説明

高信頼性ウェハレベルパッケージと製造方法

【課題】SAWデバイスおよびBAWデバイスの電気的性能を向上させる。
【解決手段】開示された実施形態は、シャープな部分を含む筐体によって形成されたキャビティ内に配置された電子デバイスを有するパッケージを含む。該パッケージは、該筐体上に塗布された感光層を含み、該シャープな部分に隣接するスムーズな部分を設けてもよい。該パッケージの製造方法も開示される。他の実施形態も記載され特許請求され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、広くはバルク弾性波(BAW)デバイスおよび表面弾性波(SAW)デバイスに関し、より具体的にはクリーンで堅固なエアキャビティ型パッケージを備えたこれらのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
SAWデバイスおよびBAWデバイスメーカは、無線通信市場における小型化と低価格化要求に応えるため、ウェハレベルパッケージング(WLP)ソリューションを導入しつつある。適切な音響性能のために、SAWデバイスとBAWデバイスでは、基板の音響的に活性な領域上にクリーンなエアキャビティが設けられる。現存の技術では、異なる種類の犠牲層を用いてクリーンなエアキャビティが設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、そうした技術では、SAWデバイスおよびBAWデバイスに対する種々のプロセスおよびまたは試験操作によって、電気的性能が低下する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明のより十分な理解のために、本発明の種々の実施形態を示した添付の図面を参照して以下の詳細な説明を行う。
【図1】図1は、一部の実施形態に係るウェハレベルパッケージの部分断面図である。
【図2】図2は、種々の加工段階における一部の実施形態に係るウェハレベルパッケージの部分断面図である。
【図3】図3は、種々の加工段階における一部の実施形態に係るウェハレベルパッケージの部分断面図である。
【図4】図4A〜図4Fは、感光材を種々のベーク温度に暴露して得られる一部の実施形態に係る構造の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下、本発明の実施形態を示す添付図面を参照して本発明を説明する。本発明は種々の異なる形態で実施され得るが、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。これらの実施形態は、本開示を完全なものとするために提示されるものであり、これによって、当業者には本発明の範囲が十分に伝えられるであとう。同じ符号は同じ構成要素を示す。
【0006】
図1は、本発明の一実施形態を示す部分断面図である。ウェハレベルパッケージ10は、電子デバイス16が配置される上面14を有する基板12(ウェハとも呼ぶ)を備える。電子デバイス16は、例として、表面弾性波(SAW)フィルタであってもあるいはバルク弾性波(BAW)フィルタであってもよい。筐体18が前記上面14上に設けられ、電子デバイス16は、筐体18の内面22によって形成されるキャビティ20内に存在する。筐体18は、前記キャビティ20を形成する頂壁42と側壁44とを有していてもよい。
【0007】
筐体18の外面24は、例えば、表面部分26aが隣接する表面部分26bに対して角度のある位置に存在することで形成される1つまたは複数のシャープな部分26、例としては、コーナを形成する辺などを有する。該シャープな部分26の鋭さは任意のものであってよく、角度90°を成す辺に限定されるものではない。該シャープな部分26は、例えば135°を成す辺から、または90°を成す辺から、または45°を成す辺から、またはその他の任意の角度を成す辺から形成されてもよい。また、シャープな部分26は、必ずしも鋭いものである必要はなく、本発明の教示の利益を享受するに十分な鋭さでさえあればよい。
【0008】
現像された感光層30で筐体18を封入する。該現像された感光層30は、筐体18の外面24に設けられて、該現像された感光層30の現像によって得られるパターン化形状32を形成してもよい。後述のように、該現像された感光層30は硬化前にリフローされて、外表面34上にはスムーズな部分31が形成される。該スムーズな部分31は、筐体18の外面24のシャープな部分26に隣接していてもよい。一部の実施形態では、該現像された感光層30の外表面34は無偏角表面であってもよい。外表面34によって筐体18の外面24のシャープな部分26を円滑にし、該シャープな部分に存在する鋭さが外表面34上に存在しないようにする。
【0009】
無機層36によって外表面34を被覆し、これによりその特性を無機層に持たせることによって、所望の無偏角で概ねスムーズな外表面38が得られる。筐体18の頂壁42上および概ねキャビティ20上に画定された無機層36の頂部40は、ドーム形状である。無機層36の頂部40のドーム形状は、下層の感光層30の同様なドーム形状の結果であり得る。感光層30のドーム形状は、以下に記載のように、リフロー操作の結果得られたものであり得る。
【0010】
一実施形態では、従って、ウェハレベルパッケージ10は、基板12に対して、側面部46Sよりドーム高さ48だけ高い中心部46Cを有していてもよい。これによって、オーバーモールド方式などの、ウェハレベルパッケージ10の次の加工を支える強度がさらに向上する。筐体18、現像された感光層30および無機層36は共に、大きなオーバーモールド圧、例えば1000psiまでに十分耐える構造強度を有するウェハレベルパッケージ10を形成する。
