を続ける。それは、図50(A)に示されるとおり、レンズ165が、マイクロウェルプレート125Aの右上コーナのウェルの上方となるまでである。図50(B)は、パターン916の新しい位置をより明確に示す。
【0138】
マイクロウェルプレートが静止しているLEDアレイの実施態様
図51(A)は、本発明の別の好ましい実施態様の上面図を示す。マイクロウェルプレート125Aは、プラットフォーム920上で静止している。レンズ165Bが、コンピュータ105を介してロボット工学的に制御され、垂直の動きおよびxおよびy方向における動きが可能である。
【0139】
図51(B)に示されているとおり、LEDアレイ光源900がマイクロウェルプレート125Aの下側に位置決めされており、それもまた静止している。図51(A)および(B)に示されている好ましい実施態様においては、コンピュータ105がレンズ165の移動を制御する。コンピュータ105はまた、前述と類似の態様でLED 905を『オン』および『オフ』することによってマイクロウェルプレート125Aの下側でパターン916を移動する。
【0140】
たとえば図52(A)においては、コンピュータ105がレンズ165を、マイクロウェルプレート125Aの右下コーナのウェルの上方に位置決めされるようにそれを移動した。LED 905のパターン916は、レンズ165の下に中心決めされる。図52(B)は、パターン916の新しい位置をより明確に示す。
【0141】
図53(A)においては、コンピュータ105がレンズ165を『x』および『y』方向に、それがよりマイクロウェルプレート125Aの中心に向かったウェルの上方に位置決めされるように移動した。コンピュータ105は、パターン916がレンズ165の下になる効果が得られるように、特定のLEDを『オン』に、そのほかのLEDを『オフ』にした。図53(B)は、パターン916の新しい位置をより明確に示す。
【0142】
このようにしてコンピュータ105は、レンズ165がマイクロウェルプレート125Aの任意のウェルの上方となるようにそれを移動することが可能である。さらにコンピュータ105は、パターン916が常にレンズ165の移動に従い、それがレンズ165の下側となる効果が得られるように特定のLEDを『オン』に、そのほかのLEDを『オフ』にすることが可能である。
【0143】
『X』および『Y』軸に関してレンズが静止しているLEDアレイの実施態様
図54(A)〜(E)は、本発明の別の好ましい実施態様を示している。ロボット・アーム930および931がプラットフォーム932を把持する。マイクロウェルプレート125Aは、プラットフォーム932上にある。レンズ165Cは、マイクロウェルプレート125Aの上方に位置決めされており、好ましくは上昇および下降ができる。しかしながらそれはxおよびy軸に関して静止したままとなる。ロボット・アーム930および931は、コンピュータ105によって制御され、xおよびy軸に沿ってプラットフォーム932を移動することができる。LEDアレイ光源940は静止しており、レンズ165Cの下側に位置決めされている。LEDアレイ光源940からの光は、上向きの照明をプラットフォーム932の切り抜き部分941を通じて提供する。LEDアレイ光源940は、図42および43に示されているLEDアレイ光源900に非常に類似しているが、図43に示されているアレイ915よりアレイ943がはるかに小さい点において異なる。アレイ943は、それの位置がレンズ165Cのx−y位置に関して固定されることから、より小さくすることができる。たとえば好ましいアレイ943は、図43に示された624個のLED 905に比べて約100個のLED 905を有する。
【0144】
図54(B)においては、レンズ165Cがマイクロウェルプレート125Aの中心に向かったウェルの上方にある。図54(C)〜(E)においては、ロボット・アーム930および931がプラットフォーム932を負の『y』方向および負の『x』方向に移動し、その結果レンズ165Cがマイクロウェルプレート125Aの右上コーナに向かったウェルの上にある。図54(C)は側面図を示し、図54(D)および(E)は上面図を示す。図54(E)は、アレイ943の上方のレンズ165Cの部分破断上面図を示す。
【0145】
上記の態様でコンピュータ105は、マイクロウェルプレート125A内の任意のウェルがアレイ943とレンズ165Cの間に位置決め可能となるようにプラットフォーム932のx−y位置を変更することが可能である。
【0146】
多様なLEDアレイのパターン形状
前述の好ましい実施態様においては、パターン916が六角形であるとして示された(図46(B))。しかしながらコンピュータ105は、多様なパターン形状を作成するべくプログラム可能である。たとえば図55(A)は、概略で円の形状のパターン960を示す。図55(B)は、概略でドーナツ形状のパターン961を示す。パターン961は、暗視野照明の提供のために使用される。暗視野照明は、側方からのウェルの照明に使用される。暗視野照明は、観察されている結晶のエッジを全体の画像との比較において明るく見せる。
【0147】
図55(A)および(B)に示された形状に加えて、そのほかの多様なパターン形状も可能である。たとえばコンピュータ105を、方形、矩形、八角形、五角形、三角形等の形状、または多様なそのほかの形状のパターンを作成するべくプログラムすることができる。
【0148】
パターン内の多様な輝度
図55(C)は、LEDアレイ943の上面図を示す。この好ましい実施態様においてはコンピュータ105が、アレイのほぼ中心に中心が置かれる4つの概略で円形のゾーン936A〜936Dに配置されたLEDの輝度を個別に制御するべくプログラムされる。これは、対称に配置された輝度レベルを有するパターンを提供する。たとえばゾーン936Aがもっとも低い輝度レベルを有し、ゾーン936Bがゾーン936Aより高い輝度レベルを有し、ゾーン936Cがゾーン936Bより高い輝度レベルを有し、ゾーン936Dがもっとも高い輝度レベルを有する。
