M個のプラズマパラメータの所望の値をN個のチャンバパラメータの値へと変換することによるプラズマリアクタの制御
【課題】複数のプラズマパラメータの所望の値に従って複数のチャンバパラメータを制御することによる、プラズマリアクタチャンバ内でのウェハ処理法に関する。
【解決手段】本方法はM個のプラズマパラメータについてのM個の所望の数値のセットをN個の各チャンバパラメータについてのN個の数値のセットへと同時変換することを含む。M個のプラズマパラメータはウェハ電圧、イオン密度、エッチング速度、ウェハ電流、エッチング選択性、イオンエネルギー及びイオン質量を含む群から選択される。N個のチャンバパラメータはソース電力、バイアス電力、チャンバ圧、内側磁気コイル電流、外側磁気コイル電流、内側領域ガス流量、外側領域ガス流量、内側領域ガス組成、外側領域ガス組成を含む群から選択される。本方法は更にN個のチャンバパラメータをN個の値のセットに設定することを含む。
【解決手段】本方法はM個のプラズマパラメータについてのM個の所望の数値のセットをN個の各チャンバパラメータについてのN個の数値のセットへと同時変換することを含む。M個のプラズマパラメータはウェハ電圧、イオン密度、エッチング速度、ウェハ電流、エッチング選択性、イオンエネルギー及びイオン質量を含む群から選択される。N個のチャンバパラメータはソース電力、バイアス電力、チャンバ圧、内側磁気コイル電流、外側磁気コイル電流、内側領域ガス流量、外側領域ガス流量、内側領域ガス組成、外側領域ガス組成を含む群から選択される。本方法は更にN個のチャンバパラメータをN個の値のセットに設定することを含む。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
超小型電子回路の製造で使用するプラズマリアクタは、半導体基板上で薄膜層をエッチング又は堆積することが可能である。プラズマ反応性イオンエッチング処理において、エッチング速度、イオン密度、ウェハ電圧及びウェハ電流はエッチング選択性、ウェハ加熱、エッチング時のストライエーション、イオンの衝突による損傷、エッチング停止、特徴部のサイズ及びその他の効果の制御において極めて重要である。こういった制御は、特徴部のサイズが縮小しデバイス密度が上昇するにつれ、より重要となってくる。エッチング速度、イオン密度、ウェハ電圧及びウェハ電流を測定するための現行の技法には、かなり不正確になりやすい(ウェハ電圧の場合)又は正確に測定するためには処理終了時毎にテストワークピース又はウェハを検査しなくてはならない(エッチング速度の場合)という大きな問題がある。これらのパラメータを「リアルタイム」(つまり、ウェハ処理中)に測定できる正確な技法はないように思われる。このため、プラズマリアクタ制御パラメータ(ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧、ガス流量等)を、チャンバ内で別のワークピースを処理することで得た事前結果に基づいて、現在のワークピースを処理する前に選択しなくてはならない。所望のエッチング速度又は所望のウェハ電圧又は所望のイオン密度を達成するためのリアクタ制御パラメータのそれぞれについてのターゲット値を一旦選択したら処理工程を通してそのターゲット値を維持しなくてはならず、選択したターゲット値を維持し続けることに専念する。例えば、制御パラメータの内の1つの選択したターゲット値が予期せずして所望の処理パラメータ(例えば、エッチング速度)から逸脱してしまうと、現在のワークピースの処理を終了して精査するまでこのエラーは発見されないことから、現在のワークピース又はウェハはこのエラーを回避することができない。この結果、業界としては材料と時間における相当なロスに悩まされるのが常であった。
【0002】
関連する問題としては、ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧等のリアクタ制御パラメータの最適ターゲット値は、通常、長期間に亘る試行錯誤方式でしか見つけることができないため、プラズマ処理の進化と設計が緩慢で非効率的となることが挙げられる。多数のリアクタ制御パラメータ(例えば、ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧等)についてターゲット値を選択し、(ウェハ加熱を制御するための)特定のウェハ電流、(イオン衝突による損傷を制御するための)特定のウェハ電圧、(例えばエッチング選択性を制御するための)特定のイオン密度での特定のエッチング速度を達成するというのは、多次元的な課題となる。所望の処理パラメータ(例えば、エッチング速度、ウェハ電圧、ウェハ電流、イオン密度)のターゲット値を達成するにあたっての、様々なリアクタ制御パラメータ(ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧等)間での相互依存又関係はその欠落は一般的に知られていないため、リアクタ制御パラメータ(バイアス及びソース電力レベル、及びチャンバ圧)の最適ターゲット値を見つけ出すための試行錯誤過程は必然的に複雑かつ時間のかかるものとなる。従って、時間のかかる試行錯誤過程なくして処理パラメータ(例えば、エッチング速度等)のターゲット値を最適化又は変更することは不可能である。このため、リアルタイムでのプラズマ処理制御又は管理は可能とは見なされていなかった。
【概要】
【0003】
本発明は、複数のプラズマパラメータの所望の値に従って複数のチャンバパラメータを制御することによる、プラズマリアクタチャンバ内でのウェハ処理法に関する。本方法はM個のプラズマパラメータについてのM個の所望の数値のセットをN個の各チャンバパラメータについてのN個の数値のセットへと同時変換することを含む。M個のプラズマパラメータはウェハ電圧、イオン密度、エッチング速度、ウェハ電流、エッチング選択性、イオンエネルギー及びイオン質量を含む群から選択される。N個のチャンバパラメータはソース電力、バイアス電力、チャンバ圧、内側磁気コイル電流、外側磁気コイル電流、内側領域ガス流量、外側領域ガス流量、内側領域ガス組成、外側領域ガス組成を含む群から選択される。本方法は更にN個のチャンバパラメータをN個の値のセットに設定することを含む。
【詳細な説明】
【0004】
導入
本願は、ウェハ支持台座部を通してウェハにプラズマバイアス電力を印加する、プラズマソース電力印加装置(天井電極又はアンテナ等)を有するプラズマリアクタに関する。ウェハ電圧、ウェハ電流、イオン密度及びエッチング速度を即時かつ正確に測定する初めてのものとなる(以下に説明する)測定機器を発見した。この測定機器は、ウェハ支持台座部に連結されたインピーダンス整合装置の出力側で電圧、電流及び電力を検出する、バイアス電力入力側の慣用の電気センサのみを使用する。従って、測定機器は正確であることに加え、リアクタチャンバ内で起こるプラズマエッチング処理を侵襲することがない。精度は驚くべきものであり、現行のものでは最高であると知られる機器及び測定技法さえ凌ぐ。
【0005】
同測定機器を用いたフィードバック制御装置を有し、プラズマソース電力及びプラズマバイアス電力が別々のフィードバック制御ループで制御されるプラズマリアクタを発明した。バイアス電力フィードバック制御ループにおいては、プラズマバイアス電力をサーボ又は制御することで、イオンエネルギー(又は、同等にはウェハ電圧)のユーザ選択ターゲット値と本測定機器によってリアルタイムで検出される実際のイオンエネルギーとの差を最小限にとどめる。同時に、ソース電力フィードバック制御ループにおいては、プラズマソース電力をサーボ又は制御することにより、プラズマイオン密度のユーザ選択ターゲット値、本測定機器によってリアルタイムで検出される実際のプラズマイオン密度及びイオン密度のユーザ選択ターゲット値との間の際を最小限にとどめる。本フィードバック制御装置の驚くべき特徴の1つが、バイアス電力入力側での測定値を用いてソース電力を制御することである。
【0006】
加えて、イオン密度及びイオンエネルギーについてのターゲット値をいかにして選択するかの問題を解決した。本測定機器によりウェハ電圧(又は、同等にはイオンエネルギー)、ウェハ電流、イオン密度及びエッチング速度等の性能パラメータを即時に正確かつ同時に測定できることから、初めて、プラズマソース電力、プラズマバイアス電力及びその他(例えば、チャンバ圧、ソース電力周波数、印加磁場等)等の制御パラメータの関数として、これらの性能パラメータ全てのリアルタイム挙動を同時に正確に観察することが可能となった。これらの観察は、プラズマソース電力レベル及びプラズマバイアス電力レベルといった制御パラメータが性能パラメータ(例えば、エッチング速度、イオンエネルギー、イオン密度)セットに一対の独立変数という形で影響を与えるという発見につながった。この発見はプラズマ処理を制御するタスクを大いに単純化するものであり、様々なその他の制御パラメータを、処理中、一定に保持することで(つまり、一定チャンバ圧、一定ガス流量、一定ソース電力周波数及びバイアス電力周波数等)、バイアス及びソース電力レベルを通して処理全体を制御することができる。この技法を用いて性能パラメータ全て(エッチング速度、イオンエネルギーその他を含む)を2つの独立変数、つまりソース電力レベル及びバイアス電力レベルの一意関数としてパラメータ化した。この関数から、例えば一定エッチング速度、一定イオンエネルギー及び一定イオン密度の2次元ソース電力/バイアス電力空間における曲線を生成した。処理制御装置は、一定エッチング速度、一定イオン密度、一定イオンエネルギーの曲線を用いて多様な性能パラメータ(エッチング速度、イオンエネルギー、イオン密度)についてのユーザ選択範囲に応答し、ソース電力レベル及びバイアス電力レベルのターゲット値を即座に見つけ出す。この処理制御装置によりプラズマソース電力レベルとプラズマバイアス電力レベルについてのターゲット値が上記のフィードバック制御装置へと供給される。
【0007】
この結果、所望の性能パラメータ値セット(例えば、エッチング速度)を実現するために必要な制御パラメータ(例えば、バイアス及びソース電力レベル)についての知識もこの点についてのリアクタ挙動についての対応する知識もユーザは必要としなくなる。その代わり、ユーザは所望の性能パラメータ値セット又は範囲を制御プロセッサに入力さえすればよく、制御プロセッサがターゲット制御パラメータ値(ターゲットソース電力及びバイアス電力値)を即座に上記記載のフィードバック制御装置に指定する。その後、プラズマ処理の制御は完全に自動となり、ユーザが変更を加えても即時に対応可能となる。例えば、ユーザは同一エッチング工程中に時間毎に異なるエッチング速度を指定してもよく、その場合、エッチング処理の初期ではあるエッチング速度が主流となり、処理の終盤に向かっては別のエッチング速度が主流となる。ユーザはどの制御パラメータも指定する必要がなく、ただ所望の結果(つまり、エッチング速度等の性能パラメータ)を指定すればよい。
【0008】
エッチング速度、イオン密度及びイオンエネルギーを含む性能パラメータを即時に測定するための機器
図1を参照するが、プラズマリアクタ100は真空チャンバ100を包囲しているチャンバ筐体105を有し、チャンバ内ではウェハ支持台座部115が処理対象である半導体ウェハ120を支持している。RFバイアス電力発生装置125からのプラズマRFバイアス電力をインピーダンス整合回路130を介してウェハ支持台座部115に印加する。インピーダンス整合回路130内の慣用の検出回路132はインピーダンス整合回路130のウェハ支持台座部115への出力側に取付けられた3つの出力端子132a、132b、132cを有し、それぞれ電力(Pバイアス)、電圧(V)及び電流(I)を示す信号を供給する。本明細書において上で言及した測定機器である測定機器140は出力端子132a、132b、132cからの信号を用いてウェハ120上でのエッチング速度、ウェハ表面でのイオンエネルギー(又は同等にはウェハ電圧)、リアクタチャンバ内におけるイオン密度及びウェハ120を通る電流を同時に測定する。測定機器140はリアクタ100の電気モデルに基づいて処理を行う。このモデルは図2に図示されている。
【0009】
図2は図1のプラズマリアクタをより詳細に図示したものであり、電極115−1、その上の薄い誘電体(例えば、セラミック)層115−2、電極下の誘電体(例えば、セラミック)層115−3、及び台座部115の底部の導電性(例えば、アルミニウム)平面接地板115−4を含むウェハ支持台座部115の個々の要素が見てとれる。電極115−1は図示の実施形態においては導電性グリッドの形態をとっており、例えば導電性中実板又は導電性メッシュ等の様々な形態で実施してもよい。以下、電極115−1を導電性グリッドとして言及するが、本明細書内で使用している「グリッド」という用語は電極115−1が取り得る形態全てを指すものであり、例えば導電性中実板又は導電性メッシュ、又は導電性スクリーン、又は上記記載の形態のいずれか或いは全ての態様を組み合わせた形態が挙げられる。図2にはインピーダンス整合回路130の出力側をグリッド115−1に接続している同軸ケーブル210も描かれている。同軸ケーブル210は内側導体部212と外側導体部214を有する。図2に図示のパラメータを備えた電気モデルによりプラズマリアクタ100の電気的特性が特徴付けられ、電気的特性は慣用の技法を用いて容易に求められる。具体的には、同軸伝送線つまりケーブル210は3つの数量により特徴付けられる。つまり、(1)その長さ、(2)その特性インピーダンスZch、及び(3)伝送線方程式におけるその複素位相速度Vchである。ウェハ支持台座部115は上下の誘電体層115−2及び115−3の電気的特性により特徴付けられる。具体的には、その下の誘電体層115−3は容量CDを有し、これは(1)誘電体層115−3の誘電率εD、及び(2)誘電体層115−3の導体損失成分tanD、(3)誘電体層115−3の厚みつまりギャップ及び(4)ウェハ120の半径の関数である。その上の誘電体層115−2は容量Cpを有し、これは(1)誘電体層115−2の厚み、つまりギャップp、(2)誘電体層115−2の誘電率εp、及び(3)誘電体層115−2の導体損失成分tanpの関数である。プラズマ220は、実数部(コンダクタンスg)と虚数部(サセプタンスb)から成るアドミタンスYプラズマ(内側チャンバ壁部又は天井部等のRF接地への)によって特徴付けられる。これらの電気的パラメータはそれぞれ測定機器140の動作において役割を有している。
【0010】
図3は図1の測定機器140の構造を図示している。入力位相プロセッサ310は図1のインピーダンス整合検出回路132からPバイアス、V及びI信号を受け取ると、複素インピーダンスZ、複素入力電流Iin及び複素入力電圧Vinを示す各信号を同軸ケーブル210の近端で生成する(つまり、インピーダンス整合回路130に最も近い端部)。伝送線変換プロセッサ320は同軸ケーブル210の電気モデル330からの特性インピーダンスZch及び複素損失係数Vch(伝送線方程式における)を用いてケーブル近端のZ、Iin及びVinからケーブル遠端での、つまり同軸ケーブル210とグリッド115−1との接合部でのアドミタンスY接合部へと変換する。グリッド/接地変換プロセッサ340は、グリッド/接地容量のモデル345から半径、ギャップ、εD及びtanDを受け取り、絶縁抵抗RD及び絶縁容量CDを生成する。グリッド/ウェハ変換プロセッサ350は半径、ギャップP、εP及びtanPをグリッド/ウェハ容量のモデル355から受け取り、プラズマ抵抗RP及びプラズマ容量CPを生成する。複合変換プロセッサ360はその他のプロセッサ320、340、350全ての出力を受け取るとウェハからRF接地へのプラズマを通したアドミタンスYプラズマを算出し、またウェハ電圧Vウェハ(又はイオンエネルギー)を算出する。プラズマアドミタンス及びウェハ電圧から、以下の数量、つまりウェハ電流Iウェハ、エッチング速度及びイオン密度を算出する。
【0011】
要約すると、電気測定はインピーダンス整合回路130の出力側で行う。伝送線変換プロセッサ320はケーブル210の近端でのこれらの測定値を遠端でアドミタンスへと変換する。グリッド/接地変換プロセッサ340はケーブルの遠端近くの接地平面115−4から導電性グリッド115−1へと変換を行う。グリッド/ウェハ変換プロセッサ350は、導電性グリッド115−2からウェハ120へと変換を行う。上記の変換全てを用いることで、複合変換プロセッサ360はプラズマアドミタンスの形式でもってプラズマ全体の変換を行う。プラズマアドミタンスから、エッチング速度やプラズマイオン密度等の様々な性能パラメータが算出される。
【0012】
伝送線モデル330、グリッド/接地容量のモデル345及びグリッド/ウェハ容量のモデル355は必ずしも測定機器140の一部ではなく、或いは同軸ケーブルパラメータ(Vch及びZch)、グリッド/接地容量パラメータ(ギャップ、εD、tanD、半径)及びグリッド/ウェハ容量パラメータ(ギャップP、εP、tanP及び半径)をそれぞれ保存する、測定機器140内のメモリであってもよい。
【0013】
図4は図3の入力位相プロセッサ310の構造を図示している。供給電力算術論理演算ユニット(ALU)410は供給電力Pをインピーダンス整合検出回路132からの出力I及びPバイアスからPバイアス−(0.15)I2として算出する。位相角ALU420は位相角θを供給電力P及びV及びIからcos−1(P/VHI)として算出する。インピーダンスALU430は複素インピーダンスZを(V/I)eiθとして算出し、ここでi=(−1)1/2である。入力電流ALU440は同軸ケーブル210への入力電流Iinを[P/Re(Z)]1/2として算出する。入力電圧ALU450は同軸ケーブル210への入力電圧VinをZHIinとして算出する。
【0014】
図5は図3の伝送線変換プロセッサ320の構造を図示する。伝送線プロセッサはIin及びVinを図4の入力位相プロセッサ310からの入力として受取り、(図3の伝送線モデル又はメモリ330からの)伝送線モデルパラメータVch及びZchを用いて以下のようにしてアドミタンスY接合部を算出する。つまり接合部電流ALU510は電流I接合部を同軸ケーブル210とグリッド115−1(図1)との接合部で、
(Iin)cosh[(Vch)(−長さ)]+(Vin/Zch)sinh(Vch)(−長さ)]、
として算出する。
接合部電圧ALU520は電圧V接合部を同軸ケーブル210とグリッド115−1との接合部で、
(Vin)cosh[(Vch)(−長さ)]+(IinZch)sinh[(Vch)(−長さ)]、
として算出する。
【0015】
除算器530はI接合部とV接合部を受け取り、Y接合部をI接合部/V接合部として算出する。上記の計算における各電気的数量(電流、電圧、インピーダンス、アドミタンス等)は実数部と虚数部の双方を有する複素数であることに留意しなくてはならない。
【0016】
図6は図3のグリッド/接地変換プロセッサ340の構造を図示している。グリッド/接地変換プロセッサ340はギャップ、εD、tanD、半径(ウェハ半径)であるパラメータを図3のグリッド/接地モデル又はメモリ345から受け取り、絶縁抵抗RDと絶縁容量CDを算出する。絶縁容量CDはCD ALU610により以下
(ε0)(εD)π(半径)2/ギャップ
のように算出され、ここでε0は自由空間の電気誘電率である。RD ALU620はCD ALU610からの値CDを用いて以下
(tanD)/(ωCDギャップ2)
のように絶縁抵抗RDを算出し、ここでωは図2のバイアスRF発生装置125の角周波数である。
【0017】
図7は図3のグリッド/ウェハ変換プロセッサ350の構造を図示している。グリッド/ウェハ変換プロセッサ350は図3のグリッド/ウェハモデル又はメモリ355からギャップP、εP、tanP、半径であるパラメータを受け取り、プラズマ抵抗RP及びプラズマ容量CPを算出する。プラズマ容量CPは以下、
(ε0)(εP)π(半径)2/ギャップp、
のようにCP ALU710によって算出され、ここでε0は自由空間の電気誘電率である。RP ALU720はCP ALU710からの値CPを用いて以下、
(tanP)/(ωCPギャップD2)、
のようにプラズマ抵抗RPを算出し、ここでωは図2のバイアスRF発生装置の角周波数である。
【0018】
図8は図3の複合変換プロセッサ360の構造を図示している。複合変換プロセッサ360は図3のプロセッサ340からパラメータRD、CDを受け取り、図3のプロセッサ350からパラメータRP、CPを受け取り、図3のプロセッサ320からパラメータY接合部を受け取る。グリッドインピーダンスALU810は以下、
[Y接合部−1/(RD+(1/(1ωCD)))]−1、
のようにZグリッド(図2のグリッド115−1でのインピーダンス)を算出する。
ウェハインピーダンスALU820はグリッドインピーダンスALU810の出力を用いて以下、
Zグリッド−1/(RP+(1/(iωCP)))、
のようにZウェハ(図2のウェハ120でのインピーダンス)を算出する。
【0019】
ウェハ電圧ALU830はALU810及び820双方からの出力及び図5の除算器530からのV接合部を用いて図2のウェハ120上の電圧VウェハをV接合部Zウェハ/Zグリッドとして算出する。ウェハ電流ALU840はALU820と830からの出力を用いてウェハ電流IウェハをVウェハ/Zウェハとして算出する。アドミタンスALU850はALU820の出力を用いてプラズマのアドミタンスYプラズマを1/Zウェハとして算出する。サセプタンスALU860はALU850の出力を用いてプラズマサセプタンスbをIm(Yプラズマ)として算出する。エッチング速度ALU870はALU830からのウェハ電圧とALU860からのサセプタンスを用いてエッチング速度をb2Vウェハ2として算出する。イオン密度ALU880は同じ出力を用いてイオン密度をkb2Vウェハ3/2として算出し、ここでkは、
(23/2/32)(1/[qε0A2π2f2Te2])、
によって得られる定数であり、qは電荷であり、Aは図2のウェハ120の面積であり、fは図2のバイアス電力発生装置125の周波数であり、Teはボルト表記での電子温度である。イオン密度と測定した数量b及びVウェハとのこの関係はプラズマサセプタンスについての近似公式及びプラズマシース厚さについての公式から得られる。プラズマサセプタンスはεAω/λとして近似値を求めることができ、ここでεはプラズマ内での電気誘電率であり、Aは電極面積、ωはバイアス電力信号の角周波数であり、λはプラズマシース厚さである。プラズマシース厚さは[Te/(qη)]1/2[2Vウェハ/Te]3/4として近似値を求めることができ、ここでTeは電子温度であり、qは電荷であり、ηはイオン密度である。シース厚さについての式をサセプタンスについての式に代入し、イオン密度について解くことで、サセプタンスとウェハ電圧の関数としてのイオン密度の式が得られる。
【0020】
処理フィードバック制御システム
図9は図3の測定機器140を用いる処理フィードバック制御システムを図示している。プラズマリアクタ900は図1のプラズマリアクタ100の全構成を含み、これに加えインピーダンス整合回路915を介してRFソース電力発生装置920へと接続された天井RFソース電力印加装置910を含む。RFソース電力印加装置910は、例えば、接地チャンバ筐体105から絶縁された天井電極である。RFプラズマソース電力発生装置920の電力レベルは、概してプラズマイオン密度を制御し、RFプラズマバイアス電力発生装置125の電力レベルは概してウェハ表面でのイオンエネルギーを制御する。測定機器140は電力、電圧及び電流出力をインピーダンス整合回路130の検出回路132から受け取る。これらの数量から、測定機器140はプラズマサセプタンスbを算出し、また測定信号として出力されるウェハ電圧Vウェハを算出する。これらの計算は図5を参照して上記で説明したやり方で行われる。次に、測定機器140はb及びVウェハからイオン密度及び/又はエッチング速度を、図5を参照して上記で説明したやり方で算出する。測定機器140によりこのようにして生成された3つの測定信号のうちの少なくとも2つをフィードバック制御ループで使用することが可能である。
【0021】
フィードバック制御装置950は測定機器140からの測定信号を用いてフィードバック信号を作成し、RFプラズマバイアス電力発生装置125とRFプラズマソース電力発生装置920の電力レベルを制御する。ウェハ電圧Vウェハと同等であるウェハ表面でのイオンエネルギーはバイアス電力発生装置125の電力レベルによって直接的に制御される。従って、フィードバック制御装置950は測定機器140からのウェハ電圧測定信号(つまり、図8のALU830からのVウェハ)を用いてバイアス電力フィードバック制御ループ957内でバイアス電力発生装置125を制御する。その一方で、ソース電力発生装置920はプラズマイオン密度を直接的に制御する。従って、フィードバック制御装置950は測定機器140からのプラズマイオン密度測定信号(つまり、図8のALU880からのkb2Vウェハ3/2)を用いてソース電流フィードバック制御ループ958内でソース電力発生装置920を制御する。
【0022】
バイアス電力フィードバック制御ループ957はウェハ電圧又はイオンエネルギーの選択した又は所望のターゲット値である[Vウェハ]ターゲットを保存するメモリ960を含む。減算器962は検出されたウェハ電圧Vウェハからこのターゲット値を減算してエラー信号を生成する。バイアス電力フィードバックループ957のゲインはメモリ964内に保存されたバイアス電力フィードバックゲイン係数によって決定される。乗算器966は減算器962からのエラー信号にメモリ964内のゲイン係数を乗じ、バイアス電力発生装置125の電力レベルを制御するために使用する補正信号を生成する。バイアス電力フィードバック制御ループ957の経路は、ウェハ電圧を表す測定信号Vウェハを生成するために測定機器140に適用される信号V、I及びPバイアスによって完了する。
【0023】
ソース電力フィードバック制御ループは検出されたイオン密度値b2Vウェハ3/2を測定機器140から受け取る。メモリ975はイオン密度の選択された又は所望のターゲット値である[b2Vウェハ3/2]ターゲットを保存する。減算器980は測定されたイオン密度とイオン密度ターゲット値との差異を算出し、エラー信号を生成する。ソース電力フィードバック制御ループ958のゲインはメモリ985内に保存されたソース電力フィードバックゲイン係数によって決定される。乗算器990はメモリ985からのゲイン係数を減算器980からのエラー信号に乗じ、補正信号を生成する。この補正信号を用いてRFソース電力発生装置920の電力レベルを制御する。ソース電力フィードバック制御ループ958の経路は、イオン密度を表す測定信号b2Vウェハ3/2を生成するために測定機器140に適用される信号V、I及びPバイアスによって完了する。
【0024】
エッチング処理工程等のプラズマ処理工程の開始時に、RFソース電力発生装置920及びRFバイアス電力発生装置125の電力レベルPS及びPBそれぞれについての初期値を指定することが可能である。これらの初期値が最適値に十分に近いならば、フィードバック制御装置950による過度の初期補正が回避可能となる。これを目的として、バイアス電力フィードバックループ957は、乗算器957からのフィードバック補正信号を受け取り、かつバイアス電力についてのターゲット値である[Pバイアス]ターゲットを受け取るために連結されたバイアス電力コマンドプロセッサ992を含む。プラズマ処理開始前にフィードバック信号はないため、バイアス電力コマンドプロセッサ992はバイアス電力発生装置125の電力レベルを初期ターゲット値[Pバイアス]ターゲットに設定する。一旦処理が開始されるとフィードバック信号が生じるため、バイアス電力コマンドプロセッサ992はバイアス電力ターゲット値よりもむしろ乗算器966からのフィードバック補正信号に従ってバイアス電力を制御する。
【0025】
同様に、ソース電力フィードバックループ958は乗算器990からのフィードバック補正信号をうけとり、かつソース電力についてのターゲット値である[Pソース]ターゲットを受け取るために連結されたソース電力コマンドプロセッサ994を含む。プラズマ処理開始前にフィードバック信号はないため、ソース電力コマンドプロセッサ994はソース電力発生装置920の電力レベルを初期ターゲット値[Pソース]ターゲットに設定する。一旦処理が開始されるとフィードバック信号が生じるため、ソース電力コマンドプロセッサ994はソース電力ターゲット値よりもむしろ乗算器990からのフィードバック補正信号に従ってソース電力を制御する。
【0026】
別の態様において、処理工程の大部分又は全てを通し、その各自フィードバック制御ループ957、958を無視して、その代わりにユーザがソース及びバイアス電力コマンドプロセッサ992、994を指示することでソース及びバイアス電力レベルを指定ターゲット値である[Pソース]ターゲット及び[Pバイアス]ターゲットに維持することが可能である。処理中、ユーザはこれらの値を必要に応じて変更可能である。
【0027】
