説明

α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有することを特徴とする皮膚外用剤

血行促進作用、抗炎症作用、抗菌作用、保湿作用、美白作用、紫外線吸収作用、紫外線散乱作用、抗酸化作用を有する物資、養毛・育毛作用を有する物資、乳化作用、収斂作用、抗シワ作用、細胞賦活性作用及び/又は経皮吸収促進作用に優れ、安全かつ使用感のよい皮膚外用剤を提供することを課題とし、α,α−トレハロースの糖質誘導体と、血行促進作用を有する物質抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、養毛・育毛作用を有する物質、乳化作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活性作用を有する物質及び/又は経皮吸収促進作用を有するいずれか1種又は2種以上を含有する皮膚外用剤を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共に、血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、育毛・養毛作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び/又は経皮吸収促進作用を有する物質から選ばれるいずれか1種又は2種以上とを含有する、ベタ付感を与えず、使用感がよく、しかも、これらの物質のもつ作用が増強される皮膚外用剤を提供するものである。
【背景技術】
頭皮や皮膚などは、内的・外的要因や加齢に伴い、肌荒、日焼け、老化、シミ、シワなどの発生や脱毛などの問題が発生し、これらの多くが、皮膚の局所或いは全体の血行不良及び/又は炎症を伴っている場合が多い。これらの問題を解決するために、皮膚外用剤には、肌荒、日焼け、老化、シミ、シワなどの発生の予防や治療、養毛、育毛、美白、肌や毛髪の保護、身体を清潔にすること、美しく見せること、容貌を変えることなどの目的で、血行促進作用、抗炎症作用、抗菌作用、保湿作用、美白作用、紫外線吸収作用、紫外線散乱作用、抗酸化作用、収斂作用、抗シワ作用、細胞賦活作用及び/又は経皮吸収促進作用を有する種々の合成薬剤や天然物抽出エキスなどが配合されてきた。しかしながら、これらの配合成分は、単独での使用や少量の使用では、期待される程の十分な効果が得られず、逆に、多量の使用では刺激感の発生、不快臭の発生、皮膚に使用した際の伸びの悪さやベタ付き感などの原因となり、皮膚外用剤の使用感を低下させたり、継続して使用した場合には皮膚炎を発生させたり、肌荒れを起こすといった弊害の原因になる場合すらある。
これらの問題を解決するために、特開平6−128136号公報においては、抗炎症作用を有する物質或いは血行促進作用を有する物質とα,α−トレハロースとを含有し、抗炎症効果を高めた皮膚外用剤が開示されている。また、特開平9−77650号公報には、トレハロースと単糖又はその還元体及び二糖又はその還元体を含有する伸びがよくベタ付き感のない保湿性に優れた化粧料が記載されている。これとは別に、本出願人は、特開平7−143876号公報、特開平8−73504号公報、特許第3182679号公報、特開2000−228980号公報、特開平8−73482号公報において、α,α−トレハロース或いはその糖質誘導体が化粧品に利用できることを開示した。しかしながら、これらの特許文献には、皮膚外用剤に、血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、育毛・養毛作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び/又は経皮吸収促進作用を有する物質を配合した場合に認められる、ベタ付き、伸びの悪さ、刺激感の上昇などの使用感の低下を、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、抑制することは何等記載されていない。また、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、育毛・養毛作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び経皮吸収促進作用を有する物質をはじめとする皮膚外用剤に配合される成分の持つ効果を増強することについての具体的な記載や、α,α−トレハロースの糖質誘導体及びそれらの物質の有効量についての記載は何等なされていない。さらには、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質の中でも、α−マルトシルα,α−トレハロースを主成分とし、これを含むα,α−トレハロースの糖質誘導体とともに、糖アルコールを含む糖質が、特に、これらの作用効果に優れていることについての記載は何等なされていない。
本発明は、皮膚外用剤に配合された血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、育毛・養毛作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び/又は経皮吸収促進作用を有する物質から選ばれるのいずれか1種又は2種以上の作用が増強され、安全で、且つ、ベタ付き感を与えず、使用感のよい皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【発明の開示】
本発明者らは、上記事情に鑑み、糖質の利用に着目して鋭意研究した結果、α,α−トレハロースの糖質誘導体と、化粧品、医薬部外品及び/又は医薬品などの有効成分として認められている血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、育毛・養毛作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び/又は経皮吸収促進作用を有する物質をはじめとする皮膚外用剤に配合される各種成分とを組み合わせると、皮膚外用剤は、ベタ付き感の発生、刺激の発生、或いは、伸びの悪さなどという使用感の低下がなく、しかも、血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、育毛・養毛作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び/又は経皮吸収促進作用を有する物質などの、皮膚外用剤に配合される成分の持つ効果が相乗的に増強すること、とりわけ、α,α−トレハロースの糖質誘導体は、血行促進作用を有する物質及び/又は抗炎症作用を有する物質の効果を強く増強することにより、肌荒、日焼け、老化、シミ、シワなどの発生の予防や改善などに優れた効果を有することを見出して、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、α,α−トレハロースの糖質誘導体と、血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、育毛・養毛作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び経皮吸収促進作用を有する物質から選ばれるいずれか1種又は2種以上とを含有することを特徴とする、ベタ付き感の発生、刺激の発生、或いは、伸びの悪さなどが抑制され、使用感の向上した、安全で、且つ、肌荒、日焼け、老化、シミ、シワなどの発生の予防や改善などに優れた皮膚外用剤を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明でいう皮膚外用剤とは、人或いはペット、家畜などの動物に対し、肌荒、日焼け、シミやシワ、炎症、老化などの予防、アトピー、アレルギー、潰瘍、創傷、微生物の感染などの各種疾患の治療や、保湿、美白、美容、養毛、育毛などを目的として、顔や身体の皮膚、粘膜、毛髪や頭皮などの表皮に直接使用されるか、或いは、その使用時に、皮膚、粘膜、毛髪や頭皮などに接触して、これらに影響を及ぼす可能性のある、化粧石鹸、洗顔料、シャンプー、リンス、洗毛料、頭髪用化粧品、一般クリーム・乳液、ひげそり用クリーム、化粧水、オーデコロン、ひげそり用ローション、化粧油、白粉・パウダー、ファンデーション、ほお紅・眉墨、アイクリーム・アイシャドー・マスカラ、香水、日焼け・日焼け止めクリーム、日焼け・日焼け止めローション、日焼け・日焼け止めオイル、爪クリーム・エナメル・エナメル除去液、アイライナー、口紅、リップクリーム、歯磨き、浴用化粧品、各種疾患治療剤などのスキンケア化粧品、メーキャップ化粧品、ボディケア化粧品、ヘアケア化粧品、オーラルケア化粧品、フレグランス化粧品などの化粧品、医薬部外品或いは医薬品をいう。また、軟膏、はっぷ剤、フィルム剤などのように、皮膚や粘膜に塗布或いは貼り付けて使用する医薬部外品や、医薬品、口中清涼剤のように口腔内で使用される医薬部外品や飲食品、洗濯用の石けんや洗剤、床用の洗剤、クレンザー或いは台所用洗剤のように、その使用時に直接皮膚に接触して皮膚に影響を及ぼす雑貨もこれに含まれる。
本発明でいう炎症とは、頭皮、粘膜や皮膚などの表皮を主な場とする炎症性変化であって、軽度の日焼けに見られる皮膚が発赤する程度のものから、口内炎、にきびやあせも、咽喉の荒れやはれ、カユミや痛み、紅斑、丘疹、水泡の発生や潰瘍の発生を伴うものや、湿疹とよばれるものも含む。シェーグレン症候群のような自己免疫疾患などに起因する口内炎やそれらに起因するドライマウスなどの臨床症状、歯槽膿漏などによる歯茎の炎症や出血も当然これに含まれる。炎症の原因としては、外来の刺激及び/又は生体の要因(体質的要因を含む)などが挙げられ、これらが相互に作用して発生する場合が多い。外来性の刺激としては、種々の化学物質、香粧品、金属、洗剤、薬物などをはじめ、微生物、植物、動物、昆虫などの生物学的因子、日光、温熱、寒冷、乾燥などの物理学的因子などが挙げられる。生体側の因子としては、発汗、皮脂の分泌異常、角化異常などの局所的異常、アトピーやアレルギー、感染、消化器、肝臓、腎臓などの内臓障害などの全身障害などに起因するものも含まれる。当然ながら、皮膚外用剤を使用することにより、それに含まれる成分に起因して発生する炎症も含まれる。
本発明の皮膚外用剤に含有せしめるα,α−トレハロースの糖質誘導体とは、分子内にα,α−トレハロース構造を有する3個以上のグルコースからなる非還元性オリゴ糖から選ばれる1種又は2種以上の糖質であれば、いずれでもよく、より具体的には、α,α−トレハロース分子の少なくとも一方のグルコースに、モノ−グルコース、ジ−グルコース、トリ−グルコース及びテトラ−グルコースから選ばれるいずれかが結合したものをいう。望ましくは、例えば、先に、本出願人が特開平7−143876号公報、特開平8−73504号公報、特許第3182679号公報、特開2000−228980号公報などにおいて開示した、α−マルトシルα−グルコシド、α−イソマルトシルα−グルコシドなどのモノ−グルコシルα,α−トレハロースや、α−マルトトリオシルα−グルコシド(別名α−マルトシルα,α−トレハロース)、α−マルトシルα−マルトシド、α−イソマルトシルα−マルトシド、α−イソマルトシルα−イソマルトシドなどのジ−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトテトラオシルα−グルコシド(別名α−マルトトリオシルα,α−トレハロース)、α−マルトシルα−マルトトリオシド、α−パノシルα−マルトシドなどのトリ−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトペンタオシルα−グルコシド(別名α−マルトテトラオシルα,α−トレハロース)、α−マルトトリオシルα−マルトトリオシド、α−パノシルα−マルトトリオシドなどのテトラ−グルコシルα,α−トレハロースなど、グルコース重合度が3乃至6からなるα,α−トレハロースの糖質誘導体が好ましい。
これらのα,α−トレハロースの糖質誘導体は、その由来や製法は問わず、発酵法、酵素法、有機合成法などにより製造されたものでもよい。これらの糖質は、例えば、本出願人が、特開平7−143876号公報、特開平8−73504号公報、特許第3182679号公報、特開2000−228980号公報で開示した酵素法により澱粉や澱粉の部分加水分解物から直接製造してもよく、或いは、特開平7−143876号公報で開示したマルトテトラオース生成アミラーゼ、特公平7−14962号公報で開示したマルトペンタオースを高率に生成するα−アミラーゼ或いは特開平7−236478号公報で開示したマルトヘキサオース・マルトヘプタオース生成アミラーゼなどを併用することにより、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなどの特定のオリゴ糖の含量を酵素的に高めた澱粉部分加水分解物に、特開平7−143876号公報で開示した非還元性糖質生成酵素を作用させて製造することも随意である。また、澱粉、或いは、澱粉の部分加水解物とα,α−トレハロースとを含有する溶液にシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼなどのグリコシル基の転移能を有する酵素を作用させて調製することも随意である。これらの方法により得られる反応液は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質を含む溶液として、そのまま、又は、部分精製して、或いは、高純度に精製して使用することも随意である。また、これらの製造方法は、豊富で安価な澱粉質を原料とし、高効率かつ安価にα,α−トレハロースの糖質誘導体を製造できることから、工業的に有利に利用できる。
前述のα,α−トレハロースの糖質誘導体としては、本発明で使用する血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質及び紫外線散乱作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び経皮吸収促進作用を有する物質から選ばれるいずれか1種又は2種以上を含有する皮膚外用剤の使用感を向上し、これら成分の効果を増強する作用及び、保湿作用の強い、モノ−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトシルα,α−トレハロース、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース及びα−マルトテトラオシルα,α−トレハロースなど、分子の末端にトレハロース構造を持つ糖質が好ましく、とりわけ、α−マルトトリオシルα−グルコシド(別名α−マルトシルα,α−トレハロース)を主成分として含有し、他に、α−マルトシルα−グルコシド(別名α−グルコシルα,α−トレハロース)、α−マルトテトラオシルα−グルコシド(別名α−マルトトリオシルα,α−トレハロース)、これらのα,α−トレハロースの糖質誘導体以外のα−グリコシルα−グルコシドから選ばれる1種又は2種以上を含有する糖質が望ましい。この場合、α−マルトシルα,α−トレハロースの糖質固形物当たり含量は、無水物換算で5質量%(以下、本明細書では特に断らない限り、「質量%」を単に「%」と表記する。)以上、好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上が望ましく、50%以上が特に望ましい。
また、前述の糖質のうちα−マルトシルα−グルコシドやα−マルトテトラオシルα−グルコシドについては、特許第3182679号公報、特開2000−228980号公報に開示されているように結晶状態のものも知られているものの、本発明の皮膚外用剤の配合成分の効果を増強させるためには、通常は、例えば、液状やシラップ状が望ましく、また、ペースト状乃至固状の場合にはガラス状態などの非晶質状態で利用するのが望ましい。なお、α−マルトテトラオシルα−グルコシドのように結晶性のよいα,α−トレハロースの糖質誘導体の場合には、その結晶、或いはその結晶を含有する糖質を、低硬度の研磨剤として歯磨きに、紫外線散乱剤としてサンプロテクトに、或いは、皮膚外用剤に使用される色材の安定化機能を備えた、アイシャドウ、マスカラ、ファンデーションなどの仕上げ化粧品の基材として利用することも随意である。
また、本発明の皮膚外用剤に含有せしめるα,α−トレハロースの糖質誘導体は、前述したように、非晶質状態が望ましく、非晶質状態のものを含むものであれば、その形状を問わず、例えば、シラップ、マスキット、ペースト、粉末、固状、顆粒、錠剤などのいずれの形状であってもよく、又は、必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤などと混合して使用することも随意である。
本発明の皮膚外用剤は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を、対象とする皮膚外用剤の原料の段階から製品の段階に至るまでの適宜の工程で含有せしめることができる。その具体的な方法としては、例えば、混和、混捏、溶解、融解、分散、懸濁、乳化、逆ミセル化、浸透、晶出、散布、塗布、噴霧、注入、浸漬、固化、担持などの公知の方法が適宜に選ばれる。
本発明の皮膚外用剤に、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有せしめる量は、血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質及び紫外線散乱作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び経皮吸収促進作用を有する物質から選ばれるいずれか1種又は2種以上と組み合わせることにより、それらの成分の持つ作用を増強できる量であればよく、特に制限はないが、通常、皮膚外用剤の総質量に対して、無水物換算で、α,α−トレハロースの糖質誘導体として約0.01%以上、望ましくは、約0.1%以上を含有せしめるのが好適であり、約0.2%以上が特に望ましい。通常約0.01%未満では、配合成分の1種又は2種以上と併用することにより、それらの持つ効果を増強するには不充分である。α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有させる量の上限については、対象とする皮膚外用剤の物性や機能の妨げとならない限り特に制限はない。
本発明の皮膚外用剤に含有せしめるα,α−トレハロースの糖質誘導体は、α,α−トレハロースの糖質誘導体のみで構成されていてもよいし、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共に、その他の糖類及び/又は糖アルコール類を含有する糖質(以下、「α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質」という場合がある)であってもよい。例えば、α,α−トレハロースの糖質誘導体の製造工程において共存するグルコース、イソマルトース、マルトース、オリゴ糖、デキストリンなどの澱粉由来のα,α−トレハロースの糖質誘導体以外の糖質を含有していてもよい。なかでも、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共に還元性糖質を含む糖質を水素添加し、その還元性の糖質を糖アルコールに変換したもののように、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共に糖アルコールを含有する糖質は、保湿性に優れ、適度の粘性を有し、塗布時の伸びもよいことに加えて、皮膚外用剤のベタ付き感を抑制し、使用感を向上させ、皮膚や毛髪などに艶を賦与し、また、皮膚に塗布すると、従来のグリセリンのみを使用した基礎化粧品と異なる特有の好ましい使用感を賦与すると共に、保湿性を含む化粧持ちを向上させる効果が強いので望ましく、とりわけ、無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロースを、20%以上、望ましくは50%以上、さらに望ましくは50〜70%含有し、α−マルトシルα,α−トレハロース以外のα,α−トレハロースの糖質誘導体を合計で5〜25%含有し、且つ、ソルビトール、マルトオリゴ糖の糖アルコールから選ばれるいずれか1種又は2種以上の糖アルコールを合計で5〜45%、望ましくは25〜45%含有する糖質が、他の皮膚外用剤の配合成分の作用の増強効果の強い点と、保湿性の高さ及び使用感の良さの点で特に望ましい。なお、マルトオリゴ糖の糖アルコールとしては、マルチトール、マルトトリイトール及び/又はマルトテトライトールが望ましい。
また、本発明のα,α−トレハロースの糖質誘導体は、上記の特徴に加えて、熱、紫外線、乾燥などの外的ストレスからの細胞保護効果に優れ、また、細胞賦活作用を有していることから、皮膚外用剤に、それ単独で使用しても、紫外線や他の因子により痛めつけられたり、荒れや炎症を起こしている皮膚、粘膜、頭皮などの細胞の新陳代謝を高めるとともに、マクロファージやケラチノサイトをはじめとする皮膚、粘膜、頭皮などに存在する各種細胞からの腫瘍壊死因子(以下、「TNF−α」という)やインターロイキン1をはじめとする炎症性サイトカイン類の産生や細胞接着因子(intercellular adhesion molecule)発現を抑制して、あれ、老化や炎症を抑制し、正常な皮膚、粘膜、頭皮への回復を促進することができる上に、皮膚外用剤に含まれる各種成分の刺激性を低減し、皮膚への塗布の際の物理的刺激を軽減することから、本発明の皮虜外用剤は、日焼けなどによる炎症やその他の障害により、それを塗布する際に痛みを伴うような皮膚、粘膜、頭皮などの部位にも有利に使用することができる。しかも本発明のα,α−トレハロースの糖質誘導体は、皮膚、粘膜や毛髪に使用すると、表面をコートすることにより、皮膚や毛髪のすべり性を改善し、それらに滑らかでソフトな感触と質感を賦与し、皮膚、粘膜、頭皮のバリア機能を強化することができる上に、皮膚の表皮やダメージ毛の表面のキューティクルを保護し、帯電防止効果もあることから、毛髪、毛根、頭皮、皮膚、粘膜などの保護剤、皮膚又は毛髪のすべり改善剤、艶だし剤、コンディショニング剤、帯電防止剤、更には、ヘアカラー剤の基材としても有利に使用することができる。また、本発明のα,α−トレハロースの糖質誘導体又はα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質は、後述する乳化作用を有する各種物質や、エタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、濃グリセリン、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオールなどの各種溶剤やソルビトール、マルチトールなどのポリオール類、ポリエチレングリコール(通常分子量が400〜6000のものを使用)、カルボキシビニールポリマーなどの合成高分子をはじめとする皮膚外用剤に使用される各種の物質との相溶性も良く、グリセリンなどよりも溶剤作用が低いにもかかわらず表面張力の低下能が高く、白濁や沈殿を生じることもないので、乳化作用を有する物質を配合したクリームなどに使用するとグリセリン単独処方のものよりも、均質で細かな粒径の乳化粒子の調製を可能とする。さらには、洗顔フォーム、シャンプーやリンスなどに使用すると、その泡にコシ・弾力性を与え、泡の発生量を増加し、泡もちをよくし、泡による肌への物理的な刺激を抑制することから、これらの皮膚外用剤は、肌に負担をかけず気持ちよく洗えることに加え、濃密な泡が、毛穴の奥の汚れまでスッキリと取り除くことができるうえに、使用後は、肌にスッキリ感と潤いとを同時に賦与することができる。その上、本発明のα,α−トレハロースの糖質誘導体又はα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質は、脂質の酸化及び/又は変敗の抑制、リポソームや細胞などの脂質膜の安定化や酸化抑制、アミノ酸型界面活性剤をはじめとする乳化作用を有する物質、天然着色料、合成着色料などの各種着色料、フローラル系をはじめとする各種香料、アスコルビン酸、アスコルビン酸2−グルコシド、タンニンリキッド、蜂蜜、蜜蝋、プロポリス、アミノ酸類をはじめとする皮膚外用剤に使用される酸化を受けやすく、又、褐変・変色しやすい成分の酸化や分解の抑制、褐変・変色などを抑制し、異味や異臭の発生を抑制するなどの作用を有していることから、保湿剤、吸放湿調節剤、品質保持剤、細胞保護剤、細胞賦活剤、泡質改善剤、泡質調節剤、安定化剤、褐変防止剤、変色防止剤、脂質の酸化防止剤、保香剤などとして、皮膚外用剤に配合してもベタ付き感を与えない素材として有利に利用することができる。
さらに、本発明のα,α−トレハロースの糖質誘導体は、皮膚や粘膜に対する刺激性がなく、安全性が高いことに加え、ラクトバチルス ペントサス(Lactobacilus pentosus)やプロピオニバクテリウム アクネス(Propionibacterium acnes)、ストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans)などの、嫌気性の皮膚或いは口腔内の常在菌に資化されにくいことから、これらの菌類が原因とされている、にきびなどの細菌性の皮膚の異常などがある場合の皮膚外用剤や、歯磨き用の素材としても有利に利用できる。
本発明の皮膚外用剤に含有せしめる血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、育毛・養毛作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び経皮吸収促進作用を有する物質などは本発明の効果を損なわない質的量的範囲内で、その使用目的に応じて、いずれか1種又は2種以上を組み合わせればよく、また、同じ効果が期待される成分を2種以上適宜組み合わせることも随意である。
本発明の皮膚外用剤に含有せしめる血行促進作用を有する物質としては、センブリ、ニンジン、イチョウ、ショウガ、ニンニク、アシタバ、アルニカ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、チンピ、トウキ、モモ、アンズ、クルミ、スギナ、ショウブ根、アロエ、エンメイソウ、ゲンチアナ、トウガラシ、ユズなどの植物又は植物由来成分、ヘスペレチン、ヘスペリジン、糖転移ヘスペリジン、ケルセチン、ルチン、糖転移ルチン、ナリンゲニン、ナリンジン、糖転移ナリンジン、エスクレチン、エスクリン、糖転移エスクリン、アセチルコリン、塩化カルプロニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、γ−オリザノール、l−メントール、セファランチン、ビタミンE、d−δ−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、リノール酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、ビタミンEニコチネートなどのビタミンE誘導体、ミノキシジル、ニコチン酸アミド、ノニル酸バニリルアミド、塩化カルプロニウム、炭酸ガスなどが挙げられる。これらの配合量は、これら単独で、或いは、他の配合成分と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ血行促進効果を増強できる量であればよく、特に制限はないが、皮虜外用剤の総質量中の0.001〜5%の範囲内であればよく、0.01〜2%が望ましい。0.001%未満では効果が期待できず、5%を超えて配合しても、それ以上の効果の増大は少ない。また、これらの物質を育毛剤の有効成分として使用する場合には、α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ育毛効果を増強できる量であればよく、特に制限はないが、皮膚外用剤の総質量中の0.0001〜5%の範囲内であればよく、0.002〜3%が望ましい。なお、本明細書でいう植物又は植物由来成分とは、例えば、葉、茎、根、花、果実、樹皮などの植物体そのものを破砕したものや、エキス、精油、油脂、チンキなどのような、植物を、水、メタノール、エタノール、エーテル、酢酸エチル、アセトン、ブチレングリコールなどの溶媒で処理して得られる抽出物、それらを部分精製、或いは、高度に精製したものであってもよい。また、本発明でいう血行促進作用を有する物質には、血管を拡張して血流の循環を改善する作用を有するものに加えて、例えば、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、カンチリスチンキ、ノリル酸ワニルなどのように、局所刺激により、二次的に、局所の血流量を増加させる物質も、当然、含まれる。
抗炎症作用を有する物質としては、アラントイン又はその誘導体であるアラントインアセチル−dl−メチオニン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アラントインポリガラクツロン酸など、グリチルレチン又はその誘導体であるグリチルレチン酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸アラントイン、グリチルレチン酸グリセリン、グリチルレチン酸ステアリル、ステアリン酸グリチルレチニル、3−サクシニルオキシグリチルレチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムなど、パントテン酸、パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル、ベンゾイルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アセチルパントテニルエチルエーテル、安息香酸パントテニルエチルエーテルエステル、パンテチンなどのパントテン酸の誘導体、ビタミンE、d−δ−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、リノール酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールなどのビタミンE誘導体、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸2−グルコシドなどのL−アスコルビン酸グリコシド、L−アスコルビン酸グリコシドのアシル化誘導体、テトラヘキシルデカン酸アスコルビン酸、L−アスコルビン酸とトコフェロールがリン酸基を介して結合したアスコルビン酸−トコフェロールリン酸ジエステルL−アスコルビン酸硫酸エステル、ジパルミチン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、L−アスコルビン酸ステアリル、リン酸L−アスコルビル、L−アスコルビン酸エチルやそれらのアシル化誘導体などのL−アスコルビン酸の誘導体及び/又はそれらのアルカリ金属或いはアルカリ土類金属の塩、塩酸ピリドキシン、メントール、ビオチン、カンフル、テレピン油、酸化亜鉛、アズレン、グアイアズレン及びその誘導体、メフェナム酸及びその誘導体、フェニルブタゾン及びその誘導体、インドメタシン及びその誘導体、イブプロフェン及びその誘導体、ケトプロフェン及びその誘導体、ε−アミノカプロン酸、ジクロフェナクナトリウム、ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸及びその誘導体、デキサメタゾン、コルチゾン及びそのエステル、ヒドロコルチゾン及びそのエステル、プレドニゾン、プレドニゾロンなどの副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン剤、エイジツ、イブトラノオ、ウコン、オトギリソウ、オウバク、カンゾウ、キンギンカ、クレソン、コンフリー、ゴカヒ、サルビア、シコン、シラカバ、チャ、テンチャ、トウキンセンカ、ニワトコ、ホオウ、ムクロジ、ユーカリエキス、ブロッコリー、トウキ、ビワ、シソ、カミツレ、ヨモギ、アロエ、ニンジン、藍、オウバク末、ヨウバイヒ末、アセンヤク、アマチャ、アルテア、アルニカ、エチナシ、エンメイソウ、オウゴン、オオムギ、セイヨウオトギリソウ、オレンジ、カノコソウ、ローマカミツレ、カワラヨモギ、キュウリ、クチナシ、クマザサ、ゲンチアナ、ゲンノショウコウ、ゴボウ、サンショウ、ボフダイジュ、シャクヤク、セイヨウキズタ、セイヨウネズ、セイヨウハッカ、センキュウ、センブリ、セージ、ソハクヒ、タイソウ、タイム、ローズヒップ、トウガシ、トウキンセンカ、トウニン、ドクダミ、トルメンチラ、パセリ、ハッカ、イラクサ、ビャクダン、ブッチャーブルーム、ブドウ、ベニバナ、ボタン、ボダイジュ、マロニエ、モモ、ヤグルマソウ、ヨモギ、ラベンダー、ローズマリー、カロット及びトウキなどの植物又は植物由来成分などが挙げられる。これらの配合量は、これらの物質を単独で、或いは、2種以上を組み合わせて、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ皮膚炎に対する消炎作用を増強できる量であればよく、特に制限はないが、皮膚外用剤の総質量中の0.001〜5%の範囲内であればよく、0.01〜3%が望ましい。0.001%未満では効果が期待できず、5%を超えて配合しても、それ以上の効果の増大は少ない。また、例えば、グリチルリチンのように、甘草などの植物組織にも存在することが知られている成分であれば、本発明においては当然のことながら該成分を含有する植物の抽出物として配合することも随意である。
また、本発明の皮膚外用剤には、前記、血行促進作用を有する物質及び/又は抗炎症作用を有する物質のみでなく、これらの物質と組み合わせて、或いは、以下に示す抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、養毛・育毛作用を有する物質、粉末、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質、経皮吸収促進作用(経皮吸収調節剤を含む)を有する物質及び油脂類から選ばれるいずれか1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、同じ作用効果或いは物性に分類される物質を2種以上適宜組み合わせることも随意である。
抗菌作用を有する物質としては、特に限定はなく、皮膚外用剤へ配合することのできる抗菌性を有する物質を適宜使用することができる。具体的には、エタノールなどの低級アルコール、安息香酸、安息香酸の塩類、安息香酸エステル、塩酸アルキルジアミノグリシン、ピオニン(感光素201号)などの感光素、クロルクレゾール、クロロブタノール、サリチル酸、サリチル酸の塩類、ソルビン酸、ソルビン酸の塩類、ソルビン酸エステル、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸の塩類、トリクロロヒドロキシフェニルエーテル、パラオキシ安息香酸エステル、パラオキシ安息香酸のナトリウム塩、フェノキエタノール、フェノール、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、レゾルシン、亜鉛・アンモニア・銀複合置換型ゼオライト、安息香酸パントニルエチルエチルエーテル、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトナウム、塩酸クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クレゾール、クロラミンT、クロルキシレノール、クロルフェネシン、クロルヘキシジン、1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、臭化アルキルイソノリニウム、チアントール、チモール、トリクロロカルバニリド、パラクロルフェノール、ハロカルバン、ヒノキチオール、ピリチオン亜鉛、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリン液、N,N’’−メチレンビス[N’−(ヒドロキシメチル−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリニル)ウレア]、ヨウ化パラジメチルアミノスチリルヘプチルメチルチアゾリウム、イミダゾリウジニルウレア、ジメチロールジメチルヒダントイン、グルタルアルデヒド、ジャマールII、ビサボロール、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、フェノキシエタノール、ヒノキチオール、ティートリー油、プロポリス、ムクロジ、アスパラガス、アロエ、イチョウ、ウコン、エチナシ、エンメイソウ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、セイヨウオトギリソウ、オレンジ、カワラヨモギ、クチナシ、クマザサ、クララ、グレープフルーツ、ゲンノショウコウ、サンショウ、シコン、シソ、シラカバ、スイカズラ、セイヨウノコギリソウ、セイヨウハッカ、センキュウ、セージ、ソウハクヒ、タイム、チョウジ、トウキンセンカ、ボタン、ホップ、ハッカ、モモ、ユーカリ、ラベンダー、ローズヒップ、ローズマリー、ヨモギ、シャクヤク、ショウブ、サボンソウなどの抗菌効果のある植物又は植物由来成分などが挙げられる。これらの物質の皮膚外用剤への配合量は、これらの物質を単独で、或いは、2種以上を組み合わせて、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ抗菌作用を増強できる量であればよく、特に制限はないが、皮膚外用剤の総質量中の0.0001〜3%の範囲内であればよい。0.0001%未満では効果が期待できず、2%を超えて配合しても、それ以上の効果の増大は少ない。
保湿作用を有する物質としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリンなどのムコ多糖及びその誘導体やそれらの塩類、セラミド、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ケラチン、ゼラチン、カゼインなどから選ばれるペプチド、タンパク質及びそれらの誘導体並びにそれらの加水分解物、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、ロイシン、チロシン、プロリン、イソロイシン、トリプトファン、ヒドロキシプロリン、テアニン、オルニンチン、シトルリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン、ヒドロキシリジン、システイン、シスチン、アシルグルタミン酸、γ−ポリグルタミン酸などから選ばれるアミノ酸及びそれらの誘導体、ピロリドンカルボン酸、真珠エッセンス、粉飴、キシロース、グルコース、フラクトース、マルトース、蔗糖、ラクトース、パラチノース、α,α−トレハロース、α,β−トレハロース(ネオトレハロース)、β,β−トレハロース(イソトレハロース)、異性化糖、蜂蜜、メープルシュガー、黒砂糖、砂糖結合水飴、マルトオリゴ糖、デキストリン、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ガラクトシルグルコシド、ラクトスクロース、同じ出願人が国際公開WO 02/24832号明細書、国際公開WO 02/10361号明細書、国際公開WO 02/072594号明細書、特願2000−305821号明細書などにおいて開示した環状四糖及び/又は環状四糖の糖質誘導体、澱粉などの還元性或いは非還元性の糖質、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、パニトールなどの糖アルコール、プルラン、レバン、アルギン酸ナトリウム、寒天、アラビアガム、グアガム、トラガカントガム、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガムなどのガム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリデキストロース、ポリアクリル酸などの水溶性高分子、ショ糖エステル、デキストリン誘導体、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、アミレングリコールなどの多価アルコール、サンゴモなどの海藻、アロエ、、ハマメリス、サンショウ、オウショウヨモギ、カバカバニンジン、オタネニンジン、アロエ、イラクサ、ウイキョウ、ウイッチヘーゼル(ハマメリス)、ウコン、コガネバナ(オウゴン)、キハダ(オウバク)、オトギリソウ、イネ(コメ)、カミツレ、カワラヨモギ(インチンコウ)、キウイ、キュウリ、クララ(クジン)、ブドウ、クチナシ、コンフリー(ヒレハリソウ)、サボンソウ、ジオウ、シソ、シャクヤク、シラカバ、スギナ、ボダイジュ、サルビア(セージ)、センブリ、センキュウ、クワ(ソウハクヒ)、ダイズ、タチジャコウソウ(タイム)、トウキ、トウキンセンカ、パセリ、ハトムギ(ヨクイニン)、ブッチヤズブルーム、ヘチマ、ホップ、マロニエ、メリッサ、モモ、ユキノシタ、キイチゴ、ラベンダー、レンゲ、バラ、ノイバラ(エイジツ)、ローズマリー(マンネンロウ)、カンゾウ、茶(リョクチャ、コウチャ、ウーロンチャ)、ユリ、オオムギ(麦芽根)、コムギ、アンズ(キョウニン)、カラスムギ、ムラサキ(シコン)、レモン、マルメロ、オレンジ、イチゴ、ベニバナ、リンドウ(リュウタン)、ハッカ、ミドリハッカ(スペアミント)、セイヨウハッカ(ペパーミント)、ムクロジ、ユーカリ、オドリコソウ、マツ、ヤグルマソウ、ワレモコウ(ジユ)、アボカド、海藻、グレープフルーツ、プルーン、ライム、ユズ(キジツ)、オウレン、ヒノキ、ボタン(ボタンピ)、オリーブ、ヒマワリ(サフラワー)、ホホバ、マカデミアナッツ、メドゥホーム、ツバキ、アーモンド、カカオ、ゴマなどの保湿効果のある植物又は植物由来の成分などを挙げることができる。これら保湿作用を有する物質の皮膚外用剤への配合量は、これらの物質を単独で、或いは、2種以上を組み合わせて、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ保湿効果を増強できる量であればよく、特に制限はないが、皮膚外用剤の総質量中の0.1〜40%の範囲内であればよく、0.5〜20%が望ましい。
