説明

PLL回路および記録情報再生装置

【課題】PD出力から微分値を求めると、平均値が“0”の周期関数の微分の平均値はやはり“0”となり、上下バランスが崩れた位相誤差検出特性が得られない。
【解決手段】加算器4203の加算結果ADDである位相誤差絶対値を絶対値比較器4205でしきい値Vthと比較し、当該位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えた時点でのPHERR信号の極性と、現時点でのPHERR信号の極性とを不一致検出回路4208で比較する。そして、不一致のときにビットスリップが起きたと判断し、現時点でのPHERR信号の極性を極性反転回路4210で反転し、最終的なPD出力とすることで、上下バランスが崩れた位相誤差検出特性を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PLL(Phase Locked Loop;位相ロックドループ)回路および当該PLL回路を用いた記録情報再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクにおいては、近年、DVD(Digital Versatile Disc)からBlu−ray(登録商標)ディスクへといった記録データの高密度化および読み取りスピードの高速化がますます進んでいる。そのため、より高密度、高速化に向いた読み取り方式として、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式が用いられてきている。
【0003】
PRML方式を採用したリードチャネルブロックでは、おおまかには、ディスクメディアから光ピックアップで読み出した信号の高域成分をイコライザでPR等化方式に従ってブーストし、アナログ波形のイコライザ出力をアナログ−デジタル変換器(以下、ADCと記述する)でデジタル化して後段のデジタル信号処理ブロックへ出力する一方、ADC→位相誤差検出回路→チャージポンプ回路→ループフィルタ→電圧制御発振器(以下、VCOと記述する)→ADCのループによってPLL回路を形成し、VCOクロックをADCのサンプリングクロックとしている。
【0004】
このリードチャネルブロックにおいて、PLL回路は、ディスクメディアからの読み取り波形を正しいタイミングでサンプリングできるように、VCOクロックの位相を帰還制御している。このようなPLL回路は、一般的に、ディスク再生装置や磁気テープ再生装置等の記録情報再生装置の分野において、クロックデータリカバリー回路またはデータシンクロナイザー回路と呼ばれている。
【0005】
ここで、PLL回路の位相誤差検出回路がどのように位相差を検出しているかについて説明する。
【0006】
位相誤差検出回路では、前置のハイパスフィルタなどで直流成分が除去されたアナログ波形入力をアナログ−デジタル変換器にてサンプリングした結果のデジタル値を用い、ADC出力がゼロクロスを起こした場合に、そのゼロクロス前後の値を加算することで位相誤差を算出する。
【0007】
一例として、Blu−rayディスクでの場合を考える。Blu−ray規格においては、データ記録方式として17PP変調を採用しているため、基準クロック周期を1Tとすると、データ幅が2T〜8Tの範囲で変化するようになっている。説明しやすくするために2T信号が連続して入力された場合を考えてみる。なお、この連続した2T信号はサイン波形と考えて良く、以降の議論もこの前提で進めていく。
【0008】
図7に、PR{1,2,1}等化方式で読み出したときの、サンプリングクロックの位相が正しい場合、即ち位相ロックされている状態を示す。なお、この例では、データ振幅を20と仮定している。PR{1,2,1}等化方式における位相誤差算出式の一例として、下記(1)式
(y[n-1] + y[n]) * sign(y[n]) when sign(y[n-1])≠sign(y[n])……(1)
がある。ここに、y[n]はn番目のサンプリング値を、signy[n]はy[n]の符号を表す。
【0009】
上記(1)式の値が“0”になる場合、即ち連続する2サンプリング値がゼロクロスした場合に各々の絶対値が等しくなる状態を位相ロック状態と見なす。この計算を実現する具体回路例を図6に示す。
【0010】
図6において、ADC出力は、レジスタ101によって1T期間保持され、現在の値y[n]と1T前の値y[n−1]の極性を比べるゼロクロス判定器102により、ゼロクロスが起こったか否か、またゼロクロスが入力波形立ち上がり時か立ち下がり時かが判定される。この例では、ゼロクロスが起こればEDET信号が“1”に、さらにそれが波形立ち上がり時であればFALL信号が“0”に、波形立ち下がり時であればFALL信号が“1”になるとする。
【0011】
加算器103は、EDET信号が“1”の場合に入力2信号の加算を行う。極性反転回路104は、加算器103の加算結果をFALL信号が“0”の場合は極性反転させず、“1”の場合は極性反転を行って最終位相誤差検出出力とする。
【0012】
サンプリングクロック位相がロックした状態を示す図7の例では、振幅20÷√2≒±14が、ADCが出力したサンプリング値となっており、(1)式に従えば位相誤差検出出力、即ち位相誤差は“0”となる。
【0013】
図8に、図7で示したロック状態からサンプリングクロックの位相が少し遅れた状態を示す。クロック位相がずれることにより、ゼロクロス前後でサンプリング値の絶対値が変わってくる。図8の例では、入力波形が立ち上がる場合のゼロクロス前後でy[1]=−12、y[2]=+16となっており、ここで算出される位相誤差は(1)式に従い+4となる。また、立ち下がる場合のゼロクロス前後では例えばy[3]=+13、y[4]=−16となっており、こちらの位相誤差も(1)式に従いやはり+4と算出される。
