説明

高周波モジュールおよびその動作方法

【課題】高温通電時にはバイアスジャンプを回避し、実運用時には外部電源を製品によらず共通化し、かつ端子数を削減する。
【解決手段】半導体装置24と、入力整合回路17と、出力整合回路18と、運用時用ゲートバイアス回路70と、運用時用ゲートバイアス回路70に接続された運用時用ゲートバイアス端子41aと、入力整合回路17に接続された高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aと、出力整合回路18に接続されたドレインバイアス回路80と、ドレインバイアス回路80に接続されたドレインバイアス端子41bと、出力整合回路18に接続された高周波出力端子21bとを備え、1つのパッケージに収納された高周波モジュール1およびその動作方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、高周波モジュールおよびその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高周波半導体装置は、小型化および高性能化された携帯電話に適用され、普及が急速に進んでいる。この進歩に大きく貢献を果たした技術として、高性能な電界効果トランジスタの開発がある。高性能な電界効果トランジスタは、特に、低電圧動作、高利得、高効率、低雑音および低歪み等の高周波特性に優れた性能を発揮し、携帯端末の送受信アンプとして適用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−327028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の高周波半導体装置において、外部電源は製品によらず共通化するため、ブリーダ抵抗回路を介して高周波用半導体装置のゲート端子にゲート電圧を供給している。
【0005】
しかし、ゲート電源と高周波用半導体装置のゲート端子間に抵抗が入るために、高温動作時にゲートリーク電流が増えるとゲートバイアス電圧の値が小さくなる。ゲートバイアス電圧の値が小さくなると、ドレイン電流が増加し、自己発熱により、さらに高周波用半導体装置の温度が上昇する、いわゆるバイアスジャンプと呼ばれる現象が発生する。このため、従来の高周波半導体装置においては、高温通電試験が難しいという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、半導体装置と、前記半導体装置の入力側に配置された入力整合回路と、前記半導体装置の出力側に配置された出力整合回路と、前記入力整合回路に接続された運用時用ゲートバイアス回路と、前記運用時用ゲートバイアス回路に接続された運用時用ゲートバイアス端子と、前記入力整合回路に接続された高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子と、前記出力整合回路に接続されたドレインバイアス回路と、前記ドレインバイアス回路に接続されたドレインバイアス端子と、前記出力整合回路に接続された高周波出力端子とを備え、前記半導体装置と、前記入力整合回路と、前記出力整合回路と、前記運用時用ゲートバイアス回路と、前記ドレインバイアス回路とが1つのパッケージに収納された高周波モジュール高周波モジュールが提供される。
【0007】
他の態様によれば、半導体装置と、前記半導体装置の入力側に配置された入力整合回路と、前記半導体装置の出力側に配置された出力整合回路と、前記入力整合回路に接続された運用時用ゲートバイアス回路と、前記運用時用ゲートバイアス回路に接続された運用時用ゲートバイアス端子と、前記入力整合回路に接続された高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子と、前記出力整合回路に接続されたドレインバイアス回路と、前記ドレインバイアス回路に接続されたドレインバイアス端子と、前記出力整合回路に接続された高周波出力端子とを有し、前記半導体装置と、前記入力整合回路と、前記出力整合回路と、前記運用時用ゲートバイアス回路と、前記ドレインバイアス回路とが1つのパッケージに収納された高周波モジュールの動作方法であって、運用時において、前記運用時用ゲートバイアス回路を介して、前記半導体装置のゲート端子電極の電位を制御するステップと、運用時において、前記高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子の外部に接続されたDC遮断用キャパシタを介して、前記半導体装置に入力信号を供給するステップと、高温動作時において、前記高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子にゲートバイアス電圧を供給することによって、前記半導体装置のゲート端子電極の電位を制御するステップとを有する高周波モジュールの動作方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態に係る高周波モジュールを搭載するパッケージの模式的鳥瞰構成であって、(a)メタルキャップ、(b)メタルシールリング、(c)金属壁、(d)導体ベースプレート、および絶縁層上に配置されたストリップラインの模式的構成図。
