説明

SnO2ガスセンサの製造方法と、貴金属ナノ粒子を担持したSnO2の製造方法

【構成】 SnO2の水性ゾルに、SnO2へ配位する少なくとも2個の配位子と、貴金属へ配位する少なくとも2個の配位子とを備えたキレート化合物を添加し、キレート化合物をSnO2に配位させる。有機化合物を配位した貴金属のナノ粒子を有機分散媒に分散させたゾルと、キレート化合物を配位させたSnO2の水性ゾルとを接触させ、貴金属のナノ粒子にキレート化合物を配位させることにより、ゾル中のSnO2粒子に貴金属のナノ粒子を担持させ、焼成してSnO2ガスセンサとする。
【効果】 SnO2に貴金属のナノ粒子を効率的に担持させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、SnO2ガスセンサの製造等に関する。
【背景技術】
【0002】
SnO2のナノ粒子に、Pd,Pt,Rh,Au,Ir,Ruなどのナノ粒子からなるレセプタを担持させることができれば、SnO2ガスセンサの感度や選択性が向上すると期待されている。なおここでレセプタはSnO2から電子を受容するものとの意味で、SnO2に関して貴金属触媒と呼ばれることがある。発明者らは、直径数nmの水溶液からなる反応の場を利用して、粒子径が10nm程度のSnO2に粒子径が数nmのPdOを担持させることに成功した(特許文献1)。この方法では、例えばSn(OH)2−を内包する逆ミセルに硝酸の逆ミセル溶液を接触させて、逆ミセル内にSn(OH)を析出させる。次いでPd2+を内包する逆ミセル溶液を調製し、Sn(OH)の逆ミセルと反応させて、Sn(OH)上にPdを担持させる。得られたPd担持のSnO2を用いると、高感度でかつ少ないPd担持量で動作するガスセンサが得られる。
【0003】
しかしながら特許文献1の手法では、有機溶媒中にSn(OH)4等を内包する逆ミセルを形成するので、多量の有機溶媒を消費し、かつ多量のSnO2を製造しにくい。そこで発明者は、逆ミセルを使用せずに、SnO2表面に貴金属のナノ粒子を担持させる方法を検討し、この発明に到った。
【特許文献1】特開2008−064674
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、貴金属のナノ粒子を担持したSnO2を効率的に製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、SnO2の水性ゾルに、SnO2へ配位する少なくとも2個の配位子と、貴金属へ配位する少なくとも2個の配位子とを備えたキレート化合物を添加し、キレート化合物をSnO2に配位させる表面修飾ステップと、
有機化合物を配位した貴金属のナノ粒子を有機分散媒に分散させたゾルと、キレート化合物を配位させたSnO2の水性ゾルとを接触させ、貴金属のナノ粒子にキレート化合物を配位させることにより、ゾル中のSnO2粒子に貴金属のナノ粒子を担持させる担持ステップと、
貴金属のナノ粒子を担持したSnO2粒子を焼成する焼成ステップとを実行する、SnO2ガスセンサの製造方法にある。
【0006】
またこの発明は、SnO2の水性ゾルに、SnO2へ配位する少なくとも2個の配位子と、貴金属へ配位する少なくとも2個の配位子とを備えたキレート化合物を添加することにより、キレート化合物をSnO2に配位させる表面修飾ステップと、
有機化合物を配位した貴金属のナノ粒子を有機分散媒に分散させたゾルと、キレート化合物を配位させたSnO2の水性ゾルとを接触させ、貴金属のナノ粒子にキレート化合物を配位させることにより、ゾル中のSnO2粒子に貴金属のナノ粒子を担持させる担持ステップと、
貴金属のナノ粒子を担持したSnO2粒子を焼成する焼成ステップとを実行する、貴金属ナノ粒子を担持したSnO2の製造方法にある。
【0007】
この明細書において、SnO2ガスセンサの製造方法に関する記載は、そのまま原材料としての貴金属ナノ粒子を担持したSnO2の製造方法にも当てはまる。ゾルに関してSnO2は広義に解釈し、スズ酸のゾルを含むものとする。ナノ粒子は一次粒径が10nm(100A)以下であることのみならず、特にSnO2の場合、30nm以下であることを含むものとする。貴金属のナノ粒子を含むゾルは、ナノ粒子の周囲が有機化合物の配位子で覆われている構造をし、ゾルと溶液との境界付近にある物質である。
