説明

IP電話システムおよびIP電話機

【課題】携帯電話の所有者が自分のIP電話機を利用できる環境にある場合に、携帯電話に対して着信があった時、携帯電話でなくIP電話機に着信接続するようにする。
【解決手段】IP電話機100は、接続ポート209に接続された携帯電話の充電器30と、充電器30上の携帯電話を検出する携帯電話検出手段207と、携帯電話の電話番号を取得する携帯電話番号取得手段205と、携帯電話検出手段207が携帯電話を検出した際に、管理サーバに携帯電話への着信を当該IP電話機に転送設定するための転送設定情報を登録する転送設定登録手段204と、プレゼンス情報を設定するプレゼンス情報設定手段207と、転送設定情報およびプレゼンス情報を管理サーバに登録する登録制御手段208と、を備え、管理サーバは、携帯電話が検出されている場合、IP電話システムに接続された他のIP電話機から携帯電話への着信を、該当するIP電話機100に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット網におけるデータ通信機能を利用して電話通信を行うIP電話システムおよびIP電話機に関するものであり、特に、IP電話機の利用者が持つ携帯電話をIP電話機と連携させ、携帯電話の所有者が自分のIP電話機を利用できる環境にある場合には、携帯電話番号をIP電話機経由で管理サーバに登録し、その携帯電話に対して着信があった場合、携帯電話でなくIP電話機に着信接続するようにしたIP電話システムおよびIP電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、IPネットワークを使用したIP電話サービスが行われている。IP電話システムにおいて、送話側からの音声はディジタル化され、さらにIPパケットに変換され、IPネットワーク上を流れ、通話先(受話側)まで到達する。通話先において受信されたIPパケットは元の情報に復元され、こうして送話側と通話先との間で通話を行うことができる。このIP電話システムは、既存の電話網と比べて、運用・保守・管理コストを削減することができるため、広く使用されつつある。
【0003】
このようなIP電話システムとして、現在、VoIP(Voice over Internet Protocol)システムが市販されている。VoIPシステムの代表的な呼制御プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)がある。このSIPのサーバによる呼制御にはINVITEと呼ばれる発信用の制御コマンドがある。INVITEコマンドは発信側のIP電話機より送信先に送られる最初の制御メッセージで、このメッセージには、宛先アドレス、発信者アドレス、通信能力情報のほか発信者名や会社名などを電話機毎に発呼用の付帯情報として着信先に送ることができる。
【0004】
IPネットワークでは、IPアドレスのような機器に割当てられたアドレスを使用することによって相手を一意に認識する必要がある。このため、一般に、ゲートキーパあるいはゲートウエイと呼ばれる装置を使用する。ゲートキーパあるいはゲートウエイは、IP電話機に割当てられた電話番号とIPアドレスとを関連付けたデータベースを管理しており、IP電話機からの電話番号の指定に応じ、対応するIPアドレスを検索することによって、通話先のIP電話機のIPアドレスを指定できるようにする。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2004−147101号公報)に開示されたIP電話システムにおいては、IP電話機の運用開始前に、IP電話機からMACアドレスおよびIPアドレスを受信し、そのネットワークアドレスに含まれるアドレスに基づいて予め設定された電話番号を採番してIP電話機に通知するとともに、電話番号、IPアドレスおよびMACアドレスを関連づけて登録・管理する電話番号採番手段を備えたゲートキーパ装置を開示している。上記特許文献1で開示されたような装置を使用すると、ユーザー端末ごとに、電話番号などの固有のアドレスや設定情報を電源投入時等に自動的に設定することができる。
【0006】
前述のようなIP電話システムにおいて、特定のIP電話機に着信があった場合、相手側(発信側)IP電話機と着信側IP電話機との間で、音声コーデックやパケット長などの接続メディアを確認しあった後に接続、通話が開始される。このプロセスを一般にはネゴシエーションプロセスという。ネゴシエーションプロセスは、例えば現在市販されているVoIP(Voice over Internet Protocol)システムを用いて行われる。
