説明

GPS内蔵メータ

【課題】既存のメータユニット内にGPSアンテナやGPS処理回路を内蔵して構成され、汎用性の高いGPS内蔵メータを提供する。
【解決手段】、GPS内蔵メータ50の車体フレームへの取付角度θにかかわらずGPSアンテナ114が天空を指向するように、前記取付角度θに応じて、形状の異なる姿勢調節部材115(115a,115b,115c)が適宜に選択される。メータケース109にはアンテナ逃げ部116が確保されており、姿勢調節部材115(115a,115b,115c)の形状が変化してメータケース109とGPSアンテナ114との相対的な位置関係が変化しても両者が干渉することはないので、GPS内蔵メータ50を、そのメータケース109を大型化することなく各種の車両で共用できるようになって汎用性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS信号を受信するGPSアンテナおよびGPS信号を処理するGPS処理回路を内蔵し、GPS信号に基づいて算出された位置情報を表示するGPS内蔵メータに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS信号を受信して位置情報を表示するGPS装置が普及している。GPS装置は、現在位置を表示する目的で単体で使用される他、これを地図情報と組み合わせて地図上に現在位置を表示し、さらには目的地まで案内するカーナビゲーションシステムにも使用されている。また、GPS装置は、その普及により小型・軽量化が進んだことから、自動車のみならず自動二輪車やATV(All Terrain Vehicle:不整地走行用車)に搭載されることもある。特許文献1,2には、GPS装置をスクータ型の自動二輪車に搭載する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−321754号公報
【特許文献2】特許公報第3477287号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来技術では、GPS信号を受信するGPSアンテナおよびGPS信号を処理するGPS処理回路が、表示パネルを備えたメータケースとは別のGPS専用ケースに収容され、両者は信号線を介して電気的に接続されていた。したがって、車体フレームにGPS専用ケースの搭載場所を新たに確保しなければならず、またケース間で信号線を引き回さなければならないので製造工程が煩雑化するという技術課題があった。さらに、メータケースやGPSケースは風雨の影響を避けるためにシール構造としなければならないので、それぞれにOリング等のシール部材が必要になってしまう。
【0004】
一方、GPS装置の普及を促進するためには、同一のGPS装置を複数の車両で共通化するようにして、部品の共通化による工数の削減やコストダウンを進めることが望ましい。しかしながら、GPSケースの形状が同一であっても取付対象の車両側の構造が異なればGPSケースを同一の姿勢で取り付けることは困難であり、車両によってGPSケースの取付姿勢が異なることになる。GPSケースの取付姿勢が異なれば、GPSアンテナの指向方向も変化してしまうので、車両ごとにGPSアンテナの姿勢を調整しなければならない。しかしながら、GPSケースは、その外寸を最少に抑えるために内部には無駄なスペースが無いのが一般的であり、GPSケース内でGPSアンテナの姿勢を調整することは難しかった。
【0005】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、既存のメータユニット内にGPSアンテナやGPS処理回路を内蔵して構成され、各種の車両に適合可能な汎用性の高いGPS内蔵メータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明は、GPS信号を処理するGPS処理回路を内蔵し、前記GPS信号に基づいて位置情報を表示するGPS内蔵メータにおいて、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0007】
(1)GPS信号を受信するGPSアンテナと、位置情報を表示する表示パネルと、表示パネル、GPSアンテナおよびGPS処理回路を内蔵するメータケースと、GPSアンテナを所定の姿勢で支持するアンテナ支持部材とを含み、メータケースが、GPSアンテナの姿勢にかかわらず当該GPSアンテナとの干渉を避けるアンテナ逃げ部を含むことを特徴とする。
【0008】
(2)前記表示パネル、GPSアンテナおよびGPS処理回路が、同一のシール部材によりシールされた空間内に配置されたことを特徴とする。
【0009】
