説明

しごき装置を備えた縦型包装機

【課題】横シールの動作としごき手段の動作に関して、しごき部材のしごき経路をカムによって確定させて、包装速度が速くなった場合でもしごき部材が暴れた動作をするのを防止することができるしごき装置を備えた縦型包装機を提供する。
【解決手段】横シール部54a,54bが包装材61に接近・離間する動作に応じて、しごき機構のしごき駆動部21,22が第1カム機構30によるカム動作を行ってしごき材を駆動するとき、別の第2カム機構40によってしごき機構のしごき部材が辿るしごき経路が定められる。このしごき経路を辿るとき、しごき部材が筒状包装材に対して接触してしごき作用を与える。したがって、包装速度が速くなっても、しごき部材は唯一定められたしごき経路に沿って移動し、暴れた動作を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、縦型製袋充填包装機のような袋包装において横シールユニットと連動して作動し、袋に充填されている製品にしごき作用を与える袋包装におけるしごき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を袋に詰める袋詰めに関して、袋包装の際に袋の外側から製品を袋内に押し込むようにしごき動作を及ぼすことにより、袋内での製品位置の移動、或いは製品の充填率の向上を図ることがある。袋に充填される製品がしごきの対象となるものとして、例えば、お麸(小麦粉の粗粉で作った食品)が挙げられる。包装後において包装物が細長い袋に移動しないように、強制的に袋の外側からしごいて充填される。また、別の製品例として、ポテトチップス、コーンパフのようなスナック菓子や冷凍ポテト、インゲン、カボチャ等の冷凍食品がある。これらの製品は長さにばらつきがあり、また充填時の踊り状態によって横シール位置にまで跳ね上がることもあり、そのような場合、横シールの際にシールバー(熱溶着させるヒートシールバー)による製品の噛み込みが生じる。したがって、袋をしごくことによって製品をシールバーの作動位置から袋内に予め移動させておくことが必要であり且つ有効である。
【0003】
縦型製袋充填包装機のような縦型包装機に関連して用いられるしごき装置としては、縦型包装機に用いられる横シールユニットが筒状包装材に横シールを施す際の動作を利用して、しごき動作をするものがある。例えば、横シールボックス全体を上下動させ、そのストロークの何割かをしごき動作のための動作として利用する形式のものがある。これとは別に、横シールボックスについては上下動をさせないが、シリンダ等の別駆動源を備えておき、横シールブロックの開閉の間に当該別駆動源によってしごき部材にしごき動作を行わすものがある。
【0004】
本出願人は、縦型製袋充填包装機のしごき装置として、二つの互いに接離する横シール部を備えた横シールユニットにより包装筒に横シールして該包装筒内に製品としてのばらものを落下充填した後に、該包装筒の横シール部よりも所要上を横シール部と同方向から挟んで横シール部が閉じないうちに該横シール部よりも下方へしごくことで、製品を横シール部が噛み込まないようにしたしごき装置を提案している(特許文献1参照)。また、横シールユニットによって熱シールされる扁平部を形成するためのシゴキ装置として、一対のスクレーパとその下方で上下方向に移動可能に設けられた一対のシゴキブロックを備えたものが提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特公平6−76087号公報(段落[0007]〜[0011]、図1〜図3)
【特許文献2】特開2005−112359号公報(段落[0027]〜[0043]、図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、横シール部が包装材に対して接近・離間する動作に合わせてしごき部材にしごき動作を行わせるときに、しごき駆動部がしごき部材を駆動させるカム機構と、しごきバーのような包装材に接近・当接するしごき部材にしごき経路(軌跡)を与えるカム機構とを分離する構造を創出する点で解決すべき課題がある。
