説明

高効率および/または高電力密度のワイドバンドギャップトランジスタ

【課題】少なくとも4GHzの周波数で動作する場合に、40W/mm以上の電力密度を持つ電界効果トランジスタを提供する。
【解決手段】III族窒化物チャネル層16と、III族窒化物チャネル層16の上にあるゲート電極24と、ソース電極20と、ドレイン電極22と、ゲート電極24の上にある絶縁層72と、絶縁層72の上にあり、ソース電極20に電気的に連結するフィールドプレート74、とを備えた電界効果トランジスタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、半導体デバイスに関し、より具体的には、ワイドバンドギャップトランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン(Si)およびガリウムヒ素(GaAs)のような材料は、半導体デバイスにおいて広く応用されてきた。しかしながら、これらのよく知られている半導体材料は、より高い電力用途および/またはより高い周波用途には良く適するとは言えない。その理由は、比較的小さなバンドギャップ(例えば、室温では、Siで1.12eVおよびGaAsで1.42eV)および/または比較的小さい絶縁破壊電圧を持つからである。
【0003】
従って、高電力、高温度および/または高周波の応用とデバイスにおける興味は、炭化ケイ素(室温では、アルファSiCで2.996eV)およびIII族窒化物(例えば、室温では、GaNで3.36eV)のような広いバンドギャップの半導体材料に向いている。これらの材料は、典型的には、ガリウムヒ素およびシリコンと比較して、より高い電界絶縁破壊強度およびより高い電子飽和速度を有する。
【0004】
より高い電力用途および/またはより高い周波用途のための具体的に興味のあるデバイスは、高電子移動度トランジスタ(HEMT)であり、ある場合にはまた、変調ドープ電界効果トランジスタ(MODFET)として知られている。これらのデバイスは、多くの環境下で動作上の利点を提供することができる。その理由は、異なるバンドギャップエネルギーを有する二つの半導体材料のヘテロ接合において、二次元電子ガス(2DEG)が形成されるからであり、ここで、より小さなバンドギャップ材料は、より高い電子親和力を有する。2DEGは、ドープしていない(無意識にドープした)より小さなバンドギャップ材料内の蓄積層であり、例えば、1013キャリア/cmを超える非常に高いシート電子濃度を含むことが可能である。加えて、より広いバンドギャップの半導体材料において発生する電子は2DEGに移動し、減少したイオン化不純物散乱のため、高い電子移動度を有することができる。
【0005】
高キャリア濃度と高キャリア移動度のこの組合せにより、HEMTに非常に高い相互コンダクタンスを与えることが可能になり、高周波用途では、金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)のような他のトランジスタ構造に対して、強い性能上の利点を提供する可能性がある。
【0006】
窒化ガリウム/窒化アルミニウム・ガリウム(GaN/AlGaN)材料系で製造する高電子移動度トランジスタは、大量のRF電力を生成する能力を有し、それは、前述の高い絶縁破壊電界、広いバンドギャップ、大きな伝導帯オフセットおよび/または高い飽和電子ドリフト速度を含む材料特性の組合せによる。2DEGにおける電子の大部分は、AlGaNにおける分極によるものである。
【0007】
GaN/AlGaN系におけるHEMTは既に実証されてきた。特許文献1および特許文献2では、AlGaN/GaN HEMT構造と製造方法について説明している。同一出願人による、および参照することにより本明細書に組み込まれた、Sheppardらによる特許文献3では、半絶縁炭化ケイ素基板、その基板上に窒化アルミニウム・バッファ層、そのバッファ層上に絶縁窒化ガリウム層、その窒化ガリウム層上に窒化アルミニウム・ガリウム・バリア層、および窒化アルミニウム・ガリウム活性構造上にパッシベーション層を有するHEMTデバイスについて説明している。
【0008】
広いバンドギャップのGaNをベースとする高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、非特許文献1における1993年のその説明、および非特許文献2における1996年のその電力能力の実証以来、マイクロ波デバイスとして大きな進展を遂げた。多くの研究グループが、従来のIII−V族デバイスに対して10倍の改善となる、10W/mmを超える電力密度を持つデバイスを提供した。非特許文献3、非特許文献4、および非特許文献5を参照されたい。
【0009】
Zhangらは、高電圧スイッチング用途用のGaN HEMTに、重複(overlapping)ゲート構造、またはフィールドプレートを使用した(非特許文献6参照)。これに続き、Karmalkarらは、フィールドプレート構造に対してシミュレーションを実施し、絶縁破壊電圧で最大5倍の増強を予測した(非特許文献7参照)。しかしながら、当時製造したデバイスは低い遮断周波数であったため、マイクロ波動作には適さなかった。Andoらは、最近小さなゲート寸法を有する同様の構造を使用し、SiC基板上に幅1mmのデバイスを使用して、2GHzで10.3Wの出力電力の性能を実証した(非特許文献8参照)。Chiniらは、更に削減したゲート寸法を有するフィールド−プレート設計の新しい変形を実装し、サファイア基板上の幅150μmのデバイスから、4GHzで12W/mmを得た(非特許文献9参照)。
【0010】
ソース接続のフィールドプレートを含むGaN HEMTデバイスについては、非特許文献10で説明されている。Saitoらが説明するデバイスでは、単一の金属フィールドプレートがソースから延び、ゲートを覆う。しかしながら、そのような構成は、大きな寄生容量を負わす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,192,987号明細書
【特許文献2】米国特許第5,296,395号明細書
【特許文献3】米国特許第6,316,793号明細書
【特許文献4】米国特許第6,316,793号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0066908A1号明細書、出願日2001年7月12日、公開日2002年6月6日
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0167023A1号明細書、公開日2002年11月14日
【特許文献7】米国特許出願公開第10/617,843号明細書、出願日2003年7月11日
【特許文献8】米国特許出願公開第10/772,882号明細書、出願日2004年2月5日
【特許文献9】米国特許出願公開第10/897,726号明細書、出願日2004年7月23日
【特許文献10】米国特許出願公開第10/849,617号明細書、出願日2004年5月20日
【特許文献11】米国特許出願公開第10/849,589号明細書、出願日2004年5月20日
【特許文献12】米国特許出願公開第2003/0020092号明細書、出願日2002年7月23日、公開日2003年1月30日
【特許文献13】米国特許出願公開第10/996,249号明細書、出願日2004年11月23日
【特許文献14】米国特許出願公開第2003/0102482A1号明細書、出願日2002年7月19日、公開日2003年6月5日
【特許文献15】米国特許出願公開第2004/0012015A1号明細書、出願日2002年7月19日、公開日2004年1月22日
【特許文献16】米国再発行特許第34,861号明細書
【特許文献17】米国特許第4,946,547号明細書
【特許文献18】米国特許第5,200,022号明細書
【特許文献19】米国特許第6,218,680号明細書
【特許文献20】米国特許第5,210,051号明細書
【特許文献21】米国特許第5,393,993号明細書
【特許文献22】米国特許第5,523,589号明細書
【特許文献23】米国特許第5,592,501号明細書
【特許文献24】米国特許第5,686,738号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2002/0167023A1号明細書
【特許文献26】米国特許出願公開第11/078,265号明細書、出願日2005年3月11日