【0007】
このSIPの呼制御にはINVITEメッセージと呼ばれる発呼用の制御コマンドがある。INVITEメッセージは発信側のIP電話機より送信先に送られる最初の制御メッセージで、このメッセージには、宛先アドレス、発信者アドレス、音声や画像に関するコーデックを含む通信能力情報などをIP電話機毎に発呼用の付随情報として持たせることができ、このコマンドを用いてネゴシエーションプロセスを行っている。
【0008】
一方、携帯電話の普及が進んだ現在では、オフィスや家庭内においてIP電話機の他に携帯電話が使用されることも多い。企業が職員のデスクに設置する個人ごとのIP電話機の他に携帯電話を支給して、外出先や出張先において業務上携帯電話を使用させるケースも増加している。
【0009】
携帯電話に対する通話料金とIP電話システムによるデータ通信料金とでは差があり、IP電話機を利用した通話のほうが経済的負担は少なくて済む。上記のようにIP電話機と携帯電話が併用され、携帯電話の所有者が自分のIP電話機を利用できる環境にある場合には、携帯電話への着信があってもIP電話機に着信接続するよう制御できると通信費用を節減でき好ましい。
【0010】
このような制御を行う技術は、例えば、下記の特許文献2(特開2004−187284号公報)に通話料金節減装置およびシステムとして開示されている。この通話料金節減装置は、公衆回線網又はインターネットに接続している公衆回線網に接続する装置であり、
そのインターフェースに携帯電話機を接続させることにより、該携帯電話機の電話番号が自動的に交換機又はサーバ内のデータファイルに登録した固定電話番号に対応させて登録するように構成したものである。これにより交換機又はサーバは任意の電話機から該携帯電話機の電話番号が入力された場合には、移動体通信網に接続することなく対応する(登録された)固定電話機の固定電話番号に直に着信するように接続制御する。このようなシステムによって携帯電話への通話が固定電話に直に着信するため、固定電話間の低廉な通話料金で通話が可能になるともに、良好な通話品質を得ることができるようになる。
【0011】
この通話料金節減装置は、携帯電話を接続するインターフェースとして近距離無線通信機能を有するRF−IDタグを用いたものであり、制御手段は携帯電話機とのインターフェース7によって携帯電話機の接続の有無あるいはRF−IDタグが読取機の情報読取可能域に到達したことを検知して、携帯電話機が保有する携帯電話番号、あるいはRF−IDタグから読み取った情報すなわちIDコードをRAMに書き込むコンピュータプログラムを実行し、RAM3への書き込み完了後、自動的に交換機あるいはサーバに接続して、RAM3に書き込まれた携帯電話番号を交換機あるいはサーバ内の番号データファイルに対して送信するコンピュータプログラムを実行する。
【0012】
このような構成により交換機あるいはサーバに携帯電話の番号と固定電話の番号等が対応付けられて登録され、また、携帯電話機の接続が解除された時には、自動的に該当する携帯電話番号を番号データファイルから削除するよう交換機あるいはサーバに依頼するから、携帯電話への着信を固定電話に接続することができるようになる。
【0013】
一般に上記のような着信制御としてよく知られた方法には不在転送制御機能がある。例えば、下記の特許文献3(特開2005−18194号公報)には、プレゼンス状態テーブルを設けて電話、電子メールなどの着信転送の登録、設定を行えるようにしたコミュニケーション交換システムが開示されている。
【0014】
この特許文献3に開示されたコミュニケーション交換システムは、交換機にユーザーのプレゼンスを示すユーザープレゼンス状態テーブルを備え、ユーザーのプレゼンスに応じて転送先を設定したユーザー毎転送先テーブルをメモリに格納している。ユーザー宛に着信があると、交換機はユーザープレゼンス状態テーブルを参照してユーザーのプレゼンス状態を得て、プレゼンス状態に対応した転送先を、ユーザー毎転送先テーブルを参照して決定する。そして、ユーザーのプレゼンスが変更されれば、ユーザープレゼンス状態テーブルが書き換えられ、転送先を新たに設定することなく転送先を変更できるように構成したものである。
【特許文献1】特開2004−147101号公報
【特許文献2】特開2004−187284号公報(図1、段落[0012]、[0012])