上記保湿作用を有する物質の中でも、本発明のα,α−トレハロースの糖質誘導体は、ヒアルロン酸やムコ多糖などと併用すると、保湿効果が強く増強され、その使用感も向上し、中でも、ヒアルロン酸との併用が使用感の向上の点で特に望ましい。また、本発明の皮膚外用剤に使用されるヒアルロン酸は、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ保湿効果を増強できる分子量のものであればいずれでもよく、特に制限はないが、通常、平均分子量が600000〜2500000程度のものが使用され、800000〜2200000程度のものが望ましい。
美白作用を有する物質としては、L−アスコルビン酸及びL−アスコルビン酸2−グルコシドなどのL−アスコルビン酸グリコシド、L−アスコルビン酸2−グルコシドのアシル化誘導体、テトラヘキシルデカン酸アスコルビン酸、L−アスコルビン酸とトコフェロールがリン酸基を介して結合したアスコルビン酸−トコフェロールリン酸ジエステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル、ジパルミチン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、L−アスコルビン酸ステアリル、リン酸L−アスコルビル、L−アスコルビン酸エチルやそれらのアシル化誘導体などのL−アスコルビン酸の誘導体及び/又はそれらのアルカリ金属或いはアルカリ土類金属の塩、乳酸、コウジ酸、エラグ酸、エラグ酸の誘導体及び/又はそれらのアルカリ金属或いはアルカリ土類金属の塩、トラネキサム酸、フィチン酸、グルタチオン、ハイドロキノン、アルブチンなどのハイドロキノンの誘導体など物質、カモミラET、ルシノール、カミツレエキス、モラシズエキス、ハイドロキノンの配糖体であるアルブチンなど、カンゾウ、桑白皮、ウワウル、コケモモエキス、ジュウヤクエキス、鹿角レイシエキス、イリス(アイリス)、チョウジ、ウコン、トウガラシ、ツルレイシ、アロエ、アロエベラ、茶、カンゾウ、オウゴン、カミツレ、ソウハクヒ、カッコン、サンショウ、ボタンピ、イチョウ、エイジツ、オウレン、オトギリソウ、クチナシ、クジン、コメ、コメヌカ、サイシン、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、茶、トウキ、トウキンセンカ、ハマメリス、ベニバナ、アメジスト、アセンヤク、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、セージ、ダイコン、ツツジ、パセリ、ホップ、及びヨクイニンなどの美白効果を持つ植物又は植物由来成分、プラセンタエキスなどの動物由来成分、イオウなどの無機物などが挙げられる。これらの配合量は、これらの物質を単独で、或いは、2種以上を組み合わせて、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ美白効果を増強できる量であればよく、特に制限はないが、皮膚外用剤の総質量中の0.001〜5%の範囲内であればよく、0.01〜3%が望ましい。0.001%未満では効果が期待できず、5%を超えて配合しても、それ以上の効果の増大は少ない。
抗酸化作用を有する物質としては、ビタミンA及びそれらの誘導体、ビタミンB及びそれらの誘導体、L−アスコルビン酸及びそれらの誘導体、ビタミンD及びそれらの誘導体、ビタミンE及びそれらの誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、スーパーオキシドディスムターゼ、マンニトール、カロチノイド、アスタキサンチン、ルチン及びその誘導体、ルチン、ヘスペリジン、ケェルセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン及びそれらの糖質誘導体をはじめとする各種誘導体、没食子酸及びその誘導体、及び、グルタチオン及びその誘導体、グルタチオン、β−カロチン及びその誘導体、ユビキノール、フラボノイド、ポリフェノール、アマチャ、ウコン、エイジツ、エチナシ、オウゴン、オトギリソウ、ゴバイシ、ゲンノショウコウ、コメ、コメヌカ、コンフリー、サンショウ、シソ、シャクヤク、ダイズ、納豆、茶、チョウジ、ビワ、ボタン、マロニエ、ユキノシタ、ルイボス、ローズマリー、スピルリナ、クロレラ、ドナリエラなどの抗酸化効果のある植物又は植物由来成分をあげることができ、ビリルビン、コレステロール、トリプトファン、ヒスチジン、チオタウリン、ヒポタウリンなどもこれに含まれる。これらの物質は、ラジカルや活性酸素の低減作用を有する物質としても利用でき、その配合量は、これらの物質を単独で、或いは、2種以上を組み合わせて、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ抗酸化効果を増強できる量であればよく、特に制限はないが、皮膚外用剤の総質量中の0.0001〜5%の範囲内であればよく、0.001〜2%が望ましい。0.0001%未満では効果が期待できず、5%を超えて配合しても、それ以上の効果の増大は少ない。また、α,α−トレハロースの糖質誘導体は、L−アスコルビン酸の褐変(着色)を抑制することができるので、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用することにより、通常、化粧品などに配合される量よりも多量のL−アスコルビン酸やその誘導体の皮膚外用剤への使用が可能となる。
紫外線吸収作用を有する物質としては、パラアミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記する。)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステルなどの安息香酸系化合物、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレートなどのアントラニル酸系化合物、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレートなどのサリチル酸系化合物、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメートなどの桂皮酸系化合物、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、ルチン、ヘスペリジン、クェルセチン、やそれらの糖転移誘導体をはじめとする誘導体などが挙げられる。これらの成分の配合量は、これらの物質を単独で、或いは、2種以上を組み合わせて、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ紫外線吸収を阻害する効果を増強できる量であればよく、特に制限はないが、皮膚外用剤の総質量中の0.0001〜40%の範囲内であればよく、0.01〜20%が望ましい。0.0001%未満では効果が期待できず、40%を超えて配合しても、それ以上の効果の増大は少ない。
紫外線散乱作用を有する物質としては酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セレン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、カオリン、タルク、マイカ、セリサイトなどの粘土鉱物などが挙げられる。これらの成分の配合量は、これらの物質を単独で、或いは、2種以上を組み合わせて、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ紫外線を散乱する効果を増強できる量であればよく、特に制限はないが、皮膚外用剤の総質量中の0.0001〜40%の範囲内であればよく、0.01〜20%が望ましい。0.0001%未満では効果が期待できず、40%を超えて配合しても、それ以上の効果の増大は少ない。
乳化作用を有する物質としては、特に限定はなく、非イオン性界面活性剤及び/又はイオン系の界面活性剤などの界面活性を有する物質から選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。具体的には、非イオン性界面活性剤としては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキイソステアレートなどのソルビタン脂肪酸エステル、グリセリンモノオレート、グリセリンモノイソステアレートなどのグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリルモノオレート、デカグリセリルジイソステアレートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(6E.O.)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(20E.O.)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート(6E.O.)、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレート(40E.O.)などのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート(5E.O.)、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート(15E.O.)などのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノイソステアレート(10E.O.)、ポリオキシエチレンモノオレート(6E.O.)などのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジイソステアレート(8E.O.)、ポリオキシエチレンジイソステアレート(12E.O.)などのポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(7E.O.)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(10E.O.)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)アルキルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油(20E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ひまし油(40E.O.)などのポリオキシエチレンひまし油・硬化ひまし油等を挙げることができる。また、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびその酸化エチレン誘導体、ポリエーテル変性シリコーン、トレハロースモノ脂肪酸エステルやトレハロースジ脂肪酸エステル、α,α−トレハロースの糖質誘導体の脂肪酸エステルなどのトレハロース誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシドなどの糖質誘導体も、当然、非イオン型界面活性剤に含まれる。
また、イオン性界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤を使用することが出来る。アニオン界面活性剤としては、高級脂肪酸、アルキルベンゼスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸などのアルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、アシルN−メチルタウリン酸、アルキルエーテルリン酸エステル、N−アシルアミノ酸、アルキルアミドリン酸、アルキルエーテルカルボン酸やそれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミンイオン、アンモニウムイオン、塩基性アミノ酸などの塩などがあり、カチオン界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、アルキルベンジルメチルアンモニウムなどがあり、両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウムなどのアミノ酸型両性界面活性剤などがあり、ポリオキシエチレン型、多価アルコールエステル型やエチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック重合体などの非イオン界面活性剤がある。また、上記以外の高分子型界面活性剤や、ポリビニールアルコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉誘導体、サイクロデキストリン、無水結晶マルトース、トラガカントガム、レシチン、サポニン、イソフラボン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリンなどの乳化作用を有する物質も、当然、本発明の乳化作用を有する物質に含まれる。
また、本発明の皮膚外用剤に使用する、乳化作用を有する物質の全体のHLB値は、その使用目的により、適宜選択することができるが、通常は、HLB値が、6〜13のものが好ましい。特に、本発明の皮膚外用剤を、クレンジング化粧料として利用する場合、HLB値が6未満では水で洗い流しにくくなり、13を超えると油との相溶性が悪くなる場合がある。好ましい界面活性剤としては、ポリオキシエチレンジイソステアレート(10E.O.)、ポリオキシエチレンイソステアレート(10E.O.)を挙げることができる。また、上記乳化作用を有する物質のなかで、アルキル基を有するものは、通常、8〜26程度の炭素原子数のものが使用され、8〜22のものが好ましく、12〜18のものが特に好ましい。
これらの乳化作用を有する物質の皮膚外用剤への配合は、これらの物質を単独で、或いは、2種以上を組み合わせて、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が有する他の有効成分の作用の増強効果を阻害しない限り、特に制限はないが、皮膚外用剤の総質量中の0.0001〜50%の範囲内であればよく、0.1〜40.0%が望ましい。また、クレンジング化粧料の場合には、皮膚外用剤の総質量中の6.0〜35.0%が好ましく、6.0%未満では、α,α−トレハロースの糖質誘導体を溶解する水溶液に油分を可溶化することが難しくなる。
収斂作用を有する物質としては、収斂作用を有するものであれば特に限定はなく、例えば、メントール、カンフル、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウムなどの硫酸アルミニウムの金属塩、スルホ石炭酸亜鉛、ナリンジン、糖転移ナリンジンなどのナリンジンの誘導体、タンニン酸、クエン酸、乳酸、コハク酸などの有機酸を挙げることができる。また、アセンヤク、アマチャ、アルテア、アロエ、ウイキョウ、エイジツ、セイヨウオトギリソウ、オドリコソウ、オレンジ、海藻、カノコソウ、カワラヨモギ、キイチゴ、キウイ、ゲンチアナ、ゲンノショウコウ、ゴバイシ、サンザシ、シモツケソウ、シラカバ、セイヨウサンザシ、セイヨウニワトコ、セイヨウネズ、セイヨウノコギリソウ、セージ、タイム、茶、トルメンチラ、イラクサ、フキタンポポ、ブドウ、ホップ、マロニエ、メリッサ、ヤグルマソウ、ヨモギ、リンゴ、レモン、レンゲソウ、ローズヒップ、スイカズラ、シャクヤク、スギナ、クレマティス、セイヨウキズタなどの植物又は植物由来成分が挙げられる。本発明の皮膚外用剤に、収斂作用を有する物質を用いる場合、これらの物質を単独で、或いは、2種以上を組み合わせて、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ収斂作用を効果的に増強できる量であればよく、特に制限はないが、通常、皮膚外用剤の総質量中の0.0003〜10%、好ましくは0.001〜5%である。
抗シワ作用を有する物質としては、抗シワ作用を有するものであれば特に限定はなく、例えば、レチノイド(レチノール、レチノイン酸、レチナールなど)、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトンなどが挙げられる。これらの配合量は、これらの物質を単独で、或いは、2種以上を組み合わせてα,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ抗シワ作用を効果的に増強できる量であればよく、特に制限はないが、皮膚外用剤の総質量中の通常、皮膚外用剤の総質量中の0.0003〜10%、好ましくは0.01〜5%である。
細胞賦活作用を有する物質としては、細胞賦活作用を有するものであれば特に限定はなく、例えば、γ−アミノ酪酸、ε−アミノプロン酸などのアミノ酸類、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類、グリコール酸、乳酸などのα−ヒドロキシ酸類、タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号、カゴメコンブ、ヒバマタ、ワカメメカブ、レッソニク、モズク、オバクサなどの植物成分などが挙げられる。これらの配合量は、これらの物質を単独で、或いは、2種以上を組み合わせて、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ細胞賦活作用を効果的に増強できる量であればよく、特に制限はないが、通常、皮膚外用剤の総質量中の0.0003〜10%、好ましくは0.001〜5%である。
経皮吸収促進作用を有する物質としては、吸収促進作用を有するものであれば特に限定はなく、例えば、尿素、乳酸、フルーツ酸、グリコール酸などのα−ヒドロキシ酸、イオウ、サリチル酸などのβ−ヒドロキシ酸、オレイン酸、ウンデカノイン酸、オクタノール、ノナノール、メントール、チモール、リモネン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ドデシルメチルスルホキシド、dimethyllacetamide、N,N−ジメチルホルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、N,N−bis(2hydroxy ethy)oleylamine、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート、Dodecyl dimethyl ammoniopropanesulfate、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、n,n−dimethyl−m−toluamide、DEET(diethyl−m−toluamide)、Laurocapram、シクロデキストリン、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、N−モノ又はジ置換−p−メンタン−3−カルボキシアミド、2−(2−メトキシ−1−メチルエチル)−5−メチルシクロヘキサノール、アザシクロアルカン誘導体などが挙げられる。これらの経皮吸収促進作用を有する物質は、1種又は2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。これらの配合量は、これらの物質を単独で、或いは、2種以上と組み合わせて、α,α−トレハロースの糖質誘導体と併用した場合に、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、これらの物質のもつ経皮吸収促進作用を効果的に増強できる量であればよく、特に制限はないが、通常、皮膚外用剤の総質量中の0.0003〜20%、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.01〜5%である。さらに、本発明の皮膚外用剤は、必要に応じて、リポソームなどを利用した有効成分のデリバリーシステム及び/又は同じ出願人による特開2002−3455977号公報(特願2001−80195号)や特願2002−273231号明細書などに開示されたイオン導入具、或いは、それらと前記経皮吸収促進作用を有する物質の1種又は2種以上とを適宜組み合わせて用いることによって、皮膚外用剤中の有効成分の皮膚への浸透を促進することも随意である。
さらに、本発明の皮膚外用剤には上記の成分に加えて、必要に応じて、通常皮膚外用剤に用いられる上記以外の成分、例えば、粉末、油脂類、エデト酸、エデト酸二、三又は四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウムなどのオキシカルボン酸やそれらのアルカリ金属塩、エチレンジアミン4酢酸やそのアルカリ金属塩或いはアルカリ土類金属塩、メタリン酸ナトリウムなどの金属イオン封鎖剤(キレート剤)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピルなどの酸化防止剤、水、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、セラミド、アーモンド油、オリーブ油、硬化油、ヒマシ油、モクロウ、ヤシ油、ミツロウ、ラノリン、カルナバロウ、パーム油などの油分、フィトステロールなどのステロール、ラノリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸やこれらのトリグリセリド、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、コレステロールなどの高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピルなどのエステル、リン酸や、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、コハク酸などのα−ヒドロキシ酸や酢酸をはじめとする前記以外の無機酸或いは有機酸、それらの酸の塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミンなどの無機或いは有機のアルカリ剤やそれらの塩類(pH調整剤)、フラーレン及びその誘導体、黄酸化鉄、チタンイエロー、カーサミンなどの着色料、チアミン、ニコチン酸アミド、リボフラビン、L−アスコルビン酸、ピロロキノリンキノン、カロチノイド、エルゴステロール、トコフェロールなどのビタミン、ナリンジン、糖転移ナリンジン、感光素101号(プラトニン)、感光素301号(タカナール)、感光素401号、プラルミンなどの感光素、赤色104号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、赤色202号、赤色226号、赤色227号、赤色230号、橙色206号、橙色207号、黄色202号、緑色201号、緑色204号、青色201号、緑色205号などのタール色素、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシンなどの天然着色料をレーキ化したものなど合成着色料、ベニバナ色素、クチナシ色素、シコン色素、コチニール色素、ウコン色素,紅麹色素、ビート色素、ラック色素、アカネ色素、シソ色素、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、ムラサキイモ色素、エルダーベーリー色素、ブルーベリー色素、トウガラシ色素、アナトー色素、スピルリナ色素、カカオ色素、タマリンドウ色素、カキ色素、コウリャン色素、カラメル色素をはじめとする、アントラキノン系、アントシアニン系、カルコン系、カルテノイド系の色素等の天然着色料、イオウ、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ハッカ、鉱泉、炭酸ナトリウム、湯ノ花、ホウ砂、センキョウ、トウキ、ケイガイなどの浴用剤に使用される成分などを配合することができる。
本発明の皮膚外用剤に配合する粉末としては、特に限定はなく、例えば、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪ソウ土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、α−酸化鉄、水和酸化鉄、シリカ、ヒドロキシアパタイトなどの無機粉末、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、四弗化エチレンパウダー、ジスチレンベンゼンピンホールポリマーパウダー、微結晶性セルロース、セルロイドパウダー、アセチルセルロースパウダー、セルロースパウダー、澱粉パウダー、キチンパウダー、キトサンパウダー等の多糖類のパウダー、シルクパウダー、硬タンパク質パウダーをはじめとするタンパク質パウダーなどの有機粉体、酸化チタン、酸化亜鉛などの無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄などの無機赤色系顔料、黄酸化鉄、黄土などの無機黄色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバイオレットなどの無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化クロム、コバルトチタン酸などの無機緑色顔料、群青、紺青などの無機青色系顔料、酸化チタンコーテッド雲母、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、魚鱗箔、着色酸化チタンコーテッド雲母などのパール顔料、アルミニウムパウダー、カッパーパウダーなどの金属粉末顔料およびそれらの疎水化処理物などの粉末、上記合成着色料及び/又は天然着色料を、上記無機粉体や有機粉体に担持せしめた粉体などが挙げられる。これらの配合量は、α,α−トレハロースの糖質誘導体が有する他の有効成分の作用の増強効果を阻害しない限り、特に制限はなく、通常、皮膚外用剤の総質量中の0.0003〜95%、好ましくは0.01〜80%、より好ましくは0.01〜75%である。
また、油脂類としては、α,α−トレハロースの糖質誘導体による、他の有効成分の効果の増強を妨げない限り、特に限定されない。例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成油脂、大豆油、米油、菜種油、綿実油、ゴマ油、サフラワー油、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヒマワリ油、パーム油、アマ油、シソ油、シア油、サル油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、及びアボガド油などの植物油脂、ミンク油、卵黄油、牛脂、乳脂、及び豚脂などの動物油脂、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウなどのロウ類、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリンなどの炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸などの天然及び合成脂肪酸、セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール、ラウリルアルコールなどの天然及び合成高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレートなどのエステルやエーテル類、シリコーン油などが挙げられる。
なお、本発明の皮膚外用剤において、カルボキシビニルポリマーやアクリル酸・メタアクリル酸共重合体などの増粘剤を使用して、ジェル状の組成物を調製する際に、そのジェルの形成を阻害する作用を有するアスコルビン酸2−グルコシドのような物質を配合する場合には、増粘剤と共に、ポリエチレングリコール及びジプロピレングリコールを配合し、且つ、水酸化カリウムなどのアルカリ剤により、pHを5.5〜7.5、望ましくは5.9〜7.0に調整することにより、高粘度で外観も良い透明なジェルを調製することができる。また、このようにして調製したジェルは、1,3−ブチレングリコールや1,2−ペンタンジオールなどのように、高分子化合物の溶解しにくい化粧品原料を併用した際に発生する、塗布後のよれの発生や垢状になることもなく、使用感に優れている。ポリエチレングリコール及びジプロピレングリコールの皮膚外用剤への配合量は、高粘度で透明な使用感の良いジェルが調製できる量であれば特に制限はないが、通常、ポリエチレングリコールは、皮膚外用剤の総質量中の0.05〜20%の範囲内であればよく、0.5〜5%が望ましく、また、ジブチレングリコールは、皮膚外用剤の総質量中の.05〜20%の範囲内であればよく、0.5〜5%が望ましい。また、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸系高分子などの増粘剤の、皮膚外用剤への配合量は、高粘度で透明な使用感の良いジェルが調製できる量であれば特に制限はないが、通常、皮膚外用剤の総質量中の0.05〜15%の範囲内であればよく、0.5〜10%が望ましいく、0.5〜2%が特に望ましい。
さらには、本発明の皮膚外用剤には、水性溶媒中におけるアスコルビン酸類など物質の安定性をより向上させる目的で、これらを可溶化する作用を有する物質を使用することができ、具体的には、例えば、低級アルコール、グリセリン、エチレングリコール、及びプロピレングリコールなどの多価アルコール、水素添加大豆リン脂質、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどを挙げることができる。好ましくは、エタノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、水素添加大豆リン脂質、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを挙げることができる。
また、カルボマー(carbomer)型のアクリルポリマー、又は、イソパラフィン、ポリアクリルアミド及びポリオキシエチレン化したラウリルアルコールを主材料とするゲル化混合物を、乳化液用の増粘剤、安定剤として使用し、本発明の皮膚外用剤を調製する場合に、これらゲル化基剤を水で膨潤する際に、最終製品当り、無水物換算で1〜8%程度のα,α−トレハロースの糖質誘導体又はα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質を添加することにより、これらゲル化混合物の水への溶解性を向上し、乳化の効率もアップすることから、皮膚外用剤の調製を効率よく実施できる。また、この際、α,α−トレハロースの糖質誘導体に加えて、1,3−ブチレングリコールを、最終製品当り、0.5〜3.0%程度添加することによって、その皮膚外用剤の使用感を向上することも随意である。
さらに、本発明の皮膚外用剤は、インターフェロン−α、−β、−γ、ツモア・ネクロシス・ファクター−α、−β、マクロファージ遊走阻止因子、コロニー刺激因子、トランスファーファクター、インターロイキンIIなどのリンホカイン、インシュリン、成長ホルモン、プロラクチン、エリトロポエチン、卵細胞刺激ホルモン、ステロイドなどのホルモン、ペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、硫酸カナマイシンなどの抗生物質、リパーゼ、エラスターゼ、ウロキナーゼ、プロテアーゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルカナーゼ、ラクターゼなどの酵素、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ種子、ヨクイニン、メリッサ、セイヨウノコギリソウ、ヘチマ、ユリ、オオバク、シャクヤク、センブリ、バーチ、ビワ、クロレラ、プロポリスエキス、アガリクス、レイシ、鹿角レイシ、メシマコブなどのキノコや各種ハーブなどの植物エキス、スッポンなどの動物エキス、ヒラアオノリ、キミドリノリなどの海藻エキス、ローヤルゼリーや各種生薬、ジヒドロカルコン、ステビオシド、α−グリコシルステビオシド、レバウディオシド、グリチルリチン、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル、アセスルファムK、スクラロース、サッカリンなどの高甘味度甘味料、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、リン、セレン、フッ素、ヨウ素などのミネラル類の化合物、アルカリイオン水、酸性イオン水、磁化水などの極性水から選ばれる1種又は2種以上と併用することも随意である。
また、本発明の皮膚外用剤には、上記物質以外にも、必要に応じて、例えば、化粧品原料基準、化粧品原料基準外成分規格、化粧品種別配合成分規格、医薬部外品原料規格、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格、日本薬局方外生薬規格、食品添加物公定書などに収載された成分や『最新化粧品科学 改訂増補II』、株式会社薬事日報社発行(平成4年7月10日発行)や『新化粧品学』、株式会社南山堂発行(平成14年1月18日発行)、『コスメティック アンド トイレタリー フォーミュレーション(Cosmetic and Toiletry Formulation) セカンド エデイション』、ウイリアム アンドリュー出版、第8巻(2001年発行)などに記載されている、通常医薬品、医薬部外品、化粧品、トイレタリー製品などに用いられる物質を1種又は2種以上組併せて、適宜配合することができ、具体的には、例えば、医薬品、賦形剤、基剤、エモリエント剤、冷感剤、収斂剤、清涼化剤、界面活性剤、乳化作用を有する物質、分散剤、可溶化剤、溶剤、アルカリ剤、粘度調節剤、増粘剤、皮膜剤、起泡剤、消泡剤、着香剤、着色剤、安定剤、防腐剤、殺菌剤、退色防止剤、酸化防止剤、毛髪処理剤、湿潤剤、毛髪保護剤、毛胞賦活剤、帯電防止剤、助剤、溶剤、溶解剤、溶解補助剤、流動化剤、懸濁剤、緩衝剤、甘味剤、清涼化剤、矯味剤、結合剤、吸着剤、噴射剤、コーティング剤、咀嚼剤、充填剤、軟化剤、調整剤、金属封鎖剤、褪色防止剤、油脂、油溶性高分子、無機及び有機顔料、シリコーンまたはフッ素化合物で処理された無機及び有機顔料、有機染料などの色剤、ルミンなどの感光色素、ロウ、制汗剤、消臭剤、抗シワ剤、皮脂抑制剤、抗脂漏剤、不全角化抑制剤、角質剥離剤、角質溶解剤、鎮痛剤、刺激軽減剤、抗プラスミン剤、栄養剤、抗男性ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、ホスホォジエステラーゼ活性阻害剤、脂肪細胞分化抑制剤、リパーゼ活性阻害剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、チロシナーゼ活性阻害剤、繊維芽細胞賦活剤、コラーゲン産生増強剤などを挙げることができる。また、必要に応じて、飲食品として利用されている成分を使用することも随意である。当然のことながら、これらの成分は本発明の効果を損なわない質的量的範囲内で用いられなければならない。
本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−粉体二層系、水−油−粉末三層系などのどのような剤型でも構わない。また、本発明の皮膚外用剤の用途も任意であり、例えば、化粧水、ローション、乳液、クリーム、軟膏、練り剤、懸濁剤、乳剤、ペースト、ムース、チック、固型、半固型、粉末、固型粉末、中皿成形粉末、塊状、ペンシル状、スティック状、ゼリー、ジェル、エアゾール、スプレー、トローチ、パック、フェイスマスクなどの形態で、基礎化粧品、仕上げ化粧品、皮膚化粧品、洗浄用化粧品、洗顔料、化粧水、クリーム、乳液、パック、ファンデーション、白粉打粉、パウダー類、口紅、眉目頬化粧品、香水、浴用化粧品、入浴用化粧品、口腔化粧品、日焼け・日焼け止め化粧品、メークアップ化粧品、爪化粧品、アイライナー化粧品、口唇化粧品、口腔化粧品、フェーシャル化粧品、化粧油、芳香化粧品、ボディー用化粧品、頭髪用化粧品、洗髪用化粧品、化粧用石けん、薬用石けん、歯みがき、口中清涼剤、腋臭防止剤、てんか粉、育毛・養毛剤、ひげそり用剤、日やけ止め剤、鎮痒剤、清拭剤、清浄剤、殺菌消毒剤、脱色剤、脱毛剤さらには、水虫、痔、にきび、創傷、やけど、しもやけ、かぶれ、ただれ、炎症、感染症、アレルギー、アトピー、潰瘍、腫瘍などの各種疾患の予防剤或いは治療剤などとして用いることができる。具体的には、化粧石鹸、洗顔クリーム、洗顔フォーム、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、クレンジングオイル、マッサージクリーム、コールドクリーム、モイスチャークリーム、バニシングクリーム、ハンドクリーム、モイスチャーローション、化粧油、リキッドファンデーション、パウダーファンデーション、ケーキ状ファンデーション、スティックファンデーション、油性コンパクトファンデーション、クリーム状ファンデーション、チークブラッシャー、乳化ファンデーション、下地化粧料、ボディパウダー、クリーム状白粉、粉白粉、水白粉、固型白粉、タルカムパウダー、練り白粉、ルーズシャドウ、ベビーパウダー、ほお紅、眉墨、マスカラ、リップスティック、リップクリーム、パック、シェービングクリーム、アフターシェービングクリーム、ローション、ハンドローション、シェービングローション、アフターシェービングローション、日焼け止めクリーム、日焼け用オイル、日焼け止めローション、日焼け用ローション、柔軟化化粧水、収斂化粧水、洗浄化粧水、多層式化粧水、フェイシャルシャンプー、ボディシャンプー、ヘアシャンプー、髪洗い粉、ハンドソープ、フェイシャルリンス、ホディリンス、ヘアリンス、ヘアトリートメント、養毛料、育毛料、チック、ポマード、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ヘアトニック、セットローション、スキ油、鬢付け油、ヘアスプレー、ヘアムース、ヘアトニック、ヘアダイ、ヘアブリーチ、カラーリンス、カラースプレー、パーマネントウェーブ液、プレスパウダー、ルースパウダー、アイクリーム、アイシャドー、クリームアイシャドー、パウダーアイシャドー、アイライナー、アイブラウペンシル、マスカラ、脱毛クリーム、一般香水、練り香水、粉末香水、オーデコロン、デオドラント、浴用剤、バスオイル、バスソルト、化粧用油、ベビーオイル、ネイルカラー、エナメル、エナメル除去液、ネールトリートメント、マウスウオッシュ、練歯磨、粉歯磨、インセクトリペラー(虫除け剤)、外傷治療用軟膏、抗菌クリーム、ステロイド軟膏などの他、口腔内や皮膚の患部に貼り付けるシート状やフィルム状のはっぷ剤、衣類などの洗濯用の石けんや洗剤、床用の洗剤、台所用洗剤、クレンザーなどとして使用できる。
本発明の皮膚外用剤に使用されるα,α−トレハロースの糖質誘導体は、強酸或いは強アルカリ下でも安定なので、本発明の皮膚外用剤のpHに、特に制限はなく、その用途に応じて適宜調整することができる。通常は、pH3〜12の範囲であり、クリームや化粧水などは、pH4〜12が望ましく、pH5〜9のものが、肌のpHに近いので特に望ましく、石鹸やシャンプーなどの洗浄用のものは中性付近からアルカリ側が常用され、pHが13前後であってもよい。特に、石鹸に使用すると、従来の糖質を使用した石鹸で問題となる濁りや黄ばみの発生がなく、透明な石鹸を調製することができる。また、本発明の皮膚外用剤の浸透圧は、特に制限はないものの、化粧水のように水相の占める割合の高いものでは、皮膚への刺激性を低減させる点から、その水相の浸透圧を200〜600ミリオスモル(mOsm)程度に調整することが望ましい。
以下、実験例に基づいて、本発明の皮膚外用剤についてより詳細に説明する。
実験1 消炎作用を有する物質に及ぼすα,α−レハロースの糖質誘導体の影響
日焼け後の炎症に起因する肌のほてりに及ぼすα,α−トレハロースの糖質誘導体及び/又はグリチルリチン酸の影響を調べる実験を以下のように行った。即ち、日焼けなどにより発生する皮膚の炎症抑制作用を有する物質として化粧品に汎用されているグリチルリチン酸と、α,α−トレハロースの糖質誘導体であるα−グルコシルα,α−トレハロース又はα−マルトシルα,α−トレハロースとを配合し化粧水による日焼け後の肌のほてりに及ぼす影響を調べる試験を以下のようにして行った。即ち、表1示すように、エタノール3.0質量部、1,3−ブチレングリコール10.0質量部、ポリオキシエチレン(15モル)オレイルアルコールエーテル0.5質量部、オレイルアルコール0.1質量部、エチルパラベン0.1質量部、香料0.02質量部からなる基剤に、精製水を加えて100質量部とした化粧水(配合1)、基剤に、特開平7−291986号公報の実験B−1に記載の方法に準じて調製した含水結晶α−グルコシルα,α−トレハロース(純度99.0%以上)を無水物換算で0.5質量部、後述する実施例5の方法に準じて調製した粉末状のα−マルトシルα,α−トレハロース(純度98.1%)を無水物換算で0.5質量部及びグリチルリチン酸0.5質量部のいずれか1種を配合し、適量の精製水を加えて100質量部とした化粧水(配合2〜4)、基剤に、グリチルリチン酸0.5質量部と、α−グルコシルα,α−トレハロース(純度99.0%以上)を無水物換算で0.5質量部、1.5質量部又は5.0質量部を配合し、適量の精製水を加えて100質量部とした化粧水(配合5〜7)、又は、基剤にグリチルリチン酸0.5質量部と粉末状のα−マルトシルα,α−トレハロース(純度98.1%)を無水物換算で0.5質量部、1.5質量部又は5.0質量部を配合し、適量の精製水を加えて100質量部とした化粧水(配合8〜10)を製造した。
試験方法
配合1〜10の化粧水を、各々20〜30代の女性13名を被験者として、夏の海浜で半日、海水浴をした後、適宜2日にわたって使用してもらい、背中、肩及び上腕の外側の肌のほてりを抑制する消炎効果の満足感と、使用時のベタ付き感、サッパリ感を含む使用感を聴取した。各処方の化粧液を使用した際に、日焼けの火照りをおさめる効果に満足したと回答した被験者の人数とその割合(%)を表1に示す。また、使用後に、肌にベタ付き感が無く、使用感に満足したと回答した被験者の人数とその割合(%)を併せて表1に示す。