【特許文献27】米国特許出願公開第10/930,160号明細書、出願日2004年8月31日
【特許文献28】米国特許出願公開第10/856,098号明細書、出願日2004年5月28日
【特許文献29】国際特許出願公開第WO/2005/024909号明細書、出願日2004年9月9日、公開日2005年3月17日
【特許文献30】米国特許第6,586,761号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Khanら、Appl.Phys.Lett.、vol.63、p.1214、1993年
【非特許文献2】Wuら、IEEE Electron Device Lett.、vol.17、pp.455−457、1996年9月
【非特許文献3】Tilakら、IEEE Electron Device Lett.、vol.22、pp.504−506、2001年11月
【非特許文献4】Wuら、IEDM Tech Dig.、Dec.2−5、2001年、pp.378−380
【非特許文献5】Andoら、IEEE Electron Device Lett.、vol.24、pp.289−291、2003年5月
【非特許文献6】Zhangら、IEEE Electron Device Lett.、vol.21、pp.421−423、2000年9月
【非特許文献7】Karmalkarら、IEEE Trans.Electron Device、vol.48、pp.1515−1521、2001年8月
【非特許文献8】Andoら、IEEE Electron Device Lett.、vol.24、pp.289−291、2003年5月
【非特許文献9】Chiniら、IEEE Electron Device Lett.、vol.25、pp.229−231、2004年5月
【非特許文献10】Saitoら、Technical Digest of IEDM2003、pp.587−590、ワシントン、2003年12月8−10日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、高効率および/または高電力密度のワイドバンドギャップトランジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の幾つかの実施形態による電界効果トランジスタは、III族窒化物チャネル層と、III族窒化物チャネル層の上のゲート電極とを含み、ゲート電極に電圧を印加した場合、チャネル層の導電率を変調するように構成される。ゲート電極は、1GHzを超える周波数において、チャネル層の導電率の変調を許容するように構成した長さを有してもよい。ソース電極およびドレイン電極は、III族窒化物チャネル層の上にあり、絶縁層はゲート電極の上にあり、フィールドプレートは絶縁層の上にあって、ソース電極に電気的に連結している。電界効果トランジスタは、少なくとも4GHzの周波数における連続波またはパルス動作の下で、40W/mm以上の電力密度を示すことができる。
【0015】
更に、この電界効果トランジスタは、チャネル層の上にIII族窒化物バリア層を含んでもよい。ゲート電極はバリア層の上にあってもよく、バリア層とチャネル層は、バリア層とチャネル層との間のインタフェース近くのチャネル層で、二次元電子ガスを協調して誘起する可能性がある。
バリア層には、チャネル層の上にある第一のバリア副層(sublayer)と、その第一のバリア副層の上にある第二のバリア副層とを含めてもよい。第一のバリア副層にはAlNを含めてもよく、第二のバリア副層にはAlGa1−xNを含めてもよく、ここで0.15≦x≦0.45である。
【0016】
もしあれば、第一のバリア副層は最大約4nmの厚さを持ってもよく、第二のバリア副層は約10乃至50nmの厚さをもってもよい。
【0017】
チャネル層には、第一のチャネル副層と、そのチャネル副層の上にある第二のチャネル副層とを含めてもよい。第一のチャネル副層にはGaNを含めてもよく、少なくとも約1×1017/cmのFeドーパントの濃度を持ってもよい。第二のチャネル副層にはGaNを含めてもよく、第一のチャネル副層からの距離とともに減少するFeドーパントの濃度をその中に持ってもよい。
【0018】
フィールドプレートは上部フィールド・プレートであってもよく、電界効果トランジスタには、バリア層の上にあるスペーサ層と下部フィールドプレートとを更に含めてもよく、下部フィールドプレートはゲートに電気的に接続し、ゲート電極のドレイン側面からドレイン電極に向かって、スペーサ層を距離LFD1延びる。上部フィールドプレートは、少なくとも、下部フィールドプレートのドレイン側エッジからドレイン電極に向かって、絶縁層を距離LFD2延びてもよい。1乃至6GHz範囲の動作では、LFD1+LFD2は約1乃至2.5μmであってもよい。特には、LFD1は約0.5μmであってもよく、LFD2は約1.2μmであってもよい。
【0019】
また、下部フィールドプレートは、ソース電極に向かって、スペーサ層を距離約0μm乃至約0.5μm延びてもよい。スペーサ層にはSiNを含めてもよい。
【0020】
少なくとも40W/mmの電力密度を135Vのドレイン電圧で提供することができる。電界効果トランジスタは、50%以上の電力付加効率(PAE)を持つことができる。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態は、少なくとも4GHzの周波数における連続波またはパルス動作の下で、40W/mm以上の電力密度を持つ電界効果トランジスタを提供する。135Vのドレイン電圧で、少なくとも40W/mmの電力密度を提供することができ、電界効果トランジスタは50%以上のPAEを持つことができる。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態は、III族窒化物チャネル層とそのIII族窒化物チャネル層の上にあるゲート電極とを含み、ゲート電極に電圧を印加した場合、チャネル層の導電率を変調するよう構成した電界効果トランジスタを提供する。ゲート電極は、1GHzを超える周波数で、チャネル層の導電率の変調を許容するように構成した長さを持ってもよい。ソース電極およびドレイン電極は、III族窒化物チャネル層の上にあり、絶縁層はゲート電極の上にあり、フィールドプレートは絶縁層の上にあって、ソース電極に電気的に連結している。電界効果トランジスタは、5W/mm以上の電力密度と、少なくとも10GHzの周波数における連続波またはパルス動作の下で60%以上の電力付加効率とを示すことができる。
【0023】
この電界効果トランジスタには、チャネル層の上にあるIII族窒化物バリア層を更に含めてもよい。ゲート電極はバリア層の上にあってもよく、バリア層とチャネル層は、バリア層とチャネル層との間のインタフェース近くのチャネル層で、二次元電子ガスを協調して誘起することができる。
【0024】
バリア層には、チャネル層の上にある第一のバリア副層と、その第一のバリア副層の上にある第二のバリア副層とを含めてもよい。第一のバリア副層にはAlNを含めてもよく、第二のバリア副層にはAlGa1−xNを含めてもよく、ここで、0.15≦x≦0.45である。
【0025】
もしあれば、第一のバリア副層は最大約4nmの厚さを持ってもよく、第二のバリア副層は約10乃至50nmの厚さをもってもよい。
【0026】
チャネル層には、第一のチャネル副層と、そのチャネル副層の上にある第二のチャネル副層を含めてもよい。第一のチャネル副層にはGaNを含めてもよく、少なくとも約1×1017/cmのFeドーパントの濃度を持ってもよい。第二のチャネル副層にはGaNを含めてもよく、第一のチャネル副層からの距離とともに減少するFeドーパントの濃度をその中に持ってもよい。
【0027】
フィールドプレートは上部フィールドプレートであってもよく、更に、電界効果トランジスタには、バリア層の上にあるスペーサ層と下部フィールドプレートとを含めてもよく、下部フィールドプレートはゲートに電気的に接続し、ゲート電極のドレイン側エッジからドレイン電極に向かって、スペーサ層を距離LFD1延びる。上部フィールドプレートは、少なくとも、下部フィールドプレートのドレイン側エッジからドレイン電極に向かって、絶縁層を距離LFD2延びてもよい。LFD1+LFD2は約0.3乃至1.0μmであってもよい。特には、LFD1は約0.25μmであってもよく、LFD2は約0.3μmであってもよい。
【0028】