【0008】
この発明では、貴金属に配位するための配位子を少なくとも2個備えたキレート化合物を水性のSnO2のゾル粒子に配位させて、貴金属のナノ粒子を含むゾルと接触させる。貴金属のナノ粒子は、キレート化合物の配位によりゾル中のSnO2粒子に担持され、これを焼成すると貴金属のナノ粒子を担持したSnO2ガスセンサやSnO2が得られる。この発明では、逆ミセル法に比べ有機溶媒の消費量が少なく、かつ貴金属ナノ粒子を担持したSnO2を多量に製造できる。
【0009】
好ましくは、担持ステップでは、有機分散媒を蒸発させる。これによって、貴金属のナノ粒子は水性ゾルとの界面でキレート化合物と容易に反応する。有機分散媒は、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサンなどの低沸点(沸点が例えば120℃以下)の非極性溶媒が好ましく、蒸発時に反応系を加熱しても室温に保っても良い。
【0010】
好ましくは、キレート化合物は、SnO2へ配位する配位子としてカルボキシル基もしくはカルボニル基を有し、カルボキシル基は酸型が好ましいが、エステル型でも良く、カルボキシル基やカルボニル基はSnO2等に配位しやすい基として一般に知られている。キレート化合物は、好ましくは貴金属へ配位する配位子としてチオール基もしくはチオエーテル基を有し、チオール基やチオエーテル基はAu,Pd,Pt,Rh,Ir,Ru等の貴金属や水銀,銅などの重金属に配位しやすい基として一般に知られている。このようなキレート化合物としては、例えばDMSA(Meso 2,3-dimercaptosuccinic acid)があり、これは琥珀酸の2位と3位の水素原子をチオール基で置換したジカルボン酸で、化学式はHOOC-CH(SH)-CH(SH)-COOHである。DMSAに代えて2個のチオール基あるいは2個のアミノ基を有するジカルボン酸等を用いても良く、例えば2,4-ジメルカプトグルタル酸(2,4-dimercapto glutaric acid)、3,4-ジメルカプトアジピン酸(3,4-Dimercaptoadipic Acid)、等を用いても良くい。これらの化合物はアルキル基の両端にカルボキシル基を持ち、アルキル基の2個の水素を2個のメルカプト基で置換した化合物である。
【0011】
好ましくは、貴金属の酢酸塩やオレイン酸塩等の化合物に、沸点200℃以上の第1の有機化合物を配位子として錯体を生成させる。配位子は例えばトリオクチルホスフィン(TOP)やオレイルアミン(正式名:オレイン酸アミドC18H35NO、以下単にオレイルアミンという)等とする。TOPやオレイルアミンはPdイオン等の貴金属イオンと錯体を形成し、150〜300℃程度で熱処理すると、錯体の表面が配位子で覆われているため、徐々にPdのナノ粒子が生成する。TOPやオレイルアミンに代えて、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸等を用いても良い。これらは炭素数10以上のアルキル基の末端をカルボキシル基あるいはアミノ基で置換した化合物である。これらの配位子は、Pd等の貴金属に配位可能な活性基、例えばリン原子、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基等を備え、長鎖の炭化水素により配位化合物が疎水性となり、かつ150〜300℃程度でPdのナノ粒子を生成するために沸点が200℃以上の化合物である。
【0012】
