説明

アスパルチルプロテアーゼ阻害剤のプロドラッグ

【課題】本発明は、アスパルチルプロテアーゼインヒビターであるスルホンアミドの1種のプロドラッグに関する。
【解決手段】1実施態様では、本発明は、好ましい水溶性、高い経口バイオアベイラビリティーおよび活性成分の容易なインビボ発生により特徴づけられるHIVアスパルチルプロテアーゼインヒビターの新規な種類のプロドラッグに関する。本発明はまた、これらのプロドラッグを含有する薬学的組成物に関する。本発明のプロドラッグおよび薬学的組成物は、不快な負担(pill burden)を低下させ患者の服薬率(patient compliance)を高めるのに、特に良く適合する。本発明はまた、これらのプロドラッグおよび薬学的組成物で哺乳動物を処置する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の属する技術分野)
本発明は、アスパルチルプロテアーゼインヒビターであるスルホンアミドの1種のプロドラッグに関する。1実施態様では、本発明は、好ましい水溶性、高い経口バイオアベイラビリティーおよび活性成分の容易なインビボ発生により特徴づけられるHIVアスパルチルプロテアーゼインヒビターの新規な種類のプロドラッグに関する。本発明はまた、これらのプロドラッグを含有する薬学的組成物に関する。本発明のプロドラッグおよび薬学的組成物は、不快な負担(pill burden)を低下させ患者の服薬率(patient compliance)を高めるのに、特に良く適合する。本発明はまた、これらのプロドラッグおよび薬学的組成物で哺乳動物を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスパルチルプロテアーゼインヒビターは、HIV感染との戦いにおいて、現在、最も効果的な薬剤と考えられている。しかしながら、これらのインヒビターは、この酵素に対して、良好な効力を達成するために、特定の物理化学的な特性を必要とする。これらの特性の1つには、高い疎水性がある。残念なことに、この特性のために、水溶性が乏しくなり、そして経口バイオアベイラビリティーが低下する。
【0003】
米国特許第5,585,397号は、このアスパルチルプロテアーゼ酵素インヒビターであるスルホンアミド化合物の1種を記述している。これらの化合物は、疎水性アスパルチルプロテアーゼインヒビターを含有する薬学的組成物に付随する欠点を示す。例えば、VX−478(4−アミノ−N−((2−syn, 3S)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−2((S)−テトラヒドロフラン−3−イル−オキシカルボニルアミノ)−ブチル−N−イソブチル−ベンゼンスルホンアミド)は、この米国特許第5,585,397号に開示されているアスパルチルプロテアーゼインヒビターである。それは、比較的に低い水溶性を有する。「溶液」処方でのこのインヒビターの経口バイオアベイラビリティーは優れているが、この形態でのVX−478の投薬量は、特定の液体投薬形態において存在する液体(これは、例えば、柔軟なゼラチンカプセル中にカプセル化されている)の量により、著しく制限されている。水溶性を高くすれば、VX−478の単位投薬量あたりの薬剤負荷が高くなる。
【0004】
現在、溶液処方のVX−478の上限は、各カプセルにおいて、150 mgのVX−478である。2400 mg/日のVX−478の治療用量を与えるとすれば、この処方は、患者に対して、1日あたり、16カプセルを消費することを要求することになる。このような高い不快な負担の結果として患者の服薬率が低くなり易く、それゆえ、この薬剤の最適以下の治療上の効果しか生じない。この高い不快な負担はまた、患者に1日あたり投与される薬剤の量を上げることに対する障害となる。この不快な負担および付随する患者服薬率の問題の別の欠点は、HIVに感染した子供の処置にある。
【0005】
さらに、これらの「溶液」処方(例えば、メシレート処方)は、VX−478の飽和溶解状態にある。これにより、種々の貯蔵および/または輸送条件下にて、この薬剤が溶液から結晶化する現実的な可能性が生じる。このことは、次いで、VX−478で得られるバイオアベイラビリティーの一部の損失を生じ易い。
【0006】
これらの問題を克服する1つの方法は、標準的な固体投薬形態(例えば、錠剤形態またはカプセル形態または懸濁液形態)を開発することにある。残念なことに、このような固体投薬形態は、この薬剤の経口バイオアベイラビリティーがずっと低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、アスパルチルプロテアーゼインヒビターについて、単位投薬形態あたりの薬剤充填を改良する必要がある。このような改良された投薬形態であれば、その不快な負担を低下させ、そして患者の服薬率を高める。それはまた、患者に1日あたりに投与する薬剤の量を高める可能性も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下を提供する:
1.式Iの化合物:
【0009】
【化10】

【0010】
ここで:
Aは、以下である:H;Ht;−R−Ht;−R−(C−C)アルキル、ここで、該−R−(C−C)アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、Ht、−O−Ht、−NR−CO−N(Rまたは−CO−N(Rから独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換される;−R−(C−C)アルケニル、ここで、該−R−(C−C)アルケニルは、必要に応じて、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、Ht、−O−Ht、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−CO−N(Rから独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換される;あるいはR
各Rは、独立して、−C(O)−、−S(O)−、−C(O)−C(O)−、−O−C(O)−、−O−S(O)、−N(R)−S(O)−、−N(R)−(O)−または−N(R)−C(O)−C(O)−から独立して選択される;
各Htは、以下から独立して選択される:C−Cシクロアルキル;C−Cシクロアルケニル;C−C10アリール;あるいは5員〜7員の飽和または不飽和ヘテロ環であって、ここで、該ヘテロ環は、N、N(R)、O、SおよびS(O)から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する;ここで、該アリールまたは該ヘテロ環は、必要に応じて、Qに縮合される;ここで、該Htのいずれかのメンバーは、必要に応じて、オキソ、−OR、SR、−R、−N(R、−R−OH、−CN、−C(O)O−R、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)−R、−S(O)−R、−OCF、−S(O)−Q、メチレンジオキシ、−N(R)−S(O)−R、ハロ、−CF、−NO、Q、−OQ、−OR、−SR、−R、−N(R)(R)または−N(Rから独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換される;
各Rは、H、または必要に応じてQで置換される(C−C)アルキルから独立して選択される;
Bは、存在するとき、−N(R)−C(R−C(O)−である;
各xは、独立して、0または1である;
各Rは、H、Ht、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C)−シクロアルケニルから独立して選択される;ここで、Hを除く該Rのいずれかのメンバーは、必要に応じて、−OR、−C(O)−NH−R、−S(O)−N(R、Ht、−CN、−SR、−CO、N(R)−C(O)−Rから選択される1個またはそれ以上の置換基で置換される;
各nは、独立して、1または2である;
Gは、存在するとき、H、Rまたは(C−C)−アルキルから選択されるか、あるいはGが(C−C)−アルキルのとき、GおよびRは、直接かまたはC−Cリンカーを介してかのいずれかで互いに結合して、ヘテロ環式環を形成する;あるいはGが存在しないとき、Gが結合する原子は、Rに由来の1個の−ZM基の付随する置換を伴って、−OR中のR基に直接結合される;
DおよびD’は、以下から独立して選択される:Q;(C−C)−アルキル、ここで、該(C−C)−アルキルは、必要に応じて、(C−C)−シクロアルキル、−OR、−R、−O−QまたはQから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;(C−C)−アルケニル、ここで、該(C−C)−アルケニルは、必要に応じて、(C−C)−シクロアルキル、−OR、−R、−O−QまたはQから選択した1個またはそれ以上の基で置換される;(C−C)−シクロアルキル、ここで、該(C−C)−シクロアルキルは、必要に応じて、Qで置換されるか、またはQと縮合される;あるいは(C−C)−シクロアルケニル、ここで、該(C−C)−シクロアルケニルは、Qで置換されるか、またはQと縮合される;
各Qは、以下から独立して選択される:3員〜7員の飽和、部分飽和または不飽和の炭素環式環系;あるいは5員〜7員の飽和、部分飽和または、不飽和のヘテロ環式環であり、ここで、該ヘテロ環は、O、N、S、S(O)またはN(R)から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する;ここで、Q中のいずれかの環は、必要に応じて、オキソ、−OR、−R、−N(R、−N(R)−C(O)−R、−R−OH、−CN、−C(O)OR、−C(O)−N(R、ハロまたは−CFから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;
Eは、以下から選択される:Ht;−O−Ht;Ht−Ht;−O−R;−N(R)(R);(C−C)−アルキル、ここで、該(C−C)−アルキルは、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;(C−C)−アルケニル、ここで、該(C−C)−アルケニルは、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;(C−C)−飽和炭素環、ここで、該(C−C)−飽和炭素環は、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;あるいは(C−C)−不飽和炭素環、ここで、該(C−C)−不飽和炭素環は、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;
各Rは、−OR、−SR、−C(O)−NHR、−S(O)−NHR、ハロ、−N(R)−C(O)−R、−N(Rまたは−CNから独立して選択される;
各Rは、
【0011】
【化11】

【0012】
から独立して選択される;
ここで、各Mは、H、Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、−N(R、(C−C12)−アルキル、(C−C12)−アルケニル、または−Rから独立して選択される;ここで、該アルキル基またはアルケニル基の1個〜4個の−CH基は、Zに結合した−CH以外、必要に応じて、O、S、S(O)、S(O)またはN(R)から選択されるヘテロ原子基により置換される;ここで、該アルキル、アルケニルまたはR中のいずれかの水素は、必要に応じて、オキソ、−OR、−R、−N(R、−N(R、ROH、−CN、−C(O)OR、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、N(R)−C(O)−R、C(O)R、−S(O)−R、OCF、−S(O)−R、N(R)−S(O)−R、ハロ、−CFまたは−NOから選択される置換基で置換される;
M’は、H、(C−C12)−アルキル、(C−C12)−アルケニル、または−Rである;ここで、該アルキル基またはアルケニル基の1個〜4個の−CH基は、必要に応じて、O、S、S(O)、S(O)またはN(R)から選択されるヘテロ原子により置換される;こ
こで、該アルキル、アルケニルまたはR中のいずれかの水素は、必要に応じて、オキソ、−OR、−R、−N(R、−N(R、−ROH、−CN、−CO、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)R、−S(O)−R、−OCF、−S(O)−R、−N(R)−S(O)−R、ハロ、−CFまたは−NOから選択される置換基で置換される;
Zは、CH、O、S、N(Rであるか、またはMが存在しないとき、Hである;
Yは、PまたはSである;
Xは、OまたはSである;そして
は、C(R、OまたはN(R)である;ここで、YがSのとき、ZはSではない;そして
は、5員〜6員の飽和、部分飽和または不飽和の炭素環式環またはヘテロ環式環系、または8員〜10員の飽和、部分飽和または不飽和の二環式環系である;
ここで、該ヘテロ環式環系のいずれかは、O、N、S、S(O)またはN(R)から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する;ここで、該環系のいずれか
は、必要に応じて、OH、C−Cアルキル、O−(C−C)−アルキルまたはO−C(O)−(C−C)−アルキルから独立して選択される1個〜4個の置換基を含有する。
【0013】
2.少なくとも1個のRが、以下から選択される、項目1で述べた化合物:
【0014】
【化12】