また、下部フィールドプレートは、ソース電極に向かって、スペーサ層を距離約0μmから約0.5μm延びてもよい。スペーサ層にはSiNを含めてもよい。
【0029】
少なくとも5W/mmの電力密度を28Vのドレイン電圧で提供することができる。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態は、少なくとも10GHzの周波数で、C級モードの連続波またはパルス動作の下で、5W/mm以上の電力密度と60%以上の電力付加効率とを持つ電界効果トランジスタを提供する。
【0031】
5W/mm以上の電力密度を、少なくとも28Vのドレイン電圧で提供することができる。
【0032】
本電界効果トランジスタは、少なくとも10GHzの周波数のC級モードで動作する場合、7W/mm以上の電力密度を持つことができる。7W/mm以上の電力密度を、少なくとも38Vのドレイン電圧で提供することができる。
【0033】
本電界効果トランジスタは、少なくとも10GHzの周波数のC級モードで動作する場合、10W/mm以上の電力密度を持つことができる。10W/mm以上の電力密度を、少なくとも48Vのドレイン電圧で提供することができる。
【0034】
また、本発明の幾つかの実施形態により、上述のトランジスタ特性の様々な組合せおよび/または副組合せを持つトランジスタを提供することができる。
【0035】
本発明の更なる理解を提供するため含まれ、この出願書類に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明のある実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の幾つかの実施形態による単一フィールドプレート構造を持つトランジスタの断面図である。
【図2】本発明の幾つかの実施形態によるデュアルフィールドプレート構造を持つトランジスタの断面図である。
【図3】本発明の更なる実施形態によるデュアルフィールドプレート構造を持つトランジスタの断面図である。
【図4】135Vにバイアスした場合、40W/mmの電力密度と60%の電力付加効率(PAE)を示す幅246μmデバイスに対する、4GHzでの電力スイープグラフである。線形利得は18.5dBであり、関連する大信号利得は16dBである。
【図5】異なるバイアスクラスでの結果を示し、幅246μmデバイスに対する4GHzでの、ドレイン・ソース間電圧VDS対Pout、GainおよびPAEのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ここで本発明について、本発明の実施形態を示す添付図面を参照して、以下に更に十分に説明する。しかしながら、本発明を、本明細書で示す実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全であり、当業者に対して本発明の範囲を十分に伝えるであろうということで、提供されるものである。添付図面においては、層および領域の厚さは、明確化のため誇張されている。同じ番号は、始めから終わりまで同じ要素を示す。本明細書で使用するように、用語「および/または」は、一つ以上の関連するリスト項目の任意および全ての組合せを含む。
本明細書で使用する用語は特定の実施形態のみを説明するためであり、本発明の限定を意図するものではない。本明細書で使用するように、文脈上明確に他の方法で示す場合を除き、単数形「一つの(a、an)」および「その(the)」は、同様に複数形を含むことを意図している。更に理解されるであろうが、用語「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」は、本明細書で使用する場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素および/または部品の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、部品および/またはそれらのグループを排除するものではない。
【0038】
理解されるであろうが、層、領域または基板のような要素を、もう一つの要素「の上に(on)」ある、または、もう一つの要素「の上に(onto)」延ばすとする場合、他の要素の上に直接あることができるか、または他の要素の上に直接延ばすことができ、または、介在要素が存在してもよい。対照的に、要素が、もう一つの要素「の上に直接(directly on)」ある、または、もう一つの要素「の上に直接(directly onto)」延ばすとする場合、介在要素は全く存在しない。また、理解されるであろうが、要素が、もう一つの要素と「接続(connected)」する、または、もう一つの要素と「連結(coupled)」するとする場合、他の要素に直接接続することができるか、または連結することができるか、または、介在要素が存在してもよい。対照的に、要素が、もう一つの要素と「直接接続(direcly connected)」する、または、もう一つの要素と「直接連結(direcly coupled)」するとする場合、介在要素は全く存在しない。
【0039】
理解されるであろうが、本明細書で、各種の要素、部品、領域、層および/または断面を説明するため、第一の、第二の等の用語を使用する可能性があるが、これらの用語で、これらの要素、部品、領域、層および/または断面を限定すべきでない。これらの用語は、一つの要素、部品、領域、層または断面をもう一つの領域、層または断面から区別するために、単に使用される。それ故、以下で説明する第一の要素、部品、層または断面は、本発明の教示から逸脱することなく、第二の要素、部品、層または断面と呼称することができるであろう。
【0040】
更に、図に示すもう一つの要素に対するある要素の関係を説明するため、「より下の(lower)」または「底部の(bottom)」および「より上の(upper)」または「上部の(top)」のような比較用語を本明細書で使用する可能性がある。理解されるであろうが、比較用語は、図に示す方向に加えて、デバイスの異なる方向を包含することを意図している。例えば、図のデバイスを反転するなら、他の要素のより下側にあるとして説明した要素は、他の要素のより上側に置かれるであろう。従って、典型的な用語「より下の」は、図の特定の方向により、「より下の」および「より上の」という両方の方向を包含する。同様に、図の一つにおけるデバイスを反転すると、他の要素「の下に(below、beneath)」として説明する要素は、他の要素「の上に(above)」位置するであろう。従って、典型的な用語「の下に」は、上および下の両方の方向を包含する。更に、用語「の外側に(outer)」は、基板から最も遠く離れた表面および/または層を参照するために使用される可能性がある。
【0041】
本発明の実施形態について、本発明の理想的な実施形態の略図である断面図を参照して、本明細書で説明する。そのため、例えば、製造技術および/または許容誤差の結果として、図の形状からの変化があり得る。それ故、本発明の実施形態を、本明細書で説明する領域の特定の形状に限定されるものと解釈すべきではなく、例えば、製造の結果である偏差を含めるものである。例えば、矩形として図示するエッチング領域は、典型的には、テーパのある、円形または曲線の外観を持つ。それ故、図に示す領域は、実際は略図であり、それらの形状は、デバイスの領域の正確な形状を示すことを意図しておらず、本発明の範囲を限定することを意図してはいない。
【0042】
他の方法で定義しない限り、本明細書で使用する全ての用語(技術的および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術における通常の技術者の一人が共通に理解するものと同じ意味を持つ。更に理解されるであろうが、共通に使用する辞書で定義するような用語は、この明細書の文脈およびその関連技術における意味と一致する意味を持つものと解釈すべきであり、本明細書で明示的にそのように定義しない限り、理想的または過度に公式的意味で解釈されることはないであろう。
【0043】
また、当業者は評価するであろうが、もう一つの外観「に隣接して(adjacent)」配置する構造または外観を参照することは、隣接する外観と重なり合う、または下に横たわる部分を持つ可能性がある。
【0044】
