説明

3次元情報表示装置

【課題】地図表現のリアリティを損なうことなく、地図情報やルート情報について認識率を高めることができるような3次元情報表示装置を提供する。
【解決手段】3次元情報表示装置であって、3次元地図情報を処理する3次元地図情報処理手段101と、3次元ルート情報を処理する3次元ルート情報処理手段102と、3次元地図情報処理手段101により処理された3次元地図情報および3次元ルート情報処理手段102により処理された3次元ルート情報を表示する3次元情報表示手段103と、を備え、前記3次元地図情報に含まれる前記目的地点までの道路に合流部及び/又は分岐部が存在する場合、前記3次元地図情報処理手段は、合流及び/又は分岐する道路の描画上の高さが合流部及び/又は分岐部直前に被合流道路及び/又は被分岐道路の描画上の高さと合致するよう当該合流及び/又は分岐する道路が表示されるように、前記3次元地図情報を処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置等に用いて好適な、目的地点までの道路を含む3次元地図情報や当該目的地点までのルートを示す3次元ルート情報を表示する3次元情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図情報やルート情報を表示することにより車両を目的地点まで誘導案内するためのカーナビゲーション装置が知られている。このようなカーナビゲーション装置において、地図情報を2次元的に表示する場合、高さの概念が存在しないためルート情報は上描きにより表示している。もしくは、セルアニメーションのように次元の異なるレイヤーの概念を持たせることでルート情報を上描きにより表示している。一方、地図情報を3次元的に表示する場合、高さの概念が存在するためルート情報はそのまま3次元座標系で描画することにより表示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、カーナビゲーション装置における地図表現のリアル化が進む中、ドライバの見たままのシーンを効率的に再現するためには、3次元的表示が最適であるが、地図情報やルート情報をそのまま表示した場合、ドライバにとって必ずしも見易いものとはならない虞があった。
【0004】
本発明は、このような実情に鑑みて為されたものであり、地図表現のリアリティを損なうことなく、地図情報やルート情報について認識率を高めることができるような3次元情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1に、本発明の3次元情報表示装置は、目的地点までの道路を含む3次元地図情報を処理する3次元地図情報処理手段と、前記目的地点までのルートを示す3次元ルート情報を処理する3次元ルート情報処理手段と、前記3次元地図情報処理手段により処理された3次元地図情報および前記3次元ルート情報処理手段により処理された3次元ルート情報を表示する3次元情報表示手段と、を備え、前記3次元地図情報に含まれる前記目的地点までの道路に合流部及び/又は分岐部が存在する場合、前記3次元地図情報処理手段は、合流及び/又は分岐する道路の描画上の高さが合流部及び/又は分岐部直前に被合流道路及び/又は被分岐道路の描画上の高さと合致するよう当該合流及び/又は分岐する道路が表示されるように、前記3次元地図情報を処理することを特徴とする。
【0006】
このような3次元情報表示装置によれば、合流及び/又は分岐する道路の描画上の高さが合流及び/又は分岐直前に被合流道路及び/又は被分岐道路の描画上の高さと合致するよう当該合流及び/又は分岐する道路が表示されるため、合流部及び/又は分岐部の認識率を高めることができる。
【0007】
第2に、本発明の3次元情報表示装置は、前記3次元地図情報に含まれる前記目的地点までの道路に合流部が存在する場合、前記3次元地図情報処理手段は、合流する道路の描画上の高さが合流直前に被合流道路の描画上の高さと合致するよう当該合流する道路が表示されるように、前記合流する道路を構成する3次元ポリゴンを途中で分割しその描画上の高さを前記被合流道路を構成する3次元ポリゴンの描画上の高さと合致させることにより前記3次元地図情報を処理することを特徴とする。
【0008】
このような3次元情報表示装置によれば、合流する道路を構成する3次元ポリゴンを途中で分割しその描画上の高さを被合流道路を構成する3次元ポリゴンの描画上の高さと合致させるようにしているため、合流部の認識率を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
上述した説明から明らかなように、本発明に係る3次元情報表示装置によれば、3次元地図情報および3次元ルート情報に対して適宜処理を施して(いわゆるデフォルメして)表示するようにしており、地図表現のリアリティを損なうことなく、地図情報やルート情報について認識率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