【図2】実施の形態に係る高周波モジュールの模式的平面構成図。
【図3】実施の形態に係る高周波モジュールの模式的断面構成であって、図2のI−I線に沿う模式的断面構造図。
【図4】実施の形態に係る高周波モジュールの模式的断面構成であって、図2のII−II線に沿う模式的断面構造図。
【図5】実施の形態に係る高周波モジュールの模式的断面構成であって、図2のIII−III線に沿う模式的断面構造図。
【図6】実施の形態に係る高周波モジュールの模式的回路構成図。
【図7】(a)実施の形態に高周波モジュールにおいて、半導体装置の模式的平面パターン構成の拡大図、(b)図7(a)のJ部分の拡大図。
【図8】実施の形態に係る高周波モジュールに適用する半導体装置の構造例1であっ、図7(b)のIV−IV線に沿う模式的断面構造図。
【図9】実施の形態に係る高周波モジュールに適用する半導体装置の構造例2であって、図7(b)のIV−IV線に沿う模式的断面構造図。
【図10】実施の形態に係る高周波モジュールに適用する半導体装置の構造例3であって、図7(b)のIV−IV線に沿う模式的断面構造図。
【図11】実施の形態に係る高周波モジュールに適用する半導体装置の構造例4であって、図7(b)のIV−IV線に沿う模式的断面構造図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下において、同じ要素には同じ符号を付して説明の重複を避け、説明を簡略にする。図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0010】
以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施の形態は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
[第1の実施の形態]
(パッケージ構造)
実施の形態に係る高周波モジュール1を搭載するパッケージは、図1に示すように、メタルキャップ10と、メタルシールリング14aと、金属壁16と、導体ベースプレート200と、導体ベースプレート200上に配置された入力側絶縁層20a、40aと、導体ベースプレート200上に配置された出力側絶縁層20b、40bと、入力側絶縁層20a上に配置された入力ストリップライン19aと、出力側絶縁層20b上に配置された出力ストリップライン19bと、入力側絶縁層40a上に配置された入力ストリップライン39aと、出力側絶縁層40b上に配置された出力ストリップライン39bとを備える。
【0012】
―導体ベースプレート200―
導体ベースプレート200は、例えば、モリブデン、銅モリブデン合金などの導電性金属によって形成されている。さらに、導体ベースプレート200の表面には、例えば、Au、Ni、Ag、Ag−Pt合金、Ag−Pd合金などのメッキ導体を形成してもよい。また、導体ベースプレート200には、Cu/Mo/アルミナ基板などの積層構造を用いても良い。
【0013】
―金属壁16―
金属壁16の材質としては、例えば、アルミニウム、モリブデン、銅モリブデン合金などの導電性金属によって形成されている。
【0014】
金属壁16の上面には、メタルシールリング14aを介して、半田付けのためのハンダメタル層(図示省略)が形成される。ハンダメタル層としては、例えば、金ゲルマニウム合金、金錫合金などから形成可能である。
【0015】
また、金属壁16は、絶縁性若しくは導電性の接着剤を介して、導体ベースプレート200上に配置される。尚、金属壁16は、フィードスルー部分においては、凸状のフィードスルー上層部22(図3参照)上に配置されている。凸状のフィードスルー上層部22は、入力側絶縁層20a、40aおよび出力側絶縁層20b、40b上に配置され、絶縁層で形成される。図1では、凸状のフィードスルー上層部22の図示を省略している。ここで、入力側絶縁層20a、40aおよび出力側絶縁層20b、40bは、フィードスルー下層部に相当する。絶縁性の接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂、ガラスなどから形成可能であり、導電性の接着剤としては、例えば、金ゲルマニウム合金、金錫合金などから形成可能である。
【0016】
―メタルキャップ10―
メタルキャップ10は、図1に示すように、平板形状を備える。
【0017】
金属壁16上にメタルシールリング14aを介してメタルキャップ10を配置する。
【0018】
実施の形態に係る高周波モジュール1を搭載するパッケージは、3GHz以上の高周波特性を有する。このため、高周波数(すなわち3GHzを越える周波数)のデバイス及び構成部品用のパッケージとして適用可能である。
【0019】
(高周波モジュール)