【特許文献3】特開2005−18194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記特許文献2に開示されたシステムによれば、携帯電話を接続するインターフェースを有する通話料金節減装置をシステム内に設ける必要があるという問題点があり、また接続インターフェースとして近距離無線通信機能を有するRF−IDタグなどを用いるものであるから携帯電話や通話料金節減装置がそれらの機能を備える必要がありコストが増大するという問題点がある。
【0016】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、携帯電話の利用者が自分のIP電話機を利用できる環境にいる場合、例えば、IP電話機が設置された自分のデスクで執務している場合には、携帯電話がデスク上に置かれている充電器にセットされて充電状態におかれていることが多いという点に着目し、IP電話機のUSBポートに充電器を接続し、携帯電話が充電器にセットされていることを検出してサーバにIP電話機と当該IP電話機に接続された充電器にセットされた携帯電話の電話番号との対応を登録して、携帯電話への着信を該当するIP電話機に着信するようになせば上記問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0017】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、IP電話機の利用者が持つ携帯電話をIP電話機と連携させ、携帯電話の所有者が自分のIP電話機を利用できる環境にある場合に、携帯電話に対して着信があった時、携帯電話でなくIP電話機に着信接続するようにしたIP電話システムおよびIP電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
複数のIP電話機と、前記各IP電話機に割当てられた電話番号と前記各IP電話機の各種設定情報とを含む設定情報を記憶する登録管理メモリを有し、呼の接続制御を行う管理サーバと、からなるIP電話システムにおいて、
前記IP電話機は、接続ポートに接続された携帯電話の充電器と、前記充電器に携帯電話がセットされたことを検出する携帯電話検出手段と、前記携帯電話の電話番号を取得する携帯電話番号取得手段と、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出した際に、前記管理サーバに携帯電話への着信を当該IP電話機に転送設定するための転送設定情報を登録する転送設定登録手段と、前記転送設定情報を前記管理サーバに登録する登録制御手段と、を備え、
前記管理サーバは、当該IP電話システムに接続されたIP電話機から携帯電話への着信を、前記登録管理メモリを参照して携帯電話が前記充電器にセットされている場合、該当するIP電話機に接続することを特徴とする
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるIP電話システムにおいて、
前記管理サーバは、当該IP電話システムに接続されたIP電話機から携帯電話への着信を、前記登録管理メモリを参照して携帯電話が前記充電器にセットされていない場合、該当する携帯電話に接続することを特徴とする。
【0019】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるIP電話システムにおいて、
前記IP電話機は更に、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出した際に、利用者が在席中であることを示すプレゼンス情報を当該IP電話機に設定するプレゼンス情報設定手段を備え、前記設定されたプレゼンス情報は前記登録制御手段によって前記管理サーバに登録されることを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項4にかかる発明は、
各IP電話機に割当てられた電話番号と前記各IP電話機の各種設定情報とを含む設定情報を記憶する登録管理メモリを有し、呼の接続制御を行う管理サーバに接続されるIP電話機において、
前記IP電話機は、接続ポートに接続された携帯電話の充電器と、前記充電器に携帯電話がセットされたことを検出する携帯電話検出手段と、前記携帯電話の電話番号を取得する携帯電話番号取得手段と、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出した際に、前記管理サーバに携帯電話への着信を当該IP電話機に転送設定するための転送設定情報を登録する転送設定登録手段と、前記転送設定情報を前記管理サーバに登録する登録制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかるIP電話機において、
