説明

ROCKプロテインキナーゼの選択的阻害剤およびその使用方法

本明細書には、ROCK阻害剤として有用な化合物が記載される。これらの化合物およびその医薬的に許容される組成物は、心血管性、炎症性、神経性もしくは増殖性の疾患または障害を含めた種々の障害を治療するか、またはその重症度を軽減するのに有用である本発明は、式I(式中、R、R、R、X、およびAは本明細書で定義する通りである)を有する化合物、あるいはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、プロテインキナーゼ阻害剤であるヘテロアリール化合物、このような化合物を含む組成物、およびこれらを使用する方法に関する。本発明の化合物および組成物は、心血管性、炎症性、神経性または増殖性の疾患または障害の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
対象となる1つのキナーゼファミリーには、Rho関連コイルドコイル形成タンパク質セリン/トレオニンキナーゼ(ROCK)があり、これはRas関連small GTPase Rhoのエフェクターであると考えられる。ROCKファミリーには、p160ROCK(ROCK−1)、ROKα/Rho−キナーゼ/ROCK−II、プロテインキナーゼPKN、シトロン、およびシトロンキナーゼが含まれる。キナーゼのROCKファミリーは、Rho誘導性アクチンストレスファイバーおよび接着斑の形成を含む種々の機能、ならびにミオシンホスファターゼ、血小板活性化、種々の刺激による大動脈平滑筋収縮、大動脈平滑筋細胞のトロンビン誘導性応答、心筋細胞肥大、気管支平滑筋収縮、非筋細胞の平滑筋収縮および細胞骨格再構築、容量調節アニオンチャンネルの活性化、神経突起退縮、好中球走化性、創傷治癒、腫瘍浸潤、および細胞形質転換の下方制御に関与することが明らかにされている。より具体的には、ROCKは、高血圧症、脳血管攣縮、冠攣縮性狭心症、気管支喘息、早期陣痛、勃起不全、緑内障、血管平滑筋細胞増殖、心筋肥大、マリグノーマ、虚血/再潅流誘導性損傷、内皮機能不全、クローン病および大腸炎、神経突起伸長、レイノー病、アンギナ、アルツハイマー病、良性前立腺過形成、ならびにアテローム性動脈硬化症を含む、種々の疾患および障害に関与してきた。
【0003】
特許文献1には、いくつかのピリジルチアゾールおよびピリジルチオフランROCK阻害剤が記載されている。ROCKキナーゼの他の阻害剤の開発は、ROCKキナーゼ経路に関連する疾患および障害の治療に有用であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0122016号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の式を有する化合物であって:
【0006】
【化1】

