説明

アクチュエータ用位置検出器

【課題】位置検出機構の本体部をアクチュエータのハウジングに対して確実にロックされた状態で固定し、ネジ軸部のナットに対する緩みが生じることを防止する。
【解決手段】位置検出機構11と第1固定機構12とが備えられる。第1固定機構12は、本体部13に一体のネジ軸部15、ネジ軸部15に螺合する位置決めナット16及び固定ナット17、位置決めナット16及び固定ナット17の回転を規制する規制部材18、を備える。位置決めナット16は、ネジ軸部15をハウジング103に位置決めする。固定ナット17は、ネジ軸部15をハウジング103に固定する。ネジ軸部15及び本体部13の軸心が偏心して設けられる。本体部13が、ハウジング103のガイド部21に沿って変位可能に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに対して出力部が相対変位することで作動して航空機の機器を駆動するアクチュエータに用いられ、ハウジングに対する出力部の位置を検出する、アクチュエータ用位置検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハウジングに対して出力部が相対変位することで作動して航空機の機器を駆動するアクチュエータにおいては、ハウジングに対する出力部の位置を検出するアクチュエータ用位置検出器が用いられている。特許文献1では、ハウジングを構成するシリンダケースと出力部を構成するピストンとを備えるアクチュエータに用いられ、シリンダケースに対するピストンの位置を検出するアクチュエータ用位置検出器が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたアクチュエータ用位置検出器は、シリンダケースに取り付けられる本体部、ピストンに取り付けられるプローブとしての検出ロッド、検出ロッドに設けられたネジ軸部としてのおねじ部、おねじ部に螺合するナット、を備えて構成されている。そして、ナットは、おねじ部に螺合して締め付けられることで、検出ロッドをピストンに固定するように構成されている。尚、特許文献1では、おねじ部に螺合する1つのナットによって検出ロッドをピストンに固定する機構と、おねじ部に螺合する2つのナットによって検出ロッドをピストンに固定する機構とが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−349512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたアクチュエータ用位置検出器においては、検出ロッドに設けられたおねじ部に螺合するナットが締め付けられることで、検出ロッドがピストンに対して固定される。しかしながら、アクチュエータの作動に伴って生じる振動の影響等により、検出ロッドに回転方向の振動が作用した場合、検出ロッドに設けられたおねじ部がナットから緩んでしまう虞がある。
【0006】
尚、特許文献1に開示されているように2つのナットによって検出ロッドがピストンに固定される場合であっても、検出ロッドに回転方向の振動が作用した場合は、おねじ部のナットに対する緩みが生じる虞がある。また、2つのナットに対して緩み止めのワイヤが取り付けられたとしても、検出ロッドに回転方向の振動が作用した場合は、同様に、おねじ部のナットに対する緩みが生じる虞がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、位置検出機構の本体部又はプローブをアクチュエータのハウジング又は出力部に対して確実にロックされた状態で固定でき、ネジ軸部のナットに対する緩みが生じることを防止することができる、アクチュエータ用位置検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための第1発明に係るアクチュエータ用位置検出器は、ハウジングに対して出力部が相対変位することで作動して航空機の機器を駆動するアクチュエータに用いられ、前記ハウジングに対する前記出力部の位置を検出する、アクチュエータ用位置検出器に関する。そして、第1発明に係るアクチュエータ用位置検出器は、前記ハウジング及び前記出力部の一方に対して取り付けられる本体部、及び、前記ハウジング及び前記出力部の他方に対して取り付けられて前記本体部に対して変位するプローブ、を含む位置検出機構と、前記本体部又は前記プローブを前記ハウジング又は前記出力部に固定する第1固定機構と、を備え、前記第1固定機構は、前記本体部又は前記プローブに対して一体に又は固定されて設けられたネジ軸部と、前記ネジ軸部に螺合するとともに、前記ネジ軸部を前記ハウジング又は前記出力部に対して位置決めする位置決めナットと、前記ネジ軸部に螺合するとともに、前記ネジ軸部を前記ハウジング又は前記出力部に対して固定する固定ナットと、前記位置決めナット及び前記固定ナットの前記ネジ軸部に対する回転を規制する規制部材と、を含み、前記ネジ軸部の軸心が前記本体部又は前記プローブの軸心に対して偏心して設けられ、前記ネジ軸部が設けられた前記本体部又は前記プローブが、前記ハウジング又は前記出力部に設けられたガイド部に沿って変位可能に当該ハウジング又は当該出力部に支持されることを特徴とする。
【0009】
この構成によると、本体部又はプローブに設けられたネジ軸部に位置決めナットと固定ナットとが螺合し、ネジ軸部は、位置決めナットによって位置決めされ、固定ナットによって固定される。そして、位置決めナット及び固定ナットは、規制部材によってネジ軸部に対する緩み止めが図られる。更に、上記の構成によると、ネジ軸部が本体部又はプローブに対して偏心して設けられるとともに、ネジ軸部が設けられた本体部又はプローブがハウジング又は出力部のガイド部に支持される。このため、アクチュエータの作動に伴って生じる振動の影響等により、本体部又はプローブに回転方向の振動が作用した場合であっても、軸心が偏心したネジ軸部は回転不能となる。よって、ネジ軸部の位置決めナット及び固定ナットに対する緩みが生じることが確実に防止される。そして、本体部又はプローブがハウジング又は出力部に対して確実にロックされた状態で固定されることになる。
【0010】
従って、上記の構成によると、位置検出機構の本体部又はプローブをアクチュエータのハウジング又は出力部に対して確実にロックされた状態で固定でき、ネジ軸部のナットに対する緩みが生じることを防止することができる、アクチュエータ用位置検出器を提供することができる。
【0011】
尚、上記の構成によると、ネジ軸部が設けられた本体部又はプローブがハウジング又は出力部のガイド部に沿って変位可能に支持される。このため、ハウジング又は出力部に対する本体部又はプローブの位置を調整する必要が生じた場合には、必要なストロークだけ本体部又はプローブの位置をずらした状態で、位置決めナットによるネジ軸部の位置決めが行われることになる。これにより、ハウジング又は出力部に対する本体部又はプローブの位置を調整する作業が容易に行われることになる。また、このような調整作業が繰り返し行われた場合であっても、上記の構成によると、本体部又はプローブがハウジング又は出力部に対して確実にロックされ、ネジ軸部のナットに対する緩みが生じることも防止される。即ち、上記の構成によると、調整作業が繰り返し行われた場合であっても、ロック能力が低下することが防止されることになる。