【0014】
次に、サンプリングクロックの位相がさらに遅れた場合を図9に示す。この例では位相ずれは約0.5T=π[rad]弱となっており、y[1]=−1、y[2]=+19であることより、ここでの位相誤差は+18と算出される。また同じく、y[3]=+1、y[4]=−19であるので、ここでの位相誤差も+18と算出される。
【0015】
さらにサンプリングクロックが遅れ、位相ずれ量がπ[rad]を超えると位相誤差の極性が反転する。図10に示す例では、位相ずれがπ[rad]を超えることで、y[1]はすでに正側へと移り、よってゼロクロス前後で位相誤差が算出されるという約束に従うと、ここでの位相誤差はy[0]とy[1]から算出される。y[0]=−19、y[1]=+1であることより、ここでの位相誤差は−18と算出される。また、立ち下がり時の場合もy[2]=+19、y[3]=−1であるので、位相誤差はやはり−18と算出される。
【0016】
このように、当該位相誤差検出回路の位相誤差検出特性を概略的に示すと、図11に示す形を持ち、位相誤差が−π[rad]〜+π[rad]の間は原点に点対称な単調増加特性を持ち、位相誤差が±π[rad]を超えるとその後は2π[rad]毎に同特性を繰り返す。
【0017】
さて、このような位相誤差検出特性を持つ位相誤差検出回路であるが、この位相誤差検出回路では初期周波数誤差が大きい場合に周波数引き込みが出来ないという問題がある。このことについて以下に説明する。
【0018】
今、初期位相誤差が“0”で初期周波数誤差だけが存在している場合について図11を使って考える。初期位相誤差が“0”なので、当初位相誤差検出出力は図11の原点に位置する。しかしながら、初期周波数誤差が存在するので、PLL動作開始から時間を経るに連れて位相誤差が徐々に大きくなってくる。図11で言うと、位相誤差検出出力が原点から徐々に外側に向かって大きくなっていく。
【0019】
ここで、初期周波数誤差が非常に小さく位相誤差が増加していく速度がPLLのループ動作帯域に比べて充分に遅ければ、位相誤差が±π[rad]を超える前にPLL動作によって周波数誤差は補正されて位相誤差検出出力は図11の原点に戻ってくるが、初期周波数誤差が大きくPLLの動作帯域よりも速い速度で位相誤差が増加していく場合には、位相誤差が±π[rad]以下の場合は周波数誤差を補正する働きをPLLは行なうが、±π[rad]を超えた瞬間、位相誤差検出出力の極性が反転し、PLLは周波数誤差を助長する方向へと働いてしまう。よって、位相誤差もさらに大きくなっていき、その後は±2nπ(nは任意の自然数)毎に同じ現象の繰り返しが起こってしまう。このような現象により、位相誤差検出出力の平均値は長い時間を通して見ると“0”となり、周波数ずれを補正することが出来ない。
【0020】
このような非常に弱い位相誤差検出回路の周波数引き込み性能を補うべく、リードチャネルブロックでは、一般的に、現在読み出しているディスクの回転スピードからサンプリングクロックの基準周波数が得られるという特質を活かし、図12に示すように、上述した位相誤差検出回路を含むPLL回路を用いたデータシンクロナイザー回路200に対して周波数情報を生成する周波数シンセサイザー回路300を併せて設けている。
【0021】
この周波数シンセサイザー回路300には、エッジ比較を行ない周波数および位相の両方を引き込める一般的なPLL回路が用いられ、現在読み出し中のデータレート基準周波数クロックにロックするように動作する。
【0022】
ここで、一般的には、周波数シンセサイザー回路300に用いられる電圧制御発振器VCO_synthとして、データシンクロナイザー回路200に用いられる電圧制御発振器VCO_syncと同一のものを用いる。そして、電圧制御発振器VCO_synthの発振周波数情報を例えばバイアス電流などを使って電圧制御発振器VCO_syncへ予め与えることにより、データシンクロナイザー回路200の初期周波数ずれを小さく抑えている。
【0023】
ここで、周波数シンセサイザー回路300に使用される位相検出回路について簡単に説明する。
【0024】
この位相検出回路としては、通常、図13に示すような、入力がクロック信号であるPLL回路に用いられているエッジ比較タイプの回路構成のものが用いられる。この種の位相検出回路は、位相ずれと周波数ずれの両方を引き込めるので位相周波数検出回路(Phase Frequency Detector:PFD)と呼ばれることが多い。
【0025】
図14に、この位相周波数検出回路の位相検出特性を示す。これを見ると、初期周波数ずれが大きく位相誤差が±2πを超えて大きくなっていったとしても常にPFD出力の極性は一方向のみであり、長い時間を通して見るとPFD出力の平均値は“0”ではないため、やがて周波数ずれを補正することが可能となる。
【0026】
しかしながら、この位相周波数検出回路は、あくまで2クロック間のエッジを比較することしか出来ないために、入力としてディスクからの読み出し信号といったアナログ波形を扱うリードチャネルブロックには適用できない。
【0027】