本発明の実施形態は、III族窒化物ベースのHEMTのような窒化物ベースのデバイスにおける使用に、特によく適する可能性がある。本明細書で使用するように、用語「III族窒化物」は、窒素と、通常はアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)および/またはインジウム(In)という周期表のIII族の要素との間で形成される半導体化合物を指す。また、この用語には、AlGaNおよびAlInGaNのような三元化合物および四元化合物も含まれる。当業者はよく理解するように、III族要素は窒素と化合して二元(例えば、GaN)、三元(例えば、AlGaN、AlInN)および四元(例えば、AlInGaN)化合物を形成できる。これらの化合物は全て実験式(empirical formula)であり、1モルの窒素が1モルのIII族要素の1モルの全体と化合する。従って、0≦x≦1でAlGa1−xNのような式が、しばしば、それらを記述するために使用される。
【0045】
本発明の実施形態について特定の構造を参照して説明するが、GaNベースのHEMTを製造するため、他の構造および/または技術もまた、本発明の幾つかの実施形態において利用することができる。そのような構造および/または技術については、例えば、同一出願人による「窒化ガリウムベースのキャップ部分にゲート電極を持つ窒化アルミニウム・ガリウム/窒化ガリウム高電子移動度トランジスタとその製造方法」(特許文献4および特許文献5参照)、Smorchkovaらの「バリア/スペーサ層を有するIII族窒化物ベースの高電子移動度トランジスタ(HEMT)」(特許文献6参照)、「窒化物ベースのトランジスタとエッチング無しのコンタクト凹部を使用するその製造方法」(特許文献7参照)、「電荷移動誘起のエネルギ・バリアを持つ窒化物へテロ接合トランジスタとその製造方法」(特許文献8参照)、「キャップ層と凹形ゲートを持つ窒化物ベースのトランジスタの製造方法」(特許文献9参照)、「再成長オーム性電極領域をもつ窒化物ベースのトランジスタの製造方法と再成長オーム性電極領域をもつ窒化物ベースのトランジスタ」(特許文献10参照)、「ハイブリッド・チャネル層を持つ半導体デバイス、カレント・アパーチャ・トランジスタおよびその製造方法」(特許文献11参照)、「絶縁ゲートAlGaN/GaN HEMT」(特許文献12参照)、および「窒化物ベースのトランジスタのためのキャップ層および/またはパッシベーション層、トランジスタ構造およびその製造方法」(特許文献13参照)で説明されているものを含んでもよく、あたかもそれらの全体で説明しているように、その公開内容を本明細書に組み込んでいる。
【0046】
本発明の幾つかの実施形態は、少なくとも4GHzの周波数で、40W/mm以上の電力密度を持つワイドバンドギャップの電界効果トランジスタを提供する。更に、このトランジスタは、4GHzで少なくとも60%、および/または10GHzで少なくとも60%の電力付加効率(PAE)を提供できる。幾つかの実施形態では、3dBより多くない圧縮で、電力密度および/またはPAEを獲得する。
【0047】
本発明の幾つかの実施形態は、第二のフィールドプレートをトランジスタのソース電極に接続するデュアルフィールドプレート構成を持つワイドバンドギャップの電界効果トランジスタを提供する。そのようなトランジスタは、改善された電力能力と削減されたゲート対ドレイン間のフィードバック容量を有することができる。
【0048】
本発明の幾つかの実施形態による典型的なデバイスを、図1乃至図3に簡略化して示す。しかしながら、本発明の実施形態は、本明細書で説明した特定の典型的な実施形態に限定されると解釈すべきでなく、本明細書で説明するようなトランジスタ特性を提供する任意の適当な構造を含むことができる。
【0049】
図1を見ると、単一のフィールドプレート構造を持つ部分的なHEMTデバイス構造100が示されている。この構造100は、窒化物ベースのデバイスを形成することのできる基板12を含む。本発明の特定の実施形態では、基板12は、例えば、シリコンカーバイドの4Hポリタイプで可能な半絶縁性シリコンカーバイド(SiC)基板であってもよい。他のシリコンカーバイド候補のポリタイプには、3C、6Hおよび15Rポリタイプを含む。用語「半絶縁性」は、相対的意味で使用している。本発明の特定の実施形態では、シリコンカーバイドのバルク結晶は、室温で約1×10Ω−cmに等しいか、それより高い抵抗を持つ。
【0050】
シリコンカーバイド基板とデバイスの残りの部分との間に、適当な結晶構造遷移を提供するため、AlNバッファ層14を備えてもよい。バッファ層14は、約100nmから約500nmまでの厚さを有することができる。特定の実施形態では、バッファ層14は約200nmの厚さを有することができる。
【0051】
上述したように、追加のバッファ層、遷移層、および/または核生成層を、基板12とチャネル層16との間に備えてもよい。例えば、ひずみをバランスさせる遷移層を、例えば、同一出願人による「ひずみバランス窒化物へテロ接合トランジスタおよびひずみバランス窒化物へテロ接合トランジスタの製造方法」(特許文献14参照)、または、「ひずみ補償半導体構造およびひずみ補償半導体構造の製造方法」(特許文献15参照)に記述されているように提供してもよい。これらは、あたかも本明細書で説明しているように参照され、その公開内容を本明細書に組み込む。
【0052】
適当なSiC基板は、例えば、本件特許出願人によって生産され、製造方法については、例えば、特許文献16、17、18、および19で説明されるとおりであり、それらは全体を参照され、その内容は本明細書に組み込まれる。同様に、III族窒化物のエピタキシャル成長技術については、例えば、特許文献20、21、22、および23で説明されており、それらは全体を参照され、その内容も本明細書に組み込まれる。
【0053】
シリコンカーバイドを基板材料として使用してもよいが、本発明の実施形態は、サファイア、窒化アルミニウム、窒化アルミニウム・ガリウム、窒化ガリウム、シリコン、GaAs、LGO、ZnO、LAO、InPおよび同様のもののような任意の適当な基板を利用してもよい。幾つかの実施形態では、使用する基板のタイプに適切なバッファ層を形成してもよい。例えば、サファイア基板を使用する実施形態では、バッファを、特許文献24で提供されるように形成してもよい。
【0054】
更に図1を参照すると、バッファ層14の上にチャネル層16を備える。チャネル層16は、圧縮ひずみを受ける可能性がある。更に、チャネル層16、バッファ層14および/または核生成層および/または遷移層は、MOCVDによって、または、MBEまたはHVPEのような当事業者には既知の他の技術によって、堆積させることができる。
【0055】
本発明の幾つかの実施形態では、チャネル層16は、III族窒化物を含み、特に、GaNを含む。チャネル層16は、ドープしない(無意識にドープされている)、および/またはドーパントでドープしてもよく、約20Å以上の厚さまで成長させてもよい。本発明の特定の実施形態では、チャネル層16はGaNであり、約1.6μmの厚さを持つ。
【0056】
図1に示すように、チャネル層16は、バッファ層14の上に形成された第一のチャネル副層16Aと、第一のチャネル副層16Aの上に形成された第二のチャネル副層16Bとを含むことができる。第一のチャネル副層16Aは、約0.1μm乃至8.0μmの厚さを持ってもよい。第一のチャネル副層16Aは、少なくとも約1×1017/cmの濃度でFeをドープしてもよく、特には、約1×1018/cmのFe濃度を持ってもよい。
【0057】
化学気相成長を使用して第一のチャネル副層16Aを形成する場合、Feドーパントを提供するために、フェロセンのような有機金属原料ガスを使用してもよい。第一のチャネル副層16Aの成長が完了した後にFe原料ガスを停止すると、幾らかの残留Feが後続の成長層内に組み込まれる可能性がある。即ち、Fe原料ガスが停止した後でも、幾らかのFe原料材料が成長装置内に残る可能性があり、エピタキシャル層におけるFeの濃度が原料停止後に比較的ゆっくり減少する原因となる可能性がある。従って、第二のチャネル副層16Bを第一のチャネル副層16Aの上に提供してもよい。第二のチャネル副層16Bは、約0.2μm乃至2.0μmの厚さを持ってもよく、意図せずにドープされてもよい。しかしながら、上記で注意したように、第二のチャネル副層16Bには、第一のチャネル副層16Aからの距離とともに減少するようなFeドーパントの濃度を含めてもよい。
【0058】
特定の実施形態では、第一のチャネル副層16Aは約0.8μmの厚さを持ち、第二のチャネル副層16Bは約0.8μmの厚さを持つ。