前記IP電話機は、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出しない場合、転送設定登録手段が前記管理サーバに転送設定をオフとする転送設定情報を登録することを特徴とする。
【0022】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項4にかかるIP電話機において、
前記IP電話機は更に、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出した際に、利用者が在席中であることを示すプレゼンス情報を当該IP電話機に設定するプレゼンス情報設定手段を備え、前記設定されたプレゼンス情報は前記登録制御手段によって前記管理サーバに登録されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1にかかる発明においては、IP電話機は、接続ポートに接続された携帯電話の充電器と、前記充電器に携帯電話がセットされたことを検出する携帯電話検出手段と、前記携帯電話の電話番号を取得する携帯電話番号取得手段と、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出した際に、管理サーバに携帯電話への着信を当該IP電話機に転送設定するための転送設定情報を登録する転送設定登録手段と、前記転送設定情報を前記管理サーバに登録する登録制御手段と、を備え、管理サーバは、当該IP電話システムに接続されたIP電話機から携帯電話への着信を、登録管理メモリを参照して携帯電話が前記充電器にセットされている場合、該当するIP電話機に接続する。
【0024】
このような構成によれば、IP電話機の利用者が携帯電話を所持しており、IP電話機を利用できる環境にある場合、すなわち、IP電話機に接続された充電器に携帯電話がセットされた場合には、携帯電話に対して着信があった時携帯電話でなくIP電話機に着信接続することができ、通話料金を抑制することができるようになる。
【0025】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるIP電話システムにおいて、管理サーバは、当該IP電話システムに接続されたIP電話機から携帯電話への着信を、前記登録管理メモリを参照して携帯電話が前記充電器にセットされていない場合、該当する携帯電話に接続するから、IP電話機の利用者が携帯電話を所持しており、IP電話機を利用できない環境にある場合には携帯電話に着信接続できるようになる。
【0026】
また、請求項3にかかる発明においては、IP電話機は更に、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出した際に、利用者が在席中であることを示すプレゼンス情報を当該IP電話機に設定するプレゼンス情報設定手段を備え、前記設定されたプレゼンス情報は前記登録制御手段によって前記管理サーバに登録され、他のIP電話利用者に、IP電話機の利用者が、IP電話機を利用できる環境にある、すなわち在席中であることがわかるようになる。
【0027】
また、請求項4ないし請求項6にかかる発明においては、請求項1ないし請求項3にかかるIP電話システムを構成するIP電話機を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのIP電話システムを例示するものであって、本発明をこのIP電話システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のIP電話システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0029】
本発明の実施例にかかるIP電話機12a〜12dを用いたIP電話システム10は、図1に示すように、ローカルエリアネットワークであるLAN11とLAN11に接続されるIP電話機12a〜12dと、LAN11に接続されるゲートウェイ(以下、GW13という)13と、LAN11に接続される管理サーバであるSIPサーバ14とから構成される。また、GW13は公衆回線電話交換網(以下、PSTNと記す)15と繋がっている。また、LAN11はVPN(Virtual Private Network)やインターネット等の外部のネットワーク16と接続されている。
【0030】