さて、データシンクロナイザー回路200における初期周波数ずれであるが、例えこのような周波数シンセサイザー回路300を用いて周波数情報をデータシンクロナイザー回路200内の電圧制御発振器VCO_syncへ渡しても、プロセス製造時のばらつきやチップ内温度分布の差などにより、どうしても周波数シンセサイザー回路300内の電圧制御発振器VCO_synthとデータシンクロナイザー回路200内の電圧制御発振器VCO_syncとの間で発振周波数の差、即ちデータシンクロナイザー回路200にとっての初期周波数ずれが生じてしまう。この初期周波数ずれが大きいと、前述したように、データシンクロナイザー回路200の位相誤差検出回路が位相誤差を補正できない恐れが生じる。
【0028】
このため、従来は、プロセスや温度の変動の影響をなるべく受けないよう、チップ上で極力近くにレイアウトを行うといった対策を採っていた。また、この問題を解決する方法として、位相比較結果の今回値と前回値の差分(位相誤差の微分値)を、元々の位相誤差検出出力に足し合わせてPLLループに供給することにより、引き込み周波数差が大きくても同期動作を行う、といった提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0029】
すでに述べたように、初期周波数ずれが大きいと位相誤差検出出力は、図11に示すように、周期的に正負の間で反転を繰り返すが、このような周期関数の微分値はやはり周期関数であり、またその平均値は“0”である。よって、単純に微分値を位相誤差検出出力に足し合わせるだけでは周波数引き込みが出来ない。
【0030】
これに対して、特許文献1記載の従来技術では、微分値の極性が所望と反対になるビットスリップ付近で微分値の絶対値が大きくなることを利用し、任意のしきい値を与えて微分値がそれを超えたものについては無効化することにより、平均値が“0”になることを防ぐと同時に所望の極性の値のみ取捨選択することを可能としている。
【0031】
【特許文献1】特開平11−162122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
特許文献1記載の従来技術では、周波数ずれが存在する場合の位相誤差検出出力が単調に変化するような、入力信号が非常に理想的に等化された状態を大前提としている。しかしながら、実際のアプリケーション(例えば、光ディスク用リードチャネルなど)では、入力信号の位相等化特性の悪化などにより、図15(a)に示すように、毎回の位相誤差検出出力値が大きくバタつくことが十分にあり得る。このような位相誤差検出出力から微分値を求めると、図15(b)に示すように、比較的絶対値が大きくさらに正負入り交じったものしか得られない。これではあるしきい値を設けて所望の極性({ HYPERLINK \l "Fig15" ,図15}の例では正側)のみを取捨選択するということは事実上不可能であり、依然として「平均値が“0”の周期関数の微分の平均値はやはり“0”となる」という基本的な問題が残ってしまうことになる。
【0033】
そこで、本発明は、入力信号の位相等化特性の悪化などにより、位相誤差検出出力値が大きくバタつくことがあったとしても、初期周波数誤差が大きい場合に周波数引き込みを行うことが出来る位相誤差検出回路を有するPLL回路および当該PLL回路を用いた記録情報再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体から読み取った信号をサンプリングクロックで量子化するアナログ−デジタル変換器と、前記アナログ−デジタル変換器で量子化されたデータ列信号を基に所望のクロックと前記サンプリングクロックとの位相誤差を検出して位相誤差検出信号を出力する位相誤差検出回路と、前記位相誤差検出回路が出力する前記位相誤差検出信号に応じて発振周波数が変化するとともに、その発振クロックを前記サンプリングクロックとして与える発振器とを備えたPLL回路において、位相誤差検出回路を次のような構成としている。
【0035】
すなわち、位相誤差検出回路は、前記データ列信号と1クロック周期前のデータ列信号とから位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、前記位相誤差検出手段による位相誤差の絶対値が所定のしきい値を超えたことを検出する絶対値比較手段と、前記絶対値比較手段による検出時の前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性を当該絶対値比較手段による検出期間の間保持する保持手段と、前記保持手段に保持されている極性と前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性との不一致を検出する不一致検出手段と、前記不一致検出手段が不一致を検出したときは前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性を反転して前記位相誤差検出信号とし、前記不一致検出手段が不一致を検出しないときは前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性を反転せずに前記位相誤差検出信号とする極性反転手段とを有する構成となっている。このPLL回路は、記録媒体の記録情報を再生する記録情報再生装置において、データシンクロナイザー回路(クロックデータリカバリー回路)として用いられる。
【0036】
