説明

かくれんぼ玩具

【課題】 電子的にかくれんぼを実現する装置を提供すること。
【解決手段】 本発明によるかくれんぼ玩具は、音声が発生されるタイミングと音量と音声の内容とを少なくとも含む音声情報と表示されるべき画像とを設定する設定手段と、音声と画像とが記憶されている記憶手段と、遊技を開始させる開始手段と、遊技を終了させる終了手段と、前記開始手段の付勢による遊技の開始と前記終了手段の付勢による遊技の終了とに応答して、前記記憶手段に記憶されている音声と画像の中の、前記設定手段を用いた設定により内容を指定された音声を、前記設定手段において設定されたタイミング及び音量で発生させ、更に、前記設定手段を用いた設定により指定された画像を表示させる手段と、を備えている。なお、このかくれんぼ玩具は、携帯電話端末を用いて実現することも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具に関するものであり、更に詳しくは、かくれんぼに用いられる玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
かくれんぼは、「かくれんぼするもの、よっといで」、「もういいかい」、「まあだだよ」、「もういいよ」などという表現と共に古くから広く知られた、複数人の子供によって行われる遊びである。
【0003】
かくれんぼは、その伝統的な形態では、参加する複数人が集まり、じゃんけんなどで1人のオニを決め、オニが、声を出しながら一定の数を(例えば、100まで)数えたり、「もういいかい」などと言いながら、目隠しした状態を継続し、その間に、オニ以外の参加者は、「まあだだよ」などと言いながら隠れ、そして、オニが、隠れている者を見つける、というように進行する。最初に見つかった者が、次のオニになる、というような例が多い。また、このような単純なかくれんぼだけではなく、様々な変形例があるが、隠れている者をオニが探し出すという点では共通している。戸外で行われることがほとんどである。しかし、雨の日に、押入の中に隠れるなど、家の中でかくれんぼをして遊んだ記憶のある大人も多いはずである。
【0004】
かくれんぼ以外にも、例えば、マーチン・ハンドフォードによる絵本『ウォーリーをさがせ』では、非常に多くの様々な人間が描かれた見開きページの中から、ウォーリーという特徴的な人物を見つけだす遊びが行われる。『ウォーリーをさがせ』には、ゲーム版も存在している。また、他にも、画面上で何かを探すという形態のゲームも存在する。このように、場所や形態を問わず、隠れているものを探し出すという遊びは、従来から、広く行われている。かくれんぼにおいて隠れている者を見つけ出したときのよろこびは、長い時間が過ぎて大人になっても思い出すほどであるし、『ウォーリーをさがせ』でも、ページの隅々まで細かく見た後で、ふと気が付くと、さっきも見たはずの場所にウォーリーがさりげなく立っていてを見つけたときの気分は格別である。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、主に学齢未満の子供を対象として、上述したかくれんぼのような、従来から広く行われている見つけ出し遊びに用いることができる玩具に関するものである。
【0006】
本発明によると、音声を発生して発見を促す遊技を行うためのかくれんぼ玩具であって、音声が記憶されている記憶手段と、遊技を開始させる開始手段と、遊技を終了させる終了手段と、音声を発生する音声発生手段と、前記開始手段の付勢に応答してこのかくれんぼ玩具の動作を開始させ、前記記憶手段に記憶されている音声を前記音声発生手段に所定のタイミングで発生させ、前記終了手段の付勢に応答してこのかくれんぼ玩具の動作を終了させる制御手段と、を備えていることを特徴とするかくれんぼ玩具が提供される。この構成は、本発明の最も基本的なアイデアを実現したかくれんぼ玩具の基本形である。
【0007】
更に、上述のかくれんぼ玩具において、音声が発生されるタイミングと音量と音声の内容とを少なくとも含む音声情報を設定する設定手段を更に備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されており前記設定手段において設定された内容を有する音声を、前記設定手段において設定されたタイミング及び音量で、前記音声発生手段に発生させることも可能である。この構成では、音声発生のタイミングと、音量と、音声の内容とを個別に設定することができる。
【0008】