図10を参照するが、フィードバック制御プロセッサ950はイオン密度ではなくエッチング速度をソース電力フィードバック制御ループ958における測定パラメータとして使用してもよい。測定機器140内において、エッチング速度測定信号はb2Vウェハ2を算出する図8のALU870から取られる。図10において、メモリ975´(図9のメモリ975の代替)はエッチング速度のターゲット値である[b2Vウェハ2]ターゲットを保存する。減算器980は図9を参照して説明したように演算を行い、エラー信号を生成する。図10のソース電力フィードバック制御ループの残りの部分は概して図9と同一である。
【0028】
処理設定点制御装置
フィードバック制御装置950は多様な処理制御パラメータについて多数のターゲット値を必要とする。具体的には、図9のフィードバック制御装置950はイオン密度についてのターゲット値である[b2Vウェハ3/2]ターゲットを保存するためのメモリ975と、イオンエネルギー(または同等にウェハ電圧)についてのターゲット値である[Pウェハ]ターゲットを保存するメモリ960を有する。図10のフィードバック制御装置において、メモリ975はエッチング速度のターゲット値である[b2Vウェハ2]ターゲットを保存するメモリ975´によって置き換えられている。これに加え、フィードバック制御装置950はソース及びバイアス電力レベルについての各自初期ターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットを用いることで、上述したように、フィードバック制御装置950を初期化することが可能である。これらのターゲット値の選択又は最適化はユーザにまかせることが可能であるが、過度の試行錯誤を伴ったり信頼性が低い可能性がある。通常、特定の処理結果(例えば、特定のエッチング速度、特定のイオンエネルギー、ストライエーション等のエッチング処理時のアーチファクトの低減、ウェハ電流による加熱の軽減等)を達成したいとするユーザは試行錯誤を繰り返す時間のかかるプログラムを行うことで最適処理制御パラメータを見つけ出し、所望の結果を達成しなくてはならない。このため、既存の処理の変更又は新しい処理の設計には非常に長い開発期間が必要となる。
【0029】
この制約を克服するために、図11のリアクタ内で用いた処理設定点制御装置1110は、多様な性能パラメータについてのユーザ選択値に基づいて自動的にかつ迅速に(つまり即座に)処理制御パラメータの最適ターゲット値を見つけ出す。例えば、処理設定点制御装置1110はユーザが指定した所望のエッチング速度及び/又は所望のウェハ電圧又はその他の性能パラメータに基づいてターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットを求めてもよい。従って、新しい処理レシピがほぼ即座に設計可能である。本発明のプラズマリアクタにおいて、これはミリ秒で行うことが可能であるが、必要ならマイクロ秒もの速さとすることも可能である。
【0030】
多くの処理制御パラメータ(つまり、ユーザの直接制御下にあるリアクタの特性、例えばチャンバ圧、ソース及びバイアス電力レベル等)、及び多くの処理性能パラメータ(つまり、直接制御下にないプラズマ及び処理の特性、例えばエッチング速度、イオン密度、イオンエネルギー、ウェハ電流等)がある。ユーザはこれらの性能パラメータのいずれか1つ又はそれ以上を所定の処理の目標として指定することが可能である。制御パラメータのいずれか1つ又は一群又は全てを用いて、ユーザが選択した性能パラメータの所望のレベルを達成することが可能である。ここで問われるのが、一部の制御パラメータの影響が、ユーザが選択した性能パラメータの制御においてその他の制御パラメータに関係してくるか否かということであり、選択した性能パラメータにおいて所望の結果を得るために正しい制御パラメータセットを選択するのは複雑という問題があり、特に最適である組合せなどないように思われる。
【0031】
しかしながら、本願発明者はソース電力及びバイアス電力が対象とする性能パラメータを制御しており、また、その制御が独立した形であることを発見した。つまり、ソース電力Pソース及びバイアス電力Pバイアスは独立変数であり2次元制御空間を形成する直交するエンティティとして捉えることができ、性能パラメータの制御には融通が利き、その他の制御パラメータの変更が不要である。この発見によりたった2つの変数へと問題が大幅に軽減される。
【0032】
従って、以下の説明は、処理中、Pソース及びPバイアス以外の制御パラメータを一定に維持する制御システムに関する。このため、チャンバ圧、ガス組成、ガス流量、ソース電力周波数、バイアス電力周波数等を含む処理制御パラメータは一定に保持される。ソース電力及びバイアス電力レベル(Pソース及びPバイアス)を変更することで、指定の性能パラメータセット(例えば、エッチング速度及びイオン密度)において所望の値を達成する。
【0033】
様々なパラメータについてターゲット値を見つけ出すという課題は、選択した性能パラメータセットについてのユーザ定義値セットと仮定した場合、一定パラメータ等高線セットを上記の2次元Pソース−Pバイアス空間で重ね合わせる処理設定点制御装置1110によって解決される。こういった一定パラメータ等高線は図11の一定パラメータ等高線生成装置1120から得られる。例えば、一定イオン密度の等高線(図12)、一定イオンエネルギー又はウェハ電圧の等高線(図13)、及び一定エッチング速度の等高線(図14)を用いる。測定機器140を用いて一定パラメータ等高線生成装置1120がどのようにしてこれらの等高線を生成するかは本明細書で後述する。本願の記載は処理設定点制御装置1110によるその使用に関連する。
【0034】
図12を参照するが、チャンバ圧20mTでのPソース−Pバイアス空間における一定プラズマイオン密度等高線セットは、通常、小さい負の勾配と小さいが正の第1導関数d(Pソース)/d(Pバイアス)を有する。最上部の等高線は一定プラズマ密度5H1010イオン/cm3に対応し、最下部の等高線は1.5H1010イオン/cm3に対応する。縦軸(Pソース)は0−1500ワットに亘り、横軸(Pバイアス)は2000−4500ワットに亘る。図13を参照するが、同一チャンバ圧(20mT)での一定ウェハ電圧の等高線セットは正の勾配を有し、600ボルト(最上部)から1800ボルト(底部)に亘っている。図14を参照すると、一定エッチング速度(任意の単位、例えばk=1)の等高線セットは大きな負の勾配を有している。
【0035】
処理設定点制御装置1110はイオン密度、イオンエネルギー及びエッチング速度のユーザ選択値をいかにして同時に満たすかを決定する。制御装置はこの決定を、図12−14の対応する等高線のPソース−Pバイアス空間内での交点を見つけることで行う。この交点はソース及びバイアス電力についての最適ターゲット値、つまり[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットを示す。ユーザが2つの性能パラメータについてのみ値を指定すると問題は若干、簡単となる。例えば、ユーザがウェハ電圧を1100ボルト、イオン密度を3.5H1010イオン/cm3と指定した場合、Pソース−Pバイアス空間における正しい地点は図12の1100ボルトでの一定ウェハ電圧等高線と図13の3.5H1010イオン/cm3での一定密度等高線を重ね合わせ、Pソース−Pバイアス空間におけるその交点を見つけ出すことで得られる。この手順は処理設定点制御装置1110によって行われ、2つの曲線がPソース−Pバイアス空間において点[850W、3750W]で交差している図15で図示されている。従って、この例において、ユーザの要求は、ソース電力レベルを850Wに、バイアス電力レベルを3750Wに設定することで満たされる。このため、このケースでは、図9のソース電力コマンドプロセッサ994及びバイアス電力コマンドプロセッサ992に供給されるターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットはそれぞれ850ワット及び3750ワットである。
【0036】
ソース及びバイアス電力レベルのターゲット値をこうやって演繹することで、ユーザがまだ指定又は制限していないその他のパラメータのターゲット値も演繹し得ることに留意しなくてはならない。例えば、上記の例において、ユーザは特定のエッチング速度を指定していない。しかしながら、イオン密度及びエネルギーについてのユーザ選択値を満たすエッチング速度のターゲット値は、図14の等高線を図15に重ね合わせる(又はその逆)ことで見つけることが可能である。点[850W、3750W]は図14の一定エッチング速度2.101(任意の単位)の等高線上にあり、その図面においてAX@で示されるとおりである。従って、図10のフィードバック制御装置を使用する場合、設定点制御装置1110は任意の単位のエッチング速度ターゲット値2.101を図10のメモリ975に書きだす。
【0037】
この構成の利点は、一定電圧、密度、エッチング速度等の等高線がリアクタに特有であり、一般的に、所定の処理条件によって変化することがない点である。従って、等高線を処理に先立って一定パラメータ等高線生成装置1120によって求め、図11で示されるように、リアクタ使用中、処理設定点制御装置1110がこれらを常時使用可能としてもよい。このようにして、図15に図示したやり方で、特定のパラメータのターゲット値を即時又は必要な時に見つけることができる。
【0038】
作動中、バイアス電力コマンドプロセッサ992及びソース電力コマンドプロセッサ994は処理設定点制御装置1110からターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットを受け取り、乗算器958及び957からフィードバック信号をそれぞれ受け取る。システムの初期化中、フィードバック信号は無視され、プロセッサ992及び994はRF発生装置125、920の電力レベルをターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットへとそれぞれ設定する。フィードバック信号は処理開始後に利用可能となり、プロセッサ992、994はターゲット値の代わりにフィードバック制御ループ957、958を使用して、ソース電力とバイアス電力レベルを制御可能となる。或いは、電力コマンドプロセッサ992、994をプログラムして初期化時だけでなく処理中にもターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットからソース及びバイアス電力レベルを求めてもよく、その間、フィードバックループ957、958は無視される。
【0039】
図11は、エッチング速度、ウェハ電圧、イオン密度及びウェハ電流を含む性能パラメータについてのユーザ選択値のいずれか1つ又は組合せを処理設定点制御装置1110に適用可能であることを表している。これに応じて、処理設定点制御装置1110は等高線生成装置1120からの適切な等高線を用いて、ソース及びバイアス電力ターゲット値だけでなく、場合によってはユーザが限定又は指定していないその他のパラメータについてのターゲット値、例えばエッチング速度、イオン密度、イオンエネルギー又はウェハ電流等のターゲット値を生成する。これらのターゲット値はフィードバック制御装置950に供給され、図9を参照して本明細書中で前述したやり方で使用される。
【0040】
図16は図11の処理設定点制御装置1110の構造と演算を図示している。第1論理ユニット1610はユーザから(あるならば)エッチング速度コマンドを受け取り、メモリ1615から等高線生成装置1120によって前もって生成された一定エッチング速度の等高線セットから対応する一定エッチング速度等高線をフェッチする。第2論理ユニット1620はユーザから(あるならば)イオン密度コマンドを受け取り、メモリ1625から等高線生成装置1120により前もって生成された一定イオン密度の等高線セットから対応する一定イオン密度等高線をフェッチする。第3論理ユニット1630はユーザから(あるならば)ウェハ電圧(イオンエネルギー)コマンドを受け取り、メモリ1635から等高線生成装置1120により前もって生成された一定ウェハ電圧の等高線セットから対応する一定ウェハ電圧等高線をフェッチする。第4論理ユニット1640は論理ユニット1610、1620、1630によって選択されたいずれの等高線間でのPソース−Pバイアス空間における交点を見つけ出す。この交点は図11のフィードバック制御装置950に[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットとして出力される。
【0041】
等高線生成装置1120
図11の等高線生成装置1120が行う演算が図17、18、19に図示されている。図17は、特定の性能パラメータがいかにしてバイアス電力と共に変化するかを定義する関数を見つけ出すにあたっての等高線生成装置1120の演算を図示している。これらにはウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度といった性能パラメータについての関数が含まれる。以下で説明されるように、ウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度のバイアス電力による変化の観察は図11の構成を用いて測定機器140によって等高線生成装置1120用に行われる。図11において、測定機器140はウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度についての瞬間測定値を等高線生成装置1120へと送信する。また等高線生成装置1120は、図11に図示されるように、カレントソース電力及びバイアス電力コマンドを受け取ることで、ウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度という性能パラメータの挙動をソース電力及びバイアス電力の制御パラメータと相関させることが可能となる。
【0042】
図18は特定の性能パラメータがいかにしてソース電力と共に変化するかを定義する関数を見つけ出すにあたっての等高線生成装置1120の演算を図示している。図17と同様に、図18において、これらにはウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度といった性能パラメータについての関数が含まれる。また図17と同様に、図18の演算は図11の構成を用いて行われる。
【0043】
図19は図17及び18の演算で発見したソース電力及びバイアス電力の別々の関数をソース電力及びバイアス電力双方の合成関数(combined function)へとパラメータ化するにあたっての等高線生成装置1120の演算を図示している。こういった合成関数は2次元Pソース−Pバイアス空間における性能パラメータ(ウェハ電圧、イオン密度、エッチング速度)の挙動を表している。次に、等高線生成装置1120は一定イオン密度、イオンエネルギー及びエッチング速度の等高線を各合成関数から導出する。
【0044】
次に図17に図示の演算を図11と17の双方を参照して詳細に説明する。図17のブロック1710の工程において、図11のバイアス及びソース電力発生装置125、920の周波数を一定値に設定し、図11のリアクタの真空ポンプ1180の排気速度を制御して一定チャンバ圧を達成し、ガス供給源1182、1184からの質量流量を図11の質量流量制御装置1186を通して一定値に設定する。図17のブロック1720の工程において、図11のソース電力発生装置920の電力レベルを初期設置点に設定すると、バイアス電力レベルを除いて全処理が定常状態となる。図17のブロック1730の工程において、図11のバイアス電力発生装置125の電力レベルは所定の範囲の始点に設定される。次に、測定機器140は電圧電流及び電力をインピーダンス整合回路130で検出し、図1−8に関連して前述したやり方でウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度を測定する(図17のブロック1740)。これらの測定値は等高線生成装置1120に送信され、メモリ1120aに保存される。次の工程(図17のブロック1750)において、図11のバイアス電力発生装置125の電力レベルを(制御装置1110のコマンドにより)若干高い値にインクリメントし、その値で保持する。次に、図17のブロック1760の工程において、最後のバイアス電力レベルがバイアス電力範囲の終点にあるか否かを判定する。もしそうでない場合(ブロック1760のNO分岐路)、演算はループ1765をブロック1740の工程へと戻る。ループ1765の工程は、バイアス電力範囲の終点に到達するまで(ブロック1760のYES分岐路)このようにして繰り返される。この結果、ウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度の挙動を定義するバイアス電力の関数に対応する3つのデータセットがメモリ1120a内に保存される。慣用のデータフィットアルゴリズムを用いて、等高線生成装置は3つのデータセットからデータに対応する代数関数を生成し、以下の、
Vウェハ=fa(Pバイアス)i、
=fb(Pバイアス)i、
ER=fc(Pバイアス)i、
としてメモリ1120a内に保存する。ここでηはプラズマイオン密度であり、ERはエッチング速度であり、指数iはソース電力発生装置915のカレントレベルを意味している(ブロック1770)。図17の次の工程において(ブロック1780)、ソース電力発生装置915のレベルを新しい値へとインクリメントし、i6i+1とする。新しいソース電力レベルがソース電力範囲の終点にない場合(ブロック1790のNO分岐路)は、演算はループ1795をブロック1730の工程へと戻り、ループ1795の工程(つまり、ブロック1730から1790)は、ソース電力レベルがソース電力範囲の終点に達するまで繰り返される(ブロック1790のYES分岐路)。この結果、ソース電力範囲内のiの値全てについて多数の関数セット、
Vウェハ=fa(Pバイアス)i、
=fb(Pバイアス)i、
ER=Fc(Pバイアス)i、
がメモリ1120a内に保存される。これにより、バイアス電力での3つの挙動パラメータVウェハ、η、ERの挙動がソース電力と共に変化するか否かの分析判定が可能となる。それほど大きな変化はないと判明したため、バイアス電力とソース電力は少なくともほぼ独立変数である。従って、パラメータVウェハ、η、ERのそれぞれについての単一バイアス電力関数は、概して、ソース電力レベルの全範囲に亘って、少なくとも本明細書中で後に説明する実施例で選択した範囲について、実に正確に挙動を予測する。このため、図17のループ1795は厳密には必要でない。その代わり、工程1720でソース電力レベル範囲の中間でソース電力レベルについての単一値を選択し、ループ1765を実行し、3つの関数のそれぞれについての単一データセット、
Vウェハ=fa(Pバイアス)、
=fb(Pバイアス)、
ER=Fc(Pバイアス)、
を生成してもよい。バイアス電力のこれら3つの関数はメモリ1120a内に保存される。
【0045】
次に図18に図示の演算を図11及び18の双方を参照して詳細に説明する。図18のブロック1810の工程において、図11のバイアス及びソース電力発生装置125、920の周波数を一定値に設置し、図11のリアクタの真空ポンプ1180の排気速度を制御して一定のチャンバ圧を達成し、図11の質量流量制御装置1186を介してガス供給源1182、1184からの質量流量を一定値に設定する。図18のブロック1820の工程において、図11のバイアス電力発生装置125の電力レベルを初期設定点に設定すると、ソース電力レベルを除いて全処理が定常状態となる。図18のブロック1830の工程において、図11のソース電力発生装置920の電力レベルを所定の範囲の始点に設定する。次に、測定機器140は電圧電流及び電力をインピーダンス整合回路130で検出し、図1−8に関連して前述したやり方でウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度を測定する(図18のブロック1840)。これらの測定値は等高線生成装置1120に送信され、メモリ1120aに保存される。次の工程(図18のブロック1850)において、図11のソース電力発生装置920の電力レベルを(制御装置1110のコマンドにより)若干高い値にインクリメントし、その値で保持する。次に、図18のブロック1860の工程において、最後のソース電力レベルがソース電力範囲の終点にあるか否かを判定する。もしそうでない場合(ブロック1860のNO分岐路)は、演算はループ1865をブロック1840の工程へと戻る。ループ1865の工程は、ソース電力範囲の終点に到達するまで(ブロック1860のYES分岐路)このようにして繰り返される。この結果、ウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度の挙動を定義するソース電力の関数に対応する3つのデータセットがメモリ1120a内に保存される。慣用のデータフィットアルゴリズムを用いて、等高線生成装置1120は3つのデータセットからデータに対応する代数関数を生成し、以下の、
Vウェハ=fa(Pソース)i、
=fb(Pソース)i、
ER=fc(Pソース)i、
としてメモリ1120a内に保存される。ここでηはプラズマイオン密度であり、ERはエッチング速度であり、指数iはバイアス電力発生装置125のカレントレベルを意味している(ブロック1870)。図18の次の工程において(ブロック1880)、バイアス電力発生装置125のレベルを新しい値へとインクリメントし、i6i+1とする。新しいバイアス電力レベルがバイアス電力範囲の終点にない場合(ブロック1890のNO分岐路)、演算はループ1895をブロック1830の工程へと戻り、ループ1895の工程(つまり、ブロック1830から1890)は、バイアス電力レベルがバイアス電力範囲の終点に達するまで繰り返される(ブロック1890のYES分岐路)。この結果、バイアス電力範囲内のiの値全てについて多数の関数セット、
Vウェハ=fa(Pソース)i、
=fb(Pソース)i、
ER=fc(Pソース)i、
がメモリ1120a内に保存される。これにより、ソース電力での3つの挙動パラメータVウェハ、η、ERの挙動がバイアス電力と共に変化するか否かの分析判定が可能となる。(図17のケースと同様に)それほど大きな変化はないと判明したため、上述したように、バイアス電力とソース電力は少なくともほぼ独立変数である。従って、パラメータVウェハ、η、ERのそれぞれについての単一ソース電力関数は、概して、バイアス電力レベルの全範囲に亘って、少なくとも本明細書中で後に説明する実施例で選択した範囲について、実に正確に挙動を予測する。このため、図18のループ1895は厳密には必要でない。その代わり、工程1820でバイアス電力レベル範囲の中間でバイアス電力レベルについての単一値を選択し、ループ1865を実行し、3つの関数のそれぞれについての単一データセット、
Vウェハ=fa(Pソース)、
=fb(Pソース)、
ER=fc(Pソース)、
を生成してもよい。ソース電力のこれら3つの関数はメモリ1120a内に保存される。従って、図17及び18の演算完了時、メモリ1120aはウェハ電圧についての以下の、
Vウェハ=fb(Pソース)、
Vウェハ=fb(Pバイアス)、
の関数ペアと、
イオン密度についての以下の、
=fa(Pソース)、
=fa(Pバイアス)、
関数ペアと、
エッチング速度についての以下の、
ER=Fc(Pソース)、
ER=Fc(Pバイアス)、
関数ペアを保持する。
【0046】
図19に図示の演算において、等高線生成装置1120はそれぞれ単一変数Pソース又はPバイアスを有する各関数ペアを変数ペアPソース及びPバイアスの単一合成関数へと組み合わせる。これにより以下の3つの関数である
Vウェハ=(Pソース、Pバイアス)、
η(Pソース、Pバイアス)、
ER(Pソース、Pバイアス)、
が生成される。
【0047】
一定パラメータ値の等高線(例えば、一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線、一定イオン密度の等高線)は各関数を一定値に設定し、次にPソースをPバイアスの関数として解くことで見つかる。例えば、一定ウェハ電圧300Vの等高線を生成するために、関数Vウェハ(Pソース、Pバイアス)を300Vに等しく設定し、次にPソースについて解く。
【0048】
図19は、合成された2変数関数を生成し、次にその関数を様々な一定値でPソースについてPバイアスの関数として解く上記の工程を実行するにあたっての図11の等高線生成装置1120の演算を図示している。ここで図19を参照するが、第1工程(ブロック1910)ではウェハ電圧の1変数関数、つまりVウェハ=(Pソース)とVウェハ=(Pバイアス)をとり、その合成関数を見つける。次の工程(ブロック1920)ではイオン密度の1変数関数、つまりη(Pソース)とη(Pバイアス)をとり、その合成関数η(Pソース、Pバイアス)を見つける。第3の工程(ブロック1930)ではエッチング速度の1変数関数、つまりER(Pソース)とER(Pバイアス)をとり、その合成関数ER(Pソース、Pバイアス)を見つける。
【0049】
次に、一定値の等高線を生成する。一定ウェハ電圧の等高線を生成するためには(図19のブロック1940)、関数Vウェハ(Pソース、Pバイアス)をウェハ電圧の一定値と同等に設定し、得られた式を次にPソースについてPバイアスの関数として解く。この工程を一定ウェハ電圧値の範囲に亘って繰り返し、範囲全体の等高線セットを生成する。これらの等高線を図11のメモリ1120aに保存する(図19のブロック1945)。
【0050】
一定イオン密度の等高線を生成するためには(図19のブロック1950)、関数η(Pソース、Pバイアス)をイオン密度の一定値と同等に設定し、得られた式をPソースについてPバイアスの関数として解く。この工程を一定イオン密度値の範囲に亘って繰り返し、イオン密度値範囲全体の等高線セットを生成する。これらの等高線を図11のメモリ1120aに保存する(図19のブロック1955)。
【0051】
一定エッチング速度の等高線を生成するためには(図19のブロック1960)、関数ER(Pソース、Pバイアス)をエッチング速度の一定値と同等に設定し、得られた式をPソースについてPバイアスの関数として解く。この工程を一定エッチング速度値の範囲に亘って繰り返し、エッチング速度値の範囲全体の等高線セットを生成する。これらの等高線を図11のメモリ1120aに保存する(図19のブロック1965)。
【0052】
通常、各合成2変数関数、例えばVウェハ(Pソース、Pバイアス)は個別関数のペア、例えばVウェハ(Pソース)及びVウェハ(Pバイアス)の積によって近似値を求めることが可能である。例えば、RF電力レベルを除く全ての制御パラメータを無視し、比例定数を無視すると、
Vウェハ=fa(Pソース)・[Pソース]1/2、
Vウェハ=fa(Pバイアス)・[Pバイアス]1/2、
となり、合成2変数関数は近似的に:Vウェハ=Fa(Pソース、Pバイアス)=fa(Pソース)fa(Pバイアス)・[Pソース]1/2[Pバイアス]1/2となる。但し、この式は正確ではない。正確な関数は、全制御パラメータ、つまり上記のPソース及びPバイアス、加えてソース電力周波数、バイアス電力周波数、チャンバ圧、及び(あるならば)磁場を使用するカーブフィット法により求めるのが最適である。発明者はPソース及びPバイアス双方の関数としてのVウェハについての以下の式、
Vウェハ(Pソース、Pバイアス)=V0(Pバイアス/Pb0)0.4[(Pソース/Ps0)K1(p/p0)−1+(p/p0)0.5)−0.5、
を発見し、ここでPb0は最大バイアス電力値であり、Ps0は最大ソース電力値であり、p0は最低チャンバ圧であり、pは実際のチャンバ圧である。上述したリアクタチャンバ内において、最大ソース電力Ps0は1500ワットであり、最大バイアス電力Pb0は4500ワットであり、最低圧力p0は30mTであった。これらの値はチャンバ設計や処理設計によって先行の例とは異なる場合がある。V0は以下の手順に沿って求められる。つまり最大バイアス電力Pb0をウェハ台座部に印加し、その一方でソース電力をゼロで保持し、チャンバを最低圧力p0に保持する。次にウェハ電圧Vウェハを測定し、この測定値をV0として保存する。次に、ソース電力をその最大値Ps0にまで上げ、次にウェハ電圧Vウェハを再度測定することでK1を求め、上記の方程式によりVウェハについて正しい値が得られるまでK1を調整する。
【0053】
上記方程式の指数は、本明細書中に記載のリアクタについての広範囲に及ぶ試行錯誤によるパラメータ化処理によって得られた。これらの指数はその他のリアクタ設計にも有用である場合があり、或いはユーザは特定のリアクタ設計に応じて別の指数の使用を試みてもよい。
【0054】
イオン密度η及びエッチング速度ERは双方共に、図8を参照して本願で前述したように、Vウェハ及びプラズマサセプタンス又はプラズマアドミタンスの虚数部であるbの関数、
=b2Vウェハ2、
及び
ER=kb2Vウェハ3/2、
である。
【0055】
従って、簡潔にするため、ERとηを定義するには、Vウェハに加えてプラズマサセプタンスbのみを指定すればよい。本発明者はPソース、Pバイアス双方の関数としてのプラズマサセプタンスbについての以下の式、
b(Pソース、Pバイアス)=b0(Pバイアス、Pb0)−0.25 [(Pソース/Ps0)(p/p0)−0.65][K2(Pバイアス/Pb0)−0.62(p/p0)3+(p/p0)0.27]、
