高周波、冷陰極、三極管タイプ、フィールドエミッタ真空管チューブおよびその製造方法
陰極構造(12)、陰極構造(12)から離間された陽極構造(13)および制御格子(15)を含み、陰極構造(12)および陽極構造(13)は個別に形成されると共にスペーサ(14)を挿設して一緒に接合され、ならびに、制御格子(15)が陽極構造(12)に組み込まれている、高周波、冷陰極、三極管タイプ、フィールドエミッタ真空管が本明細書において開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、高周波用途用の半導体真空管の群に属するミクロ/ナノサイズの装置に関し、より具体的には、高周波、冷陰極、三極管タイプ、フィールドエミッタ真空管、ならびに、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知であるとおり、過去30年において、特に、Charles Spindtによる彼の冷陰極真空管の製造に関する最初の論文(非特許文献1)が発表された後は、高周波、広帯域、放射線非感応性真空管の製造に新たな関心がある。この新たな関心は、従来の旧世代の真空管により利用されてきた熱電子現象の代わりに、電子ビームを発生させるためにフィールドエミッション現象を利用するこのタイプの電子素子が、進行する一方である小型化に適している、という事実により正当化されている。
【0003】
実際には、従来の真空管は電子放射のために熱電子陰極を使用するという制限をうけており、この陰極は、電子を放射するために約800から1200℃もの高い動作温度に達する必要があり、結果として、真空管を作動させるために必要な電力の管理(低電力、すなわち10W未満で作動する管において、陰極を加熱するために必要な電力は動作電力より高い場合がある)およびいわゆる加熱時間(熱電子効果開始時間)の管理に関連する問題、ならびに、高周波用途では陰極に近すぎていた(<25μm)制御格子の安定化にも関連する問題が伴った(例えば非特許文献2を参照のこと)。
【0004】
逆に、Spindtにより提案されたフィールドエミッションアレイ(FEA)陰極(一般にSpindt陰極として公知である)を有する真空管は、真空電子工学によりもたらされる利点を享受することが可能であり、すなわち、真空においては半導体材料よりもより速い速度に達するという電子の特性を享受することが可能である。すべてのこれらの利点は実質的に加熱時間なしで達成され、電極の熱による不安定性問題を伴うことなく制御格子を陰極に近接して配置することが可能であり、それ故、より高い動作周波数(公称GHzからTHz)に達して、熱電子管において必要とされるよりも低い電力で電子生成プロセスを開始させることが可能である。
【0005】
特に、Spindt陰極は、導電性基板上に形成された微細加工された金属フィールドエミッタコーンまたは先端から構成される。各エミッタは、二酸化ケイ素層により基板およびエミッタから絶縁されている、ゲート電極により形成された加速場に、制御格子としても知られる同心状のアパーチャをそれぞれ有する。数十マイクロアンペアを形成することが可能である個別の先端では、大型アレイは、理論的には大きな放射電流密度を形成することが可能である。
【0006】
Spindt陰極の性能は、放出端の、その素材の磨耗による破壊により大幅に限定されており、このために、これら放出端を製造するための画期的な材料の探求に、世界中で多くの試みがなされてきている。
【0007】
特に、Spindt構造は、カーボンナノチューブ(CNT)を冷陰極エミッタとみなすことにより向上された(例えば非特許文献3、または非特許文献4を参照のこと)。カーボンナノチューブは、異なる製造方法を用いて約2から100nmの範囲の直径および数ミクロンの長さで形成されることが可能である、完全に黒鉛化された、円柱状のチューブである。CNTは、事実上最良のエミッタと評価され得(例えば非特許文献5を参照のこと)、Spindtタイプデバイスにおいて理想的なフィールドエミッタであり、これらのフィールドエミッション特性の研究において世界中できわめて多くの試みがなされてきた。
【0008】
図1は、陰極構造2;側壁スペーサ4により陰極構造2から離間された陽極3;および陰極構造2に組み込まれた制御格子5を含む公知のSpindtタイプ冷陰極三極管1の概略図を示す。制御格子5が組み込まれた陰極構造2と陽極3とは個別に形成されており、側壁スペーサ4が挿設されて一緒に接合されている。陽極3は陽極として機能する第1の導電性基板から形成されており、一方で、陰極構造2は、第2の導電性基板7;第2の導電性基板7と格子5との間に配置された絶縁層8;第2の導電性基板7の表面が露出されるよう、格子5および絶縁層8を貫通して形成されたリセス9;ならびに、リセス9中に第2の導電性基板7とオーミック接触で形成されて、陰極として機能するSpindtタイプ放出端10を含む多層構造である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】C.A.Spindtら、Physical properties of thin−film field emission cathodes with molybdenum cones、 Journal of Applied Physics、第47巻、1976年12月、5248から5263ページ
【非特許文献2】C.Bower、W.Zhu、D.Shalom、D.Lopez、G.P.Kochanski、P.L.Gammel、S.Jin、A micromachined vacuum triode using a carbon nanotube cold cathode、IEEE transactions on Electron Devices、第49巻、2002年8月、1478から1483ページ
【非特許文献3】S.Iijima、Helical microtubules of graphitic carbon、Nature、1991年、第354巻、56から58ページ
【非特許文献4】W.Heer、A.Chatelain、D.Ugarte、A carbon nanotube field−emission electron source、Science、1995年、第270巻、第5239号、1179から1180ページ
【非特許文献5】J.M.Bonard、J.−P.Salvetat、T.Stockli、L.Forro、A.Chatelain、Field emission from carbon nanotubes:perspectives for applications and clues to emission mechanism、Applied Physics A、1999年、第69巻、245から254ページ
【非特許文献6】Y.M.Wong、W.P.Kang、J.L.Davidson、B.K.Choi、W.Hofmeister、J.H.Huang、Field emission triode amplifier utilizing aligned carbon nanotubes,Diamond and related materials、2005年、第14巻、11から12号、2069から2073ページ
【非特許文献7】Douglas R.Sparks、S.Massoud−AnsariおよびNader Najafi、Chip−Level Vacuum Packaging of Micromachines Using NanoGetters、IEEE transactions on advanced packaging、第26巻、第3号、2003年8月、277から282ページ
【非特許文献8】Yufeng Jin、Zhenfeng Wang、Lei Zhao、Peck Cheng Lim、Jun WeiおよびChee Khuen Wong、Zr/V/Fe thick film for vacuum packaging of MEMS、Journal of Micromechanics and Microengineering、第14巻、2004年、687から692ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願人は、制御格子が陰極を覆って形成された、公知のSpindtタイプ真空管のトポグラフィ配置構成が、特に以下のような異なる問題を被ることに注目した。
・制御格子に組み込まれた放出端の製造は、典型的には、多層構造(導電性基板−絶縁性酸化物−格子金属)中に放出陰極を配置する必要があるために複雑な技術的プロセスを必要とし、このプロセスは、典型的には、数多くの技術的ステップを必要とし、その複雑さは、異なる技術を統合する困難性に起因する。カーボンナノチューブ製の放出陰極に関しては、その後のカーボンナノチューブの成長を、この目的のために用いられる典型的な技術(HF−CVD、PE−CVD、レーザアブレーション)を用いることにより可能とするよう、例えば、基板の製造に関連する技術的ステップ、従って、典型的には製造に用いられる材料および構造のトポグラフィに関連する技術的ステップを研究する必要がある;
・絶縁層における開口から出る放出端を備えるデバイスにおいて、例えばカーボンナノチューブが放出端として用いられる場合には、制御格子の陰極に対する近接度は、制御格子と放出端との間に短絡を生じさせ、結果的にこのデバイスの機能不良を生じさせ得る;
・金属格子は陰極により放出された電子の無視できない割合を吸収し(約10%、例えば非特許文献6を参照のこと)、従って、デバイス性能を悪化させる;ならびに
・このタイプのデバイスの動作周波数は、格子と陰極との間の寄生キャパシタンスによって大きく制限されている。実際には、格子および陰極は2枚の平坦、かつ、平行な平面としてモデルされ得ると仮定すると、寄生キャパシタンスはC=ε0εr(A/d)であり、式中、ε0は真空誘電率であり、εrは陰極と格子との間の絶縁材料の比誘電率であり、Aは格子の面積であり、およびdは陰極と格子との間の距離である。前述のことから、このタイプのデバイスの動作周波数は、デバイス自体のトポグラフィ特徴に大きく依存していることが明らかである。
【0011】
本発明は、従って、前述の欠点を少なくとも克服することが可能である冷陰極真空管の画期的なトポグラフィ配置構成、ならびに、画期的な製造方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、添付の特許請求の範囲に定義されているとおり、高周波、冷陰極、三極管タイプ、フィールドエミッタ真空管に関すると共に、その製造方法に関する本発明により達成される。
【0013】
本発明は、真空管の典型的なトポグラフィを変更することにより、特に、公知のSpindtタイプ真空管にあるとおり陰極を覆うのではなく陽極を覆って制御格子を形成し、次いで、陽極およびこれを覆って形成された制御格子と、陽極(および格子)とは常に個別に製造される陰極とを、スペーサを挿設して組み立てることにより前述の目的を達成する。陽極を覆う格子の形成の最中に、陽極と格子との間に追加の絶縁層を形成し、漏れ電流を低減させることが好都合である。