(3)前記アンテナ支持部材が、接地されたグランドプレートと、一方の主面が前記グランドプレートの表面に装着され、他方の主面にGPSアンテナが装着される姿勢調節部材とを含み、前記姿勢調節部材は、一方の主面と他方の主面とのなす角度が異なる複数の姿勢調節部材から選択されることを特徴とする。
【0010】
(4)前記グランドプレートおよび姿勢調節部材がメータケースに対して、その内側からネジにより共締めされることを特徴とする。
【0011】
(5)表示パネルに表示信号を供給するメータ基板と、前記表示パネルを前記メータ基板の一方の主面側において、当該メータ基板の投影領域内に支持するパネル支持部材とを含み、GPS処理回路がメータ基板の他方の主面側に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0013】
(1)請求項1の発明によれば、GPSアンテナおよびGPS処理回路を同一のメータケース内に収容できるので、GPS専用ケースや信号線が不要となる。したがって、部品点数や工数の大幅な削減が可能になる。
【0014】
(2)請求項2の発明によれば、従来は別々にシールされていたGPS関連の部材(GPSアンテナやGPS処理回路)とメータケース内の構成部品(表示パネルやメータ基板等)とを唯一のシール部材でシールできるようになる。
【0015】
(3)請求項3の発明によれば、GPS内蔵メータの車体フレームへの取付姿勢が異なっても、姿勢調節部材を交換するだけでGPSアンテナを所望の姿勢に調整できるようになる。
【0016】
(4)請求項4の発明によれば、グランドプレート、姿勢調節部材およびメータケースを唯一のネジで相互に固定できるので固定部材の点数を削減できるのみならず、ネジがメータケースの外側からではなく内側から共締めされるので、ネジ孔用のシール部材をメータケースに別途設ける必要がない。
【0017】
(5)請求項5の発明によれば、空きスペースの有効利用により実装密度が増すのでメータケースの小型化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係るGPS内蔵メータを搭載したスクータ型自動二輪車の側面図である。
【0019】
車体フレーム10は、ヘッドパイプ11が前端部に固着されたメインフレームパイプ12と、このメインフレームパイプ12の後端部に直角かつ水平に固着されたクロスパイプ13と、このクロスパイプ13の両端部に前端がそれぞれ連設された左右一対のリヤフレームパイプ14(14L,14R)とを主要な構成としている。
【0020】
前記メインフレームパイプ12は、ヘッドパイプ11から後ろ下がりに傾斜したダウンフレーム部12aと、ダウンフレーム部12aの後端からほぼ水平にして後方へ延びたロアフレーム部12bとを一体に連設して構成される。前記クロスパイプ13は車体フレーム10の左右方向に延設され、このクロスパイプ13の中央部に前記メインフレームパイプ12の後端部が直角に固着される。前記左右一対のリヤフレームパイプ14は、前記クロスパイプ13の両端部から後ろ上がりに延びるライズフレーム部14aと、このライズフレーム部14aの後端からほぼ水平にして後方に延びると共に後端部開口が相互に対向するように水平面内で彎曲するアッパーフレーム部14bとを一体に連設して構成される。
【0021】
前記ヘッドパイプ11には、前輪Wfを支持する操向部材としてのフロントフォーク15が操向自在に支承され、フロントフォーク15の上端には、ハンドル連結部材としてのハンドルパイプ20を介して操向ハンドル16が連結されている。前記操向ハンドル16の中央部には、本発明に係るGPS内蔵メータ50が、その表示面を乗員の視線方向に指向させた姿勢でブラケット51を介して装着されている。
【0022】
前記リヤフレームパイプ14の前部には、後輪Wrの前方側に配置されたエンジンEと、後輪Wrの左側方に配置された無段変速機Mとから成るパワーユニットPが上下方向への揺動自在に支承され、後輪WrはパワーユニットPの後部に軸支されている。後輪Wrの上部左側にはエアクリーナ29が配置されている。
【0023】
パワーユニットPの後部と左側のリヤフレームパイプ14Lとの間にはリヤサスペンションユニット17が設けられている。エンジンEからの排気ガスを導く排気管18がエンジンEから後輪WRの右側方側に延出されており、この排気管18は、後輪Wrの右側方に配置される排気マフラー19に接続されている。左右のリヤフレームパイプ14の前部間には、収納ボックス25が前記エンジンEの上方に配置されるようにして支持されている。
【0024】