を発見し、ここで上記の定義があてはまり、これに加えb0は基準サセプタンス値である。基準サセプタンス値b0は以下の手順に沿って求められる。つまり最大バイアス電力Pb0をウェハ台座部に印加し、その一方でソース電力をゼロで保持し、チャンバを最低圧力p0に保持する。次にウェハ支持台座部でサセプタンスbを測定し(例えば、V/Iメータを用いて)、この測定値をb0として保存する。次に、ソース電力をその最大値Ps0にまで上げ、次にサセプタンスbを再度測定することでK2を求め、上記の方程式によりbについて正しい値が得られるまでK2を調整する。
【0056】
次に、イオン密度η及びエッチング速度ERは、Vウェハ及びbについての式をη及びERについての上記方程式に代入することで得られる。
【0057】
図19の等高線生成装置の演算結果は、図20−26において様々なチャンバ圧について図示されている。図20は一定ウェハ電圧の等高線、一定イオン密度の等高線及び一定エッチング速度の等高線を互いにPソース−Pバイアス空間で重ね合わせたものを図示している。これらの等高線についてのチャンバ圧は100mTであった。一定ウェハ電圧の等高線は実線で描かれている。一定イオン密度の等高線は破線で描かれている。一定エッチング速度の等高線は点線で描かれている。ソース電力範囲(縦軸つまり縦座標)の範囲はゼロから1200ワットである。バイアス電力範囲(横軸つまり横座標)の範囲は200ワットから1200ワットである。一定ウェハ電圧の値はRMSボルト表記である。一定イオン密度の値は1010イオン/cm3表記である。
【0058】
図20、21、22、23、24及び25は図20に対応し、各チャンバ圧はそれぞれ100mT、30mT、70mT、150mT、200mT及び250mTである。
【0059】
一定電圧、一定エッチング速度及び一定イオン密度の等高線の完全なセットが一旦生成され、かつメモリ120a内に恒久的に保存されたならば、等高線生成装置、更には測定機器さえも不要となる。こういったインプリメンテーションにおいて、処理設定点制御装置1110はユーザの入力に応答して、メモリ120a内に保存された等高線に基づき処理全体を制御する。この場合、処理設定点制御装置1110はバイアス及びソース電力レベルコマンドをバイアス及びソース電力発生装置125、920にそれぞれ直接的に適用することが可能なため、こういった実施形態においてはフィードバック制御装置950も排除可能である。
【0060】
個々の計算を実行する個別のプロセッサ310、320、340、350、360に言及することで測定機器140を説明してきたが、測定機器140を構成しているこれらのプロセッサを別々のハードウェアエンティティとしてではなくワークステーションやパソコン等のプログラムされたコンピュータ内に一緒にインプリメントすることも可能である。等高線生成装置1120も、プログラムしたコンピュータ又はワークステーション内にインプリメントすることができる。これに加え、図9又は図10のフィードバック制御装置950もプログラムしたコンピュータ内にインプリメントすることができる。更に、処理設定点制御装置もプログラムされたコンピュータ内にインプリメントすることができる。
【0061】
処理制御システム内での使用といった特定のアプリケーションについて測定機器140を説明してきたが、測定機器は特定のプラズマリアクタの「フィンガープリンティング」つまり特性評価用のツールとしても有用であり、これはソース電力、バイアス電力、圧力及びその他のパラメータの選択した処理設定で、機器140によって測定されたエッチング速度、イオン密度及びウェハ電圧を観察することで行われる。
【0062】
図8の説明はエッチング速度をER=b2Vウェハ2として算出し、イオン密度をη=kb2Vウェハ3/2として算出するインプリメンテーションに関してのものであるが、例えば[bVウェハ]1又は[bVウェハ]2、又はgVウェハ3/2等であるその他の関数を用いてもよい(この最後の式のgは本明細書中において上記で定義したコンダクタンスである)。
【0063】
チャンバパラメータのアレイを備えたリアクタ
図26は図11のプラズマリアクタに類似しているがフィードバック制御装置950により制御可能なチャンバパラメータをより多く有するプラズマリアクタを図示している。図11及び26において同様の要素は同様の参照番号を有する。図11の要素に加え、図26のリアクタは天井電極910内にある内側及び外側環状ガス注入区域又はシャワーヘッド912、914及び複数のガス供給源1182aから1182fも有し、供給源は各自異なる化学物質(又は混合物)を含み、内側及び外側ガス注入区域912、914にそれぞれガス流量制御装置1186a、1186bを介して連結されている。ガス流量制御装置1186a、1186bは個別のガス供給源1182のそれぞれからガス注入区域912、914へと向かうガス流のガス流量及び組成つまり成分比を制御する。内側及び外側磁気コイル1210、1215はそれぞれ内側及び外側DCコイル電流供給源1120、1225に接続されている。任意のDCチャック電圧供給源1230がバイアスフィード中央導体212に連結されており、この場合、DC絶縁コンデンサ1235が中央導体212とバイアス整合回路130との間に直列に接続されている。
【0064】
3つのチャンバパラメータについてのチャンバ特性評価
図26のリアクタチャンバは、例えば、4つのプラズマパラメータ(ウェハ又はシースバイアス電圧、イオン密度、エッチング速度、ウェハ電流等)の挙動を3つのチャンバパラメータ(ソース電力、バイアス電力及びチャンバ圧)の関数として数値化することで特性評価してもよい。まず最初に、図27−32に図示の処理において、様々なプラズマパラメータの一価関数を個々のチャンバパラメータを単一変数として見つけ出す。第1工程はチャンバパラメータの初期化である(図27のブロック2001)。この工程でソース電力Ps、バイアス電力PB、チャンバ圧pch、内側磁石電流I内側、外側磁石電流I外側、ガス流量FR等のチャンバパラメータを初期(例えば、中間領域)値に設定する。
【0065】
次の主要工程は、一定等高線生成装置1120により各プラズマパラメータの1変数関数を見つけ出すことであり、バイアス電力が変数であり、図27に図示されている。図27の例において、関数はウェハ電圧Vウェハ(PB)、エッチング速度ER(PB)、プラズマイオン密度η(PB)及びウェハ電流Iウェハ(PB)について求められる。図27を参照するが、第1工程ではPBをその範囲の始点に設定する(図27のブロック2003)。この範囲は、考えられ得る例として、13.56MHzでゼロから1000ワットである。次の工程は、図26の測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(ブロック2005)。次に、制御装置950を介して等高線生成装置1120は既定の少量ずつ又は範囲のごく一部ずつPBをインクリメントしていく(ブロック2007)。次に、バイアス電力範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2009)。もし到達していない場合(ブロック2009のNO分岐路)、処理ループはブロック2005の工程に戻る。範囲の終点に到達したら(ブロック2009のYES分岐路)、処理を次の工程、つまりブロック2011へと進める。ブロック2011の工程はサンプリングしたデータを用いて関数Vウェハ(PB)、ER(PB)、η(PB)及びIウェハ(PB)を構築することから成り、これらの関数はメモリ内に保存される。これらの関数は、例えばカーブフィット法によって構築してもよい。次に、その他のチャンバパラメータに基づいた関数生成の準備をするにあたって、チャンバパラメータPBをその初期値、好ましくは中間範囲値へと戻す(ブロック2013)。
【0066】
図28に図示の次の処理の目的は、ソース電力が単一変数である1変数関数、つまり関数Vウェハ(PS)、ER(PS)、η(PS)及びIウェハ(PS)を見つけ出すことである。図28を参照するが、第1工程ではPSをソース電力範囲の始点に設定している(図28のブロック2015)。RFプラズマソース電力範囲は、考えられ得る一例として、162MHzでゼロから3000ワットであってもよい。次の工程は、測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(図28のブロック2017)。次に、生成装置1120/制御装置950によりPsをインクリメントする(ブロック2019)。次にソース電力範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2021)。もし到達していない場合(ブロック2021のNO分岐路)、処理はブロック2017の工程に戻る。範囲の終点に到達しているなら(ブロック2021のYES分岐路)、処理を次の工程であるブロック2023へと進める。ブロック2023の工程において、(ブロック2017で得た)サンプリングデータを用いて1変数関数Vウェハ(Ps)、ER(Ps)、η(Ps)及びIウェハ(Ps)を構築し、これらの関数はメモリ内に保存される。次に、Psをその初期値へと戻す(ブロック2025)。
【0067】
図29に図示の次の処理の目的は、チャンバ圧が単一変数である1変数関数、つまり関数Vウェハ(pch)、ER(pch)、η(pch)及びIウェハ(pch)を見つけ出すことである。第1工程ではpchをチャンバ圧範囲の始点に設定している(ブロック2027)。この範囲は、考えられ得る一例として、0.5mTから200mTであってもよい。次の工程は、測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(ブロック2029)。次に、生成装置1120/制御装置950によりpchを圧力範囲の少数ずつインクリメントしていく(ブロック2031)。この時点でチャンバ圧範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2033)。もし到達していない場合(ブロック2033のNO分岐路)、処理ループはブロック2029の工程に戻る。範囲の終点に到達しているなら(ブロック2033のYES分岐路)、処理を次の工程、つまりブロック2035へと進める。ブロック2035において、ブロック2029の工程で得たサンプリングデータを用いて関数Vウェハ(pch)、ER(pch)、η(pch)及びIウェハ(pch)を構築し、次にこれらの関数をメモリ内に保存する。ブロック2037でpchをその初期値へと戻す。
【0068】
図30に図示の次の処理の目的は、図26の内側磁気コイル1210の電流が単一変数である1変数関数、つまり関数Vウェハ(I内側)、ER(I内側)、η(I内側)及びIウェハ(I内側)を見つけ出すことである。別の実施形態では、電流は、(或いは)MERIE磁石がリアクタ内に存在する場合はMERIE磁石に印加されたAC電流である可能性もある。まず最初に、I内側をその範囲の始点に設定する(ブロック2039)。次の工程は、測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(ブロック2041)。次に、生成装置1120/制御装置950によりI内側をその範囲の既定の少量ずつインクリメントする(ブロック2043)。この時点で磁気コイル電流範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2045)。もし到達していない場合(ブロック2045のNO分岐路)、処理ループはブロック2041の工程に戻る。範囲の終点に到達しているなら(ブロック2045のYES分岐路)、処理を次の工程、つまりブロック2047へと進める。ブロック2047の工程において、ブロック2041の工程で得たサンプリングデータを用いて関数Vウェハ(I内側)、ER(I内側)、η(I内側)及びIウェハ(I内側)を構築し、次にこれらの関数をメモリ内に保存する。この処理の最終工程で、I内側をその初期値へと戻す(ブロック2049)。
【0069】
図31に図示の次の処理の目的は、図26の外側磁気コイル1215に供給された電流が単一変数である1変数関数、つまり関数Vウェハ(I外側)、ER(I外側)、η(I外側)及びIウェハ(I外側)を見つけ出すことである。第1工程では、I外側をその範囲の始点に設定する(図31のブロック2051)。次の工程は、測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(ブロック2053)。次に、生成装置1120/制御装置950によりI外側をその範囲の既定の少量ずつインクリメントする(ブロック2055)。範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2057)。もし到達していない場合、処理ループはブロック2053の工程に戻る。範囲の終点に到達しているなら処理を次の工程へと進める。次の工程において(ブロック2059)、ブロック2053の工程で得たサンプリングデータを用いて関数Vウェハ(I外側)、ER(I外側)、η(I外側)及びIウェハ(I外側)を構築し、次にこれらの関数をメモリ内に保存する。この処理は、I外側をその初期値へと戻すことで終了する(ブロック2061)。
【0070】
図32に図示の次の処理の目的は、ガス流量FR(或いはガス組成)が単一変数である1変数関数、つまり関数Vウェハ(FR)、ER(FR)、η(FR)及びIウェハ(FR)を見つけ出すことである。ガス組成は例えばキャリアガス(例えば、アルゴン)とエッチャント種(フッ素又はフッ化炭素又はフッ化炭素水素種)との間の比であってもよい。ガス組成又はガス流量は、例えば、2つの(内側及び外側)ガス注入区域912、914のそれぞれについての2つの異なる変数として別個に定義してもよい。従って、ガス流に関した使用し得る変数又はチャンバパラメータとしては4つ考えられる。つまり、内側領域ガス流量、外側領域ガス流量、内側領域ガス組成、外側領域ガス組成である。図32の本例は上記のガス流に関連したチャンバパラメータのいずれかの特定の1つの使用に関連し、FRとする。
【0071】
図32の処理の第1工程では、FRをその範囲の始点に設定する(ブロック2063)。次の工程は、測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(ブロック2065)。次の工程ではFRをインクリメントする(ブロック2067)。次に、ガス流又はガス組成パラメータFRの範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2069)。もし到達していない場合(ブロック2069のNO分岐路)、処理ループをブロック2065の測定工程に戻す。範囲の終点に到達しているなら(ブロック2069のYES分岐路)次の工程(ブロック2071)を行う。ブロック2071の工程において、サンプリングデータを用いて関数Vウェハ(FR)、ER(FR)、η(FR)及びIウェハ(FR)を構築し、次にこれらの関数をメモリ内に保存する。こういった関数の構築には、例えばカーブフィット法を用いてもよい。この処理の最終工程は、FRをその初期値へと戻すことである(ブロック2073)。
【0072】
3D制御空間内での処理制御−所望のプラズマパラメータ値のチャンバパラメータ値への変換
図27−32の処理で異なるプラズマパラメータについて生成された1変数関数をそれに続く処理(図33−36に図示)で用いて、後にウェハ処理中のリアクタチャンバの制御に用いるための、一定プラズマパラメータ値の2次元表面を備えた3次元制御空間を構築してもよい。図33−36の例において、ソース電力、バイアス電力及びチャンバ圧の3つのチャンバパラメータ(つまり、PB、PS及びpch)を選択する。
【0073】
(等高線生成装置1120により実行される)図33の処理の目的はPB、PS及びpchの3D制御空間を活用して一定Vウェハの2D等高線(表面)を生成することである。等高線をこういった表面の集合に蓄積し、後にウェハ処理中のリアクタチャンバの制御に使用する。
【0074】
図33の処理の第1工程(ブロック2075)は1変数関数Vウェハ(PB)、Vウェハ(PS)及びVウェハ(pch)を相関させる/組み合わせることで単一の3変数関数Vウェハ(PB、PS、pch)とすることである。例えば、本明細書で前述したタイプのカーブフィット法を用いてこの工程を完了してもよい。次にi=1に設定することで指数「i」を1に初期化する(ブロック2077)。関数Vウェハ(PB、PS、pch)をVウェハの値範囲におけるi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する(ブロック2079)。この方程式を解くことで、Vウェハのi番目の値についての一定Vウェハの2D等高線(表面)を見つける。この等高線は等高線生成装置1120のメモリ1120a内に保存する。次に、i=i+1と設定することで指数iを1ずつインクリメントし(ブロック2081)、Vウェハの値の範囲の終点に到達していない場合(ブロック2183のNO分岐路)、処理ループはブロック2079へと戻る。範囲の終点に達している場合は(ブロック2183のYES分岐路)、現在の処理は終了となり、次の処理を開始する。
【0075】
(等高線生成装置1120により実行される)次の処理(図34)の目的はPB、PS及びpchの3D制御空間を活用して一定エッチング速度(ER)の2D等高線(表面)を生成することである。等高線をこういった表面の集合に蓄積し、後にウェハ処理中のリアクタチャンバの制御に使用する。
【0076】
図34の処理の第1工程(ブロック2085)は1変数関数ER(PB)、ER(PS)及びER(pch)を相関させる/組み合わせて単一の3変数関数ER(PB、PS、pch)とすることである。i=1に設定することで指数iを1に初期化する(ブロック2087)。次に、関数ER(PB、PS、pch)をERの値の範囲のi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式を解くことで、ERのi番目の値について一定ERの2D等高線(表面)が生成される。次に、この等高線をメモリ1120aに保存する(ブロック2089)。i=i+1と設定することで指数iを1ずつインクリメントする(ブロック2091)。次に、ER値の範囲の終点に到達した否かを判定する(ブロック2093)。到達していない場合(ブロック2093のNO分岐路)、処理ループはブロック2089の工程へと戻る。終点に達している場合は(ブロック2093のYES分岐路)、現在の処理は終了となり、次の処理を開始する。
【0077】
(等高線生成装置1120により実行される)次の処理(図35)の目的はPB、PS及びpchの3D制御空間を活用して一定ηの2D等高線(表面)を生成することである。等高線をこういった表面の集合に蓄積し、後にウェハ処理中のリアクタチャンバの制御に使用する。
【0078】
図35の処理の第1工程(ブロック2095)は1変数関数η(PB)、η(PS)及びη(pch)を相関させる又は組み合わせて単一の3変数関数η(PB、PS、pch)とすることである。この工程は例えばカーブフィット法を用いて行ってもよい。次に、i=1に設定することで指数iを1に初期化する(ブロック2097)。次に、関数η(PB、PS、pch)をプラズマパラメータηの値の範囲のi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をηのi番目の値での一定ηの2D等高線(表面)について解く。この等高線を等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する(ブロック2099)。i=i+1と設定することで指数iを1ずつインクリメントする(ブロック2101)。次に、ER値の範囲の終点に到達した否かを判定する(ブロック2103)。到達していない場合(ブロック2103のNO分岐路)、処理ループはブロック2099の工程へと戻る。終点に達している場合は(ブロック2103のYES分岐路)、現在の処理は終了となり、次の処理を実行する。
【0079】
(等高線生成装置1120により実行される)次の処理(図36)の目的はPB、PS及びpchの3D制御空間を活用して一定Iウェハの2D等高線(表面)を生成することである。等高線をこういった表面の集合に蓄積し、後にウェハ処理中のリアクタチャンバの制御に使用する。
【0080】
図36の処理の第1工程(ブロック2105)は1変数関数Iウェハ(PB)、Iウェハ(PS)及びIウェハ(pch)を相関させる又は組み合わせて単一の3変数関数Iウェハ(PB、PS、pch)を生成することである。次の工程では、i=1に設定することで指数iを1に初期化する(ブロック2107)。ブロック2109の工程で関数Iウェハ(PB、PS、pch)をIウェハのi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をIウェハのi番目の値での一定Iウェハの2D等高線(表面)について解く。次に、この等高線を等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する。i=i+1と設定することで指数iを1ずつインクリメントする(ブロック2111)。Iウェハの値の範囲の終点に到達した否かを判定する(ブロック2113)。到達していない場合(ブロック2113のNO分岐路)、処理ループはブロック2109の工程へと戻る。終点に達している場合は(ブロック2113のYES分岐路)、現在の処理は終了となり、次の処理を実行する。
【0081】
同一の処理を別のチャンバパラメータについて実行してもよい。こういったチャンバパラメータには、例えば、内側及び外側ガス注入区域のガス流量、及び内側及び外側ガス注入区域へ供給される異なるガス混合物のガス組成が含まれる。上記の手順により、選択したチャンバパラメータ及びプラズマパラメータについてのリアクタチャンバの特性評価が完了する。
【0082】
次の処理は先行の処理で得たチャンバ特性情報を活用して、選択したプラズマパラメータの所望の値から選択したチャンバパラメータの所要値へと変換することである。こういった処理の一例として、図37はVウェハ、ER及びηについてのユーザ選択値に応答して3DのPB−PS−pch制御空間において3つの選択したプラズマパラメータを制御するための処理を表してしている。この処理は、図26の処理設定点制御装置1110によって制御される。
【0083】
図37の処理は設定点制御装置によって制御され、設定点制御装置1110がVウェハ、ER及びηについてのユーザ選択値を受け取るところから始まる(図37のブロック2115)。次の工程でメモリからVウェハの固有ユーザ選択値に対応する一定ウェハ電圧の2D表面(等高線)をフェッチし、表面をSVとラベルする(図37のブロック2117)。次に制御装置1110はメモリからERのユーザ選択値に対応する一定エッチング速度の2D表面(等高線)をフェッチし、表面をSERとラベルする(ブロック2119)。次に制御装置1110はメモリからηのユーザ選択値に対応する一定プラズマイオン密度の2D表面(等高線)をフェッチし、表面をSηとラベルする(ブロック2121)。次に、制御装置1110は3DのPB−PS−pch空間における3つの表面SV、SER、Sηの交点(PB´、PS´、pch´)を特定する(ブロック2123)。フィードバック制御装置950を介して作動する設定点制御装置1110は、次にRFバイアス電力発生装置出力レベルを交点値PB´に設定し(ブロック2125)、RFソース電力発生装置出力レベルを交点値PS´に設定し(ブロック2127)、チャンバ圧を交点値pch´に設定する(ブロック2129)。これにより処理の1制御サイクルが終了する。
【0084】
図37の処理で活用したタイプの、3次元チャンバパラメータ空間における(3つの異なるプラズマパラメータの)一定プラズマパラメータ値の3つの表面の交点を図38に示す。これらの表面は3次元空間内にある2次元オブジェクトである。3つの表面は一点で交差し、その位置は3つのベクターによって指定される(PB´、PS´、pch´)。図38の3つの直交する軸は3つのチャンバパラメータ(PB、PS、pch)に対応する。図38の3つの表面は、プラズマパラメータVウェハ、ER及びηのそれぞれについての一定値の表面であり、値はユーザ選択値である。
【0085】
低制約下での3D制御空間−チャンバパラメータを変更する自由度の向上
図38の例において、プラズマパラメータの数とチャンバパラメータの数は同一である。チャンバパラメータへの制約を下げることで自由度を上げることが可能である。この特性は、選択したプラズマパラメータの数が選択したチャンバパラメータの数より少ない場合はいつでも生じる。図39はこういったケースを図解しており、3つのチャンバパラメータは2つのプラズマパラメータについてのみのユーザ選択値によって制約(コンストレイン)されている。例えば、PB、PS、pchの3次元制御空間において、制約プラズマパラメータはVウェハとηのみである。この場合、2つの表面だけが3D制御空間に交差しており、こういった交差は直線又は曲線に沿って生じる。このため、ユーザはVウェハとηについてのユーザ選択値を満たしつつ、チャンバパラメータをその線上のどの数値セット(PB´、PS´、pch´)へも変更することができる。
【0086】
3D制御空間における設定点制御とリアルタイムフィードバック制御の交互実行
先行のチャンバ制御処理はいつ行っても或いは常に行ってもよいが、プラズマパラメータのリアルタイム測定が出来ない、ウェハ処理開始時での使用が特に有用である。ウェハのプラズマ処理が進行し、プラズマパラメータの測定値が測定機器140を通して利用可能となった後、制御をフィードバック制御装置950に引き継がせてもよい。フィードバック制御装置950は(測定機器140からの)選択したプラズマパラメータの実際のリアルタイム測定値とこれらのパラメータのユーザ選択値との比較を行う。(エッチング速度又はイオン密度については)ソース電力を修正し、(ウェハ電圧については)バイアス電力を修正することで、図9及び10を参照して本願で前述したように、フィードバック制御装置950はこれらの値の差異を最小限に抑える。
【0087】
プラズマパラメータのユーザ選択値の1つに(又は1つ以上)に大きな変更がある場合、この変更は図37の制御処理へと立ち戻ることで迅速に行うことが可能であり、新しいチャンバパラメータ設定はプラズマパラメータの(新しい)ユーザ選択値に対応する等高線の3D制御空間における交点を見つけることで即座に突き止められる。このオプションにより、チャンバは処理レシピにおけるいかなる変更にもほぼ即座に対応することが可能となり、特筆すべき利点である。
【0088】
4D制御空間における処理制御。所望のプラズマパラメータ値のチャンバパラメータ値への変換
図40−45は4次元制御空間を利用した制御処理例を図示している。この例には、図27−32のチャンバ特性評価処理で生成された1変数関数から4変数関数を生成することを伴う。具体的には、図40−45はチャンバパラメータPB、PS、FR及びI内側の4次元制御空間の例を表している。この例の第1処理、図40のそれにおけるタスクは、一定Vウェハの(4D空間における)3D等高線の生成である。第1工程(図40のブロック2131)では4つの1変数関数Vウェハ(PB)、Vウェハ(PS)、Vウェハ(FR)及びVウェハ(I内側)を相関させる又は組み合わせて単一の4変数関数Vウェハ(PB、PS、FR、I内側)を生成する。カーブフィット法を用いてこの工程を行ってもよい。i=1に設定することで、指数iを1に初期化する(ブロック2132)。関数Vウェハ(PB、PS、FR、I内側)をVウェハの値の範囲のi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をVウェハのi番目の値に対応する一定Vウェハの3D等高線(表面)について解く。この等高線は等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する(ブロック2133)。次に、i=i+1と設定することで指数iをインクリメントする(ブロック2134)。Vウェハの値の範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2135)。到達していない場合、処理はブロック2133の工程へと戻る(ブロック2135のNO分岐路)。範囲の終点に達している場合、処理は終了となり、次の処理を開始する(ブロック2135のYES分岐路)。
【0089】
この例の次の処理、図41のそれにおけるタスクは、一定ERの(4D空間における)3D等高線の生成である。第1工程(ブロック2137)では4つの1変数関数ER(PB)、ER(PS)、ER(FR)及びER(I内側)を相関させる又は組み合わせて単一の4変数関数ER(PB、PS、FR、I内側)を生成する。カーブフィット法を用いてこの工程を行ってもよい。i=1に設定することで、指数iを1に初期化する(ブロック2139)。ブロック2141の工程において、関数ER(PB、PS、FR、I内側)をERの値の範囲のi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をERのi番目の値に対応する一定ERの3D等高線(表面)について解く。この等高線は等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する。指数iをインクリメントし(ブロック2143)、エッチング速度(ER)の値の範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2145)。到達していない場合(ブロック2145のNO分岐路)、処理はブロック2141の工程へと戻る。範囲の終点に達している場合(ブロック2145のYES分岐路)、処理は終了となり、次の処理を開始する。
