説明

高速回復整流器構造体の装置および方法

【課題】高速回復整流器構造体の装置および方法を提供する。
【解決手段】具体的には構造体は第1のドーパントの基板(120)を含む。第1のドーパントが低濃度ドープされた第1のエピタキシャル層(140)が基板に結合されている。第1の金属層(190)が第1のエピタキシャル層に結合されている。複数のトレンチ(175)が第1のエピタキシャル層内に窪んでおり、その各々が金属層と結合している。装置は各々第2のドーパント型がドープされた複数のウェルも含み、各ウェルは対応するトレンチの下に且つ隣接して形成されている。複数の酸化物層(170)が対応するトレンチの壁および底部上に形成されている。第1のドーパントがドープされた複数のチャネル領域が、2つの対応するウェル間の第1のエピタキシャル層内に形成されている。複数のチャネル領域(150)の各々は第1のエピタキシャル層より高濃度に第1のドーパントがドープされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2005年12月27日に出願されるとともに本発明の譲受人に譲受された"Fast Recovery Rectifier Structure"と題された同時係属仮特許出願第60/754,550号の優先権を主張するものであり、その全体を本明細書に引用して援用する。
【0002】
本出願は2004年6月15日に出願された"Schottky Barrier Rectifier and Method of Manufacturing the Same"と題された同時係属、同一出願人が所有する米国特許出願第10/869,718号に関連するものであり、その全体を本明細書に引用して援用する。
【0003】
本出願は2005年12月27日に出願された"Ultrafast Recovery Diode"と題された同時係属、同一出願人が所有する米国特許出願第11/320,313号に関連するものであり、その全体を本明細書に引用して援用する。
発明の背景
発明の分野
本発明の実施形態は整流器の分野に関する。特に本発明の実施形態は概して高速回復整流器構造体に関する。
【背景技術】
【0004】
関連技術
スイッチング電源の効率における重要な要因はそのような回路で用いられるダイオードの性能である。特にそのようなダイオードの逆回復は、そのような電源のトランジスタスイッチのターンオン・ロスを低減することができる。例えば逆回復電流過渡がスイッチのターンオン時に電流の付加成分として出現し、スイッチのターンオン・ロスはそのような逆回復成分がない場合より大幅に高いという結果になる。その結果逆回復電荷(Qrr)を低減することがスイッチング電源の効率の改善に重要である。
【0005】
しかし残念なことに逆回復が急過ぎる場合には電流および電圧は不要な振動を起こす。このような振動は例えば低効率電源動作、有害な雑音出力(例えば電源リップルおよび/または電磁干渉)、および/または非常に高く且つ場合によっては有害な電圧スパイクをもたらす恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の要約
そのためソフトリカバリ特性を維持する逆回復電荷が低減した高速回復整流器構造体が非常に望まれている。さらなる要求はより小型形状用のトレンチを用いて形成された高速回復整流器構造体で、上記の要求を満たすことである。さらに他の要求はこれが従来の半導体製造プロセスおよび機器と適合し且つ相補的であるように、上記の要求を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って本発明の様々な実施形態は高速回復整流器構造体の装置および方法を開示する。本発明の実施形態はソフトリカバリ特性を維持しつつ逆回復電荷を低減することができる。また本発明の実施形態はJFETチャネル領域と直列のショットキーダイオード領域、または組み合わせPiNショットキー(MPS)ダイオード構造体の作製を含む、シリコンベースの高速回復整流器構造体を開示する。例えば一実施形態においてMPSダイオード構造体は、より小さい形状のためより高いショットキー対PiN比と、順方向導通中のホール注入の寄与を低減するウェル領域間のNドーピングのためチャネル抵抗の低減とを可能にする。
【0008】