【0015】
3.以下の式XXIIである、項目3で述べた化合物:
【0016】
【化13】

【0017】
ここで、A、D’、RおよびEは、請求項1で定義のものと同じである。
【0018】
4.項目3で述べた化合物であって、
ここで:
Aは、3−テトラヒドロフリル−O−C(O)−、3−(1,5−ジオキサン)−O−C(O)−または3−ヒドロキシ−ヘキサヒドロフラ[2,3−b]−フラニル−O−C(O)−から選択される;
D’は、(C−C)−アルキルであり、ここで、該(C−C)−アルキルは、必要に応じて、(C−C)−シクロアルキル、−OR、−R、−O−QおよびQからなる群から選択される1個またはそれ以上の基で置換される;
Eは、(C−C10)−アリールであり、該(C−C10)−アリールは、必要に応じて、オキソ、−OR、−SR、−R、−N(R、−R−OH、−CN、−C(O)O−R、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)−R、−S(O)−R、−OCF、−S(O)−Q、メチレンジオキシ、−N(R)−S(O)−R、ハロ、−CF、−NO、Q、−OQ、−OR、−SR、−R、−N(R)(R)または−N(Rから選択される1個またはそれ以上の置換基で置換される;あるいは五員環のヘテロ環式環であって、該ヘテロ環式環は、追加のヘテロ原子として、1個のSを含有し、そして必要に応じて、Nを含有する;ここで
、該ヘテロ環式環は、必要に応じて、−CH、RまたはHtから独立して選択される1個〜2個の基で置換される;そして
Htは、Rの一部として定義される限り、ヘテロ環類を除外すること以外は、請
求項1で定義のものと同じである、
化合物。
【0019】
5.項目4で述べた化合物であって、
ここで:
Aは、3−テトラヒドロフリル−O−C(O)−である;
Gは、水素である;
D’は、イソブチルである;
Eは、N(Rで置換されるフェニルである;
各Mは、H、Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、C−Cアルキルまたは−N(Rから独立し
て選択される;そして
各M’は、HまたはC−Cアルキルである、
化合物。
【0020】
6.項目3で述べた化合物であって、
ここで:
Eは、五員環のヘテロ環式環であり、該ヘテロ環は、追加のヘテロ原子として、1個のSを含有し、そして必要に応じて、Nを含有する;ここで、該ヘテロ環は、必要に応じて、−CH、RまたはHtから独立して選択される1個〜2個の基で置換される、
化合物。
【0021】
7.項目3で述べた化合物であって、
ここで:
Eは、N(Rで置換されるHtである;
式XXIIにおいて示される−OR基中のRは、−PO(OM)またはC(O)CHOCHCHOCHCHOCHであり、そしてHtの−N(R置換基中の両方のRは、Hである;あるいは
式XXIIにおいて示される−OR基中のRは、C(O)CHOCHCHOCHであり、Htの−N(R置換基中の一方のRは、C(O)CHOCHCHOCHであり、そしてHtの−N(R置換基中の他方のRは、Hである;そして
ここで、Mは、H、Li、Na、KまたはC−Cアルキルである、
化合物。
【0022】
8.以下の構造を有する、項目3で述べた化合物:
【0023】
【化14】

【0024】
ここで、各Mは、NaまたはKである。
【0025】
9.各Mが、Naである、項目8で述べた化合物。
【0026】
10.以下の式XXIIIである、項目2で述べた化合物:
【0027】
【化15】

【0028】
11.項目10で述べた化合物であって、
ここで:
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、または5員〜6員の飽和または不飽和ヘテロ環である;ここで、Rのいずれかのメンバーは、必要に応じて、−OR、−C(O)−NH−R、−S(O)−N(R、−Ht、−CN、−SR、−C(O)O−RおよびN(R)−C(O)−Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換される;そして
D’は、(C−C)−アルキルまたはCアルケニルである;ここで、D’は、必要に応じて、(C−C)−シクロアルキル、−OR、−O−QまたはQから選択される1個またはそれ以上の基で置換される、
化合物。
【0029】
12.式XXIIIにおいて示される−OR基中のRが、−PO(OM)または−C(O)−M’である、項目11で述べた化合物。
【0030】
13.以下の式XXXIである、項目2で述べた化合物:
【0031】
【化16】

【0032】
14.項目13で述べた化合物であって、
ここで:
Aは、−R−Htである;
各Rは、独立して、(C−C)−アルキルであり、ここで、該(C−C)−アルキルは、必要に応じて、−OR、−C(O)−NH−R、−S(O)−N(R、−Ht、−CN、−SR、−COまたは−N(R)−C(O)−Rで置換される;そして
D’は、(C−C)−アルキルであり、ここで、該(C−C)−アルキルは、必要に応じて、(C−C)−シクロアルキル、−OR、−O−Qで置換される;そして
Eは、Ht、Ht−Htまたは−N(R)(R)である、
化合物。
【0033】
15.式XXXIにおいて示される−OR基中のRが、−PO(OM)または−C(O)−M’である、項目14で述べた化合物。
【0034】
16.項目1で述べた化合物であって、ここで、表1で示した化合物番号198〜231、237〜242、245〜267または308のいずれか1個;表IIで示した化合物番号232〜236のいずれか1個;または表IIIで示した化合物番号243〜244のいずれか1個から選択される、化合物。
【0035】
17.以下から選択される化合物:
【0036】
【化17】

【0037】
【化18】

【0038】
ここで:
10は、イソプロピルまたはシクロペンチルから選択される;
11は、NHRまたはORから選択される;
化合物1005では、RがPOMのとき、(G)は、Hではない;そしてx、RおよびGは、項目1で定義のものと同じである。
【0039】
18.アスパルチルプロテアーゼにより特徴づけられるウイルス感染を処置するのに有効な量の項目1〜17のいずれか1項で述べた化合物、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含有する、薬学的組成物。
【0040】
19.上記ウイルスが、HIVである、項目18で述べた薬学的組成物。
【0041】
20.経口投与用に処方されている、項目18で述べた薬学的組成物。
【0042】
21.さらに、抗ウイルス剤、項目1で述べた化合物以外のHIVプロテアーゼインヒビター、および免疫促進剤から選択される1種またはそれ以上の薬剤を含有する、項目18で述べた薬学的組成物。
【0043】
22.さらに、ジドブジン(AZT)、ザルシタビン(ddC)、ジダノシン(ddI)、スタブジン(d4T)、3TC、935U83、1592U89、524W91、サキナビル(Ro 31−8959)、L−735,524、SC−52151、ABT 538(A80538)、AG 1341、XM 412、XM 450、CPG 53,437、
またはタスカラゾールから選択される1種またはそれ以上の薬剤を含有する、項目21で述べた薬学的組成物。
【0044】
23.哺乳動物におけるアスパルチルプロテアーゼ活性を阻害する方法であって、項目18で述べた薬学的組成物を、該哺乳動物に接触させて投与する工程を包含する、方法。
【0045】
24.哺乳動物におけるHIV感染を処置する方法であって、項目18で述べた薬学的組成物を、該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【0046】
25.項目24で述べた方法であって、ここで、上記哺乳動物には、抗ウイルス剤、項目1で述べた化合物以外のHIVプロテアーゼインヒビター、および免疫促進剤から選択される1種またはそれ以上の追加試薬が、上記薬学的組成物を有する単回投薬形態の一部か、または分割投薬形態のいずれかとして、さらに投与される、方法。
【0047】
26.上記追加試薬が、ジドブジン(AZT)、ザルシタビン(ddC)、ジダノシン(ddI)、スタブジン(d4T)、3TC、935U83、1592U89、524W91、サキナビル(Ro 31−8959)、L−735,524、SC−52151、ABT 538(A80538)、AG 1341、XM 412、XM 450、CPG 53,437、またはタスカラゾールから選択される、項目25で述べた方法。
【0048】
27.上記投与工程が、経口投与を包含する、項目24で述べた方法。
【0049】
本発明は、アスパルチルプロテアーゼ(特に、HIVアスパルチルプロテアーゼ)のインヒビターであるスルホンアミド化合物の1種の新規なプロドラッグを提供する。これらのプロドラッグは、優れた水溶性、高いバイオアベイラビリティーにより特徴付けられ、インビボにて、活性インヒビターに容易に代謝される。本発明はまた、これらのプロドラッグを含有する薬学的組成物、およびこれらのプロドラッグおよびそれらの薬学的組成物を用いて哺乳動物のHIV感染を処置する方法を提供する。
【0050】
これらのプロドラッグは、単独で、またはウイルス感染の処置用または予防用の他の治療剤または予防剤(例えば、抗ウイルス剤、抗菌剤、免疫調節剤またはワクチン)と組み合わせて、使用できる。
【0051】
本発明の主要な目的は、アスパルチルプロテアーゼインヒビター(特に、HIVアスパルチルプロテアーゼインヒビター)であるスルホンアミド化合物の新規な種類のプロドラッグを提供することにある。この新規な種類のスルホンアミドは、式Iにより表される:
【0052】
【化19】

【0053】
ここで:
Aは、以下である:H;Ht;−R−Ht;−R−(C−C)アルキル、ここで、該−R−(C−C)アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、Ht、−O−Ht、−NR−CO−N(Rまたは−CO−N(Rから独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換される;−R−(C−C)アルケニル、ここで、該−R−(C−C)アルケニルは、必要に応じて、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、Ht、−O−Ht、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−CO−N(Rから独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換される;あるいはR
各Rは、独立して、−C(O)−、−S(O)−、−C(O)−C(O)−、−O−C(O)−、−O−S(O)、−N(R)−S(O)−、−N(R)−C(O)−または−N(R)−C(O)−C(O)−から独立して選択される;
各Htは、以下から独立して選択される:C−Cシクロアルキル;C−Cシクロアルケニル;C−C10アリール;あるいは5員〜7員の飽和または不飽和ヘテロ環であって、ここで、該ヘテロ環は、N、N(R)、O、SおよびS(O)から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する;ここで、該アリールまたは該ヘテロ環は、必要に応じて、Qに縮合される;ここで、該Htのいずれかのメンバーは、必要に応じて、オキソ、−OR、SR、−R、−N(R、−R−OH、−CN、−C(O)O−R、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)−R、−S(O)−R、−OCF、−S(O)−Q、メチレンジオキシ、−N(R)−S(O)−R、ハロ、−CF、−NO、Q、−OQ、−OR、−SR、−R、−N(R)(R)または−N(Rから独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換される;
各Rは、H、または必要に応じてQで置換される(C−C)アルキルから独立して選択される;
Bは、存在するとき、−N(R)−C(R−C(O)−である;
各xは、独立して、0または1である;
各Rは、H、Ht、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C)−シクロアルケニルから独立して選択される;ここで、Hを除く該Rのいずれかのメンバーは、必要に応じて、−OR、−C(O)−NH−R、−S(O)−N(R、Ht、−CN、−SR、−CO、N(R)−C(O)−Rから選択される1個またはそれ以上の置換基で置換される;
各nは、独立して、1または2である;
Gは、存在するとき、H、Rまたは(C−C)−アルキルから選択されるか、あるいはGが(C−C)−アルキルのとき、GおよびRは、直接かまたはC−Cリンカーを介してかのいずれかで互いに結合して、ヘテロ環式環を形成する;あるいは
Gが存在しないとき(すなわち、(G)におけるxが0のとき)、Gが結合する窒
素は、−OR上のR基に直接結合される;
DおよびD’は、以下から独立して選択される:Q;(C−C)−アルキル、ここで、該(C−C)−アルキルは、必要に応じて、(C−C)−シクロアルキル、−OR、−R、−O−QまたはQから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;(C−C)−アルケニル、ここで、該(C−C)−アルケニルは、必要に応じて、(C−C)−シクロアルキル、−OR、−R、−O−QまたはQから選択した1個またはそれ以上の基で置換される;(C−C)−シクロアルキル、ここで、該(C−C)−シクロアルキルは、必要に応じて、Qで置換されるか、またはQと縮合される;あるいは(C−C)−シクロアルケニル、ここで、該(C−C)−シクロアルケニルは、Qで置換されるか、またはQと縮合される;
各Qは、以下から独立して選択される:3員〜7員の飽和、部分飽和または不飽和の炭素環式環系;あるいは5員〜7員の飽和、部分飽和または、不飽和のヘテロ環式環であり、ここで、該ヘテロ環は、O、N、S、S(O)またはN(R)から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する;ここで、Q中のいずれかの環は、必要に応じて、オキソ、−OR、−R、−N(R、−N(R)−C(O)−R、−R−OH、−CN、−C(O)OR、−C(O)−N(R、ハロまたは−CFから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;
Eは、以下から選択される:Ht;−O−Ht;Ht−Ht;−O−R;−N(R)(R);(C−C)−アルキル、ここで、該(C−C)−アルキルは、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;(C−C)−アルケニル、ここで、該(C−C)−アルケニルは、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;(C−C)−飽和炭素環、ここで、該(C−C)−飽和炭素環は、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;あるいは(C−C)−不飽和炭素環、ここで、該(C−C)−不飽和炭素環は、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;
各Rは、−OR、−SR、−C(O)−NHR、−S(O)−NHR、ハロ、−N(R)−C(O)−R、−N(Rまたは−CNから独立して選択される;
各Rは、
【0054】
【化20】

