説明

TFT基板、表示装置、TFT基板の製造方法、及び表示装置の製造方法

【課題】ディスプレイパネル完成後の点灯検査で検出された短絡欠陥を修正する場合に、配線の切断が困難であった。
【解決手段】本発明に係るTFT基板は、走査線(1-1,1-2,1-3)、信号線(2-1,2-2)、グランド電極線(3-1,3-2)及び電源供給線(4-1,4-2)が形成されるとともに、グランド電極線(3-1,3-2)及び電源供給線(4-1,4-2)は、それぞれアルミニウムによって形成された主要配線部と、主要配線部の配線パターンの一部にモリブデンによって形成された修正用配線部(1a〜1g,2a〜2g,3a〜3g,4a〜4g)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きくは平面型の表示装置に係り、特に、TFT基板とこれを備える表示装置、さらにはそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、FPD(Flat Panel Display)が大型化するにつれ、TFT(Thin Film Transistor)をアクティブマトリクス素子に用いたFPD用途のTFT基板の歩留まりが低下し、欠陥箇所を修正するレーザリペア工程が必須となっている。特に、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ用のTFT基板の場合は、液晶ディスプレイ用のTFT基板と比較して、信号線や走査線の他に、複数の電位供給線(電源供給線、グランド電極線)が存在するため、画素構造が複雑になって歩留まりの低下が顕著になる。
【0003】
このため、従来においては、基板上に形成された2つの配線間で短絡欠陥が検出された場合に、この欠陥箇所の近傍で配線をレーザ光(レーザビーム)の照射によって切断することにより、短絡欠陥を修正する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
有機ELディスプレイ用のTFT基板の作製工程においては、走査線と信号線との間、又は走査線とグランド電極線との間、あるいは走査線と電源供給線との間で、層間短絡が生じた場合や、信号線とグランド電極線との間、又は信号線と電源供給線との間、あるいはグランド電極線と電源供給線との間で、同層短絡が生じた場合は、短絡箇所に接続されているTFTの動作が異常となり、表示特性における線欠陥又は点欠陥となる。このため、表示品位を著しく低下させる要因となる。
【0005】
そこで、有機ELディスプレイの作製工程では、TFT基板を作製した後に上記の短絡欠陥を検出するための光学式検査による欠陥検査工程を設け、この欠陥検査工程で検出された短絡欠陥をレーザ照射により修正するための欠陥修正工程を設けている。
【0006】
しかしながら、光学式検査による欠陥検査工程だけでは、線欠陥又は点欠陥となる致命的な欠陥を特定することが困難である。このため、検査工程で検出された欠陥の大半は人によって分類されている。したがって、致命的欠陥の見落とし等が発生する恐れがある。よって、TFT基板が完成した段階では、完全な欠陥修正を実現することは非常に困難である。
【0007】
そのため現状では、有機ELディスプレイパネルが完成した段階(封止を終えた段階)で、ディスプレイパネルの陽極と陰極に所定の電圧を印加して信号を入力することで点灯検査を実施し、線欠陥又は点欠陥等の表示不良があるかどうかを確認している。その場合、欠陥の種類としては、TFT形成部では、ゲート電極とソース電極との間、又はゲート電極とドレイン電極との間で生じる層間短絡がある。また、信号線、グランド電極線及び電源供給線の間で生じる短絡もある。
【0008】
このようにディスプレイパネルが完成した後に上記の短絡欠陥が検出された場合は、TFT基板の裏面からレーザ照射により配線の切断を行なうことになる。例えば、TFT形成部において、ゲート電極とソース電極との間に層間短絡が生じた場合や、ゲート電極とドレイン電極との間に層間短絡が生じた場合は、欠陥修正方法として、短絡しているTFTの走査線から分岐しているゲート電極を、TFT基板の裏面からのレーザ照射によって切断して表示不良を目立たなくする。
【0009】
【特許文献1】特開2003−248439号公報(特に、第12段落、第13段落、第10図、第12図、第13図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、導電性の異物又は膜残りなどの影響によって信号線、グランド電極線及び電源供給線の間で短絡欠陥が発生した場合は、線欠陥又はパネル非表示など表示不良として深刻な問題となる。このため、レーザ光の照射によって欠陥を修正する必要がある。
【0011】
しかしながら、従来においては、信号線、グランド電極線、電源供給線などの配線材料として、融点が低く、熱伝導率が高いアルミニウムなどの金属を使用している。このため、パネル完成後の点灯検査で検出された短絡欠陥を修正するために、TFT基板の裏面からアルミニウム配線にレーザ光を照射した場合に、配線が切断されずにアルミニウムが溶融してしまう。
【0012】
