説明

アジン誘導体およびそれの使用方法

本発明は、アジン誘導体、そのアジン誘導体を含む医薬組成物、ならびにアレルギー、アレルギー誘発気道応答、鬱血、心血管疾患、炎症疾患、消化器障害、神経障害、代謝障害、肥満もしくは肥満関連障害、糖尿病、糖尿病性合併症、耐糖能異常もしくは空腹時血糖異常を治療もしくは予防する上でのこれら化合物の使用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジン誘導体、当該アジン誘導体を含む医薬組成物、ならびにアレルギー、アレルギー誘発気道応答、鬱血、心血管疾患、炎症疾患、消化器障害、神経障害、代謝障害、肥満、肥満関連障害、糖尿病、糖尿病性合併症、耐糖能異常または空腹時血糖異常を治療または予防する上でのこれら化合物の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミン受容体H、HおよびHは識別された形態のものである。H受容体は、従来の抗ヒスタミン剤によって拮抗される応答に介在するものである。H受容体は、例えばヒトおよび他の哺乳動物の回腸、皮膚および気管支平滑筋に存在する。H受容体介在応答を介して、ヒスタミンは哺乳動物での胃酸分泌および摘出した哺乳動物心房における変時効果を刺激する。
【0003】
受容体部位は交感神経上に認められ、そこで交感神経伝達を調節し、交感神経系の制御下に各種末端臓器応答を弱める。具体的には、ヒスタミンによるH受容体活性化により、抵抗血管および容量血管へのノルエピネフリン流出が弱まって血管拡張が生じる。
【0004】
イミダゾール系H受容体拮抗薬が当業界では公知である。より最近では、非イミダゾール系H受容体拮抗薬が米国特許第6,720,328号および同6,849,621号で開示されている。
【0005】
米国特許第5,869,479号には、少なくとも一つのヒスタミンH受容体拮抗薬および少なくとも一つのヒスタミンH受容体拮抗薬の組み合わせを用いるアレルギー性鼻炎の症状を治療するための組成物が開示されている。
【0006】
糖尿病とは、複数の原因要素から生じる疾患プロセスを指し、絶食状態でのまたは経口的ブドウ糖負荷試験時のブドウ糖投与後の高い血漿ブドウ糖レベルまたは高血糖を特徴とする。持続的または制御されない高血糖があると、罹患率および死亡率が上昇し、それらが早発となる。グルコース恒常性の異常は、脂質、リポタンパク質およびアポリポタンパク質の代謝の変化または他の代謝疾患および血行動態疾患に関連する。従って、糖尿病患者では、冠動脈性心疾患、卒中、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経障害および網膜症などの大血管および微小血管合併症のリスクが特に高くなる。従って、糖尿病の臨床上の管理および治療において、グルコース恒常性、脂質代謝および高血圧の治療的管理が非常に重要である。
【0007】
糖尿病には二つの一般に認められている形態がある。1型糖尿病すなわちインシュリン依存性糖尿病(IDDM)では、患者は、グルコース利用を制御するホルモンであるインシュリンをほとんど産生しないか全く産生しない。2型糖尿病すなわち非インシュリン依存性糖尿病(NIDDM)では、患者の血漿インシュリンレベルは糖尿病ではない対象者と比較して同等であったり、より高い場合が多い。しかしながら、これらの患者では、主要なインシュリン感受性組織(筋肉、肝臓および脂肪組織)においてグルコースおよび脂質代謝へのインシュリンの刺激効果に対する耐性が生じており、血漿インシュリンレベルは高いのであるが、その顕著なインシュリン耐性を克服するには不十分である。
【0008】
インシュリン耐性は、インシュリン受容体数低下ではなく、十分に解明されていないインシュリン受容体結合後の欠陥に関連するものである。このインシュリン応答性に対する抵抗により、筋肉でのグルコースの取り込み、酸化および貯蔵のインシュリンによる活性化が不十分となり、脂肪組織の脂肪分解ならびに肝臓でのグルコースの産生および分泌のインシュリンによる抑制が不十分となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,720,328号
【特許文献2】米国特許第6,849,621号
【特許文献3】米国特許第5,869,479号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
2型糖尿病に対する可能な治療は長年にわたってほとんど変わっておらず、それには限界があることが明らかになってきた。運動や食事によるカロリー摂取の低減によって糖尿病状態が劇的に改善するが、ほとんど動かない生活習慣や過剰な食物の消費、特に飽和脂肪を多量に含む食品の消費がすっかり定着しているため、この治療についての遵守程度は非常に低い。膵臓細胞[β細胞]を刺激してインシュリン分泌を増加させるスルホニル尿素類(例えば、トルブタミドおよびグリピジド)またはメグリチニドの投与により、および/またはスルホニル尿素またはメグリチニドが効果がなくなった場合にはインシュリンの注射により、インシュリンの血漿レベルを高めることで、インシュリン耐性組織そのものを刺激するだけの高いインシュリン濃度とすることができる。しかしながら、インシュリンまたはインシュリン分泌促進剤(スルホニル尿素類またはメグリチニド)を投与することで、血漿グルコースレベルが危険なレベルまで下がる可能性があり、血漿インシュリンレベルがかなり高くなることで、さらに高いレベルのインシュリン耐性が生じる可能性がある。ビグアニド類は、インシュリン感受性を高め、高血糖のある程度の改善をもたらすことができる種類の薬剤である。しかしながら、ビグアニド類は乳酸アシドーシスおよび吐き気/下痢を誘発する可能性がある。
【0011】
グリタゾン類(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン類)は、2型糖尿病を治療する可能性がある別の種類の化合物である。これらの薬剤は、2型糖尿病のいくつかの動物モデルにおいて筋肉、肝臓および脂肪組織でのインシュリン感受性を高めることで、低血糖を生じることなく、高血漿グルコースレベルを部分的または完全に改善するものである。現在販売されているグリタゾン類は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、主としてPPAR−γサブタイプの作動薬である。PPAR−γ作動作用が、グリタゾン類を用いた場合に認められるインシュリン感作向上の原因となっていると考えられている。2型糖尿病の治療用に試験が行われている更に新しいPPAR作動薬にα、γもしくはδサブタイプまたはこれらの組み合わせの作動薬があり、多くの場合でそれらはグリタゾン類とは化学的に異なる(すなわち、それらはチアゾリジンジオン類ではない。)。トログリタゾンなどのグリタゾン系薬剤による治療を受けた患者の一部で、重篤な副作用(例えば、肝臓毒性)が認められている。
【0012】
その疾患の別の治療方法が現在研究されている。新たな生化学的手法には、α−グルコシダーゼ阻害薬(例:アカルボース)およびタンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害薬による治療などがある。
【0013】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害薬である化合物についても、糖尿病、特には2型糖尿病の治療において有用となり得る薬剤として研究が進められている。
【0014】
糖尿病治療に関する知識は拡大しているにも拘わらず、糖尿病および関連する代謝疾患の治療に有用な、高い安全性プロファイルおよび/または向上した効力を有する小分子薬剤が、当業界においては現在も必要とされている。本発明はそのニーズに応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの態様において、本発明は、式(I)の化合物(「アジン誘導体」)ならびにそれの医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグを提供する。
【化1】

【0016】
式中、
Aは、結合、アルキレン、−O−、−C(O)−または−C(=N−OR)−であり;
Bは、−N−または−CH−であり;Aが−O−の場合は、Bは−CH−となるようになっており;
Dは、−N−または−CH−であり;
Qは、複素環アルキル、複素環アルケニル、ヘテロアリール、
【化2】

【0017】
であり;
ここで、複素環アルキル、複素環アルケニル、ヘテロアリール基は、置換されていないか3個以下の基で置換されていても良く、その置換基は同一であっても異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、複素環アルキル、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−NHC(O)OR、−N(R、−OR、−S(O)または−CNから選択され、Qが
【化3】

【0018】
である場合、BおよびDのうちの少なくとも一つが−CH−であるようになっており;
V、X、YおよびZはそれぞれ独立に、−N−または−CH−であり;
Wは、結合、アルキレンまたは−C(O)−であり;
は、アルキル、複素環アルキル、または−(アルキレン)−シクロアルキルであり;
は、H、アルキル、−(アルキレン)−アリール、または−(アルキレン)−ヘテロアリールであり、いずれのアリールもしくはヘテロアリール基も置換されていないか3個以下の基で置換されていても良く、その置換基は同一であっても異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−NHC(O)OR、−N(R、−OR、−S(O)または−CNから選択され;
およびRは独立に、H、アルキルまたはアリールであり、その場合にアルキル基は1以上の同一でも異なっていても良い−OR基で置換されていても良く、またはRとRが、それらが結合している(i)−N−CO−V−基または(ii)N原子と一体となって、複素環アルキル、複素環アルケニルまたはヘテロアリール基を形成しており、それらのいずれも置換されていないか3個以下の基で置換されていることができ、その置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−NHC(O)OR、−N(R、−OR、−S(O)または−CNから選択され;
は、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、−CN、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−NHC(O)OR、−N(Rまたは−ORであり、またはRとRがそれらが結合している原子と一体となって、アリール、シクロアルキル、複素環アルキル、複素環アルケニルまたはヘテロアリール基を形成しており、それらはいずれも置換されていないか、3個以下の基で置換されていることができ、その置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−NHC(O)OR、−N(R、−OR、−S(O)または−CNから選択され;
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環アルキルまたは複素環アルケニルであり、ここで、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環アルキルまたは複素環アルケニル基は置換されていないか、3個以下の基で置換されていることができ、その置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R−NHC(O)OR、−N(R、−OR、−S(O)または−CNから選択され;
各場合のRは独立に、H、アルキル、シクロアルキルまたはアリールであり;
各場合のRは独立に、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環アルキル、ヘテロアリールまたはハロアルキルであり;
は、Hまたはアルキルであり;
各場合のpは独立に、0または1であり;
各場合のpは独立に、0、1または2であり、その場合、式(I)の化合物が下記の表1に挙げた化合物以外のものであるようになっている。
【表1】








































































































































































































