式中、R、R、R、X、およびAが本明細書で定義する通りである、化合物、あるいはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグを特徴とする。これらの化合物、およびその医薬的に許容される組成物またはプロドラッグは、種々のROCK介在性疾患または障害、特に心血管性、炎症性、神経性もしくは増殖性の疾患または障害を治療するか、またはその重症度を軽減するのに有用である。さらに、これらの化合物は、高濃度のシトクロムP450のみを阻害することから、有用である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明の化合物
特に記載がない限り、本明細書で使用される以下の定義を適用するものとする。本明細書で使用される本発明の化合物または化合物群は、1つ以上の置換基(例えば、1、2、3、4、または5個の置換基など)で場合により置換してもよい。「場合により置換される」という語句は、「置換または未置換」という語句と交換可能に使用されることが理解されるであろう。一般的に、「置換される」という用語は、「場合により」という用語が先行するかどうかにかかわらず、特定の置換基のラジカルを有する所与の構造における1つ以上の水素ラジカルの置換を指す。特に記載がない限り、場合により置換される基は、各置換基の置換可能な位置で置換基を有してもよい。所与の構造における複数の位置を、特定の群から選択される複数の置換基で置換することができる場合、この置換基は、各位置で同じであってもよければ、または異なっていてもよい。
【0008】
本明細書に記載の通り、「場合により置換される」という用語が一覧に先行する場合、前記用語は、後続の一覧の置換可能基すべてを指す。例えば、Xがハロゲン;場合により置換されるC1−3アルキルまたはフェニルである場合、Xは場合により置換されるアルキルであってもよければ、または場合により置換されるフェニルであってもよい。同様に、「場合により置換される」という用語が一覧に後続する場合、特に記載がない限り、前記用語はまた、前述の一覧中のすべての置換可能基も指す。例えば、Xがハロゲン、C1−3アルキル、またはフェニルである(式中、XがJによって場合により置換される)場合、C1−3アルキルおよびフェニルの両方がJによって場合により置換されてもよい。当業者にとって明らかな通り、水素、ハロゲン、NO、CN、NH、OHまたはOCFなどの基は、置換可能な基ではないため含まれないと考えられる。置換基のラジカルまたは構造が、「場合により置換される」と特定または定義されない場合、この置換基のラジカルまたは構造は未置換である。
【0009】
場合によっては、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール環の置換位置が、位置別に定義される。このような例では、特に記載がない限り、環の1位は、分子の残りに結合する位置である。他の位置は、標準的なIUPAC命名法によって定義される優先度指定に基づいて番号付けされる。
【0010】
本発明で構想される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定したまたは化学的に実現可能な化合物の形成を生じるものである。本明細書で使用される「安定した」という用語は、これらの生成、検出、および好ましくは本明細書に開示する目的の1〜5つのためのこれらの回収、精製および使用を可能にする条件に供される場合に実質的に変化しない化合物を指す。いくつかの実施形態において、安定した化合物または化学的に実現可能な化合物は、水分が欠如した状態または他の化学的な反応条件で少なくとも1週間40℃以下の温度に維持される場合に、実質的に変化しない化合物である。
【0011】
本明細書で使用される「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、完全飽和であるか、あるいは1〜5個の不飽和単位を含む、直鎖(すなわち、非分岐鎖)または分岐鎖の、置換または未置換炭化水素鎖を意味する。特に記載がない限り、脂肪族基は1〜20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は1〜10個の炭素原子を含む。別の実施形態において、脂肪族基は1〜8個の炭素原子を含む。さらに別の実施形態において、脂肪族基は1〜6個の炭素原子を含み、さらに別の実施形態において、脂肪族基は1〜4個の炭素原子を含む。適切な脂肪族基には、直鎖もしくは分岐鎖の、置換もしくは未置換のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基が含まれるが、これらに限定されない。他の脂肪族基の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、ビニル、およびsec−ブチルが含まれる。本明細書で使用される「アルキル」という用語、および「alk−」という接頭語は、直鎖炭素鎖および分岐鎖飽和炭素鎖の両方を含む。本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、2個の水素原子の除去により、直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素から得られた飽和2価炭化水素基を表し、メチレン、エチレン、イソプロピレンなどによって例示される。本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、1〜5個の炭素−炭素二重結合を含む、1価の直鎖または分岐鎖炭化水素基を表す。本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、1〜5個の炭素−炭素三重結合を含む、1価の直鎖または分岐鎖の炭化水素基を表す。
【0012】
「アルキリデン鎖」という用語は、完全飽和であるか、あるいは1つ以上の不飽和単位を有し、分子の残りへの結合部を2個有する、直鎖または分岐鎖炭素鎖を指す。
【0013】
「脂環式の」(または「炭素環」もしくは「シクロアルキル」)という用語は、完全飽和であるか、あるいは1〜5個の不飽和単位を含むが芳香性ではなく、分子の残りへの結合部を1個有し、前記2環系においていずれかの個々の環が3〜7員環を有する、単環式C−C炭化水素または2環式C−C12炭化水素を指す。適切な脂環式基には、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルが含まれるが、これらに限定されない。他の脂肪族基の例には、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロヘプテニルが含まれる。
【0014】
本明細書で使用される「複素環(heterocycle)」、「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」または「複素環(heterocyclic)」という用語は、1〜5員環が独立して選択されるヘテロ原子であり、完全飽和であるか、もしくは1〜5個の不飽和単位を含むが芳香性ではなく、分子の残りへの結合部を1個有する、単環式、2環式または3環式系を指す。いくつかの実施形態において、「複素環(heterocycle)」、「ヘテロシクリル」または「複素環(heterocyclic)」基は、1〜5員環が酸素、硫黄、窒素、またはリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、環系の各環が3〜8員環を含む、3〜14員環を有する。
【0015】
複素環の例には、以下の単環(2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、1−ピラゾニル、3−ピラゾニル、4−ピラゾニル、5−ピラゾニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル);および以下の2環(3−1H−ベンズイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンズイミダゾール−2−オン、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン、および1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
「ヘテロ原子」という用語は、酸化形態の窒素、硫黄もしくはリン;4級化形態のいずれかの塩基性窒素;または複素環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルなどに存在する)、NH(ピロリジニルなどに存在する)、もしくはNR(N置換ピロリジニルなどに存在する)を含む、1〜5個の酸素、硫黄、窒素、リン、またはシリコンを意味する。
【0017】
本明細書で使用される「不飽和」という用語は、1部が1〜5個の不飽和単位を有することを意味する。
【0018】
本明細書で使用される「アルコキシ」または「チオアルキル」という用語は、すでに定義した通り、酸素(「アルコキシル」)または硫黄(「チオアルキル」)原子を介して炭素の主鎖に結合したアルキル基を指す。
【0019】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」という用語は、場合によっては1〜5個のハロゲン原子で置換される、アルキル、アルケニル、またはアルコキシを意味する。「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0020】
単独で使用されるか、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、もしくは「アリールオキシアルキル」などにおけるようにより大きな部分の一部として使用される「アリール」という用語は、合計6〜14員環を有する、単環式、2環式および3環式炭素環系であって、環系の少なくとも1つの環が芳香性であり、環系の各環が3〜7環員を含み、各環が分子の残りへの結合部位を1個有する、環系を指す。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と交換可能に使用される。アリール環の例には、フェニル、ナフチルおよびアントラセンが含まれる。
【0021】
単独で使用されるか、または「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」などにおけるようにより大きな部分の一部として使用される「ヘテロアリール」という用語は、合計5〜14員環を有する、単環式、2環式および3環式系であって、環系の少なくとも1つの環が芳香性であり、環系の少なくとも1つの環が1〜5個のヘテロ原子を含み、環系の各環が3〜7員環を含み、各環が分子の残りへの結合部を1個有する、環系を指す。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語、または「ヘテロ芳香族」という用語と交換可能に使用される。
【0022】
他のヘテロアリール環の例には、以下の単環(2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5−テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2−トリアゾリルおよび5−トリアゾリル)、2−チエニル、3−チエニル、ピラゾリル(例えば、2−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル)、ならびに以下の2環(ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2−インドリル)、プリニル、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)、およびイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、または4−イソキノリニル))が含まれる。
【0023】
いくつかの実施形態において、アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)、またはヘテロアリール(ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルコキシなどを含む)基は1〜5個の置換基を含んでもよい。アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素原子における適切な置換基には、ハロゲン;−R゜;−OR゜;−SR゜;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;フェニル(Ph)、場合によりR゜で置換される;場合によりR゜で置換される−O(Ph);場合によりR゜で置換される−(CH1−2(Ph);場合によりR゜で置換される−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R゜);−NR゜C(O)R゜;−NR゜C(S)R゜;−NR゜C(O)N(R゜);−NR゜C(S)N(R゜);−NR゜C(O)OR゜;−NR゜NR゜C(O)R゜;−NR゜NR゜C(O)N(R゜);−NR゜NR゜C(O)OR゜;−C(O)C(O)R゜;−C(O)CHC(O)R゜;−C(O)OR゜;−C(O)R゜;−C(S)R゜;−C(O)N(R゜);−C(S)N(R゜);−B(OR゜);−OC(O)N(R゜);−OC(O)R゜;−C(O)N(OR゜)R゜;−C(NOR゜)R゜;−S(O)R゜;−S(O)OR゜;−S(O)N(R゜);−S(O)R゜;−NR゜S(O)N(R゜);−NR゜S(O)R゜;−N(OR゜)R゜;−C(=NH)−N(R゜);−(CH0−2NHC(O)R゜;−L−R゜;−L−N(R゜);−L−SR゜;−L−OR゜;−L−(C3−10脂環式)、−L−(C6−10アリール)、−L−(5−10員ヘテロアリ−ル)、−L−(5〜10員ヘテロシクリル)、オキソ、C1−4ハロアルコキシ、C1−4ハロアルキル、−L−NO、−L−CN、−L−OH、−L−CFが含まれるか、あるいは2つの置換基が、同じかもしくは異なる炭素上で、これらが結合する炭素もしくは介在炭素とともに、5〜7員の飽和、不飽和もしくは部分飽和環を形成し、式中、Lは、最高3個のメチレン単位が−NH−、−NR゜−、−O−、−S−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)C(O)−、−C(O)−、−C(O)NH−、−C(O)NR゜−、−C(=N−CN)、−NHC(O)−、−NR゜C(O)−、−NHC(O)O−、−NR゜C(O)O−、−S(O)NH−、−S(O)NR゜−、−NHS(O)−、−NR゜S(O)−、−NHC(O)NH−、−NR゜C(O)NH−、−NHC(O)NR゜−、−NR゜C(O)NR゜、−OC(O)NH−、−OC(O)NR゜−、−NHS(O)NH−、−NR゜S(O)NH−、−NHS(O)NR゜−、−NR゜S(O)NR゜−、−S(O)−、または−S(O)−で置換される、C1−6アルキレン基であり、R゜の各出現が、水素、場合により置換されるC1−6脂肪族、未置換の5〜6員ヘテロアリールもしくは複素環、フェニル、もしくは−CH(Ph)から独立して選択されるか、またはR゜の2つの独立した出現が、同じ置換基もしくは異なる置換基上で各R゜基が結合する原子と一緒になって、5〜8員ヘテロシクリル、アリールもしくはヘテロアリール環、もしくは3〜8員シクロアルキル環を形成し、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環が、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する。R゜の脂肪族基における任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、C(O)OH、C(O)O(C1−4脂肪族)、O(ハロ(C1−4脂肪族))、またはハロ(C1−4脂肪族)から選択され、前述のR゜の各C1−4脂肪族基は未置換である)。
【0024】
いくつかの実施形態において、脂肪族もしくはへテロ脂肪族基、または非芳香性複素環は、1〜5個の置換基を含んでもよい。脂肪族もしくはヘテロ脂肪族基、または非芳香性複素環の飽和炭素における適切な置換基は、アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素について上に列挙した置換基から選択され、さらに以下を含む:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHC(O)O(アルキル)、=NNHS(O)(アルキル)、または=NR(式中、各Rは、水素、または場合により置換されるC1−6脂肪族から独立して選択される)。Rの脂肪族基における任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、C(O)OH、C(O)O(C1−4脂肪族)、O(ハロ−C1−4脂肪族)、およびハロ(C1−4脂肪族)から選択され、式中、前述のRの各C1−4脂肪族基は未置換である。
【0025】
いくつかの実施形態において、非芳香性複素環の窒素における任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−S(O)、−S(O)N(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R、または−NRS(O)を含み、式中、Rは、水素、場合により置換されるC1−6脂肪族、場合により置換されるフェニル、場合により置換される−O(Ph)、場合により置換される−CH(Ph)、場合により置換される−(CH1−2(Ph);場合により置換される−CH=CH(Ph);または酸素、窒素または硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する、未置換の5−6員ヘテロアリールもしくは複素環であるか、あるいはRの2つの独立した出現が、同じ置換基もしくは異なる置換基上で、各R基が結合する原子と一緒になって、5〜8員ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリール環、もしくは3〜8員環のシクロアルキル環を形成し、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する。Rの脂肪族基またはフェニル環における任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、C(O)OH、C(O)O(C1−4脂肪族)、O(ハロ(C1−4脂肪族))、または、ハロ(C1−4脂肪族)から選択され、式中、前述のRの各C1−4脂肪族基は未置換である。
【0026】
上述の通り、いくつかの実施形態において、R°(またはR、もしくは本明細書で同様に定義されるその他いずれかの変数)の2つの独立した出現は、各変数が結合する原子と一緒になって、5〜8員ヘテロシクリル、アリールもしくはヘテロアリール環、または3〜8員シクロアルキル環を形成してもよい。R°(またはR、もしくは本明細書で同様に定義されるその他いずれかの変数)2つの独立した出現が各変数が結合する原子と一緒になる場合に形成される環の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:a)同じ原子に結合し、その原子と一緒になって、N(R°)などの環を形成する、R°(またはR、もしくは同様に本明細書で定義されるその他いずれかの変数)の2つの独立した出現(R°の両方の出現が窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、またはモルホリン−4−イル基を形成する);およびb)異なる原子に結合し、これらの原子の両方と一緒になって、環を形成する、R°(またはR°、もしくは同様に本明細書で定義されるその他いずれかの変数)の2つの独立した出現(例えば、フェニル基がOR°の2つの出現
【0027】
【化2】

により置換される場合、R°のこれら2つの出現は、これらの結合する酸素原子と一緒になって、縮合した6員の酸素含有環:
【0028】
【化3】

を形成する)。R°(またはR、もしくは同様に本明細書で定義されるその他いずれかの変数)の2つの独立した出現が、各変数の結合する原子と一緒になる場合に、種々の他の環を形成することができ、かつ上述の例は限定するものとして意図されないことが理解されるであろう。
【0029】
いくつかの実施形態において、アルキルまたは脂肪族鎖は、他の原子または基で場合により中断することができる。このことは、アルキルまたは脂肪族鎖のメチレン単位が、前記他の原子または基で場合により置換されることを意味する。このような原子または基の例には、−NR−、−O−、−S−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)C(O)−、−C(O)−、−C(O)NR−、−C(=N−CN)、−NRC(O)−、−NRC(O)O−、−S(O)NR−、−NRS(O)−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−NRS(O)NR−、−S(O)−、または−S(O)−(式中、Rは本明細書で定義される)が含まれるが、これらに限定されない。特に記載がない限り、任意の置換によって、化学的に安定した化合物が形成される。鎖内および鎖の一方の末端の両方で(例えば、結合部および/または末端で)、任意の中断が生じる場合がある。2つの任意の置換は、化学的に安定した化合物を生じている限りは、鎖内で互いに隣接することができる。特に記載がない限り、置換または中断が末端で生じる場合、置換原子はこの末端で水素に結合する。例えば、−CHCHCHが、−O−で場合により中断される場合、得られる化合物は−OCHCH、−CHOCH、または−CHCHOHであると考えられる。
【0030】
本明細書に記載の通り、多重環系における置換基から1個の環の中心へ引き寄せられる結合(以下に示す)は、多重環系におけるいずれかの環のいずれかの置換可能位置での置換基の置換を表す。例えば、図aは、図bに示すいずれかの位置での可能な置換を表す。
【0031】
【化4】

これは、任意の環系に縮合された多重環系(点線で表す)にも適用される。例えば、図cにおいて、Xは環Aおよび環Bの両方に対する任意の置換基である。
【0032】
【化5】

しかし、多重環系の2個の環がそれぞれ、各環の中心から引き寄せられた異なる置換基を有する場合、特に記載がない限り、各置換基は、それが結合する環での置換のみを表す。例えば、図dにおいて、Yは環Aのみに対する任意の置換基であり、Xは環Bのみに対する任意の置換基である。
【0033】
【化6】