また、レーザエネルギーを高くしてアルミニウム配線にレーザ光を照射すると、上層膜の構造に悪影響を及ぼすほか、周辺配線にまでアルミニウムが溶融してしまい、さらに短絡範囲が拡大する恐れがある。このため、ディスプレイパネルが完成した段階では、アルミニウム配線をTFT基板の裏面からレーザ照射によって切断することが非常に困難であった。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、レーザ光の照射によって短絡欠陥の修正を容易に行なえるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るTFT基板は、互いに交差する走査線と信号線とを含む複数種の配線が形成されるとともに、前記複数種の配線のうち少なくとも1種類の配線は、第1の配線材料によって形成された主要配線部と、前記主要配線部の配線パターンの一部に前記第1の配線材料と異なる第2の配線材料によって形成された修正用配線部とを有し、前記第2の配線材料は、前記第1の配線材料よりも熱伝導率が低く、かつ前記第1の配線材料よりも融点が高い金属からなるものである。また、本発明に係る表示装置は、上記構成のTFT基板を備えるものである。
【0015】
本発明に係るTFT基板とこれを備える表示装置においては、修正用配線部を形成する第2の配線材料を、第1の配線材料よりも熱伝導率が低く、かつ第1の配線材料よりも融点が高い金属で構成することにより、TFT基板の短絡欠陥を修正するために配線を切断したい場合に、修正用配線部をターゲットとしてレーザ光を照射することにより、配線の切断が容易になる。
【0016】
本発明に係るTFT基板の製造方法は、TFT基板のベースとなるガラス基板上に、主要配線部の形成に用いる第1の配線材料と異なる第2の配線材料を用いて修正用配線部を形成する第1の工程と、前記修正用配線部を絶縁膜で覆った後、前記修正用配線部に通じるコンタクトホールを前記絶縁膜に形成する第2の工程と、前記コンタクトホールを埋め込み、かつ前記修正用配線部の上方で前記主要配線部の配線パターンを分断する状態で、前記絶縁膜上に前記第1の配線材料を用いて前記主要配線部を形成する第3の工程とを有するものである。
【0017】
本発明に係るTFT基板の製造方法においては、主要配線部の配線パターンの一部に修正用配線部が形成された配線構造が得られる。このため、主要配線部の形成に用いる第1の配線材料よりも熱伝導率が低く、かつ第1の配線材料よりも融点が高い第2の配線材料を用いて修正用配線部を形成することにより、TFT基板の短絡欠陥を修正するにあたって、レーザ照射による切断が容易な配線構造が実現される。
【0018】
本発明に係る表示装置の製造方法は、TFT基板のベースとなるガラス基板上に、主要配線部の形成に用いる第1の配線材料と異なる第2の配線材料を用いて修正用配線部を形成する第1の工程と、前記修正用配線部を絶縁膜で覆った後、前記修正用配線部に通じるコンタクトホールを前記絶縁膜に形成する第2の工程と、
前記コンタクトホールを埋め込み、かつ前記修正用配線部の上方で前記主要配線部の配線パターンを分断する状態で、前記絶縁膜上に前記第1の配線材料を用いて前記主要配線部を形成する第3の工程と、前記TFT基板の短絡欠陥を検出するための検査を行なう第4の工程と、前記第4の工程で検出された短絡欠陥に対応する前記修正用配線部にレーザ光を照射して配線を切断することにより欠陥を修正する第5の工程とを有するものである。
【0019】
本発明に係る表示装置の製造方法においては、TFT基板の配線構造として、主要配線部の配線パターンの一部に修正用配線部が形成された配線構造が得られる。このため、主要配線部の形成に用いる第1の配線材料よりも熱伝導率が低く、かつ第1の配線材料よりも融点が高い第2の配線材料を用いて修正用配線部を形成することにより、検査工程で検出された短絡欠陥を欠陥修正工程で修正するにあたって、修正用配線部にレーザ光を照射することにより、配線を容易に切断することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、TFT基板の短絡欠陥を修正する際に、主要配線部の配線パターンの一部に形成される修正用配線部をターゲットとしてレーザ光を照射することにより、配線を容易に切断することができる。このため、点灯検査で検出された短絡欠陥についても容易に修正することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明が適用されるTFT基板の一部(画素回路)の等価回路図であり、図2はその平面図である。
【0023】
まず、TFT基板のベースとなるガラス基板(透明基板)上には、走査線1、信号線2、グランド電極線3、電源供給線4といった複数種(4種類)の配線とともに、単位画素ごとに2つのTFT(アクティブ素子)5,6と1つの付加容量7が形成されている。
【0024】
上記複数種の配線のうち、走査線1は、TFT基板上で行方向に沿って複数形成されるもので、信号線2は、TFT基板上で列方向に沿って複数形成されるものである。また、グランド電極線3は信号線2に沿って複数形成されるもので、電源供給線4も信号線2に沿って複数形成されるものである。
【0025】
走査線1は片側(図の左側)からだけの駆動であり、信号線2も片側(図の上側)からだけの駆動である。これに対して、グランド電極線3と電源供給線4は、いずれもデータ供給型の配線ではなく、共通電極であるため、両側(上側及び下側)からの駆動となっている。したがって、グランド電極線3と電源供給線4に関しては、片側(上側又は下側)を切断しても通常駆動となる。
【0026】