【発明を実施するための形態】
【0019】
「患者」は、ヒトもしくは非ヒト哺乳動物である。1つの実施形態において、患者はヒトである。別の実施形態において、患者はサル、イヌ、ヒヒ、アカゲザル、マウス、ラット、ウマ、ネコまたはウサギなど(これらに限定されるものではない)の非ヒト哺乳動物である。別の実施形態において、患者はイヌ、ネコ、ウサギ、ウマまたはフェレットなど(これらに限定されるものではない)のコンパニオン・アニマルである。1つの実施形態において、患者はイヌである。別の実施形態において、患者はネコである。
【0020】
本明細書で使用される場合の「肥満」という用語は、過体重であり、肥満度指数(BMI)が25以上である患者を指す。1つの実施形態において、肥満患者は約25以上のBMIを有する。別の実施形態において、肥満患者は約25から約30のBMIを有する。別の実施形態において、肥満患者は約35から約40のBMIを有する。さらに別の実施形態において、肥満患者は40より大きいBMIを有する。
【0021】
本明細書で使用される場合の「肥満関連障害」という用語は、(i)約25以上のBMIを有する患者に由来する障害および(ii)過剰な食物摂取に関連する摂食障害および他の障害を指す。肥満関連障害の例としては、浮腫、息切れ、睡眠時無呼吸、皮膚障害および高血圧などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0022】
本明細書で使用される場合の「代謝症候群」という用語は、患者において心血管疾患および/または2型糖尿病を起こりやすくする一連のリスク因子を指す。本明細書での定義では、患者は、下記の5種類のリスク因子のうちの1以上を有する場合に、代謝症候群を有すると見なされる。
【0023】
1)男性において約101.6cm(40インチ)および女性において約88.9cm(35インチ)を超える胴囲によって測定される中心性/腹部肥満;
2)150mg/dL以上の空腹時トリグリセリド値;
3)男性で40mg/dL未満、または女性で50mg/dL未満のHDLコレステロールレベル;
4)130/85mmHg以上の血圧;および
5)110mg/dL以上の空腹時血糖値。
【0024】
本明細書で使用される場合の「耐糖能異常」という用語は、75g経口グルコース負荷試験を用いて測定される140から199mg/dL(7.8から11.0mmol)の2時間グルコースレベルと定義される。2時間後にグルコースレベルが中程度に上昇し、そのレベルが2型糖尿病と認定されると考えられるレベルより低い場合には、患者は、耐糖能異常の症状下にあると言われる。
【0025】
本明細書で使用される場合の「空腹時血糖異常」という用語は、100から125mg/dLの空腹時血漿グルコースレベルと定義され、正常な空腹時グルコース値は100mg/dL以下である。
【0026】
本明細書で使用される場合の「上気道」という用語は、上部呼吸系、すなわち鼻、咽頭および関連する構造を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合の「有効量」という用語は、症状を患う患者に対して投与した場合に、所望の治療、改善、阻害または予防効果を生じる上で有効な、式(I)の化合物および/または別の治療薬またはそれの組成物の量を指す。本発明の併用療法では、有効量は、各個々の薬剤または組み合わせ全体を指すことができ、投与される全ての薬剤の量が全体として有効であるが、組み合わせのうちの成分薬剤が個別に有効量で存在しないこともあり得る。
【0028】
本明細書で使用される場合の「アルキル」という用語は、直鎖もしくは分岐であることができ、約1から約20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を指す。1つの実施形態において、アルキル基は約1から約12個の炭素原子を含む。別の実施形態において、アルキル基は約1から約6個の炭素原子を含む。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルおよびネオヘキシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。アルキル基は置換されていないか、同一でも異なっていても良い1以上の置換基によって置換されていることができ、各置換基はハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、−O−アルキル、−O−アリール、−アルキレン−O−アルキル、アルキルチオ、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−O−C(O)−アルキル、−O−C(O)−アリール、−O−C(O)−シクロアルキル、−C(O)OHおよび−C(O)O−アルキルからなる群から独立に選択される。1つの実施形態において、アルキル基は置換されていない。別の実施形態において、アルキル基は直鎖である。別の実施形態において、アルキル基は分岐鎖である。
【0029】
本明細書で使用される場合の「アルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含み、直鎖もしくは分岐であることができ、約2から約15個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を指す。1つの実施形態において、アルケニル基は約2から約12個の炭素原子を含む。別の実施形態において、アルケニル基は約2から約6個の炭素原子を含む。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エンイル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルなどがあるがこれらに限定されるものではない。アルケニル基は、置換されていないか同一であっても異なっていても良い1以上の置換基によって置換されていることができ、各置換基はハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシおよび−S(アルキル)からなる群から独立に選択される。1つの実施形態において、アルケニル基は置換されていない。
【0030】
本明細書で使用される場合の「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含み、直鎖もしくは分岐であることができ、約2から約15個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を指す。1つの実施形態において、アルキニル基は約2から約12個の炭素原子を含む。別の実施形態において、アルキニル基は約2から約6個の炭素原子を含む。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチニルなどがあるがこれらに限定されるものではない。アルキニル基は、置換されていないか同一であっても異なっていても良い1以上の置換基によって置換されていることができ、各置換基はアルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から独立に選択される。1つの実施形態において、アルキニル基は置換されていない。
【0031】
本明細書で使用される場合の「アルキレン」という用語は、アルキル基の水素原子の一つが結合によって置き換わっている上記で定義のアルキル基を指す。アルキレン基の例としては、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−および−CHCH(CH)CH−などがあるがこれらに限定されるものではない。アルキレン基は、置換されていないか同一であっても異なっていても良い1以上の置換基によって置換されていることができ、各置換基はハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシおよび−S(アルキル)からなる群から独立に選択される。1つの実施形態において、アルキレン基は置換されていない。別の実施形態において、アルキレン基は1から約6個の炭素原子を有する。別の実施形態において、アルキレン基は分岐鎖である。さらに別の実施形態において、アルキレン基は直鎖である。
【0032】
本明細書で使用される場合の「アルケニレン」という用語は、アルケニル基の水素原子の一つが結合によって置き換わっている上記で定義のアルケニル基を指す。アルケニレン基の例としては、−CH=CH−、−CHCH=CH−、CHCH=CHCH−、−CH=CHCHCH−、−CHCHCH=CH−、−CH(CH)CH=CH−およびCH=C(CH)CH−などがあるがこれらに限定されるものではない。1つの実施形態において、アルケニレン基は2から約6個の炭素原子を有する。別の実施形態において、アルケニレン基は分岐鎖である。別の実施形態において、アルケニレン基は直鎖である。
【0033】
本明細書で使用される場合の「アルキニレン」という用語は、アルキニル基の水素原子の一つが結合によって置き換わっている上記で定義のアルキニル基を指す。アルキニレン基の例としては、−C≡C−、−CH−C≡C−、−CHC≡CCH−、C≡CCHCH−、−CHCHC≡C−、−CH(CH)C≡C−および−C≡CCH−などがあるがこれらに限定されるものではない。1つの実施形態において、アルキニレン基は2から約6個の炭素原子を有する。別の実施形態において、アルキニレン基は分岐鎖である。別の実施形態において、アルキニレン基は直鎖である。
【0034】
「アリール」は、約6から約14個の炭素原子を含む芳香族単環式または多環式環系を意味する。1つの実施形態において、アリール基は約6から約10個の炭素原子を含む。アリール基は、1以上の「環系置換基」で置換されていても良く、その置換基は同一であっても異なっていても良く、下記にて本明細書で定義の通りである。アリール基の例としては、フェニルおよびナフチルなどがあるがこれらに限定されるものではない。1つの実施形態において、アリール基は置換されていない。別の実施形態において、アリール基はフェニルである。
【0035】
本明細書で使用される場合の「シクロアルキル」という用語は、約3から約10個の環炭素原子を含む非芳香族単環式もしくは多環式環系を指す。1つの実施形態において、シクロアルキルは約5から約10個の環炭素原子を含む。別の実施形態において、シクロアルキルは約5から約7個の環原子を含む。「シクロアルキル」という用語は、アリール(例えば、ベンゼン)またはヘテロアリール環に縮合している上記で定義のシクロアルキル基も包含する。単環式シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルなどがあるがこれらに限定されるものではない。多環式シクロアルキルの例としては、1−デカリル、ノルボルニルおよびアダマンチルなどがあるがこれらに限定されるものではない。シクロアルキル基は、1以上の「環系置換基」で置換されていても良く、その置換基は同一であっても異なっていても良く、下記にて本明細書で定義の通りである。1つの実施形態において、シクロアルキル基は置換されていない。シクロアルキル基の環炭素原子は、カルボニル基として官能化されていることで、シクロプロパノイル、シクロブタノイル、シクロペンタノイル、シクロヘキサノイル、シクロオクタノイルなどのシクロアルカノイル基を提供するものであっても良い。
【0036】
本明細書で使用される場合の「シクロアルケニル」という用語は、約3から約10個の環炭素原子を含み、少なくとも1個の環内二重結合を含む非芳香族単環式もしくは多環式環系を指す。1つの実施形態において、シクロアルケニルは約5から約10個の環炭素原子を含む。別の実施形態において、シクロアルケニルは5または6個の環原子を含む。単環式シクロアルケニルの例には、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。シクロアルケニル基は、1以上の「環系置換基」で置換されていても良く、その置換基は同一であっても異なっていても良く、下記にて本明細書で定義の通りである。1つの実施形態において、シクロアルケニル基は置換されていない。別の実施形態において、シクロアルケニル基は5員シクロアルケニルである。
【0037】
本明細書で使用される場合の「5員シクロアルケニル」という用語は、5個の環炭素原子を有する上記で定義のシクロアルケニル基を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合の「ヘテロアリール」という用語は、約5から約14個の環原子を含み、その環原子のうちの1から4個が独立にO、NもしくはSであり、残りの環原子が炭素原子である芳香族単環式もしくは多環式環系を指す。1つの実施形態において、ヘテロアリール基は5から10個の環原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリール基は単環式であって、5個もしくは6個の環原子を有する。ヘテロアリール基は、1以上の「環系置換基」で置換されていても良く、その置換基は同一であっても異なっていても良く、下記にて本明細書で定義の通りである。ヘテロアリール基は、環炭素原子を介して連結されており、ヘテロアリールの窒素原子は酸化されて相当するN−オキサイドとなっていても良い。
【0039】
「ヘテロアリール」という用語は、ベンゼン環に縮合している上記で定義のヘテロアリール基も包含する。ヘテロアリールの例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドニル(N−置換されているピリドン類を含む)、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキザリニル、フタラジニル、オキシインドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0040】
「ヘテロアリール」という用語は、例えばテトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどの部分飽和ヘテロアリール部分も指す。1つの実施形態において、ヘテロアリール基は置換されていない。別の実施形態において、ヘテロアリール基は5員ヘテロアリールである。
【0041】
本明細書で使用される場合の「5員ヘテロアリール」という用語は、5個の環原子を有する上記で定義のヘテロアリール基を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合の「複素環アルキル」という用語は、3から約10個の環原子を含み、その環原子のうちの1から4個が独立にO、SまたはNであり、環原子の残りが炭素原子である非芳香族飽和単環式または多環式環系を指す。1つの実施形態において、複素環アルキル基は約5から約10個の環原子を有する。別の実施形態において、複素環アルキル基は5個もしくは6個の環原子を有する。環系には隣り合う酸素および/または硫黄原子は存在しない。複素環アルキル環における−NH基は、例えば−N(BOC)、−N(Cbz)、−N(Tos)基などのように保護されて存在することができ、そのような保護複素環アルキル基は本発明の一部と見なされる。複素環アルキル基は、1以上の「環系置換基」で置換されていても良く、その置換基は同一であっても異なっていても良く、下記にて本明細書で定義の通りである。複素環アルキルの窒素または硫黄原子は、酸化されて相当するN−オキサイド、S−オキサイドまたはS,S−ジオキサイドとなっていても良い。単環式複素環アルキル環の例としては、ピペリジンル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトンなどがあるがこれらに限定されるものではない。複素環アルキル基の環炭素原子は、カルボニル基として官能化されていても良い。そのような複素環アルキル基の1例には、下記のピロリドニルがある。
【化4】

【0043】
1つの実施形態において、複素環アルキル基は置換されていない。別の実施形態において、複素環アルキル基は5員複素環アルキルである。
【0044】
本明細書で使用される場合の「5員複素環アルキル」という用語は、5個の環原子を有する上記で定義の複素環アルキル基を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合の「複素環アルケニル」という用語は、複素環アルキル基が3から10個の環原子および少なくとも1個の環内炭素−炭素もしくは炭素−窒素二重結合を含む上記で定義の複素環アルキル基を指す。1つの実施形態において、複素環アルケニル基は、5から10個の環原子を有する。別の実施形態において、複素環アルケニル基は単環式であり、5個もしくは6個の環原子を有する。複素環アルケニル基は、1以上の環系置換基で置換されていても良く、「環系置換基」は下記で定義の通りである。複素環アルケニルの窒素または硫黄原子は、酸化されて相当するN−オキサイド、S−オキサイドまたはS,S−ジオキサイドとなっていても良い。複素環アルケニル基の例としては、1,2,3,4−テトラヒドロピリジニル、1,2−ジヒドロピリジニル、1,4−ジヒドロピリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、ジヒドロフラニル、フルオロ−置換されているジヒドロフラニル、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどがあるがこれらに限定されるものではない。複素環アルケニル基の環炭素原子は、カルボニル基として官能化されていても良い。そのような複素環アルケニル基の1例には、下記のものがある。
【化5】

【0046】
1つの実施形態において、複素環アルケニル基は置換されていない。別の実施形態において、複素環アルケニル基は5員複素環アルケニルである。
【0047】
本明細書で使用される場合の「5員複素環アルケニル」という用語は、5個の環原子を有する上記で定義の複素環アルケニル基を指す。
【0048】
例えば下記の部分:
【化6】

【0049】
などの互変異型は、本発明のある種の実施形態において等価と見なされることも留意すべき点である。
【0050】
本明細書で使用される場合の「環系置換基」という用語は、例えば環系上の利用可能な水素をそれに置き換える芳香族もしくは非芳香族環系に結合した置換基を指す。環系置換基は同一でも異なっていても良く、それらはそれぞれアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、−アルケニレン−ヘテロアリール、−アルキニレン−ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、−O−アルキル、−アルキレン−O−アルキル、−O−アリール、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、−C(O)O−アルキル、−C(O)O−アリール、−C(O)O−アルケレン(alkelene)−アリール、−S(O)−アルキル、−S(O)−アルキル、−S(O)−アリール、−S(O)−アリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S−アルキル、−S−アリール、−S−ヘテロアリール、−S−アルキレン−アリール、−S−アルキレン−ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環アルキル、−O−C(O)−アルキル、−O−C(O)−アリール、−O−C(O)−シクロアルキル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群から独立に選択され、YおよびYは同一でも異なっていても良く、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよび−アルキレン−アリールからなる群から独立に選択される。「環系置換基」は、環系上の2個の隣接する炭素原子上の2個の利用可能な水素(各炭素上1個のH)を同時に置き換える単一の部分を意味する場合もある。そのような部分の例には、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−などがあり、それらは例えば下記の部分を形成する。
【化7】