【0014】
本発明のより良好な理解のために、純粋に一例として意図され、制限的であるとして解釈されるべきではない好ましい実施形態を、添付の図面(すべてが縮尺どおりではない)を参照して説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、公知のSpindtタイプ冷陰極三極管の概略図を示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態による高周波冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管の概略図を示す。
【図3a】図3aは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3b】図3bは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3c】図3cは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3d】図3dは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3e】図3eは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3f】図3fは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3g】図3gは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3h】図3hは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3i】図3iは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3j】図3jは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3k】図3kは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3l】図3lは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図4a】図4aは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4b】図4bは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4c】図4cは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4d】図4dは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4e】図4eは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4f】図4fは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4g】図4gは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4h】図4hは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4i】図4iは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4j】図4jは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4k】図4kは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4l】図4lは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4m】図4mは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図5a】図5aは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5b】図5bは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5c】図5cは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5d】図5dは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5e】図5eは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5f】図5fは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5g】図5gは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5h】図5hは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5i】図5iは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5j】図5jは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5k】図5kは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5l】図5lは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5m】図5mは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5n】図5nは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5o】図5oは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5p】図5pは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5q】図5qは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の上面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態による、ゲッター材料が設けられたSpindtタイプ冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の考察は、当業者が本発明を形成しおよび実施することを可能とするために提示されている。実施形態に対する種々の変更は当業者に対して直ちに明らかであり、本明細書における一般的原理は、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適応され得る。それ故、本発明は表示の実施形態に限定されることは意図されず、本明細書において開示されていると共に添付の特許請求の範囲に定義されている原理および機構に一致する最も広い範囲に従うことが意図される。
【0017】
図2は、本発明の実施形態による高周波冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管の概略図を示す。
【0018】
11が付された冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管は、陰極構造12;側壁スペーサ14により陰極構造12から離間された陽極構造13;および陽極構造13に組み込まれた制御格子15を含む。陰極構造12および組み込まれた格子15を含む陽極構造13は個別に形成され、次いで、側壁スペーサ14を挿設して一緒に接合されている。
【0019】
特に、陰極構造12は、第1の導電性基板16;第1の導電性基板16上に形成された第1の絶縁層17;第1の導電性基板16の表面が露出されるよう、第1の絶縁層17を貫通して形成されたリセス18;ならびに、第1の導電性基板16とオーミック接触でリセス18中に形成されて陰極として機能する、カーボンナノチューブ、ナノワイヤーまたはSpindtタイプ先端の形態の放出端19を含む多層構造である。
【0020】
陽極構造13は、陽極として機能する第2の導電性基板20;第2の導電性基板20と格子15との間に形成された第2の絶縁層21;第2の絶縁層21の表面が露出されるよう格子15を貫通して形成された広幅リセス23と、第2の導電性基板20の表面が露出されるよう第2の絶縁層21を貫通して広幅リセス23中に形成された狭幅リセス24とを含む二重リセス構造;ならびに、格子15と側壁スペーサ14との間に形成され、格子15の側壁をも覆う第3の絶縁層22を含む多層構造である。
【0021】
リセス18,23および24は、放出端19が第2の導電性基板20の露出面に対向すると共に、リセス18,23および24および放出端19が側壁スペーサ14の間に配置されるよう、側壁スペーサ14がリセス18,23および24の外に配置されるような様式で、垂直に位置合わせされている。
【0022】
図3aから3lは、本発明の実施形態による図2の陰極構造12の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図であり、ここで、同一の符号は、同一の構成部品を指す。さらに、単純化する目的のために、以下の説明は、2つの隣接する陰極構造12の製造に言及することとし、陰極構造12のアレイの製造は、単に同一の構造が反復されているリソグラフィマスクの使用を必要とするのみである。
【0023】
図3aから3lを参照すると、例えば二酸化ケイ素(SiO2)製の1から5μm厚の絶縁層17が、例えば単結晶ケイ素(Si)製の300μm厚の導電性基板16上に、考慮されている例においては酸化により形成される(図3a)。次いで、例えばフォトレジスト製のマスク層30が例えば蒸着により絶縁層17上に形成され(図3b)、次いで、考慮されている例においては31により指示されるマスクUV露光によりパターン化され(図3c)、その後現像されて、絶縁層17の選択的部分を露出させるアパーチャを備えるマスク32が形成される(図3d)。これらのアパーチャは、有利にはシートに対して直角な方向に延びるストリップの形態であり、互いにおよそ5から20μm離間されており、および1から5μmの幅を有する。
【0024】