また、一つの画素(単位画素)領域8において、TFT5のゲート電極は走査線1に接続されている。TFT5のソース電極は信号線2に接続され、TFT5のドレイン電極はTFT6のゲート電極に接続されている。また、TFT6のドレイン電極は電源供給線4に接続されており、TFT6のソース電極は、画素電極の1つとなる陽極9に接続されるものとなっている。陽極9は、TFT基板が完成した後に形成されるものである。保持容量7は、誘電体膜を一対の電極(導電膜)で挟み込んだ積層構造をなすもので、一方の電極がグランド電極線3に接続され、他方の電極がTFT6のゲート電極に接続されている。
【0027】
TFT5はサンプリング用のトランジスタとなるもので、TFT6は駆動用のトランジスタとなるものである。さらに詳述すると、TFT5は、走査線1によって選択されたときに、映像信号を信号線2からサンプリングして保持容量7に保持するもので、TFT6は、保持容量7に保持された映像信号に応じて発光素子(不図示)を駆動するものである。
【0028】
図3は本発明の実施形態に係るTFT基板の構成例を示す平面図である。なお、図3においては、説明の便宜上、3本の走査線1-1,1-2,1-3と、2本の信号線2-1,2-2と、2本のグランド電極線3-1,3-2と、2本の電源供給線4-1,4-2と、4つの画素領域8-1,8-2,8-3,8-4を表示しているが、TFT基板上に形成される走査線1、信号線2、グランド電極線3及び電源供給線4の配線数や画素領域8の数は画素数に応じて決定される。
【0029】
まず、左上の画素領域8-1は、行方向(図の左右方向)で画素領域8-2と隣り合い、かつ列方向(図の上下方向)で画素領域8-3と隣り合うものである。また、右下の画素領域8-4は、行方向で画素領域8-3と隣り合い、かつ列方向で画素領域8-2と隣り合うものである。
【0030】
画素領域8-1は、走査線1-1、信号線2-1、グランド電極線3-1及び電源供給線4-1の各配線の一部を含んでおり、画素領域8-2は、走査線1-1、信号線2-2、グランド電極線3-2及び電源供給線4-2の各配線の一部を含んでいる。また、画素領域8-3は、走査線1-2、信号線2-1、グランド電極線3-1及び電源供給線4-1の各配線の一部を含んでおり、画素領域8-4は、走査線1-2、信号線2-2、グランド電極線3-2及び電源供給線4-2の各配線の一部を含んでいる。
【0031】
このうち、画素領域8-1の内部には、グランド電極線3-1の配線パターン上に複数の箇所(図例では3箇所)にわたって修正用配線部1a〜1cが設けられ、電源供給線4-1の配線パターン上にも複数の箇所(図例では4箇所)にわたって修正用配線部1d〜1gが設けられている。
【0032】
修正用配線部1a〜1cは、列方向に沿うグランド電極線3-1の主要配線部の配線パターンの一部に設けられている。主要配線部とは、導通する1系統の配線の中で主要な配線材料(以下、「第1の配線材料」と記す)によって形成された配線部分をいう。したがって、例えば、グランド電極線3の全ての配線領域のうち、少なくとも1/2を超える配線領域がアルミニウムによって形成されているものとすると、第1の配線材料となるアルミニウムの配線部分が主要配線部に相当するものとなる。
【0033】
グランド電極線3-1の主要配線部は、列方向に沿う真っ直ぐなパターンによって構成されている。これに対して、修正用配線部1aは、走査線1-1とグランド電極線3-1の交差部近傍に設けられ、修正用配線部1cは、走査線1-2とグランド電極線3-1の交差部近傍に設けられている。また、修正用配線部1b,1cは、保持容量7の一方の電極とグランド電極線3との接続部を間に挟むかたちで配置されている。
【0034】
一方、修正用配線部1d〜1gは、列方向に沿う電源供給線4-1の主要配線部の配線パターンの一部に設けられている。電源供給線4-1の主要配線部は、列方向に沿う真っ直ぐなパターン(以下、「ストレートパターン」とも記す)と、このパターンからTFT6のドレイン電極に向けて分岐したパターン(以下、「分岐パターン」とも記す)とによって構成されている。
【0035】
これに対して、修正用配線部1dは、TFT6のドレイン電極へと分岐する分岐パターンの途中に設けられている。修正用配線部1eは、ストレートパターン上において走査線1-1と電源供給線4-1の交差部近傍に設けられ、修正用配線部1gは、ストレートパターン上において走査線1-2と電源供給線4-1の交差部近傍に設けられている。また、修正用配線部1e,1fは、ストレートパターン上においてTFT6のドレイン電極へと分岐する分岐部を間に挟むかたちで配置されている。
【0036】
以上の配線構造において、グランド電極線3-1の主要配線部及び電源供給線4-1の主要配線部は、それぞれ第1の配線材料によって形成され、信号線2-1も当該第1の配線材料と同じ配線材料によって形成されている。
【0037】
これに対して、修正用配線部1a〜1gは、第1の配線材料と異なる第2の配線材料によって形成されている。第2の配線材料は、第1の配線材料よりも熱伝導率が低く、かつ第1の配線材料よりも融点が高い金属からなるものである。
【0038】
また、他の画素領域8-2,8-3,8-4には、それぞれ上記画素領域8-1と同様の形態で修正用配線部が設けられている。すなわち、画素領域8-2の内部には、グランド電極線3-2の配線パターン上に複数の箇所にわたって修正用配線部2a〜2cが設けられ、電源供給線4-2の配線パターン上にも複数の箇所にわたって修正用配線部2d〜2gが設けられている。
【0039】
また、画素領域8-3の内部には、グランド電極線3-1の配線パターン上に複数の箇所にわたって修正用配線部3a〜3cが設けられ、電源供給線4-1の配線パターン上にも複数の箇所にわたって修正用配線部3d〜3gが設けられている。また、画素領域8-4の内部には、グランド電極線3-2の配線パターン上に複数の箇所にわたって修正用配線部4a〜4cが設けられ、電源供給線4-2の配線パターン上にも複数の箇所にわたって修正用配線部4d〜4eが設けられている。