【0090】
この例の次の処理、図42のそれにおけるタスクは、一定η(エッチング速度)の(4D空間における)3D等高線の生成である。第1工程(図42のブロック2147)では4つの1変数関数η(PB)、η(PS)、η(FR)及びη(I内側)を相関させる又は組み合わせて単一の4変数関数η(PB、PS、FR、I内側)を生成する。カーブフィット法を用いてこの工程を行ってもよい。i=1に設定することで、指数iを1に初期化する(ブロック2149)。ブロック2151の工程で、4変数関数η(PB、PS、FR、I内側)をイオン密度値ηの範囲のi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をηのi番目の値に対応する一定ηの3D等高線(表面)について解く。この等高線は等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する。i=i+1に設定することで指数iをインクリメントし(ブロック2153)、イオン密度(η)の値の範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2155)。到達していない場合(ブロック2155のNO分岐路)、処理はブロック2151の工程へと戻る。範囲の終点に達している場合(ブロック2155のYES分岐路)、処理は終了となり、次の処理を開始する。
【0091】
この例の次の処理、図43のそれにおけるタスクは、一定Iウェハの(4D空間における)3D等高線の生成である。第1工程(図43のブロック2157)では4つの1変数関数Iウェハ(PB)、Iウェハ(PS)、Iウェハ(FR)及びIウェハ(I内側)を相関させる又は組み合わせて単一の4変数関数Iウェハ(PB、PS、FR、I内側)を生成する。i=1に設定することで、指数iを1に初期化する(ブロック2159)。2161の工程において、4変数関数Iウェハ(PB、PS、FR、I内側)をIウェハのi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をIウェハのi番目の値に対応する一定Iウェハの3D等高線(表面)について解く。この等高線は等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する。i=i+1に設定することで指数iを1ずつインクリメントする(ブロック2163)。この時点で、Iウェハの値の範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2165)。到達していない場合(ブロック2165のNO分岐路)、処理はブロック2161の工程へと戻る。範囲の終点に達している場合(ブロック2165のYES分岐路)、処理は終了となる。これで、次の作業である4つのプラズマパラメータ(例えば、Vウェハ、ER、η及びVI)のユーザ選択値の4つのチャンバパラメータ(例えば、PB、PS、FR及びI内側)のターゲット値への変換に必要なチャンバ特性評価タスクが完了となる。次に、こういった変換を実行するための処理を図44を参照して説明する。
【0092】
図44は、選択したプラズマパラメータ(Vウェハ、ER、η及びIウェハ)についてのユーザ選択値に応答して4つの選択したプラズマパラメータ(例えば、Vウェハ、ER、η及びVウェハ)を4DのPB−PS−FR−I内側制御空間内で制御するための処理を図示している。この処理により、プラズマパラメータVウェハ、ER、η及びVウェハについてのユーザ選択値がチャンバパラメータPB、PS、FR及びI内側の所要値へと変換される。
【0093】
図44の処理の第1工程では、処理設定点制御装置1110がVウェハ、ER、η及びIウェハについてのユーザ選択値を受け取る(図44のブロック2167)。ブロック2169の工程で、処理設定点制御装置1110は等高線生成装置のメモリ1120aからVウェハの固有ユーザ選択値に対応する一定ウェハ電圧の3D表面(等高線)をフェッチする。この表面はSVとラベルしてもよい。制御装置1110はメモリ1120aからERのユーザ選択値に対応する一定エッチング速度の3D表面(等高線)もフェッチし、表面はSERとラベルしてもよい(ブロック2171)。制御装置1110はηのユーザ選択値に対応する一定プラズマイオン密度の3D表面(等高線)をフェッチし、表面をSηとラベルする(ブロック2173)。最後に、制御装置1110はIウェハの固有ユーザ選択値に対応する一定ウェハ電流の3D表面(等高線)をフェッチし、表面をSIとラベルする(ブロック2175)。
【0094】
次の工程で、設定点制御装置1110は4DのPB−PS−FR−I内側制御空間における4つの表面SV、SER、Sη及びSIの交点(PB´、PS´、FR´、I内側´)を特定する(ブロック2177)。この4次元工程は図38で図示した3つの交差表面での3次元ケースに類似している。次に、チャンバパラメータを交点に対応するPB´、PS´、FR´、I内側´のそれぞれの値に設定する。これは、フィードバック制御装置950を介して作動してチャンバパラメータを変更するところの設定点制御装置1110によって以下のようにして遂行される。つまり、RFバイアス電力発生装置出力レベルを交点値PB´に設定し(ブロック2179)、RFソース電力発生装置出力レベルを交点値PS´に設定し(ブロック2181)、ガス流量を交点値FR´に設定し(ブロック2183)、内側磁石供給電流を交点値I内側´に設定する(ブロック2185)。
【0095】
4D制御空間における設定点制御とリアルタイムフィードバック制御の交互実行
4D制御空間を活用する先行の工程により、選択したプラズマパラメータはそのユーザ選択値と一致する。これは、測定機器140からプラズマパラメータのリアルタイム直接測定値をとることで照合可能である。図9−11を参照して本明細書中で前述したように、こういったリアルタイム測定値は、チャンバパラメータ(例えば、PS及びPB)を変更することでプラズマパラメータVウェハ、ER、ηについてのリアルタイム測定値とユーザ選択又はターゲット値との差を最小限に抑えるフィードバック制御システムの基礎を成す。例えば、PSを変更することでER又はηのいずれかを対応するユーザ選択値に近づけ、PBを変更することでVウェハを対応するユーザ選択値に近づける。
【0096】
従って、オプションとして、図44の工程2167−2185のチャンバ制御処理を段階的に停止し、処理制御を、測定機器140によるプラズマパラメータのリアルタイム測定に基づく図9−11のフィードバック制御ループに引き継がせてもよい。このオプションは図44のブロック2187の工程に図示されている。ブロック2167−2185の変換ベース型のチャンバ制御工程は(リアルタイム測定値が利用できない)プラズマ処理開始時に用いてもよい。その後、リアルタイム測定値が利用可能となるほどにプラズマ処理が進行した後、ブロック2187の工程を実行して、チャンバ制御を図9−11のリアルタイムフィードバック制御ループへと移行する。1つ以上のプラズマパラメータのユーザ選択値に大きな変更があった際はいつでも、処理制御を一時的にブロック2167−2185の変換ベース型工程へと戻すことができる。このオプションにより、チャンバは処理レシピにおけるいかなる変更にもほぼ即座に対応することが可能となり、特筆すべき利点である。
【0097】
低制約下のケース。Vウェハ、ER及びηについてのユーザ選択値に応答した4次元PB−PS−FR−I内側制御空間における3つの選択プラズマパラメータ(例えば、Vウェハ、ER、η)の制御
図45は、次元的にユーザ制御プラズマパラメータの数を超えるチャンバパラメータ空間において操作することで自由度を上げる例を示している。これは図39で図示した制約が少ない制御ケースの4次元版であり、チャンバパラメータは交差する表面によって決定される曲線又は軌道に沿って変更可能である。
【0098】
図45の処理における第1工程では、設定点制御装置1110は選択されたプラズマパラメータ、例えばVウェハ、ER及びηについてのユーザ選択値を受け取る(ブロック2189)。次の工程で設定点制御装置1110は等高線生成装置のメモリ1120aからVウェハの固有ユーザ選択値に対応する一定ウェハ電圧の3D表面(等高線)をフェッチし、表面をSVとラベルする(ブロック2191)。設定点制御装置1110はERのユーザ選択値に対応する一定エッチング速度の3D表面(等高線)もフェッチし、表面をSERとラベルする(ブロック2193)。また、制御装置1110はηのユーザ選択値に対応する一定プラズマイオン密度の3D表面(等高線)をフェッチし、表面をSηとラベルする(ブロック2195)。次に、等高線生成装置は4DのPB−PS−FR−I内側空間における3つの表面SV、SER、Sηの交差直線又は曲線を特定する(ブロック2197)。この曲線は定められた4次元位置(PB´、PS´、FR´、I内側´)iに沿って在り、指数iは交差直線又は曲線に沿った、理論的には無限数の4次元地点の特定の1つを示している。
【0099】
次の工程で、PB、PS、FR、I内側のチャンバパラメータを同時に、4D空間における交差直線/曲線に沿った4次元位置のいずれか1つに設定する(ブロック2199)。その後、交差曲線に沿ってチャンバパラメータPB、PS、FR、I内側を変更すると、その同時値は交差直線又は曲線に沿った4次元地点(PB´、PS´、FR´、I内側´)iの1つと一致する(ブロック2201)。
【0100】
低制約4D制御空間法とリアルタイムフィードバック制御の交互実行
別のオプションとして、図45のブロック2187の工程における、図9−11のリアルタイムフィードバック制御ループへの制御の移行がある。具体的には、図45の工程2189−2201のチャンバ制御処理を段階的に停止し、処理制御を、測定機器140によるプラズマパラメータのリアルタイム測定に基づく図9−11のフィードバック制御ループに引き継がせてもよい。このオプションは図45のブロック2187の工程に図示されている。ブロック2167−2185の変換ベース型のチャンバ制御工程は(リアルタイム測定値が利用できない)プラズマ処理開始時に用いてもよい。その後、リアルタイム測定値が利用可能となるほどにプラズマ処理が進行した後、ブロック2187の工程を実行して、チャンバ制御を図9−11のリアルタイムフィードバック制御ループへと移行する。1つ以上のプラズマパラメータのユーザ選択値に大きな変更があった際はいつでも、処理制御を一時的にブロック2189−2201の変換ベース型工程へと戻すことができる。このオプションにより、チャンバは処理レシピにおけるいかなる変更にもほぼ即座に対応することが可能となり、特筆すべき利点である。
【0101】
M個のプラズマパラメータのN個のチャンバパラメータによる制御
本明細書中で上述した処理は2次元、3次元又は4次元制御空間に関連する。事実上、本発明ではどんな数のチャンバパラメータを用いてもプラズマパラメータの所望の値を数を問わず同時に実現することができる。ユーザ選択値を必要とするプラズマパラメータはイオンエネルギー又はウェハ電圧、イオン密度、イオン質量、エッチング速度、ウェハ電流、エッチング選択性その他を含むプラズマパラメータ群から選択することができる。制御されるチャンバパラメータは、ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧、内側コイル磁石電流、外側コイル磁石電流、内側ガス注入区域ガス組成、外側ガス注入区域ガス組成、内側ガス注入区域流量、外側ガス注入区域流量その他を含む群から選択してもよい。好ましくは、選択したプラズマパラメータの数は、選択したチャンバパラメータの数と同一である。しかしながら、これらの数は異なっていてもよい。例えば、選択したプラズマパラメータの数が選択したチャンバパラメータの数より少ない場合は、システムの制約は緩く、少なくとも1つ余分な自由度が在ることから、ユーザ選択プラズマパラメータ値を満たしつつチャンバパラメータを変更することが可能となる。選択したプラズマパラメータの数が選択したチャンバパラメータの数より多いなら、システムは過剰制約下にある。この場合、一定プラズマパラメータ値の等高線又は表面は幾つかの直線に沿って又は点で交差し、制御するためにはこれらの点間での選択を行うか、これらの点間で補間を行う必要がある。
【0102】
図46の処理はチャンバの特性評価を必要とし、N個のチャンバパラメータの最初の1つを選択し(ブロック2203)、測定機器140を用いてM個の選択したプラズマパラメータをサンプリングしながら選択したチャンバパラメータをランプするところから始まる(ブロック2205)。N個のチャンバパラメータの全てが選択されたか否かについての判定を行う(ブロック2207)。もしされていないなら(ブロック2207のNO分岐路)、N個のチャンバパラメータの次のパラメータを選択し(ブロック2209)、処理ループはブロック2209からブロック2205の工程へと戻る。全て選択されているならば(ブロック2207のYES分岐路)、処理を次の工程、つまりブロック2211の工程へと進める。ブロック2211の工程においては、ブロック2205での測定データを用いて、M個のプラズマパラメータのそれぞれのN変数関数を構築する。これらの関数のそれぞれはN個のチャンバパラメータ全てを独立変数をとして有する。次の工程(ブロック2213)において、M個のプラズマパラメータ各自の考えられる値について、等高線生成装置1120はN次元空間内に一定値のN−1次元等高線を構築し、N次元空間においてはN個のチャンバパラメータのそれぞれが1つの次元を表している。これで、次の工程又は処理でのM個のプラズマパラメータのN個のチャンバパラメータの同時値への変換を可能とする、チャンバの特性評価が終了する。
【0103】
図46の処理の次の段階ではM個のプラズマパラメータについてのM個のユーザ選択値のセットをN個のチャンバパラメータのN個の値の同時セットへと変換する。この段階はM個のプラズマパラメータについてのユーザ選択値を受け取るところから始まる(ブロック2215)。
【0104】
プラズマ及びチャンバパラメータの数が同一である場合(つまり、M=N)、次の工程はブロック2217の工程となる。ブロック2217の工程において、制御装置1110はM個のプラズマパラメータのそれぞれについての対応する一定値の等高線をフェッチし、N次元空間におけるその交点を決定する。次に、フィードバック制御装置950はN個のチャンバパラメータを交点でのそれぞれの値へと設定する(ブロック2219)。
【0105】
プラズマパラメータの数がチャンバパラメータの数より少ないならば(例えば、M=N−1)、システムは制約が少ない状態となることから少なくとも1つ余分の自由度がある。MがMより1つ少ないケースでは、以下の工程を行ってもよい。
【0106】
ブロック2221で、M個のプラズマパラメータのそれぞれについて対応する一定値の等高線をフェッチし、N次元空間内でのその交差直線又は曲線を決定する。
【0107】
ブロック2223で、N個のチャンバパラメータを変更することで、その各自値が交差直線/曲線上にくるようにする。
【0108】
上記の工程によりN個のチャンバパラメータの設定は完了し、M個のプラズマパラメータについてのユーザ選択値セットが得られる、或いは(逆に)M個のプラズマパラメータのユーザ選択値のN個のチャンバパラメータの所要同時値への変換が行われる。ブロック2187の任意の工程において、この処理を一時的に、測定機器140によるプラズマパラメータのリアルタイム測定に基づく図9−11のフィードバックループを参照して上述したリアルタイムフィードバック制御処理と置き換えてもよい。
【0109】
本発明をその好ましい実施形態を参照して詳細に説明してきたが、当然ながら本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなくその変更と改変は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】プラズマリアクタ及びその測定機器を示す図である。
【図2】測定機器が用いるプラズマリアクタの電気モデルを示す図である。
【図3】図1の測定機器の構造を示す図である。
【図4】図3の測定機器の入力位相プロセッサを示す図である。
【図5】図3の測定機器における伝送線変換プロセッサを示す図である。
【図6】図3の測定機器におけるグリッド/接地変換プロセッサを示す図である。
【図7】図3の測定機器におけるグリッド/ウェハ変換プロセッサを示す図である。
【図8】図3の測定機器における複合変換プロセッサを示す図である。
【図9】図3の測定機器を含むプラズマリアクタ用の処理フィードバック制御システムを示す図である。
【図10】処理フィードバック制御システムの別のインプリメンテーションを示す図である。
【図11】プラズマリアクタを備えたシステムに接続された、図3の測定機器、一定等高線生成装置及び処理設定点制御装置を示す図である。
【図12】〜
【図14】図11のシステムにより生成された一定性能パラメータ値の異なる等高線を示す図である。
【図15】一定パラメータ値の異なる等高線の交点で最適な動作点を見つけるための方法を示す図である。
【図16】図11のシステムにおける処理設定点制御装置を示す図である。
【図17】〜
【図19】図11のシステム内の等高線生成装置の処理設定点制御装置によって行われる各演算を示す図である。
【図20】チャンバ圧100mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図21】チャンバ圧30mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図22】チャンバ圧70mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図23】チャンバ圧150mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図24】チャンバ圧200mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図25】チャンバ圧250mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図26】本発明の更なる実施形態によるプラズマリアクタの簡略ブロック図である。
【図27】〜
【図32】ソース電力、バイアス電力及びチャンバ圧の変数について異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図である。図27は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数はプラズマソース電力のチャンバパラメータである。図28は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数はプラズマバイアス電力のチャンバパラメータである。図29は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数はチャンバ圧のチャンバパラメータである。図30は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数は内側磁気コイル電流のチャンバパラメータである。図31は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数は外側磁気コイル電流のチャンバパラメータである。図32は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数はガス流量又はガス組成のチャンバパラメータである。
【図33】〜
【図36】4つのプラズマパラメータの一定値の等高線(つまり、表面)がソース電力、バイアス電力及びチャンバ圧の次元から成る3次元制御空間において図27−32の1変数関数から生成される例を示す図である。図33は3次元制御空間内でウェハ電圧のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図34は3次元制御空間内でエッチング速度のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図35は3次元制御空間内でプラズマイオン密度のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図36は3次元制御空間内でウェハ電流のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。
【図37】図33−36の一定値等高線を用いて3つのプラズマパラメータを制御するための処理を示す図である。
【図38】図37の処理における、3次元制御空間内での一定値等高線の交点を示す図である。
【図39】図38の3次元制御空間に対応した3次元制御空間の図であるが、一定値等高線が2本しか指定されていないため曲線に沿って3次元空間に交差している、制約が低いケースであり、図39は交差曲線に沿ってチャンバパラメータを変化させる方法を示す図である。
【図40】〜
【図43】4つのプラズマパラメータの一定値の等高線(つまり、表面)が図27−32の1変数関数から、ソース電力、バイアス電力、ガス流量(又は組成)及び磁気コイル電流の次元から構成される4次元制御空間に生成される例を示す図である。図40は4次元制御空間内でウェハ電圧のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図41は4次元制御空間内でエッチング速度のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図42は4次元制御空間内でプラズマイオン密度のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図43は4次元制御空間内でウェハ電流のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための方法を示す図である。
【図44】図40−43の一定値等高線を用いて4つのプラズマパラメータを制御するための処理を示す図である。
【図45】図44の処理の低制約版を示す図であり、3つのプラズマパラメータのみを4次元制御空間内で制御しており、これは3つのプラズマパラメータをその対応する3つの等高線がそれに沿って4次元空間内で交差するところの軌道又は曲線に沿って変更することで行われる。
【図46】リアクタチャンバの特性評価を行い、N個のチャンバパラメータを用いてM個のプラズマパラメータを制御するための処理を示す図である。
【発明の背景】
【0001】
超小型電子回路の製造で使用するプラズマリアクタは、半導体基板上で薄膜層をエッチング又は堆積することが可能である。プラズマ反応性イオンエッチング処理において、エッチング速度、イオン密度、ウェハ電圧及びウェハ電流はエッチング選択性、ウェハ加熱、エッチング時のストライエーション、イオンの衝突による損傷、エッチング停止、特徴部のサイズ及びその他の効果の制御において極めて重要である。こういった制御は、特徴部のサイズが縮小しデバイス密度が上昇するにつれ、より重要となってくる。エッチング速度、イオン密度、ウェハ電圧及びウェハ電流を測定するための現行の技法には、かなり不正確になりやすい(ウェハ電圧の場合)又は正確に測定するためには処理終了時毎にテストワークピース又はウェハを検査しなくてはならない(エッチング速度の場合)という大きな問題がある。これらのパラメータを「リアルタイム」(つまり、ウェハ処理中)に測定できる正確な技法はないように思われる。このため、プラズマリアクタ制御パラメータ(ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧、ガス流量等)を、チャンバ内で別のワークピースを処理することで得た事前結果に基づいて、現在のワークピースを処理する前に選択しなくてはならない。所望のエッチング速度又は所望のウェハ電圧又は所望のイオン密度を達成するためのリアクタ制御パラメータのそれぞれについてのターゲット値を一旦選択したら処理工程を通してそのターゲット値を維持しなくてはならず、選択したターゲット値を維持し続けることに専念する。例えば、制御パラメータの内の1つの選択したターゲット値が予期せずして所望の処理パラメータ(例えば、エッチング速度)から逸脱してしまうと、現在のワークピースの処理を終了して精査するまでこのエラーは発見されないことから、現在のワークピース又はウェハはこのエラーを回避することができない。この結果、業界としては材料と時間における相当なロスに悩まされるのが常であった。
【0002】
関連する問題としては、ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧等のリアクタ制御パラメータの最適ターゲット値は、通常、長期間に亘る試行錯誤方式でしか見つけることができないため、プラズマ処理の進化と設計が緩慢で非効率的となることが挙げられる。多数のリアクタ制御パラメータ(例えば、ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧等)についてターゲット値を選択し、(ウェハ加熱を制御するための)特定のウェハ電流、(イオン衝突による損傷を制御するための)特定のウェハ電圧、(例えばエッチング選択性を制御するための)特定のイオン密度での特定のエッチング速度を達成するというのは、多次元的な課題となる。所望の処理パラメータ(例えば、エッチング速度、ウェハ電圧、ウェハ電流、イオン密度)のターゲット値を達成するにあたっての、様々なリアクタ制御パラメータ(ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧等)間での相互依存又関係はその欠落は一般的に知られていないため、リアクタ制御パラメータ(バイアス及びソース電力レベル、及びチャンバ圧)の最適ターゲット値を見つけ出すための試行錯誤過程は必然的に複雑かつ時間のかかるものとなる。従って、時間のかかる試行錯誤過程なくして処理パラメータ(例えば、エッチング速度等)のターゲット値を最適化又は変更することは不可能である。このため、リアルタイムでのプラズマ処理制御又は管理は可能とは見なされていなかった。
【概要】
【0003】
本発明は、複数のプラズマパラメータの所望の値に従って複数のチャンバパラメータを制御することによる、プラズマリアクタチャンバ内でのウェハ処理法に関する。本方法はM個のプラズマパラメータについてのM個の所望の数値のセットをN個の各チャンバパラメータについてのN個の数値のセットへと同時変換することを含む。M個のプラズマパラメータはウェハ電圧、イオン密度、エッチング速度、ウェハ電流、エッチング選択性、イオンエネルギー及びイオン質量を含む群から選択される。N個のチャンバパラメータはソース電力、バイアス電力、チャンバ圧、内側磁気コイル電流、外側磁気コイル電流、内側領域ガス流量、外側領域ガス流量、内側領域ガス組成、外側領域ガス組成を含む群から選択される。本方法は更にN個のチャンバパラメータをN個の値のセットに設定することを含む。
【詳細な説明】
【0004】
導入
本願は、ウェハ支持台座部を通してウェハにプラズマバイアス電力を印加する、プラズマソース電力印加装置(天井電極又はアンテナ等)を有するプラズマリアクタに関する。ウェハ電圧、ウェハ電流、イオン密度及びエッチング速度を即時かつ正確に測定する初めてのものとなる(以下に説明する)測定機器を発見した。この測定機器は、ウェハ支持台座部に連結されたインピーダンス整合装置の出力側で電圧、電流及び電力を検出する、バイアス電力入力側の慣用の電気センサのみを使用する。従って、測定機器は正確であることに加え、リアクタチャンバ内で起こるプラズマエッチング処理を侵襲することがない。精度は驚くべきものであり、現行のものでは最高であると知られる機器及び測定技法さえ凌ぐ。
【0005】
同測定機器を用いたフィードバック制御装置を有し、プラズマソース電力及びプラズマバイアス電力が別々のフィードバック制御ループで制御されるプラズマリアクタを発明した。バイアス電力フィードバック制御ループにおいては、プラズマバイアス電力をサーボ又は制御することで、イオンエネルギー(又は、同等にはウェハ電圧)のユーザ選択ターゲット値と本測定機器によってリアルタイムで検出される実際のイオンエネルギーとの差を最小限にとどめる。同時に、ソース電力フィードバック制御ループにおいては、プラズマソース電力をサーボ又は制御することにより、プラズマイオン密度のユーザ選択ターゲット値、本測定機器によってリアルタイムで検出される実際のプラズマイオン密度及びイオン密度のユーザ選択ターゲット値との間の際を最小限にとどめる。本フィードバック制御装置の驚くべき特徴の1つが、バイアス電力入力側での測定値を用いてソース電力を制御することである。