【0011】
一実施形態では、筐体18は、例えばSU8エポキシ樹脂などの感光性エポキシで形成される。基板12は、例えばSi、GaAs、LiTaO、LiNbOまたはガラスであってもよい。無機層36は、例えば窒化ケイ素または窒化酸化ケイ素などの窒化物材料から形成された剛性誘電体層であってもよく、これによって耐湿層としての無機層36が形成される。現像された感光層30は、例えばAZ4330、AZ4620、AZ4999、ビスベンゾシクロブテン(BCB)またはポリイミド材料などのポジ型レジスト感光材で形成されていてもよい。
【0012】
図2は、図1に示したウェハレベルパッケージ10の加工段階に対し、早期の加工段階における本発明の一実施形態に係るウェハレベルパッケージ10の部分断面図である。本発明の一実施形態に係るウェハレベルパッケージ10の一生産方法には、筐体18によって形成されたキャビティ20内の電子デバイス16をその上面14に既に有する基板12を準備するステップが含まれる。筐体18は、例えばパターニング、蒸着、除去などの種々の製造プロセスにより形成されてもよい。上記のように、筐体18の外面24はシャープな部分26を有する。一部の実施形態では、比較的高いアスペクト比のキャビティ筐体18上の応力を低減するために、平滑なオーバーコート層が設けられる。ここでのアスペクト比は、筐体18の高さ50と幅52との比を指す。
【0013】
図3は、図2の加工段階の次の加工段階であって図1の加工段階の前の加工段階における、本発明の一実施形態に係るウェハレベルパッケージ10部分断面図である。本発明の一実施形態に係る1つの方法には、筐体18の外面24上に感光層を塗布してオーバーコートを設けるステップと、該感光層を現像して前記現像した感光層30内にパターン32を画定するステップと、が含まれる。パターン32は、パッドを収容し、複数のパッケージを有する基板12上の通り開口部をカットするように設けてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態では、前記現像した感光層30に熱を印加し、該感光層30を形成する材料をリフローさせて、例えば無偏角表面などの外表面34を形成する。その結果、外面24のシャープな部分26は、今やスムーズな外表面34を有する現像された感光層30で被覆される。該リフローベーキング操作の結果、外表面34は、キャビティ18上のドーム形状35を受け継いでもよい。次に、該リフローされた現像された感光層30を硬化させて、外表面34を有する硬化オーバーコートを形成することによって、図3に示すウェハレベルパッケージ10の形成段階がもたらされる。
【0015】
図4A〜図4Fは、本発明の一実施形態に係る現像された感光層の端部の平滑化の一例を示す。図4A〜図4Fは、現像された感光層30の当初の塗布時に存在し得る該感光層の30シャープな部分をリフロー中に平滑にし、無偏角な外表面34を形成するステップを示す。現像された感光層30を所望の程度までリフローした後、ハードベーキング前に、例えば紫外線硬化によって硬化させて完全に架橋結合した感光層30を得、これにより、以後の使用に伴うさらなる動き(例えば平滑化)の発生を防止してもよい。
【0016】
例として、AZ ECI3000感光材に対して図4A〜図4Fに示すように、現像された感光層30のリフローによって、シャープな部分は、印加温度に応じた種々の程度に平滑化される。
【0017】
スピンコーティング法、スプレーコーティング法、ドライフィルム積層法、またはその他の方法で、現像された感光層30を塗布してもよい。現像された感光層30の塗布前に、筐体18および基板12の暴露部分をクリーンにして、該感光層30の筐体18および基板12の暴露部分への誘電接着を向上させてもよい。
【0018】
図3の加工段階に続いて、前記無機層36を現像された感光層30に塗布して、剛性の気密シールを有するウェハレベルパッケージに10を得、ウェハレベルパッケージ10全体の構造完全性を向上させてもよい。種々の実施形態において、該無機層36は、これに限定されないが、窒化物/酸化物のハードコーティングであってもよい。該現像された感光層30によって該無機層36の均一性を向上させ、それによって、その気密滴および構造的完全性を向上させてもよい。
【0019】
例えばプラズマ強化化学蒸着(PECVD)、PVD、ソルゲルと呼ばれる化学溶液蒸着などのマイクトエレクトロニクス技術を用いて無機層36を蒸着してもよい。
【0020】
今や保護された電子デバイス16は、例えばモールドトランスファ、オートクレーブ試験およびHast試験などの種々のプロセスおよびまたは試験操作に耐え得る。本発明の実施形態は、例えばチップおよびワイヤー組立プロセスやバンピングプロセスと両立できるものであってもよい。また、ウェハレベルパッケージ10は、例えばすぐにダイスされ、テープを貼られ、巻き取られ、そして積層板状に直接組込まれるものであってもよい。
【0021】
本開示の実施形態を例えばBAWフィルタやSAWフィルタなどの音波フィルタに関して説明したが、他の実施形態では、説明したクリーンで堅固なエアキャビティ型パッケージの利益を享受する他の形式のデバイス類を含み得る。例えば、他の実施形態に係るパッケージは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、マイクロ流体MEMS、ナノエレクトロメカニカルシステム(NEMS)などで使用されてもよい。
【0022】