車体フレーム10は、合成樹脂製の車体カバー21で覆われ、この車体カバー21は、乗員の足の前方を覆うレッグシールド22と、乗員の足を載せるべくレッグシールド22の下部に連なるステップフロア23と、ステップフロア23に連なって車体後部を両側から覆うサイドカバー24とを備える。
【0025】
前記収納ボックス25および燃料タンク(図示せず)は前記サイドカバー24で覆われており、収納ボックス25を上方から覆うシート26が、サイドカバー24の上部に開閉可能に取り付けられている。すなわちステップフロア23は、操向ハンドル16およびシート26間に配置されるようにして車体カバー21に形成され、ステップフロア23の後端よりも下方に、パワーユニットPを車体フレーム10に揺動可能に支承するためのフレーム側ブラケット27が配置されている。
【0026】
図2は、本発明に係るGPS内蔵メータを搭載したATVの側面図である。以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
【0027】
ATV61は、小型軽量に構成された車体の前後に、比較的大径の低圧バルーンタイヤである左右の前輪62および後輪63を備えることで最低地上高を大きく確保し、主に不整地での走破性を高められている。各前輪62および後輪63は、車体フレーム64の前部および後部において、後に詳述するフロントサスペンション60およびリアサスペンション70を介して懸架されている。
【0028】
車体フレーム64のセンタ部(換言すれば、車体略中央部)には、ATV61のエンジン65が搭載される。エンジン65は、例えば水冷式の単気筒レシプロエンジンであり、クランクシャフトの回転軸線を車両前後方向に沿って配した縦置きレイアウトとされる。エンジン65は、そのクランクケース66上にシリンダ部67が立設された構成を有し、このクランクケース66の前部および後部における車体左右中央よりも左側にオフセットした部位からは、前後方向に沿う前出力軸68および後出力軸69が、それぞれ前方および後方に向けて導出されている。
【0029】
各出力軸68,69は、それぞれ前ドライブシャフト71または後ドライブシャフト72、ならびに前ファイナルリダクションギヤユニット73または後ファイナルリダクションギヤユニット74等を介して、各前輪62または後輪63と連結されている。したがって、エンジン65の出力は、クランクケース66内に収容された不図示の変速機を介した後、各出力軸68,69から各ドライブシャフト71,72およびファイナルリダクションギヤユニット73,74等を介して前輪62および後輪63に伝達される。
【0030】
図3を併せて参照して説明すると、エンジン65のシリンダ部67の後部にはスロットルボディ81が接続され、このスロットルボディ81の後部にエアクリーナケース82が接続される。また、シリンダ部67の前部には排気管83の基端部が接続される。この排気管83は、シリンダ部67の前方に延びた後に折り返し、シリンダ部67の左方を通過しながら後方に向かって延びて、その先端部が車体後部のマフラ84に接続されている。なお、図2の符号85はエンジン冷却用のラジエータを、符号86は不図示のインジェクタに燃料を圧送する燃料ポンプを、それぞれ示している。
【0031】
ATV61の車体左右中央部には、前側から順にステアリングシャフト87、燃料タンク88および鞍乗りシート89等が配設される。ステアリングシャフト87の下端部は不図示の前輪操舵機構に連結されると共に、このステアリングシャフト87の上端部にはハンドル31が取り付けられ、このハンドル31の中央にはメータカバー48で覆われたGPS内蔵メータ50が配置されている。
【0032】
図4は、前記GPS内蔵メータ50の装着部分を斜め前方から見込んだ斜視図であり、前記GPS内蔵メータ50は、GPS処理回路や表示パネル等が収容される本体部501と、GPSアンテナおよびその支持部材等が収容されるアンテナ部502とを主要な構成とし、メータブラケット503およびハンドル支持部材504により、ハンドル31のU字状の窪み部において、左右のハンドルバー部で挟まれるように支持されている。このGPS内蔵メータ50は、後に詳述するように液晶表示パネル108およびGPSアンテナ114等(図2,3参照)を含み、GPSアンテナ114はアンテナ基板118を含む支持部材により、上方を指向する姿勢で支持されている。
【0033】
車体フレーム64の前部には、車体前部を覆う樹脂製の車体カバー32、および各前輪62をその上方から後方に渡って覆う同じく樹脂製のフロントフェンダ33、ならびに主に鋼材からなるフロントプロテクタ34およびフロントキャリア35等が取り付けられている。車体フレーム64の後部には、各後輪63をその上方から前方に渡って覆う樹脂製のリアフェンダ36、ならびに主に鋼材からなるリアキャリア37等が取り付けられている。