上記構成のPLL回路またはこれを用いた記録情報再生装置において、位相誤差の絶対値が所定のしきい値を超えたということは、位相誤差が±π[rad]近辺、即ちビットスリップが起きる近辺であるということになる。そして、位相誤差絶対値がしきいを超えた時点での位相誤差の極性と、現時点での位相誤差の極性とが不一致のときにビットスリップが起きたと判断し、位相誤差の極性を反転させて、ビットスリップが起きる以前の位相誤差の極性と同極性にする操作を、位相誤差の絶対量がしきい値を下回るまで行うことで、上下バランスが崩れた位相誤差検出特性を実現できる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、入力信号の位相等化特性の悪化などにより、位相誤差検出出力値が大きくバタつくことがあったとしても、上下バランスが崩れた位相誤差検出特性を実現できるために、初期周波数誤差が大きい場合に周波数引き込みを確実に行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明が適用される記録情報再生装置、例えば読み取り方式としてPRML方式を採用した光ディスク再生装置のリードチャネルブロックの構成例を示すブロック図である。ただし、本発明は、光ディスクを記録媒体とする光ディスク再生装置への適用に限られるものではなく、磁気ディスクや磁気テープなどを記録媒体とし、当該記録媒体の記録情報を再生する記録情報再生装置全般に対して適用可能である。
【0040】
図1において、DVDやBlu−rayディスク等のディスクメディア10の記録情報は、光ピックアップ(OP)20によって読み取られ、イコライザ(EQ)回路30を介してデータシンクロナイザー回路(または、クロックデータリカバリー回路)40に供給される。イコライザ回路30は、光ピックアップ20から出力される信号の高域成分をPR等化方式に従ってブーストする。
【0041】
データシンクロナイザー回路20は、ADC(アナログ-デジタル変換器)41、位相誤差検出(PD)回路42、チャージポンプ(CP)回路43、ループフィルタであるローパスフィルタ(LPF)44およびVCO(電圧制御発振器)45からなるPLL回路によって構成されている。
【0042】
このデータシンクロナイザー回路20において、ADC41は、アナログ波形のイコライザ回路30の出力信号を量子化(デジタル化)して後段のデジタル信号処理(DSP)ブロック50へ出力するとともに、位相誤差検出回路42に位相誤差の検出対象として与える。位相誤差検出回路42は、ADC41の出力信号であるデータ列信号からADCサンプリングクロックの位相誤差を検出する。この位相誤差検出回路42の具体的な構成が本発明の特徴とするところであり、その詳細については後述する。
【0043】
チャージポンプ回路43は、位相誤差検出回路42の位相誤差検出信号を電流信号に変換する。ローパスフィルタ44は、チャージポンプ回路43から出力される電流信号を用いてループ全体の特性を決める。VCO45は、ローパスフィルタ44の出力電圧によって発振周波数が制御される。VCO45の発振クロックは、ADC41のサンプリングクロックとなる。すなわち、ADC41は、VCO45の発振クロックによってサンプリング動作を行う。
【0044】
このADC41→位相誤差検出回路42→チャージポンプ回路43→ローパスフィルタ44→VCO45→ADC41のループによってPLL回路が形成されている。そして、このPLL回路からなるデータシンクロナイザー回路20は、ディスクメディア10からの読み取り波形を正しいタイミングでサンプリング出来るように、VCO45の発振クロックの位相を帰還制御している。
【0045】
このデータシンクロナイザー回路20において、位相誤差検出回路42は、基本的な概念として、位相誤差が±πを超えたこと、即ちビットスリップが起きたことを検出し、ビットスリップが起きたら位相誤差検出出力(以下、PD出力と記述する)に細工を施すことで、位相ずれのみでなく、周波数ずれをも検知できるようにしている。すなわち、先述したように(図11参照)、ビットスリップを起こすと、位相誤差絶対値は大きいままで極性が変化することを利用するようにしている。
【0046】
図2に示すように、先ず、ある任意のしきい値VthをPD出力値に対して設定する。そして、位相誤差がしきい値Vthを超えて出力されているという状態は、位相誤差が±π[rad]近辺、即ちビットスリップが起きる近辺である状態なので、そこから周波数ずれによってさらに位相誤差が大きくなりPD出力の極性が反転したら、その時点でビットスリップが起こったと判断し、出力の極性を反転させて、ビットスリップが起きる以前の出力と同極性にする。
【0047】
例えば、しきい値Vthを+16と設定し、PD出力がある時点でこれを超えた+19を出力したとする。周波数ずれが存在するためそのまま位相誤差は大きくなっていき、次に位相誤差検出回路42が位相誤差を算出した結果−18を出力したとする。これは位相誤差が+πを超えてビットスリップを起こしたものと判断し、最終的なPD出力はビットスリップが起きる以前の算出結果である+19と同極性にし、+18を出力させる。
【0048】
この操作を、位相誤差絶対量がしきい値Vthを下回るまで行う。こうすることで位相誤差検出特性の上下バランスを崩し、初期周波数ずれのために位相誤差が±πを超えてずれていってもPD出力平均値が“0”になることを防ぐことができるために、周波数引き込み特性を改善できる。これを実現する位相誤差検出回路42の具体的な実施例について以下に説明する。
【0049】
[実施例1]
図3は、実施例1に係る位相誤差検出回路42Aの回路例を示すブロック図である。なお、この回路例では、図1のADC41から位相誤差検出回路42Aに与えられる信号は2の補数表現であると想定している。また、図中、太線はバス信号経路を表している。
【0050】