マスク32を用いて、絶縁層17の露出された部分がウェットエッチまたはドライエッチされてトレンチ33が絶縁層17に形成され、これらのトレンチ33は絶縁カラム34により横方向に区切られており、導電性基板16まで深さ方向に延び、ならびに、マスク32のアパーチャに対応する形状、幅および間隔を有する(図3e)。さらに、各トレンチ33は、次いで放出端19が形成されることとなる、絶縁層17におけるリセス18のそれぞれを画定する(図2)。
【0025】
次いで、図3f、3gおよび3hに示される第1の実施形態においては、マスク32が除去される(図3f)と共に、垂直に位置合わせされたカーボンナノチューブ放出端19(図3h)が、20nm厚の触媒層35(例えばFeまたはNi)をウェハ上にキャスティングにより蒸着させることにより、トレンチ33中に合成される(用いられ得る溶液は、例えば、アセトン中のFe(NO3)3・9H2Oである)(図3g)。
【0026】
第2の、図3iおよび3lに示される代替的な実施形態においては、マスク32は除去されず、ウェハ上にスパッタリングにより蒸着される20nm厚の触媒層35用のマスクとして用いられ(図3i)、次いで、絶縁カラム34とトレンチ33の側壁とからリフトオフ技術を用いることにより除去される(図3l)。
【0027】
第3の、代替的な実施形態(図示せず)においては、さらなるリソグラフィステップが、トレンチ33における触媒層35をパターン化するために提供され得る。
【0028】
カーボンナノチューブ放出端19が、図3fおよび3gを参照して既述したとおり、すなわち、キャスティングにより蒸着された溶液における触媒から成長される場合、選択性は、反応チャンバにおけるFe(NO3)3を還元させることにより保証され、この還元は、導電性基板16のリソグラフィプロセスを経て露出された領域でのみ生じ、一方で、カーボンナノチューブ放出端19が、図3iおよび3lを参照して既述したとおり、すなわち、スパッタリングにより蒸着された触媒を経て成長される場合、選択性は、触媒が存在する領域を画定するリソグラフィプロセスにより保証され、この触媒は、合成の最中にクラスター化されなければならない。
【0029】
図4aから4mは、本発明の実施形態による図2の陽極構造13の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図であり、ここで、同一の符号は、同一の構成部品を指す。さらに、単純化する目的のために、以下の説明は、2つの隣接する陽極構造13の製造に言及することとし、陽極構造13のアレイの製造は、単に同一の構造が反復されているリソグラフィマスクの使用を必要とするのみである。
【0030】
図4aから4mを参照すると、例えば二酸化ケイ素(SiO2)製の数ミクロンから数十ミクロンの厚さを有する絶縁層21が、例えば単結晶ケイ素(Si)製の300μm厚の導電性基板20上に、考慮されている例においては酸化により形成される(図4a)。次いで、例えばフォトレジスト製の第1のマスク層36が例えば蒸着により絶縁層21上に形成され(図4b)、次いで、考慮されている例においては37により指示されるマスクUV露光によりパターン化され(図4c)、絶縁層21の選択的部分を露出させるアパーチャを備える第1のマスク38が形成されるようその後現像される(図4d)。これらのアパーチャは、有利にはシートに対して直角な方向に延びるストリップの形態であり、互いにおよそ5から50μm離間されており、および1から5μmの幅を有する。
【0031】
第1のマスク38を用いて、絶縁層21の露出された部分がウェットエッチまたはドライエッチされてトレンチ39が絶縁層21に形成され、これらのトレンチは絶縁カラム40により横方向に区切られており、導電性基板20まで深さ方向に延び、ならびに、第1のマスク38のアパーチャに対応する形状、幅および間隔を有する(図4e)。
【0032】
次いで、第1のマスク38が除去され(図4f)、トレンチ39を完全に埋めると共に絶縁カラム40を覆う例えばフォトレジスト製の第2のマスク層41が、考慮されている例においては蒸着により形成される(図4g)。次いで、第2のマスク層41は、第2のマスク層41の絶縁カラム40上の部分のみが露出される一方で第2のマスク層41のトレンチ39上の部分が覆われたままにされるよう、考慮されている例においては42により指示されるマスクUV露光によりパターン化され(図4h)、その後、トレンチ39の底壁および側壁を完全に覆うと共に絶縁カラム40上にも約1から50μm部分的に延在する第3のマスク43が形成されるよう現像される(図4i)。
【0033】
次いで、50から500nm厚の金属格子層44が、トレンチ39を完全に埋めると共に絶縁カラム40を覆うように例えば蒸着によりウェハ上に形成され(図4l)、次いで、第3のマスク43により露出された絶縁カラム40の領域を除いて、ウェハの全表面のすべてにわたってリフトオフプロセスを用いて除去され、これにより格子15が形成される。最後に、格子15を覆って格子の放出端19との短絡を防止する目的を有する格子絶縁層22が、考慮されている例においては酸化により、格子15上に陽極処理により形成され、それ故、格子の内部垂直側が絶縁カラム40の内部垂直側から1から20μm離間されたままである図4mに示される構造が得られ、これにより、放出された電子は酸化物により被覆されている格子15によっては集められないため漏れ電流が著しく制限される。通則として、格子15の寸法は格子−トレンチ距離および格子−格子距離に依存するため、格子15は、冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管11の設計用途に応じて変更され得る構造配列プロセスに一致して寸法化されなければならない。
【0034】
陰極構造12と、図3および4を参照して記載されているとおり形成された格子15が組み込まれた陽極構造13とが位置合わせされ、側壁スペーサ14の挿設およびこれらの間の真空の形成を介して接合される(真空接合)。側壁スペーサ14の機能は、陰極構造12と陽極構造13との間の電気絶縁性の形成および効果的な真空接合の形成を許容するものである。特に、陽極接合、ガラスフリット接合、共融点接合、はんだ接合、反応接合および融着接合を含む標準的なウェハ−ウェハ真空接合技術が、陰極構造12および陽極構造13を結合するために用いられ得る。
【0035】
このタイプのパッキング技術の主な問題の1つは、陰極構造12と陽極構造13との間の空洞内で達する圧力に関係している。例えば、陽極接合においては、空洞内の圧力は酸素の発生により100から400Torrの値に達し、一方で、はんだ接合においてこの空洞内の圧力はガス脱着により2Torrの値に達し、この圧力は、ウェハがアセンブリの前に加熱されている場合には、1Torrに低減され得る。従って、真空ウェハ接合技術を用いることによりμTorr未満の圧力を得ることは可能であるが、接合(またはアセンブリ)の結果として生じる材料脱着が生じることとなり、最終圧力は常に比較的高くなってしまう。
【0036】
フィールドエミッタ真空管11の良好な作動のためには高品質の真空が必要であるため、本発明の他の態様によれば、通例ゲッターとして知られる、Ba、Al、Ti、Zr、V、Feなどの特に反応性の材料を含有する領域の形成は、適切に励起される場合には、接合の最中に脱着した分子の捕獲を可能とする。ゲッター材料の詳細な説明については、非特許文献7、および非特許文献8が参考になり得る。
【0037】
ゲッター材料の本明細書中以降11’により指示されるフィールドエミッタ真空管への導入は、図5aから5qに示されるとおり陽極構造13の製造プロセスにおける追加のステップによりなされ得、ここで、図5aから5gは図4aから4gと同一であり、従って再度説明はしないこととする。
【0038】
図5aから5qを参照すると、一旦第1のマスク38が除去される(図5f)と共に第2のマスク層41が形成されると(図5g)、第2のマスク層41は、第2のマスク層41の一方のトレンチ39上の部分のみが露出される一方で第2のマスク層41の絶縁カラム40上および他のトレンチ39上の残りの部分が覆われたままにされるよう、考慮されている例においては45により指示されるマスクUV露光によりパターン化され(図5h)、その後、絶縁カラム40とマスクUV露光の際に露出されていなかったトレンチ39の底壁および側壁とを完全に覆う一方でマスクUV露光の際に露出されていたトレンチ39の底壁および側壁のみを露出されたままにする第3のマスク46が形成されるよう現像される(図5i)。
【0039】
次いで、ミクロン範囲の厚さを有する金属ゲッター層47が例えば蒸着によりウェハ上に形成され(図5l)、次いで、第3のマスク46によって覆われていなかったトレンチ39を除きウェハの全表面のすべてにわたって、リフトオフプロセスを用いて除去した(図5m)。次いで、例えばフォトレジスト製の第3のマスク層48が、トレンチ39を完全に埋めると共に絶縁カラム40を覆うように、考慮されている例においては蒸着によりウェハ上に形成され、次いで、第3のマスク層48の絶縁カラム40上の部分のみを露出させる一方で第3のマスク層48のトレンチ39上の、および特にゲッター層47上の部分が覆われたままにされるよう、考慮されている例においては49により指示されるマスクUV露光によりパターン化される(図5n)。次いで、第3のマスク層48は、ゲッター47を含むトレンチ39を完全に覆うと共に隣接する絶縁カラム40上にも約1から50μm部分的に延在し、ならびに、ゲッター47を含まない他のトレンチ39の底壁および側壁を完全に覆うと共に隣接する絶縁カラム39上にも約1から50mm部分的に延在する第4のマスク50が形成されるよう現像される(図5o)。
【0040】
次いで、50から500nm厚の金属格子層44が、例えば蒸着によりウェハ上に形成され(図5p)、次いで、第4のマスク50により露出された絶縁カラム39の領域を除いて、ウェハの全表面のすべてにわたってリフトオフプロセスを用いて除去され、これにより格子15が形成される。最後に、格子を覆って格子の放出端19との短絡を防止する目的を有する格子絶縁層22が、考慮されている例においては酸化により、格子15上に陽極処理により形成され、それ故、格子の内部垂直側が絶縁カラム39の内部垂直側から1から50μm離間されたままである図5qに示される構造が得られ、これにより、漏れ電流が著しく制限される。格子15およびゲッター47は、上面図において、格子絶縁層22によって完全に覆われているために格子15が視認可能ではない図6に示されるタイプの環状のパターンを有することが好ましい。
【0041】