具体的には整流器構造体は第1のドーパント型の基板を含む。第1のドーパント型が低濃度にドープされた第1のエピタキシャル層が基板に結合されている。第1の金属層が第1のエピタキシャル層に隣接して結合されている。複数のトレンチが第1のエピタキシャル層内に窪み、複数のトレンチの各々が金属層に結合されている。装置はまた各々第2のドーパント型がドープされた複数のウェルを含み、その各々が互いに離間されるとともに、その各々が複数のトレンチ内の対応するトレンチの下に当該トレンチに隣接して形成されている。対応するウェルが対応するトレンチから電気的に絶縁されるように、複数の酸化物層が各々対応するトレンチの壁および底部上に形成されている。第1のドーパント型がドープされた複数のチャネル領域が、複数のウェルからの2つの対応するウェル間の第1のエピタキシャル層内に形成されるとともに、複数のチャネル領域の各々が第1のエピタキシャル層より高濃度に第1のドーパント型がドープされている。
【0009】
本発明の実施形態は高速回復整流器構造体の作製方法も記載する。この方法は第1のドーパント型がドープされた第2のエピタキシャル層を基板上に堆積するステップを含む。基板は第1のドーパント型が高濃度にドープされている。つまり基板は第2のエピタキシャル層より高濃度にドープされている。また方法は第1のドーパント型が低濃度にドープされた第1のエピタキシャル層を、第2のエピタキシャル層上に堆積するステップを含む。第2のエピタキシャル層は第1のエピタキシャル層より高濃度にドープされている。複数のトレンチを第1のエピタキシャル層内にエッチングする。複数の酸化物、ゲート規定スペーサを複数のトレンチの各々の壁および底部上に形成する。複数のウェルに複数のトレンチの各々の底部付近で注入する。複数のウェルの各々は第2のドーパント型がドープされるとともに互いに離間される。つまり複数のウェルの各々は対応するトレンチから電気的に絶縁される。第1の金属層をエピタキシャル層上に堆積する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による超高速回復ダイオードの側面断面図を図示する。
【図2】本発明の一実施形態による、pウェルの中央平面に沿った図1の超高速回復ダイオードの断面である。
【図3】本発明の一実施形態による超高速回復ダイオードの平面図である。
【図4】本発明の一実施形態による、1を超えるショットキー対PiN比を有する超高速回復ダイオードの作製方法のステップを説明するフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による、例示的電流対時間回復特性を図示するチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
ここで本発明の好適な実施形態、高速回復整流器構造体および構造体の作製方法を詳細に参照して、それらの例を添付の図面で説明する。好適な実施形態に関連して本発明を説明するが、本発明をこれらの実施形態に限定しようとするものではないことは理解されよう。反対に本発明は添付の特許請求の範囲に規定された本発明の要旨と範囲とにある変更例、同等物および代替例をすべて網羅しようとするものである。
【0012】
さらにまた本発明の以下の詳細な説明において多数の特定の詳細が本発明の完全な理解を提供するために記載されている。しかし当業者には本発明がこれらの特定な詳細なしに実施され得ることは理解されよう。他の例において周知の方法、手順、構成要素および回路は、本発明の態様を不明瞭にしないように詳細には説明していない。
【0013】
明瞭化および理解のため本発明の実施形態を、n型基板内にpウェルを有する整流器として説明する。しかし本発明の他の実施形態が、本明細書に示したものとは反対の極性の材料を利用する構成、例えばp基板内にnウェルを有する整流器に良好に適することは理解されよう。このような代替実施形態は本発明の範囲内にあるものと考える。
【0014】
図1は本発明の一実施形態による高速回復整流装置100の側面断面図である。図1に示すように整流装置100は半導体基板内で繰り返すことにより、1つまたは複数の整流装置100を完成させることができる。整流器は第1の金属層190と第2の金属層110とを含む。例えば第1の金属層190はアノードとして作用するとともに、第2の金属層110はカソードとして作用する。図1に記載される整流器構造は、150〜1200ボルトの定格降伏電圧を有する装置を作製可能である。
【0015】
整流装置100は第1のドーパント型がドープされた高濃度ドープ基板120を含む。一実施形態では図1に示すように、第1のドーパント型はn型ドーパントである。そのようなものとして基板120はn+濃度にドープされている。
【0016】
一実施形態において第2の金属層は基板120に隣接して配置されている。つまり整流器100のカソード金属被覆は、図1に示すようにn+基板に結合されている。
【0017】