図3に示すように、実施例1に係る位相誤差検出回路42Aは、レジスタ4201、ゼロクロス判定器4202、加算器4203、極性反転機能付きレジスタ4204、絶対値比較器4205、レジスタ4206,4207、不一致検出回路4208、AND回路4209および極性判定回路4210を有し、図1のVCO45の発振クロック、即ちADC41のサンプリングクロックをクロックCKとして回路動作を行う構成となっている。
【0051】
レジスタ4201は、ADC41から供給されるデータ列信号を1T期間保持する。ゼロクロス判定器4202は、ADC41から供給されるデータ列信号のうち極性を示しているMSBを用いて、その現在値と1T前の値とを比べてゼロクロスが起こったか否か、またそれは波形立ち上がり時か波形立ち下がり時かを判定する。この例では、ゼロクロスが起こればEDET信号が“1”に、波形立ち下がり時であればFALL信号が“1”になるとする。
【0052】
加算器4203は、ADC41から供給されるデータ列信号と、レジスタ4201を経た1T前のデータ列信号とを2入力とし、EDET信号が“1”の場合に入力2信号の加算を行ってその加算結果ADDを位相誤差として出力する。極性反転機能付きレジスタ4204は、FALL信号が“0”の場合は加算結果ADDの極性を反転させず、FALL信号が“1”の場合は極性反転を行ってPHERR信号として保持し、これを出力する。すなわち、加算器4203は、ADC41から供給されるデータ列信号と1クロック周期前のデータ列信号とから位相誤差を検出する位相誤差検出手段としての機能を持つ。
【0053】
絶対値比較器4205は、加算器4203の加算結果ADD(位相誤差)を位相誤差検出回路42Aの外部から与えられる任意のしきい値Vthと比較し、加算結果ADDの絶対値(以下、位相誤差絶対値と記述する)がしきい値Vthを超えたとき“1”を出力する。レジスタ4206は、絶対値比較器4205の出力信号をEDET信号の立ち下がりのタイミングで保持し、位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えている間は絶対値比較器4205の出力信号を保持し、これを出力し続ける。
【0054】
レジスタ4207は、極性反転機能付きレジスタ4204から出力されるPHERR信号の極性を示しているPHERR_MSBを、レジスタ4206の出力信号の立ち上がりタイミング、即ち位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えたタイミングで保持する。すなわち、レジスタ4207は、位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えたことを絶対値比較器4205が検出した時点の加算器4203の加算結果ADD、具体的には極性反転機能付きレジスタ4204から出力されるPHERR信号の極性を、絶対値比較器4205による検出期間の間、即ち位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えている間保持する保持手段としての機能を持つ。
【0055】
不一致検出回路4208は、レジスタ4207の出力信号、即ち位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えた時点でのPHERR信号の極性と、現時点でのPHERR信号の極性とを比較し、一致しているならば“0”を、不一致ならば“1”を出力する。この不一致検出回路4208での判定が不一致のときは、ビットスリップが起きたと判断されたということになる。すなわち、不一致検出回路4208は、レジスタ4207に保持されているPHERR信号の極性と極性反転機能付きレジスタ4204から出力されるPHERR信号の極性との不一致を検出する不一致検出手段としての機能を持つ。
【0056】
AND回路4209は、レジスタ4206の出力信号が“1”になっている間、即ち位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えている間のみ不一致検出回路4208の検出結果を出力する。極性反転回路4210は、AND回路4209の出力結果が“1”ならばビットスリップが起きたと判断してPHERR信号の極性を反転し、AND回路4209の出力結果が“0”ならばPHERR信号の極性を反転させずに最終的なPD出力とする。
【0057】
上記構成の位相誤差検出回路42Aにおいて、ADC41から供給されるデータ列信号はレジスタ4201によって1T期間保持され、極性を示すMSBの現在値と1T前の値とを比べるゼロクロス判定器4202により、ゼロクロスが起こったか否か、またゼロクロスが入力波形立ち上がり時か立ち下がり時かが判定される。
【0058】
一方、加算器4203では、EDET信号が“1”の場合に、ADC41から供給される信号と1T前の信号との加算が行われ、その加算結果ADDが位相誤差として出力される。この加算結果ADDは、極性反転回路4204でFALL信号が“0”の場合は極性反転されず、“1”の場合は極性反転されてPHERR信号として出力される。
【0059】
また、加算器4203の加算結果ADDである位相誤差絶対値が絶対値比較器4205で任意のしきい値Vthと比較され、当該位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えたとき“1”が出力される。ここで、位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えたということは、位相誤差が±π[rad]近辺、即ちビットスリップが起きる近辺であるということになる。
【0060】
