説明

アスファルト混合物製造装置

【課題】 脱臭炉の高温排ガスとバーナ燃焼用空気とを熱交換器にて熱交換し、この予熱した燃焼用空気を複数のバーナに分配供給可能とし、脱臭炉の排ガス保有熱を多く回収して省エネルギー効果を高める。
【解決手段】 脱臭炉3の高温排ガスと燃焼用空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱する熱交換器29と、燃焼用空気を熱交換器29に供給する送風機31と、熱交換器29にて予熱した燃焼用空気をバージンドライヤ1、リサイクルドライヤ2、及び脱臭炉3の各バーナ6、17、26に供給する予熱空気供給ダクト32、33、33aとを配設する。そして、圧力センサ34にて検出する予熱空気供給ダクト33内の静圧が前記各バーナの燃焼量の変動に対し燃焼用空気を不足なく、かつ即座に供給可能な所定圧を維持するように送風機31の送風量を調整制御する。これによって、各バーナ6、17、26に燃焼用空気を不足なく分配供給できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナを有するバージンドライヤ、バーナを有するリサイクルドライヤ、及びリサイクルドライヤの排ガス中の臭気成分を燃焼させるバーナを有する脱臭炉を備えたアスファルト混合物製造装置に関し、特に、脱臭炉から排気される高温排ガスと前記各バーナに供給する燃焼用空気とを一基の熱交換器にて熱交換して燃焼用空気を予熱し、この予熱した燃焼用空気を各バーナに分配供給することで省エネを図るようにしたアスファルト混合物製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト混合物製造工場には、通常、新規骨材(以下「新材」という)を加熱するバージンドライヤと、アスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)を加熱するリサイクルドライヤとを併設したアスファルト混合物製造装置が設置される。前記リサイクルドライヤにて廃材を加熱するときには、加熱条件により悪臭の排ガスが発生することがあり、この悪臭処理のために脱臭炉を設置し、排ガス中の悪臭成分を約800℃前後で燃焼して脱臭することが行われる。このとき、脱臭炉から排気される排ガスは高温であって大気中に放出すると経済的損失となるために、特許文献1には、リサイクルドライヤと脱臭炉とを有するリサイクルプラントにおいて、二基の熱交換器を設置し、第一の熱交換器では脱臭炉へと導入する悪臭成分を含む排ガスを予熱し、第二の熱交換器では脱臭炉バーナに供給する燃焼用空気を予熱するなど、脱臭炉の高温排ガスの保有熱の回収に工夫をこらして省エネルギーを図ることが記載されている。
【特許文献1】特開平8−218311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されたものはリサイクル専用のリサイクルプラントであって、二基の熱交換器を使用して、脱臭炉へと導入する悪臭成分を含む排ガスと、脱臭炉バーナの燃焼用空気とを予熱することで脱臭炉の排ガスの熱回収を行っているものの、脱臭炉の排ガスの保有する熱量はまだまだ回収利用できる余地がある。そして、リサイクルドライヤとバージンドライヤとを併設したアスファルト混合物製造装置では、脱臭炉の排ガス熱を更に有効利用できる箇所もあり、この種アスファルト混合物製造装置では更なる省エネギーの工夫が期待されている。ところで、従来は、特許文献1に示すように、バーナの燃焼用空気を予熱するときには、一基の熱交換器で一基のバーナに予熱空気を供給するという形態をとっており、もしも複数のバーナに予熱空気を供給しようとすれば同数の熱交換器が必要となってコスト高となるため、何らかの工夫を要する。
【0004】