【0055】
から独立して選択される;
ここで、各Mは、H、Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、−N(R、(C−C12)−アルキル、(C−C12)−アルケニル、または−Rから独立して選択される;ここで、該アルキル基またはアルケニル基の1個〜4個の−CH基は、Zに結合した−CH以外、必要に応じて、O、S、S(O)、S(O)またはN(R)から選択されるヘテロ原子基により置換される;ここで、該アルキル、アルケニルまたはR中のいずれかの水素は、必要に応じて、オキソ、−OR、−R、−N(R、−N(R、ROH、−CN、−C(O)OR、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、N(R)−C(O)−R、C(O)R、−S(O)−R、OCF、−S(O)−R、N(R)−S(O)−R、ハロ、−CFまたは−NOから選択される置換基で置換される;
M’は、H、(C−C12)−アルキル、(C−C12)−アルケニル、または−Rである;ここで、該アルキル基またはアルケニル基の1個〜4個の−CH基は、必要に応じて、O、S、S(O)、S(O)またはN(R)から選択されるヘテロ原子により置換される;ここで、該アルキル、アルケニルまたはR中のいずれかの水素は、必要に応じて、オキソ、−OR、−R、−N(R、−N(R、−ROH、−CN、−CO、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)R、−S(O)−R、−OCF、−S(O)−R、−N(R)−S(O)−R、ハロ、−CFまたは−NOから選択される置換基で置換される;
Zは、CH、O、S、N(Rであるか、またはMが存在しないとき、Hである;
Yは、PまたはSである;
Xは、OまたはSである;そして
は、C(R、OまたはN(R)である;ここで、YがSのとき、ZはSではない;そして
は、5員〜6員の飽和、部分飽和または不飽和の炭素環式環またはヘテロ環式環系、または8員〜10員の飽和、部分飽和または不飽和の二環式環系である;
ここで、該ヘテロ環式環系のいずれかは、O、N、S、S(O)またはN(R)から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する;ここで、該環系のいずれか
は、必要に応じて、OH、C−Cアルキル、O−(C−C)−アルキルまたはO−C(O)−(C−C)−アルキルから独立して選択される1個〜4個の置換基を含有する。
【0056】
本発明の目的はまた、式Iのスルホンアミドプロドラッグを含有する薬学的組成物、およびHIVアスパルチルプロテアーゼインヒビターのプロドラッグとしてのそれらの使用方法を提供することにある。
【0057】
本明細書中に記載される本発明がより十分に理解され得るために、以下に詳細な記載を示す。この記載において、以下の省略形を用いる:
略称 試薬またはフラグメント
Ac アセチル
Me メチル
Et エチル
Bzl ベンジル
Trityl トリフェニルメチル
Asn D−またはL−アスパラギン
Ile D−またはL−イソロイシン
Phe D−またはL−フェニルアラニン
Val D−またはL−バリン
Boc tert−ブトキシカルボニル
Cbz ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ)
Fmoc 9−フルオレニルメトキシカルボニル
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIC ジイソプロピルカルボジイミド
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HOSu 1−ヒドロキシスクシンイミド
TFA トリフルオロ酢酸
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DBU 1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン
EtOAc 酢酸エチル
以下の用語は、本明細書中で用いられる;
そうでないと特に述べない限り、本明細書中で用いられる用語「−SO−」および「−S(O)−」は、スルホンまたはスルホン誘導体(すなわち、両方ともSに結合した付加基)を指し、そしてスルフィン酸エステルを指さない。
【0058】
式Iの化合物およびそれらの中間体に関して、ORの立体配置は、この分子を長く伸びたジグザグ表現で描くとき(例えば、式XI、XV、XXII、XXIIIおよびXXXIの化合物について描いたもの)、その隣接炭素原子に基づいて相対的にDと定義さ
れる。ORおよびDの両方が、この化合物の長く伸びた骨格により定義される平面の同じ側にあるなら、ORの立体化学は、「syn」と呼ばれる。ORおよびDが、その平面の対向側にあるなら、ORの立体化学は、「anti」と呼ばれる。
【0059】
用語「アリール」は、単独または任意の他の用語と組み合わせて、特定の炭素原子数を有する炭素環式芳香族ラジカルを指す。
【0060】
用語「ヘテロ環式」は、飽和または不飽和のいずれかであり、そして単環式の場合、必要に応じてベンゾ縮合し得る、安定な5員〜7員の単環式ヘテロ環または8員〜11員の二環式ヘテロ環を指す。各々のヘテロ環は、炭素原子、および窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1個〜4個のヘテロ原子からなる。本明細書中に用いられる用語「窒素および硫黄ヘテロ原子」は、窒素および硫黄の任意の酸化形態、および任意の塩基性窒素の四級化形態が挙げられる。ヘテロ環式環は、安定構造を形成する環内の任意のヘテロ原子で結合され得る。上記で定義した好ましいヘテロ環としては、例えば、ベンズイミダゾリル、イミダゾリル、イミダゾリノイル(imidazolinoyl)、イミダゾリジニル、キノリル、イソキノリル、インドリル、ピリジル、ピロリル、ピロリニル、ピラゾリル、ピラジニル、キノキソリル、ピペリジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、フリル、チエニル、トリアゾリル、チアゾリル、β−カルボリニル、テトラゾリル、チアゾリジニル、ベンゾフラノイル、チアモルホリニルスルホン、ベンゾキサゾリル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル(oxopyrroldinyl)、オキソアゼピニル、アゼピニル、イソキサゾリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、チアジアゾイル、ベンゾジオキソリル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、およびスルホラニルが挙げられる。
【0061】
用語「HIVプロテアーゼ」および「HIVアスパラチルプロテアーゼ」は、相互交換可能に用いられ、そしてヒト免疫不全ウイルス1型または2型によりコードされるアスパラチルプロテアーゼを指す。本発明の好ましい実施態様においては、これらの用語は、ヒト免疫不全ウイルス1型アスパラチルプロテアーゼを指す。
【0062】
用語「薬学的有効量」は、患者のHIV感染症を処置するのに有効な量を指す。用語「予防的有効量」は、患者のHIV感染を予防するために有効な量を指す。本明細書中で用いられる、用語「患者」は、ヒトを含む哺乳動物を指す。
【0063】
用語「薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバント」は、本発明の化合物と併用して患者に投与され得、そしてそれらの薬理学的活性を破壊しない非毒性のキャリアまたはアジュバントを指す。
【0064】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩は、薬学的に受容可能な無機酸および有機酸ならびに塩基から誘導される塩を包含する。適切な酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体では薬学的に受容可能ではないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において用いられ得る。
【0065】
適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム)、アンモニウム塩、およびN−(C1−4アルキル)4+塩が挙げられる。
【0066】
用語「チオカルバメート」は、官能基N−SO−Oを含有する化合物を指す。
【0067】
本発明の化合物は、1個またはそれ以上の不斉炭素原子を含有し、そしてこれによりラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物、ならびに個々のジアステレオマーとして生じる。これらの化合物の全てのこのような異性体は、本発明に明確に含まれる。各々のステレオジェニック(stereogenic)炭素は、RまたはS配置であり得る。明白に示したヒドロキシルもまた、式Iの化合物で示される窒素間の長くの伸びたジクザク立体配置において、Dに対してsynであるのが好ましい。
【0068】
本発明によって想定される置換基と変数(variables)との組み合わせは、安定な化合物を形成する組み合わせのみである。本明細書中で用いられる用語「安定な」は、当該技術分野で公知の方法により製造し哺乳動物に投与するのに十分な安定性を有する化合物を指す。代表的には、このような化合物は、少なくとも1週間、水分または他の化学的反応条件の非存在下において、40℃またはそれ未満の温度で安定である。
【0069】
本発明の化合物は、無機酸または有機酸から誘導される塩形態で用いられ得る。このような酸塩としては、例えば、以下のものが挙げられる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩(digluconate)、ドデシル硫酸塩、エタン硫酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩(glucoheptanoate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート、およびウンデカン酸塩。
【0070】
本発明はまた、本明細書で開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定する。この塩基性窒素は、当業者に公知の任意の試薬(例えば、低級ハロゲン化アルキル(例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化プロピル、臭化プロピル、ヨウ化プロピル、塩化ブチル、臭化ブチル、およびヨウ化ブチル);ジアルキルスルホン酸塩(例えば、ジメチル硫酸塩、ジエチル硫酸塩、ジブチル硫酸塩、およびジアミル硫酸塩);長鎖のハロゲン化物(例えば、塩化デシル、臭化デシル、ヨウ化デシル、塩化ラウリル、臭化ラウリル、ヨウ化ラウリル、塩化ミリスチル、臭化ミリスチル、ヨウ化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化ステアリル、およびヨウ化ステアリル);ならびにハロゲン化アラルキル(臭化ベンジルおよび臭化フェネチルを含む)を用いて四級化され得る。水溶性または油溶性、あるいは分散性生成物が、このような四級化によって得られ得る。
【0071】
本発明の新規なスルホンアミドは、式Iのものである:
【0072】
【化21】