【0006】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、横シール部が包装材に対して接近・離間する動作に合わせて、しごき部材が包装材に対してしごき作用を行うときに、しごき部材にしごき経路を与えるカムを分離させることで、しごき部材のしごき経路をカムによって確定させて、包装速度が速くなった場合でも、しごき部材が暴れた動作をするのを防止することができるしごき装置を備えた縦型包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、この発明によるしごき装置を備えた縦型包装機は、内部に包装物が投入され且つ縦方向に送られる筒状包装材を間に対向して配置されて互いに接離する動作をし、接近時に前記筒状包装材を挟圧して前記筒状包装材にシールをする2つの横シール部を有する横シールユニット、及び前記各横シール部に関連してそれぞれ配設されており前記両横シール部の前記接離する動作に連動して前記筒状包装材に対してしごき動作をするしごき装置を備えており、前記しごき装置は、前記各横シール部に対して設けられており前記両横シール部の前記接離する動作に連動して駆動されるしごき駆動部と当該しごき駆動部によって駆動されて前記筒状包装材に対して接触してしごき作用を与えるしごき部材とを有するしごき機構、前記横シールユニットと前記しごき駆動部との間に配設されており前記しごき動作のために前記しごき駆動部に往復動作を与える第1カム機構、及び前記横シールユニットと前記しごき部材との間に配設されており前記しごき駆動部によって駆動される前記しごき部材のしごき経路を定める第2カム機構を備えていることから成っている。
【0008】
このしごき装置を備えた縦型包装機によれば、横シール部が包装材に接近・離間する動作に応じて、しごき機構のしごき駆動部が第1カム機構によるカム動作を行ってシール部材を駆動するとき、別の第2カム機構によってしごき機構のしごき部材が辿るしごき経路が定められる。このしごき経路を辿るとき、しごき部材が筒状包装材に対して接触してしごき作用を与える。したがって、包装速度が速くなっても、しごき部材は唯一定められたしごき経路に沿って移動し、暴れた動作を防止することができる。
【0009】
このしごき装置を備えた縦型包装機において、前記しごき機構は、前記第1カム機構によって前記往復動作をする前記しごき駆動部と、前記しごき駆動部によって駆動されるときに前記第2カム機構によって前記しごき経路を辿る前記しごき部材との間に生じる相対変位を吸収可能に構成することができる。しごき駆動部が第1カム機構によって往復動作をするとき、その往復動作に応じて、しごき部材が第2カム機構によってしごき経路を辿る動きをする。しごき経路は、第2カム機構によって定まった経路であるので、往復動作をするしごき駆動部とのメカ的な干渉を生じる可能性があるが、両者の間に生じる相対変位を吸収可能に構成することにより、そうしたメカ的な干渉を回避することができる。
【0010】
このしごき装置を備えた縦型包装機において、前記しごき駆動部は、前記各横シール部に対してそのシール長手方向両端においてそれぞれ当該シール長手方向に平行な共通軸線回りに回動可能なブラケットを備えており、前記しごき部材は、前記両ブラケットのそれぞれに対して前記軸線と直交関係にある軸線に沿って摺動可能に保持されているしごきアームと、当該両しごきアームの先端部を結んで配設されており前記筒状包装材に対して接触してしごき作用を与えるしごきバーとを備えており、前記しごき部材と前記しごき駆動部との間には、前記相対変位を吸収するためのばね手段を介装されることができる。しごき部のブラケットは、横シール部の往動作で包装材に接近するときの第1カム機構の作動によって、横シール部に対して回動する。ブラケットが回動をする際には、第2カムフォロワとして機能するしごきアームは、第2カム機構の固定カム板に形成されている第2カム溝によって案内される。この固定カム板の第2カム溝による案内によって、しごき部材は予め定められたしごき経路を辿る。しごきアームが回動する際に、しごき部材としごき駆動部との間に生じる相対変位、即ち、ブラケットとしごきアームとの間に生じる距離変化は、ばね手段が撓むことによってしごきアームがブラケットに対して摺動することで吸収される。このようにして、第1カム機構及び第2カム機構は、互いに機械的な干渉を回避することができる。
【0011】
このしごき装置を備えた縦型包装機において、前記第1カム機構は、第1カム溝が形成された第1固定カム板と、前記ブラケットとともに前記横シール部に対して回動可能に設けられており前記第1カム溝に嵌合する第1カムフォロワとを備えるものとすることができる。横シール部がブラケットとともに、筒状包装材に対して接近・離間するとき、第1カムフォロワが第1固定カム板に形成されている第1カム溝に嵌合した状態で案内される。このときのカム作動によってブラケットが横シール部に対して回動し、これによってしごき駆動部がしごき部材を駆動する。
【0012】