本発明は上記の点に鑑み、脱臭炉の高温排ガスとバーナ燃焼用空気とを熱交換器にて熱交換し、この予熱した燃焼用空気を複数のバーナに分配供給可能とし、脱臭炉の排ガス保有熱を多く回収して省エネルギー効果を高めるようにしたアスファルト混合物製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1記載のアスファルト混合物製造装置は、新規骨材を加熱するバーナを有するバージンドライヤと、廃材を加熱再生するバーナを有するリサイクルドライヤと、該リサイクルドライヤの排ガス中の臭気成分を燃焼させるバーナを有する脱臭炉等とを備えたアスファルト混合物製造装置において、前記脱臭炉から排気される高温排ガスと前記各バーナに供給する燃焼用空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱する熱交換器と、燃焼用空気を熱交換器に供給する送風機と、熱交換器にて予熱した燃焼用空気を前記バージンドライヤ、リサイクルドライヤ、及び脱臭炉の各バーナのうち、少なくとも二つのバーナに供給する予熱空気供給ダクトと、熱交換器受熱出口側の予熱された燃焼用空気の静圧を測定する圧力センサーとを配設し、該圧力センサーにて検出する静圧が前記各バーナの必要とする燃焼用空気量の変動に対し即座に供給可能な所定圧を維持するように前記送風機の送風量を調整制御し、各バーナの燃焼量の変動によって必要とする燃焼用空気量に変動が生じても各バーナに燃焼用空気が不足なく送り込まれるようにしたことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2記載のアスファルト混合物製造装置は、前記送風機の送風量調整は、送風機の回転数制御または送風量調整用ダンパーの開度調整制御のいずれかにて行うようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る請求項1記載のアスファルト混合物製造装置によれば、バージンドライヤ、リサイクルドライヤ、脱臭炉とを備えたアスファルト混合物製造装置にて、前記脱臭炉から排気される高温排ガスとバーナの燃焼用空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱する熱交換器と、燃焼用空気を熱交換器に供給する送風機と、熱交換器にて予熱した燃焼用空気をバージンドライヤ用バーナ、リサイクルドライヤ用バーナ、及び脱臭炉用バーナのうち、少なくとも二つのバーナに供給する予熱空気供給ダクトとを配設すると共に、熱交換器受熱出口側の予熱した燃焼用空気の静圧を圧力センサーにて測定し、その静圧値が前記各バーナの必要とする燃焼用空気量の変動に対し即座に供給可能な所定圧を維持するように前記送風機の送風量を調整制御するようにしたので、各バーナの燃焼量の変動によって必要とする燃焼用空気量に変動が生じても各バーナに燃焼用空気が不足なく送り込まれるため、複数のバーナに燃焼用空気を分配供給しても各バーナは安定して燃焼させることができ、プラント運転に支障を生じさせることはない。また、一基の送風機と一基の熱交換器を使用して予熱した燃焼空気を複数のバーナに安定して分配供給するので、低コストで、かつ脱臭炉の排ガスの保有熱を多く回収することができ、従来よりも省エネ効果を高めることができる。
【0008】
また、請求項2記載のアスファルト混合物製造装置によれば、前記送風機の送風量調整は、送風機の回転数制御または送風量調整用ダンパーの開度調整制御のいずれかにて行うようにしたので、熱交換器出口側の予熱空気の静圧値が所定値となるように送風量を的確に自動調整制御でき、これによって複数のバーナに予熱した燃焼用空気を不足なく送り込むことができてプラント運転に支障を生じさせることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のアスファルト混合物製造装置にあっては、バーナを有するバージンドライヤと、バーナを有するリサイクルドライヤと、リサイクルドライヤの排ガス中の臭気成分を燃焼させるバーナを有する脱臭炉とを備える。また、前記脱臭炉から排気される高温排ガスと前記各バーナに供給する燃焼用空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱する熱交換器を配設すると共に、熱交換器受熱出口側には前記バージンドライヤ、リサイクルドライヤ、及び脱臭炉の各バーナに予熱した燃焼用空気を供給する予熱空気供給ダクトを配設する。また、燃焼用空気を熱交換器に供給する送風機を配設する。なお、送風機は、同時に稼働する複数のバーナに燃焼用空気を供給するのに十分な能力を有するものを採用する。