【0059】
チャネル層16の上にはバリア層18を提供する。バリア層18は、チャネル層16のバンドギャップより大きなバンドギャップを持ってよく、また、バリア層18は、チャネル層16より小さい電子親和力を持ってもよい。
【0060】
バリア層18をチャネル層16の上に形成することができる。本発明の幾つかの実施形態では、バリア層は、チャネル層16の上の第一のバリア副層18Aと、第一のバリア副層18Aの上の第二のバリア副層18Bを含む。第一のバリア副層18AはAlNを含んでもよく、最大約4nmの厚さを持ってもよい。第二のバリア副層18BはAlGa1−xを含んでもよく、約10nm乃至50nmの厚さを持ってもよい。第二のバリア副層18Bは、約15%乃至45%(即ち、0.15≦x≦0.45)のモル比を持ってもよい。特定の実施形態では、第一のバリア副層18Aは約0.8nm厚であってもよい。第二のバリア副層18Bは約25nmの厚さを持ってもよく、約25%(即ち、x≒0.25)のアルミニウムのモル比を持ってもよい。
【0061】
本発明のある実施形態によるバリア層の例については、Smorchkovaらの「バリア/スペーサ層を有するIII族窒化物ベースの高電子移動度トランジスタ(HEMT)」(特許文献25参照)において説明されており、これは、あたかも本明細書で十分説明しているように参照され、その内容は本明細書に組み込まれる。
【0062】
本発明の特定の実施形態では、バリア層18は十分厚く、分極効果を通してチャネル層16とバリア層18との間のインタフェースで、顕著なキャリア濃度を誘起するために、十分高いAl合成とドーピングを有する。
【0063】
ゲート電極24をバリア層18の上に提供する。バリア層18を通して、上におよび/または延びて、ソース電極およびドレイン電極をオーム性電極として提供する。バリア層18を通してチャネル層16へ低抵抗接続を持つように、(例えば、焼結により)オーム性電極を処理する。例えば、電子ビーム蒸着によってバリア層18の上にソース電極20およびドレイン電極22を形成してもよく、例えば、約880℃でアニールしてもよい。それ故、図1に示すように、処理の後、オーム性電極20および22は、バリア層18を通してチャネル層16まで延びてもよい。ゲート24をソース20に対して適当な電圧でバイアスすると、チャネル層16とバリア層18との間のインタフェース近傍のチャネル層16に誘起される2DEGチャネル26を通して、電流がソース電極20およびドレイン電極22との間を流れることができる。
【0064】
ゲート24は、例えば、電子ビーム蒸着を使用して形成してもよく、厚さ約50乃至500nmのニッケル層と、厚さ約100乃至1000nmの金層とを有するNi/Au構造を含むこともできる。特定の実施形態では、ゲート24は、約20nmのニッケルと、約450nmの金を含むことができる。
【0065】
ゲート24は、(20GHz乃至1GHzの範囲における動作のため)約0.35乃至2.0μmのゲート長Lを有することができる。具体的には、4GHzでの動作には、ゲート24は約0.55μmのゲート長Lを有することができる。10GHzでの動作には、ゲート24は約0.5μmのゲート長Lを有することができる。ゲート長(L)は、ゲートの下のキャリアの走行時間に影響を与える。言い換えると、デバイスの動作周波数に影響を与える。
【0066】
非導電性の第一のスペーサ層62を、ゲート24と、ソース電極20およびドレイン電極22との間のバリア層18の上に提供する。第一のスペーサ層62には、厚さ約50乃至300nmを持つSi(2≦x≦4、3≦y≦5)を含めてもよい。特定の実施形態では、第一のスペーサ層62には、厚さ約200nmを持つSiの層を含めてもよい。
【0067】
デバイスのメタライゼーションの前に、第一のスペーサ層62を形成することができる。幾つかの実施形態では、バリア層18を形成するために使用したものと同じエピタキシャル成長技術を使用して、第一のスペーサ層62を成長させることができる。第一のスペーサ層62は、AlGa1−xN(0≦x≦1)である適当なスペーサ層材料とともに、Al、GaまたはIn合金のような、異なるIII族要素を持つIII族窒化物材料のエピタキシャル材料を含むことができる。あるいは、スペーサ層62は、Si、SiO、Si、Ge、MgO、MgN、ZnO合金および/またはそれらの層シーケンスを含むことができる。SiN、SiON、SiO、MgNおよび同様なものの参考は、化学量論および/または非化学量論を参照する。
【0068】
第一のスペーサ層62は、第一のフィールドプレート64の下のバリア層18を覆うことのみに必要であるように、第一のフィールドプレート64とバリア層18との間の分離を提供するように配置される。しかしながら、製造を容易にするため、バリア層18の上部表面全体の上に第一のスペーサ層62を形成してもよい。
【0069】
次に、ゲート24に開口部を提供するため、第一のスペーサ層62を選択的にエッチングすることができる。また、ソース電極20およびドレイン電極22のためにも、開口部をエッチングする。メタライゼーションの間、ゲート24は、バリア層18を有する電極内にあるように形成してもよい。
【0070】
第一のフィールドプレート64は、ゲート24と一体に形成してもよく、1乃至6GHzでの動作のためには、ゲート24のドレイン側エッジよりドレイン電極22に向かって1乃至2.5μmの範囲の距離LFD1、スペーサ層62の上を延びてもよい。10GHzでの動作に対しては、第一のフィールドプレート64は、0.2乃至0.6μmの範囲の距離LFD1、ドレイン電極22に向かって延びてもよい。第一のフィールドプレート64は、0乃至0.5μmの範囲の距離LFS、ゲート24のソース側エッジよりソース電極20に向かって延びてもよい。特定の実施形態では、1乃至6GHz範囲の動作に対して、第一のフィールドプレート64は、ドレイン電極22に向かって約1μmの距離LFD1、およびソース電極20に向かって約0.3μmの距離LFS、延びてもよい。10MHz範囲における動作に対しては、第一のフィールドプレート64は、ドレイン電極22に向かって0.25μmの距離LFD1、延びてもよい。
【0071】
第一のフィールドプレート64は、例えば、ゲート24との一体的形成によって、ゲート24に電気的に接続してもよい。ゲート24と第一のフィールドプレート64との間に効果的に電流を広めるために、十分な導電性経路が利用可能である限り、第一のフィールドプレート64は、ゲート24から連続的に延びることができるか、またはゲート電極24のソースまたはドレインのどちらかの側、または両方との接続に割れ目/孔を持つことができる。
【0072】
第一のフィールドプレート64は、ゲート24と一体で形成してもよいので、例えば、電子ビーム蒸着を使用して第一のフィールドプレート64を形成してもよく、第一のフィールドプレート64には、厚さ約50乃至500nmのニッケル層と、厚さ約100乃至1000nmの金層とを有するNi/Au構造を含めてもよい。特定の実施形態では、第一のフィールドプレート64には、約20nmのニッケルと、約450nmの金とを含めてもよい。
【0073】
ソースオーム性電極およびドレインオーム性電極は、チタニウム、アルミニウム、金またはニッケルの合金を含むが、それには限定されない異なる材料から作ることができる。また、ゲート24および第一のフィールドプレート64は、金、ニッケル、白金、チタニウム、クロミウム、チタニウムとタングステンとの合金、または白金シリサイドを含むが、それに限定はされない異なる材料から作ることができる。
【0074】
フィールドプレートを有するトランジスタおよびそのようなトランジスタの製造方法については、例えば、「ゲート・ソース間フィールドプレートを有するワイドバンドギャップトランジスタ」(特許文献26参照)、「フィールドプレートを有するワイドバンドギャップトランジスタデバイス」(特許文献27参照)、「フィールドプレートを有するワイドバンドギャップの電界効果トランジスタを含むカスコード増幅器構造」(特許文献28参照)、および「単一または多重ゲート・フィールドプレートの製造」(特許文献29参照)で説明されており、これらは、それらの全体が説明されるように参照して、その内容が本明細書に組み込まれる。
【0075】
ゲート長に対して直角の方向に延びる(即ち、図1におけるページに入る、および出る)ゲート電極24の寸法は、本明細書ではゲート幅Wとする。電力密度は、異なるサイズのデバイス間の比較を可能とする正規化デバイス特性である。ゲート幅mmあたりのワット数における電力出力、即ち、W/mmとして電力密度を定義する。