最後に、格子15およびゲッター47が組み込まれた陽極構造13が陰極構造12に接合されて、図7に示される冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管11’が形成され、ここで、左側は図2に示されるものと同等であると共に右側は構造的にこの左側に類似しており、すなわち、この右側は、第2の絶縁層21の表面が露出されるよう格子15を貫通して形成された広幅リセス51と、第2の導電性基板20の表面が露出されるよう第2の絶縁層21を貫通して広幅リセス51中に形成された狭幅リセス52とを含む二重リセス構造を含み、ここで、広幅および狭幅リセス51,52は側壁スペーサ14により広幅および狭幅リセス23,24から分離されており、ならびに、ゲッター47が狭幅リセス52中に形成されている。
【0042】
本発明によるフィールドエミッタ真空管の利点は前述から明らかである。特に:
・陰極構造12ではなく、陽極構造13への格子15の組み込みは、格子15と放出端19との間のいかなる短絡も防止すると共に、より簡単で、かつ、高度に再現性のある製造プロセスの達成を許容する。
・格子15と側壁スペーサ14との間の追加の絶縁層22、および格子15の内部垂直側が絶縁層21の内部垂直側から離間されているという事実は、漏れ電流を著しく低減させる。
・陽極構造13における導電性基板20および絶縁層21の厚さは、陽極20と格子15との間のより低い寄生キャパシタンスの達成を許容し、結果的に、より高い動作周波数の到達を許容する。
【0043】
最後に、本発明のフィールドエミッタ真空管に数多くの変更および変形をなすことが可能であり、添付の特許請求の範囲に定義されているとおり、そのすべてが本発明の範囲に属する。
【0044】
特に、本発明のフィールドエミッタ真空管の種々の層の厚さおよびそれぞれの製造プロセスの種々のステップは単なる指標であり、特定の必要性に応じて変更され得ることは当業者に理解され得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、高周波用途用の半導体真空管の群に属するミクロ/ナノサイズの装置に関し、より具体的には、高周波、冷陰極、三極管タイプ、フィールドエミッタ真空管、ならびに、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知であるとおり、過去30年において、特に、Charles Spindtによる彼の冷陰極真空管の製造に関する最初の論文(非特許文献1)が発表された後は、高周波、広帯域、放射線非感応性真空管の製造に新たな関心がある。この新たな関心は、従来の旧世代の真空管により利用されてきた熱電子現象の代わりに、電子ビームを発生させるためにフィールドエミッション現象を利用するこのタイプの電子素子が、進行する一方である小型化に適している、という事実により正当化されている。
【0003】
実際には、従来の真空管は電子放射のために熱電子陰極を使用するという制限をうけており、この陰極は、電子を放射するために約800から1200℃もの高い動作温度に達する必要があり、結果として、真空管を作動させるために必要な電力の管理(低電力、すなわち10W未満で作動する管において、陰極を加熱するために必要な電力は動作電力より高い場合がある)およびいわゆる加熱時間(熱電子効果開始時間)の管理に関連する問題、ならびに、高周波用途では陰極に近すぎていた(<25μm)制御格子の安定化にも関連する問題が伴った(例えば非特許文献2を参照のこと)。
【0004】
逆に、Spindtにより提案されたフィールドエミッションアレイ(FEA)陰極(一般にSpindt陰極として公知である)を有する真空管は、真空電子工学によりもたらされる利点を享受することが可能であり、すなわち、真空においては半導体材料よりもより速い速度に達するという電子の特性を享受することが可能である。すべてのこれらの利点は実質的に加熱時間なしで達成され、電極の熱による不安定性問題を伴うことなく制御格子を陰極に近接して配置することが可能であり、それ故、より高い動作周波数(公称GHzからTHz)に達して、熱電子管において必要とされるよりも低い電力で電子生成プロセスを開始させることが可能である。
【0005】
特に、Spindt陰極は、導電性基板上に形成された微細加工された金属フィールドエミッタコーンまたは先端から構成される。各エミッタは、二酸化ケイ素層により基板およびエミッタから絶縁されている、ゲート電極により形成された加速場に、制御格子としても知られる同心状のアパーチャをそれぞれ有する。数十マイクロアンペアを形成することが可能である個別の先端では、大型アレイは、理論的には大きな放射電流密度を形成することが可能である。
【0006】
Spindt陰極の性能は、放出端の、その素材の磨耗による破壊により大幅に限定されており、このために、これら放出端を製造するための画期的な材料の探求に、世界中で多くの試みがなされてきている。
【0007】
特に、Spindt構造は、カーボンナノチューブ(CNT)を冷陰極エミッタとみなすことにより向上された(例えば非特許文献3、または非特許文献4を参照のこと)。カーボンナノチューブは、異なる製造方法を用いて約2から100nmの範囲の直径および数ミクロンの長さで形成されることが可能である、完全に黒鉛化された、円柱状のチューブである。CNTは、事実上最良のエミッタと評価され得(例えば非特許文献5を参照のこと)、Spindtタイプデバイスにおいて理想的なフィールドエミッタであり、これらのフィールドエミッション特性の研究において世界中できわめて多くの試みがなされてきた。
【0008】
図1は、陰極構造2;側壁スペーサ4により陰極構造2から離間された陽極3;および陰極構造2に組み込まれた制御格子5を含む公知のSpindtタイプ冷陰極三極管1の概略図を示す。制御格子5が組み込まれた陰極構造2と陽極3とは個別に形成されており、側壁スペーサ4が挿設されて一緒に接合されている。陽極3は陽極として機能する第1の導電性基板から形成されており、一方で、陰極構造2は、第2の導電性基板7;第2の導電性基板7と格子5との間に配置された絶縁層8;第2の導電性基板7の表面が露出されるよう、格子5および絶縁層8を貫通して形成されたリセス9;ならびに、リセス9中に第2の導電性基板7とオーミック接触で形成されて、陰極として機能するSpindtタイプ放出端10を含む多層構造である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】C.A.Spindtら、Physical properties of thin−film field emission cathodes with molybdenum cones、 Journal of Applied Physics、第47巻、1976年12月、5248から5263ページ
【非特許文献2】C.Bower、W.Zhu、D.Shalom、D.Lopez、G.P.Kochanski、P.L.Gammel、S.Jin、A micromachined vacuum triode using a carbon nanotube cold cathode、IEEE transactions on Electron Devices、第49巻、2002年8月、1478から1483ページ
【非特許文献3】S.Iijima、Helical microtubules of graphitic carbon、Nature、1991年、第354巻、56から58ページ
【非特許文献4】W.Heer、A.Chatelain、D.Ugarte、A carbon nanotube field−emission electron source、Science、1995年、第270巻、第5239号、1179から1180ページ
【非特許文献5】J.M.Bonard、J.−P.Salvetat、T.Stockli、L.Forro、A.Chatelain、Field emission from carbon nanotubes:perspectives for applications and clues to emission mechanism、Applied Physics A、1999年、第69巻、245から254ページ
【非特許文献6】Y.M.Wong、W.P.Kang、J.L.Davidson、B.K.Choi、W.Hofmeister、J.H.Huang、Field emission triode amplifier utilizing aligned carbon nanotubes,Diamond and related materials、2005年、第14巻、11から12号、2069から2073ページ
【非特許文献7】Douglas R.Sparks、S.Massoud−AnsariおよびNader Najafi、Chip−Level Vacuum Packaging of Micromachines Using NanoGetters、IEEE transactions on advanced packaging、第26巻、第3号、2003年8月、277から282ページ
【非特許文献8】Yufeng Jin、Zhenfeng Wang、Lei Zhao、Peck Cheng Lim、Jun WeiおよびChee Khuen Wong、Zr/V/Fe thick film for vacuum packaging of MEMS、Journal of Micromechanics and Microengineering、第14巻、2004年、687から692ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願人は、制御格子が陰極を覆って形成された、公知のSpindtタイプ真空管のトポグラフィ配置構成が、特に以下のような異なる問題を被ることに注目した。
・制御格子に組み込まれた放出端の製造は、典型的には、多層構造(導電性基板−絶縁性酸化物−格子金属)中に放出陰極を配置する必要があるために複雑な技術的プロセスを必要とし、このプロセスは、典型的には、数多くの技術的ステップを必要とし、その複雑さは、異なる技術を統合する困難性に起因する。カーボンナノチューブ製の放出陰極に関しては、その後のカーボンナノチューブの成長を、この目的のために用いられる典型的な技術(HF−CVD、PE−CVD、レーザアブレーション)を用いることにより可能とするよう、例えば、基板の製造に関連する技術的ステップ、従って、典型的には製造に用いられる材料および構造のトポグラフィに関連する技術的ステップを研究する必要がある;
・絶縁層における開口から出る放出端を備えるデバイスにおいて、例えばカーボンナノチューブが放出端として用いられる場合には、制御格子の陰極に対する近接度は、制御格子と放出端との間に短絡を生じさせ、結果的にこのデバイスの機能不良を生じさせ得る;
・金属格子は陰極により放出された電子の無視できない割合を吸収し(約10%、例えば非特許文献6を参照のこと)、従って、デバイス性能を悪化させる;ならびに
