説明

アンテナ位置判定装置

【課題】 2種類のレーザセンサを組み合わせて使用し、複雑な計測を行うことなく、アンテナの放射部が基準位置に入っているか否かを判定させることで、簡易な構成によるアンテナ位置判定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 固定治具にアンテナが固定された後、第1透過型レーザセンサ部及び第2透過型レーザセンサ部並びに複数の反射型レーザセンサ部を制御してレーザ光を発光させ、第1透過型レーザセンサ部及び第2透過型レーザセンサ部が遮光を検知し、複数の反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離であるときに、放射部が基準位置に配置されていると判定し、第1透過型レーザセンサ部又は第2透過型レーザセンサ部の少なくとも一方が透過を検知したとき、又は、複数の反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離でないときに、放射部が基準位置に配置されていないと判定するアンテナ位置判定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信機器やレーダ装置に使用される回動するアンテナの放射部の基準位置(ゼロ点)が所定の場所にあるかどうかを判定するアンテナ位置判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信機器やレーダ装置に使用される回動する放射部を有するアンテナには、平板状の基板で構成された放射部、具体的には、基板上に放射素子である複数のパッチ導体パターンが形成されたパッチアンテナ(例えば、特許文献1参照)やパラボラアンテナなどがある。放射部(基板)をアジマス(方位角)方向及びエレベーション(仰角)方向に回動させる機構を有するアンテナは、パッチアンテナやパラボラアンテナによる電波の送信又は受信を行う際に、放射部(基板)を回動させる必要がある場合がある。その回動の基準となるアジマス方向及びエレベーション方向における放射部(基板)の基準位置(基準座標)を確定しておく必要があり、放射部(基板)の基準位置に位置ずれが生じていると、放射部(基板)の回動制御に大きな影響を与える可能性は否定できない。
【0003】
無線通信機器に使用されるパッチアンテナの基準位置や反りの測定には、パッチ導体パターンが形成された基板の四隅と中心との合計5点の位置を測定する必要がある。同じく、無線通信機器に使用されるパラボラアンテナの基準位置や放物曲面には、測定には、放射部(の円周状)の三隅又は四隅と放物曲面上における1点との合計4点又は5点の位置を測定することで、アンテナの放射部の基準位置(基準座標)が所定の場所にあるかどうかを判定する必要がある(パラボラアンテナの放射曲面の精密な測定は、放物曲面上における複数の点や更に別の精密測定が必要であるが、ここでは基準位置の測定に注視した場合を指している)。
【0004】
このような測定を行う場合、移動可能な回転アームの先端に反射型測距センサを取り付けたレーザ式座標測定装置(例えば、特許文献2参照)を用いた測定方法の適用が考えられる。このような測定方法は、測距センサで測定した各測定点の絶対値データを制御部へ送信・計算処理することで位置や反りの状態を把握することが一般的である。また、測定対象物に対して1つのレーザ距離計を平行に走査させて測定する走査型レーザ距離計(例えば、特許文献3参照)を用いて、測定距離を絶対値ではなく所定管理値の範囲内より遠いか近いかを測定して距離の調整を行う方法もある。なお、特許文献4には、レーザ光を用い、受光レベルに対する閾値を設定した反射型の光電センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−84059号公報(第1図〜第4図)
【特許文献2】特開平5−164525号公報(第1図及び第2図)
【特許文献3】特開2000−44957号公報(第1図及び第2図)
【特許文献4】特開2004−320373号公報(第1図〜第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2〜4に記載のようなレーザセンサ(光電センサ)を用いた測定手法では、測定装置の一部が稼動する構成であることから、測定対象を放射部としたときに、アジマス方向及びエレベーション方向に回動させずとも、アンテナ自体も様々な姿勢を取ることができることから、その都度、測定装置とアンテナの位置を調整・決定する必要があるという課題がある。また、特許文献2に記載の測定装置におけるアーム部の位置データと、測定したアンテナの位置データとが必要となり、データ容量が大きいために、計算処理が複雑になるという課題や、計算処理の前段として、ネットワークを介してデータを送信する必要がある場合は、データ送信に時間が掛かってしまうという課題がある。
【0007】
一方、特許文献3及び4に記載の測定装置では、一次元の測定しかできないため、測定対象物が平面や立体になった場合、レーザ距離計を測りたい範囲内で走査させる必要があり、測定器自体が大がかりなものになり、走査させる時間が発生するため測定時間が長くなるという課題がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、2種類のレーザセンサを組み合わせて使用し、複雑な計測を行うことなく、アンテナの放射部が基準位置に入っているか否かを判定させることで、簡易な構成によるアンテナ位置判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明に係るアンテナ位置判定装置は、平板状の基板で構成された放射部、この放射部をアジマス方向及びエレベーション方向に回動させる回動部を有するアンテナの前記放射部が基準位置に配置されているかを判定するアンテナ位置判定装置であって、レーザ光を発光する第1発光器、この第1発光器に対向して配置され、前記第1発光器からのレーザ光を受光する第1受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第1透過型レーザセンサ部と、この第1透過型レーザセンサ部の光軸に対して平行方向にレーザ光を発光する第2発光器、この第2発光器に対向して配置され、前記第2発光器からのレーザ光を受光する第2受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第2透過型レーザセンサ部と、前記アンテナの位置を固定する固定治具と、この固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときに、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とのそれぞれのレーザ光が前記放射部によって遮光される位置に、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とを支持する透過型レーザセンサ支持部と、それぞれ前記放射部へレーザ光を照射し、そのレーザ光の反射光を受光して距離を導出する複数の反射型レーザセンサ部と、前記固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときの前記複数の反射型レーザセンサ部が受光した前記放射部からの反射光より導出した距離を適正距離として記憶する制御部とを備え、前記制御部は、前記固定治具に前記アンテナが固定された後、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部並びに前記複数の反射型レーザセンサ部を制御してレーザ光を発光させ、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部が遮光を検知し、前記複数の反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離であるときに、前記放射部が基準位置に配置されていると判定し、前記第1透過型レーザセンサ部又は前記第2透過型レーザセンサ部の少なくとも一方が透過を検知したとき、又は、前記複数の反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離でないときに、前記放射部が基準位置に配置されていないと判定するものである。
【0010】