【0012】
第2発明に係るアクチュエータ用位置検出器は、第1発明のアクチュエータ用位置検出器において、前記位置決めナットが前記ネジ軸部に対して回転しながら前記ハウジング又は前記出力部に対して当接して当該ネジ軸部を位置決めする際の回転方向と、前記固定ナットが前記ネジ軸部に対して回転しながら前記ハウジング又は前記出力部に対して当接して当該ネジ軸部を固定する際の回転方向とが、逆方向であることを特徴とする。
【0013】
この構成によると、1つのネジ軸部に対して逆方向に回転する2つのナットが設けられた簡素な構造によって、ネジ軸部の位置決め及び固定を行うための機構を容易に実現することができる。
【0014】
第3発明に係るアクチュエータ用位置検出器は、第1発明又は第2発明のアクチュエータ用位置検出器において、前記ガイド部は、前記ハウジング又は前記出力部に設けられ、前記本体部又は前記プローブの端部が摺動自在に挿入されて支持されるガイド穴として設けられていることを特徴とする。
【0015】
この構成によると、ガイド部が、本体部又はプローブの端部が摺動自在に挿入されて支持されるガイド穴として設けられる。このため、ハウジング又は出力部に対する本体部又はプローブの位置を調整するためのガイド部の構造を簡素な構成で実現することができる。
【0016】
また、前述の目的を達成するための第4発明に係るアクチュエータ用位置検出器は、ハウジングに対して出力部が相対変位することで作動して航空機の機器を駆動するアクチュエータに用いられ、前記ハウジングに対する前記出力部の位置を検出する、アクチュエータ用位置検出器に関する。そして、第4発明に係るアクチュエータ用位置検出器は、前記ハウジング及び前記出力部の一方に対して取り付けられる本体部、及び、前記ハウジング及び前記出力部の他方に対して取り付けられて前記本体部に対して変位するプローブ、を含む位置検出機構と、前記本体部又は前記プローブを前記ハウジング又は前記出力部に固定する第2固定機構と、を備え、前記第2固定機構は、前記本体部又は前記プローブに対して一体に又は固定されて設けられたネジ軸部と、前記本体部又は前記プローブに対して前記ハウジング又は前記出力部の一部を介して反対側で前記ネジ軸部に螺合するとともに、前記ネジ軸部を前記ハウジング又は前記出力部に対して固定する固定ナットと、前記ネジ軸部に係合するとともに前記ハウジング又は前記出力部に対しても係合する係合部材と、を含んでいることを特徴とする。
【0017】
この構成によると、本体部又はプローブに対してハウジング又は出力部の一部を介して反対側で本体部又はプローブに設けられたネジ軸部に固定ナットが螺合し、ネジ軸部が固定される。そして、ネジ軸部とハウジング又は出力部との両方に対して係合する係合部材によって、ネジ軸部のハウジング又は出力部に対する回転が規制される。即ち、アクチュエータの作動に伴って生じる振動の影響等により、本体部又はプローブに回転方向の振動が作用した場合であっても、ネジ軸部は回転不能となる。よって、ネジ軸部の固定ナットに対する緩みが生じることが確実に防止される。そして、本体部又はプローブがハウジング又は出力部に対して確実にロックされた状態で固定されることになる。
【0018】
従って、上記の構成によると、位置検出機構の本体部又はプローブをアクチュエータのハウジング又は出力部に対して確実にロックされた状態で固定でき、ネジ軸部のナットに対する緩みが生じることを防止することができる、アクチュエータ用位置検出器を提供することができる。
【0019】
尚、上記の構成によると、本体部又はプローブをハウジング又は出力部に固定する機構において、複数のナットが設けられることがなく、固定ナットとして設けられる1つのナットのみが設けられることになる。このため、本体部又はプローブをハウジング又は出力部に対して確実にロックでき、ネジ軸部のナットに対する緩みも防止できるアクチュエータ用位置検出器において、長手方向の寸法の増大が抑制されることになる。これにより、位置検出器が設置されるアクチュエータにおける長手方向の寸法の増大も抑制されることになる。
【0020】
第5発明に係るアクチュエータ用位置検出器は、第4発明のアクチュエータ用位置検出器において、前記係合部材は、前記固定ナットと前記ハウジング又は前記出力部との間に挟まれた状態で設置され、前記固定ナットが前記本体部又は前記プローブに向かって変位する方向に前記ネジ軸部に対して螺合することで、前記固定ナットと前記ハウジング又は前記出力部との間で締め付けられることを特徴とする。
【0021】
この構成によると、固定ナットによってネジ軸部が固定された状態では、係合部材が固定ナットとハウジング又は出力部との間で締め付けられる。このため、ネジ軸部のハウジング又は出力部に対する回転が規制された状態が強固に維持されることが、固定ナットによる固定動作が行われることで、効率よく達成されることになる。
【0022】
第6発明に係るアクチュエータ用位置検出器は、第4発明又は第5発明のアクチュエータ用位置検出器において、前記係合部材は、前記ネジ軸部を挟んだ位置で二股状に延びるように設けられる一対の突出部を有していることを特徴とする。
【0023】
この構成によると、一対の突出部の間にネジ軸部が挟まれるようにして係合部材がネジ軸部の側方からこのネジ軸部に対して取り付けられる。このため、係合部材がネジ軸部に対して容易に取り付けられることになり、本体部又はプローブをハウジング又は出力部に固定する作業の容易化が図られることになる。
【0024】
第7発明に係るアクチュエータ用位置検出器は、第6発明のアクチュエータ用位置検出器において、前記係合部材は、前記一対の突出部の間に設けられ、前記ネジ軸部に対して係合する突起部を有していることを特徴とする。
【0025】
この構成によると、一対の突出部の間にネジ軸部が挟まれるようにして係合部材がネジ軸部の側方からこのネジ軸部に対して取り付けられる際に、一対の突出部の間の突起部がネジ軸部に係合する。このため、ネジ軸部に対する係合部材の取り付け作業が行われる際に、係合部材をネジ軸部に対して係合させる作業も容易に行われることになる。
【0026】
第8発明に係るアクチュエータ用位置検出器は、第6発明又は第7発明のアクチュエータ用位置検出器において、前記一対の突出部のそれぞれにおける先端部には、前記係合部材が前記ネジ軸部に係合した状態で前記ハウジング又は前記出力部に対して係合するように屈曲形成される屈曲部が設けられることを特徴とする。
【0027】