【0073】
ここで:
Aは、以下である:H;Ht;−R−Ht;−R−(C−C)アルキル、ここで、該−R−(C−C)アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、Ht、−O−Ht、−NR−CO−N(Rまたは−CO−N(Rから独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換される;−R−(C−C)アルケニル、ここで、該−R−(C−C)アルケニルは、必要に応じて、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、Ht、−O−Ht、−NR−CO−N(Rまたは−CO−N(Rから独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換される;あるいはR
各Rは、独立して、−C(O)−、−S(O)−、−C(O)−C(O)−、−O−C(O)−、−O−S(O)、−NR−S(O)−、−NR−C(O)−または−N(R)−C(O)−C(O)−から独立して選択される;
各Htは、以下から独立して選択される:C−Cシクロアルキル;C−Cシクロアルケニル;C−C10アリール;あるいは5員〜7員の飽和または不飽和ヘテロ環であって、ここで、該ヘテロ環は、N、N(R)、O、SおよびS(O)から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する;ここで、該アリールまたは該ヘテロ環は、必要に応じて、Qに縮合される;ここで、該Htのいずれかのメンバーは、必要に応じて、オキソ、−OR、SR、−R、−N(R)(R)、−R−OH、−CN、−CO、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)−R、−S(O)−R、−OCF、−S(O)−Q、メチレンジオキシ、−N(R)−S(O)(R)、ハロ、−CF、−NO、Q、−OQ、−OR、−SR、−R、−N(R)(R)または−N(Rから独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換される;
各Rは、H、または必要に応じてQで置換される(C−C)アルキルから独立して
選択される;
Bは、存在するとき、−N(R)−C(R−C(O)−である;
各xは、独立して、0または1である;
各Rは、H、Ht、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルケニルから独立して選択される;ここで、Hを除く該Rのいずれかのメンバーは、必要に応じて、−OR、−C(O)−NH−R、−S(O)−N(R)(R)、Ht、−CN、−SR、−CO、NR−C(O)−Rから選択される1個またはそれ以上の置換基で置換される;
各nは、独立して、1または2である;
Gは、存在するとき、H、Rまたは(C−C)アルキルから選択されるか、あるいはGが(C−C)アルキルのとき、GおよびRは、直接かまたはC−Cリンカーを介してかのいずれかで互いに結合して、ヘテロ環式環を形成する;あるいは
Gが存在しないとき(すなわち、(G)におけるxが0のとき)、Gが結合する窒素は、Rに由来の1個の−ZM基の付随する置換を伴って、−OR中のR基に直接結合される;
DおよびD’は、以下から独立して選択される:Q;(C−C)アルキル、ここで、該(C−C)アルキルは、必要に応じて、(C−C)シクロアルキル、−OR、−R、−O−QまたはQから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;(C−C)アルケニル、ここで、該(C−C)アルケニルは、必要に応じて、(C−C)シクロアルキル、−OR、−R、−O−QまたはQから選択した1個またはそれ以上の基で置換される;
(C−C)シクロアルキル、ここで、該(C−C)シクロアルキルは、必要に応じて、Qで置換されるか、またはQと縮合される;あるいは(C−C)−シクロアルケニル、ここで、該(C−C)シクロアルケニルは、Qで置換されるか、またはQと縮合される;
各Qは、以下から独立して選択される:3員〜7員の飽和、部分飽和または不飽和の炭素環式環系;あるいは5員〜7員の飽和、部分飽和または、不飽和のヘテロ環式環であり、ここで、該ヘテロ環式環は、O、N、S、S(O)またはN(R)から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する;ここで、Qは、必要に応じて、オキソ、−OR、−R、−N(R、−N(R)−C(O)−R、−R−OH、−CN、−CO、−C(O)−N(R、ハロまたは−CFから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;
Eは、以下から選択される:Ht;−O−Ht;Ht−Ht;−O−R;−N(R)(R);(C−C)アルキル、ここで、該(C−C)アルキルは、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;(C−C)アルケニル、ここで、該(C−C)アルケニルは、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;(C−C)飽和炭素環、ここで、該(C−C)飽和炭素環は、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;あるいは(C−C)不飽和炭素環、ここで、該(C−C)不飽和炭素環は、必要に応じて、RまたはHtから選択される1個またはそれ以上の基で置換される;
各Rは、−OR、−SR、−C(O)−NHR、−S(O)−NHR、ハロ、−NR−C(O)−R、−N(Rまたは−CNから独立して選択される;
各Rは、
【0074】
【化22】

【0075】
から独立して選択される;
ここで、各Mは、H、Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、−N(R、(C−C12)アルキル、(C−C12)アルケニル、または−Rから独立して選択される;ここで、該アルキル基またはアルケニル基の1個〜4個の−CH基は、Zに結合した−CH以外、必要に応じて、O、S、S(O)、S(O)またはN(R)から選択されるヘテロ原子基により置換される;ここで、該アルキル、アルケニルまたはR中のいずれかの水素は、必要に応じて、オキソ、−OR、−R、−N(R、−N(R、ROH、−CN、−CO、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、N(R)−C(O)−R、C(O)R、−S(O)−R、OCF、−S(O)−R、N(R)−S(O)−(R)、ハロ、−CFまたは−NOから選択される置換基で置換される;
M’は、H、(C−C12)アルキル、(C−C12)アルケニル、または−Rである;ここで、該アルキル基またはアルケニル基の1個〜4個の−CH基は、必要に応じて、O、S、S(O)、S(O)またはN(R)から選択されるヘテロ原子により置換される;ここで、該アルキル、アルケニルまたはR中のいずれかの水素は、必要に応じて、オキソ、−OR、−R、−N(R、−N(R、−ROH、−CN、−CO、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)R、−S(O)−R、−OCF、−S(O)−R、−N(R)−S(O)−(R)、ハロ、−CFまたは−NOから選択される置換基で置換される;
Zは、CH、O、S、N(Rであるか、またはMが存在しないとき、Hである;
Yは、PまたはSである;
Xは、OまたはSである;そして
は、C(R、OまたはN(R)である;ここで、YがSのとき、ZはSではない;そして
は、5員〜6員の飽和、部分飽和または不飽和の炭素環式環またはヘテロ環式環系、または8員〜10員の飽和、部分飽和または不飽和の二環式環系である;
ここで、該ヘテロ環式環系のいずれかは、O、N、S、S(O)またはN(R)から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する;ここで、該環系のいずれかは、必要に応じて、OH、C−Cアルキル、O−(C−C)アルキルまたはO−C(O)−(C−C)アルキルから独立して選択される1個〜4個の置換基を含有する。
【0076】
好ましくは、少なくとも1個のRは、以下から選択される:
【0077】
【化23】

【0078】
本明細書中で示した式の成分MまたはM’は、MまたはM’についての実際の選択に依存して、ZまたはRとの共有結合(association)、共有結合(association)/双性イオン会合(association)またはイオン会合(association)のいずれかを有することが、当業者に理解される。MまたはM’が、水素、アルキル、アルケニルまたはRのとき、MまたはM’は、RまたはZと共有結合する。Mが一価または二価金属または他の荷電種(すなわち、NH)ならば、MとZの間にはイオン性相互作用が存在し、得られた化合物は、塩である。
【0079】
(M)において、xが0のとき、Zは、荷電種であり得る。それが生じると、他のMは、反対に荷電されて、この分子上の正味の電荷0を生じ得る。あるいは、その対イオンは、この分子内のいかなる場所に位置していてもよい。
【0080】
そうでないと特にいわない限り、ここで用いる変数A、R−R、R−R、Ht、B、x、n、D、D’、M、Q、X、Y、ZおよびEの定義は、式Iの化合物について上で定義した通りになされる。
【0081】
好ましい実施態様によれば、本発明の化合物は、式XXII、XXIIIまたはXXXIにより表されるものである:
【0082】
【化24】

【0083】
ここで、A、R、R、Ht、D、D’、x、Eは、式Iについて上で定義のものと同じである。参照を容易にするために、式XXXIに存在する2個のR部分は、RおよびR3’と標識した。
【0084】
式XXIIの化合物について、より好ましい化合物は以下の化合物である。ここで:
Aは、3−テトラヒドロフリル−O−C(O)−、3−(1,5−ジオキサン)−O−C(O)−または3−ヒドロキシ−ヘキサヒドロフラ[2,3−b]−フラニル−O−C(O)−から選択される;
D’は、(C−C)アルキルであり、ここで、該(C−C)アルキルは、必要に応じて、(C−C)シクロアルキル、−OR、−R、−O−QおよびQからなる群から選択される1個またはそれ以上の基で置換される;
Eは、(C−C10)アリールであり、該(C−C10)アリールは、必要に応じて、オキソ、−OR、−SR、−R、−N(R、−R−OH、−CN、−CO−R、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)−R、−S(O)−R、−OCF、−S(O)−Q、メチレンジオキシ、−N(R)−S(O)−R、ハロ、−CF、−NO、Q、−OQ、−OR、−SR、−R、−N(R)(R)または−N(Rから選択される1個またはそれ以上の置換基で置換される;あるいは五員環のヘテロ環式環であって、該ヘテロ環式環は、追加のヘテロ原子として、1個のSを含有し、そして必要に応じて、Nを含有する;ここで、該ヘテロ環式環は、必要に応じて、−CH、RまたはHtから独立して選択される1個〜2個の基で置換される。
【0085】
Htは、Rの一部として定義される限り、ヘテロ環類を除外すること以外は、上で定義のものと同じである;そして
他の全ての変数は、式Iについて定義したものと同じである。
【0086】
以下の式XXIIの化合物がさらに好ましい。ここで:Aは、3−テトラヒドロフリル−O−C(O)−である;Gは、水素である;D’は、イソブチルである;Eは、−N(Rで置換されるフェニルである;各Mは、独立して、H、Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、C−Cアルキルまたは−N(Rから選択される;そして各M’は、HまたはC−Cアルキルである。
【0087】
式XXII化合物についての他の好ましい実施態様は、以下の化合物である。ここで:
Eは、五員環のヘテロ環式環であり、該ヘテロ環は、追加のヘテロ原子として
、1個のSを含有し、そして必要に応じて、Nを含有し、ここで、該ヘテロ環は、必要に応じて、−CH、RまたはHtから独立して選択される1個〜2個の基で置換される;そして
他の全ての変数は、式Iについて定義したものと同じである。
【0088】
上で示した式XXII化合物のいずれかであって、以下の化合物がさらにより好ましい。ここで:−OR基中のRは、−PO(OM)またはC(O)CHOCHCHOCHCHOCHであり、そして−N(R基中の両方のRは、Hであり、ここで、Mは、H、Li、Na、KまたはC−Cアルキルである;または、ここで、−OR中のRは、C(O)CHOCHCHOCHであり、−N(R中の一方のRは、C(O)CHOCHCHOCHであり、そして他方は、Hである。
【0089】
式XXIIの最も好ましい化合物は、以下の構造を有する:
【0090】
【化25】

【0091】
式XXIIIの化合物について最も好ましい化合物は、以下の化合物である。ここで:
は、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニル、または5員〜6員の飽和または不飽和ヘテロ環である;ここで、Rのいずれかのメンバーは、必要に応じて、−OR、−C(O)−NH−R、−S(O)−N(R)(R)、−Ht、−CN、−SR、−C(O)−RおよびNR−C(O)−Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換される;そして
D’は、(C−C)アルキルまたはCアルケニルである;ここで、該アルキルまたはアルケニルは、必要に応じて、(C−C)シクロアルキル、−OR、−O−QまたはQから選択される1個またはそれ以上の基で置換される(他の全ての変数は、式Iに
ついて上で定義したものと同じである)。
【0092】
上記の式XXIIIの化合物であって、さらにより好ましい化合物は、以下のものである。ここで:Rは、−PO(OM)または−C(O)−M’である。
【0093】
式XXXIの化合物について最も好ましい化合物は、以下の化合物である。ここで:Aは、−R−Htである;各Rは、独立して、(C−C)アルキルであり、ここで、該
(C−C)アルキルは、必要に応じて、−OR、−C(O)−NH−R、−S(O)N(R)(R)、−Ht、−CN、−SR、−COまたは−N(R)−C(O)−Rで置換される;そしてD’は、(C−C)アルキルであり、ここで、該(C−C)アルキルは、必要に応じて、(C−C)シクロアルキル、−OR、−O−Qからなる群から選択される置換基で置換されている;そしてEは、Ht、Ht−Htまたは−NRである。
【0094】
上記の式XXXIの化合物であって、以下の化合物がさらにより好ましい。ここで、Rは、−PO(OM)または−C(O)−M’である。
【0095】
【表1a】