【0051】
「ハロ」は、−F、−Cl、−Brまたは−Iを意味する。1つの実施形態において、ハロは−Clまたは−Brを指す。
【0052】
本明細書で使用される場合の「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の水素原子のうちの1以上がハロゲンで置き換わっている上記で定義のアルキル基を指す。1つの実施形態において、ハロアルキル基は、1から6個の炭素原子を有する。別の実施形態において、ハロアルキル基は1から3個のF原子で置換されている。ハロアルキル基の例としては、−CHF、−CHF、−CF、−CHClおよび−CClなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0053】
本明細書で使用される場合の「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキル基の水素原子のうちの1以上が−OH基で置き換わっている上記で定義のアルキル基を指す。1つの実施形態において、ヒドロキシアルキル基は、1から6個の炭素原子を有する。ヒドロキシアルキル基の例としては、−CHOH、−CHCHOH、−CHCHCHOHおよび−CHCH(OH)CHなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0054】
本明細書で使用される場合の「アルコキシ」という用語は、アルキル基が上記で定義の通りである−O−アルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびt−ブトキシなどがあるがこれらに限定されるものではない。アルコキシ基はそれの酸素原子を介して結合している。
【0055】
「置換されている」という用語は、指定の原子上の1以上の水素が、指定の基からの選択肢で置き換わることを意味するが、ただし現状下での指定された原子の通常の価数を超えることはなく、置換の結果として安定な化合物が得られるものである。置換基および/または可変要素の組み合わせは、そのような組み合わせによって安定な化合物が得られる場合にのみ許容される。「安定化合物」または「安定構造」とは、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離および有効な治療薬への製剤で分解しない程度に堅牢である化合物を意味する。
【0056】
ある化合物についての「精製された」、「精製型の」または「単離・精製型の」という用語は、合成プロセス(例えば、反応混合物から)もしくは天然入手源またはそれらの組み合わせから単離された後のその化合物の物理的症状を指す。従って、ある化合物についての「精製された」、「精製型の」または「単離・精製型の」という用語は、本明細書に記載されているか当業者には公知の標準的な分析技術によって特性決定可能な程度の純度で、本明細書に記載されているか当業者には公知の精製プロセスもしくは複数プロセス(例えば、クロマトグラフィー、再結晶など)から得られた後の化合物の物理状態を指す。
【0057】
やはり留意すべき点として、本明細書の本文、スキーム、実施例および表で満足されない価数を有する炭素原子ならびにヘテロ原子は、その価数を満足するだけの数の水素原子を有するものと仮定される。
【0058】
化合物中の官能基が「保護されている」と称される場合、それは、化合物が反応を受ける際に保護された部位で望ましくない副反応が起こらないようにする修飾型をその基が取っていることを意味する。好適な保護基は、当業者には明らかであり、例えばグリーンらの著作(T.W.Greene et al,Protective Groups in Organic Synthesis(1991),Wiley,New York)などの標準的な教科書を参照することで明らかとなる。いずれかの構成要素または式(I)において可変要素(例えば、アリール、複素環、Rなど)が複数個ある場合、各場合でのそれの定義は、別段の断りがない限り、他の全ての場合でのそれの定義から独立している。
【0059】
本明細書においては、本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物も想到される。プロドラッグについての議論が文献で提供されている(T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)14 of the A.C.S.Symposium SeriesおよびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987) Edward B.Roche,ed.,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press)。「プロドラッグ」という用語は、イン・ビボで変換を受けて式(I)の化合物またはその化合物の医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を生じる化合物(例えば、薬剤前駆体)を意味する。その変換は、例えば血液中の加水分解などの多様な機序(例えば、代謝プロセスまたは化学的プロセスによる)によって生じ得るものである。プロドラッグの使用についての議論が文献で提供されている(T.Higuchi and V.Stella,″Pro−drugs as Novel Delivery Systems″ Vol.14 of the A.C.S.Symposium SeriesおよびBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987)。
【0060】
例えば、式(I)の化合物またはその化合物の医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物がカルボン酸官能基を含む場合、プロドラッグは、酸基の水素原子が、例えば(C−C)アルキル、(C−C12)アルカノイルオキシメチル、4から9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5から10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3から6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4から7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5から8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3から9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4から10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル(β−ジメチルアミノエチルなど)、カルバモイル−(C−C)アルキル、N,N−ジ(C−C)アルキルカルバモイル−(C−C)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−もしくはモルホリノ(C−C)アルキルなどの基によって置き換わることで形成されるエステルを含むことができる。
【0061】
同様に、式(I)の化合物がアルコール官能基を含む場合、アルコール基の水素原子を、例えば(C−C)アルカノイルオキシメチル、1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、(C−C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C−C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C−C)アルカノイル、α−アミノ(C−C)アルキル、α−アミノ(C−C)アルキレン−アリール、アリールアシルおよびα−アミノアシルまたはα−アミノアシル−α−アミノアシル[各α−アミノアシル基は独立に、天然L−アミノ酸類、P(O)(OH)、−P(O)(O(C−C)アルキル)またはグリコシル(ヘミアセタール型の炭化水素のヒドロキシル基の脱離によって生じる基)から選択される。]などの基で置き換えることで、プロドラッグを形成することができる。
【0062】
式(I)の化合物にアミン官能基が組み込まれている場合、アミン基中の水素原子を、例えばR−カルボニル−、RO−カルボニル−、NRR′−カルボニル−(RおよびR′はそれぞれ独立に、(C−C10)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ベンジルであるか、R−カルボニルは天然α−アミノアシルである。)、−C(OH)C(O)OY(Yは、H、(C−C)アルキルまたはベンジルである。)、−C(OY)Y(Yは(C−C)アルキルであり、Yは(C−C)アルキル、カルボキシ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルキルまたはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノアルキルである。)、−C(Y)Y(YはHまたはメチルであり、Yはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノモルホリノ、ピペリジン−1−イルまたはピロリジン−1−イルである。)などの基で置き換えることでプロドラッグを形成することができる。
【0063】
本発明の1以上の化合物が、非溶媒和形態ならびに水、エタノールなどの医薬的に許容される溶媒との溶媒和形態で存在し得るものであり、本発明は溶媒和形態と非溶媒和形態の両方を包含するものである。「溶媒和物」は、本発明の化合物と1以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合には、多様な程度の水素結合などのイオン性および共有結合性結合が関与する。ある一定の場合で、溶媒和物は単離可能であり、例を挙げると、1以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子に組み込まれている場合である。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能な溶媒和物の両方を包含するものである。溶媒和物の例としては、エタノレート類、メタノレート類などがあるがこれらに限定されるものではない。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0064】
本発明の1以上の化合物を溶媒和物に変換しても良い。溶媒和物の製造は概して公知である。従って、例えば、カイラらの報告(M.Caira et al,J.Pharmaceutical Sci.,93(3),601−611(2004))には、抗真菌薬のフルコナゾールの酢酸エチル中ならびに水からの溶媒和物の製造が記載されている。溶媒和物、半溶媒和物(hemisolvate)、水和物などの同様の製造が、文献(E.C.van Tonder et al,AAPS PharmSciTechours.,5(1),article 12(2004);およびA.L.Bingham et al,Chem.Commun.,603−604(2001))に記載されている。限定的なものではないが代表的なプロセスでは、周囲温度より高い温度で所望の量の所望の溶媒(有機もしくは水またはそれらの混合物)に本発明の化合物を溶かし、その溶液を結晶が生成する程度の速度で冷却してから、その結晶を標準的な方法によって単離する。例えばIRスペクトル測定などの分析技術により、溶媒和物(または水和物)としての結晶中の溶媒(または水)の存在が示される。
【0065】
式(I)の化合物は塩を形成することでき、それも本発明の範囲内である。本明細書において式(I)の化合物に言及する場合は、別段の断りがない限り、それの塩への言及を含むものと理解される。本明細書で用いられる場合の「塩」という用語は、無機酸および/または有機酸で形成される酸性塩ならびに無機塩基および/または有機塩基で形成される塩基性塩を指す。さらに、式(I)の化合物がピリジンまたはイミダゾールなど(これらに限定されるものではない)の塩基性部分とカルボン酸など(これに限定されるものではない)の酸性部分の両方を含む場合、両性イオン(「内部塩」)が形成されていても良く、それは本明細書で使用される「塩」という用語に包含される。医薬的に許容される(すなわち、無毒性の生理的に許容される)塩が好ましいが、他の塩も有用である。式(I)の化合物の塩は、例えば塩が沈澱する媒体などの媒体中、または水系媒体中、式(I)の化合物をある量(例えば当量)の酸もしくは塩基と反応させ、次に凍結乾燥することで形成することができる。
【0066】
酸付加塩の例には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩とも称される)などがある。さらに、塩基性医薬化合物からの製薬上有用な塩の形成に好適と考えられる酸については、文献に議論がある(例えば、P.Stahl et al,Camille G.(eds.) Handbook of Pharmaceutical Salts. Properties,Selection and Use.(2002) Zurich:Wiley−VCH;S.Berge et al, Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould,International J. of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Anderson et al,The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.;当局のウェブサイトで)。これらの開示は、それについての参照を行うことで本明細書に組み込まれるものとする。
【0067】
塩基性塩の例には、アンモニウム塩、ナトリウム、リチウムおよびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミンなどの有機塩基(例えば、有機アミン類)との塩、ならびにアルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩などがある。塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチルおよびブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチルおよびジブチル)、長鎖ハライド(例えば、デシル、ラウリルおよびステアリルクロライド、ブロマイドおよびヨージド)、アラルキルハライド(例えば、ベンジルおよびフェネチルブロマイド)およびその他などの薬剤で4級化することができる。
【0068】
そのような酸塩および塩基塩は全て、本発明の範囲に含まれる医薬的に許容される塩であるものとし、全ての酸塩および塩基塩は、本発明に関しては、相当する化合物の遊離型と等価であると見なされる。
【0069】
本発明の化合物の医薬的に許容されるエステルには、(1)ヒドロキシル化合物のヒドロキシ基のエステル化によって得られるカルボン酸エステル(エステル分類のカルボン酸部分の非カルボニル部分は、直鎖もしくは分岐のアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチルまたはn−ブチル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、ハロゲンまたはアミノなどで置換されていても良いフェニル)から選択される。);(2)アルキルスルホニルまたはアラルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル)などのスルホン酸エステル;(3)アミノ酸エステル(例えば、L−バリルまたはL−イソロイシル);(4)ホスホン酸エステルおよび(5)1リン酸−、2リン酸−または3リン酸エステルという群などがある。リン酸エステルはさらに、例えばC−C20アルコールもしくはそれの反応性誘導体により、または2,3−ジ(C24)アシルグリセリンによってさらにエステル化することができる。
【0070】
ジアステレオマー混合物は、例えばクロマトグラフィーおよび/または分別結晶などの当業者には公知の方法によって、物理化学的な違いに基づいて個々のジアステレオマーに分離することができる。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールまたはモッシャーの酸塩化物などのキラル補助剤)との反応によってエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、そのジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを相当する純粋なエナンチオマーに変換する(例えば、加水分解)ことによって分離することができる。立体化学的に純粋な化合物は、キラル原料を用い、塩分割技術を用いることで製造することもできる。さらに、式(I)の化合物の中にはアトロプ異性体である(例えば、置換されているビアリール類)ものがあっても良く、それらは本発明の一部と見なされる。エナンチオマーは、キラルHPLCカラムを用いることによっても分離可能である。
【0071】
式(I)の化合物が異なる互変異型で存在する可能性もあり、そのような形態は全て本発明の範囲に包含される。さらに、例えば、当該化合物の全てのケト−エノールおよびイミン−エナミン型は本発明に含まれる。
【0072】
エナンチオマー型(不斉炭素の非存在下であっても存在し得る)、回転異性体型、アトロプ異性体およびジアステレオマー型などの各種置換基上の不斉炭素のために存在し得るものなどの本発明の化合物の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(当該化合物の塩、溶媒和物、水和物、エステルおよびプロドラッグならびにそのプロドラッグの塩、溶媒和物およびエステルの異性体を含む)が、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジルなど)と同様に本発明の範囲に入ることが想到される。(例えば、式(I)の化合物に二重結合または縮合環が組み込まれている場合、シス型およびトランス型の両方ならびに混合物は本発明の範囲に包含されることが想到される。さらに、例えば当該化合物の全てのケト−エノールおよびイミン−エナミン型も本発明に含まれる。)
本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まないものであることができるか、例えばラセミ体として混合されていたり、他の全ての立体異性体もしくは他の選択された立体異性体と混合されていても良い。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって定義されたS配置またはR配置を有することができる。「塩」、「溶媒和物」、「エステル」、「プロドラッグ」などの用語の使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異体、位置異性体、ラセミ体またはプロドラッグの塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグに等しく適用されるものとする。
【0073】
本発明はさらに、1以上の原子が天然に通常認められる原子量または質量と異なる原子量または質量数を有する原子によって置き換わっているという点以外は、本明細書で言及されているものと同一である本発明の同位体標識化合物も包含する。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例には、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体などがある。
【0074】
式(I)のある種の同位体標識化合物(例えば、Hおよび14Cで標識されたもの)は、化合物および/または物質の組織分布アッセイにおいて有用である。製造の容易さおよび検出性においては、三重水素化(すなわち、H)および炭素−14(すなわち、14C)同位体が特に好ましい。さらに、重水素(すなわち、H)などのより重い同位体で置換することで、代謝安定性の向上に由来するある種の治療面での利点(例えば、イン・ビボでの半減期の延長または必要な用量の低下)が得られる場合があることから、状況によってはそれが好ましい場合がある。同位体標識された式(I)の化合物は、同位体標識されてない原料または試薬に代えて適切な同位体標識された原料または試薬を用いることで、式(I)の化合物の製造について本明細書に開示の手順と同様の合成化学的手順を用いて製造することができる。
【0075】
式(I)の化合物の多形体ならびに式(I)の化合物の塩、溶媒和物、水和物、エステルおよびプロドラッグの多形体は、本発明に含まれるものとする。
【0076】
別段の断りがない限り、下記の略称は、ここに挙げた意味を有する。Bocまたはt−Bocはtert−ブトキシカルボニルであり、Boc−PhG−OHはBoc−1−フェニルグリシンであり、CANは硝酸セリウムアンモニウムであり、CDIはN,N′−カルボニルジイミダゾールであり、DIBALは水素化アルミニウムジイソブチルであり、DCMはジクロロメタンであり、DMFはジメチルホルムアミドであり、HATUは2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートであり、MeOHはメタノールであり、Na(AcO)BHは水素化ホウ素トリアセトキシナトリウムであり、Pd/Cはパラジウム/炭素触媒であり、TFAはトリフルオロ酢酸であり、THFはテトラヒドロフランであり、p−TSAはパラ−トルエンスルホン酸である。
【0077】
式(I)の化合物
本発明は、下記式(I)の化合物ならびにそれの医薬的に許容される塩および溶媒和物を提供する。
【化8】

【0078】
式中、R、R、A、B、D、W、Q、X、YおよびZは、式(I)の化合物について上記で定義されている。
【0079】
1つの実施形態において、AはOである。
【0080】
別の実施形態において、Aは結合である。
【0081】
別の実施形態において、Aは−C(O)−である。
【0082】
さらに別の実施形態において、Aはアルキレンである。
【0083】
別の実施形態において、Aは−CH−である。
【0084】
1つの実施形態において、BはCHである。
【0085】
別の実施形態において、BはNである。
【0086】
1つの実施形態において、AはOであり、BはCHである。
【0087】
別の実施形態において、Aは−C(O)−であり、BはCHである。
【0088】
別の実施形態において、Aは−C(O)−であり、BはNである。
【0089】
さらに別の実施形態において、Aは−CH−であり、BはCHである。
【0090】
別の実施形態において、Aは−CH−であり、BはNである。
【0091】
さらに別の実施形態において、Aは結合であり、BはCHである。
【0092】
別の実施形態において、Aは結合であり、BはNである。
【0093】
1つの実施形態において、DはNである。
【0094】
別の実施形態において、DはCHである。
【0095】
別の実施形態において、BはCHであり、DはNである。
【0096】
1つの実施形態において、AはOであり、BはCHであり、DはNである。
【0097】
1つの実施形態において、YはNである。
【0098】
別の実施形態において、XはCHであり、YはNであり、ZはCHである。
【0099】
別の実施形態において、XはCHであり、YはCHであり、ZはNである。
【0100】
さらに別の実施形態において、X、YおよびZはそれぞれCHである。
【0101】
1つの実施形態において、BはCHであり、DはNであり、XはCHであり、YはNであり、ZはCHである。
【0102】
別の実施形態において、AはOであり、BはCHであり、DはNであり、XはCHであり、YはNであり、ZはCHである。
【0103】
1つの実施形態において、Wは結合である。
【0104】
別の実施形態において、Wはアルキレンである。
【0105】
別の実施形態において、Wは−CH−である。
【0106】
1つの実施形態において、Qは複素環アルキルである。
【0107】
別の実施形態において、Qはベンゼン環に縮合した複素環アルキルである。
【0108】
別の実施形態において、Qは複素環アルケニルである。
【0109】
別の実施形態において、Qはヘテロアリールである。
【0110】
さらに別の実施形態において、Qは
【化9】

【0111】
である。
【0112】
さらに別の実施形態において、Qは
【化10】

【0113】
である。
【0114】
別の実施形態において、Qは
【化11】

【0115】
であり;Rはフェニルまたはベンジルである。
【0116】
別の実施形態において、Qは
【化12】

【0117】
である。
【0118】
1つの実施形態において、Qは
【化13】

【0119】
であり;Rは複素環アルキルである。
【0120】
別の実施形態において、Qは
【化14】

【0121】
であり;Rはベンゾ縮合複素環アルキル基である。
【0122】
別の実施形態において、Qは
【化15】

【0123】
であり;Rは、
【化16】

【0124】
である。
【0125】
1つの実施形態において、Qは
【化17】

【0126】
である。
【0127】
別の実施形態において、Qは
【化18】

【0128】
であり;RおよびRはそれらが結合している窒素原子と一体となって、下記の基のうちの一つを形成している。
【化19】

【0129】
1つの実施形態において、Qは
【化20】

【0130】
である。
【0131】
別の実施形態において、Qは
【化21】

【0132】
であり;Rはアリールまたはヘテロアリールである。
【0133】
別の実施形態において、Qは
【化22】

【0134】
であり;Rは2個以下の基で置換されていても良いフェニルであり、その置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、−O−アルキル、ハロ、ハロアルキルまたは−CNから選択される。
【0135】
さらに別の実施形態において、Qは
【化23】

【0136】
であり;RおよびRならびにそれらが結合している窒素原子が一体となって、複素環アルキル基を形成している。
【0137】
別の実施形態において、Qは
【化24】