【0040】
続いて、上記構成からなるTFT基板の製造方法と、当該TFT基板を用いた有機ELディスプレイパネルの製造方法について順に説明する。
【0041】
図4はTFT基板の製造方法の一例を示すフローチャートである。まず、TFT基板のベースとなるガラス基板の受け入れを行なう(ステップS1)。
【0042】
次に、ガラス基板の片面に第2の配線材料として例えばモリブデンをスパッタリング法によって成膜した後(ステップS2)、モリブデン膜を覆うようにレジストを塗布し、これを露光、現像してレジストマスクを形成する(ステップS3)。
【0043】
次に、レジストマスクを用いたドライエッチングによってモリブデン膜の不要部を取り除く(ステップS4)。これにより、図5に示すように、走査線1-1,1-2、TFT5,6のゲート電極5G,6Gと、保持容量7の一方の電極7Aと一緒(同時)に、修正用配線部1a〜1g,2a〜2gをガラス基板上に形成する。また、図5のM−M断面を見ると、図6(A)に示すように、ガラス基板11上に所定の間隔をあけて修正用配線部1b,1cが形成された状態となる。
【0044】
ここで、修正用配線部の配線幅は、グランド電極線3及び電源供給線4の配線幅と同じか、それよりも広い幅で設定するのがよい。また、修正用配線部の長さは、主要配線部と電気的なコンタクトをとるための重なり寸法や、欠陥修正に適用するレーザ光のビームサイズなどを考慮して適宜設定するのが望ましい。
【0045】
次に、ガラス基板上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法によってゲート絶縁膜を成膜する(ステップS5)。これにより、図6(B)に示すように、ガラス基板11上に修正用配線部1b,1cを覆う状態で絶縁膜12が形成される。絶縁膜12は、ゲート絶縁膜と同時に形成されるものである。
【0046】
次に、アモルファスシリコンからなる半導体層とチャネル保護層をCVD法によってガラス基板上に連続的に成膜した後(ステップS6)、ドライエッチング法などによってTFTとなる部分をパターニングする(ステップS7)。
【0047】
次に、n+Si層をCVD法によって成膜した後、TFTの部分だけにn+Si層が残るようにパターニングする(ステップS8)。
【0048】
次に、上記ステップS5で形成したゲート絶縁膜にコンタクトホールを形成する(ステップS9)。このコンタクトホールは、ガラス基板側に近い下層の配線層とガラス基板側から遠い上層の配線層とを電気的に接続するために形成されるものである。
【0049】
これにより、図6(C)に示すように、ガラス基板11上の絶縁膜12に対して、各々の修正用配線部1b,1cに通じるコンタクトホール13が形成される。この場合、コンタクトホール13は、各々の修正用配線部1b,1cの長さ方向(図の左右方向)の両端近傍に形成しておく。
【0050】
次に、第1の配線材料として、例えばアルミニウムをスパッタリング法によって成膜した後、アルミニウム膜をパターニングする(ステップS10)。
【0051】
これにより、図6(D)に示すように、ガラス基板11上にコンタクトホール13を埋め込む状態でアルミニウム(第1の配線材料)によりグランド電極線3-1の主要配線部3-1’が形成されるとともに、この主要配線部3-1’とコンタクトホール13を介して導通するように、第2の配線材料となるモリブデンにより修正用配線部1b,1cが形成された状態となる。また、アルミニウム膜のパターニングにより、グランド電極線3-1における主要配線部3-1’の配線パターンが、各々の修正用配線部1b,1cの直上位置で分断された状態となる。
【0052】
このため、グランド電極線3-1の主要配線部3-1’は、各々の修正用配線部1b,1cを介して導通することになる。また、他のグランド電極線3や電源供給線4についても、グランド電極線3-1と同様に、主要配線部の配線パターンの一部に修正用配線部が形成され、当該修正用配線部を介して主要配線部が導通することになる。
【0053】
次に、TFTと配線を覆う層間絶縁膜(保護膜)をCVD法によって形成した後、陽極とTFT配線との接続部にコンタクトホールを形成する(ステップS11)。この段階でTFT基板が完成する。
【0054】
次に、基板完成段階の検査工程として、TFT基板の短絡欠陥を検出するための光学式検査を行ない、この光学式検査で表示不良につながる短絡欠陥が検出された場合は、TFT基板(ガラス基板)の裏面側からレーザ光を照射して、欠陥の修正を行なう(ステップS12)。
【0055】
TFT基板の完成段階では、配線が画素単位での繰り返しパターンとなっているため、上記光学式検査ではその繰り返しパターンを光学顕微鏡などの検査装置で1画素ずつ又は複数画素ずつ検査して、正常なパターン画像と比較する。そして、正常なパターン画像とのパターンマッチング等により欠陥有りと判断された画像を抽出し、その画像が致命的な欠陥につながるものであるかどうかを人が個別に判断する。
【0056】
図7はTFT基板を用いた有機ELディスプレイパネルの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0057】
まず、上記光学式検査を終えたTFT基板上に陽極を形成した後、これを画素のレイアウトに合わせてパターニングする(ステップS13)。
【0058】