【0096】
【表1b】

【0097】
【表1c】

【0098】
【表1d】

【0099】
【表1e】

【0100】
【表1f】

【0101】
【表1g】

【0102】
【表1h】

【0103】
【表1i】

【0104】
【表1j】

【0105】
【表2】

【0106】
【表3】

【0107】
他の実施態様によれば、本発明は、次式の化合物を提供する:
【0108】
【化26】

【0109】
【化27】

【0110】
ここで:化合物1005では、RがPOMのとき、(G)は、Hではない; R10は、イソプロピル(isopropoyl)またはシクロペンチルから選択される;R11は、NHRまたはORから選択される;そしてx、RおよびGは、上で定義のものと同じである。
【0111】
本発明のプロドラッグは、従来の合成方法を用いて、合成できる。米国特許第5,585,397号は、次式の化合物の合成を開示している:
【0112】
【化28】

【0113】
ここで、A、B、n、D、D’およびEは、上で定義のものと同じである。本発明の式(I)のプロドラッグは、通常の方法を用いて、この米国特許第5,585,397号の化合物から容易に合成できる。当業者は、米国特許第5,585,397号の化合物の−OH基を、本発明の所望の−OR官能性に変換するための従来からの合成試薬をよく知っており、ここで、Rは、上で定義のものと同じである。本発明の化合物が比較的に容易に合成できることは、これらの化合物の大規模な生産における多大な利点を示す。
【0114】
例えば、この米国特許第5,585,397号に開示されている化合物であるVX−478は、以下で示すように、対応するビスリン酸エステル誘導体に容易に変換できる:
【0115】
【化29】

【0116】
他方、VX−478のモノリン酸エステルが望ましいなら、この合成スキームは、以下で示すように、VX−478の4−ニトロフェニル誘導体を用いて開始することにより、容易に適応できる:
【0117】
【化30】

【0118】
VX−478に加えて、類似の方法(および本発明の化合物のこれらの中間体の合成)により本発明のプロドラッグに変換できる特定の化合物の例は、WO 94/05639およびWO 96/33184に開示されており、それらの開示は、本明細書中で参考として援用されている。
【0119】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩は、公知方法を用いて、容易に調製できる。例えば、上で示したモノリン酸エステルのジナトリウム塩は、以下に示すように、調製できる:
【0120】
【化31】

【0121】
本発明の化合物は、選択的な生物学的特性を高める適切な官能性を追加することにより、変性できる。このような修飾は、当該技術分野で公知であり、所定の生物学的系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生体浸透(penetration)を高めること、経口アベイラビリティーを高めること、注射による投与ができるように溶解性を高めること、代謝を変えること、および排泄速度を変えることを含む。
【0122】
理論により束縛されることなく、本発明者らは、本発明のプロドラッグの活性薬剤への変換では、このプロドラッグの構造に依存して、2つの異なる機構が関与していると考える。第一の機構は、このプロドラッグ種の活性形態への酵素的または化学的な変換を包含する。第二の機構は、このプロドラッグ上での官能基を酵素的または化学的に切断して、活性化合物を生成することを包含する。
【0123】
この化学的または酵素的な変換は、その分子内の1個のヘテロ原子に由来の官能基(すなわち、R)を他のヘテロ原子に移動するように、関与できる。この移動は、以下に示す化学反応で示される:
【0124】
【化32】

【0125】
開裂機構は、以下の反応により示され、ここで、リン酸エステル含有プロドラッグは、そのリン酸エステル基を除去することにより、このプロドラッグの活性形態に変換される。
【0126】
【化33】

【0127】
これらのプロテアーゼインヒビター、およびそれらのアスパルチルプロテアーゼのインヒビターとしての用途は、米国特許第5,585,397号に記載されており、その開示は、本明細書中で参考として援用されている。
【0128】
本発明のプロドラッグは、予期しない程高い水溶性により、特徴付けられる。この溶解性により、より高い用量のプロドラッグの投与が促進され、その結果、単位投薬量あたり、より高い薬剤充填が得られる。本発明のプロドラッグはまた、容易に加水分解的に切断して、インビボにて、活性なアスパルチルプロテアーゼインヒビターを遊離することにより、特徴付けられる。この高い水溶性および容易なインビボ代謝により、この薬剤のより高いバイオアベイラビリティーが得られる。結果として、患者の不快な負担は、著しく低減される。
【0129】
本発明のプロドラッグは、ウイルスのライフサイクルの必須事象に必要なアスパルチルプロテアーゼに依存して、HIVおよびHTLVのようなウイルスを処置するための従来様式で使用できる。このような処置方法、本発明の化合物の投与量レベル、および必要量は、利用可能な方法および技術から、当業者によって選択され得る。例えば、本発明のプロドラッグは、薬学的に受容可能な様式にて、かつウイルス感染の重篤性を軽減する有効量で、ウイルス感染患者に投与するために、薬学的に受容可能なアジュバントと組み合わされ得る。
【0130】
あるいは、本発明のプロドラッグは、長期間にわたってウイルス感染に対して個体を保護するためのワクチンおよび方法にて使用できる。このプロドラッグは、このようなワクチンにおいて、ワクチンにおけるプロテアーゼインヒビターの通常の使用と整合する様式で、単独でまたは本発明の他の化合物と共に、使用できる。例えば、本発明のプロドラッグは、ワクチンにおいて従来使用された薬学的に受容可能なアジュバントと組み合わせてもよく、そして、HIV感染に対して長期間にわたって個体を保護する予防的有効量で、投与してもよい。このように、本発明の新規プロテアーゼインヒビターは、哺乳動物におけるHIV感染を処置するかまたは予防するための薬剤として投与できる。
【0131】
本発明のプロドラッグは、健康な患者またはHIV感染患者に、単一の薬剤として、またはHIV複製サイクルを妨害する他の抗ウイルス剤と併用されるかのいずれかで投与され得る。本発明の化合物を、ウイルスのライフサイクルにおける異なる事象を標的とする他の抗ウイルス剤と共に投与することによって、これらの化合物の治療効果が増大する。例えば、併用投与される抗ウイルス剤は、ウイルスのライフサイクルにおける初期事象(例えば、細胞侵入、逆転写、および細胞DNAへのウイルスDNA組み込み)を標的とする抗ウイルス剤であり得る。このようなライフサイクルの初期事象を標的とする抗HIV剤としては、ジダノシン(ddI)、アルシタビン (ddC)、d4T、ジドブジン(AZT)、ポリ硫酸化多糖類、sT4(可溶性CD4)、ガンシクロビル(ganiclovir)、ジデオキシシチジン、ホスホノギ酸三ナトリウム、エフロルニチン(eflornithine)、リバビリン、アシクロビル、αインターフェロン、およびトリメノトレキサート(trimenotrexate)が挙げられる。さらに、逆転写酵素の非ヌクレオシドインヒビター(例えば、TIBOまたはネビラピン)は、ウイルス非コーティングインヒビター、トランス活性化タンパク質のインヒビター(例えば、tatまたはrev)、またはウイルスインテグラーゼのインヒビターと同様に、本発明の化合物の効果を強化するために用いられ得る。
【0132】
本発明に従う組み合わせ治療は、HIV複製を阻害する相乗効果を発揮する。なぜなら、組み合わせの各成分薬剤が、HIV複製の異なる部位で作用するからである。さらに、このような組み合わせの使用により、この薬剤が単独治療剤(monotherapy)として投与される場合と比較して、所望の治療効果または予防効果のために必要とされる所定の従来の抗レトロウイルス剤の投与量が有利に減少する。これらの組み合わせにより、これらの薬剤の抗レトロウイルス活性を妨害することなく、従来の単一の抗レトロウイルス剤治療の副作用が減少し得るか、またはなくなり得る。これらの組み合わせにより、任意の関連する毒性を最小限にしながら、単一の薬剤治療に対する抵抗力が減少する。さらに、これらの組み合わせにより、関連する毒性を増加させることなく、従来の薬剤の効力が増大し得る。特に、本発明者らは、これらのプロドラッグが、相乗的に、ヒトT細胞におけるHIV複製を妨げる作用を行うことを見出した。好ましい組み合わせ治療としては、AZT、ddI、ddC、またはd4Tと共に本発明のプロドラッグを投与することが挙げられる。
【0133】
あるいは、本発明のプロドラッグはまた、様々なウイルス変異体または他のHIV擬似種(quasi species)のメンバーに対する治療または予防の効果を増大するために、他のHIVプロテアーゼインヒビター(例えば、Ro 31−8959(Roche)、L−735,524(Merck)、XM 323(Du−Pont Merck)、およびA−80,987(Abbott))と共に併用投与され得る。
【0134】
本発明のプロドラッグは、単一薬剤として、またはレトロウイルス逆転写酵素インヒビター(例えば、AZT誘導体、または他のHIVアスパルチルプロテアーゼインヒビター)と併用して投与するのが好ましい。本発明者らは、本発明の化合物とレトロウイルス逆転写酵素インヒビターまたはHIVアスパルチルプロテアーゼインヒビターと併用投与することによって、実質的な相乗効果が発揮され得、これにより、ウイルス感染およびこれらに関連する病徴が予防され、実質的に軽減され、または完全になくなり得ると考えている。
【0135】
本発明のプロドラッグはまた、免疫調節剤(例えば、ブロピリミン、抗ヒトαインターフェロン抗体、IL−2、GM−CSF、メチオニンエンケフェリン、インターフェロンα、ジエチルジチオカルバメート、腫瘍壊死因子、ナルトレキソンおよびrEPO);および抗生物質(例えば、ペンタミジンイセチオレート)を併用して投与され得、HIV感染に関連する感染および疾患(例えば、AIDSおよびARC)を予防するか、または対抗する。
【0136】
本発明のプロドラッグが、他の薬剤との組み合わせ治療にて投与される場合、これらは、患者に連続的に、または同時に投与され得る。あるいは、本発明の薬学的組成物または予防組成物は、本発明のプロドラッグと他の治療剤あるいは予防剤との組み合わせから構成されてもよい。
【0137】
本発明は、HIV感染の予防および処置に対して、本明細書中に開示したプロドラッグを使用することに焦点が当てられているが、本発明の化合物はまた、そのライフサイクルでの必須事象に対して同様のアスパルチルプロテアーゼに依存する他のウイルスに対する阻害薬剤としても用いられ得る。これらのウイルスとしては、レトロウイルス(例えば、サル免疫不全ウイルス、HTLV−IおよびHTLV−II)により引き起こされる他のAIDS様疾患が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明の化合物はまた、他のアスパルチルプロテアーゼ、そして特に他のヒトアスパルチルプロテアーゼ(内皮前駆体をプロセシングするレニンおよびアスパルチルプロテアーゼを含む)を阻害するために用いられ得る。
【0138】
本発明の薬学的組成物は、任意の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルと共に、本発明の任意の化合物およびその薬学的に受容可能な塩を含有する。本発明の薬学的組成物中に用いられ得る薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、およびビヒクルとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物)、水、塩もしくは電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、トリケイ酸マグネシウム)、ポリビニルピロリドン、セルロースベース物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
本発明の薬学的組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所、直腸、鼻腔、口内(bucally)、膣、または移植されたレザバ(reservoir)を介して投与され得る。経口投与または注射による投与が好ましい。本発明の薬学的組成物は、任意の従来の非毒性な薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含有し得る。本明細書中で用いられる非経口との用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、動脈内、滑膜内、胸骨内、包膜内、病変内(intralesional)、および頭蓋内注射または注入技術を包含する。
【0140】
この薬学的組成物は、無菌注射可能な調製物の形態(例えば、無菌注射可能な水性または油性の懸濁液)であり得る。この懸濁液は、当該分野で公知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤(例えば、Tween80)ならびに懸濁剤を用いて処方され得る。この無菌注射可能な調製物はまた、非毒性で非経口的に受容可能な希釈液または溶媒(例えば、1,3−ブタンジオール溶液として)中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。用いられ得る受容可能なビヒクルおよび溶媒は、マンニトール、水、リンガー液、および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として通常用いられる。この目的のため、任意の無刺激の(bland)不揮発性油(合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む)が用いられ得る。脂肪酸(例えば、オレイン酸、およびそのグリセリド誘導体)は、注射可能な調製物において有用であり、同様に天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油またはひまし油、特にこれらのポリオキシエチル化形態)も有用である。これらの油の溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、Ph. Helvまたは同様のアルコール)を含有し得る。
【0141】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投与形態で経口投与され得る。この形態としては、カプセル剤、錠剤、および水性懸濁剤、ならびに液剤が挙げられるが、これらに限定されない。経口用の錠剤の場合には、通常用いられるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、典型的に添加される。カプセル剤形態で経口投与の場合、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口投与される場合、活性成分は乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望であれば、特定の甘味剤および/または芳香剤および/または着色剤が添加され得る。
【0142】
本発明の薬学的組成物はまた、直腸投与のために、坐剤形態で投与され得る。これらの組成物は、本発明の化合物と適切な非刺激性賦形剤とを混合することにより調製され得る。そしてこの賦形剤は、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って直腸で溶解して活性成分を放出する。このような物質としては、ココアバター、蜜蝋、およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
本発明の薬学的組成物の局所的投与は、所望の処置が、局所的な付与によって容易に接近可能な領域または器官に関与する場合に特に有用である。皮膚への局所的付与のために、薬学的組成物は、キャリア中に懸濁または溶解した活性成分を含有する適切な軟膏で製剤化されるべきである。本発明の化合物の局所的投与のためのキャリアとしては、鉱油、液化石油、白色石油(white petroleum)、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、および水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、薬学的組成物は、キャリア中に懸濁または溶解した活性化合物を含有する適切なローションまたはクリームで処方され得る。適切なキャリアとしては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリール(cetearyl)アルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の薬学的組成物はまた、直腸の坐剤処方物によるか、または適切な浣腸処方物により下位の腸管に局所的に施用される。局所的経皮性パッチもまた、本発明に含まれる。
【0144】
本発明の薬学的組成物は、鼻腔エアロゾルまたは吸入によって投与され得る。このような組成物は薬学的処方の技術分野において周知の技術に従って調製され、そしてベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティを増強する吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該分野で公知の他の可溶化剤または分散剤を用い、生理食塩水中で液剤として調製され得る。
【0145】
1日当たり約0.01mg/kg体重と約100mg/kg体重との間、好ましくは1日当たり約0.5mg/kg体重と約50mg/kg体重との間の活性成分化合物の投与量レベルが、ウイルス感染(HIV感染を含む)の予防および処置において有用である。代表的には、本発明の薬学的組成物は、1日当たり約1回〜約5回投与されるか、あるいは連続的な注入物として投与される。このような投与は、慢性治療または急性治療で用いられ得る。単回投薬形態を行うためにキャリア物質と組み合わせられ得る活性成分量は、処置される宿主および特定の投与形態に応じて変化する。代表的な調製物は、約5%〜約95%(w/w)の活性化合物を含有する。好ましくは、このような調製物は、約20%〜約80%の活性化合物を含有する。
【0146】
患者の病状が改善される場合、必要があれば、本発明の化合物、組成物、または組み合わせの維持用量が投与され得る。続いて、投与量または投与頻度、あるいはその両方を、病徴の因子として、病徴の改善が保持されるレベルまで減少させ得、徴候が所望のレベルまで緩和した場合、処置を停止するべきである。しかし患者は、病徴の任意の再発時には、長期間の間欠的な処置を必要とする。
【0147】
当業者は、上記に示した用量よりも少ない用量または多い用量が必要とされ得ることを理解する。任意の特定の患者に対する特定の投与量および処置方法は、様々な因子(用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、通常の健康状態、性別、食事、投与時間、排泄率、薬剤の組み合わせ、感染の重篤度および進行度、感染に対する患者の体質、ならびに処置する主治医の判断を含む)に依存する。
【実施例】
【0148】
本発明をより十分に理解するために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、例示のみを目的とし、いかなる意味においても、本発明の範囲を制限するとして解釈されるべきではない。
(実施例1)
一般的条件:
(A) 分析HPLC0〜100% B/30分、1.5 mL/分、A=0.1% TFA(水中)、B=0.1% TFA(アセトニトリル中)。254 nmおよび220 nmでの検出、C18逆相Vydac、t=2.4分。
【0149】
(B) 1/3 v/v EtOAc/ヘキサン。
【0150】
(C) 1/2 v/v EtOAc/ヘキサン。
【0151】
(D) 分析HPLC0〜100% B/10分、1.5 mL/分、A=0.1% TFA(水中)、B=0.1%
TFA(アセトニトリル中)。254 nmおよび220 nmでの検出、C18逆相Vydac、t=2.4
分。
【0152】
【化34】