【0034】
図5を併せて参照し、車体フレーム64は、複数種の鋼材を溶接等により一体的に結合して構成されるもので、より具体的には、左右のアッパパイプ41およびロアパイプ42等を用いて適宜閉ループ構造を形成し、かつこれらを複数のクロスメンバを介して結合することで、車体左右中央部において前後に長いボックス構造を形成している。
【0035】
各アッパパイプ41は、車体フレーム64の上部外側においてやや後下がりに傾斜して配される上部傾斜部41aと、この上部傾斜部41aの前端部からこれに対して鋭角となるように斜め後下側に向けて延びる前部傾斜部41bと、上部傾斜部41aの後端部からこれに対して鈍角となるように斜め後下側に向けて延びる後部傾斜部41cとを、一本の鋼管に曲げ加工を施すことで一体に形成してなる。以下、各アッパパイプ41における上部傾斜部41aと前部傾斜部41bとの間の屈曲部を前側屈曲部41d、上部傾斜部41aと後部傾斜部41cとの間の屈曲部を後側屈曲部41eとして説明する。また、前部傾斜部41bの略中央部における前方に向けて凸状となる屈曲部を中段屈曲部41fとして説明する。
【0036】
各ロアパイプ42は、車体フレーム64の下部外側において略水平に配される下部水平部42aと、この下部水平部42aの後端部からこれに対して鈍角となるように斜め後上側に向けて延びる後部傾斜部42bとを、一本の鋼管に曲げ加工を施すことで一体に形成してなる。また、各ロアパイプ42は、その前端部(下部水平部42aの前端部)が車体上面視で前方に向けて凸状となる円弧状部42c(図3参照)を介して連続するように、すなわち左右で一体の構造体となるように設けられている。以下、各ロアパイプ42における下部水平部42aと後部傾斜部42bとの間の屈曲部を下段屈曲部42dとして説明する。
【0037】
各アッパパイプ41の前部傾斜部41bは、その下端部が同側のロアパイプ42の下部水平部42aの前端部近傍に接合される。また、各アッパパイプ41の後部傾斜部41cは、その下端部が同側のロアパイプ42の後部傾斜部42bの長手方向略中央部に接合される。各アッパパイプ41の後部傾斜部41cの下部後側には、前後方向に扁平な略三角形状をなす左右のピボットブラケット49がそれぞれ一体的に設けられる。各ピボットブラケット49は、リアサスペンション70におけるスイングアーム71の前端部を支持するためのものである。
【0038】
各アッパパイプ41の後側屈曲部41eには、略水平に配されたシートレールとしての左右のリアアッパパイプ43の前端部がそれぞれ接合される。各リアアッパパイプ43の長手方向略中央部には、同側のロアパイプ42の後部傾斜部42bの上端部がそれぞれ接合される。各ロアパイプ42の後部傾斜部42bの長手方向略中央部と同側のリアアッパパイプ43の後端部との間には、後上がりに傾斜して配される左右のリアサブパイプ44がそれぞれ渡設される。ここで、各リアアッパパイプ43の長手方向略中央部間に渡設されるクロスメンバをリアクロスパイプ57とする。
【0039】
各ロアパイプ42の下部水平部42aの前端部近傍には、略水平に配された左右のフロントロアパイプ45の後端部がそれぞれ接合される。各フロントロアパイプ45は、車体側面視において各前輪62の車軸近傍となる位置にて斜め上前方に向けて屈曲し、その前端部にてフロントプロテクタ34の下端部を支持するものである。乗員用のステップ58にはフロントフェンダ33およびリアフェンダ36に渡るステップボード58aが取り付けられる。
【0040】
各アッパパイプ41の前側屈曲部41dには、該屈曲部41dから同側のフロントロアパイプ45の前端部近傍に渡る左右のフロントクッションパイプ46の上端部がそれぞれ接合される。各フロントクッションパイプ46は、同側のアッパパイプ41の上段屈曲部41dから前方に延びて間もなく斜め前下方に向けて屈曲し、かつその上部に対して下部が前方に位置するように緩やかなクランク状に屈曲し、その下端部が同側のフロントロアパイプ45の前端部近傍にそれぞれ接合される。各フロントクッションパイプ46の上下方向略中央部と同側のアッパパイプ41の中段屈曲部41fとの間には、やや前上がりに傾斜して配される左右のフロントサブパイプ47がそれぞれ渡設される。
【0041】
各フロントクッションパイプ46間には、左右方向に沿って延びる中段前側クロスビーム56および上段中央クロスビーム55がそれぞれ渡設される。同様に、各フロントロアパイプ45間には下段前側クロスビーム53および下段後側クロスビーム54が渡設され、各フロントサブパイプ47間には中段後側クロスビーム52が渡設される。
【0042】