次に、TFT基板上に陽極を覆うように層間絶縁膜を形成した後、陽極と有機層との接続部にコンタクトホールを形成する(ステップS14)。
【0059】
次に、TFT基板上に、発光層を有する有機層を積層状態で形成した後(ステップS15)、その有機層を陽極との間で挟むように陰極を形成する(ステップS16)。陰極は、陽極と対をなす画素電極となるものである。
【0060】
これにより、図8に示すように、陽極9と陰極14との間に有機層15を挟持してなる有機電界発光素子16がTFT基板17上に形成されることになる。有機層15は、陽極9から陰極14に向かって、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を順に積層した構造を有するものである。
【0061】
次に、封止工程として、TFT基板に封止樹脂を介して封止基板を貼り合わせる(ステップS17)。この時点で有機ELディスプレイパネルが完成する。
【0062】
次に、パネル完成段階での検査工程として、TFT基板の短絡欠陥を検出するための点灯検査を行なう(ステップS18)。次に、点灯検査で短絡欠陥による表示不良(線欠陥、点欠陥等)が検出されたかどうかを確認する(ステップS19)。
【0063】
点灯検査で表示不良が検出された場合は、TFT基板の裏面側からガラス基板越しにレーザ光を照射して、欠陥の修正を行なう(ステップS20)。欠陥修正後は上記ステップS18に戻って再度点灯検査を行なう。また、点灯検査で表示不良が検出されなかった場合は、製品(良品)としてパネル製造工程から出荷される。
【0064】
図9は欠陥修正に用いられるレーザリペア装置の構成例を示す図である。図9において、レーザ光源21とCCD(Charge Coupled Device)カメラ22は、Z軸テーブル23に固定されている。CCDカメラ22は、封止済みのディスプレイパネルの画像(欠陥部分など)を撮影するものである。CCDカメラ22で撮影した画像はモニタ24に表示される。Z軸テーブル23は、Z軸方向(上下方向)に移動可能に設けられている。また、Z軸テーブル23は、X軸テーブル25に取り付けられている。X軸テーブル25は、X軸方向(横方向)に移動可能に設けられている。
【0065】
一方、Y軸テーブル26には、欠陥修正の対象となるパネル(以下、「欠陥修正パネル」と記す)27が載置されている。上記の製造方法において、点灯検査で短絡欠陥が検出された有機ELディスプレイパネルは、欠陥修正パネル27としてY軸テーブル26上にセットされる。Y軸テーブル26は、Y軸方向(縦方向)に移動可能に設けられている。レーザ光源21は、欠陥修正パネル27の所定部位に、2つのミラー28A,28Bと対物レンズ29を通してレーザ光を照射し、その熱エネルギーで配線材料を昇華又は飛散させて配線を切断する。
【0066】
上記構成からなるレーザリペア装置において、レーザ光源21及びCCDカメラ22はいずれもZ軸テーブル23に取り付けられているため、欠陥修正パネル27の上方でレーザ光源21及びCCDカメラ22を任意の高さに移動させることができる。また、Z軸テーブル23はX軸テーブル25に取り付けられているため、欠陥修正パネル27に対してレーザ光源21及びCCDカメラ22をX軸方向で任意の位置に移動させることができる。さらに、欠陥修正パネル27は、Y軸テーブル26上に載置されるため、欠陥修正パネル27をY軸方向で任意の位置に移動させることができる。
【0067】
これにより、レーザ光源21及びCCDカメラ22と、欠陥修正パネル27との相対位置を、互いに直交する3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)で任意に変化させることができる。したがって、レーザ光源21とCCDカメラ22は、欠陥修正パネル27上のいずれの位置にも移動させることができる。レーザ光源21から出射されたレーザは、ミラー28A,28Bにより反射され、対物レンズ29を通り、欠陥修正パネル27に照射される。
【0068】
このようなレーザリペア装置を用いてディスプレイパネルの欠陥修正を行なう場合は、まず、ディスプレイパネルの面内で、表示不良(点欠陥、線欠陥など)の発生原因となっている欠陥箇所を検出する。
【0069】
次に、Y軸テーブル26に欠陥修正パネル27を載せて、X軸テーブル25、Y軸テーブル26及びZ軸テーブル23を適宜駆動することにより、予め検出してある欠陥箇所にCCDカメラ22の焦点を合わせる。
【0070】
次に、欠陥箇所の近傍で切断すべき配線パターン上に存在する修正用配線部にCCDカメラ22の焦点とレーザ照射位置を合わせる。
【0071】
次に、レーザ照射条件(レーザのビームサイズやエネルギーなど)を設定した後、レーザ光源21を駆動することにより、TFT基板の裏面側からガラス基板を通して修正用配線部にレーザ光を照射する。以降は、上記同様の手順で、他の修正用配線部にもレーザ光を照射する。
【0072】
ここで、本発明の実施形態に係るTFT基板とこれを用いた有機ELディスプレイパネルの構成においては、グランド電極線3及び電源供給線4の配線構造として、主要配線部をアルミニウム(第1の配線材料)で形成するとともに、修正用配線部をモリブデン(第2の配線材料)で形成している。モリブデンは、アルミニウムよりも熱伝導率が低く、かつアルミニウムよりも融点が高い金属である。
【0073】