【0153】
ジメチルホルムアミド10 ml中の197(2.0g、3.7 mMol)およびジ−p−ニトロフェニルカルボネート3.0g(16 mMol)の混合物を、25°で、P4−ホスファゼンベース(Fluka、ヘキサン中で1M)4 ml(4 mMol)で処理した。この混合物を、全ての出発アルコールが消費されるまで、25°で6時間撹拌した。この反応混合物を、酢酸エチルおよび1N塩酸の間で分配した。その有機層を、1N水酸化ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中にて濃縮した。ジクロロメタンでの滴定により、微粉末として、所望の混合炭酸塩(クロップ(crop)1(1.2g)およびクロップ2(0.6g))を得た。
【0154】
【表4】

【0155】
(実施例2)
【0156】
【化35】

【0157】
THF(3 ml)に溶解した198(0.20g、0.286 mM)に、1−メチルピペリジン0.11g(1.14 mM)を添加し、この混合物を、室温(「rt」)で一晩撹拌した。次いで、全ての溶媒を蒸発させ、その固形分残留物を、EtOAcおよび水の間で分配した。揮発性物質を除去し、適当な場合には、その残留物を、rtで30分間にわたって、1:1 TFA/DCMで処理して、そのBoc保護基を除去した。この生成物を、TFA(0.25 ml)およびTHF(1.5 ml)に溶解した。10% Pd/C(30 mg)の存在下での10時間の水素化分解により、所望の化合物を得た。その最終精製は、流速が18 ml/分であること以外は、実施例1の条件を用いた調製逆相C18上で行った。
【0158】
【表5】

【0159】
(実施例3)
【0160】
【化36】

【0161】
ジ−p−ニトロフェニルカルボネートに代えて、N,N−ジメチル−アミノエタノールを用いたこと以外は、実施例1に記述のようにして、化合物198からの化合物200の合成を行った。
【0162】
【表6】

【0163】
(実施例4)
【0164】
【化37】

【0165】
ジ−p−ニトロフェニルカルボネートに代えて、N−アセチル−エチレンジアミンを用いたこと以外は、実施例1に記述のようにして、化合物198からの化合物201の合成を行った。
【0166】
【表7】

【0167】
(実施例5)
【0168】
【化38】

【0169】
ジ−p−ニトロフェニルカルボネートに代えて、モノ−N−Boc−ピペラジンを用いたこと以外は、実施例1に記述のようにして、化合物198からの化合物202の合成を行った。
【0170】
【表8】

【0171】
(実施例6)
【0172】
【化39】

【0173】
ジ−p−ニトロフェニルカルボネートに代えて、モノ−N−Boc−エチレンジアミンを用いたこと以外は、実施例1に記述のようにして、化合物198からの化合物203の合成を行った。
【0174】
【表9】

【0175】
(実施例7)
【0176】
【化40】

【0177】
ジ−p−ニトロフェニルカルボネートに代えて、モノ−1,3−ジアミノ−3−N−Boc−プロパンを用いたこと以外は、実施例1に記述のようにして、化合物198からの化合物204の合成を行った。
【0178】
【表10】

【0179】
(実施例8)
【0180】
【化41】

【0181】
ジ−p−ニトロフェニルカルボネートに代えて、1,4−ジアミノ−4−N−Boc−ブタンを用いたこと以外は、実施例1に記述のようにして、化合物198からの化合物205の合成を行った。
【0182】
【表11】

【0183】
(実施例9)
【0184】
【化42】

【0185】
ジ−p−ニトロフェニルカルボネートに代えて、(3R)−(+)−3−Boc−アミノピロリジンを用いたこと以外は、実施例1に記述のようにして、化合物198からの化合物206の合成を行った。
【0186】
【表12】

【0187】
(実施例10)
【0188】
【化43】

【0189】
ジ−p−ニトロフェニルカルボネートに代えて、(3S)−(−)−3−Boc−アミノピロリジンを用いたこと以外は、実施例1に記述のようにして、化合物198からの化合物207の合成を行った。
【0190】
【表13】

【0191】
(実施例11)
【0192】
【化44】

【0193】
ジ−p−ニトロフェニルカルボネートに代えて、N−トリフェニルメチル−N,N’−ジメチルエタンジアミンを用いたこと以外は、実施例1に記述のようにして、化合物198からの化合物308の合成を行った。
【0194】
【表14】

【0195】
(実施例12)
一般的手順
アシル化:
【0196】
【化45】

【0197】
CHCl(5 ml)に溶解した197(200 mg、0.37 mM)に、N−CBz−L−ベンジルチロシン183 mg(0.41 mM)に続いて、DCC(231 mg、1.12 mM)を添加し、続いて、DMAP(29 mg、0.23 mM)を添加した。この反応物を、rtで24時間撹拌した。生じた沈殿物を、濾過により除去した。次いで、この濾液を、真空中にて濃縮した。この最終化合物を、HPLC C18 Waters Delta Prep 3000 Column(YMC−Pack ODS AA 12S05−2520WT 250×20 mm I.D. S−5
mm、120オングストローム、0〜100% B、1/2時間、流速=18 ml/分、220 nmで追跡、B=アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸、A=水中の0.1%トリフルオロ酢酸)による精製を用いて、調製逆相C18上で精製した。分析カラム:YMC−Pack ODS AA1 2S05−2520WT 250×4.6
mm I.D. S−5 mm、120オングストローム、0〜100% B、1.5
ml/分、1/2時間、220 nmで追跡、B=アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸、A=水中の0.1%トリフルオロ酢酸。
【0198】
その水相を凍結乾燥して、59 mg((16.3%) GW431896X、(U11484−72−10)tHPLC=11.71分、MW=966.04、LC/MS=MH+967)を得た。
ニトロ官能基の還元:
【0199】
【化46】

【0200】
209(170 mg)および10% Pd.C(10 mg)の95% EtOH中のスラリーを、隔壁および撹拌棒を備えたシンチレーションバイアルにて、水素でフラッシュした。水素バルーン下で一晩中、水素化分解を続けて、完全に変換した。次いで、この粗調製物から触媒を濾過により除き、そしてRP C18 HPLC(Prep Nova−Pack C186μm、60 A、勾配0〜100% B、30分間)上で精製した。所望の生成物を集め、そして凍結乾燥して、白色の綿毛状固形物(50 mg、30.8%)を得た。
(実施例13)
【0201】
【化47】