【0010】
また、前記送風機はインバータにて回転数制御可能、もしくは送風機吸い込み側に送風量調整用ダンパーを取り付けて開度調整制御可能とし、送風量を自在に調整できるようにしておく。更に、熱交換器受熱出口側の予熱空気供給ダクトには燃焼用空気の静圧を測定する圧力センサ(微差圧計)を配設すると共に、該圧力センサにて検出する静圧値に基づいて送風機をインバータ回転数制御もしくは送風量調整用ダンパーの開度調整制御を行う送風量制御器を配設する。送風量制御器には、予め、燃焼用空気を供給する複数のバーナの燃焼量の変動により必要とする燃焼用空気量の変動に対し、予熱した燃焼用空気を不足なく、即座に供給可能な静圧の所定値を静圧設定値として記憶させておく。
【0011】
そして、バージンドライヤとリサイクルドライヤの双方の運転中は、送風機を駆動して燃焼用空気を熱交換器内に供給し、脱臭炉から排気される高温排ガスと熱交換させて燃焼用空気を予熱し、この予熱した燃焼用空気を予熱空気供給ダクトを経由してバージンドライヤ、リサイクルドライヤ、及び脱臭炉の各バーナに供給する。このとき、熱交換器受熱出口側の予熱空気供給ダクト内の静圧を圧力センサにて連続的に検出し、この検出した静圧値を送風量制御器に取り込み、予め設定した静圧設定値と比較し、その差値量に基づいて送風機の回転数制御もしくは送風量調整用ダンパーの開度調整制御を行う。即ち、検出した静圧値が静圧設定値より低いと送風機の回転数を上げて静圧を高め、逆に静圧が高ければ回転数を下げる等のフィードバック制御が行われる。
【0012】
これによって、予熱空気供給ダクトが圧力溜めとなって、全てのバーナに安定した静圧が掛かることとなり、例えば、バージンドライヤのバーナの燃焼量が急激に上昇して燃焼用空気を多量に取り込んでも、他のリサイクルドライヤや脱臭炉の各バーナにおいては燃焼用空気の不足を招くことはない。このように、三基のバーナの燃焼用空気量の増減は相互に干渉することはなく、よってプラント運転に支障を生じさせることはない。
【0013】
このように、バージンドライヤ、リサイクルドライヤ、及び脱臭炉の各バーナに接続した予熱空気供給ダクト内の静圧を常に高めの所定値に維持することによって、全てのバーナに安定した静圧が掛かり、各バーナの燃焼量の変動によって必要とする燃焼用空気量に変動が生じても他のバーナの燃焼用空気の不足を招くことはなく、一基の送風機と一基の熱交換器により複数のバーナに燃焼用空気を安定して分配供給することができ、低コストで、かつ従来より省エネ効果を高めることができる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明のアスファルト混合物製造装置の概略構成図であり、新材を加熱するバージンドライヤ1と、廃材を加熱するリサイクルドライヤ2とを併設すると共に、リサイクルドライヤ2の排ガス中の悪臭成分を燃焼させて脱臭する脱臭炉3を備えている。なお、図示しているのは骨材の加熱乾燥系統の装置のみで、加熱した新材と廃材を所定割合で混合してアスファルト混合物を製造するプラント本体等は省略している。
【0016】