・このタイプのデバイスの動作周波数は、格子と陰極との間の寄生キャパシタンスによって大きく制限されている。実際には、格子および陰極は2枚の平坦、かつ、平行な平面としてモデルされ得ると仮定すると、寄生キャパシタンスはC=ε0εr(A/d)であり、式中、ε0は真空誘電率であり、εrは陰極と格子との間の絶縁材料の比誘電率であり、Aは格子の面積であり、およびdは陰極と格子との間の距離である。前述のことから、このタイプのデバイスの動作周波数は、デバイス自体のトポグラフィ特徴に大きく依存していることが明らかである。
【0011】
本発明は、従って、前述の欠点を少なくとも克服することが可能である冷陰極真空管の画期的なトポグラフィ配置構成、ならびに、画期的な製造方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、添付の特許請求の範囲に定義されているとおり、高周波、冷陰極、三極管タイプ、フィールドエミッタ真空管に関すると共に、その製造方法に関する本発明により達成される。
【0013】
本発明は、真空管の典型的なトポグラフィを変更することにより、特に、公知のSpindtタイプ真空管にあるとおり陰極を覆うのではなく陽極を覆って制御格子を形成し、次いで、陽極およびこれを覆って形成された制御格子と、陽極(および格子)とは常に個別に製造される陰極とを、スペーサを挿設して組み立てることにより前述の目的を達成する。陽極を覆う格子の形成の最中に、陽極と格子との間に追加の絶縁層を形成し、漏れ電流を低減させることが好都合である。
【0014】
本発明のより良好な理解のために、純粋に一例として意図され、制限的であるとして解釈されるべきではない好ましい実施形態を、添付の図面(すべてが縮尺どおりではない)を参照して説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、公知のSpindtタイプ冷陰極三極管の概略図を示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態による高周波冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管の概略図を示す。
【図3a】図3aは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3b】図3bは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3c】図3cは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3d】図3dは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3e】図3eは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3f】図3fは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3g】図3gは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3h】図3hは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3i】図3iは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3j】図3jは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3k】図3kは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図3l】図3lは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陰極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハ横断面図である。
【図4a】図4aは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4b】図4bは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4c】図4cは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4d】図4dは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4e】図4eは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4f】図4fは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4g】図4gは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4h】図4hは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4i】図4iは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4j】図4jは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4k】図4kは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4l】図4lは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図4m】図4mは、本発明の実施形態による、図2のSpindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの横断面図である。
【図5a】図5aは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5b】図5bは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5c】図5cは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5d】図5dは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5e】図5eは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5f】図5fは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5g】図5gは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5h】図5hは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5i】図5iは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5j】図5jは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5k】図5kは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5l】図5lは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5m】図5mは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5n】図5nは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5o】図5oは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5p】図5pは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図5q】図5qは、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態による、Spindtタイプ冷陰極フィールドエミッタ三極管の、ゲッター材料が設けられた陽極構造の上面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態による、ゲッター材料が設けられたSpindtタイプ冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の考察は、当業者が本発明を形成しおよび実施することを可能とするために提示されている。実施形態に対する種々の変更は当業者に対して直ちに明らかであり、本明細書における一般的原理は、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適応され得る。それ故、本発明は表示の実施形態に限定されることは意図されず、本明細書において開示されていると共に添付の特許請求の範囲に定義されている原理および機構に一致する最も広い範囲に従うことが意図される。
【0017】
図2は、本発明の実施形態による高周波冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管の概略図を示す。
【0018】
11が付された冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管は、陰極構造12;側壁スペーサ14により陰極構造12から離間された陽極構造13;および陽極構造13に組み込まれた制御格子15を含む。陰極構造12および組み込まれた格子15を含む陽極構造13は個別に形成され、次いで、側壁スペーサ14を挿設して一緒に接合されている。
【0019】
特に、陰極構造12は、第1の導電性基板16;第1の導電性基板16上に形成された第1の絶縁層17;第1の導電性基板16の表面が露出されるよう、第1の絶縁層17を貫通して形成されたリセス18;ならびに、第1の導電性基板16とオーミック接触でリセス18中に形成されて陰極として機能する、カーボンナノチューブ、ナノワイヤーまたはSpindtタイプ先端の形態の放出端19を含む多層構造である。
【0020】
陽極構造13は、陽極として機能する第2の導電性基板20;第2の導電性基板20と格子15との間に形成された第2の絶縁層21;第2の絶縁層21の表面が露出されるよう格子15を貫通して形成された広幅リセス23と、第2の導電性基板20の表面が露出されるよう第2の絶縁層21を貫通して広幅リセス23中に形成された狭幅リセス24とを含む二重リセス構造;ならびに、格子15と側壁スペーサ14との間に形成され、格子15の側壁をも覆う第3の絶縁層22を含む多層構造である。
【0021】
リセス18,23および24は、放出端19が第2の導電性基板20の露出面に対向すると共に、リセス18,23および24および放出端19が側壁スペーサ14の間に配置されるよう、側壁スペーサ14がリセス18,23および24の外に配置されるような様式で、垂直に位置合わせされている。