この構成によると、係合部材がネジ軸部の側方からこのネジ軸部に対して取り付けられた後、一対の突出部のそれぞれの先端部が屈曲形成されるだけで、係合部材がネジ軸部に加えてハウジング又は出力部にも係合することになる。よって、ネジ軸部に対する係合部材の取り付け作業の容易化に加え、ハウジング又は出力部に対して係合させる作業の容易化も図られることになる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、位置検出機構の本体部又はプローブをアクチュエータのハウジング又は出力部に対して確実にロックされた状態で固定でき、ネジ軸部のナットに対する緩みが生じることを防止することができる、アクチュエータ用位置検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアクチュエータ用位置検出器が用いられるアクチュエータが航空機の舵面を駆動するシステムについて模式的に示す図である。
【図2】図1に示すアクチュエータの断面とアクチュエータ用位置検出器とを模式的に示す図である。
【図3】図2の一部を拡大して示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るアクチュエータ用位置検出器の要部を拡大して示す断面図である。
【図5】図4のA−A線矢視方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、ハウジングに対して出力部が相対変位することで作動して航空機の機器を駆動するアクチュエータに用いられ、ハウジングに対する出力部の位置を検出する、アクチュエータ用位置検出器に関して、広く適用することができるものである。
【0031】
尚、以下の実施形態では、圧力流体の供給及び排出に伴って作動する流体圧作動式のアクチュエータを例にとって説明するが、この例に限らず、ハウジングに対して出力部が相対変位することで作動して航空機の機器を駆動するアクチュエータであれば、本実施形態を適用することができる。例えば、電動モータを備え、この電動モータによる駆動に伴って作動する電動アクチュエータに対して、本実施形態が適用されてもよい。
【0032】
[第1実施形態]
まず、アクチュエータ用位置検出器が用いられるアクチュエータについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るアクチュエータ用位置検出器1が用いられるアクチュエータ100が航空機の舵面101を駆動するシステムについて模式的に示す図である。図2は、アクチュエータ100の断面とアクチュエータ用位置検出器1とを模式的に示す図であり、アクチュエータ100の構造及びアクチュエータ用位置検出器1のアクチュエータ100に対する設置形態を例示する図である。
【0033】
図1及び図2に示すアクチュエータ100は、航空機(図示省略)の舵面101を駆動する流体圧作動式のアクチュエータとして設けられている。尚、舵面101は、航空機の動翼(操縦翼面)として設けられており、例えば、主翼に設けられるエルロン(補助翼)や、水平尾翼に設けられる昇降舵(エレベータ)、垂直尾翼に設けられる方向舵(ラダー)、等として構成される。また、図1は、1つの舵面101が複数のアクチュエータ100によって駆動される形態を例示している。
【0034】
アクチュエータ100は、舵面101に連結されており、舵面100を駆動可能な流体圧作動式のシリンダ機構として構成され、例えば、油圧作動式のシリンダ機構として構成されている。そして、アクチュエータ100には、ロッド102a及びピストン102bを有する出力部102と、出力部102が軸方向に移動自在な状態で設置されるシリンダ103aを有するハウジング103と、が備えられている。
【0035】
シリンダ103a内は、ピストン102bにより、一対の圧力流体室(104a、104b)に区画されている。このアクチュエータ100は、一対の圧力流体室(104a、104b)に対して圧力流体(例えば、圧油)が供給及び排出されることで作動する。即ち、アクチュエータ100は、圧力流体の給排により、ロッド102aに固定されたピストン102bがシリンダ103a内で変位し、ハウジング103に対して出力部102が相対変位することで作動して航空機の機器である舵面101を駆動するように構成されている。
【0036】
また、図1の模式図に示すように、航空機の舵面101を駆動するアクチュエータ100の作動を制御するシステムにおいては、アクチュエータ100における一対の圧力流体室(104a、104b)と、圧力流体供給源105及びリザーバ回路106とを連通可能に構成された圧力流体回路が設けられている。尚、図1では、アクチュエータ100の作動を制御するシステムとして、舵面101を駆動する2つのアクチュエータ(100、100)のうちの一方のアクチュエータ100に対応するシステムが図示されており、他方のアクチュエータ100に対応するシステムの図示が省略されている。
【0037】
圧力流体供給源105は、圧力流体を供給するポンプを備えて構成され、図示しない航空機の機体側に設置されている。そして、リザーバ回路106は、圧力流体供給源105からの圧力流体として供給された後にアクチュエータ100から排出される圧力流体が流入して戻るタンク(図示せず)を備えるとともに、圧力流体供給源105に連通するように構成されている。尚、2つのアクチュエータ(100、100)のうちの一方のアクチュエータ100に接続された圧力流体供給源105及びリザーバ回路106と独立した系統して設けられた圧力流体供給源及びリザーバ回路(図示せず)が、他方のアクチュエータ100に接続されている。また、圧力流体供給源105及びリザーバ回路106は、舵面100以外の舵面(図示せず)を駆動するアクチュエータ(図示せず)にも接続されている。
【0038】
また、圧力流体供給源105及びリザーバ回路106と、アクチュエータ100との間の圧力流体回路には、制御弁107が設けられている。制御弁107は、圧力流体供給源105からの圧力流体を供給する流体通路として設けられた供給路105aを介して圧力流体供給源105に接続している。更に、制御弁107は、この制御弁107から排出された圧力流体をリザーバ回路106に排出する流体通路として設けられた排出路106aを介してリザーバ回路106に接続している。
【0039】
また、アクチュエータ100と制御弁107との間には、給排路(108a、108b)が設けられている。給排路108aは、制御弁107とアクチュエータ100の一方の圧力流体室104aとを接続する流体通路として設けられ、給排路108bは、制御弁107とアクチュエータ100の他方の油室104bとを接続する流体通路として設けられている。これらの給排路(108a、108b)は、圧力流体供給源105から供給される圧力流体とリザーバ回路106へ排出される圧力流体とが流動する流体通路として設けられている。
【0040】