表1から明らかなように、化粧水100質量部中に、無水物換算で、α−グルコシルα,α−トレハロース0.5質量部(濃度0.5%)、或いは、α−マルトシルα,α−トレハロース0.5質量部(濃度0.5%)のみを含有する化粧水(配合2及び3)は、日焼けのほてりを抑える効果に満足したと回答した被験者は8%とわずかであり、また、グリチルレチン酸0.5質量部(濃度0.5%)のみを含有する化粧水(配合4)は、約31%の被験者が日焼けのほてりを抑える効果に満足したと回答した。これに対して、グリチルレチン酸0.5質量部と、無水物換算でα−グルコシルα,α−トレハロース0.5質量部(濃度0.5%)、又は、無水物換算でα−マルトシルα,α−トレハロース0.5質量部(濃度0.5%)とを含有する化粧水(配合5及び8)は、前者では62%、後者では69%の被験者が、化粧水の日焼けのほてりを抑える効果に満足したと回答した。さらに、化粧水100質量部中に、グリチルリチン酸0.5質量部(濃度0.5%)と、無水物換算でα−グルコシルα,α−トレハロース1.5質量部(濃度1.5%)或いは5.0質量部(濃度5.0%)、及び、無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロース1.5質量部(濃度1.5%)或いは5質量部(濃度5%)を含有する化粧水(配合6、7、9及び10)では、被験者全員が、日焼けのほてりを抑える効果に満足したと回答した。この結果より、α,α−トレハロースの糖質誘導体のα−グルコシルα,α−トレハロース、或いは、α−マルトシルα,α−トレハロースには、その濃度に依存したグリチルリチン酸の持つ消炎効果をさらに増強する効果があることが示された。
また、試験に使用した化粧水の使用感については、α−グルコシルα,α−トレハロース、又は、α−マルトシルα,α−トレハロースを含有していない基剤のみの化粧水(配合1)では、38%の被験者がその使用感に満足したと回答したのに対して、100質量部中に、無水物換算でα−グルコシルα,α−トレハロース0.5質量部(濃度0.5%)、或いは、無水物換算でα−マルトシルα,α−トレハロースを0.5質量部(濃度0.5%)含有する化粧水(配合2及び3)では、いずれも被験者全員が、使用感に満足したと回答した。さらに、100質量部中に、グリチルリチン酸0.5質量部(濃度0.5%)と基剤のみを含有する化粧水(配合4)では、31%の被験者が使用感に満足したと回答したのに対して、100質量部中に、グリチルリチン酸0.5質量部(濃度0.5%)と基剤に加えて、無水物換算でα−グルコシルα,α−トレハロース0.5質量部(濃度0.5%)、或いは、無水物換算でα−マルトシルα,α−トレハロース0.5質量部(濃度0.5%)を含有する化粧水(配合5及び8)では、各々62%或いは69%の被験者が使用感に満足したと回答した。さらに、100質量部中に、グリチルリチン酸0.5質量部(濃度0.5%)と基剤に加えて、無水物換算でα−グルコシルα,α−トレハロース1.5質量部(濃度1.5%)、或いは、無水物換算でα−マルトシルα,α−トレハロース1.5質量部(濃度1.5%)を含有する化粧水(配合6及び9)では、各々85%或いは100%の被験者が使用感に満足したと回答し、さらに、α−グルコシルα,α−トレハロース或いはα−マルトシルα,α−トレハロースの含有量を、無水物換算で5質量部(5.0%)に増量した場合(配合7及び10)には、いずれの場合にも、被験者全員が使用感に満足したと回答した。このことから、α−グルコシルα,α−トレハロース又はα−マルトシルα,α−トレハロースは、基剤のみ、或いは、基剤とグリチルリチン酸を含有する化粧水のベタ付き感を抑制し、その使用感を良くする効果を有することが示された。
実験2 血行促進作用を有する物質に及ぼすα,α−トレハロースの糖質誘導体の影響
抜け毛や頭皮のカユミは、頭皮の血行不良が原因となる場合が多い。そこで、頭皮の血行に及ぼすα,α−トレハロースの糖質誘導体及び/又は血行促進作用を有する物質の影響を調べる試験を以下のように行った。
α,α−トレハロースの糖質誘導体の調製
後述の実施例1の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを、実施例6記載の方法に準じて水素添加して、シラップ中の還元糖をその糖アルコールに変換した後、ラネーニッケルを除去し、次いで、脱色、脱塩して精製、濃縮して、無水物換算で、α−グルコシルα,α−トレハロースを0.8%、α−マルトシルα,α−トレハロースを52.8%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロースを1.3%、これら以外のα,α−トレハロースの糖質誘導体を7.7%含有し、ソルビトールを1.9%、マルチトールを8.0%、マルトトリイトールを10.7%、マルトテトライトールを16.6%、その他の糖アルコールを0.2%含有する、濃度75%のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを調製した。
試験用ヘアトニックの調製
表2に示すように、前記のα,α−トレハロースの糖質誘導含有シラップ4.6質量部(α,α−トレハロースの糖質誘導体として、無水物換算で2.0質量部)と、血行促進作用を有する物質として、センブリエキス1.0質量部、ニンジンエキス1.0質量部、α−dl−トコフェロール0.5質量部のいずれか2種又は3種を配合し、これにエチルアルコール60.0質量部、プロピレングリコール2.0質量部を加え、さらに、水を加えて全量を100質量部として、ヘアトニックを調製した(配合1〜4)。また、α,α−トレハロースの糖質誘導含有シラップ4.6質量部(α,α−トレハロースの糖質誘導体として、無水物換算で2質量部)、センブリエキス1質量部、ニンジンエキス1.0質量部及びα−dl−トコフェロール1.0質量部のいずれか1種に、エチルアルコール60.0質量部、プロピレングリコール2.0質量部を加え、さらに、水を加えて全量を100.0質量部としてヘアトニックを調製した(配合5〜8)。
試験方法
配合1〜8のヘアトニックを、各々血行不良に起因する頭皮のカユミのある40〜50代の男性11名を被験者として、1日に2回適量を頭皮全体に広がるように14日間にわたって使用してもらい、頭髪の抜け毛の量の減少の有無と頭皮のカユミの減少の有無とを聴取した。さらに、ヘアトニック使用後のベタ付き感、サッパリ感を含む使用感を指標にした、使用感の良否についても比較した。各々の処方のヘアトニックを使用した際に、抜け毛の抑制効果があったと回答した被験者の人数とその割合(%)及び頭皮のカユミの低減効果があったと回答した被験者の人数とその割合(%)を表2に示す。また、ヘアトニック使用後に、頭皮にベタ付き感が無く、使用感に満足したと回答した被験者の人数とその割合(%)を併せて表2に示す。