【0138】
であり;RおよびRならびにそれらが結合しているN原子が一体となって、複素環アルキルまたはヘテロアリール基を形成している。
【0139】
1つの実施形態において、Wは−CH−であり、Qは複素環アルキルである。
【0140】
別の実施形態において、Wは−CH−であり、Qはベンゼン環に縮合した複素環アルキルである。
【0141】
1つの実施形態において、Rは−(アルキレン)−シクロアルキルである。
【0142】
別の実施形態において、Rは−アルキレン−シクロアルキルである。
【0143】
別の実施形態において、Rは−CH−シクロプロピルである。
【0144】
さらに別の実施形態において、Rはアルキルである。
【0145】
別の実施形態において、Rはイソプロピルまたはイソブチルである。
【0146】
1つの実施形態において、RはHである。
【0147】
別の実施形態において、RはH以外である。
【0148】
1つの実施形態において、式(I)の化合物に関して、A、B、D、R、R、X、Y、Z、WおよびQは互いから独立に選択される。
【0149】
別の実施形態において、式(I)の化合物は精製型のものである。
【0150】
1つの実施形態において、式(I)の化合物は下記式(Ia)を有する。
【化25】

【0151】
式中、
は、アルキルまたは−アルキレン−シクロアルキルであり;
は、アリールまたはヘテロアリールであり、それらはいずれも置換されていないか3個以下の基で置換されていても良く、その置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、−ORまたは−CNから選択され;
およびRは独立にHまたはアルキルであり、ここで、アルキル基は1以上の同一でも異なっていても良い−OR基で置換されていても良く;あるいはRおよびRがそれらが結合している−N−C(O)−N−基と一体となって複素環アルキルまたは複素環アルケニル基を形成しており、それらのいずれも置換されていないか3個以下の基で置換されていても良く、その置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、ハロまたは−ORから選択され;
各場合のRは独立に、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環アルキル、ヘテロアリールまたはハロアルキルであり;
Aは、アルキレン、−C(O)−または−O−であり;
Wは、結合またはアルキレンである。
【0152】
1つの実施形態において、式(Ia)の化合物に関して、AはOである。
【0153】
別の実施形態において、式(Ia)の化合物に関して、Wは−CH−である。
【0154】
別の実施形態において、式(Ia)の化合物に関して、RおよびRはそれぞれHである。
【0155】
さらに別の実施形態において、式(Ia)の化合物に関して、Rは2個以下の基で置換されていても良いフェニルであり、その置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、−O−アルキル、ハロ、ハロアルキルまたは−CNから選択される。
【0156】
別の実施形態において、式(Ia)の化合物に関して、Rは−アルキレン−シクロアルキルである。
【0157】
別の実施形態において、式(Ia)の化合物に関して、Rは−CH−シクロプロピルである。
【0158】
1つの実施形態において、式(Ia)の化合物に関して、Rはアルキルである。
【0159】
1つの実施形態において、式(Ia)の化合物に関して、AはOまたは−C(O)−であり、Wは−CH−であり、Rは−アルキレン−シクロアルキルである。
【0160】
1つの実施形態において、式(Ia)の化合物に関して、A、W、R、R、RおよびRは互いから独立に選択される。
【0161】
別の実施形態において、式(Ia)の化合物は精製型のものである。
【0162】
式(I)の化合物の例としては、下記に挙げた化合物1から64ならびにこれらの医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【表2】








【0163】
式(I)の化合物の製造方法
式(I)の化合物の製造に有用な方法を、下記の実施例に記載し、スキーム1および2に概要を示している。別途の合成経路や類似の構造については、有機合成の当業者には明らかであろう。
【0164】
スキーム1には、Aが−O−であり;Bが−CH−であり;DがNであり;Wが−CH−であり;Qが尿素である式(I)の化合物を製造する上で有用な中間体である式(I)の化合物の製造に有用な方法を示してある。
【化26】

【0165】
式中X、Y、Z、R、RおよびRは、式(I)の化合物に関して上記で定義されており、PGはBocなどの2級アミノ保護基である。
【0166】
式Aの化合物を合物を、塩基の存在下に式Bの化合物にカップリングさせて、式Cの化合物を形成することができる。次に、式Cの化合物の窒素保護基を、多くの公知の方法のいずれかを用いて脱離させることで、式Dのアミン中間体(例えば、PGがBocである場合、TFAを用いてBoc基を脱離させることができる。)を得る。次に、式Dの化合物のアミノ基を、式R−Brの化合物との反応を介してアルキル化して、式EのN−誘導体化化合物を得ることができる。次に、式Eの化合物のシアノ基を接触水素化を用いて還元して、式Fのアミノメチル誘導体を得る。次に、式Fの化合物のメチルアミノ基を、式R−NCOの置換されたイソシアネートと反応させて、Aが−O−であり;Bが−CH−であり;DがNであり;Wが−CH−であり;Qが尿素である式(I)の化合物に相当する式Gの化合物を得ることができる。
【0167】
スキーム2には、Aが−O−であり;Bが−CH−であり;DがNであり;Wが−CH−であり;Qが
【化27】

【0168】
である式(I)の化合物の製造に有用な方法を示してある。
【化28】

【0169】
式中、X、Y、Z、R、RおよびRは式(I)の化合物に関して上記で定義されており、PGはBocなどの2級アミノ保護基である。
【0170】
式Gの化合物を1,2−ジブロモエタンと反応させて、Aが−O−であり;Bが−CH−であり;DがNであり;Wが−CH−であり;Qが
【化29】

【0171】

である式(I)の化合物に相当する式Hの相当するイミダゾールを得ることができる。
【0172】
スキーム1および2に描いた原料および試薬は、シグマ−アルドリッチ(St.Louis,MO)およびアクロス・オーガニクス社(Acros Organics Co.)(Fair Lawn,NJ)などの商業的供給者から入手可能であるか、有機合成の当業者に公知の方法を用いて製造することができる。
【0173】
式(I)の化合物の合成において、ある種の官能基を保護する必要がある場合がある(すなわち、特定の反応条件と化学的に適合させるための誘導体化)ことは、当業者には明らかであろう。式(I)の化合物の各種官能基に好適な保護基ならびにそれらの導入および脱離の方法は文献に記載されている(Greene et al,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley−Interscience,New York(1999))。
【0174】
実施例
以下の実施例は、本発明の化合物の例を挙げたものであり、開示内容の範囲を制限するものと解釈すべきではない。本発明の範囲に含まれる別途の機構経路および類似の構造は、当業者には明らかであると考えられる。
【0175】
一般的方法
記載の化合物を製造する上で使用される原料および試薬は、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.;Wisconsin,MO)およびアクロス・オーガニクス社(Acros Organics Co.)(New Jersey,USA)などの商業的供給者から入手可能であるか、有機合成の当業者に公知の方法を用いて製造した。市販品を購入した溶媒および試薬はいずれも、入荷したものをそのまま用いた。LCMS分析は、島津(Shimadzu)SCL−10ALCカラムを搭載したアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)API−100質量分析装置を用いて行った(Altech platinum C18、3μm、33mm×7mm(内径);勾配流:0分、10%CHCN;5分、95%CHCN;7分、95%CHCN;7.5分、10%CHCN;9分、停止)。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、セレクト・サイエンティフィック(Selecto Scientific)フラッシュシリカゲル、32から63メッシュを用いて行った。分析および分取TLCは、アナテック(Anatech)シリカゲルGFプレートを用いて行った。キラルHPLCは、キラルパック(Chiralpak)ODカラム(Chiral Technologies)を搭載したバリアン(Varian)のプレプスター(PrepStar)システムを用いて行った。
【実施例1】
【0176】
化合物1の製造
【化30】

【0177】
段階A−化合物1Cの合成
【化31】

【0178】
NaH(3.5g、86.62mmol、1.2当量)のDMF(50mL)中懸濁液を撹拌しながら、それにDMF(25mL)中のN−Boc−4−ヒドロキシピペリジン1B(18.0g、86.62mmol、1.2当量)を加えた。混合物を加熱して80℃とし、この温度で1時間撹拌し、冷却して室温とした。次に、6−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル1A(10.0g、72.18mmol)のDMF(25mL)中溶液を加え、反応液を加熱して80℃とし、この温度で16時間撹拌し、飽和NHCl水溶液を加えることで反応停止し、EtOAcによって抽出した(100mLで2回)。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して粗残留物を得て、それをEtOで数回磨砕し、濾過して、化合物1C(16.13g)を得て、それをそれ以上精製せずに用いた。
【0179】
段階B−化合物1Dの合成
【化32】

【0180】
化合物1C(16.13g、53.17mmol)のCHCl(100mL)およびTFA(41mL、531.7mmol、10.0当量)混合液中溶液を加熱還流し、この温度で2時間撹拌し、減圧下に濃縮した。得られた粘稠残留物を固体KCOで塩基性とし、濾過し、減圧下に濃縮して、化合物1D 10.8gを得て、それをそれ以上精製せずに用いた。
【0181】
段階C−化合物1Eの合成
【化33】

【0182】
化合物1D(10.8g、53.14mmol)のDMF(50mL)中溶液を撹拌しながら、それにCsCO(34.63g、106.28mmol、2.0当量)と次に1−ブロモメチルシクロプロパン(14.35g、106.28mmol、2.0当量)を加えた。反応を室温で16時間撹拌し、反応混合物をCHCl(50mL)および水(100mL)で希釈した。層を分離し、水相をCHClによって抽出した(25mLで2回)。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮し、得られた残留物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(微量のアンモニアを含む2%から4%MeOH/DCM)を用いて精製して、化合物1E 13.6gを得た。
【0183】
段階D−化合物1Fの合成
【化34】

【0184】
ニトリル1E(6.8g、26.4mmol)のMeOH(50mL)中溶液に、Pd/C(50%湿潤品、10%Pd、2.8g、2.64mmol、0.1当量)を加え、得られた混合物を、水素を充填した風船によって室温で水素化した。反応完了後、短いセライト層で濾過することで触媒を除去し、濾液を減圧下に濃縮して、化合物1F 7.0gを得て、それをそれ以上精製せずに用いた。
【0185】
段階E−化合物1の合成
【化35】

【0186】
1F(100mg、0.38mmol)のCHCl(5mL)中溶液を撹拌しながら、それに3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート(0.087g、0.38mmol)を加えた。反応液を室温で1時間撹拌し、反応混合物を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(2%から6%MeOH/CHCl)を用いて直接精製して、化合物1 130mgを白色粉末として得た。
【0187】
上記の方法を用い、適切な反応物および試薬に代えることで、化合物2から16を合成した。
【実施例2】
【0188】
化合物26の製造
【化36】

【0189】
NaH(186mg、4.65mmol、20当量)のTHF(20mL)中懸濁液を撹拌しながら、それに化合物1(120mg、0.23mmol)のTHF(5mL)中溶液を加え、次に1,2−ジブロモエタン(0.41mL、4.65mmol、20当量)を滴下した。反応液を加熱して75℃とし、この温度で16時間撹拌し、次に飽和NHCl水溶液を加えることで反応停止した。得られた溶液をCHClによって抽出し、有機抽出液をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して粗残留物を得て、それをシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NH:95/4.5/0.5)を用いて精製して、化合物26 7mgを得た。
【0190】
上記の方法を用い、適切な反応物および試薬に代えることで、化合物21から23、25および27を合成した。
【実施例3】
【0191】
化合物17の製造
【化37】

【0192】
トリホスゲン(98mg、0.33mmol)のCHCl(10mL)中溶液を冷却しながら、それにCHCl(2mL)中の5−アミノ−2−トリフルオロメチルピリジン(136mg、0.80mmol、1.05当量)およびトリエチルアミン(0.149mL、1.07mmol、1.4当量)を5分間かけて滴下した。添加後、反応液を5分間撹拌し、次に化合物1F(200mg、0.765mmol、0.96当量)およびトリエチルアミン(107μL、0.765mmol、1.0当量)のCHCl(5mL)中溶液を5分間かけて滴下し、反応液を室温で約15時間撹拌し、それを水で希釈し、CHClによって抽出した(5mLで2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮し、得られた残留物を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NH:95/4.5/0.5)を用いて精製して、化合物17 87mgを得た。
【0193】
上記の方法を用い、適切な反応物および試薬に代えることで、化合物18から20および34から36を合成した。
【実施例4】
【0194】
化合物28の製造
【化38】

【0195】
化合物37(100mg、0.22mmol、1.0当量)のクロロアセチルクロライド(175μL、2.2mmol、10.0当量)中溶液を加熱して105℃とし、この温度で30分間撹拌し、次に減圧下に濃縮した。得られた残留物をDMF(1mL)に溶かし、ジイソプロピルエチルアミン(194μL、1.11mmol、5.0当量)を加えた。反応液を加熱して105℃とし、この温度で10分間撹拌し、水で希釈し、CHClによって抽出した(5mLで2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮し、得られた残留物を、逆相カラム(アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸を含む勾配溶離)を用いて精製して、化合物28を得た。
【実施例5】
【0196】
化合物33の製造
【化39】

【0197】
1F(500mg、1.91mmol)のCHCN(5mL)中溶液を撹拌しながら、それにブロモ酢酸メチル(182μL、1.91mmol、1.0当量)およびKCO(0.53g、3.83mmol、2.0当量)を加えた。反応液を室温で1時間撹拌し、CHClで希釈し、濾過した。濾液に2,4−ジクロロフェニルイソシアネート(360mg、1.91mmol)を加え、得られた反応液を室温で30分間撹拌し、減圧下に濃縮した。得られた残留物を、逆相カラム(アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸を含む勾配溶離)を用いて精製して、化合物33 9mgを得た。
【実施例6】
【0198】
化合物32の製造
【化40】

【0199】
段階A−化合物6Aの合成
【化41】

【0200】
Boc−PhG−OH(264mg、1.05mmol、1.1当量)のTHF(10mL)中溶液を撹拌しながら、それにCDI(170mg、1.05mmol、1.1当量)を加えた。反応液を1時間撹拌し、化合物1F(250mg、0.96mmol、1.0当量)を加え、反応液を室温で約15時間撹拌させた。水を加え、混合物をCHClによって抽出した(10mLで2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して粗残留物を得て、それをシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて(CHCl/MeOH/NH:95/4.5/0.5)精製して、化合物6A 138mgを得た。
【0201】
段階B−化合物6Bの合成
【化42】

【0202】
NaH(57mg、1.42mmol、10.0当量)のTHF(5mL)中懸濁液を撹拌しながら、それにTHF 2mL中の化合物6A(70mg、0.14mmol)を滴下した。反応液を室温で30分間撹拌し、次にTHF 2mL中のクロルギ酸メチル(109μL、1.42mmol、10.0当量)を加えた。反応液を室温で4時間撹拌し、その後にそれを水およびCHClで希釈した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して化合物6Bを得て、それをそれ以上精製せずに用いた。
【0203】
段階C−化合物32の合成
【化43】