このため、グランド電極線3及び電源供給線4の配線パターンの全てをアルミニウムの配線で形成した場合は、例えば図10(A),(B)に示すように、アルミニウム配線からなるグランド電極線3-1にガラス基板11及び絶縁膜12を通してレーザ光を照射したときに、配線材料の熱伝導率が相対的に高いためにレーザ照射による熱が局所に集中せずに周囲に拡散し、しかも配線材料の融点が相対的に低いために、レーザ光の照射によって配線材料(アルミニウム)が溶融してしまい、結果的に配線を切断することが困難になる。
【0074】
特に、有機ELディスプレイの製造工程において、ディスプレイパネルが完成した段階(封止後の段階)では、封止樹脂や封止基板などによって配線材料の昇華等が抑制されるとともに、TFT基板上に有機層などの上層膜が積層された状態となる。このため、レーザ照射による配線の切断が非常に困難になる。
【0075】
これに対して、本発明の実施形態においては、グランド電極線3及び電源供給線4の主要配線部の配線パターンの一部に、それぞれモリブデンによって修正用配線部を形成した配線構造となっている。このため、例えば図11(A),(B)に示すように、グランド電極線3-1の配線パターン上に設けられた修正用配線部1bにガラス基板11を通してレーザ光を照射したときに、配線材料の熱伝導率が相対的に低いために、レーザ照射による熱が周囲に拡散せずに局所に集中し、しかも配線材料の融点が相対的に高いために、配線材料を溶融させずに昇華又は飛散させることができる。このため、配線の切断が容易になる。
【0076】
その結果、TFT基板の完成段階(封止前の段階)はもちろんのこと、ディスプレイパネルが完成した段階(封止後の段階)であっても、有機層などの上層膜に悪影響を及ぼすことなく、レーザ光の照射によって配線を切断することができる。また、低いレーザエネルギーで数回の照射で配線を切断することができる。このため、上層膜へのダメージが低減され、二次的な不良を起こす可能性が低減される。
【0077】
続いて、表示不良となる短絡欠陥の種類(欠陥発生パターン)とこれに対応した欠陥の修正方法について説明する。
【0078】
図12に示す欠陥(導電物質)31は、グランド電極線3-1と信号線2-1の同層短絡となる欠陥であり、表示不良としては線欠陥となる。この場合の欠陥修正方法としては、グランド電極線3-1の配線パターン上で短絡31の発生箇所を挟む位置関係にある2つの修正用配線部1a,1bにそれぞれレーザ照射領域P1,P2を設定し、当該レーザ照射領域P1,P2にレーザ光を照射して配線を切断することにより、欠陥を完全に修正することができる。
【0079】
さらに詳述すると、まず、線欠陥が発生しているグランド電極線3-1のライン上をディスプレイパネルの裏面側から光学顕微鏡で観察して短絡箇所を検出する。もしくはTFT基板完後の光学検査での取得画像からライン上に位置する画像をピックアップして、グランド電極線と信号線間で短絡している欠陥画像を絞り込む。
【0080】
次に、上記の検出方法で短絡欠陥を検出したら、TFT基板のベースとなるガラス基板が上向きとなるように、レーザリペア装置(図9参照)のY軸テーブル26に欠陥修正パネル27を載せる。
【0081】
次に、CCDカメラ22による画像をモニタ24でチェックしながら、Z軸テーブル13を移動させて欠陥修正パネル27の表面にカメラの焦点を合わせた後、X軸テーブル25とY軸テーブル26との駆動により、CCDカメラ22をX方向及びY方向に適宜移動させて、CCDカメラ22の撮像位置を短絡箇所に合わせる。この状態で、再度CCDカメラ22の画像をモニタ24で見ながら、X軸テーブル25及びY軸テーブル26の駆動により、グランド電極線3-1の配線パターン上で欠陥箇所を挟む2つの修正用配線部1a,1bのうちの一方、例えば修正用配線部1aにカメラの焦点を合わせる。
【0082】
次に、修正用配線部1aの配線長及び配線幅に合わせてレーザ光の照射光学系のスリットサイズを調整した後、レーザ光源21から照射されるレーザが、例えば波長355nm、パルス幅5n(ナノ)秒〜10n秒程度、加工エネルギー2.0J/cm2になるように、レーザリペア装置に付属のアッテネーターを設定する。
【0083】
次に、上記のように設定されたレーザ光を、対物レンズ29を介して1回又は複数回にわたって、TFT基板の裏面からガラス基板を透過させて、修正用配線部1aに照射し、その熱エネルギーによって修正用配線部1aの配線材料(第2の配線材料)を昇華又は飛散させ、配線を切断する。
【0084】
次に、CCDカメラ22の画像をモニタ24で見ながら、X軸テーブル25及びY軸テーブル26の駆動により、もう一方の修正用配線部1bにカメラの焦点を合わせて、上記同様に調整及び設定されたレーザ光を、TFT基板の裏面からガラス基板を透過させて、修正用配線部1bに照射し、配線を切断する。
【0085】
これにより、欠陥31による短絡欠陥を修正することができる。各々の画素領域8−1,8−2,…ごとに、例えば、グランド電極線3-1であれば、このグランド電極線3-1の配線パターン上の2箇所に修正用配線部1a,1bが設けられ、電源供給線4-1であれば、この電源供給線4-1の配線パターン上に4箇所にわたって修正用配線部1d〜1gが設けられている、つまり同一の配線パターン上に2箇所以上にわたって修正用配線部が設けられている。このため、例えば上記の欠陥31による短絡欠陥を修正する場合、グランド電極線3-1の配線パターン上に修正用配線部1aだけしか設けられていないと、画素領域8-1とこれに隣り合う画素領域8-3に跨って配線を切断する必要があるが、グランド電極線3-1の配線パターン上に修正用配線部1aと修正用配線部1bを設けておけば、2つの画素領域に跨って配線を切断しなくても欠陥を修正することができる。このため、配線の切断によって無効となる配線領域の長さを短く抑えることができる。また、画素領域内に生じた欠陥に関しては、画素単位で修正することができる。