【0006】
加えて、イオン密度及びイオンエネルギーについてのターゲット値をいかにして選択するかの問題を解決した。本測定機器によりウェハ電圧(又は、同等にはイオンエネルギー)、ウェハ電流、イオン密度及びエッチング速度等の性能パラメータを即時に正確かつ同時に測定できることから、初めて、プラズマソース電力、プラズマバイアス電力及びその他(例えば、チャンバ圧、ソース電力周波数、印加磁場等)等の制御パラメータの関数として、これらの性能パラメータ全てのリアルタイム挙動を同時に正確に観察することが可能となった。これらの観察は、プラズマソース電力レベル及びプラズマバイアス電力レベルといった制御パラメータが性能パラメータ(例えば、エッチング速度、イオンエネルギー、イオン密度)セットに一対の独立変数という形で影響を与えるという発見につながった。この発見はプラズマ処理を制御するタスクを大いに単純化するものであり、様々なその他の制御パラメータを、処理中、一定に保持することで(つまり、一定チャンバ圧、一定ガス流量、一定ソース電力周波数及びバイアス電力周波数等)、バイアス及びソース電力レベルを通して処理全体を制御することができる。この技法を用いて性能パラメータ全て(エッチング速度、イオンエネルギーその他を含む)を2つの独立変数、つまりソース電力レベル及びバイアス電力レベルの一意関数としてパラメータ化した。この関数から、例えば一定エッチング速度、一定イオンエネルギー及び一定イオン密度の2次元ソース電力/バイアス電力空間における曲線を生成した。処理制御装置は、一定エッチング速度、一定イオン密度、一定イオンエネルギーの曲線を用いて多様な性能パラメータ(エッチング速度、イオンエネルギー、イオン密度)についてのユーザ選択範囲に応答し、ソース電力レベル及びバイアス電力レベルのターゲット値を即座に見つけ出す。この処理制御装置によりプラズマソース電力レベルとプラズマバイアス電力レベルについてのターゲット値が上記のフィードバック制御装置へと供給される。
【0007】
この結果、所望の性能パラメータ値セット(例えば、エッチング速度)を実現するために必要な制御パラメータ(例えば、バイアス及びソース電力レベル)についての知識もこの点についてのリアクタ挙動についての対応する知識もユーザは必要としなくなる。その代わり、ユーザは所望の性能パラメータ値セット又は範囲を制御プロセッサに入力さえすればよく、制御プロセッサがターゲット制御パラメータ値(ターゲットソース電力及びバイアス電力値)を即座に上記記載のフィードバック制御装置に指定する。その後、プラズマ処理の制御は完全に自動となり、ユーザが変更を加えても即時に対応可能となる。例えば、ユーザは同一エッチング工程中に時間毎に異なるエッチング速度を指定してもよく、その場合、エッチング処理の初期ではあるエッチング速度が主流となり、処理の終盤に向かっては別のエッチング速度が主流となる。ユーザはどの制御パラメータも指定する必要がなく、ただ所望の結果(つまり、エッチング速度等の性能パラメータ)を指定すればよい。
【0008】
エッチング速度、イオン密度及びイオンエネルギーを含む性能パラメータを即時に測定するための機器
図1を参照するが、プラズマリアクタ100は真空チャンバ100を包囲しているチャンバ筐体105を有し、チャンバ内ではウェハ支持台座部115が処理対象である半導体ウェハ120を支持している。RFバイアス電力発生装置125からのプラズマRFバイアス電力をインピーダンス整合回路130を介してウェハ支持台座部115に印加する。インピーダンス整合回路130内の慣用の検出回路132はインピーダンス整合回路130のウェハ支持台座部115への出力側に取付けられた3つの出力端子132a、132b、132cを有し、それぞれ電力(Pバイアス)、電圧(V)及び電流(I)を示す信号を供給する。本明細書において上で言及した測定機器である測定機器140は出力端子132a、132b、132cからの信号を用いてウェハ120上でのエッチング速度、ウェハ表面でのイオンエネルギー(又は同等にはウェハ電圧)、リアクタチャンバ内におけるイオン密度及びウェハ120を通る電流を同時に測定する。測定機器140はリアクタ100の電気モデルに基づいて処理を行う。このモデルは図2に図示されている。
【0009】
図2は図1のプラズマリアクタをより詳細に図示したものであり、電極115−1、その上の薄い誘電体(例えば、セラミック)層115−2、電極下の誘電体(例えば、セラミック)層115−3、及び台座部115の底部の導電性(例えば、アルミニウム)平面接地板115−4を含むウェハ支持台座部115の個々の要素が見てとれる。電極115−1は図示の実施形態においては導電性グリッドの形態をとっており、例えば導電性中実板又は導電性メッシュ等の様々な形態で実施してもよい。以下、電極115−1を導電性グリッドとして言及するが、本明細書内で使用している「グリッド」という用語は電極115−1が取り得る形態全てを指すものであり、例えば導電性中実板又は導電性メッシュ、又は導電性スクリーン、又は上記記載の形態のいずれか或いは全ての態様を組み合わせた形態が挙げられる。図2にはインピーダンス整合回路130の出力側をグリッド115−1に接続している同軸ケーブル210も描かれている。同軸ケーブル210は内側導体部212と外側導体部214を有する。図2に図示のパラメータを備えた電気モデルによりプラズマリアクタ100の電気的特性が特徴付けられ、電気的特性は慣用の技法を用いて容易に求められる。具体的には、同軸伝送線つまりケーブル210は3つの数量により特徴付けられる。つまり、(1)その長さ、(2)その特性インピーダンスZch、及び(3)伝送線方程式におけるその複素位相速度Vchである。ウェハ支持台座部115は上下の誘電体層115−2及び115−3の電気的特性により特徴付けられる。具体的には、その下の誘電体層115−3は容量CDを有し、これは(1)誘電体層115−3の誘電率εD、及び(2)誘電体層115−3の導体損失成分tanD、(3)誘電体層115−3の厚みつまりギャップ及び(4)ウェハ120の半径の関数である。その上の誘電体層115−2は容量Cpを有し、これは(1)誘電体層115−2の厚み、つまりギャップp、(2)誘電体層115−2の誘電率εp、及び(3)誘電体層115−2の導体損失成分tanpの関数である。プラズマ220は、実数部(コンダクタンスg)と虚数部(サセプタンスb)から成るアドミタンスYプラズマ(内側チャンバ壁部又は天井部等のRF接地への)によって特徴付けられる。これらの電気的パラメータはそれぞれ測定機器140の動作において役割を有している。
【0010】
図3は図1の測定機器140の構造を図示している。入力位相プロセッサ310は図1のインピーダンス整合検出回路132からPバイアス、V及びI信号を受け取ると、複素インピーダンスZ、複素入力電流Iin及び複素入力電圧Vinを示す各信号を同軸ケーブル210の近端で生成する(つまり、インピーダンス整合回路130に最も近い端部)。伝送線変換プロセッサ320は同軸ケーブル210の電気モデル330からの特性インピーダンスZch及び複素損失係数Vch(伝送線方程式における)を用いてケーブル近端のZ、Iin及びVinからケーブル遠端での、つまり同軸ケーブル210とグリッド115−1との接合部でのアドミタンスY接合部へと変換する。グリッド/接地変換プロセッサ340は、グリッド/接地容量のモデル345から半径、ギャップ、εD及びtanDを受け取り、絶縁抵抗RD及び絶縁容量CDを生成する。グリッド/ウェハ変換プロセッサ350は半径、ギャップP、εP及びtanPをグリッド/ウェハ容量のモデル355から受け取り、プラズマ抵抗RP及びプラズマ容量CPを生成する。複合変換プロセッサ360はその他のプロセッサ320、340、350全ての出力を受け取るとウェハからRF接地へのプラズマを通したアドミタンスYプラズマを算出し、またウェハ電圧Vウェハ(又はイオンエネルギー)を算出する。プラズマアドミタンス及びウェハ電圧から、以下の数量、つまりウェハ電流Iウェハ、エッチング速度及びイオン密度を算出する。
【0011】
要約すると、電気測定はインピーダンス整合回路130の出力側で行う。伝送線変換プロセッサ320はケーブル210の近端でのこれらの測定値を遠端でアドミタンスへと変換する。グリッド/接地変換プロセッサ340はケーブルの遠端近くの接地平面115−4から導電性グリッド115−1へと変換を行う。グリッド/ウェハ変換プロセッサ350は、導電性グリッド115−2からウェハ120へと変換を行う。上記の変換全てを用いることで、複合変換プロセッサ360はプラズマアドミタンスの形式でもってプラズマ全体の変換を行う。プラズマアドミタンスから、エッチング速度やプラズマイオン密度等の様々な性能パラメータが算出される。
【0012】
伝送線モデル330、グリッド/接地容量のモデル345及びグリッド/ウェハ容量のモデル355は必ずしも測定機器140の一部ではなく、或いは同軸ケーブルパラメータ(Vch及びZch)、グリッド/接地容量パラメータ(ギャップ、εD、tanD、半径)及びグリッド/ウェハ容量パラメータ(ギャップP、εP、tanP及び半径)をそれぞれ保存する、測定機器140内のメモリであってもよい。
【0013】
図4は図3の入力位相プロセッサ310の構造を図示している。供給電力算術論理演算ユニット(ALU)410は供給電力Pをインピーダンス整合検出回路132からの出力I及びPバイアスからPバイアス−(0.15)I2として算出する。位相角ALU420は位相角θを供給電力P及びV及びIからcos−1(P/VHI)として算出する。インピーダンスALU430は複素インピーダンスZを(V/I)eiθとして算出し、ここでi=(−1)1/2である。入力電流ALU440は同軸ケーブル210への入力電流Iinを[P/Re(Z)]1/2として算出する。入力電圧ALU450は同軸ケーブル210への入力電圧VinをZHIinとして算出する。
【0014】
図5は図3の伝送線変換プロセッサ320の構造を図示する。伝送線プロセッサはIin及びVinを図4の入力位相プロセッサ310からの入力として受取り、(図3の伝送線モデル又はメモリ330からの)伝送線モデルパラメータVch及びZchを用いて以下のようにしてアドミタンスY接合部を算出する。つまり接合部電流ALU510は電流I接合部を同軸ケーブル210とグリッド115−1(図1)との接合部で、
(Iin)cosh[(Vch)(−長さ)]+(Vin/Zch)sinh(Vch)(−長さ)]、
として算出する。
接合部電圧ALU520は電圧V接合部を同軸ケーブル210とグリッド115−1との接合部で、
(Vin)cosh[(Vch)(−長さ)]+(IinZch)sinh[(Vch)(−長さ)]、
として算出する。
【0015】
除算器530はI接合部とV接合部を受け取り、Y接合部をI接合部/V接合部として算出する。上記の計算における各電気的数量(電流、電圧、インピーダンス、アドミタンス等)は実数部と虚数部の双方を有する複素数であることに留意しなくてはならない。
【0016】
図6は図3のグリッド/接地変換プロセッサ340の構造を図示している。グリッド/接地変換プロセッサ340はギャップ、εD、tanD、半径(ウェハ半径)であるパラメータを図3のグリッド/接地モデル又はメモリ345から受け取り、絶縁抵抗RDと絶縁容量CDを算出する。絶縁容量CDはCD ALU610により以下
(ε0)(εD)π(半径)2/ギャップ
のように算出され、ここでε0は自由空間の電気誘電率である。RD ALU620はCD ALU610からの値CDを用いて以下
(tanD)/(ωCDギャップ2)
のように絶縁抵抗RDを算出し、ここでωは図2のバイアスRF発生装置125の角周波数である。
【0017】
図7は図3のグリッド/ウェハ変換プロセッサ350の構造を図示している。グリッド/ウェハ変換プロセッサ350は図3のグリッド/ウェハモデル又はメモリ355からギャップP、εP、tanP、半径であるパラメータを受け取り、プラズマ抵抗RP及びプラズマ容量CPを算出する。プラズマ容量CPは以下、
(ε0)(εP)π(半径)2/ギャップp、
のようにCP ALU710によって算出され、ここでε0は自由空間の電気誘電率である。RP ALU720はCP ALU710からの値CPを用いて以下、
(tanP)/(ωCPギャップD2)、
のようにプラズマ抵抗RPを算出し、ここでωは図2のバイアスRF発生装置の角周波数である。
【0018】
図8は図3の複合変換プロセッサ360の構造を図示している。複合変換プロセッサ360は図3のプロセッサ340からパラメータRD、CDを受け取り、図3のプロセッサ350からパラメータRP、CPを受け取り、図3のプロセッサ320からパラメータY接合部を受け取る。グリッドインピーダンスALU810は以下、
[Y接合部−1/(RD+(1/(1ωCD)))]−1、
のようにZグリッド(図2のグリッド115−1でのインピーダンス)を算出する。
ウェハインピーダンスALU820はグリッドインピーダンスALU810の出力を用いて以下、
Zグリッド−1/(RP+(1/(iωCP)))、
のようにZウェハ(図2のウェハ120でのインピーダンス)を算出する。
【0019】
ウェハ電圧ALU830はALU810及び820双方からの出力及び図5の除算器530からのV接合部を用いて図2のウェハ120上の電圧VウェハをV接合部Zウェハ/Zグリッドとして算出する。ウェハ電流ALU840はALU820と830からの出力を用いてウェハ電流IウェハをVウェハ/Zウェハとして算出する。アドミタンスALU850はALU820の出力を用いてプラズマのアドミタンスYプラズマを1/Zウェハとして算出する。サセプタンスALU860はALU850の出力を用いてプラズマサセプタンスbをIm(Yプラズマ)として算出する。エッチング速度ALU870はALU830からのウェハ電圧とALU860からのサセプタンスを用いてエッチング速度をb2Vウェハ2として算出する。イオン密度ALU880は同じ出力を用いてイオン密度をkb2Vウェハ3/2として算出し、ここでkは、
(23/2/32)(1/[qε0A2π2f2Te2])、
によって得られる定数であり、qは電荷であり、Aは図2のウェハ120の面積であり、fは図2のバイアス電力発生装置125の周波数であり、Teはボルト表記での電子温度である。イオン密度と測定した数量b及びVウェハとのこの関係はプラズマサセプタンスについての近似公式及びプラズマシース厚さについての公式から得られる。プラズマサセプタンスはεAω/λとして近似値を求めることができ、ここでεはプラズマ内での電気誘電率であり、Aは電極面積、ωはバイアス電力信号の角周波数であり、λはプラズマシース厚さである。プラズマシース厚さは[Te/(qη)]1/2[2Vウェハ/Te]3/4として近似値を求めることができ、ここでTeは電子温度であり、qは電荷であり、ηはイオン密度である。シース厚さについての式をサセプタンスについての式に代入し、イオン密度について解くことで、サセプタンスとウェハ電圧の関数としてのイオン密度の式が得られる。
【0020】
処理フィードバック制御システム
図9は図3の測定機器140を用いる処理フィードバック制御システムを図示している。プラズマリアクタ900は図1のプラズマリアクタ100の全構成を含み、これに加えインピーダンス整合回路915を介してRFソース電力発生装置920へと接続された天井RFソース電力印加装置910を含む。RFソース電力印加装置910は、例えば、接地チャンバ筐体105から絶縁された天井電極である。RFプラズマソース電力発生装置920の電力レベルは、概してプラズマイオン密度を制御し、RFプラズマバイアス電力発生装置125の電力レベルは概してウェハ表面でのイオンエネルギーを制御する。測定機器140は電力、電圧及び電流出力をインピーダンス整合回路130の検出回路132から受け取る。これらの数量から、測定機器140はプラズマサセプタンスbを算出し、また測定信号として出力されるウェハ電圧Vウェハを算出する。これらの計算は図5を参照して上記で説明したやり方で行われる。次に、測定機器140はb及びVウェハからイオン密度及び/又はエッチング速度を、図5を参照して上記で説明したやり方で算出する。測定機器140によりこのようにして生成された3つの測定信号のうちの少なくとも2つをフィードバック制御ループで使用することが可能である。
【0021】
フィードバック制御装置950は測定機器140からの測定信号を用いてフィードバック信号を作成し、RFプラズマバイアス電力発生装置125とRFプラズマソース電力発生装置920の電力レベルを制御する。ウェハ電圧Vウェハと同等であるウェハ表面でのイオンエネルギーはバイアス電力発生装置125の電力レベルによって直接的に制御される。従って、フィードバック制御装置950は測定機器140からのウェハ電圧測定信号(つまり、図8のALU830からのVウェハ)を用いてバイアス電力フィードバック制御ループ957内でバイアス電力発生装置125を制御する。その一方で、ソース電力発生装置920はプラズマイオン密度を直接的に制御する。従って、フィードバック制御装置950は測定機器140からのプラズマイオン密度測定信号(つまり、図8のALU880からのkb2Vウェハ3/2)を用いてソース電流フィードバック制御ループ958内でソース電力発生装置920を制御する。
【0022】
バイアス電力フィードバック制御ループ957はウェハ電圧又はイオンエネルギーの選択した又は所望のターゲット値である[Vウェハ]ターゲットを保存するメモリ960を含む。減算器962は検出されたウェハ電圧Vウェハからこのターゲット値を減算してエラー信号を生成する。バイアス電力フィードバックループ957のゲインはメモリ964内に保存されたバイアス電力フィードバックゲイン係数によって決定される。乗算器966は減算器962からのエラー信号にメモリ964内のゲイン係数を乗じ、バイアス電力発生装置125の電力レベルを制御するために使用する補正信号を生成する。バイアス電力フィードバック制御ループ957の経路は、ウェハ電圧を表す測定信号Vウェハを生成するために測定機器140に適用される信号V、I及びPバイアスによって完了する。
【0023】
ソース電力フィードバック制御ループは検出されたイオン密度値b2Vウェハ3/2を測定機器140から受け取る。メモリ975はイオン密度の選択された又は所望のターゲット値である[b2Vウェハ3/2]ターゲットを保存する。減算器980は測定されたイオン密度とイオン密度ターゲット値との差異を算出し、エラー信号を生成する。ソース電力フィードバック制御ループ958のゲインはメモリ985内に保存されたソース電力フィードバックゲイン係数によって決定される。乗算器990はメモリ985からのゲイン係数を減算器980からのエラー信号に乗じ、補正信号を生成する。この補正信号を用いてRFソース電力発生装置920の電力レベルを制御する。ソース電力フィードバック制御ループ958の経路は、イオン密度を表す測定信号b2Vウェハ3/2を生成するために測定機器140に適用される信号V、I及びPバイアスによって完了する。
【0024】
エッチング処理工程等のプラズマ処理工程の開始時に、RFソース電力発生装置920及びRFバイアス電力発生装置125の電力レベルPS及びPBそれぞれについての初期値を指定することが可能である。これらの初期値が最適値に十分に近いならば、フィードバック制御装置950による過度の初期補正が回避可能となる。これを目的として、バイアス電力フィードバックループ957は、乗算器957からのフィードバック補正信号を受け取り、かつバイアス電力についてのターゲット値である[Pバイアス]ターゲットを受け取るために連結されたバイアス電力コマンドプロセッサ992を含む。プラズマ処理開始前にフィードバック信号はないため、バイアス電力コマンドプロセッサ992はバイアス電力発生装置125の電力レベルを初期ターゲット値[Pバイアス]ターゲットに設定する。一旦処理が開始されるとフィードバック信号が生じるため、バイアス電力コマンドプロセッサ992はバイアス電力ターゲット値よりもむしろ乗算器966からのフィードバック補正信号に従ってバイアス電力を制御する。
【0025】
同様に、ソース電力フィードバックループ958は乗算器990からのフィードバック補正信号をうけとり、かつソース電力についてのターゲット値である[Pソース]ターゲットを受け取るために連結されたソース電力コマンドプロセッサ994を含む。プラズマ処理開始前にフィードバック信号はないため、ソース電力コマンドプロセッサ994はソース電力発生装置920の電力レベルを初期ターゲット値[Pソース]ターゲットに設定する。一旦処理が開始されるとフィードバック信号が生じるため、ソース電力コマンドプロセッサ994はソース電力ターゲット値よりもむしろ乗算器990からのフィードバック補正信号に従ってソース電力を制御する。
【0026】
別の態様において、処理工程の大部分又は全てを通し、その各自フィードバック制御ループ957、958を無視して、その代わりにユーザがソース及びバイアス電力コマンドプロセッサ992、994を指示することでソース及びバイアス電力レベルを指定ターゲット値である[Pソース]ターゲット及び[Pバイアス]ターゲットに維持することが可能である。処理中、ユーザはこれらの値を必要に応じて変更可能である。
【0027】
図10を参照するが、フィードバック制御プロセッサ950はイオン密度ではなくエッチング速度をソース電力フィードバック制御ループ958における測定パラメータとして使用してもよい。測定機器140内において、エッチング速度測定信号はb2Vウェハ2を算出する図8のALU870から取られる。図10において、メモリ975´(図9のメモリ975の代替)はエッチング速度のターゲット値である[b2Vウェハ2]ターゲットを保存する。減算器980は図9を参照して説明したように演算を行い、エラー信号を生成する。図10のソース電力フィードバック制御ループの残りの部分は概して図9と同一である。
【0028】
処理設定点制御装置
フィードバック制御装置950は多様な処理制御パラメータについて多数のターゲット値を必要とする。具体的には、図9のフィードバック制御装置950はイオン密度についてのターゲット値である[b2Vウェハ3/2]ターゲットを保存するためのメモリ975と、イオンエネルギー(または同等にウェハ電圧)についてのターゲット値である[Pウェハ]ターゲットを保存するメモリ960を有する。図10のフィードバック制御装置において、メモリ975はエッチング速度のターゲット値である[b2Vウェハ2]ターゲットを保存するメモリ975´によって置き換えられている。これに加え、フィードバック制御装置950はソース及びバイアス電力レベルについての各自初期ターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットを用いることで、上述したように、フィードバック制御装置950を初期化することが可能である。これらのターゲット値の選択又は最適化はユーザにまかせることが可能であるが、過度の試行錯誤を伴ったり信頼性が低い可能性がある。通常、特定の処理結果(例えば、特定のエッチング速度、特定のイオンエネルギー、ストライエーション等のエッチング処理時のアーチファクトの低減、ウェハ電流による加熱の軽減等)を達成したいとするユーザは試行錯誤を繰り返す時間のかかるプログラムを行うことで最適処理制御パラメータを見つけ出し、所望の結果を達成しなくてはならない。このため、既存の処理の変更又は新しい処理の設計には非常に長い開発期間が必要となる。
【0029】
この制約を克服するために、図11のリアクタ内で用いた処理設定点制御装置1110は、多様な性能パラメータについてのユーザ選択値に基づいて自動的にかつ迅速に(つまり即座に)処理制御パラメータの最適ターゲット値を見つけ出す。例えば、処理設定点制御装置1110はユーザが指定した所望のエッチング速度及び/又は所望のウェハ電圧又はその他の性能パラメータに基づいてターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットを求めてもよい。従って、新しい処理レシピがほぼ即座に設計可能である。本発明のプラズマリアクタにおいて、これはミリ秒で行うことが可能であるが、必要ならマイクロ秒もの速さとすることも可能である。
【0030】
多くの処理制御パラメータ(つまり、ユーザの直接制御下にあるリアクタの特性、例えばチャンバ圧、ソース及びバイアス電力レベル等)、及び多くの処理性能パラメータ(つまり、直接制御下にないプラズマ及び処理の特性、例えばエッチング速度、イオン密度、イオンエネルギー、ウェハ電流等)がある。ユーザはこれらの性能パラメータのいずれか1つ又はそれ以上を所定の処理の目標として指定することが可能である。制御パラメータのいずれか1つ又は一群又は全てを用いて、ユーザが選択した性能パラメータの所望のレベルを達成することが可能である。ここで問われるのが、一部の制御パラメータの影響が、ユーザが選択した性能パラメータの制御においてその他の制御パラメータに関係してくるか否かということであり、選択した性能パラメータにおいて所望の結果を得るために正しい制御パラメータセットを選択するのは複雑という問題があり、特に最適である組合せなどないように思われる。
【0031】
しかしながら、本願発明者はソース電力及びバイアス電力が対象とする性能パラメータを制御しており、また、その制御が独立した形であることを発見した。つまり、ソース電力Pソース及びバイアス電力Pバイアスは独立変数であり2次元制御空間を形成する直交するエンティティとして捉えることができ、性能パラメータの制御には融通が利き、その他の制御パラメータの変更が不要である。この発見によりたった2つの変数へと問題が大幅に軽減される。
【0032】
従って、以下の説明は、処理中、Pソース及びPバイアス以外の制御パラメータを一定に維持する制御システムに関する。このため、チャンバ圧、ガス組成、ガス流量、ソース電力周波数、バイアス電力周波数等を含む処理制御パラメータは一定に保持される。ソース電力及びバイアス電力レベル(Pソース及びPバイアス)を変更することで、指定の性能パラメータセット(例えば、エッチング速度及びイオン密度)において所望の値を達成する。
【0033】
様々なパラメータについてターゲット値を見つけ出すという課題は、選択した性能パラメータセットについてのユーザ定義値セットと仮定した場合、一定パラメータ等高線セットを上記の2次元Pソース−Pバイアス空間で重ね合わせる処理設定点制御装置1110によって解決される。こういった一定パラメータ等高線は図11の一定パラメータ等高線生成装置1120から得られる。例えば、一定イオン密度の等高線(図12)、一定イオンエネルギー又はウェハ電圧の等高線(図13)、及び一定エッチング速度の等高線(図14)を用いる。測定機器140を用いて一定パラメータ等高線生成装置1120がどのようにしてこれらの等高線を生成するかは本明細書で後述する。本願の記載は処理設定点制御装置1110によるその使用に関連する。
【0034】
図12を参照するが、チャンバ圧20mTでのPソース−Pバイアス空間における一定プラズマイオン密度等高線セットは、通常、小さい負の勾配と小さいが正の第1導関数d(Pソース)/d(Pバイアス)を有する。最上部の等高線は一定プラズマ密度5H1010イオン/cm3に対応し、最下部の等高線は1.5H1010イオン/cm3に対応する。縦軸(Pソース)は0−1500ワットに亘り、横軸(Pバイアス)は2000−4500ワットに亘る。図13を参照するが、同一チャンバ圧(20mT)での一定ウェハ電圧の等高線セットは正の勾配を有し、600ボルト(最上部)から1800ボルト(底部)に亘っている。図14を参照すると、一定エッチング速度(任意の単位、例えばk=1)の等高線セットは大きな負の勾配を有している。
【0035】
処理設定点制御装置1110はイオン密度、イオンエネルギー及びエッチング速度のユーザ選択値をいかにして同時に満たすかを決定する。制御装置はこの決定を、図12−14の対応する等高線のPソース−Pバイアス空間内での交点を見つけることで行う。この交点はソース及びバイアス電力についての最適ターゲット値、つまり[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットを示す。ユーザが2つの性能パラメータについてのみ値を指定すると問題は若干、簡単となる。例えば、ユーザがウェハ電圧を1100ボルト、イオン密度を3.5H1010イオン/cm3と指定した場合、Pソース−Pバイアス空間における正しい地点は図12の1100ボルトでの一定ウェハ電圧等高線と図13の3.5H1010イオン/cm3での一定密度等高線を重ね合わせ、Pソース−Pバイアス空間におけるその交点を見つけ出すことで得られる。この手順は処理設定点制御装置1110によって行われ、2つの曲線がPソース−Pバイアス空間において点[850W、3750W]で交差している図15で図示されている。従って、この例において、ユーザの要求は、ソース電力レベルを850Wに、バイアス電力レベルを3750Wに設定することで満たされる。このため、このケースでは、図9のソース電力コマンドプロセッサ994及びバイアス電力コマンドプロセッサ992に供給されるターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットはそれぞれ850ワット及び3750ワットである。