そして、位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えた時点でのPHERR信号の極性と、現時点でのPHERR信号の極性とが不一致検出回路4208で比較され、不一致のときにビットスリップが起きたと判断される。この判断結果(不一致検出結果)は、AND回路4209を通して、位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えている間のみ出力される。このAND回路4209の出力結果が“1”ならば、ビットスリップが起きたということになるので、PHERR信号の極性が極性反転回路4210で反転され、最終的なPD出力となる。
【0061】
位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えて出力されているという状態は、位相誤差が±π[rad]近辺、即ちビットスリップが起きる近辺である状態であることから、そこから周波数ずれによってさらに位相誤差が大きくなり、位相誤差絶対値がしきい値Vthを超えた時点でのPHERR信号の極性と、現時点でのPHERR信号の極性とが不一致となったとき、即ちPHERR信号の極性が反転したとき、その時点でビットスリップが起こったと判断し、PHERR信号の極性を反転させて、ビットスリップが起きる以前のPHERR信号と同極性にする操作を、位相誤差絶対量がしきい値Vthを下回るまで行うことで、図2に示す位相誤差検出特性を実現できる。
【0062】
図2から明らかなように、本実施例1に係る位相誤差検出回路42Aの位相誤差検出特性は、上下バランスが崩れた特性となっている。すなわち、入力信号の位相等化特性の悪化などにより、PD出力値が大きくバタつくことがあったとしても、上下バランスが崩れた位相誤差検出特性を実現できる。この位相誤差検出特性の実現により、初期周波数ずれのために位相誤差が±πを超えてずれていってもPD出力平均値が“0”になることを防ぐことができるために、周波数引き込み特性を改善できる。図2に示す位相誤差検出特性は、周波数誤差により位相誤差が大きく崩れていった場合のPD出力平均値が“0”から外れるという点において図14に示す位相検出特性に近く、よって周波数引き込み性能の改善につながる。
【0063】
このように、位相誤差検出回路42Aに周波数引き込み特性を持たせることにより、初期周波数ずれが大きい場合のデータシンクロナイザー回路40の動作破綻を防止できる。また、使用条件によっては、図12に示すような周波数シンセサイザー回路を併せて設ける必要がないために、データシンクロナイザー回路40の大幅な回路および消費電力の削減につながる。
【0064】
ただし、非常に初期周波数誤差が大きい場合には、図12に示すように、周波数シンセサイザー回路を併せて設ける方が好ましい。このように、周波数シンセサイザー回路を併設した場合でも、当該周波数シンセサイザー回路が厳格に周波数ロックしない状態でデータシンクロナイザー回路40へ動作シーケンスが移ったとしても、当該データシンクロナイザー回路40が位相誤差検出回路42Aを有することによって充分に位相を引き込むことが可能となるために、リードチャネルブロック全体の動作シーケンスに費やす時間の削減につながる。
【0065】
さらに、CMOSに適したデジタル演算のみで周波数引き込み機能を実現しているために、省電力で安定的な動作が期待できる。
【0066】
以上説明した実施例1に係る位相誤差検出回路42Aでは、ビットスリップ検出用のしきい値Vthを予め外部から与えてやる構成を採っているが、位相誤差演算値はADC41の入力信号の振幅に大きく依存するため、想定外に振幅が大きい、または小さいということが起きると、ビットスリップ検知機能が正しく動作しなくなる懸念がある。
【0067】
前述したように、光ディスクにおいてはその記録方式により、基準クロック幅を1Tとした場合に、例えばDVDでは3T〜11T、Blu−rayディスクでは2T〜8Tのデータ幅が記録されている。光ピックアップ20の性能などにより、基本的には高周波成分の信号になればなるほど、即ちDVDであれば3T信号、Blu−rayディスクであれば2T信号が他に比べて振幅は小さくなってくる。したがって、しきい値Vthはそのシステムにおける最小幅の信号にて算出される位相誤差値の最大値を充分カバーする必要がある。
【0068】
そこで、ADC41の入力信号の振幅が想定外に大きい、または小さいということが起きても、ビットスリップ検知機能が正しく動作できるようにするために、自動的に適切なしきい値Vthを算出する機構を設けるようにしたのが、以下に説明する実施例2に係る位相誤差検出回路である。
【0069】
[実施例2]
図4は、実施例2に係る位相誤差検出回路42Bの回路例を示すブロック図であり、図中、図3と同等部分には同一符号を付して示している。なお、この回路例でも、図1のADC41から位相誤差検出回路42Bに与えられる信号は2の補数表現であると想定している。また、図中、太線はバス信号経路を表している。
【0070】
図4に示すように、実施例2に係る位相誤差検出回路42Bは、実施例1に係る位相誤差検出回路42Aの構成要素、即ちレジスタ4201、ゼロクロス判定器4202、加算器4203、極性反転機能付きレジスタ4204、絶対値比較器4205、レジスタ4206,4207、不一致検出回路4208、AND回路4209および極性判定回路4210に加えて、データ幅モニター回路4211、レジスタ4212,4213、平均値計算回路4214および切り替えスイッチ4215を有し、例えば、最小データ幅が2TのBlu−rayディスクに対応した構成を採っている。
【0071】