【0204】
化合物6B(45mg、0.086mmol)のCHCl(5mL)中溶液に、TFA(2mL)を加えた。反応液を加熱還流し、この温度で1時間撹拌し、冷却して室温とし、減圧下に濃縮した。得られた残留物をCHClで希釈し、得られた溶液を固体KCOで中和し、濾過し、減圧下に濃縮して、化合物32 12mgを得た。
【実施例7】
【0205】
化合物31の製造
【化44】

【0206】
段階A−化合物7Aの合成
【化45】

【0207】
化合物1F(1.0g、3.83mmol)のCHCN(50mL)中溶液に、KCO(1.69g、12.26mmol、3.2当量)を加え、次にブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール(2.38mL、15.32mmol、4.0当量)を加えた。反応液を加熱還流し、この温度で約15時間撹拌し、その後にそれを減圧下に濃縮し、水で希釈し、混合物をCHClによって抽出した(20mLで2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、それをシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NH:90/9.5/0.5)を用いて精製して、化合物7A 200mgを得た。
【0208】
段階B−化合物7Bの合成
【化46】

【0209】
化合物7A(200mg、0.53mmol)のCHCl(5mL)中溶液に、2,4−ジクロロフェニルイソシアネート(100mg、0.53mmol)を加えた。反応液を室温で約15時間撹拌し、2%から6%MeOH/CHClで溶離を行うシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、化合物7B 265mgを得た。
【0210】
段階C−化合物31の合成
【化47】

【0211】
7B(200mg、0.35mmol)のMeOH(5mL)中溶液を撹拌しながら、それに4N HCl 10mLを加え、反応液を加熱還流し、この温度で約15時間撹拌した。完了後、反応混合物を減圧下に濃縮し、CHClで希釈し、飽和NaHCO水溶液で中和した。混合物をCHClによって抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、化合物31 85mgを得た。
【実施例8】
【0212】
化合物38の製造
【化48】

【0213】
段階A−化合物8Aの合成
【化49】

【0214】
メタノール(80mL)中の5−ブロモピリジン−2−カルボキシアルデヒド(5g、26.8mmol)、t−BOCピペラジン(5g、26.8mmol)およびNa(AcO)BH(11.4g、53.6mmol)の混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を飽和NaCO(300mL)で希釈し、酢酸エチルによって抽出した(200mLで2回)。有機溶液を減圧下に濃縮し、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン(体積比=2/98))を用いて分離して、中間体化合物8Aを得た(3.6、38%)。
【0215】
段階B−化合物8Bの合成
【化50】

【0216】
化合物8A(3.56g、10mmol)のメタノール(25mL)および4N HCl/1,4−ジオキサン(25mL)中混合物を室温で2時間経過させ、次に濃縮した。得られた反応混合物をDMF(20mL)、トリエチルアミン(2.5g)、ブロモメチルシクロプロパン(2.0当量)および炭酸セシウム(4.1g)と混合し、室温で18時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)で希釈し、酢酸エチルによって抽出した(200mLで2回)。有機溶液を減圧下に濃縮し、シリカゲル−メタノール/ジクロロメタン(体積比=2/98)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて分離して、中間体化合物8Bを得た(1.4g、74%)。
【0217】
段階C−化合物8Cの合成
【化51】

【0218】
化合物8B(1.3g、4.2mmol)のTHF(20mL)中溶液を冷却して−78℃とし、それに2.5M n−BuLi/ヘキサン(1.85mL)を加えた。反応混合物を−78℃で撹拌し、この温度で30分間撹拌し、DMF(0.33g、4.6mmol)を加え、−78℃での撹拌を続け、この温度で1時間撹拌し、昇温させて室温とした。反応混合物をブライン(100mL)で希釈し、酢酸エチルによって抽出した(100mLで2回)。有機溶液を減圧下に濃縮し、メタノール(10mL)、メチルアミンHCl塩(0.26g)、トリエチルアミン(0.39g)およびNa(AcO)BH(1.6g)と混合し、室温で18時間撹拌した。反応混合物を飽和NaCO(50mL)で希釈し、酢酸エチルによって抽出した(100mLで2回)。有機溶液を減圧下に濃縮して、中間体化合物8C(1g)を得た。
【0219】
段階D−化合物38の合成
【化52】

【0220】
化合物8C(0.12g、0.44mmol)のジクロロメタン(2mL)中溶液および2,4−ジクロロフェニルイソシアネート(0.082g、0.44mmol)の混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を、シリカゲル−メタノール/ジクロロメタン(体積比=4/96)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて分離して、化合物38(0.15g、75%)を得た。
【0221】
上記の方法を用い、適切な原料に代えることで、化合物39を製造した。
【実施例9】
【0222】
化合物40の製造
【化53】

【0223】
段階A−化合物9Aの合成
【化54】

【0224】
2−ブロモピリジン−5−カルボン酸(5g、24.7mmol)のジクロロメタン(100mL)中混合物に、シクロプロピルメチルピペラジン(3.5g、24.7mmol)、HATU(18.8g、49.4mmol)およびEtN(1.4当量)を加え、得られた反応液を室温で13時間撹拌した。反応混合物を水(200mL)で希釈し、ジクロロメタンによって抽出し(200mLで2回)、合わせた有機層を減圧下に濃縮し、得られた残留物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン(体積比=2/98))を用いて精製して、中間体化合物9Aを得た(6.6g、83%)。
【0225】
段階B−化合物9Bの合成
【化55】

【0226】
化合物9A(2g、6.2mmol)のDMF(30mL)中溶液、CuCN(1.1g、12.4mmol)、NaI(0.1g、0.62mmol)の混合物を加熱還流し、この温度で3日間撹拌した。反応混合物を飽和NaCO(200mL)で希釈し、酢酸エチルによって抽出した(100mLで2回)。有機溶液を減圧下に濃縮して、中間体化合物9Bを得た(0.45g、27%)。
【0227】
段階C−化合物9Cの合成
【化56】

【0228】
化合物9BおよびPd/C(50%湿潤品)のMeOH(8mL)中混合物について、大気圧下で6時間水素化を行い、反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮して中間体化合物9C(0.6g、100%)を得た。
【0229】
段階D−化合物40の合成
【化57】

【0230】
化合物9C(0.1g、0.365mmol)のジクロロメタン(2mL)中溶液に、2,4−ジクロロフェニルイソシアネート(0.067g、0.365mmol)を加え、得られた反応を室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、得られた残留物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン(体積比=4/96))を用いて精製して、化合物40(0.095g、56%)を得た。
【0231】
上記の方法を用い、適切な反応物および試薬に代えることで、化合物41から43を製造した。
【実施例10】
【0232】
化合物44の製造
【化58】

【0233】
化合物9C(0.05g、0.182mmol)およびシクロペンチルカルボニルクロライド(0.037g、0.2mmol)のジクロロメタン(1mL)中混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、得られた残留物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン(体積比=4/96))を用いて精製して、化合物44(0.045g、67%)を得た。
【0234】
上記の方法を用い、適切な反応物および試薬に代えることで、化合物45を製造した。
【実施例11】
【0235】
化合物46の製造
【化59】

【0236】
段階A−化合物11Aの合成
【化60】

【0237】
6−ブロモピリジン−3−カルボキシアルデヒド(25.1g、135mmol)のトルエン(200mL)中混合物にエチレングリコール(9.2g、148mmol)およびp−TSA(0.2g)を加え、得られた反応液を加熱還流し、この温度で24時間撹拌した。反応混合物を冷却して室温とし、減圧下に濃縮し、得られた残留物を飽和NaCO(200mL)で希釈し、酢酸エチルによって抽出した(200mLで2回)。合わせた有機抽出液を減圧下に濃縮して、中間体化合物11A(30g、97%)を得た。
【0238】
段階B−化合物11Bの合成
【化61】

【0239】
化合物11A(4.6g、20mmol)のTHF(40mL)中溶液を−78℃とし、それに2.5M n−BuLi/ヘキサン(9.6mL)を加えた。反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、次にN−t−BOC−4−(N−メトキシ−N−メチル)アミド(THF 5mL中4.4g)を加え、反応液を−78℃でさらに1時間撹拌した。反応混合物を昇温させて0℃とし、この温度で10分間撹拌し、反応混合物をブライン(200mL)で希釈し、酢酸エチルによって抽出した(150mLで2回)。合わせた有機抽出液を減圧下に濃縮し、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン(体積比=10/90))を用いて精製して、中間体化合物11B(1.35g、23%)を得た。
【0240】
段階C−化合物11Cの合成
【化62】

【0241】
化合物11B(1.15g、3.2mmol)のメタノール(8mL)および4N HCl/1,4−ジオキサン(8mL)中混合物を室温で1時間経過させ、濃縮した。得られた反応混合物をDMF(15mL)、トリエチルアミン(0.97g)、2−メチル−ブロモプロパン(0.82g、6.4mmol)および炭酸セシウム(2.1g、6.4mmol)と混合し、加熱して80℃として20時間経過させた。反応混合物を水(100mL)で希釈し、酢酸エチルによって抽出した(100mLで2回)。有機溶液を減圧下に濃縮し、シリカゲル−メタノール/ジクロロメタン(体積比=2/98)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて分離して、中間体化合物11C(0.8g、80%)を得た。
【0242】
段階D−化合物11Dの合成
【化63】

【0243】
化合物11C(0.75g、2.35mmol)のTHF(5mL)中混合物に、1N HCl(23.5mL、2.35mmol)およびpTSA(0.1g)を加え、得られた反応液を加熱して100℃とし、この温度で18時間撹拌した。反応混合物を冷却して室温とし、減圧下に濃縮し、得られた残留物を飽和NaCO(50mL)で希釈し、酢酸エチルによって抽出した(60mLで2回)。合わせた有機抽出液を減圧下に濃縮して、中間体化合物11D(0.62g、99%)を得た。
【0244】
段階E−化合物11Eの合成
【化64】

【0245】
化合物11D(0.62g、2.26mmol)のジクロロエタン(10mL)中混合物にp−メトキシ−ベンジルアミン(1.0当量)およびNa(AcO)BH(0.95g、4.5mL)を加え、得られた反応液を室温で18時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮し、得られた残留物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン(体積比=3/97))を用いて精製して、中間体化合物11Eを得た(0.51g、57%)。
【0246】
段階F−化合物11Fの合成
【化65】

【0247】
化合物11E(0.11g、0.28mmol)のCHCN/HO(10:1、4mL)中混合物に、CAN(0.61g、1.1mmol)を加え、得られた反応液を室温で2日間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮し、得られた残留物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン(体積比=4/96))を用いて精製して、中間体化合物11Fを得た(0.038g、49%)。
【0248】
段階G−化合物46の合成
【化66】

【0249】
化合物11F(0.037g、0.134mmol)のジクロロメタン(1mL)中溶液に、2,4−ジクロロフェニルイソシアネート(0.025g、0.134mmol)を加え、得られた反応液を室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、得られた残留物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン(体積比=4/96))を用いて精製して、化合物46を得た(0.02g、32%)。
【実施例12】
【0250】
化合物47の製造
【化67】

【0251】
段階A−化合物12Aの合成
【化68】

【0252】
ニトリル1E(2.5g、3.25mmol)のDCM(20mL)中溶液に、−78℃でDIBAL(16mL、16mmol、1.0Mのヘキサン中溶液、1.8当量)を加えた。得られた混合物を−78℃で撹拌し、この温度で0.5時間撹拌し、室温で1時間撹拌した。反応完結後、反応液を冷却して0℃とし、5%HSO水溶液を用いて反応停止した。水相を、NaOH水溶液を用いて塩基性とし、EtOAcによって抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水した。濃縮後の残留物を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NH:95/4.5/0.5)を用いて精製して、中間体化合物12A 2gを得た。
【0253】
段階B−化合物47の合成
【化69】

【0254】
12A(170mg、0.65mmol)およびイソインドリン(150mg、1mmol)のTHF(5mL)中溶液に、NaBH(OAc)(212mg、1mmol)を加えた。得られた反応を室温で約15時間撹拌し、反応混合物をEtOAcで希釈し、NaOH水溶液(1N)およびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮し、得られた残留物をギルソン(Gilson)分取LCを用いて精製して、化合物47 50mgを得た。
【0255】
上記の方法を用い、適切な反応物および試薬に代えることで、化合物48から53を製造した。
【実施例13】
【0256】
化合物54の製造
【化70】

【0257】
段階A−化合物13Aの合成
【化71】

【0258】
化合物1E(900mg、3.3mmol)のDMSO(5mL)中溶液に0℃で、30%Hと次にKCOを加えた。得られた反応液を室温で2時間撹拌し、1N NaOH水溶液を用いて反応停止した。得られた混合物をEtOAcによって抽出し、有機相をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。得られた残留物を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NH:95/5/0.5)を用いて精製して、化合物13A 600mgを得た。
【0259】
段階B−化合物54の合成
【化72】

【0260】
NaH(36mg、0.9mmol、2当量)のDMF(5mL)中懸濁液を撹拌しながら、それに化合物13A(130mg、0.45mmol)と次にα,α′−ジブロモ−o−キシレン(238mg、0.9mmol、2当量)を加えた。反応液を室温で約15時間撹拌し、NaOH水溶液(1.0N)を用いて反応停止し、EtOAcによって抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して粗残留物を得て、それをシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NH:95/4.5/0.5)を用いて精製して、化合物54 150mgを得た。
【0261】
上記の方法を用い、適切な反応物および試薬に代えることで、化合物58から61を製造した。
【実施例14】
【0262】
化合物56の製造
【化73】

【0263】
化合物14A(89mg、0.36mmol)および14B(60mg、0.47mmol)のDMSO(3mL)中溶液を、封管中にて120℃で加熱し、この温度で3時間撹拌した。反応混合物を冷却して室温とし、EtOAcで希釈し、NaOH水溶液(1.0N)で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をギルソン分取LCを用いて精製して、化合物56 90mgを得た。
【実施例15】
【0264】
化合物59の製造
【化74】

【0265】
化合物15A(495mg、2mmol、1.0当量)、15B(592mg、4mmol、2当量)、15C(1g、4mmol、2当量)のTHF(20mL)中溶液を、N雰囲気下にトリn−ブチルホスフィン(1mL、4mmol)で処理した。反応液を室温で約15時間撹拌し、減圧下に濃縮し、得られた残留物を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、化合物59を得た。
【実施例16】
【0266】
化合物60の製造
【化75】

【0267】
化合物59(170mg、0.43mmol)のMeOH/THF(1/10、10mL)中溶液を0℃とし、それにNaBH(30mg、0.8mmol)を加えた。反応液を室温で2時間撹拌し、EtOAcで希釈した。有機層をNaOH水溶液(1.0N)で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して粗残留物を得て、それをシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、化合物60 150mgを得た。
【実施例17】
【0268】
化合物57の製造
【化76】