生成した貴金属のナノ粒子は遠心分離等で第1の有機化合物と分離し、第1の有機化合物に比べて低分子量の第2の有機化合物を配位子として加えると、配位子を第1の有機化合物からより低分子量の第2の有機化合物に置換できる。オレイルアミンやTOPは大きな分子であるため、Pdナノ粒子の表面を覆い、DMSA等のキレート化合物との反応を妨げる。これに対しイソブチルアミン等の低分子の化合物ではPdナノ粒子の表面が露出し、キレート化合物との反応が容易になる。低分子量の化合物としては、例えばプロピルアミン、ヘキシルアミン、ペンチルアミン等がある。これらの化合物は炭素数が6以下のアルキルアミンである。第2の配位子はチオール基に比べてPdのナノ粒子に弱く配位するので、SnO2ゾルを表面修飾するキレート化合物との反応を妨げない。またアミノ基などの活性基以外の部分は炭化水素からなるので、非極性の有機溶媒と自由に混合する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0014】
図1〜図7に、実施例を示す。図1は実施例で用いた単分散の水性SnO2ゾルの製造方法を示し、濃度1MのNH4HCO3水溶液を、濃度1MのSnCl4水溶液に撹拌下に徐々に滴下し、スズ酸の沈殿を得た。得られた沈殿を例えば室温で1晩静置し、上澄み部分を捨てて遠心分離により塩素イオンを除去した。次にアンモニア水によりPHを例えば10.5に調製し、例えば200℃で3時間水熱処理を行い、水中にSnO2の1次粒子が分散した単分散SnO2ゾルを得た。レーザ粒度分布測定装置(LPA)により測定したSnO2ゾルの平均1次粒子径は、5 nm程度である。実施例ではSnO2のゾルを用いたが、水熱処理を省略したスズ酸のゾルを用いても良く、その場合、遠心分離後にアンモニア水、硝酸アンモニウム等でPHを例えば6〜10.5程度に調整する。PHを調整するのはPH2等でもまたPH12等でも、ゾルが分解するためである。また水熱処理の温度は例えば150〜240℃程度とし、処理時間は1〜10時間程度とする。
【0015】
図2に、Pdナノ粒子のゾルの製造工程を示す。Pd源としてPd(CH3COO)2などを用い、オレイン酸等の他のPdのカルボン酸塩でも良く、またPdCl2やPd(NO3)2などでもよい。N2雰囲気やAr雰囲気などの不活性雰囲気で、Pd(CH3COO)2などを例えば0.33mmolサンプル管に加え、トリオクチルホスフィン(TOP)1mlに溶解させた後に、さらにTOP9mlを加えた。TOP9mlに代えて、オレイルアミン10mlなどを加えても良い。TOPやオレイルアミンの沸点は200℃以上で、サンプル管を例えば150〜300℃まで加熱し、30分間最高加熱温度に保持し冷却した。Pd(CH3COO)2にTOP1mlを加えると、溶液は黄色からオレンジ色に変色し、TOP9mlを加えて例えば180℃まで加熱すると、溶液は黒色に変化した。このことから、TOP1mlを加えた段階でPd(CH3COO)2とTOPとの錯体が形成されていることが分かり、180℃付近で黒変することから錯体がPdのナノ粒子へと成長したことが分かる。TOP9mlに代えてオレイルアミン10mlを加えた場合、150℃付近で溶液は黒色に変化し、より低い温度でPdのナノ粒子が成長していることが分かる。また熱処理時間は30分としたが、5分〜3時間程度が適当である。
【0016】
Pdのナノ粒子を分散させない溶媒として、例えばエタノール50mlを加え、遠心分離を例えば5回繰り返して、過剰のTOPやオレイルアミンを除去し、Pdのナノ粒子のゲルを得た。ゲル粒子の表面にはTOP等の配位子が配位しており、ゲルは乾燥して保存可能である。Pdのナノ粒子のゲルに例えばモノ−イソブチルアミン(以下単にブチルアミンという)10mlを加え、配位子をTOPやオレイルアミンからブチルアミンに変換し、エタノール50mlを加えて遠心分離を行い、ブチルアミン配位型のPdのナノ粒子のゲルを得た。得られたゲルにクロロホルム10mlを加えて、Pdのナノ粒子を分散させた。クロロホルムに代えてベンゼン,トルエン,キシレン,シクロヘキサンなどを用いても良く、これらは沸点が例えば120℃以下の疎水性の有機溶媒である。分散媒の量はここでは10mlとするが、任意である。
【0017】