【0149】
『X』および『Y』軸に関してレンズが静止している小型アレイ
別の好ましいアレイは、上で述べたところの100個または624個のLEDに代わり、概ね37個のLED 905を有する。レンズがXおよびY軸に関して静止したままであることから小さいアレイしか必要とならない。マイクロウェルプレートはXおよびY軸に沿って移動するが、LEDアレイおよびレンズは静止している。たとえば図75(A)は、図75(B)〜(A)を参照するオン/オフ/輝度の凡例を示す。この好ましい実施態様においては、アレイが小さく、レンズの中心が常に中心のLEDの直上にある。各LEDは、オフから最大輝度のオンに、またはオンとオフの間の任意の輝度に変更してレンズの下側にパターンを作成することが可能である。見本の好ましいパターンが図75(B)〜(F)に示されている。
【0150】
紫外線顕微鏡
別の好ましい実施態様は、タンパク質結晶成長を監視するためのタンパク質結晶監視システムを提供する。システムは、顕微鏡に照明を提供する少なくとも1つの紫外線発光ダイオードを伴う紫外線顕微鏡を含む。好ましい実施態様においては、顕微鏡のレンズの端部の周囲の円に8個の紫外線LEDが取り付けられ、それぞれのLEDは、顕微鏡の焦点領域に合焦される。LEDの波長は、ほとんどの場合はトリプトファンの280nmとなる蛍光発光アミノ酸の1つの吸収ピークと整合される。LEDの帯域幅は狭く、したがってLED光のフィルタ処理は必要ない。アミノ酸から蛍光発光される光は、主として反射された280nmの光を遮るためにフィルタ処理され、フィルタ処理後の蛍光が電荷結合装置(CCD)センサを伴ったカメラによって撮像される。画像は、デジタル的に記録され、また好ましくはその後に続く解析のためにストアされる。システムは、タンパク質結晶成長について多数のハンギングドロップまたはシッティングドロップを監視するべく適合されたロボット構成要素を含むと好ましい。ロボット装置が、より近い解析に向けて関心試料を絞り込むためにパターン認識アルゴリズムを用いてプログラムされたコンピュータ・プロセッサ構成要素を含むと好ましい。
【0151】
この好ましい実施態様においては、以下に述べるとおり、ズーム可視光カメラ135が紫外線カメラ535に置き換えられる。そのカメラの詳細が図61に示されている。カメラ535は、エドマンズ・サイエンティフィック(Edmunds Scientific)によって供給されるズームレンズユニット508(部品番号UV T58‐946)を含む。このユニットは、8個の紫外線LED 510も含む。これらのLEDは、約280nmにおいて狭帯域紫外線光を生成するべく設計されている。8個の紫外線LEDは、図61に示されているとおり、環状取り付け治具512の周囲に円形に配置されており、それらのそれぞれは、環状取り付け治具内に含められた小型レンズによってレンズユニット508の焦点深度を囲い込む領域に合焦される。ユニットは、帯域通過フィルタ(図示せず)をレンズユニットの内側に含み、それが、検査している液滴の領域から反射された280nmの光の実質的に全部を含めて約300nm未満の実質的にすべての光を遮断する。カメラユニットは、懸垂液滴のデジタル画像を生成するために、図示されていない紫外線CCDセンサユニットも含む。好ましい実施態様においては、センサユニットがソニー(Sony)によって提供される部品番号SONY XCD‐SX910UVである。
【0152】
図62(A)および(B)は、可視光カメラおよび出願人によって構築された本発明のプロトタイプ版を用いて獲得された懸垂液滴の画像を比較している。紫外線画像(図62(B))と可視光画像(図62(A))の比較によって、可視光ユニットだけを伴う従来技術システムでは一般に不可能だった塩の結晶をタンパク質結晶から区別することが本発明に可能であることが立証される。
【0153】
ハンプトン・ピン内の結晶を見つけるための利用
別の好ましい実施態様においては、結晶が、図59および60に示されたハンプトン・ピンの馬毛ループ上またはその中に位置するタンパク質結晶であり、かつロボット・システムがX線結晶解析のために使用されるアクター(ACTOR)システムである。これら両方は、ともに背景技術の項において論じられている。
【0154】
この好ましい実施態様は、ハンプトン・ピンの馬毛ループ上またはそれの中の1つまたは複数の結晶の位置を精密に突きとめ、アクターX線結晶解析システム内においてX線ビームを用いた結晶の照明が可能となるようにするために、8個の紫外線ダイオード・レーザを有する紫外線顕微鏡を利用する。利用される顕微鏡は、好ましくは『紫外線顕微鏡』の見出しの下に前述されると共に、図61にも示されている顕微鏡/ズームレンズ508である。図63(A)および(B)は、出願人によって本発明の立証に使用された試験構成を示す。図63(A)および(B)は、ハンプトン・ピンの『ループ』530に指向された顕微鏡508およびUV LEDアレイ510を示す。図64は、ループ上の結晶のUV画像を、同一のループの可視光画像との比較として示す。図65〜69は、いかに明確かつ精密に本発明の紫外線画像内においてタンパク質結晶の位置が突きとめられるかを立証している追加の画像である。
【0155】
この好ましい実施態様においては、顕微鏡508およびUV LEDアレイ510が利用されてループ530内のタンパク質結晶がより正確に見つけられた後に、アクター・システムが結晶を認識し、それにX線ビームを自動的に指向するようにプログラムされる。
【0156】
そのほかの好ましい実施態様
図70は本発明の別の好ましい実施態様の分解図を示し、図71はそれの簡略図を示し、図72はそれの斜視図を示す。この好ましい実施態様においては、紫外線LED 551(図71)がマイクロウェルプレート552のウェルの照明に利用される。