―平面パターン構成―
実施の形態に係る高周波モジュール1の模式的平面パターン構成は図2に示すように表され、図2のI−I線に沿う模式的断面構造は図3に示すように表され、図2のII−II線に沿う模式的断面構造は図4に示すように表され、図2のIII−III線に沿う模式的断面構造は図5に示すように表される。
【0020】
実施の形態に係る高周波モジュール1は、図1〜図5に示すように、導体ベースプレート200上に配置された半導体装置24と、導体ベースプレート200上に半導体装置24の入力部に配置された入力回路基板26と、導体ベースプレート200上に半導体装置24の出力部に配置された出力回路基板28とを備える。
【0021】
入力回路基板26上には、入力整合回路17と、ブリーダ抵抗回路50が配置されている。また、出力回路基板28上には、出力整合回路18と、電極パターン27が配置されている。
【0022】
入力整合回路17は、ボンディングワイヤ12を介して、半導体装置24のゲート端子電極Gに接続され、出力整合回路18は、ボンディングワイヤ14を介して、半導体装置24のドレイン端子電極Dに接続されている。
【0023】
入力ストリップライン19aには、高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aが接続され、出力ストリップライン19bには、高周波出力端子21bが接続されている。
【0024】
高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aは、入力ストリップライン19aと、ボンディングワイヤ11と、入力整合回路17とを介して、半導体装置24のゲート端子電極Gに接続されている。
【0025】
また、高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aには、外部にDC遮断用キャパシタC1を接続しても良い。
【0026】
ストリップライン39aには、運用時用ゲートバイアス端子41aが接続されている。
【0027】
ストリップライン39bには、ドレインバイアス端子41bが接続されている。
【0028】
ストリップライン39aは、ボンディングワイヤ11bを介して、ブリーダ抵抗回路50に接続されている。ブリーダ抵抗回路50は、ボンディングワイヤ11eを介して、入力整合回路17に接続され、ボンディングワイヤ11cを介して、接地電位に接続されている。
【0029】
出力ストリップライン19bは、ボンディングワイヤ15を介して、DC遮断用キャパシタC2の一方の電極に接続され、DC遮断用キャパシタC2の他方の電極は、出力整合回路18に接続されている。
【0030】
ストリップライン39bは、ボンディングワイヤ15bを介して、電極パターン27に接続され、電極パターン27は、ボンディングワイヤ15aを介して、出力整合回路18に接続されている。結果として、ドレインバイアス端子41bは、ストリップライン39bと、ボンディングワイヤ15bと、電極パターン27と、ボンディングワイヤ15aと、出力整合回路18とを介して、半導体装置24のドレイン端子電極Dに接続されている。高温動作時/運用時において、ドレインバイアス端子41bに供給される電圧によって、半導体装置24のドレイン端子電極Dの電位が直接制御可能となされている。尚、半導体装置24のソース端子電極Sは、接地電位に接続されている。
【0031】
―回路構成―
実施の形態に係る高周波モジュール1の模式的回路構成は、図6に示すように、半導体装置24と、半導体装置24の入力側に配置された入力整合回路17と、半導体装置24の出力側に配置された出力整合回路18と、入力整合回路17に接続された運用時用ゲートバイアス回路70と、運用時用ゲートバイアス回路70に接続された運用時用ゲートバイアス端子41aと、入力整合回路17に接続された高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aと、出力整合回路18に接続されたドレインバイアス回路80と、ドレインバイアス回路80に接続されたドレインバイアス端子41bと、出力整合回路18に接続された高周波出力端子21bとを備える。半導体装置24と、入力整合回路17と、出力整合回路18と、運用時用ゲートバイアス回路70と、ドレインバイアス回路80とが金属壁16で囲まれた1つのパッケージに収納されている。
【0032】
運用時用ゲートバイアス回路70は、ブリーダ抵抗回路50を備え、運用時用ゲートバイアス端子41aは、ブリーダ抵抗回路50を介して半導体装置24のゲート端子電極Gに接続されている。
【0033】
ブリーダ抵抗回路50は、運用時用ゲートバイアス端子41aに接続されたブリーダ抵抗56と、ブリーダ抵抗56に対して接地電位との間に直列接続されたブリーダ抵抗58とを備え、運用時用ゲートバイアス端子41aに供給される電圧が、ブリーダ抵抗56とブリーダ抵抗58との抵抗分圧によって、半導体装置24のゲート端子電極Gに印加される。
【0034】