請求項2の発明に係るアンテナ位置判定装置は、放射部、この放射部をアジマス方向及びエレベーション方向に回動させる回動部を有するアンテナの前記放射部が基準位置に配置されているかを判定するアンテナ位置判定装置であって、レーザ光を発光する第1発光器、この第1発光器に対向して配置され、前記第1発光器からのレーザ光を受光する第1受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第1透過型レーザセンサ部と、この第1透過型レーザセンサ部の光軸に対して平行方向にレーザ光を発光する第2発光器、この第2発光器に対向して配置され、前記第2発光器からのレーザ光を受光する第2受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第2透過型レーザセンサ部と、前記アンテナの位置を固定する固定治具と、この固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときに、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とのそれぞれのレーザ光が前記放射部によって遮光される位置に、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とを支持する透過型レーザセンサ支持部と、それぞれ前記放射部の外周上の三隅へレーザ光を照射し、そのレーザ光の反射光を受光して距離を導出する三つの反射型レーザセンサ部と、前記固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときの、前記三つの反射型レーザセンサ部が受光した前記放射部の外周上の三隅からの反射光より導出した距離を適正距離として記憶する制御部とを備え、前記制御部は、前記固定治具に前記アンテナが固定された後、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部並びに前記三つの反射型レーザセンサ部を制御してレーザ光を発光させ、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部が遮光を検知し、前記三つの反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離であるときに、前記放射部が基準位置に配置されていると判定し、前記第1透過型レーザセンサ部又は前記第2透過型レーザセンサ部の少なくとも一方が透過を検知したとき、又は、前記三つの反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離でないときに、前記放射部が基準位置に配置されていないと判定するものである。
【0011】
請求項3の発明に係るアンテナ位置判定装置は、放射部、この放射部をアジマス方向及びエレベーション方向に回動させる回動部を有するアンテナの前記放射部が基準位置に配置されているかを判定するアンテナ位置判定装置であって、レーザ光を発光する第1発光器、この第1発光器に対向して配置され、前記第1発光器からのレーザ光を受光する第1受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第1透過型レーザセンサ部と、この第1透過型レーザセンサ部の光軸に対して平行方向にレーザ光を発光する第2発光器、この第2発光器に対向して配置され、前記第2発光器からのレーザ光を受光する第2受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第2透過型レーザセンサ部と、前記アンテナの位置を固定する固定治具と、この固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときに、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とのそれぞれのレーザ光が前記放射部によって遮光される位置に、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とを支持する透過型レーザセンサ支持部と、それぞれ前記放射部の外周上の四隅へレーザ光を照射し、そのレーザ光の反射光を受光して距離を導出する四つの反射型レーザセンサ部と、前記固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときの、前記四つの反射型レーザセンサ部が受光した前記放射部の外周上の四隅からの反射光より導出した距離を適正距離として記憶する制御部とを備え、前記制御部は、前記固定治具に前記アンテナが固定された後、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部並びに前記四つの反射型レーザセンサ部を制御してレーザ光を発光させ、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部が遮光を検知し、前記四つの反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離であるときに、前記放射部が基準位置に配置されていると判定し、前記第1透過型レーザセンサ部又は前記第2透過型レーザセンサ部の少なくとも一方が透過を検知したとき、又は、前記四つの反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離でないときに、前記放射部が基準位置に配置されていないと判定するものである。
【0012】
請求項4の発明に係るアンテナ位置判定装置は、前記反射型レーザセンサ部が、反射光の強度から距離を導出する請求項1〜3のいずれかに記載のものである。
【0013】
請求項5の発明に係るアンテナ位置判定装置は、前記制御部が、前記アンテナと接続され、前記回動部を制御して、前記放射部が基準位置に配置されていないと判定したときに、前記放射部を回動させる請求項1〜4のいずれかに記載のものである。
【0014】
請求項6の発明に係るアンテナ位置判定装置は、前記透過型レーザセンサ支持部が、光軸が前記アンテナのアジマス方向に対して平行であるレーザ光を前記第1発光器及び前記第2発光器が発光する位置に前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とを支持する請求項1〜5のいずれかに記載のものである。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、請求項1〜3に係る発明によれば、反射型と透過型の2種類の固定されたレーザセンサを組み合わせて、アンテナの放射部の位置が最適範囲(基準位置)内に入っているかを判定することで、複雑な機構構造や測定器内での大きなデータ容量の位置データ(測定データ)のやりとりや、制御部(汎用PC)での複雑な計算処理が不要となり、簡易な構成でアンテナの放射部の位置判定を行うことができるという効果を奏するアンテナ位置判定装置を得ることができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、請求項1〜3の効果に加えて、反射型のレーザセンサの構成をさらに簡易なものとすることができるという効果を奏するアンテナ位置判定装置を得ることができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、請求項1〜4の効果に加えて、制御部がアンテナの回動部と接続され、制御することが可能であるので、アンテナの放射部の位置を判定した後に、アンテナの放射部の位置を調整する制御へ繋げることが容易であるという効果を奏するアンテナ位置判定装置を得ることができる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、透過型のレーザセンサの光軸がアンテナのアジマス方向に対して平行であるので、アンテナの位置(放射部7の位置)を検出する際の精度を上げることができるという効果を奏するアンテナ位置判定装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置の構成図(測定対象なし)である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置の構成図(測定対象あり)である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置により基準位置を判定する対象のアンテナの構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置により基準位置を判定する対象のアンテナの構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置により基準位置を判定する対象のアンテナの構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置により基準位置を判定する対象のアンテナの放射部(基板)の模式図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置による放射部の位置判定及び位置調整を行う判定(測定)方法のフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置による放射部の位置判定及び位置調整を行う判定(測定)方法のフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態2に係るアンテナ位置判定装置により基準位置を判定する対象のアンテナの構成図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係るアンテナ位置判定装置により基準位置を判定する対象のアンテナの放射部(放物曲面部)の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜7を用いて説明する。図3は基板の裏面から見たアンテナの構成図、図4は基板の表面から見たアンテナの構成図、図5は図3及び図4に記載の矢印Aの方向から見た(基板の側面から見た)アンテナの構成図、図6(a)は実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置が四つの反射型レーザセンサ部を有する場合の基準位置を判定する対象のアンテナの放射部(基板)の模式図、図6(b)は実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置が二つの反射型レーザセンサ部を有する場合の基準位置を判定する対象のアンテナの放射部(基板)の模式図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0021】