バージンドライヤ1は、内周部に多数の掻き上げ羽根を周設した円筒状のドラム4を機台5上に回転自在に傾斜支持し、駆動装置により所定の回転速度で回転させるようにしている。そして、ドラム4の一端部にバーナ6を配設し、該バーナ6を燃焼させてドラム4内に熱風を送り込むと共に、ドラム他端部の排気ダクト7下流の風量調整用ダンパー8の開度調整を行いながら排風機9によって燃焼ガスをほぼ過不足なしに吸引排気する一方、骨材ホッパ(図示せず)から払い出した新材をベルトコンベヤ10を介してドラム4内に供給し、新材がドラム4内を転動流下する間に所望の温度まで加熱している。また、排気ダクト7の下流には集塵機11を配設し、排ガス中のダストを捕捉して清浄となった排ガスを煙突12から大気中に放出している。
【0017】
前記バーナ6の燃焼制御は、ドラム4から排出される加熱新材の温度を検出し、該検出値と骨材設定温度の差値量に基づいて燃焼量が制御される。このとき、燃焼量の増減に比例して燃焼用空気取り込み量調整用のダンパー13の開度制御も行われ、新材の供給量変動等により燃焼量が急激に増加すれば、それに伴って燃焼用空気量も急激に取り込まれる。
【0018】
リサイクルドライヤ2は、前記バージンドライヤ1と似た構造であり、内周部に掻き上げ羽根を周設した円筒状のドラム14を機台15上に回転自在に傾斜支持し、ドラム14の一端部に燃焼室16を介してバーナ17を配設し、該バーナ17の火炎を燃焼室16内に形成してドラム14内に熱風を送り込むと共に、ドラム他端部の排気ダクト18下流の風量調整用ダンパー19の開度調整を行いながら排風機20によって燃焼ガスをほぼ過不足なしに吸引排気する一方、排気ダクト18から分岐した循環ダクト21を燃焼室16に接続し、循環風量調整用ダンパー22の開度を調整しながら循環ファン23によって排ガスの一部を燃焼室16に循環してドラム14内に送り込む熱風の温度を調整している。そして、骨材ホッパ(図示せず)から廃材を払い出してベルトコンベヤ24を介して廃材をドラム14内に投入し、ドラム14内を転動流下する間に廃材を所定温度まで加熱している。
【0019】
前記バーナ17の燃焼制御は、ドラム14から排出される排ガス温度を検出し、該検出値と排ガス設定温度の差値量に基づいて燃焼量が制御される。このとき、前記バージンドライヤ1のバーナ6と同様に、燃焼量の増減に比例して燃焼用空気取り込み量調整用のダンパー25の開度制御も行われ、廃材の供給量変動等により燃焼量が急激に増加すれば、それに伴って燃焼用空気量も急激に取り込む。
【0020】
脱臭炉3は、一端に炉内温度を所定値に維持するためのバーナ26を備え、該バーナ26の燃焼量に比例させて燃焼用空気取り込み用のダンパー27を調整しながら炉内に熱風を送り込み、炉内温度が略800℃程度の高温を維持するように燃焼量を制御し、リサイクルドライヤ2の排ガスを炉内に1乃至2秒程度留めるようにして排ガス中の悪臭成分を燃焼分解している。
【0021】
また、28、29は熱交換器であって、前記脱臭炉3の排気ダクト30から導出される高温排ガスの保有熱を回収するためのものであり、熱交換器28は排気ダクト18から脱臭炉3に導入されるリサイクルドライヤ2の排ガスを昇温させて脱臭炉3のバーナ26の燃費削減を図るものであり、また熱交換器29は送風機31から送風する外気を予熱し、これを燃焼用空気としてバーナ6、17、26に供給することで各バーナの燃費削減を図るものである。
【0022】
前記熱交換器29の受熱側出口には予熱空気供給ダクト32、33が接続されており、該予熱空気供給ダクト32の先端を脱臭炉3のバーナ26に接続する一方、予熱空気供給ダクト33の先端をバージンドライヤ1のバーナ6に、予熱空気供給ダクト33の途中で分岐した予熱空気供給ダクト33aの先端をリサイクルドライヤ2のバーナ17に接続し、送風機31から送り込む燃焼用空気を熱交換後に複数のバーナに供給できるようにしている。なお、送風機31は、同時に稼働する複数のバーナ6、17、26に燃焼用空気を供給するのに十分な能力を有するものを採用する。
【0023】
また、熱交換器29の受熱側出口の静圧を測定するために、予熱空気供給ダクト33にダクト内の静圧を検出する圧力センサ34(微差圧計)を備えており、該圧力センサ34によって検出する静圧値信号は送風機31の送風量を制御する送風量制御器35に入力される。