また、高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aには、外部にDC遮断用キャパシタ52(C1)の一方の電極を接続し、DC遮断用キャパシタ52(C1)の他方の電極を高周波入力信号を導入するための入力端子21iに接続する。結果として、入力端子21iに高周波入力信号を供給することによって、半導体装置24に入力信号を供給する。また、高温動作時用においては、高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aにゲートバイアス電圧を供給することによって、入力ストリップライン19a、ボンディングワイヤ11および入力整合回路17を介して、半導体装置24のゲート端子電極Gの電位が直接制御可能になされている。
【0035】
実施の形態に係る高周波モジュール1は、高温動作時において、高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aに供給される電圧によって、半導体装置24のゲート端子電極Gの電位が直接制御可能になされている。すなわち、高周波入力端子と高温動作時用ゲートバイアス端子を共用することができるため、端子数を低減し、高周波モジュール1の構成を簡単化することができる。
【0036】
さらに、DC遮断用キャパシタC1を外部接続可能な構成とすることによって、使用者の用途に応じた高周波モジュールを提供することができる。
【0037】
ドレインバイアス回路80は、ボンディングワイヤ15a、15bおよび電極パターン27を備え、ドレインバイアス端子41bは、ドレインバイアス回路80を介して半導体装置24のドレイン端子電極Dに接続されている。
【0038】
ドレインバイアス端子41bに供給される電圧が、半導体装置24のドレイン端子電極Dに印加される。
【0039】
高周波出力端子21bと出力整合回路18との間には、DC遮断用キャパシタ54(C2)が接続されている。
【0040】
(高周波モジュールの動作方法)
半導体装置24と、半導体装置24の入力側に配置された入力整合回路17と、半導体装置24の出力側に配置された出力整合回路18と、入力整合回路17に接続された運用時用ゲートバイアス回路70と、運用時用ゲートバイアス回路70に接続された運用時用ゲートバイアス端子41aと、入力整合回路17に接続された高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aと、出力整合回路18に接続されたドレインバイアス回路80と、ドレインバイアス回路80に接続されたドレインバイアス端子41bと、出力整合回路18に接続された高周波出力端子21bとを有し、半導体装置24と、入力整合回路17と、出力整合回路18と、運用時用ゲートバイアス回路70と、ドレインバイアス回路80とが1つのパッケージに収納された高周波モジュールの動作方法は、運用時において、運用時用ゲートバイアス回路70を介して、半導体装置24のゲート端子電極Gの電位を制御するステップと、運用時において、高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aの外部に接続されたDC遮断用キャパシタ52(C1)を介して、半導体装置24に入力信号を供給するステップと、高温動作時において、高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aにゲートバイアス電圧を供給することによって、半導体装置24のゲート端子電極Gの電位を制御するステップとを有する。
【0041】
運用時用ゲートバイアス回路70は、ブリーダ抵抗回路50を有し、運用時において、ブリーダ抵抗回路50を介して、半導体装置24のゲート端子電極Gの電位を制御しても良い。
【0042】
実施の形態に係る高周波モジュール1は、高温通電時には、ブリーダ抵抗回路を介さずに、半導体装置24のゲート端子電極Gに接続された高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aを用いることで、バイアスジャンプを回避することができる。
【0043】
また、実施の形態に係る高周波モジュール1は、実運用時には、ブリーダ抵抗回路50を介して、半導体装置24のゲート端子電極Gに接続された運用時用ゲートバイアス端子41aを用いることで、外部電源を製品によらず共通化することができる。
【0044】
実施の形態によれば、高温通電時には、ブリーダ抵抗回路を介さずに、半導体装置24のゲート端子電極Gに接続された高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子21aを用いることで、バイアスジャンプを回避することができ、実運用時には、ブリーダ抵抗回路50を介して、半導体装置24のゲート端子電極Gに接続された運用時用ゲートバイアス端子41aを用いることで、外部電源を製品によらず共通化することができる、マイクロ波/ミリ波/サブミリ波帯の高周波に適用可能な半導体モジュールおよびその動作方法を提供することができる。