図6は、前記GPS内蔵メータ50の一実施形態の正面図であり、図7は、そのA−B線断面図である。図7では、本発明の説明に不用な構成の図示が省略されている。
【0043】
GPS内蔵メータ50の正面には、液晶表示窓101と各種のキースイッチ102とが配置され、液晶表示窓101から液晶表示パネル108の主面が露出している。GPS内蔵メータ50は、そのケース109内にGPSアンテナ114およびGPS処理回路112を内蔵し、前記GPS信号に基づいて算出した位置情報を前記液晶表示パネル108に表示する。なお、本実施形態ではGPS内蔵メータ50が速度メータを兼ねており、図示しない車速センサで検知された車速や走行距離に関する情報も前記液晶表示パネル108に表示される。
【0044】
前記メータケース109は、上側ケース半体109aおよび下側ケース半体109bから構成され、図7の破線丸枠内に拡大して示したように、両者は唯一のシール部材であるOリング117によって相互にシールされる。したがって、液晶表示パネル108、GPSアンテナ114およびGPS処理回路112は、唯一のシール部材によりシールされた空間内に配置されることになる。
【0045】
図6に一例を示したように、前記液晶表示パネル108には、最終目的地の方向や進行方向を16分割で表示する方向表示パターン103、車速を表示する速度表示パターン104、GPS信号の検知レベルを表示するGPS受信レベル表示パターン105、走行距離、経過時間および現在時刻等を選択的に表示するマルチ表示パターン106および変速段を表示する変速段表示パターン107等が、各種の警告表示パターンと共に設けられている。
【0046】
前記液晶表示パネル108は、メータ基板111に立設された支持部材110により支持されている。前記メータ基板111の裏面には、GPS信号を受信・解析して現在位置を算出するGPS処理回路112が実装されている。前記メータケース109の内側底面には、接地されたグランドプレート113が固定され、その表面には姿勢調節部材115を介してアンテナ基板118が固定され、その表面に平板状のGPSアンテナ114が装着されている。前記姿勢調節部材115は、後に詳述するように、GPS内蔵メータ50の車体フレームへの取付姿勢にかかわらずGPSアンテナ114が所定の方向を指向できるように、GPS内蔵メータ50の取付姿勢に応じて選択的に付け替えられる。
【0047】
前記メータケース109の前記GPSアンテナ114を収容する部分には、GPSアンテナ114が前記姿勢調節部材115により、どのような方向を指向して支持されようとGPSアンテナ114とメータケース109の内壁とが干渉しないように、アンテナ逃げ部116が確保されている。
【0048】
図8は、前記メータケース109、グランドプレート113、姿勢調節部材115、アンテナ基板118およびGPSアンテナ114の固定方法を示した拡大断面図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0049】
本実施形態では、アンテナ基板118、姿勢調節部材115、グランドプレート113が、メータケース109(109b)に対して、その内側から螺合されるネジ121により共締めされている。
【0050】
図9は、前記GPS内蔵メータ50の主要部の構成を示したブロック図であり、GPSアンテナ114で受信されたGPS信号は、LNA(ローノイズアンプ)201で増幅された後にRF回路202を経由してベースバンドチップ203へ入力される。ベースバンドチップ202は、複数のGPS衛星から送信されたGPS信号に基づいて現在位置を算出し、これをCPU200へ転送する。上記したGPSアンテナ114,LNA201、RF回路202およびベースバンドチップ203等は、これまでメータケース109とは異なるケースに収容されていたが、本実施形態ではメータケース109に内蔵されている点に特徴がある。
【0051】
図10は、GPS内蔵メータ50の車体フレームへの取付姿勢に応じて、前記姿勢調節部材115の形状が変更される様子を模式的に示した図である。本実施形態では、GPS内蔵メータ50の車体フレームへの取付角度θにかかわらずGPSアンテナ114が天空を指向するように、前記取付角度θに応じて、形状の異なる姿勢調節部材115(115a,115b,115c)が適宜に選択される。
【0052】
すなわち、本実施形態では姿勢調節部材115として、前記グランドプレートの表面に装着される一方の主面とGPSアンテナが装着される他方の主面とのなす角度が異なる複数の姿勢調節部材115が用意されており、前記取付角度θに応じて最適な姿勢調節部材115が選択される。
【0053】