IP電話機12a〜12dは、固有の電話番号とIPアドレスを有し、GW13およびSIPサーバ14のIPアドレスを記憶している。またIP電話機12a〜12dは複数の音声コーデックを備え、通信相手と共通な音声コーデックやパケット長などの接続メディアを用いることで相互の通信が可能となる。共通な接続メディアを確認し、発信側IP電話機と着信側IP電話機の通信環境を整合させるプロセスが前述のネゴシエーションプロセスである。
【0031】
GW13は、PSTN15の局交換機(不図示)と接続するためのものであり、呼制御機能や音声符号化機能を備えている。IP電話機12a〜12dの何れかとPSTN15に接続される固定電話局(不図示)とが通話する際には、SIPサーバ14、GW13、PSTN15を介して呼制御される。
【0032】
SIPサーバ14は、電話番号とIPアドレスの対応付けである番号翻訳を行い、着信時には、電話番号から対応するIPアドレスを有するIP電話機を特定して着信通知を行う。IP電話機12a〜12dの何れか同士で通話する場合やネットワーク16を介して外部のLANなどに接続されたIP電話機と接続される場合には、GW13は経由せずSIPサーバ14のみを経由して呼接続される。
【0033】
本発明においては、各IP電話機12a〜12dの利用者A〜Dはそれぞれ携帯電話21a〜21dを所持しているものとする。利用者A〜Dは自席を離れたり、あるいは、外出先に出かけたりする際には各自の携帯電話21a〜21dを所持して行き、そこからの業務上の連絡などは当該携帯電話21a〜21dを使用する。通常IP電話機12a〜12dと携帯電話21a〜21dの間には何ら連携関係がない。従って、IP電話システム10のLAN11に接続されIP電話機から特定のIP電話機の利用者に通話する場合、相手方が在席していない可能性があり、相手方が所持している携帯電話に発信することがよくある。
【0034】
例えば、IP電話機12aからIP電話機12dの利用者Dに電話する場合、利用者Dの所持する携帯電話21dに発信することがある。この場合、料金は携帯電話に対する通話料金になってしまう。着信を受けた利用者Dが自席に在席している場合,IP電話機12dに発信すれば、IP電話機12aとIP電話機12dとの間で利用者Dと通話することができ、IP電話の通話料金で済む。
【0035】
そこで、本発明においては、IP電話機12a〜12dの利用者が自席に在席している場合、各自が所持している携帯電話21a〜21dを充電器に置き充電状態にしているケースが多いことに着目し、IP電話機12a〜12dのUSBポートに携帯電話の充電器を接続しておき、携帯電話12a〜12dをそれぞれの充電器に携帯電話が置かれたことを検出し得るようにする。
【0036】
そして、IP電話機12a〜12dに接続された充電器により携帯電話21a〜21dが置かれたことが検出された場合、利用者が在席していることを示すプレゼンス情報を設定し、プレゼンス情報とともにSIPサーバ14にIP電話機12a〜12dのIPアドレスや電話番号と携帯電話の電話番号の対応をおよび転送設定情報を送り、転送設定をオンにする制御を行う。このように構成することによって、内線接続されたIP電話機12a〜12dから携帯電話21a〜21dに対して着信があった場合、SIPサーバ14は登録されているIP電話機12a〜12dに着信転送することができるようになる。
【0037】
図2は、IP電話機12a〜12dの構成を示すブロック図である。本発明にかかるIP電話機は図2において参照符号100で示されており、図1のIP電話機12a〜12dは何れも図2に示す構成を有している。
【0038】
図2において、IP電話機100は、LANインターフェース110、スピーカ120、マイク130、音声コーデック140、表示部150、入力部160、制御手段200を構成するCPU201、ROM202、RAM203、USBポート209を備えて構成されている。USBポート209には携帯電話を充電するための充電器30が接続されている。
【0039】
ROM202には、各部の動作を制御するためのプログラムが記憶されており、また、CPU201が充電器30にセットされた携帯電話を検出する処理と、携帯電話の電話番号を取得する処理と、充電器30にセットされた携帯電話を検出した際に、携帯電話への着信を当該IP電話機に転送設定するための転送設定情報を登録する処理と、プレゼンス情報を設定する処理と、転送設定情報およびプレゼンス情報をSIPサーバ14(管理サーバ)に登録する処理と、を行うプログラムが記憶されている。従って、制御手段201であるCPUは、図2に示すように、転送設定登録手段204、携帯電話番号取得手段205、プレゼンス情報設定手段206、携帯電話検出手段207、登録制御手段208の機能を有している。