このしごき装置を備えた縦型包装機において、前記第2カム機構は、前記しごき経路に対応する第2カム溝が形成された第2固定カム板と、前記しごき部材に備わり前記第2カム溝に嵌合する第2カムフォロワとを備えるものとすることができる。第1カム機構によって、しごき部材が駆動されるとき、第2カムフォロワが第2固定カム板に形成されている第2カム溝に嵌合した状態で案内される。横シール部の往復動作においては、このときのカム作動によって、しごきバーは予め定められるしごき経路に沿って振れのない安定したしごき動作を行う。
【0013】
このしごき装置を備えた縦型包装機において、前記縦型包装機は、前記筒状包装材の内側に配置され且つ包装すべき製品が投入される充填筒、及び前記筒状包装材を前記充填筒の外側周面に沿って縦方向に送る送り機構を備えた縦型製袋充填包装機であるとすることができる。この縦型包装機は、縦型製袋充填包装機に適用することで、充填筒を通して投入される製品を高い包装速度で順次連続して包装することができる。
【0014】
縦型製袋充填包装機に適用した縦型包装機において、前記横シールユニットは、前記縦型包装機の固定フレームに対して縦方向に不動に取り付けられており、前記送り機構は前記筒状包装材を間欠的に送り、前記筒状包装材が停止中に前記シールをする間欠送り機構であるとすることができる。
【0015】
縦型製袋充填包装機に適用した縦型包装機において、前記横シールユニットは、前記縦型包装機の固定フレームに対して縦方向に往復動可能取り付けられており、前記送り機構は前記筒状包装材を連続的に送り、前記筒状包装材の送り中に前記シールをする連続送り機構であるとすることができる。横シールユニットは、縦型包装機の固定フレームに対して、ボックスモーション等の筒状包装材に対して接近・離間するだけでなく筒状包装材の送り方向の運動を組み合わせた複合運動をすることによって、連続的に送られる筒状包装材に対して筒状包装材を停止させることなく、横シールを施すことができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によるしごき装置を備えた縦型包装機は、上記のように構成されているので、横シール部の往動作のときに第1カム機構によってしごき駆動部がしごき部材を駆動するが、第2カム機構によってしごき部材が筒状包装材に接近してしごき動作をするときのしごき経路を定めているので、しごき部材は、第2カム機構が定めたしごき経路以外の無理なしごき動作をすることがなく、安定したしごき動作を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付した図面に基づいて、この発明によるしごき装置を備えた縦型包装機の実施例を説明する。図1は、この発明によるしごき装置を備えた縦型包装機の主要部の一例を示す図であって、(a)はその平面図、(b)は駆動部を示す概略図である。図2は図1に示す縦型包装機の主要部の正面図、図3及び図4は図1に示す縦型包装機の主要部の側面図であって、図3はしごき装置の微小時間毎の変遷を示す右側面図、図4はしごき装置のしごき動作が完了した状態を示す左側面図である。なお、実施例の説明において、「前後」とは、筒状包装材に横シールを施すために横シール部が包装材に対して接近・離間する方向(接近する方向を前とする)を指し、「左右」とは、当該横シール部が包装材に対して接近・離間する方向を正面に見て左右の方向(横シールの長手方向)を指す。
【0018】
本実施例によるしごき装置は、公知の縦型製袋充填包装機に適用可能である。図9において概略を示すように、縦型製袋充填包装機50は、ウェブ状包装材60を略筒状にまで曲成するフォーマ51と、フォーマ51の内部に挿通された製品充填筒52と、製品充填筒52の前側で曲成された包装材を筒状包装材61に成形する縦シール装置53と、製品充填筒52の左右両側を挟むように設けられており筒状包装材61を製品充填筒52の外側面との間に挟んで給送する送りベルト装置55と、製品充填筒52の下方に設けられた横シールユニット54とを備えている。連続するウェブ状の包装材60は、フォーマ51に導かれて製品充填筒52を包むように筒状に曲成され、送りベルト装置55により下方へ送られるとともに、製品充填筒52の一側で縦シール装置53によってウェブ端縁同士を縦ヒートシールすることによって筒状包装材61に形成される。製品充填筒52を通して被包装物である製品Sを筒状包装材61内に落下充填し、充填された製品Sの上下両位置において筒状包装材61を横シールユニット54によってシールすることで、製品Sが包装された袋包装体63を連続製造することができる。
【0019】