【0157】
図70は、この好ましい実施態様の構成要素のうちのいくつかの分解図を示す。これらの構成要素は、ディスク・ロングパス・フィルタ581、ロングパス・フィルタ582、顕微鏡レンズユニット508、立方体ミラー取付台583、3mmのドウェル584、ミラー据え付け台585、およびビームスプリッタ553を含むと好ましい。
【0158】
UV LED 551は、LED据え付け台590に取り付けられる(図71)。LED 551からのUV光は、ビームスプリッタ553によって反射され、その結果、マイクロウェルプレート552内の成長中の結晶を照明する。ビームスプリッタ553は、UV光を反射するが蛍光発光している光を通過させるように構成される。図71に明確に示されているとおり、UV光は、横向きにビームスプリッタ553に指向され、その後、下向きに反射されてマイクロウェルプレート552のウェル上に至る。マイクロウェルプレート内の結晶は、上向きに光を蛍光発光する。蛍光発光している光は、ビームスプリッタ553を通過し、レンズユニット508を通ってカメラ535に至る。
【0159】
図73は、図70〜72に示されている実施態様に類似の本発明の別の好ましい実施態様を示す。図73においては、UV LED 551が、UV LEDアレイ571に置き換えられている。UV LEDアレイ571は、前述と類似の態様でマイクロウェルプレート552上にUVを指向する。しかしながらUV LEDのアレイが利用されることから、UV光の輝度が増加され、それがより多くの蛍光発光および結晶のより精密な撮像を可能にする。
【0160】
UV LEDの置換
注意される必要があるが、上述したUV LEDは、多様なタンパク質結晶への適応に望ましい場合には置換えが可能である。たとえば、特定のタンパク質結晶は、特定波長のUV光によって励起されたときにそれ独自の波長で蛍光発光する。蛍光発光を達成するためにUV LEDの波長が、蛍光発光する顕微鏡的結晶の吸収のピークに整合される。たとえば、背景技術のセクションの中で説明したとおり、トリプトファンは約280nmの波長で照射されると約348nmの波長で蛍光発光し、チロシンは約274nmの波長で照射されると約303nmの波長で蛍光発光し、フェニルアラニンは約282nmの波長で照射されると約257nmの波長で蛍光発光する。加えて、特定の波長において蛍光発光するそのほかのタンパク質結晶が存在する。これらのタンパク質結晶を撮像するために、適切な波長を伴う適切なUV LEDが利用される必要がある。
【0161】
以上の好ましい実施態様は特定的に記述されてきたが、当業者は、本発明の精神から逸脱することなしに、上に開示されている特定の実施態様に対する多くの変更が可能であることを認識するだろう。たとえば、上で述べた白色光LEDに加えて、赤、緑、または青のLED等の特定の色出力を伴うLEDのアレイを好適に使用できる。また、赤、緑、および青の発光器を含む個別のLEDを利用して、制御コンピュータによる制御時に希望に応じて任意の色出力を提供することも可能である。それに加えて、光と撮像装置の間の同期が得られるようにLEDをストローブすることができる。また、図41〜57bに示されている実施態様において、レンズ165がいずれかのカメラに取り付けられること(図1に示されているカメラ135または155等)、または顕微鏡に取り付けられること(図58に示されている顕微鏡974等)が可能である。上記の好ましい実施態様が、線形アクチュエータ115、150、および160が協働して動作し、タンパク質結晶を逐次的にカメラ155および135の下方に位置決めする位置合わせ装置を特定的に述べているが、同じ目的のために利用可能な多様なほかのタイプのロボット位置合わせ装置が存在する。たとえば、複数のマイクロウェルプレートが静止位置に保持される位置合わせ装置を構成できる。カメラレンズが、水平面内において拘束されることなく好適に移動できる位置合わせ装置に取り付けられることになる。カメラレンズは、水平面内においてマイクロウェルからマイクロウェルへと逐次的に移動する。あるマイクロウェルの上方の位置となった後は、垂直方向においてレンズを上昇または下降させて適正なズームおよび焦点を達成することができる。別の実施態様においては、カメラ155および135が水平の移動に関して静止したままとなる位置合わせ装置を構成できる。この実施態様においては、複数のマイクロウェルプレートが、水平面内において拘束されることなく好適に移動できる位置決めプラットフォーム上に好ましく配置されることになる。この態様においては、各マイクロウェルが適切なカメラの下に逐次的に位置決めされるように位置決めプラットフォームが移動できる。手前の実施態様と同様に、あるマイクロウェルの上方に位置した後は、垂直方向においてレンズを上昇または下降させて適正なズームおよび焦点を達成することができる。また、第1の好ましい実施態様はハンギングドロップ法によって成長させる結晶の検査を考察したが、それに等しい効果を伴ってほかの方法を利用するほかの結晶成長を検査することが可能である。たとえば、図12は、油中水性液滴タンパク質結晶化の結果として得られたタンパク質結晶成長を示す。カメラ135および155は、液滴362内の結晶に合焦する。また上記の好ましい実施態様は、液滴中のタンパク質結晶の検査に本発明が利用される方法を詳細に考察したが、本発明は、ほかのタイプの顕微鏡観察試料の検査に利用することも可能である。たとえば、蛍光検出について一般的であるように、適切な光源、フィルタ、および高感度カメラを用いてシステムを構成することによって、試料から放射される蛍光の量および波長によって反応の質を判定することができる典型的なマイクロウェルマイクロタイタプレート反応の検査に本発明を利用することが可能である。