上記のように、供給路105a、排出路106a、給排路(108a、108b)に接続された制御弁107は、アクチュエータ100における一対の圧力流体室(104a、104b)のそれぞれへ供給及び排出される圧力流体の経路を切り替え、アクチュエータ100の作動を制御する電油サーボ弁として設けられている。この制御弁107は、アクチュエータ100の動作を制御するアクチュエータコントローラ110からの指令信号に基づいて駆動される。そして、アクチュエータコントローラ110は、舵面101の動作を指令する更に上位のコンピュータであるフライトコントローラ109からの指令信号に基づいてアクチュエータ100を制御する。尚、フライトコントローラ109は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、メモリ、インターフェース等を備えて構成されている。
【0041】
次に、本実施形態に係るアクチュエータ用位置検出器1について詳しく説明する。図1及び図2に示すアクチュエータ用位置検出器1は、アクチュエータ100に設置され、ハウジング103に対する出力部102の位置を検出する位置検出器として設けられている。そして、図2によく示すように、アクチュエータ用位置検出器1は、位置検出機構11、固定機構12、等を備えて構成されている。尚、図2では、位置検出機構11は、外形が図示されており、固定機構12は、断面が図示されている。
【0042】
位置検出機構11は、本体部13及びこの本体部13に対して変位するプローブ14を有し、本体部13に対するプローブ14の相対位置を検出する機構として設けられている。そして、本実施形態では、本体部13がハウジング103に対して取り付けられ、プローブ14が出力部102に対して取り付けられている。尚、本体部13が出力部102に取り付けられ、プローブ14がハウジング103に取り付けられる形態が実施されてもよい。即ち、本体部13がハウジング103及び出力部102の一方に取り付けられ、プローブ14がハウジング103及び出力部102の他方に取り付けられていればよい。
【0043】
プローブ14は、軸状部材14a、軸状部材14aに一体に設けられた或いは固定された取付部14b及びコア14c、を有して構成されている。軸状部材14aは、出力部102のロッド102aにおける円筒状の部分の内側に設けられた穴102dにおいてロッド102aの軸方向に沿って延びるように設置されている。軸状部材14aは、例えば、SUS300系ステンレス鋼によって形成されている。
【0044】
取付部14bは、軸状部材14aの一端側の端部に設けられ、プローブ14を出力部102に取り付けるための部分として構成されている。そして、この取付部14bは、出力部102のロッド102aの端部に対して、例えば、内側の穴から挿入されて螺合することによって固定される。これにより、プローブ14は、出力部102に対して片持ち状に支持されている。また、この構成により、プローブ14は、出力部102とともに変位可能に設置されている。
【0045】
尚、例えば、軸状部材14aにおいて取付部14bに連続する部分には、取付部14bに設けられてロッド102aの端部に螺合するおねじ部分に連続するおねじ部分が設けられている。そして、取付部14b側から装着されて軸状部材14a側に螺合したナット14dが、取付部14bがロッド102aに螺合した状態で、ロッド102aに対して当接するように締め付けられる。これにより、プローブ14が、更に強固にロッド102に対して固定されている。
【0046】
また、プローブ14におけるコア14cは、軸状部材14aの他端側の端部に設けられ、本体部13の内側で本体部13に対して相対変位する可動鉄心として構成されている。このコア14cは、例えば、Fe−Niの合金であるパーマロイ、或いは、電磁軟鉄によって形成されている。
【0047】
本体部13は、ハウジング103における連結部103bに対して、後述する固定機構12を介して固定された、筒状の構造体として設けられている。本体部13は、ハウジング103に対して連結部103bにて片持ち状に支持されて固定されており、本体部13において連結部103bに固定される側と反対側は、ロッド102の穴102dの内側に対して、空隙を介して挿入されている。尚、連結部103bは、ハウジング103において、シリンダ103aに対して一体に又は固定されて設けられ、舵面101を揺動自在に支持する翼(図示省略)に対して揺動可能に連結される部分として設けられている。
【0048】
そして、本体部13の内側には、プローブ14の他端側の端部が挿入され、コア14cが本体部13の内側で本体部13に対して相対変位可能に配置されている。また、図2では、図示が省略されているが、本体部13は、その内側において、本体部13に対するプローブ14のコア14cの位置を検出した位置検出信号を出力する位置検出信号出力部が設けられている。
【0049】
上記の位置検出信号出力部は、本体部13に保持されるとともに内側にコア14cが変位可能に配置されるコイルを有している。そして、この位置検出信号出力部は、入力電圧が印加されて励磁される1次側のコイルと、1次側のコイルが励磁された状態でコア14cが変位することによって誘起電圧が発生する2次側のコイルとを有し、2次側のコイルで発生した誘起電圧に基づく信号を位置検出信号として出力する。尚、この位置検出信号は、例えば、図示が省略されたケーブルを介してフライトコントローラ109へと送信される。
【0050】
固定機構12は、本実施形態では、第1固定機構として構成されている。そして、固定機構12は、本体部13をハウジング103に対して固定する機構として設けられている。尚、固定機構12は、本体部13を出力部102に対して固定する機構として設けられてもよい。また、固定機構12は、プローブ14をハウジング103又は出力部102に対して固定する機構として設けられてもよい。即ち、固定機構12は、本体部13又はプローブ14をハウジング103又は出力部102に固定する機構として設けられればよい。
【0051】
図3は、図2の一部を拡大して示す図であって、固定機構12及びその近傍を拡大して示す図である。図3によく示すように、固定機構12は、ネジ軸部15、位置決めナット16、固定ナット17、規制部材18、等を備えて構成されている。
【0052】
ネジ軸部15は、本体部13の端部に対して一体に又は固定されて設けられ、外周におねじ部分が設けられて本体部13及びプローブ14の軸方向と平行に延びる軸状の部分として、設けられている。このネジ軸部15は、例えば、溶接によって本体部13に対して固定され、或いは、本体部13の加工が行われる際に本体部13とともに同一の素材から削り出されることによって本体部13に一体に設けられている。
【0053】