【0045】
(半導体装置の構成)
実施の形態に係る高周波モジュール1に適用する半導体装置24の模式的平面パターン構成の拡大図は、図7(a)に示すように表され、図7(a)のJ部分の拡大図は、図7(b)に示すように表される。また、実施の形態に係る高周波モジュール1に適用する半導体装置24の構造例1〜4であって、図7(b)のIV−IV線に沿う模式的断面構造例1〜4は、それぞれ図8〜図11に示すように表される。
【0046】
実施の形態に係る高周波モジュール1に適用する半導体装置24において、複数のFETセルFET1〜FET10は、図7〜図11に示すように、半絶縁性基板110と、半絶縁性基板110の第1表面に配置され、それぞれ複数のフィンガーを有するゲートフィンガー電極124、ソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122と、半絶縁性基板110の第1表面に配置され、ゲートフィンガー電極124、ソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122ごとに複数のフィンガーをそれぞれ束ねて形成した複数のゲート端子電極G1,G2,…,G10、複数のソース端子電極S11,S12,S21,S22,…,S101,S102およびドレイン端子電極D1,D2,…,D10と、ソース端子電極S11,S12,S21,S22,…,S101,S102の下部に配置されたVIAホールSC11,SC12,SC21,SC22,…,SC101,SC102と、半絶縁性基板110の第1表面と反対側の第2表面に配置され、ソース端子電極S11,S12,S21,S22,…,S101,S102に対してVIAホールSC11,SC12,SC21,SC22,…,SC101,SC102を介して接続された接地電極(図示省略)とを備える。
【0047】
ゲート端子電極G1,G2,…,G10には、ボンディングワイヤ12が接続され、ドレイン端子電極D1,D2,…,D10には、ボンディングワイヤ14が接続され、ソース端子電極S11,S12,S21,S22,…,S101,S102の下部には、VIAホールSC11,SC12,SC21,SC22,…,SC101,SC102が形成され、VIAホールSC11,SC12,SC21,SC22,…,SC101,SC102の内壁に形成されたバリア金属層(図示省略)およびバリア金属層上に形成され、VIAホールを充填する充填金属層(図示省略)を介してソース端子電極S11,S12,S21,S22,…,S101,S102は、接地電極に接続されている。
【0048】
半絶縁性基板110は、GaAs基板、SiC基板、GaN基板、SiC基板上にGaNエピタキシャル層を形成した基板、SiC基板上にGaN/AlGaNからなるヘテロ接合エピタキシャル層を形成した基板、サファイア基板、若しくはダイヤモンド基板のいずれかである。
【0049】
―構造例1―
図7(b)のIV−IV線に沿う模式的断面構成として、実施の形態に係る高周波モジュール1に適用する半導体装置24のFETセルの構造例1は、図8に示すように、半絶縁性基板110と、半絶縁性基板110上に配置された窒化物系化合物半導体層112と、窒化物系化合物半導体層112上に配置されたアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118と、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118上に配置されたソースフィンガー電極120、ゲートフィンガー電極124およびドレインフィンガー電極122とを備える。窒化物系化合物半導体層112とアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118との界面には、2次元電子ガス(2DEG:Two Dimensional Electron Gas)層116が形成されている。図8に示す構造例1では、ヘテロ接合電界効果トランジスタ(HFET:Hetero-junction Field Effect Transistor)若しくは高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)が示されている。
【0050】
―構造例2―
図7(b)のIV−IV線に沿う模式的断面構成として、実施の形態に係る高周波モジュール1に適用する半導体装置24のFETセルの構造例2は、図9に示すように、半絶縁性基板110と、半絶縁性基板110上に配置された窒化物系化合物半導体層112と、窒化物系化合物半導体層112上に配置されたソース領域126およびドレイン領域128と、ソース領域126上に配置されたソースフィンガー電極120、窒化物系化合物半導体層112上に配置されたゲートフィンガー電極124およびドレイン領域128上に配置されたドレインフィンガー電極122とを備える。窒化物系化合物半導体層112とゲートフィンガー電極124との界面には、ショットキーコンタクト(Schottky Contact)が形成されている。図9に示す構造例2では、金属−半導体電界効果トランジスタ(MESFET:Metal Semiconductor Field Effect Transistor)が示されている。