+基板120の上に配置されているのは、エピタキシャルに堆積されるとともにn型などの第1のドーパント型で低濃度ドープされた、第1のエピタキシャル層140である。つまりn-第1エピタキシャル層またはn-ドリフト領域のドーパント濃度は、n+基板120のドーパント濃度より低い。加えて一実施形態では第1のエピタキシャル層140は基板に結合されている。
【0018】
一実施形態において第1の金属層190は、第1のエピタキシャル層140に隣接して配置されている。いくつか実施形態において第1の金属層は通例アルミニウムを備えるとともに、さらに約1パーセントのシリコンを備え得る。つまり一実施形態では第1の金属層190はシリコンがドープされた単一のアルミニウム層を備える。他の実施形態では第1の金属層190はシリコンがドープされた複合アルミニウム層を備える。
【0019】
+基板120と第1のエピタキシャル層140との間に配置されているのは、n型などの第1のドーパントタイプがドープされた第2のエピタキシャル層130である。n型第2のエピタキシャル層130のドーパント濃度は、n+基板120のドーパント濃度より低い。またn型第2のエピタキシャル層130のドーパント濃度は、n-第1のエピタキシャル層140のドーパント濃度より高い。
【0020】
整流器100の二重エピタキシャル層構造において、第2のエピタキシャル層130は空乏層ストップとして作用する。つまり第2のエピタキシャル層130において、n+基板120に到達する前に電界を0にまで低減することができる。その結果第2のエピタキシャル層130の追加により、第1のエピタキシャル層140を薄くすることができる。
【0021】
整流器構造体100は複数のトレンチ175を含み、その各々は第1のエピタキシャル層140内に窪んでいる。加えて複数のトレンチ175の各々は、第1の金属層190に電気的に結合されている(図示せず)。一実施形態において複数のトレンチの各々は非ドープシリコンまたは非ドープポリシリコンで充填されている。
【0022】
一実施形態においてトレンチ175は、一例として約300〜700ナノメートルという深さ寸法を有する。加えてトレンチ175は、一例として約0.4〜0.5μmという幅を有する。本発明による実施形態は他の寸法に適していることは理解されよう。
【0023】
複数のトレンチ175の底部にあるのは複数のウェル160である。すなわち複数のトレンチ175の各々の底部にはシャローウェル160がある。このようなものとして複数のウェル160の各々は、複数のトレンチ175のうちの対応するトレンチ175の下に隣接して形成されている。複数のウェルの各々はp型ドーパントなどの第2のドーパント型がドープされている。図1に示すように複数のpウェル160の各々は互いに離間されている。
【0024】
一実施形態においてpウェル160はボロン原子がドープされている。例えばこの領域におけるボロンの濃度は1立方センチメートル当たり約1×1018原子である。さらに他の実施形態においてpウェルの接合深さはおよそ0.2〜0.3μmである。またpウェル窓の寸法はおよそ150〜200ナノメートルである。
【0025】
本発明の一実施形態において、整流器構造体100の逆回復中にキャリアが再結合する時間を低減するために、少数キャリア寿命キリング技術が実施される。
【0026】
また図1に示すように整流器100は複数の酸化物層170を含む。複数の酸化物層170の各々は対応するトレンチの壁および底部上に形成されている。一実施形態では例えばトレンチ175の各々は二酸化シリコン170の絶縁膜で覆われている。一実施形態ではトレンチ175の残りの部分は非ドープポリシリコンで充填されている。
【0027】
このようなものとしてウェル160の各々は、酸化物層170によって対応するトレンチ175から電気的に絶縁されている。つまり第1の金属層190は非ドープポリシリコン充填トレンチ175に電気的に結合されている。しかし第1の金属層190はトレンチ領域175を介してpウェル160に電気的に結合されてはいない。つまりトレンチ175の底および縦側の絶縁二酸化シリコン層170は、トレンチ175により第1の金属層190からpウェル160を電気的に絶縁する作用をする。しかしウェル160は、図2および3に後述する遠隔に位置するコンタクト領域(図示せず)を介して第1の金属層190に電気的に結合されている。
【0028】
図1に示すように複数のチャネル領域150がウェル160の各々間に形成されている。つまりウェル160間の領域は第1のドーパント型(例えばn型ドーパント)がドープされているとともに、第1のエピタキシャル層140内に形成されている。つまり各チャネル領域150は2つの対応するウェル160間に位置する。チャネル領域150のドーパント濃度は第1のエピタキシャル層140のドーパント濃度より高い。