また、図3にて一点鎖線C2で示すネジ軸部15の軸心C2は、図3にて一点鎖線C1で示す本体部13の軸心C1に対して偏心して設けられている。即ち、ネジ軸部15の軸心C2は、本体部13の軸心C1からずれて配置されている。また、ネジ軸部15の軸心C2が延びる方向と、本体部13の軸心C1が延びる方向とは、平行に配置されている。尚、ネジ軸部15の軸心C2は、直線状に延びるネジ軸部15の軸方向と垂直な断面において径方向中心位置が連続する線である中心線として構成される。また、本体部13の軸心C1は、円筒状に延びる本体部13の軸方向と垂直な断面において径方向中心位置が連続する線である中心線として構成される。
【0054】
また、ハウジング103において本体部13が固定機構12によって固定される連結部103bには、貫通孔19、ネジ軸部挿通孔20、ガイド部21、が設けられている。貫通孔19は、連結部103bにおいて貫通形成された中空領域として設けられている。そして、貫通孔19は、位置決めナット16及び固定ナット17が設置されるとともに、ネジ軸部15が突出する領域として設けられている。ネジ軸部挿通孔20は、本体部13から突出するネジ軸部15が挿通されるように貫通形成された孔として設けられている。
【0055】
ガイド部21は、ハウジング103の連結部103bに設けられた開口部22において、更に段状に凹み形成された領域として設けられている。尚、開口部22は、ハウジング103の内側で外部に対して開口するとともに本体部13の端部が挿入される領域として設けられている。そして、ガイド部21は、本体部13の端部が摺動自在に挿入されて支持される円形断面のガイド穴として設けられている。即ち、本体部13の端部がガイド部21に挿入されることで、ガイド部21の周壁に本体部13の端部の外周が摺動することになる。これにより、ネジ軸部15が設けられた本体部13は、ハウジング103に設けられたガイド部21に沿って変位可能にハウジング103に支持される。
【0056】
位置決めナット16は、ネジ軸部15に螺合するとともに、ネジ軸部15をハウジング103に対して位置決めするナットとして設けられている。そして、固定ナット17は、ネジ軸部15に螺合するとともに、ネジ軸部15をハウジング103に対して固定するナットとして設けられている。位置決めナット16は、ネジ軸部15に対して、固定ナット17よりも本体部13側で螺合するように設置される。即ち、固定ナット17が、ネジ軸部15に対して、調整ナット16よりも、本体部13と反対側であるネジ軸部15の先端側で螺合するように設置される。
【0057】
位置決めナット16及び固定ナット17がネジ軸部15に取り付けられる際には、まず、位置決めナット16及び固定ナット17が、ハウジング103の外側から貫通孔19に挿入され、この貫通孔19内に配置される。そして、ネジ軸部15がネジ軸部挿通孔20を経て貫通孔19に挿通される。このとき、貫通孔19内において、位置決めナット16が先にネジ軸部15に螺合して取り付けられ、次いで、固定ナット17がネジ軸部15に螺合して取り付けられる。尚、位置決めナット16及び固定ナット17の上記の取り付けが行われる際には、ネジ軸部15がハウジング103のネジ軸部挿通孔20に対して軸方向に真っ直ぐに回転させられずに挿入され、位置決めナット16及び固定ナット17がネジ軸部15に対して回転して螺合しながら取り付けられる。また、このとき、本体部13の端部が、ガイド部21に挿入されて支持される。
【0058】
また、位置決めナット16は、ネジ軸部15に対して回転しながらハウジング103におけるネジ軸部挿通孔20の縁部分20aに対して当接してネジ軸部15を位置決めする。これにより、ネジ軸部15とともに本体部13のハウジング103に対する位置も位置決めされることになる。一方、固定ナット17は、ネジ軸部15に対して回転しながらハウジング103における貫通孔19の端部壁19aに対して当接してネジ軸部15を固定する。これにより、ネジ軸部15とともに本体部13がハウジング103に対して固定される。上記により、位置決めナット16がネジ軸部15に対して回転してネジ軸部15を位置決めする際の回転方向と、固定ナット17がネジ軸部15に対して回転してネジ軸部15を固定する際の回転方向とは、逆方向にとなるように構成されている。
【0059】
尚、貫通孔19の端部壁19aには、ネジ軸部15の先端部が挿入される逃がし穴19bが設けられている。これにより、ネジ軸部15における固定ナット17が螺合する部分よりも更に先端側の部分が、逃がし穴19bに突出し、ネジ軸部15が、固定ナット17に対して貫通した状態で螺合できることになる。
【0060】
また、位置決めナット16によるネジ軸部15の位置決めが行われ、固定ナット17によるネジ軸部15の固定が行われた状態では、ガイド部21に挿入された本体部13の端部とガイド部21の底部分21aとの間には、空隙23が形成されている。ネジ軸部15の軸方向と平行な方向における空隙23の距離寸法は、位置決めナット16がネジ軸部15の軸方向の中途位置に設置されてネジ軸部15を位置決めする位置に応じて、変化することになる。
【0061】
規制部材18は、位置決めナット16及び固定ナット17のネジ軸部15に対する回転を規制する回り止め部材として設けられ、本実施形態では、位置決めナット16及び固定ナット17の両方に対して掛け止められるワイヤとして構成されている。位置決めナット16及び固定ナット17のそれぞれには、ワイヤとしての規制部材18が挿通されて係合する貫通孔が形成されている。例えば、規制部材18は、位置決めナット16及び固定ナット17に対してそれらに形成された貫通孔を挿通するように掛け回され、更に捩じられる。これにより、規制部材18は、位置決めナット16及び固定ナット17の緩み止めを図ってそれらの回転をロックするように構成されている。
【0062】
尚、規制部材18は、ワイヤ以外の形態として構成されてもよい。例えば、規制部材18が、ネジ軸部15及び位置決めナット16を貫通するピン部材と、ネジ軸部15及び固定ナット17を貫通するピン部材と、を備えて構成されていてもよい。この場合、例えば、上記のピン部材は、ネジ軸部15及び位置決めナット16、或いは、ネジ軸部15及び固定ナット17を貫通した状態で、その両端部が屈曲形成されて抜け止めが図られるように構成されてもよい。
【0063】
以上説明したように、アクチュエータ用位置検出器1によると、本体部13に設けられたネジ軸部15に位置決めナット16と固定ナット17とが螺合し、ネジ軸部15は、位置決めナット16によって位置決めされ、固定ナット17によって固定される。そして、位置決めナット16及び固定ナット17は、規制部材18によってネジ軸部15に対する緩み止めが図られる。更に、アクチュエータ用位置検出器1によると、ネジ軸部15の軸心C2が本体部13の軸心C1に対して偏心して設けられるとともに、ネジ軸部15が設けられた本体部13がハウジング103のガイド部21に支持される。このため、アクチュエータ100の作動に伴って生じる振動の影響等により、本体部13に回転方向の振動が作用した場合であっても、軸心C2が本体部13の軸心C1から偏心したネジ軸部15は回転不能となる。よって、ネジ軸部15の位置決めナット16及び固定ナット17に対する緩みが生じることが確実に防止される。そして、本体部13がハウジング103に対して確実にロックされた状態で固定されることになる。