図9に示すように、横シールユニット54は、筒状包装材61を挟んで対向して配置された横シール部54a,54bを有しており、カッタ56を内蔵している。カッタ56は、例えば一方の横シール部54aに備わるヒータブロックの上下一対のヒートシールバー間において、他方の横シール部54bに向かって進退作動可能に配設されている。他方の横シール部54bには、ヒータブロックの上下一対のヒートシールバー間において、進出したカッタ56が入り込むことができるカッタ溝57が形成されている。横シールユニット54は、その作動時に側方から接近・離間し、横シール部54a,54bが筒状包装材61を挟み込んで先行する袋包装体63の口部と後続して形成される袋62の底部とにヒートシールを施す。このときに、カッタ56はカッタ溝57内に位置まで進出して筒状包装材61を切断し、先行して製造された袋包装体63を後続の袋62(筒状包装材61)から分離する。横シールユニット54の上方には、図示しないが、投入される製品Sを途中で一旦受け取り、且つ横シール部54a,54bが離間するときに、受け止めた製品Sを解放して袋62の底部まで投入するシャッタを設けることもできる。なお、図10には、従来構造のしごきアーム58,58とその先端部に掛け渡して設けられているしごきバー59の概略が示されている。
【0020】
横シールユニット54を駆動するため、図示しないサーボモータのような駆動モータ或いはエアシリンダのようなアクチュエータの出力を利用する駆動機構が用いられる。駆動機構の一例としては、上記特許文献1に記載されている機構と同様に、横シール開閉レバー(以下、「レバー」と略す。)を回転させ、当該回転を変換機構を介して横シール部54a,54bを互いに同期して接近・離間させる機構を挙げることができる。
【0021】
図1(b)に示すように、この駆動機構においては、中央軸11の回りに回動するレバー10の一端は例えばリンク12を介して横スライドブロック14に連結されており、横スライドブロック14の左右端部に案内シャフト16,16が取り付けられている。案内シャフト16,16は、固定フレーム2を貫通してスライド自在に支持されており、シール位置C−Cを越えて反対側にまで延びていて、それらの先端部に取付け具17,17によってカッタ56を内蔵する横シール部54aの横シールブロック18が取り付けられている。また、レバー10の他端は、リンク15及びその先端部における枢支軸19を介して横シール部54bの横シールブロック20に連結されている。レバー10の往復回転運動は、横シール部54bが筒状包装材61に対する進退動作に変換・伝達される。なお、案内シャフト16,16は、横シール部54aをスライド可能に支持している。
【0022】
横シールユニット54の構造によれば、駆動機構によってレバー10が中央軸11回りに回動するとき、リンク12、横スライドブロック14、両案内シャフト16,16及び横シールブロック18を介して横シール部54aが筒状包装材61に向かって進出・後退し、その一方で、リンク15、枢支軸19及び横シールブロック20を介して他方の横シール部54bが筒状包装材61に向かって横シール部54aと同期して進出・後退する。筒状包装材61は、横シール部54a,54bの各ヒータブロックによって同期して各側から挟み込まれ、両ヒータブロックの上下に位置する二組のヒートシールバー間で包装袋63の開口端部及び後続の包装袋の袋底端部が加熱・加圧されることでヒートシールが施される。
【0023】
しごき装置1において、横シールユニット54に関連して、筒状包装材61の各側にそれぞれ配設された一対のしごき機構が設けられている。特に図3に示すように、しごき機構は、それぞれ、横シールユニット54に対して設けられており横シールユニット54の筒状包装材61への接離する動作に連動して駆動されるしごき駆動部21,22と、しごき駆動部21,22によって駆動されて筒状包装材61に対して接触してしごき作用を与えるしごき部材とを有している。しごき駆動部21,22は、中間部に横シール部54a,54bの横シールブロック18,20に枢着された軸支部(支点ピン)24,24を有しており、各軸支部24には、左右に一対のブラケット23,23が取り付けられている。しごき部材は、両ブラケット23,23にそれぞれ摺動可能に挿通され先端にヘッド部26,26を有するしごきアーム25,25と、しごきアーム25,25のヘッド部26,26の先端部間に掛け渡されており筒状包装材61に対してその外側からしごき係合可能なしごきバー27とを備えている。
【0024】