更に、上述のかくれんぼ玩具において、画像を表示する表示手段を更に備えており、前記記憶手段には表示されるべき画像が記憶され、前記制御手段は、前記開始手段の付勢による遊技の開始と前記終了手段の付勢による遊技の終了との少なくとも一方に応答して、前記記憶手段に記憶されている画像を前記表示手段に表示させることも可能である。これは、かくれんぼ玩具にディスプレイを備えた構成であり、音声が出力されるだけでなく画像が表示される。
【0009】
更に、上述のかくれんぼ玩具は、前記記憶手段と、前記開始手段と、前記終了手段と、前記音声発生手段と、前記表示手段と、前記設定手段と、前記制御手段とを、それぞれ、携帯電話端末の有する対応の機能によって実現されることにより、携帯電話端末として実現することもできる。
【0010】
更に、上述のかくれんぼ玩具において、外部からデータを入力するための入力手段と、前記入力手段を介して外部から入力された新たなデータを用いて、前記記憶手段に記憶されている音声又は画像を更新する更新手段と、を更に備えているように構成することもできる。ここで言う入力手段としては、携帯型で着脱可能なメモリ・カードのためのスロットや、無線通信手段などが想定されている。単体の玩具であれば前者、携帯電話として本発明のかくれんぼ玩具を実現する場合であれば後者が一般的であろうが、限定されるわけではなく、それ以外の構成も可能であろう。メモリ・カードとしては、SDカード(登録商標)やメモリスティック(登録商標)などを想定している。
【0011】
なお、本発明は、かくれんぼ玩具の制御方法として構成することも可能である。
(発明を実施するための最良の形態)
【0012】
以下では、添付の図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。最初は、図1に示されている第1の実施例であるかくれんぼ玩具100である。このかくれんぼ玩具100は、幼児が手で容易に持つことができる程度の大きさのプラスチック製などの筐体として実現されている。筐体の形状や材質は任意であるが、学齢未満の幼児が触れたり舐めたりすることを想定し、そのような場合の安全性に配慮した設計であることはもちろんである。幼児が自分の身体にぶつけたり、他の幼児に向かって投げたような場合にも怪我をしないように、角は丸められているし、重量も非常に軽く作られている。しかし、そのような形状や材質などの物理的な安全性等は、本発明が特に着目するものではないので、これ以上の説明は割愛する。
【0013】
かくれんぼ玩具100は、その表面に、スイッチ101を備えている。スイッチ101は、例えば、最初に押下すると、このかくれんぼ玩具100の遊技を開始させ、次に押下すると、遊技を終了させる機構を有している。図示されていないが、もちろん、開始機能と終了機能とを2つの別個のスイッチとして実現することも可能である。しかし、主に字の読めない幼児を対象とするのであるから、スイッチの数は最小限として、1つのスイッチ101が2つの機能を有しているように構成するのが好ましい。また、かくれんぼ玩具100は、スピーカーなどの音声発生部102を備えている。
【0014】
図1に示されたかくれんぼ玩具は、最も基本的な最小限の機能だけを有する基本形である。本発明によるかくれんぼ玩具を用いた遊技方法に関する詳細な説明は、図6を参照しながら後述するが、ここでは、図1に示された基本形のかくれんぼ玩具を用いる場合の遊技方法を簡単に説明する。母親と幼児が部屋の中で2人で向かい合って座っている場面を想定してほしい。母親は、いまから、かくれんぼ遊びをすることを幼児に告げ、目をつぶらせ、しばらくそのままでいるように言う。幼児が目をつぶっている間に、母親はスイッチ101を押下して遊技を開始した上で、かくれんぼ玩具100を、自分の背後の、幼児からは見えない床の上に置く。その上で、幼児に目を開かせて、かくれんぼ玩具を隠したことを告げる。しばらくすると、かくれんぼ玩具が、「ぼくはここだよ」という音声(例えば、しまじろう(登録商標)の声としよう)を音声発生部102から発生する。発生される音声の音量や内容は、後述するように遊技開始前に設定する構成とすることも可能であるが、図1の基本形では、想定される対象年齢などに基づいて、予め設定されている。幼児にとってみれば、どこか見えないところから、自分の大好きなしまじろうの声がすることになる。幼児はキョロキョロする。また、しばらくすると、同じしまじろうの声で、「こっちだよ」という音声が聞こえる。幼児は、まだよくわからない。そして、また、しばらくすると、しまじろうの、「おーい」という声が聞こえる。音声発生の間隔も、図1の基本形の場合には、予め設定されている。今度は、幼児は、どうやら、母親の後の方からその声がしていることに気づき、母親の後に行って、かくれんぼ玩具を見つける。母親は、玩具の真ん中にあるスイッチ101に触れるように促す。幼児がスイッチ101に触れると、「見つかっちゃった」というしまじろうの声が発生される。これで、かくれんぼ遊びは、終了する。スイッチ101は、1回目に押下すると動作を開始し、2回目に押下すると動作を停止するように、2つの状態の間を切り換えるトグルスイッチとして構成されている。