【0022】
図3aから3lは、本発明の実施形態による図2の陰極構造12の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図であり、ここで、同一の符号は、同一の構成部品を指す。さらに、単純化する目的のために、以下の説明は、2つの隣接する陰極構造12の製造に言及することとし、陰極構造12のアレイの製造は、単に同一の構造が反復されているリソグラフィマスクの使用を必要とするのみである。
【0023】
図3aから3lを参照すると、例えば二酸化ケイ素(SiO2)製の1から5μm厚の絶縁層17が、例えば単結晶ケイ素(Si)製の300μm厚の導電性基板16上に、考慮されている例においては酸化により形成される(図3a)。次いで、例えばフォトレジスト製のマスク層30が例えば蒸着により絶縁層17上に形成され(図3b)、次いで、考慮されている例においては31により指示されるマスクUV露光によりパターン化され(図3c)、その後現像されて、絶縁層17の選択的部分を露出させるアパーチャを備えるマスク32が形成される(図3d)。これらのアパーチャは、有利にはシートに対して直角な方向に延びるストリップの形態であり、互いにおよそ5から20μm離間されており、および1から5μmの幅を有する。
【0024】
マスク32を用いて、絶縁層17の露出された部分がウェットエッチまたはドライエッチされてトレンチ33が絶縁層17に形成され、これらのトレンチ33は絶縁カラム34により横方向に区切られており、導電性基板16まで深さ方向に延び、ならびに、マスク32のアパーチャに対応する形状、幅および間隔を有する(図3e)。さらに、各トレンチ33は、次いで放出端19が形成されることとなる、絶縁層17におけるリセス18のそれぞれを画定する(図2)。
【0025】
次いで、図3f、3gおよび3hに示される第1の実施形態においては、マスク32が除去される(図3f)と共に、垂直に位置合わせされたカーボンナノチューブ放出端19(図3h)が、20nm厚の触媒層35(例えばFeまたはNi)をウェハ上にキャスティングにより蒸着させることにより、トレンチ33中に合成される(用いられ得る溶液は、例えば、アセトン中のFe(NO3)3・9H2Oである)(図3g)。
【0026】
第2の、図3iおよび3lに示される代替的な実施形態においては、マスク32は除去されず、ウェハ上にスパッタリングにより蒸着される20nm厚の触媒層35用のマスクとして用いられ(図3i)、次いで、絶縁カラム34とトレンチ33の側壁とからリフトオフ技術を用いることにより除去される(図3l)。
【0027】
第3の、代替的な実施形態(図示せず)においては、さらなるリソグラフィステップが、トレンチ33における触媒層35をパターン化するために提供され得る。
【0028】
カーボンナノチューブ放出端19が、図3fおよび3gを参照して既述したとおり、すなわち、キャスティングにより蒸着された溶液における触媒から成長される場合、選択性は、反応チャンバにおけるFe(NO3)3を還元させることにより保証され、この還元は、導電性基板16のリソグラフィプロセスを経て露出された領域でのみ生じ、一方で、カーボンナノチューブ放出端19が、図3iおよび3lを参照して既述したとおり、すなわち、スパッタリングにより蒸着された触媒を経て成長される場合、選択性は、触媒が存在する領域を画定するリソグラフィプロセスにより保証され、この触媒は、合成の最中にクラスター化されなければならない。
【0029】
図4aから4mは、本発明の実施形態による図2の陽極構造13の製造における逐次的なステップの最中の半導体ウェハの断面図であり、ここで、同一の符号は、同一の構成部品を指す。さらに、単純化する目的のために、以下の説明は、2つの隣接する陽極構造13の製造に言及することとし、陽極構造13のアレイの製造は、単に同一の構造が反復されているリソグラフィマスクの使用を必要とするのみである。
【0030】
図4aから4mを参照すると、例えば二酸化ケイ素(SiO2)製の数ミクロンから数十ミクロンの厚さを有する絶縁層21が、例えば単結晶ケイ素(Si)製の300μm厚の導電性基板20上に、考慮されている例においては酸化により形成される(図4a)。次いで、例えばフォトレジスト製の第1のマスク層36が例えば蒸着により絶縁層21上に形成され(図4b)、次いで、考慮されている例においては37により指示されるマスクUV露光によりパターン化され(図4c)、絶縁層21の選択的部分を露出させるアパーチャを備える第1のマスク38が形成されるようその後現像される(図4d)。これらのアパーチャは、有利にはシートに対して直角な方向に延びるストリップの形態であり、互いにおよそ5から50μm離間されており、および1から5μmの幅を有する。
【0031】
第1のマスク38を用いて、絶縁層21の露出された部分がウェットエッチまたはドライエッチされてトレンチ39が絶縁層21に形成され、これらのトレンチは絶縁カラム40により横方向に区切られており、導電性基板20まで深さ方向に延び、ならびに、第1のマスク38のアパーチャに対応する形状、幅および間隔を有する(図4e)。
【0032】
次いで、第1のマスク38が除去され(図4f)、トレンチ39を完全に埋めると共に絶縁カラム40を覆う例えばフォトレジスト製の第2のマスク層41が、考慮されている例においては蒸着により形成される(図4g)。次いで、第2のマスク層41は、第2のマスク層41の絶縁カラム40上の部分のみが露出される一方で第2のマスク層41のトレンチ39上の部分が覆われたままにされるよう、考慮されている例においては42により指示されるマスクUV露光によりパターン化され(図4h)、その後、トレンチ39の底壁および側壁を完全に覆うと共に絶縁カラム40上にも約1から50μm部分的に延在する第3のマスク43が形成されるよう現像される(図4i)。
【0033】
次いで、50から500nm厚の金属格子層44が、トレンチ39を完全に埋めると共に絶縁カラム40を覆うように例えば蒸着によりウェハ上に形成され(図4l)、次いで、第3のマスク43により露出された絶縁カラム40の領域を除いて、ウェハの全表面のすべてにわたってリフトオフプロセスを用いて除去され、これにより格子15が形成される。最後に、格子15を覆って格子の放出端19との短絡を防止する目的を有する格子絶縁層22が、考慮されている例においては酸化により、格子15上に陽極処理により形成され、それ故、格子の内部垂直側が絶縁カラム40の内部垂直側から1から20μm離間されたままである図4mに示される構造が得られ、これにより、放出された電子は酸化物により被覆されている格子15によっては集められないため漏れ電流が著しく制限される。通則として、格子15の寸法は格子−トレンチ距離および格子−格子距離に依存するため、格子15は、冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管11の設計用途に応じて変更され得る構造配列プロセスに一致して寸法化されなければならない。
【0034】
陰極構造12と、図3および4を参照して記載されているとおり形成された格子15が組み込まれた陽極構造13とが位置合わせされ、側壁スペーサ14の挿設およびこれらの間の真空の形成を介して接合される(真空接合)。側壁スペーサ14の機能は、陰極構造12と陽極構造13との間の電気絶縁性の形成および効果的な真空接合の形成を許容するものである。特に、陽極接合、ガラスフリット接合、共融点接合、はんだ接合、反応接合および融着接合を含む標準的なウェハ−ウェハ真空接合技術が、陰極構造12および陽極構造13を結合するために用いられ得る。
【0035】
このタイプのパッキング技術の主な問題の1つは、陰極構造12と陽極構造13との間の空洞内で達する圧力に関係している。例えば、陽極接合においては、空洞内の圧力は酸素の発生により100から400Torrの値に達し、一方で、はんだ接合においてこの空洞内の圧力はガス脱着により2Torrの値に達し、この圧力は、ウェハがアセンブリの前に加熱されている場合には、1Torrに低減され得る。従って、真空ウェハ接合技術を用いることによりμTorr未満の圧力を得ることは可能であるが、接合(またはアセンブリ)の結果として生じる材料脱着が生じることとなり、最終圧力は常に比較的高くなってしまう。
【0036】
フィールドエミッタ真空管11の良好な作動のためには高品質の真空が必要であるため、本発明の他の態様によれば、通例ゲッターとして知られる、Ba、Al、Ti、Zr、V、Feなどの特に反応性の材料を含有する領域の形成は、適切に励起される場合には、接合の最中に脱着した分子の捕獲を可能とする。ゲッター材料の詳細な説明については、非特許文献7、および非特許文献8が参考になり得る。
【0037】
ゲッター材料の本明細書中以降11’により指示されるフィールドエミッタ真空管への導入は、図5aから5qに示されるとおり陽極構造13の製造プロセスにおける追加のステップによりなされ得、ここで、図5aから5gは図4aから4gと同一であり、従って再度説明はしないこととする。
【0038】
図5aから5qを参照すると、一旦第1のマスク38が除去される(図5f)と共に第2のマスク層41が形成されると(図5g)、第2のマスク層41は、第2のマスク層41の一方のトレンチ39上の部分のみが露出される一方で第2のマスク層41の絶縁カラム40上および他のトレンチ39上の残りの部分が覆われたままにされるよう、考慮されている例においては45により指示されるマスクUV露光によりパターン化され(図5h)、その後、絶縁カラム40とマスクUV露光の際に露出されていなかったトレンチ39の底壁および側壁とを完全に覆う一方でマスクUV露光の際に露出されていたトレンチ39の底壁および側壁のみを露出されたままにする第3のマスク46が形成されるよう現像される(図5i)。
【0039】
次いで、ミクロン範囲の厚さを有する金属ゲッター層47が例えば蒸着によりウェハ上に形成され(図5l)、次いで、第3のマスク46によって覆われていなかったトレンチ39を除きウェハの全表面のすべてにわたって、リフトオフプロセスを用いて除去した(図5m)。次いで、例えばフォトレジスト製の第3のマスク層48が、トレンチ39を完全に埋めると共に絶縁カラム40を覆うように、考慮されている例においては蒸着によりウェハ上に形成され、次いで、第3のマスク層48の絶縁カラム40上の部分のみを露出させる一方で第3のマスク層48のトレンチ39上の、および特にゲッター層47上の部分が覆われたままにされるよう、考慮されている例においては49により指示されるマスクUV露光によりパターン化される(図5n)。次いで、第3のマスク層48は、ゲッター47を含むトレンチ39を完全に覆うと共に隣接する絶縁カラム40上にも約1から50μm部分的に延在し、ならびに、ゲッター47を含まない他のトレンチ39の底壁および側壁を完全に覆うと共に隣接する絶縁カラム39上にも約1から50mm部分的に延在する第4のマスク50が形成されるよう現像される(図5o)。