しごき駆動部21,22において、ブラケット23,23が回動可能な軸支部24,24は、横シールブロック18,20のそれぞれに対して、シール長手方向両端において設けられており、且つそれぞれ当該シール長手方向に平行な共通軸となっている。また、しごき部材において、しごきアーム25,25は、ブラケット23,23のそれぞれに対してこの共通軸線と直交関係にある軸線に沿って摺動可能に保持されている。ブラケット23,23とヘッド部26,26との間には、しごきアーム25,25に挿通させる態様で、両者の相対変位を吸収するばね手段としてのコイルばね28,28が圧縮状態で嵌装されている。しごきアーム25,25はコイルばね28,28によってしごきバー27が飛び出す方向である前方に付勢されているが、しごきアーム25,25のテイル部29,29は、ブラケット23,23と当接するときには、しごきアーム25,25がそれ以上ブラケット23,23から抜け出るのを防止するストッパとなっている。このように、しごきバー27は、ブラケット23,23が横シールブロック18,20に対して回動し、更にしごきアーム25,25がブラケット23,23に対して摺動することで、横シールブロック18,20に対する位置(その位置に応じた姿勢)が変更可能である。
【0025】
横シールユニット54としごき駆動部21,22との間には、しごき動作のためにしごき駆動部21,22に往復動作を与える第1カム機構30,30が配設されている。即ち、横シールユニット54が筒状包装材61に接近し筒状包装材61を挟み込んでシールを施しその後離間する横シール往動作において、当該横シール往動作がしごき駆動部21,22によるしごき動作に変換されるのであるが、その際に、当該横シール往動作をブラケット23,23(したがって、しごきアーム25,25としごきバー27とからなるしごき部材)の軸支部24,24回りの回動往復動作に変換する変換機構として、第1カム機構30,30が設けられている。図4に一方の第1カム機構30が拡大して示されている。第1カム機構30は、しごき駆動部21,22において、左右方向いずれか一方(この例では図1において左側)のみに設けるので充分である。各第1カム機構30は、包装機の固定フレームに固定されている第1固定カム板31と、第1固定カム板31と協働するためブラケット23に設けられた第1カムフォロワ33とを備えている。この例では、第1カムフォロワ33は、軸支部24においてブラケット23に取り付けられているレバーの先端に設けられているので、ブラケット23に対する姿勢は一定であり、横シール部54a(54b)に対して軸支部24の回りにブラケット23とともに回動可能である。また、第1固定カム板31は、筒状包装材61を挟む左右対称位置に配置されている。
【0026】
各固定カム板31には、第1カムフォロワ33が嵌合して第1カムフォロワ33の動きを案内する第1カム溝32が形成されている。第1カム溝32は、横シール往動作の動作開始付近と動作終了付近とでそれぞれブラケット23の姿勢を変化させることなく第1カムフォロワ33が通過するのみの平行カム溝部34,35と、平行カム溝部34,35の間で両カム溝部34及び35と接続しており且つ第1カムフォロワ33が通過するときにブラケット23の姿勢(軸支部24回りの傾き)を変化させる回動用カム溝部36とを有している。回動用カム溝部36は傾斜溝となっており、その結果、第1カム溝32は全体として段差状のプロフィールを有している。
【0027】
固定フレームとしごき部材との間には、しごき部材がしごき駆動部21,22によって駆動されるときに、しごきバー27が辿るしごき経路を定める第2カム機構40が配設されている。即ち、第2カム機構40は、しごきバー27が辿るべきしごき経路に対応する第2カム溝42,42が形成された第2固定カム板41と、しごき部材のヘッド部26,26に備わりそれぞれが第2カム溝42,42に嵌合する第2カムフォロワ43,43とを備えている。それゆえ、第1カム機構30によって、しごき部材が軸支部24回りに駆動されて往復回動するとき、第2カムフォロワ43が第2固定カム板41に形成されている第2カム溝42に嵌合した状態で案内されることで、しごき部材であるしごきバー27(したがって、しごきアーム25)のブラケット23に対する進出・後退量が定められ、しごきバー27は第2カム溝42によって予め一義的に定められたしごき経路を辿ることになる。横シール部54a,54bの往復動作においては、このときのカム作動によって、しごきバー27は予め定められるしごき経路に沿って振れのない安定したしごき動作を行う。
【0028】
第2カム機構40は、固定フレーム2に取り付けられることで固定された左右の第2固定カム板41,41(図1)を備えている。各第2固定カム板41は、中心をシール位置C−Cに合わせて配置されており、前後側面から対称的なカムプロフィールを持つ第2カム溝42,42として形成されている。第2カム溝42,42は、上側ほどシール位置C−Cから遠ざかり、上端は第2カムフォロワ43,43を受け入れ且つ離脱可能に前後に開口しており、下側ほどシール位置C−Cに近い斜面に形成されており、最下部分は垂直なプロフィールとなっている。
【0029】