【0269】
化合物60(50mg、1当量)のジクロロメタン(3mL)中溶液を0℃とし、それにTFA(146mg、10当量)およびトリエチルシラン(22mg、1.5当量)を加えた。得られた反応液を、TLCモニタリングで反応完結が示されるまで室温で撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、得られた残留物を、分取薄層クロマトグラフィーを用いて精製して、化合物57 30mgを得た。
【実施例18】
【0270】
化合物62の製造
【化77】

【0271】
実施例1に記載の方法を用い、適切な反応物を用いて、化合物62を製造した。
【実施例19】
【0272】
化合物63の製造
【化78】

【0273】
実施例2に記載の方法を用い、適切な反応物を用いて、化合物62を製造した。
【実施例20】
【0274】
化合物64の製造
【化79】

【0275】
実施例17に記載の方法を用い、適切な反応物を用いて、化合物64を製造した。
【実施例21】
【0276】
受容体結合アッセイ
本実験でのH受容体の入手源はモルモット脳であった。動物の体重は400から600gであった。脳組織を50mM Tris(pH7.5)溶液で均質化した。均質化緩衝液中の組織の最終濃度は、10重量/体積%であった。得られたホモジネートを1000×gで10分間遠心して、組織塊や細片を除去した。得られた上清を50000×gで20分間遠心して膜を沈降させ、次にそれを均質化緩衝液で3回洗浄した(各回50000×gで20分間)。得られた膜を、用時まで−70℃で冷凍・保存した。
【0277】
調べる本発明の化合物をDMSOに溶かし、結合緩衝液(50mM Tris、pH7.5)で希釈して、最終濃度が0.1%DMSO含有で2μg/mLとなるようにした。膜を、反応管に加えた(タンパク質400μg)。3nM[H]R−α−メチルヒスタミン(8.8Ci/mmol)または3nM[H]Nα−メチルヒスタミン(80Ci/mmol)を加えることで反応開始し、30℃でのインキュベーション下に反応を続け、この温度で30分間撹拌した。濾過によって、結合したリガンドを未結合のリガンドから分離し、膜に結合した放射性リガンドの量を、液体シンチレーションスペクトル測定によって定量した。インキュベーションはいずれも二連で行い、標準誤差は常に10%未満であった。放射性リガンドの受容体への特異的結合の70%強を阻害した化合物を連続希釈して、K(nM)を求めた。
【0278】
この方法を用いて、下記のデータを特定の式(I)の化合物について得て、モルモット脳におけるK値は約30nMから約2μMであった。
【実施例22】
【0279】
糖尿病マウスでの血糖値に対する本発明の化合物のイン・ビボ効果
5週間齢の雄ICRマウスを糖尿病のモデルとして用い、それは例えばタコニックファーム(Taconic Farm,Germantown,NY)から購入することができる。マウスを、ラードからの45%(kcal)脂肪および0.12%(重量基準)コレステロールを含む「洋風食」で飼育する。3週間の飼育後、マウスに低用量のストレプトゾシン(STZ、腹腔内投与75から100mg/kg)を1回注射することで、部分的インシュリン欠乏を誘発する。STZ注射から2週間後に、STZ処理マウスの大半が2型糖尿病を発症し、高血糖、インシュリン耐性および耐糖能障害を示すはずである。次に、糖尿病マウスを、4週間にわたり、(1)未処理対照群、(2)ロシグリタゾン処理群(飼料中5mg/kg/日);または(3)試験化合物処理群(飼料中10/mg/kg)に分ける。
【実施例23】
【0280】
糖尿病ラットでの血糖値に対する本発明の化合物のイン・ビボ効果
成体糖尿病ゴトウ−カキザキ(Goto−Kakizaki)ラット(14週齢)を、糖尿病のモデルとして用いる。最初に、動物について、血糖計を用いて、食後血糖値を調べる。血糖値が130および370mg/dLであるラットを、処置群(N=10)と対照(N=10)に無作為に割り付ける。処置群の動物に、10mg/kg/日の用量で固形飼料に入れて本発明の化合物を投与する。処置から1週間後、テールスニップから採血を行い、食後血糖値を血糖計を用いて測定することができる。
【0281】
式(I)の化合物の使用
式(I)の化合物は、患者における症状を治療または予防するためのヒト医薬および動物薬において有用である。本発明によれば、症状の治療または予防を必要とする患者に対して、式(I)の化合物を投与することができる。従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物またはそれの医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグを患者に対して投与する段階を有する、患者での症状の治療方法を提供する。さらに本発明は、1以上の式(I)の化合物および式(I)の化合物とは異なる別の治療薬を患者に投与する段階を有し、投与される量が共同で、症状を治療または予防する上で有効である、患者での症状の治療または予防方法を提供する。
【0282】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、ヒスタミンH受容体のリガンドであることができる。別の実施形態において、本発明の化合物は、H受容体の拮抗薬として、またはH拮抗薬と説明することもできる。
【0283】
アレルギーの治療または予防
式(I)の化合物は、患者におけるアレルギーの治療または予防において有用である。
【0284】
従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に投与する段階を有する、患者でのアレルギーの治療方法を提供する。
【0285】
本発明の方法を用いて治療または予防可能であるアレルギーの例としては、I型過敏性反応、II型過敏性反応、III型過敏性反応、IV型過敏性反応、食物アレルギー、アレルギー性肺障害、有毒針または噛みつきに対するアレルギー反応;カビアレルギー、環境関連アレルギー(アレルギー性鼻炎、草アレルギーおよび花粉アレルギーなど)、アナフィラキシーおよびラテックスアレルギーなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0286】
アレルギー誘発気道応答の治療または予防
式(I)の化合物は、患者におけるアレルギー誘発気道応答を治療または予防する上で有用である。
【0287】
従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に対して投与する段階を有する、患者でのアレルギー誘発気道応答の治療方法を提供する。
【0288】
本発明の方法を用いて治療もしくは予防可能なアレルギー誘発気道応答の例としては、上気道応答などあるがこれに限定されるものではない。1つの実施形態において、アレルギー誘発気道応答は上気道応答である。
【0289】
鬱血の治療または予防
式(I)の化合物は、患者における鬱血の治療または予防において有用である。
【0290】
従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に対して投与する段階を有する、患者での鬱血の治療方法を提供する。
【0291】
本発明の方法を用いて治療もしくは予防可能な鬱血の例としては、鼻づまりおよび萎縮性鼻炎、血管運動神経性鼻炎、味覚性鼻炎および薬物誘発性鼻炎などのあらゆる種類の鼻炎などがあるがこれらに限定されるものではない。1つの実施形態において、鬱血は鼻づまりである。
【0292】
神経障害の治療または予防
式(I)の化合物は、患者における神経障害の治療または予防において有用である。
【0293】
本明細書で使用される場合の「神経障害」という用語は、脳、神経および脊髄など(これらに限定されるものではない)の中枢神経系のあらゆる部分の障害を指す。
【0294】
従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に対して投与する段階を有する、患者での神経障害の治療方法を提供する。
【0295】
本発明の方法を用いて治療もしくは予防可能な神経障害の例としては、疼痛、低血圧、髄膜炎、運動障害(パーキンソン病またはハンチントン舞踏病など)、譫妄、認知症、アルツハイマー病、脱髄障害(多発性硬化症または筋萎縮性側索硬化症など)、失語症、末梢神経系障害、発作性障害、睡眠障害、脊髄障害、卒中、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、中枢神経系の機能低下および機能亢進(激越または抑鬱など)および統合失調症などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0296】
1つの実施形態において、神経障害は睡眠障害である。
【0297】
別の実施形態において、神経障害は運動障害である。
【0298】
別の実施形態において、神経障害はアルツハイマー病である。
【0299】
さらに別の実施形態において、神経障害は統合失調症である。
【0300】
別の実施形態において、神経障害は低血圧である。
【0301】
さらに別の実施形態において、神経障害は抑鬱である。
【0302】
別の実施形態において、神経障害は、成人または小児に存在し得るADHDである。
【0303】
1つの実施形態において、睡眠障害は、過眠症、傾眠またはナルコレプシーである。
【0304】
別の実施形態において、運動障害はパーキンソン病またはハンチントン舞踏病である。
【0305】
1つの実施形態において、神経障害は疼痛である。
【0306】
本発明の方法を用いて治療もしくは予防可能な疼痛の例としては、急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、皮膚痛覚、体性痛、内臓痛、幻肢痛、癌疼痛(突出痛など)、薬物療法によって生じる疼痛(癌化学療法など)、頭痛(片頭痛、緊張性頭痛、群発性頭痛など)、関節炎によって生じる疼痛、怪我によって生じる疼痛、歯痛または医学的手技によって生じる疼痛(手術、理学療法または放射線療法など)などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0307】
1つの実施形態において、疼痛は神経因性疼痛である。
【0308】
別の実施形態において、疼痛は癌疼痛である。
【0309】
別の実施形態において、疼痛は頭痛である。
【0310】
心血管疾患の治療または予防
式(I)の化合物は、患者における心血管疾患の治療または予防において有用である。
【0311】
従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に対して投与する段階を有する、患者での心血管疾患の治療方法を提供する。
【0312】
本発明の方法を用いて治療もしくは予防可能な心血管疾患の例には、不整脈、心房細動、上室性頻拍症、動脈性高血圧、動脈硬化、冠動脈疾患、肺動脈疾患、心筋症、心外膜炎、末梢動脈障害、末梢静脈障害、末梢リンパ障害、鬱血性心不全、心筋梗塞、狭心症、弁膜症または狭窄などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0313】
1つの実施形態において、心血管疾患はアテローム性動脈硬化症である。
【0314】
別の実施形態において、心血管疾患は冠動脈疾患である。
【0315】
消化器障害の治療または予防
式(I)の化合物は、患者における消化器障害の治療または予防において有用である。
【0316】
従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に対して投与する段階を有する、患者での消化器障害の治療方法を提供する。
【0317】
本発明の方法を用いて治療もしくは予防可能な消化器障害の例には、消化管の運動過剰または低運動性、消化管の酸性分泌、肛門直腸疾患、下痢、過敏性大腸症候群、消化不良、胃食道逆流症(GERD)、憩室炎、胃炎、消化性潰瘍疾患、胃腸炎、炎症性腸疾患、吸収不良症候群または膵炎などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0318】
1つの実施形態において、消化器障害はGERDである。
【0319】
別の実施形態において、消化器障害は、消化管の運動過剰または低運動性である。
【0320】
炎症疾患の治療または予防
式(I)の化合物は、患者における炎症疾患の治療または予防において有用である。
【0321】
従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に対して投与する段階を有する、患者での炎症疾患の治療方法を提供する。
【0322】
非アルコール性脂肪肝疾患の治療または予防
式(I)の化合物は、患者における非アルコール性脂肪肝疾患の治療または予防において有用である。従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に対して投与する段階を有する、患者での非アルコール性脂肪肝疾患の治療方法を提供する。
【0323】
代謝障害の治療または予防
式(I)の化合物は、代謝障害の治療において有用となり得る。従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物またはそれの医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグを患者に対して投与する段階を有する、患者での代謝障害の治療方法を提供する。治療可能な代謝障害の例には、代謝症候群(「症候群X」とも称される)、耐糖能異常、空腹時血糖異常、異脂肪血症、高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高血圧、フェニルケトン尿症、食後脂質血症、糖原病、ゴーシェ病、テイ・サックス病、ニーマン・ピック病、ケトン症およびアシドーシスなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0324】
1つの実施形態において、代謝障害は、高コレステロール血症である。
【0325】
別の実施形態において、代謝障害は、高脂血症である。
【0326】
別の実施形態において、代謝障害は、高トリグリセリド血症である。
【0327】
さらに別の実施形態において、代謝障害は代謝症候群である。
【0328】
さらに別の実施形態において、代謝障害は低HDLレベルである。
【0329】
別の実施形態において、代謝障害は異脂肪血症である。
【0330】
肥満および肥満関連障害の治療または予防
式(I)の化合物は、肥満または肥満関連障害を治療する上で有用となり得る。従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物またはそれの医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグを患者に対して投与する段階を有する、患者での肥満または肥満関連障害の治療方法を提供する。
【0331】
糖尿病の治療または予防
式(I)の化合物は、患者における糖尿病の治療または予防において有用である。従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に対して投与する段階を有する、患者での糖尿病の治療方法を提供する。
【0332】
式(I)の化合物を用いて治療または予防可能な糖尿病の例には、1型糖尿病(インシュリン依存性糖尿病)、2型糖尿病(非インシュリン依存性糖尿病)、妊娠性糖尿病、自己免疫性糖尿病、異常インスリン症、膵臓病による糖尿病、他の内分泌疾患(クッシング症候群、末端肥大症、クロム親和細胞腫、グルカゴン産生腫瘍、原発性アルドステロン症またはソマトスタチン産生腫瘍など)関連の糖尿病、A型インスリン抵抗症候群、B型インシュリン抵抗症候群、リパトロフィック(lipatrophic)糖尿病、β細胞毒誘発性糖尿病および薬物療法誘発性糖尿病(抗精神病薬誘発性糖尿病など)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0333】
1つの実施形態において、糖尿病は1型糖尿病である。
【0334】
別の実施形態において、糖尿病は2型糖尿病である。
【0335】
糖尿病性合併症の治療または予防
式(I)の化合物は、患者における糖尿病性合併症の治療または予防において有用である。従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に対して投与する段階を有する、患者での糖尿病性合併症の治療方法を提供する。
【0336】
式(I)の化合物を用いて治療または予防可能な糖尿病性合併症の例には、糖尿病白内障、緑内障、網膜症、神経障害(糖尿病性神経障害、多発性神経障害、単発神経炎、自律性ニューロパシー、微量アルブミン尿症および進行性糖尿病性神経障害など)、腎症、足の壊疽、免疫複合体性血管炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、アテローム硬化性冠動脈疾患、末梢動脈障害、非ケトン性高血糖性高浸透圧性昏睡、足部潰瘍、関節障害、皮膚または粘膜の合併症(感染、シンスポット(shin spot)、カンジダ感染または糖尿病性リポイド類壊死症性肥満(necrobiosis lipoidica diabeticorumobesity)など)、高脂血症、高血圧、インスリン抵抗性症候群、冠状動脈疾患、真菌感染、細菌感染および心筋症などがあるが、これらに限定されるものではない。.
1つの実施形態において、糖尿病性合併症は神経障害である。
【0337】
別の実施形態において、糖尿病性合併症は網膜症である。
【0338】
別の実施形態において、糖尿病性合併症は腎症である。
【0339】
耐糖能異常の治療または予防
式(I)の化合物は、患者における耐糖能異常の治療または予防において有用である。
【0340】
従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に対して投与する段階を有する、患者での耐糖能異常の治療方法を提供する。
【0341】
空腹時血糖異常の治療または予防
式(I)の化合物は、患者における空腹時血糖異常の治療または予防において有用である。
【0342】
従って、1つの実施形態において、本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に対して投与する段階を有する、患者での空腹時血糖異常の治療方法を提供する。
【0343】
併用療法
従って、1つの実施形態において、本発明は、1以上の式(I)の化合物またはそれの医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも一つの式(I)の化合物以外の別の治療薬を患者に対して投与する段階を有し、それらの投与量が共同で症状を治療または予防する上で有効である、患者における症状の治療方法を提供する。
【0344】
そのような投与を必要とする患者に対して併用療法を行う場合、併用される治療剤またはそれらの治療剤を含む医薬組成物もしくは複数の組成物は、いずれの順序でも投与することができ、それには例えば、順次、同時、一緒、一斉などがある。そのような併用療法における各種活性剤の量は、異なる量(異なる用量)であっても同一量(同一用量)であっても良い。
【0345】
1つの実施形態において、前記1以上の式(I)の化合物は、別の治療薬がそれの予防効果もしくは治療効果を発揮している期間に投与されるか、その逆もある。
【0346】
別の実施形態において、前記1以上の式(I)の化合物および別の治療薬は、そのような薬剤を症状の治療用の単独療法として使用する場合に一般に用いられる用量で投与される。
【0347】
別の実施形態において、前記1以上の式(I)の化合物および別の治療薬は、そのような薬剤を症状の治療用の単独療法として用いる場合に一般に用いられる用量より低い用量で投与される。
【0348】
さらに別の実施形態において、前記1以上の式(I)の化合物および別の治療薬は、相乗的に作用し、そのような薬剤を症状の治療用の単独療法として用いる場合に一般に用いられる用量より低い用量で投与される。
【0349】
1つの実施形態において、前記1以上の式(I)の化合物および別の治療薬は、同一組成物中に存在する。1つの実施形態において、この組成物は経口投与に適している。別の実施形態において、この組成物は静脈投与に適している。
【0350】
前記1以上の式(I)の化合物および別の治療薬は、相加的または相乗的に作用し得る。相乗的な組み合わせによって、併用療法の1以上の薬剤の用量を下げて使用したり、および/または1以上の薬剤の投与回数を減らすことが可能となる。1以上の薬剤の用量が低下したり、投与回数が減ることで、療法の効力を低下させることなく、療法の毒性を下げることが可能となる。
【0351】
1つの実施形態において、1以上の式(I)の化合物および別の治療薬の投与によって、これら薬剤に対する症状の耐性を阻害することができる。
【0352】
1つの実施形態において、患者の糖尿病、糖尿病性合併症、耐糖能異常または空腹時血糖異常を治療する場合、前記他の治療薬は、式(I)の化合物とは異なる抗糖尿病薬である。別の実施形態において、患者の疼痛を治療する場合、前記他の治療薬は、式(I)の化合物とは異なる鎮痛薬である。
【0353】
別の実施形態において、前記他薬剤は、式(I)の化合物の可能な副作用を軽減する上で有用な薬剤である。そのような可能な副作用には、吐き気、嘔吐、頭痛、発熱、傾眠、筋痛、下痢、全身痛および注射部位での疼痛などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0354】
1つの実施形態において、前記他薬剤は、それの既知の治療上有効な用量で使用される。別の実施形態において、前記他薬剤は、それの通常処方される用量で使用される。別の実施形態において、前記他の治療薬は、それの通常処方される用量やそれの既知の治療上有効な用量より少ない用量で使用される。
【0355】