表2から明らかなように、ヘアトニックの100.0質量部中に、エタノール、プロピレングリコールに加えて、無水物換算で、2.0質量部(濃度2.0%)のα,α−トレハロースの糖質誘導体のみを配合したヘアトニック(配合5)では、ほとんど頭皮のカユミの低減や抜け毛の抑制があるとした回答は認められず、また、100質量部中に、エタノール、プロピレングリコールに加えて、センブリエキス1.0質量部(濃度1.0%)、ニンジンエキス1.0質量部(濃度1.0%)、或いはα−dl−トコフェロール0.5質量部(濃度0.5%)のみを配合したヘアトニック(配合6〜8)では、各々27%、27%、36%の被験者が抜け毛の抑制効果があったと回答し、各々27%、36%、27%の被験者がカユミの抑制効果があったと回答した。これに対して、100.0質量部中に、エタノール、プロピレングリコールに加えて、無水物換算で2質量部(濃度2.0%)のα,α−トレハロースの糖質誘導体と、センブリエキス1.0質量部(濃度1.0%)、ニンジンエキス1.0質量部(濃度1.0%)及びα−dl−トコフェロール0.5質量部(濃度0.5%)のいずれか2種又は3種とを配合したヘアトニック(配合1〜4)では、いずれも91%の被験者が抜け毛の抑制効果があったと回答した。また、頭皮のカユミの低減効果については、100質量部中に、エタノール、プロピレングリコールに加えて、無水物換算で2質量部(濃度2.0%)のα,α−トレハロースの糖質誘導体、センブリエキス1.0質量部(濃度1.0%)及びα−dl−トコフェロール0.5質量部(濃度0.5%)を含有するヘアトニック(配合1)では、被験者の73%が、低減効果があったと回答し、無水物換算で2質量部(濃度2.0%)のα,α−トレハロースの糖質誘導体、センブリエキス1.0質量部(濃度1.0%)及びニンジンエキス1.0質量部(濃度1.0%)を含有するヘアトニック(配合2)では、被験者の82%が、低減効果があったと回答し、無水物換算で2質量部(濃度2.0%)のα,α−トレハロースの糖質誘導体と、ニンジンエキス1.0質量部(濃度1.0%)とα−dl−トコフェロール0.5質量部(濃度0.5%)を含有するヘアトニック(配合3)では、73%の被験者が、低減効果があったと回答し、無水物換算で2質量部(濃度2.0%)のα,α−トレハロースの糖質誘導体、センブリエキス1.0質量部(濃度1.0%)、ニンジンエキス1.0質量部(濃度1.0%)及びα−dl−トコフェロール0.5質量部(濃度0.5%)とを含有するヘアトニック(配合4)では、91%の被験者が、低減効果があったと回答した。この結果から、α,α−トレハロースの糖質誘導体は、センブリエキス、ニンジンエキス及びα−dl−トコフェロールのいずれか2種又は3種の血行促進作用を有す物質を組み合わせた場合の、抜け毛の抑制効果及び頭皮のカユミの低減効果を、増大する効果があることが示された。
また、試験に使用したヘアトニックの使用感については、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有していないもの(配合6〜8)は、36〜55%の被験者がその使用感に満足したと回答したのに対して、100質量部中に、無水物換算で2.0質量部(濃度2.0%)のα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有するヘアトニック(配合1〜5)は、血行促進作用を有する物質の有無にかかわらず、11人の被験者が全員が使用感に満足したと回答した。このことから、α,α−トレハロースの糖質誘導体は、エタノール、プロピレングリコール及び精製水からなるヘアトニック及び、これに血行促進作用を有する物質を加えたヘアトニックのベタ付き感を抑制し、その使用感をよくする効果を有することが示された。
実験3 皮膚外用剤に汎用される褐変し易い物質に及ぼすα,α−トレハロースの糖質誘導体の共存の影響
皮膚外用剤に使用される各種物質は、その組み合わせによっては、褐変(着色を含む)などの変化を生じる場合がある。そこで、皮膚外用剤に抗炎症作用を有する物質として使用され、褐変が生じることが公知のL−アスコルビン酸とα,α−トレハロースの糖質誘導体とを組み合わせた場合の影響を確認する試験を以下のように行った。
試験用液の調製
実験2で使用したものと同じα,α−トレハロースの糖質誘導含有シラップ13.3質量部(無水物換算で糖質固形分10.0質量部)と、L−アスコルビン酸1.0質量部とを適量の精製水に溶解し、水酸化カリウムを加えてpHを約6.5に調整した後、さらに精製水を加えて、全量を100質量部とした水溶液を調製した。対照として、L−アスコルビン酸1.0質量部を適量の精製水に溶解し、水酸化カリウムを加えてpHを約6.5に調整した後、さらに精製水を加えて、全量を100質量部とした水溶液を調製した。また、上記水溶液のα,α−トレハロースの糖質誘導体に代えて、濃グリセリン(化粧用濃グリセリン、株式会社花王販売)10質量部を加えた水溶液を調製した。
試験方法
調製した3種類の水溶液を、50℃、遮光条件下で14日間保存し、褐変の有無を、試験開始時と保存14日目の標品の420nmの吸光度を、常法により測定することにより確認した。着色の程度を、L−アスコルビン酸のみの溶液の、吸光度差を100%とする相対値で表し、その結果を表3に示す。

表3から明らかなように、L−アスコルビン酸水溶液は、保存2週間で強い褐変が認められた。一方、L−アスコルビン酸にα,α−トレハロースの糖質誘導体を添加した水溶液は、褐変がα,α−トレハロースの糖質誘導体を無添加の場合の約27%に抑制された。また、アスコルビン酸にグリセリンを添加し場合には、褐変はグリセリンを無添加の場合に比べて61%に抑制されており、α,α−トレハロースの糖質誘導体はグリセリンよりもL−アスコルビン酸の褐変を強く抑制した。これらの結果から、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、L−アスコルビン酸に対して、その褐変を抑制する作用を有していることが明らかになった。なお、実験で使用したα,α−トレハロースの糖質誘導体の調製に使用したシラップ中の還元糖をその糖アルコールに変換する前の、α−マルトシルα,α−トレハロースを無水物換算で約53%含有し、これ以外の、α,α−トレハロースの糖質誘導体を無水物換算で5%含有する、濃度75%のシラップを調製して、実験3と同様に、L−アスコルビン酸の褐変に対する影響を確認したところ、実験3で使用した、還元性糖類を還元したα,α−トレハロースの糖質誘導体と、ほぼ同程度に、L−アスコルビン酸の褐変を抑制することが明らかになった。また、これと同様の実験を10mMのFeイオンの存在下で行った場合も、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質は、アスコルビン酸の褐変を抑制したことから、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質は、Feイオンをキレートする作用も有していることが示唆された。
実験4 α,α−トレハロースの糖質誘導体の皮膚の保湿性に与える影響
α,α−トレハロースの糖質誘導体の皮膚の保湿性に与える影響を確認する試験を、保湿剤として汎用されているヒアルロン酸を陽性対照に使用して以下のように行った。
試験用化粧水の調製
表4に示す配合のように、適量の精製水に、1,2−ペンタンジオール1質量部、1,3−ブチレングリコール1質量部、エタノール2質量、ヒアルロン酸の1%水溶液(分子量180万〜220万、株式会社紀文フードケミファ販売、商品名「ヒアルロン酸FCH」)1質量部及び/又は実験2で使用したものと同じα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを無水物換算で5.2質量部(α,α−トレハロースの糖質誘導体として無水物換算で3.0質量部)を溶解し、精製水を加えて全量が100質量部となるように、試験用化粧水を調製した(配合1〜3)。
試験方法
試験化粧水の皮膚の保湿性に与える影響は、皮膚の水分量の指標となる電気伝導度を測定して判定した。すなわち、男女各15名被験者の右上腕の内側を、予め、皮表角層水分量測定装置(アイ・ビイ・エス株式会社販売、商品名「スキコン(SKINCON−200EX)」)を使用して、試験用化粧水の塗布前の皮表角層の電気伝導度の測定を行った。被験者を男女とも無作為に、5人ずつ3つのグループに分け、予め皮表角層水分量測定装置で電気伝導度を測定した右上腕の内側に、表4に示す配合1、配合2、又は、配合3の化粧水を塗布し、5分間自然乾燥後、化粧水を塗布した箇所の電気伝導度を、皮表角層水分量測定装置で測定した。各グループ10人の測定値の平均を求め、その結果を表4に示す。