特に記載がない限り、本明細書に記載の構造はまた、すべての異性体(例えば、鏡像異性体、偏左右異性体、幾何学的(または配座))形態の構造、例えば、各不斉中心のRおよびS配位、(Z)および(E)の二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体を含むものとしても意図される。したがって、本化合物の1つの立体化学的異性体、ならびに鏡像異性体、偏左右異性体、および幾何学的(または配座)の混合物は、本発明の適用範囲内に含まれる。
【0034】
本明細書で使用される「保護基」という用語は、合成手順時に望ましくない反応から官能基(例えば、アルコール、アミン、カルボキシル、カルボニルなど)を保護するものとして意図される基を表す。一般的に使用される保護基については、参考として本明細書で援用される、Greene and Wuts,Protective Groups In Organic Synthesis,3rd Edition(John Wiley&Sons,New York,1999)で開示されている。窒素保護基の例には、アシル、アロイルまたはカルバミル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイル)、およびキラル補助基(例えば、保護または非保護D、LまたはD、アラニン、ロイシン、フェニルアラニンなどのL−アミノ酸);ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニルなどのスルホニル基;カルバミン酸塩形成基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、4−クロロベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、4−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニリル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニル);アリールアルキル基(例えば、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチル)、ならびにシリル基(例えば、トリメチルシリル)が含まれる。好ましいN保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
【0035】
本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、in vivoにて式Iの化合物に変換される化合物、または表1に列挙する化合物を表す。このような変換は、例えば、血液中の加水分解、または血液もしくは組織中でのプロドラッグ形態の原形への酵素変換反応による影響を受ける可能性がある。本発明の化合物のプロドラッグは、例えば、エステルであってもよい。本発明のプロドラッグとして利用される場合があるエステルには、フェニルエステル、脂肪族(C−C24)エステル、アシルオキシメルエステル、炭酸塩、カルバミン酸塩、およびアミノ酸エステルがある。例えば、OH基を含む本発明の化合物は、そのプロドラッグ形態でのこの位置でアシル化してもよい。他のプロドラッグ形態には、リン酸塩、例えば、親化合物におけるOH基のホスホン酸化によって生じるリン酸塩などが含まれる。プロドラッグの詳細な考察は、それぞれが参考として本明細書で援用される、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series,Edward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987;およびJudkins et al.,Synthetic Communications 26(23):4351−4367,1996に示される。
【0036】
特に記載がない限り、すべての互変異性体形態の本発明の化合物が、本発明の適用範囲内に含まれる。さらに、特に記載がない限り、本明細書に記載の構造はまた、1〜5個の同位体濃縮原子の存在下でのみ異なる化合物を含むものとしても意図される。例えば、重水素または三重水素による水素の置換、または13Cもしくは14C濃縮炭素による炭素の置換以外の本構造を有する化合物は、本発明の適用範囲内に含まれる。このような化合物は、例えば、バイオアッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0037】
第1の態様において、本発明は、以下の式を有する化合物であって:
【0038】
【化7】

式中、
が、ハロゲン、−CN、−NO、−NR、−OR、−SR、または場合により置換されるC1−4脂肪族もしくはC3−6脂肪環であり;
が、水素、またはC1−3脂肪族であり;
各Rが独立して、水素、ハロゲン、−NR、−OR、−SR、または場合により置換されるC1−4脂肪族基もしくはC3−6脂環式基であるか、あるいは2個のRが介在炭素原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する、場合により置換される3〜6員の脂肪環もしくはヘテロシクリル環を形成し;
が、CRまたはNであり、式中、Rが、水素、ハロゲン、−C(O)R、−C(S)R、−C(O)N(R)、−C(S)N(R)、−CN、−NO、または場合により置換されるC1−4脂肪族基であり;
が、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、フェニル環または5〜6員ヘテロアリール環であり、前記フェニルまたはヘテロアリール環が1〜5個のTRの独立した出現で場合により置換され、2個のTR基が場合により一緒になって、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成し;
Tが、結合またはC−Cアルキリデン鎖であり、Tの最高2個のメチレン単位が、−NR’−、−S−、−O−、−C(S)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)−、−C(O)C(O)−、−C(O)NR’−、−NR’C(O)−、−NR’C(O)O−、−S(O)NR’−、−NR’S(O)−、−C(O)NR’NR’−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)NR’−、−NR’NR’−、−NR’S(O)NR’−、−S(O)−、−S(O)−、−P(O)−、−P(O)−、−P(O)R’で場合によりかつ独立して置換され;
各Rが、独立してR、ハロゲン、−NO、または−CNであり;
の各出現が独立して、水素;C1−4脂肪族基、C3−6脂環式基、C1−4のハロ脂環式基から選択される、場合により置換される部分;6〜10員の単環式もしくは2環式アリール環、3〜10員の単環式もしくは2環式脂環式環、または窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜14員の単環式もしくは2環式ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル環であるか、あるいはR、R’および介在窒素原子が一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を場合により有する、場合により置換される5〜6員複素環もしくはヘテロアリール環を形成し;
それぞれの場合により置換される基または環が独立して、C1−4脂肪族、C3−6脂環式、C1−4ハロ脂環式、ハロゲン,−OR’’,−OC(O)N(R’’),−OC(O)R’’,−OC(O)OR’’,−NO,−N(R’’)2、−NR’’C(O)R’’,−NR’’C(S)R’’,−NR’’C(O)N(R’’),−NR’’C(S)N(R’’),−NR’’C(O)OR’’,−NR’’NR’’C(O)R’’,−NR’’NR’’C(O)N(R’’),−NR’’NR’’C(O)OR’’,−NR’’S(O)N(R’’),−NR’’S(O)R’’,−N(OR’’)R’’,−CN,C(O)OR’’,−C(O)R’’,−C(S)R’’,−C(O)N(R’’),−C(S)N(R’’),−OC(O)N(R’’),−OC(O)R’’,−C(O)N(OR’’)R’’,−C(=NOR’’)R’’,−C(=NH)−N(R’’),−SR’’,−SC(O)R’’,−SC(S)R’’,−S(O)R’’,−S(O)R’’,−S(O)OR’’,または−S(O)N(R’’)から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換され;
Rの各出現が独立して、水素、C1−4脂肪族基、C3−6脂環式基、−(CH1−2Ph、−CH=CHPh、もしくはC1−4ハロ脂肪族基であるか、あるいは2個のR基および介在窒素原子が一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を場合により有する、場合により置換される5〜6員複素環もしくはヘテロアリール環を形成し;
R’の各出現が独立して、水素、C1−4脂肪族基、C3−4脂環式基、−(CH1−2Ph、−CH=CHPh、もしくはC1−4ハロ脂環式基であるか、あるいは2個のR’基および介在窒素原子が一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を場合により有する、場合により置換される5〜6員複素環もしくはヘテロアリール環を形成し;
R’’の各出現が独立して、水素、C1−4脂肪族基、C3−6脂環式基、−(CH1−2Ph、−CH=CHPh、もしくはC1−4ハロ脂環式基であるか、あるいは2個のR’’基および介在窒素原子が一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を場合により有する、場合により置換される5〜6員複素環もしくはヘテロアリール環を形成する、
化合物;あるいはその医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグを特徴とする。
【0039】
一実施形態において、Rは水素である。
【0040】
別の実施形態において、Aは、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する、フェニル環または5〜6員ヘテロアリール環であり、前記フェニルまたはヘテロアリール環は、1〜3個のTRの独立した出現により場合により置換され、2個のTR基は、場合により一緒になって、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成する。
【0041】
式I(式中、Aはフェニル環である)の化合物の例には、以下の式を有する化合物であって、
【0042】
【化8】

式中、
が、C1−4脂肪族、ハロゲン、−NR、−ORまたは−SRであり;
各Tが独立して、結合またはC−Cアルキリデン鎖であり、Tの最高2個のメチレン単位が、−NR’−、−S−、−O−、−C(O)NR’−、−NR’C(O)−、−NR’C(O)O−、−S(O)NR’−、−NR’S(O)−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)NR’−、または−NR’S(O)NR’−で場合によりかつ独立して置換されるか、あるいは2個のTR基が、場合により一緒になって、メチレンジオキシもしくはエチレンジオキシを形成し;
各Rが独立して、Rまたはハロゲンであり;
nが1〜3である、
化合物が含まれる。
【0043】
式IまたはI−Aのいずれかの化合物の一実施形態において、−TRの1つは3位に存在する。いくつかの例では、3位の−TRが、クロロ、フルオロ、−OH、場合により置換されるC1−4アルコキシ、−NHS(O)、−S(O)NRRであるか、あるいは、3位および4位の2個のTRが一緒になってメチレンジオキシである。
【0044】
式IまたはI−Aのいずれかの化合物の別の実施形態において、Rは、ハロゲン(例えば、クロロもしくはフルオロ);−NR(例えば、NH、NHCH、N(CH、NHCHCHまたはNHCHPh);−OR(例えば、OCHはまたはOCHCH);または、場合により置換されるC1−4脂肪族基(例えば、CHまたはCHCH)である。
【0045】
式IまたはI−Aのいずれかの化合物のさらに別の実施形態において、各Rは独立して、水素、ハロゲン、−NR’’’、−OR’’’、−SR’’’、またはC1−4脂肪族基であり、式中、各R’’’は独立して、水素またはC1−4脂肪族基である。例としては、Rが水素、クロロ、フルオロまたは−OHである化合物が含まれる。
【0046】
式IまたはI−Aのいくつかの化合物では、XはCRであり、式中、Rは、水素またはC1−4脂肪族基である。式IまたはI−Aの他の化合物では、XはNである。
【0047】
別の態様において、本発明は、以下の表1の化合物の一覧から選択される化合物を特徴とする。
【0048】
(表1)
【0049】
【化9】