図1〜7において、1はレーザ光を発光する第1発光器、2は第1発光器1に対向して配置され、第1発光器1からのレーザ光を受光する第1受光器、3は第1発光器1及び第1受光器2から構成され、第1発光器1から送出されるレーザ光が第1受光器2により受光されたか又は遮光されかを検知することにより、第1発光器1と第1受光器2との間に伝播するレーザ光を遮る物体の有無を検出する第1透過型レーザセンサ部、4は第1透過型レーザセンサ部3の光軸に対して平行方向にレーザ光を発光する第2発光器、5は第2発光器4に対向して配置され、第2発光器4からのレーザ光を受光する第2受光器、6は第2発光器4及び第2受光器5から構成され、第2発光器4から送出されるレーザ光が第2受光器5により受光されたか又は遮光されかを検知することにより、第2発光器4と第2受光器5との間に伝播するレーザ光を遮る物体の有無を検出する第2透過型レーザセンサ部である。なお、第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6は、説明の簡略化のために透過型センサと称する場合がある。
【0022】
図1〜7において、7は測定(判定)対象であるワークとしてのアンテナを構成する矩形の平板状の基板であり、放射部を構成するものである。詳しくは、基板7の一方の面(表面)には導電性のパッチ導体パターンが形成され、基板7の他方の面(裏面)には導電性接地導体パターンが形成されている。つまり、基板7に形成された導体は、一般的なパッチアンテナ(マイクロストリップアンテナ)である。このパッチアンテナへの給電部分に関する説明と図示は省略する。8は基板7(放射部7)の他方の面(裏面)側に形成され、アンテナの放射部7をアジマス(方位角)方向及びエレベーション(仰角)方向に回動させる機構を有する回動部であり、回動部8自身がアジマス軸及びエレベーション軸を有するアンテナの放射部7の保持部としての機能も有する。9は放射部7との間に回動部8を介在させて、放射部7と回動部8とを支持する支持部であり、支持部9は、基板7を構成する四辺のうち、上辺と下辺の主たる直線部分が水平面内に保持するように基板7を支持するものである(一般的に、正規の取り付け方である)。また、支持部9は回動部8のアジマス軸と直交する平面かつ水平面に存在する平板状の円形のものとする。10はアンテナの位置を固定する固定治具であり、固定治具11がアンテナを載置する面は水平面であるとする。11は固定治具10上に形成され、支持部9の放射部7及び回動部8を支持する側と反対側に形成された孔部(図示省略)に嵌合することで、固定治具11にアンテナを固定する複数の位置決めピンである。位置決めピン11(固定治具10)と支持部9の孔部との少なくともいずれか一方に、位置決めピン11と支持部9の孔部との嵌合(位置決めピン11の支持部9の孔部への挿入)を検知するセンサ(挿入検知センサ)を設けてもよい。挿入検知センサには、例えば、固定治具11又は位置決めピン11或いは支持部9上にアンテナの支持部9と位置決めピン11(固定治具10)とが接触する位置にシート状の感圧センサを配置することが考えられる。感圧センサは抵抗値の変化により圧力を感知する単純な構成のものでよい。
【0023】
図1〜7において、12は固定治具10にアンテナが固定され、放射部7が基準位置(理想的な位置を包含する所定の範囲)にあるときに、第1透過型レーザセンサ部3と第2透過型レーザセンサ部6とのそれぞれのレーザ光が放射部7によって遮光される位置に、第1透過型レーザセンサ部3と第2透過型レーザセンサ部6とを支持する透過型レーザセンサ支持部であり、図示するように、第1発光器1、第1受光器、第2発光器4、第2発光器5ごとに設けられた四つの透過型レーザセンサ支持部12は、固定治具10上に形成してもよい。この場合、透過型レーザセンサ支持部12と固定治具10とを合わせて、透過型レーザセンサ支持部であると解釈してもよい。また、透過型レーザセンサ支持部12は、アンテナ(基板7(放射部7))の変更に伴って、第1発光器1、第1受光器、第2発光器4、第2発光器5を保持する位置を変更できるものとする。さらに、アンテナの基板7(放射部7)は、支持部9により、上辺と下辺の主たる直線部分が水平面内に保持するように基板7を支持され、かつ、回動部8によりエレベーション方向に回動するものであるから、透過型レーザセンサ支持部12は、光軸がアンテナのアジマス方向に対して平行であるレーザ光を第1発光器1及び第2発光器4がそれぞれ発光する位置に第1透過型レーザセンサ部3と第2透過型レーザセンサ部6とを支持することで、第1発光器1及び第2発光器4がそれぞれ発光するレーザ光の光軸と基板7の上辺と下辺の主たる直線部分とが平行となるので、アンテナの位置(放射部7の位置)を検出する際の精度を上げることができる。なお、実施の形態2において説明するアンテナの放射部は円形であるので、透過型レーザセンサ支持部12は、光軸がアンテナのアジマス方向に対して平行であるレーザ光を第1発光器1及び第2発光器4がそれぞれ発光する位置に第1透過型レーザセンサ部3と第2透過型レーザセンサ部6とを支持するだけよい。
【0024】
図1〜7において、13はそれぞれの発光部から基板(放射部)7へレーザ光を照射し、そのレーザ光の反射光をそれぞれの受光部で受光して距離を導出する四つの反射型レーザセンサ部であり、区別のために、反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13dと称する場合や図示する場合がある。反射型レーザセンサ部13は、レーザ距離計のように照射(送信)したレーザ光が対象に反射して戻って来るまでの時間から、対象までの距離を導出(算出)するものでもよいし、ON−OFFセンサのように、反射光の強度から距離を導出(算出)するものでもよい。本願では、反射型レーザセンサ部13がON−OFFセンサである場合を例に説明を進める。なお、反射型レーザセンサ部13は、説明の簡略化のために反射型センサと称する場合がある。14はアンテナの支持部9に形成された孔部に固定治具11に形成された位置決めピン12を嵌合され、つまり、固定治具13にアンテナが固定され、放射部7が基準位置(理想的な位置を包含する所定の範囲)にあるときの四つの反射型レーザセンサ部13が基板7の外周上の四隅からの反射光より導出した距離を適正距離(理想的な位置を包含する所定の範囲)として記憶する制御部である。また、制御部14はプログラマブルロジックコントローラ(Programmable_Logic_Controller:PLC)で構成され、第1透過型レーザセンサ3、第1透過型レーザセンサ6、反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13dとそれぞれ制御線で接続され、第1透過型レーザセンサ3、第1透過型レーザセンサ6、反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13dによる処理を、必要に応じて、順次行ったり、繰り返し行ったりするシーケンス制御を行う。
【0025】
図1〜7において、15は制御部14自体の動作の制御や制御部14の監視を行う処理や制御部14が得た情報を取得する処理などの支配的な処理を行う汎用PCであり、汎用PC15は、ディスプレイなどの表示部を有し、キーボートやマウスを用いて操作する一般的なものでもよいし、ワークステーションのようなものでもよいが、本願では、便宜上、汎用PC15と称する。汎用PC15による制御部14に対する前述のような支配的な処理は、汎用PC15に組み込まれたソフトウェアにより実行することができる。このような理由から、制御部14(PLC14)と汎用PC15との二つで制御部が構成されていると解釈してもよい。また、制御部14(PLC14)を用いずに、汎用PC15に制御部14(PLC14)の機能を持たせてもよい。この場合は、汎用PC15が制御部を構成していると解釈できる。16は制御部14と汎用PCと接続する制御線である。
【0026】