【0051】
―構造例3―
図7(b)のIV−IV線に沿う模式的断面構成として、実施の形態に係る高周波モジュール1に適用する半導体装置24のFETセルの構造例3は、図10に示すように、半絶縁性基板110と、半絶縁性基板110上に配置された窒化物系化合物半導体層112と、窒化物系化合物半導体層112上に配置されたアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118と、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118上に配置されたソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122と、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118上のリセス部に配置されたゲートフィンガー電極124とを備える。窒化物系化合物半導体層112とアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118との界面には、2DEG層116が形成されている。図10に示す構造例3では、HFET若しくはHEMTが示されている。
【0052】
―構造例4―
図7(b)のIV−IV線に沿う模式的断面構成として、実施の形態に係る高周波モジュール1に適用する半導体装置24のFETセルの構造例4は、図11に示すように、半絶縁性基板110と、半絶縁性基板110上に配置された窒化物系化合物半導体層112と、窒化物系化合物半導体層112上に配置されたアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118と、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118上に配置されたソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122と、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118上の2段リセス部に配置されたゲートフィンガー電極124とを備える。窒化物系化合物半導体層112とアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118との界面には、2DEG層116が形成されている。図11に示す構造例4では、HFET若しくはHEMTが示されている。
【0053】
また、上記の構造例1〜4においては、活性領域以外の窒化物系化合物半導体層112を電気的に不活性な素子分離領域として用いている。ここで、活性領域とは、ソースフィンガー電極120、ゲートフィンガー電極124およびドレインフィンガー電極122の直下の2DEG層116、ソースフィンガー電極120とゲートフィンガー電極124間およびドレインフィンガー電極122とゲートフィンガー電極124間の2DEG層116からなる。上記の構造例1〜4においては、この活性領域以外の窒化物系化合物半導体層112を電気的に不活性な素子分離領域として用いている。
【0054】
素子分離領域の他の形成方法としては、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)18および窒化物系化合物半導体層112の深さ方向の一部まで、イオン注入により形成することもできる。イオン種としては、例えば、窒素(N)、アルゴン(Ar)などを適用することができる。また、イオン注入に伴うドーズ量は、例えば、約1×1014(ions/cm2)であり、加速エネルギーは、例えば、約100keV〜200keVである。
【0055】
素子分離領域上およびデバイス表面上には、パッシベーション用の絶縁層(図示省略)が形成されている。この絶縁層としては、例えば、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法によって堆積された窒化膜、アルミナ(Al23)膜、酸化膜(SiO2)、酸窒化膜(SiON)などで形成することができる。
【0056】
ソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122は、例えば、Ti/Alなどで形成される。ゲートフィンガー電極124は、例えばNi/Auなどで形成することができる。
【0057】