【0050】
【化10】

【0051】
【化11】

【0052】
【化12】

【0053】
【化13】

【0054】
【化14】

【0055】
【化15】

【0056】
【化16】

【0057】
【化17】

【0058】
【化18】

【0059】
【化19】

【0060】
【化20】

【0061】
【化21】

【0062】
【化22】

【0063】
【化23】

【0064】
【化24】

【0065】
【化25】

製剤、使用法および投与
本明細書に記載の化合物および組成物は、一般的に1つ以上の酵素のプロテインキナーゼ活性の阻害に有用である。特定の一実施形態において、本発明の化合物および組成物はROCK阻害剤であり、したがって、化合物および組成物は、ROCKに関連する疾患または病状を治療するか、またはその重症度を軽減するのに特に有用である。
【0066】
本発明でROCK阻害剤として使用される化合物の活性は、in vitro、in vivoまたは細胞株でアッセイしてもよい。In vitroアッセイには、活性化ROCKのリン酸化活性またはATPase活性のいずれかの阻害を決定するアッセイが含まれる。代替のin vitroアッセイでは、阻害剤のROCKに結合する能力が定量化される。阻害剤の結合は、結合、阻害剤/ROCK複合体の単離、および放射標識結合量の測定の前に、阻害剤を放射性標識化することによって測定してもよい。あるいは、阻害剤結合は、既知の放射性リガンドに結合したROCKで新規の阻害剤がインキューベートされる競争実験を行うことによって測定してもよい。ROCKキナーゼ阻害剤として本発明で使用される化合物をアッセイする詳細な条件については、下記の実施例に記載する。
【0067】
一実施形態において、式Iまたは式IAの化合物は、in vitro測定で0.1マイクロモル濃度以下のKを有するROCKに結合し、in vitro測定で5マイクロモル濃度以上のIC50を有する、少なくとも1つのシトクロムP450アイソザイム(例えば、CYP1A2、CYP2C19、CYP2C9、CYP2D6またはCYP3A4)を阻害する。他の実施形態において、式Iまたは式IAの化合物は、0.1マイクロモル濃度以下のKを有するROCKに結合し、10マイクロモル濃度以上のIC50を有する、CYP1A2、CYP2C19、CYP2C9、CYP2D6、およびCYP3A4からなる群から選択される、3個、4個またはすべてのシトクロムP450アイソザイムを阻害する。
【0068】
別の態様によれば、本発明は、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および医薬的に許容される担体、アジュバントまたは賦形薬を含む組成物を特徴とする。本発明の組成物中の化合物の量は、生体試料または患者においてプロテインキナーゼ、特にROCKを検出可能に阻害するのに有効な程度である。好ましくは、本発明の組成物は、このような組成物を必要とする患者への投与のために配合される。最も好ましくは、本発明の組成物は、患者への経口投与のために配合される。
【0069】
本明細書で使用される「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0070】
上述の通り、本発明の医薬的に許容される組成物は、医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルもさらに含み、本明細書においてこれらには、所望の特定の投薬形態に適合する、あらゆる溶剤、希釈剤、または他の液状ビヒクル、分散または懸濁補助剤、界面活性剤、等張剤、増粘または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤などが含まれる。それぞれの内容が参考として本明細書で援用される、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,2005,ed.D.B.Troy,Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphia,and Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988−1999,Marcel Dekker,New Yorkには、医薬的に許容される組成物を配合するのに使用される種々の担体、およびそれらの既知の調製法が開示されている。いずれかの望ましくない生物学的影響をもたらすか、あるいは医薬的に許容される組成物のその他いずれかの成分と有害に相互作用することなどによって、いずれかの従来の分散媒が本発明の化合物に適合しない場合を除き、その使用は本発明の適用範囲内に含まれるものとして企図される。
【0071】
「医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクル」という用語は、配合に使用する化合物の薬理活性を破壊しない非毒性の担体、アジュバントまたは賦形薬を指す。本発明の組成物で使用してもよい医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンなどの塩または電解液、リン酸1水素2ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、3ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合体、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書で使用される「検出可能に阻害する」という用語は、本発明の化合物および組成物を含む試料と、本化合物および組成物が存在しない場合にROCKキナーゼを含む、ROCKキナーゼおよび同等の試料との間におけるROCK活性の測定可能な変化を意味する。
【0073】
「医薬的に許容される誘導体」とは、レシピエントへの投与において、本発明の化合物、またはその阻害活性代謝物もしくは残留物を直接または間接的に提供することができる、いずれかの無毒性塩、エステル、本発明の化合物のエステル、または他の誘導体の塩を意味する。
【0074】
本明細書で使用される「その阻害活性代謝物または残留物」という用語は、代謝物質または残留物もROCK阻害剤であることを意味する。
【0075】
本発明の化合物の医薬的に許容される塩には、医薬的に許容される無機および有機の酸および塩基に由来するものが含まれる。適切な酸性塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコへプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモエート、ペクチネート、過硫酸塩、3−プロピオン酸フェニル、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩が含まれる。シュウ酸などの他の酸は、それ自体は医薬的に許容されないが、本発明の化合物およびその医薬的に許容される酸付加塩を得る際に中間体として有用な塩の調製に使用してもよい。
【0076】
適切な塩基に由来する塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウム、およびN(C1−4アルキル)塩が含まれる。本発明はまた、本明細書に開示する化合物のいずれかの塩基性窒素含有基の4級化も想定する。このような4級化により、水溶性もしくは油溶性または水分散性もしくは油分散性の生成物を得てもよい。
【0077】
本発明の組成物は、経口的、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、経口腔的に、経膣的に、または埋め込んだリザーバを介して投与してもよい。本明細書で使用される「非経口的」という用語には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内、および頭蓋内の注入または輸液法が含まれる。好ましくは、本組成物は、経口、腹腔内または静脈内投与される。滅菌された注射形態の本発明の組成物は、水性または油性の懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、当該技術分野で既知の技法に基づいて、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して配合してもよい。滅菌された注射製剤は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶剤中の滅菌された注射溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール溶液)であってもよい。使用してもよい許容されるビヒクルおよび溶剤には、水、リンゲル液および生理食塩液がある。さらには、滅菌された固定油も、溶剤または懸濁化剤として従来使用されている。
【0078】
この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含めたいずれの無菌性固定油を使用してもよい。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、特にそのポリオキシエチル化した形態で、天然の医薬的に許容される油(例えば、オリーブ油またはヒマシ油)のように、注入剤の調製に有用である。これらの油剤または油懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、乳剤および懸濁液を含めた、医薬的に許容される投薬形態の製剤中で一般的に使用される、カルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤)を含んでもよい。医薬的に許容される固体、液体または他の投薬形態の製造において一般的に使用されるTween、Span、および他の乳化剤または生物学的利用能増強剤などの他の一般的に使用される界面活性剤も、製剤の目的に使用してもよい。
【0079】
本発明の医薬的に許容される組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁液または水溶液を含むがこれらに限定されない、いずれの経口的に許容される投薬形態で経口投与してもよい。経口用錠剤の場合、一般的に使用される担体には、ラクトースおよびコーンスターチが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も典型的に添加される。カプセル形態の経口投与の場合、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが含まれる。経口用途に水性懸濁液が必要な場合は、有効成分を乳化剤および懸濁剤と混合する。所望の場合は、特定の甘味剤、香料添加剤、または着色剤を添加してもよい。
【0080】
あるいは、本発明の医薬的に許容される組成物は、直腸投与のために坐剤形態で投与してもよい。これらは、室温にては固体であるが直腸温では液体となる適切な非刺激性補形剤と薬剤を混合することによって調製することができ、したがって、直腸で溶解して薬剤が放出されることになる。このような材料には、ココアバター、蜜ろう、およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0081】
本発明の医薬的に許容される組成物はまた、特に治療の標的に、眼疾患、皮膚または下部腸管を含めた、局所適用で容易に接触することができる領域または臓器が含まれる場合に、局所投与してもよい。これらの領域または臓器に適切な局所製剤が容易に調製される。
【0082】
下部腸管への局所適用は、肛門坐剤製剤(上記参照)または適切な浣腸製剤形態で行うことができる。局所経皮パッチを使用してもよい。
【0083】
局所適用の場合、医薬的に許容される組成物は、1つ以上の担体中で懸濁または溶解した有効成分を含む適切な軟膏剤形態で配合してもよい。本発明の化合物の局所投与用の担体には、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろう、および水が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、医薬的に許容される組成物は、1つ以上の医薬的に許容される担体中で懸濁または溶解した有効成分を含む適切なローションまたはクリーム形態で配合することができる。適切な担体には、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