糖尿病または糖尿病性合併症の本発明の治療方法で有用な抗糖尿病薬の例には、スルホニル尿素;インシュリン増感剤(PPAR作動薬、DPP−IV阻害薬、PTP−1B阻害薬およびグルコキナーゼ活性化剤など);α−グルコシダーゼ阻害薬;インシュリン分泌促進剤;肝グルコース放出低下剤;抗肥満薬;抗高血圧薬;メグリチニド;イン・ビボでのデンプンおよび糖類の分解を遅延または遮断する薬剤;インシュリン産生を増加させるペプチド;およびインシュリンもしくはいずれかのインシュリン含有組成物などがある。
【0356】
1つの実施形態において、抗糖尿病薬はインシュリン増感剤またはスルホニル尿素である。
【0357】
スルホニル尿素の例としては、グリピジド、トルブタミド、グリブリド、グリメピリド、クロルプロパミド、アセトヘキサミド、グリアミリド、グリクラジド、グリベンクラミドおよびトラザミドなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0358】
インシュリン増感剤の例としては、トログリタゾン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾンおよびエングリタゾンなどのPPAR活性化剤;メトホルミンおよびフェンホルミンなどのビグアニジン類;シタグリプチン、サクサグリプチン、デナグリプチンおよびビルダグリプチンなどのDPP−IV阻害薬;PTP−1B阻害薬;ならびにミグリトール、アカルボースおよびボグリボースなどのα−グルコキナーゼ活性化剤などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0359】
肝グルコース放出低下剤の例としては、グルコファージおよびグルコファージXRなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0360】
インシュリン分泌促進剤の例としては、GLP−1、エキセンディン、GIP、セクレチン、グリピジド、クロルプロパミド、ナテグリニド、メグリチニド、グリベンクラミド、レパグリニドおよびグリメピリドなどのスルホニル尿素系および非スルホニル尿素系薬剤などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0361】
本明細書で使用される場合の「インシュリン」という用語は、長期作用型および短期作用型のインシュリンを含む全てのインシュリン製剤を含む。
【0362】
1つの実施形態において、抗糖尿病薬は抗肥満薬である。
【0363】
本発明の糖尿病治療方法で有用な抗肥満薬の例としては、ロルカセリンなどの5−HT2C作動薬;神経ペプチドY拮抗薬;MCR4作動薬;MCH受容体拮抗薬;レプチンまたはアジポネクチンなどのタンパク質ホルモン;AMPキナーゼ活性化剤;ならびにオルリスタットなどのリパーゼ阻害薬などがあるがこれらに限定されるものではない。食欲抑制剤は、本発明の方法で有用な抗肥満薬の範囲に包含されないものと見なされる。
【0364】
本発明の糖尿病治療方法で有用な抗高血圧薬の例としては、β−遮断薬およびカルシウムチャンネル遮断薬(例えばジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピン(amlopidine)およびミベフラジル)、ACE阻害薬(例えばカプトプリル、リシノプリル、エナラプリル、スピラプリル、セラノプリル(ceranopril)、ゼフェノプリル(zefenopril)、ホシノプリル、シラザプリル(cilazopril)およびキナプリル)、AT−1受容体拮抗薬(例えばロサルタン、イルベサルタンおよびバルサルタン)、レニン阻害薬およびエンドセリン受容体拮抗薬(例えばシタクスセンタン)などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0365】
本発明の糖尿病治療方法で有用なメグリチニド類の例としては、レパグリニドおよびナテグリニドなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0366】
インシュリン増感剤の例としては、メトホルミン、メトホルミン塩酸塩(Bristol−Myers Squibbからのグルコファージ(登録商標)など)、グリブリド含有メトホルミン塩酸塩(Bristol−Myers Squibbからのグルコバンス(商標名)など)およびブホルミンなどのビグアニド類;グリタゾン類;ならびにロシグリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾン(GlaxoSmithKlineからのアバンディア(商標名)など)、ピオグリタゾン、ピオグリタゾン塩酸塩(武田からのアクトス(商標名))、シグリタゾンおよびMCC−555(三菱化学)などのチアゾリジンジオン類などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0367】
1つの実施形態において、インシュリン増感剤はチアゾリジンジオンである。
【0368】
1つの実施形態において、インシュリン増感剤はビグアニドである。
【0369】
デンプンおよび糖類の分解を遅延もしくは遮断し、本発明の組成物および方法での使用に適した抗糖尿病薬の例としては、α−グルコシダーゼ阻害薬およびインシュリン産生を増加させるある種のペプチドなどがあるがこれらに限定されるものではない。α−グルコシダーゼ阻害薬は、摂取された炭水化物の消化を遅延させることで、身体が血糖値を低下させるのを助け、それによって食後の血糖濃度の上昇を小さくする。好適なα−グルコシダーゼ阻害薬の例としては、アカルボース;ミグリトール;カミグリボース;国際特許公開番号WO01/47528(参照によって本明細書に組み込まれる)に開示されているある種のポリアミン類;ボグリボースなどがあるがこれらに限定されるものではない。インシュリン産生を増加させるのに好適なペプチド類の例としては、アムリンチド(AmylinからのCAS登録番号122384−88−7;プラムリンチド、エキセンディン、国際特許公開番号WO00/07617(参照によって本明細書に組み込まれる)に開示のグルカゴン様ペプチド−1(GLP−I)作動活性を有するある種の化合物などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0370】
経口投与可能なインシュリンおよびインシュリン含有組成物の例としては、AutoImmuneからのAL−401ならびに米国特許第4,579,730号、同4,849,405号、同4,963,526号、同5,642,868号、同5,763,396号、同5,824,638号、同5,843,866号、同6,153,632号および同6,191,105号;ならびに国際特許公開番号WO85/05029(それぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる)に開示の組成物などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0371】
本発明の疼痛治療方法で有用な他の鎮痛薬の例としては、アセトアミノフェン、NSAID、オピエートまたは三環系抗鬱薬などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0372】
1つの実施形態において、前記他の鎮痛薬はアセトアミノフェンまたはNSAIDである。
【0373】
別の実施形態において、前記他の鎮痛薬はオピエートである。
【0374】
別の実施形態において、前記他の鎮痛薬は三環系抗鬱薬である。
【0375】
本発明の疼痛治療方法で有用なNSAIDの例としては、アスピリン、アモキシプリン、ベノリラートまたはジフルニサルなどのサリチル酸化合物;ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、ケトロラク、ナブメトン、スリンダクまたはトルメチンなどのアリールアルカン酸;イブプロフェン、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェン酸またはスプロフェンなどの2−アリールプロピオン酸(「プロフェン」);メフェナム酸またはメクロフェナム酸などのフェナム酸;フェニルブタゾン、アザプロパゾン、メタミゾールまたはオキシフェンブタゾンなどのピラゾリジン誘導体;セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブまたはパレコキシブなどのコキシブ;ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカムまたはテノキシカムなどのオキシカム;またはニメスリドなどのスルホンアニリドなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0376】
本発明の疼痛治療方法で有用なオピエートの例としては、アニリドピペリジン、フェニルピペリジン、ジフェニルプロピルアミン誘導体、ベンゾモルファン誘導体、オリパビン誘導体およびモルフィナン誘導体などがあるがこれらに限定されるものではない。オピエートの別の例には、モルヒネ、ジアモルヒネ、ヘロイン、ブプレノルフィン、ジピパノン、ペチジン、デキストロモラミド、アルフェンタニル、フェンタニル、レミフェンタニル、メサドン、コデイン、ジヒドロコデイン、トラマドール、ペンタゾシン、バイコディン、オキシコドン、ヒドロコドン、パーコセット、ペルコダン、ノルコ、ジラウジッド、ダルボセットまたはローセットなどがある。
【0377】
本発明の疼痛治療方法で有用な三環系抗鬱薬の例としては、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチンまたはプレガバリンなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0378】
式(I)の化合物は、H受容体拮抗薬と併用することができる(すなわち、式(I)の化合物を医薬組成物中でH受容体拮抗薬と組み合わせることができるか、式(I)の化合物を1以上のH受容体拮抗薬とともに投与することができる。)。
【0379】
多くの化学物質がヒスタミンH受容体拮抗薬活性を有することが知られており、従って本発明の方法で用いることができる。本発明の方法で有用な多くのH受容体拮抗薬が、エタノールアミン類、エチレンジアミン類、アルキルアミン類、フェノチアジン類またはピペリジン類として分類することができる。代表的なH受容体拮抗薬には、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、メクリジン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、ノルアステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジンおよびトリプロリジンなどがあるが、これらに限定されるものではない。他の化合物は、摘出されたモルモット回腸のヒスタミンに対する収縮応答の特異的遮断などの公知の方法によって容易に評価して、H受容体での活性を確認することができる。例えば、国際特許出願公開番号WO98/06394(参照によって本明細書に組み込まれる)を参照する。
【0380】
受容体拮抗薬をそれの既知の治療上有効用量で使用すること、またはH受容体拮抗薬をそれの通常処方される用量で用いることは、当業者には明らかであろう。
【0381】
好ましくは、前記H受容体拮抗薬は、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、メクリジン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、ノルアステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジンおよびトリプロリジンから選択される。
【0382】
より好ましくは、前記H受容体拮抗薬は、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、カレバスチン、デスカルボエトキシロラタジン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、ノルアステミゾールまたはテルフェナジンから選択される。
【0383】
最も好ましくは、前記H受容体拮抗薬は、アザタジン、ブロムフェニラミン、セチリジン、クロルフェニラミン、カレバスチン、デスカルボエトキシロラタジン、ジフェンヒドラミン、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジンまたはノルアステミゾールから選択される。
【0384】
さらにより好ましくは、前記H拮抗薬は、ロラタジン、デスカルボエトキシロラタジン、フェキソフェナジンまたはセチリジンから選択される。
【0385】
さらにより好ましくは、前記H拮抗薬は、ロラタジンまたはデスカルボエトキシロラタジンである。
【0386】
ある好ましい実施形態において、前記H受容体拮抗薬はロラタジンである。
【0387】
別の好ましい実施形態において、前記H受容体拮抗薬はデスカルボエトキシロラタジンである。
【0388】
さらに別の好ましい実施形態において、前記H受容体拮抗薬は、フェキソフェナジンである。
【0389】
さらに別の好ましい実施形態において、前記H受容体拮抗薬は、セチリジンである。
【0390】
好ましくは、上記の方法では、アレルギー誘発気道応答を治療する。
【0391】
さらに、好ましくは、上記の方法では、アレルギーを治療する。
【0392】
さらに、好ましくは、上記の方法では、鼻詰まりを治療する。
【0393】
本発明のH拮抗薬(式Iの化合物)の組み合わせ剤をH拮抗薬とともに投与する本発明の方法では、それらの拮抗薬は同時または順次に(最初に一方を、次にある期間を経て他方を投与)することができる。概して、それらの拮抗薬を順次投与する場合、本発明のH拮抗薬(式(I)の化合物)を最初に投与する。
【0394】
症状の治療または予防のために本発明の併用療法で使用される他薬剤の用量および投与法は、添付文書に記載の承認された用量および投与法;患者の年齢、性別および全身の健康状態;ならびにウィルス感染もしくは関連の疾患もしくは障害の種類および重度を考慮して、担当の臨床関係者が決定することができる。併用投与する場合、上記の疾患または症状を治療するための式(I)の化合物および他薬剤は、同時または順次で投与することができる。これが特に有用なのは、併用の成分を異なる投与計画で投与する場合、例えば一つの成分を1日1回投与し、別の成分を6時間ごとに投与する場合、または好ましい医薬組成物が異なる場合、例えば一つが錠剤で一つがカプセルの場合である。従って、別個の製剤を含むキットが有利である。
【0395】
概して、1以上の式(I)の化合物および別の治療薬の合計1日用量は、併用療法として投与される場合、約0.1から約2000mg/日の範囲であることができるが、ただし、その療法の標的、患者および投与経路に応じて変更を行う必要が生じるであろう。1つの実施形態において、用量は、単一用量または2から4回の分割用量での投与で約0.2から約100mg/日である。別の実施形態において、用量は、単一用量または2から4回の分割用量での投与で約1から約500mg/日である。別の実施形態において、用量は、単一用量または2から4回の分割用量での投与で約1から約200mg/日である。さらに別の実施形態において、用量は、単一用量または2から4回の分割用量での投与で約1から約100mg/日である。さらに別の実施形態では、用量は、単一用量または2から4回の分割用量での投与で約1から約50mg/日である。さらに別の実施形態では、用量は、単一用量または2から4回の分割用量での投与で約1から約20mg/日である。
【0396】
組成物および投与
本発明によって記述の化合物から医薬組成物を製造する上では、不活性で医薬的に許容される担体は固体または液体であることができる。固体製剤には、粉剤、錠剤、分散性粒剤、カプセル、カシェ剤および坐剤などがある。粉剤および錠剤は、約5から約95パーセントの有効成分から構成されていることができる。好適な固体担体は当業界では公知であり、例えば炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖または乳糖がある。錠剤、粉剤、カシェ剤およびカプセルを、経口投与に好適な固体製剤として用いることができる。医薬的に許容される担体および各種組成物の製造方法の例が文献にある(A.Germaro(ed.),Remington′s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,(1990),Mack Publishing Co.,Easton,PA)。
【0397】
液体製剤には、液剤、懸濁液および乳濁液などがある。例として、非経口注射用の水もしくは水−プロピレングリコール溶液、または経口液剤、懸濁液および乳濁液用の甘味剤および乳白剤の添加を挙げることができる。液体製剤には、鼻腔内投与用の液剤などもあり得る。吸入に好適なエアロゾル製剤には、液剤および粉末形態での固体などが可能であり、それは窒素などの不活性圧縮ガスなどの医薬的に許容される担体と組み合わせることができる。
【0398】
経口投与または非経口投与用に、使用直前に液体細剤に変換することを意図した固体製剤も含まれる。そのような液体製剤には、液剤、懸濁液および乳濁液などがある。
【0399】
本発明の化合物は、経皮的に送達可能であっても良い。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または乳濁液の形態を取ることができ、これに関して当業界で従来から行われている基材または貯留部型の経皮貼布に含ませることができる。
【0400】
1つの実施形態において、式(I)の化合物は経口投与する。
【0401】
1つの実施形態において、医薬製剤は単位製剤の形態である。そのような形態では、製剤を、適切な量の活性成分、例えば所望の目的を達成する上で有効な量の活性成分を含む好適な大きさとした単位製剤に小分けする。
【0402】
単位用量製剤中の活性化合物の量は変動し得るものであるか、特定の用途に応じて、約1mgから約150mg、好ましくは約1mgから約75mg、より好ましくは約1mgから約50mgで調節可能である。
【0403】
実際に用いられる用量は、患者の要求および治療する症状の重度に応じて変動し得るものである。特定の状況において適当な投与法の決定は、当業界の技術の範囲内である。簡便を期して、総1日用量を、要請に応じて、その日の中で数回に分けて投与しても良い。
【0404】
本発明の化合物および/またはそれの医薬的に許容される塩の投与の量および回数は、患者の年齢、状態および大きさならびに治療される症状の重度などの要素を考慮して、担当の臨床関係者の判断に従って調整することになろう。経口投与の場合の代表的な推奨1日投与法は、2から4回の分割用量で、約1mg/日から約300mg/日、好ましくは1mg/日から75mg/日の範囲とすることができる。
【0405】
本発明が1以上の式(I)の化合物および別の治療薬の併用を含む場合、その二つの活性成分は、同時にまたは順次に併用投与することができるか、医薬的に許容される担体中の1以上の式(I)の化合物および別の治療薬を含む単一の医薬組成物を投与することができる。その併用の成分は、カプセル、錠剤、粉剤、カシェ剤、懸濁液、液剤、坐剤または点鼻薬などのいずれか従来の製剤で、個別にまたは一緒に投与することができる。別の治療薬の用量は、出版物から決定することができ、約1から約1000mg/回の範囲とすることができる。1つの実施形態において、併用で用いる場合、併用に有利な効果があることから、個々の成分の用量レベルは推奨される個々の用量より低い。
【0406】
1つの実施形態において、併用療法での投与法の成分を同時に投与すべき場合、それらは、医薬的に許容される担体とともに単一の組成物で投与することができる。
【0407】
別の実施形態において、併用療法での投与法の成分を別個または順次にて投与すべき場合、それらは、それぞれが医薬的に許容される担体を含む別個の組成物で投与することができる。
【0408】
その併用療法の成分は、個々に、またはカプセル、錠剤、粉剤、カシェ剤、懸濁液、液剤、坐剤、点鼻薬などのいずれか従来の製剤で一緒に投与することができる。
【0409】
キット
1態様において本発明は、有効量の1以上の式(I)の化合物またはその化合物の医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物ならびに医薬的に許容される担体、媒体もしくは希釈剤を含むキットを提供する。
【0410】
別の態様において、本発明は、ある量の1以上の式(I)の化合物またはその化合物の医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物ならびにある量の上記で挙げた少なくとも一つの別の治療薬を含むキットであって、合計量が患者における糖尿病、糖尿病性合併症、耐糖能異常または空腹時血糖異常を治療または予防する上で有効であるキットを提供する。
【0411】
併用療法投与法の成分を複数の組成物で投与すべき場合、それらは、単一の包装に、医薬的に許容される担体中の式(I)の化合物を含む1個の容器および医薬的に許容される担体中の別の治療薬を含む別の容器を有するキットであって、各組成物の活性成分が、併用が治療上有効となるような量で存在するキットで提供され得る。
【0412】
本発明は、本発明のいくつかの態様の例示を目的とした実施例に開示の具体的な実施形態によって限定されるべきものではなく、機能的に等価であるいずれの実施形態も、本発明の範囲に含まれる。実際、本明細書で図示および説明したもの以外に、本発明についての各種変更は当業者には明らかになるものであり、添付の特許請求の範囲に含まれるものである。
【0413】
本明細書においては多くの参考文献が引用されており、それらの開示内容は全て、参照によって本明細書に組み込まれる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物または該化合物の医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグ。
【化1】