【0040】
IP電話機100はLANインターフェース(LAN−I/F)110を介してネットワークのLANに接続されている。LANは、所定の通信プロトコル、例えばTCP/IPプロトコルを適用するIPネットワークで、SIPサーバ14(図1参照)などの管理サーバとIP電話機100が接続されインターネットの通話網を形成している。通話における音声信号はスピーカ120から出力され、またはマイク130から入力される。音声コーデック140は音声の符号化と複合化、すなわち音声のアナログとディジタルの変換を行う他に、受話音量やマイクの感度変更の機能を備えている。
【0041】
IP電話機100状態や各種の表示画像はディスプレイパネルなどで構成された表示部150に表示される。入力部160はボタンやキー161を備え、IP電話機100の各種設定や電話番号入力に用いられる。制御手段200はマイクロプロセッサなどのCPU201を中心に構成され、CPU201は、ROM202、RAM203等に記憶された制御プログラムやアプリケーションプログラムにより制御手段200の各部およびIP電話機100の各部の動作を制御する。登録制御手段204はIP電話機100の各種状態などをSIPサーバ14に登録する制御を行う。
【0042】
通常は、IP電話機100の電源が投入された際に自IP電話機のID番号や電話番号、IPアドレス、ユーザーID、在席、不在等のプレゼンス情報などをSIPサーバ14に登録する。SIPサーバ14は各IP電話機100から登録情報を受信し、登録管理メモリに記憶し、着信の接続制御を行う。
【0043】
USBポート209には携帯電話の充電器30が接続され、充電器30に携帯電話がセットされると、携帯電話検出手段207はUSBポート209を介して携帯電話の存在を検出する。そして携帯電話番号取得手段205は充電器30にセットされた携帯電話の携帯電話番号を取得する。携帯電話の番号を取得する方法としては、USBポート208と携帯電話に各々に充電端子とは別にUSB端子を設け、このUSB端子から携帯電話の番号を取得する方法、あるいは、携帯電話が発信している位置登録信号を受信して、その位置登録信号に含まれる携帯電話番号を取得する方法、などを用いることができる。
【0044】
携帯電話が検出され、携帯電話番号を取得すると、プレゼンス情報設定手段206はIP電話機100の利用者が在席であることを示すプレゼンス情報を当該IP電話機に設定する。通常、プレゼンス情報はRAM203に設けられたプレゼンス設定部(図示セズ)に記録され、利用者が、在席中、会議中、外出中、食事中など各種のプレゼンスの状態を入力部160から入力して設定する。
【0045】
本発明においては、プレゼンス情報設定手段206により、RAM203に設けられたプレゼンス設定部に記憶されている「在籍」あるいは「外出または離籍」のプレゼンス状態を示す情報を充電器30に携帯電話がセットされている場合は「在席」、充電器30に携帯電話がセットされていない場合は「外出または離席」に切り替える。そして登録制御手段はRAM203のプレゼンス設定部に記録されたプレゼンス情報をSIPサーバ14に送信して登録する。
【0046】
そして、転送設定登録手段204は、IP電話機100のIDや電話番号と携帯電話の電話番号を対応付けた情報と転送設定をオンまたはオフとする転送設定情報をプレゼンス情報と同様にRAM203に登録する。携帯電話が充電器30にセットされている状態、すなわち、携帯電話検出手段207が携帯電話を検出している場合は転送設定が「オン」とされ、携帯電話が検出できない場合は転送設定が「オフ」とされる。この転送設定情報は、登録制御手段208によりSIPサーバ14に送られ、管理メモリに登録される。
【0047】
従って、SIPサーバ14に送信される登録設定情報は、プレゼンス情報および転送設定情報であり、プレゼンス情報には、「在席」あるいは「外出または離席」のプレゼンス状態を示す情報と、IP電話機100のIDや電話番号と携帯電話の電話番号を対応付けた情報、転送設定をオンに登録するための転送設定情報をなどが含まれる。SIPサーバ14は、IP電話機の登録制御手段208からこのプレゼンス情報、転送設定情報を受信すると、図示されない登録管理メモリに転送設定情報とプレゼンス情報を当該IP電話機の設定情報として登録(設定)する。
【0048】