眼科用途の場合、医薬的に許容される組成物は、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤がある場合とない場合がある、等張性の、pHが調節された滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁液として、または好ましくは等張性の、pHが調節された滅菌生理食塩水中の溶液として配合してもよい。あるいは、眼科用途の場合、医薬的に許容される組成物は、ワセリンなどの軟膏剤形態で配合してもよい。
【0085】
本発明の医薬的に許容される組成物はまた、鼻エアゾールまたは吸入によって投与してもよい。このような組成物は、医薬製剤の当該技術分野で周知の技法により調製し、ベンジルアルコールもしくは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を増強する吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来的な可溶化剤もしくは分散剤を使用する生理食塩水中の溶液として調製してもよい。
【0086】
好ましくは、本発明の医薬的に許容される組成物は、経口投与のために配合される。
【0087】
担体材料と混合して単回投与形態の組成物を生成してもよい本発明の化合物の量は、治療する宿主、特定の投与様式により変動する。好ましくは、本組成物は、投与量が0.01〜100mg/体重kg/日の阻害剤を、これらの組成物の治療を受ける患者に投与することができるように配合しなければならない。
【0088】
また、いずれかの特定の患者に固有の投与量および治療レジメンは、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、健康状態、性別、食餌、投与時間、排せつ率、複合製剤、ならびに治療医師の判断および治療中の特定の疾患の重症度を含めた種々の因子により変動することも理解しなければならない。組成物中の本発明の化合物の量はまた、組成物中の特定の化合物によっても変動する。
【0089】
別の態様によれば、本発明は、生体試料におけるプロテインキナーゼ活性(例えば、ROCKキナーゼ活性)を阻害する方法であって、生体試料を本発明の化合物、または本化合物を含む組成物に接触させる手順を含む、方法を特徴とする。
【0090】
本明細書で使用される「生体試料」という用語は、動物以外の試料を意味し、細胞培養物またはその抽出物;動物から得た生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙、またはその他の体液もしくは抽出物を含むが、これらに限定されない。生体試料におけるキナーゼ活性、特にROCKキナーゼ活性の阻害は、当業者に既知の種々の目的に有用である。このような目的の例には、生体試料の保管およびバイオアッセイが含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
他の態様において、本発明は、患者におけるプロテインキナーゼ活性、例えば、ROCKキナーゼ活性などを阻害する方法であって、本発明の化合物、または本化合物を含む組成物を患者に投与する手順を含む、方法を特徴とする。
【0092】
別の実施形態によれば、本発明は、患者におけるROCK介在性疾患または障害を治療するか、またはその重症度を軽減する方法であって、本発明に基づく組成物を患者に投与する手順を含む、方法を提供する。
【0093】
本明細書で使用される「ROCK介在性疾患」または「病態」という用語は、ROCKが関与することが知られているいずれかの疾患または他の有害な病態を意味する。ROCKは、平滑筋収縮;血管平滑筋細胞増殖などの細胞増殖;ならびに細胞接着および細胞遊走を含めた、血管系における種々の重要な生理学的機能に関与する(Hu&Lee,Expert Opin.Ther.Targets 9(4):715−36,2005;Shimokawa&Takeshita,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.25(9):1767−75,2005を参照)。ROCKは、白血球遊走による炎症反応、例えば、自己免疫疾患およびアレルギー反応などに関与する(Wettschureck et al.,J.Mol.Med.80:629−38,2002を参照)。Rho/ROCK経路の異常な活性化が、中枢神経系の種々の障害で認められた(Mueller et al,Nature Rev.4:387−98,2005を参照)。さらに、ROCKは、腫瘍細胞遊走および浸潤(Riento & Ridley,Nature Rev.4:446−56,2004)、および骨粗鬆症(Ohnaka et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.287(2):337−4,2001)に関与していた。
【0094】
したがって、本発明の別の実施形態は、ROCKが関与することが知られている疾患および障害の治療またはその重症度の軽減に関する。特に、本発明は、心血管疾患または障害(例えば、脳血管攣縮、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、アンギナ、心筋梗塞、虚血/再潅流損傷、卒中、気管支喘息);緑内障、早期陣痛、勃起不全、または腎臓病(例えば、慢性腎不全、慢性腎炎、糖尿病性腎症、およびIgA腎);神経系疾患または障害(例えば、脊髄損傷、アルツハイマー病、多発性硬化症、または神経障害性疼痛);ならびに増殖性障害(例えば、網膜症、繊維症、または侵襲性/転移性癌)を治療するか、またはその重症度を軽減する方法に関する。このような癌には、腺癌、副腎皮質癌;膀胱癌、骨癌;脳腫瘍;乳癌;口腔癌;子宮頸癌;結腸癌;結腸直腸癌;子宮内膜または子宮癌;類表皮癌;食道癌;眼癌;濾胞腺癌;胆嚢癌;消化管癌;尿生殖路癌;膠芽腫;毛様細胞癌;頭頸部癌;肝臓癌;肝細胞性癌;ホジキン病;ケラトアカントーマ;腎臓癌;大細胞癌;大腸癌;喉頭癌;肝臓癌;肺癌(例えば、肺腺癌、小細胞肺癌、肺扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫);骨髄増殖性障害、神経芽細胞腫;卵巣癌;乳頭癌;膵臓癌;腹膜癌;前立腺癌;直腸癌;唾液腺癌;肉腫;扁平上皮癌;小細胞癌;小腸癌;胃癌;睾丸癌;甲状腺癌;および外陰癌が含まれる。特定の実施形態において、治療した癌は、黒色腫、乳癌、結腸癌または膵臓癌である。
【0095】
本発明のROCK阻害剤を投与することを含む治療方法は、化学療法剤もしくは抗増殖剤、抗炎症剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤、神経栄養因子、心血管疾患の治療用薬剤、破壊的な骨障害の治療用薬剤、腎臓病の治療用薬剤、または血液疾患の治療用薬剤から選択される追加の治療薬(併用療法)を患者に投与することもさらに含むことができ、追加の治療薬は、治療中の疾患に適切であり、本発明の化合物または組成物とともに単回投与形態として、または化合物もしくは組成物とは別に反復投与形態の一部として投与される。追加の治療薬は、本発明の化合物と同時に、または異なる時間に投与してもよい。後者の場合には、それぞれを通常5時間以内に投与するか、またはそれぞれを例えば、6時間、12時間、1日、2日、3日、1週間、2週間、3週間、1ヵ月もしく2ヵ月ずらしてもよい。本発明の化合物と併用してもよい化学療法剤または他の抗増殖剤の非限定的な例には、アドリアマイシン、ゲムシタビン、シクロホスファミド、デキサメタゾン、エトポシド、フルオロウラシル、Gleevec(登録商標)、インターフェロン、白金誘導体(例えば、カルボプラチン、トポテカン、タキソール、ビンブラスチン、およびビンクリスチン)が含まれる。本発明の化合物と併用してもよい免疫調節剤の非限定的な例には、アルファ−、ベータ−およびガンマ−インターフェロン、PEG誘導体化インターフェロン−α化合物、リバビロン、およびサイモシンが含まれる。本発明の化合物と併用してもよい免疫抑制剤の非限定的な例には、サイクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、およびスルファサラジンが含まれる。本発明の化合物と併用してもよい神経栄養因子の非限定的な例には、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣剤、イオンチャンネル遮断剤、リルゾール、および抗パーキンソン病剤が含まれる。本発明の化合物と併用してもよい、心血管疾患の治療用薬剤の非限定的な例には、ベータ−遮断剤、ACE阻害剤、利尿剤、硝酸塩、カルシウムチャンネル遮断剤、およびスタチンが含まれる。本発明の化合物と併用してもよい血液疾患の治療用薬剤の非限定的な例には、コルチコステロイド、抗白血病剤、および増殖因子が含まれる。
【0096】
単回投与形態を生成するために担体材料と併用してもよい、(上述の追加の治療薬を含む組成物中の)本発明の化合物の量、または化合物および追加の治療薬の量は、治療中の宿主および特定の投与様式により変動する。好ましくは、本発明の組成物は、投与量が0.01〜100mg/体重kg/日の式Iの化合物を投与することができるように配合しなければならない。
【0097】
追加の治療薬を含む組成物中で、本発明の追加の治療薬および化合物は、相乗的に作用する場合がある。そのため、このような組成物中の追加の治療薬の量は、当該治療薬のみを使用する単剤療法で必要とされる量よりも少なくなる。このような組成物では、投与量が0.01〜100μg/体重kg/日の追加の治療薬を投与することができる。
【0098】
本発明の組成物中に存在する追加の治療薬の量は、唯一の活性剤として当該治療薬を含む組成物で通常投与することができる量を超えることはない。好ましくは、本開示の組成物中の追加の治療薬の量は、唯一の治療活性剤として当該薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲となる。
【0099】
本発明の化合物、またはその医薬組成物はまた、プロテーゼ、人工弁、血管移植片、ステント、およびカテーテルなどの埋込み型医療機器をコーティングするために組成物に組み込んでもよい。例えば、血管ステントは、再狭窄(損傷後の血管壁の再狭窄)を克服するのに使用されてきた。しかし、ステントまたは他の埋込み型機器を使用する患者には、血栓形成や血小板活性化の危険性がある。これらの望ましくない効果は、キナーゼ阻害剤を含む医薬的に許容される組成物で機器を事前にコーティングすることによって、予防または緩和される場合がある。コーティングした埋込み型機器の適切なコーティング剤および一般的な製剤については、米国特許第6,099,562号、第5,886,026号、および第5,304,121号に記載されている。コーティング剤は、典型的には、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル、およびその混合物などの生体適合性高分子材料である。コーティングはさらに、組成物に放出制御特性を付与するために、フルオロシリコーン、多糖、ポリエチレングリコール、リン脂質、またはその組み合わせの適切なトップコートで場合によりコーティングしてもよい。本発明の化合物でコーティングした埋込み型機器が、本発明の別の実施形態である。
【0100】
本発明の化合物の調製
本発明の化合物は、当業者に既知の方法に基づいて、ならびに全体が参考として本明細書で援用される、米国特許出願第20040122016号に記載の方法により調製してもよい。本明細書には特定の例示的な実施形態を図示し、説明しているが、本発明の化合物は、市販される適切な出発材料や、当業者が一般的に使用できる方法によって入手する適切な出発材料を使用して、本明細書に概説する通りに調製できることが理解されるであろう。本明細書でに記載する本発明をより詳細に理解できるようにするため、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、単に例示を目的としたものであり、いかなる方法によっても本発明を限定するものとして解釈されることはないことを理解しなければならない。
【0101】
以下の定義は、本明細書で使用される用語および略語の説明である。
ATP アデノシン三リン酸
Boc tert−ブトキシカルバミン酸塩
BtS(O)Me N−(1−メタンスルホニル)ベンゾトリアゾール
DMF ジメチルホルムアミド
ESMS エレクトロスプレー質量分析
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
Me メチル
MeOH メタノール
NADH 水素化ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
Ph フェニル
tBu 第3ブチル
TFA トリフルオ酢酸
THF テトラヒドロフラン。
【0102】
スキーム1は、本発明の式1の化合物を調製するのに有用な一般的な合成経路を示す。
【0103】
スキーム1
【0104】
【化26】