第2カム機構40の各第2カムフォロワ43は、各しごきアーム23のヘッド部26に左右外側に突出する態様で回転支持されて設けられており、第2カム溝42内を転動可能なローラーから成っている。横シールブロック18,20が往復動作をして、第1カム機構30によってブラケット23としごきアーム25及びしごきバー27とが回動するとき、第2カム機構40では各第2カムフォロワ43は、第2カム溝42内を案内されて移動する。このとき、第2カム溝42のプロフィールによって、ブラケット23としごきアーム25及びしごきバー27との間には相対変位が生じるが、しごきアーム25とブラケット23との間にはコイルばね28が介装されているので、この相対変位は、コイルばね28の弾性撓みによって吸収される。このように、しごき装置1においては、しごき駆動部21(22)の駆動元となる第1カム機構30と、それとは分離したしごき経路を与える第2カム溝42及び第2カムフォロワ43からなる第2カム機構40との間で、両者の作動中に生じる誤差はばね手段であるコイルばね28によって吸収される。
【0030】
図3には、第1カム機構30と第2カム機構40の作動について、各機構の特徴的な部分が時間の経過とともに変化していく様子が示されている。ここで、特徴的な部分とは、一方の軸支部24、しごきアーム25,25、しごきバー27,27、一方の第1カムフォロア33、及び第2カムフォロア43,43である。横シールブロック18,20の前進に伴って、しごきバー27は、第1カム機構30及び第2カム機構40の作用によって、横シール部54a,54bの前方を下側に向かって横切り、筒状包装材61に対してしごき動作をする。
【0031】
図8には、横シールユニット54の横シール部54a,54bが前進して筒状包装材61を挟み、筒状包装材61にヒートシールを施して、袋63を製造した状態が示されている。しごき駆動部21,22は、しごきバー27,27が筒状包装材61に対してしごき動作を終了した状態にある。横シール部54a,54bが前進して筒状包装材61をシールする状態では、シャッタ58,58が横シール部54a,54bの直上方において筒状包装材61を挟み、製品Sがそれ以上下側に落下するのを防止している。シャッタ58,58は、ばねによる緩衝作用を以て横シール部54a,54bに設けられている。
【0032】
図5〜図8は、本発明によるしごき装置を備えた縦型包装機の作動を時間の経過に伴って説明する図である。以下、第1カム機構30については前後一対設けられているが、一方の第1カム機構30について説明し、第2カム機構40についても左右一対設けられているが一方第2カム機構40についてのみ、符号を用いて説明する。残る他方の機構についても同様の作動を生じているが、これらについては説明を省略する。図5は、しごき装置1によるしごき動作開始前の状態を示す図である。横シール部54a(54b)は後退した位置にあり、筒状包装材61とは非接触状態にある。第1カム機構30においては、第1カムフォロワ33が第1固定カム板31の第1カム溝34においてその下側の平行カム溝部34の後方位置に位置している。第2カム機構40においては、第2カムフォロア43が第2固定カム板41の第2カム溝42の外にある。その結果、しごきアーム25は、コイルばね28によって付勢されているがテイル部29がブラケット23と当接することでブラケット23から抜け出さない状態にあり、且つ筒状包装材61に接触しないように比較的起立した姿勢を占めている。
【0033】
図6は、横シール部54a(54b)が図5に示す位置から筒状包装材61に対して前進し、しごきバー27が筒状包装材61に当接開始した状態を示す。図6に示す状態では、横シール部54a(54b)が前進するに伴って、軸支部24を介してしごき駆動部21(22)も全体として前進する。第1カム機構30において、第1カムフォロワ33が第1固定カム板31の第1カム溝32においてその下側の平行カム溝部34にあるので、カム駆動部21(22)及びしごき部材は、回動することなく、しごきバー27が筒状包装材61に接触するまでそのままの姿勢で筒状包装材61に向かう。第2カム機構40においては、第2カムフォロワ43は、第2カム溝42の入り口44到達するまで、姿勢を維持しながら筒状包装材61に向かう。
【0034】