【0036】
ソース及びバイアス電力レベルのターゲット値をこうやって演繹することで、ユーザがまだ指定又は制限していないその他のパラメータのターゲット値も演繹し得ることに留意しなくてはならない。例えば、上記の例において、ユーザは特定のエッチング速度を指定していない。しかしながら、イオン密度及びエネルギーについてのユーザ選択値を満たすエッチング速度のターゲット値は、図14の等高線を図15に重ね合わせる(又はその逆)ことで見つけることが可能である。点[850W、3750W]は図14の一定エッチング速度2.101(任意の単位)の等高線上にあり、その図面においてAX@で示されるとおりである。従って、図10のフィードバック制御装置を使用する場合、設定点制御装置1110は任意の単位のエッチング速度ターゲット値2.101を図10のメモリ975に書きだす。
【0037】
この構成の利点は、一定電圧、密度、エッチング速度等の等高線がリアクタに特有であり、一般的に、所定の処理条件によって変化することがない点である。従って、等高線を処理に先立って一定パラメータ等高線生成装置1120によって求め、図11で示されるように、リアクタ使用中、処理設定点制御装置1110がこれらを常時使用可能としてもよい。このようにして、図15に図示したやり方で、特定のパラメータのターゲット値を即時又は必要な時に見つけることができる。
【0038】
作動中、バイアス電力コマンドプロセッサ992及びソース電力コマンドプロセッサ994は処理設定点制御装置1110からターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットを受け取り、乗算器958及び957からフィードバック信号をそれぞれ受け取る。システムの初期化中、フィードバック信号は無視され、プロセッサ992及び994はRF発生装置125、920の電力レベルをターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットへとそれぞれ設定する。フィードバック信号は処理開始後に利用可能となり、プロセッサ992、994はターゲット値の代わりにフィードバック制御ループ957、958を使用して、ソース電力とバイアス電力レベルを制御可能となる。或いは、電力コマンドプロセッサ992、994をプログラムして初期化時だけでなく処理中にもターゲット値[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットからソース及びバイアス電力レベルを求めてもよく、その間、フィードバックループ957、958は無視される。
【0039】
図11は、エッチング速度、ウェハ電圧、イオン密度及びウェハ電流を含む性能パラメータについてのユーザ選択値のいずれか1つ又は組合せを処理設定点制御装置1110に適用可能であることを表している。これに応じて、処理設定点制御装置1110は等高線生成装置1120からの適切な等高線を用いて、ソース及びバイアス電力ターゲット値だけでなく、場合によってはユーザが限定又は指定していないその他のパラメータについてのターゲット値、例えばエッチング速度、イオン密度、イオンエネルギー又はウェハ電流等のターゲット値を生成する。これらのターゲット値はフィードバック制御装置950に供給され、図9を参照して本明細書中で前述したやり方で使用される。
【0040】
図16は図11の処理設定点制御装置1110の構造と演算を図示している。第1論理ユニット1610はユーザから(あるならば)エッチング速度コマンドを受け取り、メモリ1615から等高線生成装置1120によって前もって生成された一定エッチング速度の等高線セットから対応する一定エッチング速度等高線をフェッチする。第2論理ユニット1620はユーザから(あるならば)イオン密度コマンドを受け取り、メモリ1625から等高線生成装置1120により前もって生成された一定イオン密度の等高線セットから対応する一定イオン密度等高線をフェッチする。第3論理ユニット1630はユーザから(あるならば)ウェハ電圧(イオンエネルギー)コマンドを受け取り、メモリ1635から等高線生成装置1120により前もって生成された一定ウェハ電圧の等高線セットから対応する一定ウェハ電圧等高線をフェッチする。第4論理ユニット1640は論理ユニット1610、1620、1630によって選択されたいずれの等高線間でのPソース−Pバイアス空間における交点を見つけ出す。この交点は図11のフィードバック制御装置950に[Pソース]ターゲットと[Pバイアス]ターゲットとして出力される。
【0041】
等高線生成装置1120
図11の等高線生成装置1120が行う演算が図17、18、19に図示されている。図17は、特定の性能パラメータがいかにしてバイアス電力と共に変化するかを定義する関数を見つけ出すにあたっての等高線生成装置1120の演算を図示している。これらにはウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度といった性能パラメータについての関数が含まれる。以下で説明されるように、ウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度のバイアス電力による変化の観察は図11の構成を用いて測定機器140によって等高線生成装置1120用に行われる。図11において、測定機器140はウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度についての瞬間測定値を等高線生成装置1120へと送信する。また等高線生成装置1120は、図11に図示されるように、カレントソース電力及びバイアス電力コマンドを受け取ることで、ウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度という性能パラメータの挙動をソース電力及びバイアス電力の制御パラメータと相関させることが可能となる。
【0042】
図18は特定の性能パラメータがいかにしてソース電力と共に変化するかを定義する関数を見つけ出すにあたっての等高線生成装置1120の演算を図示している。図17と同様に、図18において、これらにはウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度といった性能パラメータについての関数が含まれる。また図17と同様に、図18の演算は図11の構成を用いて行われる。
【0043】
図19は図17及び18の演算で発見したソース電力及びバイアス電力の別々の関数をソース電力及びバイアス電力双方の合成関数(combined function)へとパラメータ化するにあたっての等高線生成装置1120の演算を図示している。こういった合成関数は2次元Pソース−Pバイアス空間における性能パラメータ(ウェハ電圧、イオン密度、エッチング速度)の挙動を表している。次に、等高線生成装置1120は一定イオン密度、イオンエネルギー及びエッチング速度の等高線を各合成関数から導出する。
【0044】
次に図17に図示の演算を図11と17の双方を参照して詳細に説明する。図17のブロック1710の工程において、図11のバイアス及びソース電力発生装置125、920の周波数を一定値に設定し、図11のリアクタの真空ポンプ1180の排気速度を制御して一定チャンバ圧を達成し、ガス供給源1182、1184からの質量流量を図11の質量流量制御装置1186を通して一定値に設定する。図17のブロック1720の工程において、図11のソース電力発生装置920の電力レベルを初期設置点に設定すると、バイアス電力レベルを除いて全処理が定常状態となる。図17のブロック1730の工程において、図11のバイアス電力発生装置125の電力レベルは所定の範囲の始点に設定される。次に、測定機器140は電圧電流及び電力をインピーダンス整合回路130で検出し、図1−8に関連して前述したやり方でウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度を測定する(図17のブロック1740)。これらの測定値は等高線生成装置1120に送信され、メモリ1120aに保存される。次の工程(図17のブロック1750)において、図11のバイアス電力発生装置125の電力レベルを(制御装置1110のコマンドにより)若干高い値にインクリメントし、その値で保持する。次に、図17のブロック1760の工程において、最後のバイアス電力レベルがバイアス電力範囲の終点にあるか否かを判定する。もしそうでない場合(ブロック1760のNO分岐路)、演算はループ1765をブロック1740の工程へと戻る。ループ1765の工程は、バイアス電力範囲の終点に到達するまで(ブロック1760のYES分岐路)このようにして繰り返される。この結果、ウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度の挙動を定義するバイアス電力の関数に対応する3つのデータセットがメモリ1120a内に保存される。慣用のデータフィットアルゴリズムを用いて、等高線生成装置は3つのデータセットからデータに対応する代数関数を生成し、以下の、
Vウェハ=fa(Pバイアス)i、
=fb(Pバイアス)i、
ER=fc(Pバイアス)i、
としてメモリ1120a内に保存する。ここでηはプラズマイオン密度であり、ERはエッチング速度であり、指数iはソース電力発生装置915のカレントレベルを意味している(ブロック1770)。図17の次の工程において(ブロック1780)、ソース電力発生装置915のレベルを新しい値へとインクリメントし、i6i+1とする。新しいソース電力レベルがソース電力範囲の終点にない場合(ブロック1790のNO分岐路)は、演算はループ1795をブロック1730の工程へと戻り、ループ1795の工程(つまり、ブロック1730から1790)は、ソース電力レベルがソース電力範囲の終点に達するまで繰り返される(ブロック1790のYES分岐路)。この結果、ソース電力範囲内のiの値全てについて多数の関数セット、
Vウェハ=fa(Pバイアス)i、
=fb(Pバイアス)i、
ER=Fc(Pバイアス)i、
がメモリ1120a内に保存される。これにより、バイアス電力での3つの挙動パラメータVウェハ、η、ERの挙動がソース電力と共に変化するか否かの分析判定が可能となる。それほど大きな変化はないと判明したため、バイアス電力とソース電力は少なくともほぼ独立変数である。従って、パラメータVウェハ、η、ERのそれぞれについての単一バイアス電力関数は、概して、ソース電力レベルの全範囲に亘って、少なくとも本明細書中で後に説明する実施例で選択した範囲について、実に正確に挙動を予測する。このため、図17のループ1795は厳密には必要でない。その代わり、工程1720でソース電力レベル範囲の中間でソース電力レベルについての単一値を選択し、ループ1765を実行し、3つの関数のそれぞれについての単一データセット、
Vウェハ=fa(Pバイアス)、
=fb(Pバイアス)、
ER=Fc(Pバイアス)、
を生成してもよい。バイアス電力のこれら3つの関数はメモリ1120a内に保存される。
【0045】
次に図18に図示の演算を図11及び18の双方を参照して詳細に説明する。図18のブロック1810の工程において、図11のバイアス及びソース電力発生装置125、920の周波数を一定値に設置し、図11のリアクタの真空ポンプ1180の排気速度を制御して一定のチャンバ圧を達成し、図11の質量流量制御装置1186を介してガス供給源1182、1184からの質量流量を一定値に設定する。図18のブロック1820の工程において、図11のバイアス電力発生装置125の電力レベルを初期設定点に設定すると、ソース電力レベルを除いて全処理が定常状態となる。図18のブロック1830の工程において、図11のソース電力発生装置920の電力レベルを所定の範囲の始点に設定する。次に、測定機器140は電圧電流及び電力をインピーダンス整合回路130で検出し、図1−8に関連して前述したやり方でウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度を測定する(図18のブロック1840)。これらの測定値は等高線生成装置1120に送信され、メモリ1120aに保存される。次の工程(図18のブロック1850)において、図11のソース電力発生装置920の電力レベルを(制御装置1110のコマンドにより)若干高い値にインクリメントし、その値で保持する。次に、図18のブロック1860の工程において、最後のソース電力レベルがソース電力範囲の終点にあるか否かを判定する。もしそうでない場合(ブロック1860のNO分岐路)は、演算はループ1865をブロック1840の工程へと戻る。ループ1865の工程は、ソース電力範囲の終点に到達するまで(ブロック1860のYES分岐路)このようにして繰り返される。この結果、ウェハ電圧、イオン密度及びエッチング速度の挙動を定義するソース電力の関数に対応する3つのデータセットがメモリ1120a内に保存される。慣用のデータフィットアルゴリズムを用いて、等高線生成装置1120は3つのデータセットからデータに対応する代数関数を生成し、以下の、
Vウェハ=fa(Pソース)i、
=fb(Pソース)i、
ER=fc(Pソース)i、
としてメモリ1120a内に保存される。ここでηはプラズマイオン密度であり、ERはエッチング速度であり、指数iはバイアス電力発生装置125のカレントレベルを意味している(ブロック1870)。図18の次の工程において(ブロック1880)、バイアス電力発生装置125のレベルを新しい値へとインクリメントし、i6i+1とする。新しいバイアス電力レベルがバイアス電力範囲の終点にない場合(ブロック1890のNO分岐路)、演算はループ1895をブロック1830の工程へと戻り、ループ1895の工程(つまり、ブロック1830から1890)は、バイアス電力レベルがバイアス電力範囲の終点に達するまで繰り返される(ブロック1890のYES分岐路)。この結果、バイアス電力範囲内のiの値全てについて多数の関数セット、
Vウェハ=fa(Pソース)i、
=fb(Pソース)i、
ER=fc(Pソース)i、
がメモリ1120a内に保存される。これにより、ソース電力での3つの挙動パラメータVウェハ、η、ERの挙動がバイアス電力と共に変化するか否かの分析判定が可能となる。(図17のケースと同様に)それほど大きな変化はないと判明したため、上述したように、バイアス電力とソース電力は少なくともほぼ独立変数である。従って、パラメータVウェハ、η、ERのそれぞれについての単一ソース電力関数は、概して、バイアス電力レベルの全範囲に亘って、少なくとも本明細書中で後に説明する実施例で選択した範囲について、実に正確に挙動を予測する。このため、図18のループ1895は厳密には必要でない。その代わり、工程1820でバイアス電力レベル範囲の中間でバイアス電力レベルについての単一値を選択し、ループ1865を実行し、3つの関数のそれぞれについての単一データセット、
Vウェハ=fa(Pソース)、
=fb(Pソース)、
ER=fc(Pソース)、
を生成してもよい。ソース電力のこれら3つの関数はメモリ1120a内に保存される。従って、図17及び18の演算完了時、メモリ1120aはウェハ電圧についての以下の、
Vウェハ=fb(Pソース)、
Vウェハ=fb(Pバイアス)、
の関数ペアと、
イオン密度についての以下の、
=fa(Pソース)、
=fa(Pバイアス)、
関数ペアと、
エッチング速度についての以下の、
ER=Fc(Pソース)、
ER=Fc(Pバイアス)、
関数ペアを保持する。
【0046】
図19に図示の演算において、等高線生成装置1120はそれぞれ単一変数Pソース又はPバイアスを有する各関数ペアを変数ペアPソース及びPバイアスの単一合成関数へと組み合わせる。これにより以下の3つの関数である
Vウェハ=(Pソース、Pバイアス)、
η(Pソース、Pバイアス)、
ER(Pソース、Pバイアス)、
が生成される。
【0047】
一定パラメータ値の等高線(例えば、一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線、一定イオン密度の等高線)は各関数を一定値に設定し、次にPソースをPバイアスの関数として解くことで見つかる。例えば、一定ウェハ電圧300Vの等高線を生成するために、関数Vウェハ(Pソース、Pバイアス)を300Vに等しく設定し、次にPソースについて解く。
【0048】
図19は、合成された2変数関数を生成し、次にその関数を様々な一定値でPソースについてPバイアスの関数として解く上記の工程を実行するにあたっての図11の等高線生成装置1120の演算を図示している。ここで図19を参照するが、第1工程(ブロック1910)ではウェハ電圧の1変数関数、つまりVウェハ=(Pソース)とVウェハ=(Pバイアス)をとり、その合成関数を見つける。次の工程(ブロック1920)ではイオン密度の1変数関数、つまりη(Pソース)とη(Pバイアス)をとり、その合成関数η(Pソース、Pバイアス)を見つける。第3の工程(ブロック1930)ではエッチング速度の1変数関数、つまりER(Pソース)とER(Pバイアス)をとり、その合成関数ER(Pソース、Pバイアス)を見つける。
【0049】
次に、一定値の等高線を生成する。一定ウェハ電圧の等高線を生成するためには(図19のブロック1940)、関数Vウェハ(Pソース、Pバイアス)をウェハ電圧の一定値と同等に設定し、得られた式を次にPソースについてPバイアスの関数として解く。この工程を一定ウェハ電圧値の範囲に亘って繰り返し、範囲全体の等高線セットを生成する。これらの等高線を図11のメモリ1120aに保存する(図19のブロック1945)。
【0050】
一定イオン密度の等高線を生成するためには(図19のブロック1950)、関数η(Pソース、Pバイアス)をイオン密度の一定値と同等に設定し、得られた式をPソースについてPバイアスの関数として解く。この工程を一定イオン密度値の範囲に亘って繰り返し、イオン密度値範囲全体の等高線セットを生成する。これらの等高線を図11のメモリ1120aに保存する(図19のブロック1955)。
【0051】
一定エッチング速度の等高線を生成するためには(図19のブロック1960)、関数ER(Pソース、Pバイアス)をエッチング速度の一定値と同等に設定し、得られた式をPソースについてPバイアスの関数として解く。この工程を一定エッチング速度値の範囲に亘って繰り返し、エッチング速度値の範囲全体の等高線セットを生成する。これらの等高線を図11のメモリ1120aに保存する(図19のブロック1965)。
【0052】
通常、各合成2変数関数、例えばVウェハ(Pソース、Pバイアス)は個別関数のペア、例えばVウェハ(Pソース)及びVウェハ(Pバイアス)の積によって近似値を求めることが可能である。例えば、RF電力レベルを除く全ての制御パラメータを無視し、比例定数を無視すると、
Vウェハ=fa(Pソース)・[Pソース]1/2、
Vウェハ=fa(Pバイアス)・[Pバイアス]1/2、
となり、合成2変数関数は近似的に:Vウェハ=Fa(Pソース、Pバイアス)=fa(Pソース)fa(Pバイアス)・[Pソース]1/2[Pバイアス]1/2となる。但し、この式は正確ではない。正確な関数は、全制御パラメータ、つまり上記のPソース及びPバイアス、加えてソース電力周波数、バイアス電力周波数、チャンバ圧、及び(あるならば)磁場を使用するカーブフィット法により求めるのが最適である。発明者はPソース及びPバイアス双方の関数としてのVウェハについての以下の式、
Vウェハ(Pソース、Pバイアス)=V0(Pバイアス/Pb0)0.4[(Pソース/Ps0)K1(p/p0)−1+(p/p0)0.5)−0.5、
を発見し、ここでPb0は最大バイアス電力値であり、Ps0は最大ソース電力値であり、p0は最低チャンバ圧であり、pは実際のチャンバ圧である。上述したリアクタチャンバ内において、最大ソース電力Ps0は1500ワットであり、最大バイアス電力Pb0は4500ワットであり、最低圧力p0は30mTであった。これらの値はチャンバ設計や処理設計によって先行の例とは異なる場合がある。V0は以下の手順に沿って求められる。つまり最大バイアス電力Pb0をウェハ台座部に印加し、その一方でソース電力をゼロで保持し、チャンバを最低圧力p0に保持する。次にウェハ電圧Vウェハを測定し、この測定値をV0として保存する。次に、ソース電力をその最大値Ps0にまで上げ、次にウェハ電圧Vウェハを再度測定することでK1を求め、上記の方程式によりVウェハについて正しい値が得られるまでK1を調整する。
【0053】
上記方程式の指数は、本明細書中に記載のリアクタについての広範囲に及ぶ試行錯誤によるパラメータ化処理によって得られた。これらの指数はその他のリアクタ設計にも有用である場合があり、或いはユーザは特定のリアクタ設計に応じて別の指数の使用を試みてもよい。
【0054】
イオン密度η及びエッチング速度ERは双方共に、図8を参照して本願で前述したように、Vウェハ及びプラズマサセプタンス又はプラズマアドミタンスの虚数部であるbの関数、
=b2Vウェハ2、
及び
ER=kb2Vウェハ3/2、
である。
【0055】
従って、簡潔にするため、ERとηを定義するには、Vウェハに加えてプラズマサセプタンスbのみを指定すればよい。本発明者はPソース、Pバイアス双方の関数としてのプラズマサセプタンスbについての以下の式、
b(Pソース、Pバイアス)=b0(Pバイアス、Pb0)−0.25 [(Pソース/Ps0)(p/p0)−0.65][K2(Pバイアス/Pb0)−0.62(p/p0)3+(p/p0)0.27]、
を発見し、ここで上記の定義があてはまり、これに加えb0は基準サセプタンス値である。基準サセプタンス値b0は以下の手順に沿って求められる。つまり最大バイアス電力Pb0をウェハ台座部に印加し、その一方でソース電力をゼロで保持し、チャンバを最低圧力p0に保持する。次にウェハ支持台座部でサセプタンスbを測定し(例えば、V/Iメータを用いて)、この測定値をb0として保存する。次に、ソース電力をその最大値Ps0にまで上げ、次にサセプタンスbを再度測定することでK2を求め、上記の方程式によりbについて正しい値が得られるまでK2を調整する。
【0056】
次に、イオン密度η及びエッチング速度ERは、Vウェハ及びbについての式をη及びERについての上記方程式に代入することで得られる。
【0057】
図19の等高線生成装置の演算結果は、図20−26において様々なチャンバ圧について図示されている。図20は一定ウェハ電圧の等高線、一定イオン密度の等高線及び一定エッチング速度の等高線を互いにPソース−Pバイアス空間で重ね合わせたものを図示している。これらの等高線についてのチャンバ圧は100mTであった。一定ウェハ電圧の等高線は実線で描かれている。一定イオン密度の等高線は破線で描かれている。一定エッチング速度の等高線は点線で描かれている。ソース電力範囲(縦軸つまり縦座標)の範囲はゼロから1200ワットである。バイアス電力範囲(横軸つまり横座標)の範囲は200ワットから1200ワットである。一定ウェハ電圧の値はRMSボルト表記である。一定イオン密度の値は1010イオン/cm3表記である。
【0058】
図20、21、22、23、24及び25は図20に対応し、各チャンバ圧はそれぞれ100mT、30mT、70mT、150mT、200mT及び250mTである。
【0059】
一定電圧、一定エッチング速度及び一定イオン密度の等高線の完全なセットが一旦生成され、かつメモリ120a内に恒久的に保存されたならば、等高線生成装置、更には測定機器さえも不要となる。こういったインプリメンテーションにおいて、処理設定点制御装置1110はユーザの入力に応答して、メモリ120a内に保存された等高線に基づき処理全体を制御する。この場合、処理設定点制御装置1110はバイアス及びソース電力レベルコマンドをバイアス及びソース電力発生装置125、920にそれぞれ直接的に適用することが可能なため、こういった実施形態においてはフィードバック制御装置950も排除可能である。
【0060】
個々の計算を実行する個別のプロセッサ310、320、340、350、360に言及することで測定機器140を説明してきたが、測定機器140を構成しているこれらのプロセッサを別々のハードウェアエンティティとしてではなくワークステーションやパソコン等のプログラムされたコンピュータ内に一緒にインプリメントすることも可能である。等高線生成装置1120も、プログラムしたコンピュータ又はワークステーション内にインプリメントすることができる。これに加え、図9又は図10のフィードバック制御装置950もプログラムしたコンピュータ内にインプリメントすることができる。更に、処理設定点制御装置もプログラムされたコンピュータ内にインプリメントすることができる。
【0061】
処理制御システム内での使用といった特定のアプリケーションについて測定機器140を説明してきたが、測定機器は特定のプラズマリアクタの「フィンガープリンティング」つまり特性評価用のツールとしても有用であり、これはソース電力、バイアス電力、圧力及びその他のパラメータの選択した処理設定で、機器140によって測定されたエッチング速度、イオン密度及びウェハ電圧を観察することで行われる。
【0062】
図8の説明はエッチング速度をER=b2Vウェハ2として算出し、イオン密度をη=kb2Vウェハ3/2として算出するインプリメンテーションに関してのものであるが、例えば[bVウェハ]1又は[bVウェハ]2、又はgVウェハ3/2等であるその他の関数を用いてもよい(この最後の式のgは本明細書中において上記で定義したコンダクタンスである)。
【0063】
チャンバパラメータのアレイを備えたリアクタ
図26は図11のプラズマリアクタに類似しているがフィードバック制御装置950により制御可能なチャンバパラメータをより多く有するプラズマリアクタを図示している。図11及び26において同様の要素は同様の参照番号を有する。図11の要素に加え、図26のリアクタは天井電極910内にある内側及び外側環状ガス注入区域又はシャワーヘッド912、914及び複数のガス供給源1182aから1182fも有し、供給源は各自異なる化学物質(又は混合物)を含み、内側及び外側ガス注入区域912、914にそれぞれガス流量制御装置1186a、1186bを介して連結されている。ガス流量制御装置1186a、1186bは個別のガス供給源1182のそれぞれからガス注入区域912、914へと向かうガス流のガス流量及び組成つまり成分比を制御する。内側及び外側磁気コイル1210、1215はそれぞれ内側及び外側DCコイル電流供給源1120、1225に接続されている。任意のDCチャック電圧供給源1230がバイアスフィード中央導体212に連結されており、この場合、DC絶縁コンデンサ1235が中央導体212とバイアス整合回路130との間に直列に接続されている。
【0064】
3つのチャンバパラメータについてのチャンバ特性評価
図26のリアクタチャンバは、例えば、4つのプラズマパラメータ(ウェハ又はシースバイアス電圧、イオン密度、エッチング速度、ウェハ電流等)の挙動を3つのチャンバパラメータ(ソース電力、バイアス電力及びチャンバ圧)の関数として数値化することで特性評価してもよい。まず最初に、図27−32に図示の処理において、様々なプラズマパラメータの一価関数を個々のチャンバパラメータを単一変数として見つけ出す。第1工程はチャンバパラメータの初期化である(図27のブロック2001)。この工程でソース電力Ps、バイアス電力PB、チャンバ圧pch、内側磁石電流I内側、外側磁石電流I外側、ガス流量FR等のチャンバパラメータを初期(例えば、中間領域)値に設定する。
【0065】
次の主要工程は、一定等高線生成装置1120により各プラズマパラメータの1変数関数を見つけ出すことであり、バイアス電力が変数であり、図27に図示されている。図27の例において、関数はウェハ電圧Vウェハ(PB)、エッチング速度ER(PB)、プラズマイオン密度η(PB)及びウェハ電流Iウェハ(PB)について求められる。図27を参照するが、第1工程ではPBをその範囲の始点に設定する(図27のブロック2003)。この範囲は、考えられ得る例として、13.56MHzでゼロから1000ワットである。次の工程は、図26の測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(ブロック2005)。次に、制御装置950を介して等高線生成装置1120は既定の少量ずつ又は範囲のごく一部ずつPBをインクリメントしていく(ブロック2007)。次に、バイアス電力範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2009)。もし到達していない場合(ブロック2009のNO分岐路)、処理ループはブロック2005の工程に戻る。範囲の終点に到達したら(ブロック2009のYES分岐路)、処理を次の工程、つまりブロック2011へと進める。ブロック2011の工程はサンプリングしたデータを用いて関数Vウェハ(PB)、ER(PB)、η(PB)及びIウェハ(PB)を構築することから成り、これらの関数はメモリ内に保存される。これらの関数は、例えばカーブフィット法によって構築してもよい。次に、その他のチャンバパラメータに基づいた関数生成の準備をするにあたって、チャンバパラメータPBをその初期値、好ましくは中間範囲値へと戻す(ブロック2013)。
【0066】