また上記の好ましい実施態様は、2つのカメラ135および155の利用を開示したが、全体のウェルに合焦可能となるようにズーム・アウト能力を有し、かつ結晶を含む液滴上に合焦可能となるようにズーム・イン能力を有するカメラを1つだけを有することは可能である。加えて、エリアCCDカメラが示されているが、マイクロウェルプレートの移動と組み合わせた線形CCDカメラもまた本発明において有効である。また別の好ましい実施態様においては、移動止め510および520をコンピュータ105によって制御されない単純なばね荷重式とすることができる。マイクロウェルプレートを1つの軸内だけで移動し、カメラをほかの2軸で移動するシステムが示されているが、マイクロウェルが直交2軸(XおよびY等)移動し、カメラがZ軸内だけで移動すること、または3軸すべての移動がカメラ・システムを用いてなされ、マイクロウェルプレートを静止させてそれらの上方でシステムを移動させることのいずれにおいても本発明を同様に実施できる。これらのシステムの設計の変形が、光源または複数の光源の再配置を必要とすることもある。また、第2のフィルタ354をほかのフィルタ・タイプに置き換えてもよい。たとえば、直線偏光フィルタは非常に効果的である。また、上記の好ましい実施態様が特定タイプのカメラ135および155を開示しているが、そのほかの、より低い解像度を伴うか、またはより高い解像度を伴うCCDカメラを本発明の中で使用し、しかも本発明を実施することが可能である。たとえば2,000×2,000ピクセル、さらには4,000×4,000ピクセルのカメラがいくつかのベンダから商的に入手可能である。これらの代替カメラのデジタル化時には、デジタル化された画像が対応するカメラの解像度を有することになる。また、たとえば画像ノイズを低減するべくカメラが冷却され、カメラがより深いビット深度をサポートする場合に、本発明を実施して8ビットを超えるグレイ・スケール精度までデジタル化し、それをしのぐことができる。したがって、付随する請求項およびそれらの適法な等価が本発明の範囲を決定するものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡対象物を検査するための装置であって、
(A)レンズと、
(B)前記レンズの下にアレイで配置される複数のLEDであって、
(1)点灯されたLED、および
(2)点灯されないLEDを含む、複数のLEDと、
(C)前記複数のLEDを通信制御する少なくとも1つのコンピュータと、を備え、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記点灯されたLEDを形成するために前記複数のLEDから選択されたLEDをオンにすると共に、前記点灯されないLEDを形成するために前記複数のLEDから選択された他のLEDをオフにするようプログラムされ、
前記点灯されたLEDが、点灯されたLEDのパターンを前記レンズの下に形成する装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記レンズを通信制御し、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記複数のLEDの上方で前記レンズを平行に移動させるようプログラムされ、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記レンズが平行に移動されるときに前記LEDのパターンが前記レンズの下に留まるように、前記点灯されたLEDのパターンを移動させるようプログラムされる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記レンズおよび前記複数のLEDは、互いに相対的に平行に移動し、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記相対的な平行移動の間に前記LEDのパターンが前記レンズの下に留まるように、前記点灯されたLEDのパターンを移動させるようプログラムされる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記顕微鏡画像の検査装置は顕微鏡であり、前記レンズは前記顕微鏡に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記顕微鏡画像の検査装置はカメラであり、前記レンズは前記カメラに取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記点灯されたLEDのパターンは暗視野照明を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記顕微鏡対象物は顕微鏡的結晶である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
(A)前記レンズに取り付けられた少なくとも1つのカメラと、
(B)前記少なくとも1つのカメラのレンズのカメラ視野内に前記顕微鏡的結晶を逐次的に配置するための位置合わせ装置と、をさらに含み、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記位置合わせ装置および前記少なくとも1つのカメラを制御するようプログラムされ、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記少なくとも1つのカメラから前記複数の顕微鏡的結晶の画像を受信するようプログラムされ、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記複数の顕微鏡的結晶を分類するようプログラムされる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