【0076】
図2を参照すると、デュアルフィールドプレート構造を有するトランジスタ構造200が示されている。第二のトランジスタ構造200は、図1に示す第一のトランジスタ構造100に類似の要素と特徴を含み、例えば、第二のトランジスタ構造200は、基板12の上に連続して形成したバリア層14、チャネル層16およびバリア層18を含む。第二のトランジスタ構造200の基板12、バリア層14、チャネル層16およびバリア層18は、第一のトランジスタ構造100に関して上述したように形成することができる。
【0077】
第二のトランジスタ構造200は、バリア層18の上に第一のスペーサ層62を含む。しかしながら、第二のトランジスタ構造では、第一のスペーサ層62は約50乃至200nmの厚さを持ってよく、特には、約100nmの厚さを持ってよい。
【0078】
また、第二のトランジスタ構造200は、一体となっている第一のフィールドプレート64を有するゲート24を含む。ゲート24および第一のフィールドプレート64は、上述したように形成することができる。しかしながら、第二のトランジスタ構造200では、第一のフィールドプレート64は、ドレイン電極22に向かって約0.5μmの距離LFD1、延びてもよい。
【0079】
第二のトランジスタ構造200は、デュアルフィールドプレート構造を含む。特に、第二の非導電性スペーサ層72を、第一のフィールドプレート64および第一のスペーサ層62の上に形成することができる。第二のスペーサ層72は、SiN、SiO、Si、Ge、MgO、MgN、ZnO合金および/またはそれらの層シーケンスを含むことができる。第二のスペーサ層72を、スパッタ堆積、プラズマ化学気相成長(PECVD)または他の処理によって形成してもよい。第二のスペーサ層72は、第一のスペーサ層62と同じ材料または材料の層から形成することができ、全体で50乃至200μmの範囲の厚さを持つことができる。特定の実施形態では、第二のスペーサ層72は、Siを含んでもよく、約100nmの厚さを持ってもよい。
【0080】
第二のフィールドプレート74は、図2に示すように、ゲートに重ね合わせてもよい。あるいは、ゲート24のエッジ24Aと第二のフィールドプレート74の始めのエッジとの間にスペースがあってもよい。第二のフィールドプレート74は、第一のフィールドプレート64のドレイン側エッジからドレイン電極22に向かって、距離LFD2延び、その距離は、1乃至6GHzで高い電力密度(例えば、40W/mm)を得るため、1.0乃至2.0μmの範囲にあることができる。10GHzでの動作では、LFD2は0.3乃至1.0μmの範囲を持ってもよい。1乃至6GHzでの動作に対する特定の実施形態では、第二のフィールドプレート74は、ドレイン電極22に向かって約1.2μmの距離LFD2まで延び、第一のフィールドプレート64と第二のフィールドプレート74の全長LFD1+LFD2は、約1乃至2.5μmである。10GHz動作に対しては、第一のフィールドプレート64と第二のフィールドプレート74の全長LFD1+LFD2は、約0.5乃至1.0μmである。特定の実施形態では、10GHzでの動作に対して、LFD1=0.25μm、およびLFD2=0.3μmである。
【0081】
第二のスペーサ層72は、第一のフィールドプレート64と第二のフィールドプレート74との間に電気的分離を提供する。従って、第二のスペーサ層72は、そのような電気的分離を提供するため、少なくとも第一のフィールドプレート64を十分覆ってもよい。
【0082】
図2に概略的に図示している接続80を経由して、ソース電極20に第二のフィールドプレート74を電気的に接続してもよい。あるいは、ゲート24に第二のフィールドプレート74を電気的に接続してもよい。多くの異なる接続構造を使用してもよい。例えば、第二のフィールドプレート74をソース電極20またはゲート電極24に接続するため、導電性バス(図示せず)を使用してもよい。第二のフィールドプレート74の中へ電流を広めるため、多重バスを使用してもよいが、一方、望まない容量を導入するほど活性領域を極端に多く覆わない。
【0083】
第二のフィールドプレート74を形成後、その構造を窒化ケイ素のような誘電性パシベーション層(図示せず)で覆ってもよい。窒化ケイ素の誘電性パシベーション層については、例えば、Wuらの「削減したトラッピングを有するIII族窒化物ベースのFETおよびHEMTとその製造方法」(特許文献30参照)において説明されているように形成してもよく、これは、本明細書で説明されているように参照して、その内容が本明細書に組み込まれる。
【0084】
デュアルフィールドプレート構成は、デバイスにおけるピーク電界を減少でき、ブレークダウン電圧を増加し、トラッピングを削減する結果をもたらすことができる。上述のように構成した場合、ソース接続フィールドプレートを含むデュアルフィールドプレートのシールド効果は、トランジスタデバイスのゲート・ドレイン間容量を削減でき、入力と出力間の分離を高めることができる。
【0085】
フィールドプレートは、ゲートエッジのドレイン側の上の電界分布を再形成し、そのピークを削減できる。このことは、デバイスのブレークダウン電圧を増加させるのみならず、高電界トラッピング効果を削減し、それ故、高周波数での電流−電圧振幅を高める。ゲート接続フィールドプレートを含むフィールドプレート構造のトレード・オフは、低電圧でのゲート・ドレイン間容量の付加と、デバイスの利得を削減する可能性のある、高電圧でのゲート・ドレイン間空乏長の伸長とを含む。しかしながら、本発明の幾つかの実施形態は、望ましい高利得のフィールドプレートを持つワイドバンドギャップの電界効果トランジスタを提供することができる。
【0086】
第一のスペーサ層62の厚さは、第一のフィールドプレート64の下の付加的チャネル空乏の開始電圧に影響を与え、他方、フィールドプレート長(LFD1+LFD2)は、フィールド再形成領域のサイズに影響を与える。良好な周波数性能を維持するためには、基本的設計のガイドラインは、フィールドプレートによる付加容量を、元のゲート容量の10乃至15%に制限することであってもよい。第二のフィールドプレート74とドレインとの間の分離(LDG−LFD1−LFD2)は、早過ぎるブレークダウンを避けるため、>2μmに設定してもよい。ゲート・ソース間距離は約1μmであってもよい。
【0087】
第二のフィールドプレート74を電子ビーム蒸着によって形成してもよく、第一のフィールドプレート64のそれと同じ構成を持ってもよい。即ち、第二のフィールドプレート74には、厚さ約50乃至500nmのニッケル層と、厚さ約100乃至1000nmの金層を含めてもよい。特定の実施形態では、第二のフィールドプレート74には、約20nmのニッケルと、約450nmの金を含めてもよい。
【0088】
第三のトランジスタ構造300を図3に示す。図2に示した第二のトランジスタ構造と同様に、第三のトランジスタ構造300はデュアルフィールドプレート構造を有する。しかしながら、図3に示すように、第三のトランジスタ構造300は、ゲート24と一体で構成はしない第一のフィールドプレート364を有する。バリア層18およびゲート24を覆うように、第一のスペーサ層362を形成し、第一のフスペーサ層362の上に第一のフィールドプレート364を形成する。第二のスペーサ層372は第一のフスペーサ層362および第一のフィールドプレート364を覆い、第二のフィールドプレート374を第二のスペーサ層372の上に形成する。第二のフィールドプレートは、ソース電極20およびドレイン電極22の両方に向かって延びてもよい(即ち、LFS2>0およびLFD2>0)。
【0089】
第一のフスペーサ層362および第二のスペーサ層374を、上記で説明した第一のフスペーサ層62および第二のスペーサ層72と同じ材料で形成してもよく、第一のフィールドプレート364および第二のフィールドプレート374を、上記で説明した第二のフィールドプレート74と同じ材料で形成してもよい。
【0090】
第一のフィールドプレート364および/または第二のスペーサ層372をソース電極20またはゲート電極24に電気的に接続してもよい。
【0091】
幾つかの場合では、第二のデバイス構造200は、第三のデバイス構造300に比較して、改善された安定性および/または信頼性を達成する可能性がある。
【0092】