まず、本発明の概念について図1を参照しながら説明する。図1において、本発明に係る3次元情報表示装置は、目的地点までの道路を含む3次元地図情報を処理する3次元地図情報処理手段101と、前記目的地点までのルートを示す3次元ルート情報を処理する3次元ルート情報処理手段102と、3次元地図情報処理手段101により処理された3次元地図情報および3次元ルート情報処理手段102により処理された3次元ルート情報を表示する3次元情報表示手段103とを備えて構成されている。
【0011】
以下、本発明の実施の形態1、2について図2、3を参照しながら説明する。図2は、本発明が適用された実施の形態1、2に共通のカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。図2において、カーナビゲーション装置Sは、自車の方向変換時の角速度を検出し、角速度データおよび相対方位データを出力する角速度センサ1と、車輪の回転に伴って出力される所定周期のパルス信号におけるパルス数をカウントすることにより車輪一回転当たりのパルス数を算出し、当該一回転当たりのパルス数に基づく走行距離データを出力する走行距離センサ2と、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信してGPS測位データを出力すると共に、自車の進行方向の絶対方位データを出力するGPSレシーバ3と、角速度データ、相対方位データ、走行距離データ、GPS測位データおよび絶対方位データに基づいて、カーナビゲーション装置全体の制御を行うシステムコントローラ4と、各種データを入力するためのリモコン装置等の入力装置10と、システムコントローラ4による制御の下、DVD(Digital Versatile Disk)等の光ディスクDKから車線数、道幅等を示す道路データを含む地図データや各施設の名称あるいは詳細情報を示すデータ等の各種データを読み出し出力する光ディスクドライブ11と、システムコントローラ4による制御の下、各種表示データを表示する表示ユニット12と、システムコントローラ4による制御の下、各種音声データを再生し出力する音響再生ユニット17とを備えて構成されている。
【0012】
また、システムコントローラ4は、GPSレシーバ3等の外部センサとのインターフェース動作を行うインターフェース部5と、システムコントローラ4全体を制御するCPU(Central Processing Unit)6と、システムコントローラ4を制御するための制御プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)7と、図示しない不揮発性メモリ等を有し、入力装置10を介して使用者(例えばドライバ)により予め設定されたルートデータ等の各種データを読み出し可能に格納するRAM(Random Access Memory)8とを備えており、入力装置10、光ディスクドライブ11、表示ユニット12および音響再生ユニット17とは、バスライン9を介して接続されている。ここで、CPU6は、前述した3次元地図情報処理手段101および3次元ルート情報処理手段102として設けられている。
【0013】
表示ユニット12は、バスライン9を介してCPU6から送られる制御データに基づいて表示ユニット12全体の制御を行うグラフィックコントローラ13と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり、即時表示可能な画像データを一時的に記憶するバッファメモリ14と、グラフィックコントローラ13から出力される制御データに基づいて、LCD装置、CRT表示装置等のディスプレイ16を表示制御する表示制御部15とを備えて構成されている。ここで、ディスプレイ16は、前述した3次元情報表示手段103として設けられている。
【0014】
音響再生ユニット17は、光ディスクドライブ11またはRAM8からバスライン9を介して送られる音声ディジタルデータのD/A変換を行うD/Aコンバータ18と、D/Aコンバータ18から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅部19と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して外部出力するスピーカ20とを備えて構成されている。
【0015】
このように構成されたカーナビゲーション装置Sにおいて、使用者(例えばドライバ)が入力装置10により目的地点を入力すると、この入力情報に基づいて光ディスクドライブ11により光ディスクDKに記録されている地図データ等が読み出され、RAM8に格納される。次に、RAM8に格納されたデータに基づいてCPU6により目的地点までの道路を含む3次元地図情報および目的地点までのルートを示す3次元ルート情報が生成され、再びRAM8に格納される。そして、RAM8に格納された3次元地図情報および3次元ルート情報に対してCPU6により後述するような処理が適宜施され、処理後の3次元地図情報および3次元ルート情報がディスプレイ16にて表示されるようになっている。