コンピュータ・モニタをさらに備える、
前記少なくとも1つのコンピュータと連携(interface)するオペレータが、前記コンピュータ・モニタ上で前記複数の顕微鏡的結晶を観察した後に、前記複数の顕微鏡的結晶を分類するスコアを手動で入力する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記画像の受信後に前記複数の顕微鏡的結晶を自動的に分類する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記コンピュータは、前記複数のLEDの輝度レベルを変更するようさらにプログラムされる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記輝度レベルは、オフから全電流オンまで可変である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記点灯されたLEDのパターンは少なくとも2つの輝度レベルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記レンズおよび前記複数のLEDは静止したままであり、
前記点灯されたLEDを形成するために前記複数のLEDから選択されたLEDをオンにすると共に、前記点灯されないLEDを形成するために前記複数のLEDから選択された他のLEDをオフにすることによって、前記点灯されたLEDのパターンの形状が多様なパターン形状を形成するように変更可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
結晶を検査するための装置であって、
(A)レンズと、
(B)前記結晶を照射するように位置決めされた少なくとも1つの紫外線LEDであって、それぞれ前記レンズの焦点領域に合焦される少なくとも1つのLEDと、
(C)蛍光発光する前記結晶の画像を解析のために記録する、前記レンズに接続されたカメラと、を含む装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの紫外線LEDは、前記レンズの端部の周囲の円に取り付けられた複数の紫外線LEDである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのカメラレンズのカメラ視野内に前記顕微鏡的結晶を逐次的に配置するための位置合わせ装置をさらに含み、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記位置合わせ装置および前記少なくとも1つのカメラを制御するようプログラムされ、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記少なくとも1つのカメラから前記複数の顕微鏡的結晶の画像を受信するようプログラムされ、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記複数の顕微鏡的結晶を分類するようプログラムされる、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの紫外線LEDは、約280nmの波長の狭帯域紫外線光を生成するように設計された8個の紫外線LEDである、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの紫外線LEDの波長は、蛍光発光する前記顕微鏡的結晶の吸収ピークと適合される、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記顕微鏡的結晶から蛍光発光する光は、主に280nmの波長の光を遮るようにフィルタ処理され、フィルタ処理後の光は、電荷結合素子(CCD)センサを有するカメラによって撮像される、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも紫外線LEDからの光を前記結晶上に反射させると共に前記結晶から蛍光発光する光を前記レンズへ通過可能とするためのビームスプリッタをさらに備える、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの紫外線LEDは紫外線LEDのアレイである、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
ハンプトン・ピンの馬毛のループ上またはループ内に配置された結晶を検査するための装置であって、
(A)レンズと、
(B)環状取り付け治具と、
(C)前記環状取り付け治具上の円の上に据え付けられ、それぞれが前記レンズの焦点領域に合焦される複数の紫外線LEDであって、前記馬毛ループ上またはループ内に配置された前記顕微鏡的結晶が前記レンズの焦点領域に位置決めされる、複数の紫外線LEDと、
(D)蛍光発光する前記顕微鏡的結晶の画像を解析のために記録する、前記レンズに接続されたカメラと、を備える装置。
【請求項24】
ハンプトン・ピンの馬毛のループ上またはループ内に配置された前記顕微鏡的結晶の位置を記録するためのコンピュータをさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記位置情報の記録は、X線結晶解析のためのX線ビームを案内するために利用される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記X線結晶解析は、アクター(ACTOR)システムによって達成される、請求項25に記載の装置。
【請求項1】
顕微鏡対象物を検査するための装置であって、
(A)レンズと、
(B)前記レンズの下にアレイで配置される複数のLEDであって、
(1)点灯されたLED、および
(2)点灯されないLEDを含む、複数のLEDと、