【0029】
本発明の実施形態によればpウェル160間の領域150はn型ドーピングを備え、「nチャネルエンハンスメント」層150と称される。nチャネルエンハンスメント150は、1立方センチメートル当たり約1.0×1015〜2.0×1016原子というという例示的ドーピングを備える。一実施形態においてチャネル領域150はリンがドープされている。このようなドーピングレベルは一般にn-第1エピタキシャル層140のドーピングレベルを超えていることは理解されよう。
【0030】
整流器構造体100は複数のウェル160の表面の各々上に配置された導電性チタンシリサイド(TiSi2)層165も含む。例えばチタンシリサイド層165はpウェル160の表面に作製されてpウェル160の水平抵抗を低減する。
【0031】
ショットキー障壁金属180が第1の金属層190の下に配置されて整流器100内に示されている。ショットキー障壁金属180は第1の金属層190と、第1のエピタキシャル層140と、トレンチ175とを離間する。ショットキー障壁金属180は第1のエピタキシャル層140、酸化物層170およびトレンチ175内のポリシリコン領域と密着したモリブデン、タングステンまたはプラチナなどの障壁金属を備える。
【0032】
ショットキー障壁185はアノード金属190と、n-第1エピタキシャル層140のメサ領域のn-エピタキシャル層140との間に形成されている。n-第1エピタキシャル層140のメサ領域はトレンチ175間に形成されている。一実施形態においてメサ領域はおよそ0.45〜0.65μmの寸法を有する。加えてショットキー障壁185は、例えばn-エピタキシャル層に隣接配置されたアルミニウム(例えばn-エピタキシャル層140に隣接配置されたアルミニウムを備えるアノード金属190)の固有の特性により形成され得る。
【0033】
逆バイアス状態ではショットキーダイオードは一般にリークしやすいことは理解されよう。しかし本発明の実施形態によれば逆バイアスでpウェル160はピンチオフし(例えば空乏領域がpウェル160間に生じ)、これにより整流器100に対する所望の降伏電圧と低リークが確保される。有利なことには整流器構造体100のnチャネル特性により逆回復が改善する。このような逆回復改善の一メカニズムはpウェル160からの少数キャリア注入の抑制による。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、整流器100は各々が接合型電界効果トランジスタ(JFET)チャネルおよびP真性N(PiN)ダイオードのベース領域と直列である1つまたは複数のショットキーダイオードを備えるものと理解される。つまりpウェル160、n-第1エピタキシャル層140、およびn+基板がPiNダイオードを形成するとともに、各PiNダイオード間にはショットキーダイオードがある。PiNダイオードはJFETのゲートからの少数キャリアの注入により導電的に調節される。
【0035】
整流器構造体100は比較的精密なプロセス形状を用いて構成される。好適な実施形態において整流器構造体100は、1以上の比率のショットキー障壁185対PiN領域の寸法を示す。特に整流器構造体100に対して前述した形状は、およそ0.45〜0.65μmのn-メサ領域、およそ0.4〜0.5μmのトレンチ幅領域、およそ300〜700nmのトレンチ深さ、およそ150〜200nmのpウェル窓の寸法、およびおよそ0.2〜0.3μmのpウェル深さを含む。これらの形状は1を超えるショットキー対PiN比を生じる。
【0036】
整流器100の高いショットキー対PiN比およびnチャネル領域150のため、整流器100は逆回復特性の向上を示す。一実施形態においてショットキー比はpウェル160の幅に対するショットキー障壁185の寸法比である。
【0037】
加えて一実施形態において精密なプロセス形状の構成はトレンチの下に配置されたpウェル160のドーピングを行うが、それは大きいプロセス形状に対応する大きいトレンチの下方のpウェルのドーピングと比べると大幅に容易である。
【0038】
ここで整流器構造体100を機能的に説明する。JFETチャネルは複数のpウェル160間に生じる。順方向バイアス状態では、pウェルはJFETチャネルにホールを注入する。これらの追加ホールはJFETチャネルの抵抗を低減し、整流器構造体100のショットキー領域内の順方向導通を向上させる。ショットキー障壁185とn-エピタキシ140との間のショットキーダイオードは、対応するPiNダイオードと比べて、約0.3ボルトの低い順方向降下を有するものとして特徴付けられる。JFETチャネルの電圧降下がおよそ0.6ボルトに達すると、pウェルはホールを注入し始める。