図1〜7において、17は基板7(放射部7)が基準位置(理想的な位置を包含する所定の範囲)にあるときに、四つの反射型レーザセンサ部13である反射型レーザセンサ部13a、反射型レーザセンサ部13b、反射型レーザセンサ部13c、反射型レーザセンサ部13dが基板7の外周上の四隅からの反射光より導出した距離が、それぞれ適正距離(理想的な位置を包含する所定の範囲)となる位置に、反射型レーザセンサ部13a、反射型レーザセンサ部13b、反射型レーザセンサ部13c、反射型レーザセンサ部13dを支持する反射型レーザセンサ支持部であり、反射型レーザセンサ支持部17は図示するように、天板状の本体から反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13dをそれぞれ吊るす形状でもなくてもよい。また、反射型レーザセンサ支持部17は、天板状の部部材と吊るし部材とが別部材で、吊るし部材のみを反射型レーザセンサ支持部と解釈してもよい。
【0027】
さらに、反射型レーザセンサ支持部17は、アンテナ(基板7(放射部7))の変更に伴って、反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13dを保持する位置を変更できるものとする。18はアンテナ(支持部9)と制御部14(PLC14)と接続するアンテナ制御線であり、制御部14(PLC14)又は汎用PC15は、アンテナ制御線18を介してアンテナの回動部8を制御する。アンテナの回動部8は、制御部14(PLC14)又は汎用PC15に制御され、第1回動部(AZ回動部)8aが内蔵されたモータ(AZモータ)を駆動して歯車の噛み合わせによりアジマス(AZ)方向に回動させ、第2回動部(EL回動部)8bが内蔵されたモータ(ELモータ)を駆動して歯車の噛み合わせによりエレベーション(EL)方向に回動させる。18aはアンテナ制御線18とアンテナとを接続する接続端子である。
【0028】
次に動作について説明する。文中に現れるS○○とは、図2に示す処理ステップを表している。例えば、S71とはステップ71である。実施の形態1に係るアンテナ位置測定装置における制御部14(汎用PC15)は、次のような判定を行う。固定治具10にアンテナが固定された後(S71の後、つまり、図1に記載のアンテナ位置測定装置状態から図2に記載のアンテナ位置測定装置状態にセットした後)、接続端子18aをアンテナの支持部9へ差し込み、制御部14とアンテナとをアンテナ制御線18により接続する(S72)。汎用PC15の測定開始ボタンに設定されたキーボードのボタンを押す(S73)。このボタンの押下をトリガに、制御部14(汎用PC15)は、アンテナの回動部8を制御して、第1回動部(AZ回動部)8a及び第2回動部(EL回動部)8bを駆動させて、アンテナの放射部7をアジマス方向及びエレベーション方向において、それぞれ予め設定されたアンテナの放射部7(基板7)の基準位置(ゼロ点)に配置させる(S74)。図3〜5を参照すると、第1回動部(AZ回動部)8a及び第2回動部(EL回動部)8bの詳細が分かる。図3〜5に記載の点線による両端矢印は、回動可能な方向を模式的に示したものである。
【0029】
なお、ここでいう予め設定された基準位置(ゼロ点)とは、アンテナの回動部8と介して形成されたアンテナの放射部7(基板7)とアンテナの支持部9との位置関係から決定される位置関係であるので、回動部8の回動動作などの機能面に問題なくとも、アンテナの放射部7(基板7)とアンテナの支持部9との配置が理想的なもの(規定の範囲)からずれている場合があり、この場合、制御部14(汎用PC15)が、アンテナの放射部7(基板7)の基準位置(ゼロ点)に配置する制御をアンテナの回動部8に行わせても、基準位置(ゼロ点)の理想的な位置を包含する所定の範囲から外れてしまう。本願は、このような位置ずれが生じているかどうかを判定するものであるアンテナ位置測定装置に関する。換言すると、本願は、回動部8のAZモータ及びELモータの実角度が規定の範囲内かを判定するものである。以下、ステップ75(S75)を具体的に説明する。このステップ75の終了後に、実施の形態1に係るアンテナ配置判定装置からアンテナを取り外す(S76)。
【0030】
アンテナの回動部8を制御した後、制御部14(汎用PC15)は、第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6並びに四つの反射型レーザセンサ部13(反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13d)を制御してレーザ光を発光させ、以下の二つの判定を行う。放射部7(基板7)が基準位置に配置されていると判定する場合と放射部7(基板7)が基準位置に配置されていないと判定する場合である。放射部7(基板7)が基準位置に配置されていると判定する場合は、第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6が遮光を検知し、四つの反射型レーザセンサ部13が導出した距離が適正距離である場合であり、放射部7(基板7)が基準位置に配置されていないと判定する場合は、第1透過型レーザセンサ部3又は第2透過型レーザセンサ部6の少なくとも一方が透過を検知したとき、又は、四つの反射型レーザセンサ部13が導出した距離が適正距離でないときに、放射部7(基板7)が基準位置に配置されていない場合である。
【0031】
図2は、第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6のレーザ光が基板7により遮光されており、第1発光器1からのレーザ光が第1受光器2に届いておらず、第2発光器4からのレーザ光が第2受光器5に届いていない状態であることを矢印(実線)と矢印(点線)とで模式的に示している。同じく、図2は四つの反射型レーザセンサ部13(反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13d)はレーザ光をそれぞれ基板7の隅に送信して、その反射光を受信している状態を実線の両端矢印で模式的に示している。
【0032】
詳細動作として、制御部14(PLC14)は、反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13dを制御して、基板7の主にアジマス方向の位置を測定する。反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13dの測定結果が、制御部14(PLC14)に送られて、「基板7と反射型レーザセンサ部13との距離が「近いか/最適範囲か/遠いか」を判定する。反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13dから送られてきたそれぞれの測定結果を受けて、制御部14(PLC14)が「最適範囲」と判定した場合は、適正距離となる。また、反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13dから送られてきたそれぞれの測定結果を受けて、制御部14(PLC14)が「近いか」又は「遠いか」と判定した場合は、適正距離でないとなる。
【0033】
なお、反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13dに、ON−OFFセンサを用いずに、レーザ距離計を用いた場合でも、反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13dが正確な距離の数値を計測することになるが、図6(a)に示すように、基板7(放射部7)の四隅、つまり、四点だけを計測するので、処理負荷や通信の負荷は低減することができる。さらに、正確な距離の数値を制御部14(PLC14)にて、基板7と反射型レーザセンサ部13との距離が「近いか/最適範囲か/遠いか」の三つのグループに振り分けて以後の処理を進めることで、制御部14(PLC14)や汎用PC15の処理負荷や通信の負荷をさらに低減することができる。
【0034】
また、詳細動作として、制御部14(PLC14)は、第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6を制御して、基板7の主にエレベーション方向の位置を測定する。第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6の測定結果が、制御部14(PLC14)に送られて、基板7の位置によりレーザ光が「遮光されたか/透過したか」を判定する。第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6から送られてきた各測定結果を受けて、制御部14(PLC14)が「遮光されたか」と判定した場合は、適正位置となる。第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6から送られてきた各測定結果を受けて、制御部14(PLC14)が「遮光」と判定した場合は、適正距離となる。第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6から送られてきた各測定結果を受けて、制御部14(PLC14)が「透過」と判定した場合は、適正距離でないとなる。
【0035】