図3は、管理サーバであるSIPサーバ14に設けられた登録管理メモリ(図示していない)の構成を示す図であり、この登録管理メモリにLAN11に接続された各IP電話機12a〜12dの設定情報が登録され、接続制御に用いられる。登録管理メモリはこの図に示されるように各IP電話機12a〜12dのIP電話機IDごとに、当該IP電話機のIPアドレス、電話番号、ユーザーID、充電器30にセットされた携帯電話から取得した携帯番号、転送設定(オンまたはオフ)、在席または不在を示すプレゼンス情報が記憶されるように構成されている。
【0049】
IP電話機12aに示されるように携帯電話12aが充電器30にセットされている場合、携帯電話21aから取得した携帯電話の電話番号が記録され、転送設定はオン状態に設定され、プレゼンスは「在席」を示す情報が設定される。
【0050】
SIPサーバ14に上記の転送設定登録が行われると、内線接続されたIP電話機12a〜12d(図1参照)から当該IP電話機12a〜12dに接続された充電器30にセットされた携帯電話21a〜21d(図1参照)に対して通話発信があった場合、SIPサーバ14は登録されているIP電話機12a〜12dに着信転送することができるようになる。
【0051】
図4は、上記のように携帯電話がIP電話機の充電器30にセットされた場合の着信転送手順を示す模式図である。携帯電話21aがIP電話機12aに接続された充電器30にセットされると、IP電話機12aは携帯電話21aを検出してその電話番号を取得する(図中の矢印a)。IP電話機12aは携帯電話21aの電話番号、転送設定情報、プレゼンス情報をSIPサーバ14に送り、登録する(図中の矢印b)。内線接続された他のIP電話機12dから携帯電話21aに対する発信があれば(図中の矢印c)、SIPサーバ14は登録管理メモリに登録されている転送設定を参照してIP電話機12aに転送着信させる(図中の矢印d)。
【0052】
一方、充電器30から携帯電話が外された時には携帯電話検出手段208はこれを検出し、転送設定登録手段204は転送設定をオフとする転送設定情報をRAM203に設定し、プレゼンス情報設定手段206はプレゼンス情報をRAM203に設定する。登録制御手段208はこの転送設定情報、プレゼンス情報をSIPサーバ14に送り、SIPサーバ14は登録管理メモリに登録された転送設定をオフに変更する。この状態で、内線接続されたIP電話機12a〜12d(図1参照)から携帯電話への通話発信があった場合、SIPサーバ14において転送設定がオフにされ転送設定解除されているからIP電話機に着信転送することなく、着信があった電話番号の携帯電話に着信接続する。
【0053】
図5は、上記のように携帯電話がIP電話機の充電器30から外され、利用者が外出先などに携帯している場合の接続手順を示す模式図である。携帯電話21aがIP電話機12aに接続された充電器30から外される(図中の矢印a)と、IP電話機12aは携帯電話21aを検出できなくなり、転送設定をオフにする転送設定情報およびプレゼンス情報をSIPサーバ14に送り、転送設定を解除する(図中の矢印b)。この状態で、内線接続された他のIP電話機12dから携帯電話21aに対する発信があれば(図中の矢印c)、SIPサーバ14は登録管理メモリに登録されている転送設定がオフであるから、携帯電話網(公衆回線網:PSTN15(図1参照))を経由して携帯電話21aに着信接続させる(図中の矢印d)。
【0054】
以上の実施例において、IP電話機12a〜12dは、IP電話機として設計されたハードフォンであってもよく、パーソナルコンピュータのようなコンピュータ装置にインストールしたアプリケーションソフトウェアによってIP電話機として動作する、いわゆる、ソフトフォンであってもよい。
【0055】
以上、説明したように、本発明にかかるIP電話システムおよびIP電話機によれば、IP電話機の利用者が携帯電話を所持しており、IP電話機を利用できる環境にある場合、すなわち、IP電話機に接続された充電器に携帯電話がセットされた場合には、携帯電話に対して着信があった時、携帯電話でなくIP電話機に着信接続することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例にかかるIP電話システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施例にかかるIP電話機の構成を示すブロック図である。
【図3】管理サーバに設けられた登録管理メモリのデータ構成を示す図である。
【図4】携帯電話がIP電話機の充電器にセットされた場合の着信転送手順を示す模式図である。