【0039】
金属/半導体接合を有するショットキーダイオードは整流挙動を示す(例えば電流が一方の極性で他方の極性より容易に構造体を通過する)。本実施形態のショットキーダイオードを高周波数および高速切替用途で用いることができる。ショットキーダイオードは多数のキャリアで動作する。金属領域は高密度に伝導帯電子が占めているとともに、n型半導体領域は低濃度ドープされている。
【0040】
nチャネルエンハンスメント領域150はJFETチャネルの抵抗を低減することにより、pウェル160の順方向バイアス状態の開始を遅延させる。このような場合電流の大部分はJFETチャネルを流れる。少数キャリアが少なければ少数キャリアの密度が低下し、逆回復装置性能の有益な改善を生じる。
【0041】
逆バイアス状態において空乏層がpウェル160の周囲に生じる。最終的にはこれらの空乏領域が互いに重複してJFETチャネルの「ピンチオフ」をもたらす。
【0042】
有利なことには本発明による実施形態の特徴は大部分、ドーピングプロセスよりも装置形状により制御される。一般にドーピングプロセスがドーパント密度の様々な分布を生じる一方で、形状プロセスは概してより精密である。
【0043】
本発明による実施形態が例えば少数キャリア寿命低減、例えば電子線照射、アルゴン、ヘリウムまたは水素注入、もしくは重金属、例えばプラチナまたは金を単体でまたは様々な組み合わせでの拡散を始めとする様々な周知の技術により性能調整によく適していることは理解されよう。
【0044】
本発明の他の実施形態によれば超高速ダイオードが本明細書に記載されている。超高速ダイオードは基板を備える。基板は第1のドーパント型、例えばn型ドーパントがドープされている。超高速ダイオード100は、基板に結合された第1のドーパント型で低濃度ドープされた第1のエピタキシャル層を含む。第1の金属層は第1のエピタキシャル層に隣接して配置されている。第1のトレンチは第1のエピタキシャル層内に窪んでいるとともに金属層に結合されている。第1のウェルは第1のトレンチの下に且つ隣接して形成されている。第1のウェルは第2のドーパント型、例えばp型ドーパントがドープされている。
【0045】
加えて第2のトレンチが第1のエピタキシャル層内に窪んでいるとともに金属層に結合されている。第2のウェルは第2のトレンチの下に且つ隣接して形成されている。第2のウェルは第2のドーパント型、例えばp型ドーパントがドープされている。
【0046】
チャネル領域は第1のエピタキシャル層内に形成されているとともに第1のpウェルと第2のpウェルとの間に位置している。チャネル領域は第1のエピタキシャル層より高濃度に第1のドーパントがドープされている。
【0047】
加えて第1のウェルが第1のトレンチから電気的に絶縁されるように、第1の酸化物層が第1のトレンチの壁および底部に形成されている。また第2のウェルが第2のトレンチから電気的に絶縁されるように、第2の酸化物層が第2のトレンチの壁および底部上に形成されている。
【0048】
図2は本発明の一実施形態による、トレンチプラグ領域を通るpウェル160の中央平面に沿った超高速回復整流器構造体200の断面である。他の実施形態では整流器構造体200は図1の整流器100を表わす。例えば図2は図1のA−A線に沿った整流器構造体100の断面を表わす。
【0049】
図2に示すように超高速整流器構造体200は、金属層(例えばカソードコンタクト)上に配置されたn+基板220を備える。超高速整流器構造体200はn型ドーパントがドープされた第1のエピタキシャル層230を含む。第1のエピタキシャル層230は空乏層ストップとして作用するとともに基板220に隣接している。整流器構造体200は第1のエピタキシャル層230の上に配置された第2のエピタキシャル層240も含む。
【0050】
図2に示すようにトレンチプラグ領域の断面が示されている。トレンチプラグは図1のトレンチ領域175に対応する。例えばトレンチプラグ領域はチタンシリサイド層265を含む。酸化物層270がトレンチの底部および壁上に配置されている。トレンチは非ドープポリシリコン275で充填されている。またトレンチプラグ領域はトレンチフィル275とアノード金属層215との間に配置された障壁金属280を含む。
【0051】
また図2に示されているようにpウェル260はトレンチプラグ領域の底部に配置されている。図示のようにpウェル260はトレンチ領域275から電気的に絶縁され、それに対応してトレンチプラグ領域によりアノード金属層215から電気的に絶縁されている。