表4から明らかなように、皮膚の水分量と相関のある電気伝導度は、化粧水の塗布前は、平均で、約40〜43マイクロジーメンス(以下、「μS」と略記する)程度であるのに対して、ヒアルロン酸を総質量の0.01%含有する化粧水を塗布した場合には52μSとなり、塗布前に比して21%の増加が認められ、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを無水物換算で総質量の5.2%含有する化粧水を塗布した場合には、塗布前に比して83%の増加が認められた。さらに、化粧水の総質量に対してヒアルロン酸を0.01%とα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを無水物換算で5.2%含有する化粧水を塗布した場合には、皮膚の水分量は、84μSとなり、塗布前に比して110%の増加となった。このことから、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、皮膚に保湿性を与え、皮膚外用剤の保湿剤として優れた効果を有すること、及び、ヒアルロン酸と併用することにより、その保湿効果はさらに増強されることが明らかとなった。また、被験者に、試験に使用した化粧水の塗布後の使用感を確認したところ、全員が、ヒアルロン酸のみを配合した化粧水よりも、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを配合した化粧水の方が、塗布後のベタ付き感がなく、使用感に優れていると判断した。また、被験者全員が、ヒアルロン酸とα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップとを配合した化粧水は、各々を単独で配合した化粧水よりも、使用感に優れていると判断した。
以下に、本発明の実施例を説明する。すなわち、本発明の皮膚外用剤に使用するα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する糖質素材とその製造方法、及び、これを使用する皮膚外用剤を具体例で説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
濃度20%のとうもろこし澱粉乳に最終濃度0.1%となるように炭酸カルシウムを加えた後、pH6.5に調整し、これにα−アミラーゼ(ノボ社製造、商品名「ターマミール60L」)を澱粉グラム当たり0.2%になるよう加え、95℃で15分間反応させた。その反応液を、120℃で10分間オートクレーブした後、50℃に冷却し、pHを5.8に調整後、澱粉グラム当たり特開昭63−240784号公報に開示されたマルトテトラオース生成アミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を5単位と、イソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を500単位となるように加え、48時間反応させ、これにα−アミラーゼ(上田化学株式会社製造、商品名「α−アミラーゼ2A」)を澱粉グラム当たり30単位加え、更に、65℃で4時間反応させた。その反応液を、120℃で10分間オートクレーブし、次いで45℃に冷却し、特許文献3に開示されたアルスロバクター・スピーシーズ Q36(FERM BP−4316)由来の非還元性糖質生成酵素を澱粉グラム当たり2単位の割合になるよう加え、48時間反応させた。その反応液を95℃で10分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を、常法に従って活性炭で脱色し、H型及びOH型イオン交換樹脂により脱塩して精製し、更に濃縮して濃度70%のシラップを、無水物換算で、収率約90%で得た。本品は、DE 13.7で、無水物換算で、α,α−トレハロースの糖質誘導体として、α−マルトシルα,α−トレハロース(別名α−マルトトリオシルα−グルコース)52.5%を含有しており、他に、α−グルコシルα,α−トレハロース(別名α−マルトシルα−グルコース)4.1%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース(別名α−テトラオシルα−グルコース)1.1%、それ以外のα−グリコシルα,α−トレハロース0.4%を含有していた。本品は、血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質及び紫外線散乱作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び/又は経皮吸収促進作用を有する物質の作用効果を増強する作用を有し、しかも、皮膚外用剤のベタ付き感を改善し、保湿性にも優れていることから、皮膚外用剤の素材として有利に利用できる。
【実施例2】
実施例1の方法で調製したシラップを常法により噴霧乾燥して非晶質粉末品を調製した。本品は、吸湿性が低く、且つ、水溶性も良好で、実施例1の場合と同様に、皮膚外用剤の素材として好適である。
【実施例3】
実施例1の方法で調製した糖化液を、塩型強酸性カチオン交換樹脂(ダウケミカル社販売、商品名「ダウエックス50W−X4」、Mg++型)を用いたカラム分画を行った。樹脂を内径5.4cmのジャケット付ステンレス製カラム4本に充填し、直列につなぎ樹脂層全長20mとした。カラム内温度を55℃に維持しつつ、糖液を樹脂に対して5v/v%加え、これに55℃の温水をSV0.13で流して分画し、グルコース及びマルトース高含有画分を除去し、α,α−トレハロースの糖質誘導体高含有画分を集め、更に精製、濃縮して、α,α−トレハロースの糖質誘導体高含有シラップを調製した。さらに、このシラップを、常法により、噴霧乾燥して非晶質状態のα,α−トレハロースの糖質誘導体高含有粉末を調製した。本品は、無水物換算で、α,α−トレハロースの糖質誘導体としてα−マルトシルα,α−トレハロース70.2%を含有しており、他に、α−グルコシルα,α−トレハロース6.1%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース2.1%、それ以外のα−グリコシルα,α−トレハロース4.1%を含有していた。本品は、吸湿性が低く、且つ、水溶性も良好で、実施例1の場合と同様に、皮膚外用剤の素材として好適である。
【実施例4】
馬鈴薯澱粉1質量部に水6質量部を加え、更に、澱粉当たり0.01%の割合になるようにα−アミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製造、商品名「ネオスピターゼ」)を加えて撹拌混合し、pH6.0に調整後、この懸濁液を85乃至90℃に保ち、糊化と液化を同時に起こさせ、直ちに120℃に5分間加熱して、DE1.0未満にとどめ、これを55℃に急冷し、pH7.0に調整し、これに株式会社林原生物化学研究所製造、商品名「プルラナーゼ」(EC 3.2.1.41)及び特開昭63−240784号公報に開示されたマルトテトラオース生成アミラーゼを、それぞれ澱粉グラム当たり150単位及び8単位の割合で加え、pH7.0、50℃で36時間反応させた。この反応液を、120℃で10分間オートクレーブし、次いで、53℃まで冷却し、特許文献6に開示されたアルスロバクター・スピーシーズS34(FERM BP−6450)由来の非還元性糖質生成酵素を澱粉グラム当たり2単位の割合になるよう加え、64時間反応させた。この反応液を95℃で10分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を、常法に従って、活性炭で脱色し、H型、OH型イオン交換樹脂により脱塩して精製、濃縮して、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを得た。さらに、このシラップを、常法により、噴霧乾燥して非晶質状態のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末を、無水物換算で、収率約90%で得た。本品は、DE 11.4で、無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロース62.5%を含有しており、他に、α−グルコシルα,α−トレハロース2.1%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース0.8%、それ以外のα−グリコシルα,α−トレハロース0.5%を含有していた。本品は、吸湿性が低く、且つ、水溶性も良好で、実施例1の場合と同様に、皮膚外用剤の素材として好適である。
【実施例5】
試薬級のマルトテトラオース(株式会社林原生物化学研究所販売、純度97.0%以上)の20%溶液をpH7.0に調整後、特許文献3に開示された非還元性糖質生成酵素を、無水物換算で、糖質グラム当たり2単位となるように加えて、46℃で、48時間、反応させて、無水物換算で、79.8%のα−マルトシルα,α−トレハロースを含有する溶液を得た。この溶液を、pH6.0に調整後、無水物換算で、糖質グラム当たり10単位となるようにβ−アミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製)を加えて、50℃で48時間反応させて、マルトテトラオースを分解した。この反応液を、120℃で10分間オートクレーブし、冷却した後、ろ過して得られる溶液を、アルカリ金属型強酸性カチオン交換樹脂(東京有機化学工業株式会社製造、「XT−1016」、Na+型、架橋度4%)を用いて分画し、α−マルトシルα−トレハロース高含有画分を集め、精製、濃縮して、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを得た。さらに、このシラップを、常法により、噴霧乾燥して非晶質状態のα−マルトシルα,α−トレハロース高含有粉末を調製した。本品は、無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロースを98.1%含有しており、ソモジ ネルソン法による測定での還元力測定では、還元力は検出限界以下であった。本品は、吸湿性が低く、且つ、水溶性も良好で、皮膚外用剤用の素材として有利に利用できる。また、本品は還元性がないため、アミノ酸やアミノ基を有する化合物のようなメーラード反応による褐変や変性が問題となる成分を含有する、実施例1の場合と同様に、皮膚外用剤の素材として特に好適である。
【実施例6】
実施例1の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有するシラップに水を加えて、濃度約60%に調製して、オートクレーブに入れ、触媒としてラネーニッケルを約8.5%添加し、攪拌しながら温度を128℃に上げ、水素圧を80kg/cm2に上げて水素添加して、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共存するグルコース、マルトースなどの還元性糖質を、それらの糖アルコールに変換した後、ラネーニッケルを除去し、次いで、脱色、脱塩して精製し、濃縮して、濃度75%のシラップを調製した。本品は、無色透明な粘稠な液体であり、無水物換算で、α−グルコシルα,α−トレハロースを約2.0%、α−マルトシルα,α−トレハロースを約54.3%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロースを約1.6%、これら以外のα,α−トレハロースの糖質誘導体を約5.2%含有し、ソルビトールを約4.4%、マルチトールを約5.4%、マルトトリイトールを約9.4%、マルトテトライトールを約16.3%、これら以外の糖アルコールを約1.4%含有していた。本品は、血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、育毛・養毛作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び/又は経皮吸収促進作用を有する物質の作用効果を増強する作用を有している。しかも、本品は、温度や湿度の変化に対して安定であり、特に高湿下でも吸湿しにくい特性を有している。また、本品は、皮膚に塗布しても、滑らかな皮膚の感触をもたらし、ベタ付かずさっぱりとしていながら、水分保持活性を有しているので、実施例1の場合と同様に、皮膚外用剤の素材として好適である。また、本品は還元性がないため、アミノ酸やアミノ基を有する化合物のようなメーラード反応による褐変や変性が問題となる成分を含有する、実施例1の場合と同様に、皮膚外用剤の素材として特に好適である。
このシラップをそのまま、或いは、このシラップに精製水を加えて、濃度を無水物換算で、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%の糖質溶液を調製し、その各々の溶液の20℃、30℃、40℃、50℃、60℃における粘度を、B型粘度計(東京計器社販売)で測定した。その結果を表5に示す。また、この10%溶液を120℃で、加熱処理を行い、加熱前、加熱処理30分、60分、90分の標品について、各々の標品の着色度を480nmの吸光度で測定し、併せて、各々の標品中のα−マルトシルα,α−トレハロースの含量を測定した。その結果を表6に示す。なお、各々の標品中のα−マルトシルα,α−トレハロースの含量は、加熱処理前の標品中のα−マルトシルα,α−トレハロースの含量を100とした相対値で表した。



表6から明らかなように、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共存するグルコース、マルトースなどの還元性糖質を水素添加した糖質は、120℃、90分の加熱処理では、着色することもなく、また、その主成分であるα,α−トレハロースの糖質誘導体のα−マルトシルα,α−トレハロースも、全く分解されておらず、加熱安性に優れていることが確認された。
吸放湿度特性
実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ(無水物換算で濃度75%)の吸放出特性を以下のようにして調べた。即ち、試薬級の塩化マグネシウム6含水塩、炭酸カリウム2含水塩、硝酸マグネシウム6含水塩、硝酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化バリウム2含水塩、硫酸カリウムを、各々精製水に溶解してその飽和塩溶液を調製し、密閉可能な容器に入れて密閉し、25℃の恒温室に1晩放置し、容器内の相対湿度をそれぞれ、33.0%、42.7%、52.8%、60.0%、75.2%、87.2%、90.1%、97.3%に安定させた。これらの容器内に、実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ(無水物換算で濃度75%)約0.5gを、蓋のない別容器に入れて始発の質量を測定したものを、塩溶液と直接接触しないようにして入れ、25℃の恒温条件で、0.3日、1日、3日、5日、7日、10日、14日放置後、本品を入れた容器を取り出して、本品の質量を測定して、その増減を求め、質量の変化率(%)を始発の質量を100%とした相対値として求めた。その結果を表7に示す。


表7から明らかなように、本品は、相対湿度が97.3或いは90.1%の条件下では、吸湿が認められ、14日目には、質量が、各々始発に比して約47.0%、或いは、11.4%増加した。これに対して、相対湿度が84.2%の条件下では、質量の変化はほぼ認められず、本品は、比較的高湿度の条件下でも吸湿しにくいシラップであることが判明した。また、本品は、相対湿度が、75.2%或いは、それ以下の湿度条件下では、放湿して、経時的に質量が減少したものの、3日目以降は、質量の減少がほぼ認められなくなり、安定した。その減少率は、周囲の湿度の高低に依存しており、周囲の湿度が低いほど、質量の減少率は大きく、相対湿度33%の条件で14日間放置したものでは、始発の質量に比して約14.8%の減少が認められた。なお、具体的な数値は示さないが、本品は、相対湿度84.2%では、ほとんど、質量の変化が認められなかったのに対し、実施例1で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップでは、放湿により質量の減少が認められた。また、相対湿度が75.2%、或いは、それ以下の湿度条件下では、実施例1で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップは、本品に比して放湿による質量の減少が大きいかったことから、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップは、水素添加しないものよりも、それを水素添加して、該シラップに含有される還元性の糖質をその糖アルコールに変換したものの方が、保湿性に優れていることが判明した。
吸放湿試験
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップが優れた吸放湿特性を有することが確認されたので、さらに、化粧品に保湿剤として汎用されている糖質との比較試験を次のようにして行った。すなわち、実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ、濃グリセリン、ソルビトール或いはマルチトールを、各々無水物換算で75%含有する溶液を試験試料として調製し、各々約1gずつ2個の秤量缶にとって質量を精秤し、相対湿度60%に216時間放置後、各1個を相対湿度80%或いは相対湿度33%に放置し、放置後24時間、及び、放置後168時間の時の質量を測定した。各々の試験試料の質量変化率を、相対湿度60%に216時間放置後の各々の試験試料の質量を100%とした、相対値として求め、その結果を表8に示す。

表8から明らかなように、相対湿度80%に置かれた各試験試料は、放置後24時間までは急速に吸湿して質量が増加し、その後は、徐々に質量が増加したものの、質量の増加率は、放置後168時間では、グリセリンやソルビトールが10%以上であったのに対し、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップは約3%の増加しかなく、試験試料中最少の増加率であった。一方、相対湿度33%に置かれた各試験試料は、放置後24時間までは急速に放湿して質量が減少し、その後は、徐々に質量が減少したものの、質量の減少率は、放置後168時間では、グリセリンが約19%であったのに対し、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップは約3%の増加しかなく、試験試料中最少の減少率であった。これらのこと及び上記実験4の結果から、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップは、相対湿度80%或いは相対湿度33%の環境下においても、化粧品の保湿剤として汎用されているグリセリン、ソルビトール、或いは、マルチトールよりも周囲の湿度の影響を受けにくい糖質であり、高湿度でもベタ付かず、低湿度でも保湿性を保持できる優れた吸放湿調節剤としての特性を有することが示された。また、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、皮膚に塗布した場合に、保湿性が高いにも関わらず、ベタ付き感を与えない性質は、その吸放湿調節能の高さに起因していることが示唆された。
単回経口投与限度試験
実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ(無水物換算で濃度75%)を、5週齢のウイスター系ラット(日本チャールズリバー株式会社販売)雌雄各5匹に、2g/Kg体重を強制経口投与し、単回経口投与試験を実施した。対照として、精製水を、5週齢のラット雌雄各5匹に、2g/Kg体重を強制経口投与した。α,α−トレハロースの糖質誘導体投与群及び対照群のいずれにおいても、肉眼観察、解剖所見による異常は認められず、死亡例も観察されなかった。また、体重変化についても、α,α−トレハロースの糖質誘導体投与群と対照群で有意な体重変化は観察されなかったことから、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップの単回経口投与試験での限度用量は、2g/Kg体重以上であると判断した。
眼粘膜刺激性試験
実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ(無水物換算で濃度75%)を、3〜4月齢のニュージーランドホワイト系のウサギ(日本チャールズリバー株式会社販売)雌雄各8羽の右眼に、0.2gを1回投与し、未処理の左眼を対照とした。試験に使用したウサギのうち、雌雄各4羽は、投与1時間後に、α,α−トレハロースの糖質誘導体を投与した眼を、生理食塩水で洗浄した(以下、「洗浄群」という)。残りの雌雄各4羽は、眼の洗浄を行わなかった(以下、「非洗浄群」という)。洗浄群及び非洗浄群の両眼について、α,α−トレハロースの糖質誘導体投与後、眼の洗浄直後、1日目、2日目及び3日目の角膜、虹彩及び結膜の変化を観察した。観察したいずれの時点においても、洗浄群及び非洗浄群の両群のウサギで、左右の両眼共に、角膜、虹彩及び結膜の変化は認められず、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップは、無刺激物と判断された。
細胞賦活試験
実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップの細胞の増殖に及ぼす影響を調べる実験を以下のように行った。すなわち、実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを、精製水で希釈して、0.22μmのフィルターで除菌し、無水物換算で60%の濃度の水溶液を調製し、これを精製水で適宜希釈したもの1容を、1%のウシ胎児血清入りのMEM培地10容に加えて、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質を、無水物換算で、6%、0.6%、0.06%、或いは、0.006%含有する試験培地を調製した。予め、ヒト繊維芽細胞(NB1RBG)を1%のウシ胎児血清入りのMEM培地で希釈して、24ウエルのマイクロプレートに播種し、37℃で1日間、5%炭酸ガスインキュベーター中で培養したウエルの培地を除去後、これらの試験培地のいずれかで、1日1回、置換しながら、4日間培養を継続した。対照培地として、前記MEM培地10容に、精製水1容を加えたものを使用し、試験培地と同じスケジュールで培地交換を行って、細胞を培養した。常法のMTT法により、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質の濃度の異なる各試験培地で培養したウエルの細胞量を測定し、対照培地で培養したウエルの細胞量を100%とした、相対値を求めた。その結果を表9に示す。

表9から明らかなように、試験培地で培養した繊維芽細胞は、いずれの場合にも、対照液で培養したものよりも、細胞量が増加しており、なかでも、無水物換算で0.6%のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質を含有する試験培地では、対照培地で培養した場合に比して、21%の増加が認められ、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質が細胞賦活作用を有することが確認された。
細胞保護試験
実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップの、乾燥環境に暴露した際の細胞へ及ぼす影響を調べる実験を以下のように行った。マウス繊維芽細胞(L−929)を10%のウシ胎児血清入りのダルベッコのMEM培地(以下、「D−MEM培地」という)で希釈して、6ウエルのマイクロプレート12枚に播種し、37℃で2日間、5%炭酸ガスインキュベーター中で培養した。4枚のプレートのウエルに、予め、実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ(無水物換算で、濃度75%)を、無水物換算で、1%となるように10%のウシ胎児血清入りのD−MEM培地に添加した試験液で、1日間培養を継続した。対照培地として、10%のウシ胎児血清入りのD−MEM培地のみのものと、これにグリセリンを1%となるように加えた培地を調製し、各々4枚のプレートの各ウエルの培地と置換して1日間培養した。これらの各ウエルの培地を、吸引し、プレートの蓋を取ったままで、1時間、無菌条件下で保持して乾燥処理を行った後、10%ウシ胎児血清を含有するD−MEMを加えて、1日1回、それと同一の培地で、培地交換を行い、3日間培養を継続した。試験培地及び2種類の対照培地で処理し、乾燥処理後、10%ウシ胎児血清を含有するD−MEM培地を添加して培養した、各々のプレートについて、乾燥処理後、4時間後、1日後、2日後、3日後の各ウエルの細胞量を、常法により、アラマーブルー(和光純薬工業株式会社販売)を使用して測定し、乾燥処理1時間後のウエルの細胞量を100%とした相対値を求めて、細胞の増殖率とした。その結果を表10に示す。なお、各々の培地は、4ml/ウエル添加した。また、細胞量の1回の測定には、試験培地及び2種類の対照培地で処理したものについて、各々、プレート1枚を使用し、細胞量は、アラマーブルーを40μl/ウエル添加して4時間培養し、蛍光プレートリーダーを用いて測定し、そのプレートの6ウエルの測定値を平均して求めた。その結果を表10に示す。

表10から明らかなように、試験培地及び対照培地で処理した繊維芽細胞は、いずれも、経時的に細胞増殖率が増加した。1%のグリセリンを含有する対照培地で処理した繊維芽細胞は、D−MEM培地のみの対照培地で処理した細胞とほぼ同程度の細胞量であったのに対して、試験培地で培養した繊維芽細胞は、対照培地で培養したものよりも高い細胞増殖率を示した。また、具体的なデータは示さないが、この試験系と同一の条件で、乾燥環境への暴露に代えて、紫外線照射による細胞への影響を検討したところ、無水物換算で、1%のα,α−トレハロースの質誘導体含有糖質を含有する培地で処理した繊維芽細胞は、1%のグリセリンを含有する対照培地や対照培地で処理した細胞よりも高い細胞増殖率を示した。これらのことは、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質が、乾燥や紫外線などの外的ストレスに対する細胞保護作用を有していることを示している。
皮膚の荒れ防止試験
α,α−トレハロースの糖質誘導体の肌荒れに及ぼす影響を調べるための実験を以下のように行った。すなわち、10%のソディウムドデシルサルフェイト(以下、「SDS」と略記する。)水溶液、及び、これに、実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを20%となるように溶解した溶液を調製し、フィンチェンバー(大正製薬株式会社販売)を用いて、ヒト上腕内側に塗布し、閉塞パッチを2時間行い、デジタルHDマイクロスープVH−7000(株式会社キーエンス販売)を使用して、50倍の倍率で皮膚の表面を確認した。対照として、精製水のみを用いた。
SDS溶液を塗布した場合、皮溝や皮丘が不明瞭になり、皮紋が見えなくなり、表面が赤くなり、炎症がおこっていた。これに対して、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有するSDS溶液を塗布した皮膚では、精製水のみを塗布した皮膚と同様に、皮溝や皮丘が明瞭で、皮紋のきめも細かくはっきりとしており、炎症は認められなかった。
この結果は、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質が、洗剤などの界面活性剤に起因する、皮膚荒れを防止する作用を有することを示している。
酸発酵性試験
実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップの酸発酵性を確認する実験を以下のように行った。すなわち、実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ、実験1で使用したα−マルトシルα,α−トレハロース及びショ糖を、各々、無水物換算で、0.7%となるようにステファン緩衝液に溶解し、試験糖質溶液を調製した。また、歯のう蝕原性細菌であるミュータンス連鎖球菌として、Streptococcus mutansOMZ−176株及びStreptococcus sobrinus6715株を、各々、常法により、スラント培養、シード培養、メイン培養を順次行い、その培養液を遠心分離して菌体を回収して、ステファン緩衝液(pH7.0)で菌体を洗浄後、遠心分離し、沈殿した菌体を回収した。この沈殿した菌体に、これと同量のステファン緩衝液を加えて懸濁し、菌体濃度を50%(V/V)に調製し、2種類の試験菌体懸濁液を調製した。このいずれかの試験菌体懸濁液と、上記試験糖質溶のいずれかとを、0.5mlずつ等量混合して、37℃で90分反応させ、反応開始時(0分)、反応開始後5分、15分、30分、60分、90分で、pHを測定した。その結果を表11に示す。なお、ステファン緩衝液は、NaHPO71g、KOH7.92g、KHPO68.1gを蒸留水に溶解し1000mlとした溶液1mlと、KHPO45.4g、MgSO・7HO3.2g、CaSO・2HO3.2g、1.2N HCl100mlを蒸留水に溶解し1000mlとした溶液1mlとを、混合し、蒸留水を加えて100mlとし、pHを7.0に調整して使用した。


表11から明らかなように、Streptococcus mutansOMZ−176株及びStreptococcus sobrinus67115株のいずれの菌株を使用した場合にも、ショ糖溶液では、反応開始から5分で、すでに、pHが約6.7から約4.0に低下していたのに対し、実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップの溶液及び実験1で使用したα−マルトシルα,α−トレハロースの溶液では、いずれも、反応開始後90分においても、pHの低下はほとんど認められず、これらの糖質は、いずれも、Streptococcus mutansOMZ−176株及びStreptococcus sobrinus6715株による酸発酵をほとんど受けないことが確認された。
不溶性グルカン生成試験
実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップの不溶性グルカン生成に対する影響を調べる実験を以下のように行った。すなわち、Streptococcus mutansOMZ−176を培養し、常法により、粗不溶性グルカン生成酵素液を調製した(25mgタンパク質/ml)。実施例1で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ、実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ及び実験1で使用したα−マルトシルα,α−トレハロースのいずれかを蒸留水に、無水物換算で2%となるように溶解し、試験糖質溶液を調製した。粗不溶性グルカン生成酵素液0.25ml、0.1Mリン酸緩衝液0.75ml、2%ショ糖溶液0.5mlを混合した溶液に、いずれかの試験糖質溶液0.5mlを加えて、37℃で16時間反応させた(反応液は、10×130mmの新品の試験管に入れ、30°の仰角で固定)。反応終了後、上清を静かに回収し、その残渣を脱イオン水で洗浄、遠心の操作を2回繰り返し、沈殿を付着グルカンとして回収した。また、この洗浄液と反応液の上清を、15,000rpm、10分間遠心して残渣を回収し、脱イオン水を加えて洗浄し、遠心する操作を2回繰り返して、沈殿を非付着グルカンとして回収し、この付着グルカン量と非付着グルカン量とを測定し、合計を不溶性グルカン量とした。対照として、試験糖質溶液に代えて、蒸留水のみを混合した時の不溶性グルカン生成量を求め、各試験糖質溶液の不溶性グルカン生成量を対照の不溶性グルカン生成量で除して100倍したものを、100から減じて、不溶性グルカンの生成阻害率(%)を求め、その結果を表12に示す。