したがって、式IIの化合物(式中、R、RおよびXは本明細書に記載する通りである)は、式IIIの化合物(式中、Rは本明細書に記載する通りであり、Lは離脱基である)に反応する。例えば、Lは、ハロゲンまたは活性化ヒドロキシル基であってもよい。ヒドロキシル基を活性化する方法は、当業者に周知であり、従来の濃縮試薬(例えば、1−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−ヘキサフルオロリン酸ビス(ピロリジノ)ウロニウム(BBC)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−ヘキサフルオロリン酸テトラメチルウロニウム(HATU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−ヘキサフルオロリン酸ビス(テトラメチレン)ウロニウム(HAPyU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−ヘキサフルオロリン酸テトラメチルウロニウム(HBTU)、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、(EDCI)O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−ヘキサフルオロリン酸トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム(AOP)、1−ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾールオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム(BOP)、7−ヘキサフルオロリン酸アゾベンゾトリアゾールオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム(PyABOP)、および1−ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾールイルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム(PyBOP))の使用を含む。
【0105】
合成法は、式IV、VおよびVIの化合物(式中、Rは水素であり、nは1〜3であり、TRは本明細書で定義する通りである)の調製で使用される方法に類似しているだけでなく、式IおよびIIの化合物を形成するためのこれらの方法のその後の使用が、参考として本明細書で援用される、米国特許出願公開第20040122016号に記載されている。
【0106】
【化27】

別の一般的な実施例において、式IXのチアゾール含有化合物(式中、RおよびAは本明細書で定義する通りである)は、スキーム2(式中、式VIIのブロモアセチル化合物は、式VIIIのチオ尿素と反応して、式IXのチアゾールを生成する)に示す通りに調製することができる。
【0107】
スキーム2
【0108】
【化28】

さらに別の一般的な実施例において、式XIIIのチオフェン含有化合物(式中、R、nおよびTRは本明細書で定義する通りである)は、スキーム3に示す通りに調製することができる。したがって、式Xのボロン酸またはボロン酸誘導体は、パラジウム触媒カップリング反応において、式XIのチオフェン(式中、Pは適切な窒素保護基(例えば、Boc)である)と反応して、式XIIの化合物を形成する。次いで、式XIIの化合物を、式VIの場合により置換されるフェニル酢酸と結合して、式XIIIの化合物を形成する。本実施例において、カップリングは、N−(1−メタンスルホニル)ベンゾトリアゾール(BtS(O)Me)の存在下で、マイクロ波照射および熱を加えることによって行われる。
【0109】
スキーム3
【0110】
【化29】

【実施例】
【0111】
以下の実施例は、本発明の例示的な化合物を調製する詳細な方法を提供する。本発明の他の化合物は、本明細書で提供される教示および当業者に既知の方法に基づいて調製されることが理解されるであろう。
【0112】
(実施例1) 化合物18の調製
スキーム4で概説する通りに、化合物18を調製した。したがって、カリウムt−ブトキシド(6.1g)を、0℃のTHF75mL中のtert−ブチルナイトライト(5.5mL)および2−フルオロ−4−メチルピリジン(化合物1001、4.0g)の撹拌溶液に緩徐に添加した。添加が完了した後、この反応混合物を室温にて2時間撹拌した。この反応混合物をin vacuoにて濃縮し、粗生成物を酢酸エチル(4×50mL)で抽出した。得られた固体をヘキサンで洗浄し、(2−フルオロピリジン−4−イル)メタン−N−ヒドロキシイミン(化合物1002;4.0g;ESMS:M+H=141)を得た。塩化チオニル(2.6mL)を、0℃の化合物1002の撹拌溶液(THF40mL中4.0g)に緩徐に添加した。室温にて1時間撹拌した後、in vacuoにて揮発性物質を除去した。残留物を酢酸エチル(50mL)に取り込み、有機物を水および塩水で洗浄した。この有機物をin vacuoにて濃縮し、白色の固体として2−フルオロピリジン−4−カルボニトリル(化合物1003)(3.0g;ESMS:M+H=123)を得た。化合物1003(1.0g)および4−メトキシベンジルアミンを130℃にて1時間混合および加熱した。粗生成物を水と酢酸エチル(50mL)に分割した。水層を酢酸エチルで抽出し、混合した有機物をNaSO上で乾燥させ、濃縮し、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化し、淡黄色の固体として2−(4−メトキシベンジルアミノ)ピリジン−4−カルボニトリル(化合物1004;1.7g;ESMS:M+H=238)を得た。化合物1004(1.6g)を無水エーテル50mLに溶解し、エーテル中の3Mの臭化メチルマグネシウム9mLを添加した。この反応混合物を室温にて16時間撹拌し、氷(約50g)上に注いだ後、これを6MのHClで酸性化し、1Mの水酸化アンモニウムで塩基性化した。得られた混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。この混合有機物をin vacuoにて濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、黄色の固体として1−(2−(4−メトキシベンジルアミノ)ピリジン−4−イル)エタノン(化合物1005;1.2g;ESMS:M+H=257)を得た。
【0113】
別個に、2Mのホスゲン/CHCl 2.45mLを、DMF0.1mLを含むジクロロメタン25mL中の2−(3−メトキシフェニル)酢酸(化合物1007、1g)に添加した。この反応混合物を室温にて3時間撹拌し、揮発性物質をin vacuoにて除去した。残留物をTHF25mLおよびチオ尿素1.82gで処理し、次いで80℃にて3時間加熱した。混合物を冷却し、水20mLへ注ぎ、これを酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。混合した有機物を濃縮し、残留物を再結晶化して(酢酸エチル/ヘキサン)、1−(2−(3−メトキシフェニル)アセチル)チオ尿素(化合物1008、476mg)を得た。
【0114】
化合物1005(50mg)を、48%のHBr0.2mLを含む酢酸0.9mLに溶解した。臭素(10μL)を添加し、この反応混合物を70℃にて2時間加熱し、中間化合物1006(非単離)を得た(アセチル基の臭素化により4−メトキシベンジル保護基が損失した)。化合物1008(エタノール7mL中44mg)を添加し、この反応混合物を70℃にて1時間加熱した。この反応混合物を冷却し、水10mLへ注ぎ、溶液を濃縮水酸化アンモニウムで塩基性にした。この混合物をin vacuoにて濃縮し、残留物を逆相HPLC(10〜90%のアセトニトリル/0.1%のTFAを含む水勾配)によって精製し、N−(4−(2−アミノピリジン−4−イル)チアゾール−2−イル)−2−(3−メトキシフェニル)アセトアミド(化合物18、36mg;ESMS:M+H=341)を得た。
【0115】
スキーム4
【0116】
【化30】

(実施例2) 化合物62の調製
スキーム5に示す通りに、第3級ブタノール(675ml)中の4−ブロモチオフェン−2−カルボン酸(53g、255mmol)、アジ化ジフェニルホスホリル(70mL、323mmol)、およびトリエチルアミン(45mmol)の混合物を、100℃にて5時間加熱した。室温に冷却した後、揮発性物質をin vacuoにて除去して、褐色の粘性物質を得て、これを酢酸エチル(500mL)に溶解した。有機物を飽和NaHCOおよび水で洗浄し、次いでNaSOで乾燥させ、in vacuoにて濃縮した。残留物を最小量のCHClに溶解し、クロマトグラフィーによってシリカゲル(10〜15%のEtOAc/ヘキサン)上で精製し、白色の固体としてtert−ブチル−4−ブロモチオフェン−2−イルカルバミン酸塩(化合物1010、47g、ESMS:M+H=2781)を得た。化合物1010(96.7mg、0.35mmol)を、ジオキサン/水(2.4mL/0.8mL)中で、2−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(化合物1011、リチオ化および2−クロロ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキシボロランとのその後の反応によって2−クロロ−4−ブロモピリジンから得る)、触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、および炭酸カリウム(2.06mmol、284mg)で処理し、tert−ブチル4−(2−クロロピリジン−4−イル)チアゾール−2−イルカルバミン酸塩(化合物1012、ESMS:M+H=311.5)を得た。この反応混合物を酢酸エチル(10mL)に溶解し、NaHCOおよびHOで洗浄した。乾燥させた後、溶剤をin vacuoにて除去し、さらに精製せずに混合物を次の手順に移した。化合物1012を4MのHCl/ジオキサン(3mL)で2時間室温にて処理した。得られた沈殿物をろ過し、4−(2−クロロピリジン−4−イル)チアゾール−2−アミン塩酸塩(化合物1013、ESMS:M+H=211.5、収率85%)を得た。化合物1013(30mg、0.14mmol)を、THF2mL中で2−(3−メトキシフェニル)酢酸(28mg、0.17mmol)、N−(1−メタンスルホニル)ベンゾトリアゾール(55mg、0.28mmol)、およびトリエチルアミン(41μL、0.30mmol)と混合し、この混合物にマイクロ波を160℃にて10分間照射した。溶剤を除去した後、反応混合物を酢酸エチルに取り込み、2NのNaOHおよび水で洗浄した。溶剤を除去した後、反応混合物を逆相HPLCによって精製し、N−(4−(2−クロロピリジン−4−イル)チアゾール−2−イル)−2−(3−メトキシフェニル)アセトアミド(化合物62、ESMS:M+H=359、収率33%)を得た。
【0117】
スキーム5
【0118】
【化31】