【0052】
pウェル領域260はコンタクト310を介してアノード金属化215に電気的に結合されている。つまりpウェル260とアノード金属層215との間にトレンチプラグ領域を介してコンタクトを形成する代わりに、本発明の実施形態はトレンチプラグ領域から離れて位置するコンタクト領域310を提供して、pウェル260とアノード金属層215との間の電気結合を容易にする。図3に示すようにコンタクト310は装置の空間的に作製された領域に作製される。
【0053】
図3は本発明の一実施形態による超高速回復整流器構造体300の平面図である。一実施形態において図3は、金属層(図示せず)の下方の構成要素を露出する図1の整流器構造体100のトップダウン図を表わす。また他の実施形態において図3は図2の整流器構造体200を表わす。
【0054】
図3に示すように整流器構造体300は複数のトレンチ375を含む。複数のショットキーダイオード395が複数のトレンチ間に配置されている。複数のpウェルが複数のトレンチ375の下方に配置されている。
【0055】
図3に示すように複数の遠隔配置コンタクト領域310も示されている。コンタクト領域310は整流器構造体300のトレンチプラグ領域から離れて位置している。つまりpウェルはトレンチプラグを介してアノード金属層(図示せず)から電気的に絶縁されている。
【0056】
複数のコンタクト領域310の各々は複数のpウェルとアノード金属層(図示せず)とを電気的に結合する。このようにpウェルはコンタクト領域310を介してアノード金属層に電気的に結合されている。
【0057】
図4は本発明の一実施形態による、1以上のショットキー対PiN比を有する超高速回復整流器構造体の作製方法のステップを説明するフローチャートである。図4に示すように作製プロセスは洗浄、堆積、ドーピング、エッチング等などの、半導体基板に対する様々な初期プロセスで始まり得る。半導体基板は第1の濃度の第1の型のドーパントを含み得る。例えば本発明の実施形態で基板はリンまたは砒素で高濃度ドープされたシリコン、またはボロンで高濃度ドープされたシリコンを備え得る。
【0058】
410で本実施形態は基板上に随意のエピタキシャル層、第2のエピタキシャル層を堆積する。第2のエピタキシャル層は第1のドーパント型がドープされている。第2のエピタキシャル層は空乏層ストップとして作用する。このようなものとして基板には第2のエピタキシャル層より高濃度に第1のドーパントがドープされている。
【0059】
420で本実施形態は随意の第2のエピタキシャル上に、他のエピタキシャル層、第1のエピタキシャル層を堆積する。第1のエピタキシャル層は第1のドーパント型で低濃度にドープされている。第2のエピタキシャル層は第1のエピタキシャル層より高濃度にドープされている。
【0060】
一実施形態において第1のエピタキシャル層は、堆積中にドーパントをエピタキシャル室内に導入することによりドープされる。例えばエピタキシャル堆積第1層は、リンまたは砒素(N)が適度にドープされたシリコンであってもよい。第1のエピタキシャル層も堆積後に随意の高エネルギー注入および熱アニールプロセスによりドープされてもよい。この場合エピタキシャル堆積半導体層はボロンで適度にドープされたシリコンでもよい。
【0061】
430で本実施形態は複数のトレンチを第1のエピタキシャル層内にエッチングする。トレンチは実質的に平行且つ直線である。トレンチ間の間隔およびトレンチの深さを、ショットキー障壁対PiN比が1以上になるように選択することにより、逆バイアスで整流器の回復特性を増加させる。
【0062】
440で本実施形態は複数のトレンチの各々の壁および底部上に配置された複数の酸化物層を形成する。このようなものとしてトレンチフィルは、酸化物層のためトレンチ底部の下方の領域から絶縁されている。
【0063】
450で本実施形態は複数のトレンチの各々の底部付近で複数のウェルに各々第2のドーパント型を注入する。一実施形態において複数のウェルの各々は互いに離間されており、複数のウェルの各々は前述した酸化物層によって対応するトレンチから電気的に絶縁される。複数のウェルは一例として制御ゲート領域のグリッドを形成する。ウェルは任意の周知の高エネルギー注入プロセスにより注入され得る。一実施形態においてドーパントは熱サイクル(例えば急速熱アニール)により所望の深さまで送られ得る。
【0064】
加えて本実施形態は複数のウェルと第1の金属層とを電気的に結合する複数の遠隔に位置するコンタクト領域を形成する。
【0065】