(C)前記複数のLEDを通信制御する少なくとも1つのコンピュータと、を備え、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記点灯されたLEDを形成するために前記複数のLEDから選択されたLEDをオンにすると共に、前記点灯されないLEDを形成するために前記複数のLEDから選択された他のLEDをオフにするようプログラムされ、
前記点灯されたLEDが、点灯されたLEDのパターンを前記レンズの下に形成する装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記レンズを通信制御し、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記複数のLEDの上方で前記レンズを平行に移動させるようプログラムされ、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記レンズが平行に移動されるときに前記LEDのパターンが前記レンズの下に留まるように、前記点灯されたLEDのパターンを移動させるようプログラムされる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記レンズおよび前記複数のLEDは、互いに相対的に平行に移動し、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記相対的な平行移動の間に前記LEDのパターンが前記レンズの下に留まるように、前記点灯されたLEDのパターンを移動させるようプログラムされる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記顕微鏡画像の検査装置は顕微鏡であり、前記レンズは前記顕微鏡に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記顕微鏡画像の検査装置はカメラであり、前記レンズは前記カメラに取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記点灯されたLEDのパターンは暗視野照明を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記顕微鏡対象物は顕微鏡的結晶である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
(A)前記レンズに取り付けられた少なくとも1つのカメラと、
(B)前記少なくとも1つのカメラのレンズのカメラ視野内に前記顕微鏡的結晶を逐次的に配置するための位置合わせ装置と、をさらに含み、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記位置合わせ装置および前記少なくとも1つのカメラを制御するようプログラムされ、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記少なくとも1つのカメラから前記複数の顕微鏡的結晶の画像を受信するようプログラムされ、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記複数の顕微鏡的結晶を分類するようプログラムされる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
コンピュータ・モニタをさらに備える、
前記少なくとも1つのコンピュータと連携(interface)するオペレータが、前記コンピュータ・モニタ上で前記複数の顕微鏡的結晶を観察した後に、前記複数の顕微鏡的結晶を分類するスコアを手動で入力する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記画像の受信後に前記複数の顕微鏡的結晶を自動的に分類する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記コンピュータは、前記複数のLEDの輝度レベルを変更するようさらにプログラムされる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記輝度レベルは、オフから全電流オンまで可変である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記点灯されたLEDのパターンは少なくとも2つの輝度レベルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記レンズおよび前記複数のLEDは静止したままであり、
前記点灯されたLEDを形成するために前記複数のLEDから選択されたLEDをオンにすると共に、前記点灯されないLEDを形成するために前記複数のLEDから選択された他のLEDをオフにすることによって、前記点灯されたLEDのパターンの形状が多様なパターン形状を形成するように変更可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
結晶を検査するための装置であって、
(A)レンズと、
(B)前記結晶を照射するように位置決めされた少なくとも1つの紫外線LEDであって、それぞれ前記レンズの焦点領域に合焦される少なくとも1つのLEDと、