本明細書で説明した場合を除き、Wuらが非特許文献4で説明しているような従来の製造技術を使用して、典型的なデバイスを製造するエピ構造と処理ステップを実行してもよく、これは、その全体が説明されているように参照され、その内容が本明細書に組み込まれる。
【0093】
(デバイスの例)
単一のフィールドプレート構造を有する第一の典型的なデバイスは、高純度半絶縁性SiC基板12を含む。基板12の上にAlNバッファ層14を形成し、その厚さは約200μmである。バッファ層14の上にGaNの第一のチャネル副層16Aを提供し、その厚さは約0.8μmである。第一のチャネル副層16Aは、約1×1018/cmの濃度でFeをドープする。GaNの第二のチャネル副層16Bは約0.8μmの厚さを持ち、第一のチャネル副層16Aの上に形成される。第二のチャネル副層16Bは無意識にドープされるが、第一のチャネル副層16Aからの距離とともに減少するFeドーパントの残留濃度をその中に持つ。
【0094】
第二のチャネル副層16Bの上に、第一のバリア副層18Aを提供する。第一のバリア層はAlNで形成し、その厚さは約0.8μmである。第二のバリア層18Bは約25%のAlのAlGaNを含み、第一のバリア副層18Aの上に形成され、その厚さは約25nmである。
【0095】
第二のバリア副層18Bの上に、Siで形成される第一のスペーサ層62を提供し、その厚さは約200nmである。
【0096】
ソース電極20とドレイン電極22は、第一のバリア層18Aおよび第二のバリア層18Bを通して延び、それぞれ厚さ約10nm/120nm/30nm/50nm/で、合計の厚さ約220nmのTi/Al/Ni/Auから構成される。また、ゲート電極24は、第二のバリア副層18Bの上に提供され、合計約470nm(20nmのNi/450nmのAu)の厚さのNiAuである。第一のフィールドプレート64が第一のスペーサ層62の上に提供され、ゲート電極24と同じ構成を持つ。更に、Lは0.55μm、LFSは0.3μm、LFD1は1μmである。
【0097】
第二の典型的なデバイスでは、LFD1は0.5μmであり、第一のスペーサ層62の厚さが約100μmであることを除いては、デュアルフィールドプレート構造を持つ第二の典型的なデバイスは、第一の典型的なデバイスと同じような構造を持つ。
【0098】
更に、第二の典型的なデバイスは、第一のフィールドプレート64および第一のスペーサ層62の上に、厚さ約100nmのSiの第二のスペーサ層72を含む。第二のフィールドプレート74はゲートと重なり合い、ドレイン電極22に向かって、約1.2μmの距離LFD2まで延び、第一のフィールドプレート64と第二のフィールドプレート74の合計の長さは、約1.7μmである。第二のフィールドプレート74は、ソース電極に電気的に接続される。
【0099】
第二の典型的な構造は、ゲート幅246μmを持つ。
【0100】
ここで、本明細書で説明した典型的なデバイスの性能について説明する。他の方法で示さない限り、図4および図5に関して以下に説明するデバイスは、上記で説明した第二の典型的な構造を持つデバイスである。しかしながら、本発明の実施形態がこれらの特定のデバイスに限定されると解釈すべきでなく、本明細書で説明する性能特性を提供できる他のデバイスを含む。更に、各種の動作理論について本明細書で説明するが、本発明の実施形態は、特定の動作理論に限定されると解釈すべきではない。
【0101】
第二の典型的なデバイス構造を持つデバイスに対して、4GHzで連続波(CW)パワースィープ(power sweep)を測定し、その結果を図4に示す。室温でのオンウエハ状態で、かつVDS=135VのB級バイアスで、デバイスを測定した。図4から分かるように、デバイスは入力レベル24dBmで40W/mmを超えている。4GHzでの関連する電力付加効率(PAE)は60%、線形利得は18.5dB(大信号利得16dB)であった。
【0102】
異なるバイアスクラスに対する第二の典型的なデバイス構造を持つデバイスの性能を4GHzで測定し、その結果を図5に示す。図5では、28V乃至148Vの範囲のドレイン・ソース間電圧に対して、出力電力Pout、利得およびPAEをプロットしている。
【0103】
第二の典型的なデバイス構造の構成により、ある周波数範囲にわたって、高い利得が可能になる。例えば、また、その構成に対する高利得は、10GHz(即ち、X帯周波数)での高効率、高電力動作に導く。第二の典型的なデバイスに類似のデバイスを10GHzでテストした。Lが0.5μm、LFD1が0.25μm、およびLFD2が0.3μmである以外は、10GHzデバイスは第二の典型的なデバイスと同じ構造であった。
【0104】
10GHzで、そのデバイスは、VDS=28V(C級動作)で63%PAEと5.3W/mm、VDS=38V(C級動作)で64%PAEと7.4W/mm、64%PAEおよびVDS=48V(C級動作)で62%PAEと10.8W/mmを示した。
【0105】
従って、本発明の幾つかの実施形態は、RF、マイクロ波および/またはミリメータ波の周波数で、ワイドバンドギャップの電界効果トランジスタのために改善された電力性能を提供する可能性がある。本発明の幾つかの実施形態は、高効率、高電力および/または高利得動作、および/または高い入力・出力間分離(即ち、減少したゲート・ドレイン間容量CGD)によるより安定な動作を提供することができる。
【0106】
本発明の実施形態について高周波数(>1GHz)動作と結びつけて説明してきたが、本発明の幾つかの実施形態は、より低い周波数での高電圧用途には、より大きな寸法で実装してもよい。
【0107】
図面および明細書では、本発明の典型的な実施形態について開示し、さらに、特定の用語を採用したが、それらは一般的および説明的意味でのみ使用したものであり、限定を目的とするものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界効果トランジスタであって、
III族窒化物チャネル層と、
前記III族窒化物チャネル層の上にあるゲート電極であって、前記ゲート電極に電圧を印加した場合に前記チャネル層の導電率を変調するように構成され、1GHzを超える周波数で前記チャネル層の導電率の変調を可能とするように構成された長さを有する前記ゲート電極と、
前記III族窒化物チャネル層の上にあるソース電極およびドレイン電極と、
前記ゲート電極の上にある絶縁層と、
前記絶縁層の上にあり、前記ソース電極に電気的に連結するフィールドプレートと
を備え、
前記電界効果トランジスタが、少なくとも4GHzの周波数において連続波、またはパルス動作のもとで40W/mm以上の電力密度を示すことを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項2】
III族窒化物バリア層を前記チャネル層の上に更に備え、前記ゲート電極は前記バリア層の上にあり、前記バリア層と前記チャネル層は、前記バリア層と前記チャネル層との間のインタフェース近傍で前記チャネル層において二次元電子ガスを協調して誘起することを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記バリア層は、前記チャネル層の上にある第一のバリア副層と、前記第一のバリア副層の上にある第二のバリア副層とを備え、前記第一のバリア副層はAlNを備え、前記第二のバリア副層はAlxGa1-xN(0.15≦x≦0.45)を備えることを特徴とする請求項2に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項4】
前記第一のバリア副層は約0乃至4nmの厚さを持ち、前記第二のバリア副層は約10乃至50nmの厚さを持つことを特徴とする請求項3に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記チャネル層は、第一のチャネル副層と、前記第一のチャネル副層の上にある第二のチャネル副層とを備え、前記第一のチャネル副層はGaNを備え、少なくとも約1×1017/cmのFeドーパントの濃度を持ち、前記第二のチャネル副層はGaNを備え、前記第一のチャネル副層からの距離とともに減少するFeドーパントの濃度を持つことを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項6】
前記フィールドプレートは上部フィールドプレートを備え、前記電界効果トランジスタは、
前記バリア層の上にあるスペーサ層と、