【0015】
上の例では、音声発生のタイミング、音量、内容などの音声情報は、予め設定されている。しかし、図2に示されているように、かくれんぼ玩具100の裏側に、発生される音声に関する設定を行うための音声情報設定ボード204が設けて、これらの音声情報を設定可能な構成とすることもできる。音声情報設定ボード204は、例えば、設定用ディスプレイ206と設定用スイッチ205とを有しており、音声発生装置(図示せず)によって音声が生じる間隔、音量、どのような音声が発生されるかという音声の内容などを設定するのに用いられる。なお、音声情報設定ボード206は、かくれんぼ玩具100を用いて遊ぶ幼児だけではなく、一緒に遊ぶことが可能な小学生などの児童、母親、父親、姉、兄、祖父母などが操作することができる。幼児用の場合には、むしろ、単に設定用スイッチ205に触れて所定の順序以外の押下がなされても、設定変更などの効果が生じないような構成であることが好ましい。
【0016】
次の図3では、かくれんぼ玩具100の表面に、スイッチ101だけでなく、ディスプレイ303が設けられている。この修正型のかくれんぼ玩具では、特に、幼児が発見したときに、「見つかっちゃった」という音声だけでなく音楽や動物の鳴き声を発生させたり、ディスプレイに、しまじろうの顔を表示することが可能である。
【0017】
ここで、図4の流れ図を参照しながら、本発明によるかくれんぼ玩具100を用いた遊技の流れを、時系列的に確認しておく。基本形に即した場合は、上述した通りなので、図2の音声情報設定ボード204を用いて音声情報が設定可能であり、図3のようにディスプレイ303も備わっている修正形を想定して説明したい。まず、かくれんぼ玩具100を用いて遊ぶのは、幼児と母親(又は、父親)との2人というのが最も一般的であろう。もちろん、両親と幼児の3人でもよい。身体能力や知能にさほどの差がなければ、子供は複数人でもかまわない。伝統的なかくれんぼのように主に戸外で比較的大人数で行われるのとは異なり、本発明によるかくれんぼ玩具100の場合には、例えば、従来であれば隠れる場所がない狭い室内や車の中でも遊ぶことができるし、親子2人だけや、少人数でも十分楽しむことができる。まず最初に、ステップ301では、例えば母親が、音声情報設定ボード204を用いて、発生させる音声の間隔、音量、そして、どのような内容の音声を発生させるかを設定する。実際には、5秒間隔や10秒間隔で、「ぼくはここだよ」、「こっちだよ」、「おーい」などという一連の音声を発生させる、という設定である。音量も、隠す場所により、聞こえにくい場合があることが考えられるので、強弱の調整が可能である。この設定をすませると、幼児に、「さあ、かくれんぼするよ」などといって、目をつぶらせたり、目隠しをさせて、かくれんぼ玩具100を隠す場所を決め、スイッチ101を押下して遊技を開始させる(ステップ302)。隠す場所は、幼児の能力に応じ、幼児が座っているすぐ後の床の上、すこし離れた棚の上、幼児にも開けられる引き出しの中など、音声が聞き取れる場所であれば、様々でありうる。そして、設定した時間間隔で、「ぼくはここだよ」、「こっちだよ」、「おーい」というような一連の音声が聞こえることになる(ステップ303)。幼児は、この音声を聞いて、かくれんぼ玩具がどこに隠されているかを見い出し、見つけたら、母親は、スイッチ101を押下するように促す。実際に幼児がスイッチ101を押下する(ステップ304)と、「見つかっちゃった」などという音声と同時に、例えば、しまじろう(登録商標)などのキャラクタがディスプレイ303に表示される(ステップ305)。これで、一連の遊技が終了する。
【0018】