図7は、横シール部54a(54b)が図6に示す位置から筒状包装材61に対して更に前進し、しごきバー27が筒状包装材61に当接してしごき作用を及ぼしている状態を示す。第1カム機構30においては、第1カムフォロワ33が第1固定カム板31の第1カム溝32においてその回動用カム溝部36によって案内され、回動用カム溝部36を通過するときのカム作用によって、ブラケット23を含むしごき駆動部21(22)と、しごきアーム25及びしごきバー27から成るしごき部材とが軸支部24の回りに回動する。しごき駆動部21(22)としごき部材とのかかる回動に対応して、第2カム機構40では、第2カムフォロワ43が第2固定カム板41の第2カム溝42に案内されてしごき部材が第2カム溝42に対応したしごき経路を辿る。しごきバー27は、しごき経路を辿るときに、横シール部54a(54b)の前方を、筒状包装材61を押しながら素早く上方から下方へと移動し、筒状包装材61に対してしごき作用を及ぼす。
【0035】
図8は、しごき装置1によるしごき動作が完了した状態を示す図である。横シール部54a(54b)は、最も前進した位置を占めて筒状包装材61を挟み込んでヒートシールをしている状態にある。第1カム機構30においては、第1カムフォロワ33が第1固定カム板31の第1カム溝32の回動用カム溝部36から平行カム溝部35に移動しているので、その最前部分に到達するまでしごき駆動部21(22)やしごき部材を更に回動させるようなことはない。第2カム機構40では、第2カムフォロア43は、固定カム板41の第2カム溝42に嵌入して、その最下部に到達している。しごきバー27は、横シール部54a(54b)が筒状包装材61を挟み込み完了する前に筒状包装材61を挟み込んでしごき切り、しごき動作は完了している。しごきバー27は、横シール部54a(54b)の先端直下の位置を占めている。袋包装体63は、横シール部54a(54b)内の組み込まれているカッタ56の切断作用によって筒状包装材61から切り離される。
【0036】
図6に示す状態から図8に示す状態にまで移動する間、ブラケット23の軸支部24と第2固定カム板41の第2カム溝42との間の距離には変化(次第に短くなる)があるが、この距離変化は、コイルばね28の撓み(更に圧縮する撓み)を伴ってしごきアーム25がブラケット23に対して摺動(後退)をすることで吸収される。コイルばね28の反発力によって、第2カムフォロワ43は第2カム溝42の前側カム面に押し当てられた状態が維持される。
【0037】
横シール部54a(54b)が図8に示す状態から後退するときには、しごき部材は、往動作のときの経路を逆に辿って、復帰する。具体的には、横シール部45a(45b)の復動作で、第1カムフォロワ33が第1カム溝32の平行カム溝部35から回動用カム溝部36を通過するとき、各しごきバー27は第2カム機構40の第2カム溝42の開口部44から外に出て、図5に示す当初位置に戻る。
【0038】
第1固定カム板31及び第2固定カム板41は、横シール部54a(54b)のフレームに設けられている。横シール部54a(54b)がボックスモーションをしない、即ち、包装材は間欠送りで、包装材が停止中に、横シール部が接近・離間する動作を行う型式のものでは、両カム板31,41は、装置フレームのような固定フレームに固定される。しかしながら、横シール部54a(54b)がボックスモーションをする、即ち、包装材は連続送りであり、移動中の包装材にしごきと横シールとを行う型式のものでは、両カム板31,41は、ボックスモーションをするフレームに設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明によるしごき装置を備えた縦型包装機の主要部の一例を示す平面図。
【図2】図1に示す縦型包装機の主要部の正面図。
【図3】図1に示す縦型包装機の主要部の側面図であって、しごき装置の微小時間毎の変遷を示す右側面図。
【図4】図1に示す縦型包装機の一方の第1カム機構を拡大して示す図である。
【図5】本発明によるしごき装置を備えた縦型包装機の作動を時間の経過に伴って説明する図であり、しごき装置のしごき動作開始前の要部の状態を示す側面図。
【図6】図5に示す状態の後、しごき動作開始時の要部の状態を示す側面図。
【図7】図6に示す状態の後、しごき装置のしごき動作中の状態を示す側面図。
【図8】図7に示す状態の後、しごき装置のしごき動作が完了した状態を示す側面図。
【図9】従来の縦型製袋充填包装機の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0040】
1 しごき装置 2 固定フレーム
10 レバー 11 中央軸
12 リンク 14 横スライドブロック
15 リンク 16,16 案内シャフト
17,17 取付け具 19 枢支軸
18,20 横シールブロック 21,22 しごき部
23,23 ブラケット 24 軸支部(支点ピン)
25,25 しごきアーム 26,26 ヘッド部
27 しごきバー 28,28 コイルばね
29 テイル部(ストッパ)
30 第1カム機構 31,31 第1固定カム板
32,32 カム溝 33,33 第1カムフォロワ