一実施形態においてウェル間の複数のチャネル領域は第1のドーパント型が注入されてエンハンストチャネル領域を形成する。つまり複数のウェル間に規定される複数のチャネル領域内の第1の半導体層の領域には第1のドーパントが注入される。このようなものとして複数のチャネル領域は第1のエピタキシャル層より高濃度にドープされる。
【0066】
460で本実施形態は第1のエピタキシャル層上に第1の金属層を堆積する。例えば第1の金属層はアノード金属層である。
【0067】
また他の実施形態では、ショットキー障壁が第1の金属層と第1のエピタキシャル層とを離間するように、ショットキー障壁金属が第1の金属層の下に堆積される。具体的には前述したチャネル領域の上方でショットキー障壁金属と第1のエピタキシャル層との間にショットキー障壁ダイオードが形成される。
【0068】
図5は本発明の実施形態による例示的電流対時間回復特性500を図示する。回復特性510は従来技術で既知であるような例示的600ボルト超高速ダイオードの逆回復特性を表わす。この回復特性が約3アンペアの最大逆電流と約3×10秒の持続時間とを備えることは理解されよう。
【0069】
回復特性520は本発明の実施形態による例示的600ボルトダイオードの逆回復特性を表わす。このダイオードの回復特性が従来のダイオードの特性510より大幅に少ない電流を備えることは理解されよう。回復特性520は約1.3アンペアの最大逆電流を示す。回復持続時間が特性510のものより若干長く、例えば約4.5×108秒であることは有益である。
【0070】
回復特性530は本発明の実施形態による第2の例示的600ボルトダイオードの逆回復特性を表わす。このダイオードの回復特性が、従来のダイオードの特性510より大幅に少ない電流を備えることは理解されよう。回復特性520は約0.8アンペアという最大逆電流を示す。回復持続時間が特性510のものより若干長く、例えば約4.5×108秒であることは有益である。
【0071】
従って本発明の様々な実施形態は高速回復整流器構造体の装置および方法を開示する。本発明の実施形態はソフトリカバリ特性を維持しつつ逆回復電荷を低減することができる。また本発明の実施形態はJFETチャネル領域と直列のショットキーダイオード領域、または組み合わせPiNショットキー(MPS)ダイオード構造体の作製を含む、シリコンベースの高速回復ダイオードを開示する。例えば一実施形態においてMPSダイオード構造体は、より小さい形状のためより高いショットキー対PiN比と、順方向導通中のホール注入の寄与を低減するウェル領域間のNドーピングのためチャネル抵抗の低減とを可能にする。
【0072】
フロ−チャート400に図示された実施形態の方法はステップの特定の順番と量とを示しているが、本発明は代替実施形態に適している。例えばこの方法のために設けられたステップのすべてが本発明に必要ではない。さらにまたさらなるステップを本実施形態に提示されたステップに追加することができる。同様に用途に応じてステップの順番を変更することができる。
【0073】
本発明の実施形態、およそ1以上のショットキー対PiN比を有する高速回復整流器構造体およびその作製方法が記載されている。本発明を特定の実施形態で説明したが、本発明がこのような実施形態により限定されるものと理解されるべきではなく、以下の特許請求の範囲により理解されるべきであることは理解できよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のドーパント型がドープされた基板と、
前記基板に結合された前記第1のドーパント型がドープされた第1のエピタキシャル層と、
前記第1のエピタキシャル層に隣接する第1の金属層と、
前記第1のエピタキシャル層内に窪み、各々が前記金属層に結合された導電性材料を有する複数のトレンチと、
各々互いに離間されるとともに、各々前記複数のトレンチのうちの対応するトレンチの下に形成された、各々第2のドーパント型がドープされた複数のウェルと、
前記複数のウェルの各々と前記対応するトレンチとの間に配置された導電層と、
対応するウェルが前記対応するトレンチ内の前記導電性材料から電気的に絶縁されるように、各々対応するトレンチの壁および底部上に形成された、複数の酸化物層と、
前記第1のエピタキシャル層内に形成された前記第1のドーパント型がドープされ、各々前記複数のウェルからの2つの対応するウェル間に位置するとともに、各々前記第1のエピタキシャル層より高濃度に前記第1のドーパント型にドープされた複数のチャネル領域と
を備える整流装置。
【請求項2】
前記基板と前記第1のエピタキシャル層との間に位置する第2のエピタキシャル層をさらに備え、