図28に図示の次の処理の目的は、ソース電力が単一変数である1変数関数、つまり関数Vウェハ(PS)、ER(PS)、η(PS)及びIウェハ(PS)を見つけ出すことである。図28を参照するが、第1工程ではPSをソース電力範囲の始点に設定している(図28のブロック2015)。RFプラズマソース電力範囲は、考えられ得る一例として、162MHzでゼロから3000ワットであってもよい。次の工程は、測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(図28のブロック2017)。次に、生成装置1120/制御装置950によりPsをインクリメントする(ブロック2019)。次にソース電力範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2021)。もし到達していない場合(ブロック2021のNO分岐路)、処理はブロック2017の工程に戻る。範囲の終点に到達しているなら(ブロック2021のYES分岐路)、処理を次の工程であるブロック2023へと進める。ブロック2023の工程において、(ブロック2017で得た)サンプリングデータを用いて1変数関数Vウェハ(Ps)、ER(Ps)、η(Ps)及びIウェハ(Ps)を構築し、これらの関数はメモリ内に保存される。次に、Psをその初期値へと戻す(ブロック2025)。
【0067】
図29に図示の次の処理の目的は、チャンバ圧が単一変数である1変数関数、つまり関数Vウェハ(pch)、ER(pch)、η(pch)及びIウェハ(pch)を見つけ出すことである。第1工程ではpchをチャンバ圧範囲の始点に設定している(ブロック2027)。この範囲は、考えられ得る一例として、0.5mTから200mTであってもよい。次の工程は、測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(ブロック2029)。次に、生成装置1120/制御装置950によりpchを圧力範囲の少数ずつインクリメントしていく(ブロック2031)。この時点でチャンバ圧範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2033)。もし到達していない場合(ブロック2033のNO分岐路)、処理ループはブロック2029の工程に戻る。範囲の終点に到達しているなら(ブロック2033のYES分岐路)、処理を次の工程、つまりブロック2035へと進める。ブロック2035において、ブロック2029の工程で得たサンプリングデータを用いて関数Vウェハ(pch)、ER(pch)、η(pch)及びIウェハ(pch)を構築し、次にこれらの関数をメモリ内に保存する。ブロック2037でpchをその初期値へと戻す。
【0068】
図30に図示の次の処理の目的は、図26の内側磁気コイル1210の電流が単一変数である1変数関数、つまり関数Vウェハ(I内側)、ER(I内側)、η(I内側)及びIウェハ(I内側)を見つけ出すことである。別の実施形態では、電流は、(或いは)MERIE磁石がリアクタ内に存在する場合はMERIE磁石に印加されたAC電流である可能性もある。まず最初に、I内側をその範囲の始点に設定する(ブロック2039)。次の工程は、測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(ブロック2041)。次に、生成装置1120/制御装置950によりI内側をその範囲の既定の少量ずつインクリメントする(ブロック2043)。この時点で磁気コイル電流範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2045)。もし到達していない場合(ブロック2045のNO分岐路)、処理ループはブロック2041の工程に戻る。範囲の終点に到達しているなら(ブロック2045のYES分岐路)、処理を次の工程、つまりブロック2047へと進める。ブロック2047の工程において、ブロック2041の工程で得たサンプリングデータを用いて関数Vウェハ(I内側)、ER(I内側)、η(I内側)及びIウェハ(I内側)を構築し、次にこれらの関数をメモリ内に保存する。この処理の最終工程で、I内側をその初期値へと戻す(ブロック2049)。
【0069】
図31に図示の次の処理の目的は、図26の外側磁気コイル1215に供給された電流が単一変数である1変数関数、つまり関数Vウェハ(I外側)、ER(I外側)、η(I外側)及びIウェハ(I外側)を見つけ出すことである。第1工程では、I外側をその範囲の始点に設定する(図31のブロック2051)。次の工程は、測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(ブロック2053)。次に、生成装置1120/制御装置950によりI外側をその範囲の既定の少量ずつインクリメントする(ブロック2055)。範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2057)。もし到達していない場合、処理ループはブロック2053の工程に戻る。範囲の終点に到達しているなら処理を次の工程へと進める。次の工程において(ブロック2059)、ブロック2053の工程で得たサンプリングデータを用いて関数Vウェハ(I外側)、ER(I外側)、η(I外側)及びIウェハ(I外側)を構築し、次にこれらの関数をメモリ内に保存する。この処理は、I外側をその初期値へと戻すことで終了する(ブロック2061)。
【0070】
図32に図示の次の処理の目的は、ガス流量FR(或いはガス組成)が単一変数である1変数関数、つまり関数Vウェハ(FR)、ER(FR)、η(FR)及びIウェハ(FR)を見つけ出すことである。ガス組成は例えばキャリアガス(例えば、アルゴン)とエッチャント種(フッ素又はフッ化炭素又はフッ化炭素水素種)との間の比であってもよい。ガス組成又はガス流量は、例えば、2つの(内側及び外側)ガス注入区域912、914のそれぞれについての2つの異なる変数として別個に定義してもよい。従って、ガス流に関した使用し得る変数又はチャンバパラメータとしては4つ考えられる。つまり、内側領域ガス流量、外側領域ガス流量、内側領域ガス組成、外側領域ガス組成である。図32の本例は上記のガス流に関連したチャンバパラメータのいずれかの特定の1つの使用に関連し、FRとする。
【0071】
図32の処理の第1工程では、FRをその範囲の始点に設定する(ブロック2063)。次の工程は、測定機器140を用いてウェハ電圧Vウェハ、エッチング速度ER、プラズマイオン密度η及びウェハ電流Iウェハのプラズマパラメータを測定又はサンプリングすることである(ブロック2065)。次の工程ではFRをインクリメントする(ブロック2067)。次に、ガス流又はガス組成パラメータFRの範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2069)。もし到達していない場合(ブロック2069のNO分岐路)、処理ループをブロック2065の測定工程に戻す。範囲の終点に到達しているなら(ブロック2069のYES分岐路)次の工程(ブロック2071)を行う。ブロック2071の工程において、サンプリングデータを用いて関数Vウェハ(FR)、ER(FR)、η(FR)及びIウェハ(FR)を構築し、次にこれらの関数をメモリ内に保存する。こういった関数の構築には、例えばカーブフィット法を用いてもよい。この処理の最終工程は、FRをその初期値へと戻すことである(ブロック2073)。
【0072】
3D制御空間内での処理制御−所望のプラズマパラメータ値のチャンバパラメータ値への変換
図27−32の処理で異なるプラズマパラメータについて生成された1変数関数をそれに続く処理(図33−36に図示)で用いて、後にウェハ処理中のリアクタチャンバの制御に用いるための、一定プラズマパラメータ値の2次元表面を備えた3次元制御空間を構築してもよい。図33−36の例において、ソース電力、バイアス電力及びチャンバ圧の3つのチャンバパラメータ(つまり、PB、PS及びpch)を選択する。
【0073】
(等高線生成装置1120により実行される)図33の処理の目的はPB、PS及びpchの3D制御空間を活用して一定Vウェハの2D等高線(表面)を生成することである。等高線をこういった表面の集合に蓄積し、後にウェハ処理中のリアクタチャンバの制御に使用する。
【0074】
図33の処理の第1工程(ブロック2075)は1変数関数Vウェハ(PB)、Vウェハ(PS)及びVウェハ(pch)を相関させる/組み合わせることで単一の3変数関数Vウェハ(PB、PS、pch)とすることである。例えば、本明細書で前述したタイプのカーブフィット法を用いてこの工程を完了してもよい。次にi=1に設定することで指数「i」を1に初期化する(ブロック2077)。関数Vウェハ(PB、PS、pch)をVウェハの値範囲におけるi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する(ブロック2079)。この方程式を解くことで、Vウェハのi番目の値についての一定Vウェハの2D等高線(表面)を見つける。この等高線は等高線生成装置1120のメモリ1120a内に保存する。次に、i=i+1と設定することで指数iを1ずつインクリメントし(ブロック2081)、Vウェハの値の範囲の終点に到達していない場合(ブロック2183のNO分岐路)、処理ループはブロック2079へと戻る。範囲の終点に達している場合は(ブロック2183のYES分岐路)、現在の処理は終了となり、次の処理を開始する。
【0075】
(等高線生成装置1120により実行される)次の処理(図34)の目的はPB、PS及びpchの3D制御空間を活用して一定エッチング速度(ER)の2D等高線(表面)を生成することである。等高線をこういった表面の集合に蓄積し、後にウェハ処理中のリアクタチャンバの制御に使用する。
【0076】
図34の処理の第1工程(ブロック2085)は1変数関数ER(PB)、ER(PS)及びER(pch)を相関させる/組み合わせて単一の3変数関数ER(PB、PS、pch)とすることである。i=1に設定することで指数iを1に初期化する(ブロック2087)。次に、関数ER(PB、PS、pch)をERの値の範囲のi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式を解くことで、ERのi番目の値について一定ERの2D等高線(表面)が生成される。次に、この等高線をメモリ1120aに保存する(ブロック2089)。i=i+1と設定することで指数iを1ずつインクリメントする(ブロック2091)。次に、ER値の範囲の終点に到達した否かを判定する(ブロック2093)。到達していない場合(ブロック2093のNO分岐路)、処理ループはブロック2089の工程へと戻る。終点に達している場合は(ブロック2093のYES分岐路)、現在の処理は終了となり、次の処理を開始する。
【0077】
(等高線生成装置1120により実行される)次の処理(図35)の目的はPB、PS及びpchの3D制御空間を活用して一定ηの2D等高線(表面)を生成することである。等高線をこういった表面の集合に蓄積し、後にウェハ処理中のリアクタチャンバの制御に使用する。
【0078】
図35の処理の第1工程(ブロック2095)は1変数関数η(PB)、η(PS)及びη(pch)を相関させる又は組み合わせて単一の3変数関数η(PB、PS、pch)とすることである。この工程は例えばカーブフィット法を用いて行ってもよい。次に、i=1に設定することで指数iを1に初期化する(ブロック2097)。次に、関数η(PB、PS、pch)をプラズマパラメータηの値の範囲のi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をηのi番目の値での一定ηの2D等高線(表面)について解く。この等高線を等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する(ブロック2099)。i=i+1と設定することで指数iを1ずつインクリメントする(ブロック2101)。次に、ER値の範囲の終点に到達した否かを判定する(ブロック2103)。到達していない場合(ブロック2103のNO分岐路)、処理ループはブロック2099の工程へと戻る。終点に達している場合は(ブロック2103のYES分岐路)、現在の処理は終了となり、次の処理を実行する。
【0079】
(等高線生成装置1120により実行される)次の処理(図36)の目的はPB、PS及びpchの3D制御空間を活用して一定Iウェハの2D等高線(表面)を生成することである。等高線をこういった表面の集合に蓄積し、後にウェハ処理中のリアクタチャンバの制御に使用する。
【0080】
図36の処理の第1工程(ブロック2105)は1変数関数Iウェハ(PB)、Iウェハ(PS)及びIウェハ(pch)を相関させる又は組み合わせて単一の3変数関数Iウェハ(PB、PS、pch)を生成することである。次の工程では、i=1に設定することで指数iを1に初期化する(ブロック2107)。ブロック2109の工程で関数Iウェハ(PB、PS、pch)をIウェハのi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をIウェハのi番目の値での一定Iウェハの2D等高線(表面)について解く。次に、この等高線を等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する。i=i+1と設定することで指数iを1ずつインクリメントする(ブロック2111)。Iウェハの値の範囲の終点に到達した否かを判定する(ブロック2113)。到達していない場合(ブロック2113のNO分岐路)、処理ループはブロック2109の工程へと戻る。終点に達している場合は(ブロック2113のYES分岐路)、現在の処理は終了となり、次の処理を実行する。
【0081】
同一の処理を別のチャンバパラメータについて実行してもよい。こういったチャンバパラメータには、例えば、内側及び外側ガス注入区域のガス流量、及び内側及び外側ガス注入区域へ供給される異なるガス混合物のガス組成が含まれる。上記の手順により、選択したチャンバパラメータ及びプラズマパラメータについてのリアクタチャンバの特性評価が完了する。
【0082】
次の処理は先行の処理で得たチャンバ特性情報を活用して、選択したプラズマパラメータの所望の値から選択したチャンバパラメータの所要値へと変換することである。こういった処理の一例として、図37はVウェハ、ER及びηについてのユーザ選択値に応答して3DのPB−PS−pch制御空間において3つの選択したプラズマパラメータを制御するための処理を表してしている。この処理は、図26の処理設定点制御装置1110によって制御される。
【0083】
図37の処理は設定点制御装置によって制御され、設定点制御装置1110がVウェハ、ER及びηについてのユーザ選択値を受け取るところから始まる(図37のブロック2115)。次の工程でメモリからVウェハの固有ユーザ選択値に対応する一定ウェハ電圧の2D表面(等高線)をフェッチし、表面をSVとラベルする(図37のブロック2117)。次に制御装置1110はメモリからERのユーザ選択値に対応する一定エッチング速度の2D表面(等高線)をフェッチし、表面をSERとラベルする(ブロック2119)。次に制御装置1110はメモリからηのユーザ選択値に対応する一定プラズマイオン密度の2D表面(等高線)をフェッチし、表面をSηとラベルする(ブロック2121)。次に、制御装置1110は3DのPB−PS−pch空間における3つの表面SV、SER、Sηの交点(PB´、PS´、pch´)を特定する(ブロック2123)。フィードバック制御装置950を介して作動する設定点制御装置1110は、次にRFバイアス電力発生装置出力レベルを交点値PB´に設定し(ブロック2125)、RFソース電力発生装置出力レベルを交点値PS´に設定し(ブロック2127)、チャンバ圧を交点値pch´に設定する(ブロック2129)。これにより処理の1制御サイクルが終了する。
【0084】
図37の処理で活用したタイプの、3次元チャンバパラメータ空間における(3つの異なるプラズマパラメータの)一定プラズマパラメータ値の3つの表面の交点を図38に示す。これらの表面は3次元空間内にある2次元オブジェクトである。3つの表面は一点で交差し、その位置は3つのベクターによって指定される(PB´、PS´、pch´)。図38の3つの直交する軸は3つのチャンバパラメータ(PB、PS、pch)に対応する。図38の3つの表面は、プラズマパラメータVウェハ、ER及びηのそれぞれについての一定値の表面であり、値はユーザ選択値である。
【0085】
低制約下での3D制御空間−チャンバパラメータを変更する自由度の向上
図38の例において、プラズマパラメータの数とチャンバパラメータの数は同一である。チャンバパラメータへの制約を下げることで自由度を上げることが可能である。この特性は、選択したプラズマパラメータの数が選択したチャンバパラメータの数より少ない場合はいつでも生じる。図39はこういったケースを図解しており、3つのチャンバパラメータは2つのプラズマパラメータについてのみのユーザ選択値によって制約(コンストレイン)されている。例えば、PB、PS、pchの3次元制御空間において、制約プラズマパラメータはVウェハとηのみである。この場合、2つの表面だけが3D制御空間に交差しており、こういった交差は直線又は曲線に沿って生じる。このため、ユーザはVウェハとηについてのユーザ選択値を満たしつつ、チャンバパラメータをその線上のどの数値セット(PB´、PS´、pch´)へも変更することができる。
【0086】
3D制御空間における設定点制御とリアルタイムフィードバック制御の交互実行
先行のチャンバ制御処理はいつ行っても或いは常に行ってもよいが、プラズマパラメータのリアルタイム測定が出来ない、ウェハ処理開始時での使用が特に有用である。ウェハのプラズマ処理が進行し、プラズマパラメータの測定値が測定機器140を通して利用可能となった後、制御をフィードバック制御装置950に引き継がせてもよい。フィードバック制御装置950は(測定機器140からの)選択したプラズマパラメータの実際のリアルタイム測定値とこれらのパラメータのユーザ選択値との比較を行う。(エッチング速度又はイオン密度については)ソース電力を修正し、(ウェハ電圧については)バイアス電力を修正することで、図9及び10を参照して本願で前述したように、フィードバック制御装置950はこれらの値の差異を最小限に抑える。
【0087】
プラズマパラメータのユーザ選択値の1つに(又は1つ以上)に大きな変更がある場合、この変更は図37の制御処理へと立ち戻ることで迅速に行うことが可能であり、新しいチャンバパラメータ設定はプラズマパラメータの(新しい)ユーザ選択値に対応する等高線の3D制御空間における交点を見つけることで即座に突き止められる。このオプションにより、チャンバは処理レシピにおけるいかなる変更にもほぼ即座に対応することが可能となり、特筆すべき利点である。
【0088】
4D制御空間における処理制御。所望のプラズマパラメータ値のチャンバパラメータ値への変換
図40−45は4次元制御空間を利用した制御処理例を図示している。この例には、図27−32のチャンバ特性評価処理で生成された1変数関数から4変数関数を生成することを伴う。具体的には、図40−45はチャンバパラメータPB、PS、FR及びI内側の4次元制御空間の例を表している。この例の第1処理、図40のそれにおけるタスクは、一定Vウェハの(4D空間における)3D等高線の生成である。第1工程(図40のブロック2131)では4つの1変数関数Vウェハ(PB)、Vウェハ(PS)、Vウェハ(FR)及びVウェハ(I内側)を相関させる又は組み合わせて単一の4変数関数Vウェハ(PB、PS、FR、I内側)を生成する。カーブフィット法を用いてこの工程を行ってもよい。i=1に設定することで、指数iを1に初期化する(ブロック2132)。関数Vウェハ(PB、PS、FR、I内側)をVウェハの値の範囲のi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をVウェハのi番目の値に対応する一定Vウェハの3D等高線(表面)について解く。この等高線は等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する(ブロック2133)。次に、i=i+1と設定することで指数iをインクリメントする(ブロック2134)。Vウェハの値の範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2135)。到達していない場合、処理はブロック2133の工程へと戻る(ブロック2135のNO分岐路)。範囲の終点に達している場合、処理は終了となり、次の処理を開始する(ブロック2135のYES分岐路)。
【0089】
この例の次の処理、図41のそれにおけるタスクは、一定ERの(4D空間における)3D等高線の生成である。第1工程(ブロック2137)では4つの1変数関数ER(PB)、ER(PS)、ER(FR)及びER(I内側)を相関させる又は組み合わせて単一の4変数関数ER(PB、PS、FR、I内側)を生成する。カーブフィット法を用いてこの工程を行ってもよい。i=1に設定することで、指数iを1に初期化する(ブロック2139)。ブロック2141の工程において、関数ER(PB、PS、FR、I内側)をERの値の範囲のi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をERのi番目の値に対応する一定ERの3D等高線(表面)について解く。この等高線は等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する。指数iをインクリメントし(ブロック2143)、エッチング速度(ER)の値の範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2145)。到達していない場合(ブロック2145のNO分岐路)、処理はブロック2141の工程へと戻る。範囲の終点に達している場合(ブロック2145のYES分岐路)、処理は終了となり、次の処理を開始する。
【0090】
この例の次の処理、図42のそれにおけるタスクは、一定η(エッチング速度)の(4D空間における)3D等高線の生成である。第1工程(図42のブロック2147)では4つの1変数関数η(PB)、η(PS)、η(FR)及びη(I内側)を相関させる又は組み合わせて単一の4変数関数η(PB、PS、FR、I内側)を生成する。カーブフィット法を用いてこの工程を行ってもよい。i=1に設定することで、指数iを1に初期化する(ブロック2149)。ブロック2151の工程で、4変数関数η(PB、PS、FR、I内側)をイオン密度値ηの範囲のi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をηのi番目の値に対応する一定ηの3D等高線(表面)について解く。この等高線は等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する。i=i+1に設定することで指数iをインクリメントし(ブロック2153)、イオン密度(η)の値の範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2155)。到達していない場合(ブロック2155のNO分岐路)、処理はブロック2151の工程へと戻る。範囲の終点に達している場合(ブロック2155のYES分岐路)、処理は終了となり、次の処理を開始する。
【0091】
この例の次の処理、図43のそれにおけるタスクは、一定Iウェハの(4D空間における)3D等高線の生成である。第1工程(図43のブロック2157)では4つの1変数関数Iウェハ(PB)、Iウェハ(PS)、Iウェハ(FR)及びIウェハ(I内側)を相関させる又は組み合わせて単一の4変数関数Iウェハ(PB、PS、FR、I内側)を生成する。i=1に設定することで、指数iを1に初期化する(ブロック2159)。2161の工程において、4変数関数Iウェハ(PB、PS、FR、I内側)をIウェハのi番目の値に等しく設定することで方程式を形成する。この方程式をIウェハのi番目の値に対応する一定Iウェハの3D等高線(表面)について解く。この等高線は等高線生成装置のメモリ1120a内に保存する。i=i+1に設定することで指数iを1ずつインクリメントする(ブロック2163)。この時点で、Iウェハの値の範囲の終点に到達したか否かを判定する(ブロック2165)。到達していない場合(ブロック2165のNO分岐路)、処理はブロック2161の工程へと戻る。範囲の終点に達している場合(ブロック2165のYES分岐路)、処理は終了となる。これで、次の作業である4つのプラズマパラメータ(例えば、Vウェハ、ER、η及びVI)のユーザ選択値の4つのチャンバパラメータ(例えば、PB、PS、FR及びI内側)のターゲット値への変換に必要なチャンバ特性評価タスクが完了となる。次に、こういった変換を実行するための処理を図44を参照して説明する。
【0092】
図44は、選択したプラズマパラメータ(Vウェハ、ER、η及びIウェハ)についてのユーザ選択値に応答して4つの選択したプラズマパラメータ(例えば、Vウェハ、ER、η及びVウェハ)を4DのPB−PS−FR−I内側制御空間内で制御するための処理を図示している。この処理により、プラズマパラメータVウェハ、ER、η及びVウェハについてのユーザ選択値がチャンバパラメータPB、PS、FR及びI内側の所要値へと変換される。
【0093】
図44の処理の第1工程では、処理設定点制御装置1110がVウェハ、ER、η及びIウェハについてのユーザ選択値を受け取る(図44のブロック2167)。ブロック2169の工程で、処理設定点制御装置1110は等高線生成装置のメモリ1120aからVウェハの固有ユーザ選択値に対応する一定ウェハ電圧の3D表面(等高線)をフェッチする。この表面はSVとラベルしてもよい。制御装置1110はメモリ1120aからERのユーザ選択値に対応する一定エッチング速度の3D表面(等高線)もフェッチし、表面はSERとラベルしてもよい(ブロック2171)。制御装置1110はηのユーザ選択値に対応する一定プラズマイオン密度の3D表面(等高線)をフェッチし、表面をSηとラベルする(ブロック2173)。最後に、制御装置1110はIウェハの固有ユーザ選択値に対応する一定ウェハ電流の3D表面(等高線)をフェッチし、表面をSIとラベルする(ブロック2175)。
【0094】
次の工程で、設定点制御装置1110は4DのPB−PS−FR−I内側制御空間における4つの表面SV、SER、Sη及びSIの交点(PB´、PS´、FR´、I内側´)を特定する(ブロック2177)。この4次元工程は図38で図示した3つの交差表面での3次元ケースに類似している。次に、チャンバパラメータを交点に対応するPB´、PS´、FR´、I内側´のそれぞれの値に設定する。これは、フィードバック制御装置950を介して作動してチャンバパラメータを変更するところの設定点制御装置1110によって以下のようにして遂行される。つまり、RFバイアス電力発生装置出力レベルを交点値PB´に設定し(ブロック2179)、RFソース電力発生装置出力レベルを交点値PS´に設定し(ブロック2181)、ガス流量を交点値FR´に設定し(ブロック2183)、内側磁石供給電流を交点値I内側´に設定する(ブロック2185)。
【0095】
4D制御空間における設定点制御とリアルタイムフィードバック制御の交互実行
4D制御空間を活用する先行の工程により、選択したプラズマパラメータはそのユーザ選択値と一致する。これは、測定機器140からプラズマパラメータのリアルタイム直接測定値をとることで照合可能である。図9−11を参照して本明細書中で前述したように、こういったリアルタイム測定値は、チャンバパラメータ(例えば、PS及びPB)を変更することでプラズマパラメータVウェハ、ER、ηについてのリアルタイム測定値とユーザ選択又はターゲット値との差を最小限に抑えるフィードバック制御システムの基礎を成す。例えば、PSを変更することでER又はηのいずれかを対応するユーザ選択値に近づけ、PBを変更することでVウェハを対応するユーザ選択値に近づける。
【0096】
従って、オプションとして、図44の工程2167−2185のチャンバ制御処理を段階的に停止し、処理制御を、測定機器140によるプラズマパラメータのリアルタイム測定に基づく図9−11のフィードバック制御ループに引き継がせてもよい。このオプションは図44のブロック2187の工程に図示されている。ブロック2167−2185の変換ベース型のチャンバ制御工程は(リアルタイム測定値が利用できない)プラズマ処理開始時に用いてもよい。その後、リアルタイム測定値が利用可能となるほどにプラズマ処理が進行した後、ブロック2187の工程を実行して、チャンバ制御を図9−11のリアルタイムフィードバック制御ループへと移行する。1つ以上のプラズマパラメータのユーザ選択値に大きな変更があった際はいつでも、処理制御を一時的にブロック2167−2185の変換ベース型工程へと戻すことができる。このオプションにより、チャンバは処理レシピにおけるいかなる変更にもほぼ即座に対応することが可能となり、特筆すべき利点である。
【0097】
低制約下のケース。Vウェハ、ER及びηについてのユーザ選択値に応答した4次元PB−PS−FR−I内側制御空間における3つの選択プラズマパラメータ(例えば、Vウェハ、ER、η)の制御