なお、実施の形態に係る高周波モジュール1に適用する半導体装置24において、ゲートフィンガー電極124、ソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122の長手方向のパターン長は、マイクロ波/ミリ波/サブミリ波と動作周波数が高くなるにつれて、短く設定される。例えば、ミリ波帯においては、パターン長は、約25μm〜50μmである。
【0058】
また、ソースフィンガー電極120の幅は、例えば、約40μm程度であり、ソース端子電極S11,S12,S21,S22,…,S101,S102の幅は、例えば、約100μm程度である。また、VIAホールSC11,SC12,SC21,SC22,…,SC101,SC102の形成幅は、例えば、約10μm〜40μm程度である。
【0059】
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0060】
なお、実施の形態に係る高周波半導体装置に適用するディスクリートトランジスタとしては、FET、HFET、HEMTに限らず、LDMOS(Laterally Diffused Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)やヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Hetero-junction Bipolar Transistor)などの増幅素子、メムス(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)素子なども適用できることは言うまでもない。
【0061】
このように、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【符号の説明】
【0062】
1…高周波モジュール
10…メタルキャップ
11,11b、11c、11e、12,14,15、15a、15b…ボンディングワイヤ
14a…メタルシールリング
16…金属壁
17…入力整合回路
18…出力整合回路
19a、39a…入力ストリップライン
19b、39b…出力ストリップライン
20a、40a…入力側絶縁層
20b、40b…出力側絶縁層
21a…高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子
21b…高周波出力端子
22…フィードスルー上層部
24…半導体装置
27…電極パターン
26…入力回路基板
28…出力回路基板
41a…運用時用ゲートバイアス端子
41b…ドレインバイアス端子
50…ブリーダ抵抗回路
52、54…DC遮断用キャパシタ
56、58…ブリーダ抵抗
70…運用時用ゲートバイアス回路
80…ドレインバイアス回路
110…半絶縁性基板
112…窒化物系化合物半導体層(GaNエピタキシャル成長層)
116…2次元電子ガス(2DEG)層
118…アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)
120…ソースフィンガー電極
122…ドレインフィンガー電極
124…ゲートフィンガー電極
126…ソース領域
128…ドレイン領域
200…導体ベースプレート
G,G1,G2,…,G10…ゲート端子電極
S,S11,S12,…,S101,S102…ソース端子電極
D,D1,D2,…,D10…ドレイン端子電極
SC11,SC12,…,SC91,SC92,SC101,SC102…VIAホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置と、
前記半導体装置の入力側に配置された入力整合回路と、
前記半導体装置の出力側に配置された出力整合回路と、
前記入力整合回路に接続された運用時用ゲートバイアス回路と、
前記運用時用ゲートバイアス回路に接続された運用時用ゲートバイアス端子と、
前記入力整合回路に接続された高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子と、
前記出力整合回路に接続されたドレインバイアス回路と、
前記ドレインバイアス回路に接続されたドレインバイアス端子と、
前記出力整合回路に接続された高周波出力端子と
を備え、前記半導体装置と、前記入力整合回路と、前記出力整合回路と、前記運用時用ゲートバイアス回路と、前記ドレインバイアス回路とが1つのパッケージに収納されたことを特徴とする高周波モジュール。
【請求項2】
前記運用時用ゲートバイアス回路は、ブリーダ抵抗回路を備え、前記運用時用ゲートバイアス端子は、前記ブリーダ抵抗回路を介して前記半導体装置のゲート端子に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項3】
前記高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子の外部に接続されたDC遮断用キャパシタを備えることを特徴とする請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
