説明

RFタグを利用した位置情報システム

【課題】RFタグを利用して、特定の領域内で移動端末による通信が不能な相手方の位置情報を測位し、当該位置情報を移動端末に提供可能とする。
【解決手段】このRFタグを利用した位置情報システムは、自己の識別番号を記憶したRFタグ1と、このRFタグ1の識別番号と自己の識別番号を合わせて送信するRFタグリーダライタ2と、このRFタグリーダライタ2よりRFタグ1及びRFタグリーダライタ2の識別情報の受信時にデータベース34の記憶内容を更新するサーバ3とを有し、このサーバ3が移動端末6からの要求に応じて上記データベース34,35より当該移動端末6の識別番号に対応するRFタグ1の識別情報を特定し、当該RFタグ1に最至近のRFタグリーダライタ2の位置情報をRFタグ1の位置情報として送出するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、RFタグを利用した位置情報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(Global Positioning System)機能付き携帯電話機等の移動端末では、そのGPS機能によりGPS衛星からの電波を受信して自分や先方の位置を測位することが一般になされている。さらに、移動体通信では、基地局との位置関係から移動端末の位置を測位することがなされている。そして、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistants)により通信を行う場合には、無線LANのアクセスポイントを利用して、それら機器の位置を測位することも一般になされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前述した如き従来技術では、先方が乳幼児や老人等で携帯電話の機能を十分に利用できない場合や、屋内でGPS衛星の電波が受信できない場合、先方が圏外に出てしまった場合には、それらの機能によって先方の位置を把握することはできない。
【0004】
この発明は、RFタグを利用して、特定の領域内で移動端末による通信が不能な相手方の位置情報を測位し、当該位置情報を移動端末に提供可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、第1の識別情報を記憶したRFタグと、上記RFタグに対して第1の識別情報の送信要求を行い、当該第1の識別情報に第2の識別情報を付加して送信するRFタグリーダライタと、移動端末の第3の識別情報と上記第1の識別情報及び上記第2の識別情報とRFタグリーダライタの位置情報とを対応付けて記憶するデータベースを備えており、上記RFタグリーダライタより上記第1の識別情報及び上記第2の識別情報を受信したときには当該データベースの記憶内容を更新するサーバと、を有し、上記サーバは、移動端末からの要求に応じて上記データベースより当該移動端末の上記第3の識別情報に対応する上記第2の識別情報を特定し、更に当該第2の識別情報に対応する上記RFタグリーダライタの位置情報を送出することを特徴とするRFタグを利用した位置情報システムが提供される。この態様において、上記RFタグリーダライタが音声出力部を更に備え、上記RFタグとの無線通信がなされた場合には当該音声出力部が所定の音声を出力することを更に特徴としてもよい。また、この態様において、上記RFリーダライタに出力器を併設し、上記サーバが移動端末から送信された画像及び音声情報を更に記憶し、上記RFタグリーダライタの位置情報に基づいてRFタグの最至近にあるRFリーダライタを特定し、当該RFリーダライタに併設された出力器より当該画像及び音声情報を出力する、ことを更に特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、RFタグを利用して、特定の領域内で移動端末による通信が不能な相手方の位置情報を測位し、当該位置情報を移動端末に提供可能とする、RFタグを利用した位置情報システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明の一実施形態のRFタグを利用した位置情報システムの概念図である。
【0008】
例えばデパートやテーマパーク等といった施設7内には、所定の間隔でRFタグリーダライタ2a乃至2jが配設されている。RFタグ1と無線通信を行うためのRFタグリーダライタ2a乃至2jはサーバ3と通信自在となっている。このサーバ3は、通信網4や交換局5を介して携帯電話機等の移動端末6と通信自在となっている。
【0009】
この実施形態に係る位置情報システムは、特定の施設7内で携帯電話機を利用できない相手の位置情報を測位するものであり、特に特定施設7内で迷子になった子供を捜すこと等を想定している。これを実現する為に、この実施形態に係る位置情報システムでは、詳細は後で述べるが、移動端末6とRFタグ1とを予め関連付けてサーバ3に登録しておき移動端末6からのリクエストに応じてサーバ3がICタグ1を最後に認識したRFタグリーダライタ2の位置又はその履歴の情報を移動端末6に通知する。このRFタグリーダライタ2の位置又はその履歴の情報は、正にRFタグ1を装着した迷子の位置或いは移動履歴を示すものであるので、移動端末6の親は、迷子の行方を迅速に把握できる。
【0010】
図2は上記RFタグ1の詳細な構成例を示す図である。
【0011】