このような測定結果が、汎用PC15の表示部に表示され、必要に応じて位置調整(位置補正)と再測定が行われる。つまり、制御部14が、アンテナの回動部8を制御して、基板7(放射部7)が基準位置に配置されていないと判定したときに、基板7(放射部7)を回動させて、再度、第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6並びに四つの反射型レーザセンサ部13(反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13d)を制御してレーザ光を発光させ、前述の二つの判定を行う。「最適範囲」と判定すれば調整・測定は終了する。また、調整回数があらかじめ設定している上限回数を越えた場合に、調整・測定は終了するようにしてもよい。この場合は、「ERROR」判定と同じく、基板7の四隅が全て上方向又は下方向に反っている等の部品不具合が生じている可能性がある。
【0036】
上記の実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置によるアンテナ(基板又は放射部)位置の調整方法の詳細を説明する。実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置が有する6つのセンサ(第1透過型レーザセンサ部3、第2透過型レーザセンサ部6、四つの反射型レーザセンサ部13)の測定結果は、距離の絶対値ではなく最適範囲内にあったか否かの「ON/OFF」の結果を含むものである。このため、アンテナの基板7の平面に対して縦方向に固定された四つの反射型レーザセンサ部13の結果だけで最適範囲に対してどのような位置にアンテナ基板があるのか判断することは可能だが、最適範囲外にあった場合にどの方向にどのくらい位置調整(位置補正)を行うことが最良の調整方法になるか判断ができないので、以下の手法が考えられる。
【0037】
まず、基板7(放射部7)の位置ずれが、微小であることを前提とした場合により好適な例を説明する。換言すると、位置ずれ量が反射型センサ及び透過型センサの測定結果から容易に分からない場合である。制御部14(PLC14)又は汎用PC15により、第1回動部(AZ回動部)8aと第2回動部(EL回動部)8bを少しずつ回動させて、その都度、第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6並びに四つの反射型レーザセンサ部13(反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13d)を制御してレーザ光を発光させ、前述の二つの判定を行ってもよい。これは、第1回動部8aと第2回動部8bとを別々に回動させることも含むものとする。例えば、「第1回動部8aを時計回りに(右に)1°回動させて、前述の二つの判定を行い、「最適範囲」と判定されなければ、第2回動部8bを上方向1°回動させて、前述の二つの判定を行う」、「第1回動部8aを時計回りに(右に)1°回動させて、前述の二つの判定を行い、「最適範囲」と判定されなければ、第1回動部8aを反時計回りに(左に)2°回動させて、前述の二つの判定を行う」、「第2回動部8bを上方向に1°回動させて、前述の二つの判定を行い、「最適範囲」と判定されなければ、第2回動部8bを下方向2°回動させて、前述の二つの判定を行う」などや、これらの組み合わせが考えられる。第1回動部8a及び第2回動部8bを回動させる単位は、前述の度[°]だけでなく、分[′]、秒[″]、ラジアン[rad]などでもよい。
【0038】
次に、基板7(放射部7)の位置ずれが、微小でないこともあり得る場合により好適な例を説明する。換言すると、位置ずれ量が反射型センサ及び透過型センサの測定結果から容易に分かる可能性がある場合である。これは、アンテナの基板7の平面に対して縦方向に固定された四つの反射型レーザセンサ部13の結果に、アンテナの基板7の平面に対して横方向に固定された第1透過型レーザセンサ部3及び第2透過型レーザセンサ部6の2つのセンサの結果も加えて、アンテナの基板7の位置をより詳細に捉え、適切な位置調整(位置補正)を行うことを可能にするものである。なお、実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置は、位置判定のみを行うものでよいし、位置判定と位置調整(位置補正)との両方を行うものでもよい。このような位置判定と位置調整(位置補正)との両方を行う場合は、本願に係る「アンテナ位置判定装置」は、「アンテナ位置調整装置」ともいえる。
【0039】
基板7(放射部7)の位置ずれが、微小でないこともあり得る場合の実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置における位置判定及び位置調整の動作を図8のフローチャートを用いて説明する。図8に記載のフローチャートは、図7に記載のフローチャートに記載のS75の詳細である。図8(a)はアンテナの放射部7(基板7)の位置を反射型センサと透過型センサで同時に測定し、「OK/NG」判定を行う判定(測定)方法のフローチャートである。図8(b)はアンテナの放射部7(基板7)の位置を透過型センサから反射型センサの順で測定し、「OK/NG」判定を行う判定(測定)方法のフローチャートである。図8(c)はアンテナの放射部7(基板7)の位置を先に反射型センサで測定し、「OK/NG」判定を行う判定(測定)方法のフローチャートである。これら3種の測定動作の違いは、制御部14(PLC14)にてプログラミングされているものであり、どの測定動作を実行するかは汎用PC15から指示によって決められる。
【0040】
まず、図8(a)に記載の処理フローを説明する。制御部14(PLC14)は、反射型センサ及び透過型センサを同時に動作させてレーザ光を放射部7(基板7)へ照射して位置を測定する(S11)。この情報(測定結果)を制御部14(PLC14)は、汎用PC15へ制御線16を介して送信する(S12)。なお、反射型センサ及び透過型センサを同時に動作させる場合でも、必ずしも各反射型センサと各透過型センサとから同時にレーザ光が発光するとは限らない。つまり、制御部14(PLC14)が各反射型センサ(反射型レーザセンサ部13a、13b、13c、13d)と各透過型センサ(第1透過型レーザセンサ部3、第2透過型レーザセンサ部6)との情報(測定結果)をまとめて汎用PC15に送信できればよい(S12)。また、まとめて送信できなくとも、図8(b)に記載のフローチャートように、後述のS13(図8(a)及び図8(b)共通、S13以降の処理も図8(a)及び図8(b)は共通)の処理を汎用PC15が行う前に順次送信すればよい。
【0041】
ここで、図8(b)に記載のS21〜S24の説明を行う。制御部14(PLC14)は、透過型センサを動作させてレーザ光を放射部7(基板7)へ照射して位置を測定する(S21)。この情報(測定結果)を制御部14(PLC14)は、汎用PC15へ制御線16を介して送信する(S22)。制御部14(PLC14)は、反射型センサを動作させてレーザ光を放射部7(基板7)へ照射して位置を測定する(S23)。この情報(測定結果)を制御部14(PLC14)は、汎用PC15へ制御線16を介して送信する(S24)。S21及びS22とS23及びS24とは順序が逆転してもよい。つまり、先に。反射型センサを動作させてレーザ光を放射部7(基板7)へ照射してもよい。
【0042】
汎用PC15に送られた情報(測定結果)は、反射型センサ(反射型レーザセンサ部13a〜13d)による測定結果が「近い/最適範囲/遠い」の3パターン、透過型センサ(第1透過型レーザセンサ部3、第2透過型レーザセンサ部6)による測定結果が「遮光/透過」の2パターンがあり、それらの組み合わせが324通りの結果の組み合わせパターンには、予め「OK/NG/ERROR」判定と調整方向が設定され、テーブルとして汎用PC15に記憶されている。汎用PC15では、汎用PC15へ送られた各反射型センサ及び透過型センサの測定結果に対応する組み合わせパターンを選択し、放射部7(基板7)の位置が最適範囲に入っているか否かを判断し、「OK/NG/ERROR」判定をする(S13)。この判定は、回動部8のAZモータ及びELモータの実角度が規定の範囲内かを判定するものといえる。この判定が「OK」である場合は、S14に進み、汎用PC15の表示部に「OK」結果を表示して放射部7(基板7)の位置が基準位置に入っていることを報知する。その後、図7に示すS76へ進み。
【0043】
汎用PC15による判定が「OK」である場合とは、例えば、反射型レーザセンサ部13a〜13dの4つの測定結果が全て「最適範囲」で、第1透過型レーザセンサ部3と第2透過型レーザセンサ部6との測定結果が、両方とも「遮光」だった場合が考えられ、この場合はアンテナの放射部7(基板7)がアジマス方向及びエレベーション方向の角度がともに、最適範囲内に入っていると判断できるので「OK」判定とする。これ以外の結果の組み合わせだった場合は「NG」か「ERROR」の判定となる。「ERROR」となる場合とは、例えば、測定結果のうち、反射型レーザセンサ部13a〜13dが全て「近い」だった場合は、第1透過型レーザセンサ部3と第2透過型レーザセンサ部6との測定結果に関わらず「ERROR」判定となる。これは、アンテナの放射部7(基板7)が正しい状態なら基板7の測定点が全て「近い」になることは、アンテナの放射部7(基板7)がエレベーション方向に回動するものであることから、理論上ありえないので、アンテナ組立時に基板7の位置を間違えて組み付けた等の作業ミスや、基板7の四隅が全て上方向に反っている等の部品不具合が考えられるためである。