図45は、次元的にユーザ制御プラズマパラメータの数を超えるチャンバパラメータ空間において操作することで自由度を上げる例を示している。これは図39で図示した制約が少ない制御ケースの4次元版であり、チャンバパラメータは交差する表面によって決定される曲線又は軌道に沿って変更可能である。
【0098】
図45の処理における第1工程では、設定点制御装置1110は選択されたプラズマパラメータ、例えばVウェハ、ER及びηについてのユーザ選択値を受け取る(ブロック2189)。次の工程で設定点制御装置1110は等高線生成装置のメモリ1120aからVウェハの固有ユーザ選択値に対応する一定ウェハ電圧の3D表面(等高線)をフェッチし、表面をSVとラベルする(ブロック2191)。設定点制御装置1110はERのユーザ選択値に対応する一定エッチング速度の3D表面(等高線)もフェッチし、表面をSERとラベルする(ブロック2193)。また、制御装置1110はηのユーザ選択値に対応する一定プラズマイオン密度の3D表面(等高線)をフェッチし、表面をSηとラベルする(ブロック2195)。次に、等高線生成装置は4DのPB−PS−FR−I内側空間における3つの表面SV、SER、Sηの交差直線又は曲線を特定する(ブロック2197)。この曲線は定められた4次元位置(PB´、PS´、FR´、I内側´)iに沿って在り、指数iは交差直線又は曲線に沿った、理論的には無限数の4次元地点の特定の1つを示している。
【0099】
次の工程で、PB、PS、FR、I内側のチャンバパラメータを同時に、4D空間における交差直線/曲線に沿った4次元位置のいずれか1つに設定する(ブロック2199)。その後、交差曲線に沿ってチャンバパラメータPB、PS、FR、I内側を変更すると、その同時値は交差直線又は曲線に沿った4次元地点(PB´、PS´、FR´、I内側´)iの1つと一致する(ブロック2201)。
【0100】
低制約4D制御空間法とリアルタイムフィードバック制御の交互実行
別のオプションとして、図45のブロック2187の工程における、図9−11のリアルタイムフィードバック制御ループへの制御の移行がある。具体的には、図45の工程2189−2201のチャンバ制御処理を段階的に停止し、処理制御を、測定機器140によるプラズマパラメータのリアルタイム測定に基づく図9−11のフィードバック制御ループに引き継がせてもよい。このオプションは図45のブロック2187の工程に図示されている。ブロック2167−2185の変換ベース型のチャンバ制御工程は(リアルタイム測定値が利用できない)プラズマ処理開始時に用いてもよい。その後、リアルタイム測定値が利用可能となるほどにプラズマ処理が進行した後、ブロック2187の工程を実行して、チャンバ制御を図9−11のリアルタイムフィードバック制御ループへと移行する。1つ以上のプラズマパラメータのユーザ選択値に大きな変更があった際はいつでも、処理制御を一時的にブロック2189−2201の変換ベース型工程へと戻すことができる。このオプションにより、チャンバは処理レシピにおけるいかなる変更にもほぼ即座に対応することが可能となり、特筆すべき利点である。
【0101】
M個のプラズマパラメータのN個のチャンバパラメータによる制御
本明細書中で上述した処理は2次元、3次元又は4次元制御空間に関連する。事実上、本発明ではどんな数のチャンバパラメータを用いてもプラズマパラメータの所望の値を数を問わず同時に実現することができる。ユーザ選択値を必要とするプラズマパラメータはイオンエネルギー又はウェハ電圧、イオン密度、イオン質量、エッチング速度、ウェハ電流、エッチング選択性その他を含むプラズマパラメータ群から選択することができる。制御されるチャンバパラメータは、ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧、内側コイル磁石電流、外側コイル磁石電流、内側ガス注入区域ガス組成、外側ガス注入区域ガス組成、内側ガス注入区域流量、外側ガス注入区域流量その他を含む群から選択してもよい。好ましくは、選択したプラズマパラメータの数は、選択したチャンバパラメータの数と同一である。しかしながら、これらの数は異なっていてもよい。例えば、選択したプラズマパラメータの数が選択したチャンバパラメータの数より少ない場合は、システムの制約は緩く、少なくとも1つ余分な自由度が在ることから、ユーザ選択プラズマパラメータ値を満たしつつチャンバパラメータを変更することが可能となる。選択したプラズマパラメータの数が選択したチャンバパラメータの数より多いなら、システムは過剰制約下にある。この場合、一定プラズマパラメータ値の等高線又は表面は幾つかの直線に沿って又は点で交差し、制御するためにはこれらの点間での選択を行うか、これらの点間で補間を行う必要がある。
【0102】
図46の処理はチャンバの特性評価を必要とし、N個のチャンバパラメータの最初の1つを選択し(ブロック2203)、測定機器140を用いてM個の選択したプラズマパラメータをサンプリングしながら選択したチャンバパラメータをランプするところから始まる(ブロック2205)。N個のチャンバパラメータの全てが選択されたか否かについての判定を行う(ブロック2207)。もしされていないなら(ブロック2207のNO分岐路)、N個のチャンバパラメータの次のパラメータを選択し(ブロック2209)、処理ループはブロック2209からブロック2205の工程へと戻る。全て選択されているならば(ブロック2207のYES分岐路)、処理を次の工程、つまりブロック2211の工程へと進める。ブロック2211の工程においては、ブロック2205での測定データを用いて、M個のプラズマパラメータのそれぞれのN変数関数を構築する。これらの関数のそれぞれはN個のチャンバパラメータ全てを独立変数をとして有する。次の工程(ブロック2213)において、M個のプラズマパラメータ各自の考えられる値について、等高線生成装置1120はN次元空間内に一定値のN−1次元等高線を構築し、N次元空間においてはN個のチャンバパラメータのそれぞれが1つの次元を表している。これで、次の工程又は処理でのM個のプラズマパラメータのN個のチャンバパラメータの同時値への変換を可能とする、チャンバの特性評価が終了する。
【0103】
図46の処理の次の段階ではM個のプラズマパラメータについてのM個のユーザ選択値のセットをN個のチャンバパラメータのN個の値の同時セットへと変換する。この段階はM個のプラズマパラメータについてのユーザ選択値を受け取るところから始まる(ブロック2215)。
【0104】
プラズマ及びチャンバパラメータの数が同一である場合(つまり、M=N)、次の工程はブロック2217の工程となる。ブロック2217の工程において、制御装置1110はM個のプラズマパラメータのそれぞれについての対応する一定値の等高線をフェッチし、N次元空間におけるその交点を決定する。次に、フィードバック制御装置950はN個のチャンバパラメータを交点でのそれぞれの値へと設定する(ブロック2219)。
【0105】
プラズマパラメータの数がチャンバパラメータの数より少ないならば(例えば、M=N−1)、システムは制約が少ない状態となることから少なくとも1つ余分の自由度がある。MがMより1つ少ないケースでは、以下の工程を行ってもよい。
【0106】
ブロック2221で、M個のプラズマパラメータのそれぞれについて対応する一定値の等高線をフェッチし、N次元空間内でのその交差直線又は曲線を決定する。
【0107】
ブロック2223で、N個のチャンバパラメータを変更することで、その各自値が交差直線/曲線上にくるようにする。
【0108】
上記の工程によりN個のチャンバパラメータの設定は完了し、M個のプラズマパラメータについてのユーザ選択値セットが得られる、或いは(逆に)M個のプラズマパラメータのユーザ選択値のN個のチャンバパラメータの所要同時値への変換が行われる。ブロック2187の任意の工程において、この処理を一時的に、測定機器140によるプラズマパラメータのリアルタイム測定に基づく図9−11のフィードバックループを参照して上述したリアルタイムフィードバック制御処理と置き換えてもよい。
【0109】
本発明をその好ましい実施形態を参照して詳細に説明してきたが、当然ながら本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなくその変更と改変は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】プラズマリアクタ及びその測定機器を示す図である。
【図2】測定機器が用いるプラズマリアクタの電気モデルを示す図である。
【図3】図1の測定機器の構造を示す図である。
【図4】図3の測定機器の入力位相プロセッサを示す図である。
【図5】図3の測定機器における伝送線変換プロセッサを示す図である。
【図6】図3の測定機器におけるグリッド/接地変換プロセッサを示す図である。
【図7】図3の測定機器におけるグリッド/ウェハ変換プロセッサを示す図である。
【図8】図3の測定機器における複合変換プロセッサを示す図である。
【図9】図3の測定機器を含むプラズマリアクタ用の処理フィードバック制御システムを示す図である。
【図10】処理フィードバック制御システムの別のインプリメンテーションを示す図である。
【図11】プラズマリアクタを備えたシステムに接続された、図3の測定機器、一定等高線生成装置及び処理設定点制御装置を示す図である。
【図12】〜
【図14】図11のシステムにより生成された一定性能パラメータ値の異なる等高線を示す図である。
【図15】一定パラメータ値の異なる等高線の交点で最適な動作点を見つけるための方法を示す図である。
【図16】図11のシステムにおける処理設定点制御装置を示す図である。
【図17】〜
【図19】図11のシステム内の等高線生成装置の処理設定点制御装置によって行われる各演算を示す図である。
【図20】チャンバ圧100mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図21】チャンバ圧30mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図22】チャンバ圧70mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図23】チャンバ圧150mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図24】チャンバ圧200mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図25】チャンバ圧250mTでの一定ウェハ電圧の等高線、一定エッチング速度の等高線及び一定イオン密度の等高線を重ね合わせたものを示す図である。
【図26】本発明の更なる実施形態によるプラズマリアクタの簡略ブロック図である。
【図27】〜
【図32】ソース電力、バイアス電力及びチャンバ圧の変数について異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図である。図27は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数はプラズマソース電力のチャンバパラメータである。図28は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数はプラズマバイアス電力のチャンバパラメータである。図29は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数はチャンバ圧のチャンバパラメータである。図30は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数は内側磁気コイル電流のチャンバパラメータである。図31は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数は外側磁気コイル電流のチャンバパラメータである。図32は異なるプラズマパラメータの1変数関数を構築するための処理を示す図であり、変数はガス流量又はガス組成のチャンバパラメータである。
【図33】〜
【図36】4つのプラズマパラメータの一定値の等高線(つまり、表面)がソース電力、バイアス電力及びチャンバ圧の次元から成る3次元制御空間において図27−32の1変数関数から生成される例を示す図である。図33は3次元制御空間内でウェハ電圧のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図34は3次元制御空間内でエッチング速度のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図35は3次元制御空間内でプラズマイオン密度のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図36は3次元制御空間内でウェハ電流のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。
【図37】図33−36の一定値等高線を用いて3つのプラズマパラメータを制御するための処理を示す図である。
【図38】図37の処理における、3次元制御空間内での一定値等高線の交点を示す図である。
【図39】図38の3次元制御空間に対応した3次元制御空間の図であるが、一定値等高線が2本しか指定されていないため曲線に沿って3次元空間に交差している、制約が低いケースであり、図39は交差曲線に沿ってチャンバパラメータを変化させる方法を示す図である。
【図40】〜
【図43】4つのプラズマパラメータの一定値の等高線(つまり、表面)が図27−32の1変数関数から、ソース電力、バイアス電力、ガス流量(又は組成)及び磁気コイル電流の次元から構成される4次元制御空間に生成される例を示す図である。図40は4次元制御空間内でウェハ電圧のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図41は4次元制御空間内でエッチング速度のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図42は4次元制御空間内でプラズマイオン密度のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための処理を示す図である。図43は4次元制御空間内でウェハ電流のプラズマパラメータについて一定値の等高線を生成するための方法を示す図である。
【図44】図40−43の一定値等高線を用いて4つのプラズマパラメータを制御するための処理を示す図である。
【図45】図44の処理の低制約版を示す図であり、3つのプラズマパラメータのみを4次元制御空間内で制御しており、これは3つのプラズマパラメータをその対応する3つの等高線がそれに沿って4次元空間内で交差するところの軌道又は曲線に沿って変更することで行われる。
【図46】リアクタチャンバの特性評価を行い、N個のチャンバパラメータを用いてM個のプラズマパラメータを制御するための処理を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプラズマパラメータの所望の値に従ってプラズマリアクタの複数のチャンバパラメータを制御するための方法であり、
ウェハ電圧、イオン密度、エッチング速度、ウェハ電流、エッチング選択性、イオンエネルギー及びイオン質量を含む群から選択されるM個のプラズマパラメータについてのM個の所望の数値のセットを、ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧、内側磁気コイル電流、外側磁気コイル電流、内側領域ガス流量、外側領域ガス流量、内側領域ガス組成、外側領域ガス組成を含む群から選択されるN個の各チャンバパラメータについてのN個の数値のセットへと同時変換することを含み、ここでMとNは整数であり、
前記N個のチャンバ制御パラメータを前記N個の値のセットに設定することを含む方法。
【請求項2】
変換工程が、
(a)前記チャンバパラメータのそれぞれについて、前記ウェハ支持台座部へのRFバイアス電力入力側でRF電気パラメータをサンプリングし、前記RF電気パラメータの各サンプルから複数のプラズマパラメータの値を算出しながら1チャンバパラメータのレベルをランプし、前記値を前記1チャンバパラメータの対応するレベルと共に対応するチャンバパラメータデータとして保存し、
(b)前記チャンバパラメータのそれぞれについて、対応するチャンバパラメータデータから前記1チャンバパラメータを独立変数として有する、前記複数のプラズマパラメータのそれぞれについて1変数関数を演繹し、
(c)前記関数の組合せから、前記チャンバパラメータ全ての同時値を定義する、それぞれが前記複数のプラズマパラメータの1つの各一定値に対応する表面を構築し、前記表面を保存することを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
変換工程が更に、
(a)前記複数のプラズマパラメータのそれぞれについて、前記1プラズマパラメータの所望の値に対応する一定値の関連する表面をフェッチし、前記チャンバパラメータの前記N個の値を定義する、関連する表面の交点を決定することを含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記チャンバパラメータ全ての同時値を定義する表面を構築する工程が前記プラズマパラメータのそれぞれについて行われる以下の工程を含み、以下の工程が
各チャンバパラメータに依存する1変数関数を組み合わせて前記チャンバパラメータの複数の変数を有する単一の合成関数を生成することを含む請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記チャンバパラメータ全ての同時値を定義する表面を構築する工程が前記複数のプラズマパラメータのそれぞれについて行われる以下の工程を更に含み、以下の工程が、
合成関数を各プラズマパラメータの一連の値に等しく設定することを含む請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記チャンバパラメータ全ての同時値を定義する表面を構築する工程が前記複数のプラズマパラメータのそれぞれについて行われる以下の工程を更に含み、以下の工程が、
前記一連の値のそれぞれについて、ソース電力、バイアス電力及びチャンバ圧の、各プラズマパラメータがそれに対応する唯一の値を有するところの同時値のセットを定義する表面について解くことを含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ウェハ支持台座部へのRFバイアス電力入力側でRF電気パラメータをサンプリングする工程が
バイアス電力インピーダンス整合回路とウェハ台座部内の電極との間に連結された伝送線への入力インピーダンス、入力電流及び入力電圧を検出することを含む請求項2記載の方法。
【請求項8】
前記RF電気パラメータの各サンプルから複数のプラズマパラメータの値を算出する工程が、前記プラズマパラメータのそれぞれについて別々に計算で行われる請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記RF電気パラメータの各サンプルから複数のプラズマパラメータの値を算出する工程が、
前記伝送線とウェハ台座部内の電極との間の接合部の接合部アドミタンスを、前記入力インピーダンス、入力電流及び入力電圧と、伝送線のパラメータから算出することを含む請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記RF電気パラメータの各サンプルから複数のプラズマパラメータの値を算出する工程が、
電極と接地面との間でのシャント容量のシャント電気量を提供し、
電極と台座部上のウェハとの間での負荷容量の負荷電気量を提供することを更に含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記RF電気パラメータの各サンプルから複数のプラズマパラメータの値を算出する工程が、
前記接合部アドミタンス、前記シャント電気量、前記負荷電気量及び前記電極に印加されたRFバイアス電力の周波数から前記エッチング速度、プラズマイオン密度及びウェハ電圧を算出することを更に含む請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記伝送線の前記パラメータが前記伝送線の長さと、前記伝送線の特性インピーダンスと、前記伝送線の複素損失係数を含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記シャント電気量を電極/接地ギャップ長さのサイズ、前記ウェハの面積、電極/接地誘電率及び電極/接地導体損失成分から算出する請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記負荷電気量が電極/ウェハギャップ長さ、ウェハの面積、電極/ウェハ誘電率及び電極/ウェハ導体損失成分から算出する請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記エッチング速度、プラズマイオン密度及びウェハ電圧の算出工程が、
まず、前記ウェハ電圧と、プラズマサセプタンスを含むプラズマアドミタンスの虚数部を算出し、前記ウェハ電圧と前記プラズマサセプタンスから前記イオン密度とエッチング速度を算出することを含む請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記複数のプラズマパラメータの数が前記複数のチャンバパラメータの数に等しい請求項3記載の方法。
【請求項17】
前記複数のプラズマパラメータの数が前記複数のチャンバパラメータの数より小さい又は大きい請求項3記載の方法。
【請求項1】
複数のプラズマパラメータの所望の値に従ってプラズマリアクタの複数のチャンバパラメータを制御するための方法であり、
ウェハ電圧、イオン密度、エッチング速度、ウェハ電流、エッチング選択性、イオンエネルギー及びイオン質量を含む群から選択されるM個のプラズマパラメータについてのM個の所望の数値のセットを、ソース電力、バイアス電力、チャンバ圧、内側磁気コイル電流、外側磁気コイル電流、内側領域ガス流量、外側領域ガス流量、内側領域ガス組成、外側領域ガス組成を含む群から選択されるN個の各チャンバパラメータについてのN個の数値のセットへと同時変換することを含み、ここでMとNは整数であり、
前記N個のチャンバ制御パラメータを前記N個の値のセットに設定することを含む方法。
【請求項2】
変換工程が、
(a)前記チャンバパラメータのそれぞれについて、前記ウェハ支持台座部へのRFバイアス電力入力側でRF電気パラメータをサンプリングし、前記RF電気パラメータの各サンプルから複数のプラズマパラメータの値を算出しながら1チャンバパラメータのレベルをランプし、前記値を前記1チャンバパラメータの対応するレベルと共に対応するチャンバパラメータデータとして保存し、
(b)前記チャンバパラメータのそれぞれについて、対応するチャンバパラメータデータから前記1チャンバパラメータを独立変数として有する、前記複数のプラズマパラメータのそれぞれについて1変数関数を演繹し、
(c)前記関数の組合せから、前記チャンバパラメータ全ての同時値を定義する、それぞれが前記複数のプラズマパラメータの1つの各一定値に対応する表面を構築し、前記表面を保存することを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
変換工程が更に、
(a)前記複数のプラズマパラメータのそれぞれについて、前記1プラズマパラメータの所望の値に対応する一定値の関連する表面をフェッチし、前記チャンバパラメータの前記N個の値を定義する、関連する表面の交点を決定することを含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記チャンバパラメータ全ての同時値を定義する表面を構築する工程が前記プラズマパラメータのそれぞれについて行われる以下の工程を含み、以下の工程が
各チャンバパラメータに依存する1変数関数を組み合わせて前記チャンバパラメータの複数の変数を有する単一の合成関数を生成することを含む請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記チャンバパラメータ全ての同時値を定義する表面を構築する工程が前記複数のプラズマパラメータのそれぞれについて行われる以下の工程を更に含み、以下の工程が、
合成関数を各プラズマパラメータの一連の値に等しく設定することを含む請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記チャンバパラメータ全ての同時値を定義する表面を構築する工程が前記複数のプラズマパラメータのそれぞれについて行われる以下の工程を更に含み、以下の工程が、
前記一連の値のそれぞれについて、ソース電力、バイアス電力及びチャンバ圧の、各プラズマパラメータがそれに対応する唯一の値を有するところの同時値のセットを定義する表面について解くことを含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ウェハ支持台座部へのRFバイアス電力入力側でRF電気パラメータをサンプリングする工程が
バイアス電力インピーダンス整合回路とウェハ台座部内の電極との間に連結された伝送線への入力インピーダンス、入力電流及び入力電圧を検出することを含む請求項2記載の方法。
【請求項8】
前記RF電気パラメータの各サンプルから複数のプラズマパラメータの値を算出する工程が、前記プラズマパラメータのそれぞれについて別々に計算で行われる請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記RF電気パラメータの各サンプルから複数のプラズマパラメータの値を算出する工程が、
前記伝送線とウェハ台座部内の電極との間の接合部の接合部アドミタンスを、前記入力インピーダンス、入力電流及び入力電圧と、伝送線のパラメータから算出することを含む請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記RF電気パラメータの各サンプルから複数のプラズマパラメータの値を算出する工程が、
電極と接地面との間でのシャント容量のシャント電気量を提供し、
電極と台座部上のウェハとの間での負荷容量の負荷電気量を提供することを更に含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記RF電気パラメータの各サンプルから複数のプラズマパラメータの値を算出する工程が、
前記接合部アドミタンス、前記シャント電気量、前記負荷電気量及び前記電極に印加されたRFバイアス電力の周波数から前記エッチング速度、プラズマイオン密度及びウェハ電圧を算出することを更に含む請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記伝送線の前記パラメータが前記伝送線の長さと、前記伝送線の特性インピーダンスと、前記伝送線の複素損失係数を含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記シャント電気量を電極/接地ギャップ長さのサイズ、前記ウェハの面積、電極/接地誘電率及び電極/接地導体損失成分から算出する請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記負荷電気量が電極/ウェハギャップ長さ、ウェハの面積、電極/ウェハ誘電率及び電極/ウェハ導体損失成分から算出する請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記エッチング速度、プラズマイオン密度及びウェハ電圧の算出工程が、
まず、前記ウェハ電圧と、プラズマサセプタンスを含むプラズマアドミタンスの虚数部を算出し、前記ウェハ電圧と前記プラズマサセプタンスから前記イオン密度とエッチング速度を算出することを含む請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記複数のプラズマパラメータの数が前記複数のチャンバパラメータの数に等しい請求項3記載の方法。
【請求項17】
前記複数のプラズマパラメータの数が前記複数のチャンバパラメータの数より小さい又は大きい請求項3記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【公開番号】特開2008−147673(P2008−147673A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−317794(P2007−317794)
【出願日】平成19年12月9日(2007.12.9)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317794(P2007−317794)
【出願日】平成19年12月9日(2007.12.9)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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