表12から明らかなように、程度の差はあるものの、試験に使用したα,α−トレハロースの糖質誘導体、或いは、これを含有する糖質は、いずれもショ糖からの不溶性グルカンの生成を抑制した。
また、上記、粗不溶性グルカン生成酵素液0.25ml、0.1Mリン酸緩衝液0.75ml、蒸留水0.5mlを混合した溶液に、上記のいずれかの試験糖質溶液0.5mlを加えて、37℃で16時間反応させて(反応液は、10×130mmの新品の試験管に入れ、30°の仰角で固定)、これらの試験糖質溶液からの不溶性グルカンの生成量を測定したところ、試験に使用したこれらの糖質からは、いずれも不溶性グルカンは生成されなかった。これらの結果は、α,α−トレハロースの糖質誘導体、或いは、これを含有する糖質は、う蝕予防を目的とする歯磨きをはじめとする口腔化粧品の原料素材として好適であることを示している。
抗炎症作用
ケラチノサイトは、微生物の感染や紫外線、界面活性剤などの外的ストレスにより、インターロイキン−1β(以下、「IL−1β」という。)やTNF−αなどの炎症を誘発する炎症性サイトカインを産生することが知られている。また、これらの炎症性サイトカインは、ケラチノサイトに作用して、さらに、炎症性サイトカインの産生を増強することに加えて、ケラチノサイトや血管内皮細胞に細胞接着分子の発現を誘導して、白血球を局所にとどめ、皮膚の炎症発生部位での炎症を拡大させる原因となっている。
そこで、実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップの炎症に対する影響を調べる実験を、ケラチノサイト細胞株HaCaT細胞を使用し、HaCaTからのTNF−αの産生と、細胞間接着分子の一つであるICAM−1(以下、「ICAM−1」という。)の発現とを指標として、以下のように行った。すなわち、10%ウシ胎児血清を含むRPMI−1640培地に、ケラチノサイト細胞株HaCaT細胞を懸濁し、96ウエルのマイクロプレートに、5×10細胞/ウエルになるように播き込み、一晩培養した。培地を除去後、実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ又はグリセリン(化粧品用濃グリセリン)を、2%、1%、0.5%或いは0.25%(濃度はいずれもW/V)となるように添加し、さらに、IL−1βを1ng/mlとなるように添加した10%ウシ胎児血清を含むRPMI−1640培地を加え、6時間培養して、培養上清中のTNF−α量を、HRPO標識したヒト抗TNF−α抗体を使用した酵素抗体法により定量した。また、ICAM−1分子の発現量は、細胞を3.7%のホルマリンで固定後、β−ガラクトシダーゼ標識した抗ヒトICAM−1抗体を使用して、4−メチルウンベリフェリルβ−ガラクトピラノシド(4−methyl−umbelliferyl β−D−galactopyranoside)を基質として使用して、蛍光プレートリーダーで蛍光強度(励起波長355nm、測定波長460nm)を測定した。対照として、培地のみで培養した細胞に同じ刺激剤を加えて培養し、上清中のTNF−α量又はICAM−1分子の量を測定した。試験培地で培養した細胞の培養上清中のTNF−α量又はICAM−1分子の量を、対照培地で培養した細胞の培養上清中のTNF−α量又はICAM−1分子の量で除して100倍したものを100から除して、TNF−αの産生抑制率(%)又はICAM−1分子の発現抑制率(%)を求めた。その結果をTNF−αの産生抑制率については表13に、ICAM−1分子の発現抑制率については表14に示す。



表13又は表14から明らかなように、IL−1βで刺激したケラチノサイト細胞株HaCaT細胞は、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップの濃度に依存してTNF−α産生及びICAM−1分子の発現が抑制された。一方、グリセリンを添加した場合には、TNF−αの産生が濃度依存的に増強され、また、ICAM−1分子の発現は抑制されたものの、その抑制率は、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを添加した場合に比して低い結果となった。また、試験終了後、各ウエルの細胞の生存率をMTT法により測定したところ、細胞の生存率の低下はほとんど認められなかった。
また、具体的なデータは示さないが、マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞を使用し、インターフェロンγとLPSとで刺激して、上記と同様の実験を行い、そのTNF−α量を測定したところ、RAW264.7細胞からのTNF−α産生は、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ又はグリセリンの濃度に依存して抑制され、その抑制率は、いずれの濃度においても、グリセリンよりもα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを添加した場合の方が高い結果となった。
これらの結果は、すでに荒れや炎症を起こして、角層が不完全となり、バリアー機能の低下した皮膚や、炎症を起こしている頭皮や粘膜などに、α,α−トレハロースの糖質誘導体を塗布するとにより、その炎症を抑制できることを示唆しているので、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップは、安全で、且つ、抗炎症作用を有する物質として、皮膚外用剤の原料素材として好適であることが示された。
帯電防止試験
実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップの帯電防止性能を確認する試験を以下のように行った。すなわち、アクリル板に実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを滴下し、バーコーターを使用して均一に塗布して、厚さ25μmの皮膜を形成し、その塗布面に表面抵抗計の電極を密着させて、導電性を測定した所、未処理のアクリル板の表面抵抗が使用したアクリル板当り1×1015オームだったのに対して、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを塗布したものでは3×1011オームであった。また、このアクリル板の帯電半減期をネオストメーターで測定したところ、未処理のアクリル板の帯電半減期は1分以上だったのに対して、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを塗布したものでは20秒以下であった。これらα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを塗布したアクリル板の表面抵抗や帯電半減期は、いずれも、帯電防止加工を施したアクリル板よりも低い値であり、通常、帯電現象が起こっても、直ぐに減衰することを意味していることから、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質を毛髪や皮膚に塗布することにより、塗布部位の帯電性を低下できることが判明し、帯電に起因する障害を抑制することができることが示唆された。
【実施例7】
実施例3の方法で調製した非晶質状態のα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有する粉末を水に溶解し、濃度約60%水溶液にし、オートクレーブに入れ、触媒としてラネーニッケルを約9%添加し、攪拌しながら温度を130℃に上げ、水素圧を75kg/cmに上げて水素添加して、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共存するグルコース、マルトースなどの還元性糖質を、それらの糖アルコールに変換した後、ラネーニッケルを除去し、次いで、脱色、脱塩して精製し、濃縮して濃度75%のシラップを調製した。さらに、このシラップを、常法により、噴霧乾燥して、非晶質状態の粉末を調製した。本品は、無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロースを約70%、及び、これ以外のα,α−トレハロースの糖質誘導体を、無水物で、約12%含有しており、吸湿性が低く、且つ、水溶性も良好で、実施例1の場合と同様に、皮膚外用剤の素材として好適である。
【実施例8】
濃度6%の馬鈴薯澱粉乳を加熱糊化後、pH4.5、温度50℃に調整し、これにイソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を澱粉グラム当たり2500単位加えて20時間反応させた。その反応液をpH6.0に調整後、120℃で10分間オートクレーブした後、45℃に冷却し、これにα−アミラーゼ(ノボ社製、商品名「ターマミール60L」)を澱粉グラム当たり150単位になるよう加え、24時間反応させた。その反応液を、120℃で20分間オートクレーブし、45℃に冷却後、特許文献3に開示されたアルスロバクター・スピーシーズ Q36(FERM BP−4316)由来の非還元性糖質生成酵素を、澱粉グラム当たり2単位の割合で加え、64時間反応させた。この反応液を95℃で10分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を、常法に従って、活性炭で脱色し、H型、OH型イオン交換樹脂により脱塩して精製し、更に、濃縮して、濃度65%のα,α−トレハロースの糖質誘導体シラップを、無水物換算で、収率約89%で得た。本品は、無水物換算で、α−グルコシルα,α−トレハロース3.2%、α−マルトシルα,α−トレハロース6.5%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース28.5%及びグルコース重合度6以上のα−グリコシルα,α−トレハロース11.9%含有していた。本品は、実施例1の場合と同様に、皮膚外用剤の素材として好適である。
本品を、実施例7の方法に準じて、水素添加し、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共存するグルコース、マルトースなどの還元性糖質を、その糖アルコールに変換した後、常法により精製して、シラップを調製した。本品は、無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロースを約6%含有し、これを含むα,α−トレハロースの糖質誘導体を、同じく無水物換算で、約50%含有しており、実施例1の場合と同様に、皮膚外用剤の素材として有利に利用できる。また、本品は還元性がないため、メーラード反応により褐変や失活が問題となる成分を含有する皮膚外用剤の素材として特に好適である。
【実施例9】
濃度33%のとうもろこし澱粉乳に最終濃度0.1%となるように炭酸カルシウムを加えた後、pH6.0に調整し、これにα−アミラーゼ(ノボ社製、商品名「ターマミール60L」)を澱粉グラム当たり0.2%になるよう加え、95℃で15分間反応させた。その反応液を、120℃で30分間オートクレーブした後、50℃に冷却し、これにイソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を澱粉グラム当たり500単位及び特開平7−236478号に記載のマルトヘキサオース・マルトヘプタオース生成アミラーゼを澱粉グラム当たり1.8単位の割合になるように加え、40時間反応させた。本反応液を、120℃で10分間オートクレーブし、53℃まで冷却後、pH5.7に調整して、特許文献6に開示されたアルスロバクター・スピーシーズS34(FERM BP−6450)由来の非還元性糖質生成酵素を澱粉グラム当たり2単位の割合になるよう加え、64時間反応させた。この反応液を95℃で10分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を、常法に従って、活性炭で脱色し、H型、OH型イオン交換樹脂により脱塩して精製、濃縮して、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを調製した。さらに、このシラップを、常法により、噴霧乾燥して非晶質状態のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末を、無水物換算で、収率約87%で得た。本品は、無水物換算で、α−グルコシルα,α−トレハロース8.2%、α−マルトシルα、α−トレハロース6.5%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース5.6%、α−マルトテトラオシルα,α−トレハロース21.9%、α−マルトペンタオシルα,α−トレハロース9.3%、及びグルコース重合度8以上のα−グリコシルα,α−トレハロース14.1%含有していた。本品は、そのままで使用しても、或いは、常法により精製してα,α−トレハロースの糖質誘導体含量を増やした場合でも、吸湿性が低く、且つ、水溶性も良好で、実施例1の場合と同様に、皮膚外用剤の素材として好適である。
本品を、実施例7の方法に準じて、水素添加し、α,α−トレハロースの糖質誘導体と共存するグルコース、マルトースなどの還元性糖質を、その糖アルコールに変換した後、精製、濃縮してα,α−トレハロースの糖質誘導体とソルビトール、マルチトールなどの糖アルコールを含有するシラップを得た。さらに、このシラップを、常法により、噴霧乾燥して、非晶質状態の粉末を調製した。本品は、無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロースを約6%、及び、これ以外のα,α−トレハロースの糖質誘導体を、無水物換算で、約59%含有しており、そのままで使用しても、或いは、常法により精製してα,α−トレハロースの糖質誘導体含量を増やした場合でも、吸湿性が低く、且つ、水溶性も良好で、実施例1の場合と同様に、皮膚外用剤の素材として有利に利用できる。また、本品は還元性がないため、メーラード反応により褐変や失活が問題となる成分を含有する皮膚外用剤の素材として特に好適である。
【実施例10】
実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ70質量部に対して、市販のマルチトールシラップ(株式会社林原商事販売、登録商標『マビット』)を30質量部を混合し、混合シラップを調製した。本品は、皮膚外用剤の素材として好適である。
【実施例11】
実施例7で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末70質量部に対して、L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商標『AA2G』)2質量部、糖転移ルチン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGルチン」)2質量部を混合して、粉末混合品を調製した。本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、同時に配合される血行促進作用を有する物質及び/又は抗炎症作用を有する物質の持つ効果を増強するだけでなく、α,α−トレハロースの糖質誘導体及び/又は糖転移ルチンが、同時に配合される皮膚外用剤の基剤、乳化作用を有する物質、香料、色素、タンニンリキツド、蜂蜜、蜜蝋、プロポリス、アミノ酸類などの酸化、分解、変性などを抑制することから、褐変、変色、異臭の発生などを抑制することができるので、皮膚外用剤の素材として好適である。
【実施例12】
実施例7で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末70質量部に対して、L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商標『AA2G』)2質量部、糖転移ヘスペリジン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGヘスペリジン」)2質量部を混合して、粉末混合品を調製した。本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、同時に配合される血行促進作用を有する物質及び/又は抗炎症作用を有する物質の持つ効果を増強するだけでなく、α,α−トレハロースの糖質誘導体及び/又は糖転移ヘスペリジンが、同時に配合される皮膚外用剤の基剤、乳化作用を有する物質、香料、色素などの酸化、タンニンリキツド、蜂蜜、蜜蝋、プロポリス、アミノ酸類などの分解、変性などを抑制することから、褐変、変色、異臭の発生などを抑制することができるので、皮膚外用剤の素材として好適である。
【実施例13】
実施例6で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ80質量部と、試薬級含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原生物化学研究所販売、純度99.0%以上)20質量部を混合し、シラップを調製した。本品は、皮膚外用剤の素材として好適である。
実施例14 化粧用石けん
質量比4対1の牛脂及びヤシ油を通常のけん化・塩析法に供して得られるニートソープ96.5質量部に、実施例3の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末1.5質量部、L−アスコルビン酸2−グルコシド(林原生物化学研究所株式会社販売、商標『AA2G』)0.5質量部、白糖0.5質量部、糖転移ルチン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGルチン」)0.5質量部、マルチトール1質量部、感光素201号0.0001質量部と、適量の香料を加え、均一に混合した後、枠に流し込み、冷却・固化させて石鹸を製造した。本品は、L−アスコルビン酸2−グルコシドによる美白効果に優れ、使用後も肌がかさつくこともなく、使用感に優れた石けんである。また、本品は、配合されているα,α−トレハロースの糖質誘導体及び/又は糖転移ルチンにより、石鹸の基剤、乳化作用を有する物質、香料、色素などの酸化、分解、変性などを抑制することから、褐変、変色、異臭の発生などが長期間抑制されるので、その品質が長期間安定に保持される。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、糖質を含有した石鹸で問題となる濁りや黄ばみの発生が抑制された、透明感のある石鹸である。
実施例15 洗顔用洗浄剤
モノミリスチン酸トレハロース10質量部、ジオレイン酸グリセリル1質量部、ミリスチン酸15質量部、流動パラフィン5質量部、グリセリン8質量部、実施例6の方法に準じて調製したシラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体4質量部、パラオキシ安息香酸メチル0.2質量部、エデト酸塩0.1質量部、グリチルリチン0.8質量部、水酸化カリウム0.4質量部、N−メチル−2−ピロリドン15質量部、柑橘系調合香料適量に、水を加えて100質量部とし、常法により、洗顔用洗浄剤を調製した。本品は、グリチルリチンによる消炎効果がα,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることに加えて、使用後も肌がベタ付くこともなく、保湿性もよい、使用感に優れた洗顔用洗浄剤である。
実施例16 入浴剤
硫酸ナトリウム44質量部、炭酸水素ナトリウム14質量部、炭酸ナトリウム7質量部、コハク酸21質量部、実施例7の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末5質量部と、適量の滑沢剤、色素及び香料を加え、均一に混合した後、打錠して入浴剤を製造した。本品は、浴槽に入れると発生する炭酸ガスによる血行促進効果に優れ、入浴後も肌がベタ付くこともなく、使用感に優れた浴用剤である。
実施例17 入浴剤
硫酸ナトリウム40質量部、炭酸水素ナトリウム26質量部、炭酸ナトリウム20質量部、糖転移ヘスペリジン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGヘスペリジン」)5質量部、実施例2の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末7.5質量部、含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「トレハロース」)2.5質量部と適量の香料を加え、均一に混合して粉末状の入浴剤を製造した。本品は、糖転移ヘスペリジンによる血行促進効果に優れ、入浴後も肌がベタ付くこともなく、使用感に優れた浴用剤である。また、7名のアトピー疾患をもつヒトを対象に、本品の使用感を調べたところ、全員が、アトピー症状が改善したと回答した。
実施例18 アイシャドー
タルク6.0質量部、α,α−トレハロース(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「トレハロース」)10.0質量部、実施例7の方法に基づいて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末5質量部、白雲母60.0質量部、群青8.0質量部、黄色酸化鉄3.0質量部、黒色酸化鉄1.0質量部、インドメタシン0.1質量部をヘンシェルミキサーで混合し、これに、スクワラン4.0質量部、セチル2−エチルヘキサノエート1.9質量部、ソルビタンセスキオレート0.8質量部、防腐剤0.1質量部、香料0.2質量部を加熱溶解混合したもの7質量部を吹き付け、混合した後粉砕し、中皿に成型しアイシャドーを調製した。本品は、インドメタシンによる抗炎症効果に優れ、肌についても皮膚炎などの起き難く、また、α,α−トレハロースの糖質誘導体の保湿効果によりみずみずしく仕上がり、化粧持ちに優れている。
実施例19 ブラッシャー
タルク12.6質量部、絹雲母74.9質量部、実施例7の方法に基づいて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末0.2質量部、群青0.1質量部、黄色酸化鉄0.4質量部、赤色酸化鉄0.4質量部、赤色226号0.4質量部、アズレン0.1質量部をヘンシェルミキサーで混合し、これに、スクワラン3.0質量部、2−エチルヘキシルパルミテート5.0質量部、防腐剤0.3質量部、香料0.1質量部を加熱溶解混合したもの8.4質量部を吹き付け、混合した後粉砕し、さらにチタンマイカ3.0質量部を加え混合した後、中皿に成型しブラッシャーを得た。本品は、アズレンによる抗炎症効果に優れ、肌についても皮膚炎などの起き難く、また、α,α−トレハロースの糖質誘導体の保湿効果によりみずみずしく仕上がり、化粧持ちに優れている。
実施例20 パウダーファンデーション
酸化チタン2.0質量部、タルク10.0質量部、白雲母3.0質量部、絹雲母55.0質量部、実施例7の方法に基づいて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末3質量部、α,α−トレハロース(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「トレハロース」)1.0質量部、ナイロンパウダー12.0質量部、赤色酸化鉄0.5質量部、黄色酸化鉄1.0質量部、黒色酸化鉄0.1質量部、アラントイン0.1質量部をヘンシェルミキサーで混合し、これに、シリコンオイル1.0質量部、エチルヘキシルパルミテート9.0質量部、実施例7の方法に基づいて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末2.0質量部、ソルビタンセスキオレート1.0質量部、防腐剤0.3質量部、香料0.1質量部を加熱溶解混合したものを添加混合後粉砕し、これを中皿に成型しパウダーファンデーションを得た。本品は、アアラントインによる抗炎症効果に優れ、肌についても皮膚炎などの起き難く、また、α,α−トレハロースの糖質誘導体の保湿効果によりみずみずしく仕上がり、ベタ付くこともなく、使用感の良い、化粧持ちに優れたファンデーションである。
実施例21 ファンデーション
セタノール3.5質量部、脱臭ラノリン4質量部、ホホバ油5質量部、ワセリン2質量部、スクワラン6質量部、ステアリン酸モノグリセライド2.5質量部、ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油1.5質量部、ポリオキシエチレン(25モル)セチルエーテル1質量部、γ−オリザノール0.2質量部、香料0.2質量部、グリセリン3質量部、プロピレングリコール8質量部、調合粉末12質量部、アラントイン3質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ3質量部、イオン交換水を適量加え、常法により100質量部のファンデーションを調製した。本品は、γ−オリザノールによる消炎効果がα,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることに加えて、使用後も肌がベタ付くこともなく、使用感に優れたファンデーションである。
実施例22 吸水軟膏
ワセリン40質量部、ステアリルアルコール15質量部、モクロウ15質量部、ポリエチレン(10モル)オレエート15質量部、ステアリン酸モノグリセライド0.25質量部、パントテニルアルコール3質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ3.0質量部に、脱イオン水を適量加えて、常法により吸水軟膏を調製した。本品は、パントテニルアルコールによる消炎効果がα,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることに加えて、使用後も肌がベタ付くこともなく、使用感に優れた吸水軟膏である。
実施例23 ヘアトニック
エタノール50質量部、ポリオキシエチレン(8モル)オレエート1.5質量部、ヒノキチオール0.1質量部、グリチルリチン1.0質量部、感光素301号0.01質量部、トレハロース5質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ10質量部、エチルパラベン0.1質量部、香料0.05質量部、脱イオン水適量を加えて、常法によりヘアトニックを調製した。本品は、感光素301号の育毛、養毛効果及びグリチルリチンによる消炎効果がα,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることに加えてに優れ、使用後も肌がベタ付くこともなく、使用感に優れヘアトニックである。
実施例24 化粧用クリーム
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール2質量部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル5質量部、ベヘニルアルコール1質量部、エイコサテトラエン酸2質量部、流動パラフィン5質量部、トリオクタン酸グリセリル10質量部および防腐剤の適量を、常法に従って加熱溶解し、これに実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体シラップ2質量部、dl−乳酸ナトリウム5質量部、1,3−ブチレングリコール5質量部、ニンジンエキス1質量部及び精製水65質量部を加え、ホモゲナイザーにかけ乳化し、更に香料の適量を加えて撹拌混合しクリームを製造した。本品は、ニンジンエキスによる血行促進作用がα,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることに加えて、乳化作用を有する物質などの配合基剤に由来する不快臭が低減された、褐変のない高品質を安定に保つ美白クリームである。また、汗、アカ、フケ、皮脂などからの脂質の酸化や分解をよく抑制し、体臭の低減、皮膚刺激やかゆみの予防、更には、シミ、ソバカス、日焼けなどの色素沈着症の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、皮膚に塗布してもベタ付き感のない、使用感に優れたクリームである。
実施例25 化粧用クリーム
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール2質量部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン5質量部、ベヘニルアルコール3質量部、エイコサテトラエン酸2質量部、流動パラフィン5質量部、トリオクタン酸グリセリル10質量部および防腐剤の適量を常法に従って加熱溶解し、これに実施例7の方法で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ1.6質量部、L−アスコルビン酸2−グルコシド(林原生物化学研究所株式会社販売、商標『AA2G』)2質量部、ヒアルロン酸ナトリウム0.1質量部、グリチルリチン酸ジカリウム0.1質量部、アロエベラエキス0.1質量部、メリッサエキス0.05質量部、カミツレエキス0.05質量部、糖転移ヘスペリジン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGヘスペリジン」)0.5質量部、藍のエタノール抽出物1質量部、dl−乳酸ナトリウム5質量部、1,3−ブチレングリコール5質量部および精製水66質量部を加え、ホモゲナイザーにかけて乳化し、更に香料の適量を加えて撹拌混合しクリームを製造した。本品は、グリチルリチン酸、糖転移ヘスペリジン及び/又は藍のエタノール抽出物の血行促進作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることにより、皮膚刺激やかゆみの予防や、シミ、ソバカス、日焼けなどの色素沈着症或いは皮膚の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有していることから、保湿性に優れている上に、皮膚に対する刺激性が低いので、過敏症を懸念することなく利用することができる。また、皮膚に塗布してもベタ付き感のない、使用感に優れた、塗り心地の良いクリームである。
実施例26 化粧用クリーム
ステアリン酸ポリグリセリル(10)3質量部、ステアリルアルコール0.5質量部、ベヘニルアルコール3質量部、バチルアルコール1質量部、パルミチン酸セチル1質量部、ステアリン酸グリセル1質量部、脂肪酸(C10−30、コレステリル/ラノステリル)1質量部、パルミチン酸イソプロピル4質量部、スクワラン5質量部、ミリスチン酸オクチルドデシル5質量部、マカデミアンナッツ油0.5質量部、トリオクタノイン1.8質量部、ジメチコン0.3質量部、1,3−ブチレングリコール6質量部、ペンチレングリコール2.5質量部、グリチルリチン酸ジカリウム0.1質量部、実施例6で調製したα,α−トレハロース糖質誘導体含有シラップ(無水物換算で、濃度75%)5質量部、濃グリセリン5質量部、精製水10質量部にアスコルビン酸2−グルコシド2質量部、水酸化ナトリウム(10%水溶液)2.33質量部、クエン酸ナトリウム(10%水溶液)1質量部を溶解した溶液15.63質量部、精製水37.62質量部からなるクリームを常法により調製した。乳化は、ホモミキサーを使用して、4000回転で5分間、加熱しながら撹拌し、その後、撹拌しながら冷却してクリームを調製した。本品は、グリチルリチン酸の抗炎症作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることにより、皮膚刺激やかゆみの予防や、シミ、ソバカス、日焼けなどの色素沈着症或いは皮膚の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有していることから、アスコルビン酸2−グルコシドを配合しているにもかかわらず、乳化がスムーズでクリーム調製時の作業効率が向上することに加え、保湿性に優れ、皮膚に対する刺激性も低いので、過敏症を懸念することなく利用することができる。また、皮膚に塗布してもベタ付き感のない、使用感に優れた、塗り心地の良いクリームである。
実施例26のクリームの配合の内、α,α−トレハロース糖質誘導体含有シラップ5質量部を濃グリセリン5質量部で置き換えた配合で、実施例26と同一の製造条件でクリームを調製した。このクリーム及び実施例26で調製したクリームの0.15質量部に、各々精製水99.85質量部を加えて、5分間撹拌し、粒径測定用のセルに入れて、その乳化粒子の粒度分布を、島津遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3L(株式会社島津製作所販売)を用いて測定した。その結果を表15に示す。