【0040】
次いで、50から500nm厚の金属格子層44が、例えば蒸着によりウェハ上に形成され(図5p)、次いで、第4のマスク50により露出された絶縁カラム39の領域を除いて、ウェハの全表面のすべてにわたってリフトオフプロセスを用いて除去され、これにより格子15が形成される。最後に、格子を覆って格子の放出端19との短絡を防止する目的を有する格子絶縁層22が、考慮されている例においては酸化により、格子15上に陽極処理により形成され、それ故、格子の内部垂直側が絶縁カラム39の内部垂直側から1から50μm離間されたままである図5qに示される構造が得られ、これにより、漏れ電流が著しく制限される。格子15およびゲッター47は、上面図において、格子絶縁層22によって完全に覆われているために格子15が視認可能ではない図6に示されるタイプの環状のパターンを有することが好ましい。
【0041】
最後に、格子15およびゲッター47が組み込まれた陽極構造13が陰極構造12に接合されて、図7に示される冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管11’が形成され、ここで、左側は図2に示されるものと同等であると共に右側は構造的にこの左側に類似しており、すなわち、この右側は、第2の絶縁層21の表面が露出されるよう格子15を貫通して形成された広幅リセス51と、第2の導電性基板20の表面が露出されるよう第2の絶縁層21を貫通して広幅リセス51中に形成された狭幅リセス52とを含む二重リセス構造を含み、ここで、広幅および狭幅リセス51,52は側壁スペーサ14により広幅および狭幅リセス23,24から分離されており、ならびに、ゲッター47が狭幅リセス52中に形成されている。
【0042】
本発明によるフィールドエミッタ真空管の利点は前述から明らかである。特に:
・陰極構造12ではなく、陽極構造13への格子15の組み込みは、格子15と放出端19との間のいかなる短絡も防止すると共に、より簡単で、かつ、高度に再現性のある製造プロセスの達成を許容する。
・格子15と側壁スペーサ14との間の追加の絶縁層22、および格子15の内部垂直側が絶縁層21の内部垂直側から離間されているという事実は、漏れ電流を著しく低減させる。
・陽極構造13における導電性基板20および絶縁層21の厚さは、陽極20と格子15との間のより低い寄生キャパシタンスの達成を許容し、結果的に、より高い動作周波数の到達を許容する。
【0043】
最後に、本発明のフィールドエミッタ真空管に数多くの変更および変形をなすことが可能であり、添付の特許請求の範囲に定義されているとおり、そのすべてが本発明の範囲に属する。
【0044】
特に、本発明のフィールドエミッタ真空管の種々の層の厚さおよびそれぞれの製造プロセスの種々のステップは単なる指標であり、特定の必要性に応じて変更され得ることは当業者に理解され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極構造(12)、陰極構造(12)から離間された陽極構造(13)および制御格子(15)を含み、陰極構造(12)および陽極構造(13)は個別に形成されると共にスペーサ(14)の挿設を伴って一緒に接合され;制御格子(15)が陽極構造(12)に組み込まれていることを特徴とする、冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管(11;11’)。
【請求項2】
陰極構造(12)が、第1の導電性基板(16)、第1の導電性基板(16)上に形成された第1の絶縁層(17)、第1の導電性基板(16)の表面が露出されるよう、第1の絶縁層(17)を貫通して形成された第1のリセス(18)、および第1のリセス(18)中に、第1の導電性基板(16)とオーミック接触で形成された放出端(19)を含む、請求項1に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項3】
陽極構造(13)が、第2の導電性基板(20)、第2の導電性基板(20)と格子(15)との間に形成された第2の絶縁層(21)、格子(15)とスペーサ(14)との間に形成された第3の絶縁層(22)、第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)、格子(15)および第2の絶縁層(21)を貫通して形成された第1のリセス構造(23,24)を含む、請求項1または2に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項4】
第1のリセス構造(23,24)が、第2の絶縁層(21)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)および格子(15)を貫通して形成された第1の広幅リセス(23)と、第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第2の絶縁層(21)を貫通して第1の広幅リセス(23)中に形成された第1の狭幅リセス(24)とを含む、請求項3に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項5】
リセス(18,23,24)が、放出端(19)が第2の導電性基板(20)の露出面に対向する様式で垂直に位置合わせされており、ならびに、スペーサ(14)が、リセス(18,23,24)および放出端(19)がスペーサ(14)の間に配置されるようリセス(18,23,24)の外に配置されている、請求項2から4に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項6】
第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)、格子(15)および第2の絶縁層(21)を貫通して形成された第2のリセス構造(51,52);ならびに、第2のリセス構造(51,52)中に形成されたゲッター材料(47)をさらに含む、請求項3から5のいずれかに記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項7】
第2のリセス構造(51,52)が、第2の絶縁層(21)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)および格子(15)を貫通して形成された第2の広幅リセス(51)と、第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第2の絶縁層(21)を貫通して第2の広幅リセス(51)中に形成された第2の狭幅リセス(52)とを含み;ならびに、ゲッター材料(47)が第2の狭幅リセス(52)中に配置されている、請求項6に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項8】
第1のリセス構造(23,24)がスペーサ(14)により第2のリセス構造(51,52)から分離されている、請求項6または7に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項9】
・陰極構造(12)および陽極構造(13)を個別に形成する工程;
・制御格子(15)を形成する工程;
・スペーサ(14)を挿設して、陰極構造(12)と陽極構造(13)とを一緒に接合する工程;
を含み、ならびに
制御格子(15)が陽極構造(12)に組みこまれて形成されることを特徴とする、冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管(11;11’)の製造方法。
【請求項10】
陰極構造(12)を形成する工程が:
・第1の導電性基板(16)を形成する工程;
・第1の絶縁層(17)を第1の導電性基板(16)上に形成する工程;
・第1の導電性基板(16)の表面が露出されるよう、第1の絶縁層(17)を貫通して第1のリセス(18)を形成する工程;ならびに
・第1のリセス(18)中に、第1の導電性基板(16)とオーミック接触させて放出端(19)を形成する工程
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
陽極構造(13)を形成する工程が:
・第2の導電性基板(20)を形成する工程;
・第2の絶縁層(21)を第2の導電性基板(20)と格子(15)との間に形成する工程;
・第3の絶縁層(22)を格子(15)とスペーサ(14)との間に形成する工程;ならびに
・第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)、格子(15)および第2の絶縁層(21)を貫通して第1のリセス構造(23,24)を形成する工程
を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
第1のリセス構造(23,24)を形成する工程が:
・第2の絶縁層(21)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)および格子(15)を貫通して第1の広幅リセス(23)を形成する工程;ならびに
・第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第2の絶縁層(21)を貫通して第1の狭幅リセス(24)を第1の広幅リセス(23)中に形成する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
リセス(18,23,24)が、放出端(19)が第2の導電性基板(20)の露出面に対向する様式で垂直に位置合わせされており、ならびに、スペーサ(14)が、リセス(18,23,24)および放出端(19)がスペーサ(14)の間に配置されるようリセス(18,23,24)の外に配置されている、請求項10から12に記載の方法。
【請求項14】
・第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)、格子(15)および第2の絶縁層(21)を貫通して第2のリセス構造(51,52)を形成する工程;ならびに
・ゲッター材料(47)を第2のリセス構造(51,52)中に形成する工程
をさらに含む、請求項11から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
第2のリセス構造(51,52)を形成する工程が:
・第2の絶縁層(21)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)および格子(15)を貫通して第2の広幅リセス(51)を形成する工程;ならびに