(C)蛍光発光する前記結晶の画像を解析のために記録する、前記レンズに接続されたカメラと、を含む装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの紫外線LEDは、前記レンズの端部の周囲の円に取り付けられた複数の紫外線LEDである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのカメラレンズのカメラ視野内に前記顕微鏡的結晶を逐次的に配置するための位置合わせ装置をさらに含み、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記位置合わせ装置および前記少なくとも1つのカメラを制御するようプログラムされ、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記少なくとも1つのカメラから前記複数の顕微鏡的結晶の画像を受信するようプログラムされ、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記複数の顕微鏡的結晶を分類するようプログラムされる、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの紫外線LEDは、約280nmの波長の狭帯域紫外線光を生成するように設計された8個の紫外線LEDである、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの紫外線LEDの波長は、蛍光発光する前記顕微鏡的結晶の吸収ピークと適合される、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記顕微鏡的結晶から蛍光発光する光は、主に280nmの波長の光を遮るようにフィルタ処理され、フィルタ処理後の光は、電荷結合素子(CCD)センサを有するカメラによって撮像される、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも紫外線LEDからの光を前記結晶上に反射させると共に前記結晶から蛍光発光する光を前記レンズへ通過可能とするためのビームスプリッタをさらに備える、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの紫外線LEDは紫外線LEDのアレイである、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
ハンプトン・ピンの馬毛のループ上またはループ内に配置された結晶を検査するための装置であって、
(A)レンズと、
(B)環状取り付け治具と、
(C)前記環状取り付け治具上の円の上に据え付けられ、それぞれが前記レンズの焦点領域に合焦される複数の紫外線LEDであって、前記馬毛ループ上またはループ内に配置された前記顕微鏡的結晶が前記レンズの焦点領域に位置決めされる、複数の紫外線LEDと、
(D)蛍光発光する前記顕微鏡的結晶の画像を解析のために記録する、前記レンズに接続されたカメラと、を備える装置。
【請求項24】
ハンプトン・ピンの馬毛のループ上またはループ内に配置された前記顕微鏡的結晶の位置を記録するためのコンピュータをさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記位置情報の記録は、X線結晶解析のためのX線ビームを案内するために利用される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記X線結晶解析は、アクター(ACTOR)システムによって達成される、請求項25に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34a】
【図34b】
【図34c】
【図34d】
【図35a】
【図35b】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56a】
【図56b】
【図57a】
【図57b】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
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【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
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【図74】
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【図44】
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【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56a】
【図56b】
【図57a】
【図57b】
【図58】
【図59】
【図60】
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【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【公表番号】特表2010−534837(P2010−534837A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518356(P2010−518356)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/070895
【国際公開番号】WO2009/015209
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510023089)リガク オートメイション インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/070895
【国際公開番号】WO2009/015209
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510023089)リガク オートメイション インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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