このRFタグ1は、RFアンテナ部11と変復調部12、制御部13、記憶部14、電力発生部15を有している。RFタグ1は、RFアンテナ部11で変調された搬送波を受信し、変復調部12で当該搬送波から符号化されたデータを取り出し、復号化することで復調されたデータを得る。このデータは、制御部13に送られる。そして、当該データが読み出し指令である場合には、制御部13は記憶部14から該当するデータを読み出し変復調部12にて変調して搬送波としてRFタグリーダライタ2に送信する。上記データが書き込み指令である場合には、制御部13は記憶部14に当該データを記憶する。このRFタグリーダ2ライタから送信される搬送波は電力供給の為にも使用される。即ち、電磁波を受信した場合には、電磁誘導の原理により電力発生部15より各部に電力供給がなされる。ここでは電磁誘導方式のRFタグ1を例に挙げたが、マイクロ波方式等といった他の方式も採用し得る。
【0012】
図3は上記RFタグリーダライタ2の詳細な構成例を示す図である。
【0013】
このRFタグリーダライタ2は、RFアンテナ部21、変復調部22、制御部23、記憶部24、通信制御部25等からなる。制御部23は、RFタグ1に対する指令を含むデータを変復調部22にて符号化し、搬送波に乗せてRFアンテナ部21より定期的に発信する。RFアンテナ部21で変調された搬送波を受信すると、変復調部22で当該搬送波から符号化されたデータを取り出し、復号化することで復調されたデータを得る。このデータには、RFタグ1の識別番号に関するデータも含まれている。このデータは、制御部23に送られ、記憶部24に一時的に記憶され、定期的に制御部23により読み出されて通信制御部25を介してサーバ3に送信される。
【0014】
図4は上記サーバ3の詳細な構成例を示す図である。
【0015】
このサーバ3は、通信制御部31、制御部32、記憶部33、データベース(以下、DBと略記する)34,35からなる。DB34には、例えば図5に示されるように、RFタグ識別番号、移動端末識別番号、RFタグ読み出し時刻、RFタグリーダライタ識別番号が対応付けられて記憶されている。RFタグ読み出し時刻は適宜内容が更新されることになるが、時系列的な変化を移動履歴として記憶してもよい。DB35には、例えば図6に示されるように、RFタグリーダライタ識別番号とその位置情報が対応付けられて記憶されている。位置情報に対応する画像(地図)データを合わせて記憶してもよい。
【0016】
RFタグリーダ2から送信されたRFタグ1の識別番号を含むデータは、通信制御部31にて受信され、制御部32へと送られる。制御部32は当該情報を記憶部33に一時的に記憶し、当該データの内容でDB3,35の内容を適宜更新する。さらに、移動端末6より、位置情報の要求がなされた場合、サーバ3はDB34を参照して当該移動端末識別番号と対応付けられて記憶されているRFタグ1を読み出したRFタグリーダライタ識別番号を読み出し、更に当該RFタグリーダライタ識別番号に対応する位置情報をDB35より読み出し、当該位置情報を通信網4及び交換局5を介して移動端末6に送信する。
【0017】
尚、移動端末6としては、特に図示はしないが、例えば携帯電話機や自動車電話機等を採用し得る。携帯電話キャリアの通信網は、基地局や移動通信交換機等からなる巨大なネットワークであり、近時では更にゲートウェイサーバ等が設けられてインターネットに接続することも可能となっている。移動端末6側で所定のプログラムを実行すれば上記ゲートウェイサーバを介して所定のサーバ3と通信可能である。
【0018】
次に図7を参照して、前述したような構成のRFタグを利用した位置情報システムによる動作をまとめて詳細に説明する。
【0019】
「登録フェーズ」では、移動端末6より登録要求がサーバ3に対してなされると、当該サーバ3は移動端末6より送られてきたRFタグ1の識別番号と移動端末6の識別番号(及び/又は電話番号)とを関連付けてサーバ3のDB34に登録する(ステップS1,S2)。以上の処理は、移動端末6の所有者(例えば親)とRFタグ1の装着者(例えば子供)とを予め関連付けて登録することを意味するものである。尚、一の移動端末6の識別番号と複数のRFタグ1の各識別番号とを関連付けて記憶することも可能である。
【0020】
「位置情報更新フェーズ」では、RFタグリーダライタ2は電磁波(搬送波)を所定周期で発信しており(ステップS3)、RFタグ1は当該電磁波の到達距離範囲内に入ると当該電磁波(搬送波)を受信し、電磁誘導の原理により電力供給部15より各部に電力供給がなされる(ステップS4)。RFタグ1では、RFアンテナ部11で受信した変調された搬送波から変復調部12が符号化されたデータを取り出し、復号化することで復調されたデータを得る。このデータは、制御部13に送られる。そして、当該データが読み出し指令である場合には、制御部13は記憶部14から自己の識別番号を読み出し、変復調回路12にて変調して搬送波としてRFタグリーダ2に送信する(ステップS5)。RFタグリーダライタ2は、このRFタグ1からの搬送波を受信すると、更にRFタグ1を読み出した時間及びRFタグリーダライタ2の識別番号を付加しサーバ3に発信する(ステップS6)。サーバ3は、RFタグリーダライタ2からのデータを受信すると(ステップS7)、その内容によりDB34の内容を更新する(ステップS8)。以上の処理は、RFタグ1を装着者(例えば子供)の移動履歴を監視することを意味する。