(実施例3) 化合物64の調製
スキーム6に示す通りに、2.5Mのn−BuLi(7.2mL、18mmol)を、−78℃のTHF3mLおよびトルエン11mL中のtert−ブチル4−ブロモチオフェン−2−イルカルバミン酸塩(化合物1009、1.0g、3.6mmol)の撹拌溶液に滴加した。混合物を−78℃にて1時間撹拌し、ホウ酸塩トリイソプロピル(2.0mL、9mmol)を添加した。撹拌を−78℃にて30分間継続し、次いで室温にて30分間撹拌した。酢酸エチル(50mL)および2MのHCl(15mL)を反応混合物に添加し、撹拌を25分間継続した。有機層を分離し、酢酸エチル(2×25mL)で水層を抽出した。混合した有機物を乾燥させ、in vacuoにて濃縮し、油脂として5−(tert−ブトキシカルバミル)チオフェン−3−イル−3−ボロン酸(化合物1015、0.8g、ESMS:M+H=242)を得た。これを、さらに精製することなく次の手順で使用した。化合物1015を4MのHCl/ジオキサン(10mL)およびメタノール(2mL)に溶解し、この反応混合物を室温にて2時間攪拌した。揮発性物質を、in vacuoにて除去し、褐色の粘性物質として5−アミノチオフェン−3−イル−3−ボロン酸(化合物1016、0.58g、ESMS:M+H=143)を得た。この中間体をさらに精製することなく使用した。室温のDMF3mL中の化合物1016(50mg、0.34mmol)およびトリエチルアミン(50μL)を、2−(3−メトキシフェニル)塩化アセチル(0.408mmol)で処理した。この反応混合物を室温にて一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(2x5mL)に溶解し、1NのNaOHで抽出した。塩基性抽出物を6NのHClで酸性化し、EtOAc(2x5mL)で抽出し、水および塩水で洗浄した。NaSO上で乾燥させた後、溶剤をin vacuoにて蒸発させ、5−(2−(3−メトキシフェニル)アセトアミド)チオフェン−3−イル−3−ボロン酸(化合物1017、ESMS:M+H=292)を得た。(前の手順で得た)化合物1017およびtert−ブチル4−クロロピリジン−2−イルカルバミン酸塩(化合物1018、0.34mmol)を、マイクロ波管で窒素雰囲気下にてジオキサン/水(3mL/1mL)に溶解した。触媒量のトリスジベンジリデンアセトンパラジウム(0)を添加した後、3当量のフッ化カリウムおよびトリ(tert−ブチル)ホスフィン(0.045モル%)を添加した。反応混合物をマイクロ波照射により180℃にて15分間加熱した。冷却後、有機層を濃縮し、粗生成物をDMFおよび水に溶解した後、逆相HPLCによる精製を行い、N−(4−(2−アミノピリジン−4−イル)チオフェン−2−イル)−2−(3−メトキシフェニル)アセトアミド(1016から得た化合物67、10mg、収率8.6%、ESMS:M+H=340)を得た。
【0119】
スキーム6
【0120】
【化32】

本発明の選択化合物のスペクトルデータを表1に示す。
【0121】
(表1)
【0122】
【化33】

【0123】
【化34】

【0124】
【化35】

【0125】
【化36】

【0126】
【化37】

【0127】
【化38】

【0128】
【化39】

【0129】
【化40】

【0130】
【化41】

(実施例4) ROCK阻害アッセイ
標準的な共役酵素系を使用して、ROCK I(AA 6−553)活性を阻害する能力に関して化合物をスクリーニングした(Fox et al.Protein Sci.7:2249,1998)。100mMのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl、25mMのNaCl、2mMのDTT、および1.5%のDMSOを含む溶液中で反応を行った。アッセイでの最終的な基質濃度は、ATP45μM(Sigma Chemicals、米国ミズーリ州セントルイス)、およびペプチド200μM(American Peptide、米国カリフォルニア州サニーベール)であった。30℃およびROCK I 45nmで反応を行った。共役酵素系成分の最終濃度は、ピルビン酸ホスホエノール2.5mM、NADH350μM、ピルビン酸キナーゼ30μg/mL、および乳酸脱水素酵素10μg/mLであった。結果を表2に示す(表中、0.1μM未満のKを「A」と定義し、0.1μM〜1.0μMのKを「B」と定義し、1.0μMを超えるKを「C」と定義する)。
【0131】
(表2)
【0132】
【化42】

【0133】
【化43】

(実施例5) シトクロムP450の阻害
種々のシトクロムP450アイソザイム(例えば、CYP2D6、CYP2C9、CYP1A2、CYP2C19、CYP3A4、CYP2C9およびCYP3A4(ヒト肝ミクロソーム))を阻害する能力に関して、本発明の選択化合物をアッセイした。このようなアッセイについては、Crespi et al.,Anal.Biochem.248:188−90,1997;Ekins et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.290,429−38,1999;およびEkins et al.,J.Pharmacol Exp.Ther.291,424−33,1999.に記載されている。典型的なアイソザイム阻害実験では、試験化合物を8nL溶液(DMSO75%/水中で2mM)としてマイクロタイタープレート上のマイクロウェルに配置した。プレートを、約1000rpmにて2分間遠心分離し、化合物をウェルの底部に移動させた。ポリビニルピロリドン(PVP/10K、100nL、DMSO75%/水中で0.2%)をウェルに添加し、このビヒクルをさらに約1000rpmにて2分間遠心分離し、化合物と確実に混合した。これらのウェルを含むプレートをin vacuoにて乾燥させた。蒸留水(800nL)を、化合物、背景対照ウェル、および陽性対照ウェルを含むウェルに添加し、次いで200nLのリン酸緩衝液(pH=8.4の500mMのリン酸カリウムバター)を添加した。陽性対照細胞はミコナゾールなどの薬剤を含む。500nMのリン酸緩衝液中のInsect baculosome(PanVera P2315)を背景対照ウェルに添加し、化合物の蛍光に関してプレートを走査した。100mMのリン酸緩衝液中のNADP(200nL、100μM)および基質(3A4:5μM Vivid(登録商標)3A4 Red、2C9:1μM Vivid(登録商標)2C9 Green、1A2:2μM Vivid(登録商標)1A2 Blue、2C19:10μM Vivid(登録商標)2C19 Blue、および2D6:10μM Vivid(登録商標)2D6 Blue)を、関係するCYP450アイソザイムの基質のKに相当する最終濃度の各ウェルに添加した。そのため、100mMのリン酸緩衝液中のCYP450アイソザイム(400nL)および再生緩衝液(3.3mMのグルコース−6−リン酸、0.4単位/mLのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、100mMのMgClおよび0.00025%の消泡剤289)を、化合物および背景対照を含む各ウェルに添加し、以下の濃度を得た:CYP3A4 5nM、CYP2C9 10nM、CYP1A2 5nM、CYP2C19 5nM、およびCYP2D6 20nM。60分間のインキュベーション後に、ウェルを蛍光プレートリーダーで読み込んだ。シトクロムP450アイソザイムの阻害値を表3に示す(1.0μM未満のIC50を「A」と定義し、1.0μM〜10.0μMのIC50を「B」として定義し、10.0μMを超えるIC50を「C」と定義する)。
【0134】
(表3)
【0135】
【化44】

【0136】
【化45】

以上において、理解を明確にするために図や実施例を使用して、上述の本発明をいくらか詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲の趣旨または適用範囲から逸脱することなく本発明の特定の変更および改変が可能であることが、本発明の教示内容に照らして当業者に容易に明らかになるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有する化合物、あるいはその医薬的に許容される塩であって:
【化46】