図3にSnO2ゾルへのPdのナノ粒子の担持工程を示す。SnO2の水性ゾル25ml(SnO2分250mg,PHは硝酸アンモニウムあるいはNH4HCO3により6〜8に調整済み)にDMSA 0.05gを溶かした。DMSAの2つのカルボキシル基はSnO2に配位し、2つのチオール基に後にPdのナノ粒子に配位する。次いでクロロホルムを分散媒とし、ブチルアミンを配位子とするPdのナノ粒子のゾルを、SnO2のゾルに混合した。添加量は2mmol Pd/mol SnO2である。混合したゾルを撹拌しながら室温でクロロホルムを徐々に蒸発させた。これによってPdのナノ粒子とSnO2ゾルとがクロロホルム相と水相との界面で反応する。ブチルアミンは分子サイズが小さいので、Pdのナノ粒子の表面を完全には被覆せず、DMSAのチオール基とPdのナノ粒子との反応を妨げない。以上によりPdを担持させたSnO2ゾルを得た。なおPdのナノ粒子は黒色、SnO2ゾルは白色であるが、これらを混合してPdが担持されたSnO2ゾルは灰色で、PdがSnO2ゾル中に均一に存在していることが推定される。
【0018】
ここでは室温でクロロホルムを蒸発させたが、ベンゼン,トルエン,キシレン,シクロヘキサンなどの場合、加熱下に有機分散媒を蒸発させれてもよい。またPdのナノ粒子の配位子をイソブチルアミンとすると、Pdの仕込量の全量がSnO2ナノ粒子に担持されたが、配位子をオレイルアミンとすると、仕込量の約1/2量がSnO2ナノ粒子に担持された(担持量は蛍光X線で測定)。このことは、分子量が小さいためPdのナノ粒子の表面を完全には被覆しない配位子の方が、Pdのナノ粒子とSnO2のゾル粒子を表面修飾したキレート化合物との反応を妨げないことを示している。
【0019】
Pdを担持したSnO2ゾルを遠心分離し、例えば300℃で焼成して、Pdのナノ粒子を担持したSnO2とする。焼成の過程でSnO2及びPdの平均結晶子径はほとんど変化しない。次にPdを担持したSnO2をジエタノールアミンバインダなどのバインダでペースト化した。アルミナ基板、あるいはシリコン基板上に設けたSiO2等の薄膜上に、ヒータと、電極間のギャップが10〜100μm程度の櫛の歯電極とを設けた。電極上にペーストを滴下し、スピンコートなどにより成膜し、例えば250℃付近でジエタノールアミンを蒸発させた後に、空気中600℃などで5分〜3時間程度焼成し、薄膜型のガスセンサを得た。得られたガスセンサの200〜500℃でのCO,H2,CH4等への感度と空気中の抵抗値とを測定し、Pd非担持のSnO2に比べて空気中の抵抗値が2-10倍程度増していることから、Pdがレセプタとして機能していることを確認した。また200〜300℃付近でCOやH2に高感度でかつ応答速度が速いことを確認した。
【0020】
図4は、150℃で熱処理したPdのナノ粒子のX線回折図である。スキャン速度を毎分1°とし、0.02°ステップで20〜90°の範囲で測定した。また表1に、加熱温度とPdのナノ粒子の結晶子径(X線回折により測定)との関係を示す。150〜300℃程度の加熱温度で、Pdのナノ粒子が得られ、PdCl2ではPd(CH3COO)2よりも結晶子径が大きくなる。好ましい加熱温度はPd(CH3COO)2等のPdのカルボン酸塩の場合で、例えば150〜210℃である。
【0021】
表1

【0022】
図5にSnO2の水性ゾルと、Pdのナノ粒子との反応モデルを示す。SnO2粒子の表面はDMSAなどにより修飾されており、有機分散媒中のPdのナノ粒子と配位結合できる。そして有機溶媒を蒸発させることにより、Pdのナノ粒子はSnO2の水性ゾルと接触し、DMSAなどの配位子との配位結合により、SnO2ナノ粒子の表面にPdのナノ粒子が担持される。
【0023】
Pd担持のSnO2ゲル(図3での遠心分離後のゲル)の透過電子顕微鏡写真を、図6,図7に示し、図7は図6の左下の□部分の拡大図である。図7では間隔の異なる2つの縞が見られ、間隔の広い縞はSnO2の(110)面の間隔に相当する3.30A(1Aは0.1nm)の縞であり、間隔の狭い縞はPd(111)面間に相当する2.24Aの縞である。これらの縞の配置から、SnO2粒子上にPdのナノ粒子が担持されていることが分かる。
【0024】