【0064】
従って、本実施形態によると、位置検出機構11の本体部13をアクチュエータ100のハウジング103に対して確実にロックされた状態で固定でき、ネジ軸部15のナット(16、17)に対する緩みが生じることを防止することができる、アクチュエータ用位置検出器1を提供することができる。
【0065】
また、アクチュエータ用位置検出器1によると、ネジ軸部15が設けられた本体部13がハウジング103のガイド部21に沿って変位可能に支持される。このため、ハウジング103に対する本体部13の位置を調整する必要が生じた場合には、必要なストロークだけ本体部13の位置をずらした状態で、位置決めナット16によるネジ軸部15の位置決めが行われることになる。これにより、、ハウジング103に対する本体部13の位置を調整する作業が容易に行われることになる。また、このような調整作業が繰り返し行われた場合であっても、アクチュエータ用位置検出器1によると、本体部13がハウジング103に対して確実にロックされ、ネジ軸部15のナット(16、17)に対する緩みが生じることも防止される。即ち、アクチュエータ用位置検出器1によると、調整作業が繰り返し行われた場合であっても、ロック能力が低下することが防止されることになる。
【0066】
また、アクチュエータ用位置検出器1によると、1つのネジ軸部15に対して逆方向に回転する2つのナット(16、17)が設けられた簡素な構造によって、ネジ軸部15の位置決め及び固定を行うための機構を容易に実現することができる。
【0067】
また、アクチュエータ用位置検出器1によると、ガイド部21が、本体部13の端部が摺動自在に挿入されて支持されるガイド穴として設けられる。このため、ハウジング103に対する本体部13の位置を調整するためのガイド部21の構造を簡素な構成で実現することができる。
【0068】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るアクチュエータ用位置検出器2について説明する。図4は、アクチュエータ用位置検出器2の要部を拡大して示す断面図であって、アクチュエータ100のハウジング103における第1実施形態の図3に対応する箇所を示す図である。また、図5は、図4のA−A線矢視方向から見た図である。尚、図5は、図4に対して拡大して示している。
【0069】
第2実施形態のアクチュエータ用位置検出器2は、第1実施形態のアクチュエータ用位置検出器1と同様に、アクチュエータ100に設置され、ハウジング103に対する出力部102の位置を検出する位置検出器として設けられる。そして、アクチュエータ用位置検出器2は、第1実施形態のアクチュエータ用位置検出器1と同様に、位置検出機構11、固定機構24、等を備えて構成されている。但し、第2実施形態は、固定機構24の構成と、アクチュエータ100において固定機構24が設置される部分の構造とにおいて、第1実施形態と異なっている。尚、以下の第2実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様に構成される要素についての説明については、図面において同一の符号を付すことで、或いは、同一の符号を引用することで、説明を省略する。
【0070】
図4及び5に示すアクチュエータ用位置検出器2の固定機構24は、本実施形態では、第2固定機構として構成されている。そして、固定機構24は、本体部13をハウジング103に対して固定する機構として設けられている。尚、固定機構24は、本体部13を出力部102に対して固定する機構として設けられてもよい。また、固定機構24は、プローブ14をハウジング103又は出力部102に対して固定する機構として設けられてもよい。即ち、固定機構24は、本体部13又はプローブ14をハウジング103又は出力部102に固定する機構として設けられればよい。
【0071】
固定機構24は、ネジ軸部15、固定ナット25、係合部材26、等を備えて構成されている。ネジ軸部15は、第1実施形態のネジ軸部15と同様に構成されている。即ち、固定機構24のネジ軸部15は、本体部13の端部に対して一体に又は固定されて設けられ、外周におねじ部分が設けられて本体部13及びプローブ14の軸方向と平行に延びる軸状の部分として、設けられている。尚、固定機構24のネジ軸部15は、第1実施形態とは異なり、軸心の位置が、本体部13の軸心の位置と一致するように設定されている。
【0072】
また、ハウジング103において本体部13が固定機構24によって固定される連結部103bには、貫通孔19、ネジ軸部挿通孔20、が設けられている。但し、第2実施形態のハウジング103は、第1実施形態とは異なり、ガイド部21は設けられていない。
【0073】
固定ナット25は、本体部13に対してハウジング103の一部であるネジ軸部挿通孔20の縁部分20aを介して反対側でネジ軸部15に螺合するとともに、ネジ軸部15をハウジング103に対して固定するナットとして設けられている。即ち、固定ナット25は、ネジ軸部15に対して回転しながらハウジング103におけるネジ軸部挿通孔20の縁部分20aに設置された後述の係合部材26に当接してネジ軸部15を固定するように構成されている。
【0074】
係合部材26は、ネジ軸部25に係合するとともにハウジング103に対しても係合する部材として設けられ、本実施形態では、ワッシャーの形態で設けられている。この係合部材26は、固定ナット25とハウジング103におけるネジ軸部挿通孔20の縁部分20aとの間に挟まれた状態で設置される。そして、係合部材26は、固定ナット25が本体部13に向かって変位する方向にネジ軸部15に対して螺合することで、固定ナット25とハウジング103におけるネジ軸部挿通孔20の縁部分20aとの間で締め付けられるように構成されている。
【0075】
また、係合部材26は、一対の突出部(26a、26b)、架橋部26c、突起部26d、一対の屈曲部(26e、26f)、を備えて構成されている。係合部材26は、例えば、一体の部材として設けられ、平板部材に対する打ち抜き加工等によって形成される。そして、一対の突出部(26a、26b)、架橋部26c、突起部26dは、平面に沿って延びるように構成されている。
【0076】
一対の突出部(26a、26b)は、ネジ軸部15を挟んだ位置で二股状に延びるように設置される部分として設けられる。そして、一対の突出部(26a、26b)は、ネジ軸部15の両側方において、ネジ軸部15の軸方向に対して垂直な平面に沿って平行に板状に延びるように設置される部分として構成されている。架橋部26cは、一対の突出部(26a、26b)を一体に架橋する部分として設けられ、一対の突出部(26a、26b)が延びる方向に対して垂直な方向に沿って板状に延びるように構成されている。