式中、
が、ハロゲン、−CN、−NO、−NR、−OR、−SR、または場合により置換されるC1−4脂肪族もしくはC3−6脂肪環であり;
が、水素、またはC1−3脂肪族であり;
各Rが独立して、水素、ハロゲン、−NR、−OR、−SR、または場合により置換されるC1−4脂肪族基もしくはC3−6脂環式基であるか、あるいは2個のRが介在炭素原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する、場合により置換される3〜6員の脂肪環もしくはヘテロシクリル環を形成し;
が、CRまたはNであり、式中、Rが、水素、ハロゲン、−C(O)R、−C(S)R、−C(O)N(R)、−C(S)N(R)、−CN、−NO、または場合により置換されるC1−4脂肪族基であり;
が、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、フェニル環または5〜6員ヘテロアリール環であり、該フェニルまたはヘテロアリール環が1〜5個のTRの独立した出現で場合により置換され、2個のTR基が場合により一緒になって、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成し;
Tが、結合またはC−Cアルキリデン鎖であり、Tの最高2個のメチレン単位が、−NR’−、−S−、−O−、−C(S)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)−、−C(O)C(O)−、−C(O)NR’−、−NR’C(O)−、−NR’C(O)O−、−S(O)NR’−、−NR’S(O)−、−C(O)NR’NR’−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)NR’−、−NR’NR’−、−NR’S(O)NR’−、−S(O)−、−S(O)−、−P(O)−、−P(O)−、−P(O)R’で場合によりかつ独立して置換され;
各Rが、独立してR、ハロゲン、−NO、または−CNであり;
の各出現が独立して、水素;C1−4脂肪族基、C3−6脂環式基、C1−4のハロ脂環式基から選択される、場合により置換される部分;6〜10員の単環式もしくは2環式アリール環、3〜10員の単環式もしくは2環式脂環式環、または窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜14員の単環式もしくは2環式ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル環であるか、あるいはR、R’および介在窒素原子が一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を場合により有する、場合により置換される5〜6員複素環式環もしくはヘテロアリール環を形成し;
それぞれの場合により置換される基または環が独立して、C1−4脂肪族、C3−6脂環式、C1−4ハロ脂環式、ハロゲン、−OR’’、−OC(O)N(R’’)、−OC(O)R’’、−OC(O)OR’’、−NO、−N(R’’)2、−NR’’C(O)R’’、−NR’’C(S)R’’、−NR’’C(O)N(R’’)、−NR’’C(S)N(R’’)、−NR’’C(O)OR’’、−NR’’NR’’C(O)R’’、−NR’’NR’’C(O)N(R’’)、−NR’’NR’’C(O)OR’’、−NR’’S(O)N(R’’)、−NR’’S(O)R’’、−N(OR’’)R’’、−CN、C(O)OR’’、−C(O)R’’、−C(S)R’’、−C(O)N(R’’)、−C(S)N(R’’)、−OC(O)N(R’’)、−OC(O)R’’、−C(O)N(OR’’)R’’、−C(=NOR’’)R’’、−C(=NH)−N(R’’)、−SR’’、−SC(O)R’’、−SC(S)R’’、−S(O)R’’、−S(O)R’’、−S(O)OR’’、または−S(O)N(R’’)から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換され;
Rの各出現が独立して、水素、C1−4脂肪族基、C3−6脂環式基、−(CH1−2Ph、−CH=CHPh、もしくはC1−4ハロ脂肪族基であるか、あるいは2個のR基および介在窒素原子が一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を場合により有する、場合により置換される5〜6員複素環式環もしくはヘテロアリール環を形成し;
R’の各出現が独立して、水素、C1−4脂肪族基、C3−6脂環式基、−(CH1−2Ph、−CH=CHPh、もしくはC1−4ハロ脂環式基であるか、あるいは2個のR’基および介在窒素原子が一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を場合により有する、場合により置換される5〜6員複素環式環もしくはヘテロアリール環を形成し;
R’’の各出現が独立して、水素、C1−4脂肪族基、C3−6脂環式基、−(CH1−2Ph、−CH=CHPh、もしくはC1−4ハロ脂環式基であるか、あるいは2個のR’’基および介在窒素原子が一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を場合により有する、場合により置換される5〜6員複素環式環もしくはヘテロアリール環を形成する、
化合物;あるいはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
がハロゲン、−NR、−OR、または場合により置換されるC1−4脂肪族である、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
がC1−4脂肪族である、請求項2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
がCHまたはCHCHである、請求項3に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
がハロゲンである、請求項2に記載の化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項6】
前記ハロゲンがフルオロまたはクロロである、請求項5に記載の化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項7】
がNRである、請求項2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
がNH、NHCH、N(CH、NHCHCH、またはNHCHPhである、請求項7に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
がORである、請求項2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
がOCH、またはOCHCHである、請求項9に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
各Rが、水素、ハロゲン、−NR’’’、−OR’’’、−SR’’’、またはC1−4脂肪族基から独立して選択され、式中、各R’’’が独立して水素またはC1−4脂肪族基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が、水素、クロロ、フルオロ、または−OHから独立して選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
各Rが水素である、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
が、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有するフェニル環または5〜6員ヘテロアリール環であり、該フェニルまたはヘテロアリール環が1〜3個のTRの独立した出現で場合により置換され、式中、2個のTR基が、場合により一緒になって、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
が、1〜3個のTRの出現で場合により置換されるフェニル環である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
−TRの1つが3位にある、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
−TRがクロロ、フルオロ、−OH、場合により置換されるC1−4アルコキシ、−NHS(O)、−S(O)NRRである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
がCRであり、式中、Rが水素またはC1−4脂肪族基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
がCHである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
がNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
以下の式を有し:
【化47】

式中、
がC1−4脂肪族、ハロゲン、−NR、−OR、または−SRであり;
各Tが独立して、結合またはC−Cアルキリデン鎖であり、Tの最高2個のメチレン単位が、−NR’−、−S−、−O−、−C(O)NR’−、−NR’C(O)−、−NR’C(O)O、−S(O)NR’−、−NR’S(O)−、−NR’C(O)NR’−、−OC(O)NR’−、または−NR’S(O)NR’−で場合によりかつ独立して置換されるか、あるいは2個のTR基が、場合により一緒になって、メチレンジオキシもしくはエチレンジオキシを形成し;
各Rが独立して、Rまたはハロゲンであり;
nが1〜3である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
がハロゲンである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
前記ハロゲンがクロロまたはフルオロである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
がC1−4脂肪族である、請求項22に記載の化合物。
【請求項26】
がCHまたはCHCHである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
がNRである、請求項22に記載の化合物。
【請求項28】
が、NH、NHCH、N(CH、NHCHCH、またはNHCHPhである、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
がORである、請求項22に記載の化合物。
【請求項30】
がOCHまたはOCHCHである、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
各Rが独立して、水素、ハロゲン、−NR’’’、−OR’’’、−SR’’’、またはC1−4脂肪族基であり、式中、各R’’’が独立して水素またはC1−4脂肪族基である、請求項22に記載の化合物。
【請求項32】
が、水素、クロロ、フルオロまたは−OHである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
各Rが水素である、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
−TRの1つが3位にある、請求項22〜33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
3位の−TRが、クロロ、フルオロ、−OH、場合により置換されるC1−4アルコキシ、−NHS(O)、−S(O)NRRであるか、あるいは3位および4位の2個のTR基が一緒になってメチレンジオキシである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
がCRである、式中、Rが水素またはC1−4脂肪族基である、請求項22に記載の化合物。
【請求項37】
がCHである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
がNである、請求項22に記載の化合物。
【請求項39】
表1に列挙した化合物群から選択される化合物。
【請求項40】
前記化合物が、0.1マイクロモル濃度以下のKを有するROCKに結合し、5マイクロモル濃度以上のIC50を有する、CYP1A2、CYP2C19、CYP2C9、CYP2D6、およびCYP3A4からなる群から選択されるシトクロムP450アイソザイムの少なくとも1つを阻害する、請求項1〜14、16〜33、または35〜39のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
前記化合物が、5マイクロモル濃度以上のIC50を有する、CYP1A2、CYP2C19、CYP2C9、CYP2D6、およびCYP3A4からなる群から選択されるシトクロムP450アイソザイムの少なくとも3つを阻害する、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
前記化合物が、5マイクロモル濃度以上のIC50を有する、CYP1A2、CYP2C19、CYP2C9、CYP2D6、およびCYP3A4からなる群から選択されるシトクロムP450アイソザイムの少なくとも4つを阻害する、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
請求項1〜14、16〜33、または35〜39のいずれか1項に記載の化合物、および医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含む組成物。
【請求項44】
生体試料におけるROCKキナーゼ活性を阻害する方法であって、該生体試料を、請求項1〜14、16〜33、もしくは35〜39のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬組成物に接触させる手順を含む、方法。
【請求項45】
前記組成物が、化学療法剤もしくは抗増殖剤、抗炎症剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤、神経栄養因子、心血管疾患の治療用薬剤、破壊的骨障害の治療用薬剤、肝臓病の治療用薬剤、抗ウイルス剤、血液疾患の治療用薬剤、糖尿病の治療用薬剤、または免疫不全障害の治療用薬剤から選択される追加の治療薬を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
心血管疾患もしくは障害、炎症性疾患もしくは障害、神経性疾患もしくは障害、または増殖性疾患もしくは障害から選択される、患者の疾患、病態または障害を治療するか、またはその重症度を軽減するための、請求項43に記載の組成物の使用。
【請求項47】
前記心血管疾患、病態または障害が、アンギナ、アテローム性動脈硬化症、脳血管攣縮、脳血管収縮、冠攣縮、内皮細胞機能不全、勃起不全、緑内障、高血圧症、虚血/再潅流損傷、心筋肥大、心筋梗塞、末梢循環障害、早期陣痛、レイノー病、腎臓病、または卒中である、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
前記炎症性疾患、病態または障害が、急性のアレルギー性炎症、喘息、大腸炎またはクローン病である、請求項46に記載の使用。
【請求項49】
前記神経性疾患、病態または障害が、アルツハイマー病、多発性硬化症、神経突起伸長、神経障害性疼痛または脊髄損傷である、請求項46に記載の使用。
【請求項50】
前記増殖性疾患、病態または障害が、腺癌、副腎皮質癌、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、口腔癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜もしくは子宮癌、類表皮癌、食道癌、眼癌、濾胞状癌、胆嚢癌、消化器癌、尿生殖路癌、膠芽腫、毛様細胞癌、頭頸部癌、肝臓癌、肝細胞癌、ホジキン病、ケラトアカントーマ、腎臓癌、大細胞癌、大腸癌、喉頭癌、肝臓癌、肺腺癌、小細胞肺癌、肺扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫、骨髄増殖性障害、神経芽細胞腫、卵巣癌、乳頭状癌、膵臓癌、腹膜癌、前立腺癌、直腸癌、唾液腺癌、肉腫、扁平上皮癌、小細胞癌、小腸癌、胃癌、睾丸癌、甲状腺癌、または外陰癌から選択される、侵襲性または転移性の癌である、請求項46に記載の使用。
【請求項51】
前記組成物が、化学療法剤もしくは抗増殖剤、抗炎症剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤、神経栄養因子、心血管疾患の治療用薬剤、破壊的骨障害の治療用薬剤、血液疾患の治療用薬剤、糖尿病の治療用薬剤、または免疫不全障害の治療用薬剤から選択される追加の治療薬を含み、該追加の治療薬が、治療中の疾患に適切であり、そして該追加の治療薬が、該組成物とともに単回投与形態として、または該組成物とは別に反復投与形態の一部として投与される、請求項46に記載の使用。

【公表番号】特表2009−536947(P2009−536947A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509852(P2009−509852)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/011285
【国際公開番号】WO2007/133622
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】