【0202】
実施例12のアシル化および還元手順に従って、化合物211を得た。
【0203】
【表15】

【0204】
(実施例14)
【0205】
【化48】

【0206】
実施例12の手順に従って、212を得た。
【0207】
【表16】

【0208】
(実施例15)
【0209】
【化49】

【0210】
実施例12の手順に従って、化合物213を得た。
【0211】
【表17】

【0212】
(実施例16)
【0213】
【化50】

【0214】
実施例12の手順に従って、214を得た。
【0215】
【表18】

【0216】
(実施例17)
【0217】
【化51】

【0218】
実施例12の手順に従って、215を得た。
【0219】
【表19】

【0220】
(実施例18)
【0221】
【化52】

【0222】
実施例12の手順に従って、216を得た。
【0223】
【表20】

【0224】
(実施例19)
【0225】
【化53】

【0226】
実施例12の手順に従って、217を得た。
【0227】
【表21】

【0228】
(実施例20)
N−アシル化化合物に対する一般的手順:
【0229】
【化54】

【0230】
N,N−ジメチルホルムアミド10 ml中の(3S)−テトラヒドロ−3−フルフリル−N−((1S,2R)−1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−(N−イソブチル−4−アミノベンゼンスルホンアミド)プロピル)カルバメート0.5g(1 mMol)、Boc−(S)−3−ピリジルアラニン0.4g(1.5 mMol)、EDCI(0.29g、1.5 mMol)および4−ジメチルアミノピリジン0.1gの混合物を、25°で12時間撹拌した。揮発性物質を真空中にて除去し、残留物を、酢酸エチルおよび1N塩酸の間で分配した。その有機層を、1N水酸化ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中にて濃縮した。残留物を、2インチプラグのシリカゲル(1:1の酢酸エチル:ヘキサン)上でクロマトグラフィーにかけて、所望のN−アシル化物質を得た。トリフルオロ酢酸50 mlでの処理による脱保護に続いて、残留した酸とメタノールとの共蒸発により、白色の泡状物として、所望のプロドラッグを得た(0.2g、26%)。
【0231】
【表22】

【0232】
(実施例21)
【0233】
【化55】

【0234】
実施例20の一般的手順を用いて、220を得た。
【0235】
【表23】

【0236】
(実施例22)
【0237】
【化56】

【0238】
実施例20の一般的手順を用いて、221を得た。
【0239】
【表24】

【0240】
(実施例23)
【0241】
【化57】

【0242】
実施例20の一般的手順を用いて、222を得た。
【0243】
【表25】

【0244】
(実施例24)
【0245】
【化58】

【0246】
実施例20の一般的手順を用いて、223を得た。
【0247】
【表26】

【0248】
(実施例25)
【0249】
【化59】

【0250】
実施例20の一般方法を用いて、224を得た。
(実施例26)
O,N−ジアシル化プロドラッグ
N,O−ジアシル化化合物に対する一般的手順は、開始材料に対して、5倍過剰の試薬を用いたこと以外は、上記実施例20で概説したプロトコルに従った。
【0251】
【化60】

【0252】
【表27】

【0253】
(実施例27)
【0254】
【化61】

【0255】
ピリジン20 ml中の197(2.93g、5.47 mmol)および亜リン酸(Aldrich、2.2当量、12.03 mmol、987 mg)の混合物に、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(Aldrich、2.1当量、11.49 mmol、2.37g)を添加し、この反応物を、窒素下にて3時間にわたり、60℃まで加熱した。真空中にて溶媒を除去し、残留物を0.1N水性重炭酸ナトリウム200 mlで処理し、そして周囲温度で1時間撹拌した。この混合物を濾過し、濾液を濃HClの添加により、pH 1.5まで酸性化し、そして酢酸エチル(3×100 ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中にて濃縮して、所望の生成物226(3.15g、96%)を得、これは次の反応で直接使用した。
【0256】
【表28】

【0257】
(実施例28)
【0258】
【化62】

【0259】
ヘキサメチルジシラザン18 ml中の226(約5.47 mmol)の懸濁液を、均一になるまで、120℃で撹拌し、続いて、ビス(トリメチルシリル)ペルオキシド(Gelest、Inc.、2.3当量、12.58 mmol、2.24g、2.71 ml)を添加した。1時間後、この混合物を周囲温度まで冷却し、真空中にて溶媒を除去し、残留物をメタノール100 mlと共に撹拌し、真空中にて溶媒を除去し、残留物を0.1 N水性重炭酸ナトリウム100 mlと共に撹拌し、濃HClの添加により、pH 1.5まで酸性化し、ブラインで飽和し、そして酢酸エチル(3×100 ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中にて濃縮して、所望の生成物227(2.98g、88%)を得、これは次の反応で直接使用した。
【0260】
【表29】

【0261】
あるいは、227は、197から直接に合成できる。この方法では、197をピリジン(300 ml)に溶解した。得られた溶液を、真空中にて、50〜55℃で、約150
mlまで濃縮した。次いで、溶液をN下にて5℃まで冷却し、そして2分間にわたって、POCl(6.5 ml、1.24当量)で処理した。この冷却バスを取り除き、この反応物を周囲温度で2.5時間撹拌した。次いで、溶液を5℃まで冷却し、30分間にわたって、水(300 ml)を添加した。
【0262】
得られた混合物を、4−メチルペンタン−2−オン(MIBK、2×150 ml)で抽出した。合わせた抽出物を、2N HCl(2×250 ml)で洗浄した。この酸洗浄物を、MIBK(60 ml)で逆抽出し、次いで、合わせたMIBK溶液を、2N HCl(150 ml)で処理した。この2相混合物を急速に撹拌し、そして2時間にわたって50℃まで加熱した。反応混合物を20℃まで冷却し、相分離し、このMIBK溶液をブライン(150 ml)で洗浄した。この溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を濾過して除き、そして真空中にて40℃で濃縮して、生成物227を単離することにより、青黄色の泡状物として、生成物(31g、収率90%)を得た。
(実施例29)
【0263】
【化63】

【0264】
酢酸エチル50 ml中の227(2.98g、4.84 mmol)の溶液を、炭素上10%パラジウム(Aldrich、300 mg)で処理し、そしてParrシェーカー上で、水素35 psi下にて、15時間放置した。濾過により触媒を除去し、真空中にて溶媒を除去して、所望の生成物228(2.66g、94%)を得た。
【0265】
【表30】

【0266】
(実施例30)
【0267】
【化64】

【0268】
固形物228(2.66g、4.54 mmol)を、水性重炭酸ナトリウム(Baker、3.0当量、13.63 mmol、1.14g)10 mlで処理し、そして樹脂カラム(Mitsubishi Kasei Corp.、MCI−gel、CHP−20)に供した。その溶出液が中性になるまで、蒸留水を流し、続いて、水中の1%アセトニトリルで生成物を溶出した。純粋な画分をプールし、そして凍結乾燥して、純粋なビスナトリウム塩229(918 mg)を得た。
【0269】
あるいは、228(7g)を、暖めながら、EtOAc(100 ml)に溶解し、この溶液を250 mM水性重炭酸トリエチルアンモニウム(TEABC)100 mlで抽出した(2×)。この水性抽出物を合わせ、そして水で1500 mlまで希釈した。この溶液を、50 mMのTEABCで平衡化した300 mlのDEAE−52カラム(Whatman)に適用した。カラムを50 mMのTEABC(8 L)で洗浄し、TEA塩を250 mMのTEABC(2 L)で溶出した。この溶液を真空中にて100 mlまで蒸発させ、次いで、凍結乾燥して、TEA塩(1.5 TEA当量)を得た。TEA塩(5.8g)を水200 mlに溶解し、1 N HCl(300 ml)を添加し、この混合物をEtOAc(3×200 ml)で抽出した。この酢酸エチル溶液をMgSOで乾燥し、次いで、真空中にて蒸発させて、遊離酸4gを得た。この遊離酸2gをアセトニトリル50 mlに溶解し、水200 ml中のNaHCO(573 mg)の溶液を添加した。この混合物を凍結乾燥して、ビスナトリウム塩(化合物229)2.1gを得た。
(実施例31)
【0270】
【化65】

【0271】
無水N,N−ジメチルホルムアミド10 ml中のHATU(1.2g、3.15 mmol)、HOAt(0.2g、1.47 mmol)およびNMM(0.4g、4.0
mmol)の撹拌溶液に、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸0.53g(3.0 mmol)を添加した。この混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、(3S)−テトラヒドロ−3−フルフリル−N−((1S,2R)−1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−(N−イソブチル−4−アミノベンゼンスルホンアミド)−プロピル)カルバメート0.5g(1 mmol)をこの溶液に、一度に添加した。この混合物を20℃で1時間、次いで、50℃でさらに12時間撹拌した。次いで、これを20℃まで冷却し、エーテル50 mlを添加し、この溶液を水で3回洗浄した。その水相をエーテルで洗浄し、次いで、合わせた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濾過した。この濾液を減圧下にて濃縮し、その残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、所望のモノ−(N)−アシル化化合物(102 mg、15%)およびビス−(O, N)−アシル化化合物(262 mg、32%)を得た。
【0272】
【表31】

【0273】
(実施例32)
【0274】
【化66】

【0275】
1273W94(0.521g、1 mM)をTHF(5 ml)に溶解し、次いで、窒素下にて、−78℃まで冷却し、そして1.6 Mのn−BuLiのヘキサン溶液1.56 ml(2.5 mM)を添加した。−78℃で20分後、エチルクロロカルバメート105μL(1.1 mM)を添加し、この反応物を室温まで暖め、続いて、別のエチルクロロカルバメート105μLを添加した。
【0276】
さらに4時間撹拌した後、この反応を水で停止し、有機溶媒を蒸発させた。粗生成物の一部を、シリカゲル(Rf=0.69(1:2の酢酸エチル:ヘキサン))上で精製して、生成物0.131gを得た。
【0277】
【表32】

【0278】
(実施例33)
【0279】
【化67】

【0280】
上記炭酸エチル0.131gを、DCM(4 ml)に溶解し、続いてTFA(4 ml)に溶解した。次いで、室温で45分後、溶媒を除去して、表題化合物を得た。
【0281】
【表33】

【0282】
(実施例34)
O, N−アシルオキシ転位
【0283】
【化68】

【0284】
【表34】

【0285】
(実施例35)
【0286】
【化69】

【0287】
実施例1で示した合成と同様にして、235の合成を行った。
【0288】
【表35】

【0289】
(実施例36)
【0290】
【化70】

【0291】
235(150 mg)を無水ジオキサン3 mlに溶解し、S(+)−3−OH−THF(0.35 ml)およびトリエチルアミン0.14 mlを添加した。この混合物を、窒素下にて2日間にわたり、穏やかに還流した。236への変換は定量的であった。溶媒を除去し、この化合物を、シリカ(B)上で精製した。
【0292】
【表36】

【0293】
(実施例37)
炭水化物ベースのプロドラッグ
【0294】
【化71】

【0295】
ジメチルホルムアミド10 ml中の(3S)−テトラヒドロ−3−フルフリル−N−((1S,2R)−1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−(N−イソブチル−4−アミノベンゼンスルホンアミド)プロピル)カルバメート0.54g(1 mMol)、5−ジメチル−tert−ブチオシリルオキシペンタン酸0.46g(2 mMol)、EDCI(0.346g、1.8 mMol)およびトリエチルアミン0.556 mL(4
mMol)の混合物を、rtで24時間撹拌した。酸、EDCIおよびトリメチルアミンのそれぞれの別の3 mMolを添加し、さらに96時間にわたって、撹拌し続けた。酸およびEDCIの第三のバッチを添加し(各3 mMol)、この混合物を72時間撹拌して、この反応を完結させた。
【0296】
次いで、この反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そして1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウムおよび水で抽出した。この溶媒を蒸発し、シリカゲル(30%酢酸エチル−ヘキサン)上で精製して、ワックス状の固形物として、所望の生成物(500 mg)を得た。
【0297】
【表37】