【0077】
突起部26dは、一対の突出部(26a、26b)の間において架橋部26cから一対の突出部(26a、26b)と平行な方向に突出する突起状の部分として設けられている。そして、この突起部26dは、ネジ軸部15においてキー穴状に凹み形成された凹部15aに対して嵌まり込むことで、ネジ軸部15に対して係合するように構成されている。これにより、係合部材26は、一対の突出部(26a、26b)がネジ軸部15を内側に挟む状態でネジ軸部15に対して取り付けられると、突起部26dが凹部15aに嵌め込まれて係合するように構成されている。
【0078】
一対の屈曲部(26e、26f)は、一対の突出部(26a、26b)のそれぞれにおける先端部に設けられている。即ち、屈曲部26eが、突出部26aの先端部に設けられ、屈曲部26fが、突出部26bの先端部に設けられている。そして、各屈曲部(26e、26f)は、係合部材26がネジ軸部15に対して係合した状態で、ハウジング103におけるネジ軸部挿通孔20の縁部分20aに対して係合するように屈曲形成されることで設けられている。即ち、一対の突出部(26a、26b)がネジ軸部15を内側に挟む状態で係合部材26がネジ軸部15に対して取り付けられた後、各突出部(26a、26b)の先端部が、縁部分20aに係合するように、各突出部(26a、26b)の長手方向に対して略直角に屈曲されることで、各屈曲部(26e、26f)が形成されることになる。
【0079】
以上説明したように、アクチュエータ用位置検出器2によると、本体部13に対してハウジング103の一部を介して反対側で本体部13に設けられたネジ軸部15に固定ナット25が螺合し、ネジ軸部15が固定される。そして、ネジ軸部15とハウジング103との両方に対して係合する係合部材26によって、ネジ軸部15のハウジング103に対する回転が規制される。即ち、アクチュエータ100の作動に伴って生じる振動の影響等により、本体部13に回転方向の振動が作用した場合であっても、ネジ軸部15は回転不能となる。よって、ネジ軸部15の固定ナット25に対する緩みが生じることが確実に防止される。そして、本体部13がハウジング103に対して確実にロックされた状態で固定されることになる。
【0080】
従って、本実施形態によると、位置検出機構11の本体部13をアクチュエータ100のハウジング103に対して確実にロックされた状態で固定でき、ネジ軸部15の固定ナット25に対する緩みが生じることを防止することができる、アクチュエータ用位置検出器2を提供することができる。
【0081】
また、アクチュエータ用位置検出器2によると、本体部13をハウジング103に固定する機構において、複数のナットが設けられることがなく、固定ナット25として設けられる1つのナットのみが設けられることになる。このため、本体部13をハウジング103に対して確実にロックでき、ネジ軸部15の固定ナット25に対する緩みも防止できるアクチュエータ用位置検出器2において、長手方向の寸法の増大が抑制されることになる。これにより、アクチュエータ用位置検出器2が設置されるアクチュエータ100における長手方向の寸法の増大も抑制されることになる。
【0082】
また、アクチュエータ用位置検出器2によると、固定ナット25によってネジ軸部15が固定された状態では、係合部材26が固定ナット25とハウジング103との間で締め付けられる。このため、ネジ軸部15のハウジング103に対する回転が規制された状態が強固に維持されることが、固定ナット25による固定動作が行われることで、効率よく達成されることになる。
【0083】
また、アクチュエータ用位置検出器2によると、一対の突出部(26a、26b)の間にネジ軸部15が挟まれるようにして係合部材26がネジ軸部15の側方からこのネジ軸部15に対して取り付けられる。このため、係合部材26がネジ軸部15に対して容易に取り付けられることになり、本体部13をハウジング103に固定する作業の容易化が図られることになる。
【0084】
また、アクチュエータ用位置検出器2によると、一対の突出部(26a、26b)の間にネジ軸部15が挟まれるようにして係合部材26がネジ軸部15の側方からこのネジ軸部15に対して取り付けられる際に、一対の突出部(26a、26b)の間の突起部26dがネジ軸部15に係合する。このため、ネジ軸部15に対する係合部材26の取り付け作業が行われる際に、係合部材26をネジ軸部15に対して係合させる作業も容易に行われることになる。
【0085】
また、アクチュエータ用位置検出器2によると、係合部材26がネジ軸部15の側方からこのネジ軸部15に対して取り付けられた後、一対の突出部(26a、26b)のそれぞれの先端部が屈曲形成されるだけで、係合部材26がネジ軸部15に加えてハウジング103にも係合することになる。よって、ネジ軸部15に対する係合部材26の取り付け作業の容易化に加え、ハウジング103に対して係合させる作業の容易化も図られることになる。
【0086】
以上、本発明の第1及び第2実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のような変形例を実施してもよい。
【0087】
(1)第1及び第2実施形態においては、圧力流体の供給及び排出に伴って作動する流体圧作動式のアクチュエータに対して適用されるアクチュエータ用位置検出器の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。電動モータを備えるとともにこの電動モータによる駆動に伴って作動する電動アクチュエータに対して適用される、アクチュエータ用位置検出器の形態が実施されてもよい。
【0088】
(2)第1及び第2実施形態においては、アクチュエータによって駆動される航空機の機器として舵面を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。アクチュエータ用位置検出器が用いられるアクチュエータが駆動する航空機の機器としては、舵面以外の機器であってもよく、例えば、航空機におけるランディングギア(降着装置)等の脚(航空機の機体を地上で支持する機構)であってもよい。
【0089】
(3)第1及び第2実施形態においては、本体部をハウジングに固定する固定機構を例にとって説明したが、本体部を出力部に固定する固定機構が実施されてもよい。また、プローブをハウジング又は出力部に固定する固定機構が実施されてもよい。
【0090】
(4)第1実施形態の規制部材及び第2実施形態の係合部材の構造及び形状については、第1及び第2実施形態で例示した形態に限らず、種々変更して実施されてもよい。即ち、規制部材は、位置決めナット及び固定ナットのネジ軸部に対する回転を規制する部材として構成されていればよい。また、係合部材は、ネジ軸部に係合するとともにハウジング又は出力部に対しても係合する部材として構成されていればよい。
【0091】