実施例ではSnO2へのPdの担持を例としたが、AuやPt,Rh,Ruなどの担持も同様に行うことができる。Pdを担持させるSnO2の水性ゾルは、水熱合成したものに限らず、SnCl4を NH4HCO3等で沈殿させ熟成させたスズ酸のゾルでも良い。またこの発明ではPd担持のSnO2を多量に得ることができるので、薄膜に限らず厚膜のガスセンサも製造できる。さらにPdのナノ粒子を担持したSnO2は、ガスセンサ以外の一般的な触媒として用いることもできる。

【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例でのSnO2ゾルの製造工程を示す図
【図2】実施例でのPdナノ粒子のゾルの製造工程を示す図
【図3】実施例での、SnO2ゾルへのPdナノ粒子の担持から、ガスセンサの製造までの工程を示す図
【図4】150℃で熱処理したPdナノ粒子のX線回折図
【図5】表面修飾したSnO2ナノ粒子へのPdのナノ粒子の担持を示す概念図
【図6】Pdを担持したSnO2ナノ粒子の透過電子顕微鏡画像
【図7】図6の部分拡大図で、SnO2の(110)面とPdの(111)面とを示す

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SnO2の水性ゾルに、SnO2へ配位する少なくとも2個の配位子と、貴金属へ配位する少なくとも2個の配位子とを備えたキレート化合物を添加し、該キレート化合物をSnO2に配位させる表面修飾ステップと、
有機化合物を配位した貴金属のナノ粒子を有機分散媒に分散させたゾルと、キレート化合物を配位させたSnO2の水性ゾルとを接触させ、貴金属のナノ粒子にキレート化合物を配位させることにより、ゾル中のSnO2粒子に貴金属のナノ粒子を担持させる担持ステップと、
貴金属のナノ粒子を担持したSnO2粒子を焼成する焼成ステップ、とを実行するSnO2ガスセンサの製造方法。
【請求項2】
担持ステップでは、前記有機分散媒を蒸発させることにより、貴金属のナノ粒子をSnO2の水性ゾルに接触させて前記キレート化合物を反応させることを特徴とする、請求項1のSnO2ガスセンサの製造方法。
【請求項3】
前記キレート化合物は、SnO2へ配位する配位子としてカルボキシル基もしくはカルボニル基を有し、貴金属へ配位する配位子としてチオール基もしくはチオエーテル基を有することを特徴とする、請求項1または2のSnO2ガスセンサの製造方法。
【請求項4】
貴金属の化合物に沸点200℃以上の第1の有機化合物と反応させて、第1の貴金属の配位化合物を生成させるステップと、
生成した第1の貴金属の配位化合物を150℃以上で熱処理し、貴金属のナノ粒子を生成させるステップと、
生成した貴金属のナノ粒子を前記第1の有機化合物と分離すると共に、前記第1の有機化合物に比べて低分子量の第2の有機化合物を前記貴金属のナノ粒子に配位させるステップとにより、
貴金属のナノ粒子を有機分散媒に分散させたゾルを製造することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかのSnO2ガスセンサの製造方法。
【請求項5】
SnO2の水性ゾルに、SnO2へ配位する少なくとも2個の配位子と、貴金属へ配位する少なくとも2個の配位子とを備えたキレート化合物を添加することにより、キレート化合物をSnO2に配位させる表面修飾ステップと、
有機化合物を配位した貴金属のナノ粒子を有機分散媒に分散させたゾルと、キレート化合物を配位させたSnO2の水性ゾルとを接触させ、貴金属のナノ粒子にキレート化合物を配位させることにより、ゾル中のSnO2粒子に貴金属のナノ粒子を担持させる担持ステップと、
貴金属のナノ粒子を担持したSnO2粒子を焼成する焼成ステップとを実行する、貴金属ナノ粒子を担持したSnO2の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−32343(P2010−32343A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194402(P2008−194402)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000112439)フィガロ技研株式会社 (58)
【Fターム(参考)】