表15から明らかなように、α,α−トレハロース糖質誘導体含有シラップを5質量部配合したクリームは、乳化粒子の粒径が2〜20μmのものが、約83%を占め、100μm以上のものは約15%とわずかしかなく、その粒径の中央値は9.9μmであった。一方、α,α−トレハロース糖質誘導体含有シラップを含まない濃グリセリンのみのクリームでは、その乳化粒子の粒径が100μm以上のものが、約35%もあり、粒径の中央値は16.5μmであった。これらのことから、クリームにα,α−トレハロース糖質誘導体含有糖質を配合することにより、これをグリセリンで置き換えた場合に比べて、粒径が、均質で、且つ、小さなクリームが調製できることが明らかとなった。なお、具体的な写真は掲載しないが、これらのクリームの乳化状態を顕微鏡で、観察したところ、粒度分布測定の結果と同様の所見が得られた。
実施例27 化粧用クリーム
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール2質量部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン5質量部、ベヘニルアルコール3質量部、エイコサテトラエン酸2質量部、流動パラフィン5質量部、トリオクタン酸グリセリル10質量部および防腐剤の適量を常法に従って加熱溶解し、これに実施例6の方法で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ2.6質量部、L−アスコルビン酸2−グルコシド(林原生物化学研究所株式会社販売、商標『AA2G』)2質量部、糖転移ルチン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGルチン」)1.5質量部、ヒアルロン酸ナトリウム0.1質量部、グリチルリチン酸ジカリウム0.1質量部、アロエベラエキス0.1質量部、メリッサエキス0.05質量部、カミツレエキス0.05質量部、藍のエタノール抽出物1質量部、EDTA2ナトリウム0.5質量部、dl−乳酸ナトリウム4.5質量部、1,3−ブチレングリコール5質量部および精製水66質量部を加え、ホモゲナイザーにかけて乳化し、更に香料の適量を加えて撹拌混合しクリームを製造した。本品は、グリチルリチン酸及び/又は藍のエタノール抽出物の血行促進作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることにより、皮膚刺激やかゆみの予防や、シミ、ソバカス、日焼けなどの色素沈着症或いは皮膚の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有していることから、保湿性に優れている上に、皮膚に対する刺激性が低いので、過敏症を懸念することなく利用することができる上に、皮膚に塗布してもベタ付き感のない、使用感に優れた、塗り心地の良いクリームである。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体、金属封鎖剤のEDTA2ナトリウム、dl−乳酸ナトリウム、および、糖転移ルチンにより、石鹸の基剤、乳化作用を有する物質、香料、色素などの酸化、分解、変性などを抑制することから、褐変、変色、異臭の発生などが長期間抑制されるので、その品質が長期間安定に保持される。
実施例28 化粧用クリーム
精製水45質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ4質量部、増粘剤として1,3−ブチレングリコール1.5質量部、ポリアクリルアミド、C13−14イソパラフィン、ラウレス−7よりなるポリマー(株式会社シバハシケミファ販売、商品名「セピゲル305」)2.5質量部を室温で撹拌、混合し、これの53質量部に、スクワラン1.5質量部、パルミチン酸イソプロピル2質量部、ミリスチン酸オクチルドデシル1.5質量部、ホホバ油1.5質量部、シリコン1質量部、メチルパラベン0.15質量部を80℃に加温して溶解し、55℃まで溶解したものを徐々に添加して油相成分を調製した。この油相成分60.65質量部に、精製水29.8質量部にグリチルリチン酸0.05質量部を加えて溶解し、さらに、1,3−ブチレングリコール1質量部、1,2−ペンタンジオール2.5質量部、濃グリセリン6質量部を加えた水相成分を、徐々に混合して撹拌して、常法により、クリームを調製した。本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、グリチルリチン酸の抗炎症効果を増強するので皮膚刺激やかゆみの予防や、シミ、ソバカス、日焼けなどの色素沈着症或いは皮膚の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品を製造する際に、α,α−トレハロースの糖質誘導体を水相成分に溶解するのではなく、増粘剤の溶解時に共存させることにより、増粘剤の水への溶解性を向上させることができ、クリームの製造を効率よく行うことが可能となった。
実施例29 ナイトクリーム
セタノール4質量部、ワセリン7質量部、スクワラン21質量部、ステアリン酸モノグリセライド2.2質量部、ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノステアレート2.8質量部、イソプロピルミリステート6質量部、エチルパラベン0.3質量部、香料0.2質量部、プロピレングリコール10質量部、1,3−ブチレングリコール5質量部、グリチルレチン0.1質量部、実施例7の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末3質量部、脱イオン水を適量加えて、常法により100質量部のナイトクリームを調製した。本品は、グリチルレチンの持つ抗炎症作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されているので、肌荒れ、皮膚刺激やかゆみの予防などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れている上、皮膚に対する刺激性が低いので、過敏症を懸念することなく利用することができる。また、皮膚に塗布してもベタ付き感のない、使用感に優れた、塗り心地の良いクリームである。
実施例30 ハンドクリーム
実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ20.0質量部、尿素2.0質量部、POE(60)イソステアリン酸グリセリド2.5質量部、ステアリン酸モノグリセリド1.5質量部、セタノール4質量部、ワセリン2.0質量部、流動パラフィン10質量部、パラオキシ桂皮酸2−エチルヘキシル−4−テトラ−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタン0.01質量部、ビタミンEアセテート0.2質量部、ビタミンD0.1質量部に精製水を適量加えて、常法により100質量部のハンドクリームを調製した。本品は、ビタミンEアセテートのもつ血行促進作用及び/又は抗炎症作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されるので、肌荒れ、皮膚刺激やかゆみの予防や紫外線の防止などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので保湿性に優れている上、皮膚に対する刺激性が低いので、過敏症を懸念することなく利用することができる。また、皮膚に塗布してもベタ付き感のない、使用感に優れた、塗り心地の良いクリームである。
実施例31 乳液
ステアリン酸2.5質量部、セタノール1.5質量部、ワセリン5質量部、流動パラフィン10質量部、ポリオキシエチレンオレエート2質量部、酢酸トコフェロール0.5質量部、グリチルリチン酸ジカリウム0.2質量部、ポリエチレングリコール(1500)3質量部、L−アスコルビン酸エチル3質量部、藍の水抽出物3質量部、アルブチン2質量部、糖転移ルチン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGルチン」)1質量部、トリエタノールアミン1質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ2質量部、精製水66質量部、プロピルパラベン0.1質量部を混合し、水酸化カリウムでpHを6.7に調節した後、更に適量の香料を加えて、常法により、乳液を製造した。本品は、藍の水抽出物の持つ抗炎症作用がα,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、皮膚刺激、かゆみなどの炎症性症状の軽減や予防、皮膚の老化の治療用、予防用などに有利に使用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れ、塗り心地もよく、塗布後のもベタ付き感のない、使用感に優れた美白用の乳液である。
実施例32 乳液
ステアリン酸2.5質量部、セタノール1.5質量部、ワセリン5質量部、流動パラフィン10質量部、ポリオキシエチレン(10モル)レエート2質量部、プロピルパラベン0.1質量部、酢酸dl−α−トコフェロール0.5質量部、香料0.2質量部、ポリエチレングリコール(1500)3質量部、トリエタノールアミン1質量部、L−アスコルビン酸2−グルコシド(林原生物化学研究所株式会社販売、商標『AA2G』)2質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ2質量部、脱イオン水を適量加え、常法により100質量部の乳液を調製した。本品は、酢酸dl−α−トコフェロールの持つ血行促進作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、皮膚刺激やかゆみの予防や、シミ、ソバカス、日焼けなどの色素沈着症、或いは、老化の治療用、予防用などに有利に使用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れ、塗り心地もよく、塗布後のもベタ付き感のない、使用感に優れた美白用の乳液である。
実施例33 化粧水
グリチルリチン酸ジカリウム0.2質量部、クエン酸0.1質量部、クエン酸ナトリウム0.3質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ2.0質量部、エタノール5.0質量部、感光素201号0.0001質量部、エチルパラベン0.1質量部、水を加えて総量を100質量部とし、混合溶解し、化粧水を調製した。本品は、グリチルリチン酸の持つ消炎効果が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、肌荒れ、皮膚刺激やかゆみの予防などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れている上、皮膚に対する刺激性が低いので、過敏症を懸念することなく利用することが出来る。また、皮膚に塗布してもベタ付き感のない、使用感に優れた、化粧水である。
実施例34 美容液
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール0.5質量部、スクワラン1.0質量部、キサンタンガム0.3質量部、ヒドロキシエチルセルロース0.2質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ3.0質量部、ヒアルロン酸ナトリウム0.05質量部、糖転移ルチン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGルチン」)1.0質量部、エデト酸2ナトリウム0.1質量部、藍の水抽出物0.5質量部、エチルパラベン0.1質量部、水を加えて総量を100質量部とし、混合溶解し、常法により、美容液を調製した。本品は、藍の水抽出物のもつ抗炎症作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、肌荒れ、皮膚刺激やかゆみの予防、或いは皮膚の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れている上、皮膚に対する刺激性が低く、皮膚に塗布してもベタ付き感のない、使用感に優れた、美容液である。さらに、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体及び/又は糖転移ルチンが、同時に配合される皮膚外用剤の基剤、乳化作用を有する物質、香料、色素などの酸化、分解、変性などを抑制することから、褐変、変色、異臭の発生などが抑制されるので、その品質が長期間保持される美容液である。
実施例35 美容液
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール0.5質量部、スクワラン1.0質量部、キサンタンガム0.3質量部、ヒドロキシエチルセルロース0.2質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ3.0質量部、L−アスコルビン酸2質量部、ヒアルロン酸ナトリウム0.05質量部、糖転移ルチン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGルチン」)、1.0質量部、糖転移ヘスペリジン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGヘスペリジン」)、1.0質量部、エデト酸2ナトリウム0.1質量部、藍の水抽出物0.5質量部、エチルパラベン0.1質量部、水を加えて総量を100質量部とし、混合溶解し、水酸化カリウムによりpHを約6.8に調製し、常法により、美容液を調製した。本品は、藍の水抽出物のもつ抗炎症作用、及び、糖転移ルチンと糖転移ヘスペリジンのもつ血行促進作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、肌荒れ、皮膚刺激やかゆみの予防、或いは皮膚の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れている上、皮膚に対する刺激性が低く、皮膚に塗布してもベタ付き感のない、使用感に優れた、美容液である。また、本品は、L−アスコルビン酸を配合しているにも関わらず、α,α−トレハロースの糖質誘導体及び/又は糖転移ルチンが、その褐変を抑制を抑制し、香料や乳化剤などの酸化や分解を抑制し、その結果生じる異臭の発生が抑制されることから、長期間、品質の劣化が抑制されるという特徴を有している。
実施例36 ローション
ヒアルロン酸ナトリウム(1%水溶液)20質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体2質量部、ソルビトール液(60%水溶液)2.1質量部、カンゾエキス0.5質量部、カミツレエキス0.05質量部、セージエキス1.0質量部、アロエ液汁末0.001質量部、クエン酸0.02質量部、クエン酸ナトリウム0.18質量部、パラオキシ安息香酸メチル0.05質量部に精製水を加えて、全量を100質量部として、ローションを調製した。本品は、カンゾエキスの持つ消炎作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、肌荒れ、皮膚刺激やかゆみの予防、或いは皮膚の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れている上、皮膚に対する刺激性が低く、皮膚に塗布してもベタ付き感のない、使用感に優れた、ローションである。
実施例37 泥パック
ベントナイト9.0質量部、カオリン14.0質量部、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン1.0質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ10.0質量部、グリチルリチン酸ジカリウム0.35質量部、藍の水抽出物3.0質量部、エチルパラベン0.1質量部、エタノール5.0質量部、ポリエチレングリコール10.0質量部、水47.5質量部を加温し、均一に混合し、泥パックを調製した。本品は、グリチルリチン酸の持つ消炎効果が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、肌荒れ、皮膚刺激やかゆみの予防、或いは皮膚の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れている上、皮膚に対する刺激性が低く、皮膚に塗布してもベタ付き感のない、使用感に優れた、パックである。
実施例38 日焼け止め用ゲルクリーム
パラメトキシケイ皮酸オクチル4.0質量部、オキシベンゾン3.0質量部、流動パラフィン16.0質量部、オリーブ油9.0質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.01質量部を加温、混合したものに、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ1.0質量部、アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体0.6質量部、カルボキシビニルポリマー0.4質量部、L−アスコルビン酸2−グルコシド(林原生物化学研究所株式会社販売、商標『AA2G』)2.0質量部、アラントイン1.0質量部、トリエタノールアミン1.0質量部、適量の防腐剤、水を加えて混合したものを混合し、総量を100質量部とし、常法により、乳化してクリームを調製した.本品は、アラントインの持つ抗炎症作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、日焼け抑制し、ほてりをおさめる消炎効果に優れたジェルである。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れ、塗り心地もよく、塗布後のもベタ付き感がなく、使用感に優れている。また、本品はα,α−トレハロースの糖質誘導体が、皮膚への刺激を軽減する作用を有することから、日焼けした肌に塗布する場合にも、日焼けによる肌の痛みが比較的少なく、また、紫外線などによる皮膚の老化を防止できる、肌にやさしい日焼け防止用のゲルクリームである。
実施例39 日焼け止め用ゲル
約55℃に加温した適量の精製水に、ポリアクリル酸系高分子(住友精化株式会社販売、商品名「アクペックHV505」)1.0質量部を分散させ、40℃以下に冷却後、L−アスコルビン酸2−グルコシド(林原生物化学研究所株式会社販売、商標『AA2G』)2.0質量部を適量の水に溶解したものを添加し、水酸化カリウム0.9質量部を加えて、pH6.3とした。これに、実施例6に記載の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ2.0質量部、濃グリセリン4.0質量部、1,3−ブチレングリコール2.0質量部、ジプロピレングリコール3.0質量部、糖転移ヘスペリジン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGヘスペリジン」)2質量部、ソルビトール1.3質量部、ポリエチレングリコール(400)1.5質量部、1,2−ペンタンジオール3.1質量部、グリチルレチン酸0.5質量部を加えて溶解し、精製水を加えて総量を100質量部として、日焼け止め用ゲルを調製した。本品は、グリチルレチン酸及びL−アスコルビン酸2−グルコシドの持つ抗炎症作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、日焼け抑制し、ほてりをおさめる消炎効果に優れたジェルである。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れ、塗り心地もよく、塗布後もベタ付き感がなく、使用感に優れている。しかも、本品は、ジプロピレングリコールとポリエチレングリコールを配合し、水酸化カリウムを加えることにより、pHが5.9〜7.0の間に保たれていることから、L−アスコルビン酸2−グルコシドを配合したジェルで見られる塗布後のよれや垢の発生もなく、透明で塗り心地もよく、塗布後のもベタ付き感がなく、使用感に優れている。また、長期間保存しても、pH変化、粘度低下、着色の認められない安定なジェルである。また、本品はα,α−トレハロースの糖質誘導体が、皮膚への刺激を軽減する作用を有することから、日焼けした肌に塗布する場合にも、日焼けによる肌の痛みが比較的少なく、また、紫外線などによる皮膚の老化を防止できる、肌にやさしい日焼け防止用のゲルである。
実施例40 老化防止用ジェル
トリオクタレイン51.3質量部、実施例6に記載の方法で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ16.4質量部、精製水14.5質量部、グリセロール8.7質量部、モノミリスチン酸ポリグリセリル−10 5.2質量部、モノステアリン酸ポリグリセリル−10 1.75質量部、アスコルビン酸2−グルコシド(林原生物化学研究所株式会社販売、商標『AA2G』)1質量部、糖転移ルチン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGルチン」)2質量部、メチルパラベン0.1質量部使用し、常法によりジェルを調製した。本品はα,α−トレハロースの糖質誘導体が、皮膚への刺激を軽減する作用を有することから、日焼けした肌に塗布する場合にも、日焼けによる肌の痛みが比較的少なく、また、紫外線などによる皮膚の老化を防止できる、肌にやさしく、使用感のよい、老化防止用ゲルである。
実施例41 洗顔フォーム
ミリスチン酸14質量部、パルミチン酸9質量、ステアリン酸7質量部、実施例6で調製したシラップ状のα,α−トレハロース糖質誘導体や質量部、ポリエチレングリコール(4000)3質量部、ジステアリン酸エチレングリコール2質量部、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(140E.O.)6質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド4質量部、パラオキシ安息香酸メチル0.4質量部、トコフェロール0.1質量部、水酸化カリウム6.3質量部、ラウリン酸アミドプロピルベタイン(30%水溶液)、精製水26.2質量部の配合組成で、常法により、洗顔フォームを調製した。本品は、トコフェロールの持つ抗炎症作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、日焼け抑制し、ほてりをおさめる消炎効果に優れた洗顔フォームである。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れ、塗り心地もよく、塗布後のもベタ付き感がなく、使用感に優れている。
実施例41で調製した洗顔フォームの配合のα,α−トレハロース糖質誘導体5質量部のみを、洗顔フォームに汎用されているソルビトール5質量部に置き換えて、常法により、洗顔フォームを調製した。ロスマイルス法により、この洗顔フォームと、実施例40で調製したα,α−トレハロース糖質誘導体含有糖質を含有する洗顔クリームの気泡直後、及び、気泡5分後の泡の高さ測定した。その結果を表16に示す。