このとき、本実施形態ではメータケース109にアンテナ逃げ部116が確保されており、姿勢調節部材115(115a,115b,115c)の形状が変化してメータケース109とGPSアンテナ114との相対的な位置関係が変化しても両者が干渉することはないので、GPS内蔵メータ50を、そのメータケース109を大型化することなく各種の車両で共用できるようになって汎用性が向上する。
【0054】
なお、上記した実施形態ではGPS処理回路112がメータ基板111の裏面に装着されるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、図11に一例を示したように、メータ基板111から離間されるようにしても良い。この場合でも、GPS内蔵メータ50の車体フレームへの取付角度θにかかわらずGPSアンテナ114が天空を指向するように、前記取付角度θに応じて形状の異なる姿勢調節部材115(115a,115b,115c)が適宜に選択される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のGPS内蔵メータを搭載したスクータ型自動二輪車の側面図である。
【図2】本発明のGPS内蔵メータを搭載したATV(不整地走行用車)の側面図である。
【図3】図2に示したATVの上面図である。
【図4】ATVへのGPS内蔵メータの装着例を示した斜視図である。
【図5】図2,3,4に示したATVの車体フレームの側面図である。
【図6】GPS内蔵メータの一実施形態の正面図である。
【図7】図6のA−B線断面図である。
【図8】GPSアンテナの固定構造を示した断面図である。
【図9】GPS内蔵メータの主要部の構成を示したブロック図であり
【図10】GPS内蔵メータの車体フレームへの取付姿勢に応じてアンテナ支持部材の形状が変更される様子を模式的に示した図である。
【図11】GPS内蔵メータの他の実施形態の断面図である。
【符号の説明】
【0056】
11…ヘッドパイプ,15…フロントフォーク,16…操向ハンドル,20…ハンドルパイプ,50…GPS内蔵メータ,101…液晶表示窓,102…キースイッチ,108…液晶表示パネル,109…メータケース,112…GPS処理回路,113…グランドプレート,114…GPSアンテナ,115…アンテナ支持部材,116…アンテナ逃げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS信号を処理するGPS処理回路を内蔵し、前記GPS信号に基づいて位置情報を表示するGPS内蔵メータにおいて、
GPS信号を受信するGPSアンテナと、
前記位置情報を表示する表示パネルと、
前記表示パネル、GPSアンテナおよびGPS処理回路を内蔵するメータケースと、
前記GPSアンテナを所定の姿勢で支持するアンテナ支持部材とを含み、
前記メータケースが、前記GPSアンテナの姿勢にかかわらず当該GPSアンテナとの干渉を避けるアンテナ逃げ部を含むことを特徴とするGPS内蔵メータ。
【請求項2】
前記表示パネル、GPSアンテナおよびGPS処理回路が、同一のシール部材によりシールされた空間内に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のGPS内蔵メータ。
【請求項3】
前記アンテナ支持部材は、
接地されたグランドプレートと、
一方の主面が前記グランドプレートの表面に装着され、他方の主面にGPSアンテナが装着される姿勢調節部材とを含み、
前記姿勢調節部材は、一方の主面と他方の主面とのなす角度が異なる複数の姿勢調節部材から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載のGPS内蔵メータ。
【請求項4】
前記グランドプレートおよび姿勢調節部材がメータケースに対して、その内側からネジにより共締めされることを特徴とする請求項3に記載のGPS内蔵メータ。
【請求項5】
前記表示パネルに表示信号を供給するメータ基板と、
前記表示パネルを前記メータ基板の一方の主面側において、当該メータ基板の投影領域内に支持するパネル支持部材とを含み、
前記GPS処理回路が、前記メータ基板の他方の主面側に配置されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のGPS内蔵メータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−126169(P2006−126169A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200166(P2005−200166)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】