(5)第1実施形態では、ハウジングにおける1つの貫通孔に対して位置決めナット及び固定ナットが設置される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。ハウジング又は出力部において、位置決めナットと固定ナットとがそれぞれ分かれて設置される2つの貫通孔が設けられる形態が実施されてもよい。この場合、ネジ軸部が、2つの貫通孔の間の壁部を貫通して2つの貫通孔に亘って突出するように設置される。そして、位置決めナット及び固定ナットが、2つの貫通孔の間の壁部に対して、ネジ軸部の軸方向の両側から互いに接近する方向においてネジ軸部に対して互いに逆方向に螺合することで、位置決めナットによる位置決め動作と固定ナットによる固定動作とが行われることになる。
【0092】
(6)第2実施形態において、固定ナットのネジ軸部に対する回転を規制する回り止め部材が更に設けられた形態が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、ハウジングに対して出力部が相対変位することで作動して航空機の機器を駆動するアクチュエータに用いられ、ハウジングに対する出力部の位置を検出する、アクチュエータ用位置検出器として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0094】
1 アクチュエータ用位置検出器
11 位置検出機構
12 固定機構(第1固定機構)
13 本体部
14 プローブ
15 ネジ軸部
16 位置決めナット
17 固定ナット
18 規制部材
21 ガイド部
100 アクチュエータ
101 舵面(機器)
102 出力部
103 ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに対して出力部が相対変位することで作動して航空機の機器を駆動するアクチュエータに用いられ、前記ハウジングに対する前記出力部の位置を検出する、アクチュエータ用位置検出器であって、
前記ハウジング及び前記出力部の一方に対して取り付けられる本体部、及び、前記ハウジング及び前記出力部の他方に対して取り付けられて前記本体部に対して変位するプローブ、を含む位置検出機構と、
前記本体部又は前記プローブを前記ハウジング又は前記出力部に固定する第1固定機構と、
を備え、
前記第1固定機構は、
前記本体部又は前記プローブに対して一体に又は固定されて設けられたネジ軸部と、
前記ネジ軸部に螺合するとともに、前記ネジ軸部を前記ハウジング又は前記出力部に対して位置決めする位置決めナットと、
前記ネジ軸部に螺合するとともに、前記ネジ軸部を前記ハウジング又は前記出力部に対して固定する固定ナットと、
前記位置決めナット及び前記固定ナットの前記ネジ軸部に対する回転を規制する規制部材と、
を含み、
前記ネジ軸部の軸心が前記本体部又は前記プローブの軸心に対して偏心して設けられ、
前記ネジ軸部が設けられた前記本体部又は前記プローブが、前記ハウジング又は前記出力部に設けられたガイド部に沿って変位可能に当該ハウジング又は当該出力部に支持されることを特徴とする、アクチュエータ用位置検出器。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチュエータ用位置検出器であって、
前記位置決めナットが前記ネジ軸部に対して回転しながら前記ハウジング又は前記出力部に対して当接して当該ネジ軸部を位置決めする際の回転方向と、前記固定ナットが前記ネジ軸部に対して回転しながら前記ハウジング又は前記出力部に対して当接して当該ネジ軸部を固定する際の回転方向とが、逆方向であることを特徴とする、アクチュエータ用位置検出器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ用位置検出器であって、
前記ガイド部は、前記ハウジング又は前記出力部に設けられ、前記本体部又は前記プローブの端部が摺動自在に挿入されて支持されるガイド穴として設けられていることを特徴とする、アクチュエータ用位置検出器。
【請求項4】
ハウジングに対して出力部が相対変位することで作動して航空機の機器を駆動するアクチュエータに用いられ、前記ハウジングに対する前記出力部の位置を検出する、アクチュエータ用位置検出器であって、
前記ハウジング及び前記出力部の一方に対して取り付けられる本体部、及び、前記ハウジング及び前記出力部の他方に対して取り付けられて前記本体部に対して変位するプローブ、を含む位置検出機構と、
前記本体部又は前記プローブを前記ハウジング又は前記出力部に固定する第2固定機構と、
を備え、
前記第2固定機構は、
前記本体部又は前記プローブに対して一体に又は固定されて設けられたネジ軸部と、
前記本体部又は前記プローブに対して前記ハウジング又は前記出力部の一部を介して反対側で前記ネジ軸部に螺合するとともに、前記ネジ軸部を前記ハウジング又は前記出力部に対して固定する固定ナットと、
前記ネジ軸部に係合するとともに前記ハウジング又は前記出力部に対しても係合する係合部材と、
を含んでいることを特徴とする、アクチュエータ用位置検出器。
【請求項5】
請求項4に記載のアクチュエータ用位置検出器であって、
前記係合部材は、
前記固定ナットと前記ハウジング又は前記出力部との間に挟まれた状態で設置され、
前記固定ナットが前記本体部又は前記プローブに向かって変位する方向に前記ネジ軸部に対して螺合することで、前記固定ナットと前記ハウジング又は前記出力部との間で締め付けられることを特徴とする、アクチュエータ用位置検出器。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のアクチュエータ用位置検出器であって、
前記係合部材は、前記ネジ軸部を挟んだ位置で二股状に延びるように設けられる一対の突出部を有していることを特徴とする、アクチュエータ用位置検出器。
【請求項7】
請求項6に記載のアクチュエータ用位置検出機であって、
前記係合部材は、前記一対の突出部の間に設けられ、前記ネジ軸部に対して係合する突起部を有していることを特徴とする、アクチュエータ用位置検出器。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のアクチュエータ用位置検出器であって、
前記一対の突出部のそれぞれにおける先端部には、前記係合部材が前記ネジ軸部に係合した状態で前記ハウジング又は前記出力部に対して係合するように屈曲形成される屈曲部が設けられることを特徴とする、アクチュエータ用位置検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−72653(P2013−72653A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209654(P2011−209654)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】