表16から明らかなように、α,α−トレハロース糖質誘導体含有糖質を配合した洗顔フォームは、ソルビトールを配合した洗顔フォームに比して、気泡直後及び気泡5分後のいずれにおいても、泡の高さが高く、気泡の発生量が多く、また、泡もちの点でも優れていた。このことは、α,α−トレハロース糖質誘導体含有糖質を配合した洗顔フォームは、ソルビトールを配合したものに比して、泡にコシが付与され、泡質が改善されていることを示している。
実施例42 シャンプー
2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシメチルイミダゾリウムベタイン(30%水溶液)35質量部、ヤシ油脂肪酸グルタミン酸トリエタノールアミン液(30%水溶液)35質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ10質量部、ココイルグリシンカリウム(30%水溶液)10質量部、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド2.3質量部、糖転移ヘスペリジン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGヘスペリジン」)3質量部、感光素201号0.005質量部、感光色素301号0.005質量部に精製水10質量部を加えて混合後、撹拌しながら70℃に加温して溶解し、更に適量の香料を加えて、常法により、シャンプーを製造した。本品は、糖転移ヘスペリジンの持つ血行促進作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、頭皮のかゆみの予防やフケの発生の抑制、育毛、養毛或いは、頭皮の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、グリセリンを使用していないにもかかわらず、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れている上、ベタ付き感のない、使用感に優れたシャンプーである。
実施例43 リンス
流動パラフィン2.5質量部、ミリスチン酸0.5質量部、セタノール1.5質量部、モノステアリン酸グリセリン3質量部、ラウロイルグルタミン酸ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルジエステル1質量部、ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル0.5質量部、を加熱混合したものに、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ3質量部、1,3−ブチレングリコール3質量部、感光色素301号0.01質量部、ラウロイル−L−リジン2.5質量部、脂肪酸l−アルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩0.5質量部、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム0.5質量部、糖転移ルチン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGルチン」)0.1質量部、ピロリドンカルボン酸ナトリウム1質量部、センブリエキス1質量部に精製水74質量部を加えて加熱混合したものを混合し、常法により、乳化してリンスを調製した。本品は、センブリエキスの持つ血行促進作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、育毛、養毛、或いは、頭皮の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、グリセリンを使用していないにもかかわらず、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れている上、ベタ付き感のない、使用感に優れたリンスである。
実施例44 ヘアトリートメント
ステアリルアルコール5質量部、モノステアリン酸グリセリン5質量部、流動パラフィン3.5質量部、ラウロイルグルタミン酸ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルジエステル2質量部、ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル1質量部を加熱、混合したものに、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ5質量部、1,3−ブチレングリコール3質量部、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム1質量部、ピロリドンカルボン酸ナトリウム1質量部、酢酸dl−トコフェロール0.1質量部、高分子ケラチン0.1質量部に脱イオン水65質量部を加えて加熱混合したものを混合し、常法により、乳化してヘアトリートメントを調製した。本品は、酢酸dlトコフェロールの持つ血行促進作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、頭皮のかゆみの予防や、フケの発生の抑制、育毛、養毛、或いは、頭皮の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、グリセリンを使用していないにもかかわらず、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れている上、ベタ付き感のない、使用感に優れたヘアトリートメントである。
実施例45 ボディーソープ
ラウリン酸カリウム15質量部、ミリスチン酸カリウム5.0質量部、実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ4.0質量部、プロピレングリコール2.0質量部、カミツレエキス1.0質量部、ポリエチレン粉末0.5質量部、ヒドロキシプロピルキトサン溶液0.5質量部、グリシン0.25質量部、グルタミン0.25質量部、アズレン0.2質量部、感光色素201号0.1質量部、pH調整剤、ラベンダー水を適量添加後、精製水を加えて総量を100質量部とし、常法により乳化してホディーソープを調製した。本品は、アズレンの持つ抗炎症作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、肌のかゆみの予防や、或いは、皮膚の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れている上、皮膚に対する刺激性が低く、ベタ付き感のない、使用感に優れたボディーソープである。
実施例46 クレンジングオイル
ホホバ油20.0質量部、マカデミアンナッツ油15.0質量部、流動パラフィン15.0質量部、セチルイソオクタノエート9.0質量部、POE(20)グリセリントリイソステアリン酸20.0質量部、POE(20)グリセリンモノイソステアリン酸10.0質量部、精製水10.0質量部、ビタミンE0.1質量部、実施例7の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末1.0質量部を混合し、常法によりクレンジングオイルを調製した。本品は、クレンジング効果と共に、ビタミンEの持つ抗炎症作用及び/又は血行促進作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから肌のかゆみの予防や、或いは、皮膚の老化の治療用、予防用など効果を有しているので、マッサージ用化粧料や入浴剤としても有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れ、皮膚に対する刺激性が低く、ベタ付き感のない、使用感に優れたクレンジングオイルであり、不飽和脂肪酸の保存安定性が向上することから、異臭や変色を生じないという特徴を有している。
実施例47 洗顔用パウダー
実施例6の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップを、常法により噴霧乾燥して調製した、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末46質量部、グルコース40質量部、カルボキシメチルセルロース7質量部、マルトース・ショ糖縮合物(日光ケミカルズ株式会社販売、商品名『BIOECOLIA』)1質量部、L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商標『AA2G』)1質量部、アラントイン0.1質量部、リパーゼ(名糖産業株式会社販売、商品名『リパーゼMY−30』、30000単位/g)を前記のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末で予め1000単位/gとなるように倍散したもの0.2質量部、感光素401号0.002質量部、及び、プロテアーゼ(ナガセ生化学工業株式会社販売、商品名『ビオプラーゼコンク』、150000単位/g)を前記のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末で予め5単位/gとなるように倍散したもの1質量部を混合し、26メッシュの篩にかけて全体を均質混合し粉末状物を得た。本品は、顔面の過剰の脂質や古くなった角質を除去する効果に優れているだけでなく、アラントインの持つ消炎作用を、α,α−トレハロースの糖質誘導体が増強することとから、皮膚刺激やかゆみの予防、或いは皮膚の老化の治療用、予防用などに有利に利用できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れている上、皮膚に対する刺激性が低く、使用後の肌の突っ張り感のない、使用感に優れた、洗顔用パウダーである。
実施例48 マウスウオッシュ
エタノール15質量部、実施例1の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ10質量部、糖転移ヘスペリジン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGヘスペリジン」)1質量部、ポリオキシエチレン硬化ひまし油2質量部、サッカリンナトリウム0.02質量部、安息香酸ナトリウム0.05質量部、リン酸二水素ナトリウム0.1質量部、着色料及び香料適量と水72.2質量部とを混合してマウスウオッシュを調製した。本品は、糖転移ヘスペリジンの持つ血行促進作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、シェーグレン症候群などによるドライマウスの改善、口腔内の炎症や味覚障害などの予防や治療に好適であり、しかも、使用感も良好なマウスウオッシュである。
実施例49 練歯磨
第二リン酸カルシウム30質量部、ハイドロキシアパタイト10質量部、炭酸カルシウム5質量部、実施例1の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ30質量部、ラウリル硫酸ナトリウム1.5質量部、モノフルオロリン酸ナトリウム0.7質量部、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート0.5質量部、塩酸ジフェンヒドラミン0.5質量部、防腐剤0.05質量部、精製水22質量部と混合して練歯磨を調製した。本品は、塩酸ジフェンヒドラミンの持つ血行促進作用がα,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、口腔内の炎症や味覚障害、歯槽膿漏などによる歯茎の腫れ、炎症、出血などの予防や治療に好適であり、しかも、使用感のよい練歯磨である。
実施例50 練歯磨
第二リン酸カルシウム30質量部、ハイドロキシアパタイト10質量部、炭酸カルシウム5質量部、実施例1の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ30質量部、プロポリスエキス2.0質量部、ラウリル硫酸ナトリウム1.5質量部、カンゾウエキス1.5質量部、糖転移ヘスペリジン(林原生物化学研究所株式会社販売、商品名「αGヘスペリジン」)1.0質量部、モノフルオロリン酸ナトリウム0.7質量部、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート0.5質量部、防腐剤0.05質量部、精製水19質量部と混合して練歯磨を調製した。本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、酸発酵をほとんど受けず、不溶性グルカンの生成をしない非う蝕性の糖質であるだけでなく、ショ糖からの不溶性グルカンの生成を抑制する抗う蝕作用も有していることに加え、カンゾエキスの持つ抗炎症作用、及び、糖転移ヘスペリジンの持つ血行促進作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、虫歯の予防や口腔内の炎症や味覚障害、歯槽膿漏などによる歯茎の腫れ、炎症、出血の予防や治療に好適であり、しかも、使用感のよい練歯磨である。
実施例51 台所用洗剤
常法に従って、アルキルアラニルメチルアラニンナトリウムアルキルアミドプロピルベタイン及び脂肪酸ジエタノールアミドからなる界面活性組成物21質量部、実施例7で調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末5質量部、ビタミンE0.1質量部、及び、適量のポリオキシエチレンアルキルエーテル、香料、着色料を配合して、台所用洗剤を調製した。本品は、洗浄効果に優れているだけでなく、ビタミンEの持つ消炎作用を、α,α−トレハロースの糖質誘導体が増強することから、洗剤を使用しても皮膚のあれを予防できる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、保湿性に優れているだけでなく、皮膚保護作用により、界面活性剤による脱脂、角質タンパクの変性や、皮膚の浸透性を抑制することにより、使用後の肌の突っ張り感のない、手あれ、肌あれなどの皮膚の障害を抑制することのできる使用感に優れた、台所用の洗剤である。また、本品は、虫刺されや、ある種の毒ガやその幼虫などに接触した際に生じる痛みや障害が発生した箇所に、希釈して塗布することにより、それらに起因する痛みや障害を軽減することにも有利に使用できる。
実施例52 外傷治療用軟膏
マクロゴール(400)450質量部、カルボキシビニルポリマー3質量部、プルラン1質量部、イソプロパノール400質量部に対してグルコン酸クロルヘキシジン液1質量部、インドメタシン10質量部を加えて、真空混合撹拌し、これに、実施例3の方法に準じて調製したα,α−トレハロースの糖質誘導体含有粉末70質量部、水酸化ナトリウム3質量部、精製水77質量部を加えて混合し、適度の伸び、付着性を有する外傷治療用軟膏を得た。本品は、インドメタシンの持つ抗炎症作用が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、創面に直接塗布するか、ガーゼなどに塗るなどして患部に使用することにより、切傷、擦り傷、火傷、水虫、しもやけなどのカユミや痛みを伴う外傷を治療することができる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、ベタ付くことがなく、塗り心地も良好な外傷治療用軟膏である。
【産業上の利用の可能性】
本発明の皮膚外用剤は、安全かつ非常に安定なα,α−トレハロースの糖質誘導体と、血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質及び/又は経皮吸収促進作用を有する物質とを有効成分として含有する皮膚外用剤である。当該皮膚外用剤は、ベタ付き感を与えず、使用感もよく、しかも、配合された有効成分の作用効果が、α,α−トレハロースの糖質誘導体により増強されることから、その利用分野は、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨など多岐に亙る。本発明は、斯くも顕著な作用効果を奏する発明であり、産業上の貢献度が誠に多大な意義ある発明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
α,α−トレハロースの糖質誘導体と共に、血行促進作用を有する物質、抗炎症作用を有する物質、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、養毛・育毛作用を有する物質、乳化作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活性作用を有する物質、経皮吸収促進作用を有する物質、感光素、粉体、着色料及び可溶化作用を有する物質から選ばれるいずれか1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
血行促進作用を有する物質及び/又は抗炎症作用を有する物質と共に、抗菌作用を有する物質、保湿作用を有する物質、美白作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質、紫外線吸収作用を有する物質、紫外線散乱作用を有する物質、、抗酸化作用を有する物質、養毛・育毛作用を有する物質、乳化作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活性作用を有する物質、経皮吸収促進作用を有する物質、感光素、粉体、着色料及び可溶化作用を有する物質から選ばれるいずれか1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
血行促進作用を有する物質及び/又は抗炎症作用を有する物質が、グリチルリチン酸、その誘導体又はそれらの塩類、アスコルビン酸2−グルコシド、糖転移ルチン、ルチン、糖転移ヘスペリジン及びヘスペリジンから選ばれるいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求の範囲第2項又は第3項のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
α,α−トレハロースの糖質誘導体が、α,α−トレハロース分子の少なくとも一方のグルコースに、モノ−グルコース、ジ−グルコース、トリ−グルコース及びテトラ−グルコースから選ばれるいずれかが結合しているものであることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第4項のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
α,α−トレハロースの糖質誘導体が、分子の末端にトレハロース構造を有する糖質であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第5項のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
α,α−トレハロースの糖質誘導体が溶液状、若しくは、ペースト状乃至固状で、かつ、非晶質状態であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第6項のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
α,α−トレハロースの糖質誘導体と共に、他の糖質を含有していることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第7項のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
他の糖質が、還元性糖質、非還元性糖質、糖アルコール及び水溶性高分子から選ばれるいずれか1種又は2種以上である請求の範囲第8項に記載の皮膚外用剤。
【請求項10】
非還元性糖質又は糖アルコールが、α,α−トレハロース、α,β−トレハロース、ソルビトール、マルチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトールから選ばれるいずれか1種又は2種以上である請求の範囲第8項又は第9項記載の皮膚外用剤。
【請求項11】
他の糖質が、糖アルコールであって、実質的に還元性糖質を含有していないものであることを特徴とする請求の範囲第8項又は第9項のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項12】
糖アルコールが、α,α−トレハロースの糖質誘導体とともに還元性糖質を含有する糖質を水素添加したもの由来であることを特徴とする請求の範囲第9項乃至第11項に記載の皮膚外用剤。
【請求項13】
グリセリンを実質的に含有しないことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第12項のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項14】
褐変が防止されていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第13項のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項15】
α,α−トレハロースの糖質誘導体を有効成分として含有する皮膚外用剤のための褐変防止剤。
【請求項16】
α,α−トレハロースの糖質誘導体が、α,α−トレハロース分子の少なくとも一方のグルコースに、モノ−グルコース、ジ−グルコース、トリ−グルコース及びテトラ−グルコースから選ばれるいずれかが結合しているものであることを特徴とする請求の範囲第15項に記載の褐変防止剤。
【請求項17】
α,α−トレハロースの糖質誘導体が、分子の末端にトレハロース構造を有する糖質であることを特徴とする請求の範囲第15項又は第16項に記載の褐変防止剤。
【請求項18】
α,α−トレハロースの糖質誘導体が溶液状、若しくは、ペースト状乃至固状で、かつ、非晶質状態であることを特徴とする請求の範囲第15項乃至第17項のいずれかに記載の褐変防止剤。
【請求項19】
α,α−トレハロースの糖質誘導体と共に、他の糖質を含有していることを特徴とする請求の範囲第15項乃至第18項のいずれかに記載の褐変防止剤。
【請求項20】
他の糖質が還元性糖質、非還元性糖質、糖アルコール及び水溶性高分子から選ばれるいずれか1種又は2種以上である請求の範囲第19項に記載の褐変防止剤。
【請求項21】
非還元性糖質又は糖アルコールが、α,α−トレハロース、α,β−トレハロース、ソルビトール、マルチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトールから選ばれるいずれか1種又は2種以上である請求の範囲第20項記載の褐変防止剤。
【請求項22】
他の糖質が、糖アルコールであって、実質的に還元性糖質を含有しないものであることを特徴とする請求の範囲第20項に記載の褐変防止剤。
【請求項23】
糖アルコールが、α,α−トレハロースの糖質誘導体とともに還元性糖質を含有する糖質を水素添加したものであることを特徴とする請求の範囲第20項乃至第22項に記載の褐変防止剤。
【請求項24】
皮膚外用剤に使用される物質が、アミノ酸型界面活性剤などの乳化作用を有する物質、色素などの色材、香料、アスコルビン酸、アスコルビン酸2−グルコシド、タンニンリキッド、蜂蜜、蜜蝋、プロポリス、アミノ酸類から選ばれるいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求の範囲第15項乃至第23項記載の褐変防止剤。
【請求項25】
α,α−トレハロースの糖質誘導体を有効成分として含有する皮膚外用剤のための保湿剤。
【請求項26】
ベタ付き感を与えないことを特徴とする請求の範囲第25項記載の保湿剤。
【請求項27】
α,α−トレハロースの糖質誘導体が、α,α−トレハロース分子の少なくとも一方のグルコースに、モノ−グルコース、ジ−グルコース、トリ−グルコース及びテトラ−グルコースから選ばれるいずれかが結合しているものであることを特徴とする請求の範囲第25項又は第26項に記載の保湿剤。
【請求項28】
α,α−トレハロースの糖質誘導体が、分子の末端にトレハロース構造を有する糖質であることを特徴とする請求の範囲第25項乃至第27項に記載の保湿剤。
【請求項29】
α,α−トレハロースの糖質誘導体が溶液状、若しくは、ペースト状乃至固状で、かつ、非晶質状態であることを特徴とする請求の範囲項第25項乃至第28項のいずれかに記載の保湿剤。
【請求項30】
α,α−トレハロースの糖質誘導体と共に、他の糖質を含有していることを特徴とする請求の範囲第25項乃至第29項のいずれかに記載の保湿剤。
【請求項31】
他の糖質が還元性糖質、非還元性糖質、糖アルコール及び水溶性高分子から選ばれるいずれか1種又は2種以上である請求の範囲第30項に記載の保湿剤。
【請求項32】
非還元性糖質又は糖アルコールが、α,α−トレハロース、α,β−トレハロース、ソルビトール、マルチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトールから選ばれるいずれか1種又は2種以上である請求の範囲第31項記載の保湿剤。
【請求項33】
他の糖質が、糖アルコールであって、実質的に還元性糖質を含有していないものであることを特徴とする請求の範囲第31項に記載の保湿剤。
【請求項34】
糖アルコールが、α,α−トレハロースの糖質誘導体とともに還元性糖質を含有する糖質を水素添加したもの由来であることを特徴とする請求の範囲第31項乃至第33項に記載の保湿剤。
【請求項35】
毛髪、毛根や皮膚の保護剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項36】
キューティクル保護剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項37】
帯電防止剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項38】
皮膚又は毛髪のすべり改善剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項39】
乳化する作用を有する物質を使用した皮膚外用剤の泡質調節剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項40】
吸放湿調節剤としての請求の範囲第25項乃至第34項のいずれかに記載の保湿剤。
【請求項41】
細胞賦活剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項42】
細胞保護剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項43】
紫外線散乱剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項44】
研磨剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項45】
皮膚外用剤に使用される増粘剤の水への溶解促進剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項46】
皮膚外用剤に使用される増粘剤の乳化促進剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項47】
増粘剤が、カルボマー型のアクリルポリマー、及び/又は、イソパラフィン、ポリアクリルアミド及びポリオキシエチレン化したラウリルアルコールを主剤としたものであることを特徴とする請求の範囲第45項又は第46項記載の保湿剤。
【請求項48】
抗炎症剤としての請求の範囲第25項乃至第34項記載の保湿剤。
【請求項49】
α,α−トレハロースの糖質誘導体と共に、1種又は2種以上の糖アルコールを含有することを特徴とする糖質。
【請求項50】
実質的に還元性糖質を含有しないものであることを特徴とする請求の範囲第49項に記載の糖質。
【請求項51】
糖アルコールが、α,α−トレハロースの糖質誘導体とともに還元性糖質を含有する糖質を水素添加したもの由来であることを特徴とする請求の範囲第49項又は第50項に記載の糖質。
【請求項52】
無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロースを5%以上含有することを特徴とする請求の範囲第49項乃至第51項のいずれかに記載の糖質。
【請求項53】
無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロースを50%以上含有することを特徴とする請求の範囲第49項乃至第52項のいずれかに記載の糖質。
【請求項54】
無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロースを50%乃至70%含有することを特徴とする請求の範囲第49項乃至第53項のいずれかに記載の糖質。
【請求項55】
無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロース以外のα,α−トレハロースの糖質誘導体を合計で5%乃至25%未満含有することを特徴とする請求の範囲第49項乃至第54項のいずれかに記載の糖質。
【請求項56】
無水物換算で、糖アルコールを合計で25%乃至45%含有することを特徴とする請求の範囲第49項乃至第55項のいずれかに記載の糖質。
【請求項57】
α,α−トレハロースの糖質誘導体と共に、1種又は2種以上の糖アルコールを含有せしめることを特徴とする糖質の製造方法。
【請求項58】
実質的に還元性糖質を含有しないものであることを特徴とする請求の範囲第57項に記載の糖質の製造方法。
【請求項59】
糖アルコールが、α,α−トレハロースの糖質誘導体とともに還元性糖質を含有する糖質を水素添したもの由来であることを特徴とする請求の範囲第57項又は第58項に記載の糖質の製造方法。
【請求項60】
無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロースを5%以上含有することを特徴とする請求の範囲第57項乃至第59項のいずれかに記載の糖質の製造方法。
【請求項61】
無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロースを50%以上含有することを特徴とする請求の範囲第57項乃至第60項のいずれかに記載の糖質の製造方法。
【請求項62】
無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロースを50%乃至70%含有することを特徴とする請求の範囲第57項乃至第61項のいずれかに記載の糖質の製造方法。
【請求項63】
無水物換算で、α−マルトシルα,α−トレハロース以外のα,α−トレハロースの糖質誘導体を合計で5%乃至25%未満含有することを特徴とする請求の範囲第57項乃至第62項のいずれかに記載の糖質の製造方法。
【請求項64】
無水物換算で、糖アルコールを合計で25%乃至45%含有することを特徴とする請求の範囲第57項乃至第63項のいずれかに記載の糖質の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/071472
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504969(P2005−504969)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001401
【国際出願日】平成16年2月10日(2004.2.10)
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【Fターム(参考)】