かくれんぼ玩具100を用いた以上のステップを実現するための内部構成の概略が、図5及び図6に示されている。図5はディスプレイ303が存在しない場合、図6はディスプレイ303を備えた場合である。図6は、図5の構成に画像出力部603が追加されただけであるので、主に、図5に関して説明する。音声情報設定ボード204において設定された内容は入力部501において入力され、バス506を介して、CPU505に送られる。CPU505は、その命令に従い、メモリ504に記憶されている指定された一連の音声を読み出し、指定された間隔及び音量で音声出力部502から出力させる。音声情報設定ボード204では、「音声」と言っているが、ディスプレイ303に表示される画像を複数種類から選択することも可能であるように設定することができ、その場合には、やはりこの設定ボード204を用いて設定する(図6の場合)。メモリ504に記憶されている指定された画像は、CPU505の制御によって画像出力部603であるディスプレイ303から出力される。
【0019】
以上では、本発明によるかくれんぼ玩具が単体の玩具として構成されている実施例について説明したが、本発明によるかくれんぼ玩具は、その機能を一般的に用いられている携帯電話端末を用いても実現できる。携帯電話端末として実現された実施例について、次に説明する。
【0020】
携帯電話端末にアプリケーション・ソフトウェアをダウンロードして、そのアプリケーション・ソフトウェアを携帯電話端末で動作させることは、広く行われている。例えば、テトリス(登録商標)など、ゲームのアプリケーション・ソフトウェアを特定のウェブ・サイトから携帯電話端末にダウンロードして、携帯電話端末においてそのゲームを動かして楽しむことは、ほとんど日常的に見られる風景である。この実施例では、先に説明した実施例に関して既に説明した機能を実現するためのプログラムとデータとを携帯電話端末にダウンロードして、携帯電話端末そのものを本発明によるかくれんぼ玩具100として用いる。
【0021】
実際に、一般的な携帯電話端末は、本発明によるかくれんぼ玩具100の一連の動作の実現に必要な図5及び図6の内部構成に対応する構成をすべて備えている。図6に即して述べると、入力部601としては各種のキーがあり、音声出力部602としてはスピーカーがあり、画像出力部603としてはディスプレイがあり、メモリ604及びCPU605も備わっている。
【0022】
図7には、サーバ701と携帯電話端末702とが、インターネットなどのネットワーク703を介して通信する様子が示されている。ウェブ・サイト閲覧機能を備えた携帯電話端末の使用者であれば一般的に理解している内容であるので詳細は割愛するが、携帯電話端末702からウェブ・サイト閲覧用のソフトウェアを用いて、インターネット703を介してWWWサーバに接続し、本発明によるかくれんぼ玩具のためのソフトウェアとデータとをダウンロードする。そのソフトウェアを携帯電話端末702において動かすことによって、図4に示されている一連の動作を実現させる。
【0023】
以上で述べた2つの実施例の間での最も顕著な差異は、ソフトウェア及びデータの更新の可能性である。もちろん、単体として実現された玩具の場合であっても、音声情報設定ボード204による複雑な設定が可能であれば、様々な個別的な設定は可能である。着脱可能なメモリ・カードなどを用いて外部データを追加することも可能である。しかし、ソフトウェア及びデータの変更及び更新は、そのように装置ごとに個別的にするのではなく、インターネット上のサーバ701から一元的に行う方が容易であることは明らかである。
【0024】
携帯電話端末を用いる場合には、入力キーが非常にたくさんあるのが通常である。従って、幼児は、隠されていた携帯電話端末を見つけた際に、どのボタンを押下したらいいのかわかりにくいと思われる。その際に、折りたたみ式の端末であれば、端末を開くことが遊技終了ボタンの押下に対応するように設定をしておくことができる。つまり、幼児が端末を開けると、例えば「みつかっちゃった」という音声が発生され、ディスプレイには、にっこりと笑っているしまじろう(登録商標)が表示される、というように設定できる。あるいは、開けるという動作によって終了スイッチの付勢とするのではなく、いずれかのキーが押下されると、押下されたキーがどれであっても遊技の終了スイッチの押下というように解釈されるように設定もできる。
【0025】
また、遊技の終了時に発生される「みつかっちゃった」という音声を、例えば、「あやかちゃんにみつかっちゃった」とか、「ゆうきくんにみつかっちゃった」というように幼児の名前が発生されるようにカスタマイズすることも可能である。あるいは、最近の携帯電話端末にはカメラ機能が多く付属していることを利用して、表示されるキャラクタと一緒に幼児自身の画像も表示されるようにすることも可能である。そのような画像の合成は、携帯電話端末で行うことが困難である場合には、幼児の写真をいったんサーバ701に送信し、キャラクタの画像との合成を行い、合成された画像をサーバ701から携帯電話端末702にダウンロードすることも可能である。