【0298】
238(450 mg)をテトラヒドロフラン30 mlに溶解し、そして水20 mlおよび酢酸50 mlで処理した。この混合物をrtで2時間撹拌し、そして蒸発させた。ヘキサンを用いた滴定により、白色の固形物として、所望のアルコール(290 mg)を得た。
【0299】
先の反応から上記で生成したアルコール0.15g(0.24 mMol)、テトラアセチルグルコシルブロマイド0.205g(0.5 mMol)および炭酸銀0.191g(0.7 mMol)のジクロロメタン3 ml中の混合物を、rtで6時間撹拌した。追加のグルコシルブロマイド150 mgおよび炭酸銀150 mgを添加し、この混合物をrtで一晩撹拌した。この混合物をシリカゲルパッドに供し、そして30%酢酸エチル−ヘキサンで溶出して、白色の泡状物(200 mg)として、所望の保護された炭水化物プロドラッグを得た。
【0300】
【表38】

【0301】
(実施例38)
【0302】
【化72】

【0303】
無水テトラヒドロフラン25 ml中の197(1g、1.87 mmol)の撹拌溶液に、SO3.py錯体1.5g(9.4 mmol)を添加した。この混合物を20℃で12時間撹拌し、次いで、濾過した。この濾液を減圧下にて濃縮して、その残留物をシリカゲルカラムに移し、そしてEtOAc(純粋な)で、次いでEtOAc:EtOH(4:1)で溶出して、無色の泡状物として、239(471 mg、47%)を得た。
【0304】
【表39】

【0305】
【化73】

【0306】
この溶液に、無水テトラヒドロフラン15 mlおよびPd/BaSO(5%)200 mgに溶解した239(100 mg、0.162 mmol)を添加した。この混合物を、水素の常圧下にて8時間撹拌し、次いで、この触媒を濾過した。この濾液を減圧下にて濃縮し、次いで、真空下にて乾燥して(約1 Hg mm、48時間)、無色の泡状物として、240(80 mg、81%)を生成した。
【0307】
【表40】

【0308】
(実施例39)
【0309】
【化74】

【0310】
ジクロロメタン25 ml中の197(1.07g、2 mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.7 ml(4 mmol)の撹拌溶液に0℃で、2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスフォラン780 mg(3 mmol)を添加した。この混合物を室温まで暖め、そして2時間撹拌した。次いで、この混合物を0℃まで冷却し、ジクロロメタン5 ml中にて、臭素1.5g(9.3 mmol)を添加した。この混合物を20℃で1時間撹拌し、続いて、減圧下にて蒸発させた。その残留物に、トリメチルアミン15 mlの水溶液(50%)を添加し、この混合物を20℃で12時間撹拌した。
【0311】
減圧下にて溶媒を除去し、その残留物に、EtOAc:EtOH(9:1)50 mlを添加した。この固形物を濾過し、EtOAc:EtOH(9:1)で洗浄し、次いで、この濾液を減圧下にて濃縮した。その残留物を、溶出液として酢酸エチル(純粋な)、次いでメタノール(純粋な)を用いた3インチプラグのシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけて、灰白色の固形物として、241(1.15g、82%)を得た。
【0312】
【表41】

【0313】
(実施例40)
【0314】
【化75】

【0315】
メタノール10 ml中の241(250 mg、0.35 mmol)の溶液に、Pd/C(10%)250 mgを添加し、この混合物を、水素の常圧下にて、20℃で4時間撹拌した。この混合物を濾過し、そしてこの濾液を減圧下にて濃縮した。次いで、その残留物を水10 mlに溶解し、そして凍結乾燥して、白色の固形物として、242(174 mg、74%)を得た。
【0316】
【表42】

【0317】
(実施例41)
【0318】
【化76】

【0319】
ジクロロメタン25 ml中の197(1.07g、2 mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.35 ml(2 mmol)の撹拌溶液に20℃で、三塩化リン0.175 ml(2 mmol)を添加した。この混合物を20℃で4時間撹拌し、次いで、水1 mlを添加して、20℃でさらに12時間撹拌した。この混合物に、無水硫酸マグネシウム3gを添加し、30分間撹拌し、次いで、濾過した。この濾液を減圧下にて濃縮し、そしてEtOAc:ヘキサン(4:1)を、次いでEtOAc:EtOH(1:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、226(402 mg、48%)および243(427 mg、36%)を得た。
【0320】
【表43】

【0321】
(実施例42)
【0322】
【化77】

【0323】
実施例40に記述のようにして、この還元を行った(収率:79%)。
【0324】
【表44】

【0325】
(実施例43)
【0326】
【化78】

【0327】
実施例40に記述のようにして、この還元を行った(収率:98%)。
【0328】
【表45】

【0329】
(実施例44)
単回経口用量に続くSprague−Dawleyラットでの薬物動態
本発明のプロドラッグの薬物動態を研究するために、本発明の一連のプロドラッグおよびVX−478の単回経口用量をオスおよびメスのSprague−Dawleyラットに投与した。種々の薬学的ビヒクルにおける本発明の一連のプロドラッグのモル当量物の投与を試験した。
【0330】
別の群のオスおよびメスのSprague−Dawleyラット(3匹/性別/群)に、異なるビヒクルにて、同じ用量当量(40 mg/kgのVX−478モル当量)で、経口栄養(oral gavage)によって、化合物229の経口用量を与えた。化合物229に対する異なるビヒクルは、以下であった:1)水;2) 5/4/1;3) PEG 400;4) TPGS/PEG 400;および5) PEG。VX−478に対するビヒクルは、以下であった:1) 33%のTPGS/PEG400/PEG
;および2) 12.5%のTPGS/PEG 400/PEG。
【0331】
投与に続いて、種々の時間間隔で、血液試料を集め、そして化合物229およびその代謝物(VX−478)の両方の化合物の存在について、HPLC法およびMS法により分析した。この研究結果を、以下に表にした(表IV)。
【0332】
【表46】

【0333】
化合物229の固体カプセル処方およびエタノール性/メチルセルロース溶液処方の両方を用いて、VX−478のTPGS含有溶液処方と比較して、犬についての類似の研究を行った。この研究の結果を、表Vに以下で示す。
【0334】
【表47】

【0335】
これらの結果は、化合物229を水溶液として経口投与することにより、研究された他のビヒクルと比較して、改良されたバイオアベイラビリティーが得られることを立証している。また、化合物229の経口投与に続いて、第一の時点の血液試料(または後の試料)では、その化合物は全く検出されず、このことは、VX−478への第一経路の代謝を示唆している。水性用量の化合物229とVX−478に使用した2個の非水性処方との比較は、このバイオアベイラビリティーについて実験した範囲で示されるように、分配の等価性を示した。
(実施例45)
【0336】
【化79】

【0337】
無水ピリジン10 ml中の化合物197(1.07g、2.0 mmol)の撹拌溶液に5℃で、POCl(0.28 ml、3.0 mmol)を添加した。この混合物を室温まで暖め、そして20℃で3時間撹拌した。この混合物を0℃まで冷却し、そして水10 mlでクエンチした。この溶媒を減圧下にて除去し、その残留物を酢酸エチル100 mlに溶解し、そして1 M重炭酸ナトリウム溶液20 mlで洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、次いで、濃縮した。クロマトグラフィー精製(SiO2、EtOAc)により、化合物400(280 mg)を生成した(収率=23%)。
【0338】
【表48】

【0339】
【化80】

【0340】
H2/PdC(10%)、大気圧、室温で4時間、溶媒(MeOH−HO(5:1))を使用した上記標準水素化法を用いて、化合物400を化合物401に変換した。401の収率=68%。
【0341】
【表49】

【0342】
(実施例46
【0343】
【化81】

【0344】
DMF(10 ml)中のHATU(1.2g、3.15 mmol)、HOAt(0.2g、1.47 mmol)、NMM(0.4g、4.0 mmol)の撹拌溶液に、Na−t−Boc−nd−Cbz−L−オルニチン1.0g(2.8 mmol)を添加した。この混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、化合物218(0.5g、1.0 mmol)を添加し、この溶液を50℃で12時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、エーテル100 mlを添加し、そして水(5×50 ml)で抽出した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて濃縮した。その残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc(1:1)、次いでEtOAc(純
粋な))により精製して、化合物350(410 mg、48%)を得た。
化合物350
【0345】
【表50】

【0346】
化合物350
【0347】
【表51】

【0348】
化合物350
【0349】
【表52】

【0350】
【化82】

【0351】
上記標準水素化法(H/PdC(10%)、大気圧、4時間、室温、溶媒:EtOH)を用いて、化合物350A350Bおよび350Cを、それぞれ、化合物402403および404に変換した。収率:81%。
化合物402
【0352】
【表53】

【0353】
化合物403
【0354】
【表54】

【0355】
化合物404
【0356】
【表55】

【0357】
(実施例47)
【0358】
【化83】

【0359】
クロロホルム20 ml中の化合物350A350Bまたは350C(260 mg、0.3 mmol)の撹拌溶液に、TFA(5 ml)を添加した。この混合物を室温で5時間撹拌し、次いで、この溶媒を減圧下にて除去した。その残留物をジクロロメタン20 mlに溶解し、この反応混合物に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン2 ml(11 mmol)および無水酢酸1 ml(10 mmol)を添加した。この溶液を1時間撹拌し、次いで、この溶媒を除去した。その残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:EtOAc−EtOH(9:1))により精製して、それぞれ、化合物351A351Bまたは351C(170 mg、71%)を得た。
化合物351A
【0360】
【表56】

【0361】
化合物351B
【0362】
【表57】

【0363】
化合物351C
【0364】
【表58】

【0365】
【化84】

【0366】
化合物351A351Bおよび351Cの、それぞれ、化合物405406および407への変換を、H2/PdC(10%)、大気圧、室温で4時間、溶媒(EtOH)を使用した標準水素化法により行った。収率=46%。
化合物405
【0367】
【表59】

【0368】
化合物406
【0369】
【表60】

【0370】
化合物407
【0371】
【表61】

【0372】
(実施例48)
【0373】
【化85】

【0374】
トルエン20 ml中の化合物197(2.14g、4.00 mmol)の撹拌溶液(これは、ピリジン10%を含有する)に、メタンホスホニルジクロライド1.0g(7.5 mmol)を添加した。この混合物を100℃で5時間撹拌し、次いで、40℃まで冷却し、この反応物に、ベンジルアルコール2g(18.5 mmol)を添加し、この混合物を20℃で12時間撹拌した。この固形物を濾過し、トルエン(2×10 ml)で洗浄し、そしてこの濾液を減圧下にて濃縮した。その残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−EtOAc(1:1)、次いでEtOAc(純粋な))により精製して、化合物352(550 mg、20%)を得た。
【0375】
【表62】

【0376】
【化86】

【0377】
標準水素化法(H2/PdC(10%)、大気圧、2時間、室温、溶媒(MeOH))を用いて、化合物352を化合物408に変換した。収率=78%。
【0378】
【表63】

【0379】
本発明者らは、本発明の多数の実施態様を記述したが、本発明の基礎となる構成が、本発明の生成物およびプロセスを利用する他の実施態様を提供するために変更され得ることは明らかである。従って、本発明の範囲は、実施例により供される特定の実施態様よりはむしろ添付の請求の範囲により定義されると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物においてアスパルチルプロテアーゼ活性を阻害するための医薬の製造のための本明細書中に記載の化合物の使用。

【公開番号】特開2009−102400(P2009−102400A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16033(P2009−16033)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【分割の表示】特願2005−205007(P2005−205007)の分割
【原出願日】平成10年3月10日(1998.3.10)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】