【0086】
図13に示す欠陥32は、電源供給線4-1とグランド電極線3-2の同層短絡となる欠陥であり、表示不良としては線欠陥で、かつパネル駆動不良となる。この場合の欠陥修正方法としては、電源供給線4-1の配線パターン上で欠陥32の発生箇所を挟む位置関係にある2つの修正用配線部1f,1gにそれぞれレーザ照射領域P1,P2を設定し、当該レーザ照射領域P1,P2にレーザ光を照射して配線を切断することにより、欠陥を完全に修正することができる。あるいは、図14に示すように、グランド電極線3-2の配線パターン上で欠陥32の発生箇所を挟む位置関係にある2つの修正用配線部2a,2bにそれぞれレーザ照射領域P1,P2を設定し、当該レーザ照射領域P1,P2にレーザ光を照射して配線を切断することにより、欠陥を完全に修正することができる。
【0087】
図15に示す欠陥33は、グランド電極線3-1と走査線1-2の層間短絡となる欠陥であり、表示不良としては線欠陥となる。この場合の欠陥修正方法としては、グランド電極線3-1の配線パターン上で欠陥33の発生箇所を挟む位置関係にある2つの修正用配線部1c,3aにそれぞれレーザ照射領域P1,P2を設定し、当該レーザ照射領域P1,P2にレーザ光を照射して配線を切断することにより、欠陥を完全に修正することができる。
【0088】
図16に示す欠陥34,35は、TFT5,6の形成部でゲート電極とソース電極、又はドレイン電極との層間短絡により表示不良として輝点となる欠陥である。この場合の欠陥修正方法としては、TFT5のゲート電極の配線パターン上にレーザ照射領域P1を設定するとともに、電源供給線4-1からTFT6のドレイン電極へと分岐する分岐パターン上の修正用配線部1dにレーザ照射領域P2を設定し、それらのレーザ照射領域P1,P2にレーザ光を照射して配線を切断することにより、輝点となっていた画素を滅点化して表示不良を目立たなくすることができる。
【0089】
実際に、上記図12〜図16に示す欠陥31〜35を、それぞれに対応する上記の方法で修正した後、再度、点灯検査を行なって表示不良の有無を確認したところ、修正前に生じていた短絡欠陥が修正され、表示不良が改善された。また、比較例として、修正用配線部を設けていないTFT基板にて、上記図12〜図16に示す欠陥31〜35が原因で表示不良となったディスプレイパネルを対象に、TFT基板の裏面からのレーザ照射によりアルミニウム配線の切断を試みたところ、アルミニウムがレーザ光の照射によって溶融してしまい、配線を切断することができなかった。このため、比較例では欠陥が修正されず、表示不良を改善できなかった。
【0090】
なお、上記実施形態においては、グランド電極線3及び電源供給線4の配線構造として、主要配線部を形成する第1の配線材料をアルミニウムとし、修正用配線部を形成する第2の配線材料をモリブデンとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第1の配線材料としては、アルミニウムを主原料とした合金であってもよい。また、第2の配線材料としては、モリブデン(Mo)の他にも、例えば、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ネオジム(Nd)などの金属であってもよいし、それらの金属から選ばれる1種以上の合金であってもよい。
【0091】
図17に配線材料となる金属の物性値(熱伝導率、融点)を示す。この図から、第1の配線材料となる金属がアルミニウムであるとすると、第2の配線材料としては、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ネオジム(Nd)から選ばれる1種以上の金属を用いることができる。
【0092】
実際のディスプレイパネルでレーザ照射による切断の容易性を確認してみたところ、第2の配線材料としては、熱伝導率が200(W/m・K)以下であり、かつ融点が1000℃以上の金属を用いることが望ましい、との結論が得られた。ちなみに、銅(Cu)は、アルミニウムよりも融点が高いものの、熱伝導率がアルミニウムよりも高いため、第2の配線材料としては採用できない。
【0093】
また、上記実施形態においては、TFT基板上に形成される配線の種類として、走査線、信号線、グランド電極線、電源供給線の4種類を例示したが、本発明に係る配線構造は、グランド電極線や電源供給線のように両側駆動の配線であれば、いずれの配線であっても適用可能である。
【0094】
また、本発明に係る表示装置は、ディスプレイパネルとして完成した半製品のものに限らず、最終セットの製品として組み立てられたもの、例えば、自動車や電車などの車載用ディスプレイ(カーオーディオ・カーナビゲーション機器、行き先案内表示器など)やテレビ、デジタルオーディオ機器、デジタルカメラ、携帯電話などの電子機器を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明が適用されるTFT基板の一部の等価回路図である。
【図2】本発明が適用されるTFT基板の一部の平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るTFT基板の構成例を示す平面図である。
【図4】TFT基板の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】TFT基板の製造工程を説明する図(その1)である。