【0044】
また、「ERROR」判定が出たの場合は、調整作業が中断される。図8(図8(a))に記載のフローチャートには、「ERROR」の場合の処理ステップは記載していないが、S13からS14及びS15のいずれの処理ステップにも進まずに、「ERROR」である旨を報知するものであればよい。具体的には、汎用PC15の表示部に「ERROR」結果を表示して放射部7(基板7)の位置が基準位置に入っていないだけでなく、作業ミスや部品の不具合の可能性があることを報知する。この報知に基づいて、制御部14(PLC14)は、アンテナ位置判定装置からアンテナが取り外され、再度、取り付けられるまでは、汎用PC15から如何なる指示が来ようとも、透過型センサ及び反射型センサを休止状態にするようにすることで、作業がスムーズに進む。アンテナ位置判定装置からのアンテナの取り外しやアンテナ位置判定装置へのアンテナの取り付けは、アンテナを固定する位置決めピン11をアンテナの支持部9の孔部へ挿入したことが分かる挿入検知センサ(感圧センサなど)を固定治具11又は位置決めピン11或いは支持部9に設け、その挿入検知センサを制御部14に接続することで実行でき、アンテナが取り付けられた状態又はアンテナが取り付けられていない状態で、常に挿入検知センサから信号を制御部14へ送る形式を採ってもよいし、アンテナが取り付けられたときごとやアンテナが取り外されたときごとに、挿入検知センサから制御部14へ信号を送る形式を採ってもよい。もちろん、必要なときに(「ERROR」判定が出たときに)、制御部14が挿入検知センサへアンテナの取り付け・取り外しの有無を確認するようにしてもよい。
【0045】
次に、「NG」判定が出た場合は、制御部14より位置補正指令を受けて位置調整(位置補正)を行い(S15)、その後に、再度アンテナ位置を測定し、「OK/NG/ERROR」判定を行う。なお、「NG」判定が出た場合でも、「ERROR」判定の場合やS14のように、汎用PC15の表示部に「NG」結果を表示して放射部7(基板7)の位置が基準位置に入っていないことを報知してもよい。また、この報知してから、位置補正の要否を外部からの入力により決定させるようにしてもよい。具体的には、「NG」結果を汎用PC15の表示部に表示させたあとに、汎用PC15を操作する操作者へ位置補正の要否を汎用PC15のキーボードやマウスを使って入力を促すような表示を汎用PC15の表示部に表示させればよい。このとき、位置補正の否との入力があった場合は、制御部14(PLC14)は、アンテナ位置判定装置からアンテナが取り外され、再度、取り付けられるまでは、汎用PC15から如何なる指示が来ようとも、透過型センサ及び反射型センサを休止状態にするようにすることで、作業がスムーズに進む。具体的な処理は、「ERROR」判定の報知の処理で説明したものと同様であり、挿入検知センサなどを用いて実行すればよい。このとき、位置補正の要との入力があった場合は、S15を実行する。汎用PC15から制御部14へ位置補正指令を行い、制御部14が回動部8を回動させて位置調整(位置補正)を行ってから、S11へ戻り、S11以降の処理を前述のとおり行う。
【0046】
なお、「NG」判定だった場合とは、例えば、反射型レーザセンサ部13c、反射型レーザセンサ部13dが「近い」、反射型レーザセンサ部13a、反射型レーザセンサ部13bが「遠い」で、第1透過型レーザセンサ部3、第2透過レーザセンサ部6が両方とも「遮光」だった場合が考えられる。この場合は、基板7の平面が最適範囲よりも下を向いている(基板7の仰角(エレベーション方向の角度)が小さい状態)であると判断できる。これを最適範囲に補正するには基板7の平面を上に向ける(仰角を大きくする)必要があるため、汎用PC15から制御部14を介した回動部8への調整指示としては基板7の表面を「上に向ける」となる。具体的には、第2回動部8bを駆動させることになる。回動部8の回動に関する動作は、基板7(放射部7)の位置ずれが、微小であることを前提とした場合で説明したものと同様である。
【0047】
他にも、「NG」判定だった場合とは、例えば、測定結果が反射型レーザセンサ部13a、反射型レーザセンサ部13dが「近い」、反射型レーザセンサ部13b、反射型レーザセンサ部13dが「遠い」で、第1透過型レーザセンサ部3、第2透過レーザセンサ部6が両方とも「遮光」だった場合が考えられる。この場合は、基板7の表面が最適範囲よりも左を向いている状態であると判断できる。これを最適範囲に補正するには基板7の平面を「右に向ける」必要があるため、汎用PC15から制御部14を介した回動部8への調整指示としては基板7の表面を「右に向ける」となる。具体的には、第1回動部8aを駆動させることになる。また、何度調整(S11→S12→S13→S16)を繰り返しても「OK」判定にならない場合も考えられる。この場合は前述の「ERROR」判定と同じ判定を下してもよい。
【0048】
このように、実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置では、「どの方向に調整するか」は、測定結果の組み合わせから判断できる。また「どのくらい調整するか」については一回分の調整量を予めあらかじめ決めておき、調整・測定を何度か繰り返すことで最適範囲へアンテナの放射部7(基板7)を導く。(S16→S11)また、前述のように、予め調整回数に上限を設けておけば、上限回数を越えた場合にも調整作業は中断される。この場合は、「ERROR」判定と同じく、基板7の四隅が全て上方向又は下方向に反っている等の部品不具合が生じている可能性がある。
【0049】
次に、図8(c)に記載の処理フローを説明する。図8(a)(b)に記載の処理フローでは、反射型センサ及び透過型センサの測定結果を併用して処理したが、透過型センサはエレベーション方向の基板7の位置ずれに対しての検出能力は放射部7の厚みに左右されやすく、検出能力は若干低い。アジマス方法の基板7の位置ずれに対しても検出能力は若干低い。これは、実施の形態2に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)で説明するアンテナの放射部がパラボラ(放物曲面部)である場合は顕著となる。図8(c)に記載の処理フローは、まず、反射型センサの測定により、基板7の位置ずれを検出して、位置ずれがある場合、その後の基板7の位置調整(位置補正)に透過型センサの測定結果を反映させるものである。この場合は、図8(a)(b)に記載の処理フローとは異なり、最初に処理する事項は、汎用PC15に送られた情報(測定結果)は、反射型センサ(反射型レーザセンサ部13a〜13d)による測定結果が「近い/最適範囲/遠い」の3パターンであるので、それらの組み合わせが81通りの結果の組み合わせパターンとなるので、測定結果のデータ量が減るだけでなく、対応する組み合わせパターンの検索量も四分の一となる。
【0050】
図8(c)に記載の処理フローにおいて、制御部14(PLC14)は、反射型センサを動作させてレーザ光を放射部7(基板7)へ照射して位置を測定する(S31)。この情報(測定結果)を制御部14(PLC14)は、汎用PC15へ制御線16を介して送信する(S32)。汎用PC15に送られた情報(測定結果)は、前述のとおり、反射型センサ(反射型レーザセンサ部13a〜13d)による測定結果が「近い/最適範囲/遠い」の3パターンあり、都合81通りの結果の組み合わせパターンには、予め「OK/NG/ERROR」判定と調整方向が設定され、テーブルとして汎用PC15に記憶されている。汎用PC15では、汎用PC15へ送られた各反射型センサの測定結果に対応する組み合わせパターンを選択し、放射部7(基板7)の位置が最適範囲に入っているか否かを判断し、「OK/NG/ERROR」判定をする(S33)。「OK」判定の場合のS34は、透過型センサの測定結果が得られていないことを除き、図8(a)(b)におけるS14と同じであるので、説明は省略する。同じく、「OK」判定の場合も、透過型センサの測定結果が得られていないことを除き、図8(a)(b)に記載の処理フローにおいて説明した事項と同じであるので、説明は省略する。
【0051】
S33にて、「NG」判定とされた場合は、エレベーション方向の基板7の位置ずれもないかを判定するために、制御部14(PLC14)は、透過型センサを動作させてレーザ光を放射部7(基板7)へ照射して位置を測定する(S35)。この情報(測定結果)を制御部14(PLC14)は、汎用PC15へ制御線16を介して送信(S36)した後に、S37を行ってS31へ戻る。ここで、S37での処理は、図8(a)(b)におけるS15と同じであるので、説明は省略する。
【0052】