本発明に関して、前述の説明および添付図面で提示された教示の利益を享受する当業者には、多くの変形と他の実施形態が思い浮かぶであろう。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変形と実施形態は添付の特許請求の範囲に包含されるものと意図されることは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有する基板と、
前記上面に配置された電子デバイスと、
前記上面に設けられた筐体と、
を備え、
前記電子デバイスは前記筐体によって形成されたキャビティ内に存在し、
前記筐体の表面は、シャープな部分と前記筐体を封入する現像された感光層とを含み、
前記現像された感光層はリフローされて、前記現像された感光層の表面に、前記筐体表面のシャープな部分に隣接するスムーズな部分が設けられたことを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
前記現像された感光層は無偏角な外表面を備えることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記現像された感光層を被覆する無機層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記現像された感光層と前記無機層はドーム形状であることを特徴とする請求項3に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記筐体、現像された感光層および無機層は、平方インチ当たり1000ポンドまでのオーバーモールド圧に十分耐える構造強度を有することを特徴とする請求項3に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記無機層は窒化物材料を含むことを特徴とする請求項3に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記窒化物材料は、窒化ケイ素または窒化酸化ケイ素を含み、前記無機層は耐湿性であることを特徴とする請求項6に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記無機層は剛性誘電体層を含むことを特徴とする請求項3に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記現像された感光層は、ポジ型レジスト感光材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記現像された感光層は、AZ4330、AZ4620、AZ4999、BCBまたはポリイミド材料の内の少なくとも1つから形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記電子デバイスは、音響波デバイスを含むことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記筐体は側壁と頂壁とを有し、前記現像された感光層は前記頂壁上でドーム形状であることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記基板は、Si、GaAs、LiTaO、LiNbOおよびガラスで構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記筐体は、感光性エポキシで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項15】
その表面がシャープな部分を含む筐体と基板とから形成されたキャビティ内に、電子デバイスを準備するステップと、
感光材を前記筐体の表面に塗布するステップと、
前記感光材をリフローさせて、前記筐体表面の前記シャープな部分に隣接するスムーズな部分を設けるステップと、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記感光材をリフローさせる前記ステップは、前記感光材をリフローさせて前記感光材に無偏角表面を設けることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
無機層を前記感光材上に塗布するステップをさらに備えたこと特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記感光材を塗布するステップおよびまたは前記無機層を塗布するステップによって、前記無機層にドーム形状を設けることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記無機層を塗布する前記ステップによって、前記キャビティを気密シールするステップをさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記リフローステップ後に、前記感光材を硬化させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−85250(P2013−85250A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−224060(P2012−224060)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【出願人】(599034594)トライクイント・セミコンダクター・インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】TriQuint Semiconductor,Inc.
【住所又は居所原語表記】2300 NE Brookwood Parkway,Hillsboro,Oregon 94124,U.S.A.
【Fターム(参考)】