【図6】TFT基板の製造工程を説明する図(その2)である。
【図7】有機ELディスプレイパネルの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】有機電界発光素子の構成例を示す断面図である。
【図9】レーザリペア装置の構成例を示す図である。
【図10】アルミニウム配線にレーザ光を照射した場合の模式図である。
【図11】修正用配線部にレーザ光を照射した場合の模式図である。
【図12】欠陥修正方法の第1の事例を説明する図である。
【図13】欠陥修正方法の第2の事例を説明する図である。
【図14】欠陥修正方法の第3の事例を説明する図である。
【図15】欠陥修正方法の第4の事例を説明する図である。
【図16】欠陥修正方法の第5の事例を説明する図である。
【図17】配線材料となる金属の物性値を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1…走査線、2…信号線、3…グランド電極線、4…電源供給線、5,6…TFT、7…保持容量、8…画素領域、9…陽極、11…ガラス基板、12…絶縁膜、13…コンタクトホール、16…有機電界発光素子、17…TFT基板、1a〜1g,2a〜2g,3a〜3g,4a〜4g…修正用配線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する走査線と信号線とを含む複数種の配線が形成されるとともに、
前記複数種の配線のうち少なくとも1種類の配線は、第1の配線材料によって形成された主要配線部と、前記主要配線部の配線パターンの一部に前記第1の配線材料と異なる第2の配線材料によって形成された修正用配線部とを有し、
前記第2の配線材料は、前記第1の配線材料よりも熱伝導率が低く、かつ前記第1の配線材料よりも融点が高い金属からなる
ことを特徴とするTFT基板。
【請求項2】
前記第2の配線材料は、モリブデン、チタン、ニッケル、コバルト、クロム、タングステン、タンタル、ネオジムから選ばれる1種以上の金属からなる
ことを特徴とする請求項1記載のTFT基板。
【請求項3】
前記修正用配線部は、前記走査線と前記信号線との交差部に対応して設けられる画素領域ごとに、同一の配線パターン上に2箇所以上にわたって設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のTFT基板。
【請求項4】
前記第2の配線材料は、熱伝導率が200(W/m・K)以下であり、かつ融点が1000℃以上の金属からなる
ことを特徴とする請求項1記載のTFT基板。
【請求項5】
互いに交差する走査線と信号線とを含む複数種の配線が形成されたTFT基板を備え、
前記複数種の配線のうち少なくとも1種類の配線は、第1の配線材料によって形成された主要配線部と、前記主要配線部の配線パターンの一部に前記第1の配線材料と異なる第2の配線材料によって形成された修正用配線部とを有し、
前記第2の配線材料は、前記第1の配線材料よりも熱伝導率が低く、かつ前記第1の配線材料よりも融点が高い金属からなる
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記TFT基板上に、陽極と陰極により有機層を挟持してなる有機電界発光素子を形成してなる
ことを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
TFT基板のベースとなるガラス基板上に、主要配線部の形成に用いる第1の配線材料と異なる第2の配線材料を用いて修正用配線部を形成する第1の工程と、
前記修正用配線部を絶縁膜で覆った後、前記修正用配線部に通じるコンタクトホールを前記絶縁膜に形成する第2の工程と、
前記コンタクトホールを埋め込み、かつ前記修正用配線部の上方で前記主要配線部の配線パターンを分断する状態で、前記絶縁膜上に前記第1の配線材料を用いて前記主要配線部を形成する第3の工程と
を有することを特徴とするTFT基板の製造方法。
【請求項8】
TFT基板のベースとなるガラス基板上に、主要配線部の形成に用いる第1の配線材料と異なる第2の配線材料を用いて修正用配線部を形成する第1の工程と、
前記修正用配線部を絶縁膜で覆った後、前記修正用配線部に通じるコンタクトホールを前記絶縁膜に形成する第2の工程と、
前記コンタクトホールを埋め込み、かつ前記修正用配線部の上方で前記主要配線部の配線パターンを分断する状態で、前記絶縁膜上に前記第1の配線材料を用いて前記主要配線部を形成する第3の工程と、
前記TFT基板の短絡欠陥を検出するための検査を行なう第4の工程と、
前記第4の工程で検出された短絡欠陥に対応する前記修正用配線部にレーザ光を照射して配線を切断することにより欠陥を修正する第5の工程と
を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記TFT基板上に、陽極と陰極により有機層を挟持してなる有機電界発光素子を形成する工程を含む
ことを特徴とする請求項8記載の表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−122810(P2008−122810A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308578(P2006−308578)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】