データ幅モニター回路4211は、ADC41の出力信号であるデータ列信号のデータ幅をモニターし、最小幅である例えば2Tの信号が来たと判断したときトリガー信号を平均値計算回路4214に与える。レジスタ4212は、ADC41から入力されるデータ列信号を1T期間保持する。レジスタ4213は、レジスタ4212で保持されたデータ列信号をさらに1T期間保持する。平均値計算回路4214は、データ幅モニター回路4211からトリガー信号が与えられると、レジスタ4212,4213に保持されている2T信号分のサンプリングデータ2個を使ってその平均値を計算し、当該平均値をしきい値Vthとして出力する。
【0072】
上述したデータ幅モニター回路4211、レジスタ4212,4213および平均値計算回路4214は、ADC41から入力されるデータ列信号を基に、しきい値Vthとして最適な値を自動的に設定するしきい値設定回路を構成している。
【0073】
このしきい値設定回路において、ADC41から入力されるデータ列信号のデータ幅をカウントするデータ幅モニター回路4211を使って当該データ列信号のデータ幅をモニターし、最小幅である2T信号が来たと判断すると、レジスタ4212,4213に保持されている2T信号分のサンプリングデータ2個を使って、平均値計算回路4214にてその平均値を計算し、当該平均値をしきい値Vthとして設定する。
【0074】
データ振幅が20である図7〜図10に示した入力波形がサイン波形である例を使って説明すると、図9に示すように、位相が大きくずれている場合には、2T信号の平均値は例えばy[2]=+19とy[3]=+1とから20÷2=10となる。一方、図7に示すように、位相がロックしている場合の平均値は14となり、位相がずれている場合に比べて√2倍になる。
【0075】
このように、常に最適なしきい値Vthを自動的に設定する機能を持つ実施例2に係る位相誤差検出回路42Bにおいては、実施例1に係る位相誤差検出回路42Aにおける作用効果に加えて、次の2点の作用効果を得ることができる。
【0076】
先ず1点目は、データの振幅がディスク読み出し途中で変化しても、しきい値Vthが自動的にそれに追従していく点である。2点目は、位相が大きくずれている場合にはしきい値Vthが比較的小さくなることで、図2に示すように、元の位相誤差検出回路の位相検出特性からの反転領域が増えることによって素早い引き込み性能が得られ、一方で位相がロックしてくるとしきい値Vthが比較的大きくなることで、ノイズなどによるPD出力の突発的な無効出力に反応しにくくなるという点である。
【0077】
図5は、図15に示したPD出力に本実施例2を適用した場合のシミュレーション結果例を示す図である。このシミュレーション結果を見ると、破線で示したビットスリップ近辺におけるPD動作において、出力の極性反転が起こっており、その結果、PD出力の上下バランスが崩れ、本発明の狙いである図2に示すような現象が起きていることが確認できる。
【0078】
切り替えスイッチ5215は、本位相誤差検出回路42Bの外部から与えられるしきい値Vth1と、上記しきい値設定回路で自動的に設定されたしきい値Vth2とのいずれか一方を選択して、絶対値比較器4205にビットスリップ検出用のしきい値Vthとして与える。ビットスリップ検出用のしきい値Vthとして、外部で任意に設定するしきい値Vth1を与えるか、ADC41から入力されるデータ列信号を基に自動的に設定するしきい値Vth2を与えるかは、ユーザが切り替えスイッチ5215によって選択することになる。
【0079】
なお、本実施形態では、PR{1,2,1}等化方式による読み出しを行うBlu−rayディスクシステムにおけるデータシンクロナイザー回路(または、クロックデータリカバリー回路)に適用した場合を前提に述べてきたが、当然のことながら、位相誤差絶対値が、あるしきい値を超えたままその出力極性が反転するとビットスリップと判断し、またそのしきい値を入力データ振幅から自動的に演算する、という基本構成は他の同様なデータシンクロナイザー回路にも広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明が適用される光ディスク再生装置のリードチャネルブロックの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るPLL回路に用いられる位相誤差検出回路の位相誤差検出特性図である。
【図3】実施例1に係る位相誤差検出回路の回路例を示すブロック図である。
【図4】実施例2に係る位相誤差検出回路の回路例を示すブロック図である。
【図5】実施例2を適用した場合のシミュレーション結果例を示す図である。
【図6】従来例に係る位相誤差検出回路の回路例を示すブロック図である。
【図7】従来例に係る位相誤差検出回路の動作説明に供するタイミング波形図(その1)である。
【図8】従来例に係る位相誤差検出回路の動作説明に供するタイミング波形図(その2)である。
【図9】従来例に係る位相誤差検出回路の動作説明に供するタイミング波形図(その3)である。
【図10】従来例に係る位相誤差検出回路の動作説明に供するタイミング波形図(その4)である。
【図11】従来例に係る位相誤差検出回路の位相誤差検出特性図である。
【図12】データシンクロナイザー回路と周波数シンセサイザー回路とを併せ持つリードチャネルブロックの構成例を示すブロック図である。
【図13】エッジ比較タイプの位相周波数検出回路の構成を示すブロック図である。
【図14】エッジ比較タイプの位相周波数検出回路の位相検出特性図である。
【図15】従来技術の問題点を説明するためのシミュレーション結果例を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