34,34 平行カム溝部 35,35 平行カム溝部
36,36 回動用カム溝部
40 第2カム機構 41,41 第2固定カム板
42,42 第2カム溝 43,43 第2カムフォロア
44,44 開口部
50 縦形製袋充填包装機 51 フォーマ
52 製品充填筒 53 縦シール装置
54 横シールユニット 54a,54b 横シール部
55 送りベルト装置 56 カッタ
57 カッタ溝 58,58 シャッタ
60 ウェブ状包装材 61 筒状包装材
62 袋 63 袋包装体
C−C シール位置 S 製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に包装物が投入され且つ縦方向に送られる筒状包装材を間に対向して配置されて互いに接離する動作をし、接近時に前記筒状包装材を挟圧して前記筒状包装材にシールをする2つの横シール部を有する横シールユニット、及び前記各横シール部に関連してそれぞれ配設されており前記両横シール部の前記接離する動作に連動して前記筒状包装材に対してしごき動作をするしごき装置を備えており、
前記しごき装置は、
前記各横シール部に対して設けられており前記両横シール部の前記接離する動作に連動して駆動されるしごき駆動部と当該しごき駆動部によって駆動されて前記筒状包装材に対して接触してしごき作用を与えるしごき部材とを有するしごき機構、
前記横シールユニットと前記しごき駆動部との間に配設されており前記しごき動作のために前記しごき駆動部に往復動作を与える第1カム機構、及び
前記横シールユニットと前記しごき部材との間に配設されており前記しごき駆動部によって駆動される前記しごき部材のしごき経路を定める第2カム機構
を備えていることから成るしごき装置を備えた縦型包装機。
【請求項2】
前記しごき機構は、前記第1カム機構によって前記往復動作をする前記しごき駆動部と、前記しごき駆動部によって駆動されるときに前記第2カム機構によって前記しごき経路を辿る前記しごき部材との間に生じる相対変位を吸収可能に構成されていることから成る請求項1に記載のしごき装置を備えた縦型包装機。
【請求項3】
前記しごき駆動部は、前記各横シール部に対してそのシール長手方向両端においてそれぞれ当該シール長手方向に平行な共通軸線回りに回動可能なブラケットを備えており、
前記しごき部材は、前記両ブラケットのそれぞれに対して前記軸線と直交関係にある軸線に沿って摺動可能に保持されておりしごきアームと、当該両しごきアームの先端部を結んで配設されており前記筒状包装材に対して接触してしごき作用を与えるしごきバーとを備えており、
前記しごき部材と前記しごき駆動部との間には、前記相対変位を吸収するためのばね手段が介装されていることから成る請求項2に記載のしごき装置を備えた縦型包装機。
【請求項4】
前記第1カム機構は、第1カム溝が形成された第1固定カム板と、前記ブラケットとともに前記横シール部に対して回動可能に設けられており前記第1カム溝に嵌合する第1カムフォロワとを備えていることから成る請求項3に記載のしごき装置を備えた縦型包装機。
【請求項5】
前記第2カム機構は、前記しごき経路に対応する第2カム溝が形成された第2固定カム板と、前記しごき部材に備わり前記第2カム溝に嵌合する第2カムフォロワとを備えていることから成る請求項3に記載のしごき装置を備えた縦型包装機。
【請求項6】
前記縦型包装機は、前記筒状包装材の内側に配置され且つ包装すべき製品が投入される充填筒、及び前記筒状包装材を前記充填筒の外側周面に沿って縦方向に送る送り機構を備えた縦型製袋充填包装機であることから成る請求項1〜5のいずれか1項に記載のしごき装置を備えた縦型包装機。
【請求項7】
前記横シールユニットは、前記縦型包装機の固定フレームに対して縦方向に不動に取り付けられており、前記送り機構は前記筒状包装材を間欠的に送り、前記筒状包装材が停止中に前記シールをする間欠送り機構であることから成る請求項6に記載のしごき装置を備えた縦型包装機。
【請求項8】
前記横シールユニットは、前記縦型包装機の固定フレームに対して縦方向に往復動可能取り付けられており、前記送り機構は前記筒状包装材を連続的に送り、前記筒状包装材の送り中に前記シールをする連続送り機構であることから成る請求項6に記載のしごき装置を備えた縦型包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−155640(P2010−155640A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335357(P2008−335357)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】