実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)は、反射型センサ(反射型レーザセンサ部13)を四つ用意し、それらのレーザ光を基板7の隅部(四隅)に照射する場合(図6(a)に記載の模式図)を例に説明を行ってきたが、四隅が全て上方向又は下方向に反っている等の部品不具合がない基板7を用いる場合は、実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)は、外周上の三隅又は二隅へレーザ光を照射するように、反射型センサ(反射型レーザセンサ部13)を三つ又は二つ有するものを用いてもよい。また、外周上の隅部ではなく、外周上の任意の三点又は二点へレーザ光を照射するように、反射型センサ(反射型レーザセンサ部13)を三つ又は二つ有するものを用いてもよい。これらの場合も、反射型レーザセンサ支持部17を用いることで、それぞれ反射型レーザセンサ部13を配置することは容易である。その他の処理は実施の形態1において同じである。
【0053】
さらに、実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)が、基板7が平面上に、うねりやたわみが無いものを判定・測定対象(調整対象)とする場合は、基板7(放射部7)の平面上の任意の点に複数の反射型センサによるレーザ光を照射する(図6(b)に記載の模式図)構成としてもよい。この場合も、他の実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)と同様に、汎用PC15は、固定治具10にアンテナが固定され、放射部7(基板7)が基準位置にあるときの複数の反射型レーザセンサ部13が受光した放射部7(基板7)からの反射光より導出した距離を適正距離として記憶しておればよい。なお、複数の反射型レーザセンサ部13(反射型センサ)は、放射部7(基板7)へレーザ光を照射し、そのレーザ光の反射光を受光して距離を導出するものであり、反射型レーザセンサ支持部17を用いることで、複数の反射型レーザセンサ部13を配置することは容易である。その他の処理は実施の形態1において同じである。但し、基板7(放射部7)の平面上の任意の点が、パッチ導体パターンがある点とそうでない点との両方が混在している場合は、パッチ導体パターンが銅箔などの金属薄膜で形成されていることから、反射率が大きく異なる場合があるが、その場合、反射型レーザセンサ部13には、ON−OFFセンサのように、反射光の強度から距離を導出(算出)するものよりも、レーザ距離計のように照射(送信)したレーザ光が対象に反射して戻って来るまでの時間から、対象までの距離を導出(算出)するものの方が好適といえる。
【0054】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図9及び10を用いて説明する。実施の形態1では、位置ずれを判定(測定)する対象のアンテナの放射部が平板状の基板7である場合を説明したが、本願に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)は、アンテナの放射部がパラボラ(放物曲面部)のパラボラアンテナ(凹型アンテナ)にも適用可能なものであることを実施の形態2で説明する。図9は実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)の説明で用いた図5に対応するものであり、放射部(放物曲面部)の側面から見たアンテナの構成図である。図3及び図4に対応する図面は省略する。図10(a)は実施の形態2に係るアンテナ位置判定装置が四つの反射型レーザセンサ部を有する場合の基準位置を判定する対象のアンテナの放射部(放物曲面部)の模式図、図10(b)は実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置が三つの反射型レーザセンサ部を有する場合の基準位置を判定する対象のアンテナの放射部(放物曲面部)の模式図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0055】
図9及び10において、19は測定(判定)対象であるワークとしてのアンテナを構成する放物部であり、放射部19は、中央部に向かって窪んだ円形(円板状)の放物曲面部19aとホーンアンテナ19bとから構成される。ホーンアンテナ19bは一次放射器であり、放物曲面部19aは二次放射器である。詳しくは、放物曲面部19aの一方の面(表面)には一次放射器であるホーンアンテナ19bがホーンアンテナ支持器19cを介して形成され、放物曲面部19aの他方の面(裏面)には回動部8が形成されている。ホーンアンテナ支持器19cは、図9及び10に記載のように、放物曲面部19aと接続されたものでもよいし、放物曲面部19aと接続されていないものでもよい。一般的なパラボラアンテナである。このパラボラアンテナへの給電部分に関する説明と図示は省略する。なお、図9では、放物曲面部19aの他方の面(裏面)に形成された回動部8は第1回動部8aのみ図示しているが、第2回動部8bは見る方向の影響で隠れているだけである。さらに、実施の形態2に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)の測定(判定)対象は、詳しくは、放物曲面部19aの二次放射器である。つまり、実施の形態2における放物曲面部19aは、実施の形態1における放射部7(基板7)に相当する。
【0056】
実施の形態2に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)の動作は、図7及び8を用いて説明したものと同様であるので詳細の説明は省略する。つまり、射部19を有するアンテナを図1に記載のアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)の固定治具10の位置決めピン11に固定し、その後の動作は、実施の形態1に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)と同様である。
【0057】
しかし、四つの反射型レーザセンサ部13a〜13dによる放物曲面部19aへのレーザ光の照射箇所は、図10(a)に記載のように、放物部19の四隅(隅部)、換言すると、放物曲面部19aの外周(円周)上の4点である方が望ましい場合がある。これは、放物曲面部19a(放射部19)の中心は、窪んでいる凹型の放射部であることと、放物曲面部19a(放射部19)が回動部8にとりアジマス方向及びエレベーション方向に回動することができることから、放物曲面部19aと反射型レーザセンサ部13との距離が「近いか/最適範囲か/遠いか」を判定する閾値の設定が難しいことが理由である。また、反射型レーザセンサ部13を照射する場所が一次放射器の付近に設定してしまうと、ホーンアンテナ19b(一次放射器19b)により判定(測定)に支障をきたす可能性がある。したがって、放物曲面部19aの外周(円周)上の点であっても、ホーンアンテナ19b及びホーンアンテナ支持器19cの付近は避けてレーザ光を照射する点を設定する方がよい。
【0058】
さらに、実施の形態2に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)が、放物曲面部19a上に、うねりやたわみが無いものを判定・測定対象(調整対象)とする場合は、基板7(放射部7)の平面上の任意の点に複数の反射型センサによるレーザ光を照射する(図10(b)に記載の模式図)構成としてもよい。つまり、三つの反射型レーザセンサ部13による放物曲面部19aへのレーザ光の照射箇所は、放物曲面部19aの三隅(隅部)、換言すると、放物曲面部19aの外周(円周)上の3点である。この場合も、他の実施の形態1及び2に係るアンテナ位置判定装置(アンテナ位置調整装置)と同様に、汎用PC15は、固定治具10にアンテナが固定され、放射部19(放物曲面部19a)が基準位置にあるときの複数の反射型レーザセンサ部13が受光した放物曲面部19aからの反射光より導出した距離を適正距離として記憶しておればよい。