(発明の効果)
【0026】
かくれんぼ遊びは、隠れる側が、その場所や状況に応じて自分の隠れたい場所を考えて隠れ、探す側は隠れている場所を推測しながら探すという点で、子どもの工夫する力や探求心を引き出す効果がある。そのようなかくれんぼ遊びの変形である本発明によるかくれんぼ玩具では、子どもの大好きなキャラクタの声を頼りに探すことで、よりいっそう子どもの探求心を引き出すことができる。また、開閉式の携帯電話を開くと画面が開いてしまじろうを発見するという構成の場合には、見つけた時の達成感が大きく、より子どもの意欲を高める効果がある。
【0027】
単体の玩具であっても、携帯電話端末を用いる場合でも、通常のかくれんぼでは隠れる場所がないような1つの室内や車の中でも、かくれんぼ遊びを楽しめる。また、かくれんぼは、通常であれば数人で遊ぶものだが、本発明による玩具の場合には、親子2人だけや、少人数でも十分楽しむことができる。
【0028】
従来のコンピュータ・ゲームは、1人で遊ぶのが通常である。たしかに、通信型のゲームも存在はしているが、現実的には、高額な通信費用などの理由から、あまり普及していない。この1人で遊ぶという特徴のため、コンピュータ・ゲームの普及は、他の子供と心理的・身体的に接触し交流しながら遊ぶという伝統的な遊びの形態を変えつつある。幼い子供が、ディスプレイを見つめて、長時間にわたって1人でゲームをするというのは特に珍しい風景ではない。遊びの形態のそのような変容が、家庭における家族相互間でのコミュニケーションの減少や、更には、他者との間でのいわゆる「コミュニケーション不全症候群」を誘発するおそれがあるのではないか、という懸念が説かれる場合がある。
【0029】
たとえ、通信費用が安くなり通信型ゲームが容易にできたとしても、リアルなコミュニケーションは得られない可能性がある。それでは、幼児の発達の点において問題があると思われる。
【0030】
しかし、本発明によるかくれんぼ玩具を用いれば、幼児が、「一人遊び」でなく「親子遊び」や「きょうだい遊び」をすることができる。この玩具によるかくれんぼ遊びは非常に単純であるが、部屋の中や車の中で容易に行うことができ、親子やきょうだいが、1つの玩具を使って一緒に遊ぶことにより、他者とのコミュニケーションをはかることができる。幼児期の親子コミュニケーションは、子どもの情緒の安定を育み、豊かな社会性の基盤となる。本発明による玩具によれば、親子の間のコミュニケーションの機会を増加させる効果がある。
【0031】
音を聞いて、隠されている場所を探し当てることによって、聴覚から感じとる感性を豊かにする効果がある。普段、テレビや絵本などの子どもの遊びの中では、耳を澄ませて聞くという体験は意外と少ない。幼児にとって、五感を駆使して遊ぶことは、身体の発達上重要である。耳から得た情報から、方向を想像し、自分で確かめながらありかを探していくという本発明に基づく玩具は、子どもの五感を豊かにするであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明によるかくれんぼ玩具の第1の実施例の表側の概略である。
【図2】本発明によるかくれんぼ玩具であって、音声情報の設定ができるタイプの裏側の概略である。
【図3】本発明によるかくれんぼ玩具にディスプレイを備えた場合の概略である。
【図4】本発明によるかくれんぼ玩具による遊技の流れを示す流れ図である。
【図5】本発明によるかくれんぼ玩具の基本形(ディスプレイがない場合)の内部構成の概要である。
【図6】本発明によるかくれんぼ玩具の基本形(ディスプレイがある場合)の内部構成の概要である。
【図7】本発明によるかくれんぼ玩具を携帯電話端末を用いて実現した実施例における通信の概略である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を発生して発見を促す遊技を行うための玩具であって、
音声が記憶されている記憶手段と、
遊技を開始させる開始手段と、
遊技を終了させる終了手段と、
音声を発生する音声発生手段と、
前記開始手段の付勢に応答してこの玩具の動作を開始させ、前記記憶手段に記憶されている音声を前記音声発生手段によって所定のタイミングで発生させ、前記終了手段の付勢に応答してこの玩具の動作を終了させる制御手段と、
を備えていることを特徴とする玩具。
【請求項2】
請求項1記載の玩具において、