【0021】
次いで「位置情報提供フェーズ」では、登録済みの移動端末6より位置情報要求がなされると(ステップS9)、サーバ3はDB34を参照して、当該移動端末6の識別番号に対応するRFタグ1と通信を行ったRFタグリーダライタ2の識別番号を認識し、更にDB35を参照して当該RFタグリーダライタ2の識別番号に対応する位置情報を読み出し、当該位置情報を移動端末6に送信する(ステップS10,S11)。移動端末6は、最新の位置情報を受信し表示する(ステップS12)。このとき、例えば位置情報を地図と重ね合わせて表示することも可能である。以上の処理は、移動端末6の所有者(例えば親)からの要求に応じて、RFタグ1の装着者(例えば子供)の最新位置情報を提供することを意味するものである。
【0022】
以上説明したように、本発明の一実施の形態によると、RFタグを利用して特定の領域内で携帯電話機を利用することができない相手の位置情報を測位し当該位置情報を得ることを可能となる。即ち、例えば親の所有する携帯電話機の識別番号と子に付着するRFタグの識別番号とを関連付けてサーバに登録しておけば、子が施設内で迷子になった場合でも、サーバのDBでRFタグの位置情報を定期的に更新しているので、問い合わせに応じて当該RFタグの位置、即ち迷子になった子供の最新位置情報を迅速に提供することができる。しかも、施設の地図情報を位置情報と合わせて配信することもできるので、携帯電話機の所有者である親は、迷子になった子供を簡単に捜すことができる。
【0023】
尚、本発明の一実施の形態を例示して説明したが、これに限られることはなく、種々の改良・変更が可能である。例えば、先方がRFタグリーダライタにRFタグを認識させる行動を起こす動機付けとなる機能を設けることもできる。即ち、RFタグをRFタグリーダライタに認識させると音声を発するような機能等を設ければ、先方が自ら進んでRFタグをRFタグリーダライタにかざす行動を起こすことが期待できるので、RFタグの最新位置情報をサーバ側でより一層明確に把握できるようになる。
【0024】
さらに、カメラ付き携帯電話機を移動端末として用いる場合には、位置情報の要求に合わせて迷子の子供に問いかえる動画を送信し、サーバ側でRFタグが位置する場所に最も近いと考えられるRFカードリーダライタに併設された表示器に当該動画を表示することで迷子が更に移動するのを防止し、早期探索が図れることになる。
【0025】
以上のほか、前述した実施形態では、RFタグとして所謂パッシブ型を採用する例を示したが、所謂アクティブ型でもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態のRFタグを利用した位置情報システムの概念図。
【図2】RFタグ1の詳細な構成図。
【図3】RFタグリーダライタ2の詳細な構成図。
【図4】サーバ3の詳細な構成図。
【図5】DB34の詳細な構成例を示す図。
【図6】DB35の詳細な構成例を示す図。
【図7】本発明の一実施形態のRFタグを利用した位置情報システムによる動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0027】
1・・・RFタグ、2・・・RFタグリーダ、3・・・サーバ、4・・・ネットワーク、5・・・交換局、6・・・移動端末、7・・・施設。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の識別情報を記憶したRFタグと、
上記RFタグに対して第1の識別情報の送信要求を行い、当該第1の識別情報に第2の識別情報を付加して送信するRFタグリーダライタと、
移動端末の第3の識別情報と上記第1の識別情報及び上記第2の識別情報とRFタグリーダライタの位置情報とを対応付けて記憶するデータベースを備えており、上記RFタグリーダライタより上記第1の識別情報及び上記第2の識別情報を受信したときには当該データベースの記憶内容を更新するサーバと、
を有し、上記サーバは、移動端末からの要求に応じて上記データベースより当該移動端末の上記第3の識別情報に対応する上記第2の識別情報を特定し、更に当該第2の識別情報に対応する上記RFタグリーダライタの位置情報を送出する、
ことを特徴とするRFタグを利用した位置情報システム。
【請求項2】
上記RFタグリーダライタは音声出力部を更に備えており、
上記RFタグとの無線通信がなされた場合には当該音声出力部が所定の音声を出力することを更に特徴とする請求項1記載の位置情報システム。
【請求項3】
上記RFリーダライタには出力器は併設されており、
上記サーバは移動端末から送信された画像及び音声情報を更に記憶しており、
上記RFタグリーダライタの位置情報に基づいてRFタグの最至近にあるRFリーダライタを特定し、当該RFリーダライタに併設された出力器より当該画像及び音声情報を出力する、ことを更に特徴とする請求項1記載の位置情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−67086(P2006−67086A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245251(P2004−245251)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(394020376)株式会社アプリックス (51)
【Fターム(参考)】