また、精度が多少落ちることを許容するのであれば、二つの反射型レーザセンサ部13により、放物曲面部19aの二隅(隅部)、換言すると、放物曲面部19aの外周(円周)上の2点へ、レーザ光を照射する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1・・第1発光器、2・・第1受光器、3・・第1透過型レーザセンサ部、4・・第2発光器、5・・第2受光器、6・・第2透過型レーザセンサ部、7・・基板(放射部)、8・・回動部、8a・・第1回動部(AZ回動部)、8b・・第2回動部(EL回動部)、9・・支持部、10・・固定治具、11・・位置決めピン、12・・透過型レーザセンサ支持部、13・・反射型レーザセンサ部13・・制御部(PLC)、15・・汎用PC、16・・制御線、17・・反射型レーザセンサ支持部、18・・アンテナ制御線、18a・・接続端子、19・・放射部、19a・・放物曲面部(二次放射器)、19b・・ホーンアンテナ(一次放射器)、19c・・ホーンアンテナ支持器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基板で構成された放射部、この放射部をアジマス方向及びエレベーション方向に回動させる回動部を有するアンテナの前記放射部が基準位置に配置されているかを判定するアンテナ位置判定装置であって、レーザ光を発光する第1発光器、この第1発光器に対向して配置され、前記第1発光器からのレーザ光を受光する第1受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第1透過型レーザセンサ部と、この第1透過型レーザセンサ部の光軸に対して平行方向にレーザ光を発光する第2発光器、この第2発光器に対向して配置され、前記第2発光器からのレーザ光を受光する第2受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第2透過型レーザセンサ部と、前記アンテナの位置を固定する固定治具と、この固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときに、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とのそれぞれのレーザ光が前記放射部によって遮光される位置に、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とを支持する透過型レーザセンサ支持部と、それぞれ前記放射部へレーザ光を照射し、そのレーザ光の反射光を受光して距離を導出する複数の反射型レーザセンサ部と、前記固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときの前記複数の反射型レーザセンサ部が受光した前記放射部からの反射光より導出した距離を適正距離として記憶する制御部とを備え、前記制御部は、前記固定治具に前記アンテナが固定された後、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部並びに前記複数の反射型レーザセンサ部を制御してレーザ光を発光させ、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部が遮光を検知し、前記複数の反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離であるときに、前記放射部が基準位置に配置されていると判定し、前記第1透過型レーザセンサ部又は前記第2透過型レーザセンサ部の少なくとも一方が透過を検知したとき、又は、前記複数の反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離でないときに、前記放射部が基準位置に配置されていないと判定するアンテナ位置判定装置。
【請求項2】
放射部、この放射部をアジマス方向及びエレベーション方向に回動させる回動部を有するアンテナの前記放射部が基準位置に配置されているかを判定するアンテナ位置判定装置であって、レーザ光を発光する第1発光器、この第1発光器に対向して配置され、前記第1発光器からのレーザ光を受光する第1受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第1透過型レーザセンサ部と、この第1透過型レーザセンサ部の光軸に対して平行方向にレーザ光を発光する第2発光器、この第2発光器に対向して配置され、前記第2発光器からのレーザ光を受光する第2受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第2透過型レーザセンサ部と、前記アンテナの位置を固定する固定治具と、この固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときに、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とのそれぞれのレーザ光が前記放射部によって遮光される位置に、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とを支持する透過型レーザセンサ支持部と、それぞれ前記放射部の外周上の三隅へレーザ光を照射し、そのレーザ光の反射光を受光して距離を導出する三つの反射型レーザセンサ部と、前記固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときの、前記三つの反射型レーザセンサ部が受光した前記放射部の外周上の三隅からの反射光より導出した距離を適正距離として記憶する制御部とを備え、前記制御部は、前記固定治具に前記アンテナが固定された後、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部並びに前記三つの反射型レーザセンサ部を制御してレーザ光を発光させ、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部が遮光を検知し、前記三つの反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離であるときに、前記放射部が基準位置に配置されていると判定し、前記第1透過型レーザセンサ部又は前記第2透過型レーザセンサ部の少なくとも一方が透過を検知したとき、又は、前記三つの反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離でないときに、前記放射部が基準位置に配置されていないと判定するアンテナ位置判定装置。
【請求項3】
放射部、この放射部をアジマス方向及びエレベーション方向に回動させる回動部を有するアンテナの前記放射部が基準位置に配置されているかを判定するアンテナ位置判定装置であって、レーザ光を発光する第1発光器、この第1発光器に対向して配置され、前記第1発光器からのレーザ光を受光する第1受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第1透過型レーザセンサ部と、この第1透過型レーザセンサ部の光軸に対して平行方向にレーザ光を発光する第2発光器、この第2発光器に対向して配置され、前記第2発光器からのレーザ光を受光する第2受光器を有し、レーザ光の受光又は遮光を検知する第2透過型レーザセンサ部と、前記アンテナの位置を固定する固定治具と、この固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときに、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とのそれぞれのレーザ光が前記放射部によって遮光される位置に、前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とを支持する透過型レーザセンサ支持部と、それぞれ前記放射部の外周上の四隅へレーザ光を照射し、そのレーザ光の反射光を受光して距離を導出する四つの反射型レーザセンサ部と、前記固定治具に前記アンテナが固定され、前記放射部が基準位置にあるときの、前記四つの反射型レーザセンサ部が受光した前記放射部の外周上の四隅からの反射光より導出した距離を適正距離として記憶する制御部とを備え、前記制御部は、前記固定治具に前記アンテナが固定された後、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部並びに前記四つの反射型レーザセンサ部を制御してレーザ光を発光させ、前記第1透過型レーザセンサ部及び前記第2透過型レーザセンサ部が遮光を検知し、前記四つの反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離であるときに、前記放射部が基準位置に配置されていると判定し、前記第1透過型レーザセンサ部又は前記第2透過型レーザセンサ部の少なくとも一方が透過を検知したとき、又は、前記四つの反射型レーザセンサ部が導出した距離が適正距離でないときに、前記放射部が基準位置に配置されていないと判定するアンテナ位置判定装置。
【請求項4】
前記反射型レーザセンサ部は、反射光の強度から距離を導出する請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ位置判定装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記アンテナと接続され、前記回動部を制御して、前記放射部が基準位置に配置されていないと判定したときに、前記放射部を回動させる請求項1〜4のいずれかに記載のアンテナ位置判定装置。
【請求項6】
前記透過型レーザセンサ支持部は、光軸が前記アンテナのアジマス方向に対して平行であるレーザ光を前記第1発光器及び前記第2発光器が発光する位置に前記第1透過型レーザセンサ部と前記第2透過型レーザセンサ部とを支持する請求項1〜5のいずれかに記載のアンテナ位置判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−237589(P2012−237589A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105348(P2011−105348)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】