10…ディスクメディア、20…光ピックアップ、30…イコライザ回路、40…データシンクロナイザー回路(PLL回路)、41…ADC(アナログ-デジタル変換器、42,42A,42B…位相誤差検出回路、43…チャージポンプ回路、44…ローパスフィルタ(ループフィルタ)、45…VCO(電圧制御発振器)、4201,4206,4207,4212,4213…レジスタ、4202…ゼロクロス判定器、4203…加算器、4204…極性反転機能付きレジスタ、4205…絶対値比較器、4208…不一致検出回路、4209…AND回路、4210…極性判定回路、4211…データ幅モニター回路、4214…平均値計算回路、4215…切り替えスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体から読み取った信号をサンプリングクロックで量子化するアナログ−デジタル変換器と、
前記アナログ−デジタル変換器で量子化されたデータ列信号を基に所望のクロックと前記サンプリングクロックとの位相誤差を検出して位相誤差検出信号を出力する位相誤差検出回路と、
前記位相誤差検出回路が出力する前記位相誤差検出信号に応じて発振周波数が変化するとともに、その発振クロックを前記サンプリングクロックとして与える発振器とを備えたPLL回路であって、
前記位相誤差検出回路は、
前記データ列信号と1クロック周期前のデータ列信号とから位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
前記位相誤差検出手段による位相誤差の絶対値が所定のしきい値を超えたことを検出する絶対値比較手段と、
前記絶対値比較手段による検出時の前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性を当該絶対値比較手段による検出期間の間保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されている極性と前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性との不一致を検出する不一致検出手段と、
前記不一致検出手段が不一致を検出したときは前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性を反転して前記位相誤差検出信号とし、前記不一致検出手段が不一致を検出しないときは前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性を反転せずに前記位相誤差検出信号とする極性反転手段とを有する
ことを特徴とするPLL回路。
【請求項2】
前記位相誤差検出回路はさらに、
前記データ列信号を基に前記しきい値として最適な値を自動的に設定するしきい値設定手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載のPLL回路。
【請求項3】
記録媒体から記録情報を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力される信号をサンプリングクロックで量子化するアナログ−デジタル変換器、当該アナログ−デジタル変換器で量子化されたデータ列信号を基に所望のクロックと前記サンプリングクロックとの位相誤差を検出して位相誤差検出信号を出力する位相誤差検出回路および当該位相誤差検出回路が出力する前記位相誤差検出信号に応じて発振周波数が変化するとともに、その発振クロックを前記サンプリングクロックとして与える発振器を含むPLL回路とを備えた記録情報再生装置であって、
前記位相誤差検出回路は、
前記データ列信号と1クロック周期前のデータ列信号とから位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
前記位相誤差検出手段による位相誤差の絶対値が所定のしきい値を超えたことを検出する絶対値比較手段と、
前記絶対値比較手段による検出時の前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性を当該絶対値比較手段による検出期間の間保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されている極性と前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性との不一致を検出する不一致検出手段と、
前記不一致検出手段が不一致を検出したときは前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性を反転して前記位相誤差検出信号とし、前記不一致検出手段が不一致を検出しないときは前記位相誤差検出手段による位相誤差の極性を反転せずに前記位相誤差検出信号とする極性反転手段とを有する
ことを特徴とする記録情報再生装置。
【請求項4】
前記位相誤差検出回路はさらに、
前記データ列信号を基に前記しきい値として最適な値を自動的に設定するしきい値設定手段を有する
ことを特徴とする請求項3記載の記録情報再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−323683(P2007−323683A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149249(P2006−149249)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】