前記ゲートに電気的に接続し、前記ドレイン電極に向かって前記ゲート電極のドレイン側から前記スペーサ層を横切って距離LFD1延びる下部フィールドプレートとを更に備え、
前記上部フィールドプレートは前記ドレイン電極に向かって前記下部フィールドプレートのドレイン側エッジから距離LFD2延び、LFD1+LFD2が約1.0乃至2.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項7】
前記LFD1が約0.5μmであり、前記LFD2が約1.2μmであることを特徴とする請求項6に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項8】
前記下部フィールドプレートが前記ソース電極に向かって前記スペーサ層を横切り、約0μm乃至0.5μmの距離で延びることを特徴とする請求項6に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項9】
前記スペーサ層がSiNを備えることを特徴とする請求項6に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項10】
135Vのドレイン電圧で少なくとも40W/mmの電力密度を提供することを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項11】
前記電界効果トランジスタが50%以上の電力付加効率を持つことを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項12】
電界効果トランジスタであって、
少なくとも4GHzの周波数において連続波またはパルス動作の下で、40W/mm以上の電力密度を持つことを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項13】
135Vのドレイン電圧で、少なくとも40W/mmの電力密度を提供することを特徴とする請求項12に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項14】
前記電界効果トランジスタが50%以上の電力付加効率を持つことを特徴とする請求項12に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項15】
電界効果トランジスタであって、
III族窒化物チャネル層と、
前記III族窒化物チャネル層の上にあるゲート電極であって、前記ゲート電極に電圧を印加した場合に前記チャネル層の導電率を変調するように構成され、1GHzを超える周波数において前記チャネル層の導電率の変調を可能とするように構成された長さを有する前記ゲート電極と、
前記III族窒化物チャネル層の上にあるソース電極およびドレイン電極と、
前記ゲート電極の上にある絶縁層と、
前記絶縁層に上にあり、前記ソース電極に電気的に連結するフィールドプレートと
を備え、
前記電界効果トランジスタが、少なくとも10GHzの周波数において連続波、またはパルス動作の下で、5W/mm以上の電力密度と60%以上の電力付加効率を示すことを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項16】
III族窒化物バリア層を前記チャネル層の上に更に備え、前記ゲート電極は前記バリア層の上にあり、前記バリア層と前記チャネル層は、前記バリア層と前記チャネル層との間のインタフェース近傍で前記チャネル層において二次元電子ガスを協調して誘起することを特徴とする請求項15に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項17】
前記バリア層は、前記チャネル層の上にある第一のバリア副層と、前記第一のバリア副層の上にある第二のバリア副層とを備え、前記第一のバリア副層はAlNを備え、前記第二のバリア副層はAlGa1−xN(0.15≦x≦0.45)を備えることを特徴とする請求項16に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項18】
前記第一のバリア副層は約0乃至4nmの厚さを持ち、前記第二のバリア副層は約10乃至50nmの厚さを持つことを特徴とする請求項17に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項19】
前記チャネル層は、第一のチャネル副層と、前記第一のチャネル副層の上にある第二のチャネル副層とを備え、前記第一のチャネル副層はGaNを備え、少なくとも約1×1017/cmのFeドーパントの濃度を持ち、前記第二のチャネル副層はGaNを備え、前記第一のチャネル副層からの距離とともに減少するFeドーパントの濃度を持つことを特徴とする請求項15に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項20】
前記フィールドプレートは上部フィールドプレートを備え、前記電界効果トランジスタは、
前記バリア層の上にあるスペーサ層と、
前記ゲートに電気的に接続し、前記ドレイン電極に向かって前記ゲート電極のドレイン側エッジから前記スペーサ層を横切って距離LFD1延びる下部フィールドプレートとを更に備え、
前記上部フィールドプレートは前記ドレイン電極に向かって前記下部フィールドプレートにドレイン側エッジから距離LFD2延び、LFD1+LFD2が約0.3乃至1.0μmであることを特徴とする請求項15に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項21】
前記LFD1が約0.5μmであり、前記LFD2が約1.2μmであることを特徴とする請求項20に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項22】
前記下部フィールドプレートが前記ソース電極に向かって前記スペーサ層を横切り、約0μm乃至0.5μmの距離で延びることを特徴とする請求項20に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項23】
前記スペーサ層はZiNを備えることを特徴とする請求項20に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項24】
電界効果トランジスタであって、
少なくとも10GHzの周波数におけるC級モードで、連続波またはパルス動作の下で動作する場合、5W/mm以上の電力密度と60%以上の電力付加効率とを持つことを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項25】
少なくとも28Vのドレイン電圧で5W/mm以上の電力密度を提供することを特徴とする請求項24に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項26】
少なくとも10GHzの周波数においてC級モードで動作する場合、前記電界効果トランジスタが7W/mm以上の電力密度を持つことを特徴とする請求項24に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項27】
少なくとも38Vのドレイン電圧で7W/mm以上の電力密度を提供することを特徴とする請求項26に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項28】
少なくとも10GHzの周波数においてC級モードで動作する場合、前記電界効果トランジスタが10W/mm以上の電力密度を持つことを特徴とする請求項24に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項29】
少なくとも48Vのドレイン電圧で10W/mm以上の電力密度を提供することを特徴とする請求項28に記載の電界効果トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−84976(P2013−84976A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−274320(P2012−274320)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2009−502811(P2009−502811)の分割
【原出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】