[式中、
Aは、結合、アルキレン、−O−、−C(O)−または−C(=N−OR)−であり;
Bは、−N−または−CH−であり;Aが−O−の場合は、Bは−CH−であり;
Dは、−N−または−CH−であり;
Qは、複素環アルキル、複素環アルケニル、ヘテロアリール、
【化2】

であり;
ここで、複素環アルキル、複素環アルケニル、ヘテロアリール基は、置換されていないか3個以下の基で置換されていることができ、当該置換基は同一であっても異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、複素環アルキル、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−NHC(O)OR、−N(R、−OR、−S(O)または−CNから選択され、Qが
【化3】

である場合、BおよびDのうちの少なくとも一つが−CH−であり;
V、X、YおよびZはそれぞれ独立に、−N−または−CH−であり;
Wは、結合、アルキレンまたは−C(O)−であり;
は、アルキル、複素環アルキル、または−(アルキレン)−シクロアルキルであり;
は、H、アルキル、−(アルキレン)−アリール、または−(アルキレン)−ヘテロアリールであり、ここで、いずれのアリールもしくはヘテロアリール基も置換されていないか3個以下の基で置換されていることができ、当該置換基は同一であっても異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−NHC(O)OR、−N(R、−OR、−S(O)または−CNから選択され;
およびRは独立に、H、アルキルまたはアリールであり、ここで、アルキル基は1以上の同一でも異なっていても良い−OR基で置換されていても良く、またはRとRが、それらが結合している(i)−N−CO−V−基または(ii)N原子と一体となって、複素環アルキル、複素環アルケニルまたはヘテロアリール基を形成しており、それらのいずれも置換されていないか3個以下の基で置換されていることができ、その置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−NHC(O)OR、−N(R、−OR、−S(O)または−CNから選択され;
は、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、−CN、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−NHC(O)OR、−N(Rまたは−ORであり、またはRとRがそれらが結合している原子と一体となって、アリール、シクロアルキル、複素環アルキル、複素環アルケニルまたはヘテロアリール基を形成しており、それらはいずれも置換されていないか、3個以下の基で置換されていることができ、その置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−NHC(O)OR、−N(R、−OR、−S(O)または−CNから選択され;
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環アルキルまたは複素環アルケニルであり、ここで、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環アルキルまたは複素環アルケニル基は置換されていないか、3個以下の基で置換されていることができ、その置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−NHC(O)OR、−N(R、−OR、−S(O)または−CNから選択され;
各場合のRは独立に、H、アルキル、シクロアルキルまたはアリールであり;
各場合のRは独立に、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環アルキル、ヘテロアリールまたはハロアルキルであり;
は、Hまたはアルキルであり;
各場合のpは独立に、0または1であり;
各場合のpは独立に、0、1または2であり、その場合、式(I)の化合物が明細書の表1に挙げた化合物以外のものであることができる。]
【請求項2】
AがOであり、BがCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
DがNである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が−アルキレン−シクロアルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が−CH−シクロプロピルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
がアルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
がイソプロピルまたはイソブチルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
がHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
XがCHであり、YがNであり、ZがCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Wがアルキレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Wが−CH−である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Qが
【化4】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Qが
【化5】

である、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
Qが
【化6】

であり;RおよびRがそれらが結合しているN原子と一体となって複素環を形成している、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Qが
【化7】

である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が複素環アルキルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
がベンゾ縮合複素環アルキル基である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
がHであり、R
【化8】

である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
がアリールまたはヘテロアリールである、請求項13に記載の化合物。
【請求項20】
が、2個以下の基で置換されていても良いフェニルであり、当該置換基が同一でも異なっていても良く、アルキル、−O−アルキル、ハロ、ハロアルキルまたは−CNから選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
下記式を有する請求項1に記載の化合物または該化合物の医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグ。
【化9】

[式中、
は、アルキル、または−アルキレン−シクロアルキルであり;
は、アリールまたはヘテロアリールであり、それらはいずれも置換されていないか3個以下の基で置換されていることができ、当該置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、−ORまたは−CNから選択され;
およびRは独立にHまたはアルキルであり、ここで、アルキル基は1以上の同一でも異なっていても良い−OR基で置換されていることができ;あるいはRおよびRがそれらが結合している−N−C(O)−N−基と一体となって複素環アルキルまたは複素環アルケニル基を形成しており、それらのいずれも置換されていないか3個以下の基で置換されていることができ、当該置換基は同一でも異なっていても良く、アルキル、ハロまたは−ORから選択され;
各場合のRは独立に、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環アルキル、ヘテロアリールまたはハロアルキルであり;
Aは、アルキレン、−C(O)−、または−O−であり;
Wは、結合またはアルキレンである。]
【請求項22】
AがOである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Wが−CH−である、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
およびRがそれぞれHである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
が、2個以下の基で置換されていても良いフェニルであり、当該置換基が同一でも異なっていても良く、アルキル、O−アルキル、ハロ、ハロアルキルまたは−CNから選択される、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
が−アルキレン−シクロアルキルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項27】
が−CH−シクロプロピルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
がアルキルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項29】
AがOまたは−C(O)−であり、Wが−CH−であり、Rが−アルキレン−シクロアルキルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項30】
下記の構造:
【化10】







を有する化合物または該化合物の医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項31】
1以上の請求項1に記載の化合物または該化合物の医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは立体異性体、および少なくとも一つの医薬的に許容される担体を含む組成物。
【請求項32】
1以上の請求項30に記載の化合物または該化合物の医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは立体異性体、および少なくとも一つの医薬的に許容される担体を含む組成物。
【請求項33】
1以上の別の治療薬をさらに含み、該別の治療薬が抗糖尿病薬、抗肥満薬およびヒスタミンH受容体拮抗薬から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
1以上の別の治療薬をさらに含み、該別の治療薬が抗糖尿病薬、抗肥満薬およびヒスタミンH受容体拮抗薬から選択される、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
患者に対して有効量の1以上の請求項1に記載の化合物または該化合物の医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは立体異性体投与する段階を有する、患者におけるアレルギー、アレルギー誘発気道応答、鬱血、心血管疾患、炎症疾患、消化器障害、神経障害、代謝障害、肥満、肥満関連障害、糖尿病、糖尿病性合併症、耐糖能異常または空腹時血糖異常を治療する方法。
【請求項36】
患者に対して有効量の1以上の請求項30に記載の化合物または該化合物の医薬的に許容される塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは立体異性体投与する段階を有する、患者におけるアレルギー、アレルギー誘発気道応答、鬱血、心血管疾患、炎症疾患、消化器障害、神経障害、代謝障害、肥満、肥満関連障害、糖尿病、糖尿病性合併症、耐糖能異常または空腹時血糖異常を治療する方法。
【請求項37】
1以上の別の治療薬をさらに含み、該別の治療薬が抗糖尿病薬、抗肥満薬およびヒスタミンH受容体拮抗薬から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
1以上の別の治療薬をさらに含み、該別の治療薬が抗糖尿病薬、抗肥満薬およびヒスタミンH受容体拮抗薬から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記治療が糖尿病に対するものである、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記治療が糖尿病に対するものである、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記糖尿病が2型糖尿病である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記糖尿病が2型糖尿病である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記治療が肥満に対するものである、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記治療が肥満に対するものである、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
1以上の別の治療薬をさらに含み、該別の治療薬が抗糖尿病薬および抗肥満薬から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
1以上の別の治療薬をさらに含み、該別の治療薬が抗糖尿病薬および抗肥満薬から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
1以上の別の治療薬をさらに含み、該別の治療薬が抗肥満薬である、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
1以上の別の治療薬をさらに含み、該別の治療薬が抗肥満薬である、請求項44に記載の方法。


【公表番号】特表2012−505899(P2012−505899A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532201(P2011−532201)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/060613
【国際公開番号】WO2010/045306
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】