前記第2のエピタキシャル層は、前記基板より低濃度にドープされているとともに、前記第1のエピタキシャル層より高濃度にドープされている、請求項1に記載の整流装置。
【請求項3】
ショットキー障壁が前記第1の金属層と前記第1のエピタキシャル層とを離間するように、前記第1の金属層の下に配置されたショットキー障壁をさらに備える請求項1に記載の整流装置。
【請求項4】
複数のPiN領域をさらに備え、
前記複数のPiN領域の各々に対する前記ショットキー障壁の領域の比がおよそ1以上である、請求項3に記載の整流装置。
【請求項5】
前記複数のトレンチの各々が非ドープシリコンを備える、請求項1に記載の整流装置。
【請求項6】
前記第1のドーパント型はn型ドーパントである、請求項1に記載の整流装置。
【請求項7】
前記複数のウェルおよび前記第1の金属層に結合され、遠隔に位置する複数のコンタクト領域をさらに備え、前記遠隔に位置するコンタクト領域の各々が、前記複数のウェルの各一部と前記第1の金属層とを結合するように構成された、請求項1に記載の整流装置。
【請求項8】
第1のドーパント型がドープされた基板と、
前記基板に結合され前記第1のドーパント型が低濃度ドープされた第1のエピタキシャル層と、
前記第1のエピタキシャル層に隣接する第1の金属層と、
前記第1のエピタキシャル層内に窪み、前記金属層に結合された導電性材料を有する第1のトレンチと、
前記第1のトレンチの下に形成され、第2のドーパント型がドープされた第1のウェルと、
前記第1のエピタキシャル層内に窪み、前記金属層に結合された導電性材料を有する第2のトレンチと、
前記第2のトレンチの下に形成され、第2のドーパント型がドープされた第2のウェルと、
前記第1および第2のウェルの各々と前記対応するトレンチとの間に配置された導電層と、
前記第1のエピタキシャル層内に形成されるとともに前記第1のウェルと前記第2のウェルとの間に位置する、前記第1のエピタキシャル層より高濃度に前記第1のドーパント型がドープされたチャネル領域と
を備える超高速ダイオード。
【請求項9】
前記第1のウェルが前記第1のトレンチ内の前記第1の導電性材料から電気的に絶縁されるように、前記第1のトレンチの壁および底部上に形成された第1の酸化物層と、
前記第2のウェルが前記第2のトレンチ内の前記第2の導電性材料から電気的に絶縁されるように、前記第2のトレンチの壁および底部上に形成された第2の酸化物層と
をさらに備える、請求項8に記載の超高速ダイオード。
【請求項10】
前記基板に隣接する第2の金属層をさらに備える、請求項8に記載の超高速ダイオード。
【請求項11】
前記第1のドーパント型がn型ドーパントを備える、請求項8に記載の超高速ダイオード。
【請求項12】
前記基板と前記第1のエピタキシャル層との間に位置する前記第1のドーパント型の第2のエピタキシャル層をさらに備え、
前記基板が前記第2のエピタキシャル層より高濃度にドープされ、前記第2のエピタキシャル層が前記第1のエピタキシャル層より高濃度にドープされているとともに、前記基板は前記第1のドーパント型がドープされている、請求項8に記載の超高速ダイオード。
【請求項13】
前記第1のウェル、前記第2のウェル、および前記第1の金属層に結合された少なくとも1つの遠隔に位置するコンタクト領域をさらに備える、請求項8に記載の超高速ダイオード。
【請求項14】
前記第1の金属層と前記第1の半導体層との間に位置するショットキー障壁をさらに備える、請求項8に記載の超高速ダイオード。
【請求項15】
PiN領域をさらに備え、
前記PiN領域に対する前記ショットキー障壁の領域の比がおよそ1以上である、請求項14に記載の超高速ダイオード。
【請求項16】
前記導電層がチタンシリサイド(TiSi2)層である、請求項1に記載の整流装置。
【請求項17】
前記導電層がチタンシリサイド(TiSi2)層である、請求項8に記載の超高速ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−65898(P2013−65898A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−246(P2013−246)
【出願日】平成25年1月4日(2013.1.4)
【分割の表示】特願2008−548647(P2008−548647)の分割
【原出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(501315784)パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド (125)
【Fターム(参考)】