音声が発生されるタイミングと音量と音声の内容とを少なくとも含む音声情報を設定する設定手段を更に備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されており前記設定手段において設定された内容を有する音声を、前記設定手段において設定されたタイミング及び音量で、前記音声発生手段によって発生させることを特徴とする玩具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の玩具において、
画像を表示する表示手段を更に備えており、
前記記憶手段には表示されるべき画像が記憶され、
前記制御手段は、前記開始手段の付勢による遊技の開始と前記終了手段の付勢による遊技の終了との少なくとも一方に応答して、前記記憶手段に記憶されている画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする玩具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の任意の請求項に記載の玩具において、
外部からデータを入力するための入力手段と、
前記入力手段を介して外部から入力された新たなデータを用いて、前記記憶手段に記憶されている音声又は画像を更新する更新手段と、
を更に備えていることを特徴とする玩具。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の任意の請求項に記載の玩具において、前記記憶手段と、前記開始手段と、前記終了手段と、前記音声発生手段と、前記表示手段と、前記設定手段と、前記制御手段とは、それぞれが、携帯電話端末の有する対応の機能によって実現されることにより、携帯電話端末として実現され、前記音声発生手段によって発生される音声と前記表示手段によって表示される画像とが選択的にダウンロード可能であることを特徴とする玩具。
【請求項6】
記憶手段と、開始手段と、終了手段と、音声発生手段とを備えており音声を発生して発見を促す遊技を行うための玩具を制御する方法であって、
(a)前記開始手段の付勢に応答して遊技を開始させるステップと、
(b)ステップ(a)における遊技の開始に応答して、前記記憶手段に記憶されている音声を前記音声発生手段によって所定のタイミングで発生させるステップと、
(c)前記終了手段の付勢に応答して遊技を終了させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、前記玩具は設定手段を更に備えており、この方法は、更に、
(d)音声が発生されるタイミングと音量と音声の内容とを少なくとも含む音声情報を、前記設定手段において、ステップ(a)における遊技の開始の前に予め設定するステップを含み、
ステップ(b)では、ステップ(d)において設定された内容を有する音声を、ステップ(d)において設定されたタイミング及び音量で、発生させることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の方法において、前記玩具は表示手段を更に備えており、この方法は、更に、
(e)ステップ(a)における遊技の開始とステップ(c)における遊技の終了との少なくとも一方に応答して、前記記憶手段に記憶されている画像を前記表示手段に表示させる画像を表示するステップを更に備えていることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6ないし請求項8の任意の請求項に記載の方法において、前記玩具は入力手段を更に備えており、この方法は、更に、
(f)前記入力手段を介して外部から入力された新たなデータを用いて、前記記憶手段に記憶されている音声又は画像を更新するステップを更に備えていることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6ないし請求項9の任意の請求項に記載の方法において、前記記憶手段と、前記開始手段と、前記終了手段と、前記音声発生手段と、前記表示手段と、前記設定手段とは、それぞれが、携帯電話端末の有する対応の機能によって実現され、前記音声発生手段によって発生される音声と前記表示手段によって表示される画像とが選択的にダウンロード可能であることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−206(P2006−206A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177200(P2004−177200)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(591121498)株式会社ベネッセコーポレーション (30)
【Fターム(参考)】