【0024】
送風量制御器35は、送風機31の送風量を制御する制御部36と、予熱空気供給ダクト33内の静圧設定値を設定入力する入力部37と、設定入力値を記憶する記憶部38と、圧力センサ34の信号を受け入れたり、制御部36からの制御信号を出力する入出力部39を備えている。そして、圧力センサ34にて検出する静圧値と静圧設定値とを比較し、その差値量に応じて送風機31の送風量を増減調整し、これによって予熱空気供給ダクト33内の静圧が常に静圧設定値となるようにプログラミングされている。前記静圧設定値は、燃焼用空気を供給する複数のバーナ6、17、26の燃焼量の変動により必要とする燃焼用空気量の変動に対し、予熱した燃焼用空気を不足なく、即座に供給可能な静圧値とし、バーナ6、17、26を同時燃焼させるときのトータルの最大必要燃焼用空気量を考慮して適宜設定する。
【0025】
なお、送風機31は送風量を自在に調整するために、インバータを取り付けて回転数制御可能、もしくは送風機31吸い込み側に送風量調整用ダンパーを取り付けて開度調整制御可能としておく。
【0026】
また、脱臭炉3の高温排ガスは熱交換器28、29を通過後、排気ダクト30を経由して煙突12へと送られるが、排気ダクト30の途中を分岐し、この分岐ダクト30aをバージンドライヤ1に接続し、風量調整用ダンパー40を適宜調整して排ガスをバージンドライヤ1に導入して排ガス保有熱を有効に利用することもできる。
【0027】
次に、上記アスファルト混合物製造装置においてバージンドライヤ1とリサイクルドライヤ2とを同時に運転してアスファルト混合物を製造する場合について説明する。先ず、送風機31を駆動して燃焼用空気を熱交換器29に供給すると、燃焼用空気は熱交換器29の受熱側出口の予熱空気供給ダクト33、33aを介してバージンドライヤ1のバーナ6と、リサイクルドライヤ2のバーナ17とに供給される。また、同時に燃焼用空気は予熱空気供給ダクト32を介して脱臭炉3のバーナ26にも供給される。
【0028】
このとき、熱交換器29の受熱出口側の予熱空気供給ダクト33内の静圧を圧力センサ34にて連続的に検出し、この検出した静圧値を送風量制御器35に取り込み、予め設定した静圧設定値と比較し、その差値量に基づいて送風機31の回転数制御もしくは送風量調整用ダンパーの開度調整制御が行われる。これによって、バージンドライヤ1のバーナ6、リサイクルドライヤ2のバーナ17、及び脱臭炉3のバーナ26のそれぞれには設定された静圧が掛かることとなる。
【0029】
そこで、バージンドライヤ1、リサイクルドライヤ2の各関連装置を駆動して運転準備が完了すれば、バージンドライヤ1のバーナ6、リサイクルドライヤ2のバーナ17、及び脱臭炉3のバーナ26の各ダンパー13、25、27を順次開放して燃焼用空気を取り込みながら着火した後、新材と廃材をそれぞれのドライヤに供給し、定常運転へと移行する。なお、バージンドライヤ1とリサイクルドライヤ2とを同時に運転するときには、新材と廃材とを混合してアスファルト混合物を製造するために、バージンドライヤ1に供給する新材量は、リサイクルドライヤ2に供給する廃材量に相当する分少なくして供給することとなる。
【0030】
そして、定常運転となれば、脱臭炉3から排出される高温排ガスと、送風機31から供給される燃焼用空気とは熱交換器29にて熱交換して脱臭炉3の排ガス保有熱が回収され、予熱した燃焼用空気がバージンドライヤ1のバーナ6、リサイクルドライヤ2のバーナ17、及び脱臭炉3のバーナ26に供給される。
【0031】
また、運転中は風量制御器35によって熱交換器29の受熱出口側の予熱空気供給ダクト32、33内の静圧が静圧設定値に常に維持されることとなる。したがって、例えば、バージンドライヤ1に供給する新材量が変動し、これに応じてバーナ6の燃焼量が急激に上昇して燃焼用空気を多量に取り込む必要が生じても、予熱空気供給ダクト32、33、33aは圧力溜めとなっており、全てのバーナ6、17、26に安定した静圧が掛かっているため、各バーナ6、17、26の燃焼用空気量の増減は相互に干渉することはなく、バージンドライヤ1のバーナ6には必要量の燃焼用空気が不足なく取り込まれると共に、他のリサイクルドライヤ2のバーナ17や脱臭炉3のバーナ26においても燃焼用空気の不足を招くことはない。