前記DC遮断用キャパシタを介して、前記半導体装置に入力信号を供給すると共に、高温動作時においては、前記高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子にゲートバイアス電圧を供給することによって、前記半導体装置のゲート端子電極の電位を制御することを特徴とする請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記ドレインバイアス回路は、電極パターンを備え、前記ドレインバイアス端子は、前記電極パターンを介して前記半導体装置の前記ドレイン端子に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項6】
前記ブリーダ抵抗回路は、
前記第2ゲートバイアス端子に接続された第1ブリーダ抵抗と、
前記第1ブリーダ抵抗に対して接地電位との間に直列接続された第2ブリーダ抵抗と
を備え、前記第2ゲートバイアス端子に供給される電圧が、前記第1ブリーダ抵抗と前記第2ブリーダ抵抗との抵抗分圧によって、前記半導体装置の前記ゲート端子に印加されることを特徴とする請求項2に記載の高周波モジュール。
【請求項7】
前記ドレインバイアス端子に供給される電圧が、前記半導体装置の前記ドレイン端子に印加されることを特徴とする請求項4に記載の高周波モジュール。
【請求項8】
前記高周波出力端子と前記出力整合回路との間に接続されたDC遮断用キャパシタを備えることを特徴とする請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項9】
前記半導体装置は、
半絶縁性基板と、
前記半絶縁性基板の第1表面に配置され,それぞれ複数のフィンガーを有するゲートフィンガー電極、ソースフィンガー電極およびドレインフィンガー電極と、
前記半絶縁性基板の第1表面に配置され,前記ゲートフィンガー電極、前記ソースフィンガー電極および前記ドレインフィンガー電極ごとに複数のフィンガーをそれぞれ束ねて形成した複数のゲート端子電極、複数のソース端子電極およびドレイン端子電極と、
前記ソース端子電極の下部に配置されたVIAホールと、
前記半絶縁性基板の第1表面と反対側の第2表面に配置され、前記ソース端子電極に対して前記VIAホールを介して接続された接地電極と
を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項10】
前記半絶縁性基板は、GaAs基板、SiC基板、GaN基板、SiC基板上にGaNエピタキシャル層を形成した基板、SiC基板上にGaN/AlGaNからなるヘテロ接合エピタキシャル層を形成した基板、サファイア基板、若しくはダイヤモンド基板のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の高周波モジュール。
【請求項11】
半導体装置と、前記半導体装置の入力側に配置された入力整合回路と、前記半導体装置の出力側に配置された出力整合回路と、前記入力整合回路に接続された運用時用ゲートバイアス回路と、前記運用時用ゲートバイアス回路に接続された運用時用ゲートバイアス端子と、前記入力整合回路に接続された高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子と、前記出力整合回路に接続されたドレインバイアス回路と、前記ドレインバイアス回路に接続されたドレインバイアス端子と、前記出力整合回路に接続された高周波出力端子とを有し、前記半導体装置と、前記入力整合回路と、前記出力整合回路と、前記運用時用ゲートバイアス回路と、前記ドレインバイアス回路とが1つのパッケージに収納された高周波モジュールの動作方法であって、
運用時において、前記運用時用ゲートバイアス回路を介して、前記半導体装置のゲート端子電極の電位を制御するステップと、
運用時において、前記高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子の外部に接続されたDC遮断用キャパシタを介して、前記半導体装置に入力信号を供給するステップと、
高温動作時において、前記高周波入力端子兼高温動作時用ゲートバイアス端子にゲートバイアス電圧を供給することによって、前記半導体装置のゲート端子電極の電位を制御するステップと
を有することを特徴とする高周波モジュールの動作方法。
【請求項12】
前記運用時用ゲートバイアス回路は、ブリーダ抵抗回路を有し、運用時において、前記ブリーダ抵抗回路を介して、前記半導体装置のゲート端子電極の電位を制御することを特徴とする請求項11に記載の高周波モジュールの動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−250361(P2011−250361A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124237(P2010−124237)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】