・第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第2の絶縁層(21)を貫通して第2の狭幅リセス(52)を第2の広幅リセス(51)中に形成する工程;
を含み、
ならびに、ゲッター材料(47)が第2の狭幅リセス(52)中に形成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1のリセス構造(23,24)がスペーサ(14)により第2のリセス構造(51,52)から分離されている、請求項15または16に記載の方法。
【請求項1】
陰極構造(12)、陰極構造(12)から離間された陽極構造(13)および制御格子(15)を含み、陰極構造(12)および陽極構造(13)は個別に形成されると共にスペーサ(14)の挿設を伴って一緒に接合され;制御格子(15)が陽極構造(12)に組み込まれていることを特徴とする、冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管(11;11’)。
【請求項2】
陰極構造(12)が、第1の導電性基板(16)、第1の導電性基板(16)上に形成された第1の絶縁層(17)、第1の導電性基板(16)の表面が露出されるよう、第1の絶縁層(17)を貫通して形成された第1のリセス(18)、および第1のリセス(18)中に、第1の導電性基板(16)とオーミック接触で形成された放出端(19)を含む、請求項1に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項3】
陽極構造(13)が、第2の導電性基板(20)、第2の導電性基板(20)と格子(15)との間に形成された第2の絶縁層(21)、格子(15)とスペーサ(14)との間に形成された第3の絶縁層(22)、第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)、格子(15)および第2の絶縁層(21)を貫通して形成された第1のリセス構造(23,24)を含む、請求項1または2に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項4】
第1のリセス構造(23,24)が、第2の絶縁層(21)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)および格子(15)を貫通して形成された第1の広幅リセス(23)と、第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第2の絶縁層(21)を貫通して第1の広幅リセス(23)中に形成された第1の狭幅リセス(24)とを含む、請求項3に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項5】
リセス(18,23,24)が、放出端(19)が第2の導電性基板(20)の露出面に対向する様式で垂直に位置合わせされており、ならびに、スペーサ(14)が、リセス(18,23,24)および放出端(19)がスペーサ(14)の間に配置されるようリセス(18,23,24)の外に配置されている、請求項2から4に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項6】
第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)、格子(15)および第2の絶縁層(21)を貫通して形成された第2のリセス構造(51,52);ならびに、第2のリセス構造(51,52)中に形成されたゲッター材料(47)をさらに含む、請求項3から5のいずれかに記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項7】
第2のリセス構造(51,52)が、第2の絶縁層(21)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)および格子(15)を貫通して形成された第2の広幅リセス(51)と、第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第2の絶縁層(21)を貫通して第2の広幅リセス(51)中に形成された第2の狭幅リセス(52)とを含み;ならびに、ゲッター材料(47)が第2の狭幅リセス(52)中に配置されている、請求項6に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項8】
第1のリセス構造(23,24)がスペーサ(14)により第2のリセス構造(51,52)から分離されている、請求項6または7に記載のフィールドエミッタ真空管。
【請求項9】
・陰極構造(12)および陽極構造(13)を個別に形成する工程;
・制御格子(15)を形成する工程;
・スペーサ(14)を挿設して、陰極構造(12)と陽極構造(13)とを一緒に接合する工程;
を含み、ならびに
制御格子(15)が陽極構造(12)に組みこまれて形成されることを特徴とする、冷陰極三極管タイプフィールドエミッタ真空管(11;11’)の製造方法。
【請求項10】
陰極構造(12)を形成する工程が:
・第1の導電性基板(16)を形成する工程;
・第1の絶縁層(17)を第1の導電性基板(16)上に形成する工程;
・第1の導電性基板(16)の表面が露出されるよう、第1の絶縁層(17)を貫通して第1のリセス(18)を形成する工程;ならびに
・第1のリセス(18)中に、第1の導電性基板(16)とオーミック接触させて放出端(19)を形成する工程
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
陽極構造(13)を形成する工程が:
・第2の導電性基板(20)を形成する工程;
・第2の絶縁層(21)を第2の導電性基板(20)と格子(15)との間に形成する工程;
・第3の絶縁層(22)を格子(15)とスペーサ(14)との間に形成する工程;ならびに
・第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)、格子(15)および第2の絶縁層(21)を貫通して第1のリセス構造(23,24)を形成する工程
を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
第1のリセス構造(23,24)を形成する工程が:
・第2の絶縁層(21)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)および格子(15)を貫通して第1の広幅リセス(23)を形成する工程;ならびに
・第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第2の絶縁層(21)を貫通して第1の狭幅リセス(24)を第1の広幅リセス(23)中に形成する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
リセス(18,23,24)が、放出端(19)が第2の導電性基板(20)の露出面に対向する様式で垂直に位置合わせされており、ならびに、スペーサ(14)が、リセス(18,23,24)および放出端(19)がスペーサ(14)の間に配置されるようリセス(18,23,24)の外に配置されている、請求項10から12に記載の方法。
【請求項14】
・第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)、格子(15)および第2の絶縁層(21)を貫通して第2のリセス構造(51,52)を形成する工程;ならびに
・ゲッター材料(47)を第2のリセス構造(51,52)中に形成する工程
をさらに含む、請求項11から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
第2のリセス構造(51,52)を形成する工程が:
・第2の絶縁層(21)の表面が露出されるよう、第3の絶縁層(22)および格子(15)を貫通して第2の広幅リセス(51)を形成する工程;ならびに
・第2の導電性基板(20)の表面が露出されるよう、第2の絶縁層(21)を貫通して第2の狭幅リセス(52)を第2の広幅リセス(51)中に形成する工程;
を含み、
ならびに、ゲッター材料(47)が第2の狭幅リセス(52)中に形成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1のリセス構造(23,24)がスペーサ(14)により第2のリセス構造(51,52)から分離されている、請求項15または16に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【図3g】
【図3h】
【図3i】
【図3l】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図4g】
【図4h】
【図4i】
【図4l】
【図4m】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図5h】
【図5i】
【図5l】
【図5m】
【図5n】
【図5o】
【図5p】
【図5q】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【図3g】
【図3h】
【図3i】
【図3l】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図4g】
【図4h】
【図4i】
【図4l】
【図4m】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図5h】
【図5i】
【図5l】
【図5m】
【図5n】
【図5o】
【図5p】
【図5q】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2010−515217(P2010−515217A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543576(P2009−543576)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【国際出願番号】PCT/IT2006/000883
【国際公開番号】WO2008/081482
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(509095916)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【国際出願番号】PCT/IT2006/000883
【国際公開番号】WO2008/081482
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(509095916)
【Fターム(参考)】
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