【0032】
このように、バージンドライヤ1、リサイクルドライヤ2、及び脱臭炉3の各バーナ6、17、26に接続した予熱空気供給ダクト32、33、33a内の静圧を常に高めの所定値に維持することによって、全てのバーナ6、17、26に安定した高めの静圧が掛かり、各バーナの燃焼量の変動によって必要とする燃焼用空気量に変動が生じても各バーナの燃焼用空気の不足を招くことはなく、一基の送風機31と一基の熱交換器29により予熱した燃焼用空気を複数のバーナ6、17、26に安定的に分配供給することができ、低コストで、かつ従来より省エネ効果を高めることができる。
【0033】
なお、上記実施例では、一基の燃焼用空気供給用の送風機31と一基の熱交換器29を配設し、予熱した燃焼用空気を三基のバーナ6、17、26に分配供給する例を説明したが、分配供給するのは三基のバーナに限定することなく、バージンドライヤ1、リサイクルドライヤ2、及び脱臭炉3の各バーナ6、17、26のうちの選択した二基のバーナに分配供給しても良いなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲おいて種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るアスファルト混合物製造装置の一実施例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0035】
1…バージンドライヤ 2…リサイクルドライヤ
3…脱臭炉 6、17、27…バーナ
28、29…熱交換器 30…排気ダクト
30a…分岐ダクト 31…送風機
32、33、33a…予熱空気供給ダクト
34…圧力センサ 35…送風量制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新材を加熱するバーナを有するバージンドライヤと、廃材を加熱再生するバーナを有するリサイクルドライヤと、該リサイクルドライヤの排ガス中の臭気成分を燃焼させるバーナを有する脱臭炉等とを備えたアスファルト混合物製造装置において、前記脱臭炉から排気される高温排ガスと前記各バーナに供給する燃焼用空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱する熱交換器と、燃焼用空気を熱交換器に供給する送風機と、熱交換器にて予熱した燃焼用空気を前記バージンドライヤ、リサイクルドライヤ、及び脱臭炉の各バーナのうち、少なくとも二つのバーナに供給する予熱空気供給ダクトと、熱交換器受熱出口側の予熱された燃焼用空気の静圧を測定する圧力センサーとを配設し、該圧力センサーにて検出する静圧が前記各バーナの必要とする燃焼用空気量の変動に対し即座に供給可能な所定圧を維持するように前記送風機の送風量を調整制御し、各バーナの燃焼量の変動によって必要とする燃焼用空気量に変動が生じても各バーナに燃焼用空気が不足なく送り込まれるようにしたことを特徴とするアスファルト混合物製造装置。
【請求項2】
前記送風機の送風量調整は、送風機の回転数制御または送風量調整用ダンパーの開度調整制御のいずれかにて行うようにしたことを特徴とする請求項1記載のアスファルト混合物製造装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−179935(P2009−179935A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17129(P2008−17129)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】