【0016】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1は、3次元地図情報に含まれる目的地点までの道路に合流部が存在する場合の表示を改善するものである。この場合、3次元地図情報処理手段としてのCPU6により、図3に示すように、合流する道路51の描画上の高さが合流直前に被合流道路32の描画上の高さと合致するよう表示されるように、3次元地図情報が処理される。具体的には、3次元地図情報処理手段としてのCPU6により、合流する道路51を構成する3次元ポリゴンを途中で分割しその描画上の高さを被合流道路32を構成する3次元ポリゴンの描画上の高さと合致させることにより3次元地図情報が処理される。また、これに伴い、3次元ルート情報処理手段としてのCPU6により、ルート31は合流直前に完全に表示されるように、3次元ルート情報が処理される。なお、合流する道路51、被合流道路32およびルート31は、図3では理解を容易にするために上面側から見た状態で示されているが、実際には3次元的に表示される。本実施の形態によれば、合流する道路51の描画上の高さが合流直前に被合流道路32の描画上の高さと合致するよう表示されるため、合流部32eの認識率を高めることができる。
【0017】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、3次元地図情報に含まれる目的地点までの道路に分岐部が存在する場合の表示を改善するものである。この場合、図示を省略するが、上述した実施の形態1の場合と同様に、3次元地図情報処理手段としてのCPU6により、分岐する道路の描画上の高さが分岐直前に被分岐道路の描画上の高さと合致するよう表示されるように、3次元地図情報が処理される。本実施の形態によれば、分岐する道路の描画上の高さが分岐直前に被分岐道路の描画上の高さと合致するよう表示されるため、分岐部の認識率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の概念を説明するための3次元情報表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明が適用された実施の形態1、2に共通のカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1における処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0019】
6 CPU
16 ディスプレイ
31 目的地点までのルート
32 目的地点までの道路
32e 合流部
51 合流する道路
101 3次元地図情報処理手段
102 3次元ルート情報処理手段
103 3次元情報表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地点までの道路を含む3次元地図情報を処理する3次元地図情報処理手段と、
前記目的地点までのルートを示す3次元ルート情報を処理する3次元ルート情報処理手段と、
前記3次元地図情報処理手段により処理された3次元地図情報および前記3次元ルート情報処理手段により処理された3次元ルート情報を表示する3次元情報表示手段と、を備え、
前記3次元地図情報に含まれる前記目的地点までの道路に合流部及び/又は分岐部が存在する場合、前記3次元地図情報処理手段は、合流及び/又は分岐する道路の描画上の高さが合流部及び/又は分岐部直前に被合流道路及び/又は被分岐道路の描画上の高さと合致するよう当該合流及び/又は分岐する道路が表示されるように、前記3次元地図情報を処理することを特徴とする3次元情報表示装置。
【請求項2】
前記3次元地図情報に含まれる前記目的地点までの道路に合流部が存在する場合、前記3次元地図情報処理手段は、合流する道路の描画上の高さが合流直前に被合流道路の描画上の高さと合致するよう当該合流する道路が表示されるように、前記合流する道路を構成する3次元ポリゴンを途中で分割しその描画上の高さを前記被合流道路を構成する3次元ポリゴンの描画上の高さと合致させることにより前記3次元地図情報を処理することを特徴とする請求項1に記載の3次元情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−199073(P2007−199073A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26153(P2007−26153)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【分割の表示】特願2002−127075(P2002−127075)の分割
【原出願日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】