【図5】携帯電話がIP電話機の充電器から外され利用者が携帯している場合の着信接続手順を示す模式図である。
【符号の説明】
【0057】
100・・・・IP電話機
110・・・・LANインターフェース
120・・・・スピーカ
130・・・・マイク
140・・・・音声コーデック
150・・・・表示部
160・・・・入力部
200・・・・制御手段
201・・・・CPU
202・・・・ROM
203・・・・RAM
204・・・・転送設定登録手段
205・・・・携帯電話番号取得手段
206・・・・プレゼンス情報設定手段
207・・・・携帯電話検出手段
208・・・・登録制御手段
209・・・・USBポート
30・・・・・充電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のIP電話機と、前記各IP電話機に割当てられた電話番号と前記各IP電話機の各種設定情報とを含む設定情報を記憶する登録管理メモリを有し、呼の接続制御を行う管理サーバと、からなるIP電話システムにおいて、
前記IP電話機は、接続ポートに接続された携帯電話の充電器と、前記充電器に携帯電話がセットされたことを検出する携帯電話検出手段と、前記携帯電話の電話番号を取得する携帯電話番号取得手段と、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出した際に、前記管理サーバに携帯電話への着信を当該IP電話機に転送するための転送設定情報を登録する転送設定登録手段と、前記転送設定情報を前記管理サーバに登録する登録制御手段と、を備え、
前記管理サーバは、当該IP電話システムに接続されたIP電話機から携帯電話への着信を、前記登録管理メモリを参照して携帯電話が前記充電器にセットされている場合、該当するIP電話機に接続することを特徴とするIP電話システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、当該IP電話システムに接続されたIP電話機から携帯電話への着信を、前記登録管理メモリを参照して携帯電話が前記充電器にセットされていない場合、該当する携帯電話に接続することを特徴とする請求項1に記載のIP電話システム。
【請求項3】
前記IP電話機は更に、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出した際に、利用者が在席中であることを示すプレゼンス情報を当該IP電話機に設定するプレゼンス情報設定手段を備え、前記設定されたプレゼンス情報は前記登録制御手段によって前記管理サーバに登録されることを特徴とするIP電話システム。
【請求項4】
各IP電話機に割当てられた電話番号と前記各IP電話機の各種設定情報とを含む設定情報を記憶する登録管理メモリを有し、呼の接続制御を行う管理サーバに接続されるIP電話機において、
前記IP電話機は、接続ポートに接続された携帯電話の充電器と、前記充電器に携帯電話がセットされたことを検出する携帯電話検出手段と、前記携帯電話の電話番号を取得する携帯電話番号取得手段と、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出した際に、前記管理サーバに携帯電話への着信を当該IP電話機に転送設定するための転送設定情報を登録する転送設定登録手段と、前記転送設定情報を前記管理サーバに登録する登録制御手段と、を備えたことを特徴とするIP電話機。
【請求項5】
前記IP電話機は、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出しない場合、転送設定登録手段が前記管理サーバに転送設定をオフとする転送設定情報を登録することを特徴とする請求項4に記載のIP電話機。
【請求項6】
前記IP電話機は更に、前記携帯電話検出手段が前記充電器にセットされた携帯電話を検出した際に、利用者が在席中であることを示すプレゼンス情報を当該IP電話機に設定するプレゼンス情報設定手段を備え、前記設定されたプレゼンス情報は前記登録制御手段によって前記管理サーバに登録されることを特徴とするIP電話機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−318232(P2007−318232A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142908(P2006−142908)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】